説明

軟質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】 本発明の目的は、低密度かつ成形性が良好な、軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【解決手段】 ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分とを、発泡剤、ウレタン化触媒、および整泡剤の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)が特定の4種のポリオールを含有し、発泡剤が水であり、水の量がポリオール成分(A)100重量部に対して5〜7重量部であって、有機ポリイソシアネート成分が、70重量%以上の2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、その粗製物、ならびにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、30重量%以下の他のポリイソシアネートからなり、コア密度が15〜28kg/mのフォームを製造することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは車両用座席の背もたれクッション等の用途に適した、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームを低密度化する手法としては、発泡剤である水の含有量を増やす方法が一般的ではあるが、より低密度のポリウレタンフォームを成形しようとした場合、フォーム発泡過程で水とイソシアネートの反応に伴う炭酸ガスの発生量が増えることで、フォームの樹脂骨格が破壊されやすくなり、フォームの成形が困難になる。そのため、ポリウレタンフォームの低密度化はフォーム発泡過程での安定性に優れる、比較的高い官能基数(4〜5)を有するポリオール成分が用いられる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−56254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の方法では官能基数の増加に伴ってポリオール成分の粘度が高くなる等の原因のため、ウレタンフォームの成形性が不十分であった。
本発明の目的は、低密度で成形性が良好な、軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らはこれらの問題点を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を有するポリオール成分を用いることにより、低密度かつ成形性の良好な軟質ポリウレタンフォームを製造できることを見出し、本発明に達した。
すなわち本発明は、ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分とを、発泡剤、ウレタン化触媒、および整泡剤の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)が下記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)および(a4)を含有し、発泡剤が水であり、水の量がポリオール成分100重量部に対して5〜7重量部であって、有機ポリイソシアネート成分が、70重量%以上の2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、その粗製物、ならびにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、30重量%以下の他のポリイソシアネートからなり、コア密度が15〜28kg/mのフォームを製造することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法;
ポリオール(a1):平均官能基数が3であり、水酸基価が35〜85mgKOH/gであり、内部オキシエチレン単位の含量が0〜5重量%、末端オキシエチレン単位の含量が8〜30重量%、オキシエチレン単位の合計量が8〜30重量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a2):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が10〜190mgKOH/gであり、オキシエチレン単位の含有量が31〜95質量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a3):平均官能基数が2〜8であり、水酸基価が340〜1300mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。
ポリオール(a4):平均官能基数が3〜4であり、水酸基価が25〜60mgKOH/gであるポリオール(B)中、ラジカル重合開始剤の存在下でビニルモノマー(c)を重合させて得られる重合体ポリオール。
及び該ポリウレタンフォームの製造方法用ポリオール組成物である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製法によれば、低密度かつ成形性の良好な軟質ウレタンフォームを得ることができ、とくに車両用座席の背もたれ用クッション材として優れた性能を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の製造方法に用いるポリオール成分(A)は、ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、および(a4)を必須成分として含有する。
【0007】
本発明の方法におけるポリオール(a1)としては、例えば、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、リン酸等の、少なくとも2個の活性水素を有する化合物に、炭素数2〜8またはそれ以上のアルキレンオキサイド(以下AOと略記する。)が付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0008】
上記多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;および脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)、炭素数3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール);炭素数5〜20の4〜8価またはそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどの、アルカンポリオールおよびそれらもしくはアルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物;ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類およびその誘導体)、およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0009】
多価(2〜8価またはそれ以上)フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノンおよびフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);たとえば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール;およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0010】
アミンとしては、活性水素の数が2〜8個またはそれ以上のものが挙げられ、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数2〜20のアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンおよびアミノエチルエタノールアミン)、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミンおよびオクチルアミン)、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜ヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン)が挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族モノもしくはポリアミン(例えば、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリンおよびジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式アミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミンおよびジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式アミン(例えば、ピペラジン、アミノエチルピペラジンおよび特公昭55−21044号公報記載のもの)およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0011】
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸など)、およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
これらの活性水素含有化合物は2種以上を併用してもよい。これらの中で好ましくは多価アルコールである。
【0012】
上記活性水素含有化合物に付加させるAOとしては、プロピレンオキシド(以下POと略称する。)およびエチレンオキシド(以下EOと略称する。)である。AOは、これらのみからなることが好ましいが、AO中10重量%(以下、とくに記載のない限り、%は重量%を意味する。)以下(とくに5%以下)の範囲で他のAOが併用された付加物であってもよい。他のAOとしては、炭素数4〜8のものが好ましく、1,2−、1,3−、1,4−、または2,3−ブチレンオキシド、およびスチレンオキシド等が挙げられ、2種以上用いてもよい。
POおよびEOを含むAOの付加方法としては、ブロック付加、またはランダム付加、およびこれらの併用のいずれでもよい。
AO付加時に用いる触媒としては、通常用いられるアルカリ触媒(KOH、CsOH等)の他、特開2000−344881号公報に記載の触媒〔トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等〕、特開平11−120300号公報に記載の触媒(過塩素酸マグネシウム等)を用いてもよい。(以下のAO付加物についても同様。)
【0013】
ポリオール(a1)は、末端および必要により内部にEOが付加された構造の化合物であり、内部オキシエチレン単位(以下オキシエチレン単位をEO単位と略記する)単位の含量が0〜5%、好ましくは0〜3%、末端EO単位の含量が8〜30%、好ましくは15〜25%、EO単位の合計量が8〜30%、好ましくは15〜25%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールである。
ポリオール(a1)の1分子当たりの平均官能基数は3である。この範囲以外の官能基数のものが含まれていても、2種以上の活性水素含有化合物のAO付加物であって、その平均官能基数が上記範囲内となればよい(以下のポリオールの平均官能基数についても同様)。ここで平均官能基数は、原料の平均官能基数から計算される理論値を、官能基数であると見なしたものである。
(a1)の水酸基価は35〜85(mgKOH/g、以下の水酸基価も同じ)、好ましくは35〜68である。
【0014】
ポリオール(a1)の、EO単位の合計量あるいは末端EO単位の含量が8%未満では、発泡終了直前の硬化が不十分でフォームが崩壊しやすく、EO単位の合計量が30%を超えるか末端EO単位の含量が30%を超えると、独立気泡が多くなりフォームが収縮しやすくなる。内部EO単位の含量が5%を超えると、フォームの硬さ(圧縮時の応力)が損なわれやすい。平均官能基数が3未満では発泡終了直前の硬化が不十分でフォームが崩壊しやすく、4を超えると粘度が高くなり、ウレタンフォーム発泡時に不良が出やすくなる。水酸基価が35未満ではウレタンフォーム発泡時のフォーム安定性が悪化し、85を超えると独立気泡が多くなり、フォームの収縮がおこる。
【0015】
本発明の方法におけるポリオール(a2)としては、例えば、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、リン酸等の、少なくとも2個の活性水素を有する化合物に、炭素数2〜8またはそれ以上のAOが付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。活性水素含有化合物としては、具体的には前記ポリオール(a1)におけるものと同様のものが挙げられ、2種類以上併用してもよい。
AOは、POおよびEOからなる。AOはこれらのみからなることが好ましいが、AO中10%以下(とくに5%以下)の範囲で前記他のAOが併用された付加物であってもよい。
POおよびEOの付加方法としては、PO、EOのブロック付加であってもランダム付加であっても良いが、ランダム付加が好ましい。
ポリオール(a2)の1分子当たりの平均官能基数は2〜4、好ましくは3〜4であり、EO単位の合計量は31〜95%であり、好ましくは50〜85%であり、さらに好ましくは60〜80%である。水酸基価は10〜190であり、好ましくは15〜150であり、さらに好ましくは20〜120である。
【0016】
ポリオール(a2)の平均官能基数が2未満では、発泡終了直前の硬化が不十分でフォームが崩壊しやすく、硬化時間も長くなるため実用性に乏しく、4を越えると、フォームの伸び物性が低下する。水酸基価が10未満ではフォーム硬さが低下し、190を越えると、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮しやすくなる。EO単位の含有量が31%未満であると硬化時間が長くなり、95%を越えると、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮しやすくなる。
【0017】
本発明の方法におけるポリオール(a3)としては、例えば、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、リン酸等の、少なくとも2個の活性水素を有する化合物に、炭素数2〜8またはそれ以上のAOが付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。活性水素含有化合物としては、具体的には前記ポリオール(a1)におけるものと同様のものが挙げられ、2種類以上併用してもよい。
AOは、アルキレン基の炭素数が2および/または3、すなわちPOおよび/またはEOからなる。AOはこれらのみからなることが好ましいが、AO中10%以下(とくに5%以下)の範囲で前記他のAOが併用された付加物であってもよい。POおよび/またはEOの付加方法としては、PO単独、EO単独あるいはPO、EOのブロック付加であってもランダム付加であってもよいが、PO単独付加またはEO単独付加(ポリオキシプロピレンポリオールまたはポリオキシエチレンポリオールが得られる)が好ましい。
ポリオール(a3)の1分子当たりの平均官能基数は2〜8、好ましくは3〜6、さらに好ましくは4〜6であり、水酸基価は340〜1300、好ましくは400〜1250である。
【0018】
ポリオール(a3)の平均官能基数が2未満では発泡終了直前の硬化が不十分でフォームが崩壊しやすく、硬化時間も長くなるため実用性に乏しく、8を超えるとフォームの伸び物性が低下する。水酸基価が340未満ではフォームの硬さが不足し、1300を超えるとフォーム伸び物性が低下する。
【0019】
本発明におけるポリオール(a4)は、平均官能基数が3〜4であり、水酸基価が25〜60mgKOH/gであるポリオール(B)中でビニルモノマーを通常の方法で重合して製造することができる。例えば、上記に示したポリオール(B)中で、ラジカル開始剤の存在下、ビニルモノマー(c)を重合させ、安定分散させたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書、特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0020】
ラジカル重合開始剤としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーイキサイドおよび過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩および過ホウ酸塩等の無機過酸化物などが挙げられる。なお、これらは2種以上を併用することができる。
【0021】
(c)としては、芳香族ビニル単量体(c1)、不飽和ニトリル類(c2)、(メタ)アクリル酸エステル類(c3)、その他のビニル単量体(c4)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(c1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレン等が挙げられる。
(c2)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。
(c3)としては、C、HおよびO原子から構成されるもの、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基の炭素数が1〜24)〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜5)(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〕、およびヒドロキシポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート類〔例えば、アルキレン基の炭素数2〜4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200〜1000〕が挙げられる。
【0022】
(c4)としては、エチレン性不飽和カルボン酸およびその誘導体、具体的には(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなど;脂肪族もしくは脂環式炭化水素単量体、具体的にはアルケン(エチレン、プロピレン、ノルボルネン等)、アルカジエン(ブタジエン等)など;フッ素系ビニル単量体、具体的には、フッ素含有(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等)など;塩素系ビニル単量体、具体的には塩化ビニリデンなど;上記以外の窒素含有ビニル単量体、具体的には窒素含有(メタ)アクリレート(ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート等)など;およびビニル変性シリコーンなどが挙げられる。
これら(c)中で好ましいものは、(c1)および(c2)であり、とくにスチレンおよび/またはアクリロニトリルである。
【0023】
ビニルモノマー(c)中の、(c1)、(c2)、(c3)および(c4)の重量比率は、要求されるポリウレタンの物性等に応じて変えることができ、特に限定されていないが、一例を示すと次の通りである。
(c1)および/または(c2)は、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは80〜100%である。(c1)と(c2)の重量比はとくに限定されないが、好ましくは0/100〜80/20である。(c3)は、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜20%である。(c4)は、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%である。
また、(c)中に、これらの単官能モノマー以外に、少量(好ましくは0.05〜1%)の2官能以上(好ましくは2〜8官能)の多官能ビニルモノマー(c5)を用いることにより、重合体の強度をさらに向上させることができる。(c5)としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8、重合度:2〜10)グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0024】
ポリオール(a4)中の(c)の重合体の含量は、好ましくは10〜50%、さらに好ましくは、15〜40%である。重合体の含量が10%以上では十分なフォーム硬さが発現でき、50%以下では重合体ポリオールの粘度が低くなり取扱いが容易である。
ポリオール(a4)製造時に使用するポリオール(B)において、官能基数が3未満では発泡終了直前の硬化が不十分でフォームが崩壊しやすく、4を超えると粘度が高くなり、ウレタンフォーム発泡時に不良が出やすくなる。水酸基価が25mgKOH/g未満ではウレタンフォーム発泡時のフォーム安定性が悪化し、60mgKOH/gを超えると独立気泡が多くなり、フォームの収縮がおこる。
【0025】
本発明において、ポリオール成分(A)中には、ポリオール(a1)〜(a4)以外に、他のポリオールあるいは活性水素成分(a5)を含有してもよい。(a5)としては、例えば、(a1)〜(a4)以外のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、上記以外の各種ポリオールもしくはモノオール、多価アルコール、アミン並びにこれらの混合物等が挙げられる。
【0026】
(a1)〜(a4)以外のポリエーテルポリオールとしては、前記活性水素含有化合物の前記AO付加物であって、(a1)〜(a4)以外のものが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、前記の多価アルコール(とくに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール、前記ポリエーテルポリオール(とくにジオール)、またはこれらとグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価またはそれ以上の多価アルコールとの混合物と、前記ポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体〔酸無水物、低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等〕(例えば、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル)とのエステル、または前記カルボン酸無水物およびAOとの縮合反応物;そのAO(EO、PO等)付加物;ポリラクトンポリオール、例えば前記多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの;ポリカーボネートポリオール、例えば前記多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物;等が挙げられる。
【0027】
各種ポリオールもしくはモノオールとしては、ポリブタジエンポリオール等のポリジエンポリオールおよびそれらの水添物;アクリル系ポリオール、特開昭58−57413号公報および特開昭58−57414号公報等に記載された水酸基含有ビニル重合体;ヒマシ油等の天然油脂系ポリオール;ヒマシ油変性物(例えば多価アルコールエステル交換生成物、水添物)等の天然油脂系ポリオールの変性物;国際公開WO98/44016号公報に記載の末端ラジカル重合性官能基含有活性水素化合物(モノオールも含まれる。);ポリエーテルポリオールをメチレンジハライド等のアルキレンジハライド等でジャンプした変性ポリオール;ポリエーテルポリオールのOH末端プレポリマー;等が挙げられる。
多価アルコール、アミンとしては前述のものが挙げられる。
これらの(a5)の中で、好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0028】
本発明においては、(a1)、(a2)、(a3)および(a4)の合計重量に基づいて、(a1)が10〜89.4%、(a2)が0.1〜15%、(a3)が0.5〜20%、(a4)が10〜89.4%であり、好ましくは、(a1)が15〜85%、(a2)が0.2〜10%、(a3)が1〜10%、(a4)が15〜85%である。
なお、他のポリオール(a5)の量は、(a1)、(a2)、(a3)および(a4)の合計重量に基づいて、好ましくは40%以下、さらに好ましくは10%以下、とくに好ましくは1%以下である。
(a1)が10%以上であるとフォームの伸び物性が良好であり、89.4%以下であるとフォームの硬さが不足することがない。(a2)が0.1%以上では独立気泡が多くなることがなく、15%以下であると硬化時間が長くなることがない。(a3)が0.5%以上ではフォームの硬さが不足することがなく、20%以下では伸び物性が低下することがない。
【0029】
本発明において、ポリオール成分(A)中の(c)の重合体の含量は、ポリオール成分(A)の重量に基づいて、1〜20%が好ましい。1%以上であると発泡終了直前の硬化が十分発現しておりかつフォームの硬さ損なわれることがない。また、20%以下であると圧縮永久歪みが良好である。特に1.5〜15%が好ましい。
【0030】
本発明における有機ポリイソシアネート成分は、70%以上の2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、その粗製物、並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネート(これらのイソシアネートをTDI系ポリイソシアネートと表記する。)と、30%以下の他のポリイソシアネートからなる。上記変性物としては、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
TDI系ポリイソシアネートの量は、好ましくは75〜95%である。TDI系ポリイソシアネートの量が70%未満であると、ポリウレタンフォームの密度低下が不十分である。
他のポリイソシアネートとしては、通常ポリウレタンフォームに使用される2〜8価またはそれ以上の有機ポリイソシアネートはすべて使用でき、TDI系ポリイソシアネート以外の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、上記変性物)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、カルボジイミド変性MDIなどが挙げられる。
【0031】
これらの他のイソシアネートの中で好ましくは、芳香族ポリイソシアネートであり、さらに好ましくは、MDI、粗製MDI、およびこれらのイソシアネートの変性物から選ばれる1種以上である。
有機ポリイソシアネート成分全体としてのイソシアネート基含有量(NCO%)は、40〜50%が好ましい。
【0032】
本発明における発泡剤としては、通常水を使用する。
本発明において、水の使用量はポリオール成分(A)100重量部(以下、部は重量部を意味する。)に対して5〜7部、好ましくは5.5〜6.8部である。
水の使用量が5部未満であると発泡倍率の不足によって型内での充填が不十分になり、7部を超えると過剰の発泡ガスが発生しフォームが崩壊しやすくなる。
発泡剤としては水のみを用いるのが好ましいが、必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等を併用してもよい。
【0033】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素系発泡剤の具体例としてHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22およびHCFC−142b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、およびHFC−365mfc)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、およびHFC−365mfcおよびこれらの2種以上の混合物である。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、ポリオール成分100部当たり、好ましくは50部以下、さらに好ましくは5〜45部である。
【0034】
低沸点炭化水素は、通常沸点が−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンおよびこれらの混合物が挙げられる。
低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、ポリオール成分(A)100部当たり、好ましくは30部以下、さらに好ましくは25部以下である。
また、液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、ポリオール成分(A)100部あたり、好ましくは30部以下、さらに好ましくは25部以下である。
【0035】
本発明におけるウレタン化触媒としては、ウレタン化反応を促進する通常の触媒はすべて使用でき、例として、トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどの3級アミンおよびそのカルボン酸塩、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、スタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩、ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。
触媒の使用量(純分)はポリオール成分(A)100部に対して好ましくは0.1〜0.4部、さらに好ましくは0.15〜0.25部である。
【0036】
本発明における整泡剤としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、例として、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ−1346」、「SF−2962」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「L−3640」等]、ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、、東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−253」等]等のシリコーン整泡剤が挙げられる。
整泡剤の使用量は、ポリオール成分100部に対して好ましくは0.5〜3部、さらに好ましくは0.8〜2部である。
【0037】
本発明においては、必要により以下に述べるような、他の補助成分を用い、その存在下で反応させてもよい。
例えば、着色剤(染料、顔料)、難燃剤(リン酸エステル類、ハロゲン化リン酸エステル類など)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系など)などの公知の補助成分の存在下で反応させることができる。ポリオール成分(A)100部に対するこれらの補助成分の使用量に関しては、着色剤は、好ましくは1部以下である。難燃剤は、好ましくは5部以下、さらに好ましくは2部以下である。老化防止剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.5部以下である。抗酸化剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5部である。
【0038】
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基の当量比)×100]は、好ましくは70〜125、さらに好ましくは75〜120、特に好ましくは80〜115である。
【0039】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造法の一例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール成分(A)、発泡剤、触媒、整泡剤、および必要により、他の補助成分を所定量混合する。次いでポリウレタン発泡機または攪拌機を使用して、この混合物と有機ポリイソシアネート(以下H成分という)とを急速混合する。得られた混合液をモールド(例えば15〜70℃)に注入し、所定時間後脱型して軟質ポリウレタンフォームを得る。
【0040】
本発明の方法による得られる軟質ポリウレタンフォームの、コア密度は、フォームの低密度化とフォーム製造時の成形性の観点から、15〜28kg/m3であり、好ましくは18〜25kg/m3である。
コア密度はJIS K6400<<2004年>>の見掛け密度の測定法による。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0042】
実施例1〜8および比較例1〜5
表1および表2に示すポリオールプレミックスと有機イソシアネート(H)を高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)の原料タンクに仕込み、液温を25℃に調節した。その後、高圧ウレタン発泡機でポリオールプレミックスと表に記載のイソシアネート指数となる量の有機イソシアネート(H)を15MPaで高圧吐出混合し、65℃に温度調節した400mm(長さ)×400mm(幅)×70mm(高さ)のアルミ製モールド、または自動車のシートクッションパッド成形用アルミ製モールド(実型)に注入し、キュアー時間6分にて成形した。
各フォームの物性値の測定結果を表1および表2に示す。なおコア密度はフォームの中心部から、100mm×100mm×30mmの大きさに切り出して測定した密度である。
【0043】
実施例および比較例におけるポリウレタンフォーム原料は次の通りである。
(1)ポリオールa1−1:グリセリンにPOを付加し次いでEOを付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価56、末端EO単位の含量=18%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
(2)ポリオールa1−2:グリセリンにPOを付加し次いでEOを付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価42、末端EO単位の含量=16%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
(3)ポリオールa1−3:グリセリンにEOを付加し次いでPOを付加し、さらに末端にEOを付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価42、内部EO単位の含有量=2%、末端EO単位の含量=14%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
(4)ポリオールa1−4:グリセリンにPOを付加し次いでEOを付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価35、末端EO単位の含量=15%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
【0044】
(5)ポリオールa2−1:グリセリンにPOとEOをランダム付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価24、EO単位の合計量=72%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
(6)ポリオールa2−2:グリセリンにPOとEOをランダム付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価112、EO単位の合計量=72%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
【0045】
(7)ポリオールa3−1:ソルビトールにEOを付加させて得られた、平均官能基数6.0、水酸基価1250のポリオキシエチレンポリオール。
(8)ポリオールa3−2:ソルビトールにPOを付加させて得られた、平均官能基数6.0、水酸基価449のポリオキシプロピレンポリオール。
(9)ポリオールa3−3:トリエタノールアミン。
【0046】
(10)ポリオールa4−1:ポリオールb1−1とポリオールb1−2の重量比が80/20であるポリオールB−1中で、スチレンとアクリロニトリルを重量比が30/70で共重合させた重合体ポリオール(重合体含量30%)。
(11)ポリオールb1−1:グリセリンにPOを付加し次いでEOを付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価34、末端EO単位の含量=14%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
(12)ポリオールb1−2:ペンタエリスリトールにPOを付加し次いでEOを付加させて得られた、平均官能基数4.0、水酸基価32、末端EO単位の含量=12%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
【0047】
(13)ポリオールd1−1:グリセリンにPOを付加し次いでEOを付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価28、末端EO単位の含量=16%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
(14)ポリオールd1−2:ペンタエリスリトールにPOを付加し次いでEOを付加させて得られた、平均官能基数4.0、水酸基価23、末端EO単位の含量=12%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
(15)触媒E−1:トリエチレンジアミンの33%エチレングリコール溶液〔エアプロダクツジャパン(株)製DABCO−33LV〕
(16)触媒E−2:ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液〔東ソー(株)製TOYOCAT ET〕
【0048】
(17)整泡剤F−1:東レ・ダウコーニング(株)製「SZ−1346」
(18)発泡剤G−1:水
【0049】
(19)有機ポリイソシアネート(H−1):TDI−80(2,4−および2,6−TDI、2,4−体の比率が80%、以下同様)/粗製MDI=80/20(重量比)(NCO%:44.6%)〔日本ポリウレタン工業(株)製「CE−729」〕
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
表1および表2におけるフォーム物性の評価方法は下記の通りである。
<フォーム成形性>
キュアー時間6分でフォームを脱型した際に、フォームにべとつきがなく、外観良好なものを○とした。フォームの外観は良好であるが、フォームにべとつきがある(キュアー性悪い)ものを△とした。フォームの崩壊や、外観の不良があるものを×とした。
【0053】
<試験例>
<1>:コア密度(kg/m3
<2>:フォーム硬さ(25%ILD)(N/314cm2
<3>:引張強さ(kPa)
<4>:引裂強さ(N/cm)
<5>:伸び(%)
<6>:反発弾性(%)
<7>:湿熱圧縮残留ひずみ(%)
<1>〜<7>はJIS K6400(2004年版)に準拠した。なお、コア密度はフォーム中心部の見掛け密度を意味する。
【0054】
以上の結果から、本発明の方法により得られた実施例1〜8のフォームは、従来の一般的なフォームである比較例5のフォームに比べ低密度である。
実施例1〜8はフォーム成形性が良好である。一方、比較例1は、ポリオールd1−1の水酸基価が35未満であるため発泡時のフォームの安定性が低く、フォームが崩壊した。比較例2は、ポリオールd1−2の官能基数が4以上であるため粘度が高くなり、ウレタンフォーム成形時に型内での充填が不十分であった。比較例3は、ポリオールa2−1を含まないためにフォーム中の独立気泡が多くなり、フォーム内部に割れが生じた。比較例4は、ポリオールa3−1を含まないため発泡終了直前の硬化が不十分であり、脱型時にフォームのべとつきが見られた。
以上、本発明の方法によれば、低密度であるフォームを成形性良く製造できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明による軟質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、成形性が良好で、従来の方法によるものに比べて低密度なフォームが得られることから、本発明により得られるフォームはクッション材として有用であり、特に自動車等の車両用座席の背もたれクッションとして著しい有用性を発揮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分とを、発泡剤、ウレタン化触媒、および整泡剤の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)が下記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)および(a4)を含有し、発泡剤が水であり、水の量がポリオール成分(A)100重量部に対して5〜7重量部であって、有機ポリイソシアネート成分が、70重量%以上の2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、その粗製物、ならびにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、30重量%以下の他のポリイソシアネートからなり、コア密度が15〜28kg/mのフォームを製造することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
ポリオール(a1):平均官能基数が3であり、水酸基価が35〜85mgKOH/gであり、内部オキシエチレン単位の含量が0〜5重量%、末端オキシエチレン単位の含量が8〜30重量%、オキシエチレン単位の合計量が8〜30重量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a2):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が10〜190mgKOH/gであり、オキシエチレン単位の含有量が31〜95重量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a3):平均官能基数が2〜8であり、水酸基価が340〜1300mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。
ポリオール(a4):平均官能基数が3〜4であり、水酸基価が25〜60mgKOH/gであるポリオール(B)中、ラジカル重合開始剤の存在下でビニルモノマー(c)を重合させて得られる重合体ポリオール。
【請求項2】
ポリオール成分(A)において、ポリオール(a1)、(a2)、(a3)および(a4)の合計重量に基づいて、ポリオール(a1)の含量が10〜89.4重量%、ポリオール(a2)の含有量が0.1〜15重量%、(ポリオールa3)の含量が0.5〜20重量%、ポリオール(a4)の含有量が10〜89.4重量%である請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
ポリオール成分(A)中のビニルモノマー(c)の重合体の含量が、ポリオール成分(A)の重量に基づいて、1〜20重量%である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により得られた軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
請求項4に記載の軟質ポリウレタンフォームからなる車両用座席の背もたれクッション。
【請求項6】
ポリオール(a1)、ポリオール(a2)、ポリオール(a3)およびポリオール(a4)を含有してなり、(a1)、(a2)、(a3)および(a4)の合計重量に基づいて、(a1)の含量が10〜89.4重量%、(a2)の含有量が0.1〜15重量%、(a3)の含量が0.5〜20重量%、(a4)の含有量が10〜89.4重量%であるであることを特徴とするポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
ポリオール(a1):平均官能基数が3であり、水酸基価が35〜85mgKOH/gであり、内部オキシエチレン単位の含量が0〜5重量%、末端オキシエチレン単位の含量が8〜30重量%、オキシエチレン単位の合計量が8〜30重量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a2):平均官能基数が2〜4であり、水酸基価が10〜190mgKOH/gであり、オキシエチレン単位の含有量が31〜95重量%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール。
ポリオール(a3):平均官能基数が2〜8であり、水酸基価が340〜1300mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。
ポリオール(a4):平均官能基数が3〜4であり、水酸基価が25〜60mgKOH/gであるポリオール(B)中、ラジカル重合開始剤の存在下でビニルモノマー(c)を重合させて得られる重合体ポリオール。

【公開番号】特開2010−144074(P2010−144074A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323592(P2008−323592)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】