説明

軟質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】 異なるフォームを組み合わせることなく、振動特性の良好な軟質ポリウレタンフォームを製造できる方法を提供する。
【解決手段】 ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)としての水、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、前記ポリオール成分(A)が特定のポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)および(a5)を含有し、前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、(B)の質量に基づいて、15〜80質量%の、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、その粗製物並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、20〜80質量%の2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネートを含有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、自動車等の乗り物に設置されるシート用クッション材等の用途に適した軟質ポリウレタンフォームの製造方法、および得られた車両座席用高振動吸収クッション材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームは、自動車等の車両座席用クッション材に一般的に使用されている。しかし近年、クッション材として従来から求められている機能に加えて、乗り心地の向上を目的に、振動特性の良好なシートが求められている。シートの乗り心地を良好にするためには、JASCO B−407規定の振動伝達特性に関し、人が不快と感じる振動領域(4〜10Hz)での振動伝達率を低下させることが必要である。そのためには、共振周波数を低下させ、且つ共振周波数における振動伝達率(共振倍率)を低下させること(例えば、共振周波数3.6Hz以下、共振倍率3.0倍以下)が有効であるとされている。振動特性を良好にするために、特性の異なるフォームを組合わせ、多層構造とする手法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−306274号公報
【0004】
しかし、この方法ではクッションパッドを成形する型成形工程と、薄層材料と軟質フォームを接着する接着工程があり、従来汎用材に比べて生産工程数が増加するという欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らはこれらの問題点を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を有するポリオール成分を用いることにより、異なるフォームを組み合わせることなく、振動特性の良好な軟質ポリウレタンフォームを製造できることを見出し、本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)としての水、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、前記ポリオール成分(A)が下記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)および(a5)を含有し、前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、(B)の質量に基づいて、15〜80質量%の、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、その粗製物並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、20〜80質量%の2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネートを含有することを特徴とする軟質ウレタンフォームの製造方法;並びに、上記の方法により得られ上記の軟質ポリウレタンフォームからなる、車両座席用高振動吸収クッション材;である。
ポリオール(a1):2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、10〜70mgKOH/gの水酸基価を有し、30質量%以下のオキシエチレン単位を有し、活性水素原子1個あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数xが20以下で、末端水酸基の1級OH化率yが40%以上で、かつxとyはxが10〜20のとき式(1)、xが10未満のとき式(2)の関係を満たすポリエーテルポリオール。
y>0.328x+90.44 (1)
y>42x0.47(1−x/41) (2)
ポリオール(a2):2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、10〜70mgKOH/gの水酸基価を有し、30質量%以下のオキシエチレン単位を有し、活性水素原子1個あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数xが20以下で、末端水酸基の1級OH化率yが40%以上で、かつxとyはxが10〜20のとき式(3)、xが10未満のとき式(4)の関係を満たすポリエーテルポリオール。
y≦0.328x+90.44 (3)
y≦42x0.47(1−x/41) (4)
ポリオール(a3):2〜8価の多価アルコール、並びに前記多価アルコールに炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、200〜1,850mgKOH/gの水酸基価を有するポリエーテルポリオール。
ポリオール(a4):2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、20〜130mgKOH/gの水酸基価を有し、50〜90質量%のオキシエチレン単位を有し、平均分子量6,000〜8,000のポリエーテルポリオール。
ポリオール(a5):ポリオール(a1)、(a2)および(a3)から選ばれる少なくとも1種のポリオール中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニル系モノマー(b)を重合させて得られた重合体ポリオール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製法によれば、異なるフォームを組み合わせることなく、振動特性の良好な軟質ポリウレタンフォームを製造でき、得られたフォームは、車両座席用高振動吸収クッション材として優れた性能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の製造方法に用いるポリオール成分(A)のうちのポリオール(a1)および(a2)は、いずれも、2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6の1,2−アルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加されたものである。
【0009】
2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)としては、2〜8価の多価アルコール、アミン類、多価フェノール、ポリカルボン酸およびこれらの併用などが挙げられる。併用の場合は、平均の平均官能基数(活性水素原子の数の平均)が2〜8であればよく、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。平均官能基数が2以上であれば硬化時間が短くなり生産性がさらに良くなる傾向があり、8以下であれば、得られるフォームの伸び物性がさらに良くなる傾向になる。
【0010】
前記多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;および脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)、炭素数3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール);炭素数5〜20の4〜8価の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどのアルカンポリオールおよびそれらもしくはアルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物;ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類およびその誘導体)が挙げられる。
【0011】
前記アミン類としては、アルカノールアミン、ポリアミンおよびモノアミンが挙げられる。アルカノールアミンとしては、炭素数2〜20のモノ−、ジ−およびトリ−アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびイソプロパノールアミン)などが挙げられる。ポリアミン(1,2級アミノ基の数:2〜8個)としては、脂肪族アミンとして、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜ヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン)などが挙げられる。また、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(例えば、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリンおよびジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式ポリアミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミンおよびジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式ポリアミン(例えば、ピペラジンおよびアミノエチルピペラジン)等が挙げられる。モノアミンとしては、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミンおよびオクチルアミン);炭素数6〜20の芳香族モノアミン(例えば、アニリンおよびトルイジン);炭素数4〜20の脂環式モノアミン(例えば、シクロヘキシルアミン);炭素数4〜20の複素環式モノアミン(例えば、ピペリジン)等が挙げられる。
【0012】
多価フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノンおよびフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);たとえば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール等が挙げられる。
【0013】
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)、およびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0014】
これらの活性水素原子含有化合物(h)の中で好ましいのは生産性、ウレタンフォーム物性の観点から多価アルコールである。
【0015】
前記炭素数2〜6のアルキレンオキサイド(以下において、アルキレンオキサイドをAOと表記することがある)としては、1,2−AO、1,3−AO及び1,4−AOなどが挙げられる。1,2−AOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと表記することがある)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと表記することがある)、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−ペンテンオキサイド、α−オレフィンオキサイドおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。1,4−AOとしては、1,4−ブチレンオキサイドなどが挙げられる。AOのうちで好ましいのは、原料の価格、ポリエーテルポリオールの物性の観点から、炭素数2〜3のものであり、特に好ましいのは、EO、PO並びにEOとPOの併用であり、とりわけ好ましいのはEOとPOの併用である。
【0016】
2種以上のAOを併用する場合のAOの付加形式としては、ランダムおよび/またはブロック付加が挙げられる。ランダムおよび/またはブロック付加の例としては、例えばPOとEOを使用した場合は以下の(1)〜(7)が挙げられる。
(1)PO−EOの順序でブロック付加したもの(チップド)
(2)PO−EO−PO−EOの順序でブロック付加したもの(バランスド)
(3)EO−PO−EOの順序でブロック付加したもの
(4)PO−EO−POの順序でブロック付加したもの(活性セカンダリー)
(5)POおよびEOを混合付加したランダム付加
(6)特開昭57−209920号公報記載の順序でランダムまたはブロック付加したもの
(7)特開昭53−13700号公報記載の順序でランダムまたはブロック付加したもの
【0017】
(1)〜(7)の中では、ポリエーテルポリオールの活性水素原子の反応性の観点から、末端EO付加物ができる(1)、(2)および(3)が好ましく、(1)がさらに好ましい。
【0018】
ポリオール(a1)の水酸基価は、通常10〜70mgKOH/g、好ましくは20〜50mgKOH/gである。水酸基価が10mgKOH/g未満ではフォーム硬さが悪くなり、70を超えるとフォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮し易く成形性が悪くなる。
【0019】
ポリオール(a1)のオキシエチレン単位の含有量は、通常30質量%以下、好ましくは8〜20質量%である。オキシエチレン単位の含有量が30質量%を超えると、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮し易く成形性が悪くなる。
【0020】
ポリオール(a1)の活性水素原子1個当たりのEOの平均付加モル数xは通常20以下であり、疎水性と反応性の観点から好ましくは0.1〜19、さらに好ましくは1〜18、特に好ましくは2〜10である。
【0021】
ポリオール(a1)は、末端水酸基の1級OH化率yが通常40%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0022】
本発明において、末端水酸基の1級OH化率yとは、ポリオールの末端基の水酸基には通常は1級水酸基と2級水酸基があるが、末端基のうちの1級水酸基のモル%をいう。本発明における1級OH化率yの測定は、以下のように予め試料を前処理(エステル化)をした後に1H−NMR法により求めることができる。1H−NMR法の詳細を以下に説明する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmの1H−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し25℃で約5分間放置して、ポリオールをトリフルオロ酢酸エステルとし、分析用試料とする。
ここで重水素化溶媒とは、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
【0023】
<NMR測定>
通常の条件で 1H−NMR測定を行う。
<末端水酸基の1級OH化率yの計算方法>
1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基の結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測されるから、末端水酸基の1級OH化率yは下式〔1〕により算出する。
1級OH化率y(%)=[r/(r+2s)]×100 〔1〕
ただし、
r:4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値 s:5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値
である。
【0024】
ポリオール(a1)は、前記xが10〜20のとき式(1)、xが10未満のとき式(2)の関係を満たす。
y>0.328x+90.44 (1)
y>42x0.47(1−x/41) (2)
また、xとyは、xが7以下のとき、疎水性と反応性の観点から、下記式(2’)の関係を満たすのが好ましく、下記式(2’’)の関係を満たすのがさらに好ましい。
y>45x0.47(1−x/41) (2’)
y>47x0.47(1−x/41) (2’’)
【0025】
(a1)としては、2〜8価またはそれ以上の活性水素化合物(例えば、多価アルコール、アミン類、多価フェノール、ポリカルボン酸およびこれらの混合物)に、炭素数3以上の1,2−AOを主体としEOを含むAOを、後述する方法で付加して得られた実質的に飽和のポリオールが挙げられる。本発明において実質的に飽和とは、JIS K−1557記載の方法で測定される総不飽和度が0.2meq/g以下であることを意味する。上記活性水素化合物の活性水素当量は、20〜300が好ましい。
【0026】
ポリオール(a1)を得る方法としては、特定の触媒(α)の存在下で、前記活性水素原子含有化合物(h)に、例えば上記(1)〜(7)の順序でAOを付加させる方法等が挙げられる。特定の触媒(α)はEO以外のAO(POなど)の付加時に用いるが、必ずしもEO以外のAOの付加の全段階に用いる必要はなく、後述する通常使用される他の触媒の存在下でEO以外のAOの一部を付加後、付加反応後期のみに(α)を用いて、残りのEO以外のAOを付加してもよい。(α)としては、特開2000−344881号公報に記載のものが挙げられ、具体的には、フッ素原子、(置換)フェニル基および/または3級アルキル基が結合したホウ素もしくはアルミニウム化合物であり、トリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリ(t−ブチル)アルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウムなどが挙げられる。これらの中で好ましいものは、トリフェニルボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムであり、さらに好ましいのはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムである。
AOの付加条件についても上記公報に記載の方法と同様でよく、例えば、生成する開環重合体に対して、通常0.0001〜10%、好ましくは0.001〜1%の上記触媒(α)を用い、通常0〜250℃、好ましくは20〜180℃で反応させる。
【0027】
上記のEO以外のAOの付加物に、さらにEOを付加させることでさらに1級OH化率の大きなポリオールが得られる。EO付加させる前のポリオールの末端水酸基の1級OH化率が通常40%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上と極めて大きいため、少ないEO使用量で末端水酸基の1級OH化率を大きくでき、xとyが前述の関係を満足するものが得られる。なお、上記EO付加に用いる触媒は、前記のホウ素もしくはアルミニウム化合物をそのまま用いても、それに代えて通常使用される他の触媒などを用いてもよい。他の触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、トリエチレンジアミンなどの塩基性触媒;三フッ化ホウ素、塩化スズ、トリエチルアルミニウム、へテロポリ酸などの酸触媒;亜鉛ヘキサシアノコバルテート;フォスファゼン化合物などが挙げられる。これらの中では塩基性触媒が好ましい。触媒の使用量は特に限定されないが、生成する重合体に対して、好ましくは0.0001〜10%、さらに好ましくは0.001〜1%である。
【0028】
ポリオール(a2)の水酸基価は、ポリオール(a1)と同様に、通常10〜70mgKOH/g、好ましくは22〜60mgKOH/g、さらに好ましくは22〜38mgKOH/gである。ポリオール(a2)の水酸基価が10mgKOH/g未満ではフォーム硬さが悪くなり、70を超えるとフォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮し易く成形性が悪くなる。
【0029】
ポリオール(a2)のオキシエチレン単位の含有量は、ポリオール(a1)と同様に、通常30質量%以下、好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。(a2)のオキシエチレン単位の含有量が30質量%を超えると、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮し易く成形性が悪くなる。
【0030】
ポリオール(a2)の活性水素原子1個当たりのEOの平均付加モル数xは、通常20以下であり、疎水性と反応性の観点から好ましくは0.1〜19、さらに好ましくは1〜18、特に好ましくは2〜10である。
【0031】
ポリオール(a2)は、末端水酸基の1級OH化率yが、ポリオール(a1)と同様に、通常40%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0032】
本発明におけるポリオール(a2)は、通常は、前記ポリオール(a1)と同様の範囲の水酸基価(10〜70mgKOH/g)、同様の範囲のオキシエチレン単位の含有量(30質量%以下)、同様の範囲の活性水素原子1個あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数x(20以下)、および同様の範囲の末端水酸基の1級OH化率y(40%以上)を有するが、前記xが10〜20のとき式(3)、xが10未満のとき式(4)の関係を満たすものである。
y≦0.328x+90.44 (3)
y≦42x0.47(1−x/41) (4)
【0033】
ポリオール(a2)を得る方法としては、水酸化カリウム等の塩基性触媒など、通常用いられる触媒の存在下で、前記活性水素原子含有化合物(h)に、例えばポリオール(a1)と同様に前述(1)〜(7)の順序でAOを付加させる方法等が挙げられる。
【0034】
本発明に用いるポリオール(a3)のうち、2〜8価の多価アルコールとしては、前記活性水素原子含有化合物(h)のうちの多価アルコールが挙げられる。多価アルコールのうち好ましいのはウレタンフォームの硬度、引張強度、伸び率の観点からエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリンジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンであり、さらに好ましくはエチレングリコール、グリセリンおよびトリエタノールアミンである。ポリオール(a3)のうち、前記多価アルコールに炭素数2〜6のAOがランダムおよび/またはブロック付加され、200〜1,850mgKOH/gの水酸基価を有するポリエーテルポリオールとしては、前記ポリオール(a1)または(a2)で例示したAOであれば特に限定されないが、POおよび/またはPO、とくにPOもしくはEOのみからなるものが好ましい。
【0035】
(a3)の平均官能基数は、通常2〜8、好ましくは2〜6である。平均官能基数が2未満では硬化時間が長くなり生産性が悪く、8を超えるとフォームの伸び物性が悪い。水酸基価は、通常200〜1850mgKOH/g、好ましくは下限は270〜1830mgKOH/gである。水酸基価が200mgKOH/g未満ではフォーム硬さが悪く、1850mgKOH/gを超えるとフォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮し易くなり成形性が悪くなる。
【0036】
また、ポリオール(a3)の活性水素原子1個当たりのEOの平均付加モル数は特に限定されないが、ウレタンフォームの通気性向上の観点から好ましくは100〜130である。ポリオール(a3)は、末端水酸基の1級OH化率は特に限定されないが、ウレタン化反応の反応性の観点から好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。(A)の合計質量に基づいて、(a3)は好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜15質量%である。
【0037】
本発明に用いるポリオール(a4)としては、前記ポリオール(a1)やポリオール(a2)と同様の、2〜8価、好ましくは2〜6価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加されたものが挙げられるが、20〜130mgKOH/gの水酸基価を有し、50〜90質量%のオキシエチレン単位を有し、平均分子量6,000〜8,000のポリエーテルポリオールである。例えば、グリセリンに水酸化カリウムを触媒として用いて、PO・EOランダム付加(POが32.2モルとEOが114.5モル)させて得られたポリエーテルポリオールが挙げられる。A)の合計質量に基づいて、(a4)は好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。(a4)0.1質量%未満だと、フォームの独立気泡が多くなり、フォームが収縮し易く成形性が悪くなる。
【0038】
本発明における重合体ポリオール(a5)は、前記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)および(a4)から選ばれる少なくとも1種のポリオール中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニル系モノマー(b)を重合させて得られた重合体ポリオールである。使用されるポリオールのうち、重合体ポリオールの分散安定性の観点から、好ましいのは(a1)、(a2)およびこれらの併用である。重合条件の具体例としては、米国特許第3383351号明細書および特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0039】
重合体ポリオール(a5)の製造に使用されるラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよび過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩および過ホウ酸塩等の無機過酸化物等が挙げられる。なお、これらは2種以上を併用することができる。
【0040】
ビニル系モノマー(b)としては、芳香環含有単量体(b1)、不飽和ニトリル類(b2)、(メタ)アクリル酸エステル類(b3)、その他のビニル単量体(b4)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。(b1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンおよびクロルスチレンなどが挙げられる。(b2)としては、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなどが挙げられる。(b3)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートおよびドコシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基の炭素数が1〜30);末端にヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート類(たとえば、アルキレン基の炭素数2〜4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200〜1,000)などが挙げられる。
【0041】
その他のビニル単量体(b4)としては、ビニル基含有カルボン酸およびその誘導体〔(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリルアミドなど〕、脂肪族もしくは脂環式炭化水素単量体〔エチレン、プロピレンおよびノルボルネンなど〕、フッ素含有ビニル単量体〔パーフルオロオクチルエチルメタクリレートおよびパーフルオロオクチルエチルアクリレートなど〕、上記以外の窒素含有ビニル単量体〔ジアミノエチルメタクリレートおよびモルホリノエチルメタクリレートなど〕並びにビニル変性シリコンなどが挙げられる。
【0042】
ビニル系モノマー(b)の中では、ウレタンフォームの硬度向上の観点から、(b1)、(b2)およびこれらの併用が好ましく、さらに好ましくはスチレン、アクリロニトリルおよびこれらの併用である。(b1)〜(b4)の質量割合は、要求されるポリウレタンの物性等に応じて適宜変えることができ、とくに限定されないが、例えば次の通りである。
(b1):通常0〜100%、好ましくは10〜80%
(b2):通常0〜100%、好ましくは20〜90%
(b3):通常0〜50%、好ましくは0〜20%
(b4):通常0〜10%、好ましくは0〜5%
なお、(b)中に少量(好ましくは(b1)〜(b4)の合計に対して1%以下)の多官能(好ましくは2〜8官能)ビニル基含有モノマー〔ジビニルベンゼンおよびエチレンジ(メタ)クリレートなど〕を用いることにより、重合体ポリオール(a5)の強度をさらに向上させることができる。
【0043】
重合体ポリオール(a5)中の(b)の重合体の含量は、分散性および粘度の観点から、好ましくは2〜50%、さらに好ましくは10〜40%である。ポリオール成分(A)中の(b)の重合体の含量は、ウレタンフォームの硬度および耐久性の観点から、好ましくは1〜30%、さらに好ましくは5〜25%である。
【0044】
本発明におけるポリオール成分(A)は、前記(a1)〜(a5)以外に、さらにその他のポリオール(a6)を含有してもよいが、フォームの振動特性の観点から、前記(a1)〜(a5)のみからなることが好ましい。
【0045】
ポリオール成分(A)が(a1)〜(a5)のみからなる場合の、(A)の合計質量に基づくそれぞれのポリオールの好ましい含有量は;(a1)が5〜93質量%、さらに好ましくは10〜85質量%、特に好ましくは20〜50質量%;(a2)が5〜85質量%、さらに好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは10〜30質量%;(a3)が0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%、特に好ましくは0.3〜8質量%;(a4)が0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5%、特に好ましくは0.5〜3質量%;(a5)が1〜80質量%、さらに好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%;である。
【0046】
(a1)が5質量%以上であるとフォームの耐湿物性がさらに良好に発揮できる傾向にあり、93質量%以下であると、イソシアネートとの反応性がさらに良好になる。(a2)が5質量%以上であるとフォームの安定性がさらに向上し、85質量%以下ではフォームの硬さがさらに十分になりやすい。(a3)が0.1質量%以上ではフォームの硬さがさらに十分になりやすく、15質量%以下では伸び物性がさらに十分に発揮できる。(a4)が0.1質量%以上であるとさらに通気性に優れ、さらに良好な振動特性を示す傾向になる。(a5)が1質量%以上であれば、さらにウレタンフォームの成形性が良好に発揮でき、80質量%以下であれば、さらにウレタンフォームの成形性が良好に発揮できる。なお、ポリオール成分全体の平均官能基数は、2〜6が好ましい
【0047】
本発明において使用される有機ポリイソシアネート(B)としては;2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、その粗製物並びにそれらの変性物;2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記);1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート;などが挙げられる。前記MDIの粗製物としては、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)などが挙げられる。前記それらの変性物[即ち、MDIの変性物およびMDIの組成物の変性物]としては、カルボジイミド変性MDIなどが挙げられる。
【0048】
(B)のうちで好ましいのは、MDI、その粗製物、それらの変性物およびTDIであり、とくに好ましいのは、生産性の向上などの理由から、(B)の質量に基づいて、通常15〜80質量%、好ましくは20〜70質量%のMDI、その粗製物並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、通常20〜85質量%、好ましくは30〜80質量%のTDIを含有する有機ポリイソシアネートである。
【0049】
本発明の製造方法における発泡剤(C)としては、水を使用する。水の使用量は、ポリオール成分(A)100部当たり、好ましくは0.1〜30部、さらに好ましくは0.5〜20部、とくに好ましくは1.5〜6部である。上記および以下において、部は質量部を意味する。
【0050】
本発明の製造方法における触媒(D)としては、イソシアネートの反応に用いる通常の触媒はすべて使用でき、例として、トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどの3級アミンおよびそのカルボン酸塩;酢酸カリウム、オクチル酸カリウムおよびスタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩;ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。(D)の使用量はポリオール成分(A)100部に対して、好ましくは0.01〜5部、さらに好ましくは0.2〜3部である。
【0051】
本発明の製造方法における整泡剤(E)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、例として、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ−1346」、「SF−2962」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「L−3640」等]、ジメチルシロキサン系整泡剤[例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−274DL」、「SRX−253」等]等のシリコーン整泡剤が挙げられる。(E)の使用量は、ポリオール成分100部に対して、好ましくは0.5〜3部、さらに好ましくは1〜2.5部である。
【0052】
本発明の製造方法においては、必要により、さらに以下に述べるようなその他の添加剤を用い、その存在下で反応させてもよい。例えば、着色剤(染料、顔料)、難燃剤(リン酸エステル類、ハロゲン化リン酸エステル類など)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系など)などの公知の補助成分の存在下で反応させることができる。ポリオール成分100部に対するこれらの補助成分の使用量に関しては、着色剤は、好ましくは1部以下である。難燃剤は、好ましくは5部以下、さらに好ましくは2部以下である。老化防止剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.5部以下である。抗酸化剤は、好ましくは1部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5部である。
【0053】
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数(インデックス)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、好ましくは70〜135、さらに好ましくは75〜130、特に好ましくは80〜125である。
【0054】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造方法の一例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール成分(A)、発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)、整泡剤(E)および必要により他の添加剤を所定量混合し、ポリオールプレミックスを調製する。次いでポリウレタン低圧もしくは高圧発泡機または攪拌機を使用して、このポリオールプレミックスと有機ポリイソシアネート(B)とをそれぞれの液温が15〜40℃で急速混合する。得られた混合液(発泡原液)を、必要により加温した密閉型もしくは開放型のモールド(金属製または樹脂製、型温20〜80℃)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型して軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。また、連続発泡しても軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。本発明は、とくにモールドフォームの製造方法として好適である。モールドフォームの場合のパック率は、100〜300%が好ましい。
【0055】
本方法で得られる軟質ポリウレタンフォームは、コア密度が40〜60kg/m3 、反発弾性が52〜65%であることが好ましい。コア密度は、さらに好ましくは、下限は42kg/m3、上限は58kg/m3である。反発弾性は、さらに好ましくは、下限は57%、上限は62%である。コア密度が40kg/m3以上であると湿熱圧縮残留歪率が良好となり、60kg/m3以下であると軽量となり生産性良好となる。また、反発弾性が52〜65%であると、車両座席用クッション材としたときのクッション感が良好である。また、本方法で得られる軟質ポリウレタンフォームの通気性(ft3/min)は、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは、0.15〜0.8である。通気性が1.0以下であれば共振倍率が良好となる。
【0056】
本発明の方法によれば、JASCO B−407規定の振動伝達特性で規定される、共振周波数が3.6Hz以下、共振周波数における振動伝達率(共振倍率)が3.0倍以下の軟質ポリウレタンフォームを容易に得ることができる。このようなフォームは、人が不快と感じる振動領域(4〜10Hz)での振動伝達率が十分に低いため、車両座席用クッション材とした場合のシートの乗り心地が良好である。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0058】
実施例および比較例において使用したポリウレタンフォーム原料は次の通りである。
【0059】
(1)ポリオール(a1−1):
グリセリン1モルに、特開2006−063344号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO79.4モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、さらにEO6.8モルを水酸化カリウムを触媒として付加し、その後触媒成分を除去した、常温で液状のポリエーテルポリオールである。水酸基価=34.0、EO単位の含有量=6.0質量%、x=2.3モル、y=82%、〔式(2)の右辺=58.3〕
【0060】
(2)ポリオール(a1−2):
ペンタエリスリトール1モルに、特開2006−063344号公報の実施例1と同様にして、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてPO127.3モルを付加し〔触媒量50ppm(反応生成物基準)、反応温度75℃〕、さらにEO10.9モルを水酸化カリウムを触媒として付加し、その後触媒成分を除去した、常温で液状のポリエーテルポリオールである。水酸基価=28.0、EO単位の含有量=6.0質量%、x=2.7モル、y=82%、〔式(2)の右辺=62.8〕
【0061】
(3)ポリオール(a2−1):
グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを85.3モル付加し、次いでEOを21.8モル付加させて得られた、水酸基価28.0、EO単位の含有量16.0質量%、x=7.3、y=82%のポリエーテルポリオール。〔式(4)の右辺=87.9〕
【0062】
(4)ポリオール(a2−2):
ペンタエリスリトール1モルに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを104.1モル付加し、次いでEOを19.1モル付加させて得られた、水酸基価32.0、EO単位の含有量12.0質量%、x=4.8、y=75%のポリエーテルポリオール。〔式(4)の右辺=77.5〕
【0063】
(5)ポリオール(a2−3):
グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として用いてEOを2.7モル付加し、次いでPOを85.3モル付加させ、さらにEOを19.8モル付加して得られた、水酸基価28.1、EO単位の含有量16.0質量%、x=7.5モル、y=82%のポリエーテルポリオール。〔式(4)の右辺=85.6〕
【0064】
(6)ポリオール(a3−1):
ソルビトール1モルにPOを8.7モル付加したもの。水酸基価=490。
(7)ポリオール(a3−2):
ソルビトール1モルにEOを2.0モル付加したもの。水酸基価=1247。
(8)ポリオール(a3−3):
エチレングリコール。水酸基価=1810
(9)ポリオール(a3−4):
グリセリン。水酸基価=1830、
(10)ポリオール(a3−5):
トリエタノールアミン、水酸基価=1130
【0065】
(11)ポリオール(a4−1):
グリセリンに水酸化カリウムを触媒として用いて、PO・EOランダム付加(POが32.2モルとEOが114.5モル)させて得られたポリエーテルポリオール。水酸基価=24、EO単位の含有量72質量%
【0066】
(12)ポリオール(a5−1):
グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを72.6モル付加し、次いでEOを15.9モル付加させて得られた、平均官能基数3.0、水酸基価34、EO単位の含有量14.0質量%、x=5.3モル、y=75%のポリエーテルポリオール(a1−3)〔式(4)の右辺=80.1〕とペンタエリスリトール1モルに水酸化カリウムを触媒として用いてPOを104.1モル付加し、次いでEOを19.1モル付加させて得られた、平均官能基数4.0、水酸基価32、EO単位の含有量12.0質量%、x=4.8モル、y=75%のポリエーテルポリオール(a1−4)の混合物(質量比:8/2)中でアクリロニトリルを重合させた重合体ポリオール(重合体含有量33.5質量%)。
【0067】
(14)ウレタン化触媒(D−1):
トリエチレンジアミンの33%エチレングリコール溶液〔エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO−33LV」〕
【0068】
(15)ウレタン化触媒(D−2):
ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液〔東ソー(株)製「TOYOCAT ET」〕
【0069】
(16)整泡剤(E−1):
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「L−3640」
(17)発泡剤(C):

【0070】
(17)有機ポリイソシアネート(B−1):
日本ポリウレタン工業(株)製のTDI−80(2,4−および2,6−TDI、2,4−体の比率が80質量%)/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(質量比)(NCO%:44.6%)
(18)有機ポリイソシアネート(B−2):
日本ポリウレタン工業(株)製のTMDI系ポリイソシアネート。MDI/TDI=70/30(質量比)(NCO%:34.3%)
【0071】
実施例1〜5および比較例1〜4
表1または表2に示す種類と質量部のポリオール、触媒、発泡剤および整泡剤を混合してポリオールプレミックスとし、高圧ウレタン発泡機(ポリウレタンエンジニアリング社製)の原料タンクに仕込んだ。一方、表1または表2に示す種類の有機イソシアネート(B)を高圧ウレタン発泡機の別の原料タンクに仕込んだ。それぞれの液温を25℃に調節した後、ポリオールプレミックスおよび表1に記載のイソシアネート指数となる量質量部の有機ポリイソシアネート(B)を高圧ウレタン発泡機で15MPaで高圧吐出混合し、65℃に温度調節した400mm(長さ)×400mm(幅)×100mm(高さ)のアルミ製モールド、または自動車のシートクッションパッド成型用アルミ製モールド(実型)に注入し、キュアー時間6分にて成形した。各フォームの物性値の測定試験方法および振動特性試験方法は下記の通りであり、それらの結果を表1および表2に示す。なお、コア密度はフォームの中心部から、100mm×100mm×50mmの大きさに切り出して測定した密度である。
【0072】
<物性試験>
<1>:コア密度(kg/m3
<2>:硬さ(25%ILD)(kgf/314cm2
<3>:反発弾性(%)
<4>:通気性(ft3/min)
<1>〜<3>はJIS K6400(1997年版)に準拠した。<4>はダウ式フローメーターにて測定した。
【0073】
<振動特性試験>
JASO B407(1987年版)の試験方法に準拠し、このときの共振周波数(Hz)と共振倍率(倍)について評価を実施した。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
表1および表2の結果より、本発明の軟質ポリウレタンフォームは、共振周波数と共振倍率が比較例のフォームよりも低いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、従来のものに比べて、乗り心地が良好で耐久性が良好な車両座席用高振動吸収クッション材として有用である。また、本発明の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームは、これ以外にも通常軟質ポリウレタンフォームが用いられる用途に、広く用いることができるが、用途の詳細は、例えば、日刊工業新聞社刊「ポリウレタン樹脂ハンドブック」191〜195頁(1987年)に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)としての水、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、前記ポリオール成分(A)が下記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)および(a5)を含有し、前記有機ポリイソシアネート成分(B)が、(B)の質量に基づいて、15〜80質量%の、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、その粗製物並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上のポリイソシアネートと、20〜80質量%の2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネートを含有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
ポリオール(a1):2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、10〜70mgKOH/gの水酸基価を有し、30質量%以下のオキシエチレン単位を有し、活性水素原子1個あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数xが20以下で、末端水酸基の1級OH化率yが40%以上で、かつxとyはxが10〜20のとき式(1)、xが10未満のとき式(2)の関係を満たすポリエーテルポリオール。
y>0.328x+90.44 (1)
y>42x0.47(1−x/41) (2)
ポリオール(a2):2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、10〜70mgKOH/gの水酸基価を有し、30質量%以下のオキシエチレン単位を有し、活性水素原子1個あたりのエチレンオキサイドの平均付加モル数xが20以下で、末端水酸基の1級OH化率yが40%以上で、かつxとyはxが10〜20のとき式(3)、xが10未満のとき式(4)の関係を満たすポリエーテルポリオール。
y≦0.328x+90.44 (3)
y≦42x0.47(1−x/41) (4)
ポリオール(a3):2〜8価の多価アルコール、並びに前記多価アルコールに炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、200〜1,850mgKOH/gの水酸基価を有するポリエーテルポリオール。
ポリオール(a4):2〜8価の活性水素原子含有化合物(h)に炭素数2〜6のアルキレンオキサイドがランダムおよび/またはブロック付加され、20〜130mgKOH/gの水酸基価を有し、50〜90質量%のオキシエチレン単位を有し、平均分子量6,000〜8,000のポリエーテルポリオール。
ポリオール(a5):ポリオール(a1)、(a2)および(a3)から選ばれる少なくとも1種のポリオール中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニル系モノマー(b)を重合させて得られた重合体ポリオール。
【請求項2】
ポリオール成分(A)が前記(a1)〜(a5)からなり、(A)の合計質量に基づいて、(a1)が5〜93質量%、(a2)が5〜85質量%、(a3)が0.1〜15質量%、(a4)が0.1〜10質量%、および(a5)が1〜80質量%である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記炭素数2〜6のアルキレンオキサイドが、エチレンオキサイドおよび/または1,2−プロピレンオキサイドである請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の製造方法で得られた軟質ポリウレタンフォームからなる、車両座席用高振動吸収クッション材。

【公開番号】特開2010−270195(P2010−270195A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121884(P2009−121884)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】