説明

転写印刷機及び転写印刷方法

【課題】 シンプルで気泡の巻き込みの無い転写印刷機および転写印刷方法を提供する。
【解決手段】 表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷機において、着版時に転写印刷版21をその中央から下向き湾曲にした状態で着版すると共に離版時に転写印刷部材21の周囲より被印刷部材22から離版するように転写印刷版形状を変化させて転写するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に微細な凹凸を有する転写印刷板によって、被印刷部材に熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化樹脂などを用いて印刷するインプリント印刷方式において、これに用いる転写版を実装する転写印刷機及び転写印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CD−ROM、DVD−ROMなどの光ディスクは、現在フォトリソグラフィー法で作成した金属製の樹脂成型用金型を用いた、ドットパターンの樹脂成型法によって作られている。この光ディスクには映像、音楽などのデータがドットパターンとして記録されており、これをレーザー光で読み取り再生される。
【0003】
またMOなどの光磁気ディスクでは、同じく金属金型によるドットパターンの形成後に、磁性体薄膜が記録薄膜として形成されている。MOではこの記録薄膜データをレーザー光で読み出したりできるほか、消去、書き込みなども可能で、繰り返し記録(消去、書き込み)が可能な記録媒体として市販されている。
【0004】
最近、これらの記録媒体は小型軽量化、携帯性、保管性、管理性、大容量化などの高い市場要求から、年々記録密度の向上が求められている。このため、高密度ドットパターン形成法の技術開発競争が盛んに行われている。このなかで、インプリント法と呼ばれる方法では、パターン形成用樹脂に熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または光硬化型の感光性の樹脂などを用いて、凹凸を有する金型と称する印刷板による転写印刷方式でドットパターンなどを印刷する方法である。またパターン形成用の転写印刷用金型には主にシリコン、石英などの基板を用い、この基板にEB法(電子ビーム法)で微細なパターンを形成する。インプリントでは金型の材質は金属でない場合でも、慣例的に金型と呼んでいる。EB法では100ナノメーター以下のドットパターンの形成が容易であり、これを金型として用いることにより、高密度記録媒体の形成が可能になる。また記録媒体用樹脂に光硬化型を用いる場合は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いる場合と比較して低温でのドットパターンの形成が可能になり、熱によるパターンの歪みなどを考慮することなく、高密度な記録が可能となる特徴がある。
【0005】
従来のCD−ROM、MOなどの場合、通常のドットパターンである形状は、幅0.4μm、深さ0.9〜3.3μmである。これに対して、インプリント法では、この1/10サイズのドットパターンの形成が可能であり、10倍の記録密度が達成できる。この光ナノプリント技術の開発によって将来の100GBの記録媒体が可能となると期待されている。
【0006】
このインプリント技術は、1995年Chouによって初めて紹介され日が浅いため、学会論文はまだ少ないが、例えば、非特許文献1にナノプリントの技術の現状として紹介されている。この中では金型にはEBでパターン形成したサファイアを用いている。
【0007】
この装置では熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いて、熱転写印刷することができるが、光転写方式の感光性樹脂を用いることもできる。感光性樹脂を用いる場合には、上部から紫外線を照射して樹脂を硬化させる。また熱転写方式では、被印刷部材(非特許文献1では基板ホルダー)の下に設けられたヒータで被印刷部材を加熱することにより行える。
【0008】
この非特許文献1における転写印刷版となるサファイア製の紫外線照射レンズが配置されている。この紫外線照射レンズは上下移動可能なベローズを持った台座に取り付けられている。さらに照射レンズとモールド間、およびその周囲を真空状態あるいは減圧状態にするために、全体を密閉構造とし、その一部がロータリーポンプに繋がっている。非特許文献1では光ナノプリントリソグラフィ装置として、印刷装置の図面が記載されている。
【0009】
この非特許文献1に掲載されている装置を図8を用いて、従来技術をさらに詳細に説明する。
【0010】
サファイア製のモールド1の下には基板(被印刷部材)2が配置されている。光ナノインプリントでは、上部から紫外線を照射するために、モールド1の上部を光を通さない材料で保持すると、紫外線などの光を遮断することになり、このためにモールド(転写印刷版)1の端部のみを保持して、モールド1の面は広い面積で紫外線が照射できるよう、できる限り広く開放することが重要である。下にはステージ12が配置されていて、ステージ12はステージ上昇矢印13の方向に上昇して、サファイア製のモールド1に押圧される。このときステージ12の上に配置された基板(被印刷部材)2も上昇し、ステージ12に設けた隔壁部12aが台座6aに取り付けられたベローズ6に接触して加圧されても、ベローズ6が縮むことによって、室Rの真空減圧状態の構成が可能である。また同時に基板(被印刷部材)2もモールド1に押圧されるので、転写印刷が可能になる。真空減圧状態が構成されたら、その後ロータリーポンプ接続口8から、減圧が開始され、室Rには、真空または減圧状態が形成される。サファイア(紫外線照射板)3の上部には照射レンズ4が取り付けられており、照射レンズ4には光ファイバー5から紫外線が導光される。ステージ12の下には、ロードセル10があり、印刷圧力を記録したり調節することができる。ロードセルの下にはボールネジがあり、ボールネジを介してステージ12がステッピングモータ7が逆回転して、ステージ12は下がる。
【0011】
以上が従来方式の転写印刷機であるが、光硬化型に限らず、熱転写方式も含めたインプリントにおける転写印刷用実装金型の要求特性としては、その機能から、1)装置がシンプルであること、2)転写印刷版の被印刷部材への着版において、被印刷部材と転写印刷版の間に気泡が入らないこと、3)転写印刷版の被印刷部材からの離版において、できるだけ小さな応力で離版できること、4)着版及び離版の速度が自動制御できること、5)転写印刷版の寿命が永いこと、6)装置が安価であること、などが挙げられる。
【0012】
転写印刷機はこれらの課題を解決し、印刷の生産性に優れていることが重要であるが、従来技術では、その工夫がまだ見出されていない。特に、2)の着版においては、転写印刷版の面積が大きいほど、被印刷部材の間(実施には転写印刷版に塗布された熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性樹脂との間)に気泡の巻き込みが多くなる。この気泡が介在されたままで印刷が開始されると、気泡介在部は転写されずに、印刷不能となる。この気泡の巻き込みを無くすために、通常減圧真空などの余分な装置と操作が必要になっている。この真空又は減圧に要する時間は通常転写印刷に要する時間(通常数秒から数10秒)より数倍〜数10倍と長く、これが転写印刷のタクトタイムを長くしている原因となっている。一台の印刷機当たりの生産性を著しく低下させている。また、3)の転写印刷版の被印刷版からの離版においては、被印刷部材が転写印刷から制御されない形で離れた場合、非常に大きな動的応力が瞬間的に転写印刷版と被印刷部材の界面に負荷される。この応力は、被印刷部材の上に塗布された熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂と接着引き剥がし応力であって実際は非常に大きな力である。特に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂はすでに硬化反応が終了しているので、転写印刷版に対して接着剤として働いている。通常これを解決する手段としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂にシリコーンやフッ素樹脂系の離型性の樹脂をブレンドしたりすることが行われている。また転写印刷版に対してこれら樹脂を薄く処理することなども行われている。これらの処理は非常に有用であるが、それでも転写印刷版の離版においては0.01〜0.1MPa程度の大きな引き剥がし力が必要となっている。このように大きな引き剥がし力では、印刷機自体の駆動部全体を大きくすることが必要で、全体の装置が大型になる。また離版における応力の集中は、高価な転写印刷版を破壊してしまうおそれがある。通常転写印刷版の価格は印刷機の1/5程度なので、版の長寿命化は大きな課題となっている。
【0013】
図6,図7は、転写印刷版1を支持枠15で保持し、被印刷部材2を搭載台16に保持し、搭載台16を上昇あるいは支持枠15を降下させて転写印刷版1を被印刷部材2に着版させて転写する例を示している。
【0014】
【非特許文献1】谷口淳、他3名、「ナノインプリント技術の現状」、砥粒加工学会誌、砥粒加工学会、2002年6月、46巻6号、p.282
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この場合、転写印刷版1と被印刷部材2が平行に接近して平行に着版し、平行に離版する。このため前述のように気泡の巻き込みを防ぐことができないため、真空減圧機能が必要になる。また離版時には支持枠15に応力が集中し、転写印刷版1が破壊される場合があり、版の寿命が短くなる問題がある。
【0016】
このように転写印刷機においては、従来技術の中で記述したように、1)装置がシンプルであること、2)転写印刷版の被印刷部材への着版において、被印刷部材と転写印刷版との間に気泡が入らないこと、3)転写印刷版の被印刷部材からの離版において、できるだけ小さな応力で離反できること、4)着版および離版速度が自動制御されること、5)転写印刷版の寿命が長いこと、6)装置が安価であること、が重要な点である。
【0017】
本発明の目的は、上記課題を解決し、シンプルで気泡の巻き込みの無い転写印刷機および転写印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷機において、着版時に転写印刷版をその中央から下向き湾曲にした状態で着版すると共に離版時に転写印刷部材の周囲より被印刷部材から離版するように転写印刷版形状を変化させる転写印刷版湾曲付与手段を備えた転写印刷機である。
【0019】
請求項2の発明は、湾曲付与手段は、着版時に転写印刷版の裏面に空気圧を付与して湾曲させ、離版時にその空気圧を徐々に減圧する加減空気圧手段からなる請求項1記載の転写印刷機である。
【0020】
請求項3の発明は、表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷機において、転写印刷版を、予めその中央から下向き湾曲にした形状に形成した転写印刷機である。
【0021】
請求項4の発明は、表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷方法において、着版時に転写印刷版をその中央から下向き湾曲にした状態で着版させ、離版時に転写印刷部材の周囲より被印刷部材から離版するようにした転写印刷方法である。
【0022】
請求項5の発明は、表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷方法において、転写印刷版を、予めその中央から下向き湾曲にした形状に形成し、その転写印刷版の中央から印刷部材に着版させ、離版時に転写印刷版の周囲から離版させるようにした転写印刷方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は以下のような効果を奏する。
(1)装置がシンプルである。
(2)転写印刷版の被印刷部材への着版において、被印刷部材と転写印刷版との間に気泡が入らないので、印刷の歩留まりがあがり生産性が向上する。
(3)転写印刷版の被印刷部材からの離版において、できるだけ小さな応力で離版できるので、ステッピングモーターなどを小型化でき、装置全体の小型化が可能になる。
(4)着版および離版の速度がプログラム制御できるので、最適な印刷条件を常に選定できる。
(5)転写印刷版の寿命が長くできる。すなわち転写印刷版に離版時に急激な応力がかからないので、版の寿命が長くなり、その結果印刷を低コストで行うことができる。
(6)装置が安価になる。装置全体が小型化でき、また付帯設備が不要になるなど、装置が安価になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明の実施形態を添付図面により説明する。
【0025】
図1〜図3は、本発明の転写印刷機の要部である転写印刷版21と被印刷部材22を示し、図1は、転写印刷版21が被印刷部材22に接触する直前の状態を、図2は転写印刷版21が被印刷部材22から十分に離れた状態を、図3は、転写印刷版21が被印刷部材22が着版した状態を示している。
【0026】
転写印刷版21は、人工石英、シリコン、合成樹脂、無機或いは有機材料からなり、その厚さは従来1.0mm程度であるが、本発明においては、0.3〜0.5mm程度の薄型に形成される。転写印刷版21は、転写するための微細な凹凸が形成され、その外周が、支持枠23により保持される。
【0027】
支持枠23は、金属製であっても問題はないが、転写印刷版21の支持枠23との境目に加わる応力を小さくするために、支持枠23をシリコーンゴム(例えばショア硬度70程度)などの変形できる材料とするのが好ましい。
【0028】
支持枠23への転写印刷版21の保持は、支持枠23の内周側に溝24を形成し、その溝24に転写印刷版21の外周端を挿入するようにする。この際、支持枠23は、転写印刷版21が溝24に挿入できるよう厚さ方向或いは周方向に二分割し、さらに転写印刷版21が下方に湾曲できるように、転写印刷版21の外周端が、溝24で若干移動できるように保持されている。
【0029】
このように、転写印刷版21を薄くし、かつ変形しやすいように支持枠23で保持することにより、湾曲付与手段にて、転写印刷版21の中央部が沈み込み、いわゆる湾曲が可能になり、被印刷部材22に着版させることが可能になる。
【0030】
湾曲付与手段にて、中央に沈み込ませる方法としては、空気圧を図1に矢印25に示したように作用させて沈み込ませるほかに、中央を治具などを用いて機械的に押し込むことも可能である。
【0031】
転写印刷版21は、離版時には、例えば空気圧方式では、減圧を徐々に解除すると、転写印刷版21は被印刷部材22の周囲から剥がれる。この離版はまた、転写印刷版21を確認しながら、ゆっくりと下に下げることによっても可能である。離版の条件は一度実行すると、その条件のシーケンス制御への入力によって自動離叛することが可能である。
【0032】
被印刷部材22は、搭載台26に、例えば真空吸着方式で吸着固定されているので、被印刷部材22は搭載台26から離れることはない。
【0033】
以上のように本発明においては、転写印刷版の中央からの着版と周囲からの離版を行うことが可能である。従って、着版においては、転写印刷版21と被印刷版の樹脂との間に気泡を包含することなく、印刷が可能である。また離版時には、被印刷部材に対して版の周囲からゆっくり離れるので、印刷版の周囲への急激な版離れ応力の集中を回避できる。
【0034】
このような制御は、例えば空気圧方式にあっては、圧力センサを持った電磁弁を用いて、ゆっくりと空気圧を上げることによって行うことができる。転写印刷版21の被印刷部材22への接近、空気加圧、離版の一連の制御は、ステッピングモーターと圧力センサーからの信号を受けた電磁弁開閉のシーケンス制御によって可能である。転写印刷版21が被印刷部材22から離れた時点では、急激に転写印刷版22を離したり、また急激に減圧を解除しても構わない。これらの動作は、例えばロードセルからの離版応力のゼロ信号の入力によっても可能である。
【0035】
図4は、図1〜3に示した転写印刷版21と被印刷部材22とを着版・離版させる転写印刷機の全体構成の一例を示す図である。
【0036】
図において、基台14上に支柱15が立設され、その支柱15に上下移動自在にステージ12が設けられ、詳細は省略するが、ステージ12がボールネジ11の回転で図示の矢印13のように上昇したり、或いは降下するようになっており、そのボールネジ11の回転をステッピングモータ7で制御して、ステージ12の上昇速度と降下速度を自在に制御できるようになっていると共にボールネジ11とステージ12間にロードセル10が設けられ、後述するが転写印刷版21と被印刷部材22との接触圧が検出できるようになっている。
【0037】
このステージ12上には、図1〜図3で説明した載置台26が取り付けられ、その載置台26上に被印刷部材22が、真空吸着にて保持されるようになっている。
【0038】
支柱15の上部には、アーム16を介して支持枠23が取り付けられ、その支持枠23の内周に形成した溝24に転写印刷版21が取り付けられる。支持枠23の上部にはサファイア(紫外線照射板)3を保持する隔壁27が設けられ、転写印刷版21と隔壁27間に加圧室28が形成される。
【0039】
支持枠23には、加圧室28に空気等を供給して、着版時に転写印刷版21を下向きに湾曲するよう、また離版時に加圧室28を徐々に減圧する給排気ライン30が接続され、その給排気ライン30に圧力センサを持った電磁弁31が接続される。
【0040】
また、サファイア3上には照射レンズ4、光ファイバ5が配置され、光ファイバ5からの紫外線が、これらを通し、転写印刷版21を通して、被印刷部材22上に塗布された紫外線硬化樹脂等に照射できるようになっている。
【0041】
この転写印刷機において、着版時には、給排気ライン30から加圧室28に空気等が供給されて、図示のように転写印刷版21が下方に湾曲するようにされ、その状態で、載置台26上の被印刷部材22の中央が転写印刷版21と接触し、その後、徐々に外周側が接触する。これにより気泡の巻き込みを無くすことが可能となる。
【0042】
着版後は、光ファイバ4からの紫外線を被印刷部材21上の紫外線硬化樹脂に照射して硬化させる。
【0043】
離版時には、圧力センサー付き電磁弁30が加圧室28内の圧力を検知しながら徐々に減圧して排気すると共に、ステッピングモーター7がステージ12の降下速度を制御することで、転写印刷版21は、その周囲から被印刷部材22から剥がれていき、最終的には加圧室28が大気圧まで開放されて、転写印刷版21がフラットな状態に戻る。
【0044】
このステージ12の上昇時と降下時の速度は、ロードセル10で検出した荷重を基に制御を行い、最適な速度とした後はステッピングモーター7を駆動制御する制御装置(図示せず)が、この速度履歴を記憶し、次の被印刷部材22への転写の際に、記憶した速度に基づいてステッピングモーター7を速度制御する。この場合、ロードセル10はその荷重を常時検出しているため、その荷重を基に、転写が適正に行えたかどうかがチェックできる。
【0045】
図5は、本発明の他の実施の形態を示したもので、転写印刷版21aをあらかじめ湾曲加工して形成したものである。この湾曲形状は、人工石英の研磨加工によって行える。
【0046】
このようにあらかじめ湾曲加工を施すことで、図4に示した加圧室28が不要となり、空気圧を用いることなく、被印刷部材22を転写印刷版21aに静かに押圧することにより可能になる。この例においては、空気圧を用いないので装置をより簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、転写印刷版が被印刷部材に着版する直前の状態を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示し、転写印刷版が被印刷部材から充分離れた状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示し、転写印刷版が被印刷部材に着版した状態を示す図である。
【図4】図1〜図3の全体構成を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明の前提技術を示し、転写印刷版が被印刷部材に着版する直前の状態を示す図である。
【図7】本発明の前提技術を示し、転写印刷版が被印刷部材に着版した状態を示す図である。
【図8】従来の転写印刷機を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
21 転写印刷版
22 被印刷部材
23 支持枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷機において、着版時に転写印刷版をその中央から下向き湾曲にした状態で着版すると共に離版時に転写印刷部材の周囲より被印刷部材から離版するように転写印刷版形状を変化させる転写印刷版湾曲付与手段を備えたことを特徴とする転写印刷機。
【請求項2】
湾曲付与手段は、着版時に転写印刷版の裏面に空気圧を付与して湾曲させ、離版時にその空気圧を徐々に減圧する加減空気圧手段からなる請求項1記載の転写印刷機。
【請求項3】
表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷機において、転写印刷版を、予めその中央から下向き湾曲にした形状に形成したことを特徴とする転写印刷機。
【請求項4】
表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷方法において、着版時に転写印刷版をその中央から下向き湾曲にした状態で着版させ、離版時に転写印刷部材の周囲より被印刷部材から離版するようにしたことを特徴とする転写印刷方法。
【請求項5】
表面に微細な凹凸の溝が形成された転写印刷版を被印刷部材に着版・離版させて凹凸の溝を被印刷部材に転写する転写印刷方法において、転写印刷版を、予めその中央から下向き湾曲にした形状に形成し、その転写印刷版の中央から印刷部材に着版させ、離版時に転写印刷版の周囲から離版させるようにしたことを特徴とする転写印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−18975(P2006−18975A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198414(P2004−198414)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度、中小企業総合事業団、戦略的基盤技術力強化事業「光硬化型ナノ金型に関する研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(592130633)株式会社河村製作所 (4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】