転写装置、感光体カートリッジおよび画像形成装置
【課題】イオン導電性の弾性層を備える転写ローラにおいて、回転軸の軸方向に沿う抵抗値の差異に起因する転写不良を、簡易な構成により、改善することのできる、転写装置、および、その転写装置を備える感光体カートリッジおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】ローラ軸57の軸方向両端部において、軸方向の中央側から軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように、ローラ軸57とゴムローラ58との間に、半導電性の被覆層59を設けて、軸方向両端部における転写ローラ23の抵抗値を高める。それによって、転写ローラ23の軸方向に沿う抵抗値の差異を低減することができ、その差異に起因する転写不良を防止することができる。
【解決手段】ローラ軸57の軸方向両端部において、軸方向の中央側から軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように、ローラ軸57とゴムローラ58との間に、半導電性の被覆層59を設けて、軸方向両端部における転写ローラ23の抵抗値を高める。それによって、転写ローラ23の軸方向に沿う抵抗値の差異を低減することができ、その差異に起因する転写不良を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置、および、その画像形成装置に装備される感光体カートリッジおよび転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、通常、トナー像を担持する感光ドラムと、感光ドラムと対向配置され、用紙にトナー像を転写するための転写ローラとを備えている。転写ローラは、感光ドラムに向けて押圧されており、トナー像を用紙に転写するための転写バイアスが印加されている。感光ドラムに担持されたトナー像は、用紙が感光ドラムと転写ローラとの間を通過するときに、用紙に転写される。
【0003】
転写ローラは、金属製の回転軸と、その回転軸の周りを被覆する弾性層とを備えており、弾性層は、導電性の発泡材料から形成されている。
また、回転軸の軸方向両端部は、押圧部材によって、感光ドラムに向けて押圧されており、これによって、転写ローラが感光ドラムに圧接されている。そのため、転写ローラの感光ドラムに対する圧接力は、回転軸の軸方向中央では低く、回転軸の軸方向両端部では高くなる。
【0004】
そして、弾性層では、圧力をより受けた部分の抵抗値がより増加することから、転写ローラが感光ドラムに圧接されているときには、転写ローラの両端部の抵抗値が、転写ローラの中央部の抵抗値よりも高くなる。すると、転写バイアスが、回転軸の軸方向において均一に印加されず、転写不良を生じる。
そのため、芯金の中央部に導電性の低い(抵抗値が高い)ゴムを圧入し、その左右両側に導電性の高い(抵抗値の低い)ゴムを圧入して転写ローラを構成し、芯金の左右両端を付勢して帯電ローラを感光ドラムに圧接させたときの、軸方向の抵抗分布を均一にすることが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−199689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、イオン導電性の弾性層を備える転写ローラでは、上記のように、回転軸の軸方向中央に抵抗値の高い弾性層を設け、回転軸の軸方向端部に抵抗値の低い弾性層を設けても、転写不良を改善できないという不具合がある。
本発明の目的は、イオン導電性の弾性層を備える転写ローラにおいて、回転軸の軸方向に沿う抵抗値の差異に起因する転写不良を、簡易な構成により、改善することのできる、転写装置、および、その転写装置を備える感光体カートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、転写装置であり、導電性の回転軸と、前記回転軸の周りを被覆するイオン導電性の弾性層と、少なくとも前記回転軸の軸方向の両端部において、前記回転軸と前記弾性層との間に設けられる半導電性の被覆層とを有する転写ローラを備え、前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、前記軸方向の中央側から前記軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、複数設けられており、互いに隣接する各前記被覆層において、前記軸方向の中央側に配置される被覆層の抵抗値に対して、前記軸方向の端部側に配置される被覆層の抵抗値が高いことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記転写ローラの前記軸方向の中央の抵抗値と、前記転写ローラの前記軸方向の端部の抵抗値とが、近接するまたは実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記弾性層の前記軸方向の中央の抵抗値と、前記弾性層の前記軸方向の端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で設けられていることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記軸方向の内側端部における前記被覆層が設けられる前の前記転写ローラの抵抗値と、前記軸方向の外側端部における前記被覆層が設けられる後の前記転写ローラの抵抗値とが実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、感光体カートリッジであり、請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体とを備えていることを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、画像形成装置であり、請求項6に記載の感光体カートリッジと、前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材とを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項8に記載の発明は、画像形成装置であり、請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体と、前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、少なくとも回転軸の軸方向の両端部には、回転軸と弾性層との間に半導電性の被覆層が設けられている。そのため、少なくとも回転軸の軸方向の両端部における転写ローラの抵抗値を高めることができる。その結果、回転軸の軸方向に沿う、転写ローラの抵抗値の差異を低減することができ、その差異に起因する転写不良を防止することができる。
【0013】
また、イオン導電性の弾性層は、導電性粒子が分散する弾性層と比較して高価であり、抵抗値の異なる複数の弾性層を設けるとコストの上昇が不可避となる。しかし、請求項1に記載の発明では、回転軸と弾性層との間に半導電性の被覆層を介在させることにより、抵抗値の異なる複数の弾性層を設けずとも、同一の抵抗値の弾性層を設けながら、回転軸の軸方向における転写ローラの抵抗値を調整することができる。そのため、構成の簡略化およびコストの低減化を図ることができる。
【0014】
また、被覆層が、軸方向の中央側から軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように設けられている。そのため、回転軸の軸方向に沿う、転写ローラの抵抗値の差異を低減することができる。その結果、転写不良を防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、被覆層が回転軸の軸方向において複数設けられており、互いに隣接する各被覆層において、軸方向の中央側に配置される被覆層の抵抗値よりも、軸方向の端部側に配置される被覆層の抵抗値が高く設定されている。そのため、軸方向の中央から軸方向の両端部まで、抵抗値を段階的に高くすることができる。その結果、簡易な構成により、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値を均一に近づけることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、転写ローラが感光体に圧接されているときの、転写ローラの軸方向の中央の抵抗値と、転写ローラの軸方向の端部の抵抗値とが、近接または実質的に等しくなるように、被覆層が設けられている。そのため、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値の差異を小さくまたは実質的になくすことができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、転写ローラが感光体に圧接されているときの、弾性層の軸方向の中央の抵抗値と、弾性層の軸方向の端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で、被覆層が設けられている。そのため、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値を実質的に均一にすることができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、各被覆層は、転写ローラが感光体に圧接されているときの、軸方向の内側端部における被覆層が設けられる前の転写ローラの抵抗値と、軸方向の外側端部における被覆層が設けられた後の転写ローラの抵抗値とが実質的に等しくなるように、設けられている。そのため、簡易な構成により、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値の差異を、確実に低減することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、感光体カートリッジは、抵抗値の差異に起因する転写不良を防止できる転写ローラを備えている。そのため、感光体からの現像剤像を転写媒体に確実に転写することができる。
請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置は、請求項6の感光体カートリッジを備えているので、転写媒体に確実に画像を形成することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、画像形成装置は、抵抗値の差異に起因する転写不良を防止できる転写ローラを備えている。そのため、感光体からの現像剤像を転写媒体に確実に転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像形成装置を説明するための第1参考例としてのレーザプリンタを示す要部側断面図である。
【図2】ドラムフレームを上から見た斜視図である。
【図3】図1に示す転写ローラの支持を示す要部側断面図であり、(a)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングからの離脱状態を示し、(b)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着状態を示す。
【図4】図1に示す転写ローラの軸方向断面図である。
【図5】転写ローラの軸方向の抵抗値の測定方法を説明するための説明図である。
【図6】軸方向位置割合に対して転写ローラの抵抗値がプロットされた相関図であり、(a)は、相関図、(b)は、相関図から被覆層の形成領域を求めるための説明図である。
【図7】第2参考例の転写ローラの幅方向断面図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタにおける転写ローラの幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.レーザプリンタの全体構成
図1は、画像形成装置を説明するための第1参考例としてのレーザプリンタを示す要部側断面図である。図1において、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2と、その本体ケーシング2内に設けられるフィーダ部3および画像形成部4とを備えている。
本体ケーシング2の一方側の側壁には、フロントカバー5が設けられている。フロントカバー5の下端部は、ヒンジを介して側壁に回動自在に支持されている。フロントカバー5の下端部を支点としてフロントカバー5を開くと、本体ケーシング2の内部空間が開放される。これによって、プロセスカートリッジ14(後述)を、本体ケーシング2の内部空間に着脱させることができる。フロントカバー5の下端部を支点としてフロントカバー5を閉じると、本体ケーシング2の内部空間が閉鎖される。フロントカバー5には、操作キーやLED表示部を備える操作パネル(図示せず。)が設けられている。
【0022】
なお、以下の説明では、レーザプリンタ1およびプロセスカートリッジ14に関し、フロントカバー5が設けられる側を「前側」とし、その反対側を「後側」とする。
1)フィーダ部
フィーダ部3は、転写媒体としての用紙6を画像形成部4へ給紙するために設けられている。フィーダ部3は、本体ケーシング2内の底部に配置されている。フィーダ部3は、給紙トレイ7、給紙ローラ8、給紙パッド9、ピックアップローラ10、ピンチローラ11およびレジストローラ12を備えている。
【0023】
給紙トレイ7は、本体ケーシング2の底部に着脱自在に装着される。給紙トレイ7内には、用紙6がスタックされている。
給紙ローラ8および給紙パッド9は、互いに対向配置されており、それらは、給紙トレイ6の前端部上方に設けられている。ピックアップローラ10は、給紙トレイ6の前端部上方であって、給紙ローラ8の後側に設けられている。ピンチローラ11は、給紙ローラ8の前側下方に設けられている。レジストローラ12は、給紙ローラ8の後側上方に設けられている。
【0024】
給紙トレイ7内の最上位にある用紙6は、ピックアップローラ10に押圧され、そのピックアップローラ10の回転によって、給紙ローラ8と給紙パッド9との間に向けて搬送される。その後、用紙6は、給紙ローラ8と給紙パッド9との間に挟まれたときに、給紙ローラ8の回転によって1枚ごとに捌かれて給紙される。その後、用紙6は、給紙ローラ8とピンチローラ11との間を通過し、レジストローラ12に搬送される。
【0025】
レジストローラ12は、互いに対向する1対のローラを備え、レジスト後に、用紙6を転写位置に搬送する。なお、転写位置は、感光ドラム21(後述)と転写ローラ23(後述)とのニップ位置である。
2)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット13、プロセスカートリッジ14および定着ユニット36を備えている。
2−1)スキャナユニット
スキャナユニット13は、本体ケーシング2内の上部に設けられている。スキャナユニット13は、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー15、fθレンズ16、2つの反射鏡17およびレンズ18を備えている。
【0026】
画像データに基づくレーザビームは、レーザ光源から発光され、鎖線で示すように、ポリゴンミラー15で偏向されて、fθレンズ16を通過した後、一方の反射鏡17によって屈曲され、レンズ18を通過した後、他方の反射鏡19によって再び屈曲され、感光ドラム21(後述)の表面へ照射される。
2−2)プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ14は、スキャナユニット13の下方に設けられ、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。
【0027】
プロセスカートリッジ14は、感光体カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ19と、そのドラムカートリッジ19に着脱自在に装着される現像カートリッジ20と、ドラムカートリッジ19に設けられる、感光体の一例としての感光ドラム21、スコロトロン型帯電器22、転写ローラ23および導電性ブラシ24とを備えている。
a)現像カートリッジ
現像カートリッジ20は、トナー収容室25、供給ローラ26、現像ローラ27および層厚規制ブレード28を備えている。
【0028】
トナー収容室25は、仕切板29によって仕切られる現像カートリッジ20の前側の内部空間として形成されている。トナー収容室25内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分トナーが収容されている。また、トナー収容室25内には、アジテータ30が設けられており、トナー収容室25内のトナーは、アジテータ30により攪拌されて、仕切板29の下方の開口部31から放出される。
【0029】
供給ローラ26は、開口部31の後側において、現像カートリッジ28に回転可能に支持されている。供給ローラ33は、金属製のローラ軸と、そのローラ軸の周りを被覆する導電性のスポンジローラとを備えている。
現像ローラ27は、供給ローラ26の後側において、現像カートリッジ20に回転可能に支持されている。現像ローラ27は、金属製のローラ軸と、そのローラ軸の周りを被覆する導電性のゴムローラとを備えている。現像ローラ27は、供給ローラ26と互いに圧縮されるように、接触されている。現像ローラ27には、現像時に、現像バイアスが印加される。
【0030】
層厚規制ブレード28は、板ばね材からなるブレードと、絶縁性のシリコーンゴムからなる押圧部32とを備えている。ブレードの一端部は、現像ローラ27の上方において、現像カートリッジ20に支持されている。ブレードの他端部には、押圧部32が設けられている。押圧部32は、ブレードの弾性力によって現像ローラ27の表面に圧接されている。
【0031】
そして、開口部31から放出されるトナーは、供給ローラ26の回転によって、現像ローラ27に供給される。このとき、トナーは、供給ローラ26と現像ローラ27との間で、正に摩擦帯電される。その後、トナーは、現像ローラ27の回転により、層厚規制ブレード28の押圧部32と現像ローラ27との間に進入して、一定厚さの薄層として現像ローラ27の表面に担持される。
b)感光ドラム
感光ドラム21は、円筒形状のドラム素管33と、金属製のドラム軸34とを備えている。ドラム素管33の最表層は、正帯電性の感光層により形成されている。ドラム軸34は、ドラム素管33の軸心に沿って配置されている。ドラム軸34は、ドラムカートリッジ19に回転不能に支持されている。ドラム素管33は、ドラム軸34に対して回転自在に支持されている。これによって、ドラム素管33は、ドラムカートリッジ19において、ドラム軸34を中心として回転可能に支持されている。
c)スコロトロン型帯電器
スコロトロン型帯電器22は、感光ドラム21の斜め後側上方において、ドラムカートリッジ19に支持されている。スコロトロン型帯電器22は、感光ドラム21と接触しないように間隔を隔てて対向配置されている。スコロトロン型帯電器22は、コロナ放電を発生させる正帯電性のスコロトロン型帯電器である。
d)転写ローラ
転写ローラ23は、感光ドラム21の下側において、ドラムカートリッジ19に回転可能に支持されている。転写ローラ23は、回転軸の一例としてのローラ軸57と、弾性層の一例としてのゴムローラ58とを備えている。ゴムローラ58は、ローラ軸57の周りを被覆している。ゴムローラ58は、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されたときに、感光ドラム21に対して下方から圧接される。それによって、感光ドラム21と転写ローラ23との間に、ニップが形成される。転写ローラ23には、転写時に、転写バイアスが印加される。
e)導電性ブラシ
導電性ブラシ24は、感光ドラム21の後側において、感光ドラム21に対向配置されている。導電性ブラシ24は、ブラシの先端が感光ドラム21の表面に接触するように、ドラムカートリッジ19に固定されている。
f)転写動作
感光ドラム21の表面は、スコロトロン型帯電器22によって、一様に正帯電される。その後、感光ドラム21の表面は、スキャナユニット13から走査されるレーザビームによって露光され、それによって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0032】
次いで、現像ローラ27の表面に担持されているトナーが、現像ローラ27の回転により感光ドラム21に対向するときに、感光ドラム21の表面に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム21の表面のうちレーザビームの露光によって電位が下がっている露光部分に供給される。その結果、トナーが、露光部分に選択的に担持されることにより、可視像化され、それによって、感光ドラム21の表面には、現像剤像としてのトナー像が担持される。
【0033】
その後、感光ドラム21と転写ローラ23とが、それらの間で用紙6を挟持して搬送するように回転駆動され、感光ドラム21と転写ローラ23との間を用紙6が通過する間に、感光ドラム21の表面に担持されているトナー像が用紙6の表面に転写される。
転写後に、用紙6との接触によって感光ドラム21の表面に付着した紙粉は、その感光ドラム21の表面が、感光ドラム21の回転に伴って導電性ブラシ24と対向したときに、ブラシによって除去される。
2−3)定着ユニット
定着ユニット36は、プロセスカートリッジ14の後側に設けられている。定着ユニット36は、加熱ローラ37および押圧ローラ38を備えている。加熱ローラ37は、金属素管と、その金属素管の軸心に沿って配置されるハロゲンランプとを備えている。押圧ローラ38は、加熱ローラ37の下方に配置されている。押圧ローラ38は、加熱ローラ41を下側から押圧する。
【0034】
定着ユニット36では、用紙6の表面に転写されたトナーを、用紙6が加熱ローラ37と押圧ローラ38との間を通過する間に熱定着させる。
トナーが定着した用紙6は、本体ケーシング2の上面に向かって上下方向に延びる排紙パス39に搬送される。その後、用紙6は、排紙パス39の上側に設けられる排紙ローラ40によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ41上に排紙される。
2.転写ユニットの構成
図2は、ドラムフレーム51を上から見た斜視図である。図3は、図1に示す転写ローラの支持を示す要部側断面図であり、(a)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングからの離脱状態を示し、(b)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着状態を示す。図4は、図1に示す転写ローラの軸方向断面図である。図5は、転写ローラの軸方向の抵抗値の測定方法を説明するための説明図である。図6は、軸方向位置割合に対して転写ローラの抵抗値がプロットされた相関図であり、(a)は、相関図、(b)は、相関図から被覆層の形成領域を求めるための説明図である。
【0035】
転写装置の一例としての転写ユニット50は、ドラムカートリッジ14に設けられている。転写ユニット50は、ドラムフレーム51と、ドラムフレーム51に支持される転写ローラ23とを備えている。また、本体ケーシング2には、押圧部材の一例としての押圧ユニット62が設けられている。
1)ドラムフレーム
図2に示すように、ドラムフレーム51は、前側において、現像カートリッジ受け部52と、後側において、ローラ支持部53とを備えている。
【0036】
現像カートリッジ受け部52には、現像カートリッジ20が着脱自在に装着される。
ローラ支持部53には、感光ドラム21および転写ローラ23が回転自在に支持される。すなわち、ローラ支持部53の両側壁の上側には、上下方向に延びる支持溝54が形成されている。感光ドラム21のドラム軸34の両端部は、支持溝54に挿入され、最深部において回転不能に固定されている。それによって、感光ドラム21がローラ支持部53で回転可能に支持されている。
【0037】
ローラ支持部53の底壁には、各支持溝54の幅方向内側において、略U字形状に切り欠かれる支持板55が、それぞれ設けられている。ローラ支持部53の底壁には、各支持溝54と各支持板55との間に、挿通孔56が、それぞれ形成されている。
各支持板55は、ゴムローラ58の軸方向両外側端縁の外側に配置されている(図4参照)。各挿通孔56は、ゴムローラ58から露出するローラ軸57の両端部と対向するように、配置されている。
2)転写ローラ
転写ローラ23は、上記したように、ローラ軸57と、ローラ軸57の周りを被覆するゴムローラ58とを備えている。
2−1)ローラ軸
ローラ軸57は、金属などの導電性材料から、丸軸形状に形成されている。
2−2)ゴムローラ
ゴムローラ58は、発泡性のイオン導電性材料から、ローラ軸57を外嵌する円筒形状に形成されている。
【0038】
イオン導電性材料は、ゴムにイオン導電剤が添加されている材料である。ゴムとしては、たとえば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴムまたはそれらのブレンドゴムなどが挙げられる。イオン導電剤としては、たとえば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、へキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどのアンモニウム塩、たとえば、リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられる。塩としては、たとえば、過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,エチル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩などが挙げられる。
【0039】
イオン導電性材料は、イオン導電剤を、ゴムにドーピングすることにより調製されている。
転写ローラ23は、イオン導電性材料に発泡剤を配合して、ローラ軸57とともにインサート形成する、または、イオン導電性材料に発泡剤を配合して円筒形状に成形後、ローラ軸57に圧入することにより、形成されている。
【0040】
これによって、ゴムローラ58は、導電性の発泡材料として形成され、ローラ軸57の両端部が露出するように、ローラ軸57の軸方向に沿ってローラ軸57の表面を被覆している。
2−3)被覆層
転写ローラ23は、図4に示すように、さらに、ローラ軸57とゴムローラ58との間に、被覆層59を備えている。被覆層59は、ローラ軸57の表面に、樹脂(アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂など)に、金属粉やカーボンなどを適量混合した塗料などの半導電性塗料を塗布することにより、半導電性のコーティング層として、形成されている。被覆層59は、たとえば、膜厚1μmに対して50k〜100kΩの抵抗値を得ることができる。
【0041】
被覆層59は、ローラ軸57の軸方向両端部において、それぞれ設けられている。各被覆層59は、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向中央(軸方向中央とは、後述する軸方向位置割合の基準とする場合を除いて、軸方向のほぼ中央を意味する。)の抵抗値R1と、転写ローラ23の軸方向両端部の抵抗値R2とが、近接する(または実質的に等しくなる)ように、設けられている。
【0042】
具体的には、各被覆層59は、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、ゴムローラ58の軸方向中央の抵抗値と、ゴムローラ58の軸方向端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で設けられる。すなわち、まず、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向中央の抵抗値R1と、転写ローラ23の軸方向端部の抵抗値R2とを測定する。次いで、抵抗値R1から抵抗値R2を差し引いて、その差分に相当する抵抗値となるような膜厚で、各被覆層59が設けられる。
【0043】
より具体的には、たとえば、ローラ軸57の軸方向において、中央から端部に向かう途中位置を、中央が0%位置であり、端部が100%位置とする割合(以下、この割合を軸方向位置割合とする。)で表示すると、各被覆層59の軸方向内側端部は、30〜50%位置に配置され、各被覆層59の軸方向外側端部は、90〜100%位置に配置される。各被覆層59の軸方向領域は、30〜100%に設定される。また、各被覆層59の膜厚は、たとえば、6〜13μmの範囲から、設定すべき抵抗値に基づいて選択される。なお、この場合において、ゴムローラ58の軸方向端縁は、90〜95%位置に配置される。
【0044】
また、各被覆層59を設ける軸方向領域は、次の方法により設定することもできる。
すなわち、a)まず、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向の抵抗値を数点測定し、軸方向位置割合に対して転写ローラ23の抵抗値がプロットされた相関図を得る。
この測定では、たとえば、図5に示すように、感光層(絶縁層)を除去した感光ドラム21と転写ローラ23(ゴムローラ58の長さ215mm)との間に、軸方向において切欠60(たとえば、10mm)が1箇所設けられている絶縁テープ61を介在させる。
【0045】
そして、転写ローラ23を感光ドラム21に対して圧力F(たとえば、6N)にて圧接させた後、ドラム軸34とローラ軸57との間に、電圧V(たとえば、2kV)を印加して、切欠60位置での転写ローラ23の抵抗値を求める。
その後、絶縁テープ61の切欠60の位置を変えて、軸方向において、転写ローラ23の抵抗値を数点求める。抵抗値は、たとえば、軸方向中央に対して対称に求める。
【0046】
すると、たとえば、図6(a)に示すように、軸方向位置割合に対して、転写ローラ23の抵抗値がプロットされた相関図を得ることができる。この相関図では、抵抗値は、軸方向中央が最高となり、その軸方向中央を対称として、軸方向中央から軸方向端部へ向かうに従って減少する。
b)次いで、図6(b)に示すように、各被覆層59を、軸方向中央から対称となるように設定する。この設定では、軸方向中央の抵抗値RCと、被覆層59の塗布後の軸方向内側端部の抵抗値RIaとが実質的に同じ抵抗値となり、かつ、被覆層59の塗布前の軸方向内側端部の抵抗値RIbと、被覆層59の塗布後の軸方向外側端部の抵抗値RXとが実質的に同じ抵抗値となるように、抵抗値のプロットラインを上方へ平行移動する。そして、各被覆層59の軸方向領域は、平行移動されたプロットラインの軸方向内側の軸方向位置割合と、その軸方向外側の軸方向位置割合との間の領域として、設定される。
2−4)押圧ユニット
押圧ユニット62は、図4に示すように、本体ケーシング2において、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときに、各挿通孔56に下側から対向するように、1対として設けられている。すなわち、各押圧ユニット62は、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときに、転写ローラ23の軸方向両端部にそれぞれ配置されている。
【0047】
各押圧ユニット62は、図3(b)に示すように、押圧板63およびばね64を備えている。
押圧板63の前側部分は、本体ケーシング2に設けられる支持軸65に回動可能に支持されている。押圧板63の後側部分は、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときに、挿通孔56を介して、ローラ軸57の端部に下側から当接可能に配置されている。
【0048】
ばね64は、圧縮ばねであり、押圧板63の後側部分を上方に向けて付勢している。なお、各押圧ユニット62のばね64のばね荷重は、ほぼ同一荷重に設定されている。
2−5)転写ローラの支持
ローラ軸57の両端部は、ドラムフレーム51の各支持板55に上下方向に移動可能かつ回転可能に支持されている。そのため、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2から離脱されているときには、図3(a)に示すように、ローラ軸57の両端部は、各支持板55において、略U字形状の切り欠きの最深部分において支持されている。それによって、転写ローラ23は、感光ドラム21に対して上下方向に間隔を隔てて配置される。
【0049】
一方、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときには、図3(b)に示すように、ローラ軸57の両端部は、ばね64により付勢される押圧板63の後側部分によって押圧される。それによって、転写ローラ23は、感光ドラム21に対して下方から圧接される。
なお、各ばね64のばね荷重はほぼ同一荷重に設定されているので、ローラ軸57は、その両端部において、ばね64によりほぼ同一圧力で押圧される。
3.第1参考例の作用効果
1)そして、ローラ軸57の両端部が、押圧板63によって、感光ドラム21に向けて押圧されると、発泡材料からなるゴムローラ58は、感光ドラム21と圧接して、圧縮される。このときの転写ローラ23の軸方向における抵抗値は、上記したように、中央が高く、両端部が低くなる。そのため、両端部に電流が流れやすくなり、中央に電流が流れにくくなるので、転写バイアスを印加しても、軸方向において均一に電流が流れず、転写不良を生じる。
【0050】
しかし、転写ローラ23には、上記したように、軸方向両端部において、ローラ軸57とゴムローラ58との間に、被覆層59が設けられている。そのため、軸方向両端部における転写ローラ23の抵抗値を高めることができる。その結果、転写ローラ23の軸方向に沿う抵抗値の差異を低減することができ、その差異に起因する転写不良を防止することができる。
【0051】
また、ゴムローラ58は、イオン導電性材料から形成されており、そのようなゴムローラ58は、導電性粒子が分散するゴムローラ58と比較して高価であり、抵抗値の異なる複数のゴムローラ58を軸方向に分割して設けるとコストの上昇が不可避となる。
しかし、この転写ローラ23では、ローラ軸57とゴムローラ58との間に半導電性の被覆層59を介在させている。したがって、抵抗値の異なる複数のゴムローラ58を設けずとも、同一の抵抗値のゴムローラ58を設けながら、軸方向における転写ローラ23の抵抗値を調整することができる。そのため、構成の簡略化およびコストの低減化を図ることができる。
2)また、この転写ローラ23では、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向中央の抵抗値と、転写ローラ23の軸方向端部の抵抗値とが、近接または実質的に等しくなるように、各被覆層59が設けられている。そのため、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値の差異を小さくまたは実質的になくすことができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
3)また、この転写ローラ23では、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、ゴムローラ58の軸方向中央の抵抗値と、ゴムローラ58の軸方向端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で、各被覆層59が設けられている。そのため、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値を実質的に均一にすることができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
4)また、この転写ローラ23では、各被覆層59は、上記したように、平行移動されたプロットラインの軸方向内側の軸方向位置割合と、その軸方向外側の軸方向位置割合との間の領域にわたって設けられる。そのため、簡易な構成により、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値の差異を、確実に低減することができる。
5)そして、ドラムカートリッジ19は、抵抗値の差異に起因する転写不良を防止できる転写ローラ23を備えている。そのため、感光ドラム21からのトナー像を用紙6に確実に転写することができる。
6)さらに、レーザプリンタ1では、上記ドラムカートリッジ19を備えているので、用紙6に確実に画像を形成することができる。
4.第2参考例
図7は、第2参考例の転写ローラの幅方向断面図である。図8は、図7の要部拡大図である。図7および図8において、上記した部材には同一の符号を付し、上記の部材と差異のある部分のみを説明する。
1)転写ローラの構成
図7において、被覆層59は、ローラ軸57の軸方向両端部に設けられている。そして、各被覆層59において、軸方向内側端縁EIと軸方向外側端縁EOとは、軸方向において、次の位置に配置されている。
【0052】
すなわち、各被覆層59の軸方向内側端縁EIは、用紙6の画像形成領域Pの端縁E1と、用紙6の端縁E2との間(端縁E1および端縁E2を含む。)に配置されている。
軸方向内側端縁EIの設定においては、最も使用頻度の高い同一サイズ(たとえば、A4サイズ)の用紙6を、端縁E1および端縁E2の基準とすることができる。また、使用頻度の高い大小サイズのうち、大きいサイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E1の基準とし、使用頻度の高い小さいサイズ(たとえば、A4サイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる(図8参照)。さらには、レーザプリンタ1で画像形成可能な最大サイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E1の基準とし、レーザプリンタ1で画像形成可能な最小サイズ(たとえば、はがきサイズやB5サイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる。
【0053】
また、各被覆層59の軸方向外側端縁EOは、用紙6の端縁E2と、ローラ軸35の端縁E3との間(端縁E2および端縁E3を含む)に配置されている。
軸方向外側端縁EOの設定においては、最も使用頻度の高いサイズ(たとえば、A4サイズ)の用紙6を、端縁E2の基準とすることができる。また、使用頻度の高い大小サイズのうち、大きいサイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる(図8参照)。さらには、レーザプリンタ1で画像形成可能な最大サイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる。
2)第2参考例の作用効果
第2参考例の転写ローラ23では、各被覆層59は、軸方向において、用紙6の端部を通過するように、画像形成領域Pの端縁E1からローラ軸57の端縁E3までの間に設けられる。そのため、画像形成時には、用紙5の両端部において、転写電流の通過を急激に減少させることができる。それによって、用紙6の両端部に多く存在する紙粉の感光ドラム21への付着を低減することができる。
5.本発明の実施形態
図9は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタにおける転写ローラの幅方向断面図である。図9において、上記した部材には同一の符号を付し、上記の部材と差異のある部分のみを説明する。
1)転写ローラの構成
図9において、被覆層59は、ローラ軸57の軸方向において、軸方向中央から軸方向端部に向かって抵抗値が高くなるように複数設けられている。具体的には、被覆層59は、軸方向中央に対して対称配置される1対の組が、2組配置されるように、設けられている。
【0054】
すなわち、この転写ローラ23では、被覆層59は、軸方向中央に対して、軸方向内側において対称に設けられる1対の内側被覆層66と、軸方向中央に対して、軸方向外側において対称に設けられる1対の外側被覆層67とを備えている。
各内側被覆層66は、軸方向中央を対称に配置され、軸方向において互いに間隔を隔てて設けられている。
【0055】
各内側被覆層66の軸方向内側端部は、軸方向位置割合において、10〜30%位置に配置され、各内側被覆層66の軸方向外側端部は、軸方向位置割合において、40〜60%位置に配置される。各内側被覆層66の軸方向領域は、10〜60%に設定される。また、各内側被覆層66の膜厚は、たとえば、3〜6μmの範囲から、設定すべき抵抗値に基づいて選択される。なお、この場合において、ゴムローラ58の軸方向端縁は、90〜95%位置に配置される。
【0056】
各外側被覆層67は、軸方向中央を対称に配置され、軸方向において互いに間隔を隔てて設けられている。各外側被覆層67は、各内側被覆層66の軸方向外側において、各内側被覆層66と隣接配置されている。
各外側被覆層67の軸方向内側端部は、軸方向位置割合において、40〜60%位置に配置され、各外側被覆層67の軸方向外側端部は、軸方向位置割合において、90〜100%位置に配置される。各外側被覆層67の軸方向領域は、40〜100%に設定される。また、各外側被覆層67の膜厚は、各内側被覆層66の膜厚よりも厚く形成されており、たとえば、8〜15μmの範囲から、設定すべき抵抗値に基づいて選択される。
2)実施形態の作用効果
この転写ローラ23では、被覆層59が、軸方向中央から軸方向端部に向かって抵抗値が高くなるように設けられている。そのため、ローラ軸57の軸方向に沿う、転写ローラ23の抵抗値の差異を低減することができる。その結果、転写不良を防止することができる。
【0057】
具体的には、第2変形例の転写ローラ23では、1対の内側被覆層66と、その外側に隣接配置される1対の外側被覆層67とを備えている。そして、1対の内側被覆層66の抵抗値よりも、1対の外側被覆層67の抵抗値が高く設定されている。そのため、軸方向中央から軸方向両端部まで、転写ローラ23の抵抗値を段階的に高くすることができる。その結果、簡易な構成により、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値を均一に近づけることができる。
5.その他の変形例
1)上記の実施形態では、軸方向中央に対して対称となる1対の被覆層59を2組設けたが、2組以上設けることもできる。
【0058】
また、上記の実施形態では、被覆層59毎の抵抗値は同一であるが、たとえば、各被覆層59の厚みを軸方向内側から軸方向外側に向けて次第に薄くすることにより、被覆層59毎に抵抗値を徐々に高くすることもできる。その場合には、たとえば、軸方向中央に対して対称となる1対の被覆層59のみを設けて、各被覆層59の厚みを軸方向内側から軸方向外側に向けて次第に薄くすることにより、抵抗値を徐々に高くすることもできる。
2)上記の実施形態では、1対の押圧ユニット62において、各ばね64のばね荷重をほぼ同一に設定しているため、各被覆層59を軸方向中央に対して対称に配置しているが、各ばね64のばね荷重が互いに異なる場合には、その異なる割合に対応して軸方向中央からずれた箇所を基準として、各被覆層59が対称または対称からずれた位置に配置される。
3)上記の実施形態では、被覆層59を、ローラ軸57の軸方向端縁まで設けているが、ローラ軸57の軸方向端部に形成されていれば、その目的などに応じて、ローラ軸57の軸方向端縁まで形成する必要のない場合がある。その場合には、被覆層59の軸方向外側端縁は、ローラ軸57の軸方向端縁から軸方向内側に間隔を隔てて配置される。
4)上記の説明において、転写ローラ23は、ドラムカートリッジ19に設けられているが、転写ローラ23は、本体ケーシング2に直接設けることもできる。さらに、上記の説明では、モノクロカラーレーザプリンタを例示しているが、本発明の画像形成装置は、カラーレーザプリンタ(タンデムタイプ、中間転写タイプを含む。)として構成することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 レーザプリンタ
6 用紙
19 ドラムカートリッジ
21 感光ドラム
23 転写ローラ
51 転写ユニット
57 ローラ軸
58 ゴムローラ
59 被覆層
62 押圧ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置、および、その画像形成装置に装備される感光体カートリッジおよび転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、通常、トナー像を担持する感光ドラムと、感光ドラムと対向配置され、用紙にトナー像を転写するための転写ローラとを備えている。転写ローラは、感光ドラムに向けて押圧されており、トナー像を用紙に転写するための転写バイアスが印加されている。感光ドラムに担持されたトナー像は、用紙が感光ドラムと転写ローラとの間を通過するときに、用紙に転写される。
【0003】
転写ローラは、金属製の回転軸と、その回転軸の周りを被覆する弾性層とを備えており、弾性層は、導電性の発泡材料から形成されている。
また、回転軸の軸方向両端部は、押圧部材によって、感光ドラムに向けて押圧されており、これによって、転写ローラが感光ドラムに圧接されている。そのため、転写ローラの感光ドラムに対する圧接力は、回転軸の軸方向中央では低く、回転軸の軸方向両端部では高くなる。
【0004】
そして、弾性層では、圧力をより受けた部分の抵抗値がより増加することから、転写ローラが感光ドラムに圧接されているときには、転写ローラの両端部の抵抗値が、転写ローラの中央部の抵抗値よりも高くなる。すると、転写バイアスが、回転軸の軸方向において均一に印加されず、転写不良を生じる。
そのため、芯金の中央部に導電性の低い(抵抗値が高い)ゴムを圧入し、その左右両側に導電性の高い(抵抗値の低い)ゴムを圧入して転写ローラを構成し、芯金の左右両端を付勢して帯電ローラを感光ドラムに圧接させたときの、軸方向の抵抗分布を均一にすることが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−199689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、イオン導電性の弾性層を備える転写ローラでは、上記のように、回転軸の軸方向中央に抵抗値の高い弾性層を設け、回転軸の軸方向端部に抵抗値の低い弾性層を設けても、転写不良を改善できないという不具合がある。
本発明の目的は、イオン導電性の弾性層を備える転写ローラにおいて、回転軸の軸方向に沿う抵抗値の差異に起因する転写不良を、簡易な構成により、改善することのできる、転写装置、および、その転写装置を備える感光体カートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、転写装置であり、導電性の回転軸と、前記回転軸の周りを被覆するイオン導電性の弾性層と、少なくとも前記回転軸の軸方向の両端部において、前記回転軸と前記弾性層との間に設けられる半導電性の被覆層とを有する転写ローラを備え、前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、前記軸方向の中央側から前記軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、複数設けられており、互いに隣接する各前記被覆層において、前記軸方向の中央側に配置される被覆層の抵抗値に対して、前記軸方向の端部側に配置される被覆層の抵抗値が高いことを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記転写ローラの前記軸方向の中央の抵抗値と、前記転写ローラの前記軸方向の端部の抵抗値とが、近接するまたは実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記弾性層の前記軸方向の中央の抵抗値と、前記弾性層の前記軸方向の端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で設けられていることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記軸方向の内側端部における前記被覆層が設けられる前の前記転写ローラの抵抗値と、前記軸方向の外側端部における前記被覆層が設けられる後の前記転写ローラの抵抗値とが実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、感光体カートリッジであり、請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体とを備えていることを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、画像形成装置であり、請求項6に記載の感光体カートリッジと、前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材とを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項8に記載の発明は、画像形成装置であり、請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体と、前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、少なくとも回転軸の軸方向の両端部には、回転軸と弾性層との間に半導電性の被覆層が設けられている。そのため、少なくとも回転軸の軸方向の両端部における転写ローラの抵抗値を高めることができる。その結果、回転軸の軸方向に沿う、転写ローラの抵抗値の差異を低減することができ、その差異に起因する転写不良を防止することができる。
【0013】
また、イオン導電性の弾性層は、導電性粒子が分散する弾性層と比較して高価であり、抵抗値の異なる複数の弾性層を設けるとコストの上昇が不可避となる。しかし、請求項1に記載の発明では、回転軸と弾性層との間に半導電性の被覆層を介在させることにより、抵抗値の異なる複数の弾性層を設けずとも、同一の抵抗値の弾性層を設けながら、回転軸の軸方向における転写ローラの抵抗値を調整することができる。そのため、構成の簡略化およびコストの低減化を図ることができる。
【0014】
また、被覆層が、軸方向の中央側から軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように設けられている。そのため、回転軸の軸方向に沿う、転写ローラの抵抗値の差異を低減することができる。その結果、転写不良を防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、被覆層が回転軸の軸方向において複数設けられており、互いに隣接する各被覆層において、軸方向の中央側に配置される被覆層の抵抗値よりも、軸方向の端部側に配置される被覆層の抵抗値が高く設定されている。そのため、軸方向の中央から軸方向の両端部まで、抵抗値を段階的に高くすることができる。その結果、簡易な構成により、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値を均一に近づけることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、転写ローラが感光体に圧接されているときの、転写ローラの軸方向の中央の抵抗値と、転写ローラの軸方向の端部の抵抗値とが、近接または実質的に等しくなるように、被覆層が設けられている。そのため、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値の差異を小さくまたは実質的になくすことができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、転写ローラが感光体に圧接されているときの、弾性層の軸方向の中央の抵抗値と、弾性層の軸方向の端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で、被覆層が設けられている。そのため、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値を実質的に均一にすることができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、各被覆層は、転写ローラが感光体に圧接されているときの、軸方向の内側端部における被覆層が設けられる前の転写ローラの抵抗値と、軸方向の外側端部における被覆層が設けられた後の転写ローラの抵抗値とが実質的に等しくなるように、設けられている。そのため、簡易な構成により、回転軸の軸方向に沿う転写ローラの抵抗値の差異を、確実に低減することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、感光体カートリッジは、抵抗値の差異に起因する転写不良を防止できる転写ローラを備えている。そのため、感光体からの現像剤像を転写媒体に確実に転写することができる。
請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置は、請求項6の感光体カートリッジを備えているので、転写媒体に確実に画像を形成することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、画像形成装置は、抵抗値の差異に起因する転写不良を防止できる転写ローラを備えている。そのため、感光体からの現像剤像を転写媒体に確実に転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像形成装置を説明するための第1参考例としてのレーザプリンタを示す要部側断面図である。
【図2】ドラムフレームを上から見た斜視図である。
【図3】図1に示す転写ローラの支持を示す要部側断面図であり、(a)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングからの離脱状態を示し、(b)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着状態を示す。
【図4】図1に示す転写ローラの軸方向断面図である。
【図5】転写ローラの軸方向の抵抗値の測定方法を説明するための説明図である。
【図6】軸方向位置割合に対して転写ローラの抵抗値がプロットされた相関図であり、(a)は、相関図、(b)は、相関図から被覆層の形成領域を求めるための説明図である。
【図7】第2参考例の転写ローラの幅方向断面図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタにおける転写ローラの幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.レーザプリンタの全体構成
図1は、画像形成装置を説明するための第1参考例としてのレーザプリンタを示す要部側断面図である。図1において、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2と、その本体ケーシング2内に設けられるフィーダ部3および画像形成部4とを備えている。
本体ケーシング2の一方側の側壁には、フロントカバー5が設けられている。フロントカバー5の下端部は、ヒンジを介して側壁に回動自在に支持されている。フロントカバー5の下端部を支点としてフロントカバー5を開くと、本体ケーシング2の内部空間が開放される。これによって、プロセスカートリッジ14(後述)を、本体ケーシング2の内部空間に着脱させることができる。フロントカバー5の下端部を支点としてフロントカバー5を閉じると、本体ケーシング2の内部空間が閉鎖される。フロントカバー5には、操作キーやLED表示部を備える操作パネル(図示せず。)が設けられている。
【0022】
なお、以下の説明では、レーザプリンタ1およびプロセスカートリッジ14に関し、フロントカバー5が設けられる側を「前側」とし、その反対側を「後側」とする。
1)フィーダ部
フィーダ部3は、転写媒体としての用紙6を画像形成部4へ給紙するために設けられている。フィーダ部3は、本体ケーシング2内の底部に配置されている。フィーダ部3は、給紙トレイ7、給紙ローラ8、給紙パッド9、ピックアップローラ10、ピンチローラ11およびレジストローラ12を備えている。
【0023】
給紙トレイ7は、本体ケーシング2の底部に着脱自在に装着される。給紙トレイ7内には、用紙6がスタックされている。
給紙ローラ8および給紙パッド9は、互いに対向配置されており、それらは、給紙トレイ6の前端部上方に設けられている。ピックアップローラ10は、給紙トレイ6の前端部上方であって、給紙ローラ8の後側に設けられている。ピンチローラ11は、給紙ローラ8の前側下方に設けられている。レジストローラ12は、給紙ローラ8の後側上方に設けられている。
【0024】
給紙トレイ7内の最上位にある用紙6は、ピックアップローラ10に押圧され、そのピックアップローラ10の回転によって、給紙ローラ8と給紙パッド9との間に向けて搬送される。その後、用紙6は、給紙ローラ8と給紙パッド9との間に挟まれたときに、給紙ローラ8の回転によって1枚ごとに捌かれて給紙される。その後、用紙6は、給紙ローラ8とピンチローラ11との間を通過し、レジストローラ12に搬送される。
【0025】
レジストローラ12は、互いに対向する1対のローラを備え、レジスト後に、用紙6を転写位置に搬送する。なお、転写位置は、感光ドラム21(後述)と転写ローラ23(後述)とのニップ位置である。
2)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット13、プロセスカートリッジ14および定着ユニット36を備えている。
2−1)スキャナユニット
スキャナユニット13は、本体ケーシング2内の上部に設けられている。スキャナユニット13は、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー15、fθレンズ16、2つの反射鏡17およびレンズ18を備えている。
【0026】
画像データに基づくレーザビームは、レーザ光源から発光され、鎖線で示すように、ポリゴンミラー15で偏向されて、fθレンズ16を通過した後、一方の反射鏡17によって屈曲され、レンズ18を通過した後、他方の反射鏡19によって再び屈曲され、感光ドラム21(後述)の表面へ照射される。
2−2)プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ14は、スキャナユニット13の下方に設けられ、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。
【0027】
プロセスカートリッジ14は、感光体カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ19と、そのドラムカートリッジ19に着脱自在に装着される現像カートリッジ20と、ドラムカートリッジ19に設けられる、感光体の一例としての感光ドラム21、スコロトロン型帯電器22、転写ローラ23および導電性ブラシ24とを備えている。
a)現像カートリッジ
現像カートリッジ20は、トナー収容室25、供給ローラ26、現像ローラ27および層厚規制ブレード28を備えている。
【0028】
トナー収容室25は、仕切板29によって仕切られる現像カートリッジ20の前側の内部空間として形成されている。トナー収容室25内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分トナーが収容されている。また、トナー収容室25内には、アジテータ30が設けられており、トナー収容室25内のトナーは、アジテータ30により攪拌されて、仕切板29の下方の開口部31から放出される。
【0029】
供給ローラ26は、開口部31の後側において、現像カートリッジ28に回転可能に支持されている。供給ローラ33は、金属製のローラ軸と、そのローラ軸の周りを被覆する導電性のスポンジローラとを備えている。
現像ローラ27は、供給ローラ26の後側において、現像カートリッジ20に回転可能に支持されている。現像ローラ27は、金属製のローラ軸と、そのローラ軸の周りを被覆する導電性のゴムローラとを備えている。現像ローラ27は、供給ローラ26と互いに圧縮されるように、接触されている。現像ローラ27には、現像時に、現像バイアスが印加される。
【0030】
層厚規制ブレード28は、板ばね材からなるブレードと、絶縁性のシリコーンゴムからなる押圧部32とを備えている。ブレードの一端部は、現像ローラ27の上方において、現像カートリッジ20に支持されている。ブレードの他端部には、押圧部32が設けられている。押圧部32は、ブレードの弾性力によって現像ローラ27の表面に圧接されている。
【0031】
そして、開口部31から放出されるトナーは、供給ローラ26の回転によって、現像ローラ27に供給される。このとき、トナーは、供給ローラ26と現像ローラ27との間で、正に摩擦帯電される。その後、トナーは、現像ローラ27の回転により、層厚規制ブレード28の押圧部32と現像ローラ27との間に進入して、一定厚さの薄層として現像ローラ27の表面に担持される。
b)感光ドラム
感光ドラム21は、円筒形状のドラム素管33と、金属製のドラム軸34とを備えている。ドラム素管33の最表層は、正帯電性の感光層により形成されている。ドラム軸34は、ドラム素管33の軸心に沿って配置されている。ドラム軸34は、ドラムカートリッジ19に回転不能に支持されている。ドラム素管33は、ドラム軸34に対して回転自在に支持されている。これによって、ドラム素管33は、ドラムカートリッジ19において、ドラム軸34を中心として回転可能に支持されている。
c)スコロトロン型帯電器
スコロトロン型帯電器22は、感光ドラム21の斜め後側上方において、ドラムカートリッジ19に支持されている。スコロトロン型帯電器22は、感光ドラム21と接触しないように間隔を隔てて対向配置されている。スコロトロン型帯電器22は、コロナ放電を発生させる正帯電性のスコロトロン型帯電器である。
d)転写ローラ
転写ローラ23は、感光ドラム21の下側において、ドラムカートリッジ19に回転可能に支持されている。転写ローラ23は、回転軸の一例としてのローラ軸57と、弾性層の一例としてのゴムローラ58とを備えている。ゴムローラ58は、ローラ軸57の周りを被覆している。ゴムローラ58は、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されたときに、感光ドラム21に対して下方から圧接される。それによって、感光ドラム21と転写ローラ23との間に、ニップが形成される。転写ローラ23には、転写時に、転写バイアスが印加される。
e)導電性ブラシ
導電性ブラシ24は、感光ドラム21の後側において、感光ドラム21に対向配置されている。導電性ブラシ24は、ブラシの先端が感光ドラム21の表面に接触するように、ドラムカートリッジ19に固定されている。
f)転写動作
感光ドラム21の表面は、スコロトロン型帯電器22によって、一様に正帯電される。その後、感光ドラム21の表面は、スキャナユニット13から走査されるレーザビームによって露光され、それによって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0032】
次いで、現像ローラ27の表面に担持されているトナーが、現像ローラ27の回転により感光ドラム21に対向するときに、感光ドラム21の表面に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム21の表面のうちレーザビームの露光によって電位が下がっている露光部分に供給される。その結果、トナーが、露光部分に選択的に担持されることにより、可視像化され、それによって、感光ドラム21の表面には、現像剤像としてのトナー像が担持される。
【0033】
その後、感光ドラム21と転写ローラ23とが、それらの間で用紙6を挟持して搬送するように回転駆動され、感光ドラム21と転写ローラ23との間を用紙6が通過する間に、感光ドラム21の表面に担持されているトナー像が用紙6の表面に転写される。
転写後に、用紙6との接触によって感光ドラム21の表面に付着した紙粉は、その感光ドラム21の表面が、感光ドラム21の回転に伴って導電性ブラシ24と対向したときに、ブラシによって除去される。
2−3)定着ユニット
定着ユニット36は、プロセスカートリッジ14の後側に設けられている。定着ユニット36は、加熱ローラ37および押圧ローラ38を備えている。加熱ローラ37は、金属素管と、その金属素管の軸心に沿って配置されるハロゲンランプとを備えている。押圧ローラ38は、加熱ローラ37の下方に配置されている。押圧ローラ38は、加熱ローラ41を下側から押圧する。
【0034】
定着ユニット36では、用紙6の表面に転写されたトナーを、用紙6が加熱ローラ37と押圧ローラ38との間を通過する間に熱定着させる。
トナーが定着した用紙6は、本体ケーシング2の上面に向かって上下方向に延びる排紙パス39に搬送される。その後、用紙6は、排紙パス39の上側に設けられる排紙ローラ40によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ41上に排紙される。
2.転写ユニットの構成
図2は、ドラムフレーム51を上から見た斜視図である。図3は、図1に示す転写ローラの支持を示す要部側断面図であり、(a)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングからの離脱状態を示し、(b)は、プロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着状態を示す。図4は、図1に示す転写ローラの軸方向断面図である。図5は、転写ローラの軸方向の抵抗値の測定方法を説明するための説明図である。図6は、軸方向位置割合に対して転写ローラの抵抗値がプロットされた相関図であり、(a)は、相関図、(b)は、相関図から被覆層の形成領域を求めるための説明図である。
【0035】
転写装置の一例としての転写ユニット50は、ドラムカートリッジ14に設けられている。転写ユニット50は、ドラムフレーム51と、ドラムフレーム51に支持される転写ローラ23とを備えている。また、本体ケーシング2には、押圧部材の一例としての押圧ユニット62が設けられている。
1)ドラムフレーム
図2に示すように、ドラムフレーム51は、前側において、現像カートリッジ受け部52と、後側において、ローラ支持部53とを備えている。
【0036】
現像カートリッジ受け部52には、現像カートリッジ20が着脱自在に装着される。
ローラ支持部53には、感光ドラム21および転写ローラ23が回転自在に支持される。すなわち、ローラ支持部53の両側壁の上側には、上下方向に延びる支持溝54が形成されている。感光ドラム21のドラム軸34の両端部は、支持溝54に挿入され、最深部において回転不能に固定されている。それによって、感光ドラム21がローラ支持部53で回転可能に支持されている。
【0037】
ローラ支持部53の底壁には、各支持溝54の幅方向内側において、略U字形状に切り欠かれる支持板55が、それぞれ設けられている。ローラ支持部53の底壁には、各支持溝54と各支持板55との間に、挿通孔56が、それぞれ形成されている。
各支持板55は、ゴムローラ58の軸方向両外側端縁の外側に配置されている(図4参照)。各挿通孔56は、ゴムローラ58から露出するローラ軸57の両端部と対向するように、配置されている。
2)転写ローラ
転写ローラ23は、上記したように、ローラ軸57と、ローラ軸57の周りを被覆するゴムローラ58とを備えている。
2−1)ローラ軸
ローラ軸57は、金属などの導電性材料から、丸軸形状に形成されている。
2−2)ゴムローラ
ゴムローラ58は、発泡性のイオン導電性材料から、ローラ軸57を外嵌する円筒形状に形成されている。
【0038】
イオン導電性材料は、ゴムにイオン導電剤が添加されている材料である。ゴムとしては、たとえば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴムまたはそれらのブレンドゴムなどが挙げられる。イオン導電剤としては、たとえば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、へキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどのアンモニウム塩、たとえば、リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられる。塩としては、たとえば、過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,エチル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩などが挙げられる。
【0039】
イオン導電性材料は、イオン導電剤を、ゴムにドーピングすることにより調製されている。
転写ローラ23は、イオン導電性材料に発泡剤を配合して、ローラ軸57とともにインサート形成する、または、イオン導電性材料に発泡剤を配合して円筒形状に成形後、ローラ軸57に圧入することにより、形成されている。
【0040】
これによって、ゴムローラ58は、導電性の発泡材料として形成され、ローラ軸57の両端部が露出するように、ローラ軸57の軸方向に沿ってローラ軸57の表面を被覆している。
2−3)被覆層
転写ローラ23は、図4に示すように、さらに、ローラ軸57とゴムローラ58との間に、被覆層59を備えている。被覆層59は、ローラ軸57の表面に、樹脂(アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂など)に、金属粉やカーボンなどを適量混合した塗料などの半導電性塗料を塗布することにより、半導電性のコーティング層として、形成されている。被覆層59は、たとえば、膜厚1μmに対して50k〜100kΩの抵抗値を得ることができる。
【0041】
被覆層59は、ローラ軸57の軸方向両端部において、それぞれ設けられている。各被覆層59は、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向中央(軸方向中央とは、後述する軸方向位置割合の基準とする場合を除いて、軸方向のほぼ中央を意味する。)の抵抗値R1と、転写ローラ23の軸方向両端部の抵抗値R2とが、近接する(または実質的に等しくなる)ように、設けられている。
【0042】
具体的には、各被覆層59は、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、ゴムローラ58の軸方向中央の抵抗値と、ゴムローラ58の軸方向端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で設けられる。すなわち、まず、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向中央の抵抗値R1と、転写ローラ23の軸方向端部の抵抗値R2とを測定する。次いで、抵抗値R1から抵抗値R2を差し引いて、その差分に相当する抵抗値となるような膜厚で、各被覆層59が設けられる。
【0043】
より具体的には、たとえば、ローラ軸57の軸方向において、中央から端部に向かう途中位置を、中央が0%位置であり、端部が100%位置とする割合(以下、この割合を軸方向位置割合とする。)で表示すると、各被覆層59の軸方向内側端部は、30〜50%位置に配置され、各被覆層59の軸方向外側端部は、90〜100%位置に配置される。各被覆層59の軸方向領域は、30〜100%に設定される。また、各被覆層59の膜厚は、たとえば、6〜13μmの範囲から、設定すべき抵抗値に基づいて選択される。なお、この場合において、ゴムローラ58の軸方向端縁は、90〜95%位置に配置される。
【0044】
また、各被覆層59を設ける軸方向領域は、次の方法により設定することもできる。
すなわち、a)まず、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向の抵抗値を数点測定し、軸方向位置割合に対して転写ローラ23の抵抗値がプロットされた相関図を得る。
この測定では、たとえば、図5に示すように、感光層(絶縁層)を除去した感光ドラム21と転写ローラ23(ゴムローラ58の長さ215mm)との間に、軸方向において切欠60(たとえば、10mm)が1箇所設けられている絶縁テープ61を介在させる。
【0045】
そして、転写ローラ23を感光ドラム21に対して圧力F(たとえば、6N)にて圧接させた後、ドラム軸34とローラ軸57との間に、電圧V(たとえば、2kV)を印加して、切欠60位置での転写ローラ23の抵抗値を求める。
その後、絶縁テープ61の切欠60の位置を変えて、軸方向において、転写ローラ23の抵抗値を数点求める。抵抗値は、たとえば、軸方向中央に対して対称に求める。
【0046】
すると、たとえば、図6(a)に示すように、軸方向位置割合に対して、転写ローラ23の抵抗値がプロットされた相関図を得ることができる。この相関図では、抵抗値は、軸方向中央が最高となり、その軸方向中央を対称として、軸方向中央から軸方向端部へ向かうに従って減少する。
b)次いで、図6(b)に示すように、各被覆層59を、軸方向中央から対称となるように設定する。この設定では、軸方向中央の抵抗値RCと、被覆層59の塗布後の軸方向内側端部の抵抗値RIaとが実質的に同じ抵抗値となり、かつ、被覆層59の塗布前の軸方向内側端部の抵抗値RIbと、被覆層59の塗布後の軸方向外側端部の抵抗値RXとが実質的に同じ抵抗値となるように、抵抗値のプロットラインを上方へ平行移動する。そして、各被覆層59の軸方向領域は、平行移動されたプロットラインの軸方向内側の軸方向位置割合と、その軸方向外側の軸方向位置割合との間の領域として、設定される。
2−4)押圧ユニット
押圧ユニット62は、図4に示すように、本体ケーシング2において、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときに、各挿通孔56に下側から対向するように、1対として設けられている。すなわち、各押圧ユニット62は、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときに、転写ローラ23の軸方向両端部にそれぞれ配置されている。
【0047】
各押圧ユニット62は、図3(b)に示すように、押圧板63およびばね64を備えている。
押圧板63の前側部分は、本体ケーシング2に設けられる支持軸65に回動可能に支持されている。押圧板63の後側部分は、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときに、挿通孔56を介して、ローラ軸57の端部に下側から当接可能に配置されている。
【0048】
ばね64は、圧縮ばねであり、押圧板63の後側部分を上方に向けて付勢している。なお、各押圧ユニット62のばね64のばね荷重は、ほぼ同一荷重に設定されている。
2−5)転写ローラの支持
ローラ軸57の両端部は、ドラムフレーム51の各支持板55に上下方向に移動可能かつ回転可能に支持されている。そのため、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2から離脱されているときには、図3(a)に示すように、ローラ軸57の両端部は、各支持板55において、略U字形状の切り欠きの最深部分において支持されている。それによって、転写ローラ23は、感光ドラム21に対して上下方向に間隔を隔てて配置される。
【0049】
一方、プロセスカートリッジ14が本体ケーシング2に装着されているときには、図3(b)に示すように、ローラ軸57の両端部は、ばね64により付勢される押圧板63の後側部分によって押圧される。それによって、転写ローラ23は、感光ドラム21に対して下方から圧接される。
なお、各ばね64のばね荷重はほぼ同一荷重に設定されているので、ローラ軸57は、その両端部において、ばね64によりほぼ同一圧力で押圧される。
3.第1参考例の作用効果
1)そして、ローラ軸57の両端部が、押圧板63によって、感光ドラム21に向けて押圧されると、発泡材料からなるゴムローラ58は、感光ドラム21と圧接して、圧縮される。このときの転写ローラ23の軸方向における抵抗値は、上記したように、中央が高く、両端部が低くなる。そのため、両端部に電流が流れやすくなり、中央に電流が流れにくくなるので、転写バイアスを印加しても、軸方向において均一に電流が流れず、転写不良を生じる。
【0050】
しかし、転写ローラ23には、上記したように、軸方向両端部において、ローラ軸57とゴムローラ58との間に、被覆層59が設けられている。そのため、軸方向両端部における転写ローラ23の抵抗値を高めることができる。その結果、転写ローラ23の軸方向に沿う抵抗値の差異を低減することができ、その差異に起因する転写不良を防止することができる。
【0051】
また、ゴムローラ58は、イオン導電性材料から形成されており、そのようなゴムローラ58は、導電性粒子が分散するゴムローラ58と比較して高価であり、抵抗値の異なる複数のゴムローラ58を軸方向に分割して設けるとコストの上昇が不可避となる。
しかし、この転写ローラ23では、ローラ軸57とゴムローラ58との間に半導電性の被覆層59を介在させている。したがって、抵抗値の異なる複数のゴムローラ58を設けずとも、同一の抵抗値のゴムローラ58を設けながら、軸方向における転写ローラ23の抵抗値を調整することができる。そのため、構成の簡略化およびコストの低減化を図ることができる。
2)また、この転写ローラ23では、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、転写ローラ23の軸方向中央の抵抗値と、転写ローラ23の軸方向端部の抵抗値とが、近接または実質的に等しくなるように、各被覆層59が設けられている。そのため、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値の差異を小さくまたは実質的になくすことができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
3)また、この転写ローラ23では、転写ローラ23が感光ドラム21に圧接されているときの、ゴムローラ58の軸方向中央の抵抗値と、ゴムローラ58の軸方向端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で、各被覆層59が設けられている。そのため、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値を実質的に均一にすることができる。その結果、転写不良をより一層防止することができる。
4)また、この転写ローラ23では、各被覆層59は、上記したように、平行移動されたプロットラインの軸方向内側の軸方向位置割合と、その軸方向外側の軸方向位置割合との間の領域にわたって設けられる。そのため、簡易な構成により、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値の差異を、確実に低減することができる。
5)そして、ドラムカートリッジ19は、抵抗値の差異に起因する転写不良を防止できる転写ローラ23を備えている。そのため、感光ドラム21からのトナー像を用紙6に確実に転写することができる。
6)さらに、レーザプリンタ1では、上記ドラムカートリッジ19を備えているので、用紙6に確実に画像を形成することができる。
4.第2参考例
図7は、第2参考例の転写ローラの幅方向断面図である。図8は、図7の要部拡大図である。図7および図8において、上記した部材には同一の符号を付し、上記の部材と差異のある部分のみを説明する。
1)転写ローラの構成
図7において、被覆層59は、ローラ軸57の軸方向両端部に設けられている。そして、各被覆層59において、軸方向内側端縁EIと軸方向外側端縁EOとは、軸方向において、次の位置に配置されている。
【0052】
すなわち、各被覆層59の軸方向内側端縁EIは、用紙6の画像形成領域Pの端縁E1と、用紙6の端縁E2との間(端縁E1および端縁E2を含む。)に配置されている。
軸方向内側端縁EIの設定においては、最も使用頻度の高い同一サイズ(たとえば、A4サイズ)の用紙6を、端縁E1および端縁E2の基準とすることができる。また、使用頻度の高い大小サイズのうち、大きいサイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E1の基準とし、使用頻度の高い小さいサイズ(たとえば、A4サイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる(図8参照)。さらには、レーザプリンタ1で画像形成可能な最大サイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E1の基準とし、レーザプリンタ1で画像形成可能な最小サイズ(たとえば、はがきサイズやB5サイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる。
【0053】
また、各被覆層59の軸方向外側端縁EOは、用紙6の端縁E2と、ローラ軸35の端縁E3との間(端縁E2および端縁E3を含む)に配置されている。
軸方向外側端縁EOの設定においては、最も使用頻度の高いサイズ(たとえば、A4サイズ)の用紙6を、端縁E2の基準とすることができる。また、使用頻度の高い大小サイズのうち、大きいサイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる(図8参照)。さらには、レーザプリンタ1で画像形成可能な最大サイズ(たとえば、レターサイズ)の用紙6を端縁E2の基準とすることもできる。
2)第2参考例の作用効果
第2参考例の転写ローラ23では、各被覆層59は、軸方向において、用紙6の端部を通過するように、画像形成領域Pの端縁E1からローラ軸57の端縁E3までの間に設けられる。そのため、画像形成時には、用紙5の両端部において、転写電流の通過を急激に減少させることができる。それによって、用紙6の両端部に多く存在する紙粉の感光ドラム21への付着を低減することができる。
5.本発明の実施形態
図9は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタにおける転写ローラの幅方向断面図である。図9において、上記した部材には同一の符号を付し、上記の部材と差異のある部分のみを説明する。
1)転写ローラの構成
図9において、被覆層59は、ローラ軸57の軸方向において、軸方向中央から軸方向端部に向かって抵抗値が高くなるように複数設けられている。具体的には、被覆層59は、軸方向中央に対して対称配置される1対の組が、2組配置されるように、設けられている。
【0054】
すなわち、この転写ローラ23では、被覆層59は、軸方向中央に対して、軸方向内側において対称に設けられる1対の内側被覆層66と、軸方向中央に対して、軸方向外側において対称に設けられる1対の外側被覆層67とを備えている。
各内側被覆層66は、軸方向中央を対称に配置され、軸方向において互いに間隔を隔てて設けられている。
【0055】
各内側被覆層66の軸方向内側端部は、軸方向位置割合において、10〜30%位置に配置され、各内側被覆層66の軸方向外側端部は、軸方向位置割合において、40〜60%位置に配置される。各内側被覆層66の軸方向領域は、10〜60%に設定される。また、各内側被覆層66の膜厚は、たとえば、3〜6μmの範囲から、設定すべき抵抗値に基づいて選択される。なお、この場合において、ゴムローラ58の軸方向端縁は、90〜95%位置に配置される。
【0056】
各外側被覆層67は、軸方向中央を対称に配置され、軸方向において互いに間隔を隔てて設けられている。各外側被覆層67は、各内側被覆層66の軸方向外側において、各内側被覆層66と隣接配置されている。
各外側被覆層67の軸方向内側端部は、軸方向位置割合において、40〜60%位置に配置され、各外側被覆層67の軸方向外側端部は、軸方向位置割合において、90〜100%位置に配置される。各外側被覆層67の軸方向領域は、40〜100%に設定される。また、各外側被覆層67の膜厚は、各内側被覆層66の膜厚よりも厚く形成されており、たとえば、8〜15μmの範囲から、設定すべき抵抗値に基づいて選択される。
2)実施形態の作用効果
この転写ローラ23では、被覆層59が、軸方向中央から軸方向端部に向かって抵抗値が高くなるように設けられている。そのため、ローラ軸57の軸方向に沿う、転写ローラ23の抵抗値の差異を低減することができる。その結果、転写不良を防止することができる。
【0057】
具体的には、第2変形例の転写ローラ23では、1対の内側被覆層66と、その外側に隣接配置される1対の外側被覆層67とを備えている。そして、1対の内側被覆層66の抵抗値よりも、1対の外側被覆層67の抵抗値が高く設定されている。そのため、軸方向中央から軸方向両端部まで、転写ローラ23の抵抗値を段階的に高くすることができる。その結果、簡易な構成により、ローラ軸57の軸方向に沿う転写ローラ23の抵抗値を均一に近づけることができる。
5.その他の変形例
1)上記の実施形態では、軸方向中央に対して対称となる1対の被覆層59を2組設けたが、2組以上設けることもできる。
【0058】
また、上記の実施形態では、被覆層59毎の抵抗値は同一であるが、たとえば、各被覆層59の厚みを軸方向内側から軸方向外側に向けて次第に薄くすることにより、被覆層59毎に抵抗値を徐々に高くすることもできる。その場合には、たとえば、軸方向中央に対して対称となる1対の被覆層59のみを設けて、各被覆層59の厚みを軸方向内側から軸方向外側に向けて次第に薄くすることにより、抵抗値を徐々に高くすることもできる。
2)上記の実施形態では、1対の押圧ユニット62において、各ばね64のばね荷重をほぼ同一に設定しているため、各被覆層59を軸方向中央に対して対称に配置しているが、各ばね64のばね荷重が互いに異なる場合には、その異なる割合に対応して軸方向中央からずれた箇所を基準として、各被覆層59が対称または対称からずれた位置に配置される。
3)上記の実施形態では、被覆層59を、ローラ軸57の軸方向端縁まで設けているが、ローラ軸57の軸方向端部に形成されていれば、その目的などに応じて、ローラ軸57の軸方向端縁まで形成する必要のない場合がある。その場合には、被覆層59の軸方向外側端縁は、ローラ軸57の軸方向端縁から軸方向内側に間隔を隔てて配置される。
4)上記の説明において、転写ローラ23は、ドラムカートリッジ19に設けられているが、転写ローラ23は、本体ケーシング2に直接設けることもできる。さらに、上記の説明では、モノクロカラーレーザプリンタを例示しているが、本発明の画像形成装置は、カラーレーザプリンタ(タンデムタイプ、中間転写タイプを含む。)として構成することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 レーザプリンタ
6 用紙
19 ドラムカートリッジ
21 感光ドラム
23 転写ローラ
51 転写ユニット
57 ローラ軸
58 ゴムローラ
59 被覆層
62 押圧ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の回転軸と、前記回転軸の周りを被覆するイオン導電性の弾性層と、少なくとも前記回転軸の軸方向の両端部において、前記回転軸と前記弾性層との間に設けられる半導電性の被覆層とを有する転写ローラを備え、
前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、前記軸方向の中央側から前記軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように設けられていることを特徴とする、転写装置。
【請求項2】
前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、複数設けられており、
互いに隣接する各前記被覆層において、前記軸方向の中央側に配置される被覆層の抵抗値に対して、前記軸方向の端部側に配置される被覆層の抵抗値が高いことを特徴とする、請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記転写ローラの前記軸方向の中央の抵抗値と、前記転写ローラの前記軸方向の端部の抵抗値とが、近接するまたは実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記弾性層の前記軸方向の中央の抵抗値と、前記弾性層の前記軸方向の端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の転写装置。
【請求項5】
前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記軸方向の内側端部における前記被覆層が設けられる前の前記転写ローラの抵抗値と、前記軸方向の外側端部における前記被覆層が設けられた後の前記転写ローラの抵抗値とが実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の転写装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、
前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体と
を備えていることを特徴とする、感光体カートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載の感光体カートリッジと、
前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材と
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、
前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体と、
前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材と
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項1】
導電性の回転軸と、前記回転軸の周りを被覆するイオン導電性の弾性層と、少なくとも前記回転軸の軸方向の両端部において、前記回転軸と前記弾性層との間に設けられる半導電性の被覆層とを有する転写ローラを備え、
前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、前記軸方向の中央側から前記軸方向の端部側に向かって抵抗値が高くなるように設けられていることを特徴とする、転写装置。
【請求項2】
前記被覆層は、前記回転軸の軸方向において、複数設けられており、
互いに隣接する各前記被覆層において、前記軸方向の中央側に配置される被覆層の抵抗値に対して、前記軸方向の端部側に配置される被覆層の抵抗値が高いことを特徴とする、請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記転写ローラの前記軸方向の中央の抵抗値と、前記転写ローラの前記軸方向の端部の抵抗値とが、近接するまたは実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記弾性層の前記軸方向の中央の抵抗値と、前記弾性層の前記軸方向の端部の抵抗値との差分を、実質的に補完する抵抗値で設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の転写装置。
【請求項5】
前記被覆層は、前記転写ローラが前記感光体に圧接されているときの、前記軸方向の内側端部における前記被覆層が設けられる前の前記転写ローラの抵抗値と、前記軸方向の外側端部における前記被覆層が設けられた後の前記転写ローラの抵抗値とが実質的に等しくなるように、設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の転写装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、
前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体と
を備えていることを特徴とする、感光体カートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載の感光体カートリッジと、
前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材と
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載の転写装置と、
前記転写ローラが圧接可能に対向配置され、現像剤像を担持する感光体と、
前記転写ローラの軸方向の両端部を、前記感光体に向けて押圧する押圧部材と
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−104192(P2009−104192A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26230(P2009−26230)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【分割の表示】特願2007−19863(P2007−19863)の分割
【原出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【分割の表示】特願2007−19863(P2007−19863)の分割
【原出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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