説明

転動疲労寿命打切り試験の設計・解釈方法,装置,プログラム

【課題】 転動疲労寿命打切り試験における、打切り寿命、試験個数、試験中止基準の設計や、試験結果の解釈を行う。これらの計算を、乱数を用いずに行えて、確率的誤差を低減させ、かつ短時間で計算可能とする。
【解決手段】 コンピュータに対して、情報を入力する入力過程(P1)と、回答演算処理過程(P2)とを含む。打切り寿命の設計の場合、回答演算処理過程(P2)では、次式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1)を用いる。ここで、目標とする打切り寿命:Ai 、寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受等の転がり接触を生じる機械部品やその材料となる試験対象品の転動疲労寿命試験として、目標とする寿命まで部品が破損しなければ、要求される寿命を満足すると判断する打切り試験において、上記目標とする寿命,試験個数、試験中止基準の設計や、試験結果を解釈する方法、装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
転動疲労寿命に関する試験は、転がり接触を生じる部品の性能を評価するために欠かせない試験である。寿命試験には、目標とする寿命まで破損が起こらなければ、その寿命は問題ないと判断する試験がある(以下、このような試験を「打切り試験」と呼ぶ)。寿命試験では、より多くの試験片が破損することなく試験が継続するほど高い信頼性が得られるが、寿命試験は納期や試験機械台数等の制約条件下で行われるため、信頼性が確保できる範囲で、試験個数と適切な打ち切り寿命を定めることが必要である。信頼性が確保できていないと判断するための試験中止基準時間についても、無駄に試験を継続しないために、適正な時間を設計することが必要となる。
【0003】
従来より、打切り試験では、試験個数や打切り寿命を決める試験の設計、及びその結果の解釈、例えば試験結果からの寿命範囲を見積もる解釈等は、熟練者が経験的に行ってきた。しかし、試験の経験が少ない技術者にとって試験の設計とその結果の解釈は困難である。
最近、試験の設計と結果の解釈を、経験が少ない技術者にでも、合理的に実施できる方法が開発された(特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128683号公報
【特許文献2】特開2008−128690号公報
【特許文献3】特開2008−145414号公報
【特許文献4】特開2008−145415号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】アール.ビー.アバネシー(R. B.Abernethy)著, 新計測ハンドブック第5版(The New Weibull Handbook 5th edition), 2006, chapter 6.
【非特許文献2】信頼性ハンドブック 日本信頼性学会編,日科技連出版社 (1997) 209p.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の開発例(特許文献1〜4)は、いずれも、(1) 乱数を用いているので、計算結果に確率的誤差が生じるという問題、および(2) 確率的誤差を低減させるために繰り返し計算を実行するため、計算時間が長くなるという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、打切り試験の設計や結果の解釈で行う各種計算を、乱数を用いなくても可能にできて、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済む方法、装置、およびプログラムを提案することである。
この発明の具体的な目的は、打切り試験の打切り寿命の設計について、乱数を用いなくても可能にできて、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済む方法、装置、およびプログラムを提案することである。
この発明の具体的な他の目的は、打切り試験の試験個数の設計について、乱数を用いなくても可能にできて、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済む方法、装置、およびプログラムを提案することである。
この発明の具体的のさらに他の目的は、打切り試験の試験中止基準寿命の設計について、乱数を用いなくても可能にできて、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済む方法、装置、およびプログラムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の転動疲労寿命打切り試験の設計方法は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、コンピュータを用いて、上記の目標とする打切り寿命を定める設計方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(P1)と、この入力過程(P1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータで計算する回答演算処理過程(P2)とを含み、
上記回答演算処理過程(P2)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程(P1)で入力する定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0009】
第1の設計方法によると、上記計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、寿命の累積分布関数の逆関数G-1(x)が定まっていれば、信頼度R、破損個数iを定めることで、打切り寿命Ai と試験個数nの関係が一義的に定まる。そのため、信頼度R、試験個数n、および破損個数iを入力することにより、打切り寿命Ai が求まる。このため、転動疲労寿命試験の打切り寿命の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0010】
第1の設計方法において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数であっても、また対数正規分布の関数や、ワイブル分布の関数であっても良い。機械部品やその素材等の寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の逆関数に従うため、試験対象物の寿命の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、精度良く打切り寿命を設計することができる。
【0011】
一般的には、機械部品やその素材等の転動疲労寿命は、次式 (1A) のワイブル分布で定まる寿命分布となる。
【数1】

ただし、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ
このため、上記打切り試験が、目標とする打切り寿命Ai まで破損しなければ要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命試験の場合、
上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式(2A)を用い、
【数2】

ただし、
打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
信頼度:R、
試験個数:n、
である。
上記入力過程で入力する定められた各項目のうち、上記逆関数における未定の母数は、上記形状母数e、尺度母数α、および位置母数γのうちの、計算式に定められていない母数とすれば良い。これらの母数のe,α,γのうち、既知の母数は計算式に定数として定めておき、個々の設計時には、未定の母数のみに入力するようにしても良い。個々の設計時に全ての母数e,α,γを入力して定めるようにしても良い。
ワイブル分布を用いる場合は、このように、上記の式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
にワイブル分布の逆関数G-1を反映させた式である上記の式(2A)を計算に用いることにより、転動疲労寿命試験の場合における目標とする打切り寿命を適切にかつ容易に求めることができる。
【0012】
この発明の第1の転動疲労寿命打切り試験の設計装置は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、上記の目標とする打切り寿命を定める設計装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する入力促し画面出力手段6と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8に記憶させる入力処理手段7と、上記入力情報記憶手段8に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータで計算する回答演算処理手段9とを含み、
上記回答演算処理手段9では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段6で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0013】
第1の設計装置によると、上記の計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の打切り寿命の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0014】
この発明の第1の転動疲労寿命打切り試験の設計プログラム11は、
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、上記の目標とする打切り寿命を定めるプログラムであり、
表示装置の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す入力促し画面出力手順(Q1)と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順(Q2)と、
実行命令に応答して、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータで計算する回答演算処理手順(Q3)とを含み、
上記回答演算処理手順(Q3)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順(Q1)で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程(Q3)で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0015】
第1の設計プログラム(11)によると、上記の計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の打切り寿命の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0016】
この発明の第2の転動疲労寿命打切り試験の設計方法は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、コンピュータを用いて、試験個数nを定める設計方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(R1)と、この入力過程(R1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理過程(R2)とを含み、
上記回答演算処理過程(R2)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程(R1)で入力する定められた各項目は、目標とする打切り寿命Ai 、信頼度R、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0017】
第2の設計方法によると、上記の計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の試験個数の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0018】
第2の設計方法において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数であっても、また対数正規分布の関数や、ワイブル分布の関数であっても良い。機械部品やその素材等の転動疲労寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の関数に従うため、試験対象物の寿命の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、適切な試験個数を設計することができる。
【0019】
第2の設計方法においても、上記打切り試験が、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命試験の場合、上記ワイブル分布の式(1A)を反映させた式(2A)式を用い、適切な試験個数を設計することができる。
【数3】

ただし、
打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
信頼度:R、
試験個数:n、
である。
【0020】
この発明の第2の転動疲労寿命打切り試験の設計装置は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、試験個数nを定める設計装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置2の画面に出力する入力促し画面出力手段6Aと、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Aに記憶させる入力処理手段7Aと、上記入力情報記憶手段8Aに記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理手段9Aとを含み、
上記回答演算処理手段9Aでは、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段6Aで情報の入力を促す定められた各項目は、目標とする打切り寿命Ai 、信頼度R、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段9Aで用いる上記の寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0021】
第2の設計装置によると、上記の計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の試験個数の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0022】
この発明の第2の転動疲労寿命打切り試験の設計プログラム12は、
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、試験個数nを定めるプログラムであり、
表示装置の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す入力促し画面出力手順(S1)と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順(S2)と、
実行命令に応答して、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理手順(S3)とを含み、
上記回答演算処理手順(S3)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順(S1)で情報の入力を促す定められた各項目は、目標とする打切り寿命Ai 、信頼度R、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手順(S3)で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0023】
第2の設計プログラムによると、上記の計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の試験個数の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0024】
この発明の第3の転動疲労寿命打切り試験の設計方法は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、コンピュータを用いて、その水準の寿命が要求寿命を満足できないと判断する試験中止基準の寿命を定める設計方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(T1)と、この入力過程(T1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の試験中止基準の寿命Ci を上記コンピュータで計算する回答演算処理過程(T2)とを含み、
上記回答演算処理過程(T2)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、試験中止基準の寿命:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程(T1)で入力する定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0025】
第3の設計方法によると、上記の計算式Ci =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の試験中止基準の時間Ci の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0026】
第3の設計方法において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数であっても、また対数正規分布の関数や、ワイブル分布の関数であっても良い。機械部品やその素材等の転動疲労寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の関数に従うため、試験対象物の寿命の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、打切り試験の試験中止基準の時間Ci を精度良く設計することができる。
【0027】
第3の設計方法においても、上記打切り試験が、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命試験の場合、上記ワイブル分布の式(1A)を反映させた式(2C) を用いて、打切り試験の試験中止基準の時間Ci を精度良く設計することができる。
【数4】

ただし、
試験中止基準の時間:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、
試験個数:n、
である。
【0028】
この発明の第3の転動疲労寿命打切り試験の設計装置は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、その水準の寿命が要求寿命強度を満足できないと判断する試験中止基準の寿命を定める設計装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置2の画面に出力する入力促し画面出力手段6Bと、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Bに記憶させる入力処理手段7Bと、上記入力情報記憶手段8Bに記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の試験中止基準の寿命Ci を上記コンピュータで計算する回答演算処理手段9Bとを含み、
上記回答演算処理手段9Bでは、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、試験中止基準の時間:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段6Bで情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0029】
第3の設計装置によると、上記の計算式Ci =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の試験中止基準の時間の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0030】
この発明の第3の転動疲労寿命打切り試験の設計プログラム13は、
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、その水準の寿命が要求寿命を満足できないと判断する試験中止基準の時間を定めるプログラムであり、
表示装置2の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す入力促し画面出力手順(U1)と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順(U2)と、
実行命令に応答して、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、定められた計算式に従って、上記の試験中止基準の時間Ci を上記コンピュータで計算する回答演算処理手順(U3)とを含み、
上記回答演算処理手順(U3)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、試験中止基準の時間:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順(U1)で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手順で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0031】
第3の設計プログラムによると、上記の計算式Ci =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、打切り試験の試験中止基準の時間の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0032】
この発明の転動疲労寿命打切り試験の解釈方法は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、一部の試験対象品が破損し残りの試験対象品が破損していない場合に、コンピュータを用いて、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もる方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(V1)と、
この入力過程(V1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の寿命Di を上記コンピュータで計算する回答演算処理過程(V2)とを含み、
上記回答演算処理過程(V2)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命 :Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程(V1)で入力する定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0033】
この解釈方法によると、上記の計算式、Di =G-1(B-1(R,i,n−i+1))、およびEi =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もるにつき、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0034】
この解釈方法において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数であっても、また対数正規分布の関数や、ワイブル分布の関数であっても良い。転がり接触する機械部品やその素材等の転動疲労寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の関数に従うため、試験対象物の寿命の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、試験結果から試験対象品のロットの寿命Di を精度良く見積もることができる。
【0035】
この解釈方法においても、上記打切り試験が、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命試験の場合、上記ワイブル分布の式(1A)を反映させた式(2D),(2E)を用い、試験結果から試験対象品のロットの寿命Di を精度良く見積もることができる。
【数5】

ただし、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命:Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
信頼度:R、
試験個数:n、
である。
【0036】
この発明の転動疲労寿命打切り試験の解釈装置は、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、一部の試験対象品が破損し残りの試験対象品が破損していない場合に、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もる装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置2の画面に出力する入力促し画面出力手段6Cと、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Cに記憶させる入力処理手段7Cと、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の寿命Di を上記コンピュータで計算する回答演算処理手段9Cとを含み、
上記回答演算処理手段9Cでは、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命 :Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段6Cで情報の入力を促す定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0037】
この解釈装置によると、上記の計算式、Di =G-1(B-1(R,i,n−i+1))、およびEi =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もるにつき、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【0038】
この発明の転動疲労寿命打切り試験の解釈プログラム14は、
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、一部の試験対象品が破損し残りの試験対象品が破損していない場合に、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もるプログラムであって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する入力促し画面出力手順(W1)と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順(W2)と、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の寿命Di を上記コンピュータで計算する回答演算処理手順(W3)とを含み、
上記回答演算処理手順(W3)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命 :Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順(W1)で情報の入力を促す定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手順で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする。
【0039】
第4の設計プログラムによると、上記の計算式、Di =G-1(B-1(R,i,n−i+1))、およびEi =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もるにつき、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。
【発明の効果】
【0040】
この発明の第1の転動疲労寿命打切り試験の設計方法、装置、プログラムは、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、計算式として、Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用い、ただし寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)とするため、打切り寿命Ai の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0041】
この発明の第2の転動疲労寿命打切り試験の設計方法、装置、プログラムは、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、計算式として、Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用い、ただし、打切り寿命:Ai 、寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)とするため、試験個数の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0042】
この発明の第3の転動疲労寿命打切り試験の設計方法、装置、プログラムは、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、計算式として、Ci =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用い、ただし、試験中止基準の時間:Ci 、寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)とするため、試験結果から試験対象品のロットの寿命Di を見積もるにつき、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0043】
この発明の転動疲労寿命打切り試験の解釈方法、装置、プログラムは、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、計算式として、Di =G-1(B-1(R,i,n−i+1))、およびEi =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用い、ただし、未破損データの寿命:Di 、破損データの寿命:Ei 、寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1))、B-1(1−R,i,n−i+1))とするため、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もるにつき、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る転動疲労寿命打切り試験の設計装置の概略ブロック図である。
【図2】同試験の設計装置の概念構成を示すブロック図である。
【図3】同設計装置を用いた打切り寿命を求める試験の設計方法を示す流れ図である。
【図4】同設計方法で打切り寿命を求める試験の設計プログラムを示す流れ図である。
【図5】同設計装置による入力促し画面例の説明図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る転動疲労寿命打切り試験の設計装置の概略ブロック図である。
【図7】同試験の設計装置の概念構成を示すブロック図である。
【図8】同設計装置を用いて試験個数を求める試験の設計方法の流れ図である。
【図9】同設計方法で試験個数を求める試験の設計プログラムを示す流れ図である。
【図10】同設計装置による入力促し画面例の説明図である。
【図11】この発明の第3の実施形態に係る転動疲労寿命打切り試験の設計装置の概略ブロック図である。
【図12】同試験の設計装置の概念構成を示すブロック図である。
【図13】同設計装置で試験中止基準を求める試験の設計方法の流れ図である。
【図14】同設計方法で試験中止基準を求める試験の設計プログラムを示す流れ図である。
【図15】同設計装置による入力促し画面例の説明図である。
【図16】この発明の第4の実施形態に係る転動疲労寿命打切り試験の解釈装置の概略ブロック図である。
【図17】同試験の解釈装置の概念構成を示すブロック図である。
【図18】同解釈装置で試験結果を解釈する試験の解釈方法の流れ図である。
【図19】同解釈方法で試験結果を解釈する試験の解釈プログラムを示す流れ図である。
【図20】同解釈装置による入力促し画面例の説明図である。
【図21】この発明の第5の実施形態に係る転動疲労寿命打切り試験の設計・解釈装置の概略ブロック図である。
【図22】同試験の設計・解釈装置の概念構成を示すブロック図である。
【図23】同設計・解釈装置で行う設計および解釈方法の流れ図である。
【図24】同設計・解釈方法を実施する試験の設計・解釈プログラムを示す流れ図である。
【図25】各種パラメータを変更したときの全数打ち切り寿命の変化を比較して示すグラフである。
【図26】図25の左上部分の拡大図である。
【図27】図25の左下部分の拡大図である。
【図28】図25の中央上部分の拡大図である。
【図29】図25の中央下部分の拡大図である。
【図30】図25の右側部分の拡大図である。
【図31】図25の結果につき、Log(t1 −γ)を縦軸、1/1eを横軸にした図である。
【図32】破損データの確率密度関数とワイブル分布の累積分布関数(模式図、試験個数1の場合)の説明図である。
【図33】ワイブル分布の累積分布関数G(x)におけるG-1(p)との関係を示す図である。
【図34】破損データの累積分布関数とワイブル分布の累積分布関数(試験個数3の場合)を示す図である。
【図35】この発明で用いる式による全数打切り寿命と乱数シミュレーションで求めた全数打切り寿命の関係を示す図である。
【図36】この発明の式で用いた全数打切り寿命と最尤法で求めた全数打切り寿命の関係を示す図である。
【図37】ワイブル分布を示す説明図である。
【図38】試験個数と全数打切り寿命の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
この発明の第1の実施形態を説明する。この転動疲労寿命打切り試験の設計方法は、軸受等の試験対象物を所定の使用環境条件におき、目標時間である打切り時間まで破損することなく試験が継続すれば、要求寿命を満足すると判断する転動疲労寿命の打切り試験(以下、単に「打切り試験」と称す)につき、上記打切り時間を見積もる方法である。なお、軸受の他の機械部品やその試験片等の試験対象物の打切り試験における打切り時間を見積もる場合にも適用できる。
この実施形態の打切り寿命試験における試験の設計方法は、例えば、一つのロットの試験対象物(例えば軸受)の中から一部の試験対象物を抜き取って打切り寿命試験を行い、そのロットの寿命を確認する試験等において、打切り時間を定める場合に適用される。
【0046】
以下、この実施形態を図1ないし図5と共に説明する。なお、同実施形態で用いる計算式の導出については、後に図25〜図37と共に説明する。
この打切り寿命試験における試験の設計方法は、図1に示すコンピュータ1に、試験の設計プログラム11を実行させることで行う。コンピュータ1はパーソナルコンピュータ等からなり、中央処理装置4およびメモリ5を有し、所定のオペレーションシステムによって動作するものである。コンピュータ1には、液晶表示装置等の画面によって表示可能な表示装置2と、キーボードやマウス等の入力装置3が接続され、あるいは付属して設けられている。コンピュータ1、表示装置2、入力装置3、および設計プログラム6により、図2に各機能達成手段をブロックで示した打切り寿命試験の設計装置が構成される。同図の試験の設計装置の構成については、後に説明する。
設計プログラム11は、コンピュータ1で実行可能なプログラムであって、目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、上記の目標とする打切り寿命を定めるプログラムであり、図4に流れ図で示す手順を備える。
【0047】
この試験の設計方法は、図2に示すように、コンピュータ1に対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(P1)と、この入力過程(P1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータ1で計算する回答演算処理過程(P2)と、同コンピュータ1により表示装置2の画面やプリンタ等の出力装置(図示せず)に演算結果を出力する出力過程(P3)とからなる。
【0048】
入力過程(P1)1は、図4の設計プログラム11の入力促し画面出力手順(Q1)および入力処理手順(Q2)で実行する過程である。回答演算処理過程(P2)は、図4の回転演算処理手順(Q3)で実行する過程である。出力過程(P3)は、図4の出力処理手順(Q4)で実行する過程である。
【0049】
図4において、設計プログラム11は、入力促し画面出力手順(Q1)と、入力処理手順(Q2)と、回答演算処理手順(Q3)と、出力処理手順(Q4)とでなる。入力促し画面出力手順(Q1)は、表示装置2の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す手順であり、入力処理手順(Q2)は上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8に記憶させる手順であり、回答演算処理手順(Q3)は、上記入力情報記憶手段8に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータ1で計算する手順である。出力処理手順(Q4)は、回答演算処理手順(Q3)で計算された結果を、表示装置2の画面、またはコンピュータ1に接続されたプリンタ等の出力機器(図示せず)に出力させる手順である。
【0050】
回答演算処理手順(Q3)は、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用いる。この式の導出については後に説明する。
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0051】
上記寿命の累積分布関数の逆関数G-1(x)は、正規分布の逆関数であっても良く、また対数正規分布の逆関数や、ワイブル分布の逆関数であっても良い。機械部品やその素材等の転動疲労寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の関数に従うため、試験対象物の寿命の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、精度良く打切り寿命を設計することができる。
【0052】
転動疲労寿命試験であって、上記累積分布関数G(x)がワイブル分布である場合、回答演算処理手順(Q3)は、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用いる代わり、次式(2A)を用いても良い。その理由は後に説明する。
【数6】

ただし、
打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n+1−i)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0053】
上記入力促し画面出力手順(Q1)において、情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程(Q3)で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である。ここで未定の母数としたのは、上記寿命の累積分布関数の逆関数における各母数は、上記の式の中で定められた固定の値としても良く、式の中で定められていない母数につき入力させる。信頼度Rおよび試験個数nも、固定の値として式中に定めておいても良い。
【0054】
図5は、入力促し画面出力手順(Q1)で表示する入力促し画面2aの一例を示す。同図の例は、累積分布関数の逆関数G-1(x)をワイブル分布の逆関数であるとして、打切り時間を求める場合の例である。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目の表示と、その項目の表示に隣接する矩形状の入力ボックスの表示とされ、または選択有無を入力させるボタンの表示とされている。入力ボックスには、数字等を入力する。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目は、ワイブル分布の逆関数の母数のうち、ワイブルスロープ(換言すれば、形状母数)eと、試験個数nと、信頼度Rとしている。信頼度Rについては、L10寿命かL50寿命のいずれかを選択させ、かつその寿命時間を入力させる。寿命時間は、1回の負荷時間が定められている場合、負荷回数で示しても良い。上記ワイブル分布の逆関数の母数のうち、残りの母数である尺度母数αと、位置母数γは、固定の値とされ、ワイブル分布の逆関数を示す式中に定めている。破損個数iについては、全数未破損の場合の打切り時間を設計する場合は、i=0となる固定の値とする。一部の試験対象物に破損が生じた場合にも適用できるようにする場合は、iを1,2,3等の任意の値に固定値として定めておいても良く、また入力促し画面出力手順(Q1)でiの値の入力させるようにしても良い。
【0055】
図3と共に、打切り寿命試験における試験の設計装置につき説明する。この設計装置は、打切り試験において、上記の目標とする打切り寿命を定める設計装置であって、図1と共に説明したコンピュータ1と、このコンピュータ1で実行させる図4の前記設計プログラム11とで構成され、図3に示す各機能手段を有するものとなる。
この設計装置は、入力促し画面出力手段6、入力処理手段7、入力情報記憶手段8、回答演算手段9、および結果出力手段10を備える。入力情報記憶手段8は、メモリ5の一部の記憶領域一部となる。入力促し画面出力手段6は、設計プログラム11の入力促し画面出力手順(Q1)の処理を行う手段である。入力処理手段7は、入力処理手順(Q2)の処理を行う手段であり、回答演算手段9は、回転演算処理手順(Q3)の処理を行う手段である。結果出力手段10は、出力処理手順(Q4)の処理を行う手段である。
【0056】
各手段6〜10の機能は、設計プログラム11の各手順で説明した通りであるが、明確のために説明する。入力促し画面出力手段6は、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する手段である。入力処理手段7は、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8に記憶させる手段である。回答演算処理手段9は、上記入力情報記憶手段8に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータで計算する手段である。回答演算処理手段9では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用いる。この式の内容については、前述したとおりである。上記入力促し画面出力手段6で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命累積分布関数の逆関数における未定の母数である。
【0057】
この実施形態の試験の設計方法、設計装置、および設計プログラム11によると、上記の計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、寿命の累積分布関数の逆関数G-1(x)が定まっていれば、信頼度R、破損個数iを定めることで、打切り寿命Ai と試験個数の関係が、後に図38に示す例のように一義的に定まる。そのため、信頼度R、試験個数n、および破損個数iを入力することにより、打切り寿命Ai が求まる。このため、打切り試験の打切り寿命の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0058】
図6〜図10は、第2の実施形態を示し、試験個数nを定める設計に用いる。この実施形態は、特に説明する事項の他は、図1〜図5と共に前述した第1の実施形態と同様である。この実施形態の打切り寿命試験における試験の設計方法は、打切り試験において、コンピュータを用いて、試験個数nを定める設計方法である。
【0059】
この設計方法は、図6に示すコンピュータ1に、試験の設計プログラム12を実行させることで行う。コンピュータ1は、図1と共に前述したものである。設計プログラム12は、コンピュータ1で実行可能なプログラムであって、打切り試験において、上記試験個数nを定めるプログラムであり、図4に流れ図で示す手順を備える。
【0060】
この試験方法は、図8に示すように、コンピュータ1に対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(R1)と、この入力過程(R1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理過程(R2)と、同コンピュータ1により表示装置2の画面やプリンタ等の出力装置(図示せず)に演算結果を出力する出力過程(R3)とからなる。
【0061】
入力過程(R1)は、図9の設計プログラム12の入力促し画面出力手順(S1)および入力処理手順(S2)で実行する過程である。回答演算処理過程(R2)は、図4の回転演算処理手順(S3)で実行する過程である。出力過程(R3)は、図4の出力処理手順S4で実行する過Aである。
【0062】
図9において、設計プログラム12は、入力促し画面出力手順(S1)と、入力処理手順(S2)と、回答演算処理手順(S3)と、出力処理手順(S4)とでなる。入力促し画面出力手順(S1)は、表示装置2の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す手順であり、入力処理手順(S2)は上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8に記憶させる手順であり、回答演算処理手順(S3)は、上記入力情報記憶手段8に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータ1で計算する手順である。出力処理手順(S4)は、回答演算処理手順(S3)で計算された結果を、表示装置2の画面、またはコンピュータ1に接続されたプリンタ等の出力機器(図示せず)に出力させる手順である。
【0063】
上記回答演算処理手順(S3)は、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用る。
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0064】
上記寿命の累積分布関数の逆関数G-1(x)は、正規分布の逆関数であっても良く、また対数正規分布の逆関数や、ワイブル分布の逆関数であっても良い。機械部品やその素材等の転動疲労寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の関数に従うため、試験対象物の寿命の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、精度良く打切り寿命を設計することができる。
【0065】
転がり接触する機械部品やその材料の転動疲労寿命試験であって、上記累積分布関数G(x)がワイブル分布である場合、回答演算処理手順(S3)は、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用いる代わり、次式(2A)を用いても良い。その理由は後に説明する。
【数7】

ただし、
打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0066】
上記入力促し画面出力手順(S1)で情報の入力を促す定められた各項目は、目標とする打切り寿命Ai 、信頼度R、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手順(S3)で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である。
【0067】
図10は、入力促し画面出力手順(S1)で表示する入力促し画面2aの一例を示す。同図の例は、累積分布関数の逆関数G-1(x)をワイブル分布の逆関数であるとして、試験個数を求める場合の例である。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目の表示と、その項目の表示に隣接する矩形状の入力ボックスの表示とされ、または選択有無を入力させるボタンの表示とされている。入力ボックスには、数字等を入力する。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目は、ワイブル分布の逆関数の母数のうち、ワイブルスロープ(換言すれば、形状母数)eと、打切り時間Ai と、信頼度Rとしている。信頼度Rについては、L10寿命かL50寿命のいずれかを選択させ、かつその寿命時間を入力させる。寿命時間は、1回の負荷時間が定められている場合、負荷回数で示しても良い。上記ワイブル分布の逆関数の母数のうち、残りの母数である尺度母数αと、位置母数γは、固定の値とされ、ワイブル分布の逆関数を示す式中に定めている。破損個数iについては、打切り時間Ai の値として定められる。全数未破損の場合の打切り時間を設計する場合は、i=0、すなわち打切り時間Ai =A0 となる値を入力する。一部の試験対象物に破損が生じた場合にも適用できるようにする場合は、A1 ,A2 ,…等の値を打切り時間として入力する。
【0068】
図7と共に、打切り寿命試験における試験の設計装置につき説明する。この設計装置は、打切り試験において、上記試験個数nを定める設計装置であって、図6と共に説明したコンピュータ1と、このコンピュータ1で実行させる図9の前記設計プログラム12とで構成され、図7に示す各機能手段を有するものとなる。
この設計装置は、入力促し画面出力手段6A、入力処理手段7A、入力情報記憶手段8A、回答演算手段9A、および結果出力手段10を備える。入力情報記憶手段8Aは、メモリ5の一部の記憶領域一部となる。入力促し画面出力手段6Aは、設計プログラム12の入力促し画面出力手順(S1)の処理を行う手段である。入力処理手段7Aは、入力処理手順(S2)の処理を行う手段であり、回答演算手段9Aは、回転演算処理手順(S3)の処理を行う手段である。結果出力手段10は、出力処理手順(Q4)の処理を行う手段である。
【0069】
各手段6A〜9A,10の機能は、設計プログラム12の各手順で説明した通りであるが、明確のために説明する。入力促し画面出力手段6Aは、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する手段である。入力処理手段7Aは、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Aに記憶させる手段である。回答演算処理手段9Aは、上記入力情報記憶手段8Aに記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータ1で計算する手段である。回答演算処理手段9Aでは、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用いる。この式の内容については、前述したとおりである。上記入力促し画面出力手段6Aで情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度Rおよび打切り時間Ai 並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数、例えばワイブルスロープ(形状母数)eである。
【0070】
第2の実施形態の試験の設計方法、設計装置、および設計プログラム12によると、上記の計算式Ai =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を用いるため、寿命の累積分布関数の逆関数G-1(x)が定まっていれば、信頼度R、破損個数iを定めることで、打切り寿命Ai と試験個数の関係が、後に図38に示す例のように一義的に定まる。そのため、信頼度R、試験個数n、および破損個数iを入力することにより、打切り寿命Ai が求まる。このため、打切り試験の試験個数nの設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0071】
図11〜図15は、第3の実施形態を示し、中止判断基準を定める設計に用いる。この実施形態は、特に説明する事項の他は、図1〜図5と共に前述した第1の実施形態と同様である。この実施形態の打切り寿命試験における試験の設計方法は、打切り試験において、コンピュータを用いて、中止判断基準となる試験継続時間Ci を定める設計方法である。
【0072】
この設計方法は、図11に示すコンピュータ1に、試験の設計プログラム13を実行させることで行う。コンピュータ1は、図1と共に前述したものである。設計プログラム13は、コンピュータ1で実行可能なプログラムであって、打切り試験において、中止判断基準となる時間(試験継続時間)Ci を定めるプログラムであり、図14に流れ図で示す手順を備える。
【0073】
この試験方法は、図13に示すように、コンピュータ1に対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(T1)と、この入力過程(T1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理過程(T2)と、同コンピュータ1により表示装置2の画面やプリンタ等の出力装置(図示せず)に演算結果を出力する出力過程(T3)とからなる。
【0074】
入力過程(T1)は、図14の設計プログラム13の入力促し画面出力手順(U1)および入力処理手順(U2)で実行する過程である。回答演算処理過程(T2)は、図4の回転演算処理手順(U3)で実行する過程である。出力過程(T3)は、図14の出力処理手順U4で実行する過程である。
【0075】
図14において、設計プログラム13は、入力促し画面出力手順(U1)と、入力処理手順(U2)と、回答演算処理手順(U3)と、出力処理手順(U4)とでなる。入力促し画面出力手順(U1)は、表示装置2の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す手順であり、入力処理手順(U2)は上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Bに記憶させる手順であり、回答演算処理手順(U3)は、上記入力情報記憶手段8Bに記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータ1で計算する手順である。出力処理手順(U4)は、回答演算処理手順(U3)で計算された結果を、表示装置2の画面、またはコンピュータ1に接続されたプリンタ等の出力機器(図示せず)に出力させる手順である。
【0076】
上記回答演算処理手順(U3)は、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用る。この式の導出については、後に説明する。
ここで、試験中止基準の時間:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0077】
上記寿命の累積分布関数の逆関数G-1(x)は、正規分布の逆関数であっても良く、また対数正規分布の逆関数や、ワイブル分布の逆関数であっても良い。転がり接触する機械部品やその素材の転動疲労寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の関数に従うため、試験対象物の寿命の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、精度良く打切り寿命を設計することができる。
【0078】
転動疲労寿命試験であって、上記累積分布関数G(x)がワイブル分布である場合、回答演算処理手順(S3)は、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用いる代わり、次式(2C)を用いても良い。その理由は後に説明する。
【数8】

ただし、
試験中止基準の時間:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0079】
上記入力促し画面出力手順(U1)で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である。
【0080】
図15は、入力促し画面出力手順(U1)で表示する入力促し画面2aの一例を示す。同図の例は、累積分布関数の逆関数G-1(x)をワイブル分布の逆関数であるとして、中心判断基準となる試験継続時間を求める場合の例である。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目の表示と、その項目の表示に隣接する矩形状の入力ボックスの表示とされ、または選択有無を入力させるボタンの表示とされている。入力ボックスには、数字等を入力する。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目は、ワイブル分布の逆関数の母数のうち、ワイブルスロープ(換言すれば、形状母数)eと、試験個数nと、打切り時間Ai と、信頼度Rと、この信頼度Rで得られる寿命Ai としている。信頼度Rについては、L10寿命かL50寿命のいずれかを選択させる。打切り時間は、1回の負荷時間が定められている場合、負荷回数で示しても良い。上記ワイブル分布の逆関数の母数のうち、残りの母数である尺度母数αと、位置母数γは、固定の値とされ、ワイブル分布の逆関数を示す式中に定めている。破損個数iについては、打切り時間Ai の値として定められる。全数未破損の場合の打切り時間を設計する場合は、i=0、すなわち打切り時間Ai =A0 となる値を入力する。一部の試験対象物に破損が生じた場合にも適用できるようにする場合は、A1 ,A2 ,…等の値を打切り時間として入力する。
【0081】
図12と共に、打切り寿命試験における試験の設計装置につき説明する。この設計装置は、打切り試験において、上記試験個数nを定める設計装置であって、図11と共に説明したコンピュータ1と、このコンピュータ1で実行させる図14の前記設計プログラム13とで構成され、図12に示す各機能手段を有するものとなる。
この設計装置は、入力促し画面出力手段6B、入力処理手段7B、入力情報記憶手段8B、回答演算手段9B、および結果出力手段10を備える。入力情報記憶手段8Bは、メモリ5の一部の記憶領域一部となる。入力促し画面出力手段6Bは、設計プログラム13の入力促し画面出力手順(U1)の処理を行う手段である。入力処理手段7Bは、入力処理手順(U2)の処理を行う手段であり、回答演算手段9Bは、回転演算処理手順(U3)の処理を行う手段である。結果出力手段10は、出力処理手順(Q4)の処理を行う手段である。
【0082】
各手段6B〜9B,10の機能は、設計プログラム13の各手順で説明した通りであるが、明確のために説明する。入力促し画面出力手段6Bは、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する手段である。入力処理手段7Bは、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Bに記憶させる手段である。回答演算処理手段9Bは、上記入力情報記憶手段8Bに記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータ1で計算する手段である。
回答演算処理手段9Bでは、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用る。
を用いる。この式の内容については、前述したとおりである。上記入力促し画面出力手段6Bで情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度Rおよび打切り時間Ai 並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数、例えばワイブルスロープ(形状母数)eである。
【0083】
第3の実施形態の試験の設計方法、設計装置、および設計プログラム13によると、上記の計算式Ci =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、中止判断基準とする試験継続時間の設計について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0084】
図16〜図20は第4の実施形態を示し、試験結果の解釈に用いる。この実施形態は、特に説明する事項の他は、図1〜図5と共に前述した第1の実施形態と同様である。この実施形態の打切り寿命試験における試験の解釈方法は、打切り試験において、コンピュータを用いて、試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命Di を見積もる方法である。
【0085】
この解釈方法は、図16に示すコンピュータ1に、試験の解釈プログラム14を実行させることで行う。コンピュータ1は、図1と共に前述したものである。解釈プログラム14は、コンピュータ1で実行可能なプログラムであって、打切り試験において、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を定めるプログラムであり、図19に流れ図で示す手順を備える。
【0086】
この解釈方法は、図18に示すように、コンピュータ1に対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程(V1)と、この入力過程(V1)で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命Di を上記コンピュータ1で計算する回答演算処理過程(V2)と、同コンピュータ1により表示装置2の画面やプリンタ等の出力装置(図示せず)に演算結果を出力する出力過程(V3)とからなる。
【0087】
入力過程(V1)は、図19の設計プログラム14の入力促し画面出力手順(W1)および入力処理手順(W2)で実行する過程である。回答演算処理過程(V2)は、図18の回転演算処理手順(W3)で実行する過程である。出力過程(V3)は、図18の出力処理手順W4で実行する過程である。
【0088】
図19において、解釈プログラム14は、入力促し画面出力手順(W1)と、入力処理手順(W2)と、回答演算処理手順(W3)と、出力処理手順(W4)とでなる。入力促し画面出力手順(W1)は、表示装置2の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す手順であり、入力処理手順(W2)は上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Cに記憶させる手順であり、回答演算処理手順(W3)は、上記入力情報記憶手段8Cに記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命Di を、上記コンピュータ1で計算する手順である。出力処理手順(W4)は、回答演算処理手順(W3)で計算された結果を、表示装置2の画面、またはコンピュータ1に接続されたプリンタ等の出力機器(図示せず)に出力させる手順である。
【0089】
上記回答演算処理過程(V2)では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用いる。これらの式の導出については、後に説明する。
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命:Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0090】
上記寿命の累積分布関数の逆関数G-1(x)は、正規分布の逆関数であっても良く、また対数正規分布の逆関数や、ワイブル分布の逆関数であっても良い。機械部品やその素材等の転動疲労寿命は、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布の関数に従うため、試験対象物の寿命や強度の特性を示す関数として上記の各関数を用いることにより、試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命または強度Di を精度良く設計することができる。
【0091】
転動疲労寿命試験であって、上記累積分布関数G(x)がワイブル分布である場合、回答演算処理手順(V3)は、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用いる代わり、次式(2D)(2E)を用いても良い。その理由は後に説明する。
【数9】

ただし、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命:Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
である。
【0092】
上記入力過程(V1)で入力する定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である。
【0093】
図20は、入力促し画面出力手順(W1)で表示する入力促し画面2aの一例を示す。同図の例は、累積分布関数の逆関数G-1(x)をワイブル分布の逆関数であるとして、試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命Di を求める場合の例である。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目の表示と、その項目の表示に隣接する矩形状の入力ボックスの表示とされ、または選択有無を入力させるボタンの表示とされている。入力ボックスには、数字等を入力する。この画面では、情報の入力を促す定められた各項目は、ワイブル分布の逆関数の母数のうち、ワイブルスロープ(換言すれば、形状母数)eと、試験個数nと、未破損の試験対象物の個数(n−i(i:破損個数))と、試験の継続時間Ei としている。信頼度Rについては、L10寿命かL50寿命のいずれかを選択させる。打切り時間は、1回の負荷時間が定められている場合、負荷回数で示しても良い。上記ワイブル分布の逆関数の母数のうち、残りの母数である尺度母数αと、位置母数γは、固定の値とされ、ワイブル分布の逆関数を示す式中に定めている。
【0094】
図17と共に、打切り寿命試験における試験の設計装置につき説明する。この設計装置は、打切り試験において、試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命Di を求める解釈装置であって、図16と共に説明したコンピュータ1と、このコンピュータ1で実行させる図19の前記設計プログラム14とで構成され、図17に示す各機能手段を有するものとなる。
この設計装置は、入力促し画面出力手段6C、入力処理手段7C、入力情報記憶手段8C、回答演算手段9C、および結果出力手段10を備える。入力情報記憶手段8Cは、メモリ5の一部の記憶領域一部となる。入力促し画面出力手段6Cは、設計プログラム13の入力促し画面出力手順(W1)の処理を行う手段である。入力処理手段7Cは、入力処理手順(W2)の処理を行う手段であり、回答演算手段9Cは、回転演算処理手順(W3)の処理を行う手段である。結果出力手段10は、出力処理手順(W4)の処理を行う手段である。
【0095】
各手段6C〜9C,10の機能は、解釈プログラム14の各手順で説明した通りであるが、明確のために説明する。入力促し画面出力手段6Cは、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する手段である。入力処理手段7Cは、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段8Bに記憶させる手段である。回答演算処理手段9Cは、上記入力情報記憶手段8Bに記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命Di を上記コンピュータ1で計算する手段である。
回答演算処理手段9Cでは、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用いる。
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命):Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命:Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命または強度)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
である。
この式の内容については、前述したとおりである。上記入力促し画面出力手段6Cで情報の入力を促す定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である。
【0096】
この実施形態の試験の解釈方法、解釈装置、および解釈プログラム14によると、上記の計算式Di =G-1(B-1(R,i,n−i+1))、Ei =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))を用いるため、試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命Di について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0097】
図21〜図24は、この発明の第5の実施形態を示す。この実施形態は、第1〜第4の実施形態を一つにまとめた設計・解釈方法、設計・解釈装置、設計・解釈プログラムに係り、打切り寿命、試験個数、中止判断基準、および試験結果から判断できる試験対象品のロットの寿命の内の任意の事項の内容を求めることを可能としたものである。特に説明する事項の他は、第1〜第4の実施形態につき述べたとおりである。
この打切り寿命試験における試験の設計・解釈方法は、図21に示すコンピュータ1に、試験の設計・解釈プログラム16を実行させることで行う。この試験の設計・解釈プログラム16は、第1〜第3の実施形態における設計プログラム11〜13と、第4の実施形態における解釈プログラム14と、これらのプログラム11〜14を切り換えて機能させる切換プログラム15とでなる。設計・解釈プログラム16において、上記各設計プログラム11〜13および解釈プログラム14につき、共通して使用できるプログラム部分については、例えばサブプログラムとして一つ設け、共通して使用するようにしても良い。
【0098】
図23において、この設計・解釈方法は、選択過程(X1)と目的別過程(X2)とでなる。選択過程(X1)は、打切り寿命を求める設計方法(図3)と、試験個数を求める設計方法(図8)と、中止判断基準を求める設計方法(図13)と、解釈方法(図18)とのいずれを行うかを選択する過程である。目的別過程(X2)は、その選択された方法(図3、図8、図13、図18)を実施する過程である。
【0099】
図24において、この設計・解釈プログラム16は、選択手順(Y1)と目的別手順(Y2)とでなる。選択手順(Y1)は、打切り寿命を求める設計プログラム(図4)と、試験個数を求める設計プログラム(図9)と、中止判断基準を求める設計プログラム(図14)と、解釈プログラム(図19)とのいずれを実行するかを選択する手順である。目的別手順(Y2)は、その選択されたプログラム(図4、図9、図14、図19)を実行する手順である。選択手順(Y1)は、上記いずれのプログラム11〜14を選択するかの入力を促す画面を出力装置2の画面に出力する手順と、この後に入力された選択入力に応じて、その選択されたプログラムに処理を移行させる手順とでなる。
【0100】
図22において、この設計・解釈装置は、図21と共に説明したコンピュータ1と、このコンピュータ1で実行させる図24の設計・解釈プログラム16とで構成され、図22に示す各機能手段を有するものとなる。
この設計・解釈装置は、入力促し画面出力手段6D、入力処理手段7D、入力情報記憶手段D、回答演算手段9D、および結果出力手段10を備える。入力情報記憶手段8Dは、メモリ5の一部の記憶領域一部となる。入力促し画面出力手段6Dは、設計・解釈プログラム16の選択手順(Y1)における選択の入力促し画面の出力と、その選択されたプログラム11〜14における入力促し画面出力手順(Q1,S1,U1,W1)における入力促し画面の出力とを行う手段である。入力処理手段7Dは、選択手順(Y1)で選択された入力に応じて、前記プログラム11〜14に処理を移行させる処理と、その移行したプログラム11〜14における入力処理手順(Q2,S2,U2,W2)の処理を行う手段である。回答演算手段9Dは、第1〜第4の実施形態における回答演算処理手段9,9A,9B,9Cからなる。回答演算手段9Dにおいて、第1〜第4の実施形態における回転演算処理手段9,9A,9B,9Cで共通して使用される部分は、一つの処理手段部として設けられていても良い。結果出力手段10は、第1〜第4の実施形態における各結果出力手段10を含む。
【0101】
この実施形態の試験の設計・解釈方法、設計・解釈装置、および設計解釈プログラム16によると、打切り寿命、試験個数、中止判断基準、および試験結果から判断できる試験対象品のロットの転動疲労寿命について、乱数を用いなくても可能にでき、計算精度が高く、確率的誤差を低減させることができ、かつ計算時間が短くて済み、従来のように計算機を占有することがない。また、また、上記の計算式によるため、従来の最尤法を使った計算式により柔軟な対応が可能である。
【0102】
次に、上記の計算式、
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
および他の各計算式の導出を行う。ここでは、寿命分布がワイブル分布に従う寿命試験を例にして、上記計算式の導出を行う。一般的に、軸受等の機械部品の転動疲労寿命は、ワイブル分布に従うとされている。
【0103】
図25〜図30に、各種パラメータを変更したときの全数打切り寿命の変化を示す。図25は各種の例を並べて示してあり、図26〜図30は、図25の各部の拡大図を示す。全数打切り寿命は、与えられた寿命分布よりも長寿命であると判断するために必要な、全試験片の打切り時間という意味である。ここで、図25〜図30の計算結果は、乱数シミュレーション(特許文献1〜4等に記載の方法)で得られたものである。これらの図の中で、最も傾向が分かりやすい図は、概ね線形な変化が見られる(1) 尺度母数依存性と、(2) 位置母数依存性の行の図である。尺度母数依存性の図を見ると(横軸)、全数打切り寿命は尺度母数の増加にしたがって、線形に増加するが、その傾きが位置母数以外のパラメータ(形状母数、信頼度、試験個数)によって変化していることがわかる。また、位置母数依存性の図を見ると(横軸)、全数打切り寿命は、その他のパラメータ(形状母数、信頼度、試験個数)によらず、位置母数が1増加するにつれて1 増加していることが分かる。これらのことから、全数打切り寿命の式の形は、尺度母数と位置母数に比例し、位置母数の比例定数が1の、以下の式(1) になると推測できる。
【0104】
t=γ+α・ξ(e,n,R) 式(1)
ここで、全数打切り寿命:ti 、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、試験個数:n、信頼度R
【0105】
この式の形は、以下の式(3) に示すワイブル分布の累積分布関数G(x)の逆関数G-1(G(x))の形に近い。
【0106】
【数10】

ここで、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、
なお、図37は、ワイブル分布の一例を示す。
【0107】
以上から、全数打切り寿命は、ワイブル分布の累積分布関数の逆関数に何かを代入したものであると推測した。すなわち、全数打切り寿命の式の形は、以下の式(4) になると推定した。
【0108】
【数11】

ここで、全数打切り寿命:ti 、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、試験個数:n、信頼度R
【0109】
もしも、全数打切り寿命がワイブル分布の累積分布関数の逆関数に、試験個数と信頼度によって決まる値を代入したものであるならば、以下の式(5) に示すように、
Log(ti −γ)は、1/eに比例するはずである。
【0110】
【数12】

図31に、図25〜図30の結果を縦軸、1/eを横軸にした図を示す。図から、Log(ti −γ)は、1/eに比例していることが分かる。したがって、全数打切り寿命は、ワイブル分布の累積分布関数の逆関数に、n、Rによって決まる値を代入した結果である可能性が高いと考えられる。以上の内容は、以下で説明していく定式化を検討する動機になったものである。
【0111】
次に、ワイブルプロットの縦軸である累積破損確率を求めるのに用いられるメディアンランクという考え方を使って、図25〜図30の結果について考察する。メディアンランクの意味を説明するための模式図を図32に示す。ある寿命分布に従う水準の試験片を抜き取り、試験を行って得た破損データは、縦軸の累積破損確率のどこかの位置に分布する。図32のAの分布は、試験個数1個中1個の破損データの累積破損確率の位置での分布を示しており、その分布の累積破損確率0.5の位置はメディアンランクと呼ばれている。メディアンランクの近似値は以下の式(6) で求めることができるので、試験個数1個中1個のメディアンランクは0.5になる。
【0112】
【数13】

ここで、破損データを昇順に並べたときの順番:i、試験個数:n
【0113】
これは、試験個数1個中1個の破損データの累積破損確率の位置は、0〜1の間で分布するが、累積破損確率0.5以上に位置する信頼度は50%ということを示している。このメディアンランクの累積破損確率0.5をワイブル分布(e=1、α=1、γ=1)の累積分布関数へ代入して得られる寿命xは、以下になる。
【0114】
【数14】

【0115】
この寿命xは、試験個数n=1、昇順にデータを並べたときの順番i=1、信頼度R=0.5によって決まるメディアンランクを、ワイブル分布の累積分布関数の逆関数に代入した結果に他ならない。この結果の物理的な意味は、ワイブル分布(e=1、α=1、γ=1)に従う母集団から試験片を1個抜き取り、試験を行って得られる破損データが50%の確率で1.693以下になるという意味である。すなわち、これは50%の信頼度での全数打切り寿命を計算したことになる。この結果と乱数シミュレーションで得られた結果である「x=1.651」は、ほぼ一致していた。
以上のことから、全数打切り寿命は、図32のAの分布を任意の信頼度で求めることができれば、任意の信頼度に対する全数打切り寿命を求めることができると考えられる。
【0116】
そこで、以下では、図32のAの分布を任意の信頼度Rで求める式を導出する。一般に、不良率がpである母集団から、n個を抜き取ったときに不良品が個発生する確率は、以下の式(7) の二項分布で表される。
【0117】
【数15】

【0118】
今、図33のようなワイブル分布の累積分布関数G(x)があり、G-1(p)(すなわちG(x)の逆関数にpを代入したもの)以下の寿命を不良とすれば、n個中、G-1(p)以下の寿命になる(= 不良になる)個数がk個発生する確率Pk は、上記の式(7) で計算できる。仮に、p=0.1とすると、G-1(p)は、図33で10%寿命を示すことになるので、このときのPk は、10%寿命以下になる個数が個中個である確率を示すことになる。
【0119】
次に、i個より少ない個数がG-1(p)以下で破損する累積破損確率について考える。その累積確率は0〜i−1の確率の和であるから、以下の式(8) で表される。
【0120】
【数16】

【0121】
同様に、少なくともi個の個数がG-1(p)以下で破損する累積破損確率は、以下の式(9) で表される。
【数17】

【0122】
いわゆる、順位統計量の分布であり、今、その分布関数をとおくと、式(10)になる。
【数18】

【0123】
この式は、別の形で表すと、以下の式(11)で表すことができる。
【数19】

【0124】
この関係は、右辺を部分積分し、漸化式の形にすることによって求められる。この分布関数は階乗が入っているから、引数nとiに対しては連続分布ではない。ここで、小数点の階乗を表すことができるガンマ関数を使って式(11)を表すと、以下の式(12)になる。
【0125】
【数20】

【0126】
ガンマ関数とベータ関数β(x,y)(ベータ分布とは別のもの)には以下の式(13)の関係がある。
【数21】

【0127】
したがって、式(12)を、式(13)の関係を使って表すと、以下の式(14)になる。
【数22】

【0128】
これは、ベータ分布関数の0〜p までの積分であるから、V′m (p)は、以下の式(15)で示されるベータ分布関数β(p,i,n−i+1)の累積分布関数になっている。
【0129】
【数23】

【0130】
必要な結果は、「n個中i番目のデータがどの程度の信頼度R(=V′m (p))で、どの累積破損確率pに位置するか」であるから、得たい関数はV′m (p)の逆関数、すなわちベータ分布関数の累積分布関数の逆関数、B-1(R,i,n−i+1)になる。
【0131】
以上のように、ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数B-1(R,i,n−i+1)は、二項確率から原理的に求められるものであり、二項確率における前提(ランダムな試験片の抜き取り、母集団が十分な数を有する)が成立するなら、n個中i番目の破損データの累積破損確率の位置に対して厳密な計算結果を与える。
【0132】
このように導かれたベータ分布関数の累積分布関数の逆関数をワイブル分布の累積分布関数の逆関数に代入すると、試験個数nのときの全数打切り寿命は以下の式(16)で計算できる。
【0133】
【数24】

ここで、全数打切り寿命:ti 、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、試験個数:n、信頼度R
【0134】
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数B-1(R,i,n−i+1)はマイクロソフト社のエクセル(登録商標)等の最近の表計算ソフトやプログラミングソフトに用意されているので、全数打切り寿命は計算できる。
【0135】
次に、試験個数が3個の場合(n=3,i=1,2,3)について考える。この場合、1、2、3番目の破損データは、それぞれ累積破損確率のどこかの位置に分布する(以下、この分布のことをランクの確率分布と呼ぶ)。図34に1、2、3番目のランクの確率分布の累積分布関数、ワイブル分布の累積分布関数(α,β,γ=1)、これら2つの分布から得られる1、2、3番目の破損データの寿命軸での累積分布関数の関係を示す。今、この中の1 番目の破損データだけに着目すると、1番目に破損するデータの信頼度90%での累積破損確率は、B-1(0.9,1.3−1+1)=0.536である。これは、1番目に破損するデータが90%の確率で累積破損確率0.536以下に位置するデータであることを示している。この3個中1番目に破損するデータの信頼度90%である0.536の値を、ワイブル分布の累積分布関数の逆関数に代入した値は、1.77になる。したがって、3個中1個目の破損データが1.77以上である状況は、α,β,γ=1の母数を持つワイブル分布では10%のレアケースということになり、そのワイブル分布よりも長寿命であるといえる信頼度は90%といえる。1個目の破損データが1.77以上という状況は、他の試験片が破損していない全数未破損の状況であるから、この値は試験片3個での全数打切り寿命ということになる。同様な考え方で、1個破損時の残存試験片の打切り寿命は、2番目の破損データに対する計算結果になるので、以下の計算結果になる。
【0136】
【数25】

【0137】
以上のことから、打切り寿命は以下の式(17)により任意の条件で計算できる。
【数26】

ここで、打切り寿命:ti (i=1:全数打切り寿命、i:2,3,…:1,2個破損時の打切り寿命)、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度R、試験個数:n
【0138】
さらに、目標寿命が満たせない可能性が高いと判断できる試験中止基準寿命についても式(17)の応用で計算できる。今、式(17)に、R=0.1、n=3、i=1の値を入力すると、試験個数3個における10%の信頼度での全数打切り寿命が得られるが、この全数打切り寿命は1番目の破損データの下側10%の確率で得られる寿命と見ることもできる。したがって、それ以下の寿命で破損が生じた場合、所定の母数を持つワイブル分布よりも短寿命である信頼度が90%といえる。以上のことから、試験中止基準寿命は以下の式(18)により任意の条件で計算できる。
【0139】
【数27】

ここで、試験中止基準寿命:Ti (i:1,2,3 …個破損時の試験中止基準寿命)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度R、試験個数:n
【0140】
式(16)から得られる全数打切り寿命と乱数シミュレーションを使って求めた全数打切り寿命の関係を図35に示す。この図から明らかなように、両者の計算結果はほぼ一致している。
【0141】
一方、最尤法と呼ばれる尤度関数を最大化して解を求める方法を用いて、ワイブル分布に従う寿命試験での全数打切り寿命を算出する方法がある。その式は以下の式(19)で表される(上記の非特許文献1または非特許文献2)。
【0142】
【数28】

ここで、全数打切り寿命:t、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度(0〜1):R、目標とするp(0〜100)%寿命:Lp
【0143】
この式は、1個破損時の残存試験片の打切り寿命、目標寿命が満たせない可能性が高いと判断できる試験中止基準寿命や位置母数を考慮した場合の計算はできない(個別の条件で最尤法を使って定式化すれば、計算式は作成できると考えられるが、数学的知識が必要になる)。したがって、本計算式は、従来の計算式よりも柔軟に対応できる式であるといえる。また、本計算式は、寿命が正規分布、対数正規分布等どのような確率分布に従っても、累積分布関数の逆関数が得られている場合は、全数打切り寿命や試験中止基準寿命を計算することができる。図36に式(16)で計算した全数打切り寿命と式(19)で計算した全数打切り寿命の関係を示す。両者の計算結果は、完全に一致していることが分かる。
【0144】
以上は、寿命分布がワイブル分布に従う寿命試験を例にしたが、本発明の計算式はすべての寿命試験に対して応用できる。以下に、本発明をより一般的に表した式(20),(21) を示す。
【0145】
【数29】

【0146】
ここで、
打切り寿命:Ai (i=1,2,3…:全数、0,1,2…個破損時の打切り寿命)、

試験中止基準寿命:Ci (i=1,2,3…:1,2,3…個破損時の試験中止基準寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n
【0147】
なお、試験結果から寿命の範囲を算出する場合も、式(20)と式(21)を応用でき、以下の式(22),(23) を用いて計算できる。
【0148】
【数30】

ここで、
未破損データの寿命:Di (i=1,2,3…:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命:Ei (i=1,2,3…:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、B-1(1−R,i,n−i+1)信頼度:R、試験個数:n
【0149】
寿命試験のデータは、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布等に従う場合が多い。また、正規分布、対数正規分布、ワイブル分布では逆関数が得られるので、この発明は、ほとんどの寿命試験に対応できる方法であるといえる。
【0150】
以上のように、この発明は、試験の設計とその結果を解釈するする各種計算を計算式で行えるので、従来の方法のように計算機を占有することがなく、その計算結果の精度も高い。また、この発明の計算式は、従来の最尤法を使った計算式よりも柔軟な対応が可能である。
【0151】
つぎに、図38のように、試験個数と全数打切り寿命の関係が、上記の式、
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
によって一義的に求まる理由を具体例で説明する。
今、仮に、軸受の試験を例にする。軸受の寿命分布はワイブル分布に従うとされているきで、以下は、G(x)が次のワイブル分布の場合の例になる。
【数31】

【0152】
今、軸受の寿命分布の形状母数eが1.1で既知であるとするまた、軸受の位置母数γとL10寿命には、以下の関係が有るとする。これは、複数の研究者が多数の試験を行い、その結果から軸受の寿命分布を実験的に求めた値である。
γ=0.05・L10 式(24)
【0153】
そして、今、この発明を使って目標寿命L10=100hよりも長寿命である信頼度が90%である全数打切り寿命と試験個数の関係を求めることとする。このとき、まずは、ワイブル分布の母数3つを求める必要がある。今、形状母数eが1.1である。そしてL10=100hから、以下の式を使って、尺度母数αを求める。最後に、式(24)を使って位置母数γを計算する。
【0154】
【数32】

【0155】
すると、ワイブル分布の母数3つ以下のように求められる。
e=1.1、α=735、γ=5
【0156】
最後に、この発明の式であるAi =G-1(B-1(R,i,n−i+1))を使って、全数打切り寿命と試験個数の関係を計算してみる。このとき、信頼度R=0.9で、全数打切り時間なので破損個数i=1になる。
【数33】

【0157】
この式から計算できる全数打切り寿命と試験個数との関係は、上記の図38のようになり、全数打切り寿命Ai と試験個数nとの関係が一義的な関係となる。この図から、試験個数がきまれば、打切り時間を設定できる。
【0158】
以上から手順の概略を整理すると、(1) 寿命分布の母数の設定、(2) この発明の式を使った打切り寿命の計算の順になる。(1) の母数の設定は、目標とする寿命分布を設定することによって決定できる。ワイブル分布の場合、3つの母数を持っているから、目標とする寿命分布を設定するためには、母数に関する3つ以上の関係式が必要である。目標とするL10寿命を設定することは、それぞれの分布の母数に関する関係式を設定することにほかならない。この例はワイブル分布であるが、この発明はどのような分布でも目標とする寿命分布を設定できれば、打切り時間を計算できるということになる。
【0159】
試験個数の設計についても、上記と同様にして図38の関係を求め、全数打切り寿命Ai が決めると、試験個数が定まる。
中止判断基準を求める場合も、上記と同様にして求めることができる。
【0160】
試験結果からの寿命の範囲の見積もりについては、上記の内容を逆算するプロセスになる。以下に具体的な例を示して説明する。今、以下のような軸受の寿命データがあるとする。
【表1】

【0161】
この結果は、以下のように何通りかの見方ができる。
(1) 10個10個の試験片が100h破損しなかった。
(2) 10個中9個の試験片が150h破損しなかった。
(3) 10個中8個の試験片が200h破損しなかった。
(4) 10個中1個目の試験片が100hで破損した。
(5) 10個中2個目の試験片が150hで破損した。
【0162】
それぞれ見方で寿命計算していく。(1) の見方に対して寿命を計算するということは、10個10個の試験片が100h破損しない状況は、90%の信頼度でいうと、どのような寿命分布より寿命が長くなるかを調べていくことになる。ここでもまた、軸受の場合を想定する。この場合、この発明の式の下限の式を使う。下限を計算するということは、ある信頼度で少なくともいえる寿命分布を計算することに他ならない。このとき、信頼度R=0.9で、試験個数n=10で、100hは1番目に短い寿命なのでi=1になる。
ワイブル分布に対する、下限の式、Di =G-1(B-1(R,i,n−i+1))の式に値を入力する。すると、次式となる。
【数34】

【0163】
ここで、軸受の寿命分布の形状母数eが1.1で既知であるとする。また、軸受の位置母数γとL10寿命には、γ=0.05・L10の関係が有るとする。したがって、以下の3つ式が得られる。
【数35】

【0164】
他方、Lp 寿命と尺度母数には上記の式(25)の関係が有ったので、pに10を入力すると、以下の式が得られる。
【0165】
【数36】

【0166】
今、未知数が4つで4つの式が得られたので、これらの連立方程式は解くことができる。その結果、L10の下限は以下になる。
10=50.4
【0167】
すなわち、(1) の見方から、90%の信頼度でL10寿命は50.4h以上になるという結論が得られたことになる。これと同様に、(2) ,(3) 解釈で寿命の下限を計算すると以下になる。
10=45.1
10=43.0
【0168】
(1) 、(2) 、(3) のどの見方も正しい見方であるから、得られる結論はすべて正しい結論になるが、L10寿命は90%の信頼度で50.4hという範囲をより限定できる結論が得られているわけであり、下限はこの結論を採用することになる。
【0169】
次に、上限であるが、これも上述と同じ手順になる。ここで、上限の計算は(4) ,(5) の見方に対して実施する。(4) の見方に対して寿命の上限を計算するということは、10個中1個の試験片が100hで破損する状況は、90%の信頼度でいうと、どのような寿命分布より寿命が短くなるかを調べていくことになる。ワイブル分布に対する、
i =G-1(B-1(R,i,n+1−i)
の式に値を入力する。このとき、信頼度R=0.9、試験個数n=10で、100hは1番目に破損した寿命なのでi=1になる。
【0170】
【数37】

【0171】
以上の式より、(4) の見方でのL10の下限は以下になる。
10=598.4
すなわち、(4) の見方から、90%の信頼度でL10寿命は598.4h以下になるという結論が得られたことになる。これと同様に、(5) の解釈で寿命の下限を計算すると以下になります。
10=256.2
【0172】
(4) ,(5) のどの見方も正しい見方であるから、得られる結論はすべて正しい結論になるが、L10寿命は90%の信頼度で256.2hという、範囲をより限定できる結論が得られているわけであるから、下限はこの結論を採用することになる。
その結果、寿命の範囲は以下になる。
50.4<L10<256.2
【0173】
転動疲労寿命試験において、寿命の累積分布関数G(x)がワイブル分布である場合についての具体例を説明する。転動疲労寿命は、一般的に累積分布関数G(x)がワイブル分布であるため、打切り寿命は次式(2A)で計算できる。
【0174】
【数38】

打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
【0175】
転動疲労寿命試験の場合、形状母数e、尺度母数α、位置母数γの決定(目標寿命の決定)には、以下の方法が使える。尺度母数αとなるワイブルスロープは実験によって得られた実績値を使う。また、位置母数γの決定については、過去の研究で得られた位置母数とL10寿命の関係式とワイブル分布の累積分布関数を使う。以下にそれら2つの式(27),(28) を示す。
【0176】
【数39】

ここで、10%寿命:L10、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ
【0177】
式(28)に累積破損確率0.1と累積破損確率0.01・p(p:%表示での累積破損確率)を代入すると、それぞれ以下の式(29),(30) が得られる。
【0178】
【数40】

【0179】
以上の2つの式と式(27)から、αとγは以下の式(31),(32) で表されることになる。
【数41】

ここで、%寿命:Lp 、形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ
【0180】
式(31)、(32)の右辺の未知数の中で、ワイブルスロープ(尺度母数α)は実験によって得られた実績値、Lp は目標とする寿命であるから、値は既知になる。したがって、計算時に必要なワイブル分布の母数e,α,γはすべて計算できることになる。以上より、ワイブルスロープがeの試験で、目標寿命を保障するための、試験個数における破損個数個での打切り寿命(信頼度)は、上記の式(31),(32),(17)で求めることができる。
【0181】
以下は計算結果の例を示す。表2に、この発明の式と乱数シミュレーションで求めた打切り時間、試験中止基準をそれぞれ示す。この計算は、ワイブルスロープがeの試験で試験個数10個を用意したときに、目標寿命を90%の信頼度で保障する条件で行っている。両者の計算結果は概ね一致していることが分かる。
【0182】
【表2】

【0183】
表3に、この発明の式と乱数シミュレーションで求めた寿命範囲をそれぞれ示す。この計算結果は、表中の寿命データの寿命分布がワイブルスロープe=1.1であるとして、90%の信頼度で言える寿命の範囲を計算したものである。この両者の計算結果も概ね一致している。
【0184】
【表3】

【0185】
これは全数打切り寿命を計算する具体例だけを計算した例になるが、この方法を使えば、どのくらいの試験個数を用意すれば、納期以内(全数打切り寿命)で試験を終了することができるかを、一般の疲労試験に対して計算できる。また、式の応用によって、試験結果から寿命の範囲や、目標寿命を満たさないと判断できる破損時間も計算できる。
【符号の説明】
【0186】
1…コンピュータ
2…表示装置
3…入力装置
6,6A,6B,6C…入力促し画面出力手段
7,7A,7B,7C…入力処理手段
8,8A,8B,8C…入力情報記憶手段
9,9A,9B,9C…回答演算処理手段
10…出力結果出力手段
11〜13…設計プログラム
14…解釈プログラム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、コンピュータを用いて、上記の目標とする打切り寿命を定める設計方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程と、この入力過程で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータで計算する回答演算処理過程とを含み、 上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項2】
請求項1において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項3】
請求項1において、上記寿命の累積分布関数が、対数正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項4】
請求項1において、上記寿命の累積分布関数が、ワイブル分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項5】
請求項1において、上記累積分布関数が次式で定まるワイブル分布の関数であり、
【数1】

上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式を用い、
【数2】

ただし、
打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目のうち、上記逆関数における未定の母数は、上記形状母数e、尺度母数α、および位置母数γのうちの、計算式に定められていない母数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項6】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、上記の目標とする打切り寿命を定める設計装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する入力促し画面出力手段と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手段と、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータで計算する回答演算処理手段とを含み、
上記回答演算処理手段では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計装置。
【請求項7】
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、上記の目標とする打切り寿命を定めるプログラムであり、
表示装置の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す入力促し画面出力手順と、
上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順と、
実行命令に応答して、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の目標とする打切り寿命Ai を上記コンピュータで計算する回答演算処理手順とを含み、
上記回答演算処理手順では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1)
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計プログラム。
【請求項8】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、コンピュータを用いて、試験個数nを定める設計方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程と、この入力過程で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理過程とを含み、
上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目は、目標とする打切り寿命Ai 、信頼度R、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項9】
請求項8において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項10】
請求項8において、上記寿命の累積分布関数が、対数正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項11】
請求項8において、上記寿命の累積分布関数が、ワイブル分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項12】
請求項8において、上記累積分布関数が次式で定まるワイブル分布の関数であり、
【数3】

上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式を用い、
【数4】

ただし、
打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目のうち、上記逆関数における未定の母数は、上記形状母数e、尺度母数α、および位置母数γのうちの、計算式に定められていない母数である打切り寿命における試験の設計方法。
【請求項13】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、試験個数nを定める設計装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する入力促し画面出力手段と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手段と、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理手段とを含み、
上記回答演算処理手段では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段で情報の入力を促す定められた各項目は、目標とする打切り寿命Ai 、信頼度R、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計装置。
【請求項14】
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、試験個数nを定めるプログラムであり、
表示装置の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す入力促し画面出力手順と、
上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順と、
実行命令に応答して、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記試験個数nを上記コンピュータで計算する回答演算処理手順とを含み、 上記回答演算処理手順では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、目標とする打切り寿命:Ai (i=1,2,3…、Ai はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の打切り寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順で情報の入力を促す定められた各項目は、目標とする打切り寿命Ai 、信頼度R、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手順で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計プログラム。
【請求項15】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、コンピュータを用いて、その水準の寿命が要求寿命を満足できないと判断する試験中止基準の時間Ci を定める設計方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程と、この入力過程で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の試験中止基準の時間Ci を上記コンピュータで計算する回答演算処理過程とを含み、
上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、試験中止基準の時間:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項16】
請求項15において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項17】
請求項15において、上記寿命の累積分布関数が、対数正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項18】
請求項15において、上記寿命の累積分布関数が、ワイブル分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項19】
請求項15において、上記累積分布関数が次式で定まるワイブル分布の関数であり、
【数5】

上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式を用い、
【数6】

ただし、
試験中止基準の時間:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の時間)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目のうち、上記逆関数における未定の母数は、上記形状母数e、尺度母数α、および位置母数γのうちの、計算式に定められていない母数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項20】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、その水準の寿命が要求寿命を満足できないと判断する試験中止基準の寿命を定める設計装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する入力促し画面出力手段と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手段と、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の試験中止基準の寿命Ci を上記コンピュータで計算する回答演算処理手段とを含み、
上記回答演算処理手段では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、試験中止基準の寿命:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計装置。
【請求項21】
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、その水準の寿命が要求寿命を満足できないと判断する試験中止基準の寿命を定めるプログラムであり、
表示装置の画面に、定められた各項目の内容となる情報の入力を促す入力促し画面出力手順と、
上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順と、
実行命令に応答して、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、定められた計算式に従って、上記の試験中止基準の寿命Ci を上記コンピュータで計算する回答演算処理手順とを含み、
上記回答演算処理手順では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、試験中止基準の寿命:Ci (i=1,2,3…、Ci はiがそれぞれ0,1,2…個だけ破損した時の試験中止基準の寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(1−R,i,n−i+1)、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順で情報の入力を促す定められた各項目は、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手順で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験の設計プログラム。
【請求項22】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、一部の試験対象品が破損し残りの試験対象品が破損していない場合に、コンピュータを用いて、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もる方法であって、
コンピュータに対して、定められた各項目の内容となる情報を入力する入力過程と、この入力過程で入力された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の寿命Di を上記コンピュータで計算する回答演算処理過程とを含み、
上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
を用い、
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命 :Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理過程で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験結果の解釈方法。
【請求項23】
請求項22において、上記寿命の累積分布関数が、正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の解釈方法。
【請求項24】
請求項22において、上記寿命の累積分布関数が、対数正規分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の解釈方法。
【請求項25】
請求項22において、上記寿命の累積分布関数が、ワイブル分布の関数である転動疲労寿命打切り試験の解釈方法。
【請求項26】
請求項22において、上記累積分布関数が次式で定まるワイブル分布の関数であり、
【数7】

上記回答演算処理過程では、上記定められた計算式として、次式を用い、
【数8】

ただし、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命:Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
形状母数:e、尺度母数:α、位置母数:γ、信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力過程で入力する定められた各項目のうち、上記逆関数における未定の母数は、上記形状母数e、尺度母数α、および位置母数γのうちの、計算式に定められていない母数である転動疲労寿命打切り試験の設計方法。
【請求項27】
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、一部の試験対象品が破損し残りの試験対象品が破損していない場合に、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もる装置であって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する入力促し画面出力手段と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手段と、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の寿命Di を上記コンピュータで計算する回答演算処理手段とを含み、 上記回答演算処理手段では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1))
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1))
、用い、
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命 :Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手段で情報の入力を促す定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手段で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験結果の解釈装置。
【請求項28】
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
目標とする打切り寿命まで破損しなければ、要求する寿命を満足すると判定する転動疲労寿命の打切り試験において、一部の試験対象品が破損し残りの試験対象品が破損していない場合に、試験結果から、試験対象品のロットの寿命Di を見積もるプログラムであって、
定められた各項目の内容となる情報の入力を促す画面を表示装置の画面に出力する入力促し画面出力手順と、上記各項目の入力された情報を入力情報記憶手段に記憶させる入力処理手順と、上記入力情報記憶手段に記憶された情報を用い、定められた計算式に従って、上記の寿命Di を上記コンピュータで計算する回答演算処理手順とを含み、 上記回答演算処理手順では、上記定められた計算式として、次式
i =G-1(B-1(R,i,n−i+1)
i =G-1(B-1(1−R,i,n−i+1)
を用い、
ここで、
未破損データの寿命(すなわち、試験対象品のロットの寿命)
:Di (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に短い寿命)、
破損データの寿命 :Ei (i=1,2,3…、:n個中1,2,3…番目に破損した寿命)、
寿命の累積分布関数の逆関数:G-1(x)、
ベータ分布関数の累積分布関数の逆関数:B-1(R,i,n−i+1)、
-1(1−R,i,n−i+1)、
信頼度:R、試験個数:n、
であり、
上記入力促し画面出力手順で情報の入力を促す定められた各項目は、試験結果である破損データの寿命Ei 、信頼度R、試験個数n、および破損個数i、並びに上記回答演算処理手順で用いる上記寿命の累積分布関数の逆関数における未定の母数である、
ことを特徴とする転動疲労寿命打切り試験結果の解釈プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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