説明

転送方法および転送装置

【課題】カプセル化判定を容易に実行可能とする転送装置を得ること。
【解決手段】本発明の転送装置は、パケットを転送するための転送装置であって、自装置が接続している網ごとにパケットのカプセル化の要否を対応付けたアクセス情報を記憶するパケット管理DB15と、アクセス情報と、パケットに含まれる宛先IPアドレスとに基づいて、当該パケットを転送すべき網、および当該網に対応するカプセル化の要否を判定するカプセル化判定部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケットの転送を実行する転送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及により、PC(Personal Computer)や携帯電話装置といった端末装置と、アクセス網との間の接続形態が多様化している。このため、ゲートウェイ装置よりアクセス網へパケットを転送する際に、IP(Internet Protocol)ヘッダなどのカプセル化が必要な場合と不要な場合があり、接続先に応じてカプセル化を行う転送方法が必要である。
【0003】
このような転送方法の一例として、下記特許文献1には、入力されたパケットについて着信アドレスをチェックし、チェック結果に基づいて、カプセル化/デカプセル化を実行可能とする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−190824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術によれば、複数存在する可能性がある着信アドレスを検索するので、カプセル化を判定するための処理負荷が高くなる可能性がある、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カプセル化判定を容易に実行可能とする転送装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、パケットを転送するための転送装置における転送方法であって、前記転送装置が接続している網ごとにパケットのカプセル化の要否を対応付けたアクセス情報と、パケットに含まれる宛先IPアドレスとに基づいて、当該パケットを転送すべき網、および当該網に対応するカプセル化の要否を判定するアクセス方式判定ステップ、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カプセル化判定を容易に実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明にかかる転送装置の実施の形態1の構成例を示す図である。
【図2】図2は、本実施の形態における通信ネットワークの一例を示す図である。
【図3】図3は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置の転送動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、パケット管理DBが保持する「Send_table」の構成例を示す図である。
【図5】図5は、パケット管理DBが保持する「Subnet_table」の構成例を示す図である。
【図6】図6は、パケット管理DBが保持する「ARP_entry_table」の構成例を示す図である。
【図7】図7は、パケット管理DBが保持する「Forward_judge_table」の構成例を示す図である。
【図8】図8は、パケット管理DBが保持する「PPPoE_Session_table」の構成例を示す図である。
【図9】図9は、パケット管理DBが保持する「ARP_entry_table2」の構成例を示す図である。
【図10】図10は、パケット管理DBが保持する「MAC_table」の構成例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態2の通信ネットワークの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる転送方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる転送装置の実施の形態1の構成例を示す図である。図1の転送装置は、制御部1内に、受信部11と、カプセル化判定部12と、ヘッダ情報付与部13と、パケット構築部14と、パケット管理DB15と、を備える。
【0012】
受信部11は、転送対象のパケットを受信する。カプセル化判定部12は、各パケットについてカプセル化の要否を判定する。ヘッダ情報付与部13は、カプセル化の要否に応じてヘッダ情報を付与する。パケット構築部14は、カプセル化の要否および付与されたヘッダ情報にしたがって、転送パケットを作成する。パケット管理DB15は、転送装置の制御部1内でパケットを一元管理するための識別子である「リソース識別子」に対して、パケットの転送に必要なデータ(カプセル化の要否,ヘッダの付与の状況,ヘッダ領域)を対応付けて管理するためのパケット転送テーブル(後述)と、パケット転送テーブルにデータを設定するために用いる管理テーブル(後述)を備えるデータベースである。
【0013】
図2は、本実施の形態における通信ネットワークの一例を示す図である。図2の通信ネットワークは、公衆一般網21と、ローカル網22と、ゲートウェイ装置23と、端末装置24とを備える。公衆一般網21は、端末装置24からのパケットを転送する際にカプセル化が必要となる網である。ローカル網22は、端末装置24からのパケットを転送する際にカプセル化が不要である網である。ゲートウェイ装置23は、図1の構成を具備する転送装置1により実現される。端末装置24は、ローカル網22に属し、ユーザパケットを送信するとする。
【0014】
なお、転送先となる網ごとに、カプセル化の要否および使用するヘッダ種別を対応付けた情報(アクセス情報)は、ゲートウェイ装置23が公衆一般網21,ローカル網22に対して接続を確立する際に、それぞれ決定される。この場合、ゲートウェイ装置23の通信部(図示せず)などは、各網に接続する他のゲートウェイとの間で接続を確立し、当該ゲートウェイから、当該ゲートウェイのIPアドレスと、当該網にてカプセル化が必要かどうかを通知される。たとえば、通信部は、アクセス情報を制御部1内のパケット管理DB15内に保存する。上記アクセス情報は、たとえば、「公衆一般網21のゲートウェイのIPアドレス,カプセル化要」,「ローカル網22のゲートウェイのIPアドレス,カプセル化不要」などである。なお、アクセス情報は、ゲートウェイ装置23が接続される網に応じて、予め登録されるとしてもよい。
【0015】
つづいて、以上のように構成されたゲートウェイ装置(転送装置)の転送処理を説明する。図3は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置の転送動作を示すフローチャートである。
【0016】
ゲートウェイ装置23の制御部1の受信部11は、端末装置24からローカル網22を介してパケットが送信され、当該パケットの本体であるパケットデータを受信すると(ステップS1)、予め決められた採番方法に則り当該パケットにリソース識別子を割当てる(ステップS2)。
【0017】
図4は、パケット管理DB15が保持する「Send_table」(パケット転送テーブル)の構成例を示す図である。図4の「Send_table」は、たとえば、「リソース識別子」,「処理状態進捗情報」,「アクセス方式」,「ヘッダ有効情報」,「Etherヘッダ領域」,「PPPoE(Point to Point Protocol over Ethernet(登録商標))ヘッダ領域」,「IPヘッダ領域」,「パケットデータ」といった項目を備える。「リソース識別子」は、受信部11により割当てられる、パケットを一元管理するための識別子である。「処理状態進捗情報」は、当該パケットの転送処理の進捗状況(転送処理中,転送終了など)である。「アクセス方式」は、パケットの宛先となる網がカプセル化を必要とするかどうかを示す。「ヘッダ有効情報」は、ヘッダの有効/無効、すなわち、ヘッダ(Etherヘッダ,PPPoEヘッダ)を付与するかどうかの状況を示す。「Etherヘッダ領域」は、Etherヘッダとしてパケットに被せるヘッダの内容である。「PPPoEヘッダ領域」は、PPPoEヘッダとしてパケットに被せるヘッダの内容である。「IPヘッダ領域」は、IPヘッダとしてパケットに被せるヘッダの内容である。「パケットデータ」は、端末装置24から受信したパケットデータである。
【0018】
なお、上記図4から、後述する図10までのテーブルは、リソース識別子を用いて、パケットに設定するデータを決定するためのテーブルである。図4は、パケット受信時にデータが登録されるテーブル(パケット転送テーブル)であるが、図5〜図10のテーブルは、ゲートウェイ装置23が予め保持するテーブル(以下、総称して「管理テーブル」ともいう)である。
【0019】
図3の処理に戻り、受信部11は、図4の「Send_table」の「リソース識別子」に割当てたリソース識別子をセットし、「パケットデータ」に受信したパケットデータをセットし、「処理状態進捗情報」に“転送処理中”とセットしたデータを、パケット管理DB15内の「Send_table」に登録する。そして、受信部11は、当該リソース識別子を指定して、カプセル化判定部12に対し、転送処理を実行すべき旨を指示する。
【0020】
ここで、「処理状態進捗情報」を管理する理由は、エントリを誤って解放することや、パケットデータを破棄することを回避するためである。
【0021】
カプセル化判定部12は、当該指示を受けると、指定されたリソース識別子をキーに、パケット管理DB15内の「Send_table」からパケットデータを読み出す。カプセル化判定部12は、予めパケット管理DB15内に記憶されているアクセス情報と、パケットデータに含まれる宛先IPアドレスとに基づいて、当該パケットを転送すべき網(公衆一般網21/ローカル網22)を認識する。そして、アクセス情報から転送先となる網に対応するカプセル化要否を取得し、「アクセス方式」にセットする。カプセル化判定部12は、当該リソース識別子を指定して、ヘッダ情報付与部13に対し、転送処理を実行すべき旨を指示する。
【0022】
ヘッダ情報付与部13は、受け取ったリソース識別子をキーに図4の「Send_table」を検索し(ステップS3)、「アクセス方式」を参照して、当該アクセス方式が示すカプセル化要否に基づいて、カプセル化が必要かどうかを判断する(ステップS4)。カプセル化が必要ではないと判断した場合(ステップS4:非カプセル化)、ステップS5以降の処理を行う。カプセル化が必要と判断した場合(ステップS4:カプセル化)、ステップS11以降の処理を行う。以下、場合を分けて説明する。
【0023】
<カプセル化不要と判定した場合>
この場合、端末装置24から受信したパケットについて、IPヘッダによるカプセル化を行う必要がない。ヘッダ情報付与部13は、まず、図4の「Send_table」の「パケットデータ」から宛先IPアドレスを取得する(ステップS5)。
【0024】
図5は、パケット管理DB15が保持する「Subnet_table」の構成例を示す図である。図5の「Subnet_table」は、「宛先IPアドレス」,「サブネットマスク」,「アクセス網GWアドレス」、といった項目を備える。「宛先IPアドレス」は、図4の「Send_table」の「パケットデータ」から取得する宛先IPアドレスである。「サブネットマスク」は、サブネットアドレスであって、「宛先IPアドレス」が同一サブネット内である場合に登録される情報である。「アクセス網GWアドレス」は、他のゲートウェイのIPアドレスであって、「宛先IPアドレス」が同一サブネット内ではない場合に登録される情報である。
【0025】
ヘッダ情報付与部13は、上記で取得したIPアドレスを用いて、図5の「Subnet_table」を検索し、「サブネットマスク」が登録されているかどうかをチェックする。「サブネットマスク」が登録されている場合、ヘッダ情報付与部13は、パケットが同一サブネットへのパケットであると判断し、図4の「Send_table」から取得したIPアドレスを宛先IPアドレスであると認識する(ステップS6)。一方、「サブネットマスク」が登録されてない場合、ヘッダ情報付与部13は、パケットが同一サブネット外へのパケットであると判断し、さらに、図5の「Subnet_table」から「アクセス網GWアドレス」を取得し、当該アクセス網GWアドレスを宛先IPアドレスであると認識する(ステップS6)。
【0026】
図6は、パケット管理DB15が保持する「ARP_entry_table」の構成例を示す図である。図6の「ARP_entry_table」は、「宛先IPアドレス」,「MAC DA」といった項目を備える。「宛先IPアドレス」は、IPアドレスである。「MAC DA」は、宛先MACアドレスである。
【0027】
つづいて、ヘッダ情報付与部13は、上記で認識した宛先IPアドレスをキーとして、図6の「MAC DA」を読み出す。そして、図4の「Send_table」の「Etherヘッダ領域」に、Etherヘッダである宛先MACアドレスをセットする(ステップS7)。
【0028】
また、ヘッダ情報付与部13は、図4の「Send_table」の「パケットデータ」から送信元IPアドレスを取得する(ステップS8)。
【0029】
図7は、パケット管理DB15が保持する「Forward_judge_table」の構成例を示す図である。図7の「Forward_judge_table」は、「端末装置IPアドレス」および「MAC SA」といった項目を備える。「端末装置IPアドレス」は、パケットの送信元であるIPアドレスであって、ここでは、端末装置24のIPアドレスである。「MAC SA」は、仮想MACアドレスであって、ここでは、端末装置24のMACアドレスである。
【0030】
ヘッダ情報付与部13は、図7の「Forward_judge_table」より「送信元MACアドレス」を取得し、図4の「Send_table」内の「Etherヘッダ領域」に、Etherヘッダである送信元MACアドレスをセットする(ステップS9)。また、ヘッダ情報付与部13は、図4の「Send_table」の「ヘッダ有効情報」に、Etherヘッダを付与している旨をセットする。
【0031】
以上のようにしてヘッダ情報を全て設定すると、ヘッダ情報付与部13は、当該リソース識別子を指定して、パケット構築部14に転送処理を実行すべき旨を指示する。
【0032】
当該指示を受けたパケット構築部14は、パケット管理DB15における図4の「Send_table」を用いて、パケットを構築する処理を行う。パケット構築部14は、「Send_table」の「ヘッダ有効情報」を参照する。そして、当該項目にて指定されたヘッダ領域(「Etherヘッダ領域」など)に設定されているデータを順番に読み出し、読み出したデータをそのままヘッダとして付与することで、送信パケットを作成する(ステップS10)。そして、パケット構築部14は、たとえば、制御部1の後段に接続される通信部(図示せず)に、作成した送信パケットを転送することで、パケットの転送制御を行う。
【0033】
パケット構築部14は、上記転送制御を行うと、「Send_table」の該当するパケットについてのエントリの「処理状態進捗情報」を“転送処理終了”などとしたうえで、当該エントリを削除する。
【0034】
このように、処理状態進捗情報をみてパケット転送テーブルの解放を判断するため、同時に複数のパケット転送処理を行う場合にも、処理の漏れが発生する可能性を低減でき、パケットの破棄などの発生を回避可能である。
【0035】
<カプセル化要と判定した場合の処理>
この場合、端末装置24から受信したパケットについて、IPヘッダによるカプセル化を行う必要がある。ヘッダ情報付与部13は、図4の「Send_table」の「IPヘッダ領域」に、送信元として自装置のIPアドレスを、宛先として「パケットデータ」に含まれる送信元IPアドレスを設定する。また、「ヘッダ有効情報」にIPヘッダを付与している旨を設定する(ステップS11)。
【0036】
図8は、パケット管理DB15が保持する「PPPoE_Session_table」の構成例を示す図である。図8の「PPPoE_Session_table」は、「PPPoE有無」,「PPPoE session ID」,「MAC DA」といった項目を備える。「PPPoE有無」は、自装置がPPPoE接続に対応するかどうかを示す。「PPPoE session ID」は、自装置からのPPPoE接続に用いるセッションIDである。「MAC DA」は、PPPoE接続における宛先となるMACアドレスである。
【0037】
ヘッダ情報付与部13は、図8の「PPPoE_Session_table」の「PPPoE有無」を参照し、当該「PPPoE有無」に基づいて、自装置がPPPoE接続であるかどうかを判断する(ステップS12)。PPPoE接続である場合には(ステップS12:有)、ヘッダ情報付与部13は、つづいて、「PPPoE session ID」と「MAC DA」とを読み出す。そして、図4の「Send_table」の「PPPoEヘッダ領域」に当該「PPPoE session ID」を設定し、「Etherヘッダ領域」にEtherヘッダである当該「宛先MACアドレス」を設定し、さらに、「ヘッダ有効情報」に、PPPoEヘッダを付与している旨およびEtherヘッダを付与している旨を設定する(ステップS13)。
【0038】
一方、PPPoE接続でない場合には(ステップS12:無)、ヘッダ情報付与部13は、図4の「Send_table」の「パケットデータ」から宛先IPアドレスを取得する。
【0039】
図9は、パケット管理DB15が保持する「ARP_entry_table2」の構成例を示す図である。図9の「ARP_entry_table2」は、「宛先IPアドレス」,「MAC DA」といった項目を備える。「宛先IPアドレス」は、IPアドレスである。「MAC DA」は、宛先MACアドレスである。
【0040】
ヘッダ情報付与部13は、上記で取得した宛先IPアドレスをキーとして、図9の「MAC DA」を読み出す。そして、図4の「Send_table」の「Etherヘッダ領域」に、当該「MAC DA」をセットする(ステップS14)。また、「ヘッダ有効情報」に、PPPoEヘッダを付与しない旨およびEtherヘッダを付与している旨を設定する。
【0041】
図10は、パケット管理DB15が保持する「MAC_table」の構成例を示す図である。図10の「MAC_table」は、自装置のMACアドレスであって送信元MACアドレスとなる「MAC SA」を備える。ヘッダ情報付与部13は、図10の「MAC_table」より「MAC SA」を読み出し、図4の「Send_table」内の「Etherヘッダ領域」に、Etherヘッダである「MAC SA」(送信元MACアドレス)を設定する(ステップS15)。
【0042】
以上のようにしてヘッダ情報を全て設定すると、ヘッダ情報付与部13は、当該リソース識別子を指定して、パケット構築部14に転送処理を実行すべき旨を指示する。
【0043】
当該指示を受けたパケット構築部14は、上述同様、ステップS10の処理を行う。そして、パケット構築部14は、たとえば、制御部1の後段に接続される通信部(図示せず)に作成した送信パケットを転送することで、パケットの転送制御を行う。また、同様に、「Send_table」の該当するパケットについてのエントリの「処理状態進捗情報」を“転送処理終了”などとしたうえで、当該エントリを削除する。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態では、通信装置(ゲートウェイ装置)が、自装置と接続する網のアクセス方式(カプセル化の要否)を予め保持し、端末装置より受信したパケットデータの宛先IPアドレスに基づいて、カプセル化の要否を判定することとした。これにより、網ごとにカプセル化の要否を判定できるので、たとえば、IPアドレスとアクセス方式とを関連付けた情報から逐一検索する場合に比べ、検索条件が簡素となり、処理時間を短縮可能である。したがって、カプセル化が必要な網と必要ではない網とが混在するような接続形態においても、転送処理を迅速かつ確実に実行可能となる。
【0045】
また、本実施の形態では、一元管理のための識別子を付与したうえで転送対象となるパケットデータをパケット転送テーブルに登録し、当該パケット転送テーブルに、転送のため必要となるヘッダ情報を設定することとした。そして、当該テーブルから各種ヘッダの内容となるヘッダ領域を取得して、当該ヘッダ領域をパケットデータに付与することで、転送パケットを作成することとした。
【0046】
これにより、転送に必要な情報をテーブルから取得可能となり、複雑な処理にてパケットデータを再構築する必要がなくなるので、高速にヘッダ付与処理を行うことが可能となる。したがって、簡易な構成により、転送装置の処理能力(転送能力)および処理効率を向上させることができる。
【0047】
また、パケット転送テーブルを、転送時に付与すべき各種ヘッダにあわせたフォーマットとした。これにより、パケット構築の際には、テーブルの項目に沿ってヘッダを付与すればよいため、高速な処理ができ、効率のよい転送が可能となる。
【0048】
また、リソース識別子を用いた一元管理によってパケットを処理するので、機能ブロックを複数に分割して転送装置を具現化する場合には、当該リソース識別子のみを後段の部などに通知することで、カプセル化判定,ヘッダ情報付与処理,パケット構築処理といった処理を円滑に実施可能である。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態1では、転送装置であるゲートウェイがパケットを送信する端末と有線接続されたネットワークの場合を例に、転送処理を説明した。本実施の形態では、転送装置が端末と無線接続されたネットワークの場合を説明する。
【0050】
図11は、本実施の形態の通信ネットワークの構成例を示す図である。図11の通信ネットワークは、携帯電話網31と、インターネット網32と、基地局装置33と、携帯電話端末34とを備える。携帯電話網31は、パケット転送の際にカプセル化を必要とする網であり、インターネット網32は、パケット転送の際にカプセル化を必要としない網である。基地局装置33は、図1の構成を具備し、無線通信が可能な転送装置である。携帯電話端末34は、ユーザパケットを送信する端末である。
【0051】
本実施の形態のような通信ネットワークでも、管理テーブルの構成および転送装置の動作は、実施の形態1と同様に実行できる。本実施の形態の場合、携帯電話端末34がパケットデータを送信すると、基地局装置33の無線通信部(図示せず)がこれを無線により受信する。そして、基地局装置33は、受信したパケットの情報を上述したパケット転送テーブルに登録し、既に述べたフローチャートにしたがって各種ヘッダの付与を行う。この場合、携帯電話網31に転送する場合は、IPヘッダのカプセル化を、インターネット網32にパケット転送する場合は、IPヘッダのカプセル化を行わない。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態では、携帯電話端末と、無線接続された基地局装置(転送装置)が転送処理を行う構成とした。携帯電話端末から無線によりパケットデータを受信する場合であっても、その後の転送処理は、有線接続された端末からパケットデータを受信する場合と同様である。したがって、転送装置が端末と無線接続される場合にも、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる転送装置は、パケットの転送を行う転送装置に有用であり、特に、パケットのカプセル化が実行される網に接続される場合がある転送装置に適している。
【符号の説明】
【0054】
1 制御部
11 受信部
12 カプセル化判定部
13 ヘッダ情報付与部
14 パケット構築部
15 パケット管理DB
21 公衆一般網
22 ローカル網
23 ゲートウェイ装置
24 端末装置
31 携帯電話網
32 インターネット網
33 基地局装置
34 携帯電話端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットを転送するための転送装置における転送方法であって、
前記転送装置が接続している網ごとにパケットのカプセル化の要否を対応付けたアクセス情報と、パケットに含まれる宛先IPアドレスとに基づいて、当該パケットを転送すべき網、および当該網に対応するカプセル化の要否を判定するアクセス方式判定ステップ、
を含むことを特徴とする転送方法。
【請求項2】
パケットを一元管理するためのリソース識別子を付与し、当該リソース識別子とパケットデータとを、パケットの転送に必要なデータを管理するためのパケット転送テーブルに登録する識別子付与ステップと、
前記アクセス方式判定ステップにて判定されたカプセル化の要否を前記パケット転送テーブルに登録するカプセル化要否登録ステップと、
前記パケット転送テーブルにおけるカプセル化の要否にしたがって、当該パケット転送テーブルに、ヘッダ領域およびヘッダ付与の状況を設定する転送情報登録ステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の転送方法。
【請求項3】
前記パケット転送テーブルは、パケット転送時のフォーマットに合わせた構成とし、
設定が完了した前記パケット転送テーブルの情報にしたがって、前記パケットに対してヘッダを付与して転送パケットを作成するヘッダ付与ステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の転送方法。
【請求項4】
前記転送パケットを転送した後に、前記パケット転送テーブルより当該パケットのエントリを削除するデータ削除ステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の転送方法。
【請求項5】
パケットを転送するための転送装置であって、
自装置が接続している網ごとにパケットのカプセル化の要否を対応付けたアクセス情報を記憶するパケット管理記憶手段と、
前記アクセス情報と、パケットに含まれる宛先IPアドレスとに基づいて、当該パケットを転送すべき網、および当該網に対応するカプセル化の要否を判定するカプセル化判定手段と、
を備えることを特徴とする転送装置。
【請求項6】
前記パケット管理記憶手段は、パケットの転送に必要なデータを管理するためのパケット転送テーブルを備え、
前記カプセル化判定手段は、判定したカプセル化の要否を前記パケット転送テーブルに登録することとし、
また、
パケットを一元管理するためのリソース識別子を付与し、当該リソース識別子とパケットデータとを前記パケット転送テーブルに登録する受信手段と、
前記パケット転送テーブルにおけるカプセル化の要否にしたがって、当該パケット転送テーブルに、ヘッダ領域およびヘッダ付与の状況を設定するヘッダ情報付与手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の転送装置。
【請求項7】
前記パケット転送テーブルは、パケット転送時のフォーマットに合わせた構成とし、
設定が完了した前記パケット転送テーブルの情報にしたがって、前記パケットに対してヘッダを付与して転送パケットを作成するパケット構築手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の転送装置。
【請求項8】
前記パケット構築手段は、
前記転送パケットが転送された後に、前記パケット転送テーブルより当該パケットのエントリを削除する、
ことを特徴とする請求項7に記載の転送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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