説明

軸受装置

【課題】本発明は、少なくとも1つの固定軸受体と、1つの固定軸受体あるいは各固定軸受体に対して相対移動可能に支持された軸とを備え、少なくとも1つの固定軸受体(10)が軸を支持するための開口(11)を有し、固定軸受体(10)の開口(11)の半径方向外側に潤滑材供給用の環状通路(12)が続いている特に排気駆動過給機の軸受装置に関する。
【解決手段】本発明に基づいて、潤滑材供給用の環状通路(12)を有する軸受装置の固定軸受体(10)は、環状通路(12)に潤滑材を旋回して供給するために、環状通路(12)に対して接線方向に延び且つノズル(16)が一体形成された供給孔(14)を有し、また、潤滑材から遠心分離された汚れ粒子を環状通路(12)から排出するために、環状通路(12)の半径方向外側に続く排出孔(18)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲請求項1の前文に記載の軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アキシャル軸受として形成された軸受装置並びにラジアル軸受として形成された軸受装置において、潤滑材として通常は油が軸受装置に供給され、その潤滑材には汚れ粒子が含まれる。その汚れ粒子は軸受装置を損傷し、極端な場合には破損する。従って、軸受装置において、汚れ粒子による軸受装置の損傷を防止するために、汚れ粒子を潤滑材から効果的に除去する必要がある。しかし従来、アキシャル軸受並びにラジアル軸受において、詳しくは潤滑材が本来の軸受の領域に達する前に潤滑材から汚れ粒子を効果的に除去できる方式は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この点から出発して、本発明の課題は新しい軸受装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は請求項1に記載の軸受装置によって解決される。本発明に基づいて、潤滑材供給用の環状通路を有する軸受装置の固定軸受体は、環状通路に潤滑材を旋回成分をもって供給するために、環状通路に対して接線方向に延び且つノズルが一体形成された供給孔と、潤滑材から遠心分離された汚れ粒子を環状通路から排出するために、環状通路の半径方向外側に続く排出孔を有している。
【発明の効果】
【0005】
本発明においては、固定軸受体の環状通路に潤滑材を供給するための、環状通路に対して接線方向に延び且つノズルが一体形成された供給孔を有する。このようにして、潤滑材は旋回成分をもって環状通路に供給され、これによって、軸の停止時でも既に、潤滑材からの汚れ粒子の遠心分離が可能とされる。遠心分離された汚れ粒子を環状通路から排出するために、環状通路の半径方向外側に排出孔が続いている。本発明に基づく軸受装置の形成は、アキシャル軸受並びにラジアル軸受において、本来の軸受に汚れ粒子が流入する前に、環状通路からの汚れ粒子の効果的な遠心分離、従って除去が可能とされる。そのようにして、軸受の損傷が効果的に防止される。
【0006】
本発明の有利な実施態様は従属請求項および以下の説明から理解できる。次に図を参照して本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1および図2を参照して本発明を詳細に説明する。
【0008】
図1および図2には、好適には、排気駆動過給機のいわゆるスラスト軸受ないしアキシャル軸受として形成されている本発明に基づく軸受装置の固定軸受体10が示されている。この軸受体10は、軸受体10に対して相対移動可能な軸を支持するための開口11を有している。この開口11の半径方向外側に環状通路12が続いている。環状通路12は、軸受装置の潤滑に用いる潤滑材を案内するために使われる。開口11の半径方向内側壁13と図示されていない軸との間に形成されている環状隙間および環状通路12を介して、潤滑材が本来の軸受に導かれる。
【0009】
本発明においては、固定軸受体10に、環状通路12に対して接線方向に延びる供給孔14が一体形成されている。この供給孔14は潤滑材を環状通路12に供給するために使われ、環状通路12を固定軸受体10の半径方向外側に一体形成されたポケット15に接続している。潤滑材を最終的に環状通路12に導入するために、供給孔14にノズル16が一体に形成されている。供給孔14並びにこの供給孔14に一体形成されたノズル16の環状通路12に対する接線方向づけによって、潤滑材は環状通路12の中に接線方向に導入され、これによって、環状通路12内に潤滑材の旋回流が発生する。潤滑材に含まれる汚れ粒子はその旋回流によって遠心分離され、環状通路12の半径方向外側壁17に当たる。潤滑材から遠心分離された汚れ粒子を環状通路12から排出するために、環状通路12の半径方向外側に排出孔18が続いている。
【0010】
既に述べたように、供給孔14は環状通路12に対して接線方向に延び、その供給孔14は図1において固定軸受体10の半径方向に対して傾斜している。環状通路12に対する供給孔14の接線方向づけによって、軸が停止している場合でも、環状通路12内に上述した潤滑材の旋回流が生ずる。軸が回転している場合、その軸の回転によって発生された旋回流並びに環状通路12に対する供給孔14の接線方向づけによって発生される旋回流は同方向に向けられ、これによって、それらの旋回流は重畳され、強化され、従って、相殺されることはない。それに応じて、環状通路12に対する供給孔14の接線方向づけは、供給孔14の接線方向経路によって発生される環状通路12内における潤滑材の旋回流が強化されるように行われている。
【0011】
排出孔18は環状通路12の半径方向外側に続き、環状通路12を油出口に接続している。図2において、排出孔18は固定軸受体10の軸方向に対して傾斜されている。排出孔18は供給孔14と同様に環状通路12に対して接線方向に延びている。
【0012】
排出孔18は、環状通路12から比較的大きな汚れ粒子も排出するために、十分大きな開口断面積を有している。しかし排出孔18の開口断面積は、排出孔18によって引き起こされる潤滑材の圧力損失をできるだけ小さくするために、十分小さくされている。そのために、排出孔18の開口断面積は、開口11の半径方向内側壁13および開口内に支持された図示されていない軸によって境界づけられた環状隙間より数倍小さくされている。
【0013】
アキシャル軸受並びにラジアル軸受として形成される本発明に基づく軸受装置によって、詳しくは潤滑材が本来の軸受の領域に到達する前に、軸受装置を潤滑する潤滑材からの汚れ粒子の効果的な遠心分離、従って放り出しが可能とされる。これによって、軸受の損傷が防止され、これによって、軸受の寿命が長くされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に基づく軸受装置の固定軸受体の部分断面正面図。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図。
【符号の説明】
【0015】
10 軸受体
11 開口
12 環状通路
13 壁
14 供給孔
15 ポケット
16 ノズル
17 壁
18 排出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固定軸受体と、1つの固定軸受体あるいは各固定軸受体に対して相対移動可能に支持された軸とを備え、少なくとも1つの固定軸受体(10)が軸を支持するための開口(11)を有し、固定軸受体(10)の開口(11)の半径方向外側に潤滑材供給用の環状通路(12)が続いている軸受装置において、
a)環状通路(12)に潤滑材を供給するための環状通路(12)に対して接線方向に延び且つノズル(16)が一体形成された供給孔(14)、および
b)潤滑材から遠心分離された汚れ粒子を環状通路(12)から排出するための環状通路(12)の半径方向外側に続く排出孔(18)、
を有していることを特徴とする軸受装置。
【請求項2】
排出孔(18)の開口断面積が、環状通路(12)から比較的大きな汚れ粒子も排出するために十分大きいが、潤滑材の圧力損失を最小にするために十分小さくされていることを特徴とする請求項1記載の軸受装置。
【請求項3】
軸を支持するための開口(11)の半径方向内側壁(13)および軸が、潤滑材を軸受に導入する環状隙間を境界づけ、この環状隙間の開口断面積が、排出孔(18)の開口断面積より数倍大きくされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受装置。
【請求項4】
排出孔(18)が環状通路(12)に対して接線方向に延びていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の軸受装置。
【請求項5】
排出孔(18)が固定軸受体(10)の軸方向に傾斜されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の軸受装置。
【請求項6】
排出孔(18)が環状通路(12)を油出口に接続していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の軸受装置。
【請求項7】
供給孔(14)が環状通路(12)を固定軸受体(10)の半径方向外側に一体形成されたポケット(15)に接続していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の軸受装置。
【請求項8】
アキシャル軸受ないしスラスト軸受として形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の軸受装置。
【請求項9】
ラジアル軸受として形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の軸受装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate