軸方向移動物体用の支持装置
コンベアベルト、ケーブルまたは段なしエスカレータなどの軸方向に移動する物体用の支持体１であって、軸２の周りに回転自在の物体支持用ローラ３とローラを支持するためローラ軸が取り付けられた少なくとも１つの第１の支持体４とで構成された支持体であって、第２の支持体が設けられて第１の支持体と第２の支持体５とでローラを共同で支持するように構成されるとともに、第２の支持体は固定で取り付けられ、第１の支持体は移動物体の移動方向においては、第２の支持体と固定で結合されるが、第１の支持体は前記移動方向に垂直な面においては、ローラで支持される物体とローラとで形成される接触面上に位置する旋回点の周りに回転自在となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、軸の周りに回転自在の物体支持用ローラと、ローラを支持するためローラ軸を取り付けた少なくとも１つの第１の支持体とで構成された、コンベアベルト、ケーブルまたは段なしエスカレータなどの軸方向移動物体用の支持体に関する。
【背景技術】
【０００２】
この種の支持装置は実用的に知られており、すでに述べたように、コンベアベルト、ケーブルおよび段なしエスカレータに使用されている。この種のコンベアベルトは例えば、空港などの動く歩道として、また貨物用コンベアベルトとして使用される。またスーパーマーケットのチェックアウトシステムも本発明に関する種類の支持装置を使用したコンベアベルトを採用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
これらの適用に関しては、支持するが駆動されないこのようなローラ軸が周囲の物に対して固定されるという問題がある。その結果として、物体、例えばローラに支持されたコンベアベルトとローラ間の接触面は必ずしも最適であるとは限らないので、ベルトとローラにスリップとともに過剰な磨耗が生じる。
【０００４】
本発明の目的はこの問題に対する解決を見つけ出すことである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
このため、本発明による支持装置は、第２の支持体が設けられて第１の支持体と第２の支持体とでローラを共同で支持するように構成されるとともに、第２の支持体は固定で取り付けられ、第１の支持体は移動物体の移動方向においては、第２の支持体と固定で結合されるが、第１の支持体は前記移動方向に垂直な面においては、ローラで支持される物体とローラとで形成される接触面上に位置する旋回点の周りに回転自在となることを特徴とする。
【０００６】
別の態様によると、本発明による支持装置は、第１の支持体と第２の支持体は相互に係合するスロットとピンを有するとともに、スロットは各スロットがそれぞれ仮想中心と前記スロットの前記中心に関する半径とによって決定される曲線を有し、同一鉛直面のすべてのスロットの中心は一致して第１の支持体の旋回点を形成することで有利に実現される。この構造では支持される物体からローラに加わる負荷が力の相互作用点の付近に作用するので、この解決手段は非常に的確となり、第１の支持体はローラが物体を最適に支持する位置に持ってこられる。
【０００７】
本発明の好ましい実施形態によると、支持装置は、曲線を有するスロットが、そのいくつかがローラの回転軸より上方に位置し、そのいくつかがローラの回転軸より下方に位置し、また前記スロットの半径はローラの頂部側の支持面に位置する共通の中心点を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明による支持装置の限定はしないが典型的な実施形態の図面によって詳しく説明する。
各図面の類似する部品には同一の符号を付ける。
【０００９】
まず、図３に発明による支持装置１を示す。この支持装置１には（図示しない）物体を支持する軸２の周りに回転自在なローラ３が含まれる。この物体はコンベアベルト、ケーブル、段なしエスカレータあるいはこの種の別の物体である。物体の搬送方向は図面の面に垂直であり、すなわち、ローラ３は被支持物体の搬送方向に回転する。
【００１０】
図１および２で明らかなように、支持装置１には第１の支持体４も含まれる。ローラ３の軸２は第１の支持体４に取り付けられるので、第１の支持体４でローラ３が支持されることになる。
【００１１】
第１の支持体４は、固定できるよう原則として固体基礎に取り付けられた第２の支持体５と共同で作動する。
第１の支持体４も固定されるが、移動物体の搬送方向、すなわち図面の面に垂直な方向にのみこの状態を示すような方法で、第１の支持体４は第２の支持体５と結合される。図面の面、すなわち、物体の搬送方向に垂直な面において、第１の支持体は、ローラ３とローラ３で支持される物体とによって形成された接触面上に位置する旋回点６の周りに回転自在に取り付けられる。
【００１２】
図１から図３に明瞭に示すように、第１の支持体４と第２の支持体５とは互いに係合するスロット６とピン７とで一体化される。スロット６は各スロットがそれぞれ仮想中心６と前記スロットの前記中心に関する半径とによって決定される曲線を有するので、同一鉛直面のすべてのスロット６の中心は一致し、第１の支持体４の旋回点６を形成する。
【００１３】
また図から明らかなように、曲線状スロット６は、いくつかがローラ３の回転軸より上方に位置し、またいくつかがローラ３の回転軸より下方に位置するように分配される。
発明による支持装置１の取り付けが極めて簡単であることが図１から３によって示される。最初に、図１に示すように、ローラ３と第１の支持体４とのアセンブリーを、第１の支持体４のピン７を第２の支持体５のスロット６に挿入するように、矢印Ａの方向に下向きに移動させる。
【００１４】
次に、図２に示すように、第１の支持体４の上部ピンが第２の支持体５の上部スロット６の最下点に達し、かつ第１の支持体４の下部ピンが第２の支持体５の下側に位置するスロット６のある第２の支持体６内に挿入可能なところまで、矢印Ａの方向に下向き移動を続ける。
【００１５】
次に、図３に取り付けられた状態の支持装置１を示すが、これは図４に示す支持装置１の無負荷状態の位置に相当する。この図４もローラ３で支持されたコンベアベルト８を示す。
【００１６】
図５はベルト８に加わる負荷が増加したときに生じる極端に誇張した状態を示す。そのときに発生する力の相互作用の結果として、ローラと第１の支持体４とのアセンブリーは図６に示すように回転固定点６の周りに矢印Ｂの方向に回転する。そのとき第１の支持体４に取り付けられた２つのピン７は第２の支持体５のスロット６内を上方に移動して新しい平衡点に達するので、ベルト８はローラによって最適に支持されることになる。
【００１７】
前述の典型的な実施形態は発明が適用される方法の最適な形態を与えると発明者は考えるが、発明はこの特定の典型的な実施形態に限定されるものではない。本特許出願に関連して説明した典型的な実施形態は特許請求の範囲を説明するためだけのものであり、特許請求の範囲は前記の典型的な実施形態に限定する必要があると見なされるものではない。前記特許請求の範囲で確立され、明細書および図面および／または許可された書類で補足された発明の本質を満足させる修正が特許請求の範囲の保護範囲内であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】発明による支持装置を取り付ける段階を示す。
【図２】発明による支持装置を取り付ける段階を示す。
【図３】発明による支持装置を取り付ける段階を示す。
【図４】発明による支持装置の無負荷時の取り付け状態を示す。
【図５】負荷時の発明による支持部材を示す。
【図６】負荷時の発明による支持部材を示す。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、軸の周りに回転自在の物体支持用ローラと、ローラを支持するためローラ軸を取り付けた少なくとも１つの第１の支持体とで構成された、コンベアベルト、ケーブルまたは段なしエスカレータなどの軸方向移動物体用の支持体に関する。
【背景技術】
【０００２】
この種の支持装置は実用的に知られており、すでに述べたように、コンベアベルト、ケーブルおよび段なしエスカレータに使用されている。この種のコンベアベルトは例えば、空港などの動く歩道として、また貨物用コンベアベルトとして使用される。またスーパーマーケットのチェックアウトシステムも本発明に関する種類の支持装置を使用したコンベアベルトを採用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
これらの適用に関しては、支持するが駆動されないこのようなローラ軸が周囲の物に対して固定されるという問題がある。その結果として、物体、例えばローラに支持されたコンベアベルトとローラ間の接触面は必ずしも最適であるとは限らないので、ベルトとローラにスリップとともに過剰な磨耗が生じる。
【０００４】
本発明の目的はこの問題に対する解決を見つけ出すことである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
このため、本発明による支持装置は、第２の支持体が設けられて第１の支持体と第２の支持体とでローラを共同で支持するように構成されるとともに、第２の支持体は固定で取り付けられ、第１の支持体は移動物体の移動方向においては、第２の支持体と固定で結合されるが、第１の支持体は前記移動方向に垂直な面においては、ローラで支持される物体とローラとで形成される接触面上に位置する旋回点の周りに回転自在となることを特徴とする。
【０００６】
別の態様によると、本発明による支持装置は、第１の支持体と第２の支持体は相互に係合するスロットとピンを有するとともに、スロットは各スロットがそれぞれ仮想中心と前記スロットの前記中心に関する半径とによって決定される曲線を有し、同一鉛直面のすべてのスロットの中心は一致して第１の支持体の旋回点を形成することで有利に実現される。この構造では支持される物体からローラに加わる負荷が力の相互作用点の付近に作用するので、この解決手段は非常に的確となり、第１の支持体はローラが物体を最適に支持する位置に持ってこられる。
【０００７】
本発明の好ましい実施形態によると、支持装置は、曲線を有するスロットが、そのいくつかがローラの回転軸より上方に位置し、そのいくつかがローラの回転軸より下方に位置し、また前記スロットの半径はローラの頂部側の支持面に位置する共通の中心点を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明による支持装置の限定はしないが典型的な実施形態の図面によって詳しく説明する。
各図面の類似する部品には同一の符号を付ける。
【０００９】
まず、図３に発明による支持装置１を示す。この支持装置１には（図示しない）物体を支持する軸２の周りに回転自在なローラ３が含まれる。この物体はコンベアベルト、ケーブル、段なしエスカレータあるいはこの種の別の物体である。物体の搬送方向は図面の面に垂直であり、すなわち、ローラ３は被支持物体の搬送方向に回転する。
【００１０】
図１および２で明らかなように、支持装置１には第１の支持体４も含まれる。ローラ３の軸２は第１の支持体４に取り付けられるので、第１の支持体４でローラ３が支持されることになる。
【００１１】
第１の支持体４は、固定できるよう原則として固体基礎に取り付けられた第２の支持体５と共同で作動する。
第１の支持体４も固定されるが、移動物体の搬送方向、すなわち図面の面に垂直な方向にのみこの状態を示すような方法で、第１の支持体４は第２の支持体５と結合される。図面の面、すなわち、物体の搬送方向に垂直な面において、第１の支持体は、ローラ３とローラ３で支持される物体とによって形成された接触面上に位置する旋回点６の周りに回転自在に取り付けられる。
【００１２】
図１から図３に明瞭に示すように、第１の支持体４と第２の支持体５とは互いに係合するスロット６とピン７とで一体化される。スロット６は各スロットがそれぞれ仮想中心６と前記スロットの前記中心に関する半径とによって決定される曲線を有するので、同一鉛直面のすべてのスロット６の中心は一致し、第１の支持体４の旋回点６を形成する。
【００１３】
また図から明らかなように、曲線状スロット６は、いくつかがローラ３の回転軸より上方に位置し、またいくつかがローラ３の回転軸より下方に位置するように分配される。
発明による支持装置１の取り付けが極めて簡単であることが図１から３によって示される。最初に、図１に示すように、ローラ３と第１の支持体４とのアセンブリーを、第１の支持体４のピン７を第２の支持体５のスロット６に挿入するように、矢印Ａの方向に下向きに移動させる。
【００１４】
次に、図２に示すように、第１の支持体４の上部ピンが第２の支持体５の上部スロット６の最下点に達し、かつ第１の支持体４の下部ピンが第２の支持体５の下側に位置するスロット６のある第２の支持体６内に挿入可能なところまで、矢印Ａの方向に下向き移動を続ける。
【００１５】
次に、図３に取り付けられた状態の支持装置１を示すが、これは図４に示す支持装置１の無負荷状態の位置に相当する。この図４もローラ３で支持されたコンベアベルト８を示す。
【００１６】
図５はベルト８に加わる負荷が増加したときに生じる極端に誇張した状態を示す。そのときに発生する力の相互作用の結果として、ローラと第１の支持体４とのアセンブリーは図６に示すように回転固定点６の周りに矢印Ｂの方向に回転する。そのとき第１の支持体４に取り付けられた２つのピン７は第２の支持体５のスロット６内を上方に移動して新しい平衡点に達するので、ベルト８はローラによって最適に支持されることになる。
【００１７】
前述の典型的な実施形態は発明が適用される方法の最適な形態を与えると発明者は考えるが、発明はこの特定の典型的な実施形態に限定されるものではない。本特許出願に関連して説明した典型的な実施形態は特許請求の範囲を説明するためだけのものであり、特許請求の範囲は前記の典型的な実施形態に限定する必要があると見なされるものではない。前記特許請求の範囲で確立され、明細書および図面および／または許可された書類で補足された発明の本質を満足させる修正が特許請求の範囲の保護範囲内であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】発明による支持装置を取り付ける段階を示す。
【図２】発明による支持装置を取り付ける段階を示す。
【図３】発明による支持装置を取り付ける段階を示す。
【図４】発明による支持装置の無負荷時の取り付け状態を示す。
【図５】負荷時の発明による支持部材を示す。
【図６】負荷時の発明による支持部材を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
コンベアベルト、ケーブルまたは段なしエスカレータなどの軸方向に移動する物体用の支持体であって、軸周りに回転自在の物体支持用ローラとローラを支持するためローラ軸が取り付けられた少なくとも１つの第１の軸とで構成された支持体において、
第２の支持体が設けられて第１の支持体と第２の支持体とでローラを共同で支持するように構成されるとともに、第２の支持体は固定で取り付けられ、第１の支持体は移動物体の移動方向においては、第２の支持体と固定で結合されるが、第１の支持体は前記移動方向に垂直な面においては、ローラで支持される物体とローラとで形成される接触面上に位置する旋回点の周りに回転自在となることを特徴とする支持体。
【請求項２】
第１の支持体と第２の支持体は相互に係合するスロットとピンを有するとともに、スロットは各スロットがそれぞれ仮想中心と前記スロットの前記中心に関する半径とによって決定される曲線を有し、同一鉛直面のすべてのスロットの中心は一致して第１の支持体の旋回点を形成することを特徴とする請求項１に記載の支持体。
【請求項３】
曲線を有するスロットは、そのいくつかがローラの回転軸より上方に位置し、そのいくつかがローラの回転軸より下方に位置し、また前記スロットの半径はローラの頂部側の支持面に位置する共通の中心点を有することを特徴とする請求項２に記載の支持体。
【請求項１】
コンベアベルト、ケーブルまたは段なしエスカレータなどの軸方向に移動する物体用の支持体であって、軸周りに回転自在の物体支持用ローラとローラを支持するためローラ軸が取り付けられた少なくとも１つの第１の軸とで構成された支持体において、
第２の支持体が設けられて第１の支持体と第２の支持体とでローラを共同で支持するように構成されるとともに、第２の支持体は固定で取り付けられ、第１の支持体は移動物体の移動方向においては、第２の支持体と固定で結合されるが、第１の支持体は前記移動方向に垂直な面においては、ローラで支持される物体とローラとで形成される接触面上に位置する旋回点の周りに回転自在となることを特徴とする支持体。
【請求項２】
第１の支持体と第２の支持体は相互に係合するスロットとピンを有するとともに、スロットは各スロットがそれぞれ仮想中心と前記スロットの前記中心に関する半径とによって決定される曲線を有し、同一鉛直面のすべてのスロットの中心は一致して第１の支持体の旋回点を形成することを特徴とする請求項１に記載の支持体。
【請求項３】
曲線を有するスロットは、そのいくつかがローラの回転軸より上方に位置し、そのいくつかがローラの回転軸より下方に位置し、また前記スロットの半径はローラの頂部側の支持面に位置する共通の中心点を有することを特徴とする請求項２に記載の支持体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公表番号】特表２００６−５２１９８２（Ｐ２００６−５２１９８２Ａ）
【公表日】平成１８年９月２８日（２００６．９．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−５０７８５６（Ｐ２００６−５０７８５６）
【出願日】平成１６年３月１８日（２００４．３．１８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＮＬ２００４／０００１９２
【国際公開番号】ＷＯ２００４／０８７５４４
【国際公開日】平成１６年１０月１４日（２００４．１０．１４）
【出願人】（５００２９２１４９）テクニッシェ ユニヴァージテート デルフト (14)
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成１８年９月２８日（２００６．９．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年３月１８日（２００４．３．１８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＮＬ２００４／０００１９２
【国際公開番号】ＷＯ２００４／０８７５４４
【国際公開日】平成１６年１０月１４日（２００４．１０．１４）
【出願人】（５００２９２１４９）テクニッシェ ユニヴァージテート デルフト (14)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]