説明

軸用カバー

【課題】軸への着脱が容易であり、かつ交換頻度を減らすことが可能な軸用カバーを提供する。
【解決手段】ベース2から突出して支持台3を支持する軸4を複数有し、ベース2からの各軸4の突出量を変更することによりベース2と支持台3との間の間隔を変更する昇降装置6の各軸4に取り付けられるカバー10であって、ベース2に軸4を取り囲むように取り付けられる円筒状の内筒部11と、内径が内筒部11の外径よりも大きく、かつ内筒部11と一部がオーバーラップするとともに軸4を取り囲むように支持台3に取り付けられる円筒状の外筒部12と、を備え、内筒部11及び外筒部12は、それぞれ軸線CL方向に沿って分割可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部から突出してテーブル部を支持する各軸の突出量を変更することによりベース部とテーブル部との間の間隔を変更する昇降装置の各軸に取り付けられるカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
缶に飲料を充填するための飲料充填装置が知られている。このような飲料充填装置では、所定の高さに缶を保持し、その保持されている缶に上方から充填バルブを挿入して飲料を充填する。そして、このような飲料充填装置では、高さが異なる缶に飲料を充填することがある。この場合、缶を保持する機構を昇降装置で上下動させ、これにより缶と充填バルブとの間の間隔を調整している。このような昇降装置としては、缶を保持する機構などが設けられるテーブルをベースから上方に突出させた複数の軸で支持し、それらの軸の突出量を変更可能なものが知られている。そして、一般にこのような昇降装置の軸には、軸に飲料などがかからないように保護カバーが取り付けられている。このような軸等を保護するカバーとしては、例えば、配管や配線をシート部で収容して保護する保護ダクトが知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【0003】
【特許文献1】特開2000−170986号公報
【特許文献2】特開2006−266388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のカバーのようにシートで軸を覆うものでは、伸縮時にシートが擦れてシートに穴が開くことがある。そのため、カバーを伸縮させる頻度が高い軸に使用すると、シートに直ぐに穴が開き、カバーの交換頻度が高くなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、軸への着脱が容易であり、かつ交換頻度を減らすことが可能な軸用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の軸用カバーは、ベース部(2)から突出してテーブル部(3)を支持する軸(4)を複数有し、前記ベース部からの各軸の突出量を変更することにより前記ベース部と前記テーブル部との間の間隔を変更する昇降装置(6)の各軸に取り付けられるカバー(10)であって、前記ベース部又は前記テーブル部の一方に前記軸を取り囲むように取り付けられる円筒状の内筒部(11)と、内径が前記内筒部の外径よりも大きく、かつ前記内筒部と一部がオーバーラップするとともに前記軸を取り囲むように前記ベース部又は前記テーブル部の他方に取り付けられる円筒状の外筒部(12)と、を備え、前記内筒部及び前記外筒部は、それぞれ軸線(CL)方向に沿って分割可能に構成されていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の軸用カバーによれば、外筒部の一部を内筒部にオーバーラップさせることにより軸の全体を保護しつつ、軸の突出量を変更可能としている。そして、これら内筒部及び外筒部は、軸線方向に沿って分割可能であるため、軸に容易に着脱することができる。さらに、外筒部の内面と内筒部の外面とが接触しないように外筒部の内径及び内筒部の外径を設定することにより、これらの筒部同士が擦れることを防止できる。そのため、交換頻度を減らすことができる。
【0008】
本発明の軸用カバーの一形態において、前記テーブル部が前記ベース部の上方に配置され、前記外筒部が前記テーブル部に取り付けられるとともに、前記内筒部が前記ベース部に取り付けられていてもよい。この場合、内筒部や外筒部の外面に水滴や異物が付着してもこれらが内筒部や外筒部の内側に入り込むことを十分に抑制できる。
【0009】
本発明の軸用カバーの一形態において、前記内筒部と前記外筒部との間の隙間に挟み込まれるシール部材(17)をさらに備えていてもよい。この場合、内筒部や外筒部の内側に水滴や異物をさらに入り込み難くすることができる。
【0010】
本発明の軸用カバーの一形態において、前記内筒部及び前記外筒部は、ステンレス製であってもよい。この場合、衛生的であり、また内筒部及び外筒部の洗浄が容易である。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、軸を保護するための内筒部及び外筒部をそれぞれ軸線方向に沿って分割可能にしたので、これらを軸に容易に着脱することができる。また、外筒部の内面と内筒部の外面とが接触しないように外筒部の内径及び内筒部の外径を設定することにより、外筒部及び内筒部をそれぞれ破損し難くすることができる。そのため、交換頻度を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は缶に飲料を充填する飲料充填装置の一部を概略的に示している。この飲料充填装置1は、不図示の架台に支持されるベース部としてのベース2と、そのベース2の上方に配置されて缶を保持するための保持機構(不図示)が取り付けられるテーブル部としての支持台3と、を備えている。支持台3は、ベース2から上方に突出する複数(図1では1つのみを示す。)の軸4にて支持されている。支持台3の外周には、支持台3の上方に設けられる機構を支持するための支持部材5が設けられている。ベース2の下面には、昇降装置6が固定されている。この昇降装置6は、ベース2よりも上方に突出する軸4の突出量を変更するものである。軸4は、この昇降装置6からベース2を貫通して上方に延びている。この飲料充填装置1では、高さが異なる缶に飲料を充填する。この際、飲料充填装置1を高さが異なる缶に対応させるためにベース2と支持台3との間の間隔を昇降装置6にて調整する。
【0014】
この図に示したように軸4の周囲には、本発明の一形態に係るカバー10が設けられている。図2は、カバー10の軸線方向断面図を示している。この図に示したようにカバー10は、内筒部11と、その内筒部11の外側に配置される外筒部12とを備えている。内筒部11及び外筒部12は、例えばステンレス鋼で形成される。ベース2には、上方に突出する段差部2aが設けられており、軸4はその段差部2aから突出している。内筒部11は、段差部2aにボルト13で固定されている。この内筒部11は、軸線CLに沿って第1内筒部材11aと第2内筒部材11bとに分割可能に構成されている。各内筒部材11a、11bは、それぞれ2個の連結部14を備えている。2つの連結部14は、一方が各内筒部材11a、11bの上部に、他方が各内筒部材11a、11bの下部に設けられている。そして、第1内筒部材11aの連結部14と第2内筒部材11bの連結部14とがボルト15で連結されることにより、円筒状の内筒部11が形成される。
【0015】
内筒部11の上端には、径方向内側に凹む溝16が設けられている。この溝16は内筒部11の外周に全周に亘って設けられている。そして、この溝16には、シール部材としてのOリング17が嵌め込まれている。Oリング17は内筒部11と外筒部12との間に挟まり、これにより内筒部11と外筒部12との間を塞ぐ。上述したようにベース2と支持台3との間の間隔は、昇降装置6にて調整される。内筒部11の高さには、その昇降装置6にて調整される範囲の下限値よりも小さい値が設定される。すなわち、昇降装置6にてベース2と支持台3との間の間隔を最も狭くした場合においても内筒部11の上端が支持台3に干渉しないように内筒部11の高さが設定される。
【0016】
図2に示したように支持台3には下方に突出する段差部3aが設けられている。この段差部3aは、ベース2の段差部2aと対向するとともにその段差部2aと同軸になるように支持台3に設けられている。そのため、軸4は、段差部2aと段差部3aとの間に介在する。外筒部12は、段差部3aに取り付けられている。外筒部12は、その内径が内筒部11の上端の外径よりも若干大きい。そのため、外筒部12を内筒部11の外側に嵌めることができる。外筒部12の上端には、その上端を段差部3aに嵌め込むことが可能なように嵌合穴18が設けられている。この嵌合穴18は、段差部3aに対して締まりばめになるようにその内径が設定されている。このように嵌合穴18の内径を設定することにより、この嵌合穴18で外径部12を段差部3aに固定することができる。
【0017】
外筒部12は、軸線CL方向に沿って第1外筒部材12aと第2外筒部材12bとに分割可能に構成されている。各外筒部材12a、12bの下端には、内筒部材11a、11bと同様に連結部19が設けられている。同様に各外筒部材12a、12bの上端にも連結部20が設けられている。そして、これら連結部19、20がボルト21、22で連結されることにより、円筒状の外筒部12が形成される。外筒部12の高さは、昇降装置6にて調整される範囲の下限値より小さく、昇降装置6によってベース2と支持台3との間の間隔がその範囲の上限値になっても外筒部12の下端が内筒部11の上端とオーバーラップするように設定される。このように外筒部12の高さを設定することにより、内筒部11と外筒部12とを確実にオーバーラップさせることができる。
【0018】
本形態のカバー10によれば、外筒部12の下端が内筒部11の上端にオーバーラップしているので、軸4の全体を保護することができる。また、内筒部11に対して外筒部12をスライドさせることができるので、軸4の突出量を変更することができる。内筒部11及び外筒部12は、それぞれ軸線CL方向に沿って分割可能に構成されているので、軸4に容易に着脱することができる。外筒部12の内径は、内筒部11の外径よりも若干大きく設定されているので、外筒部12と内径部11が擦れることを防止できる。そのため、破損などを十分に抑制し、交換頻度を減らすことができる。
【0019】
上述したように内筒部11がベース2に、外筒部12が支持台3にそれぞれ取り付けられるので、内筒部11や外筒部12の外面に水滴や異物が付着して垂れても、それら水滴や異物が内筒部11や外筒部12の内側に入ることを抑制できる。また、内筒部11の上端と外筒部12との間にはOリング17が設けられているので、このOリング17によっても水滴や異物が内筒部11や外筒部12の内側に入ることを抑制できる。さらに内筒部11及び外筒部12はステンレス製であるため、衛生的であるとともにこれらの洗浄を容易に行うことができる。
【0020】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、内筒部が上方に取り付けられ、外筒部が下方に取り付けられてもよい。本発明のカバーが軸に取り付けられる昇降装置は、飲料充填装置に設けられる昇降装置に限らず、それ以外の装置に組み込まれた昇降装置の軸に適用してもよい。内筒部及び外筒部の材質はステンレス鋼に限定されない。例えば、透明な材質で形成してもよい。この場合、カバーを外すことなく軸の状態を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一形態に係る軸用カバーが軸に取り付けられた飲料充填装置の一部を概略的に示す図。
【図2】カバーの軸線方向断面図。
【符号の説明】
【0022】
2 ベース(ベース部)
3 支持台(テーブル部)
4 軸
6 昇降装置
10 カバー
11 内筒部
12 外筒部
17 Oリング(シール部材)
CL 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部から突出してテーブル部を支持する軸を複数有し、前記ベース部からの各軸の突出量を変更することにより前記ベース部と前記テーブル部との間の間隔を変更する昇降装置の各軸に取り付けられるカバーであって、
前記ベース部又は前記テーブル部の一方に前記軸を取り囲むように取り付けられる円筒状の内筒部と、内径が前記内筒部の外径よりも大きく、かつ前記内筒部と一部がオーバーラップするとともに前記軸を取り囲むように前記ベース部又は前記テーブル部の他方に取り付けられる円筒状の外筒部と、を備え、
前記内筒部及び前記外筒部は、それぞれ軸線方向に沿って分割可能に構成されていることを特徴とする軸用カバー。
【請求項2】
前記テーブル部が前記ベース部の上方に配置され、
前記外筒部が前記テーブル部に取り付けられるとともに、前記内筒部が前記ベース部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の軸用カバー。
【請求項3】
前記内筒部と前記外筒部との間の隙間に挟み込まれるシール部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軸用カバー。
【請求項4】
前記内筒部及び前記外筒部は、ステンレス製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の軸用カバー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−156410(P2010−156410A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335101(P2008−335101)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】