説明

軸線方向に正確に案内される軸を持つ機械装置用の軸受装置

本発明は、軸線方向に局限されて正確に案内される軸、機械装置用の回転輪等用の軸受装置に関する。比較的僅かな大きさで生じる軸線方向逆押圧力が、少ない費用の軸受により吸収されるようにする。軸受装置は、作動により生じる軸線方向力を吸収するアンギュラコンタクト玉軸受(11)特にアンギュラコンタクト玉軸受と、支持軸受として構成されて生じる軸線方向逆押圧力を吸収する円筒ころ軸受(12)から成っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回転輪または他の機械装置のように軸線方向に限定されて正確に案内される軸等用の軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送風機羽根車等のような回転輪を周囲構造に対して軸線方向に非常に限定されて案内せねばならない機械製造の分野において、例えば歯車装置軸におけるように軸線方向に非常に正確に案内される軸を支持する際、複数種類の軸受から成る軸線装置を使用せねばならない。
【0003】
4点軸受いわゆるQJ軸受及び縁付きラジアル軸受いわゆるNU軸受から成る軸受装置がしばしば使用される。このような組合わせ軸受は、例えばFAG OEM Handel AG社の刊行物WL00200/5 DAS.150から公知である。ここではこの組合わせ軸受は、軸を支持するための組合わされる減速歯車装置及び溝付きロール歯車装置において使用される。
【0004】
この場合の欠点は、4点軸受は規格により35°の押圧力でのみ使用可能なことである。更に4点軸受は比較的高価である。
【0005】
更に軸受装置がX配置又はO配置のアンギュラコンタクト玉軸受対とNUアキシアル軸受から成る軸の支持装置が公知である。このような支持装置は例えばFAG Kugelfischer Georg Schaefer KGaA社の刊行物WL00 200/4DA S.163に記載されている。ここでは2つの複列円筒ころ軸受とX配置の2つのアンギュラコンタクト玉軸受から成る組合わせが、加工ロールの軸受において使用される。
【0006】
特に作動中に方向づけられる軸線方向力を持つ使用の場合、及び特別な作動状態においてのみ時間的に小さい割合で例えば装置の加速及び減速の際軸線方向作動押圧力に打勝つ逆押圧力が生じる場合、完全な価値がありかつ高価な逆押圧力軸受を使用してはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この背景の前で本発明の基礎になっている課題は、軸線方向に限定されて正確に案内される軸、機械装置例えば歯車装置軸用の回転輪等の軸受装置を提供し、僅かな大きさで生じる逆押圧力が僅かな費用の軸受で吸収されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
機械装置の伝動中に生じる逆押圧力が、しばしば僅かな時間的割合及び僅かな値で生じ、この逆押圧力が簡単な軸受により吸収可能である、という認識が本発明の基礎になっている。
【0009】
与えられた課題は、請求項1の特徴によれば、作動により生じる軸線方向力を吸収するアンギュラコンタクト玉軸受と、支持軸受として構成されて軸線方向逆押圧力を吸収する円筒ころ軸受とから成る軸受装置の使用によって解決される。
【0010】
従属請求項は、本発明の好ましい展開又は構成を記載している。それによれば、まず円筒ころ軸受がNJ円筒ころ軸受として構成されている。
【0011】
本発明による軸受装置の別の構成によれば、アンギュラコンタクト玉軸受の内レースとNJ円筒ころ軸受の内レースとの間に、非常に小さい軸線方向遊隙が形成されている。
【0012】
本発明による解決策によって、特にアンギュラコンタクト玉軸受の内レースと曲げ縁付き滑り軸受として構成されるNJ円筒ころ軸受の内レースとの間の非常に小さい軸線遊隙によって、軸、回転輪等とこれらの部材を軸線方向に限定されて正確に案内せねばならない機械装置のハウジングとの間の正確な案内が行われる。
【0013】
機械装置の作動中に通常生じる押圧力は、アンギュラコンタクト玉軸受を介して吸収される。しかしまれに小さい値で生じる逆押圧力は、NJ円筒ころ軸受の曲げ縁により吸収される。
【0014】
付加的な曲げ縁を持つNJ円筒ころ軸受は、製造において従来の解決策によるNJアンギュラ軸受より少し高価であるが、QJ4点軸受はアンギュラコンタクト玉軸受より比較的多く費用がかかるので、本発明による軸受装置では全体として費用の利点が生じる。
【0015】
従来の解決策に対して1つの完全な軸受がなくなると、この費用の利点は更に高まる。
【0016】
添付図面により本発明の実施例が以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示す従来技術による軸受装置1は、内レース3と外レース4との間にある玉5を持つ4点軸受として構成されるQL軸受2、及び内レース7と曲げ縁付き外レース8との間に案内される円筒ころ9を持つ曲げ縁付き外レース軸受として構成されるNUアキシアル軸受6から成っている。この場合軸線方向遊隙は、矢印Aに従って4点軸受に設定されている。
【0018】
図2による軸受装置10は、本発明によれば、アンギュラコンタクト玉軸受11及び支持軸受として構成されるNJ円筒ころ軸受12から成っている。両方の軸受11及び12は、それぞれ内レース13及び14と外レース15及び16とを持ち、内レースと外レースとの間に玉17及び円筒ころ18が収容されている。
【0019】
アンギュラコンタクト玉軸受11の内レース13とNJ円筒ころ軸受12の内レース14との間に、矢印Bに従って非常に小さい軸線方向遊隙が形成されている。それにより軸受11及び12内に案内されるが図示しない部材と周りを包囲する図示しないハウジングとの間の正確な案内が保証される。
【0020】
作動により生じる押圧力は、アンギュラコンタクト玉軸受11により吸収される。場合によっては現れる僅かな逆押圧力は、NJ円筒ころ軸受12によって吸収される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 従来技術による従来の軸受装置の切断側面図を示す。
【図2】 本発明により構成される軸受装置の切断側面図を示す。
【符号の説明】
【0022】
1,10 軸受装置
2 QJ軸受
3,7,13,14 内レース
4,8,15,16 外レース
5,17 玉
6 NJアキシアル軸受
9,18 円筒ころ
11 アンギュラコンタクト玉軸受
12 NJ円筒ころ軸受
A,B 軸線方向遊隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に局限されて正確に案内される軸、機械装置用の回転輪等用の軸受装置において、作動により生じる押圧力を吸収するアンギュラコンタクト玉軸受(11)と、支持軸受として構成されて生じる逆押圧力を吸収する円筒ころ軸受(12)とが設けられていることを特徴とする、軸受装置。
【請求項2】
円筒ころ軸受(12)がNJ円筒ころ軸受として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の軸受装置。
【請求項3】
アンギュラコンタクト玉軸受(11)の内レース(13)とNJ円筒ころ軸受(12)の内レース(14)との間に、非常に小さい軸受方向遊隙(B)が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−516814(P2009−516814A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543643(P2008−543643)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001986
【国際公開番号】WO2007/059727
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(506420843)シエフレル・コマンデイトゲゼルシヤフト (80)
【Fターム(参考)】