説明

軽いタッチのシーラント適用装置

【課題】軽いタッチで流体シーラントを適用する装置を提供する。
【解決手段】本発明は軽いタッチで流体シーラントを適用する装置を提供し、この装置は、棒の部分としてまたは別の供給管としての流体シーラント供給を備えた棒含み、この棒はユニバーサルジョイントを介してアプリケーターヘッドに取り付けられており、アプリケーターヘッドはその下側にチャンバーを有し、このチャンバーは、流体シーラントをシールされるべき基体に一定に供給するのに充分大きく、アプリケーターヘッドはその下部外周に位置し、シーラントを平らにするための端部を有する。さらに、本発明は、この装置を使用して、柔軟で圧縮可能な発泡体を構造物の隙間に適用し、被覆された建築構造物上にシール、例えば、耐候性バリアを形成する方法を提供する。この発泡体は、25℃未満のガラス転移温度を有する1種以上の水性ポリマーを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手作業の圧力または負担がほとんどもしくは全くなしに流体シーラントを適用するための装置、および当該装置を使用して、耐候性バリアのようなシールを提供する方法に関する。より詳細には、本発明は、装置をあらゆる所望の方向に動かしつつ、基体の隙間にあらゆる角度でシーラントを連続して適用するために、その下側にチャンバーを有するアプリケーターヘッドの上側にユニバーサルジョイントを介して取り付けられた長いハンドルもしくは棒を含む、発泡体シーラントを適用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物は一般に、外装用木材、木材複合体、セメントまたは石膏ベースの板、別名、外装で構築されており、これらは装飾用外壁または被覆材(例えば、木材、アルミニウムもしくはビニルサイディング、またはレンガ外壁)で覆われる。建築中、このような建築物は耐候性バリアを必要とする。柔軟なシート物質および流体物質、例えば、液体およびマッド(mud)をはじめとするいくつかの種類の耐候性バリアが提供されてきたが、既知の耐候性バリア解決策のそれぞれは労働集約的である。
【0003】
既知の耐候性バリアは、被覆材が取り付けられる前に建築用覆いに釘で固定されるかまたはステープルで固定される柔軟なシート物質(例えば、DuPontからのTyvek商標、フェルトまたはタール紙)であることができる。建築物が建築中である間におよび被覆材が取り付けられた後で、このようなシート物質は、風および水の浸透に対する耐性をはじめとする何らかの保護をもたらす。さらに、このようなシートは処理される構造物の全ての外側部分に手作業で固定されなければならず、取り付けが労働集約的であることを示してきた。このことは、使用者が物理的にこのシートを外側構造物の全ての部分に取り付けなければならないことを意味し;これは、届くのが困難な領域に接近するのを必要とする場合があり、かつそのような接近に梯子または足場が必要とされる場合には危険な場合がある。さらに、そのシートは構造物をシールせず、非常に良好な風もしくは水のバリアではない。
【0004】
他の既知の耐候性バリアは木材、セメントもしくは石膏被覆材料上の液体のコーティング剤を含み、同時に、テープまたはコーキング剤のヘビービーズを建築用パネル間の隙間に適用することにより建築用パネル間の隙間が塞がれている。このようなテープは、乾燥してそのテープ上に固いシーラントを形成する、こてまたはスクレーパーを用いて適用されなければならない別のコーティング剤を多くの場合必要とする。結果的なテーピングおよびコーティングプロセスはシートの場合におけるように労働集約的であり、使用者は、届くのが困難な領域においてさえ、構造物の外側上の全ての隙間を物理的にこて塗りまたはこすり取りしなければならない。
【0005】
最近、建築中の建築構造物の被覆材および窓の隙間のための水または空気透過シーラントとして、またはその後に適用されるコーティング剤があるパネルから次のものに連続的に適用されるのを可能にする、圧縮可能なラテックス発泡体が提案されてきた。この発泡体はテープなしで使用されうるので、そしてこの発泡体は被覆材または窓の表面をうまく押しつけ、その中またはその周りの隙間を塞ぐので、その発泡体は、こて塗りまたはこすり取りの必要なしに、圧縮しないコーキング剤、マッドまたは発泡体を適用するのに必要とされる整然さについての懸念のない適用を可能にする。
【0006】
発泡体シーラントのための既知のアプリケーターには、Lucasらへの米国特許第6,284,077B1号に開示されたものが挙げられ、これはストローまたはチューブを通して発泡体を噴出するスプレーキャニスター(Lucasらの図1の102)を含む。塞がれる隙間に隣接した表面よりも高くなるように、一般的にこれらのキャニスターは発泡体を作り出す。Lucasらによると発泡体は24時間後にその元の体積の少なくとも45%を保持しており、よって、隣接する表面と発泡体が同一平面になることが意図される場合には、第2の工程において、こてまたはブレード(Lucasらの図3の322)で過剰なものが除かれて平らにされなければならない。しかし、今日まで、一回の操作で構造物表面と同一平面になるように発泡体シーラントを適用する装置は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,284,077号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、被覆された建築物または他の構造物の全ての隙間を安全かつ効果的に塞ぎ、それを実際に耐候性にすると同時に、サイディングまたはクラッディングに好適な表面を形成するという課題を解決することを求めてきており、そしてこの問題を解決するために適合した装置を見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の装置は、棒の部分としてまたは別の供給管としての流体シーラント供給を備えたハンドルまたは棒、およびアプリケーターヘッドを含み、前記棒はアプリケーターヘッドの頂部にユニバーサルジョイントを介して取り付けられ、さらにアプリケーターヘッドはその下側にチャンバーを含み、そのチャンバーはシールされるべき基体への流体シーラントの一定の供給を可能にするのに充分大きく、さらにアプリケーターヘッドはその下部外周に位置し、シーラントを平らにするように適合した端部を有する。好ましくは、棒は軸方向に中空であり、それにより棒はユニバーサルジョイント内の開口部を通して流体シーラントをアプリケーターヘッドに送達する。あるいは、この装置は棒をハンドルとして、および流体シーラント供給として、棒とは別にアプリケーターヘッドに取り付けられた供給管を含む。この装置は、シーラントをユニバーサルジョイントの上流の出口、例えば、バイパスバルブによって作動する開口部に送達し、次いでアプリケーターヘッドに取り付けられた供給管に送達できる棒を含むこともできる。
好ましくは、棒をアプリケーターヘッドの頂部に取り付けるユニバーサルジョイントは、シーラントが通って流れることができる玉継ぎ手(ball in socket joint)を含むことができる。
好ましくは、この装置のアプリケーターヘッドは取り外し可能である。
アプリケーターヘッドの下部外周に位置するチャンバー端部はアプリケーターヘッドと一体にされることができ、かつアプリケーターヘッドの底端部を含むことができる。チャンバーは基体に適用されるあらゆるシーラントを平坦にするのに充分固い物質で作られている。好ましくは、チャンバー端部は、その中に位置した短いブラシ毛であって、アプリケーターヘッドの底面に対して垂直な短いブラシ毛を有する。操作においては、このブラシ毛は、シールされるべき基体の表面に対して垂直に位置しし、それにより、基体の外側角、または基体表面における凹凸または変動に対応する。
好ましい実施形態においては、棒または供給管はそのなかに配置された1以上の泡発生機を有し、泡発生機はビーズマトリックスのようなスタティックミキサーを含む。
【0010】
別の実施形態に従って、本発明は、本発明の装置を用いて、圧縮可能なシーラント組成物、好ましくは水性ポリマー発泡体組成物を、建築もしくは改造中の被覆された建築構造物のような基体構造物の隙間、ひび割れまたは接合部に適用し、同時に、同じ動きで、適用された発泡体を平らにするかもしくは構造物の表面と同一平面にし、場合によってはその後、構造物、例えば、建築物の残りの表面を、好ましくは塗料またはコーティング物質を用いるなどして、被覆するかまたは覆って、耐候性バリアを形成することを含む、耐候性バリアのようなシールを形成する方法を提供する。隙間に適用することは、あらゆる方向で構造物の隙間に沿って動かすことによって行われうる。
この方法は、好ましくは、アプリケーターヘッドの重量により加えられる以外は、すなわち、アプリケーター装置を基体表面にふれさせる以外は、圧力をほとんどもしくは全く適用せずに、シーラントを適用することを含む。
隙間への適用は0.08m/秒以上、または2.5m/秒以下の速度で、好ましくは0.5m/秒以上の速度で行われうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは泡発生機を有する本発明に従った装置の好ましい実施形態を示す。
【図1B】図1Bは棒1においてバイパスバルブ12を有する本発明に従った装置の別の実施形態を示す。
【図2】図2は本発明に従ったある実施形態のアプリケーターヘッド3の頂部を示す。
【図3A】図3Aは図2に示されるアプリケーターヘッド3の断面を示す。
【図3B】図3Bは図4に示される好ましい実施形態のアプリケーターヘッド3の断面を示す。
【図4】図4は本発明に従った好ましい実施形態のアプリケーターヘッド3の下側を示す。
【図5】図5は本発明に従った(図1)好ましい玉継ぎ手型ユニバーサルジョイント2の実施形態を示す。
【図6】図6は本発明に従ったアプリケーターヘッドへの流体シーラント供給の代替的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
示される全ての範囲は境界値を含み、組み合わせ可能である。例えば、0.08m/秒以上、または2.5m/秒以下、好ましくは0.5m/秒以上の速度の表示は、0.08〜2.5m/秒、0.08〜0.5m/秒、および0.5〜2.5m/秒の範囲の全てを含む。
他に示されない限りは、挿入語句を含む用語は、二者択一的に、丸かっこ書きが存在しなかった場合の全体の用語および挿入語句を含まない用語(すなわち、挿入語句の内容を除外する)、並びに各選択肢の組み合わせをいう。よって、用語(コ)ポリマーとは、ホモポリマーまたはコポリマーを意味する。
【0013】
本明細書において使用される場合、語句「水性」は、水、水と1種以上の水混和性溶媒とを含む混合物を含む。
本明細書において使用される場合、用語「エマルションポリマー」とは、乳化重合プロセスによって、水または水性混合物中で製造されたポリマーを意味する。
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、語句「ガラス転移温度」または「Tg」はフォックス式(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.,第一巻、発行番号3、123ページ(1956))を用いて決定される(コ)ポリマーの計算ガラス転移温度をいう。
本明細書において使用される場合、「重量%」は重量パーセントを意味する。
【0014】
本発明の装置は、アプリケーターヘッドが建築構造物に沿って動くことができる、建築構造物における幅が非常に変わりうる隙間への流体シーラントの素早い適用を可能にする。このような構造物には、例えば、建築または改造中の被覆された建築構造物、例えば、家、学校、倉庫、オフィスビルおよび商業スペースなどが挙げられうるが、シール形成を必要とするあらゆる構造物を含むことができる。この装置は、アプリケーターヘッドの下側にチャンバーを含み、このチャンバーはシーラント、例えば、発泡体で満たされうる開放スペースであり、それにより、基体表面に供給されるシーラントを連続的に補給する。よって、アプリケーターヘッドが幅0.1メートルであり、かつ幅0.09メートルのチャンバーを有する場合には、この装置は、幅0.09メートル未満のあらゆる隙間に流体シーラントを連続的に適用するために使用されうる。この装置は、チャンバーの全周囲で基体に接触するので、この装置はあらゆる方向に動かされることができる。よって、操作者は、流体シーラントのビーズを連続的に押出し、ならしつつ、この装置を上下左右に動かすことができる。さらに、この装置は、アプリケーターヘッドが棒に対してあらゆる方向に、そして棒とアプリケーターヘッドとの間で機械的妨害が起こらないあらゆる角度で、例えば、基体表面に対して90°すなわち垂直から、30°以下で、または棒が基体表面に対してほとんど平行であるような角度で動かされうるように、アプリケーターヘッドを棒に取り付けているユニバーサルジョイントを含む。操作者が棒を回転させる場合にのみ、アプリケーターヘッドは回転する。さらに、この装置のアプリケーターヘッドの下側のチャンバー端部は耐久性のある物質、例えば、木材、プラスチック、硬質ゴムまたはアルミニウムのようなシート金属で作られることができ、これにより、基体の表面に沿って容易にスライドまたはスキムされて、操作者の能力の範囲内のあらゆる速度でシールされうる。例えば、操作者はシーラントを適用しつつ足早で歩くことができる。さらに、この装置は非常に軽量なので、長い棒が使用されることができ、基体上の届くのが困難な場所または高いところに容易に接近できる。最終的に、圧縮可能な流体シーラント、例えば、圧縮可能な発泡体を適用するためにこの装置が使用される場合には、基体の隙間を塞ぐために、この装置自体の重量以下の非常に少量の圧力しか加えることを必要とせず;この装置は使用しやすい。
【0015】
図1Aに示されるように、装置10は棒1を含み、棒1は流体シーラントを基体に送達するように適合しており、棒1は内側にビーズマトリックスの泡発生機11を有する。泡発生機11におけるビーズマトリックスは、界面活性剤または噴射剤ガスを含む水性ポリマーエマルションのような既知のポリマー組成物が泡発生機を通過するときに発泡体を形成しうる。装置10は、棒1をアプリケーターヘッド3に接続するユニバーサルジョイント2をさらに含む。
【0016】
図1Bに示されるように、装置10においては、棒1にバイパスバルブ12が備え付けられることができ、アプリケーターヘッド3への流体シーラントの流れを停止させることができ、およびバイパスバルブ12から伸びる管16を通って流体シーラントを流すことを可能にする。バイパスバルブは栓13によって作動される。この実施形態においては、使用者は流体シーラントを、アプリケーターヘッド3を用いて接近できない基体構造物の狭い領域または内側角に適用することができる。
【0017】
図2に示されるように、本発明の実施形態に従ったアプリケーターヘッド3の頂部は凹み4を有し、凹み4は、図1A、1B、3Aおよび3Bに示されるような玉継ぎ手型(ball in socket)ユニバーサルジョイント2のボール15を収容するように適合されている。ユニバーサルジョイント2は保持クリップ7で所定の場所に保持され、保持クリップ7はボール15を所定の場所に保持しつつ、棒1(図3A)が貫通できるように穴が開けられている。
【0018】
図3Aに示されるように、図2に示される実施形態に従ったアプリケーターヘッド3はその下側のチャンバー6、およびチャンバー6の下部外周に位置するチャンバー端部14を含む。さらに、図3Aは玉継ぎ手型ユニバーサルジョイント2を示し、ここでは、ボール15は棒1に取り付けられているか、または棒1の部分を形成しており、かつボール15はチャンバー6への流体シーラントの流動を可能にする開口部10を有する。この実施形態に従って、玉継ぎ手型ユニバーサルジョイント2は、ボール15をアプリケーターヘッド3の頂部における凹み4にはめ込むことによって構築され、保持クリップ7によって所定の位置に保持される。
【0019】
図5に示されるように、好ましい玉継ぎ手型ユニバーサルジョイント2は、アプリケーターヘッド3の頂部における凹み4にはまりこむ(断面が示される)。示される実施形態においては、棒1はネジ9の山を付けられてボール15に取り付けられ、このボール15が抵抗および凹み4によってもたらされるぴったりとしたはまり込みを伴ってアプリケーターヘッド3にスナップ式ではまり込み、凹み4の側面は垂直を超えて伸びて、ボール15がスナップ式にはまり込むソケットを形成する。ボール15は、棒1と流体連絡する開口部10を有し、この開口部10は流体シーラントが出口18に流れてチャンバーの頂部に導かれるか、またはアプリケーターヘッド3が取り外される場合に、棒の末端のボール15の外に直接出るのを可能にする。別の実施形態においては、ボールはチャンバー内に突出するのに充分大きくてもよく、その結果、ボールの開口部がチャンバー内に直接位置し、ボールからの流体シーラントがチャンバー内に直接流れ込むのを可能にする。
【0020】
図3Bに示されるように、図4に示される実施形態に従ったアプリケーターヘッド3はチャンバー6とブラシ毛8の列とを有し、このチャンバー6はアプリケーターヘッド3の下側にあって、チャンバー6の下部外周に位置するチャンバー端部14を有しており、かつブラシ毛8の列はチャンバー端部14から下方に伸びていて、使用者が流体シーラントを適用し、かつ基体が不均一な場合であってさえ流体シーラントを平らにするのを可能にしている。さらに、図3Bは玉継ぎ手型ユニバーサルジョイント2を示し、ここにおいては、ボール15は棒1に取り付けられるか、または棒1の部分を形成しており、かつボール15はチャンバー6への流体シーラントの流動を可能にする開口部10を有する。
【0021】
ブラシ毛8は、アプリケーターヘッド3を外側角のある面に沿って、チャンバー6の部分ではなくブラシ毛8のあるセクションまたは部分が、その外側角のその面に対して垂直な方向であって、かつその表面のすぐ上の外側角の他の面に対して平行に、その角の端のすぐ上まで伸びるように引きずることによって流体シーラントを外側角に適用するのを可能にする。このような方法で、ブラシ毛8はダムを形成して、角の隙間に沿った垂直壁の表面上で流体シーラントを平らにし、かつその外側角の他の面上に流体シーラントが流出するのを妨げ、その結果コーナービーズが容易に形成される。示された実施形態において、ユニバーサルジョイント2およびアプリケーターヘッド3は図2および図3Aに示されるようなものである。
【0022】
図4に示されるように、図3Bに示される本発明の実施形態に従ったアプリケーターヘッド3の下側はチャンバー6およびブラシ毛8の列を有し、チャンバー6はチャンバー6の下部外周に位置するチャンバー端部14を有し(図3B)、ブラシ毛8の列はチャンバー6の下部全外周のチャンバー端部14から伸びている。よって、使用者は、この装置をあらゆる方向に引きずることができ、さらに適用された流体シーラントを平らにするか、もしくは基体と同一平面にすることができる。
【0023】
図6に示されるように、別の実施形態においては、棒101および発泡体供給軟質ホース18が別々にアプリケーターヘッド3に取り付けられる。
【0024】
ある実施形態においては、ユニバーサルジョイントは従来のスイベルジョイント201、例えば、棒101とアプリケーターヘッド3との間の角度が、アプリケーターヘッド、基体および使用中の流体シーラント供給ホースによって引き起こされる制約によってのみ限定される範囲にわたって連続的に調節可能にするように回転する2つの直交して配置された旋回軸21および22を有する図6に示されるものなどを有することができる。
【0025】
本発明に従った好適なスイベルジョイントは、アプリケーターヘッドの頂部に鋳造されるかまたは取り付けられた開口部に摩擦嵌め(friction fit)されうる旋回軸の1つを通るロールピンによってアプリケーターヘッドに取り付けられることができる。このような実施形態において、流体シーラント供給ホースは棒とは別に使用されうるか、または流体シーラント供給は、棒を通って流れ、ユニバーサルジョイント上で棒を出て、次いで棒とユニバーサルジョイントとを完全に取り囲むブート(boot)、例えば、スティックシフトブート(stick shift boot)に流れることができる。
【0026】
好ましい実施形態においては、本発明に従った装置のアプリケーターヘッドは棒から取り外し可能である。例えば、棒は、棒の端に取り付けられたボールまたは棒の端を含むボールを備えた玉継ぎ手によってアプリケーターヘッドに接続される。
【0027】
特に好ましい実施形態においては、ボールは棒の末端を形成し、アプリケーターヘッド内のソケットへクリックで取り付け、取り外しされ、その結果、アプリケーターヘッドに取り付けられていない場合には、その端部にボールにおけるむき出しの開口を備えた棒は、内側角または制約された領域にシーラントを適用するために使用されうる。
【0028】
本発明に従ったソケット継ぎ手内のボールは、あらゆる既知の手段によってアプリケーターヘッドの頂部における雌型凹み内に取り付けられうる。例えば、ボールは、アプリケーターヘッドの頂部における雌型凹みの外周に位置する1以上のバネ荷重ベアリング、例えば、ベアリングの環内にスナップで入れられることができる。別の実施形態においては、ボールは、図3Aに示されるもののような、基体に対してあらゆる所望の角度での、360°全ての棒の動きを可能にするのに充分大きな円形の開口部を有する、取り外し可能な環状保持クリップによって所定の場所に保持されることができ、アプリケーターヘッドの頂部における凹みにはまり込む。操作において、環状クリップからアプリケーターヘッドに向かって下方に伸びる2以上のピンによってクリップは保持され、アプリケーターヘッドの頂部の対応する開口部に付着しうる。さらに別の実施形態においては、保持クリップが閉じられる場合に後述のリップの下にぴったりとはまり込むように、チャンバーの頂部に形作られた、対応する形のプラスチックタブまたは突起を捕捉するような、保持クリップの外周で下方に伸びる小さなリップによって保持クリップは所定の場所にスライドされ、保持されうる。使用される場合には、保持クリップは好ましくは、バネ加重されて閉じたままにされ、そしてチャンバーの頂部における凹み内に棒のボール端部を入れる様にスライドして開く。別の好適な玉継ぎ手においては、ボール自体は従来の方法で棒に取り付けられることができる。例えば、棒およびボールのそれぞれはねじ切りされうる。
【0029】
より好ましくは、棒上のボールを収容するためのソケットまたは凹みは、その最上部に、ボールを所定の位置に保持するようなサイズ、例えば、ボールの外形よりもほんの少しだけ小さいサイズのリングまたは環状部分を有する。ボールはスナップで所定の場所に配置されることができ、すなわち、ボールおよびソケットはスナップ式で一緒にされることができ、ボールはソケット内にぴったりとはまり込む。あるいは、ボールが開口部にはまり込む場合に、その上でボールの赤道線または中点が停止し、それによりボールがソケット内にスナップではまり込むことを可能にするソケットにおける開口部の外周に配置される2以上のバネ荷重タブを凹みのリング部分が有することができる。
【0030】
本発明に従った装置の棒は、流体シーラントがアプリケーターヘッドまで通って流れる余地があるような管状であり得るか、または軸方向の空洞または導管をそのなかに有しうる。あるいは、棒はアプリケーターヘッドの上流にバイパスバルブを有し、このバイパスバルブは棒の側面における単なる穴であってよく、この穴は使用されていない場合には取り外し可能な栓で閉じたままにされており、およびこの穴には管が挿入されることができ、あらゆる所望の隙間に対してこの管を介して適用するために発泡体を取り出すことができる。
【0031】
本発明に従った装置のアプリケーターヘッドおよびそのチャンバーは、使用者が塞ぐことを求める隙間よりもそのチャンバーが幅が広い限りは、あらゆる形状、すなわち、正方形、長方形、円形または楕円形であることができる。
【0032】
ある実施形態においては、基体に沿った動きを容易にするために、アプリケーターヘッドはその下部外周に、スキーの先端(ski tip)のような傾斜の付いた端部を有することができる。
【0033】
別の実施形態においては、アプリケーターヘッドはその下側に、平坦でない下部表面形状を有するチャンバー端部を有することができ、同一平面上にないパネル間の隙間の上への適用を可能にする。このような平坦でない基体は、例えば、家の外側角または内側角であることができる。ある実施形態においては、単一のヒンジのアプリケーターヘッドが多くの角度で接近することができる。
【0034】
棒、クリップ、アプリケーターヘッドおよびユニバーサルジョイントを含む装置はあらゆる軽量耐久性物質、例えば、アルミニウムのようなシート金属、もしくは硬質プラスチックで製造されうる。
【0035】
アプリケーターヘッドの下部外周は、この装置が基体表面上をスライドするかまたは進むのを可能にする様々な物質を含むことができ、アプリケーターヘッド自体と同じ物質の部分としてもしくは同じ物質から製造される、例えば、硬質プラスチックまたは金属;ブラシ毛;硬質ゴムまたは硬質フォーム、例えば、ガスケットもしくはスキージ物質;から構成されることができる。ブラシ毛が好ましい。
【0036】
好適な泡発生機はあらゆる既知の単純なバッチ型混合機を含むことができ、または好適な発泡体シーラントを製造するためにエアゾールが使用されうる。例えば、ハウパージ、ニューヨーク州のE.T.Oakes Corp.からの連続泡発生機モデル番号2M172、または米国特許第5,492,655号(Schuller International Inc.)、第4,986,667号(3M)および第6,422,734号(National Gypsum LLC)に開示されるようなスタティックミキサー。さらに他の泡発生機には、空気を流体流れに引き込み混合するためのベンチュリまたは空気排出装置、例えば、米国特許第6,010,083号(BetzDearborn Inc.)、第6,042,089号、および第6,561,438号(Fountainhead Group)に開示されるものが挙げられる。発泡体は、米国特許第7,029,609号(Rathor)およびこれに含まれる参考文献に開示されるような加圧エアゾール容器から分配されることもできる。
【0037】
好ましくは、泡発生機は棒または泡供給管に収容された、ビーズマトリックスのようなスタティックミキサーを含む。スタティックミキサーを使用する場合、空気または噴射剤、およびラテックスが一緒にされて、混合用床、例えば、装置の棒の中の混合用床に供給される。充填床の出口において、発泡体は低圧力下、例えば、140kPa(キロパスカル)または0.14MPa(20psi)で、すでに充分に形成されている。好適な混合床は、1〜2mmのプラスチックビーズが充填された幅1.5〜3cm、長さ3〜12cmのものでありうる。
【0038】
本発明の方法は、本発明の装置を用いて、圧縮可能で柔軟な流体シーラント、例えば、発泡したシーラントポリマー組成物、好ましくは水性エマルションポリマー組成物を、建築または改造中の建築構造物の隙間に適用するのと同時に、同じ動きで適用された発泡体を基体の表面と同一平面にし、場合によっては、引き続き、その建築物の残りの表面をコーティングするかまたは覆って、例えば、好ましくは塗料もしくはコーティング物質を用いて、耐候性バリアを形成する。
【0039】
シーラントを適用し、それを平らもしくは基体と同一平面にする方法は、ほとんどまたは全く圧力を加えることなく、すなわち、アプリケーターチャンバー端部表面の接触でシーラントを適用することを含む。よって、好適なシーラント組成物には、例えば、0.035MPa以下、好ましくは0.0035MPa以下の圧力下で3mm以下の厚さに圧縮されうるあらゆる発泡体が挙げられうる。好適な発泡した組成物は水性軟質ポリマー、例えば、後述するようなコーティング剤および塗料に使用されるもののようなエラストマー性水性エマルションポリマーで製造される。
【0040】
操作においては、シーラントまたは発泡体は、棒もしくは管を通って、基体に隣接した面に開き、基体、すなわち建築物の面に順応する下部外周面もしくは端部を備えたチャンバーを有するアプリケーターヘッドにポンプ移送または供給され、そしてこの装置の下部表面を介して基体表面のひび割れもしくは隙間を塞ぐために適用される。チャンバー端部がこの隙間に沿って動かされる場合に、過剰な泡が平らにされる。この装置が基体表面上を時を選ばすあらゆる方向に動かされて、あらゆる方向に隙間を塞ぐことができ、そして、この道具自体の重量を超える普通の圧力を加えることなく、すなわち、わずかな軽いタッチで操作されうる。
【0041】
被覆された基体における隙間を塞ぐ方法においては、この装置は、0.08m/秒以上、もしくは2.5m/秒以下の速度で、好ましくは、0.5m/秒以上、もしくは2.0m/秒以下の速度で隙間に沿って動かされうる。早歩きの速度は1.6m/秒である。連続的に隙間を満たすようにチャンバーに発泡体が補給されるので、シーラントの素早い適用が可能である。
【0042】
この装置は、シーラントの平坦化適用またはシール形成適用を要求するあらゆる基体、例えば、覆われた建築構造物、建築物内装、床接合部、例えば、自己平坦化床用途、間柱(stud bays)、垂木、屋根裏接合部、道路、歩道、軽量コンクリートブロック構造物、軽量コンクリートブロック構造物の接合部およびコンクリート構造物から選択される基体における接合部、隙間もしくはひび割れに流体シーラントを適用するために使用されうる。道路または歩道はコンクリートまたはアスファルトでありうる。特に好適な基体には、木材板、合板、配向性ストランドボード(OSB)、セメントもしくは石膏外装用板を構造フレーム上で使用し、板の間に隙間がある、建築中のあらゆる建築物が挙げられうる。
【0043】
ポリマーは、非イオン性界面活性剤のような界面活性剤、または噴射剤、例えば、空気もしくは二酸化炭素などを用いて発泡されうる。好ましくは、水性エマルションポリマー発泡体は、乾燥後も少なくとも1日は、メッシュ裏打ち上に形成された発泡体ストリップが、100mmの直径を有する円筒形金属マンドレルの周りにひび割れることなく巻き付けられうるのに充分柔軟である。寒冷気候用途のためには、好適な発泡した組成物は、乾燥後少なくとも1日は、50mmの直径を有する円筒形金属マンドレルの周りにひび割れることなく巻き付けられる、メッシュ裏打ちを含む発泡体ストリップに成形されうる。
【0044】
耐候性バリアを形成するのに好適なコーティング剤または覆いは、好ましくは、塗料もしくはコーティング剤物質、例えば、水性エマルションポリマー塗料もしくはコーティング剤、および好ましくは、エラストマー性もしくは軟質ポリマー、例えば、25℃以下のガラス転移温度すなわちTgを有するポリマーの水性エマルションを含む。他の実施形態においては、耐候性バリアの覆いは、タール紙または他の耐候性バリア、例えば、デラウェア州ウィルミントンのDuPontからのTyvek商標のようなポリオレフィン不織布を含む。
【0045】
建築物の残りの表面を覆うのに好適なポリマーコーティング剤組成物または塗料は、乾燥時に、0.7g/mlの密度を有し、好ましくは、シールされた構造物、例えば、被覆物上の、エラストマー性コーティング組成物。好適なポリマーコーティング剤は建築物に対する好適な水蒸気透過性を可能にするように選択されることができ、例えば、ゴム状ポリマーエマルション、ペンシルバニア州、フィラデルフィアのロームアンドハースカンパニーからのRhoplex商標EC−2540のような軟質アクリル系ポリマーエマルション、ジョージア州アトランタのSto CorpからのSto Gold Coatのようなスチレン−アクリル系コポリマー、およびカリフォルニア州ハンチントンのHenry Inc.からのHenry Airbloc33(アクリル系コポリマー)もしくはHenry Airbloc06WB(アスファルトエマルション)のようなアクリル系および/またはアスファルトエマルションコーティング剤、酢酸ビニル−アクリル、エチレン−酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン、およびポリウレタン分散物が挙げられうる。
【0046】
好適なコーティング剤もしくは塗料組成物は、噴霧装置、ブラシまたはローラーによるなどの任意の既知の手段によって適用されうる。
【符号の説明】
【0047】
1、101 棒
2 ユニバーサルジョイント
3 アプリケーターヘッド
4 凹み
6 チャンバー
7 保持クリップ
8 ブラシ毛
9 ネジ
10 装置
12 バイパスバルブ
14 チャンバー端部
15 ボール
16 管
18 出口
21、22 旋回軸
201 スイベルジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒の部分としてまたは別の供給管としての流体シーラント供給を備えた棒、およびアプリケーターヘッドを含む、流体シーラントを適用する装置であって、
棒はアプリケーターヘッドの頂部にユニバーサルジョイントを介して取り付けられており、
さらに、アプリケーターヘッドはその下側にチャンバーを含み、当該チャンバーはシールされるべき基体への流体シーラントの一定の供給を可能にするのに充分大きく、
さらに、アプリケーターヘッドは、その下部外周に位置し、シーラントを平らにするように適合した端部を有している、
流体シーラントを適用する装置。
【請求項2】
棒が軸方向に中空であり、それにより棒が、ユニバーサルジョイント内の開口部を通して流体シーラントをアプリケーターヘッドに送達する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
棒がハンドルであり、別の流体シーラント供給として、棒とは別に供給管がアプリケーターヘッドに取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
棒をアプリケーターヘッドの頂部に取り付けているユニバーサルジョイントが玉継ぎ手を含み、当該玉継ぎ手を通ってシーラントが通って流れうる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
アプリケーターヘッドが取り外し可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
アプリケーターヘッドの下部外周に位置するチャンバー端部が、その中に配置された短いブラシ毛であって、アプリケーターヘッドの底面に対して垂直な短いブラシ毛を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
棒または供給管が、そのなかに配置された1以上の泡発生機を有し、当該泡発生機がスタティックミキサーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置を用いて、圧縮可能なシーラント組成物を、基体の隙間、ひび割れまたは接合部に適用し、同時に、同じ動きで、適用された発泡体を平らにするかもしくは基体の表面と同一平面にし、場合によってはその後、基体の残りの表面をコーティングするかまたは覆って耐候性バリアを形成することを含む、シールを形成する方法。
【請求項9】
シーラントの適用が、アプリケーターヘッドの重量によって加えられる圧力以外に、圧力をかけることなく行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
隙間へのシーラントの適用が0.08m/秒以上、かつ2.5m/秒以下の速度で行われる、請求項8に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−168895(P2010−168895A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−6720(P2010−6720)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】