説明

軽質供給原料からの基油製造のための接触方法及びシステム

潤滑基油を製造するために軽質炭化水素供給原料を脱蝋するための方法及び触媒系が提供される。本発明の層状触媒系は、第二水素化異性化脱蝋化触媒より上流に配置された第一水素化異性化脱蝋化触媒を含有し得る。第一及び第二水素化異性化脱蝋化触媒の各々は、n−パラフィン類に対して選択的であり得る。第一水素化異性化触媒は、第二水素化異性化脱蝋触媒よりも、n−パラフィン類の異性化に対して、より高いレベルの選択度を有し得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素供給原料を脱蝋するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高品質の潤滑油は、近代の機械及び自動車の操作にとって重要である。しかし、流通している原油供給物は、そのような潤滑油に対して存在する要求を満たすには不適切である。従って、原油留分の品質を向上させることが必要であり、そうでなければ潤滑油製造には適さない。例として、高品質の潤滑油を、しばしば蝋質供給原料から製造しなくてはならない。通常の及び低品質の供給原料を品質向上させることにより、潤滑基油を製造するための多くの方法が提示されている。
【0003】
炭化水素供給原料は、水素化分解又は水素化異性化により接触脱蝋され得る。水素化分解は一般的に、中間留分及び更により軽質のC4−生成物のような、低分子量炭化水素の製造による、収率での損失をもたらし、一方、水素化異性化は一般的に分解を最小にすることにより、より高い収率を与える。
【0004】
米国特許第7,384,538号には、第一触媒が少なくとも6.2オングストロームの溝直径を有し、第二触媒が5.8オングストローム以下の溝直径を有する、少なくとも2つの異性化触媒を有する触媒床を含有する異性化域における、基油製造のための蝋質供給原料の水素化異性化が開示されている。米国特許出願公開第2008/0083657号には、金属改質された小型結晶質MTTフレーム構造分子篩を用いて、炭化水素供給原料を脱蝋することが開示されている。米国特許出願公開第2009/0166252号には、第一触媒が2以下の拘束指数(CI)を有し、第二触媒が2より大きなCIを有する、2つの異性化触媒を用いる潤滑基油原料製造が開示されている。
【0005】
生成物の収率を除けば、基油の接触製造における他の重要な因子は触媒老化の最小化である。そのことに関して、米国特許第5,951,848号には、水素化処理触媒及び脱蝋化触媒を含有する2つの触媒系の使用が開示されている。脱蝋化触媒の老化は、水素化処理触媒層の存在により減速され得る。
【0006】
米国特許第6,468,417号及び第6,468,418号には、脱蝋された潤滑油原料又は基油供給原料に固体収着剤を接触させ、脱蝋された潤滑油原料又は基油供給原料の曇り点と比較して低減された曇り点を有する脱曇り基油を製造することを含む方法により、曇りを形成する傾向を低減させた潤滑油の製造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,384,538号号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0083657号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0166252号明細書
【特許文献4】米国特許第5,951,848号明細書
【特許文献5】米国特許第6,468,417号明細書
【特許文献6】米国特許第6,468,418号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2011/0079540号明細書
【特許文献8】米国特許第7,141,529号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2008/0083657号明細書
【特許文献10】米国特許第3,852,207号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Handbook of Chemistry and Physics、72版(1991−1992)、Chemical Abstract Service発行
【非特許文献2】E.P.Barrett、L.G.Joyner及びP.P.Halendaによる“The determination of pore volume and area distributions in porous substances. I.Computations from nitrogen isotherms”、J.Am,Chem.Soc.1951,73、373−380
【非特許文献3】Atlas of Zeolite Framework Types、International Zeolite Association発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
価値を有するグループII及びグループIIIの基油の製造のための蝋質炭化水素供給原料の、増大された異性化選択度及び変換を示す改良された脱蝋方法及び触媒系に対する引き続いての要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、蝋含有炭化水素供給原料を、低い流動点、低い曇り点、低い流動−曇り開き及び高い粘度指数(VI)を有する潤滑基油を含む高品質の生成物に効率よく変換するための方法に関する。そのような方法では、複数の水素化異性化脱蝋化触媒を含有する層状触媒系が用いられる。水素化異性化は、脂肪族の分岐されていないパラフィン系炭化水素(n−パラフィン類)をイソパラフィン類及び環式種に変換し、それによって、供給原料と比較して、基油生成物の流動点及び曇り点を低下させる。ある態様において、本発明の層状触媒系は、保護層として水素化処理触媒を更に含有し得て、それによって、約450゜F〜約725゜F(232℃〜385℃)の範囲における温度において、従来の方法と比較して、水素化異性化触媒の「老化」が減速され、基油生成物収率が、より長い時間、維持され得る。
【0011】
本発明の一つの面によれば、軽質蝋質炭化水素供給原料を接触脱蝋するための方法が提供され、当該方法は、第一水素化異性化域において第一水素化異性化脱蝋条件下で、当該炭化水素供給原料を第一水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第一異性化流れを提供する工程、及び、第二水素化異性化域において第二水素化異性化脱蝋条件下で、第一異性化流れの少なくとも一部を第二水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第二異性化流れを提供する工程、を含む。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は、1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し得る。第一水素化異性化触媒は、供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第一レベルの選択度を有し、第二水素化異性化触媒は、供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第二レベルの選択度を有し、第一レベルの選択度は、第二レベルの選択度よりも高くあり得る。
【0012】
ある態様において、本発明は、蝋質炭化水素供給原料を接触脱蝋するための方法を提供し、当該方法は、第一水素化異性化域において第一水素化異性化脱蝋条件下で、当該炭化水素供給原料を第一水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第一異性化流れを提供する工程、第二水素化異性化域において第二水素化異性化脱蝋条件下で、第一異性化流れの少なくとも一部を第二水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第二異性化流れを提供する工程、及び、第二異性化流れを水素化仕上げ触媒と接触させる工程であって、それにより基油生成物を提供する工程、を含む。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は、1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し得る。第一水素化異性化触媒は、供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第一レベルの選択度を有し、第二水素化異性化触媒は、n−パラフィン類の異性化に対して第二レベルの選択度を有し、第一レベルの選択度は、第二レベルの選択度よりも高くあり得る。第一水素化異性化触媒は、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd及びCrから成る群から選ばれる金属改質剤でドーピングされ得る。第二水素化異性化触媒は、耐火性の酸化物結合剤、当該分子篩及びVIII族金属から本質的に成り得る。第一及び第二水素化異性化触媒は、同じ反応器内に配置され得る。基油生成物は、約−12℃以下の流動点及び約5℃以下の流動−曇り開きを有し得る。
【0013】
他の態様において、本発明は、第一水素化異性化触媒を含有する第一水素化異性化域、及び第二水素化異性化触媒を含有する第二水素化異性化域を有する層状触媒系を提供する。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は、1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し得る。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は、n−パラフィン類の異性化に対して選択的であり得る。第一水素化異性化触媒は、n−パラフィン類の異性化に対して第一レベルの選択度を有し、第二水素化異性化触媒は、n−パラフィン類の異性化に対して第二レベルの選択度を有し、第一レベルの選択度は、第二レベルの選択度よりも高くあり得る。第一水素化異性化域は、第二水素化異性化域より上流に配置され得て、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒は、単一反応器内に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のある態様による、炭化水素脱蝋方法のためのシステムを概略的に表す。
【図2A】本発明のある態様による、層状脱蝋化触媒系を概略的に表す。
【図2B】図2Aのシステムの逆配置を有する層状脱蝋化触媒系を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、炭化水素供給原料を、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒を含有する層状触媒系と接触させることを含む炭化水素脱蝋方法を提供する。ある態様において、本発明は又、第一水素化異性化触媒が第二水素化異性化触媒より上流に存在し得る、炭化水素供給原料を脱蝋するための触媒系を提供する。
【0016】
ある態様において、第一水素化異性化触媒は、触媒系の第一水素化異性化層内又は域内に存在し得て、第二水素化異性化触媒は、触媒系の第二水素化異性化層内又は域内に存在し得る。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒は、同じ反応器内に存在し得る。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒は、同じ反応器における別の床内に配置され得る。代替として、第一水素化異性化触媒の少なくとも一部が第二水素化異性化触媒の少なくとも一部と同じ床内に存在し得て、並びに/又は第二水素化異性化触媒の少なくとも一部は第一水素化異性化触媒の少なくとも一部と同じ床内に存在し得る。
【0017】
本発明者らは、総容量Vを有し、第一及び第二水素化異性化触媒を含有する、本発明の層状触媒系が、優れた結果、例えば、同じ容量(V)の第一水素化異性化触媒単独又は第二水素化異性化触媒単独と比較して、基油生成物の、増大された収率及び/又はより高い粘度指数(VI)により決定される全体のより大きな異性化選択度を提供し得ることを示した。
【0018】
ある態様において、本発明の触媒系は、水素化処理触媒を更に含有し得る。その水素化処理触媒は、保護層又は保護床を構成し得る又は保護層又は保護床として機能し得る。保護層の水素化処理触媒は、第一水素化異性化触媒より上流に配置され得る。保護層の水素化処理触媒は、第一及び第二水素化異性化触媒を失活させ得る、供給原料中の汚染物質から第一及び第二水素化異性化触媒を保護するのに役立ち得る。従って、保護層の存在は、第一及び第二水素化異性化触媒の寿命を実質的に増大させ得る。ある態様において、保護層は、第一及び第二水素化異性化触媒と同じ反応器内に配置され得る。従って、本発明の方法は、単一反応器内で実施され得る。
【0019】
ある態様において、本発明の方法のための反応条件は、特に、本発明の望ましい基油生成物の目標の流動点を達成するために第一及び第二水素化異性化触媒に要求される温度により決定され得る。典型的には、当該水素化異性化触媒は、約390゜F〜約800゜F(199℃〜427℃)、通常は約550゜F〜約750゜F(288℃〜399℃)の範囲における操作温度を有し得る。実際には、プロセス温度は、供給原料組成、供給速度、操作圧力、触媒系の配合及び水素化異性化触媒の「寿命」のような種々の他のプロセスパラメーターに依存し得る。
【0020】
定義
本明細書において用いられる下記の用語は、他に示されていなければ、下記に定義される意味を有する。
【0021】
用語「水素化処理」は、炭化水素供給原料の成分(例えば不純物)の水素化脱硫化、水素化脱窒素化、水素化脱金属化及び/もしくは水素化脱芳香族化のために、並びに/又は供給原料中の不飽和化合物の水素化のために、水素の存在下で行われるプロセス又は工程を示す。水素化処理のタイプ及び反応条件によって、水素化処理プロセスの生成物は、例えば、改良された粘度、粘度指数、飽和化合物含量、低温度特性、揮発度及び脱極性化を有し得る。
【0022】
用語「保護層」及び「保護床」は、本明細書において水素化処理触媒又は水素化処理触媒層を示すのに同義語的に及び互換的に用いられ得る。保護層は、炭化水素脱蝋のための触媒系の構成要素であり得て、少なくとも一つの水素化異性化触媒より上流に配置され得る。
【0023】
本明細書で用いられているように、用語「分子篩」は、均一なサイズの細孔、空洞又は細隙スペースを有する結晶質物質を示し、その細孔、空洞又は細隙スペースの中を通過するのに十分に小さな分子が吸着され、一方、より大きな分子は吸着されない。分子篩の例には、ゼオライト類、並びにSAPO類(シリコアルミノリン酸塩類)、MeAPO類(メタロアルミノリン酸塩類)、ALPO及びELAPO類(非金属置換アルミノリン酸塩系)を含む、しかしそれらに限定されないゼオライト類似物のような非ゼオライト分子篩が含まれる。
【0024】
本明細書で用いられているように、用語「流動点」は、制御された条件下で油が流動し始める温度を示す。流動点は、例えばASTM D5950により決定され得る。
【0025】
「目標流動点」は、潤滑基油生成物の望ましい又は要求される流動点を意味する。目標流動点は一般的に約−10℃より低く、典型的には約−10℃〜−50℃の範囲である。
【0026】
本明細書で用いられているように、「曇り点」は、潤滑油試料が特定の条件下でその油が冷却されたときに曇りを生じ始める温度を示す。潤滑基油の曇り点は、その流動点と相補的である。曇り点は、例えばASTM D5773により決定され得る。
【0027】
基油の「流動点−曇り点開き」又は「流動−曇り開き」は、曇り点と流動点の間の開き又は差をいい、℃で測定された、曇り点マイナス流動点として定義される。一般的に、流動点と曇り点の間の開きを最少にするのが望ましい。
【0028】
本開示において言及された元素の周期表は、Chemical Abstract Serviceにより発行されたHandbook of Chemistry and Physics、72版(1991−1992)におけるCAS版である。
【0029】
「VIII族金属」は、元素の周期表のVIII族から選ばれる元素の金属(類)及び/又はそのような金属を含有する金属化合物を示す。
【0030】
他に特定されていなければ、接触反応域に供給される炭化水素供給原料の「供給速度」は、本明細書において、時間当りの触媒容量当りの供給原料容量として表わされ、時間の逆数(時−1)の単位での液空間速度(LHSV)として示され得る。
【0031】
用語「水素化異性化」は、n−パラフィン類(n−アルカン類)が、水素化異性化(脱蝋化)触媒上で、水素の存在下で、それらの、より分岐した対応物質に異性化されるプロセスをいう。
【0032】
他に特定されていなければ、個々の成分又は成分の混合物が選ばれ得る元素、物質又は他の成分の類の列挙は、列挙された成分及びそれらの混合物のすべての可能な亜類の組み合わせを含むことを意図する。又、「含む」及びその変形は、非限定であることを意図し、リストにおける品目の列挙が、物質、組成物及び本発明の方法において有用であり得る、他の同様な品目を除外しない。
【0033】
本明細書において記載された物質についての特性は、下記のように決定され得る:
(a)SiO/Al比(SAR):ICP元素分析により決定される。無限大のSAR(∞)は、ゼオライトにおいてアルミニウムが存在しない場合、すなわち、アルミナに対するシリカのモル比が無限大である場合を表す。その場合、分子篩はすべてシリカから本質的に構成される。
(b)表面積:沸点におけるN吸着により決定される。BET表面積は、P/P=0.050、0.088、0.125、0.163及び0.200における5−ポイント法により計算される。試料は、水又は有機物質のような吸着された揮発物質を除去するために、流動する乾燥したNの存在下で400℃において6時間、最初に予備処理される。
(c)ミクロ細孔容積:沸点におけるN吸着により決定される。ミクロ細孔容積は、P/P=0.050、0.088、0.125、0.163及び0.200におけるt−プロット法により計算される。試料は、水又は有機物質のような吸着された揮発物質を除去するために、流動する乾燥したNの存在下で400℃において6時間、最初に予備処理される。
(d)メソ細孔細孔径:沸点におけるN吸着により決定される。メソ細孔細孔径は、E.P.Barrett、L.G.Joyner及びP.P.Halendaによる“The determination of pore volume and area distributions in porous substances. I.Computations from nitrogen isotherms”、J.Am.Chem.Soc.1951,73、373−380に記載されたBJH法によるN等温線から計算される。試料は、水又は有機物質のような吸着された揮発物質を除去するために、流動する乾燥したNの存在下で400℃において6時間、最初に予備処理される。
(e)総細孔容積:P/P=0.990における沸点におけるN吸着により決定される。試料は、水又は有機物質のような吸着された揮発物質を除去するために、流動する乾燥したNの存在下で400℃において6時間、最初に予備処理される。
【0034】
許されるなら、本明細書において引用された刊行物、特許及び特許出願明細書は、言及によって、全体として、かつ、そのような開示が本発明と矛盾しない程度に、本明細書に組み込まれる。
【0035】
水素化処理触媒
ある態様において、本発明の触媒系には、水素化処理触媒が、例えば保護層の形態で、含まれ得る。本発明の水素化処理触媒は、耐火性無機酸化物担体及びVIII族金属を含有し得る。当該酸化物担体は又、本明細書において結合剤として言及され得る。水素化処理触媒の担体は、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア等又はそれらの組み合わせから製造され得るか又はそれらを含有し得る。当該触媒担体は、非晶質物質、結晶質物質又はそれらの組み合わせを含有し得る。非晶質物質の例には、非晶質アルミナ、非晶質シリカ、非晶質シリカ−アルミナ等が含まれるが、それらに限定されない。
【0036】
ある態様において、担体は非晶質アルミナを含有し得る。シリカとアルミナの組み合わせを用いる場合、担体におけるシリカとアルミナの分布は均質性であるか又は不均質性である。いくつかの態様において、担体は、シリカ、シリカ/アルミナ又はアルミナ基剤物質が分散されたアルミナゲルから成り得る。担体は又、例えば、他の無機酸化物又はクレー粒子のような、アルミナ又はシリカ以外の耐火性物質も、そのような物質が最終的な触媒の水素化活性度に悪影響を及ぼさず、かつ供給原料の有害分解をもたらさないという条件で、含有し得る。
【0037】
ある下位態様において、シリカ及び/又はアルミナは一般的に水素化処理触媒の担体の少なくとも約90重量%を構成し、いくつかの態様において、担体は少なくとも実質的にすべてシリカ又はすべてアルミナであり得る。水素化処理触媒における担体物質のタイプにかかわらず、本発明の方法及び触媒系において用いられる水素化処理触媒は、典型的には低い酸度を有する。適する場合、担体の酸度は、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属カチオンでの処理により低減され得る。
【0038】
本発明を実施するのに用いられ得る種々の結晶質及び非結晶質触媒担体物質は、それらの酸度レベルの数量化及び触媒担体における酸部位を中和するための方法と同様に、同時係属している同一出願人の米国特許出願公開第2011/0079540号に記載されており、その開示は言及により全体として本明細書に組み込まれる。
【0039】
水素化処理触媒のVIII族金属成分(類)は、プラチナ、パラジウム、又はそれらの組み合わせを含み得る。ある態様において、水素化処理触媒は、約5:1〜約1:5、典型的には約3:1〜1:3そしてしばしば約1:1〜約1:2の範囲でのPt:Pd比を有するプラチナとパラジウムを含有する。水素化処理触媒のVIII族金属含量は、一般的には約0.01重量%〜約5重量%、典型的には約0.2重量%〜約2重量%の範囲であり得る。ある態様において、水素化処理触媒は、約0.1〜約1.0重量%の範囲における濃度でプラチナを、そして約0.2重量%〜約1.5重量%の範囲における濃度でパラジウムを含有し得る。ある下位態様において、水素化処理触媒は、約0.3重量%のプラチナ及び約0.6重量%のパラジウムを含有し得る。本発明の水素化処理触媒は一般的に高触媒活性度と同様に、耐硫黄性を示す。
【0040】
ある態様において、水素化処理触媒のVIII族金属は、無機酸化物担体上に分散され得る。担体上にプラチナ及び/もしくはパラジウム金属又はプラチナ及び/もしくはパラジウムを含有する化合物を沈積させるための技術における、いくつかの方法が知られており、そのような方法には、イオン交換、含浸及び共沈が含まれる。ある態様において、プラチナ及び/又はパラジウム金属での担体の含浸は、制御されたpH値でなされ得る。典型的には、プラチナ及び/又はパラジウムを、ハロゲン化塩、及び/又はアミン錯体及び/又は鉱酸の塩のような金属塩としての含浸溶液に添加され得る。VIII族金属含浸のための溶液を調製するのにアンモニウム塩が特に有用であることが見出された。用いられ得る金属塩の他の例には、酢酸塩、クエン酸塩及び蟻酸塩のようなカルボン酸塩と同様に、硝酸塩、炭酸塩及び重炭酸塩が含まれる。
【0041】
任意に、含浸された担体は、含浸溶液ともに、例えば、約2〜約24時間の範囲における時間、放置され得る。酸化物担体のVIII族金属での含浸の後、含浸された担体は、乾燥され及び/又はか焼され得る。水素化処理触媒が乾燥され、か焼された後に、製造された触媒は、当該技術において慣用であるように水素で還元され得て、使用に付され得る。
【0042】
水素化異性化触媒
ある態様において、本発明の方法は、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒を含有する層状触媒系を用い、第一水素化異性化触媒は、第二水素化異性化触媒より上流に配置され得る。ある態様において、第一及び第二水素化異性化触媒の両方が、炭化水素供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して選択的であり得る。ある態様において、第一及び第二水素化異性化触媒は異なる配合を有し、そして異なるレベルの異性化選択度を有し得る。ある態様において、第一水素化異性化触媒は、第二水素化異性化触媒と比較して、n−パラフィン類の異性化に対して、より高いレベルの選択度を有し得る。
【0043】
第一及び第二水素化異性化触媒の各々は分子篩及びVIII族金属を含有し得る。ある態様において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々の分子篩は、1−D、10環分子篩を含有し得る。第一及び第二水素化異性化触媒のVIII族金属は、プラチナ、パラジウム又はそれらの組み合わせを含み得る。ある態様において、第一及び第二水素化異性化触媒の各々は約0.1〜約1.5重量%のVIII族金属、典型的には約0.2〜約1.0重量%、そして通常は約0.325〜約1.0重量%のVIII族金属を含有し得る。ある態様において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の少なくとも一つは、実質的には、本明細書において後に記載されるように、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd、Cr及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる金属改質剤を更に含有し得る。
【0044】
典型的には、第一及び第二水素化異性化触媒の各々は、なお更に担体又は結合剤を含有する。担体は耐火性の無機酸化物を含み得る。水素化異性化触媒のために適する無機酸化物担体には、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−チタニア等及びそれらの組み合わせが含まれ得る。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は約5〜約95重量%又はそれより多くの分子篩成分、典型的には約15〜約85重量%の分子篩、そして通常は約25〜約75重量%の分子篩を含有し得る。一般的に、触媒が、要求される活性度及び選択度レベルを保持するという条件で、経済的理由のために分子篩成分を最少にすることが有利である。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は約0〜約95重量%の担体物質を、より典型的には約5〜約90重量%、含有し得る。
【0045】
本発明の方法による、炭化水素供給原料を脱蝋するための例示的な触媒系において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し得る。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の少なくとも一つの分子篩は、中細孔ゼオライト、例えば約0.39nm〜約0.7nmの範囲における細孔孔径を有するゼオライトを含有し得る。ある態様において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々は、約0.325重量%〜約1重量%のプラチナを更に含有し得る。
【0046】
第一及び第二水素化異性化触媒の少なくとも一つを配合することにおいて有用であり得る分子篩の例には、MTT又はTONコードのゼオライトタイプの物質と同様に、SAPO−11、SAPO−31、SM−3、SM−6のようなAELフレーム構造タイプコードの分子篩が含まれる。MTTコードの分子篩には、ZSM−23、SSZ−32、EU−13、ISI−4及びKZ−1が含まれる。本発明を実施するのに有用であり得るTONコードの分子篩には、Theta−1、ISI−1、KZ−2、NU−10及びZSM−22が含まれる。MTT及びTONタイプの分子篩のパラメーターは、International Zeolite Association(IZA)により発行されたAtlas of Zeolite Framework Typesに更に記載されている。ある態様において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の少なくとも一つはゼオライトSSZ−32を含有する。ある下位態様において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々がSSZ−32を含有する。本発明の方法は、いずれかの特定の水素化異性化触媒配合に限定されない。
【0047】
触媒類の金属積載
ある態様において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の少なくとも一つは、一つ以上の金属改質剤を更に含有し得る。ある下位態様において、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の両方が各々、金属改質剤を含有し得る。典型的には、金属改質剤(類)は、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd、Cr及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれ得る。ある下位態様において、金属改質剤はMgを含有し得る。ある態様において、本発明の、金属で改質された触媒は、約0.5〜約3.5重量%のMg又は他の金属改質剤(類)、典型的には約0.5〜約2.5重量%の、そして通常は約0.9〜約2.5重量%の、Mg又は他の金属改質剤(類)を含有し得る。
【0048】
本発明のある態様による、軽質炭化水素供給原料の水素化異性化のための方法において、第一(すなわち上流)の水素化異性化触媒は、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd、Cr及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる金属改質剤を含有し得て、第二(すなわち下流)の水素化異性化触媒は、少なくとも実質的には金属改質剤を欠き得る。言い換えると、ある態様において、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd及びCrから成る群から選ばれる金属改質剤成分は、第一水素化異性化触媒中には含有され得るが、第二水素化異性化触媒には省略され得る。非限定的な例として、第一水素化異性化触媒は、SSZ−32のような1−D、10環分子篩;プラチナのようなVIII族貴金属;及びマグネシウムのような金属改質剤を含有し得る。一方、第二水素化異性化触媒は、1−D、10環分子篩、VIII族金属及び耐火性酸化物担体から本質的に成り得る。
【0049】
本発明の脱蝋法のために触媒又は触媒系を配合することにおいて、分子篩と酸化物結合剤との混合物は、広範囲の物理的形状及び寸法を有する粒子又は押出物に形成され得る。ある態様において、押出物又は粒子は、金属積載の前に乾燥され得て、そして、か焼され得る。か焼は、典型的には約390゜F〜約1,100゜F(199℃〜593℃)の範囲における温度で約0.5〜約5時間の範囲の時間、又はそれより長く行われ得る。か焼された押出物又は形成された粒子は、次に、Ca、Cr、Mg、La、Na、Pr、Sr、K、Nd及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる少なくとも一つの金属改質剤で積載され得る。理論に縛られるわけではないが、そのような金属は、金属で改質された水素化異性化触媒の分子篩における酸部位の数を有効に低減させ得て、それによって供給原料におけるn−パラフィン類の異性化への(分解に対する)触媒の選択度を増大させる。
【0050】
触媒(類)への改質金属(類)の積載は、含浸又はイオン交換のような当該技術分野において公知の技術によりなされ得る。イオン交換技術は、典型的には押出物又は粒子を、望ましい金属カチオン(類)の塩を含有する溶液と接触させることを含む。この事に関しては、ハロゲン化物、硝酸塩及び硫酸塩のような種々の金属塩が用いられ得る。望ましい金属カチオン(類)の塩溶液との接触の後、押出物又は粒子は、例えば約150゜F〜約800゜F(66℃〜427℃)の範囲における温度において、乾燥され得る。その後に、当該押出物又は粒子は、触媒のVIII族金属成分で更に積載され得る。
【0051】
ある態様において、本発明の分子篩又は触媒は、改質金属及びVIII族金属で共含浸され得る。VIII族金属及び改質金属を積載した後に、当該触媒は、約500゜F〜約900゜F(260℃〜482℃)の範囲における温度において空気中又は不活性ガス中でか焼され得る。金属改質剤を含有する分子篩触媒の製造は、同一出願人の米国特許第7,141,529号及び米国特許出願公開第2008/0083657号に開示されており、それらの各々の開示は引用により全体として本明細書に組み込まれる。
【0052】
脱蝋化触媒系
本発明のある態様によれば、炭化水素供給原料からの基油の製造のための脱蝋化触媒系10は、図1を参照して、以下のように記載され得る。触媒系10は、複数の水素化異性化触媒層を含有する層状の系であり得る。ある態様において、水素化異性化触媒の層の各々は、異なる配合、活性度及び/又はn−パラフィン異性化選択度を有し得る。「n−パラフィン異性化選択度」により、供給原料中のn−パラフィン類を分解するのと反して異性化するための、所定の触媒の傾向が意味される。
【0053】
触媒系10には、水素化処理域又は保護層12、第一水素化異性化域14及び第二水素化異性化域16が含まれ得る。保護層12、第一水素化異性化域14及び第二水素化異性化域16は、それぞれ、水素化処理触媒18、第一水素化異性化触媒20及び第二水素化異性化触媒22を含有し得る。保護層12は第一水素化異性化触媒20より上流に配置され得て、第一水素化異性化触媒20は第二水素化異性化触媒22より上流に配置され得る。図1に示されているような、ある態様において、保護層12、第一水素化異性化域14及び第二水素化異性化域16は、単一反応器24内に収容され得る。本発明は、2つの水素化異性化域及び保護層を含有すると、図1に関して記載されているが、他の数の域及び層も本発明下で可能である。
【0054】
炭化水素供給原料26は第一管路28aにより反応器24に導入され得て、一方、水素ガスは第二管路28bにより反応器24に導入され得る。反応器24内で、供給原料26は、水素の存在下で水素化処理触媒18と接触され得て、水素化処理された供給原料30が提供される。水素化処理された供給原料30は、第一水素化異性化域14において第一水素化異性化条件下で第一水素化異性化触媒20と接触され得て、第一異性化流れ32が提供される。第一異性化流れ32は、第二水素化異性化域16において第二水素化異性化条件下で第二水素化異性化触媒22と接触され得て、第二異性化流れ34が提供される。
【0055】
第二異性化流れ34は水素化仕上げ単位装置(示されていない)に供給され得て、適する品質及び収率の、望ましい基油生成物が提供される。当該基油生成物は、約−9℃以下の、典型的には約−12℃以下の、そして通常は約−14℃以下の流動点を有し得る。基油生成物は、約−5℃以下の、典型的には約−7℃以下の、そして通常は約−12℃以下の曇り点を有し得る。当該基油生成物は、約7℃以下の、典型的には約5℃以下の、そして通常は約3℃以下の流動−曇り開きを有し得る。ある態様において、上記特性を有する基油生成物が少なくとも約89%の収率で得られ得る。
【0056】
ある態様において、水素化処理触媒18は、比較的高い液空間速度(例えばLHSV>1時−1)及び約550゜F〜約750゜F(288℃〜399℃)の範囲における温度において有効に操作することができる高活性度の触媒であり得る。水素化処理触媒(保護層)は、総触媒容量の約3容量%〜約30容量%を占め得る。すなわち、水素化処理触媒は、水素化処理触媒の容量プラス第一水素化異性化触媒の容量プラス第二水素化異性化触媒の容量の合計の約3%〜約30%を構成し得る。水素化処理触媒は、典型的には総触媒容量の約5%〜約20%、そして通常は総触媒容量の約5%〜約15%を構成し得る。
【0057】
ある態様において、第一水素化異性化触媒の容量対第二水素化異性化触媒の容量の比は、約7:3〜約3:7、典型的には約3:2〜約2:3、そして通常は約5:4〜約4:5の範囲であり得る。ある下位態様において、第一水素化異性化触媒の容量対第二水素化異性化触媒の容量の比は、約1:1であり得る。
【0058】
基油製造のための供給原料
本発明は、広範囲の軽質及び中質炭化水素供給原料を脱蝋するために用いられ得る。ある態様において、炭化水素供給原料は、一般的に約0℃より高い流動点を有し、約0℃に冷却するときに凝固する、沈殿する、又はそうでなければ固体粒子を形成する傾向を有する蝋質の供給原料として記載され得る。単独での又はごくわずかに分岐した鎖のパラフィン類を有する、16以上の炭素原子を有する直鎖のn−パラフィン類は、本明細書において蝋と示され得る。当該供給原料は通常、一般的に約350゜F(177℃)より高い温度で沸騰するC10+供給原料である。
【0059】
本発明は又、軽油、灯油及びジェット燃料を含む中質留出原料油、潤滑油原料油、暖房用油、並びにその流動点及び粘度が特定の規格限定内に維持される必要がある他の留出留分のような蝋質留出原料油を処理するのにも適し得る。
【0060】
本発明の方法のための供給原料には、典型的には、高い分子量のn−パラフィン類及びわずかに分岐したパラフィン類の他に、芳香族及び複素環式化合物と同様にオレフィン及びナフタレン成分が含まれ得る。生成物収率の損失が最少にされ、それによって供給原料の経済的価値を保つように、本発明の方法の間、供給原料中のn−パラフィン類の及びわずかに分岐したパラフィン類の分解の程度は厳格に制限される。
【0061】
ある態様において、基油製造のための供給原料は、軽質供給原料を含み得る。本明細書において、用語「軽質供給原料」は、成分の少なくとも約80%が約900゜F(482℃)より低い沸点を有する炭化水素供給原料を示すのに用いられ得る。本発明を実施するのに適する軽質供給原料の例には、軽質ニュートラル(100〜150N)及び中質ニュートラル(200〜250N)が含まれる。
【0062】
ある態様において、本発明の炭化水素供給原料は、一般的に0℃より高い、いくつかの態様において約20℃より高い流動点を有し得る。一方、供給原料の水素化異性化脱蝋から得られる本発明の方法の基油生成物は、一般的に0℃より低い、典型的には約−12℃より低い、そしてしばしば約−14℃より低い流動点を有する。
【0063】
ある態様において、本発明の方法において用いられる供給原料は約20%より多い蝋、約50%より多い蝋、更に約70%よりも多い蝋を含有する蝋質の供給原料であり得る。より典型的には、供給原料は、約5%〜約30%の蝋を含有する。本明細書において用いられているように、用語「蝋質の炭化水素供給原料」には、石油由来蝋の他に植物蝋及び動物由来蝋が含まれ得る。
【0064】
本発明の一つの面によれば、高収率において、低い流動点、低い曇り点、低い流動−曇り開き及び高い粘度指数を含む良好な性能特性を有する潤滑基油を製造するために、広範囲の供給原料が用いられ得る。本発明の潤滑基油生成物の品質及び収率は、層状触媒系を構成する水素化異性化触媒の配合及び触媒系の触媒層の配置を含む、いくつかの因子に依存し得る。
【0065】
本発明のある態様において、潤滑基油生成物の品質及び収率は、供給原料流れに関しての異なる水素化異性化触媒層の位置づけに依存し得る。本発明者らは、従来の方法及びシステムと比較して、改良された特性及び増大された収率を有する基油生成物を提供するために、より高いレベルの異性化選択度を有する水素化異性化触媒を、より低いレベルの異性化選択度を有する水素化異性化触媒より上流に配置し得ることを、今や見出した。更に、本発明者らは又、供給原料流れに関しての水素化異性化触媒の反対の位置づけは、より劣る結果、例えば、基油生成物の低減された品質及び/又は量を提供し得ることを見出した。この点に関して、「反対の位置づけ」とは、より高いレベルの異性化選択度を有する水素化異性化触媒を、より低いレベルの異性化選択度を有する水素化異性化触媒より下流に配置する触媒系配置を意味する。
【0066】
脱蝋方法
本発明の一つの態様によれば、軽質炭化水素供給原料からの基油の製造のための接触脱蝋法は、脱蝋化触媒系を含有する反応器内に供給原料を導入することを含み得る。本方法が、例えば、プロセス条件について本明細書において後に記載されているように、水素の存在下でなされ得るように、水素ガスも反応器内に導入され得る。
【0067】
反応器内では、供給原料は、水素化処理域又は保護層において、水素化処理条件下で水素化処理触媒と接触され得て、水素化処理された供給原料が提供され得る。供給原料を、保護層において水素化処理触媒と接触させることは、供給原料中の芳香族化合物を効率よく水素化し、かつ供給原料からN−及びS−含有化合物を除去するのに役立ち得て、それによって触媒系の第一及び第二水素化異性化触媒を保護する。「芳香族化合物を効率よく水素化する」は、水素化処理触媒が、供給原料の芳香族化合物含量を少なくとも約20%低減させ得ることを意味する。水素化処理された供給原料は、典型的には少なくとも約20%の蝋含量を有する、C10+のn−パラフィン類及びわずかに分岐したイソパラフィン類を一般的に含有し得る。
【0068】
水素化処理された供給原料は、第一水素化異性化域において第一水素化異性化脱蝋条件下で第一水素化異性化触媒と接触され得て、第一異性化流れが提供され得る。その後に、その第一異性化流れは、第二水素化異性化域において第二水素化異性化脱蝋条件下で第二水素化異性化触媒と接触され得て、第二異性化流れが提供され得る。保護層、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒は、すべて単一反応器内に配置され得る。本発明の接触脱蝋方法のために用いられ得る水素化処理及び水素化異性化の条件は、本明細書において後に記載される。
【0069】
第二異性化流れは、水素化仕上げ単位装置に供給され得て、適する品質及び収率の、望ましい基油生成物が提供され得る。そのような水素化仕上げ工程は、当該基油生成物から微量の芳香族化合物、オレフィン類、着色体等を除去し得る。水素化仕上げ単位装置は、アルミナ担体及び貴金属、典型的にはパラジウム、又はパラジウムと組み合わせてプラチナを含有する水素化仕上げ触媒を含有し得る。ある態様において、水素化仕上げ触媒の貴金属含量は、典型的には約0.1〜約1.0重量%の、通常は約0.1〜約0.6重量%の、そしてしばしば約0.2〜約0.5重量%の範囲であり得る。
【0070】
第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々が、例えば実質的には、「水素化異性化触媒」下で本明細書において先に記載されたように、1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し得る。第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々が供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して選択的であり得て、供給原料成分は、分解より優先的に異性化される。
【0071】
本発明の一つの面によれば、第一及び第二水素化異性化触媒は、供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して異なるレベルの選択度を有し得る。ある態様において、第一水素化異性化触媒は、第二水素化異性化触媒と比較して、供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して、より選択的であり得る(例えば図2Aを参照)。言い換えると、本発明のある態様において、第一水素化異性化触媒は、供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第一レベルの選択度を有し得て、第二水素化異性化触媒は、供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第二レベルの選択度を有し得て、第一レベルの選択度は、第二レベルの選択度より高くあり得る。
【0072】
図2Aは、本発明の一つの態様による層状脱蝋化触媒系10Aを概略的に表す。触媒系10Aは、第二水素化異性化触媒122より上流に配置された第一水素化異性化触媒120を含有する。ある態様において、第一水素化異性化触媒120は、第二水素化異性化触媒122と比較して、n−パラフィン類の異性化に対して、より高いレベルの選択度を有し得る。図2Bは、同じ組成を有するが、図2Aの触媒系10Aと比較して反対の位置づけを有する層状脱蝋化触媒系10Bを表し、すなわち、触媒系10Bにおいて、水素化異性化触媒120は、水素化異性化触媒122より下流に配置されている。
【0073】
更に図2A−Bを参照すると、蝋質炭化水素供給原料は、水素の存在下で水素化異性化触媒120及び122と接触され得て、基油生成物が提供される。特に、触媒系10Aは脱蝋された生成物Aを提供し、一方、触媒系10Bは脱蝋された生成物Bを提供し、予期しないことに、生成物Aは生成物Bより実質的に優れている。従って、本発明者らは、第二水素化異性化触媒122より上流に配置された第一水素化異性化触媒120の組み合わせ(例えば図2A)は、逆の配置(図2B)と比較して、優れた基油生成物を提供することができることを見出した。
【0074】
本発明の他の面によれば、本発明者らは、第二水素化異性化触媒より上流の第一水素化異性化触媒の組み合わせは、第一水素化異性化触媒単独又は第二水素化異性化触媒単独の、同じ容量の触媒と比較して、等しい又は優れた結果を与えることができることを見出した(例えば表2を参照)。潤滑油製造のための層状触媒系の使用に関しての本明細書において先に言及された優れた結果とは、増大された生成物収率としてのみではなく、改良された生成物品質としても明らかであり得る(例えば表2を参照)。ある態様において、本発明により、蝋質軽質炭化水素供給原料から、約89%の収率において、−14℃の流動点及び108のVIを有する基油生成物が提供される。
【0075】
反応条件
本発明の方法が行われる条件は一般的に、約390゜F〜約800゜F(199℃〜427℃)の範囲における温度を含む。ある態様において、第一及び第二水素化異性化脱蝋条件の各々は、約550゜F〜約700゜F(288℃〜371℃)の範囲の温度を含む。更なる態様において、その温度は、約590゜F〜約675゜F(310℃〜357℃)の範囲であり得る。圧力は、約15〜約3,000psig(0.10〜20.68MPa)の範囲、典型的には約100〜約2,500psig(0.69〜17.24MPa)の範囲であり得る。
【0076】
典型的には、本発明の脱蝋方法の間の、触媒系/反応器への供給速度は、約0.1〜約20時−1LHSV、そして通常は約0.1〜約5時−1LHSVの範囲であり得る。一般的には、本発明の脱蝋方法は水素の存在下で行われる。典型的には、炭化水素に対する水素の割合は、炭化水素のバレル当り約2,000〜約10,000標準立法フィートのH、そして通常は炭化水素のバレル当り約2,500〜約5,000標準立法フィートのHの範囲であり得る。
【0077】
上記条件は、第一及び第二水素化異性化域の水素化異性化条件にと同様に水素化処理域の水素化処理条件に適用され得る。反応器温度及び他のプロセスパラメーターは、用いられる炭化水素供給原料の性質並び基油生成物の望ましい特性(例えば、流動点、曇り点、VI)及び収率のような因子により変わり得る。
【0078】
水素化処理触媒は、水素化異性化触媒より上流に、かつ水素化異性化触媒と同じ反応器内に配置され得る。ある態様において、第一及び第二水素化異性化域の間で温度差が存在し得る。例えば、第一水素化異性化域は第一温度であり得て、第二水素化異性化域は第二温度であり得て、第二温度は、第一温度より約20゜F〜約60゜F高く、より典型的には、約30゜F〜約50゜F高く、そして通常は、約35゜F〜約45゜F高くあり得る。
【0079】
本発明の触媒系からの流出液又は流れ、例えば第二水素化異性化域からの第二水素化異性化流れは、水素化仕上げにより更に処理され得る。そのような水素化仕上げは、当該技術分野で公知の水素化触媒の存在下で行われ得る。水素化仕上げのために用いられる水素化触媒は、例えば、アルミナ担体上のプラチナ、パラジウム又はそれらの組み合わせを含み得る。水素化仕上げは、約400゜F〜約650゜F(204℃〜343℃)の範囲における温度、及び約400psig〜約4,000psig(2.76〜27.58MPa)の範囲における圧力において行われ得る。潤滑油の製造のための水素化仕上げは、例えば米国特許第3,852,207号に記載されており、その開示は言及により本明細書に組み込まれる。
【0080】
基油生成物
ある態様において、本発明の方法は、低い価値の蝋質炭化水素供給原料から、高い価値、高い品質の潤滑油を良好な収率で提供する。本発明の潤滑油は、例えばASTM D97により測定される、典型的には約9℃より低い、通常は約−12℃より低い、そしてしばしば約−14℃より低い流動点を有する。ある態様において、潤滑油生成物は、約−10℃〜約−30℃の範囲における流動点を有し得る。本発明の生成物は一般的に、100℃において3〜30cStの範囲における粘度、及びASTM D445により測定される約95〜約170の範囲におけるVIを有する。
【0081】
本明細書において先に示したように、脱蝋された第二水素化異性化流れ(図1)は、望ましい特性を有する最終の潤滑油生成物を得るために、例えば一つの又は複数の水素化仕上げ触媒上で、更に水素化処理され得る。例として、望ましい潤滑油規格に合うために及び/又は基油生成物の安定性を改良するために、着色された物質を除去し、及び/又は芳香族種を水素化するのに、第二水素化異性化流れの少なくとも一部は水素化仕上げされ得る。
【0082】
以下の例は、本発明を例示するものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0083】
例1
水素化異性化触媒Aを下記のように製造した。ゼオライトSSZ−32をアルミナと複合し、45重量%のゼオライトを含有する混合物を得、その混合物を押出し、乾燥し、そしてか焼した。次に、乾燥し、そしてか焼された押出物を、プラチナ及びマグネシウムの両方を含有する溶液で含浸することにより、金属により改質された触媒を製造した。続いて、その共含浸された触媒を乾燥し、そしてか焼して、0.325重量%の全プラチナ積載及び2.5重量%のマグネシウム積載を与えた。
【0084】
水素化異性化触媒Bを下記のように製造した。ゼオライトSSZ−32をアルミナと複合し、65重量%のゼオライトを含有する混合物を得、その混合物を押出し、乾燥し、そしてか焼した。乾燥し、そしてか焼された押出物を、プラチナを含有する溶液で含浸し、次に、プラチナ含浸された触媒を乾燥し、そしてか焼した。全プラチナ積載は0.325重量%であった。
【0085】
シリカ−アルミナ[SIRAL(登録商標)−40、Sasol]をPt及びPdで含浸し、0.2重量%のPt及び0.16重量%のPdの積載を与えることにより、水素化仕上げ触媒Cを製造した。水素化異性化触媒(A及びB)並びに水素化仕上げ触媒(C)の組成を表1にまとめる。
【表1】

【0086】
比較の例A
水素化異性化触媒B単独を用いての軽質供給原料の脱蝋
34のAPI、12.5%の蝋含量、3.92cStの100℃における粘度を有する蝋質の100Nの軽質水素化分解物供給原料を、恒温条件下で、3/8インチの直径のステンレス鋼のダウンフロー型反応器において、8ccの触媒B(破砕された24/40メッシュ)上で脱蝋した。水素化異性化条件は、1.6時−1のLHSV、バレル当り3,900標準立法フィート(scf/bbl)の気体/油比の貫流式水素速度、及び2,000psigの全圧であった。−12〜−14℃の範囲における目標流動点を達成するために、温度を610゜Fに調整した。触媒Bからの脱蝋した流出液を8ccの触媒C上で水素化仕上げに付し、−12℃の流動点及び107のVIを有する基油生成物を86%(重量%600゜F)の収率において得た(表2)。
【0087】
比較の例B
水素化異性化触媒A単独を用いての軽質供給原料の脱蝋
例Aにおいて記載した軽質炭化水素供給原料を120ccの触媒A(全押出物)上で脱蝋した。水素化異性化条件は、1.6時−1のLHSV、3,000scf/bblの水素再循環速度及び2,000psigの全圧であった。−12〜−14℃の範囲における目標流動点を達成するために、脱蝋温度を650゜Fに調整した。触媒Aからの流出液を120ccの触媒C上で水素化仕上げし、−13℃の流動点及び108のVIを有する基油生成物を88.5%(重量%600゜F)の収率において得た(表2)。
【0088】
比較の例C
層状触媒系B/Aを用いての軽質供給原料の脱蝋
例Aに記載した軽質供給原料を、4ccの触媒Aの上に配置された4ccの触媒B(破砕された24/40メッシュ)を、触媒Aが触媒Bより下流になるように含有する層状触媒系を用いて、脱蝋した(例えば図2B参照)。脱蝋条件は、気体/油比が3,000scf/bblであり、目標流動点を得るために、温度を630゜Fに調整した他は、例Aに記載した通りであった。層状触媒系B/Aからの流出液を、例Aに記載したように水素化仕上げし、−13℃の流動点及び106のVIを有する基油生成物を87.3%(重量%600゜F)の収率において得た(表2)。
【0089】
例2
層状触媒系A/Bを用いての軽質供給原料の脱蝋
例Aに記載した軽質供給原料を、4ccの触媒B(破砕された24/40メッシュ)の上に配置された4ccの触媒A(破砕された24/40メッシュ)を、触媒Bが触媒Aの下流になるように含有する層状触媒系を用いて、脱蝋した(例えば図2Aを参照)。脱蝋条件は、気体/油比が3,000scf/bblであり、目標流動点を得るために、脱蝋温度を625゜Fに調整した他は、例Aに記載した通りであった。層状触媒系からの流出液を、例Aに記載したように水素化仕上げし、−14℃の流動点及び108のVIを有する基油生成物を88.9%(重量%600゜F)の収率において得た(表2)。
【0090】
比較の例D
温度差を有する触媒系B/Aを用いての軽質供給原料の脱蝋
例Aに記載した軽質炭化水素供給原料を、触媒B(613゜F)と触媒A(653゜F)との間の40゜Fの温度差を維持した他は、例Cに記載したように脱蝋した。−14℃の流動点及び107のVIを有する基油生成物の収率は87%(重量%600゜F)であった(表2)。
【0091】
例3
温度差を有する触媒系A/Bを用いての軽質供給原料の脱蝋
例Aに記載した軽質炭化水素供給原料を、触媒A(595゜F)と触媒B(635゜F)との間の40゜Fの温度差を維持した他は、例2に記載したように脱蝋した。−12℃の流動点及び108のVIを有する基油生成物の収率は89%(重量%600゜F)であった(表2)。例2の層状触媒系配置を用いて得られた、収率及びVIにより表された優れた結果は、触媒系内の温度差の存在下での脱蝋の間でも明らかであった。
【表2】

【0092】
表2に表された結果から、第一(上流)の層として、より選択的な水素化異性化触媒を有する層状触媒系配置(系A/B)は、第一及び第二触媒層の反対の位置づけ(系B/A)と比較して、優れた基油生成物(VI、流動点及び収率に関して)を提供することがわかる。又、触媒系A/Bは、等容量の触媒A単独又は触媒B単独の使用と比較して、等しい又はより良好な生成物を提供することもわかる。従って、本発明の一つの面によれば、より安価な触媒を、より高価な触媒と組み合わされ得て、同じ量の、より高価な触媒単独と比較して、より低いコストで、等しい又はより良好な性能を備える触媒系を形成する。
【0093】
本明細書における教示及び例に照らして、本発明の多くの変形が可能であり得る。従って、特許請求の範囲の範囲内で、本発明は、本明細書において特定して記載されているか又は例示されているのとは別のように実施され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質蝋質炭化水素供給原料を接触脱蝋するための方法であって、当該方法は、
a)第一水素化異性化域において第一水素化異性化脱蝋条件下で、当該炭化水素供給原料を第一水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第一異性化流れを提供する工程、及び、
b)第二水素化異性化域において第二水素化異性化脱蝋条件下で、第一異性化流れの少なくとも一部を第二水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第二異性化流れを提供する工程、
を含み、
第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々が1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し、並びに、第二水素化異性化触媒が更に金属改質剤を含有し、
第一水素化異性化触媒は当該供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第一レベルの選択度を有し、第二水素化異性化触媒は当該供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第二レベルの選択度を有し、第一レベルの選択度は第二レベルの選択度よりも高い、方法。
【請求項2】
第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々の1−D、10環分子篩はゼオライトSSZ−32を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
供給原料成分の少なくとも約80%が、約900゜F(482℃)より高い沸点を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
金属改質剤が、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd、Cr及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
金属改質剤がMgを約0.5〜約2.5重量%の範囲の濃度において含有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第二水素化異性化触媒が金属改質剤を少なくとも実質的に欠いている、請求項4記載の方法。
【請求項7】
第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒が単一反応器内に配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項8】
c)工程a)の前に、水素化処理域において水素化処理条件下で、当該炭化水素供給原料を水素化処理触媒と接触させる工程、
を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
水素化処理域が、水素化処理触媒を含有する保護層を構成し、当該保護層、第一水素化異性化域及び第二水素化異性化域が単一反応器内に配置されている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
水素化処理触媒が、i)約0.1〜約1重量%の範囲における濃度でのプラチナ及びii)約0.2〜約1.5重量%の範囲における濃度でのパラジウム、と組み合わせて耐火性無機酸化物を含有する、請求項8記載の方法。
【請求項11】
水素化処理触媒が、水素化処理触媒、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の総容量の約3%〜約30%の範囲における容量を占める、請求項8記載の方法。
【請求項12】
第一水素化異性化触媒の容量対第二水素化異性化触媒の容量が約3:2〜約2:3の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第一及び第二水素化異性化脱蝋条件の各々が約550゜F〜約750゜F(288℃〜399℃)の範囲における温度を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
第一水素化異性化域は第一温度であり、第二水素化異性化域は第二温度てであり、並びに第二温度は第一温度よりも約30゜F〜約50゜F高い、請求項1記載の方法。
【請求項15】
d)水素の存在下で、第二異性化流れを水素化仕上げ触媒と接触させる工程であって、それにより約−12℃以下の流動点及び約5℃以下の流動−曇り開きを有する基油生成物を提供する工程、
を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
基油生成物が少なくとも約89%の収率で得られる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
蝋質炭化水素供給原料を接触脱蝋するための方法であって、当該方法は、
a)第一水素化異性化域において第一水素化異性化脱蝋条件下で、当該炭化水素供給原料を第一水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第一異性化流れを提供する工程、
b)第二水素化異性化域において第二水素化異性化脱蝋条件下で、第一異性化流れの少なくとも一部を第二水素化異性化触媒と接触させる工程であって、それにより第二異性化流れを提供する工程、及び、
c)第二異性化流れを水素化仕上げ触媒と接触させる工程であって、それにより基油生成物を提供する工程、
を含み、
第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々が1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し、第一水素化異性化触媒は当該供給原料中のn−パラフィン類の異性化に対して第一レベルの選択度を有し、第二水素化異性化触媒はn−パラフィン類の異性化に対して第二レベルの選択度を有し、第一レベルの選択度は第二レベルの選択度よりも高く、第一水素化異性化触媒を、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd及びCrから成る群から選ばれる金属改質剤でドーピングさせ、第二水素化異性化触媒は耐火性酸化物結合剤、当該分子篩及びVIII族金属から本質的に成り、第一及び第二水素化異性化触媒は同じ反応器内に配置されており、基油生成物が約−12℃以下の流動点及び約5℃以下の流動−曇り開きを有する、
方法。
【請求項18】
第一水素化異性化触媒を含有する第一水素化異性化域、及び第二水素化異性化触媒を含有する第二水素化異性化域を有する、層状触媒系であって、
第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々が1−D、10環分子篩及びVIII族金属を含有し、第二水素化異性化触媒は更に金属改質剤を含有し、
第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒の各々がn−パラフィン類の異性化に対して選択的であり、
第一水素化異性化触媒はn−パラフィン類の異性化に対して第一レベルの選択度を有し、第二水素化異性化触媒はn−パラフィン類の異性化に対して第二レベルの選択度を有し、第一レベルの選択度は第二レベルの選択度よりも高く、第一水素化異性化域は第二水素化異性化域より上流に配置されており、第一水素化異性化触媒及び第二水素化異性化触媒は単一反応器内に配置されている、
層状触媒系。
【請求項19】
第一水素化異性化触媒が、Mg、Ca、Sr、Ba、K、La、Pr、Nd、Cr及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる金属改質剤を含有し、第一水素化異性化触媒の容量対第二水素化異性化触媒の容量が約3:2〜約2:3の範囲である、請求項18記載の層状触媒系。
【請求項20】
第一水素化異性化域より上流に配置された保護層を更に含有し、当該保護層が、i)約0.1〜約1重量%のプラチナ及びii)約0.2〜約1.5重量%のパラジウム、と組み合わせて耐火性酸化物結合剤を含有する水素化処理触媒を含有する、請求項18記載の層状触媒系。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2013−512318(P2013−512318A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541239(P2012−541239)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/041749
【国際公開番号】WO2012/005976
【国際公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】