説明

軽量ドアパネル及びその製造方法

【課題】
両側端面にエッジ部材を取付けなくても外観性に優れ、また第1表面板と第2表面板とを連結する際の位置決めも正確であり、組立工数が少なく、容易に製造することができ、製造コストの低減化を図ることが可能な軽量ドアパネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
第1表面板1と第2表面板2は、表面となる化粧板8,15の周囲に上部縁板9,16、下部縁板10,17及び両側部縁板11,12,18,19を形成し、各縁板の端縁に化粧板と平行な補強板9A〜12Aを形成し、更に両側部補強板の内側縁に側部縁板と平行な折曲板を形成し、第1表面板と第2表面板の各補強板同士を突き合わせ接合し、戸先側の下端に両側部縁板の表面と下端を覆い且つ両側部縁板の位置決めをなす合成樹脂製のカバー部材6を装着し、第1表面板と第2表面板の両化粧板間を芯材3を介して接着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量ドアパネル及びその製造方法に係わり、更に詳しくは周囲をスチール板で取り囲み、内部に軽量芯材を充填した構造の軽量ドアパネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スチール製の第1表面板と第2表面板とで紙製ハニカム等の芯材を挟み込み、互いの表面板を連結した構造の軽量パネルは各種提供され、ドアパネルや間仕切パネルとして広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、芯材を第1表面板と第2表面板とで挟むとともに、一側上下端部に箱型の補強金具を内装した構造を有し、少なくとも上下端部に前記補強金具を利用して開閉用のヒンジを取付けてなるドアパネル装置であって、第1表面板と第2表面板は、化粧板の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板、下部縁板及び両側部縁板を形成し、第1表面板の上部縁板及び下部縁板と、第2表面板の上部縁板及び下部縁板とは互に突き合わせ接合し、第1表面板の両側部縁板の外側に第2表面板の両側部縁板が重合状態で接合するように設定し、前記第1表面板の化粧板を下に向けてベンチに載せ、化粧板の一側上下端部に接着剤を塗布した上部補強金具と下部補強金具を載せて位置決めし、それから、前記第1表面板の化粧板に表裏両面に接着剤を塗布した芯材を載せた後、前記第2表面板を化粧板を上にして載せて、第1表面板の両側部縁板の外側に第2表面板の両側部縁板を外嵌するとともに、前記第1表面板の上部縁板の下向き補強板と第2表面板の上部縁板の下向き補強板を突き合わせ接合し、前記第1表面板の下部縁板の上向き補強板と第2表面板の下部縁板の上向き補強板を突き合わせ接合し、第1表面板と第2表面板の両側面にエッジ部材を配し、該エッジ部材を側方から貫通したタッピンネジを重合状態の前記側部縁板の下穴に螺合して取付けた構造のドアパネル装置が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1の構造のパネルは、第1表面板と第2表面板の両側部縁板が内外に重合状態となっているので、水平方向に対する位置決めを確実に行える半面、必然的に外側に位置する側部縁板の端縁が露出するので、それを隠蔽するためにアルミ押出し型材からなるエッジ部材を両側端面に別途ネジ止めする必要があった。エッジ部材を取付けるためのネジによって、第1表面板と第2表面板の両側部縁板も強固に連結されるが、このエッジ部材の存在は、部品点数を減らし、組立工数を少なくし、もって製造コストを低減する上で大きな妨げであった。
【0005】
また、特許文献2に開示されるように、床面から浮いた状態で移動するパネル体の下端カーナー部に合成樹脂製のフットガードを装着することは公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3976013号公報
【特許文献2】実用新案登録第3007254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、スチール製の第1表面板と第2表面板とで紙製ハニカム等の芯材を挟み込み、互いの表面板を連結した構造の軽量ドアパネルにおいて、両側端面にエッジ部材を取付けなくても外観性に優れ、また第1表面板と第2表面板とを連結する際の位置決めも正確であり、組立工数が少なく、容易に製造することができ、製造コストの低減化を図ることが可能な軽量ドアパネル及びその製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、芯材を第1表面板と第2表面板とで挟んで、芯材を介して互いに接着してなる軽量ドアパネルであって、前記第1表面板と第2表面板は、表面となる化粧板の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板、下部縁板及び両側部縁板を形成するとともに、各縁板の端縁を直角に折曲して前記化粧板と平行な補強板を形成し、更に両側部補強板の内側縁を直角に折曲して前記側部縁板と平行な折曲板を形成したものであり、前記第1表面板と第2表面板の各補強板同士を突き合わせ接合するとともに、少なくとも戸先側の下端に第1表面板と第2表面板の側部縁板の表面と下端を覆い且つ該両側部縁板の位置決めをなす合成樹脂製のカバー部材を装着し、前記第1表面板と第2表面板の両化粧板間を、前記芯材を介して接着したことを特徴とする軽量ドアパネルを構成した(請求項1)。
【0009】
ここで、前記第1表面板と第2表面板の戸先側の上部縁板及び下部縁板の端部を切欠し、該第1表面板と第2表面板を接合した際に上下に開放した開口部を形成し、前記カバー部材は、前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板、両側部補強板及び両折曲板の端部と両側部縁板の表面下端部を覆うカバー部と、前記開口部を利用して装着することにより、前記第1表面板と第2表面板を位置決めする嵌合部を備えたものである(請求項2)。
【0010】
更に、前記カバー部材のカバー部は、ベース部の端部に前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板の表面下端部に当接する先端カバー片を立上げ形成し、前記嵌合部には、前記開口部内で前記第1表面板と第2表面板の化粧板及び側部縁板の内面に当接する複数の突起と、両折曲板の内側面に当接する係合片を形成するとともに、該係合片の当接面側に係合爪を並設し、そして前記第1表面板と第2表面板の各折曲板の下端部に前記係合爪を抜止め係合する係合孔をそれぞれ形成してなることがより好ましい(請求項3)。
【0011】
そして、前記第1表面板と第2表面板の戸尻側の上下コーナー部に、開閉用のヒンジを取付ける箱型の補強金具を側部と上下部を当接して位置決めした状態で配置するとともに、両化粧板に接着してなることも好ましい(請求項4)。
【0012】
また、本発明は、芯材を第1表面板と第2表面板とで挟んで、芯材を介して互いに接着してなる軽量ドアパネルの製造方法であって、前記第1表面板と第2表面板は、表面となる化粧板の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板、下部縁板及び両側部縁板を形成するとともに、各縁板の端縁を直角に折曲して前記化粧板と平行な補強板を形成し、更に両側部補強板の内側縁を直角に折曲して前記側部縁板と平行な折曲板を形成し、前記第1表面板と第2表面板の戸先側の上部縁板及び下部縁板の端部を切欠し、該第1表面板と第2表面板を接合した際に上下に開放した開口部を形成するものであり、前記第1表面板の化粧板を下に向けてベンチに載せ、化粧板の戸尻側の上下コーナー部に接着剤を塗布した上部補強金具と下部補強金具を載せて位置決めし、それから、前記第1表面板の化粧板に表裏両面に接着剤を塗布した芯材を載せた後、前記第2表面板を化粧板を上にして載せて、前記第1表面板と第2表面板の各補強板同士を突き合わせ接合し、戸先側の下部開口部を利用して合成樹脂製のカバー部材を装着することにより、第1表面板と第2表面板の側部縁板の表面と下端を覆い且つ該両側部縁板の位置決めを行い、更に戸先側の上部開口部を利用して第1表面板と第2表面板の側部縁板を挟持して位置決めを行う上部固定具を着脱可能に装着し、前記第1表面板と第2表面板の両化粧板間を、前記芯材を介して接着した後、前記上部固定具を取り外すことを特徴とする軽量ドアパネルの製造方法を提供する(請求項5)。
【0013】
ここで、前記カバー部材は、前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板、両側部補強板及び両折曲板の端部と両側部縁板の表面下端部を覆うカバー部と、前記開口部を利用して装着することにより、前記第1表面板と第2表面板を位置決めする嵌合部を備え、前記カバー部は、ベース部の端部に前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板の表面下端部に当接する先端カバー片を立上げ形成し、前記嵌合部には、前記開口部内で前記第1表面板と第2表面板の化粧板及び側部縁板の内面に当接する複数の突起と、両折曲板の内側面に当接する係合片を形成するとともに、該係合片の当接面側に係合爪を並設し、前記第1表面板と第2表面板の各折曲板の下端部に前記係合爪を抜止め係合する係合孔をそれぞれ形成してなることがより好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0014】
以上にしてなる請求項1に係る発明の軽量ドアパネルは、芯材を第1表面板と第2表面板とで挟んで、芯材を介して互いに接着してなる軽量ドアパネルであって、前記第1表面板と第2表面板は、表面となる化粧板の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板、下部縁板及び両側部縁板を形成するとともに、各縁板の端縁を直角に折曲して前記化粧板と平行な補強板を形成し、更に両側部補強板の内側縁を直角に折曲して前記側部縁板と平行な折曲板を形成したものであり、前記第1表面板と第2表面板の各補強板同士を突き合わせ接合するとともに、少なくとも戸先側の下端に第1表面板と第2表面板の側部縁板の表面と下端を覆い且つ該両側部縁板の位置決めをなす合成樹脂製のカバー部材を装着し、前記第1表面板と第2表面板の両化粧板間を、前記芯材を介して接着したので、第1表面板と第2表面板の周囲に形成した補強板同士を突き合わせ接合し、両化粧板間を前記芯材を介して接着した簡単な構造にも係わらず、戸先側の下端部に装着したカバー部材で位置決めを行うことができるので、側部縁板の段差がなく、エッジ部材を取付けなくても外観性に優れ、しかもカバー部材が戸先側の下端部を覆っているのでフットガードとしての機能も果たすのである。
【0015】
請求項2によれば、前記第1表面板と第2表面板の戸先側の上部縁板及び下部縁板の端部を切欠し、該第1表面板と第2表面板を接合した際に上下に開放した開口部を形成し、前記カバー部材は、前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板、両側部補強板及び両折曲板の端部と両側部縁板の表面下端部を覆うカバー部と、前記開口部を利用して装着することにより、前記第1表面板と第2表面板を位置決めする嵌合部を備えたので、第1表面板と第2表面板を突き合わせ接合した際に、戸先側の下端部に形成される下部開口部にカバー部材の嵌合部を嵌合して第1表面板と第2表面板の位置決めを行うことができ、またカバー部材のカバー部が第1表面板と第2表面板の両側部縁板、両側部補強板及び両折曲板の端部と両側部縁板の表面下端部を覆うことで、外観性の向上とフットガードとしての機能を兼ね備えるのである。
【0016】
請求項3によれば、前記カバー部材のカバー部は、ベース部の端部に前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板の表面下端部に当接する先端カバー片を立上げ形成し、前記嵌合部には、前記開口部内で前記第1表面板と第2表面板の化粧板及び側部縁板の内面に当接する複数の突起と、両折曲板の内側面に当接する係合片を形成するとともに、該係合片の当接面側に係合爪を並設し、そして前記第1表面板と第2表面板の各折曲板の下端部に前記係合爪を抜止め係合する係合孔をそれぞれ形成してなるにより、カバー部材の嵌合部を下部開口部に嵌挿するだけで抜止め状態で装着することができ、それにより第1表面板と第2表面板の両側部縁板を段差なく接合することができ、更に戸先側の下端部はカバー部材のカバー部を構成するベース部と先端カバー片とで完全に覆うことができ、外観性の向上とフットガードの機能を確実に果たすことができる。
【0017】
請求項4によれば、前記第1表面板と第2表面板の戸尻側の上下コーナー部に、開閉用のヒンジを取付ける箱型の補強金具を側部と上下部を当接して位置決めした状態で配置するとともに、両化粧板に接着してなるので、芯材を介して第1表面板と第2表面板の化粧板同士を接着する際に、戸尻側を上下の補強金具で位置きめするとともに、戸先側をカバー部材で位置決めすることができ、正確な状態で第1表面板と第2表面板と接着することができ、両側端面の側部縁板が面一になり、エッジ部材を儲けなくても外観性に優れたものとなる。
【0018】
また、本発明の請求項5に係る軽量ドアパネルの製造方法によれば、前記第1表面板の化粧板を下に向けてベンチに載せ、化粧板の戸尻側の上下コーナー部に接着剤を塗布した上部補強金具と下部補強金具を載せて位置決めし、それから、前記第1表面板の化粧板に表裏両面に接着剤を塗布した芯材を載せた後、前記第2表面板を化粧板を上にして載せて、前記第1表面板と第2表面板の各補強板同士を突き合わせ接合し、戸先側の下部開口部を利用して合成樹脂製のカバー部材を装着することにより、第1表面板と第2表面板の側部縁板の表面と下端を覆い且つ該両側部縁板の位置決めを行い、更に戸先側の上部開口部を利用して第1表面板と第2表面板の側部縁板を挟持して位置決めを行う上部固定具を着脱可能に装着し、前記第1表面板と第2表面板の両化粧板間を、前記芯材を介して接着した後、前記上部固定具を取り外すので、両側端面にエッジ部材を取付けなくても外観性に優れ、また第1表面板と第2表面板とを連結する際の位置決めも正確であり、組立工数が少なく、容易に製造することができ、製造コストの低減化を図ることができるのである。
【0019】
請求項6によれば、前記カバー部材は、前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板、両側部補強板及び両折曲板の端部と両側部縁板の表面下端部を覆うカバー部と、前記開口部を利用して装着することにより、前記第1表面板と第2表面板を位置決めする嵌合部を備え、前記カバー部は、ベース部の端部に前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板の表面下端部に当接する先端カバー片を立上げ形成し、前記嵌合部には、前記開口部内で前記第1表面板と第2表面板の化粧板及び側部縁板の内面に当接する複数の突起と、両折曲板の内側面に当接する係合片を形成するとともに、該係合片の当接面側に係合爪を並設し、前記第1表面板と第2表面板の各折曲板の下端部に前記係合爪を抜止め係合する係合孔をそれぞれ形成してなるので、突き合わせ接合状態の第1表面板と第2表面板の下部開口部に嵌合部を嵌合するだけでカバー部材を確実に取付けることができ、接着剤が未硬化の状態の第1表面板と第2表面板を正確に位置決めした状態で維持することができ、そして戸先側の下端部を完全に覆うことができるので、接着剤が乾燥硬化した後にもカバー部材を装着したままにすることにより、ドアパネルの戸先側の下端部におけるフットガードの機能を果たすのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る軽量ドアパネルの正面図である。
【図2】第1表面板及び第2表面板の斜視図である。
【図3】本発明に係る軽量ドアパネルの製造方法の第1工程を示す斜視図である。
【図4】同じく軽量ドアパネルの製造方法の第2工程を示す斜視図である。
【図5】同じく軽量ドアパネルの製造方法の第3工程を示す斜視図である。
【図6】同じく軽量ドアパネルの製造方法の第4工程を示す斜視図である。
【図7】戸先側の上部に上部固定具を装着する状態の部分斜視図である。
【図8】戸先側の下部にカバー部材を装着する状態の部分斜視図である。
【図9】カバー部材を装着した状態の部分断面図である。
【図10】カバー部材を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図、(d)は断面図、(e)は斜視図である。
【図11】上部固定具を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図、(d)は断面図、(e)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る軽量ドアパネルの全体図、図2は第1表面板及び第2表面板を示し、図3〜図9は製造工程を示し、図10はカバー部材、図11は上部固定具をそれぞれ示し、図中符号1は第1表面板、2は第2表面板、3は芯材、4は補強金具、5は開閉機構金具、6はカバー部材、7は上部固定具をそれぞれ示している。尚、本実施形態では、第1表面板1と第2表面板2の寸法は縮小して示しているので、その他の部材が相対的に大きく表示されている。
【0022】
本発明に係る軽量ドアパネルは、軽量の芯材3をスチール製の第1表面板1と第2表面板2とで挟むとともに、戸尻側の上下コーナー部に箱型の補強金具4,4を内装するとともに、戸先側の上下中間部に開閉機構金具5を内装した構造を有し、少なくとも上下端部に前記補強金具4,4を利用して開閉用のヒンジ(図示せず)を取付け、前記開閉機構金具5を利用してノブと施錠具(共に図示せず)を取付け、更に戸先側の下端部に製造時の第1表面板1と第2表面板2の位置決めとフットガードを兼ねたカバー部材6を装着した基本構造のものである。また、前記上部固定具7は、製造時にのみ第1表面板1と第2表面板2の戸先側の上端部に取付けて位置決めのために使用する。ここで、上部に内装する補強金具4を「上部補強金具4A」とし、下部に内装する補強金具4を「下部補強金具4B」として表示するが、本実施形態では上部補強金具4Aと下部補強金具4Bとは全く同一形状の部材であり、上部補強金具4Aを上下反転すれば下部補強金具4Bとして使用することができる。
【0023】
前記第1表面板1は、図2に示すように、表面となる化粧板8の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板9、下部縁板10及び両側部縁板11,12を形成するとともに、各縁板9〜12の端縁を直角に折曲して前記化粧板8と平行な補強板9A,10A,11A,12Aをそれぞれ形成し、更に両側部補強板11A,12Aの内側縁を直角に折曲して前記側部縁板11,12と平行な折曲板11B,12Bを形成したものである。ここで、前記上部縁板9に上部補強板9Aを形成し、前記下部縁板10に下部補強板10Aを形成し、戸先側の前記側部縁板11に側部補強板11Aと折曲板11Bを形成し、戸尻側の前記側部縁板12に側部補強板12Aと折曲板12Bを形成したのである。そして、前記第1表面板1の戸先側の上部縁板9及び下部縁板10の端部を切欠し、側部縁板11、側部補強板11A及び折曲板11Bの上下端縁を露出させている。図中符号13は上部切欠部、14は下部切欠部をそれぞれ示している。また、前記各補強板9A,10A,11A,12Aの面は、同一平面となるように設定している。
【0024】
前記第2表面板2は、前記第1表面板1の鏡像対称形であり、表面となる化粧板15の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板16、下部縁板17及び両側部縁板18,19を形成するとともに、各縁板16〜19の端縁を直角に折曲して前記化粧板15と平行な補強板16A,17A,18A,19Aをそれぞれ形成し、更に両側部補強板18A,19Aの内側縁を直角に折曲して前記側部縁板18,19と平行な折曲板18B,19Bを形成したものである。ここで、前記上部縁板16に上部補強板16Aを形成し、前記下部縁板17に下部補強板17Aを形成し、戸先側の前記側部縁板18に側部補強板18Aと折曲板18Bを形成し、戸尻側の前記側部縁板19に側部補強板19Aと折曲板19Bを形成したのである。そして、前記同様に、前記第2表面板2の戸先側の上部縁板16及び下部縁板17の端部を切欠して、上部切欠部20と下部切欠部21を形成している。
【0025】
そして、本発明に係る軽量ドアパネルは、前記第1表面板1の各補強板9〜12と第2表面板2の各補強板16〜19同士を突き合わせ接合するとともに、少なくとも戸先側の下端に第1表面板1の側部縁板11と第2表面板2の側部縁板18の表面と下端を覆い且つ該両側部縁板11,18の位置決めをなす合成樹脂製のカバー部材6を装着し、前記第1表面板1と第2表面板2の両化粧板8,15間を、前記芯材3を介して接着する。前記芯材3としては、ペーパーハニカムを用い、該ハニカムの六角形の孔をパネルの厚さ方向に向けているので、非常に圧縮強度が高いにも係わらず、紙製であるので軽量である。
【0026】
ここで、前記第1表面板1と第2表面板2を接合すると、上部切欠部13,20によって上方に開放した上部開口部22が形成されるとともに、下部切欠部14,21によって下方に開放した下上部開口部23が形成されるので、該下部開口部23を利用して前記カバー部材6を装着する。前記カバー部材6は、前記第1表面板1と第2表面板2の両側部縁板11,18、両側部補強板11A,18A及び両折曲板11B,18Bの端部と両側部縁板11,18の表面下端部を覆うカバー部24と、前記下部開口部23に嵌合して前記第1表面板1と第2表面板2を位置決めする嵌合部25を備えたものである。
【0027】
更に詳しくは、図8及び図10に示すように、前記カバー部材6のカバー部24は、ベース部26の端部に前記第1表面板1と第2表面板2の両側部縁板11,18の表面下端部に当接する先端カバー片27を立上げ形成し、前記嵌合部25には、前記下部開口部23内で前記第1表面板1と第2表面板2の化粧板8,15及び側部縁板11,18の内面に当接する複数の突起28,…と、両折曲板11B,18Bの内側面に当接する係合片29を形成するとともに、該係合片29の当接面側に係合爪30,30を並設したものであり、そして前記第1表面板1と第2表面板2の各折曲板11B,18Bの下端部に前記係合爪30,30を抜止め係合する係合孔31,31をそれぞれ形成している。
【0028】
前記カバー部材6のカバー部24は、図10に示すように、ベース部26と先端カバー片27とで側面視倒L字形の形状であり、ベース部26が前記第1表面板1と第2表面板2の両側部縁板11,18と化粧板8,15の下端に当止してその端部を覆い、また先端カバー片27が前記第1表面板1と第2表面板2の両側部縁板11,18の表面下端部に当接してその部分を覆っている。前記カバー部材6の突起28,…は、図9及び図10に示すように、前記第1表面板1の化粧板8と側部縁板11のコーナー部内面と前記第2表面板2の化粧板15と側部縁板18のコーナー部とに当接するコーナー突起28A,28Aと、前記第1表面板1の側部補強板11Aに近い位置の側部縁板11の内面と前記第2表面板2の側部補強板18Aに近い位置の側部縁板18の内面とに当接する中間部突起28B,28Bからなっている。そして、前記先端カバー片27とコーナー突起28A,28A及び中間部突起28B,28Bで両側部縁板11,18の下端部を挟持し、また前記第1表面板1と第2表面板2の各折曲板11B,18Bの内側面に係合片29が当接して、該係合片29と前記先端カバー片27とで側部補強板11Aと折曲板11B及び側部補強板18Aと折曲板18Bを挟持し、両側部補強板11A,18Aの表面が面一になるように位置決めし、更に係合片29に設けた係合爪30,30が各折曲板11B,18Bの係合孔31,31に抜止め状態で係合する。このカバー部材6は、ドアパネルの戸先側の下端部に取付けられてフットガードとしての機能も備えている。
【0029】
また、前記第1表面板1と第2表面板2を接合した際に形成される上部開口部22を利用して、前記同様な嵌合構造で前記カバー部材6を装着して、製造時の位置決めの働きをさせることも可能であるが、本発明では戸先側の上端部は前記上部固定具7を着脱可能に取付けるようにしている。前記上部固定具7は、図7及び図11に示すように、前記第1表面板1と第2表面板2の両側部縁板11,18の表面上端部に外側から当接する基準ブロック32と、前記上部開口部22の内部に下部を挿入し、上部を前記基準ブロック32に接合する挟持ブロック33と、両ブロックを締付けるボルト34と蝶ナット35とから構成されている。前記基準ブロック32の上部に段落ち部36を形成し、前記挟持ブロック33の上部に該段落ち部36に係合する凸台部37を形成し、前記ボルト34を挟持ブロック33の凸台部37から基準ブロック32の上部に貫通させ、その突出部に前記蝶ナット35を螺合し、更に前記挟持ブロック33の下部には、前記上部開口部22に挿入し、前記第1表面板1と第2表面板2の各折曲板11B,18Bの先端縁に当接する一対の挟持部38,38を形成している。また、前記基準ブロック32の下部に内外貫通した装着孔39を形成し、該装着孔39にマグネット40を嵌挿し、固定ネジ41を前記基準ブロック32の一側面及び下面で前記装着孔39に連通させて形成した螺孔42,42に螺合し、前記マグネット40の外周面を押圧して固定している。
【0030】
そして、前記第1表面板1と第2表面板2を正確に位置決めして接合した状態で、前記上部固定具7の基準ブロック32を前記両側部縁板11,18の上端部に接合して、前記マグネット40を両側部縁板11,18に跨って吸着させるとともに、前記挟持ブロック33の両挟持部38,38を上部開口部22に挿入し、両挟持部38,38の間に各折曲板11B,18Bの先端縁を挟み込み、そして前記蝶ナット35を締付けて前記両側部縁板11,18の上端部を基準ブロック32と両挟持部38,38で強く挟持する。この状態では、両側部縁板11,18の表面が面一になるので、前記第1表面板1と第2表面板2は正確に接合した状態を維持する。
【0031】
そして、本発明に係る軽量ドアパネルを組立てるには、図3(第1工程)に示すように、先ず前記第1表面板1の化粧板8を下に向けてベンチに載せ、戸尻側の上下コーナー部に接着剤を塗布した上部補強金具4Aと下部補強金具4Bを載せて、上部補強金具4Aの一側部及び上部を側部補強板12及び上部補強板9に当接して位置決めし、下部補強金具4Bの一側部及び下部を側部補強板12及び下部補強板10に当接して位置決めする。また、前記第1表面板1の戸先側の上下中間部に接着剤を塗布した前記開閉機構金具5を折曲板11Bに当接して位置決めする。ここで、前記上部補強金具4Aと下部補強金具4Bに、ヒンジを取付けて引き出すために、前記上部縁板9と下部縁板10の一部を切欠し、また前記開閉機構金具5に装着した施錠具やノブに連動して側方へ出没する施錠杆やラッチを引き出すために、前記側部縁板11の上下中間部の一部を切欠している。
【0032】
それから、図4(第2工程)に示すように、前記第1表面板1の化粧板8の裏面であって、前記上部補強金具4A、下部補強金具4B及び開閉機構金具5を設けた部分を除いて全面に、表裏両面に接着剤を塗布した芯材3を敷き詰める。そして、図5(第3工程)に示すように、前記第2表面板2を、化粧板15を上にして載せて、前記第1表面板1の各補強板9A〜12Aに前記第2表面板2の各補強板16A〜19Aを突き合わせ接合する。この際に、前記上部補強金具4Aと下部補強金具4Bは、第2表面板2の戸尻側の上下コーナー部に密接するとともに、前記開閉機構金具5は第2表面板2の戸先側の側部縁板18に当接して位置決めされる。
【0033】
その後、図6(第4工程)及び図7に示すように、上部開口部22に蝶ナット35を緩めた状態の上部固定具7の両挟持部38,38をそれぞれ折曲板11B,18Bの端縁の外側に密接させて挿入し、前記蝶ナット35を締め付けて、基準ブロック32と挟持ブロック33の両挟持部38,38とで側部縁板11,18を強く挟持する。また、図6及び図8に示すように、下部開口部23に前記カバー部材6の嵌合部25を嵌挿し、嵌合部25を構成するコーナー突起28A,28Aを、第1表面板1の化粧板8と側部縁板11のコーナー部と、第2表面板2の化粧板15と側部縁板18のコーナー部に圧接し、中間部突起28B,28Bを、第1表面板1の側部補強板11A寄りで側部縁板11の内面と、第2表面板2の側部補強板18A寄りで側部縁板18の内面との圧接し、更に先端カバー片27を第1表面板1と第2表面板2の各側部縁板11,18の表面下端部に圧接するとともに、嵌合部25を構成する係合片29を第1表面板1と第2表面板2の各折曲板11B,18Bの内側面に当接し且つその当接面側に設けた係合爪30,30を各折曲板11B,18Bの係合孔31,31に抜止め係合する。前記カバー部材6を第1表面板1と第2表面板2の戸先側の下端部に装着することにより、ベース部26と先端カバー片27とで端縁を完全に覆った状態となり、また第1表面板1と第2表面板2の位置きめ状態を維持するのである。
【0034】
最後に、図示しないが、第2表面板2の化粧板15の上からプレス板により所定圧力で押さえ、適宜接着剤の乾燥を促進するために加熱する。それにより、前記心材3及び上部補強金具4A、下部補強金具4B及び開閉機構金具5を介して化粧板8,15同士が強固に連結されるのである。そして、接着剤が乾燥硬化後に、プレス板を取り去り、前記上部固定具7を外して軽量ドアパネルが完成する。ここで、前記カバー部材6は軽量ドアパネルの戸先側の下端部に装着したままフットガードとして用いるのである。
【0035】
尚、前記第1表面板1と第2表面板2の接合強度が不足する場合には、第1表面板1と第2表面板2の上下部同士を連結片でネジ止め連結することも可能である。それには、第1表面板1と第2表面板2の上部補強板9A,16Aであって、上部縁板9,16に沿った位置に切欠孔を形成するとともに、下部補強板10A,17Aであって、下部縁板10,17に沿った位置に切欠孔を形成する。そして、前記第1表面板1と第2表面板2を接合すると同時に、各切欠孔に連結片を挿入するとともに、前記上部縁板9,16及び下部縁板10,17を貫通させたネジを連結片の両端部に螺合して連結するのである。ここで、ドアパネルの上下端面に連結ネジが露出するが、目立たない場所なので外観性には全く影響を及ぼさない。
【符号の説明】
【0036】
1 第1表面板、 2 第2表面板、
3 芯材、 4 補強金具、
4A 上部補強金具、 4B 下部補強金具、
5 開閉機構金具、 6 カバー部材、
7 上部固定具、 8 化粧板、
9 上部縁板、 9A 上部補強板、
10 下部縁板、 10A 下部補強板、
11 側部縁板、 11A 側部補強板、
11B 折曲板、 12 側部縁板、
12A 側部補強板、 12B 折曲板、
13 上部切欠部、 14 下部切欠部、
15 化粧板、 16 上部縁板、
16A 上部補強板、 17 下部縁板、
17A 下部補強板、 18 側部縁板、
18A 側部補強板、 18B 折曲板、
19 側部縁板、 19A 側部補強板、
19B 折曲板、 20 上部切欠部、
21 下部切欠部、 22 上部開口部、
23 下部開口部、 24 カバー部、
25 嵌合部、 26 ベース部、
27 先端カバー片、 28 突起、
28A コーナー突起、 28B 中間部突起、
29 係合片、 30 係合爪、
31 係合孔、 32 基準ブロック、
33 挟持ブロック、 34 ボルト、
35 蝶ナット、 36 段落ち部、
37 凸台部、 38 挟持部、
39 装着孔 40 マグネット
41 固定ネジ 42 螺孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材を第1表面板と第2表面板とで挟んで、芯材を介して互いに接着してなる軽量ドアパネルであって、前記第1表面板と第2表面板は、表面となる化粧板の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板、下部縁板及び両側部縁板を形成するとともに、各縁板の端縁を直角に折曲して前記化粧板と平行な補強板を形成し、更に両側部補強板の内側縁を直角に折曲して前記側部縁板と平行な折曲板を形成したものであり、前記第1表面板と第2表面板の各補強板同士を突き合わせ接合するとともに、少なくとも戸先側の下端に第1表面板と第2表面板の側部縁板の表面と下端を覆い且つ該両側部縁板の位置決めをなす合成樹脂製のカバー部材を装着し、前記第1表面板と第2表面板の両化粧板間を、前記芯材を介して接着したことを特徴とする軽量ドアパネル。
【請求項2】
前記第1表面板と第2表面板の戸先側の上部縁板及び下部縁板の端部を切欠し、該第1表面板と第2表面板を接合した際に上下に開放した開口部を形成し、前記カバー部材は、前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板、両側部補強板及び両折曲板の端部と両側部縁板の表面下端部を覆うカバー部と、前記開口部を利用して装着することにより、前記第1表面板と第2表面板を位置決めする嵌合部を備えたものである請求項1記載の軽量ドアパネル。
【請求項3】
前記カバー部材のカバー部は、ベース部の端部に前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板の表面下端部に当接する先端カバー片を立上げ形成し、前記嵌合部には、前記開口部内で前記第1表面板と第2表面板の化粧板及び側部縁板の内面に当接する複数の突起と、両折曲板の内側面に当接する係合片を形成するとともに、該係合片の当接面側に係合爪を並設し、そして前記第1表面板と第2表面板の各折曲板の下端部に前記係合爪を抜止め係合する係合孔をそれぞれ形成してなる請求項1又は2記載の軽量ドアパネル。
【請求項4】
前記第1表面板と第2表面板の戸尻側の上下コーナー部に、開閉用のヒンジを取付ける箱型の補強金具を側部と上下部を当接して位置決めした状態で配置するとともに、両化粧板に接着してなる請求項1〜3何れか1項に記載の軽量ドアパネル。
【請求項5】
芯材を第1表面板と第2表面板とで挟んで、芯材を介して互いに接着してなる軽量ドアパネルの製造方法であって、前記第1表面板と第2表面板は、表面となる化粧板の周囲を内向きに直角に折曲して上部縁板、下部縁板及び両側部縁板を形成するとともに、各縁板の端縁を直角に折曲して前記化粧板と平行な補強板を形成し、更に両側部補強板の内側縁を直角に折曲して前記側部縁板と平行な折曲板を形成し、前記第1表面板と第2表面板の戸先側の上部縁板及び下部縁板の端部を切欠し、該第1表面板と第2表面板を接合した際に上下に開放した開口部を形成するものであり、前記第1表面板の化粧板を下に向けてベンチに載せ、化粧板の戸尻側の上下コーナー部に接着剤を塗布した上部補強金具と下部補強金具を載せて位置決めし、それから、前記第1表面板の化粧板に表裏両面に接着剤を塗布した芯材を載せた後、前記第2表面板を化粧板を上にして載せて、前記第1表面板と第2表面板の各補強板同士を突き合わせ接合し、戸先側の下部開口部を利用して合成樹脂製のカバー部材を装着することにより、第1表面板と第2表面板の側部縁板の表面と下端を覆い且つ該両側部縁板の位置決めを行い、更に戸先側の上部開口部を利用して第1表面板と第2表面板の側部縁板を挟持して位置決めを行う上部固定具を着脱可能に装着し、前記第1表面板と第2表面板の両化粧板間を、前記芯材を介して接着した後、前記上部固定具を取り外すことを特徴とする軽量ドアパネルの製造方法。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板、両側部補強板及び両折曲板の端部と両側部縁板の表面下端部を覆うカバー部と、前記開口部を利用して装着することにより、前記第1表面板と第2表面板を位置決めする嵌合部を備え、前記カバー部は、ベース部の端部に前記第1表面板と第2表面板の両側部縁板の表面下端部に当接する先端カバー片を立上げ形成し、前記嵌合部には、前記開口部内で前記第1表面板と第2表面板の化粧板及び側部縁板の内面に当接する複数の突起と、両折曲板の内側面に当接する係合片を形成するとともに、該係合片の当接面側に係合爪を並設し、前記第1表面板と第2表面板の各折曲板の下端部に前記係合爪を抜止め係合する係合孔をそれぞれ形成してなる請求項5記載の軽量ドアパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−72566(P2012−72566A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216411(P2010−216411)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】