説明

軽量骨材及びその製造方法

【課題】
コンクリートガラを処理するに際しコンクリート構造物の重量の低減化の要求に応える、軽量骨材を得ること、軽量骨材の原料となる膨張性頁岩の資源を用いずに、コンクリートガラからの軽量骨材を実用的な歩留まりで製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜100mmとなるよう粗粉砕し、さらに1000〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除くことを特徴とする軽量骨材、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の解体により発生する廃棄物であるコンクリートガラを原料とする軽量骨材に関する。
【背景技術】
【0002】
2002年の建設リサイクル法の施行により建築廃棄物のリサイクル率は向上し、特に廃コンクリートから製造委される再生骨材のリサイクル率は100%近くまで改善された。しかし、再生骨材の主な利用先は路盤材であり、今後、1970年代の建築物の建替えによる廃コンクリートの発生増と道路工事の減少による再生骨材の需給バランスのミスマッチが予測される。そのため、廃コンクリートの新たなリサイクルシステムが必要となってきた。
【0003】
コンクリートガラからの骨材の再生は、コンクリートガラを機械的にすりもむことで粗骨材と細骨材と微粉とに分離して回収することが基本である。その際、すりもみを粗すりもみと細すりもみの2段階にわたって行うことで、まず粗骨材を分離回収し、次いで細骨材と微粉とを分離回収することが効率的であると考えられていた。
【0004】
また、コンクリートガラからの骨材の再生には、一般にインペラブレーカーやジョークラッシャー、インパクトクラッシャーなどが用いられ、これらの乾式の粉砕装置による破砕・磨砕、振動篩いや風篩いによる篩い分けと、磁力選別機による鉄筋などの除去を組合せることにより行われていた。
【0005】
しかしながら、コンクリートガラをこのように処理したものは骨材にモルタル分(硬化セメントペースト)が付着しており、このようなモルタル分のため再生骨材の吸水率が高くなり、コンクリート用の骨材として用いた場合、凍結融解特性に悪影響を与える。このため、なかなか路盤材以外のリサイクル先が制限される一つの要因となっている。
【0006】
こうした問題に対し、コンクリートガラを大量の水とともにすりもむという方法(湿式すりもみ方法)が用いられている。湿式すりもみ方法は、40mm程度の大きさに破砕したコンクリートガラを、大量の水とともに粗すりもみ装置ですりもむことで、まず5mm以上の大きさの粗骨材を分離回収し、残余の破砕物をさらに大量の水とともに2段目の細すりもみ装置で5mm以下の細骨材とそれよりも小さい微粉とに分離して回収するものである。上記従来の湿式すりもみ方法は、比較的安価に大量処理が可能であるが、粗骨材や細骨材の再生効率(回収効率)があまり良くなく、また大量の水を用いることから水処理が必要となる。
【0007】
こうした再生効率、水処理の問題に対して、残余破砕物を加熱、すりもみする方法が提案されている。これは、コンクリートガラから骨材を再生する方法として、処理対象のコンクリートガラを乾式摩砕装置によって破砕し、破砕物から粗骨材をふるい分けして分離回収した後、残余の破砕物を加熱し、加熱した破砕物をすりもみ装置によって細骨材と微粉とに分離し、それら細骨材と微粉とを篩い分けして分離回収する方法である(特許文献1)。
【0008】
また、コンクリートガラからモルタル分の付着量の少ない骨材を得る他の方法としては、加熱とすりもみ媒体を用いる方法が提案されている。これは、コンクリートガラを100〜800℃の範囲で加熱する加熱手段と、加熱手段によって加熱されたコンクリートガラをすりもみ媒体を用いてすりもみするすりもみ手段と、すりもみされたコンクリートガラを分級する分級手段とを備えたコンクリートガラの再生装置を用いるものである(特許文献2)。これら提案されている方法は、コンクリートガラから、その中に使用されている骨材を、効率よく取出す技術に関するものである。
【0009】
一方、近年ビルのコンクリート構造物の高層化に伴い、コンクリート構造物の重量の低減化の要求、および、輸送コストの削減の観点から、軽量骨材の需要は根強い。軽量骨材の原料としては、膨張性頁岩、粘板岩が用いられている。これらの原料を粒度調整をしたり、造粒したものを、高温で加熱すると、発泡して軽量化し、軽量骨材を得ることができる。こうして得られる軽量骨材の比重は、1.8以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−362951号公報
【特許文献2】特許平10−059757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1、2に記載の方法では、コンクリートガラを処理するに際しモルタル分の付着量の少ない粗骨材、細骨材を得ることができる。しかしながら、その骨材は通常の骨材であり、ビルのコンクリート構造物の高層化に伴う、コンクリート構造物の重量の低減化の要求に応える、軽量骨材を得ることはできなかった。
【0012】
また、軽量骨材の原料となる膨張性頁岩の資源の枯渇に対する危機感が高まっていることから、膨張性頁岩の資源を用いずに軽量骨材を製造することがのぞましい。そこで本発明は、コンクリートガラを効率的かつ高度に有効利用するために、コンクリートガラからの軽量骨材を実用的な歩留まりで製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のコンクリートガラを所定の条件下で加熱することにより、歩留まり良く軽量骨材が製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[4]を提供するものである。
[1]画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜300mmとなるよう粗粉砕し、さらに1000〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除くことを特徴とする軽量骨材、を提供する。
[2]画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜100mmとなるよう粗粉砕し、さらに1000〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除く篩処理をし、その処理物の、粒径が0.5mmを超え5mm以下、比重が0.6以上1.7以下である歩留まりが15重量%以上であることを特徴とする軽量骨材の製造方法、を提供する。
[3]画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜300mmとなるよう粗粉砕し、さらに1100〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除く篩処理をし、その処理物の、粒径が5mmを超え25mm以下、比重が0.4以上1.3以下である歩留まりが15重量%以上であることを特徴とする軽量骨材の製造方法、を提供する。
[4]画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜300mmとなるよう粗粉砕し、さらに1100〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除く篩処理をし、その処理物の、粒径が5mmを超え25mm以下、比重が0.4以上1.3以下である歩留まりが15重量%以上であり、粒径が0.5mmを超え5mm以下、比重が0.6以上1.7以下である歩留まりが15重量%以上である骨材を同時に製造することを特徴とする軽量骨材の製造方法、を提供する。
【0015】
本発明の軽量骨材の製造方法は、コンクリートガラを加熱して軽量骨材を製造するものである。原料とするコンクリートガラとしては、ビル、橋、道路などのコンクリート構造物を解体する際に発生する廃棄物であるコンクリートガラであれば良い。また、コンクリートガラに、解体時の砂、土壌が付着していても良い。
【0016】
また、本発明においてコンクリートガラを用いるに際し、粉砕装置による破砕・磨砕処理を行う。破砕・磨砕処理に用いる装置としては、一般にインペラブレーカーやジョークラッシャー、インパクトクラッシャーなどが挙げられる。これらの乾式の粉砕装置によって破砕・磨砕を行い、その後振動篩いや風篩いによる篩い分けを行う。コンクリートガラに混入している鉄筋金属類は、磁力選別機によって除去した。
【0017】
本発明の軽量骨材の製造方法に用いられるコンクリートガラは、その中に砂岩、頁岩を含むものが好ましい。ともに、石英、長石の鉱物を粘土が基質として埋める組成、構造である。砂岩は、基質が10%より少ないものをアレナイト(arenite)、多いものをワッケ(wacke)とすると、ワッケが好ましい。頁岩は、基質が多く、その含有量が多いとコンクリートがフレーキングを起こしやすいとされ、粗骨材として多量に含まれることは少ない。しかし、軽量骨材としての再生利用には好都合となる。
【0018】
砂岩は、炭質物を、画像解析で0.01〜30面積%含有することが、より好ましい。0.01面積%以下の砂岩では、軽量骨材のためのガス発生が不十分であり、30面積%以上の砂岩では、ガスの発生量が過大であり、骨材の強度が不十分となる傾向がある。粘土分の基質に鉄分が多いと、これが還元されて、酸素が放出され、軽量化のためのガス発生の可能性があり、軽量骨材の生成には好ましい。例えば炭質物の含有量は、図1に示されるように、石墨の炭質物質は、画像解析で定量できる。石墨の炭質部分の面積%の定量は、偏光顕微鏡の単ニコルでの観察で炭質部分を特定し、特定部の黒色部分の面積を画像の全体面積で除した数値(面積%)とすることで定量できた。典型的な炭質物質は、楕円で囲んでその位置を示した。
【0019】
炭質部は、化学分析でも定量可能である。例えば、砂岩の試料粉末10〜30g を300ml テフロンビーカに入れ、ドラフト中で3N-塩酸 10ml で湿し、蒸留水と濃フッ酸を各試料重量の5倍量ずつ加える。この操作により珪酸塩鉱物は分解され、SiF4が揮散する。6N-塩酸を試料重量と量加え、再度乾固させる.この操作を2回繰り返す。この操作は難溶性のフッ化物を溶解度の高い塩化物に変えるために必要である。3N-塩酸 200ml を加え、ホットプレートで1時間暖めた後、超音波洗浄機に10分かけ、ビーカの底に付着している試料を溶液中に拡散させる。全量を300ml ガラスビーカに移し、3N-塩酸 100ml を加え、完全に溶解させる.液量が2割以上減らないよう、この間蒸留水を補給する。完全に溶解すると黄色の透明な溶液中に黒色コロイド状の炭質物のふわふわとした固まりが浮遊した状態となる。冷ましながら炭質物を沈殿させ、濾過して、取り出して乾燥後秤量する。この方法で得られた炭質部の重量%と画像解析による面積%とは、良い相関があった。
【0020】
コンクリートガラ材料の一部を、骨材再生用機械式すりもみ装置を用いてモルタル分と骨材に分離し、骨材体積からコンクリートガラ材料中の岩石含有率を求めた。この岩石を偏向顕微鏡観察して、砂岩と特定されたものについては、前記画像解析で、炭質物の含有率を測定した。炭質物の含有率によって、本願発明で使用できる砂岩を分別した。次いで前記砂岩と頁岩の合計重量を、画像解析データを参考に、重量測定して算出した。頁岩は、炭質物の有無を問わず、すべてをカウントすることができる。
【0021】
鉄筋金属類を除去した後のコンクリートガラ中の砂岩又は頁岩の含有率は、30〜90体積%、より好ましくは40〜90体積%である。砂岩又は頁岩の含有率が30体積%未満では、軽量骨材の歩留まりが低下するので好ましくない。さらに、40体積%以上あれば、軽量細骨材の歩留まりを30重量%以上、軽量粗骨材の歩留まりを30重量%以上とすることができる。一方、砂岩又は頁岩の含有率が90体積%を超えるコンクリートガラは入手が困難である。ここで、軽量骨材の歩留まりとは、コンクリートガラを加熱した後生成される、生成物中の軽量骨材(比重1.3以下の粗骨材または比重1.7以下の細骨材をいう。)の割合を重量%で表したものである。
【0022】
本発明の軽量骨材の製造方法に用いられるコンクリートガラの平均粒径は、20mm以上が好ましい。20mm未満としても、破砕に必要とされるエネルギーが増加する。コンクリートガラの粒径の上限は、特に限定されないが、ハンドリングの面からも通常は300mm程度である。
【0023】
本発明において、破砕後のコンクリートガラを加熱する装置としては、ロータリーキルンが好適に用いられる。加熱温度は、好ましくは1000〜1300℃、より好ましくは1100〜1300℃である。1000℃未満では、軽量骨材の歩留まりが低下するので好ましくない。砂岩又は、頁岩の発泡を促進するためには、1100℃以上であることが有利である。また1300℃を超えると、軽量骨材が一部溶融して、良質な軽量骨材が得られない。コンクリートガラを加熱する際の1000〜1300℃での滞留時間は2分間以上20分以下であることが好ましい。この温度、この滞留時間であれば、コンクリートガラでは、セメントモルタル部分が砂岩の表面にわずかに付着していても、溶融による相互の融着がなく、発泡が容易となり、軽量化が進行する。この滞留時間の上限は特に限定されないが、焼成のコストの観点から、通常20分間以下である。
【0024】
コンクリートガラを加熱した後の生成物は、軽量骨材と水硬性組成物微粉末の混合物である。この混合物を、篩いで軽量骨材と、水硬性組成物微粉末に分離する。篩による分離の前にすりもみをしても良い。また、分離した軽量骨材を、さらに篩いを用いて粒径が5mmを超え25mm以下の粗骨材と、0.5mm以上5mm以下の細骨材に分級しても良い。軽量骨材の歩留まりは30〜90重量%とすることができる。歩留まりが30重量%未満では、軽量骨材の製造コストが増加するため好ましくない。また、歩留まりが90重量%を超えるものは製造が困難である。コンクリートガラを加熱した後の生成物中の、水硬性組成物微粉末の含有率は70重量%〜10重量%である。
【0025】
上記軽量骨材は、上記製造の結果、(a)粒径が5mmを超え25mm以下、比重が0.4以上1.3以下(好ましくは0.4以上1.0以下)である骨材、(b)粒径が0.5mm以上5mm以下、比重が0.6以上1.7以下(好ましくは0.4以上1.5以下、さらに好ましくは0.4以上1.4以下)である骨材と、水硬性微粉末が得られた。上記骨材(a)の比重が0.4未満では、このような骨材の製造が困難となり、一方、該比重が1.3を超えると、骨材としてコンクリート組成物に用いた際のコンクリート組成物の軽量性が不十分になることがある。上記骨材(b)の比重が0.6未満であると、このような骨材の製造が困難となり、一方、該比重が1.7を超えると、骨材としてコンクリート組成物に用いた際のコンクリート組成物の軽量性が不十分になることがある。本発明において製造した骨材(a)と骨材(b)は、両方を使用した形態であるコンクリートと、骨材(b)のみを用いた形態であるモルタルのいずれについても好適に用いることができる。
【0026】
上記骨材(a)と上記骨材(b)の割合は、上記骨材(a)が40〜60重量%、上記骨材(b)が60〜40重量%となる。上記骨材(a)と上記骨材(b)は、それぞれ単独で、あるいは所定割合で混合して出荷、コンクリート組成物の製造に供される。軽量骨材は、出荷に際し必要に応じて含水の処理を行っても良い。
【0027】
コンクリートガラを加熱、篩いで分離して得られる水硬性組成物微粉末は、全体の12重量%となった。この水硬性組成物微粉末は、セメント調合原料や、セメント混和材に用いられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の軽量骨材の製造方法によれば、ビルの構造物の解体により発生する廃棄物であるコンクリートガラを有効に利用でき、軽量骨材を得ることができる。また、従来の軽量骨材の製造方法と異なり、軽量骨材の原料となる膨張性頁岩を用いないので、膨張性頁岩の資源の枯渇の問題は生じない。また本発明の軽量骨材の製造方法によれば、軽量骨材と水硬性組成物微粉末を得ることができ、かつ高い歩留まりで軽量骨材が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明に用いるコンクリートガラ原料中の砂岩の偏光顕微鏡写真(400倍)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
[材料の準備]
コンクリート建築物であるビルを解体して発生したコンクリートガラを、まず原石ホッパーに貯留した。コンクリートガラは、その大きさが300mm〜600mm程度のものであり、鉄筋などの不純物も混入していた。破砕機に入らない大型鉄筋の不純物を取り除いた後、原石ホッパーに貯留されたコンクリートガラは、続いてジョークラッシャー(寸法250mm×180mm、300rpm、10馬力)に投入し、破砕した。これにより、コンクリートガラは20mm〜30mm程度の大きさにまで破砕した。その後、コンクリートガラはベルトコンベアにより運ばれる過程で、磁力選別機により鉄筋などの鉄分を除去した(以下コンクリートガラ材料と記す)。
【0031】
[実施例1]
コンクリートガラ材料の一部を、骨材再生用機械式すりもみ装置を用いてモルタル分と骨材に分離し、骨材体積からコンクリートガラ材料中の砂岩含有率を求めたところ、90体積%であった。砂岩中の炭質物を画像解析で定量したところ、2.0面積%であった。このコンクリートガラ材料200kgを、ロータリーキルンに投入し、1150℃で滞留時間2分、酸素濃度10%で加熱した。加熱により、骨材と水硬性組成物微粉末の混合物が得られた。得られた混合物を機械式すりもみ装置を用いてすりもみした後、篩いを用いて骨材と水硬性組成物微粉末とを分離した。すりもみは、ロサンゼルス試験機(600mm×650mmリフター設置)を用いて行った。得られた骨材を、さらに篩いを用いて粒径が5mmを超え25mm以下のもの(骨材(a))と、粒径が0.5mm以上5mm以下のもの(骨材(b))に分離した。
【0032】
骨材(a)の比重を、JIS A1110に準ずる方法で測定したところ、比重は0.8であった。同様に骨材(b)の比重を、JIS
A1110に準ずる方法で測定したところ、比重は1.1であった。加熱により得られた、骨材と水硬性組成物微粉末の混合物の重量全体に占める骨材(a)と骨材(b)の割合は75重量%(軽量骨材歩留まり75%)であった。
【0033】
[実施例2]
コンクリートガラ材料中の頁岩含有率を50体積%とし、ロータリーキルンでの加熱温度を、1180℃で、滞留時間10分とした以外は、実施例1と同様の方法及び手段で、骨材(a)と骨材(b)の比重、軽量骨材歩留まりを測定した。その結果、骨材(a)の比重は0.7、骨材(b)の比重は1.0であった。また、軽量骨材歩留まりは45重量%(骨材(a)25重量%、骨材(b)20重量%)であった。
【0034】
[比較例1]
コンクリートガラ材料中の砂岩含有率を20体積%とした以外は、実施例1と同様の方法及び手段で、骨材(a)と骨材(b)の比重、軽量骨材歩留まりを測定した。その結果、骨材(a)の比重は0.8、骨材(b)の比重は1.1であった。また、軽量骨材歩留まりは15重量%(骨材(a)8重量%、骨材(b)7重量%)と低い値となった。
[比較例2]
【0035】
ロータリーキルンでの加熱温度を、800℃とした以外は、実施例2と同様の方法及び手段で、骨材(a)と骨材(b)の比重を測定した。その結果、骨材(a)の比重は2.4、骨材(b)の比重は2.3であった。
[比較例3]
【0036】
ロータリーキルンでの加熱温度を、1400℃とした以外は、実施例2と同様の方法及び手段で、骨材と水硬性組成物微粉末の混合物を得た。混合物を観察した結果、骨材は溶融しており、良質な骨材は得られなかった。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に、コンクリートガラ材料中の砂岩の含有率、その加熱温度、得られた骨材(a)、骨材(b)の各比重、軽量骨材の歩留まりを纏めて示した。ここで、軽量骨材の歩留まりとは、骨材(a)と骨材(b)の歩留まりの合計(%)である。コンクリートガラ材料中の砂岩中の炭質物は、画像解析で定量したところ、2.0面積%であった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
コンクリートガラからの軽量骨材を実用的な歩留まりで製造することができ、コンクリートガラの効率的かつ高度有効利用に資するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜100mmとなるよう粗粉砕し、さらに1000〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除くことを特徴とする軽量骨材。
【請求項2】
画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜300mmとなるよう粗粉砕し、さらに1100〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除く篩処理をし、その処理物の、粒径が0.5mmを超え5mm以下、比重が0.6以上1.7以下である歩留まりが15重量%以上であることを特徴とする軽量骨材の製造方法。
【請求項3】
画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜300mmとなるよう粗粉砕し、さらに1000〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除く篩処理をし、その処理物の、粒径が5mmを超え25mm以下、比重が0.4以上1.3以下である歩留まりが15重量%以上であることを特徴とする軽量骨材の製造方法。
【請求項4】
画像解析で炭質物を0.01〜30面積%含有する砂岩、又は頁岩の含有率が30〜90体積%であるコンクリートガラを、粒径が、20〜300mmとなるよう粗粉砕し、さらに1100〜1300℃で加熱し、冷却後、すりもみ機ですりもみして、0.5mm以下の微粉末を篩処理で取り除く篩処理をし、その処理物の、粒径が5mmを超え25mm以下、比重が0.4以上1.3以下である歩留まりが15重量%以上であり、粒径が0.5mmを超え5mm以下、比重が0.6以上1.7以下である歩留まりが15重量%以上である骨材を同時に製造することを特徴とする軽量骨材の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−269948(P2010−269948A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121034(P2009−121034)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】