説明

輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置、輝尽性蛍光体シート用打抜き方法

【課題】 輝尽性蛍光体層の剥離を抑え、多サイズ対応が容易な輝尽性蛍光体シート用打抜き装置及び輝尽性蛍光体シート用打抜き方法の提供。
【解決手段】 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くためのダイと、前記ダイに対応して作動するパンチと、打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートの回収部とを有する輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置において、前記パンチは、外周部に前記輝尽性蛍光体シートの打抜き部周縁部を押さえ込むストリッパを有し、前記ダイは打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートを押し戻すノックアウトを有し、前記パンチ及び前記ノックアウトの輝尽性蛍光体シート側の面は、前記輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外のみに接触する接触面と前記有効画像領域に非接触面とを有する断面形状が凹型をしていることを特徴とする輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大サイズの輝尽性蛍光体シートを裁断加工し、所望のサイズに裁断するための輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置及びこの打抜き装置を使用した輝尽性蛍光体シート用打抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線画像を得るために銀塩を使用した、いわゆる放射線写真法が利用されているが、近年では、銀塩を使用しないで放射線像を画像化する方法が開発されている。この方法としては、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収させ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射させ、この蛍光を検出して画像化する方法が開示されている。
【0003】
具体的には、例えば米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号等に開示された様に基材上に輝尽性蛍光体層を形成した輝尽性蛍光体シートを使用するものである。この方法は、この輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線をあてて、被写体各部の放射線透過度に対応する放射線エネルギーを輝尽性蛍光体層に蓄積させて潜像(蓄積像)を形成し、その後、この輝尽性蛍光体層を輝尽励起光(レーザー光が用いられる)で走査することによって各部に蓄積された放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を例えば、光電変換して、電気信号を得て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料等の記録材料、CRT等の表示装置上に可視像として再生してもよいし、又ハードコピーとして再生してもよい。
【0004】
上記の放射線画像の再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、且つ情報量の豊富な放射線画像を得ることが出来るという利点を有している。この様に輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0005】
これらの輝尽性蛍光体を使用した輝尽性蛍光体シートは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことが出来、繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の撮影毎に放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では輝尽性蛍光体シートを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0006】
この輝尽性蛍光体シートには、基材上に結着樹脂溶液の蛍光体粒子分散液を塗布乾燥する方法によって形成された分散タイプの輝尽性蛍光体層を有するものと、基材上に気相堆積法によって形成された蒸着タイプの輝尽性蛍光体層を有するものとがあり、何れにしても輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層には、放射線吸収率及び光変換率が高いこと、画像の粒状性がよく、高鮮鋭性であることが要求される。
【0007】
蒸着タイプの蛍光体層は、分散タイプの蛍光体層に比較すると、蛍光体が100%であることから、蛍光体が同じ場合、同じ層厚では感度が優れ、放射線吸収率が高いことで相対的に量子モトルが減少して粒状性も優れる輝尽性蛍光体シートを与え、感度を同じ程度にすれば層厚を薄く出来て、蛍光体層内での放射線や励起光の拡散が減少し鮮鋭性の優れた輝尽性蛍光体シートが得られることが知られている。
【0008】
実際の使用に際しては、輝尽性蛍光体層の保護のために輝尽性蛍光体シートを保護フィルムで封止し、封止体とし、この封止体を所定の大きさの平板状のトレーに保護フィルムによる封止部分がトレーより飛び出さない状態で接着部材により固定し(一般的に、輝尽性蛍光体パネルと言われている)、カセッテに収納されて撮影装置に装填している。
【0009】
この輝尽性蛍光体を使用した輝尽性蛍光体シートは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の照射によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線像の蓄積を行うことが出来、繰り返し使用することが可能である。つまり、従来の放射線写真方では、一回の撮影毎に穂斜線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法は放射線画像変換パネルを繰り返し使用するため、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0010】
実際に必要とされる輝尽性蛍光体シートのサイズはその用途などに応じ多岐にわたっており、サイズが異なる度にサイズに合った支持体を用意しなければならず生産効率的に不利な生産方法となるため、必要とする大きさよりも大きいサイズの輝尽性蛍光体シートを作製した後、必要とする輝尽性蛍光体シートに断裁し輝尽性蛍光体シートを作製しているのが知られている。
【0011】
一般にシート状多層材料から断裁して、種々の形の物を得る方法として、例えばダイサーによる切断、レーザーによる切断、ホイールカッターやフェザー刃を使用し予め切り込みを入れ分離する切断、トムソン刃や金型による打抜き切断、パンチ・ダイによる打抜き切断、上刃と下刃による打抜き切断等が採用されている。
【0012】
輝尽性蛍光体シートをこれらの断裁方法により断裁して所定の大きさの輝尽性蛍光体プレートに成形する場合次の様な問題点が挙げられる。1)輝尽性蛍光体層に欠けや剥離が生じる場合がある。2)突当てによる位置出しを行い、一辺毎に断裁し所定の製品形状とする場合、突当て時の衝撃により輝尽性蛍光体層の欠けや剥離が生じる場合がある。3)逆に、輝尽性蛍光体層へ衝撃を与えないようにソフトな突当てを行うと、位置だし精度が劣化し、製品の寸法精度が悪くなる別の問題点が発生する危険がある。これらの対応としてこれまでに多くの検討がなされてきた。
【0013】
輝尽性蛍光体シートの断裁方法としては、例えば、プラスチックフィルム上に輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体プレートを上刃の刃先角度が20°〜60°で、輝尽性蛍光体層側の下刃の刃先角度が90°±5°である断裁刃を用いて打抜き断裁するパンチ・ダイ方式の打抜き断裁方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0014】
しかしながら特許文献1の打抜き切断方法の場合、次の欠点を有している。1)上刃が断裁に入り込む時、刃先の傾斜部により押圧が掛けられることで、輝尽性蛍光体層の剥離が発生し易くなる。特に気相堆積法によって形成された蒸着タイプの輝尽性蛍光体層の場合、輝尽性蛍光体層が硬いこともあって剥離が発生し易くなる。2)輝尽性蛍光体層の剥離に伴い、微粉塵が輝尽性蛍光体層に付着し、画像欠陥故障の原因になる危険が高い。3)一枚の輝尽性蛍光体シートから複数サイズを打抜く時、輝尽性蛍光体層の剥離が隣の打抜き箇所まで及び打抜くサイズが減少し、生産効率の低下の一因となる場合もある。
【0015】
又、別の断裁方法として、輝尽性蛍光体層を上向きにし、断裁サイズに合わせた押さえ部材で輝尽性蛍光体層側を抑え、押さえ部材の回りに沿って刃先角度15〜45°の鋭角刃を入れ打抜き断裁するトムソン刃を使用した打抜き断裁方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0016】
しかしながら特許文献2の打抜き切断方法の場合、次の欠点を有している。1)押さえ部材が画像形成領域の周辺部を押さえるため、押さえ部材の押圧力、押さえ部材との接触により周辺部に傷が付く危険がある。2)上刃が断裁に入り込む時、刃先の傾斜部により押圧が掛けられることで、輝尽性蛍光体層の剥離が発生し易くなる。特に気相堆積法によって形成された蒸着タイプの輝尽性蛍光体層の場合、輝尽性蛍光体層が硬いこともあって剥離が発生し易くなる。3)輝尽性蛍光体層の剥離に伴い、微粉塵が輝尽性蛍光体層に付着し、画像欠陥故障の原因になる危険が高い。4)一枚の輝尽性蛍光体シートから複数サイズを打抜く時、輝尽性蛍光体層の剥離が隣の打抜き箇所まで及び打抜くサイズが減少し、生産効率の低下の一因となる場合もある。
【0017】
この様な状況から、輝尽性蛍光体層の剥離を抑え、多サイズ対応が容易で、品質性能が安定し、生産効率の低下を抑えた輝尽性蛍光体シート用打抜き装置及び輝尽性蛍光体シート用打抜き方法の開発が望まれている。
【特許文献1】特開平11−223891号公報
【特許文献2】特開2004−154913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、輝尽性蛍光体層の剥離を抑え、多サイズ対応が容易な輝尽性蛍光体シート用打抜き装置及び輝尽性蛍光体シート用打抜き方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0020】
(1)支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くための打抜き孔部を有するダイと、前記ダイに対応して打抜き作動するパンチと、打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートの回収部とを有する輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置において、
前記パンチは、外周部に前記輝尽性蛍光体シートに接触し、前記輝尽性蛍光体シートの打抜き部周縁部を押さえ込むストリッパを有し、
前記ダイは前記打抜き孔部に、打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートを押し戻すノックアウトを有し、
前記パンチ及び前記ノックアウトの輝尽性蛍光体シート側の面は、前記輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外のみに接触する接触面と前記有効画像領域に非接触面とを有する断面形状が凹型をしていることを特徴とする輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0021】
(2)支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くための打抜き孔部を有するダイと、前記ダイに対応して打抜作動するパンチと、打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートの回収部とを有する輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置において、
前記パンチは、外周部に前記輝尽性蛍光体シートに接触し、前記輝尽性蛍光体シートの打抜き部周縁部を押さえ込むストリッパを有し、
前記回収部は、前記ダイの前記打抜き孔部の下部に配設されており、
前記パンチの輝尽性蛍光体シート側の面は、前記輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外のみに接触する接触面と前記有効画像領域に非接触面とを有する断面形状が凹型をなしていることを特徴とする輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0022】
(3)前記パンチの輝尽性蛍光体シートに接触する接触面は、該輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面に対して0.5t〜2.0t高くなっていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0023】
(4)前記ノックアウトの輝尽性蛍光体シートに接触する接触面は、該輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面に対して0.5t〜2.0t高くなっていることを特徴とする前記(1)又は(3)に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0024】
(5)前記ストリッパは、輝尽性蛍光体シートの打抜き部の周縁部をダイと該ストリッパとの間で面圧1〜4MPaで押さえ込む機能を有していることを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0025】
(6)前記ノックアウトは、打抜かれた輝尽性蛍光体シートをパンチと該ノックアウトとの間で面圧1〜4MPaで押さえ込む機能を有していることを特徴とする前記(1)、(3)〜(5)の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0026】
(7)前記ノックアウトは、弾性部材を介してダイに取り付けられており、輝尽性蛍光体シートの厚さをtとした時、該ダイの表面より該ノックアウトの該輝尽性蛍光体シートと接触する面が0.2t〜0.5t突き出していることを特徴とする前記(1)、(3)〜(6)の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0027】
(8)前記ダイの表面には吸引孔が設けられていることを特徴とする前記(1)〜(7)の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【0028】
(9)支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを、前記(1)〜(8)の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜打装置を使用して規定寸法に打抜く輝尽性蛍光体シート用打抜き方法において、前記輝尽性蛍光体層側から打抜くことを特徴とする輝尽性蛍光体シート用打抜き方法。
【発明の効果】
【0029】
輝尽性蛍光体層の剥離を抑え、多サイズ対応が容易な輝尽性蛍光体シート用打抜き装置及び輝尽性蛍光体シート用打抜き方法を提供することが出来、品質性能が安定し、生産効率の向上が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態を図1〜図12を参照して説明するが、本発明はこれに限定される物ではない。
【0031】
図1は輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。図1の(a)は塗布法により作製した輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。図1の(b)は気相堆積法により作製した輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。
【0032】
図1の(a)に示す断面図について説明する。尚、本図は可撓性支持体に熱可塑性樹脂を主とする材料を用いた場合を示している。図中、1aは輝尽性蛍光体シートを示す。輝尽性蛍光体シート1aは、可撓性支持体101a上に中間層102aと、輝尽性蛍光体層103aと、保護層104aとを順に有している。可撓性支持体101aの厚さは100〜5000μm、中間層102aの厚さは1〜30μm、輝尽性蛍光体層103aの厚さは100〜1000μm、保護層104aの厚さは1〜200μmが一般的に好ましいとされている範囲である。輝尽性蛍光体層は、輝尽性蛍光体(最初の光や放射線の照射後に光などで輝尽励起させることで、最初の照射エネルギー量に応じて輝尽発光する蛍光体)とバインダーを好ましい比率で混合し、塗布するために有機溶剤で調液(その他分散材、可塑剤などの添加剤も混合することが好ましい)し、樹脂シートなどの支持体に塗布し、輝尽性蛍光体層を形成する塗布法で形成した。
【0033】
図1の(b)に示す断面図について説明する。尚、本図は可撓性支持体にアルミニウムを主とする金属板材料、又は、カーボンを主とする材料を用いた場合を示している。
【0034】
図中、1bは輝尽性蛍光体シートを示す。輝尽性蛍光体シート1bは、可撓性支持体101b上に、輝尽性蛍光体層102bと、保護層103bとを順に有している。可撓性支持体101bの厚さは50〜1000μm、輝尽性蛍光体層102bの厚さは100〜1000μm、保護層103bの厚さは1〜200μmが一般的に好ましいとされている範囲である。又、可撓性支持体101bの上に中間層を設ける場合は1〜10μmが好ましい。輝尽性蛍光体層は、気相堆積法(蒸着、スパッタリングなど)により、蛍光体を支持体上に形成した。
【0035】
図2は大サイズの輝尽性蛍光体シートより必要とするサイズの輝尽性蛍光体シートを製造する製造装置を構成している各装置の配置を示す模式図である。図2の(a)はノックアウト機構を有する輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置を使用した製造装置を構成している各装置の配置を示す模式図である。図2の(b)はノックアウト機構を有する輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置を使用した製造装置を構成している各装置の他の配置を示す模式図である。図2の(c)はノックアウト機構を持たない輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置を使用した製造装置を構成している各装置の配置を示す模式図である。
【0036】
図2の(a)に示される製造装置の配置図に付き説明する。図中、2は製造装置を示す。2aは大サイズの輝尽性蛍光体シートの供給装置を示す。2bは大サイズの輝尽性蛍光体シートを打抜き装置2cに送り込む第1搬送装置を示す。2cは第1搬送装置から送られてきた大サイズの輝尽性蛍光体シートを必要とするサイズの輝尽性蛍光体シート(以下、製品とも言う)に断裁する打抜き装置を示す。2eは打抜き装置2cで製品を打抜いた後、再度、製品を元の位置に嵌め込んだ状態で打抜き装置2cから取り出し、製品を抜き出す抜き出し装置を示す。2fは抜き出し装置2eにより抜き出された製品を回収箱2gに搬送する第2搬送装置を示す。2hは抜き出し装置2eにより抜き出されたスケルトン(大サイズの輝尽性蛍光体シートから必要とするサイズの輝尽性蛍光体シートを抜き取った後の抜きカスを言う)を回収箱2iに搬送する第3搬送装置を示す。本図に示される製造装置2は、製品を元の位置に嵌め込む機能を持ったノックアウトを有している打抜き装置を使用した場合を示している。打抜き装置2cに関しては別途詳細に説明する。
【0037】
図2の(b)に示される製造装置の配置図に付き説明する。図中、3は製造装置を示す。3aは大サイズの輝尽性蛍光体シートの供給装置を示す。3bは大サイズの輝尽性蛍光体シートを打抜き装置3cに送り込む第1搬送装置を示す。3cは第1搬送装置から送られてきた大サイズの輝尽性蛍光体シートを必要とするサイズの輝尽性蛍光体シート(以下、製品とも言う)に断裁する打抜き装置を示す。3dは打抜き装置3cで製品を打抜いた後、打抜き装置3cから製品を取り出された製品を回収箱3eに搬送する第2搬送装置を示す。3fは打抜き装置3cからスケルトンを回収箱3gに搬送する第3搬送装置を示す。本図に示される製造装置3は、製品を分離する機能を持ったノックアウトを有している打抜き装置を使用した場合を示している。打抜き装置3cに関しては別途詳細に説明する。
【0038】
図2の(c)に示される製造装置の配置図に付き説明する。図中、4は製造装置を示す。4aは大サイズの輝尽性蛍光体シートの供給装置を示す。4bは大サイズの輝尽性蛍光体シートを打抜き装置4cに送り込む第1搬送装置を示す。4cは第1搬送装置から送られてきた大サイズの輝尽性蛍光体シートを必要とするサイズの輝尽性蛍光体シート(以下、製品とも言う)に断裁する打抜き装置を示す。4dは打抜き装置4cで製品を打抜くことで、打抜き装置4cの下に落ちる製品を受け、回収箱4eに搬送する第2搬送装置を示す。4fは打抜き装置4cからスケルトンを回収箱4gに搬送する第3搬送装置を示す。本図に示される製造装置4は、ノックアウトを持たない打抜き装置を使用した場合を示している。打抜き装置4cに関しては別途詳細に説明する。
【0039】
本発明は、図1、図2に示す様に塗布法又は気相堆積法等で可撓性支持体上に輝尽性蛍光体層を形成させた大サイズの輝尽性蛍光体シートより、打抜き装置により輝尽性蛍光体層の剥離を抑え、所望するサイズの輝尽性蛍光体シートを作製する多サイズ対応が容易な輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置及び輝尽性蛍光体シート用打抜き方法に関するものである。
【0040】
図3は図2の(a)に示す製造装置に使用されている打抜き装置の概略斜視図である。
【0041】
図中、2cは打抜き装置を示す。打抜き装置2cは支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くためのパンチ2c1と、ダイ2c2と、パンチ2c1の外周部に設けられたストリッパ2c3と、打抜かれた製品をダイ2c2から回収するノックアウト2c4と、パンチ2c1とストリッパ2c3とを取り付けた上型2c5と、ダイ2c2を取り付けた下型2c6と、パンチ2c1とストリッパ2c3とをダイ2c2に対応して上下方向(図中の矢印方向)に打抜作動するためのガイドポスト2c7と、駆動部2c8とを有している。ストリッパ2c3はリニヤーガイド2c31を介して上型2c5に取り付けたストリッパべース(取り付け部材)2c34(図4を参照)に上下方向(図中の矢印方向)に作動可能に取り付けられている。2c32は輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜く時に、ダイ2c2の表面2c21に載置された輝尽性蛍光体シートの打抜き領域の外周部をストリッパ2c3で押圧を掛けながら押さえるリニヤーガイド2c31に設けた弾性部材のバネを示す。ダイ2c2は、規定寸法に打抜くための打抜き孔部2c22と、表面2c21に輝尽性蛍光体シートを吸引固定するための複数の吸引孔と、吸引ポンプ(不図示)に繋がった吸引管2c23とを有している。
【0042】
図2の(b)、図2の(c)に示す製造装置に使用されている打抜き装置も本図に示す打抜き装置と基本構造は同じであり、これらに関しては図5、図6で説明する。
【0043】
図4は図3のA−A′に沿った概略断面図である。図4の(a)は図3のA−A′に沿った拡大概略断面図である。図4の(b)は図4の(a)のPで示される部分の拡大概略図である。
【0044】
図中、2c34はストリッパべースを示す。リニヤーガイド2c31の先端にストリッパ2c3が取り付けられており、リニヤーガイド2c31はストリッパ2c3をパンチ2c1の作動方向(図中の矢印方向)に動く様にストリッパべース2c34に取り付けられている。2c41はノックアウトベースを示す。ノックアウト2c4はリニヤーガイド2c42の先端に取り付けられており、リニヤーガイド2c42はノックアウトベース2c41に上下方向(図中の矢印方向)に作動可能にダイ2c2の打抜き打抜き孔部2c22に配設されている。2c43は弾性部材のバネを示し、打抜き時、パンチ2c1の作動に対応して打抜き孔部2c22の中を上下方向へのノックアウト2c4の作動を可能にしている。
【0045】
パンチ2c1の輝尽性蛍光体シート側の面2c11は、打抜き時に輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外にのみに接触する接触面2c12と、有効画像領域に非接触である非接触面2c13とを有する断面形状が凹型となっている。Fは接触面2c12の非接触面2c13からの高さを示す。高さFは、打ち抜き時の輝尽性蛍光体シートの撓み等を考慮し、輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面2c13に対して0.5t〜2.0t高くなっていることが好ましい。
【0046】
2c33は打抜き時に輝尽性蛍光体シートに接触するストリッパ2c3の接触面を示す。接触面2c33はパンチ2c1の接触面2c12よりも輝尽性蛍光体シート側に出ている。Gはパンチ2c1の接触面2c12からストリッパ2c3の接触面2c33までの距離を示す。距離Gは、打ち抜き時の安定性及び打ち抜き後のカス(打ち抜かれた輝尽性蛍光体シート)の混入防止等を考慮し、0.2〜1mmが好ましい。
【0047】
ノックアウト2c4の輝尽性蛍光体シート側の面2c44は、打抜き時に輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外にのみに接触する接触面2c45と、有効画像領域に非接触である非接触面2c46とを有する断面形状が凹型となっている。Hは接触面2c45の非接触面2c46からの高さを示す。高さHは、打ち抜き時の輝尽性蛍光体シートの撓み等を考慮し、輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面2c46に対して0.5t〜2.0t高くなっていることが好ましい。ノックアウト2c4の接触面2c45とダイ2c2の表面2c21とは、打抜き前及び打抜き後に同一面になるようにダイ2c2の打抜き孔部2c22に配設されている。
【0048】
θ1はパンチ2c1の刃先角度を示す。刃先角度θ1は、打ち抜いた輝尽性蛍光体シートの品質安定性を考慮し、85〜95°が好ましい。θ2はダイ2c2の刃先角度を示す。刃先角度θ2は、打ち抜いた輝尽性蛍光体シートの品質安定性を考慮し、85〜95°が好ましい。
【0049】
パンチ2c1とストリッパ2c3とのクリアランスは、パンチ及びストリッパの加工精度、組み立て精度、切断安定性、切断面の安定性等を考慮し、ダイ2c2とパンチ2c1とのクリアランスをCとしたときC+0.01〜C+0.05mmが好ましい。
【0050】
ノックアウト2c4とダイ2c2とのクリアランスは、ノックアウト及びダイの加工精度、組み立て精度、切断安定性、切断面の安定性等を考慮し、ダイ2c2とパンチ2c1とのクリアランスをCとしたときC+0.01〜C+0.05mmが好ましい。
【0051】
ダイ2c2とパンチ2c1とのクリアランスは、ダイ及びパンチの加工精度、組み立て精度、切断安定性、切断面の安定性等を考慮し、輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時0.05t〜0.1tが好ましい。他の符号は図3と同義である。
【0052】
図5は他の方式の打抜き装置の概略断面図である。図5の(a)は図2の(b)に示される製造装置に使用されている打抜き装置の概略断面図である。図5の(b)は図5の(a)のQで示される部分の拡大概略断面図である。
【0053】
図中、3cは打抜き装置を示す。打抜き装置3cは支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くためのパンチ3c1と、ダイ3c2と、パンチ3c1の外周部に設けられたストリッパ3c3と、打抜かれた製品をダイ3c2から回収するノックアウト3c4と、パンチ3c1とストリッパ3c3とを取り付けた上型3c5とダイ3c2を取り付けた下型3c6と、パンチ3c1とストリッパ3c3とをダイ3c2に対応して上下方向(図中の矢印方向)に打抜作動するためのガイドポスト3c7と、駆動部3c8とを有している。3c34はストリッパべースを示す。リニヤーガイド3c31の先端にストリッパ3c3が取り付けられており、リニヤーガイド3c31はストリッパ3c3をパンチ3c1の作動方向(図中の矢印方向)に動く様にストリッパべース3c34に取り付けられている。3c32は輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜く時に、ダイ3c2の表面3c21に載置された輝尽性蛍光体シートの打抜き領域の外周部をストリッパ3c3で押圧を掛けながら押さえる弾性部材のバネを示す。ダイ3c2は、規定寸法に打抜くための打抜き孔部3c22と、表面3c21に輝尽性蛍光体シートを吸引固定するための複数の吸引孔と、吸引ポンプ(不図示)に繋がった吸引管3c23とを有している。
【0054】
3c41はノックアウトベースを示す。ノックアウト3c4はリニヤーガイド3c42の先端に取り付けられており、リニヤーガイド3c42はノックアウトベース3c41に上下方向(図中の矢印方向)に作動可能にダイ3c2の打抜き孔部3c22に配設されている。3c43はバネを示し、打抜き時、パンチ3c1の作動に対応して打抜き孔部3c22の中を上下方向へのノックアウト3c4の作動を可能にしている。
【0055】
パンチ3c1の輝尽性蛍光体シート側の面3c11は、打抜き時に輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外にのみに接触する接触面3c12と、有効画像領域に非接触である非接触面3c13とを有する断面形状が凹型となっている。Iは接触面3c12の非接触面3c13からの高さを示す。高さIは、打ち抜き時の輝尽性蛍光体シートの撓み等を考慮し、輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面3c13に対して0.5t〜2.0t高くなっていることが好ましい。
【0056】
3c33は打抜き時に輝尽性蛍光体シートに接触するストリッパ3c3の接触面を示す。接触面3c33はパンチ3c1の接触面3c12よりも輝尽性蛍光体シート側に出ている。Jはパンチ3c1の接触面3c12からストリッパ3c3の接触面3c33までの距離を示す。距離Jは、打ち抜き時の安定性及び打ち抜き後のカス(打ち抜かれた輝尽性蛍光体シート)の混入防止等を考慮し、0.2〜1mmが好ましい。
【0057】
ノックアウト3c4の輝尽性蛍光体シート側の面3c44は、打抜き時に輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外にのみに接触する接触面3c45と、有効画像領域に非接触である非接触面3c46とを有する断面形状が凹型となっている。Kは接触面3c45の非接触面3c46からの高さを示す。高さKは、打ち抜き時の輝尽性蛍光体シートの撓み等を考慮し、輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面3c46に対して0.5t〜2.0t高くなっていることが好ましい。
【0058】
Lはノックアウト3c4の接触面3c45のダイ3c2の表面3c21からの高さを示す。高さLは、輝尽性蛍光体シートの載置安定性、切断安定性等を考慮し、輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、0.2t〜0.5tであることが好ましい。ノックアウト3c4は、打抜き前及び打抜き後にダイ3c2の表面3c21から高さLだけ飛び出す様にダイ3c2の打抜き孔部3c22に配設されている。
【0059】
パンチ3c1の刃先角度、ダイ3c2の刃先角度、パンチ3c1とストリッパ3c3とのクリアランス、ノックアウト3c4とダイ3c2とのクリアランス及びダイ3c2とパンチ3c1とのクリアランスは図4に示す打抜き装置2cと同じである。
【0060】
本図に示される打抜き装置3cと図3、図4に示される打抜き装置2cとの違いは、ノックアウトの接触面のダイの表面との関係が異なるだけで構成は全て同じである。
【0061】
図6はノックアウトを使用しない方式の打抜き装置の概略断面図である。図6の(a)は図2の(c)に示される製造装置に使用されている打抜き装置の概略断面図である。図6の(b)は図6の(a)のRで示される部分の拡大概略断面図である。
【0062】
図中、4cは打抜き装置を示す。打抜き装置4cは支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くためのパンチ4c1と、ダイ4c2と、パンチ4c1の外周部に設けられたストリッパ4c3と、パンチ4c1とストリッパ4c3とを取り付けた上型4c4とダイ4c2を取り付けた下型4c5と、パンチ4c1とストリッパ4c3とをダイ4c2に対応して上下方向(図中の矢印方向)に打抜作動するためのガイドポスト4c6と、駆動部4c7とを有している。4c34はストリッパべースを示す。リニヤーガイド4c31の先端にストリッパ4c3が取り付けられており、リニヤーガイド4c31はストリッパ4c3をパンチ4c1の作動方向(図中の矢印方向)に動く様にストリッパべース4c34に取り付けられている。4c32は輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜く時に、ダイ4c2の表面4c21に載置された輝尽性蛍光体シートの打抜き領域の外周部をストリッパ4c3で押圧を掛けながら押さえる弾性部材のバネを示す。ダイ4c2は、規定寸法に打抜くための打抜き孔部4c22と、表面4c21に輝尽性蛍光体シートを吸引固定するための複数の吸引孔と、吸引ポンプ(不図示)に繋がった吸引管4c23とを有している。
【0063】
下型4c5は打抜き孔部4c22に対応して孔部4c51を有しており、打抜き孔部4c22と孔部4c51とは連通しており、打抜かれた製品はこれらの孔部を通して回収される様になっている。
【0064】
パンチ4c1の輝尽性蛍光体シート側の面4c11は、打抜き時に輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外にのみに接触する接触面4c12と、有効画像領域に非接触である非接触面4c13とを有する断面形状が凹型となっている。Mは接触面4c12の非接触面4c13からの高さを示す。高さMは、打ち抜き時の輝尽性蛍光体シートの撓み等を考慮し、輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面4c13に対して0.5t〜2.0t高くなっていることが好ましい。
【0065】
4c33は打抜き時に輝尽性蛍光体シートに接触するストリッパ4c3の接触面を示す。接触面4c33はパンチ4c1の接触面4c12よりも輝尽性蛍光体シート側に出ている。Nはパンチ4c1の接触面4c12からストリッパ4c3の接触面4c33までの距離を示す。距離Nは、打ち抜き時の安定性及び打ち抜き後のカス(打ち抜かれた輝尽性蛍光体シート)等を考慮し、0.2〜1mmが好ましい。
【0066】
パンチ4c1の刃先角度、ダイ4c2の刃先角度、パンチ4c1とストリッパ4c3とのクリアランス及びダイ4c2とパンチ4c1とのクリアランスは図4に示す打抜き装置2cと同じである。
【0067】
本図に示される打抜き装置4cと図3、図4に示される打抜き装置2c、図5に示される打抜き装置3cとの違いは、ノックアウトがないだけで他の構成は全て同じである。
【0068】
図7は図4に示されるダイの拡大概略図である。図7の(a)は図4に示されるダイの拡大概略斜視図である。図7の(b)は図7の(a)のB−B′に沿った拡大概略断面図である。
【0069】
ダイ2c2は刃部2c24と刃部取り付け部材2c25とを有している。2c26は刃部取り付け部材2c25の中に設けられた吸引室を示す。2c27は刃部2c24の表面(ダイの表面)に開けられた吸引孔を示し、吸引室2c26へ貫通している。打抜き時に輝尽性蛍光体シートをダイ2c2の表面(刃部2c24の表面)に載置し、吸引管を介して吸引ポンプ(不図示)で吸引することで輝尽性蛍光体シート(打抜き前の輝尽性蛍光体シート及びスケルトン)をダイ2c2の表面(刃部2c24の表面)に固定することが可能となっている。
【0070】
ダイ2c2の中央に設けられた打抜き孔部2c22は、刃部2c24と刃部取り付け部材2c25との中央を加工することで作られており、ノックアウト2c4(図4を参照)が打抜き孔部2c22内を作動するため、打抜き孔部2c22の刃部2c24と刃部取り付け部材2c25との内面は同一面となっている。
【0071】
図8は図6に示されるダイの拡大概略図である。図8の(a)は図6に示されるダイの拡大概略斜視図である。図8の(b)は図8の(a)のC−C′に沿った拡大概略断面図である。
【0072】
ダイ4c2は刃部4c24と刃部取り付け部材4c25とを有している。4c26は刃部取り付け部材4c25の中に設けられた吸引室を示す。4c27は刃部4c24の表面(ダイの表面)に開けられた吸引孔を示し、吸引室4c26へ貫通している。打抜き時に輝尽性蛍光体シートをダイ4c2の表面(刃部4c24の表面)に載置し、吸引管を介して吸引ポンプ(不図示)で吸引することで輝尽性蛍光体シート(打抜き前の輝尽性蛍光体シート及びスケルトン)をダイ4c2の表面(刃部4c24の表面)に固定することが可能となっている。
【0073】
ダイ4c2の中央に設けられた打抜き孔部4c22は、ノックアウトを持たないため刃部2c24の中央に設けられた打抜き孔部が、刃部取り付け部材4c25の中央に設けられた打抜き孔部より開口面積が小さくなっている。この様にすることで、打抜かれた製品は打抜き孔部4c22を落下し易く回収が容易となっている。
【0074】
図7、図8に示す様にダイの表面に吸引孔を設け輝尽性蛍光体シートを固定することで次の効果が得られる。
1)打抜いた製品とスケルトンの分離が容易になり、分離時の製品の端辺の輝尽性蛍光体層の剥離がなくなり製品品質の向上が可能となった。
2)スケルトンの回収が容易になり、製品との分離作業がなくなり作業効率の向上が可能となった。
3)打ち抜きに発生するゴミ、カス等の輝尽性蛍光体シートへの付着が防止可能となり製品品質の向上が可能となった。
【0075】
図9は打抜き装置で輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜く直前の状態を示す概略断面図である。図9の(a)は図4に示される打抜き装置で輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜く直前の状態を示す概略断面図である。図9の(b)は図9の(a)のSで示される部分の拡大概略断面図である。
【0076】
図中の符号は図4、図1と同義である。輝尽性蛍光体シート1bを打抜く際、ダイ2c2上に載置された輝尽性蛍光体シート1bはストリッパ2c3の接触面2c33により打抜き領域の外側(パンチ2c1の周囲が該当する)を押圧した状態となる。本図では保護層103bと接触面2c33が接触した状態となっている。
【0077】
ストリッパ2c3の接触面2c33による輝尽性蛍光体シート1bの押圧(面圧)は、打抜き時の輝尽性蛍光体の剥離、輝尽性蛍光体シートの保持安定性、スケルトンと打抜いた製品の分離性等を考慮し、1〜4MPaが好ましい。ストリッパ2c3の接触面2c33による輝尽性蛍光体シート1bの押圧(面圧)の調整は、リニヤーガイド2c31に設けた弾性部材のバネ2c32により可能となっている。
【0078】
ノックアウト2c4の接触面2c45とパンチ2c1の接触面2c12の間に挟まれる輝尽性蛍光体シート1bは打抜き時及び打抜き後の輝尽性蛍光体シート1bへの押圧(面圧)は、打抜き時の輝尽性蛍光体の剥離、輝尽性蛍光体シートの保持安定性、スケルトンと打抜いた製品の分離性等を考慮し、1〜4MPaが好ましい。
【0079】
ノックアウト2c4の接触面2c45とパンチ2c1の接触面2c12の間に挟まれる輝尽性蛍光体シート1bは打抜き時及び打抜き後の輝尽性蛍光体シート1bへの押圧(面圧)は、リニヤーガイド2c31に設けた弾性部材のバネ2c43により可能となっている。尚、図5に示される打抜き装置の場合もストリッパ3c3の接触面3c33による輝尽性蛍光体シート1bの押圧(面圧)及びノックアウト3c4の接触面3c45とパンチ3c1の接触面3c12の間に挟まれる輝尽性蛍光体シート1bは打抜き時及び打抜き後の輝尽性蛍光体シート1bへの押圧(面圧)は本図に示される打抜き装置の場合と同じである。図6に示される打抜き装置の場合もストリッパ4c3の接触面4c33による輝尽性蛍光体シート1bの押圧(面圧)は本図に示される打抜き装置の場合と同じである。
【0080】
図10は、図4に示す打抜き装置を使用して輝尽性蛍光体シートを打抜き回収するまでの概略フロー図である。尚、本図ではガイドポスト、駆動部は省略してある。
【0081】
S1では、打抜き装置2cと、輝尽性蛍光体シート1bが準備される。準備される輝尽性蛍光体シート1bは予め検査で故障がないことを確認された状態となっている。
【0082】
S2では、輝尽性蛍光体シート1bが輝尽性蛍光体層102b側を上にしてダイ2c2の表面2c21の規定の場所に載置される。載置位置が決まった後、吸引することで表面2c21に輝尽性蛍光体シート1bが固定された状態となる。
【0083】
S3では、ストリッパ2c3の接触面2c33が輝尽性蛍光体シート1bの保護層103bに接触する位置まで上型2c5(図3を参照)がガイドポスト2c7(図3を参照)に沿って下降してくる。
【0084】
S4では、更に上型2c5(図3を参照)がガイドポスト2c7(図3を参照)に沿って下降することでパンチ2c1により輝尽性蛍光体シート1bが打抜かれる状態となる。この時、必要サイズが打抜かれた輝尽性蛍光体シートの抜きカス(スケルトン)1b1はダイ2c2の表面2c21にストリッパ2c3により面圧を掛けられた状態で押さえられ且つ、吸引によりダイ2c2の表面2c21に保持された状態となっている。打抜かれた輝尽性蛍光体シートの製品1b2はノックアウト2c4の上に載置された状態となっている。
【0085】
S5では、製品1b2を回収するため、スケルトン1b1がダイ2c2の表面2c21に保持された状態で、製品1b2とスケルトン1b1とが同一の位置になるまで上型がガイドポスト2c7(図3を参照)に沿って上昇し、製品1b2が打抜かれた孔に嵌め込まれる状態となる。
【0086】
S6では、ストリッパ2c3による押さえ、及び吸引が解除され製品1b2が打抜かれた孔に嵌め込まれる状態の輝尽性蛍光体シート1b3が打抜き装置から取り出される。
【0087】
S7では、製品1b2を回収するため凸型部材の上に製品1b2に相当する部分を載せ、回りから押さ部材(不図示)で押さえることで製品1b2が凸型部材の上に残る状態となる。
【0088】
S8では、凸型部材の上に残った製品1b2を画像形成領域に接触しないようにして(例えば周囲を吸引して持ち上げる)回収し、打抜きから回収が終了する。
【0089】
図11は、図5に示す打抜き装置を使用して輝尽性蛍光体シートを打抜き回収するまでの概略フロー図である。尚、本図ではガイドポスト、駆動部は省略してある。
【0090】
S′1では、打抜き装置3cと、輝尽性蛍光体シート1bが準備される。準備される輝尽性蛍光体シート1bは予め検査で故障がないことを確認された状態となっている。
【0091】
S′2では、輝尽性蛍光体シート1bが輝尽性蛍光体層102b側を上にしてノックアウト3c4の接触面3c45に載置される。
【0092】
S′3では、載置位置が決まった後、ストリッパ2c3の接触面2c33が輝尽性蛍光体シート1bの保護層103bに接触し、ダイ3c2の表面3c21に輝尽性蛍光体シート1bが接触する位置まで上型3c5(図5を参照)がガイドポスト3c7(図5を参照)に沿って下降してくる。この時点で吸引することで表面3c21に輝尽性蛍光体シート1bが固定された状態となる。
【0093】
S′4では、更に上型3c5(図5を参照)がガイドポスト3c7(図5を参照)に沿って下降することでパンチ3c1により輝尽性蛍光体シート1bが打抜かれる状態となる。この時、必要サイズが打抜かれた輝尽性蛍光体シートの抜きカス(スケルトン)1b1はダイ3c2の表面3c21にストリッパ3c3により面圧を掛けられた状態で押さえられ且つ、吸引によりダイ3c2の表面3c21に保持された状態となっている。打抜かれた輝尽性蛍光体シートの製品1b2はノックアウト3c4の上に載置された状態となっている。
【0094】
S′5では、製品1b2を回収するため、スケルトン1b1がダイ3c2の表面3c21に保持された状態で、製品1b2がスケルトン1b1の上の位置になるまで上型がガイドポスト3c7(図5を参照)に沿って上昇し、製品1b2とスケルトン1b1とが分離された状態となる。
【0095】
S′6では、上型がガイドポスト3c7(図5を参照)に沿って更に上昇し、ストリッパ3c3による押さえ、及び吸引が解除され、ノックアウト3c4上に製品1b2が載置された状態となる。
【0096】
S′7では、ノックアウト3c4の上に残った製品1b2を画像形成領域に接触しないようにして(例えば周囲を吸引して持ち上げる)回収し、打抜きから回収が終了する。
【0097】
図12は、図6に示す打抜き装置を使用して輝尽性蛍光体シートを打抜き回収するまでの概略フロー図である。尚、本図ではガイドポスト、駆動部は省略してある。
【0098】
S″1では、打抜き装置4cと、輝尽性蛍光体シート1bが準備される。準備される輝尽性蛍光体シート1bは予め検査で故障がないことを確認された状態となっている。
【0099】
S″2では、輝尽性蛍光体シート1bが輝尽性蛍光体層102b側を上にしてダイ4c2の表面4c21の規定の場所に載置される。載置位置が決まった後、吸引することで表面4c21に輝尽性蛍光体シート1bが固定された状態となる。
【0100】
S″3では、ストリッパ4c3の接触面4c12が輝尽性蛍光体シート1bの保護層103bに接触する位置まで上型4c4(図6を参照)がガイドポスト4c6(図6を参照)に沿って下降してくる。
【0101】
S″4では、更に上型4c4(図6を参照)がガイドポスト4c6(図6を参照)に沿って下降することでパンチ4c1により輝尽性蛍光体シート1bが打抜かれる状態となる。この時、必要サイズが打抜かれた輝尽性蛍光体シートの抜きカス(スケルトン)1b1はダイ4c2の表面4c21にストリッパ4c3により面圧を掛けられた状態で押さえられ且つ、吸引によりダイ4c2の表面4c21に保持された状態となっている。打抜かれた輝尽性蛍光体シートの製品1b2は、ダイ4c2の打抜き孔部4c22から下型4c5に設けられた打抜き孔部4c22に対応した孔部4c51に落下する。
【0102】
S″5では、製品1b2を回収するため、上型がガイドポスト3c7(図5を参照)に沿って更に上昇し、ストリッパ3c3による押さえ、及び吸引が解除され、孔部4c51に製品が溜まる状態となる。
【0103】
S″6では、孔部4c51に製品が溜った製品1b2を画像形成領域に接触しないようにして(例えば周囲を吸引して持ち上げる)回収し、打抜きから回収が終了する。
【0104】
図2〜図12に示す打抜き装置の輝尽性蛍光体シートと接触する部分はジルコニア、アルミナ等を使用したファインセラミック、又はステンレス系の金属材料であることが好ましい。又、打抜き装置は−30〜−100kPaの減圧状態に保たれているか、若しくは、アルゴン、チッソ等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0105】
本発明に係る輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートを可撓性支持体に塗布液を塗布・乾燥して作製するのに、塗布液を塗布する方法としては通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることが出来る。可撓性支持体としては、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号明細書に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメント紙、ポリビニルアルコールでサイジングした紙等の加工紙等が挙げられる。これらの中でも、加工し易さ、取り扱い性からラスティックフィルムが好ましい可撓性支持体として挙げられる。
【0106】
又、これら可撓性支持体の厚さは、用いる可撓性支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、マット面としてもよい。
【0107】
輝尽性蛍光体層としては、バインダーと輝尽性蛍光体粒子とから構成されている。輝尽性蛍光体層を形成している「輝尽性蛍光体」とは、最初の光又は高エネルギー放射線が照射された後に、光的、熱的、機械的、科学的又は電気的等の刺激(輝尽励起)により、最初の光又は高エネルギー放射線の照射量に対応した輝尽発光を示す輝尽性蛍光体を言う。実用的な面からは、光刺激(輝尽励起)により輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましく、波長が500nm以上、1μm以下の輝尽励起光によって輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。
【0108】
輝尽性蛍光体を基材上に気相堆積させ輝尽性蛍光体層を形成させる方法としては蒸着法、スパッタ法及びCVD法等がある。蒸着法は基材を蒸着装置内に設置した後、装置内を排気して1.333×10-4Pa程度の真空とし、次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも1つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに堆積させる。この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層が形成されるが、蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。又、蒸着工程では複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着を行うことも可能である。又蒸着法においては、輝尽性蛍光体原料を複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着し、基材上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。更に蒸着法においては、蒸着時に必要に応じて基材を冷却或いは加熱してもよい。又、蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0109】
スパッタ法は前記蒸着法と同様に基材をスパッタ装置内に設置した後、装置内を一旦排気して1.333×10-4Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスを装置内に導入して1.333×10-1Pa程度のガス圧とする。次に、前記輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリングすることにより支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さ堆積させる。このスパッタ工程では蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、それぞれを用いて同時或いは順次、前記ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。又、スパッタ法では、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用い、これを同時或いは順次スパッタリングして、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、必要に応じてO2、H2等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。更に、スパッタ法においては、スパッタ時必要に応じて基材を冷却或いは加熱してもよい。又、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0110】
CVD法は目的とする輝尽性蛍光体或いは輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を熱、高周波電力等のエネルギーで分解することにより、支持体上に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を得るものであり、何れも輝尽性蛍光体層を支持体の法線方向に対して特定の傾きをもって独立した細長い柱状結晶に気相成長させることが可能である。本発明においては、気相堆積法として蒸着法が好ましく用いられる。
【0111】
本発明に係る輝尽性蛍光体層は、保護層を有していても良い。保護層は、保護層用塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成してもよいし、予め別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層上に接着してもよい。或いは別途形成した保護層上に輝尽性蛍光体層を形成する手順を取ってもよい。
【0112】
本発明に係わる輝尽性蛍光体シートに使用する可撓性支持体としては、熱可塑性樹脂フィルム、金属シート材料、カーボンを主とする材料、紙等の単体及びこれらの複合品が挙げられる。熱可塑性樹脂プラスチックフィルムとしては、例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、等が挙げられる。金属シートとしては、例えばアルミニウム箔、アルミニウム合金箔、鉄、胴等が挙げられる。紙としては、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号明細書に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメント紙、ポリビニルアルコールでサイジングした紙等の加工紙等が挙げられる。複合品としては、アルミニウム板の表面にポリイミド層を設けた支持体、カーボンを主とする混連樹脂板の表面にポリイミド層を設けた支持体、アルミニウム板の表面に無機蒸着層を設けた支持体、カーボンを主とする混連樹脂板の表面にポリイミド層を設け、更に無機蒸着層を設けた支持体等が挙げられる。無機蒸着層としては、例えばBN、Si34等の無機窒化物、SiC、TiC、WC等の無機炭化物、MgO、CaO、B23等の無機酸化物、BaF2等の無機フッ化物等が挙げられ、これらの無機化合物から選ばれた少なくとも一種の無機化合物を真空蒸着、スパッタリング等の気相堆積法により得ることが可能である。保護層の材料としては酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化−塩化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の通常の保護層用材料が用いられる。又、この保護層は蒸着法、スパッタリング法等により、SiC、SiO2、SiN、Al23などの無機物質を積層して形成してもよい。これらの保護層の層厚は一般的には0.1〜2000μm程度が好ましい。又、透光性が良く、シート状に形成出来るものを用いることが出来る。例えば石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラスや、PET、OPP、ポリ塩化ビニル等の有機高分子が挙げられる。
【0113】
輝尽性蛍光体層を構成する輝尽性蛍光体の具体例としては、例えば特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体:特開昭55−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体:特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体:特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体:特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体:特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロほう酸塩蛍光体:特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体:特開昭61−21173号、同61−21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体:特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体:特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体:特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体等が挙げられる。
【実施例】
【0114】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定される物ではない。
【0115】
実施例1
《輝尽性蛍光体シートの作製》
(基材の準備)
厚さ1mm、大きさ45cm×45cmのアルミニウム板の表面にポリイミド層を設けた基材を準備した。
【0116】
(輝尽性蛍光体シートの作製)
蒸着源として輝尽性蛍光体(CsBr:0.001Eu)を使用し、気相堆積装置を用い、Arガスを導入し0.133Paに真空度を調整した後、基材と原料容器の距離を60cmとし、基材を回転速度10rpmで回転させ、基材の温度を約150℃に保持しながら原料容器中の温度を750℃に保ち蒸着を開始し、輝尽性蛍光体層の膜厚が300μmとなったところで原料の蒸発を終了させ、蒸着室を大気圧に戻し、基材上に輝尽性蛍光体層が形成された総厚1300μmの輝尽性蛍光体シートを作製した。
【0117】
(輝尽性蛍光体シートの打抜き断裁)
準備した輝尽性蛍光体シートを図5、図6に示す打抜き装置を使用し、以下に示す条件で打抜き断裁を行い試料No.101、102とした。
【0118】
図5に示される打抜き装置の場合の設定条件を以下に示す。
【0119】
パンチの刃先角度90°、パンチの輝尽性蛍光体シートに接触する部分の高さを非接触部分に対して、0.8×1300μmとした。ノックアウトの輝尽性蛍光体シートに接触する部分の高さを非接触部分に対して、0.8×1300μmとした。ノックアウトのダイ表面より突き出る高さを0.4×1300μmとした。ストリッパの輝尽性蛍光体シートの打抜き部の周縁部への面圧を2MPaで押さえ込んだ。ダイへの輝尽性蛍光体シートの固定は、吸引圧を−70kPaで吸引固定した。打抜いた後の回収は、図11に示すフローに従って行った。尚、ストリッパを使用しない他は全て同じ条件で打抜きを行い比較試料No.103とした。又、ストリッパを使用しない、パンチは全面が輝尽性蛍光体シートに接触する形を使用した他は全て同じ条件で打抜きを行い比較試料No.104とした。図6に示される打抜き装置の場合の設定条件を以下に示す。
【0120】
パンチの刃先角度90°、ダイの刃先角度90°とした。パンチとダイとのクリアランス100μmとし、パンチの輝尽性蛍光体シートに接触する部分の高さを非接触部分に対して、0.8×1300μmとした。ストリッパの輝尽性蛍光体シートの打抜き部の周縁部への面圧を2MPaで押さえ込んだ。ストリッパとパンチとのクリアランス120μmとし、ダイへの輝尽性蛍光体シートの固定は、吸引圧を−70kPaで吸引固定した。打抜いた後の回収は、図12に示すフローに従って行った。
【0121】
尚、ストリッパを使用しない他は全て同じ条件で打抜きを行い比較試料No.105とした。又、ストリッパを使用しない、パンチは全面が輝尽性蛍光体シートに接触する形を使用した他は全て同じ条件で打抜きを行い比較試料No.106とした。
【0122】
評価
作製した各試料No.101〜106に付き、周端部の輝尽性蛍光体層の膜剥がれの有り無し、輝尽性蛍光体層の表面の傷の有り無しを以下に示す方法で観察し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表1に示す。
【0123】
周端部の輝尽性蛍光体層の膜剥がれの有り無しの観察方法
端部の断面を光学顕微鏡(倍率500倍)で観察した。
【0124】
輝尽性蛍光体層の表面の傷の有り無しの観察方法
目視で観察した。
【0125】
膜剥がれの評価ランク
○:膜剥がれの長さが0.2mm未満
△:膜剥がれの長さが0.2〜0.5mm未満
×:膜剥がれの長さが0.5mm以上
表面の傷の評価ランク
○:傷の発生が認められない
△:実技上問題とならない僅かな傷の発生が認められる
×:実技上明らかに問題となる傷の発生が認められる
【0126】
【表1】

【0127】
本発明の有効性が確認された。
【0128】
実施例2
実施例1で作製した輝尽性蛍光体シートと同じ輝尽性蛍光体シートを同じ条件で作製した。輝尽性蛍光体シートの総厚は1300μmとした。
【0129】
(輝尽性蛍光体シートの打抜き断裁)
準備した輝尽性蛍光体シートを図5に示す打抜き装置を使用し、パンチの輝尽性蛍光体シートに接触する部分の非接触部分に対する高さA(図5に示すIに相当)、ノックアウトの輝尽性蛍光体シートに接触する部分の非接触部分に対する高さB(図5に示すKに相当)を表2に示す様に変えた他は全て実施例1と同じ条件で打抜き断裁を行い試料No.201〜211とした。
【0130】
評価
作製した各試料No.201〜211に付き、輝尽性蛍光体層の表面の傷の有り無しを目視で観察し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。
【0131】
【表2】

【0132】
尚、試料No.206はパンチ部材の加工、試料No.206はノックアウト部材の加工が難しく成りコストが上がる割に、特別な効果が得られないため実用化には不向きであることを確認した。又、試料No.207は裏面に傷の発生が認められた。本発明の有効性が確認された。
【0133】
実施例3
実施例1で作製した輝尽性蛍光体シートと同じ輝尽性蛍光体シートを同じ条件で作製した。輝尽性蛍光体シートの総厚は1300μmとした。
【0134】
(輝尽性蛍光体シートの打抜き断裁)
準備した輝尽性蛍光体シートを図6に示す打抜き装置を使用し、パンチの輝尽性蛍光体シートに接触する部分の非接触部分に対する高さC(図6に示すMに相当)を表3に示す様に変えた他は全て実施例1と同じ条件で打抜き断裁を行い試料No.301〜306とした。
【0135】
評価
作製した各試料No.301〜306に付き、輝尽性蛍光体層の表面の傷の有り無しを目視で観察し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
【0136】
【表3】

【0137】
尚、試料No.306はパンチ部材の加工が難しく成りコストが上がる割に、特別な効果が得られないため実用化には不向きであることを確認した。又、図4、図5に示される打抜き装置と同様な結果が得られ、本発明の有効性が確認された。
【0138】
実施例4
実施例1で作製した輝尽性蛍光体シートと同じ輝尽性蛍光体シートを同じ条件で作製した。
【0139】
(輝尽性蛍光体シートの打抜き断裁)
準備した輝尽性蛍光体シートを図4に示す打抜き装置を使用し、打抜き断裁時に輝尽性蛍光体シートに掛けるストリッパとノックアウトの面圧を表4に示す様に変えた他は全て実施例1と同じ条件で打抜き断裁を行い試料No.401〜406とした。
【0140】
評価
作製した各試料No.401〜406に付き、ストリッパによる周端部の輝尽性蛍光体層の膜剥がれの有り無しを実施例1と同じ方法で、又、ノックアウトパンチ挟まれた部分の輝尽性蛍光体層の表面の傷を目視で観察し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
【0141】
【表4】

【0142】
試料No.406はストリッパの押さえの面圧が高いことに伴い、膜剥がれの発生は生じなかったが、輝尽性蛍光体層に僅かながらひび割れの発生が認められた。又、ノックアウトの面圧が高いことに伴い、輝尽性蛍光体層の表面の傷として僅かながらひび割れの発生が認められた。本発明の有効性が確認された。
【0143】
実施例5
実施例1で作製した輝尽性蛍光体シートと同じ輝尽性蛍光体シートを同じ条件で作製した。
【0144】
(輝尽性蛍光体シートの打抜き断裁)
準備した輝尽性蛍光体シートを図5に示す打抜き装置を使用し、打抜き断裁時に輝尽性蛍光体シートに掛けるストリッパとノックアウトの面圧を表5に示す様に変えた他は全て実施例1と同じ条件で打抜き断裁を行い試料No.501〜506とした。
【0145】
評価
作製した各試料No.501〜506に付き、ストリッパによる周端部の輝尽性蛍光体層の膜剥がれの有り無しを実施例1と同じ方法で、又、ノックアウトパンチ挟まれた部分の輝尽性蛍光体層の表面の傷を目視で観察し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
【0146】
【表5】

【0147】
試料No.506はストリッパの押さえの面圧が高いことに伴い、膜剥がれの発生は生じなかったが、輝尽性蛍光体層に僅かながらひび割れの発生が認められた。又、ノックアウトの面圧が高いことに伴い、輝尽性蛍光体層の表面の傷として僅かながらひび割れの発生が認められた。本発明の有効性が確認された。
【0148】
実施例6
実施例1で作製した輝尽性蛍光体シートと同じ輝尽性蛍光体シートを同じ条件で作製した。
【0149】
(輝尽性蛍光体シートの打抜き断裁)
準備した輝尽性蛍光体シートを図6に示す打抜き装置を使用し、打抜き断裁時に輝尽性蛍光体シートに掛けるストリッパとノックアウトの面圧を表5に示す様に変えた他は全て実施例1と同じ条件で打抜き断裁を行い試料No.601〜606とした。
【0150】
評価
作製した各試料No.601〜606に付き、ストリッパによる周端部の輝尽性蛍光体層の膜剥がれの有り無しを実施例1と同じ方法で、又、ノックアウトパンチ挟まれた部分の輝尽性蛍光体層の表面の傷を目視で観察し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。
【0151】
【表6】

【0152】
試料No.606はストリッパの押さえの面圧が高いことに伴い、膜剥がれの発生は生じなかったが、輝尽性蛍光体層に僅かながらひび割れの発生が認められた。又、ノックアウトの面圧が高いことに伴い、輝尽性蛍光体層の表面の傷として僅かながらひび割れの発生が認められた。本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】輝尽性蛍光体シートの概略断面図である。
【図2】大サイズの輝尽性蛍光体シートより必要とするサイズの輝尽性蛍光体シートを製造する製造装置を構成している各装置の配置を示す模式図である。
【図3】図2の(a)に示す製造装置に使用されている打抜き装置の概略斜視図である。
【図4】図3のA−A′に沿った概略断面図である。
【図5】他の方式の打抜き装置の概略断面図である。
【図6】ノックアウトを使用しない方式の打抜き装置の概略断面図である。
【図7】図4に示されるダイの拡大概略図である。
【図8】図6に示されるダイの拡大概略図である。
【図9】打抜き装置で輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜く直前の状態を示す概略断面図である。
【図10】図4に示す打抜き装置を使用して輝尽性蛍光体シートを打抜き回収するまでの概略フロー図である。
【図11】図5に示す打抜き装置を使用して輝尽性蛍光体シートを打抜き回収するまでの概略フロー図である。
【図12】図6に示す打抜き装置を使用して輝尽性蛍光体シートを打抜き回収するまでの概略フロー図である。
【符号の説明】
【0154】
1a、1b 輝尽性蛍光体シート
101a、101b 可撓性支持体
102a 中間層
103a、102b 輝尽性蛍光体層
104a、103b 保護層
2〜4 製造装置
2c〜4c 打抜き装置
2c1〜4c1 パンチ
2c2〜4c2 ダイ
2c23〜4c23 吸引管
2c3〜4c3 ストリッパ
2c32〜4c32、2c43、3c43 バネ
2c4、3c4 ノックアウト
2c5、3c5、4c4 上型
2c6、3c6、4c5 下型
2c11、2c44、3c11、3c44、4c11 面
2c12、2c33、2c45、3c12、3c45、4c12 接触面
2c13、2c46、3c13、3c46、4c13 非接触面
2c22〜4c22 打抜き孔部
4c51 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くための打抜き孔部を有するダイと、前記ダイに対応して打抜き作動するパンチと、打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートの回収部とを有する輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置において、
前記パンチは、外周部に前記輝尽性蛍光体シートに接触し、前記輝尽性蛍光体シートの打抜き部周縁部を押さえ込むストリッパを有し、
前記ダイは前記打抜き孔部に、打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートを押し戻すノックアウトを有し、
前記パンチ及び前記ノックアウトの輝尽性蛍光体シート側の面は、前記輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外のみに接触する接触面と前記有効画像領域に非接触面とを有する断面形状が凹型をしていることを特徴とする輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項2】
支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを規定寸法に打抜くための打抜き孔部を有するダイと、前記ダイに対応して打抜作動するパンチと、打抜かれた前記輝尽性蛍光体シートの回収部とを有する輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置において、
前記パンチは、外周部に前記輝尽性蛍光体シートに接触し、前記輝尽性蛍光体シートの打抜き部周縁部を押さえ込むストリッパを有し、
前記回収部は、前記ダイの前記打抜き孔部の下部に配設されており、
前記パンチの輝尽性蛍光体シート側の面は、前記輝尽性蛍光体シートの有効画像領域の周囲の有効画像領域外のみに接触する接触面と前記有効画像領域に非接触面とを有する断面形状が凹型をなしていることを特徴とする輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項3】
前記パンチの輝尽性蛍光体シートに接触する接触面は、該輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面に対して0.5t〜2.0t高くなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項4】
前記ノックアウトの輝尽性蛍光体シートに接触する接触面は、該輝尽性蛍光体シートの総厚をtとした時、非接触面に対して0.5t〜2.0t高くなっていることを特徴とする請求項1又は3に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項5】
前記ストリッパは、輝尽性蛍光体シートの打抜き部の周縁部をダイと該ストリッパとの間で面圧1〜4MPaで押さえ込む機能を有していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項6】
前記ノックアウトは、打抜かれた輝尽性蛍光体シートをパンチと該ノックアウトとの間で面圧1〜4MPaで押さえ込む機能を有していることを特徴とする請求項1、3〜5の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項7】
前記ノックアウトは、弾性部材を介してダイに取り付けられており、輝尽性蛍光体シートの厚さをtとした時、該ダイの表面より該ノックアウトの該輝尽性蛍光体シートと接触する面が0.2t〜0.5t突き出していることを特徴とする請求項1、3〜6の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項8】
前記ダイの表面には吸引孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜き装置。
【請求項9】
支持体上に輝尽性蛍光体層を有する輝尽性蛍光体シートを、請求項1〜8の何れか1項に記載の輝尽性蛍光体シート用の打抜打装置を使用して規定寸法に打抜く輝尽性蛍光体シート用打抜き方法において、前記輝尽性蛍光体層側から打抜くことを特徴とする輝尽性蛍光体シート用打抜き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−54902(P2007−54902A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240950(P2005−240950)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】