説明

輝度向上フィルム及びバックライトモジュール

【課題】本発明は、輝度向上フィルムとバックライトモジュールを提供する。
【解決手段】輝度向上フィルムであって、透光基板と、複数の光学構造と、反射層及びプリズム層を含む。透光基板は相対する第一表面と第二表面を有する。光学構造は第一表面に配置される。反射層は第二表面に配置され、反射層は複数の透光開孔を有する。プリズム層は反射層及び第二表面を覆って形成され、第二表面から離れる方向に突起する複数のプリズム構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学膜(optical film)及びそれを用いた光源モジュールに関し、特に輝度向上フィルム(brightness enhancement film, BEF)及びそれを用いたバックライトモジュール(backlight module)に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ技術の進歩につれて、平面ディスプレイがディスプレイ装置の主流になり、従来の厚くて重いブラウン管(cathode ray tube, CRT)を取り替えることになった。平面ディスプレイの内、液晶ディスプレイ(liquid crystal display, LCD)が人々に人気があり、普及している。液晶ディスプレイは、液晶パネルとバックライトモジュールを含む。液晶パネルそれ自体は発光せず、光透過率を決めるように使われるため、その後方にバックライトモジュールを配置して、液晶パネルの平面光源として使う。平面光源の光学品質は液晶ディスプレイのディスプレイ品質に大きい影響を及ぼす。例えば、表示画面が正しく表示し、かつ歪みが少ないようにするため、均一な平面光源を配置する必要がある。一方、表示画面の輝度を向上するため、平面光源の光の出射角度の範囲を制限して、光損失を避ける。
【0003】
従来のエッジライト型バックライトモジュールは、下から上の順で、導光板に下拡散フィルム、プリズム柱が相互直交する二つのプリズムシート及び上拡散フィルムを配置する。その内、プリズムシートは光の出射角度の範囲を縮小し、上拡散フィルム及び下拡散フィルムは光を均一化し、プリズム柱の輪郭と液晶パネルによってモアレ(moire)が生じるのを避ける。しかしながら、導光板に四つの光学フィルムを配置するこういう方法は、バックライトモジュールのコストが増加し、光学フィルムが多すぎると組立が難しくなり、バックライトモジュールの厚さが減少できない問題がある。一方、四つ以上の光学フィルムを使う場合、光損失が発生しやすくなり、バックライトモジュールの正面輝度を更に向上するのに困難がある。
【0004】
一方、中華民国公開特許第200911513号には、導光板に一つの光学フィルムを設けた構造が開示されている。その特徴としては、透光体と透光体の入光面に設けられた反射層を有し、透光体の出光面にはレンズのアレイが設けられている。更に、反射層にはレンズに対応する開孔がある。一方、米国公開特許第20070002452号にも同じ種類の光学フィルムが開示されている。しかしながら、それぞれ異なる電子装置の液晶ディスプレイ(例えば、携帯、ノートパソコン、モニター、テレビなどの液晶ディスプレイ)として、異なる方向の異なる視角における輝度分布の要求がそれぞれ異なるため、上述の二つの特許文献に記載された光学フィルムを有するバックライトモジュールを使う場合、光の出射角度の範囲を方向の変化に合わせて変更するのが難しいので、各種異なる電子装置に対して同時にこのような設計概念を適用するのは容易ではない。更に、米国特許第7374328号と中華民国特許公開第200846774号には、光線の集中しすぎを避けるように、反射層の底部に拡散層を設けて光線を拡散する構造が開示されている。一方、中華民国特許出願第098118580号には、透光基板、透光基板の上面に設けられた複数のレンズ及び透光基板の下面に設けられた反射部を有する光学フィルムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、出射光の正面輝度を効率的に向上する輝度向上フィルムを提供する。
【0006】
本発明は、正面輝度が高い面光源を提供するバックライトモジュールを提供する。
【0007】
本発明の他の目的と利点は、本発明によって開示される技術特徴から更に明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的の一部又は全部又は他の目的を実現するために、本発明の一つの実施例による輝度向上フィルムは、透光基板と、複数の光学構造と、反射層及びプリズム層を含む。透光基板は相対する第一表面と第二表面を有する。光学構造は第一表面に配置される。反射層は第二表面に配置され、反射層は複数の透光開孔を有する。プリズム層は反射層及び第二表面を覆って形成され、第二表面から離れる方向に突起する複数のプリズム構造を有する。
【0009】
本発明の他の実施例によるバックライトモジュールは、少なくとも一つの発光素子と、上述の輝度向上フィルム及び光学ユニットを含む。発光素子は光束を発出するのに用いられる。輝度向上フィルムは光束の伝達経路に配置される。光学ユニットは発光素子と輝度向上フィルムの間に位置する光束の伝達経路に配置される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の実施例による輝度向上フィルムは、入射光がプリズム層のプリズム構造によって屈折するため、プリズム構造の表面を通った入射光の進行方向を第一表面の法線方向に近づけることができ、且つ入射光が反射層に反射されてプリズム構造から離れる場合も、更にプリズム構造の表面によって屈折させ、光の進行方向を第一表面の法線方向に近づけることができる。これにより、光学構造から出射された出射光の正面輝度を向上することができ、本発明の実施例によるバックライトモジュールが輝度の高い面光源を提供するようにする。
【0011】
本発明の上述及びその他の目的、特徴及び効果をより明らかにするために、以下は図面を参照しながら最適実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一つの実施例によるバックライトモジュールが二つの相互垂直する異なる方向における断面図である。
【図1B】本発明の一つの実施例によるバックライトモジュールが二つの相互垂直する異なる方向における断面図である。
【図2A】図1Aに示された輝度向上フィルムの斜視図である。
【図2B】図2Aに示された輝度向上フィルムの上面図である。
【図3】本発明の他の実施例によるバックライトモジュールの断面図である。
【図4】本発明のもう一つの実施例によるバックライトモジュールの断面図である。
【図5】本発明の更にもう一つの実施例によるバックライトモジュールの断面図である。
【図6A】本発明の他の実施例による輝度向上フィルムの上面図である。
【図6B】本発明のもう一つの実施例による輝度向上フィルムの上面図である。
【図7】本発明の更にもう一つの実施例によるバックライトモジュールの断面図である。
【図8】本発明の他の実施例による輝度向上フィルムの斜視図である。
【図9】本発明のもう一つの実施例による輝度向上フィルムの斜視図である。
【図10】本発明の更にもう一つの実施例による輝度向上フィルムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記の各実施例に対する説明は、添付された図面を参考しながら本発明の実施形態を例示する特定実施例である。本発明に記載された方向の用語、例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」等は単に図面における方向を参照したものに過ぎない。従って、記載された方向用語は本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0014】
図1Aと図1Bは、本発明の一つの実施例によるバックライトモジュールが二つの相互垂直する異なる方向における断面図であり、図2Aは図1Aに示された輝度向上フィルムの斜視図であり、図2Bは図2Aに示された輝度向上フィルムの上面図である。図1A、図1B、図2A及び図2Bを参照するに、本実施例のバックライトモジュール100は、発光素子110、輝度向上フィルム200及び光学ユニット300を含む。発光素子110は光束112を発出するのに適用される。本実施例において、発光素子110は、例えば冷陰極蛍光ランプ(cold cathode fluorescent lamp、CCFL)である。なお、他の実施例において、バックライトモジュールは、例えば一列に配列された発光ダイオード(light emitting diode, LED)を有する等、複数の発光素子を備えることができる。
【0015】
輝度向上フィルム200は光束112の伝達経路に配置される。光学ユニット300は、発光素子110と輝度向上フィルム200の間に位置する光束112の伝達経路に配置される。本実施例において、光学ユニット300は導光板310を有し、導光板310は表面312、表面312と相対する表面314及び表面312と表面314を連結する入光面316を有する。発光素子110は入光面316の横に配置される。具体的には、発光素子110から発出された光束112は、入光面316を経由して導光板310に入射される。光束112は、表面312と表面314の間で全反射され、導光板310内に制限されている。しかし、導光板310の表面314に形成されたミクロ構造315は、全反射を破壊することができる。例えば、一部光束112はミクロ構造315によって表面312まで反射され、表面312を通る。他の一部光束112は、ミクロ構造315を通って表面314の一側に配置された反射シート320まで伝達され、反射シート320によって反射されて、表面314と表面312を順に通る。
【0016】
輝度向上フィルム200は透光基板210、複数の光学構造220、反射層230及びプリズム層240を含む。透光基板210は第一表面212及び第一表面212と相対する第二表面214を有する。光学構造220は第一表面212に配置される。本実施例において、各光学構造220は例えばレンズである。レンズは凸曲面222を有し、凸曲面222は透光基板210に背を向ける。第一表面212に平行する第一方向D1において、凸曲面222の曲率半径はRであり、第一表面212に平行する第二方向D2において、凸曲面222の曲率半径はRであり、R≠Rである。なお、他の実施例において、RとRは等しいこともある。本実施例において、凸曲面222は平らで滑らかな曲面であり、或いは複数の微小な線分又は湾曲する線分で構成されることもある。また、本実施例において、第一方向D1は実に第二方向D2と垂直する。反射層230は第二表面214に配置され、複数の透光開孔232を有する。複数の透光開孔232はそれぞれ複数の光学構造220の光軸Xに位置する。本実施例において、反射層230は透光基板210と表面312の間に位置する。光学構造220の凸曲面222の頂点Tから対応する透光開孔232までの距離はLであり、これら光学構造220の屈折率はnである。本実施例において、輝度向上フィルム200はL<nR/(n−1)及びL<nR/(n−1)を満足する。
【0017】
表面312を通る光束112の出射角度が大きすぎる場合、ほとんどの光束112は反射層230に反射され、導光板310に戻って再利用される。表面312を通る光束112の出射角度が小さい場合、ほとんどの光束112は透光開孔232を通る。透光開孔232を通る光束112の光エネルギー分布は、例えばガウス分布に類似する。光束112は光学構造220によって集光され、第一表面212に垂直するような角度で光学構造220から射出される。このように、本実施例のバックライトモジュール100は、従来技術のように四つの光学フィルムを使う必要がなく、単一の光学フィルム(即ち、輝度向上フィルム200)によって光の出射角度の範囲を縮小し、更に液晶ディスプレイの輝度を向上する。
【0018】
更に、プリズム層240は反射層230及び第二表面214を覆って形成され、第二表面214から離れる方向へ突起する複数のプリズム構造242を含む。本実施例において、プリズム構造242はプリズム柱であり、例えば三角柱である。これらプリズム構造242は第一方向D1に沿って配列され、一つ一つのプリズム構造242は第二方向D2に沿って延在する。本実施例において、個々のプリズム構造242は第一プリズム面244及び第二プリズム面246を有する。第一プリズム面244及び第二プリズム面246は第二方向に沿って延在する。本実施例において、個々のプリズム構造242は第一方向D1において鏡像対称ではない。言い換えれば、第一プリズム面244の法線ベクトルN1と第一表面212の法線ベクトルN4の夾角はθ1であり、第二プリズム面246の法線ベクトルN2と第一表面212の法線ベクトルN4の夾角はθ2であり、θ1≠θ2である。本実施例において、θ1は例えば130度乃至170度の範囲内にあり、θ2は例えば90度乃至110度の範囲内にあるが、本発明はこれに限られたものでは。一方、本実施例において、第一表面212と第二表面214は実に平行し、入光面316の法線ベクトルN3、法線ベクトルN1、法線ベクトルN2及び法線ベクトルN4は同一の平面に位置するが、本発明はこれに限られたものではない。
【0019】
第一プリズム面244は光束112を屈折させ、光束112の伝達方向を第一表面212の法線方向に近づける機能を有する。具体的には、光束112中の一部光束112aは表面312を通って第一プリズム面244によって屈折され、伝達方向が第一表面212の法線方向に近づく。これにより、一部光束112aが、透光開孔232を通ってから透光開孔232の真上に対応する光学構造220に入射するようになり、対応する光学構造220の隣にある別の光学構造220に入射しないようになる。一部光束112aが対応する光学構造220の隣にある別の光学構造220に入射した場合、光の進行方向は第一表面212の法線方向から大幅に離れ、無効の光になる。本実施例の第一プリズム面244は、上記の情況を実質的に減少することができる。本実施例において、透光開孔232を通った光束112は対応する光学構造220を通るようになり、また光学構造220はこのような光束112をまっすぐ出射するため、本実施例による輝度向上フィルム200は正面輝度を効率的に向上することができ、更にバックライトモジュール100によって提供される面光源の輝度を向上することができる。
【0020】
一方、光束112中の一部光束112bは表面312から出射された後、第一プリズム面244に屈折されて伝達方向が第一表面212の法線方向に近づく。その後、一部光束112bは反射層230に反射されて第一プリズム面244に戻る。この場合、一部光束112bは第一プリズム面244によって更に屈折され、伝達方向が更に第一表面212の法線方向に近づく。続いて、一部光束112bは導光板310に戻って再利用される。このように、一部光束112bが反射層230に反射されて導光板310に戻る度に、一部光束112bの進行方向が更に第一表面212の法線方向に近づき、一部光束112bが透光開孔232を早く通るようにする。従って、本実施例のバックライトモジュール100は、透光開孔232を通る前に、反射層230と反射シート320の間における光束112の反射回数を実質的に減少し、光エネルギー損失を低減し、且つバックライトモジュール100の正面輝度を向上するのに有利である。
【0021】
一方、本実施例の輝度向上フィルム200はR≠Rであるため、光の出射角度の範囲に対して異なる方向で異なる要求があるバックライトモジュールに適用される。R値とR値を適切に設計することで、輝度向上フィルム200を用いたバックライトモジュール100を、それぞれ異なる種類の電子装置のディスプレイに適用することができる。電子装置のディスプレイとしては、例えば、携帯、ノートパソコン、モニター、テレビ等の液晶ディスプレイである。
【0022】
本実施例において、透光開孔232の第一方向D1における幅は第二方向D2における幅と異なる。尚、他の実施例において、透光開孔232の第一方向D1における幅は第二方向D2における幅と等しいこともある。本実施例において、透光開孔232の第一方向D1における幅はAであり、第二方向における幅はAである。透光開孔232に対応する凸曲面222の第一方向D1における幅はPであり、第二方向D2における幅はPである。輝度向上フィルム200は、0.1<A/P<0.9及び0.1<A/P<0.9を満足する。これにより、第一方向D1における光の出射角度の範囲と第二方向D2における光の出射角度の範囲が更に大きい変化があるようにし、輝度向上フィルム200とバックライトモジュール100を更に広い範囲で適用することができる。
【0023】
本実施例において、反射層230の透光開孔232はレーザー穴あけ技術で形成される。具体的には、レーザー穴あけ工程を実施する前に、反射層230は第二表面214の全面に分布している。次に、図1Aに示された輝度向上フィルム200の真上から平行するレーザー光線を光学構造220に出射する。即ち、第一方向D1と第二方向D2に垂直する方向に沿って、光学構造220にレーザー光線を出射する。光学構造220の集光作用によって、レーザー光線が反射層230に形成するライトスポットが透光開孔232の位置になる。この場合、ライトスポットの照度の分布は均一であるため、レーザー光線のパワーさえ強ければ、ライトスポットの大きさに近い透光開孔232を反射層230にあけることができる。尚、このようなライトスポットの照度の分布は、輝度向上フィルム200がL<nR/(n−1)及びL<nR/(n−1)を満足する情況で達成される。このように、本実施例は、平行するレーザービームで一回の穴あけ動作を行うことで、予期したとおりの寸法及び位置を有する透光開孔232をあけることができる。従って、本実施例の輝度向上フィルム200は工程を簡単にし、これによってバックライトモジュール100のコストを下げることができる。これに反して、仮に輝度向上フィルム200がL>nR/(n−1)及びL>nR/(n−1)を満足する場合、得られたライトスポットの中央部の照度が周囲より高く、エネルギー分布にも明らかな境がないため、透光開孔232の寸法をコントロールするのに困難である。よって、あけられた透光開孔232の寸法がライトスポットより小さく、透光開孔232の寸法を予期の通りに作られない問題がある。この場合、透光開孔232の寸法と位置を予期の通りにするために、レーザー光線の入射角度を変更し、レーザー光線で穴あけ工程を数回行う必要がある。そうすると、製造が複雑になり、コストと労働量を消耗する。
【0024】
更に、輝度向上フィルムがL<nR/(n−1)及びL<nR/(n−1)を満足すると、輝度向上フィルム200を通る光束112を更に均一にすることができ、これによって本実施例のバックライトモジュール100が均一な面光源を提供することができる。本実施例において、輝度向上フィルム200を通る光束112の均一性を更に向上するために、輝度向上フィルム200がL<0.95nR/(n−1)及びL<0.95nR/(n−1)を満足するようにする。
【0025】
図3は、本発明の他の実施例によるバックライトモジュールの断面図である。図3を参照するに、本実施例のバックライトモジュール100aは図1Aのバックライトモジュール100と類似し、両者の主な相異点は以下の通りである。図1Aのバックライトモジュール100は、個々のプリズム構造242の寸法が実際に同じである。しかし、本実施例の輝度向上フィルム200aは、少なくとも一部のプリズム構造242’の幅が第二表面214に平行する方向(例えば、第一方向D1)において相互異なり、且つ少なくとも一部のプリズム構造242’の高さが第二表面214に垂直する方向において相互異なる。これにより、プリズム構造242’の規則性が乱され、更に輝度向上フィルム200aとバックライトモジュール100aの上方に配置されたディスプレイパネル(図示されていない)の画素アレイによってモアレ(moire)が生じるのを減少する。尚、本実施例において、プリズム構造242’の位置と透光開孔232の位置は対応関係がなくてもよいが、他の実施例では適切な対応関係を有してもいい。
【0026】
図4は本発明のもう一つの実施例によるバックライトモジュールの断面図である。図4を参照するに、本実施例のバックライトモジュール100bは図1Aのバックライトモジュール100と類似し、両者の主な相異点は以下の通りである。本実施例のバックライトモジュール100bは、二つの光源110がそれぞれ導光板310の相対する両側に配置される。また、本実施例において、輝度向上フィルム200bのプリズム構造242”は、第一方向D1において鏡像対称を構成する。具体的には、プリズム構造242”の第一プリズム面244”の法線ベクトルN1’と第一表面212の法線ベクトルN4の夾角はθ1’であり、プリズム構造242”の第二プリズム面246”の法線ベクトルN2’と第一表面212の法線ベクトルN4の夾角はθ2’であり、θ1’≠θ2’である。このような設計は両側から入光するバックライトモジュール100bに適用する。本実施例において、θ1’とθ2’は全て130度乃至170度の範囲内にあるが、本発明はこれに限られたものではない。また、第一プリズム面244”は図の左側にある発光素子110から発出された光束を屈折させ、光束の進行方向が第一表面212の法線方向に近づくようにし、第二プリズム面246”は図の右側にある発光素子110から発出された光束を屈折させ、光束の進行方向が第一表面212の法線方向に近づくようにする。
【0027】
図5は本発明の更にもう一つの実施例のバックライトモジュールの断面図である。図5を参照するに、本実施例のバックライトモジュール100cは図1A及び図1Bのバックライトモジュール100と類似し、両者の主な相違点は、本実施例の輝度向上フィルム200cのプリズム構造242”が例えば四角錐のような多角錐であることにある。この四角錐の他の方向における断面は、図1Aに示されたものと同じである。言い換えれば、一つ一つの四角錐は、例えば図1Aに示されたような第一プリズム面244と第二プリズム面246の二つのプリズム面及び図5に示されたような第三プリズム面248と第四プリズム面249のように、互いに隣接する断面を有する。プリズム構造242”は、第一方向D1及び第二方向D2で同時に光を屈折させて、光の進行方向が第一表面212の法線方向に近づくようにする。
【0028】
図6Aは、本発明の他の実施例による輝度向上フィルムの上面図である。図6Aを参照するに、本実施例の輝度向上フィルム200’は図2Bの輝度向上フィルム200と類似し、両者の相異点は以下の通りである。本実施例の輝度向上フィルム200’は、少なくとも一部の光学構造220の幅P1が第一方向D1において異なる。このようなレンズがそれぞれ有する第一方向D1における複数の幅P1の内、最大値を最小値で割ることで得られた比率は、例えば1〜4の間にある。また、本実施例において、少なくとも一部の光学構造220の幅P2が第二方向D2において異なる。このようなレンズがそれぞれ有する第二方向D2における複数の幅P2の内、最大値を最小値で割ることで得られた比率は、例えば1〜4の間にある。このように、光学構造220の大きさと位置を不規則的に設計することで、輝度向上フィルム200’と輝度向上フィルム200’に配置された液晶ディスプレイ(図示されていない)によってモアレ(moire)が生じるのを低減することができる。
【0029】
図6Bは、本発明のもう一つの実施例による輝度向上フィルムの上面図である。図6A及び図6Bを参照するに、本実施例の輝度向上フィルム200”(図6Bを参照)と上述の輝度向上フィルム200’(図6Aを参照)の相異点は以下の通りである。輝度向上フィルム200’は、一つの方向(例えば第一方向D1)において、同一列の光学構造220の幅P2が全て実際に同じであるが、他の方向(例えば第二方向D2)において、同一列の光学構造220の少なくとも一部の幅P1は異なる。しかし、輝度向上フィルム200”は、第一方向D1又は第二方向D2の何れの方向において、同一列の光学構造220の少なくとも一部の幅P1又はP2が異なる。このように、輝度向上フィルム200”は不規則の程度が高く、輝度向上フィルム200’は容易に製造し、設計することができる。
【0030】
図7は、本発明の更に一つの実施例によるバックライトモジュールの断面図である。図7を参照するに、本実施例のバックライトモジュール100dは図1Aのバックライトモジュール100と部分的に類似し、両者は以下の点で相違する。図1Aのバックライトモジュール100はエッジライト型バックライトモジュールであるが、本実施例のバックライトモジュール100dは直下型バックライトモジュールである。具体的には、光学ユニット300aは拡散板330を含み、拡散板330は輝度向上フィルム200bと複数の発光素子110の間に配置される。これは直下型バックライトモジュールの一つの特徴である。発光素子110から発出された光束112は拡散板330を通って輝度向上フィルム200まで伝達され、拡散板330によって拡散される。本実施例において、バックライトモジュール100dは更にライトケース340を備え、複数の発光素子110はライトケース340の中に配置される。ライトケース340の内壁は反射機能を有し、発光素子110から出射された光束112を拡散板330に反射する。
【0031】
図8は本発明の他の実施例による輝度向上フィルムの斜視図である。図8を参照するに、本実施例の輝度向上フィルム200dは図2Aの輝度向上フィルム200と類似し、両者の主な相異点は、本実施例の光学構造220’は柱状レンズ(lenticular)で、柱状凸面222’を有することにある。
【0032】
図9は本発明のもう一つの実施例による輝度向上フィルムの斜視図である。図9を参照するに、本実施例の輝度向上フィルム200eは図2Aの輝度向上フィルム200と類似し、両者の主な相異点は、本実施例の光学構造220”は例えば四角錐プリズムのような錐状プリズムであることにある。
【0033】
図10は本発明の更に一つの実施例による輝度向上フィルムの斜視図である。図10を参照するに、本実施例の輝度向上フィルム200fは図2Aの輝度向上フィルム200と類似し、両者の主な相異点は、本実施例の光学構造220”’は例えば三角柱プリズムのような柱状プリズムであることにある。
【0034】
なお、本発明は、輝度向上フィルムの光学構造を特定の種類の構造に限定せず、他の実施例において、光学構造はレンズ、柱状レンズ、錐状プリズム、柱状プリズム及び他の種類の光学構造の何れの組合せでもよい。
【0035】
以上のように、本発明の実施例による輝度向上フィルムは、入射光がプリズム層のプリズム構造によって屈折するため、プリズム構造の表面を通った入射光の進行方向を第一表面の法線方向に近づけることができ、且つ入射光が反射層に反射されてプリズム構造から離れる場合も、更にプリズム構造の表面によって屈折させ、光の進行方向を第一表面の法線方向に近づけることができる。これにより、光学構造から出射された出射光の正面輝度を向上することができ、本発明の実施例によるバックライトモジュールが輝度の高い面光源を提供するようにする。
【0036】
本発明は上記の実施例によって開示されるが、これらの内容に限定されず、本発明の精神及び範囲内で、当業者によって何れの変更及び修飾が可能であるため、本発明の保護範囲は特許請求の範囲を基準とする。一方、本発明の実施例又は請求項の範囲は何れも本発明により開示された目的又は利点又は特徴の全てを必ずしも実現する必要はない。また、要約部分と発明の名称は単に特許文献のサーチ作業を補助するためのものであり、本発明の権利範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0037】
100、100a、100b、100c、100d バックライトモジュール
110 発光素子
112 光束
112a、112b 一部光束
200、200’、200”、200b、200c、200e、200f 輝度向上フィルム
210 透光基板
212 第一表面
214 第二表面
220、220’、220”、220”’ 光学構造
222 凸曲面
222’ 柱状凸面
230 反射層
232 透光開孔
240 プリズム層
242、242’、242” プリズム構造
244、244” 第一プリズム面
246、246” 第二プリズム面
248 第三プリズム面
249 第四プリズム面
300 光学ユニット
310 導光板
312、314 表面
315 ミクロ構造
316 入光面
320 反射シート
330 拡散板
340 ライトケース
A1、A2、P1、P2 幅
D1 第一方向
D2 第二方向
L 距離
N1、N1’、N2、N2’、N3、N4 法線ベクトル
T 頂点
X 光軸
θ1、θ1’、θ2、θ2’ 夾角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度向上フィルムであって、
相対する第一表面と第二表面を有する透光基板と、
前記第一表面に配置される複数の光学構造と、
前記第二表面に配置され、複数の透光開孔を有する反射層と、
前記反射層と前記第二表面を覆って形成され、前記第二表面から離れる方向に突起する複数のプリズム構造を有するプリズム層とを含むことを特徴とする輝度向上フィルム。
【請求項2】
前記個々のプリズム構造はプリズム柱であり、前記複数のプリズム柱は第一方向に沿って配列され、前記個々のプリズム柱は第二方向に沿って延在され、且つ前記第一方向と前記第二方向は実際に垂直することを特徴とする請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項3】
前記個々のプリズム柱は前記第一方向において鏡像対称ではないことを特徴とする請求項2に記載の輝度向上フィルム。
【請求項4】
前記個々のプリズム構造は多角錐であることを特徴とする請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項5】
前記複数のプリズム構造の内、少なくとも一部のプリズム構造の幅が前記第二表面と平行する方向において相互異なり、前記複数のプリズム構造の内、少なくとも一部のプリズム構造の高さが前記第二表面と垂直する方向において相互異なることを特徴とする請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項6】
前記個々の光学構造はレンズであり、前記複数の透光開孔はそれぞれ前記レンズの光軸に位置することを特徴とする請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項7】
前記個々のレンズは前記透光基板に背を向ける凸曲面を有し、前記第一表面に平行する第一方向において、前記凸曲面の曲率半径はRであり、前記第一表面に平行する第二方向において、前記凸曲面の曲率半径はRであり、前記第一方向と前記第二方向は実際に垂直し、且つR≠Rであり、前記レンズの前記凸曲面の頂点から対応する前記透光開孔までの距離はLであり、前記複数のレンズの屈折率はnであり、前記輝度向上フィルムはL<nR/(n−1)及びL<nR/(n−1)を満足することを特徴とする請求項6に記載の輝度向上フィルム。
【請求項8】
前記複数の透光開孔は、前記第一方向における幅が前記第二方向における幅と異なることを特徴とする請求項7に記載の輝度向上フィルム。
【請求項9】
前記複数のレンズの内、少なくとも一部のレンズの幅が前記第一方向において異なり、前記複数のレンズがそれぞれ有する前記第一方向における複数の幅の内、最大値を最小値で割ることで得られた比率は1〜4の間にあることを特徴とする請求項7に記載の輝度向上フィルム。
【請求項10】
前記複数のレンズの内、少なくとも一部のレンズの幅が前記第二方向において異なり、前記複数のレンズがそれぞれ有する前記第二方向における複数の幅の内、最大値を最小値で割ることで得られた比率は1〜4の間にあることを特徴とする請求項9に記載の輝度向上フィルム。
【請求項11】
前記複数の光学構造は、レンズ、柱状レンズ、錘状プリズム及び柱状プリズムの内の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項12】
バックライトモジュールであって、
光束を発出する少なくとも一つの発光素子と、
前記光束の伝達経路に配置される輝度向上フィルムと、
前記発光素子と前記輝度向上フィルムの間に位置する前記光束の伝達経路に配置される光学ユニットと、を含み、
前記輝度向上フィルムは、
相対する第一表面と第二表面を有する透光基板と、
前記第一表面に配置される複数の光学構造と、
前記第二表面に配置され、複数の透光開孔を有する反射層と、
前記反射層と前記第二表面を覆って形成され、前記第二表面から離れる方向に突起する複数のプリズム構造を有するプリズム層とを含むことを特徴とするバックライトモジュール。
【請求項13】
前記個々のプリズム構造はプリズム柱であり、前記複数のプリズム柱は第一方向に沿って配列され、前記個々のプリズム柱は第二方向に沿って延在され、且つ前記第一方向と前記第二方向は実際に垂直することを特徴とする請求項12に記載のバックライトモジュール。
【請求項14】
前記個々のプリズム柱は前記第一方向において鏡像対称ではないことを特徴とする請求項13に記載のバックライトモジュール。
【請求項15】
前記個々のプリズム構造は多角錐であることを特徴とする請求項12に記載のバックライトモジュール。
【請求項16】
前記複数のプリズム構造の内、少なくとも一部のプリズム構造の幅が前記第二表面と平行する方向において相互異なり、前記複数のプリズム構造の内、少なくとも一部のプリズム構造の高さが前記第二表面と垂直する方向において相互異なることを特徴とする請求項12に記載のバックライトモジュール。
【請求項17】
前記個々の光学構造はレンズであり、前記複数の透光開孔はそれぞれ前記レンズの光軸に位置することを特徴とする請求項12に記載のバックライトモジュール。
【請求項18】
前記個々のレンズは前記透光基板に背を向ける凸曲面を有し、前記第一表面に平行する第一方向において、前記凸曲面の曲率半径はRであり、前記第一表面に平行する第二方向において、前記凸曲面の曲率半径はRであり、前記第一方向と前記第二方向は実際に垂直し、且つR≠Rであり、前記レンズの前記凸曲面の頂点から対応する前記透光開孔までの距離はLであり、前記複数のレンズの屈折率はnであり、前記輝度向上フィルムはL<nR/(n−1)及びL<nR/(n−1)を満足することを特徴とする請求項17に記載のバックライトモジュール。
【請求項19】
前記複数の透光開孔は、前記第一方向における幅が前記第二方向における幅と異なることを特徴とする請求項18に記載の輝度向上フィルム。
【請求項20】
前記複数のレンズの内、少なくとも一部のレンズの幅が前記第一方向において異なり、前記複数のレンズがそれぞれ有する前記第一方向における複数の幅の内、最大値を最小値で割ることで得られた比率は1〜4の間にあることを特徴とする請求項18に記載のバックライトモジュール。
【請求項21】
前記複数のレンズの内、少なくとも一部のレンズの幅が前記第二方向において異なり、前記複数のレンズがそれぞれ有する前記第二方向における複数の幅の内、最大値を最小値で割ることで得られた比率は1〜4の間にあることを特徴とする請求項20に記載のバックライトモジュール。
【請求項22】
前記光学ユニットは導光板を有し、前記導光板は第三表面と、前記第三表面と相対する第四表面及び前記第三表面と前記第四表面を連結する入光面を有し、前記反射層は前記透光基板と前記第三表面の間に位置し、前記発光素子は前記入光面の横に配置されることを特徴とする請求項12に記載のバックライトモジュール。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−59680(P2011−59680A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183806(P2010−183806)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(500093133)中強光電股▲ふん▼有限公司 (53)
【Fターム(参考)】