説明

輝度測定装置、および輝度測定方法

【課題】段差のあるスイッチ面や表示面の発光部の輝度を容易に測定する。
【解決手段】撮像部28で、輝度を測定すべき点を含むワーク10の画像を撮影し、合焦度合演算部50で検出した画像の合焦状態に基づいて、ワーク10の前面に焦点を合わせ、テンプレートマッチング演算部120で、ワーク10のレイアウト画像の中の輝度測定点を含む領域をテンプレートとして、焦点が合った画像の中から、テンプレートに対応する領域を探し、輝度測定点に対応する点の輝度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーエアコンやカーナビゲーション、カーオーディオの操作パネルの表示面に組み込まれた発光部の輝度を測定する輝度測定装置、および輝度測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーエアコンやカーナビゲーション、カーオーディオの操作パネルのスイッチ面や表示面には、夜間の視認性や操作性を高めるために照明機能が組み込まれている。
【0003】
そして、このスイッチ面や表示面の照明機能が設計値通りに作られていることを確認するために、スイッチ面や表示面に組み込まれた発光部の輝度を測定することによって、発光部が所定の明るさで発光していることや、スイッチ面や表示面の輝度の均一性などが評価される。
【0004】
従来、操作パネルのスイッチ面や表示面に組み込まれた発光部の輝度の測定は、輝度計を、直交する2方向に沿って移動するスライダーに、操作パネルに対向するように設置して、予め設定した操作パネル上の複数の測定点に、それぞれ、輝度計の測定点とピントを合わせて、輝度を順次測定していた。
【0005】
また、最近では、カメラを使って、2次元平面の輝度を同時に測定する輝度測定装置も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−62219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、最近のカーエアコンやカーナビゲーション、カーオーディオの操作パネルには、操作性を向上させるために、そのスイッチ面や表示面に段差を設けて、スイッチ面や表示面の高さが異なるように配置されている場合が多い。
【0008】
このように、段差のあるスイッチ面や表示面の発光部の輝度を測定する際、平面状の発光体の輝度をその面に対向する方向から測定する輝度測定装置を適用すると、段差のある部分で輝度計のピントが合わなくなるため、高さが異なる発光部に、その都度輝度計の測定領域とピントを合わせながら、輝度の測定を行う必要がある。
【0009】
さらに、同じ形態を有する異なる操作パネルの照明の輝度を測定する際にも、同様に、輝度計の測定領域とピントを合わせながら、測定を繰り返す必要がある。
【0010】
したがって、段差のあるスイッチ面や表示面の発光部の輝度を容易に測定することができないという問題があった。また、同じ形態を有する異なる操作パネルの同じ位置の輝度を、容易に繰り返して測定することができないという問題があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、スイッチ面や表示面に段差がある操作パネルであっても、予め設定した測定点の輝度を容易に測定でき、なおかつ、同じ形態を有する異なる操作パネルの輝度を測定するときにも、同一位置の輝度を、容易に繰り返し測定することができる、輝度測定装置および輝度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、発光部を有する複数のスイッチ面や表示面が段差をもって配置されたワークと、発光部の特定点の輝度を、ワークに対向する方向から測定する輝度測定部と、輝度測定部と一体化され、互いの光軸が同軸系をなすように配置されて、特定点を含む周辺領域を撮影する撮像部と、ワークを固定して、固定したワークを、輝度測定部、および撮像部の光軸に直交する面上で、直交する2方向に移動させるワーク移動テーブルと、輝度測定部、および撮像部を固定して、固定した輝度測定部、および撮像部を、輝度測定部、および撮像部の光軸に沿って、前後方向に移動させる撮像部移動テーブルと、発光部の前面に、上下左右に離隔した少なくとも2つの基準点を設定する基準点設定部と、発光部の辺縁位置を表すレイアウト画像の中から、基準点に対応する点を探索する対応点探索部と、発光部のレイアウト画像の中に、複数の輝度測定点を設定する輝度測定点設定部と、対応点探索部の探索結果に基づいて、輝度測定点設定部で設定した複数の輝度測定点にそれぞれ対応する、ワークの前面の点の座標を算出する輝度測定点算出部と、輝度測定点算出部で算出されたワークの前面の点と輝度測定部の測定点とが一致するように、ワーク移動テーブルに対して、ワーク移動テーブルの移動方向と移動量とを指示するワーク移動テーブル制御部と、撮像部で撮影された発光部の画像の合焦状態を検出する合焦度合演算部と、合焦度合演算部の演算結果に基づいて、ワークの前面に合焦した画像が撮影できるように、撮像部移動テーブルに対して、撮像部移動テーブルの移動方向と移動量とを指示する撮像部移動テーブル制御部と、輝度測定点設定部で設定されたレイアウト画像の中の各輝度測定点を中心とする領域をテンプレートとして設定するテンプレート作成部と、テンプレート作成部で設定された各テンプレートと、撮像部で撮影された、各輝度測定点に対応する点を含む画像とのテンプレートマッチングを行い、各輝度測定点に対応する輝度測定点に対応する点を含む画像の中の点の座標をそれぞれ算出するテンプレートマッチング演算部と、を有し、各輝度測定点が、テンプレートマッチング演算部で算出された各点と一致するように、ワーク移動テーブルを移動させて、輝度測定部で輝度を測定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載された発明は、上記において、輝度測定点設定部が、テンプレート作成部で設定されるテンプレートの中に含まれる発光部の領域の形状と、互いに合同もしくは相似な形状を有する発光部の領域が、レイアウト画像の中に存在しないように、輝度測定点を設定することを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項3に記載された発明は、上記において、輝度測定点設定部が、テンプレート作成部で設定されるテンプレートの中に、発光部の複数の領域が含まれるように、輝度測定点を設定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載された発明は、上記において、テンプレート作成部において設定されるテンプレートが、縦長矩形状、横長矩形状、および正方形状であり、これら複数のテンプレートに対して、テンプレートマッチング演算部において、それぞれテンプレートマッチングを行い、最も高いマッチング度合を与えるテンプレートが当てはめられた点を、マッチングがとれた点とすることを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項5に記載された発明は、上記において、テンプレート作成部において設定されるテンプレートが、輝度測定点設定部で設定された点をそれぞれ4隅に配した矩形状であり、これら4つのテンプレートに対して、テンプレートマッチング演算部において、それぞれテンプレートマッチングを行い、最も高いマッチング度合を与えるテンプレートが当てはめられた点を、マッチングがとれた点とすることを特徴とする。
【0017】
そして、請求項6に記載された発明は、上記請求項1から5のいずれか1項に記載された輝度測定装置を用いた輝度測定方法であって、輝度測定部で輝度を測定する際、各輝度測定点がテンプレートマッチング演算部で算出された各点と一致するようにワーク移動テーブルを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このように構成された請求項1の発明によれば、ワークの前面に設置されたスイッチ面や表示面の発光部に段差があっても、合焦度合演算部によって、撮像部で撮影された画像の合焦状態が検出され、検出された合焦状態に応じて、撮像部移動テーブル制御部によって、撮像部移動テーブルがワークに対して前後方向に移動して、ワークの前面に焦点を合わせることができるため、輝度測定部によって、段差があるワークの前面の発光部の輝度を測定することができる。
【0019】
また、対応点探索部によって、ワークの前面の基準点と発光部の辺縁位置を表すレイアウト画像との対応付けを行って、発光部のレイアウト画像の中に設定した輝度測定点に対応するワークの前面の点の座標を算出することができるため、予め設定した輝度測定点に対応する点の輝度を、容易に測定することができる。
【0020】
さらに、テンプレートマッチング演算部によって、発光部のレイアウト画像の中で輝度測定点を含む領域をテンプレートとして、輝度測定部の輝度測定点を含むワークの画像とテンプレートマッチングを行うため、発光部を有するスイッチの設置位置に、がたつきによってずれが生じたり、或いは、輝度測定時のワークの設置位置にずれが生じたりしても、測定すべき点の輝度を確実に測定することができ、これによって、同じ形態を有する異なる操作パネルの発光部の輝度を、容易に繰り返し測定することができる。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、輝度測定点設定部の作用によって、テンプレートの中に含まれる発光部の形状が合同、または相似な形状となるような点を輝度測定点に設定しないため、テンプレートマッチングを行った際に、誤ったマッチングの発生を回避することができ、これによって、テンプレートマッチングの精度が向上し、予め設定した点の輝度を精度よく測定することができる。
【0022】
さらに、請求項3の発明によれば、輝度測定点設定部の作用によって、テンプレートの中央の点が属する発光部の他に、その近傍に別の発光部が含まれるような輝度測定点が設定されるため、仮に、設定した輝度測定点を含む発光部と合同、または相似な形状となる領域があっても、その点を輝度測定点として設定することができ、これによって、輝度測定点設定の自由度を向上させることができる。
【0023】
また、請求項4の発明によれば、テンプレート作成部において、縦長矩形状、横長矩形状、正方形状のテンプレートが作成されるため、テンプレートマッチングの対象となるワークの画像の辺縁部近くにまでテンプレートを配置することができる。そのため、テンプレートマッチングを行うことができる領域が広くなり、これによって、ワークの設置位置にずれが生じたり、発光部を有するスイッチの設置位置にずれが生じたりしても、予め設定した点の輝度を精度よく測定することができる。
【0024】
さらに、請求項5の発明によれば、テンプレートの4隅に設定した点に対してテンプレートマッチングを行うようにしたため、撮影された画像の中でテンプレートマッチングを行うことができる領域がより一層広くなり、これによって、ワークの設置位置のずれや、発光部を有するスイッチの設置位置のずれに対する許容量を、より一層大きくすることができる。
【0025】
そして、請求項6の発明によれば、ワークの前面に設置されたスイッチ面や表示面の発光部に段差があっても、撮影された画像の合焦状態が検出され、検出された合焦状態に応じて、撮像部が前後方向に移動して、ワークの前面に焦点を合わせることができるため、段差があるワークの前面の発光部の輝度を測定することができる。
【0026】
また、ワークの前面の基準点と発光部のレイアウト画像との対応付けを行って、発光部のレイアウト画像の中に設定した輝度測定点に対応するワークの前面の点の座標を算出することができるため、予め設定した輝度測定点に対応する点の輝度を、容易に測定することができる。
【0027】
さらに、発光部のレイアウト画像の中で輝度測定点を含む領域をテンプレートとして、輝度測定点を含むワークの画像とテンプレートマッチングを行うため、発光部の設置位置に、がたつきによってずれが生じたり、或いは、輝度測定時のワークの設置位置にずれが生じたりしても、測定すべき点の輝度を確実に測定することができ、これによって、同じ形態を有する異なる操作パネルの発光部の輝度を、容易に繰り返し測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】は、本発明に係る輝度測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】は、ワークの実例を示す図である。
【図3】は、ワークに実装された発光部のレイアウト画像の実例である。
【図4】は、本発明の実施形態の流れを示すフローチャートである。
【図5】は、輝度測定点の設定方法について説明する図である。
【図6】は、撮像部で撮影される画像I(x,y)の実例である。
【図7】は、撮像部で撮影された画像から抽出されたエッジ画像E(x、y)の実例である。
【図8】(1)は、縦長矩形状テンプレートの実例であり、図8(2)は、横長矩形状テンプレートの実例であり、図8(3)は、正方形状テンプレートの実例である。
【図9】(1)は、テンプレートの右下隅に輝度測定点を配置した例であり、図9(2)は、テンプレートの左下隅に輝度測定点を配置した例であり、図9(3)は、テンプレートの右上隅に輝度測定点を配置した例であり、図9(4)は、テンプレートの左上隅に輝度測定点を配置した例である。
【図10】は、テンプレートマッチングの方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る輝度測定装置および輝度測定方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
[実施形態1]
【0030】
本実施形態1は、本発明を、カーエアコンやカーナビゲーション、カーオーディオを操作する操作パネルのスイッチ面や表示面の発光部の輝度測定に適用したものである。以下、本発明の実施形態1を図1に従って説明する。
【0031】
本装置は、図1に示すように、カーエアコンやカーナビゲーション、カーオーディオの操作パネルであるワーク10と、ワーク10の前面に配置されたスイッチ面や表示面の発光部の輝度を測定する輝度および画像情報取得部20と、ワーク10を固定した状態で、輝度および画像情報取得部20の光軸に直交する面上で、直交する2方向に移動させるワーク移動テーブル30と、輝度および画像情報取得部20を固定した状態で、輝度および画像情報取得部20の光軸に沿った方向に、ワーク10に対して前後方向に移動させる撮像部移動テーブル40と、輝度および画像情報取得部20で撮影したワーク10の画像に対して、ワーク10に対する合焦度合を算出する合焦度合演算部50と、合焦度合演算部50で算出した合焦度合に基づいて、撮像部移動テーブル40を前後方向に所定量だけ移動させる撮像部移動テーブル制御部60と、ワーク10の実際のスケールと、輝度および画像情報取得部20で撮影した画像のスケールを合わせるために、ワーク10の前面に、上下左右に離隔した最低2つの基準となる点を設定する基準点設定部70と、基準点設定部70で設定した基準点に対応する、ワーク10の表示面の発光部の辺縁位置が線画像として表現された、ワーク10の発光部のレイアウト画像L(x,y)の上の点を探索する対応点探索部80と、レイアウト画像L(x,y)の上に複数の輝度測定点を設定する輝度測定点設定部90と、対応点探索部80で算出した結果に基づいて、輝度測定点設定部90でレイアウト画像L(x,y)の上に設定した輝度測定点に対応する、ワーク10の前面の点の位置を算出する輝度測定点算出部100と、輝度測定点設定部90で算出した輝度測定点の周辺の画像の中から、テンプレートを作成するテンプレート作成部110と、テンプレート作成部110で作成したテンプレートを用いて、輝度測定点算出部100によって算出されたワーク10の前面の点を含む画像に対してテンプレートマッチングを行う、テンプレートマッチング演算部120と、テンプレートマッチングの結果に基づいて、マッチングがとれた点と、輝度および画像情報取得部20による輝度測定点と、が一致するように、ワーク移動テーブル30を、輝度および画像情報取得部20の光軸に直交する面上で、直交する2方向に移動させるワーク移動テーブル制御部130と、からなる。
【0032】
なお、輝度および画像情報取得部20は、光学レンズからなる光学系22と、光学系22を通過した光線を2つに分岐させる、ハーフミラー23とミラー24とからなる光路分岐部25と、輝度測定点の輝度を測定する輝度測定部26と、輝度測定点を含む領域を撮影して画像情報を得る撮像部28と、からなる。
【0033】
ここで、輝度測定部26は、一般に用いられている輝度計と同じ構成を有し、撮像部28は、一般に用いられているCCDやC−MOSといった撮像素子を有するカメラと同じ構成を有しているため、より詳細な構成の説明は省略する。
【0034】
なお、ワーク10は、車載用の操作パネルを想定している。その実例を図2に示す。この操作パネルには、カーエアコンやカーナビゲーション、カーオーディオ等の車載機器を操作するための多くのスイッチが配置されており、各々のスイッチの前面には、スイッチの機能を表す文字やシンボルが表示されている。そして、その文字やシンボルの部分は、夜間の操作性を向上するために、イルミネーションスイッチと連動して発光する発光部を備えている。
【0035】
以下、本実施形態1に係る輝度測定装置について、図2、3、および図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
輝度の測定を行うにあたり、まず、ワーク10をワーク移動テーブル30に設置して固定する(図4のステップS1)。
【0037】
次に、基準点設定部70において、ワーク10と、レイアウト画像L(x,y)との対応関係を明確にするために、ワーク10の前面に最低2つの基準点を設定する(図4のステップS2)。
【0038】
この基準点の設定は、まず、操作者が、ワーク10の前面に目視で決めた基準点が、撮像部28で撮影された画像の中央にピントが合った状態で映るように、ワーク移動テーブル30を、輝度および画像情報取得部20の光軸に直交する面上で、直交する2方向に移動させ、かつ、撮像部移動テーブル40を、輝度および画像情報取得部20の光軸に沿って前後方向に移動させることによって行われる。
【0039】
そして、そのときに、ワーク10のスイッチ面や表示面の発光部が点灯した状態で、撮像部28で撮影された画像I(x、y)(例えば図6)と、そのときのワーク移動テーブル30の上下方向と左右方向の基準位置からの移動量とが、対応点探索部80に送られて記憶される。
【0040】
そして、同じ操作を繰り返して、ワーク10の前面に、最低2つの基準点を設定する。このとき、ワーク10と、レイアウト画像L(x,y)との対応関係の精度を上げるために、ワーク10の前面で、水平座標が左右に離隔し、垂直座標が上下に離隔した最低2つの基準点が選択される。そして、ここで設定される2点は、レイアウト画像L(x,y)と実際のワーク10とのスケール換算に用いられるため、その精度が高くなるように、なるべく離れた2点とすることが望ましい。
【0041】
次に、対応点探索部80において、ステップS2でワーク10の前面に設定した最低2つの基準点にそれぞれ対応する点が、図3に示すレイアウト画像L(x,y)の中から探索される(図4のステップS3)。ここで、図3に示すレイアウト画像L(x、y)は、ワーク10の設計図面から、図2に配置されたスイッチ面や表示面の発光部のみを抽出して、発光部の辺縁位置を線図化したものである。そして、このレイアウト画像L(x、y)は、ワーク10のCAD図面から容易に生成することができる。このレイアウト画像L(x、y)は、予め対応点探索部80に記憶しておくものとする。
【0042】
ステップS3では、ステップS2で撮影されたワーク10の前面の画像I(x、y)に対してエッジ検出を行い、図7のエッジ画像E(x,y)をテンプレートとして、このテンプレートと、図3に示すレイアウト画像L(x、y)との間でテンプレートマッチングを行い、対応する点が探索される。テンプレートマッチングの具体的な方法は後述する。
【0043】
なお、ワーク10の前面の画像I(x、y)のスケールと、レイアウト画像L(x、y)のスケールとは異なっているため、テンプレートマッチングを行うために、両者のスケールを合わせる必要がある。このスケール合わせは、例えば、予め、ワーク10と輝度および画像情報取得部20との位置関係と、撮像部28の光学系の仕様とに基づいて、撮像部28の1画素の観測範囲を算出して、算出された観測範囲に基づいて、画像I(x、y)がレイアウト画像L(x、y)のスケールと一致するように、画像I(x、y)を拡大または縮小して、画像I(x、y)とレイアウト画像L(x、y)との間でテンプレートマッチングを行えばよい。
【0044】
なお、ここで、テンプレートを図3のレイアウト画像L(x、y)全体で動かしてテンプレートマッチングを行う必要はなく、ステップS2で設定した基準点におおよそ対応するレイアウト画像L(x、y)の位置の周辺でのみ、テンプレートマッチングを行えばよい。
【0045】
このようにして、レイアウト画像L(x、y)の中から探索された点P1(x1、y1)の座標と、ステップS2で設定した基準点を撮像部28で撮影した画像の中央に観測できるようにするためのワーク移動テーブル30の基準位置からの上下方向移動量Dy1と、基準位置からの左右方向移動量Dx1と、が対応付けられて、対応点探索部80に記憶される。
【0046】
そして、同様の対応点探索が、ステップS2で設定された全ての基準点に対して行われ、こうして算出された結果に基づいて、後述する(式1)、(式2)のように、レイアウト画像L(x、y)の中の座標系から、実際のワーク10の前面の座標系への換算式が算出される。
【0047】
次に、輝度測定点設定部90において、レイアウト画像L(x、y)の中から、実際に輝度測定を行うワーク10の発光部の複数の点が設定される(図4のステップS4)。
【0048】
ステップS4では、対応点探索部80に記憶されたレイアウト画像L(x、y)の中から、輝度測定を行う複数の点が選択される。これは、操作者が、対応点探索部80に記憶されたレイアウト画像L(x、y)を、図1には図示しない表示部に表示させて、この表示部を目視しながら、必要な点を選択すればよい。
【0049】
このとき、仮に、図3の領域R1の中から、図5の点A1が選択されたとする。
【0050】
次に、輝度測定点算出部100において、点A1と対応する点が、ワーク10を撮影した画像の中から検出される(図4のステップS5)。
【0051】
点A1に対応する点の検出は、点A1を中心に設定したテンプレートT1と対応する領域を、撮像部28でワーク10を撮影した画像I(x、y)の中からテンプレートマッチングによって探すことによって行われる。そのために、まず画像I(x、y)のほぼ中心に、点A1に対応する点が観測されるように、予め、後述する(式1)、(式2)のスケール換算式によって算出される量だけ、ワーク移動テーブル30を移動させておく。
【0052】
なお、ここで、予めワーク移動テーブル30を移動させるのは、ワーク10の製造公差やスイッチ面のがたつき等によって、スケール換算式に則ってワーク移動テーブル30を移動させても、点A1に対応する点が、画像I(x、y)の中心に観測されるとは限らないためである。すなわち、テンプレートマッチングの処理を効率的に行うための措置である。
【0053】
そして、図5の点A1に対してテンプレートマッチングを適用すると、点A1に対応する点として、点A1の実際の対応点の他に、例えば、点A2の対応点も選択されてしまい、輝度測定点が1つに定まらない。
【0054】
これは、テンプレートT1の中の発光部の辺縁形状と、点A2の近傍の発光部の辺縁形状とが、ほぼ等しくなるため、テンプレートマッチングを行ったときに演算されるマッチング度数M(後述)がほぼ等しい値になるためである。
【0055】
したがって、ステップS4において、図3の中から選択される輝度測定点は、選択された点を中心として設定されるテンプレートの中に含まれる発光部の辺縁形状と、互いに合同な形状、あるいは相似な形状になるような領域が、レイアウト画像L(x、y)の中に存在しないような位置に設定する必要がある。
【0056】
なお、ここで、合同な形状である以外に、相似な形状にならないようにするのは、輝度の測定を行う際、ワーク10の発光部に輝度計のピントを合わせると、発光部の段差に応じてピントの位置が変化し、これによって撮影される画像の倍率が変化して、観測される発光部のサイズが変化するためである。
【0057】
テンプレートの中に含まれる発光部の辺縁形状と、互いに合同な形状、あるいは互いに相似な形状を有する領域が存在しないようにするためには、レイアウト画像L(x、y)の中に設定した輝度測定点を中心とするテンプレートを設定して、そのテンプレートを適用して、レイアウト画像L(x、y)の中で後述するテンプレートマッチングを行い、マッチング度数Mが高い点がないことを確認すればよい。
【0058】
このようにして、レイアウト画像L(x,y)の中で複数の輝度測定点が設定されると、次に、設定された各々の輝度測定点が、撮像部28で撮影された画像の中央に映るようにするために、ワーク移動テーブル30の左右方向、上下方向それぞれの移動量が算出される。
【0059】
例えば、図3のように、ステップS2において、ワーク10の前面に基準点P1’( xw1、yw1)、P2’ (xw2、yw2)が設定され、ステップS3において、レイアウト画像L(x,y)の中から、それらの基準点に対応する点P1(x1、y1)、P2(x2、y2)が探索されたとする。
【0060】
そして、基準点P1’が撮像部28で撮影された画像の中央に映るようにするための、ワーク移動テーブル30の基準位置からの移動量が、左右方向にDx1、上下方向にDy1であったとする。さらに、基準点P2’が撮像部28で撮影された画像の中央に映るようにするための、ワーク移動テーブル30の基準位置からの移動量が、左右方向にDx2、上下方向にDy2であったとする。
【0061】
このとき、ステップS4において、レイアウト画像L(x、y)の中に、輝度測定点Q1(xa、ya)が設定されたとすると、輝度測定点Q1に対応するワーク10上の点Q1’(xwa、ywa)が、撮像部28で撮影された画像の中央に映るようにするための、ワーク移動テーブル30の基準位置からの左右方向移動量Dxaと、上下方向移動量Dyaは、それぞれ、(式1)と(式2)で算出される。
【0062】
Dxa=Dx1+(Dx2−Dx1){(xa−x1)/(x2−x1)} (式1)
Dya=Dy1+(Dy2−Dy1){(ya−y1)/(y2−y1)} (式2)
次に、テンプレート作成部110において、レイアウト画像L(x、y)の中で、ステップS4で設定された輝度測定点Q1を中心とするテンプレートが作成される(図4のステップS6)。
【0063】
ステップS6では、ステップS4で設定した全ての輝度測定点に対してテンプレートが生成され、テンプレート作成部110に記憶される。
【0064】
次に、ステップS4で設定した各々の輝度測定点に対して、その輝度測定点が、撮像部28で撮影された画像I(x、y)の中心に映るように、ワーク移動テーブル30を移動する(図4のステップS7)。このときのワーク移動テーブル30の移動量は、先に説明した(式1)と(式2)に従って算出すればよい。
【0065】
ワーク移動テーブル30が所定量移動した後で、撮像部28でワーク10の画像I(x、y)が撮影され、撮影された画像I(x、y)に対して、合焦度合演算部50において、画像の合焦度合が算出される(図4のステップS8)。
【0066】
合焦度合は、例えば、撮影した画像I(x、y)を小領域に分割し、分割された小領域の中の階調値のコントラスト比を算出し、このコントラスト比の値に基づいて判断される。具体的なコントラスト比の算出方法は数多く紹介されており、そのいずれの方法を用いて行ってもよい。そして、ピントが合うと、コントラスト比は大きな値になる。
【0067】
ここで、合焦度合が予め決めた所定値に満たないとき(図4のステップS10がNOのとき)は、撮像部28のピントがずれていると判断して、撮像部移動テーブル40を前後方向に移動させ(図4のステップS9)、撮像部28で再び画像I(x、y)を撮影する。この操作を、ピントが合った画像が得られるまで繰り返す。なお、ピントが合っている位置(前ピンか後ピンか)を判断することはできないため、撮像部移動テーブル40は、予め決めた方向に、所定量ずつ動かせばよい。
【0068】
例えば、最初に、撮像部移動テーブル40を、撮像部28がワーク10から最も遠ざかる位置まで動かして、そこから、予め決めた所定量ずつ、撮像部28がワーク10に近づく方向に動かせばよい。
【0069】
そして、撮像部移動テーブル40が所定量移動する毎に、撮像部28でワーク10の画像I(x、y)を撮影して、撮影された画像I(x、y)から、合焦度合演算部50において、画像のコントラスト比を算出し、コントラスト比が所定値以上となったとき、もしくは、コントラスト比が、所定値以上のピークをなすことが検出されたとき、ピントが合ったと判断して(図4のステップS10がYESのとき)、テンプレートマッチング演算部120において、テンプレートマッチングを行う(図4のステップS11)。
【0070】
次に、このテンプレートマッチングについて、図10を用いて説明する。
【0071】
図10は、撮像部28で撮影された画像I(x、y)から抽出したエッジ画像E(x、y)の左上隅に、図8(1)の横長矩形状のテンプレートを重ね合わせた例である。
【0072】
なお、画像I(x、y)からエッジ画像E(x、y)を抽出する処理は、画像処理の基本的な手法として一般的に広く行われているものであり、様々なエッジ抽出方法が提案されている。ここでは、そのいずれの方法を適用してエッジ抽出を行ってもよい。
【0073】
ここで、横長矩形状のテンプレートをS1(α、β)で表す。そして、エッジ画像E(x、y)の中で黒く映った画素には1が格納され、白く映った画素には0が格納されているものとする。また、テンプレートS1(α、β)の中で黒く映った画素には1が格納され、白く映った画素には0が格納されているものとする。
【0074】
テンプレートマッチング演算部120では、エッジ画像E(x、y)とテンプレートS1(α、β)の重なり合った画素に対して、(式3)から(式5)に示す演算を行って、評価関数値m(x、y)が算出される。
E(xi、yj)=1、S1(xi、yj)=1のとき、m(xi、yj)=1(式3)
E(xi、yj)=0、S1(xi、yj)=0のとき、m(xi、yj)=1(式4)
それ以外のとき、m(xi、yj)=0 (式5)
ここで、xi、yjは、それぞれ、テンプレートを当てはめたエッジ画像の位置に応じて、テンプレートの座標を、エッジ画像の座標に変換した値である。
【0075】
そして、このようにして算出された評価関数値m(xi、yj)が、テンプレートS1(α、β)で覆われた領域の全ての画素について算出され、その総和が算出される。この評価値の総和を、マッチング度数M(xi、yj)と呼ぶことにする。
【0076】
(式3)〜(式5)より、マッチング度数M(xi、yj)は、黒い画素と黒い画素とが重なり、かつ、白い画素と白い画素とが重なるほど大きい値になる。そして、エッジ画像E(x、y)と、そこに重ね合わせたテンプレートS1(α、β)とが、完全に一致したとき、マッチング度数は最大値nとなる。
【0077】
同様の演算を、図10に示すように、テンプレートS1(α、β)の中心点Oの位置を、エッジ画像E(x、y)上で、左から右、そして上から下へと変えながら、繰り返して行う。その結果、最も高いマッチング度数を出力する点を決定する。
【0078】
次に、図8(2)の縦長矩形状のテンプレートS2(α、β)、図8(3)の正方形状のテンプレートS3(α、β)に対しても、同様の演算を行う。
【0079】
3種類のテンプレートについて演算が終了した後、最も高いマッチング度数を出力したテンプレートの種類と、そのテンプレートを当てはめた中心点Oの位置が特定され(エッジ画像E(x、y)の中の中心点Oの座標値を(x0、y0)とする)、そのときに算出されたマッチング度数が、予め決めておいた所定値以上であるとき、点(x0、y0)においてマッチングがとれたと判断される。
【0080】
なお、3種類の異なるテンプレートを使ってテンプレートマッチングを行うのは、マッチングされるべき点が、エッジ画像E(x、y)の隅部にあっても、確実にマッチングをとるためである。
【0081】
すなわち、マッチングされるべき点が、エッジ画像E(x、y)の隅部にあっても、縦長矩形状のテンプレートS2(α、β)を用いてテンプレートマッチングを行うことによって、正方形状のテンプレートS3(α、β)を用いてテンプレートマッチングを行う場合に対して、エッジ画像E(x、y)のより左右隅部までマッチングをとることができる。また、横長矩形状のテンプレートS1(α、β)を用いてテンプレートマッチングを行うことによって、正方形状のテンプレートS3(α、β)を用いてテンプレートマッチングを行う場合に対して、エッジ画像E(x、y)のより上下隅部までマッチングをとることができる。なお、3種類のテンプレートは、全て等しい面積を有しているため、各々のテンプレートを当てはめたときに算出されるマッチング度数は、換算等を行うことなく、互いに比較可能である。
【0082】
なお、ワーク10の発光部には段差があるため、輝度測定点にピントを合わせる毎に、撮像部28で観測される画像I(x、y)のスケールが異なる。
【0083】
したがって、上述したテンプレートマッチング処理は、テンプレートのスケールを変えて、いくつかのサイズのテンプレートについて行う必要がある。
【0084】
この処理は、作成したテンプレートを、予め決めておいた所定の倍率で拡大、または縮小し、こうして拡大、または縮小したテンプレートを、エッジ画像E(x、y)に作用させて、テンプレートマッチングを行えばよい。そして、マッチング度数が所定値以上の値を有し、かつ最大になる、テンプレートの種類と、マッチングがとれた点の座標が特定される。
【0085】
なお、テンプレートを拡大、または縮小して作用させるため、テンプレートのサイズが異なることによって、完全にマッチングがとれたときのマッチング度数の最大値にも差異が生じる。
【0086】
したがって、異なるサイズのテンプレートを当てはめたときに得られるマッチング度数を互いに比較することはできないため、異なるサイズのテンプレートを当てはめたときに得られるマッチング度数を比較するときには、例えば、算出されたマッチング度数を、テンプレートの面積で正規化して、正規化されたマッチング度数同士を比較すればよい。
【0087】
次に、テンプレートマッチングによって算出されたマッチングのとれた位置(x0、y0)と、輝度測定部26の測定点とが一致するように、ワーク移動テーブル制御部130の指示によって、ワーク移動テーブル30を移動させる(図4のステップS12)。
【0088】
このとき、ワーク移動テーブル制御部130からワーク移動テーブル30に対して、左右方向移動量Dxiと、上下方向移動量Dyiとが指示され、指示された量に対応するように、ワーク移動テーブル30を移動させる。
【0089】
ここで、Dxi、Dyiは、画像I(x、y)の中心座標と、テンプレートマッチングがとれた座標(x0、y0)との偏差から算出される値であり、ワーク移動テーブル30を移動させて、画像I(x、y)の中心が(x0、y0)となるための、ワーク移動テーブル30に与える移動量である。そして、画像I(x、y)の中の座標の偏差と、ワーク移動テーブル30の移動量との関係は、予め、校正作業によって求めておけばよい。
【0090】
次に、輝度測定部26によって輝度の測定が行われる(図4のステップS13)。具体的には、輝度測定部26の前面に装着したカラーフィルタを回転させて、輝度のR(赤)成分、G(緑)成分、B(青)成分がそれぞれ測定される。
【0091】
この輝度の測定は、ステップS4で設定した輝度測定点全てに対して行われ、全ての輝度測定点の輝度測定が終了したら(図4のステップS14がYESのとき)、測定を終了する。
【0092】
そして、測定された各点の輝度情報に対して、その絶対値やばらつきが、設計値通りの値になっているか否かが分析される。
【0093】
なお、図4のステップS3で行われる基準点の対応点探索は、上述したようにテンプレートマッチングを適用して行ってもよいし、操作者が目視で対応点を指定することによって行ってもよい。
【0094】
また、上記説明では、図8に示すテンプレートを用いてテンプレートマッチングを行ったが、これは、図9に示す4枚のテンプレートU1(α、β)、U2(α、β)、U3(α、β)、U4(α、β)を用いて行ってもよい。
【0095】
図9に示した4枚のテンプレートは、それぞれ、図8の点Oに相当する点Pを、テンプレートの4隅に配した、1辺がn’画素の正方形状のテンプレートである。なお、テンプレートのサイズに格別の制約はなく、撮影される画像のサイズに応じて、適宜設定すればよい。また、図9の例では、テンプレートの縦方向のサイズと横方向のサイズが等しいが、これは、縦横のサイズが異なっても差し支え無い。
【0096】
このようにして、4枚のテンプレートU1(α、β)、U2(α、β)、U3(α、β)、U4(α、β)の4隅の点Pを、それぞれ、エッジ画像E(x、y)の点(xi、yj)に当てはめて、テンプレートの位置をずらしながら、マッチング度数M(xi、yj)を算出する。そして、マッチング度数M(xi、yj)の最大値を与えるテンプレートの種類と、それを当てはめた位置とを求め、算出されたマッチング度数が、予め決めておいた所定値以上であるとき、マッチングがとれたと判断する。
【0097】
そして、マッチングがとれた位置が、画像I(x、y)の中心に観測されるようにワーク移動テーブル30を移動させて、輝度測定部26によって輝度の測定を行う。
【0098】
このように、図9のテンプレートを用いてテンプレートマッチングを行うことによって、マッチングされるべき画素が、エッジ画像E(x、y)の隅部にあっても、確実にマッチングをとることができる。そして、これによって、マッチングがとれる範囲をより一層拡大することができ、ワークの設置位置にずれが生じたり、発光部を有するスイッチの設置位置にずれが生じたりしても、予め設定した輝度測定点の輝度を精度よく測定することができる。
【0099】
このように構成された本実施形態1に係る輝度測定装置および輝度測定方法によれば、合焦度合演算部50によって、撮像部28で撮影された画像の合焦状態が検出され、検出された合焦状態に応じて、撮像部移動テーブル制御部60によって、撮像部移動テーブル40が、輝度および画像情報取得部20の光軸に沿って前後方向に移動して、ワーク10の前面に焦点を合わせることができるため、ワーク10の発光部に段差があっても、輝度測定部26によって、ワーク10の前面の発光部の輝度を測定することができる。また、対応点探索部80によって、ワーク10の前面の基準点と、レイアウト画像L(x,y)との対応付けを行った結果に基づいて、レイアウト画像L(x,y)の中に設定した輝度測定点に対応するワーク10の前面の点の座標を算出することができるため、予め設定した輝度測定点に対応する点の輝度を、多くの人手や時間をかけずに測定することができる。さらに、テンプレートマッチング演算部120によって、輝度測定点を含む領域をテンプレートとして、実際に輝度測定部26が輝度を測定する点を含む領域とテンプレートマッチングを行うため、発光部を有するスイッチの設置位置が、がたつきによってずれを生じたり、或いは、輝度測定時のワーク10の設置位置にずれが生じたりしても、測定すべき点の輝度を確実に測定することができ、これによって、同じ形態を有する異なる操作パネルの表示面の輝度を、高い再現性で測定することができる。
【0100】
なお、上記実施形態1は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は実施形態1の構成にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。 例えば、上記実施形態1では、基準点設定部70において、ワーク10の前面に2つの基準点を設定したが、より多くの基準点を設定することによって、ワーク10とレイアウト画像L(x,y)との対応関係の精度をより向上させることもできる。
【0101】
また、上記実施形態1では、ワーク10をワーク移動テーブル30に固定して、輝度および画像情報取得部20の光軸に直交する面上で、直交する2方向に移動させ、さらに、輝度および画像情報取得部20を撮像部移動テーブル40に固定して、輝度および画像情報取得部20の光軸に沿って前後方向に移動させるように構成したが、実施形態の構成はこの限りではなく、ワーク移動テーブル30、または撮像部移動テーブル40のどちらか一方のみを、上下左右前後の3方向に移動させるようにしてもよい。これによって、ワーク移動テーブル30、または撮像部移動テーブル40のうち、いずれか一方のテーブルの移動機能は不要になるとともに、そのテーブルに接続された移動テーブル制御部が不要になるため、システムの構成を簡略化することができる。
【0102】
さらに、上記実施形態1において、撮像部28は、輝度測定点の周辺のみを撮影するものであったが、カメラを1台増やして、撮像部28よりも広い観測視野を有する撮像部を、輝度および画像情報取得部20に追加してもよい。このように、広視野を観測可能な撮像部で撮影した画像を用いることにより、1回の撮影で、ワーク10の広範囲を画像化することができるため、これによって、図4のステップS3において、発光部のレイアウト画像L(x,y)の中からワーク10の前面に設定した基準点に対応する点を探索する処理を、より一層迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
10 ワーク
20 輝度および画像情報取得部
22 光学系
23 ハーフミラー
24 ミラー
25 光路分岐部
26 輝度測定部
28 撮像部
30 ワーク移動テーブル
40 撮像部移動テーブル
50 合焦度合演算部
60 撮像部移動テーブル制御部
70 基準点設定部
80 対応点探索部
90 輝度測定点設定部
100 輝度測定点算出部
110 テンプレート作成部
120 テンプレートマッチング演算部
130 ワーク移動テーブル制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する複数のスイッチ面や表示面が段差をもって配置されたワークと、
前記発光部の特定点の輝度を、前記ワークに対向する方向から測定する輝度測定部と、
前記輝度測定部と一体化され、互いの光軸が同軸系をなすように配置されて、前記特定点を含む周辺領域を撮影する撮像部と、
前記ワークを固定して、固定した前記ワークを、前記輝度測定部、および前記撮像部の光軸に直交する面上で、直交する2方向に移動させるワーク移動テーブルと、
前記輝度測定部、および前記撮像部を固定して、固定した前記輝度測定部、および前記撮像部を、前記輝度測定部、および前記撮像部の光軸に沿って、前後方向に移動させる撮像部移動テーブルと、
前記発光部の前面に、上下左右に離隔した少なくとも2つの基準点を設定する基準点設定部と、
前記発光部の辺縁位置を表すレイアウト画像の中から、前記基準点に対応する点を探索する対応点探索部と、
前記発光部のレイアウト画像の中に、複数の輝度測定点を設定する輝度測定点設定部と、
前記対応点探索部の探索結果に基づいて、前記輝度測定点設定部で設定した複数の輝度測定点にそれぞれ対応する、前記ワークの前面の点の座標を算出する輝度測定点算出部と、
前記輝度測定点算出部で算出された前記ワークの前面の点と前記輝度測定部の測定点とが一致するように、前記ワーク移動テーブルに対して、前記ワーク移動テーブルの移動方向と移動量とを指示するワーク移動テーブル制御部と、
前記撮像部で撮影された前記発光部の画像の合焦状態を検出する合焦度合演算部と、
前記合焦度合演算部の演算結果に基づいて、前記ワークの前面に合焦した画像が撮影できるように、前記撮像部移動テーブルに対して、前記撮像部移動テーブルの移動方向と移動量とを指示する撮像部移動テーブル制御部と、
前記輝度測定点設定部で設定された前記レイアウト画像の中の各輝度測定点を中心とする領域をテンプレートとして設定するテンプレート作成部と、
前記テンプレート作成部で設定された各テンプレートと、前記撮像部で撮影された、前記各輝度測定点に対応する点を含む画像とのテンプレートマッチングを行い、各輝度測定点に対応する前記輝度測定点に対応する点を含む画像の中の点の座標をそれぞれ算出するテンプレートマッチング演算部と、
を有し、前記各輝度測定点が、前記テンプレートマッチング演算部で算出された各点と一致するように、前記ワーク移動テーブルを移動させて、前記輝度測定部で輝度を測定することを特徴とする輝度測定装置。
【請求項2】
前記輝度測定点設定部は、前記テンプレート作成部で設定されるテンプレートの中に含まれる前記発光部の領域の形状と、互いに合同もしくは相似な形状を有する前記発光部の領域が、前記レイアウト画像の中に存在しないように、輝度測定点を設定することを特徴とする、請求項1に記載の輝度測定装置。
【請求項3】
前記輝度測定点設定部は、前記テンプレート作成部で設定されるテンプレートの中に、前記発光部の複数の領域が含まれるように、輝度測定点を設定することを特徴とする、請求項1に記載の輝度測定装置。
【請求項4】
前記テンプレート作成部において設定されるテンプレートは、縦長矩形状、横長矩形状、および正方形状であり、これら複数のテンプレートに対して、前記テンプレートマッチング演算部において、それぞれテンプレートマッチングを行い、最も高いマッチング度合を与えるテンプレートが当てはめられた点を、マッチングがとれた点とすることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の輝度測定装置。
【請求項5】
前記テンプレート作成部において設定されるテンプレートは、前記輝度測定点設定部で設定された点をそれぞれ4隅に配した矩形状であり、これら4つのテンプレートに対して、前記テンプレートマッチング演算部において、それぞれテンプレートマッチングを行い、最も高いマッチング度合を与えるテンプレートが当てはめられた点を、マッチングがとれた点とすることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の輝度測定装置。
【請求項6】
前記輝度測定部で輝度を測定する際、前記各輝度測定点が前記テンプレートマッチング演算部で算出された各点と一致するように前記ワーク移動テーブルを移動させることを特徴とする、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の輝度測定装置を用いた輝度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−255759(P2012−255759A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130364(P2011−130364)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【出願人】(511142671)株式会社イーズ (1)
【Fターム(参考)】