輪郭抽出装置、輪郭抽出方法、および輪郭抽出プログラム
【課題】適切な初期輪郭を入力画像から生成し、生成した初期輪郭を用いて動的輪郭法で輪郭抽出を行う収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を行う輪郭抽出装置、輪郭抽出方法、および輪郭抽出プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】輪郭抽出装置10は、外部設定値取り込み部101と、画像データ取り込み部102と、平滑化部103と、色空間分離部104と、色空間成分二値化部105と、初期輪郭生成部106と、画素値記憶部107と、グレースケール変換部108と、濃淡強調部109と、輪郭抽出部110と、輪郭抽出結果出力部111とを備える。また、輪郭抽出装置10には、カメラ11と、画像表示装置13が接続されている。
【解決手段】輪郭抽出装置10は、外部設定値取り込み部101と、画像データ取り込み部102と、平滑化部103と、色空間分離部104と、色空間成分二値化部105と、初期輪郭生成部106と、画素値記憶部107と、グレースケール変換部108と、濃淡強調部109と、輪郭抽出部110と、輪郭抽出結果出力部111とを備える。また、輪郭抽出装置10には、カメラ11と、画像表示装置13が接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪郭抽出装置、輪郭抽出方法、および輪郭抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像および映像から対象物のみを抽出する手法として、動的輪郭法の1手法であるsnake法が、計算機の処理能力向上により、利用可能なアルゴリズムとして着目されている。このsnake法は、2次元画像と線図形形状の照合を、一種のエネルギー最小化問題として処理する手法の1つで、画像中に存在する物体の輪郭を対象にして、線図形の初期パターン(初期輪郭)を動的に変形させながら形状を照合する(例えば、非特許文献1参照)。このsnake法は、照合を収束したと判定するまで繰り返し行うため、輪郭を綺麗に抽出することが可能であるという特徴がある。図12は、snake法を用いた輪郭抽出の手順の概略を説明する図である。図12(a)は、入力画像501であり、抽出対象物511を含んでいる。この入力画像501に対して、図12(b)のように対象物511全体を囲むように初期輪郭521を設定し、snake法を用いて初期輪郭を動的に変形しながら、収束したと判定するまで演算を行う。これにより、図12(c)のように対象物531が抽出できる。
【0003】
このsnake法を用いた初期輪郭の設定手法としては、初期輪郭を手動で与える手法(例えば、特許文献1参照)、輪郭抽出装置の利用者が目視で初期輪郭を手動で設定する手法(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−516589号公報
【特許文献2】特開平10−187936号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】田村秀行、「コンピュータ画像処理」、オーム社、2002年12月20日、P261−262
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにsnake法を用いた輪郭抽出手法においては、取得した画像に対して抽出する対象物を特定するための範囲として初期輪郭を設定する必要がある。この初期輪郭を抽出する対象物の形状に合わせて適切に設定していない場合、抽出の演算が収束するまでの処理回数が多くなり、抽出に要する時間が増大するという課題があった。図13を用いて、初期輪郭の設定の違いによる収束回数の増減の一例を説明する。図13(a)は、入力画像601の対象物611に対して、対象物611の全体を囲むような初期輪郭621を設定した例であり、図13(c)の状態のように輪郭641が収束するまでの演算数は、1000回であった。一方、図13(b)は、対象物621に近似した形状の初期輪郭631を設定した例であり、図13(c)の状態のように輪郭641が収束するまでの計算回数は60回であった。このように、snake法においては、初期輪郭を適切に設定することが高速に抽出するために重要である。
【0007】
しかしながら、初期輪郭を設定する手法として、特許文献1と特許文献2の手法では、初期輪郭を手動で与える必要があるという課題があった。また、この初期輪郭を自動的に生成する手法としては、一般的な形状(四角や丸)を、例えば図12(b)や図13(a)のように生成して用いる手法があるが、この場合、すでに述べたように、収束演算回数が増大するという課題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、動的輪郭法を用いた輪郭抽出において、背景や対象物が異なっても適切な初期輪郭を入力画像から生成し、収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を可能にする輪郭抽出装置、輪郭抽出方法、およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離部と、前記色空間分離部が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化部と、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成部と、前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出部とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像中心部の画素が、白画素か黒画素かを判定し、黒画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データを白黒反転した画像データに基づいて前記初期輪郭画像データを生成し、白画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データに基づいて前記初期輪郭画像データを生成することを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データのうち少なくとも1つを用いて前記初期輪郭画像を生成することを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データを合成して前記初期輪郭画像データを生成することを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに対して色空間成分毎に重み付けした後、重み付けした前記色空間成分を合成して初期輪郭画像データを生成することを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記色空間分離部が色空間成分に分離する前に、前記入力画像に対して平滑処理を行う平滑処理部とをさらに備えることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づき判定し、判定した結果に基づき、背景の画素値を1以上の値で定数倍して画素を薄くし、あるいは対象物の画素値を1以下の値で定数倍して画素を濃くすることで濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部とをさらに備え、前記輪郭抽出部は、前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出することを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記濃淡強調部は、背景の画素値を1以上の値で定数倍し、対象物の画素値に前記背景に乗じた値の逆数を乗じることを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記濃淡強調部は、前記グレースケール化した画像データから生成したヒストグラムに基づき、コントラストに応じて対象物の画素値および背景の画素値に乗じる値を設定することを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づいて判定し、判定した結果に基づき、前記背景のすべての画素値の平均値と前記対象物のすべての画素値の平均値を算出して、算出した平均値を比較し、比較した結果に基づき背景と対象物のそれぞれの乗数を算出して、算出したそれぞれの乗数を用いて背景と対象物の濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部とをさらに備え、前記輪郭抽出部は、前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出することを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置の輪郭抽出方法において、色空間分離部が、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、色空間成分二値化部が、前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、初期輪郭生成部が、前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、輪郭抽出部が、前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程とを備えることを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置の輪郭抽出プログラムにおいて、コンピューターに、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、背景や対象物が異なっても適切な初期輪郭を入力画像から生成し、生成した初期輪郭を用いて動的輪郭法で輪郭抽出を行う収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る輪郭抽出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る画像素値記憶部107が記憶しているRGB成分の各画素値の構成の一例を示す図である。
【図3】同実施形態に係る輪郭抽出手順の概略の一例を説明する図である。
【図4】同実施形態に係る平滑化の優位性の一例を説明する図である。
【図5】同実施形態に係る平滑化の優位性の一例を説明する図である。
【図6】同実施形態に係る初期輪郭画像データの生成手順の概略を示す図である。
【図7】同実施形態に係る輪郭抽出手順を説明するフローチャーである。
【図8】同実施形態に係る初期輪郭画像データの生成手順のフローチャートである
【図9】同実施形態に係る初期輪郭画像データの生成手順のフローチャートである。
【図10】同実施形態に係る各色空間成分のマスクデータ生成手順のフローチャートである。
【図11】同実施形態に係る濃淡強調手順のフローチャートである。
【図12】従来の実施形態に係るsnake法を用いた輪郭抽出の手順の概略を説明する図である。
【図13】従来の実施形態に係る初期輪郭の設定の違いによる収束回数の増減の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図11を用いて説明する。なお、本発明は係る実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【0024】
図1の輪郭抽出装置の構成の一例を示すブロック図を用いて、本実施形態における輪郭抽出装置の構成を説明する。輪郭抽出装置10は、外部設定値取り込み部101と、画像データ取り込み部102と、平滑化部103と、色空間分離部104と、色空間成分二値化部105と、初期輪郭生成部106と、画素値記憶部107と、グレースケール変換部108と、濃淡強調部109と、輪郭抽出部110と、輪郭抽出結果出力部111とを備える。また、輪郭抽出装置10には、カメラ11と、画像表示装置13が接続されている。
【0025】
カメラ11は、例えば受光レンズとCCDカメラ等で構成され、対象物を含む入力画像を撮影し、撮影された入力画像を輪郭抽出装置10に送信する。画像表示装置13は、輪郭抽出装置10から輪郭抽出結果の表示用の画像データを受信し、受信した画像データを表示する。
【0026】
外部設定値取り込み部101は、外部から輪郭抽出処理に用いる各種の設定である外部設定値を取り込む。外部設定値は、平滑化部103が行う平滑化の各種パラメータ(処理手法、処理回数、処理を行う範囲、処理を行う形状、重み付け係数など)、色空間分離部104が行う色空間分離手法の種類(RGB,CMYなど)、濃淡強調部109が行う濃淡強調処理のパラメータ(処理を行うか否かの設定、処理時の乗数など)、輪郭抽出部110が行う動的輪郭法の各種パラメータ(処理手法、計算回数など)等を備えている。また、外部設定値取り込み部101は、取り込んだ外部設定値を、平滑化部103と色空間分離部104と濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する。
【0027】
画像データ取り込み部102は、カメラ11により撮影された対象物を含む入力画像を取り込み、取り込んだ入力画像の画像データ(以下、入力画像データという)を平滑化部103とグレースケール変換部108と輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0028】
平滑化部103は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像データと、外部設定値取り込み部101が出力する外部設定値を取り込む。また、平滑化部102は、取り込んだ外部設定値から、平滑化手法の種類や平滑化の各種パラメータを読み出す。また、平滑化部102は、取り込んだ入力画像データを、読み出した平滑化手法の種類に基づき、例えばガウシアン・フィルタを用いて、取り込んだ外部設定値の回数の平滑化を行う。また、平滑化部103は、平滑化した画像データを色空間分離部104に出力する。
【0029】
色空間分離部104は、平滑化部103が平滑化した平滑後画像データ(以下、平滑後画像データという)と外部設定値取り込み部101が出力する外部設定値を取り込む。また、色空間分離部104は、取り込んだ平滑後画像データを外部設定値の分離手法指示に基づき色空間成分の各チャンネルの画像データに分離する。色空間成分の分離手法は、RGB(赤緑青)、CMY(シアン、マゼンダ、イエロー)、HSV(色相、彩度、明度)、YCbCr(輝度、青信号色差、赤信号色差)、YPbPr(輝度、青信号色差、赤信号色差)などである。また、色空間分離部104は、色空間成分に分離した各チャンネルの画像データを色空間成分二値化部105に出力する。
【0030】
色空間成分二値化部105は、色空間分離部104が分離した各チャンネルの画像データを取り込む。また、色空間成分二値化部105は、取り込んだ各チャンネルの画像データを、例えば1979年に大津展之によって提案された閾値設定手法(以下、大津の閾値設定手法という)を用いて二値化する。また、色空間成分二値化部105は、二値化した各チャンネルの画像データを初期輪郭生成部106に出力する。
【0031】
初期輪郭生成部106は、色空間成分二値化部105が二値化した各チャンネルの画像データ(以後、二値化画像データという)を取り込む。また、初期輪郭生成部106は、取り込んだ各チャンネルの二値化画像データの各画素値を画素値記憶部106に書き込んで記憶させる。また、初期輪郭生成部106は、取り込んだ各チャンネルの二値化画像データと二値化記憶部106に記憶した画素値を用いて、後述する手順で初期輪郭画像データを生成する。また、初期輪郭生成部106は、生成した初期輪郭画像データを濃淡強調部108と輪郭抽出部110に出力する。
【0032】
画素値記憶部107は、各チャンネルの二値化画像データの各画素値を記憶する。図2は、画素値記憶部107が記憶しているRGB成分の各画素値の構成の一例を示す図である。色空間分離部103が、平滑後画像データをRGBに分離した場合、図2のように、表形式のデータとして実現されており、画素1のRチャンネルの画素値PR(1または0)、Gチャンネルの画素値PG(1または0)、Bチャンネルの画素値PB(1または0)の各データを有している。
【0033】
グレースケール変換部108は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像を取り込む。また、グレースケール変換部108は、取り込んだ入力画像が、カラー画像データかグレースケール画像かを判定する。また、グレースケール変換部108は、入力画像をカラー画像と判定した場合、入力画像を一般的な手法でグレースケール画像データに変換する。また、グレースケール変換部108は、変換したグレースケール画像データを濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する。
【0034】
濃淡強調部109は、外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値と、初期輪郭生成部106が生成した初期輪郭画像データと、グレースケール変換部108が変換したグレースケール画像データとを取り込む。また、濃淡強調部109は、取り込んだ外部設定値から、濃淡強調処理を行うか否かの指示値や濃淡強調処理の各種パラメータを読み出す。また、濃淡強調部109は、読み出した外部設定値の濃淡強調処理を行うか否かの指示値や濃淡強調処理時の乗数と、初期輪郭画像データを用いて、後述する手法でグレースケール画像データの濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する。また、濃淡強調部109は、生成した濃淡強調画像データを輪郭抽出部110に出力する。
【0035】
輪郭抽出部110は、外部設定値取り込み部101が出力する外部設定値と、初期輪郭生成部106が出力する初期輪郭画像データと、グレースケール変換部108が出力するグレースケール画像データと、濃淡強調部109が生成した濃淡強調画像データを取り込む。また、輪郭抽出部110は、取り込んだ外部設定値から動的輪郭法の手法の種類を示す情報や動的輪郭法の各種パラメータを読み出す。また、輪郭抽出部110は、初期輪郭画像データと、外部設定値の動的輪郭法の各種パラメータ(処理手法、計算回数など)とを用いて、動的輪郭法で濃淡強調画像データを入力画像データに用いて、濃淡強調画像データから対象物の輪郭データを抽出する。また、輪郭抽出部110は、抽出した輪郭データを輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0036】
輪郭抽出結果出力部111は、画像データ取り込み部102が出力する入力画像と、輪郭抽出部110が抽出した対象物の輪郭データを取り込む。また、輪郭抽出結果出力部111は、取り込んだ入力画像から輪郭データを用いて、背景領域を除去した対象物の画像データを抽出する。また、輪郭抽出結果出力部110は、抽出した対象物の画像データを画像表示装置13に出力する。
【0037】
次に、図3を用いて、本実施形態における輪郭抽出手順の概略の一例を説明する。図3(a)のような入力画像201を取得し、取得した入力画像201にぼかし処理(平滑化)を行い、図3(b)のような平滑後画像データ202を生成する。次に、ぼかし処理した平滑後画像データ202をRGBの色空間成分に分離し、分離した各チャンネルの画像データを二値化する。二値化後、二値化画像データを用いて図3(c)のような初期輪郭画像データ203を生成する。一方、取得した入力画像201をグレースケール化した後、濃淡強調を行い図3(d)のような濃淡強調画像データ204を生成する。次に、初期輪郭画像データ203と濃淡強調画像データ204を用いて動的輪郭法で対象物205の輪郭データを抽出する。次に、輪郭データを用いて、図3(e)のような入力画像から背景を除去した対象物205の画像データを抽出する。
【0038】
次に、平滑化(ぼかし処理)を行う優位性の一例を、図4と図5を用いて説明する。図4(a)は、模様が複雑な対象物を含む入力画像の一例である。図4(b)は、図4(a)を二値化処理で生成した初期輪郭画像データの一例である。図4(a)のように対象物の模様が複雑な場合、この画像データをそのまま一般的な二値化処理で初期輪郭画像データの生成を行うと図4(b)のようになり、非常に多くのデータを含んでいる。図4(b)の画像データを初期輪郭に用いてsnake法で輪郭を抽出した場合、初期輪郭画像データに含まれる線分の総長が長いため、計算回数が増大し、結果として輪郭の抽出時間が増大する。
一方、図4(a)の入力画像にガウシアン・フィルタによる平滑化処理を3回行うと、図5(a)のように入力画像がぼける。この図5(a)の画像データから初期輪郭画像データを生成すると、図5(b)のように図4(b)に対して模様データを削減した初期輪郭画像データを生成することができる。また、このように入力画像をぼかした状態においても、図5(b)のように初期輪郭画像データは、動的輪郭法で対象物の輪郭を抽出可能な対象物の輪郭を構成する成分の情報を含んでいる。この図5(b)の初期輪郭画像データを用いて輪郭を抽出した方が、図4(b)の初期輪郭画像データを用いて輪郭を抽出するより高速に処理を行える。
すなわち、入力画像に対して、適切な手法で適切な回数の平滑化を行うことで、輪郭抽出の演算量を削減でき、この結果、輪郭抽出を高速に行うことができる。
【0039】
次に、輪郭抽出方法を図6の初期輪郭画像データの生成手順図と、図7〜図11のフローチャートを用いて説明する。図6は、初期輪郭画像データの生成手順の概略を示す図である。図7は、輪郭抽出手順を説明するフローチャートであり、図8と図9は、初期輪郭画像データの生成手順のフローチャートであり、図10は各色空間成分のマスクデータ生成手順のフローチャートであり、図11は、濃淡強調手順のフローチャートである。本実施形態では、入力画像はカラー画像であり、外部設定値により、色空間分離手法はRGBが指示され、平滑化手法はガウシアン処理が指示され、濃淡強調処理を行うように指示されている場合について説明する。
【0040】
まず、外部設定値読み込み部101は、輪郭抽出処理に用いる各種の設定である外部設定値を取り込む(ステップS1)。また、外部設定値読み込み部101は、取り込んだ外部設定値を平滑化部103と色空間分離部104と濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する。
【0041】
次に、輪郭抽出装置10は、初期輪郭画像データの生成処理を行う(ステップS2)。ステップS2の初期輪郭画像データの生成処理手順を、図8と図9のフローチャートと図6を用いて説明する。まず、画像データ取り込み部102は、カメラ11が撮像した図6に示す入力画像301を取り込む(ステップS101)。また、画像データ取り込み部102は、取り込んだ入力画像301を平滑化部103とグレースケール変換部108と輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0042】
平滑化部103は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像301と、外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値を取り込む。また、二値化部103は、取り込んだ外部設定値から平滑化手法や平滑化の各種パラメータを読み出す。読み出した外部設定値に基づき、平滑化部103は、入力画像301に対して、ガウシアン処理を外部設定値で設定されている回数、例えば3回行う(ステップS102〜S104)。
【0043】
外部設定値の指示回数のガウシアン処理を終了した後、平滑化部103は、ガウシアン処理を行った図6に示す平滑後画像データ311を平滑部103に書き込んで記憶させる(ステップS105)。また、平滑化部103は、平滑後画像データ311を読み出し、色空間分離部104に出力する(ステップS105)。
【0044】
次に、色空間分離部104は、平滑化部103が平滑化した平滑後画像データ311と外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値を取り込む。また、色空間分離部104は、取り込んだ外部設定値から色空間分離手法の種類を読み出す。また、色空間分離部104は、外部設定値に基づき、画像データ311を一般的な手法を用いてRGBの各チャンネルの画像データに分離する(ステップS106)。また、色空間分離部104は、分離したRGBの各チャンネルの図6に示す画像データ(321、322、323)を色空間成分二値化部105に出力する。
【0045】
次に、色空間成分二値化部105は、色空間分離部104が分離したRGBの各チャンネルの画像データ(321、322、323)を取り込む。また、色空間成分二値化部105は、取り込んだRGBの各チャンネルの画像データ(321、322、323)に対して、チャンネルごとに輪郭マスク処理を行う(ステップS107〜S108)。
【0046】
ステップS107〜S108のチャンネルごとの輪郭マスク処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、RGBのチャンネルごとの輪郭マスク処理は、同一のステップS301〜S306の処理を行うため、重複する箇所の説明は省略する。
まず、Rチャンネルの輪郭マスク処理について説明する。色空間成分二値化部105は、取り込んだRチャンネルの画像データ321のヒストグラムを生成する(ステップS301)。
【0047】
次に、色空間成分二値化部105は、生成したヒストグラムを用いて、例えば大津の閾値判定手法を用いて、二値化の閾値を算出する(ステップS302)。
【0048】
次に、色空間成分二値化部105は、算出した閾値を用いて、Rチャンネルの画像データ321を二値化する(ステップS303)。また、色空間成分二値化部105は、二値化した画像データを初期輪郭生成部106に出力する。
【0049】
次に、初期輪郭生成部106は、色空間成分二値化部105が二値化した画像データ(以後、二値化画像データという)321を取り込む。また、初期輪郭生成部106は、取り込んだ二値化画像データの中心部の画素331が黒画素、すなわち画素値PR=0であるか、白画素PR=1であるか判定する(ステップS304)。
二値化画像データの中心部の画素331が黒画素(画素値PR=0)と判定した場合(ステップS304;0)、初期輪郭生成部106は、二値化画素データ321のすべての画素値の0と1を入れ替えて、白黒を反転した画像データを生成する(ステップS305)。また、初期輪郭生成部106は、反転した二値化画像データを輪郭マスク画像データとして画素値記憶部107に書き込んで記憶させる。
また、二値化画像データの中心部の画素321が白画素(画素値PR=1)と判定した場合(ステップS304;1)、初期輪郭生成部106は、二値化画素データの反転は行わず、そのまま二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
Rチャンネルの画像データ321の場合、初期輪郭生成部106は、二値化画像データの中心部の画素331を白画素と判定し、二値化画素データの反転は行わず、そのまま二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
【0050】
Gチャンネルの画像データ322の場合、ステップ301〜ステップ306まで同様の処理が行われ、初期輪郭生成部106は、二値化画像データの中心部の画素332を白画素と判定し、二値化画素データの反転は行わず、そのまま二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
【0051】
Bチャンネルの画像データ323の場合、ステップ301〜ステップ306まで同様の処理が行われ、初期輪郭生成部106は、二値化画像データの中心部の画素333を黒画素と判定し、反転した二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
【0052】
二値化画像データの中心部の画素が黒画素か白画素かを判定して、二値化画像データの白黒反転を行う理由について図6を用いて説明する。図6において、RGB各チャネルに分離後、二値化した画像データが、Rチャンネル画像データ321、Gチャンネル画像データ322、Bチャンネル画像データ323である。図6において、対象物の色は青色であるため、RGB各チャネルに分離後、二値化すると、Bチャンネル画像データ323は背景だけではなく、対象物の画素値PBも0、すなわち黒で表されてしまう。これらの画像データ321〜323を重ね合わせると、画像データ343のような画像になる。すなわち、対象物が画素値=0(黒画素)で表され、対象物を抽出する初期輪郭画像データの生成が行いにくくなる。抽出する対象物は、入力画像の中心部に含まれていると仮定し、画像データの中心部の画素値が0の場合、二値化により対象物が黒画素に生成されていると判定し、画像データ全体の画素を白黒反転することで対象物の画素値を1に設定し直している。これらの処理により、RGB各チャネルの画像データを重ね合わせても画像データ341のように対象物の画素値=1を維持できる。
【0053】
図8のフローチャートに戻り、初期輪郭生成部106は、記憶したRGB各チャネルの各輪郭マスク画像データを読み出し、読み出したRGBの各輪郭マスク画像データを重ね合わせ、重ね合わせた画像データ341を生成する(ステップS110)。また、初期輪郭生成部106は、重ね合わせた画像データと、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)を画素値記憶部108に書き込んで記憶させる(ステップS111)。
分解したRGBの各輪郭マスク画像データを重ねる理由は以下である。例えば、対象物の中心部のみが青(B)の場合、ステップS304の判定によりBチャンネルの画像データ323全体の白黒反転が行われる。この場合、例えば、分解したBチャンネルのみを使用して初期輪郭画像データを生成すると、初期輪郭画像データが適正に生成できない。このため、RGBの各輪郭マスク画像データを重ね合わせることで、1チャンネルのみで初期輪郭画像データを生成する誤検出を防ぐことができので、適正に初期輪郭画像データを生成できる。
【0054】
次に、図9のフローチャートに移り、初期輪郭生成部106は、重ね合わせた画像データのすべての画素について、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)の合計値=3か否かの判定を繰り返す(ステップS201〜S204)。
RGB各チャネルの画素値の合計値=3以外の場合(ステップS202;No)、その画素のRGB各チャネルの各画素値に0を代入し、すなわち黒画素にする(ステップS203)。すなわち、PR=0、PG=0、PB=0を代入し、画素値記憶部108に記憶されている画素値を書き換える。
RGB各チャネルの画素値の合計値=3、すなわち、すべての画素が白画素の場合(ステップS202;Yes)、RGB各チャネルの各画素値PR、PG、PBの値は変更しない(ステップS203)。
【0055】
すべての画像データについて画素値の処理が終了後、初期輪郭生成部106は、画素値記憶部107に記憶されているRGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)を読み出して初期輪郭画像データを生成する。また、初期輪郭生成部106は、生成した初期輪郭画像データを初期輪郭生成部106に書いて記憶させる(ステップS205)。
初期輪郭画像データの生成は、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)のうち少なくとも1つが0、すなわち黒画素の場合、初期輪郭生成部106は、その画素の画素値を0にして、初期輪郭画像データを生成する。また、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)がすべて1、すなわち白画素の場合、初期輪郭生成部106は、その画素の画素値を1に設定して、初期輪郭画像データ351を生成する。
【0056】
また、初期輪郭生成部106は、生成した初期輪郭画像データ351を濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する(ステップS206)。
以上で、ステップS2の初期輪郭画像データの生成処理を終了する。
【0057】
図7のフローチャートに戻り、濃淡強調部109は、濃淡強調処理を行う(ステップS3)。濃淡強調処理手順について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
濃淡強調部109は、外部設定値取り込む部101が取り込んだ外部設定値を取り込む。また、濃淡強調部109は、取り込んだ外部設定値から濃淡強調処理を行うか否かの指示や濃淡強調処置の各種パラメータを読み込む。濃淡強調処理を行う指示の場合、読み込んだ濃淡設定のパラメータに基づき、ステップS401〜ステップS410の処理を行い、濃淡強調処理を行なわない指示の場合、濃淡強調処理は行わず、ステップS4に進む。
濃淡強調処理を行う指示の場合、グレースケール変換部108は、画像データ取り込む部102が取り込んだ入力画像を取り込み、取り込んだ入力画像が、カラー画像データかグレースケール画像データかを判定する。また、グレースケール変換部108は、入力画像をカラー画像データと判定した場合、入力画像を一般的な手法で256階調のグレースケール画像データに変換し、変換したグレースケール画像データをグレースケール変換部108に書き込んで記憶させる(ステップS401)。
【0059】
次に、グレースケール変換部108は記憶するグレースケール画像データを濃淡強調部109に出力する(ステップS402)。さらに初期輪郭生成部106が生成した初期輪郭画像データを取り込む(ステップS402)。
【0060】
次に、濃淡強調部109は、グレースケール変換部108が出力したグレースケール画像データと、取り込んだ初期輪郭画像データを用いて、グレースケール画像データのすべての画素についてステップS404〜ステップS410の処理を繰り返して濃淡強調を行い、濃淡強調した濃淡強調画像データを生成する。ステップS404〜ステップS410の処理は、濃淡強調処理の各種パラメータが、画素を濃くする(強調する)場合は画素値を1/2倍、画素を薄くする場合は画素値を2倍にする指示の例を説明する。
【0061】
次に、濃淡強調部109は、読み出したグレースケール画像データの中から、まだ読み出していない1つの画素を読み出す。また、濃淡強調部109は、読み出した1つの画素を、取り込んだ初期輪郭画像データと比較して、背景か対象物かを判定する(ステップS405)。
具体的な例を、図3を用いて説明する。図3のように初期輪郭画像データ203において、背景206の画素は黒画素(画素値=0)であり、対象物207の画素は白画素(画素値=1)を有している。濃淡強調部109は、グレースケール画像データの各画素を初期輪郭画像データの同一位置の各画素と比較する。濃淡強調部109は、比較の結果、初期輪郭画像データの画素値が0であれば背景と判定し、初期輪郭画像データの画素値が1であれば対象物であると判定する。
【0062】
ステップ405の判定の結果、読み出した画素が対象物であると判定した場合(ステップS405;1(対象物))、濃淡強調部109は、外部設定値に基づき、その画素の画素値を1/2倍することで画素値を薄くする(ステップS406)。
【0063】
ステップ405の判定の結果、読み出した画素が背景であると判定した場合(ステップS405;0(背景))、濃淡強調部109は、外部設定値に基づき、その画素の画素値を2倍することで画素値を薄くする(ステップS407)。
【0064】
また、濃淡強調部109は、ステップS407終了後、画素値が255より大きいか否かを判定する(S408)。
ステップS408の判定の結果、255以下であると判定した場合(ステップS407;false)、濃淡強調部109は、この画素の濃淡強調処理を終了し、まだ処理の終了していない画素があればすべての画素の濃淡強調処理が終了するまでステップS404〜ステップS410を繰り返す(ステップS410)。
ステップS408の判定の結果、255より大きいと判定した場合(ステップS407;true)、濃淡強調部109は、この画素値に255を代入し、この画素の濃淡強調処理を終了する。また、濃淡強調部109は、まだ処理の終了していない画素があればすべての画素の濃淡強調処理が終了するまでステップS404〜ステップS410を繰り返す(ステップS410)。
本実施形態において、入力画像を256階調のグレースケール画像データに変換しているため、ステップS408〜ステップS409の処理で、255より大きな値はすべて255を代入し、すべての画素値が256階調に収まるようにしている。
【0065】
すべての画素について濃淡強調処理が終了後、濃淡強調部109は、濃淡強調処理が終了した画素値を用いて、濃淡強調画像データを生成し、生成した濃淡強調画像データを輪郭抽出部110に出力する。
以上で、ステップS3の濃淡強調処理を終了し、図7に戻る。
【0066】
次に、グレースケール変換部108は記憶するグレースケール画像データを輪郭抽出部110に出力する。また、輪郭抽出部110は、外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値と、初期輪郭生成部106が出力する初期輪郭画像データと、グレースケール変換部108が出力するグレースケール画像データと、濃淡強調部109が生成した濃淡強調画像データを取り込む。また、輪郭抽出部110は、取り込んだ外部設定値から動的輪郭手法の種類とsnake処理の各種パラメータを読み出す。また、輪郭抽出部110は、読み出したsnake処理の各種パラメータと、初期輪郭画像データを用いて、濃淡強調画像データから既知であるsnake法で輪郭データの抽出を行う(ステップS4)。また、輪郭抽出部110は、抽出した輪郭データを輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0067】
次に、輪郭抽出結果出力部111は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像と、輪郭抽出部110が抽出した輪郭データを取り込む。また、輪郭抽出結果出力部111は、取り込んだ入力画像から輪郭データを用いて、背景領域を除去した対象物の画像データを抽出する。また、輪郭抽出結果出力部110は、抽出した対象物の画像データを画像表示装置13に出力する(ステップS4)。
【0068】
画像表示装置13は、輪郭抽出結果出力部111から取り込んだ輪郭抽出結果のデータを表示する。
以上で、入力画像から対象物の輪郭抽出処理を終了する。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、入力画像に対して平滑化を行い、平滑化後に色空間成分に分離後に二値化し、二値化後の各色空間成分を合成して初期輪郭画像データを生成するようにした。さらに入力画像に対してグレースケール変換を行い、グレースケール変換後に初期輪郭画像データを用いて背景と対象物の濃淡強調処理を行い、濃淡強調処理により濃淡強調画像データを生成するようにした。そして、生成した初期輪郭画像データを用いて、濃淡強調画像データから動的輪郭法の1つであるsnake法で入力画像から対象物の輪郭を抽出するようにしたので、背景や対象物が異なっても適切な初期輪郭を入力画像から生成できる。このため、動的輪郭法で輪郭抽出を行う収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を実現することができる。
また、取得した画像が不鮮明な場合においても、入力画像をグレースケールに変換し、グレースケール変換後に濃淡強調処理を行った後、濃淡強調処理後の画像データから初期輪郭を用いて輪郭データを抽出するようにしたので、動的輪郭法で輪郭抽出を行う収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を可能行うことが可能になる。
【0070】
さらにまた、本実施形態によれば、予め対象物が写っていない背景画像を取得し、この背景画と入力画像を比較して初期輪郭を生成して対象物の輪郭を抽出しなくても、撮像した画像から適正な初期輪郭を自動的に生成することが可能になる。さらにまた、本実施形態によれば、予め取得してある対象物を正面から撮像した標準画像(背景無地か背景無し)、この標準画像から初期輪郭を生成して対象物の輪郭を抽出しなくても、撮像した画像から適正な初期輪郭を自動的に生成することが可能になる。
【0071】
なお、本実施形態では、平滑化部103がガウシアン・フィルタを使って平滑化する例について説明したが、他の一般的なメディアン・フィルタ、バイラテラル・フィルタ、ブラー・フィルタ等を用いて平滑化を行っても良い。
【0072】
また、本実施形態では、平滑化部103の平滑回数を外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値で指定する例について説明したが、予め設定しておいた回数でも良く、または入力画像や対象物に応じて回数を設定するようにしても良い。この場合、例えば、高周波成分の大小や、ヒストグラムにおける成分の分布度合いなどから入力画像の複雑さを判定して、複雑な画像データに対して平滑化回数を増やすようにしても良い。また、このようにして算出した結果、平均化回数が例えば1回であった場合、平均化処理を行わずに色空間分離を行うようにしても良い。
【0073】
また、本実施形態では、平滑後画像データを平滑化部103に記憶する例について説明したが、図示しない輪郭抽出装置の図示しないCPU(中央演算装置)に接続されたROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)もしくはUSB(Universal Serial Bus) I/Fを介して接続されるUSBメモリー等の記憶装置に書き込んで記憶させても良い。
【0074】
また、本実施形態では、色空間成分二値化部105および初期輪郭生成部106をそれぞれ1つで行う例を説明したが、分離する色空間の手法に応じて、例えばRGBに分離する場合、RGBそれぞれの色空間成分二値化部105、あるいはRGBそれぞれの初期輪郭生成部106を有するようにしても良い。
【0075】
また、本実施形態では、色空間成分二値化部105は、大津の閾値選定手法で設定する例について説明したが、他の一般的な閾値選定手法を用いても良い。
【0076】
また、本実施形態では、初期輪郭生成部106は、RGBの各チャンネルの色空間成分に分離後、分離した画像データを二値化し、二値化した各チャンネルの画像データを合成して初期輪郭画像データを生成する例を説明したが、各チャンネルの合成手法は重み付けなどを用いても良い。図6のような場合、例えば、各チャンネルのヒストグラムを生成して、生成したヒストグラムに基づき、各成分の分離度合いが高いと思われるRチャンネルの画像データ321の重み付けを一番高くして合成する。または、各チャンネルの画像データのうちどれか1つを用いて初期輪郭画像データを生成するようにしても良い。
【0077】
また、本実施形態では、初期輪郭画像データをそのままsnake法で輪郭抽出する例を説明したが、対象物の初期輪郭画像データに穴状の黒領域がある場合、例えば図6の黒画素による小領域352を、初期輪郭生成部106が一般的なラベリング処理の手法などにより抽出する。さらに、初期輪郭生成部106は、抽出した穴状の黒画素領域を白画素に変換することで、対象物内の周辺を白画素で囲まれた黒画素の小領域である穴状の黒画素を白画素で埋めることができ、さらに高速に輪郭抽出を行える初期輪郭を生成することができる。
【0078】
また、周辺を黒画素で囲まれた白画素の小領域は、初期輪郭画像データからみればノイズであり、背景にこのようなノイズである場合、同様に初期輪郭生成部106が一般的なラベリング処理の手法などにより抽出する。さらに、初期輪郭生成部106は、抽出したノイズの白画素領域を黒画素に変換することで、背景のノイズとなる白画素を黒画素に変換することで除去することができ、さらに高速に輪郭抽出を行える初期輪郭を生成することができる。
【0079】
また、本実施形態では、濃淡強調処理について、背景の画素を薄くし、対象物を濃くすることで濃淡強調を行う例について説明したが、この手法は背景が明るく対象物が暗い入力画像に有効である。このため、背景が暗く、対象物が明るい入力画像を考慮し、濃淡強調部109は、グレースケール画像データと初期輪郭画像データを用いて、グレースケール画像データで背景と判定した領域の画素値の平均値と、グレースケール画像データで対象物と判定した領域の画素値の平均値を算出する。次に、濃淡強調部109は、算出したそれぞれの画素値の平均値に基づき、背景か対象物のどちらの画素領域の方が明るいかを判定し、この判定結果に基づき、明るい方をより明るく(薄く)、暗い方をより暗く(濃く)する乗数を算出して濃淡強調処理を行うことで、さらに多様な条件での輪郭抽出が可能になる。
【0080】
また、本実施形態では、色空間成分に分離した各チャンネルの二値化画像データについて、入力画像の中心部の画素値が黒画素か白画素かを判定して、各チャンネルの二値化画像データの白黒を反転する例について説明したが、判定に用いる中心部の画素は1画素でなくても中心付近の複数画素を用いて判定しても良い。また、二値化画像データの中心部は、二値化画像データの図心や重心でも良い。または二値化画像データに対してラベリング処理を行い、各ラベルの重心位置を求めて、重心位置が二値化画像データの画像中心にもっとも近い領域の画素値を抽出し、この画素値を1、すなわち白になるように白黒反転を行う判定を行うようにしても良い。
【0081】
また、本実施形態では、画像データ取り込み部103が出力する入力画像に初期輪郭画像データを用いて濃淡強調処理を行って濃淡強調画像データを生成し、濃淡強調画像データから初期輪郭画像データを用いて輪郭データを抽出する例について説明したが、入力画像や対象物に応じて、入力画像から初期輪郭画像データを用いて輪郭抽出を行うようにしても良い。
【0082】
また、本実施形態では、生成した初期輪郭画像データを動的輪郭法の1つであるsnake法で用いて輪郭を抽出する例について説明したが、他の動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行っても良く、また別の輪郭抽出方法を用いて輪郭抽出を行っても良い。さらにまた、生成した初期輪郭画像データを、例えば抽出したい対象物の範囲の限定に利用し、この初期輪郭画像データを図形認識における特徴点の抽出などを行う場合の領域指定に使用しても良い。
【0083】
なお、実施形態の図1の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0084】
10・・・輪郭抽出装置
11・・・カメラ
13・・・画像表示装置
101・・・外部設定値取り込み部
102・・・画像データ取り込み部
103・・・平滑化部
104・・・色空間分離部
105・・・色空間成分二値化部
106・・・初期輪郭生成部
107・・・画素値記憶部
108・・・グレースケール変換部
109・・・濃淡強調部
110・・・輪郭抽出部
111・・・輪郭抽出結果出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪郭抽出装置、輪郭抽出方法、および輪郭抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像および映像から対象物のみを抽出する手法として、動的輪郭法の1手法であるsnake法が、計算機の処理能力向上により、利用可能なアルゴリズムとして着目されている。このsnake法は、2次元画像と線図形形状の照合を、一種のエネルギー最小化問題として処理する手法の1つで、画像中に存在する物体の輪郭を対象にして、線図形の初期パターン(初期輪郭)を動的に変形させながら形状を照合する(例えば、非特許文献1参照)。このsnake法は、照合を収束したと判定するまで繰り返し行うため、輪郭を綺麗に抽出することが可能であるという特徴がある。図12は、snake法を用いた輪郭抽出の手順の概略を説明する図である。図12(a)は、入力画像501であり、抽出対象物511を含んでいる。この入力画像501に対して、図12(b)のように対象物511全体を囲むように初期輪郭521を設定し、snake法を用いて初期輪郭を動的に変形しながら、収束したと判定するまで演算を行う。これにより、図12(c)のように対象物531が抽出できる。
【0003】
このsnake法を用いた初期輪郭の設定手法としては、初期輪郭を手動で与える手法(例えば、特許文献1参照)、輪郭抽出装置の利用者が目視で初期輪郭を手動で設定する手法(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−516589号公報
【特許文献2】特開平10−187936号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】田村秀行、「コンピュータ画像処理」、オーム社、2002年12月20日、P261−262
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにsnake法を用いた輪郭抽出手法においては、取得した画像に対して抽出する対象物を特定するための範囲として初期輪郭を設定する必要がある。この初期輪郭を抽出する対象物の形状に合わせて適切に設定していない場合、抽出の演算が収束するまでの処理回数が多くなり、抽出に要する時間が増大するという課題があった。図13を用いて、初期輪郭の設定の違いによる収束回数の増減の一例を説明する。図13(a)は、入力画像601の対象物611に対して、対象物611の全体を囲むような初期輪郭621を設定した例であり、図13(c)の状態のように輪郭641が収束するまでの演算数は、1000回であった。一方、図13(b)は、対象物621に近似した形状の初期輪郭631を設定した例であり、図13(c)の状態のように輪郭641が収束するまでの計算回数は60回であった。このように、snake法においては、初期輪郭を適切に設定することが高速に抽出するために重要である。
【0007】
しかしながら、初期輪郭を設定する手法として、特許文献1と特許文献2の手法では、初期輪郭を手動で与える必要があるという課題があった。また、この初期輪郭を自動的に生成する手法としては、一般的な形状(四角や丸)を、例えば図12(b)や図13(a)のように生成して用いる手法があるが、この場合、すでに述べたように、収束演算回数が増大するという課題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、動的輪郭法を用いた輪郭抽出において、背景や対象物が異なっても適切な初期輪郭を入力画像から生成し、収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を可能にする輪郭抽出装置、輪郭抽出方法、およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離部と、前記色空間分離部が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化部と、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成部と、前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出部とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像中心部の画素が、白画素か黒画素かを判定し、黒画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データを白黒反転した画像データに基づいて前記初期輪郭画像データを生成し、白画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データに基づいて前記初期輪郭画像データを生成することを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データのうち少なくとも1つを用いて前記初期輪郭画像を生成することを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データを合成して前記初期輪郭画像データを生成することを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記初期輪郭生成部は、前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに対して色空間成分毎に重み付けした後、重み付けした前記色空間成分を合成して初期輪郭画像データを生成することを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記色空間分離部が色空間成分に分離する前に、前記入力画像に対して平滑処理を行う平滑処理部とをさらに備えることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づき判定し、判定した結果に基づき、背景の画素値を1以上の値で定数倍して画素を薄くし、あるいは対象物の画素値を1以下の値で定数倍して画素を濃くすることで濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部とをさらに備え、前記輪郭抽出部は、前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出することを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記濃淡強調部は、背景の画素値を1以上の値で定数倍し、対象物の画素値に前記背景に乗じた値の逆数を乗じることを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記濃淡強調部は、前記グレースケール化した画像データから生成したヒストグラムに基づき、コントラストに応じて対象物の画素値および背景の画素値に乗じる値を設定することを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づいて判定し、判定した結果に基づき、前記背景のすべての画素値の平均値と前記対象物のすべての画素値の平均値を算出して、算出した平均値を比較し、比較した結果に基づき背景と対象物のそれぞれの乗数を算出して、算出したそれぞれの乗数を用いて背景と対象物の濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部とをさらに備え、前記輪郭抽出部は、前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出することを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置の輪郭抽出方法において、色空間分離部が、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、色空間成分二値化部が、前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、初期輪郭生成部が、前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、輪郭抽出部が、前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程とを備えることを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置の輪郭抽出プログラムにおいて、コンピューターに、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、背景や対象物が異なっても適切な初期輪郭を入力画像から生成し、生成した初期輪郭を用いて動的輪郭法で輪郭抽出を行う収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る輪郭抽出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る画像素値記憶部107が記憶しているRGB成分の各画素値の構成の一例を示す図である。
【図3】同実施形態に係る輪郭抽出手順の概略の一例を説明する図である。
【図4】同実施形態に係る平滑化の優位性の一例を説明する図である。
【図5】同実施形態に係る平滑化の優位性の一例を説明する図である。
【図6】同実施形態に係る初期輪郭画像データの生成手順の概略を示す図である。
【図7】同実施形態に係る輪郭抽出手順を説明するフローチャーである。
【図8】同実施形態に係る初期輪郭画像データの生成手順のフローチャートである
【図9】同実施形態に係る初期輪郭画像データの生成手順のフローチャートである。
【図10】同実施形態に係る各色空間成分のマスクデータ生成手順のフローチャートである。
【図11】同実施形態に係る濃淡強調手順のフローチャートである。
【図12】従来の実施形態に係るsnake法を用いた輪郭抽出の手順の概略を説明する図である。
【図13】従来の実施形態に係る初期輪郭の設定の違いによる収束回数の増減の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図11を用いて説明する。なお、本発明は係る実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【0024】
図1の輪郭抽出装置の構成の一例を示すブロック図を用いて、本実施形態における輪郭抽出装置の構成を説明する。輪郭抽出装置10は、外部設定値取り込み部101と、画像データ取り込み部102と、平滑化部103と、色空間分離部104と、色空間成分二値化部105と、初期輪郭生成部106と、画素値記憶部107と、グレースケール変換部108と、濃淡強調部109と、輪郭抽出部110と、輪郭抽出結果出力部111とを備える。また、輪郭抽出装置10には、カメラ11と、画像表示装置13が接続されている。
【0025】
カメラ11は、例えば受光レンズとCCDカメラ等で構成され、対象物を含む入力画像を撮影し、撮影された入力画像を輪郭抽出装置10に送信する。画像表示装置13は、輪郭抽出装置10から輪郭抽出結果の表示用の画像データを受信し、受信した画像データを表示する。
【0026】
外部設定値取り込み部101は、外部から輪郭抽出処理に用いる各種の設定である外部設定値を取り込む。外部設定値は、平滑化部103が行う平滑化の各種パラメータ(処理手法、処理回数、処理を行う範囲、処理を行う形状、重み付け係数など)、色空間分離部104が行う色空間分離手法の種類(RGB,CMYなど)、濃淡強調部109が行う濃淡強調処理のパラメータ(処理を行うか否かの設定、処理時の乗数など)、輪郭抽出部110が行う動的輪郭法の各種パラメータ(処理手法、計算回数など)等を備えている。また、外部設定値取り込み部101は、取り込んだ外部設定値を、平滑化部103と色空間分離部104と濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する。
【0027】
画像データ取り込み部102は、カメラ11により撮影された対象物を含む入力画像を取り込み、取り込んだ入力画像の画像データ(以下、入力画像データという)を平滑化部103とグレースケール変換部108と輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0028】
平滑化部103は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像データと、外部設定値取り込み部101が出力する外部設定値を取り込む。また、平滑化部102は、取り込んだ外部設定値から、平滑化手法の種類や平滑化の各種パラメータを読み出す。また、平滑化部102は、取り込んだ入力画像データを、読み出した平滑化手法の種類に基づき、例えばガウシアン・フィルタを用いて、取り込んだ外部設定値の回数の平滑化を行う。また、平滑化部103は、平滑化した画像データを色空間分離部104に出力する。
【0029】
色空間分離部104は、平滑化部103が平滑化した平滑後画像データ(以下、平滑後画像データという)と外部設定値取り込み部101が出力する外部設定値を取り込む。また、色空間分離部104は、取り込んだ平滑後画像データを外部設定値の分離手法指示に基づき色空間成分の各チャンネルの画像データに分離する。色空間成分の分離手法は、RGB(赤緑青)、CMY(シアン、マゼンダ、イエロー)、HSV(色相、彩度、明度)、YCbCr(輝度、青信号色差、赤信号色差)、YPbPr(輝度、青信号色差、赤信号色差)などである。また、色空間分離部104は、色空間成分に分離した各チャンネルの画像データを色空間成分二値化部105に出力する。
【0030】
色空間成分二値化部105は、色空間分離部104が分離した各チャンネルの画像データを取り込む。また、色空間成分二値化部105は、取り込んだ各チャンネルの画像データを、例えば1979年に大津展之によって提案された閾値設定手法(以下、大津の閾値設定手法という)を用いて二値化する。また、色空間成分二値化部105は、二値化した各チャンネルの画像データを初期輪郭生成部106に出力する。
【0031】
初期輪郭生成部106は、色空間成分二値化部105が二値化した各チャンネルの画像データ(以後、二値化画像データという)を取り込む。また、初期輪郭生成部106は、取り込んだ各チャンネルの二値化画像データの各画素値を画素値記憶部106に書き込んで記憶させる。また、初期輪郭生成部106は、取り込んだ各チャンネルの二値化画像データと二値化記憶部106に記憶した画素値を用いて、後述する手順で初期輪郭画像データを生成する。また、初期輪郭生成部106は、生成した初期輪郭画像データを濃淡強調部108と輪郭抽出部110に出力する。
【0032】
画素値記憶部107は、各チャンネルの二値化画像データの各画素値を記憶する。図2は、画素値記憶部107が記憶しているRGB成分の各画素値の構成の一例を示す図である。色空間分離部103が、平滑後画像データをRGBに分離した場合、図2のように、表形式のデータとして実現されており、画素1のRチャンネルの画素値PR(1または0)、Gチャンネルの画素値PG(1または0)、Bチャンネルの画素値PB(1または0)の各データを有している。
【0033】
グレースケール変換部108は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像を取り込む。また、グレースケール変換部108は、取り込んだ入力画像が、カラー画像データかグレースケール画像かを判定する。また、グレースケール変換部108は、入力画像をカラー画像と判定した場合、入力画像を一般的な手法でグレースケール画像データに変換する。また、グレースケール変換部108は、変換したグレースケール画像データを濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する。
【0034】
濃淡強調部109は、外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値と、初期輪郭生成部106が生成した初期輪郭画像データと、グレースケール変換部108が変換したグレースケール画像データとを取り込む。また、濃淡強調部109は、取り込んだ外部設定値から、濃淡強調処理を行うか否かの指示値や濃淡強調処理の各種パラメータを読み出す。また、濃淡強調部109は、読み出した外部設定値の濃淡強調処理を行うか否かの指示値や濃淡強調処理時の乗数と、初期輪郭画像データを用いて、後述する手法でグレースケール画像データの濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する。また、濃淡強調部109は、生成した濃淡強調画像データを輪郭抽出部110に出力する。
【0035】
輪郭抽出部110は、外部設定値取り込み部101が出力する外部設定値と、初期輪郭生成部106が出力する初期輪郭画像データと、グレースケール変換部108が出力するグレースケール画像データと、濃淡強調部109が生成した濃淡強調画像データを取り込む。また、輪郭抽出部110は、取り込んだ外部設定値から動的輪郭法の手法の種類を示す情報や動的輪郭法の各種パラメータを読み出す。また、輪郭抽出部110は、初期輪郭画像データと、外部設定値の動的輪郭法の各種パラメータ(処理手法、計算回数など)とを用いて、動的輪郭法で濃淡強調画像データを入力画像データに用いて、濃淡強調画像データから対象物の輪郭データを抽出する。また、輪郭抽出部110は、抽出した輪郭データを輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0036】
輪郭抽出結果出力部111は、画像データ取り込み部102が出力する入力画像と、輪郭抽出部110が抽出した対象物の輪郭データを取り込む。また、輪郭抽出結果出力部111は、取り込んだ入力画像から輪郭データを用いて、背景領域を除去した対象物の画像データを抽出する。また、輪郭抽出結果出力部110は、抽出した対象物の画像データを画像表示装置13に出力する。
【0037】
次に、図3を用いて、本実施形態における輪郭抽出手順の概略の一例を説明する。図3(a)のような入力画像201を取得し、取得した入力画像201にぼかし処理(平滑化)を行い、図3(b)のような平滑後画像データ202を生成する。次に、ぼかし処理した平滑後画像データ202をRGBの色空間成分に分離し、分離した各チャンネルの画像データを二値化する。二値化後、二値化画像データを用いて図3(c)のような初期輪郭画像データ203を生成する。一方、取得した入力画像201をグレースケール化した後、濃淡強調を行い図3(d)のような濃淡強調画像データ204を生成する。次に、初期輪郭画像データ203と濃淡強調画像データ204を用いて動的輪郭法で対象物205の輪郭データを抽出する。次に、輪郭データを用いて、図3(e)のような入力画像から背景を除去した対象物205の画像データを抽出する。
【0038】
次に、平滑化(ぼかし処理)を行う優位性の一例を、図4と図5を用いて説明する。図4(a)は、模様が複雑な対象物を含む入力画像の一例である。図4(b)は、図4(a)を二値化処理で生成した初期輪郭画像データの一例である。図4(a)のように対象物の模様が複雑な場合、この画像データをそのまま一般的な二値化処理で初期輪郭画像データの生成を行うと図4(b)のようになり、非常に多くのデータを含んでいる。図4(b)の画像データを初期輪郭に用いてsnake法で輪郭を抽出した場合、初期輪郭画像データに含まれる線分の総長が長いため、計算回数が増大し、結果として輪郭の抽出時間が増大する。
一方、図4(a)の入力画像にガウシアン・フィルタによる平滑化処理を3回行うと、図5(a)のように入力画像がぼける。この図5(a)の画像データから初期輪郭画像データを生成すると、図5(b)のように図4(b)に対して模様データを削減した初期輪郭画像データを生成することができる。また、このように入力画像をぼかした状態においても、図5(b)のように初期輪郭画像データは、動的輪郭法で対象物の輪郭を抽出可能な対象物の輪郭を構成する成分の情報を含んでいる。この図5(b)の初期輪郭画像データを用いて輪郭を抽出した方が、図4(b)の初期輪郭画像データを用いて輪郭を抽出するより高速に処理を行える。
すなわち、入力画像に対して、適切な手法で適切な回数の平滑化を行うことで、輪郭抽出の演算量を削減でき、この結果、輪郭抽出を高速に行うことができる。
【0039】
次に、輪郭抽出方法を図6の初期輪郭画像データの生成手順図と、図7〜図11のフローチャートを用いて説明する。図6は、初期輪郭画像データの生成手順の概略を示す図である。図7は、輪郭抽出手順を説明するフローチャートであり、図8と図9は、初期輪郭画像データの生成手順のフローチャートであり、図10は各色空間成分のマスクデータ生成手順のフローチャートであり、図11は、濃淡強調手順のフローチャートである。本実施形態では、入力画像はカラー画像であり、外部設定値により、色空間分離手法はRGBが指示され、平滑化手法はガウシアン処理が指示され、濃淡強調処理を行うように指示されている場合について説明する。
【0040】
まず、外部設定値読み込み部101は、輪郭抽出処理に用いる各種の設定である外部設定値を取り込む(ステップS1)。また、外部設定値読み込み部101は、取り込んだ外部設定値を平滑化部103と色空間分離部104と濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する。
【0041】
次に、輪郭抽出装置10は、初期輪郭画像データの生成処理を行う(ステップS2)。ステップS2の初期輪郭画像データの生成処理手順を、図8と図9のフローチャートと図6を用いて説明する。まず、画像データ取り込み部102は、カメラ11が撮像した図6に示す入力画像301を取り込む(ステップS101)。また、画像データ取り込み部102は、取り込んだ入力画像301を平滑化部103とグレースケール変換部108と輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0042】
平滑化部103は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像301と、外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値を取り込む。また、二値化部103は、取り込んだ外部設定値から平滑化手法や平滑化の各種パラメータを読み出す。読み出した外部設定値に基づき、平滑化部103は、入力画像301に対して、ガウシアン処理を外部設定値で設定されている回数、例えば3回行う(ステップS102〜S104)。
【0043】
外部設定値の指示回数のガウシアン処理を終了した後、平滑化部103は、ガウシアン処理を行った図6に示す平滑後画像データ311を平滑部103に書き込んで記憶させる(ステップS105)。また、平滑化部103は、平滑後画像データ311を読み出し、色空間分離部104に出力する(ステップS105)。
【0044】
次に、色空間分離部104は、平滑化部103が平滑化した平滑後画像データ311と外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値を取り込む。また、色空間分離部104は、取り込んだ外部設定値から色空間分離手法の種類を読み出す。また、色空間分離部104は、外部設定値に基づき、画像データ311を一般的な手法を用いてRGBの各チャンネルの画像データに分離する(ステップS106)。また、色空間分離部104は、分離したRGBの各チャンネルの図6に示す画像データ(321、322、323)を色空間成分二値化部105に出力する。
【0045】
次に、色空間成分二値化部105は、色空間分離部104が分離したRGBの各チャンネルの画像データ(321、322、323)を取り込む。また、色空間成分二値化部105は、取り込んだRGBの各チャンネルの画像データ(321、322、323)に対して、チャンネルごとに輪郭マスク処理を行う(ステップS107〜S108)。
【0046】
ステップS107〜S108のチャンネルごとの輪郭マスク処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、RGBのチャンネルごとの輪郭マスク処理は、同一のステップS301〜S306の処理を行うため、重複する箇所の説明は省略する。
まず、Rチャンネルの輪郭マスク処理について説明する。色空間成分二値化部105は、取り込んだRチャンネルの画像データ321のヒストグラムを生成する(ステップS301)。
【0047】
次に、色空間成分二値化部105は、生成したヒストグラムを用いて、例えば大津の閾値判定手法を用いて、二値化の閾値を算出する(ステップS302)。
【0048】
次に、色空間成分二値化部105は、算出した閾値を用いて、Rチャンネルの画像データ321を二値化する(ステップS303)。また、色空間成分二値化部105は、二値化した画像データを初期輪郭生成部106に出力する。
【0049】
次に、初期輪郭生成部106は、色空間成分二値化部105が二値化した画像データ(以後、二値化画像データという)321を取り込む。また、初期輪郭生成部106は、取り込んだ二値化画像データの中心部の画素331が黒画素、すなわち画素値PR=0であるか、白画素PR=1であるか判定する(ステップS304)。
二値化画像データの中心部の画素331が黒画素(画素値PR=0)と判定した場合(ステップS304;0)、初期輪郭生成部106は、二値化画素データ321のすべての画素値の0と1を入れ替えて、白黒を反転した画像データを生成する(ステップS305)。また、初期輪郭生成部106は、反転した二値化画像データを輪郭マスク画像データとして画素値記憶部107に書き込んで記憶させる。
また、二値化画像データの中心部の画素321が白画素(画素値PR=1)と判定した場合(ステップS304;1)、初期輪郭生成部106は、二値化画素データの反転は行わず、そのまま二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
Rチャンネルの画像データ321の場合、初期輪郭生成部106は、二値化画像データの中心部の画素331を白画素と判定し、二値化画素データの反転は行わず、そのまま二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
【0050】
Gチャンネルの画像データ322の場合、ステップ301〜ステップ306まで同様の処理が行われ、初期輪郭生成部106は、二値化画像データの中心部の画素332を白画素と判定し、二値化画素データの反転は行わず、そのまま二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
【0051】
Bチャンネルの画像データ323の場合、ステップ301〜ステップ306まで同様の処理が行われ、初期輪郭生成部106は、二値化画像データの中心部の画素333を黒画素と判定し、反転した二値化画像データを輪郭マスク画像データとして初期輪郭生成部106に書き込んで記憶させる。
【0052】
二値化画像データの中心部の画素が黒画素か白画素かを判定して、二値化画像データの白黒反転を行う理由について図6を用いて説明する。図6において、RGB各チャネルに分離後、二値化した画像データが、Rチャンネル画像データ321、Gチャンネル画像データ322、Bチャンネル画像データ323である。図6において、対象物の色は青色であるため、RGB各チャネルに分離後、二値化すると、Bチャンネル画像データ323は背景だけではなく、対象物の画素値PBも0、すなわち黒で表されてしまう。これらの画像データ321〜323を重ね合わせると、画像データ343のような画像になる。すなわち、対象物が画素値=0(黒画素)で表され、対象物を抽出する初期輪郭画像データの生成が行いにくくなる。抽出する対象物は、入力画像の中心部に含まれていると仮定し、画像データの中心部の画素値が0の場合、二値化により対象物が黒画素に生成されていると判定し、画像データ全体の画素を白黒反転することで対象物の画素値を1に設定し直している。これらの処理により、RGB各チャネルの画像データを重ね合わせても画像データ341のように対象物の画素値=1を維持できる。
【0053】
図8のフローチャートに戻り、初期輪郭生成部106は、記憶したRGB各チャネルの各輪郭マスク画像データを読み出し、読み出したRGBの各輪郭マスク画像データを重ね合わせ、重ね合わせた画像データ341を生成する(ステップS110)。また、初期輪郭生成部106は、重ね合わせた画像データと、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)を画素値記憶部108に書き込んで記憶させる(ステップS111)。
分解したRGBの各輪郭マスク画像データを重ねる理由は以下である。例えば、対象物の中心部のみが青(B)の場合、ステップS304の判定によりBチャンネルの画像データ323全体の白黒反転が行われる。この場合、例えば、分解したBチャンネルのみを使用して初期輪郭画像データを生成すると、初期輪郭画像データが適正に生成できない。このため、RGBの各輪郭マスク画像データを重ね合わせることで、1チャンネルのみで初期輪郭画像データを生成する誤検出を防ぐことができので、適正に初期輪郭画像データを生成できる。
【0054】
次に、図9のフローチャートに移り、初期輪郭生成部106は、重ね合わせた画像データのすべての画素について、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)の合計値=3か否かの判定を繰り返す(ステップS201〜S204)。
RGB各チャネルの画素値の合計値=3以外の場合(ステップS202;No)、その画素のRGB各チャネルの各画素値に0を代入し、すなわち黒画素にする(ステップS203)。すなわち、PR=0、PG=0、PB=0を代入し、画素値記憶部108に記憶されている画素値を書き換える。
RGB各チャネルの画素値の合計値=3、すなわち、すべての画素が白画素の場合(ステップS202;Yes)、RGB各チャネルの各画素値PR、PG、PBの値は変更しない(ステップS203)。
【0055】
すべての画像データについて画素値の処理が終了後、初期輪郭生成部106は、画素値記憶部107に記憶されているRGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)を読み出して初期輪郭画像データを生成する。また、初期輪郭生成部106は、生成した初期輪郭画像データを初期輪郭生成部106に書いて記憶させる(ステップS205)。
初期輪郭画像データの生成は、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)のうち少なくとも1つが0、すなわち黒画素の場合、初期輪郭生成部106は、その画素の画素値を0にして、初期輪郭画像データを生成する。また、RGB各チャネルの画素値(PR,PG,PB)がすべて1、すなわち白画素の場合、初期輪郭生成部106は、その画素の画素値を1に設定して、初期輪郭画像データ351を生成する。
【0056】
また、初期輪郭生成部106は、生成した初期輪郭画像データ351を濃淡強調部109と輪郭抽出部110に出力する(ステップS206)。
以上で、ステップS2の初期輪郭画像データの生成処理を終了する。
【0057】
図7のフローチャートに戻り、濃淡強調部109は、濃淡強調処理を行う(ステップS3)。濃淡強調処理手順について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
濃淡強調部109は、外部設定値取り込む部101が取り込んだ外部設定値を取り込む。また、濃淡強調部109は、取り込んだ外部設定値から濃淡強調処理を行うか否かの指示や濃淡強調処置の各種パラメータを読み込む。濃淡強調処理を行う指示の場合、読み込んだ濃淡設定のパラメータに基づき、ステップS401〜ステップS410の処理を行い、濃淡強調処理を行なわない指示の場合、濃淡強調処理は行わず、ステップS4に進む。
濃淡強調処理を行う指示の場合、グレースケール変換部108は、画像データ取り込む部102が取り込んだ入力画像を取り込み、取り込んだ入力画像が、カラー画像データかグレースケール画像データかを判定する。また、グレースケール変換部108は、入力画像をカラー画像データと判定した場合、入力画像を一般的な手法で256階調のグレースケール画像データに変換し、変換したグレースケール画像データをグレースケール変換部108に書き込んで記憶させる(ステップS401)。
【0059】
次に、グレースケール変換部108は記憶するグレースケール画像データを濃淡強調部109に出力する(ステップS402)。さらに初期輪郭生成部106が生成した初期輪郭画像データを取り込む(ステップS402)。
【0060】
次に、濃淡強調部109は、グレースケール変換部108が出力したグレースケール画像データと、取り込んだ初期輪郭画像データを用いて、グレースケール画像データのすべての画素についてステップS404〜ステップS410の処理を繰り返して濃淡強調を行い、濃淡強調した濃淡強調画像データを生成する。ステップS404〜ステップS410の処理は、濃淡強調処理の各種パラメータが、画素を濃くする(強調する)場合は画素値を1/2倍、画素を薄くする場合は画素値を2倍にする指示の例を説明する。
【0061】
次に、濃淡強調部109は、読み出したグレースケール画像データの中から、まだ読み出していない1つの画素を読み出す。また、濃淡強調部109は、読み出した1つの画素を、取り込んだ初期輪郭画像データと比較して、背景か対象物かを判定する(ステップS405)。
具体的な例を、図3を用いて説明する。図3のように初期輪郭画像データ203において、背景206の画素は黒画素(画素値=0)であり、対象物207の画素は白画素(画素値=1)を有している。濃淡強調部109は、グレースケール画像データの各画素を初期輪郭画像データの同一位置の各画素と比較する。濃淡強調部109は、比較の結果、初期輪郭画像データの画素値が0であれば背景と判定し、初期輪郭画像データの画素値が1であれば対象物であると判定する。
【0062】
ステップ405の判定の結果、読み出した画素が対象物であると判定した場合(ステップS405;1(対象物))、濃淡強調部109は、外部設定値に基づき、その画素の画素値を1/2倍することで画素値を薄くする(ステップS406)。
【0063】
ステップ405の判定の結果、読み出した画素が背景であると判定した場合(ステップS405;0(背景))、濃淡強調部109は、外部設定値に基づき、その画素の画素値を2倍することで画素値を薄くする(ステップS407)。
【0064】
また、濃淡強調部109は、ステップS407終了後、画素値が255より大きいか否かを判定する(S408)。
ステップS408の判定の結果、255以下であると判定した場合(ステップS407;false)、濃淡強調部109は、この画素の濃淡強調処理を終了し、まだ処理の終了していない画素があればすべての画素の濃淡強調処理が終了するまでステップS404〜ステップS410を繰り返す(ステップS410)。
ステップS408の判定の結果、255より大きいと判定した場合(ステップS407;true)、濃淡強調部109は、この画素値に255を代入し、この画素の濃淡強調処理を終了する。また、濃淡強調部109は、まだ処理の終了していない画素があればすべての画素の濃淡強調処理が終了するまでステップS404〜ステップS410を繰り返す(ステップS410)。
本実施形態において、入力画像を256階調のグレースケール画像データに変換しているため、ステップS408〜ステップS409の処理で、255より大きな値はすべて255を代入し、すべての画素値が256階調に収まるようにしている。
【0065】
すべての画素について濃淡強調処理が終了後、濃淡強調部109は、濃淡強調処理が終了した画素値を用いて、濃淡強調画像データを生成し、生成した濃淡強調画像データを輪郭抽出部110に出力する。
以上で、ステップS3の濃淡強調処理を終了し、図7に戻る。
【0066】
次に、グレースケール変換部108は記憶するグレースケール画像データを輪郭抽出部110に出力する。また、輪郭抽出部110は、外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値と、初期輪郭生成部106が出力する初期輪郭画像データと、グレースケール変換部108が出力するグレースケール画像データと、濃淡強調部109が生成した濃淡強調画像データを取り込む。また、輪郭抽出部110は、取り込んだ外部設定値から動的輪郭手法の種類とsnake処理の各種パラメータを読み出す。また、輪郭抽出部110は、読み出したsnake処理の各種パラメータと、初期輪郭画像データを用いて、濃淡強調画像データから既知であるsnake法で輪郭データの抽出を行う(ステップS4)。また、輪郭抽出部110は、抽出した輪郭データを輪郭抽出結果出力部111に出力する。
【0067】
次に、輪郭抽出結果出力部111は、画像データ取り込み部102が取り込んだ入力画像と、輪郭抽出部110が抽出した輪郭データを取り込む。また、輪郭抽出結果出力部111は、取り込んだ入力画像から輪郭データを用いて、背景領域を除去した対象物の画像データを抽出する。また、輪郭抽出結果出力部110は、抽出した対象物の画像データを画像表示装置13に出力する(ステップS4)。
【0068】
画像表示装置13は、輪郭抽出結果出力部111から取り込んだ輪郭抽出結果のデータを表示する。
以上で、入力画像から対象物の輪郭抽出処理を終了する。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、入力画像に対して平滑化を行い、平滑化後に色空間成分に分離後に二値化し、二値化後の各色空間成分を合成して初期輪郭画像データを生成するようにした。さらに入力画像に対してグレースケール変換を行い、グレースケール変換後に初期輪郭画像データを用いて背景と対象物の濃淡強調処理を行い、濃淡強調処理により濃淡強調画像データを生成するようにした。そして、生成した初期輪郭画像データを用いて、濃淡強調画像データから動的輪郭法の1つであるsnake法で入力画像から対象物の輪郭を抽出するようにしたので、背景や対象物が異なっても適切な初期輪郭を入力画像から生成できる。このため、動的輪郭法で輪郭抽出を行う収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を実現することができる。
また、取得した画像が不鮮明な場合においても、入力画像をグレースケールに変換し、グレースケール変換後に濃淡強調処理を行った後、濃淡強調処理後の画像データから初期輪郭を用いて輪郭データを抽出するようにしたので、動的輪郭法で輪郭抽出を行う収束演算回数を減少し、抽出時間の高速化を可能行うことが可能になる。
【0070】
さらにまた、本実施形態によれば、予め対象物が写っていない背景画像を取得し、この背景画と入力画像を比較して初期輪郭を生成して対象物の輪郭を抽出しなくても、撮像した画像から適正な初期輪郭を自動的に生成することが可能になる。さらにまた、本実施形態によれば、予め取得してある対象物を正面から撮像した標準画像(背景無地か背景無し)、この標準画像から初期輪郭を生成して対象物の輪郭を抽出しなくても、撮像した画像から適正な初期輪郭を自動的に生成することが可能になる。
【0071】
なお、本実施形態では、平滑化部103がガウシアン・フィルタを使って平滑化する例について説明したが、他の一般的なメディアン・フィルタ、バイラテラル・フィルタ、ブラー・フィルタ等を用いて平滑化を行っても良い。
【0072】
また、本実施形態では、平滑化部103の平滑回数を外部設定値取り込み部101が取り込んだ外部設定値で指定する例について説明したが、予め設定しておいた回数でも良く、または入力画像や対象物に応じて回数を設定するようにしても良い。この場合、例えば、高周波成分の大小や、ヒストグラムにおける成分の分布度合いなどから入力画像の複雑さを判定して、複雑な画像データに対して平滑化回数を増やすようにしても良い。また、このようにして算出した結果、平均化回数が例えば1回であった場合、平均化処理を行わずに色空間分離を行うようにしても良い。
【0073】
また、本実施形態では、平滑後画像データを平滑化部103に記憶する例について説明したが、図示しない輪郭抽出装置の図示しないCPU(中央演算装置)に接続されたROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)もしくはUSB(Universal Serial Bus) I/Fを介して接続されるUSBメモリー等の記憶装置に書き込んで記憶させても良い。
【0074】
また、本実施形態では、色空間成分二値化部105および初期輪郭生成部106をそれぞれ1つで行う例を説明したが、分離する色空間の手法に応じて、例えばRGBに分離する場合、RGBそれぞれの色空間成分二値化部105、あるいはRGBそれぞれの初期輪郭生成部106を有するようにしても良い。
【0075】
また、本実施形態では、色空間成分二値化部105は、大津の閾値選定手法で設定する例について説明したが、他の一般的な閾値選定手法を用いても良い。
【0076】
また、本実施形態では、初期輪郭生成部106は、RGBの各チャンネルの色空間成分に分離後、分離した画像データを二値化し、二値化した各チャンネルの画像データを合成して初期輪郭画像データを生成する例を説明したが、各チャンネルの合成手法は重み付けなどを用いても良い。図6のような場合、例えば、各チャンネルのヒストグラムを生成して、生成したヒストグラムに基づき、各成分の分離度合いが高いと思われるRチャンネルの画像データ321の重み付けを一番高くして合成する。または、各チャンネルの画像データのうちどれか1つを用いて初期輪郭画像データを生成するようにしても良い。
【0077】
また、本実施形態では、初期輪郭画像データをそのままsnake法で輪郭抽出する例を説明したが、対象物の初期輪郭画像データに穴状の黒領域がある場合、例えば図6の黒画素による小領域352を、初期輪郭生成部106が一般的なラベリング処理の手法などにより抽出する。さらに、初期輪郭生成部106は、抽出した穴状の黒画素領域を白画素に変換することで、対象物内の周辺を白画素で囲まれた黒画素の小領域である穴状の黒画素を白画素で埋めることができ、さらに高速に輪郭抽出を行える初期輪郭を生成することができる。
【0078】
また、周辺を黒画素で囲まれた白画素の小領域は、初期輪郭画像データからみればノイズであり、背景にこのようなノイズである場合、同様に初期輪郭生成部106が一般的なラベリング処理の手法などにより抽出する。さらに、初期輪郭生成部106は、抽出したノイズの白画素領域を黒画素に変換することで、背景のノイズとなる白画素を黒画素に変換することで除去することができ、さらに高速に輪郭抽出を行える初期輪郭を生成することができる。
【0079】
また、本実施形態では、濃淡強調処理について、背景の画素を薄くし、対象物を濃くすることで濃淡強調を行う例について説明したが、この手法は背景が明るく対象物が暗い入力画像に有効である。このため、背景が暗く、対象物が明るい入力画像を考慮し、濃淡強調部109は、グレースケール画像データと初期輪郭画像データを用いて、グレースケール画像データで背景と判定した領域の画素値の平均値と、グレースケール画像データで対象物と判定した領域の画素値の平均値を算出する。次に、濃淡強調部109は、算出したそれぞれの画素値の平均値に基づき、背景か対象物のどちらの画素領域の方が明るいかを判定し、この判定結果に基づき、明るい方をより明るく(薄く)、暗い方をより暗く(濃く)する乗数を算出して濃淡強調処理を行うことで、さらに多様な条件での輪郭抽出が可能になる。
【0080】
また、本実施形態では、色空間成分に分離した各チャンネルの二値化画像データについて、入力画像の中心部の画素値が黒画素か白画素かを判定して、各チャンネルの二値化画像データの白黒を反転する例について説明したが、判定に用いる中心部の画素は1画素でなくても中心付近の複数画素を用いて判定しても良い。また、二値化画像データの中心部は、二値化画像データの図心や重心でも良い。または二値化画像データに対してラベリング処理を行い、各ラベルの重心位置を求めて、重心位置が二値化画像データの画像中心にもっとも近い領域の画素値を抽出し、この画素値を1、すなわち白になるように白黒反転を行う判定を行うようにしても良い。
【0081】
また、本実施形態では、画像データ取り込み部103が出力する入力画像に初期輪郭画像データを用いて濃淡強調処理を行って濃淡強調画像データを生成し、濃淡強調画像データから初期輪郭画像データを用いて輪郭データを抽出する例について説明したが、入力画像や対象物に応じて、入力画像から初期輪郭画像データを用いて輪郭抽出を行うようにしても良い。
【0082】
また、本実施形態では、生成した初期輪郭画像データを動的輪郭法の1つであるsnake法で用いて輪郭を抽出する例について説明したが、他の動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行っても良く、また別の輪郭抽出方法を用いて輪郭抽出を行っても良い。さらにまた、生成した初期輪郭画像データを、例えば抽出したい対象物の範囲の限定に利用し、この初期輪郭画像データを図形認識における特徴点の抽出などを行う場合の領域指定に使用しても良い。
【0083】
なお、実施形態の図1の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0084】
10・・・輪郭抽出装置
11・・・カメラ
13・・・画像表示装置
101・・・外部設定値取り込み部
102・・・画像データ取り込み部
103・・・平滑化部
104・・・色空間分離部
105・・・色空間成分二値化部
106・・・初期輪郭生成部
107・・・画素値記憶部
108・・・グレースケール変換部
109・・・濃淡強調部
110・・・輪郭抽出部
111・・・輪郭抽出結果出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、
入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離部と、
前記色空間分離部が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化部と、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成部と、
前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出部と、
を備えることを特徴とする輪郭抽出装置。
【請求項2】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像中心部の画素が、白画素か黒画素かを判定し、黒画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データを白黒反転した画像データに基づいて前記初期輪郭画像データを生成し、白画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データに基づいて前記第一初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の輪郭抽出装置。
【請求項3】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データのうち少なくとも1つを用いて前記初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輪郭抽出装置。
【請求項4】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データを合成して前記初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項5】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに対して色空間成分毎に重み付けした後、重み付けした前記色空間成分を合成して初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項6】
前記色空間分離部が色空間成分に分離する前に、前記入力画像に対して平滑処理を行う平滑処理部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項7】
前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づき判定し、判定した結果に基づき、
背景の画素値を1以上の値で定数倍して画素を薄くし、あるいは対象物の画素値を1以下の値で定数倍して画素を濃くすることで濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部と、
をさらに備え、
前記輪郭抽出部は、
前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項8】
前記濃淡強調部は、
背景の画素値を1以上の値で定数倍し、対象物の画素値に前記背景に乗じた値の逆数を乗じる
ことを特徴とする請求項7に記載の輪郭抽出装置。
【請求項9】
前記濃淡強調部は、
前記グレースケール化した画像データから生成したヒストグラムに基づき、コントラストに応じて対象物の画素値および背景の画素値に乗じる値を設定する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の輪郭抽出装置。
【請求項10】
前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づいて判定し、判定した結果に基づき、前記背景のすべての画素値の平均値と前記対象物のすべての画素値の平均値を算出して、算出した平均値を比較し、比較した結果に基づき背景と対象物のそれぞれの乗数を算出して、算出したそれぞれの乗数を用いて背景と対象物の濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部と、
をさらに備え、
前記輪郭抽出部は、
前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項11】
動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置の輪郭抽出方法において、
色空間分離部が、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、
色空間成分二値化部が、前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、
初期輪郭生成部が、前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、
輪郭抽出部が、前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程と、
を備えることを特徴とする輪郭抽出方法。
【請求項12】
コンピューターに、
入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、
前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、
前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、
前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程と、
を実行させるための輪郭抽出プログラム。
【請求項1】
動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置において、
入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離部と、
前記色空間分離部が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化部と、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成部と、
前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出部と、
を備えることを特徴とする輪郭抽出装置。
【請求項2】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像中心部の画素が、白画素か黒画素かを判定し、黒画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データを白黒反転した画像データに基づいて前記初期輪郭画像データを生成し、白画素と判定した場合、二値化後の前記各色空間成分の画像データに基づいて前記第一初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の輪郭抽出装置。
【請求項3】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データのうち少なくとも1つを用いて前記初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輪郭抽出装置。
【請求項4】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データを合成して前記初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項5】
前記初期輪郭生成部は、
前記色空間成分二値化部が二値化した各色空間成分の画像データに対して色空間成分毎に重み付けした後、重み付けした前記色空間成分を合成して初期輪郭画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項6】
前記色空間分離部が色空間成分に分離する前に、前記入力画像に対して平滑処理を行う平滑処理部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項7】
前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づき判定し、判定した結果に基づき、
背景の画素値を1以上の値で定数倍して画素を薄くし、あるいは対象物の画素値を1以下の値で定数倍して画素を濃くすることで濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部と、
をさらに備え、
前記輪郭抽出部は、
前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項8】
前記濃淡強調部は、
背景の画素値を1以上の値で定数倍し、対象物の画素値に前記背景に乗じた値の逆数を乗じる
ことを特徴とする請求項7に記載の輪郭抽出装置。
【請求項9】
前記濃淡強調部は、
前記グレースケール化した画像データから生成したヒストグラムに基づき、コントラストに応じて対象物の画素値および背景の画素値に乗じる値を設定する
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の輪郭抽出装置。
【請求項10】
前記入力画像をグレースケール化し、前記グレースケール化した画像データの各画素が背景を構成する画素か対象物を構成する画素かを前記初期輪郭生成部が生成した初期輪郭画像データに基づいて判定し、判定した結果に基づき、前記背景のすべての画素値の平均値と前記対象物のすべての画素値の平均値を算出して、算出した平均値を比較し、比較した結果に基づき背景と対象物のそれぞれの乗数を算出して、算出したそれぞれの乗数を用いて背景と対象物の濃淡強調を行い、濃淡強調画像データを生成する濃淡強調部と、
をさらに備え、
前記輪郭抽出部は、
前記濃淡強調部が生成した前記濃淡強調画像データから前記初期輪郭生成部が生成した期輪郭画像データを用いて前記入力画像の輪郭を抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の輪郭抽出装置。
【請求項11】
動的輪郭法を用いて輪郭抽出を行う輪郭抽出装置の輪郭抽出方法において、
色空間分離部が、入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、
色空間成分二値化部が、前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、
初期輪郭生成部が、前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、
輪郭抽出部が、前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程と、
を備えることを特徴とする輪郭抽出方法。
【請求項12】
コンピューターに、
入力画像を複数の色空間成分に分離する色空間分離工程と、
前記色空間分離工程が分離した各色空間成分を二値化する色空間成分二値化工程と、
前記色空間成分二値化工程が二値化した各色空間成分の画像データに基づいて、初期輪郭画像データを生成する初期輪郭生成工程と、
前記初期輪郭生成工程が生成した初期輪郭画像データを用いて前記入力画像中に含まれる図形の輪郭を動的輪郭法で抽出する輪郭抽出工程と、
を実行させるための輪郭抽出プログラム。
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図12】
【図13】
【図2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−76302(P2011−76302A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226089(P2009−226089)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
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