説明

輸液ポンプ

【課題】外径の異なる輸液チューブに対応可能な輸液ポンプを提供する。
【解決手段】本体部200と、開閉可能なドア部110とを備え、ドア部が本体部に対して閉状態となることで輸液チューブ103が本体部に固定される輸液ポンプ100であって、対向する第1及び第2の側壁部と、第1及び第2の側壁部により形成される側面304a及び304bと、側面をつなぐ底面304cとで構成された溝部を有し、ドア部を閉状態とすることで溝部の開口部より装着された輸液チューブが溝部304に固定される固定部304と、固定部の第1の側壁部の内部に配置され、輸液チューブに向かって気泡を検出するための検出信号を発信する発信部305と、発信部から発信され輸液チューブを通る検出信号を受信するように、第2の側壁部の内部に配置された受信部306と、を備え、固定部では、底面の幅が開口部の幅より短く形成されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液ポンプに関し、特に輸液チューブ内の輸液に含まれる気泡を検出する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、輸液バッグが接続された輸液チューブを複数のフィンガにより順次押圧することで輸液を行う蠕動式輸液ポンプ(以下、単に輸液ポンプと称す)が知られている。図6(A)に示されるように、輸液ポンプ10は、各種操作部及び表示部が配された開閉可能なドア部12と、輸液チューブを順次押圧するためのフィンガが送液方向に複数配列された本体部11とを備えており、ドア部12を開いた状態で、輸液チューブ13を本体部11にセットした後に、ドア部12を閉じることで、当該輸液チューブ13が輸液ポンプに固定される構成となっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
輸液は一般的に血管に注入される。そのため、輸液チューブ内を輸送される輸液の中に気泡が含まれると、その気泡は血管の中に入ってしまい、血流を妨害し得る。したがって、体内に注入される輸液はその中に気泡が含まれていないことを確認する必要がある。そこで、輸液チューブを本体部にセットするための機構として、従来の輸液ポンプには、本体部の上方部に、輸液チューブ内の気泡を検出するための気泡検出センサが内蔵された溝部が配されている。
【0004】
図6(B)は、そのような、溝部と気泡検出センサの一般的な構成を説明する図である。図6(B)は、輸液ポンプ10のドア部12が開かれ、固定部14に輸液チューブ13(以下、チューブ13と記載する場合もある)が固定された状態を示す平面図である。固定部14は、チューブが嵌められる溝部を形成するべく、本体から突出した側壁部14a及び14bを有する。すなわち、チューブ13は、本体11に配置された、固定部14a及び14bに挟まれるように挿入される。チューブ13を挟む側壁部14a及び14bには、チューブ13内の気泡を検出するための超音波を発振する発振素子15と、超音波を受信する受信素子16とがそれぞれ配置されている。発振素子15から発信された超音波は、チューブ13及びその中を通る液体によって伝導され、受信素子16に届く。しかし、気泡に含まれる空気は液体に比べ音波の伝導率が低い。そのため、チューブ13の中に気泡が発生すると、発振素子15から発振された超音波は、受信素子16まで伝導されなくなり、気泡の存在が確認される。したがって、超音波が通る発振素子15と受信素子16との間には、気泡以外に空気が存在する空間があってはならない。そのため、ドア部12にチューブ押え部17が配置される。ドア部12が閉ざされるとチューブ13はチューブ押え部17による圧力で変形し、固定部14の内部側壁に密着するようになる。
【0005】
以上のように、溝部は輸液チューブと気泡検出センサとの間の距離を一定に保ち、かつ、輸液チューブと溝部との間の隙間をなくすために、輸液チューブの外径に則した開口幅を有しており、これにより、当該気泡検出センサによる高い検出精度を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−58738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、市販される輸液チューブの径は統一されておらず、メーカやモデルによって様々な径のチューブが使用されている。従来の輸液ポンプ10の固定部14には、既定の径を持つチューブのみに対応するように溝部が構成されているため、径の異なるチューブを用いると、図7に示されたような問題が発生し得る。図7(A)は、輸液ポンプ10に規定のチューブ径より小さい径を持つチューブ13aを使用した場合に起こり得る問題を示している。チューブ13aの径は、固定部14の幅より細いため、固定部14に挿入されても固定されず、固定部16による圧力がかかってもその変形が充分でなく、チューブ13aと発振素子15との間、チューブ13aと受信素子16との間、又はその両方に空間が空いてしまう恐れがある。そのような空間は、受信素子15によって気泡と解釈され、気泡の誤検出(エラー)につながり得る。
【0008】
他方、図7(B)は、輸液ポンプ10の規定のチューブ径より大きい径を持つチューブ13bを使用した場合に起こり得る問題を示している。チューブ13bの径は、固定部14の幅より太いため、挿入されると固定部14からはみ出るようになり得る。そのような状況では、ドア部12が閉まらなくなり得る。もしドア部12を強引に閉めても、チューブ押え部17によってチューブ10bが過剰に変形し、その変形した個所の断面が他の部位より非常に狭くなり、輸液の乱流やチューブ13bの破損などが発生し得る。
【0009】
このようなことから、外径の異なる輸液チューブを容易にセットでき、かつ、輸液チューブ内の気泡を検出センサが高精度に検出できるようにするための溝部を有する輸液ポンプの提供が望まれている。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、外径の異なる輸液チューブに対応可能な輸液ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る輸液ポンプは以下のような構成を備える。
【0012】
すなわち、
本体部と、開閉可能なドア部とを備え、該ドア部が該本体部に対して閉状態となることで輸液チューブが該本体部に固定される輸液ポンプであって、
対向する第1及び第2の側壁部と、前記第1及び第2の側壁部により形成される第1及び第2の側面と、前記第1及び第2の側面をつなぐ底面とで構成された溝部を有し、前記ドア部を前記閉状態とすることで前記溝部の開口部より装着された前記輸液チューブが前記溝部に固定される第1の固定部と、
前記第1の固定部の前記第1の側壁部の内部に配置され、前記輸液チューブに向かって気泡を検出するための検出信号を発信する発信部と、
前記発信部から発信され前記輸液チューブを通る前記検出信号を受信するように、前記第2の側壁部の内部に配置された受信部と、を備え、
前記第1の固定部では、前記底面の幅が前記開口部の幅より短く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外径の異なる輸液チューブに対応可能な輸液ポンプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る輸液ポンプ100の外観構成の一例を示す図である。
【図2】輸液ポンプ100のドア部を開いた状態を示す図である。
【図3】実施形態による固定部304の構成を示す拡大断面図である。
【図4】実施形態の固定部304におけるチューブの装着状態を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る輸液ポンプ600の外観構成の一例を示す図である。
【図6】一般的な輸液ポンプと、気泡検出センサの固定部の構成を説明する図である。
【図7】一般的な気泡検出センサの固定部において生じる課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
1.輸液ポンプの外観構成
図1は、輸液チューブ103が固定された、本発明の一実施形態に係る輸液ポンプ100の外観構成の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、輸液チューブ103の送液方向上流側には、所定の薬液が収容された輸液バッグ161が接続され、また、送液方向下流側には、クレンメ(クランプ部材)162及び静脈刺針163が接続されている。そして、当該静脈刺針163が患者の静脈に刺針され、留置されることで、輸液バッグ161内の薬液が患者へと注入される。
【0018】
輸液ポンプ100は、不図示の本体部に開閉可能に取り付けられたドア部110を備え、ドア部110の表面には、各種情報が表示される表示部120と、操作スイッチ類が配列された操作部130と、ドアロックレバー140とが配されており、更に本体部の上面には動作インジケータ150が配されている。
【0019】
表示部120には、単位時間あたりの流量(送液速度)の設定値と実績値とが切り替えて表示される流量表示部121と、予定流量と積算流量とが切り替えて表示される予定量積算量表示部122と、各種アラーム情報が表示されるアラーム表示部123と、輸液チューブ103の閉塞圧力の設定レベルが「L」、「M」、「H」で表示される閉塞圧設定表示部124とが配されている。
【0020】
なお、アラーム表示部123には、更に、後述する気泡検出センサが、輸液チューブ103内の気泡を検出した場合に点灯する気泡検出表示部125と、輸液ポンプ100の内蔵バッテリの電圧が低下した場合に点灯するバッテリ電圧低下表示部126とが配されている。更に、輸液チューブ103の閉塞圧力が設定レベルに到達した場合に点灯する閉塞異常表示部127と、ドア部110が開状態になった場合に点灯するドア開状態表示部128と、輸液が完了した場合に点灯する完了表示部129とが配されている。
【0021】
一方、操作部130には、送液速度や予定流量を設定するためのアップダウンスイッチ131と、押圧されている間、設定された送液速度(mL/h)よりも高い送液速度での送液が可能となる早送りスイッチ132とが配されている。
【0022】
また、押圧されることで、輸液が開始される開始スイッチ134と、押圧されることで輸液が強制停止される停止スイッチ133と、本体部200の電源のON/OFFを指示するための電源スイッチ135とが配されている。
【0023】
なお、電源スイッチ135には、隣接して、商用電源または直流電源を使用する場合に点灯する電源ランプ136と、内蔵バッテリを充電中に点灯するとともに、内蔵バッテリの残量を表示するバッテリランプ137とが配されている。
【0024】
また、本体部の上面に配された動作インジケータ150には、輸液ポンプ100の送液状態を報知する機能が備えられており、送液中は緑色に回転点灯する一方、異常により送液が停止した場合には、赤色に点灯または点滅する。
【0025】
2.ドア部裏面及び本体部の構成
次に、輸液ポンプ100のドア部110裏面側の構成及び本体部200の構成について説明する。
【0026】
図2は、ドア部110が開状態である輸液ポンプ100の外観構成(輸液チューブ103をセットしていない状態の外観構成)を示す図である。図2において、201はドアベースであり、ヒンジ部202を介して本体部200の本体ベース211に回動可能に接続されている。これにより、ドア部110が本体部200に対して開閉自在となる。
【0027】
203はドアシールゴムであり、エラストマーにより形成され、ドア部110の閉状態において、本体部200の内部に薬液が浸入するのを防止する。
【0028】
307はチューブ押え部であり、ドアベース201を閉じたときに輸液チューブ100を不動状態にすることで正確な気泡検出を行えるようにしている。
【0029】
204はバッファプレート機構であり、ドア部110の閉状態で、後述する複数のフィンガによって輸液チューブ103が順次押圧された際に、該輸液チューブ103の背面をドア部側から支持する。205は閉塞押え板であり、ドア部110の閉状態で、後述する閉塞センサとの間で輸液チューブ103を挟持する。
【0030】
本体部200において、固定部301はチューブを固定するための溝部を形成する側壁を有し、側壁には、輸液チューブ内の気泡の有無を検出する気泡検出センサ(不図示)が配されている。なお、固定部301の詳細構成は後述するものとする。
【0031】
213はポンプ機構であり、輸液チューブ103を順次押圧し、圧閉する複数のフィンガ214−1〜214−5が送液方向に配列されている。
【0032】
215は閉塞センサであり、永久磁石と、該永久磁石の移動量をアナログ的に検出するためのピックアップとから構成されている。閉塞センサ215では、輸液チューブ103の閉塞状態に伴う内圧変化に応じて移動した永久磁石の移動量を検出することで、閉塞状態を検出する。
【0033】
216はチューブクランプ保持部であり、輸液チューブ103に取り付けられたクランプを保持するとともに、ドア部110が開状態となった場合に、当該クランプに対して、輸液チューブを一時的に圧閉するための押圧力を付加する。
【0034】
217は解除レバーであり、当該解除レバー217が操作されることで、チューブクランプ保持部216によるクランプに対する押圧力の付加が解除(つまり、クランプによる輸液チューブの圧閉が解除)される。
【0035】
218は規定部であり、輸液チューブ103が本体部200にセットされた際に、輸液チューブの幅方向の位置を規定する。219は、輸液ポンプ100を持ち運ぶ際にユーザが把持するためのハンドルである。
【0036】
3.固定部304の構成
図3は、本発明の一実施形態にかかる輸液ポンプ100の本体部200側に配置された固定部304を示す図である。参考のため、従来の固定部14を、本発明の固定部304に重ねて点線で示している。輸液ポンプは、本体部200とドア部110で構成されており、固定部304は本体部200側に、チューブ押え部307はドア部110側に夫々設けられている。固定部304は、第1の側壁部の表面である側面304aと、第1の側壁部に対面する第2側壁部の表面である傾斜側面304bと、底面304cで構成された溝であり、底面304cの反対側(ドアベース201と対向する側)には固定部304の開口部がある。側面304aは、第1の側壁部によって形成され、底面304cに対して直角を成している平面であり、第1の側壁部の内部には気泡検出用の超音波を発振する発振素子305が、チューブ103が固定される固定部304の中央に向かって超音波を発振するように設けられている。傾斜側面304bは、第2の側壁部によって形成され、底面304cに対してΘの角度(例えば110°)を成している平面であり、第2の側壁部の内部には超音波を受信する受信素子306が、チューブ103からの超音波を受信するように固定部の中央に向かって設けられている。底面304cは、2つの側面304a及び304bにつながって溝形の固定部304を形成する平面であり、固定部304の開口部の反対側に位置している。
【0037】
なお、側面304aは、底面304cに対して直角を成しており、傾斜側面304bは、底面304cに対して角度Θを成す。ここで、角度Θは鈍角であり、好ましくは100〜145°である。固定部304の開口を大きくすれば装着可能なチューブの許容範囲を広げることができるが、傾斜側面304bの傾斜角が大きくなると発振素子305から出力される超音波の屈折が大きくなり検出に影響を及ぼす可能性がある。
【0038】
図示されているように、底面304cの幅と開口部の幅が異なるように溝部が形成される。側面304bに傾斜を持たせることによって、固定部304の幅はチューブの挿入方向に沿って(即ち、底面304cに向かって)狭くなっている。即ち、底面304cに近いほど、固定部304の幅は狭くなり、固定部304の開口部に近いほど、固定部304の幅は広くなる。本実施形態では、固定部304の開口部近辺における幅は4.0mmであり、側面304c近辺における幅は1.4mmであるように構成されている。
【0039】
側面304aの内部に配置された発振素子305は、側面304bに向けて超音波を発振するように配置されている。受信素子306は、発振素子305に対向して配置されており、チューブ103によって伝導される超音波を読み取る。側面304bが傾斜を持っているため、発振素子304aから発信された超音波は、チューブの中に流れる輸液とチューブとの境界、チューブと側面304bの境界、又はその両方において屈折するようになる。したがって、発振素子305と受信素子306との相対位置は、従来のもののように一列に並ぶように配置されず、少し位置をずらして配置される。本実施形態では、受信素子306の位置を発振素子305の位置より0.5mmほどチューブ挿入方向の反対方向にずらして、屈折をオフセットしている。
【0040】
なお、本実施形態で示された寸法は一例にすぎない。例えば、Θは必ずしも110°である必要はなく、本発明の実施を可能とする角度範囲内であればよい。本発明においては、超音波の屈折などを考量した上で最も適切であると思われる角度の範囲は、約100°〜約145°である。同様に、側面304a、304b及び底面304cの長さも、目的とするチューブ径の範囲によって変更できる。また、発振素子305に対する受信素子306相対的位置は、0.5mmである必要はなく、側面304bの傾斜角度や、輸液、チューブ、側面の屈折指数などに応じて適切に変更できる。つまり、側面304bに傾斜を持たせること、そして傾斜側面304bによる屈折を考慮して発振素子と受信素子との相対的位置を決定するという発想が本発明の特徴であって、その具体的な角度及び寸法などは本発明の特徴を理解した上で当業者が決定することのできるものである。
【0041】
4.異なる径のチューブへの対応
図4は、本実施形態による固定部304に異なる径を持つチューブ103を挿入した際の様子を表す断面図である。
【0042】
図4(A)は、従来の規定のチューブ径を持つチューブ103が本実施形態の固定部304に挿入された状態を示している。参考のため、従来の固定部及び変形されていないチューブ103の寸法が点線で示されている。チューブ103は、チューブ押え部307からかかる圧力によって変形し、側面304a及び304bに密着するようになり、正確な気泡の検出を可能とする。
【0043】
発振素子305から発振された超音波は、チューブ103と側面304aとの境界を90°の角度で通過する。したがって、チューブ103と側面304aとの境界においては超音波の屈折は起こらない。超音波は輸液を通過し、輸液とチューブ103との境界、チューブ103と側面304bとの境界、又はその両方において屈折され得る(境界をなす2つの物質の屈折指数が同じ場合は、屈折は発生しない)。既述したように、受信素子306は、発振素子305に対してチューブ挿入方向の反対方向に約0.5mmずれているため、屈折による超音波の進行方向の変動に対応できるようになっている。
【0044】
図4(B)は、従来の規定のチューブ径より小さい径を持つチューブ103aが本実施形態の固定部304に挿入された状態を示している。参考のため、従来の固定部及び変形されていないチューブ103aの寸法が点線で示されている。従来の固定部はその幅がチューブ103aの径より大きいため、チューブ103aを変形させることができず、チューブ103aと固定部の側面との間に空間が生じてしまう。
【0045】
それに比べ、本実施形態の固定部304は、チューブの挿入方向に沿ってその幅が狭くなるため、底面304c近辺の固定部304の幅は従来の固定部104の幅より狭くなっている。したがって、ドア部110を閉じてチューブ押え部307でチューブ103aを押し込み、底面304cに接触させると、チューブ103aは変形し、側面304a及び304bに密着するようになる。このように、本実施形態の固定部に傾斜側面304bを持たせることで、チューブ103aと側面304a及び304bとの間に空間が空かなくなり、正確な気泡の検出を可能とする。
【0046】
図4(C)は、従来の規定のチューブ径より大きい径を持つチューブ103bが本実施形態の固定部304に挿入された状態を示している。参考のため、従来の固定部及び変形されていないチューブ103cの寸法が点線で示されている。従来の固定部に比べ、本発明の固定部304は挿入方向の反対側に向かって広がっているため、チューブ304bに対応できる広い幅を備えている。したがって、チューブ押え部307の横にはみ出る余分のチューブもチューブ押え部307内に収容でき、ドア部110が閉じられなくなるようなおそれは減少される。
【0047】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、輸液ポンプ300の固定部304の側面304bに傾斜を持たせることで、固定部304の幅を挿入方向において異なるように構成した。
【0048】
以上説明したように、本発明によれば、異なる径のチューブに対応できる気泡検出センサを備えた輸液ポンプを提供することが可能となった。
【0049】
なお、上記実施形態では、輸液チューブ103が縦向きに固定される輸液ポンプについて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、輸液チューブが横向きに固定される輸液ポンプであってもよい。
【0050】
図5は、輸液チューブが横向きに固定される輸液ポンプの一例を示す図である。以下、輸液チューブが横向きに固定される輸液ポンプについて簡単に説明する。
【0051】
図5(a)に示すように、ドア部620は、連結部621において送液部610と連結されており、矢印622方向に開閉可能に構成されている。
【0052】
ユーザインタフェース部630は、操作部630Aと表示部630Bとを備える。操作部630Aには、送液部610において送液を行う際に用いられる各種設定値を入力したり、送液の開始/終了等を指示するための操作スイッチや、輸液ポンプ600の電源のON/OFFを指示するための電源スイッチ等が配されている。
【0053】
また、表示部630Bは、操作部630Aより入力された各種設定値を表示したり、送液部610の送液状態を表示したりする。
【0054】
なお、本実施形態に係る輸液ポンプ600では、ユーザインタフェース部630が、ドア部620とは独立して配されているため、ドア部620の開閉状態に関わらず、ユーザは、表示部630Bを視認したり、操作部630Aを介して各種操作を行ったりすることができる。
【0055】
図5(b)は、ドア部620が開いた状態を示しており、輸液ポンプ600のドア部620の裏面側の構成及び送液部610の構成が図示されているが、図2と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
このように、上記実施形態において説明した固定部301及びチューブ押え部307は、輸液チューブ103が縦向きに固定される輸液ポンプであっても、横向きに固定されるポンプであっても適用可能である。
【0057】
なお、上記実施形態では、固定部301の側面304a、304b及び底面304cを平面で構成したが、曲面を用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10・・・輸液ポンプ、11・・・本体部、12・・・ドア部、13・・・輸液チューブ、14・・・固定部、15・・・発振素子、16・・・受信素子、17・・・チューブ押え部、100・・・輸液ポンプ、103・・・輸液チューブ、110・・・ドア部、120・・・表示部、130・・・操作部、200・・・本体部、213・・・ポンプ構造、215・・・閉塞センサ、216・・・チューブクランプ、218・・・規定部、304・・・固定部、304a、b・・・側面、304c・・・底面、305・・・発振素子、306・・・受信素子、307・・・押え部、600・・・輸液ポンプ、610・・・送液部、620・・・ドア部、630・・・操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、開閉可能なドア部とを備え、該ドア部が該本体部に対して閉状態となることで輸液チューブが該本体部に固定される輸液ポンプであって、
対向する第1及び第2の側壁部と、前記第1及び第2の側壁部により形成される第1及び第2の側面と、前記第1及び第2の側面をつなぐ底面とで構成された溝部を有し、前記ドア部を前記閉状態とすることで前記溝部の開口部より装着された前記輸液チューブが前記溝部に固定される第1の固定部と、
前記第1の固定部の前記第1の側壁部の内部に配置され、前記輸液チューブに向かって気泡を検出するための検出信号を発信する発信部と、
前記発信部から発信され前記輸液チューブを通る前記検出信号を受信するように、前記第2の側壁部の内部に配置された受信部と、を備え、
前記第1の固定部では、前記底面の幅が前記開口部の幅より短く形成されていることを特徴とする輸液ポンプ。
【請求項2】
前記第1の側面、前記第2の側面、及び前記底面は平面であり、
前記第1の側面は、前記底面に対して直角を成しており、前記第2の側面は、前記底面に対して鈍角を成していることを特徴とする、請求項1に記載の輸液ポンプ。
【請求項3】
前記鈍角は、100〜145°であることを特徴とする、請求項1に記載の輸液ポンプ。
【請求項4】
前記ドア部に設けられ、前記閉状態において前記第1の固定部に装着された前記輸液チューブを前記開口部の側から押圧して、前記輸液チューブが前記第1及び第2の側面と前記底面とに密着するように前記輸液チューブを変形させる第2の固定部を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の輸液ポンプ。
【請求項5】
前記発信部に対する前記受信部の位置は、前記第1の固定部の開口部方向にずらしてあることを特徴とする、請求項2または3に記載の輸液ポンプ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate