説明

輸液量調整装置

【課題】装置全体が大型化する事態を招来することなく、輸液量を調整することができる輸液量調整装置を提供すること。
【解決手段】中空内部7aが流路を構成し、かつ弾性材料から成る導管チューブ7を押圧して点滴液の流量を調整するようにした点滴量調整装置20において、アクチュエータ本体31より外方に突出する態様で設けてあり、かつアクチュエータの駆動により自身の軸心回りに回転するネジ部材36と、ネジ部材36の外周部に螺合し、かつネジ部材36の回転によりアクチュエータ本体31に対して近接離反する態様で変位するプレート状部材37とを備え、アクチュエータ本体31とプレート状部材37との間に導管チューブ7を配置し、プレート状部材37がアクチュエータ本体31に近接する態様で変位することにより導管チューブ7を押圧して点滴液の流量を調整するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液量調整装置に関し、より詳細には、例えば各種医療における点滴等に用いられ、かつ点滴量(輸液量)を調整することができる輸液量調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば各種医療における点滴等に用いられ、かつ点滴量(輸液量)を調整することができる輸液量調整装置として、次のようなものが知られている。すなわち、アクチュエータが駆動することで、中空内部が点滴液通過の流路と成る導管チューブに押圧用シャフトが近接する態様で変位し、この押圧シャフトが板バネを介した状態で該導管チューブを押圧することにより該流路の断面積を変化させて点滴液の流量を調整するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2757281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述したような特許文献1に提案されている輸液量調整装置では、押圧用シャフトを導管チューブに近接する態様で変位させて該導管チューブの流路の断面積を変化させていたので、押圧用シャフトのストローク量を確保した寸法が必要となり、これにより装置全体の大型化を招来していた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、装置全体が大型化する事態を招来することなく、輸液量を調整することができる輸液量調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る輸液量調整装置は、自身の中空内部が輸液通過の流路を構成し、かつ弾性材料から成る輸液チューブを押圧して、該流路の断面積を変化させることで輸液の流量を調整するようにした輸液量調整装置において、アクチュエータを有するアクチュエータ本体より外方に突出する態様で設けてあり、かつ該アクチュエータの駆動により自身の軸心回りに回転するネジ部材と、自身の内周部が前記ネジ部材の外周部に螺合し、かつ該ネジ部材の回転により前記アクチュエータ本体に対して近接離反する態様で変位するプレート状部材とを備え、前記アクチュエータ本体と前記プレート状部材との間に前記輸液チューブを配置し、前記プレート状部材が前記アクチュエータ本体に近接する態様で変位することにより該輸液チューブを押圧して輸液の流量を調整することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る輸液量調整装置は、上述した請求項1において、前記アクチュエータは、電動モータと、前記電動モータの駆動軸に取り付けた駆動ギヤと、前記駆動ギヤをサンギヤとして歯合し、自身の軸心回りに回転可能、かつ前記駆動ギヤの軸心回りに公転可能に配設したプラネタリギヤと、前記駆動ギヤの軸心回りに回転可能に配設し、ギヤ部を介して前記プラネタリギヤに歯合する出力ギヤとを備え、前記出力ギヤの回転を駆動源として前記ネジ部材を回転させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る輸液量調整装置は、上述した請求項1又は請求項2において、前記アクチュエータ本体は、先端部が前記プレート状部材に取り付けられ、かつ前記ネジ部材と平行となる態様で設けられたガイド軸を挿通可能に支持する軸受部を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る輸液量調整装置は、上述した請求項1〜3のいずれか1つにおいて、傾斜角度検知手段を通じて検知された装置全体の傾斜角度が予め決められた閾値を超える場合に、前記アクチュエータは、前記輸液チューブを押圧して輸液が通過することを停止させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る輸液量調整装置は、上述した請求項1〜4のいずれか1つにおいて、傾斜角度検知手段を通じて検知された装置全体の傾斜角度が予め決められた閾値を超える場合に、その旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクチュエータ本体とプレート状部材との間に輸液チューブを配置し、プレート状部材がアクチュエータ本体に近接する態様で変位することにより該輸液チューブを押圧して輸液の流量を調整するので、従来のように押圧用シャフトのストローク量を確保した寸法を必要とせず、これにより装置全体が大型化する事態を回避することができる。従って、装置全体が大型化する事態を招来することなく、輸液量を調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である点滴量調整装置(輸液量調整装置)が用いられた点滴装置を示す説明図である。
【図2】図2は、図1に示した点適量調整装置の内部構造を示す説明図である。
【図3】図3は、図2に示した点滴量調整機構部を拡大して示すもので、上方側から点滴量調整機構部を見た場合を示す斜視図である。
【図4】図4は、図2に示した点滴量調整機構部を拡大して示すものであり、上方から点滴量調整機構部を見た場合を模式的に示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示した点滴量調整機構部の一部を断面で示す説明図である。
【図6】図6は、図4に示した点滴量調整機構部の一部を断面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る輸液量調整装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。以下においては、本発明に係る輸液量調整装置が点滴量調整装置として適用される場合について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態である点滴量調整装置(輸液量調整装置)が用いられた点滴装置を示す説明図であり、図2は、図1に示した点適量調整装置の内部構造を示す説明図である。ここで例示する点滴装置1は、薬液バッグ2、点滴量調整装置20及び濾過管3を備えて構成してある。
【0015】
薬液バッグ2は、点滴液(輸液)が内蔵された容器であり、吊り下げ部材4を介して図示せぬ支持台に吊り下げてある。
【0016】
点滴量調整装置20は、薬液バッグ2に接続された中間チューブ5に接続した点滴筒6を収納してある。点滴筒6は、中間チューブ5を通じて薬液バッグ2から送出された点滴液を滴下させるためのものである。尚、点滴量調整装置20の構成については後述する。
【0017】
濾過管3は、上記点滴筒6に接続された導管チューブ(輸液チューブ)7にゴム管8を介して接続してあり、静脈針9を有している。ここで導管チューブ7は、点滴筒6からの点滴液を濾過管3まで送出するもので、弾性材料から形成してあるとともに、中空内部7a(図3参照)が点滴液通過の流路を構成している。また、この導管チューブ7の途中には、ローラクランプ10が配設してある。ローラクランプ10は、点滴液の流量を手動にて調整するためのものである。
【0018】
上記点滴量調整装置20は、前面が開口した筐体である装置本体21と、この装置本体21の前面開口を開閉する蓋体22とを備えている。
【0019】
この蓋体22の前面には、テンキー等の各種入力操作を行うための操作部23が設けてあるとともに、各種情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部24が設けてある。操作部23で入力された情報は、操作信号として図示せぬ制御部に与えられ、表示部24での表示は、該制御部からの表示指令に応じて行われる。
【0020】
装置本体21の内部には、上記点滴筒6の他、電池等の電源25、点滴量計測部26及び点滴量調整機構部30を備えている。
【0021】
点滴量計測部26は、点滴筒6の側方に配置されたフォトセンサ26aを用いて、点滴筒6の内部にて滴下する液滴の個数をカウントすることで点滴量を計測するものである。この点滴量計測部26にて計測された点滴量は、計測信号として制御部に送出される。本実施の形態では、点滴量計測部26は、フォトセンサ26aを用いて点滴筒6における液滴の個数をカウントするものであったが、本発明においては、液滴が落下した瞬間の画像を処理を行うことで液滴の個数をカウントして点滴量を計測するもの、あるいは液滴が落下したときの振動を検知することで液滴の個数をカウントして点滴量を計測するものを点滴量計測部として適用してもよい。
【0022】
尚、図2に示す符号27及び28は、傾斜センサ及びブザーである。傾斜センサ27は、装置本体(装置全体)の傾斜角度を検知する傾斜角度検知手段である。傾斜センサ27で検知された傾斜角度の情報は、検知信号として上記制御部に与えられる。ブザー28は、制御部から報知指令が与えられた場合に、内蔵するスピーカを通じて所定の音声を出力する報知手段である。
【0023】
図3及び図4は、それぞれ図2に示した点滴量調整機構部30を拡大して示すものであり、図3は、上方側から点滴量調整機構部30を見た場合を示す斜視図であり、図4は、上方から点滴量調整機構部30を見た場合を模式的に示す平面図である。つまり、これら図3及び図4において、導管チューブ7の延在方向が上下方向であり、図3及び図4における紙面の上下方向が前後方向となる。
【0024】
点滴量調整機構部30は、点滴筒6の下方域において、図3及び図4に示すようにアクチュエータ本体31とプレート状部材37とで導管チューブ7を挟み込む態様で設けてある。
【0025】
アクチュエータ本体31は、固定部材32と駆動機構内蔵部材33とを備えて構成してある。固定部材32は、板状部材を屈曲して構成したものであり、基部321と、左方前延部322と、右方前延部323とを有している。基部321は、左右方向に沿って延在する平板状部位である。この基部321は、図示せぬピン部材により装置本体21の内壁部に固定してある。左方前延部322は、基部321の左端より前方に向けて延在する部位であり、その左側面がアクチュエータ本体31の左側面を構成している。この左方前延部322の前端部は、右方にやや屈曲している。右方前延部323は、基部321の右端より前方に向けて延在する部位であり、その延在長さ(前後長さ)は、左方前延部322よりも短いものである。
【0026】
このような固定部材32においては、左方前延部322及び右方前延部323にはガイド孔3221,3231が形成してあるとともに、各ガイド孔3221,3231には軸受部3222,3232が設けてある。また、固定部材32における左方前延部322には、ガイド孔3221よりも前方側に貫通孔3223(図5)が形成してある。
【0027】
図5は、図4に示した点滴量調整機構部30の一部を断面で示す説明図である。この図5にも示すように、駆動機構内蔵部材33は、円筒状の形態を成し、その内部に減速機構34を内蔵するものである。この駆動機構内蔵部材33は、固定部材32における左方前延部322の貫通孔3223が形成された部位の右方側に連結してある。
【0028】
かかる減速機構34は、該駆動機構内蔵部材33に隣接する態様で取り付けた電動モータ35とともにアクチュエータを構成しており、電動モータ35の回転数を減じて出力するものである。この減速機構34は、駆動ギヤ341、第1リングギヤ342、第2リングギヤ(出力ギヤ)343及びプラネタリギヤ344を備えている。ここで、電動モータ35は、制御部から駆動指令が与えられることにより駆動するものであり、その駆動に必要な電力は電源(電池)25から投入される。
【0029】
駆動ギヤ341は、外周部にギヤ部341aを有した平歯車であり、互いの軸心を合致させた状態で電動モータ35の駆動軸351に固着してある。
【0030】
第1リングギヤ342は、円筒状を成し、内周面に内周ギヤ部342aを有したものである。この第1リングギヤ342は、自身の軸心を駆動軸351の軸心に合致させた状態で配設してあり、駆動機構内蔵部材33に対して駆動軸351の軸心回りに回転することが可能である。
【0031】
第2リングギヤ343は、円柱状を成し、その右端部に形成したギヤ孔3431の内周面にギヤ部343aを有したもので、ギヤ孔3431の内径が第1リングギヤ342の内径とほぼ同じである。ギヤ孔3431の内周面に設けたギヤ部343aは、第1リングギヤ342の内周ギヤ部342aと歯数が異なるように構成してある。この第2リングギヤ343は、ギヤ孔3431を形成した右端面を第1リングギヤ342の左端面に対向させ、かつ自身の軸心を駆動軸351の軸心に合致させた状態で配設してあり、駆動機構内蔵部材33に対して駆動軸351の軸心回りに回転することが可能である。
【0032】
この第2リングギヤ343は、左端部が固定部材32における左方前延部322の貫通孔3223を貫通しており、しかも右方に向けて突出する態様でネジ部材36が一体的に配設してある。このネジ部材36は、外周部にネジ溝が形成されたロッド状のものであり、その軸心(中心軸)は、第2リングギヤ343の軸心と一体成形してある。つまり、ネジ部材36は、アクチュエータを有するアクチュエータ本体31より右方(外方)に突出する態様で設けてある。
【0033】
プラネタリギヤ344は、外周部にギヤ部344aを有した平歯車であり、駆動ギヤ341の周囲に例えば3つ配設してある。これらのプラネタリギヤ344は、それぞれの軸心が駆動ギヤ341の軸心と平行になり、かつ互いに等間隔となる態様でキャリア345に支持させてある。個々のプラネタリギヤ344は、ギヤ部343aを介して駆動ギヤ341、第1リングギヤ342の内周ギヤ部342a及び第2リングギヤ343に歯合しており、それぞれが自身の軸心回りに回転可能、かつ駆動ギヤ341の軸心回りに公転することが可能である。
【0034】
上述した駆動ギヤ341、第1リングギヤ342、第2リングギヤ343及びプラネタリギヤ344は、駆動ギヤ341をサンギヤとした、いわゆる不思議歯車機構を構成しており、規制部材346により第1リングギヤ342の回転を規制した状態で電動モータ35を駆動し、駆動ギヤ341が回転した場合に第2リングギヤ343が回転することになる。このように第2リングギヤ343が回転することで、ネジ部材36は、自身の軸心回りに回転することになる。
【0035】
プレート状部材37は、前後方向が長手方向となる態様で延在する平板状部材であり、ネジ孔371が形成してある。このネジ孔371は、内周面にネジ溝を有した雌ネジ部であり、自身を貫通する上記ネジ部材36の外周部に螺合している。
【0036】
上記プレート状部材37の前端部には、右方に突出する押圧片372が形成してある。この押圧片372は、導管チューブ7を押圧するための部位である。
【0037】
また、上記プレート状部材37の後端部には、右方に向けて突出する態様でガイド軸373が配設してある。このガイド軸373は、上記ネジ部材36と平行となるよう左右方向に沿って延在しており、固定部材32(アクチュエータ本体31)のガイド孔3221,3231を挿通するよう軸受部3222,3232に支持されている。つまり、固定部材32の軸受部3222,3232は、ガイド軸373を挿通可能に支持している。
【0038】
以上のような構成を有する点滴量調整装置20においては、制御部から駆動指令が与えられた電動モータ35を一方方向に回転させると、駆動ギヤ341の回転によってプラネタリギヤ344が自転しながら公転し、第2リングギヤ343が一方向に回転することになる。
【0039】
第2リングギヤ343が一方向に回転すると、ネジ部材36も自身の軸心回りに一方向に回転し、このネジ部材36の外周部と螺合するプレート状部材37が、図6に示すように固定部材32(アクチュエータ本体31)に近接する態様で変位する。このようにプレート状部材37が固定部材32に近接する態様で変位することで、プレート状部材37の押圧片372がプレート状部材37とアクチュエータ本体31との間に挟まれるよう配置した導管チューブ7を押圧して中空内部(流路)7aの断面積を縮小させて点滴液量を低減させることが可能になる。
【0040】
ところで、電動モータ35を他方方向に回転させると、駆動ギヤ341の回転によってプラネタリギヤ344が自転しながら公転し、第2リングギヤ343が反対方向に回転することになる。
【0041】
第2リングギヤ343が反対方向に回転すると、ネジ部材36も自身の軸心回りに反対方向に回転し、プレート状部材37が、固定部材32から離反する態様で変位する(図6→図5参照)。このようにプレート状部材37が固定部材32に離反する態様で変位することで、プレート状部材37の押圧片372による導管チューブ7の押圧力も低下し、導管チューブ7の復元力にて中空内部(流路)7aの断面積を拡大させて点滴液量を増大させることが可能になる。
【0042】
このように点滴量調整装置20においては、プレート状部材37は、自身のネジ孔371がネジ部材36の外周部に螺合し、かつネジ部材36の回転によりアクチュエータ本体31に対して近接離反する態様で変位することになる。
【0043】
また、制御部は、傾斜センサ27により検知された装置本体(装置全体)21の傾斜角度が予め決められた閾値を超える場合、電動モータ35に駆動指令を与え、プレート状部材37をアクチュエータ本体31に対して近接する態様で変位させる。これにより導管チューブ7を押圧して、点滴液が中空内部7aを通過することを停止させる。この際、制御部は、ブザー28に対して報知指令を与え、所定の音を発生させて周囲に点滴液の通過を停止させた旨を報知させる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態である点滴量調整装置(輸液量調整装置)20によれば、アクチュエータ本体31とプレート状部材37との間に導管チューブ7を配置し、プレート状部材37がアクチュエータ本体31に近接する態様で変位することにより該導管チューブ7を押圧して点滴液の流量を調整するので、従来のように押圧用シャフトのストローク量を確保した寸法を必要とせず、これにより装置全体が大型化する事態を回避することができる。従って、装置全体が大型化する事態を招来することなく、点滴液量を調整することができる。
【0045】
上記点滴量調整装置20によれば、電動モータ35からネジ部材36への動力伝達系に不思議歯車機構を構成しているため、本来出力ギヤとなる第2リングギヤ343を入力ギヤとしてはプラネタリギヤ344以降に動力を伝達することができない。つまり、電動モータ35が駆動していない状態においては、第2リングギヤ343が不用意に回転することがなく、これに一体的に配設されたネジ部材36も回転することがない。よって該ネジ部材36に螺合するプレート状部材37の位置も変化しない。
【0046】
従って、電動モータ35が駆動していない場合において、プレート状部材37に振動が加えられてもプレート状部材37の占位位置が変化する虞れがなく、点滴液の流量が変化してしまうことがない。
【0047】
しかも、電動モータ35からネジ部材36への動力伝達系に不思議歯車機構を構成しさえすれば、上述した作用効果を奏することができるため、別途プレート状部材37の移動を阻止する手段を設ける必要もなく、製造コストの増大や装置の大型化が招来されることもない。
【0048】
また、上記点滴量調整装置20によれば、アクチュエータ本体31の軸受部3222,3232が、プレート状部材37に取り付けられ、かつネジ部材36と平行となる態様で設けられたガイド軸373を挿通可能に支持するので、プレート状部材37がアクチュエータ本体31に近接変位することで導管チューブ7から反力が加えられても、該プレート状部材37の変位姿勢が変化することを防止することができ、これにより、プレート状部材37を良好に変位させることが可能になる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。すなわち、上述した実施の形態では、不思議歯車機構を構成しているが、本発明においては、第1リングギヤ342を省略しても構わない。この場合においても、実施の形態と同様、第2リングギヤ343を入力ギヤとしてプラネタリギヤ344以降に動力を伝達することが困難であるため、第2リングギヤ343が不用意に回転することがない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明に係る輸液量調整装置は、例えば各種医療における点滴等に有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 点滴装置
2 薬液バッグ
3 濾過管
4 吊り下げ部材
5 中間チューブ
6 点滴筒
7 導管チューブ(輸液チューブ)
7a 中空内部
8 ゴム管
9 静脈針
10 ローラクランプ
20 点滴量調整装置
21 装置本体
22 蓋体
23 操作部
24 表示部
25 電源
26 点滴量計測部
26a フォトセンサ
27 傾斜センサ
28 ブザー
30 点滴量調整機構部
31 アクチュエータ本体
32 固定部材
321 基部
322 左方前延部
3221 ガイド孔
3222 軸受部
3223 貫通孔
323 右方前延部
3231 ガイド孔
3232 軸受部
33 駆動機構内蔵部材
34 減速機構
341 駆動ギヤ
342 第1リングギヤ
343 第2リングギヤ(出力ギヤ)
3431 ギヤ孔
343a ギヤ部
344 プラネタリギヤ
35 電動モータ
351 駆動軸
36 ネジ部材
37 プレート状部材
371 ネジ孔
372 押圧片
373 ガイド軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の中空内部が輸液通過の流路を構成し、かつ弾性材料から成る輸液チューブを押圧して、該流路の断面積を変化させることで輸液の流量を調整するようにした輸液量調整装置において、
アクチュエータを有するアクチュエータ本体より外方に突出する態様で設けてあり、かつ該アクチュエータの駆動により自身の軸心回りに回転するネジ部材と、
自身の内周部が前記ネジ部材の外周部に螺合し、かつ該ネジ部材の回転により前記アクチュエータ本体に対して近接離反する態様で変位するプレート状部材と
を備え、
前記アクチュエータ本体と前記プレート状部材との間に前記輸液チューブを配置し、前記プレート状部材が前記アクチュエータ本体に近接する態様で変位することにより該輸液チューブを押圧して輸液の流量を調整することを特徴とする輸液量調整装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、
電動モータと、
前記電動モータの駆動軸に取り付けた駆動ギヤと、
前記駆動ギヤをサンギヤとして歯合し、自身の軸心回りに回転可能、かつ前記駆動ギヤの軸心回りに公転可能に配設したプラネタリギヤと、
前記駆動ギヤの軸心回りに回転可能に配設し、ギヤ部を介して前記プラネタリギヤに歯合する出力ギヤと
を備え、
前記出力ギヤの回転を駆動源として前記ネジ部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載の輸液量調整装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ本体は、先端部が前記プレート状部材に取り付けられ、かつ前記ネジ部材と平行となる態様で設けられたガイド軸を挿通可能に支持する軸受部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の輸液量調整装置。
【請求項4】
傾斜角度検知手段を通じて検知された装置全体の傾斜角度が予め決められた閾値を超える場合に、前記アクチュエータは、前記輸液チューブを押圧して輸液が通過することを停止させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の輸液量調整装置。
【請求項5】
傾斜角度検知手段を通じて検知された装置全体の傾斜角度が予め決められた閾値を超える場合に、その旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の輸液量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−161479(P2012−161479A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24257(P2011−24257)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(503366841)株式会社アイカムス・ラボ (27)
【Fターム(参考)】