説明

輸送容器管理システム

【課題】輸送の途中における安全性が確保され、正規の荷送人から正規の荷受人へと物品の受け渡しが確実に行える比較的簡易な輸送容器管理システムを提供する。
【解決手段】カードリーダ/ライタは設定用カードから荷送人指定情報、荷受人指定情報を読み取り記憶手段に記憶する。カードリーダ/ライタは荷送人カードから荷送人特定情報を読み取り、荷送人判定手段は記憶手段の荷送人指定情報と、荷送人特定情報とを比較し、解錠指令生成手段は荷送人判定手段が一致と判定したときに解錠指令を生成して電子錠の解錠を行う。カードリーダ/ライタは荷受人カードから荷受人特定情報を読み取り、荷受人判定手段は記憶手段の荷受人指定情報と、荷受人特定情報とを比較し、解錠指令生成手段は荷受人判定手段が一致と判定したときに解錠指令を生成して電子錠の解錠を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品または材料の保管または輸送用の容器(輸送容器)、ケース、ボックス、トランク、コンテナ、等の技術分野に属する。特に、特定の条件下においてだけ輸送容器を開閉することができるようにする輸送容器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
書類、貴重品、等の物品を荷送人から荷受人へと輸送するときに施錠できる輸送容器に収納して輸送することが行われる。この輸送を実際に行うのは委託した配達サービス業者、企業内の集配サービス部門、等である。物品を施錠できる輸送容器に収納する目的は、輸送の途中における物品の損傷、紛失、機密漏洩、等の危険を回避し、安全性を確保するためである。また、正規の荷送人から正規の荷受人へと物品の受け渡しが確実に行えるようにするためである。
そのための従来技術として、たとえば、「荷物配達用ボックス、管理サーバ、荷物配達システム及び荷物配達方法」(特許文献1)が知られている。この従来技術においては、送り主の携帯電話機2から送信された送り主電話番号情報及び受取人電話番号情報の管理サーバ5による受信に基づいて管理サーバ5から送信された第一の解錠信号を受信する通信制御部16を備える。第一の解錠信号の受信に基づいて、荷物を収容可の状態となるように施錠機構部を解錠する。受取人携帯電話機3から送信された、送り主携帯電話機2から送信された受取人電話番号情報と同一の受取人電話番号情報の管理サーバによる受信に基づいて管理サーバから送信された第二の解錠信号を受信する通信制御部を備える。第二の解鍵情報の受信に基づいて、収容された荷物を取出可の状態となるように施錠機構部を解錠する。
この従来技術においては、送り主携帯電話機2、受取人携帯電話機3、管理サーバ5、その他を必須とする大掛かりなシステムであり、初期コスト、運用コストともに相当の大きなものとなるという問題がある。
【特許文献1】WO2006/027867
【0003】
また、「輸送容器及び輸送容器管理システム」(特許文献2)が知られている。この従来技術においては、輸送時に物品を収納した状態で閉蓋され鍵機構1により施錠される輸送容器7において、鍵機構1を駆動して鍵機構1の施錠/解錠状態を切り換える鍵駆動手段2と、鍵機構1を解錠すべき輸送先の位置情報を予め記憶する記憶手段3と、現在の所在位置を検出する位置検出手段4と、鍵機構1の解錠操作時に、記憶手段3に記憶されている前記輸送先の位置情報と位置検出手段4により検出された所在位置情報とを照合してこれらの位置情報が一致するか否かを判定する位置照合手段5と、位置照合手段5により前記輸送先の位置情報と前記所在位置情報とが一致すると判定された場合、鍵駆動手段2に対して鍵機構1の解錠を指示する解錠指示手段6とをそなえるように構成する。
この従来技術においても、同様に輸送容器7へのGPSの組み込みを必須とする大掛かりなシステムであるという問題がある。また、一般のGPSでは高度測定ができないため、高層ビル等が輸送先であるときには、指定の場所で解錠操作が行われているか否かを判定できないという問題がある。
【特許文献2】特開平8−218732
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、輸送の途中における物品の損傷、紛失、機密漏洩、等の危険を回避し、安全性が確保され、正規の荷送人から正規の荷受人へと物品の受け渡しが確実に行える比較的簡易な輸送容器管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る輸送容器管理システムは、設定用カード、荷送人カード、荷受人カード、およびカードリーダ/ライタと記憶手段と荷送人判定手段と荷受人判定手段と解錠指令生成手段と電子錠とを備える輸送容器、を具備する輸送容器管理システムであって、 前記設定用カードにはすくなくとも荷送人指定情報、荷受人指定情報が含まれる鍵情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、 前記荷送人カードには荷送人特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を前記荷送人カードから読み取り、 前記荷送人判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷送人指定情報と、前記荷送人特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、 前記解錠指令生成手段は前記荷送人判定手段が一致と判定したときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行い、 前記荷受人カードには荷受人特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記荷受人特定情報を前記荷受人カードから読み取り、 前記荷受人判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷受人指定情報と、前記荷受人特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、 前記解錠指令生成手段は前記荷受人判定手段が一致と判定したときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行うようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係る輸送容器管理システムは、請求項1に係る輸送容器管理システムにおいて、荷送室を具備する輸送容器管理システムであって、 前記荷送室は入室時に前記荷送人カードに荷送室特定情報を書き込み、退室時に前記荷送人カードに書き込まれた荷送室特定情報を消去する荷送室カードリーダ/ライタが備えられ、また前記輸送容器は荷送室判定手段を備え、 前記設定用カードに記録された鍵情報には荷送室指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、 前記荷送人カードには前記荷送室への入室時に荷送室特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記荷送室特定情報を前記荷送人カードから読み取り、 前記荷送室判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷送室指定情報と、前記荷送室特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、 前記解錠指令生成手段は前記荷送室判定手段が一致と判定し、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行うようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係る輸送容器管理システムは、請求項1または2に係る輸送容器管理システムにおいて、荷受室を具備する輸送容器管理システムであって、 前記荷受室は入室時に前記荷受人カードに荷受室特定情報を書き込み、退室時に前記荷受人カードに書き込まれた荷受室特定情報を消去する荷受室カードリーダ/ライタが備えられ、また前記輸送容器は荷受室判定手段を備え、 前記設定用カードに記録された鍵情報には荷受室指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、 前記荷受人カードには前記荷受室への入室時に荷受室特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記荷受室特定情報を前記荷受人カードから読み取り、 前記荷受室判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷受室指定情報と、前記荷受室特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、 前記解錠指令生成手段は前記荷受室判定手段が一致と判定し、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行うようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係る輸送容器管理システムは、請求項1〜3のいずれかに係る輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器は時刻生成手段と時間帯判定手段を備え、 前記設定用カードに記録された鍵情報には時間帯指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、 前記時間帯判定手段は前記カードリーダ/ライタが前記荷送人カードまたは前記荷受人カードを読み取ったときに前記時刻生成手段が生成した時刻を入力しその時刻と前記時間帯指定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、 前記解錠指令生成手段は前記時間帯判定手段が一致と判定し、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行うようにしたものである。
また、本発明の請求項5に係る輸送容器管理システムは、請求項1〜4のいずれかに係る輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器は輸送容器判定手段を備え、また前記記憶部に輸送容器特定情報を記憶しており、 前記設定用カードには前記鍵情報とともに輸送容器指定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記輸送容器指定情報を前記設定用カードから読み取り、 前記輸送容器判定手段は前記読み取った輸送容器指定情報と、前記輸送容器特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、 前記輸送容器判定手段が一致と判定したときにだけ前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶するようにしたものである。
また、本発明の請求項6に係る輸送容器管理システムは、請求項1〜5のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、前記鍵情報を編集し、編集した鍵情報を前記設定カードに書き込む鍵情報設定システムを具備するようにしたものである。
また、本発明の請求項7に係る輸送容器管理システムは、請求項1〜6のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器におけるログ情報を生成して前記記憶手段に記憶するログ情報収集手段と前記収集したログ情報を記録する収集用カードを具備するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係る輸送容器管理システムによれば、設定用カード、荷送人カード、荷受人カード、およびカードリーダ/ライタと記憶手段と荷送人判定手段と荷受人判定手段と解錠指令生成手段と電子錠とを備える輸送容器、を具備する輸送容器管理システムであって、 前記設定用カードにはすくなくとも荷送人指定情報、荷受人指定情報が含まれる鍵情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタにより前記鍵情報が前記設定用カードから読み取られ、前記記憶手段により前記読み取った鍵情報が記憶され、 前記荷送人カードには荷送人特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタにより荷送人特定情報が前記荷送人カードから読み取られ、 前記荷送人判定手段により前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷送人指定情報と、前記荷送人特定情報とが比較され両者の一致不一致が判定され、 前記解錠指令生成手段により前記荷送人判定手段が一致と判定したときに解錠指令が生成され、前記電子錠により前記解錠指令が入力されて輸送容器の解錠が行われ、 前記荷受人カードには荷受人特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタにより前記荷受人特定情報が前記荷受人カードから読み取られ、 前記荷受人判定手段により前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷受人指定情報と、前記荷受人特定情報とが比較され両者の一致不一致が判定され、 前記解錠指令生成手段により前記荷受人判定手段が一致と判定したときに解錠指令が生成され、前記電子錠により前記解錠指令が入力されて輸送容器の解錠が行われる。したがって、輸送の途中における物品の損傷、紛失、機密漏洩、等の危険を回避し、安全性が確保され、正規の荷送人から正規の荷受人へと物品の受け渡しが確実に行える比較的簡易な輸送容器管理システムが提供される。
また、本発明の請求項2に係る輸送容器管理システムによれば、請求項1に係る輸送容器管理システムにおいて、荷送室を具備する輸送容器管理システムであって、 前記荷送室が備える荷送室カードリーダ/ライタにより入室時に前記荷送人カードに荷送室特定情報が書き込まれ、退室時に前記荷送人カードに書き込まれた荷送室特定情報が消去され、 前記設定用カードに記録された鍵情報には荷送室指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタにより前記鍵情報が前記設定用カードから読み取られ、前記記憶手段により前記読み取った鍵情報が記憶され、 前記荷送人カードには前記荷送室への入室時に荷送室特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタにより前記荷送室特定情報が前記荷送人カードから読み取られ、 前記荷送室判定手段により前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷送室指定情報と、前記荷送室特定情報とが比較され両者の一致不一致が判定され、 前記解錠指令生成手段により前記荷送室判定手段が一致と判定し、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令が生成され、前記電子錠により前記解錠指令が入力されて輸送容器の解錠が行われる。したがって、輸送物品の収容が指定の荷送室においてだけ行われことにより高い安全性が確保される。
また、本発明の請求項3に係る輸送容器管理システムによれば、請求項1または2に係る輸送容器管理システムにおいて、荷受室を具備する輸送容器管理システムであって、 前記荷受室が備える荷受室カードリーダ/ライタによって入室時に前記荷受人カードに荷受室特定情報が書き込まれ、退室時に前記荷受人カードに書き込まれた荷受室特定情報が消去される、また前記輸送容器は荷受室判定手段を備え、 前記設定用カードに記録された鍵情報には荷受室指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタにより前記鍵情報が前記設定用カードから読み取られ、前記記憶手段により前記読み取った鍵情報が記憶され、 前記荷受人カードには前記荷受室への入室時に荷受室特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタにより前記荷受室特定情報が前記荷受人カードから読み取られ、 前記荷受室判定手段により前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷受室指定情報と、前記荷受室特定情報とが比較され両者の一致不一致が判定され、 前記解錠指令生成手段により前記荷受室判定手段が一致と判定され、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令が生成され、前記電子錠により前記解錠指令が入力されて輸送容器の解錠が行われる。したがって、輸送物品の回収が指定の荷受室においてだけ行われことにより高い安全性が確保される。
また、本発明の請求項4に係る輸送容器管理システムによれば、請求項1〜3のいずれかに係る輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器は時刻生成手段と時間帯判定手段を備え、 前記設定用カードに記録された鍵情報には時間帯指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタにより前記鍵情報が前記設定用カードから読み取られ、前記記憶手段により前記読み取った鍵情報が記憶され、 前記時間帯判定手段により前記カードリーダ/ライタが前記荷送人カードまたは前記荷受人カードを読み取ったときに前記時刻生成手段が生成した時刻が入力されその時刻と前記時間帯指定情報とが比較され両者の一致不一致が判定され、 前記解錠指令生成手段により前記時間帯判定手段が一致と判定され、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令が生成され、前記電子錠により前記解錠指令が入力されて輸送容器の解錠が行われる。したがって、輸送物品の収容または回収が指定の時間帯においてだけ行われことにより高い安全性が確保される。
また、本発明の請求項5に係る輸送容器管理システムによれば、請求項1〜4のいずれかに係る輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器は輸送容器判定手段を備え、また前記記憶部に輸送容器特定情報を記憶しており、 前記設定用カードには前記鍵情報とともに輸送容器指定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記輸送容器指定情報を前記設定用カードから読み取り、 前記輸送容器判定手段は前記読み取った輸送容器指定情報と、前記輸送容器特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、 前記輸送容器判定手段が一致と判定したときにだけ前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶する。したがって、鍵情報と輸送容器との適合性が確保され鍵情報の誤設定がなくなることにより高い安全性が確保される。
また、本発明の請求項6に係る輸送容器管理システムによれば、請求項1〜5のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、鍵情報設定システムにより前記鍵情報が編集され、編集した鍵情報が前記設定カードに書き込まれる。
また、本発明の請求項7に係る輸送容器管理システムによれば、請求項1〜6のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、ログ情報収集手段により前記輸送容器におけるログ情報が生成されて前記記憶手段に記憶され、収集用カードには前記収集したログ情報が記録される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の輸送容器管理システムにおける構成の一例をブロック図として図1に示す。図1において、1は輸送容器、2は設定用カード、3は荷送人カード、4は荷受人カード、5は収集用カード、11はカードリーダ/ライタ、12は表示手段、13は記憶部、14は処理部、15は時刻生成手段、16は電子錠、131は鍵情報、132は表示情報、133は輸送容器特定情報である。なお、図1には示していないが、本発明の輸送容器管理システムには、カードリーダ/ライタを備えた他のコンピュータシステム(鍵情報編集書込用、ログ情報収集用、荷送室・荷受室の入退室管理用、等)が含まれる。
輸送容器1は輸送用の容器(ケース、ボックス、トランク、コンテナ、等)であって、本発明の輸送容器管理システムにおける主要な構成要素であるとともに、管理の対象物でもある。輸送容器1は、輸送用の容器であるから、当然、輸送する物品を収容するための物品収容部(図示せず)を有し、またその物品収納部の開閉等を管理する施錠管理部を有する。その施錠管理部として、輸送容器1は、図1に示す一例においては、カードリーダ/ライタ11、表示手段12、記憶部13、処理部14、時刻生成手段15、電子錠16を有している。
【0008】
カードリーダ/ライタ11は、輸送容器1に備えられたカードリーダ/ライタであって、設定用カード2、荷送人カード3、荷受人カード4、収集用カード5、等のカードのカードリーダ/ライタである。輸送容器1への主要な情報の入出力はこのカードリーダ/ライタ11によって行われる。
表示手段12は輸送容器1に備えられたカードリーダ/ライタであって、輸送容器1の動作状態を表示する。この表示手段12における表示により輸送容器1を取り扱う人は、適正な取り扱いをすることが可能となる。表示手段12としては、LED(light emitting diode)等の発光素子、LCD(liquid crystal display)等の表示装置、等を使用することができる。
【0009】
記憶部13は、輸送容器1に備えられた記憶部であって、輸送容器管理システムにおける各種の情報を記憶する部分である。記憶部13は、図1に示す一例においては、鍵情報131、表示情報132、輸送容器特定情報133、ログ情報134を記憶する。鍵情報131には荷送人指定情報、荷受人指定情報、荷送室指定情報、荷受室指定情報、時間帯指定情報、輸送容器指定情報が含まれている。表示情報132は表示手段12において表示する情報である。表示情報を更新することにより表示手段12において表示される情報も更新される。輸送容器特定情報133は、輸送容器1を特定するための情報、すなわち輸送容器1のID(identification)番号である。ログ情報134は輸送容器1の取り扱いの履歴に関する情報である。ログ情報134としては、たとえば、カードリーダ/ライタ11による情報の入出力の履歴、電子錠16の動作の履歴、等である。
【0010】
処理部14は、輸送容器1に備えられた処理部であって、輸送容器管理システムにおける各種の情報を処理する部分である。処理部14は前述の記憶部13とともにマイクロコンピュータ等のデータ処理装置のハードウェアとソフトウェアによって構成することができる。処理部14は、図1に示す一例においては、荷送人判定手段、荷受人判定手段、荷送室判定手段、荷受室判定手段、時間帯判定手段、輸送容器判定手段、解錠指令生成手段、ログ情報収集手段、表示情報生成手段が含まれている。
時刻生成手段15は、輸送容器1に備えられた時刻生成手段であって、輸送容器管理システムにおいて時間管理(時間帯指定、ログ情報収集、等)を行う場合に、現在の年月日時刻を生成する手段、すなわち時計である。
電子錠16は、輸送容器1に備えられた電子錠であって、輸送容器1への物品の収容、輸送容器1からの物品の回収において、電気信号の解錠指令によって物品通路の解錠を可能とする電子錠である。
【0011】
設定用カード2は輸送容器1の記憶部13に鍵情報を設定するために使用するカードである。カードリーダ/ライタを備えたコンピュータシステムにおいて、鍵情報を編集し設定用カード2に書き込み、その設定用カード2を輸送容器1のカードリーダ/ライタ11によって読み取らせる。これにより記憶部13には鍵情報131が設定される。
荷送人カード3は荷送人が輸送容器1を解錠するときに使用するカードである。荷送人カード3には、図1に示す一例においては、荷送人を特定するための荷送人特定情報と荷送室を特定するための荷送室特定情報が含まれている。荷送人カード3としては、社員証等のIDカードを使用することができる。荷送人カード3が社員証のときには専用カードでないため高い利便性を得ることができ、そのときの荷送人特定情報としては、社員ID番号、役職、部門(係、課、部、会社)を使用することができる。なお、荷送室特定情報は荷送室に入室するときに荷送人カード3に書き込まれ、退室するときに消去される。
荷受人カード4は荷受人が輸送容器1を解錠するときに使用するカードである。荷受人カード4には、図1に示す一例においては、荷受人を特定するための荷受人特定情報と荷受室を特定するための荷受室特定情報が含まれている。荷受人カード4としては、社員証等のIDカードを使用することができる。荷受人カード4が社員証のときには専用カードでないため高い利便性を得ることができ、そのときの荷送人特定情報としては、社員ID番号、役職、部門(係、課、部、会社)を使用することができる。なお、荷受室特定情報は荷受室に入室するときに荷受人カード4に書き込まれ、退室するときに消去される。
収集用カード5は輸送容器1の記憶部13に記憶されているログ情報134を収集するために使用するカードである。輸送容器1のカードリーダ/ライタ11は収集用カード5に鍵情報131を書き込む。収集用カード5に書き込まれた鍵情報は、カードリーダ/ライタを備えたコンピュータシステムによって読み取られ収集が行われる。
【0012】
上記の設定用カード2、荷送人カード3、荷受人カード4、収集用カード5としては、ICカードを使用することができる。特に、SSFC(Shared Security Formats Cooperation)(登録商標)対応のICカードは好適である。SSFC対応のICカードは、データフォーマットを標準化することによって、本発明の輸送容器管理システムに限らず、オフィス環境等におけるさまざまなアプリケーションを1つのICカードで利用可能とするものである。したがって、高いセキュリティを保持しながら高い利便性を得ることができる。
【0013】
以上、構成について説明した、次に、本発明の輸送容器管理システムにおける動作について説明する。
最初に鍵情報の設定について説明する。鍵情報設定システムにおける編集書込の対象は鍵情報だけでなく輸送容器指定情報133も含まれている。設定過程の説明の前に、それら入力する情報について説明しておく。
【0014】
入力する鍵情報としては、荷送人指定情報、荷受人指定情報、荷送室指定情報、荷受室指定情報、時間帯指定情報、等の一部または全てである。
荷送人指定情報は輸送物品を輸送容器1に収容するために輸送容器1を解錠することができる荷送人カード3を指定するための情報、すなわち荷送人を指定する情報である。荷送人カード3が社員証のときには、荷送人指定情報としては、社員ID番号、役職、部門(係、課、部、会社)のいずれか1つまたは組合せを使用することができる。たとえば、複数の社員ID番号を荷送人指定情報とすることができる。また、配送部門の係長以上を荷送人指定情報とすることができる。
荷受人指定情報は輸送物品を輸送容器1から回収するために輸送容器1を解錠することができる荷受人カード4を指定するための情報、すなわち荷受人を指定する情報である。荷受人カード4が社員証のときには、荷受人指定情報としては、社員ID番号、役職、部門(係、課、部、会社)のいずれか1つまたは組合せを使用することができる。たとえば、複数の社員ID番号を荷送人指定情報とすることができる。また、配送部門の係長以上を荷送人指定情報とすることができる。
荷送室指定情報は輸送物品を輸送容器1に収容するために輸送容器1を解錠することができる荷送室を指定するための情報である。
荷受室指定情報は輸送物品を輸送容器1に回収するために輸送容器1を解錠することができる荷受室を指定するための情報である。
時間帯指定情報は輸送物品を輸送容器1に収容または回収するために輸送容器1を解錠することができる時間帯を指定するための情報である。その時間帯として複数を設定することができる。たとえば、荷送人指定情報で指定された複数の荷送人、荷受人指定情報で指定された複数の荷受人の各々に対する時間帯を区別して設定することができる。
【0015】
また、入力する輸送容器指定情報は、複数存在する輸送容器の中から特定の輸送容器1を指定する情報である。輸送容器指定情報によって設定した鍵情報と輸送容器との適合性(適正な対応関係)を得ることができる。
【0016】
鍵情報の設定過程をフロー図として図2に示す。この鍵情報の設定過程は鍵情報編集書込用のコンピュータシステム(鍵情報設定システム)を使用して行われる。鍵情報設定システムは、カードリーダ/ライタを備えたコンピュータシステムと、編集書込用のアプリケーションソフトウェアとが含まれている。
まず、図2のステップS1(鍵情報編集)において、編集を担当するオペレータが鍵情報設定システムにおいて入力を行い鍵情報の編集を行う。また、このとき輸送容器指定情報についても入力を行う。
次に、ステップS2(設定用カードへの鍵情報の書込)において、オペレータは鍵情報設定システムのカードリーダ/ライタに設定用カード2を装着し、装着した設定用カード2にステップS1で編集した鍵情報と輸送容器指定情報を書き込む。
次に、ステップS3(輸送容器への鍵情報の読取)において、輸送容器1のカードリーダ/ライタ11に鍵情報と輸送容器指定情報を書き込んだ設定用カード2を装着する。輸送容器1の処理手段14はカード認証処理において設定用カードであることの認証を行う。カードリーダ/ライタ11は設定用カード2に書き込まれた鍵情報と輸送容器指定情報を読み取る。
【0017】
次に、ステップS4(判定)において、処理部14の輸送容器判定手段は読み取った輸送容器指定情報と、記憶部13が記憶する輸送容器特定情報133とを比較し両者の一致不一致を判定する。
輸送容器判定手段が一致と判定したときにはステップS5(鍵情報記憶)において、カードリーダ/ライタ11は鍵情報を設定用カード2から読み取り、記憶手段は読み取った鍵情報を記憶部13に記憶する。処理部14のログ情報収集手段は鍵情報を記憶部13に記憶したときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻と鍵情報を記憶したこととを1組のメッセージとしてログ情報134に追加記憶する。これにより、輸送容器1の鍵情報設定処理が完了する。
輸送容器判定手段が不一致と判定したときにはステップS6(誤操作表示)において、設定用カード2と輸送容器1との適合性が得られないことを表現するメッセージを表示情報生成手段が生成し、記憶部13の表示情報132に記憶する。これにより、表示手段12がそのメッセージを表示する。
【0018】
次に、本発明の輸送容器管理システムにおける荷送過程の動作について説明する。荷送過程をフロー図として図3に示す。また荷送室の一例を図4に示す。
荷送過程の説明の前に、荷送室について説明しておく。荷送室は、図4に示す一例においては、セキュリティ領域A、セキュリティ領域B、セキュリティ領域Cの3つのセキュリティ領域を有している。セキュリティ領域Aには荷送室の外部とセキュリティ領域Aとを結ぶ出入口が設けられ、その出入口にはカードリーダ/ライタが設けられている。また、セキュリティ領域Bにはセキュリティ領域Aとセキュリティ領域Bとを結ぶ出入口が設けられ、その出入口にはカードリーダ/ライタが設けられている。また、セキュリティ領域Cにはセキュリティ領域Aとセキュリティ領域Bとを結ぶ出入口が設けられ、その出入口にはカードリーダ/ライタが設けられている。これらのカードリーダ/ライタ(全6箇所)と、それらとのインタフェースを有する入退室管理用のコンピュータシステムによって、荷送室の出入口における入退の管理が行われる。
【0019】
セキュリティ領域Aからはすべての出入口を利用することができ、セキュリティ領域Aはセキュリティ通路としての役割を有する。
また、セキュリティ領域Bは多数の輸送容器の保管場所であり、鍵情報の設定場所でもある。設定用カードと鍵情報設定システムはこのセキュリティ領域Aに設けることができる。
また、セキュリティ領域Cは輸送物品を輸送容器に収容する場所である。したがって、輸送容器に収容する輸送物品はこのセキュリティ領域Cに持ち込まれる。持ち込みの経路は前述した荷送室の出入口に限定されず、別の出入口を設けることができる。また、セキュリティ領域Cの内部に輸送物品を収容した輸送容器はセキュリティ領域Cを保管場所とすることができる。
【0020】
まず、図3のステップS101(入室)において、荷送人は荷送する輸送物品を輸送容器1に収容する荷送室へ入室する。
この荷送室は様々な形態で使用することができるのであるが、ここでは荷送人は輸送物品を輸送容器1に収容する人であるものとする。荷送人は荷送室のセキュリティ領域Aへ入室するときに荷送人カード3をセキュリティ領域Aへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を読み取り、入室を許可された荷送人特定情報であるときには、セキュリティ領域Aの荷送室特定情報を荷送人カード3に書き込むとともにその出入口の電子錠を解錠する。続いて荷送人は荷送室のセキュリティ領域Bへ入室するときに荷送人カード3をセキュリティ領域Bへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を読み取り、入室を許可された荷送人特定情報であるときには、セキュリティ領域Bの荷送室特定情報を荷送人カード3に書き込むとともにその出入口の電子錠を解錠する。
【0021】
荷送人はセキュリティ領域Bに入室し、複数の輸送容器の中から、今回の輸送物品の輸送に使用する特定の輸送容器1を選択する。輸送容器には、特定の輸送に使用される輸送容器であることを示す表示が行われており、荷送人はその表示を読み取ることにより特定の輸送容器1を選択することができる。
荷送人はその輸送容器1を携帯してセキュリティ領域Bから退室するときに荷送人カード3をセキュリティ領域Bへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を読み取り、退室を許可された荷送人特定情報であるときには、セキュリティ領域Aの荷送室特定情報を荷送人カード3から消去するとともにその出入口の電子錠を解錠する。続いて荷送人は荷送室のセキュリティ領域Cへ入室するときに荷送人カード3をセキュリティ領域Cへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を読み取り、入室を許可された荷送人特定情報であるときには、セキュリティ領域Cの荷送室特定情報を荷送人カード3に書き込むとともにその出入口の電子錠を解錠する。
【0022】
次に、ステップS102(荷送人カードの読取)において、荷送人はセキュリティ領域Cに入室し、セキュリティ領域Bから携帯した輸送容器1のカードリーダ/ライタ11に荷送人カード3を装着する。輸送容器1の処理手段14はカード認証処理において荷送人用カード(たとえば、社員証)であることの認証を行う。カードリーダ/ライタ11は荷送人カード3に記録されている荷送人特定情報(たとえば、社員ID番号)を読み取る。また、カードリーダ/ライタ11は荷送人カード3に記録されている荷送室特定情報を荷送人カードから読み取る。この場合は、荷送室特定情報はセキュリティ領域Cの荷送室特定情報である。
【0023】
次に、ステップS103(鍵情報との整合?)において、処理部14の荷送人判定手段は記憶部13に記憶された鍵情報131に含まれる荷送人指定情報と、読み取った荷送人特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定する。また、処理部14の荷送室判定手段は記憶部13に記憶された鍵情報131に含まれる荷送室指定情報と、読み取った荷送室特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定する。また、処理部14の時間帯判定手段はカードリーダ/ライタ11が荷送人カード3を読み取ったときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻と記憶部13に記憶された鍵情報131に含まれる時間帯指定情報とを比較し両者の一致不一致を判定する。すなわち、時間帯判定手段はその年月日時刻が時間帯指定情報で解錠を許可された時間帯の範囲内であるときには一致、そうでないときには不一致と判定する。荷送人判定手段と荷送室判定手段と時間帯判定手段のすべてが一致と判定したときには鍵情報と整合していることになりステップS105に進む。荷送人判定手段と荷送室判定手段と時間帯判定手段のいずれか1つでも不一致と判定したときには鍵情報と不整合であることになり、ステップS104(エラー表示)に進む。
【0024】
ステップS104において、荷送人カード3と輸送容器1との適合性が得られないことを表現するメッセージを処理部14の表示情報生成手段が生成し、記憶部13の表示情報132に記憶する。これにより、表示手段12がそのメッセージを表示し、ステップS102に戻る。
また、ステップS105(解錠)において、処理部14の解錠指令生成手段は荷送人判定手段と荷送室判定手段と時間帯判定手段のすべてが一致と判定したときにだけ解錠指令を生成する。電子錠16は生成された解錠指令を入力して輸送容器1の解錠を行う。処理部14のログ情報収集手段は輸送容器1の解錠を行ったときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻と荷送人特定情報と輸送容器1の解錠を行ったこととを1組のメッセージとしてログ情報134に追加記憶する。
【0025】
次に、ステップS106(物品の収納)において、荷送人は輸送容器1に輸送物品を収容する。輸送物品は荷送室のセキュリティ領域Cに荷送人が持参した輸送物品でもよく、それとは別に送り込まれた輸送物品であってもよく、その両者であってもよい。
次に、ステップS107(施錠)において、荷送人は輸送容器1を施錠する。輸送容器1のカードリーダ/ライタ11から荷送人カード3を取り外すことにより処理部14の解錠指令生成手段は解錠指令を生成しなくなる。その結果、電子錠16は解錠指令を入力しなくなり輸送容器1は施錠される。さらに、輸送容器1に扉があるときには、その扉を閉めることにより施錠が完了する。処理部14のログ情報収集手段は輸送容器1の施錠を行ったときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻と輸送容器1の施錠を行ったこととを1組のメッセージとしてログ情報134に追加記憶する。
【0026】
次に、ステップS108(退室)において、荷送人は荷送室のセキュリティ領域Cから退室するときに荷送人カード3をセキュリティ領域Cへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を読み取り、退室を許可された荷送人特定情報であるときには、セキュリティ領域Cの荷送室特定情報を荷送人カード3から消去するとともにその出入口の電子錠を解錠する。続いて荷送人は荷送室のセキュリティ領域Aから退出するときに荷送人カード3を外部への出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を読み取り、退室を許可された荷送人特定情報であるときには、セキュリティ領域Aの荷送室特定情報を荷送人カード3から消去するとともにその出入口の電子錠を解錠する。
次に、ステップS109(輸送)において、輸送物品を収容した輸送容器1を荷受人に宛てて輸送する。なお、荷送人が荷送室から輸送物品を収容した輸送容器1を持ち出して荷送人自身で輸送を行ってもよく、輸送容器1を荷送室のセキュリティ領域Cに保管しておき、配送部門の者が輸送を行ってよい。輸送の形態によって本発明は限定されない。
【0027】
次に、本発明の輸送容器管理システムにおける荷受過程の動作について説明する。荷受過程をフロー図として図5に示す。また荷受室の一例を図6に示す。
荷受過程の説明の前に、荷受室について説明しておく。荷受室は、図6に示す一例においては、セキュリティ領域D、セキュリティ領域Eの2つのセキュリティ領域を有している。セキュリティ領域Dには荷受室の外部とセキュリティ領域Eとを結ぶ出入口が設けられ、その出入口にはカードリーダ/ライタが設けられている。また、セキュリティ領域Eにはセキュリティ領域Dとセキュリティ領域Eとを結ぶ出入口が設けられ、その出入口にはカードリーダ/ライタが設けられている。これらのカードリーダ/ライタ(全4箇所)と、それらとのインタフェースを有する入退室管理用のコンピュータシステムによって、荷受室の出入口における入退の管理が行われる。
【0028】
まず、図5のステップS201(入室)において、荷受人は荷受する輸送物品を輸送容器1に収容する荷受室へ入室する。
この荷受室は様々な形態で使用することができるのであるが、ここでは荷受人は輸送物品を輸送容器1から回収する人であるものとする。荷受人は荷受室のセキュリティ領域Dへ入室するときに荷受人カード4をセキュリティ領域Dへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷受人特定情報を読み取り、入室を許可された荷受人特定情報であるときには、セキュリティ領域Dの荷受室特定情報を荷受人カード3に書き込むとともにその出入口の電子錠を解錠する。続いて荷受人は荷受室のセキュリティ領域Eへ入室するときに荷受人カード4をセキュリティ領域Eへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷受人特定情報を読み取り、入室を許可された荷受人特定情報であるときには、セキュリティ領域Eの荷受室特定情報を荷受人カード4に書き込むとともにその出入口の電子錠を解錠する。
【0029】
次に、ステップS202(荷受人カードの読取)において、荷受人はセキュリティ領域Eに入室し、輸送容器1のカードリーダ/ライタ11に荷受人カード4を装着する。輸送容器1の処理手段14はカード認証処理において荷受人用カード(たとえば、社員証)であることの認証を行う。カードリーダ/ライタ11は荷受人カード4に記録されている荷受人特定情報(たとえば、社員ID番号)を読み取る。また、カードリーダ/ライタ11は荷受人カード4に記録されている荷受室特定情報を荷受人カードから読み取る。この場合は、荷受室特定情報はセキュリティ領域Eの荷受室特定情報である。なお、輸送容器1は荷受人がセキュリティ領域Eに持ち込んでもよく、配送部門の者が持ち込んでセキュリティ領域Eにに保管しておいてもよい。持ち込みの形態によって本発明は限定されない。
【0030】
次に、ステップS203(鍵情報との整合?)において、処理部14の荷受人判定手段は記憶部13に記憶された鍵情報131に含まれる荷受人指定情報と、読み取った荷受人特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定する。また、処理部14の荷受室判定手段は記憶部13に記憶された鍵情報131に含まれる荷受室指定情報と、読み取った荷受室特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定する。また、処理部14の時間帯判定手段はカードリーダ/ライタ11が荷受人カード4を読み取ったときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻と記憶部13に記憶された鍵情報131に含まれる時間帯指定情報とを比較し両者の一致不一致を判定する。すなわち、時間帯判定手段はその年月日時刻が時間帯指定情報で解錠を許可された時間帯の範囲内であるときには一致、そうでないときには不一致と判定する。荷受人判定手段と荷受室判定手段と時間帯判定手段のすべてが一致と判定したときには鍵情報と整合していることになりステップS205に進む。荷受人判定手段と荷受室判定手段と時間帯判定手段のいずれか1つでも不一致と判定したときには鍵情報と不整合であることになり、ステップS204(エラー表示)に進む。
【0031】
ステップS204において、荷受人カード3と輸送容器1との適合性が得られないことを表現するメッセージを処理部14の表示情報生成手段が生成し、記憶部13の表示情報132に記憶する。これにより、表示手段12がそのメッセージを表示し、ステップS202に戻る。
また、ステップS205(解錠)において、処理部14の解錠指令生成手段は荷受人判定手段と荷受室判定手段と時間帯判定手段のすべてが一致と判定したときにだけ解錠指令を生成する。電子錠16は生成された解錠指令を入力して輸送容器1の解錠を行う。処理部14のログ情報収集手段は輸送容器1の解錠を行ったときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻と荷受人特定情報と輸送容器1の解錠を行ったこととを1組のメッセージとしてログ情報134に追加記憶する。
【0032】
次に、ステップS206(物品の回収)において、荷受人は輸送容器1から輸送物品を回収する。回収した輸送物品は荷受人が携帯して持ち出してもよく、荷受室のセキュリティ領域Eの所定の場所に保管してもよい。輸送物品の一部を持ち出し、残部を保管してもよい。
次に、ステップS207(施錠)において、荷受人は輸送容器1を施錠する。輸送容器1のカードリーダ/ライタ11から荷受人カード4を取り外すことにより処理部14の解錠指令生成手段は解錠指令を生成しなくなる。その結果、電子錠16は解錠指令を入力しなくなり輸送容器1は施錠される。さらに、輸送容器1に扉があるときには、その扉を閉めることにより施錠が完了する。処理部14のログ情報収集手段は輸送容器1の施錠を行ったときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻と輸送容器1の施錠を行ったこととを1組のメッセージとしてログ情報134に追加記憶する。施錠した輸送容器1は荷受人が携帯して持ち出してもよく、荷受室のセキュリティ領域Eの所定の場所に保管してもよい。
【0033】
次に、ステップS208(退室)において、荷受人は荷受室のセキュリティ領域Eから退室するときに荷受人カード3をセキュリティ領域Eへの出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷受人特定情報を読み取り、退室を許可された荷受人特定情報であるときには、セキュリティ領域Eの荷受室特定情報を荷受人カード3から消去するとともにその出入口の電子錠を解錠する。続いて荷受人は荷受室のセキュリティ領域Dから退出するときに荷受人カード4を外部への出入口のカードリーダ/ライタに近接させる。カードリーダ/ライタは荷受人特定情報を読み取り、退室を許可された荷受人特定情報であるときには、セキュリティ領域Dの荷受室特定情報を荷受人カード4から消去するとともにその出入口の電子錠を解錠する。
【0034】
次に、本発明の輸送容器管理システムにおけるログ情報出力過程の動作について説明する。ログ情報出力過程をフロー図として図7に示す。
まず、図7のステップS301(収集用カードを輸送容器に装着)において、収集用カード5を輸送容器1のカードリーダ/ライタ11に装着する。輸送容器1の処理手段14はカード認証処理において収集用カードであることの認証を行う。
次に、ステップS302(ログ情報書込)において、処理部14のログ情報収集手段は収集用カード5が装着されたときに時刻生成手段15が生成した年月日時刻を入力し、その年月日時刻とログ情報出力処理を行うこととを1組のメッセージとしてログ情報134に追加記憶する。さらに、ログ情報収集手段は記憶部13に記憶されているログ情報134と輸送容器特定情報とを1組のメッセージとしてカードリーダ/ライタ11に装着された収集用カード5に書き込む。
次に、ステップS303(収集用コンピュータへ装着)において、オペレータは収集用カード5をログ情報収集用コンピュータシステムのカードリーダ/ライタに装着する。
次に、ステップS304(ログ情報の読取)において、オペレータはログ情報収集用コンピュータシステムにおいて収集用カード5に記録されたログ情報を読み取り、所定のログ情報ファイルを作成する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の輸送容器管理システムにおける構成の一例を示すブロック図である。
【図2】鍵情報の設定過程を示すフロー図である。
【図3】輸送容器の荷送過程を示すフロー図である。
【図4】荷送室の一例を示す図である。
【図5】輸送容器の荷受過程を示すフロー図である。
【図6】荷受室の一例を示す図である。
【図7】ログ情報出力過程を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0036】
1 輸送容器
2 設定用カード
3 荷送人カード
4 荷受人カード
5 収集用カード
11 カードリーダ/ライタ
12 表示手段
13 記憶部
14 処理部
15 時刻生成手段
16 電子錠
131 鍵情報
132 表示情報
133 輸送容器特定情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定用カード、荷送人カード、荷受人カード、およびカードリーダ/ライタと記憶手段と荷送人判定手段と荷受人判定手段と解錠指令生成手段と電子錠とを備える輸送容器、を具備する輸送容器管理システムであって、
前記設定用カードにはすくなくとも荷送人指定情報、荷受人指定情報が含まれる鍵情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、
前記荷送人カードには荷送人特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは荷送人特定情報を前記荷送人カードから読み取り、
前記荷送人判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷送人指定情報と、前記荷送人特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、
前記解錠指令生成手段は前記荷送人判定手段が一致と判定したときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行い、
前記荷受人カードには荷受人特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記荷受人特定情報を前記荷受人カードから読み取り、
前記荷受人判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷受人指定情報と、前記荷受人特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、
前記解錠指令生成手段は前記荷受人判定手段が一致と判定したときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行う、
ことを特徴とする輸送容器管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の輸送容器管理システムにおいて、荷送室を具備する輸送容器管理システムであって、
前記荷送室は入室時に前記荷送人カードに荷送室特定情報を書き込み、退室時に前記荷送人カードに書き込まれた荷送室特定情報を消去する荷送室カードリーダ/ライタが備えられ、また前記輸送容器は荷送室判定手段を備え、
前記設定用カードに記録された鍵情報には荷送室指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、
前記荷送人カードには前記荷送室への入室時に荷送室特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記荷送室特定情報を前記荷送人カードから読み取り、
前記荷送室判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷送室指定情報と、前記荷送室特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、
前記解錠指令生成手段は前記荷送室判定手段が一致と判定し、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行う、
ことを特徴とする輸送容器管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の輸送容器管理システムにおいて、荷受室を具備する輸送容器管理システムであって、
前記荷受室は入室時に前記荷受人カードに荷受室特定情報を書き込み、退室時に前記荷受人カードに書き込まれた荷受室特定情報を消去する荷受室カードリーダ/ライタが備えられ、また前記輸送容器は荷受室判定手段を備え、
前記設定用カードに記録された鍵情報には荷受室指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、
前記荷受人カードには前記荷受室への入室時に荷受室特定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記荷受室特定情報を前記荷受人カードから読み取り、
前記荷受室判定手段は前記記憶手段が記憶する鍵情報に含まれる荷受室指定情報と、前記荷受室特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、
前記解錠指令生成手段は前記荷受室判定手段が一致と判定し、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行う、
ことを特徴とする輸送容器管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器は時刻生成手段と時間帯判定手段を備え、
前記設定用カードに記録された鍵情報には時間帯指定情報が含まれており、前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶し、
前記時間帯判定手段は前記カードリーダ/ライタが前記荷送人カードまたは前記荷受人カードを読み取ったときに前記時刻生成手段が生成した時刻を入力しその時刻と前記時間帯指定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、
前記解錠指令生成手段は前記時間帯判定手段が一致と判定し、かつ他に不一致の判定がないときに解錠指令を生成し、前記電子錠は前記解錠指令を入力して輸送容器の解錠を行う、
ことを特徴とする輸送容器管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器は輸送容器判定手段を備え、また前記記憶部に輸送容器特定情報を記憶しており、
前記設定用カードには前記鍵情報とともに輸送容器指定情報が記録されており、前記カードリーダ/ライタは前記輸送容器指定情報を前記設定用カードから読み取り、
前記輸送容器判定手段は前記読み取った輸送容器指定情報と、前記輸送容器特定情報とを比較し両者の一致不一致を判定し、
前記輸送容器判定手段が一致と判定したときにだけ前記カードリーダ/ライタは前記鍵情報を前記設定用カードから読み取り、前記記憶手段は前記読み取った鍵情報を記憶する、
ことを特徴とする輸送容器管理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、前記鍵情報を編集し、編集した鍵情報を前記設定カードに書き込む鍵情報設定システムを具備することを特徴とする輸送容器管理システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の輸送容器管理システムにおいて、前記輸送容器におけるログ情報を生成して前記記憶手段に記憶するログ情報収集手段と前記収集したログ情報を記録する収集用カードを具備することを特徴とする輸送容器管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−65392(P2010−65392A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230088(P2008−230088)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】