説明

輸送用容器

【課題】一つのポンプを分割可能な複数の単位容器に利用できるようにして、単位容器毎の輸送コストの低減を図り、輸送先で分割した単位容器をそのまま販売に利用できる輸送用容器を提供する。
【解決手段】複数の単位容器11と単位蓋とよりなり、複数の単位容器11が並列して対向する容器側壁12,12間で易分断性の連結部15を介して一体に連結し、隣接する単位容器11の対向側部分に、容器内と隔壁16により仕切られた一つのポンプ収容室17を形成し、ポンプ収容室17に収容されるポンプ3からエアー分散器5に至るエアーチューブ4を容器内に導入する導入部18を各単位容器11にそれぞれに設け、一つのポンプ3のエアーを各単位容器11内に導入できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類を活性状態で輸送するための輸送用容器に関し、特に各小売店への分配にも利用できる分割可能な輸送用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、鯛、鮃、穴子、海老等の魚介類を生産地から市場及び消費地へ輸送する際、発泡スチロール製等の蓋付きの容器で、例えば2〜4kgの魚介類を収容できる容器を用い、該容器内に輸送する魚介類とともに海水等の冷水を入れ、乾電池式のエアーポンプにより、容器内に収容セットしたエアー分散器にエアーを給送して、容器内の冷水をバブリングしながら魚介類を活性状態に保つようにして輸送することが行われている(特許文献1)。
【0003】
前記の活性状態の魚介類(活魚)の輸送に使用される容器には、一つのエアーポンプを収容するためのポンプ収容部が形成されており、1個のポンプが収容されて使用される。このポンプは使い捨てされるのが普通であり、そのため容器当りの輸送コストが大きくなっている。
【0004】
なお、活魚の輸送用容器として容量の大きい容器を用いて、使い捨てのポンプの使用を少なくするのは、輸送先では魚介類を販売単位の別の容器に移し替える作業が必要になり、販売単位に適した容器を準備する必要がある等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3914125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、複数の単位容器に分割可能に連結された容器を用い、一つのポンプを複数の単位容器に利用できるようにして、単位容器毎の輸送コストの低減を図り、かつ輸送先で分割した単位容器をそのまま販売に利用できる輸送用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の輸送用容器は、合成樹脂発泡体により成形され、上方に開口する平面矩形の複数の単位容器と、前記各単位容器の開口部に対し被着自在な複数の単位蓋とよりなり、複数の単位容器が縦横の少なくとも1方向に並列して対向する容器側壁間で易分断性の連結部を介して一体に連結され、隣接する単位容器の対向側部分に、各単位容器内と隔壁により仕切られた一つのポンプ収容室が形成され、該ポンプ収容室に収容されるポンプに接続され分岐してエアー分散器に至るエアーチューブを各単位容器内に導入する導通部が各単位容器にそれぞれに設けられ、一つのポンプから送出されるエアーを複数の単位容器内に導入できることを特徴とする。
【0008】
前記の構成による本発明の輸送用容器は、魚介類の生産地からの輸送の際に単位容器を連結した状態のままで使用するもので、隣接する単位容器の対向面側部分に形成されたポンプ収容室に収容した一つのポンプに接続され分岐したエアーチューブを、各単位容器に導入部を通じて導入してエアー分散器をセットしておき、各単位容器内に海水等の冷水入れるとともに、例えば販売単位に相当する量の魚介類を収納する。こうして、単位蓋を被着して前記ポンプにより給送されるエアーをエアー分散器より噴出させてパブリングしながら輸送する。これにより、一つポンプにより、複数の単位容器に収容した魚介類を活性状態に保持することができる。
【0009】
輸送先では、単位蓋を開いてポンプ及びエアー分散器等を取り外して、隣接する単位容器の間を割り開くように力を加えることにより、易分断性の連結部から容易に分断できて、各単位容器毎に容易に分断でき、そのまま小売用の販売単位の容器として利用できる。
【0010】
前記の輸送用容器において、各単位容器の前記ポンプ収容室近傍の容器側壁に、それぞれポンプに接続されたエアーチューブを容器外側を迂回させて各単位容器内に導入するための導入部としての凹溝が設けられてなるものが好ましい。これにより、単位容器内の水が導入部としての凹溝から流出することがあっても、その水がポンプ収容室に流れ込む虞がなない。
【0011】
前記の輸送用容器において、前記ポンプ収容室が、隣接する単位容器の対向側部分の対応位置に、対向する容器側壁の一部を開放して両単位容器に跨って形成され、両単位容器のポンプ収容室の外側壁部に前記エアーチューブを容器外側に導くための凹溝が形成されるとともに、該凹溝から連続する容器外側の段状凹部を介して前記導入部としての凹溝と連通せしめられてなるものが好ましい。これにより、ポンプから延びるエアーチューブを容器外側を外方へはみ出させずに容器外側を迂回して単位容器内に導入させることができる。
【0012】
この場合、前記エアーチューブの導入部としての凹溝が外側に向かって斜め上に傾斜し、かつ前記段状凹部が、前記容器側壁の凹溝側からポンプ収容室の外側壁の凹溝側へ漸次高くなるように傾斜していると、前記導入部としての凹溝から流出した水がポンプ収容室側へ流れるのを防止できる。
【0013】
前記の輸送用容器において、前記単位容器間の連結部は、対向する容器側壁間に間隙を存するように該容器側壁の外面下部に一体に形成され、底壁部に沿って延びる板状連結部と、該板状連結部の一部より連続して上方に延びる立ち上がり連結部とよりなるものが好ましい。すなわち、隣接する単位容器の対向する両側壁の外面下部で連結する連結部は、底壁部に沿う板状連結部に連続して上方へ延びる立ち上がり連結部が設けられているため、単に底壁部に沿う板状の連結部だけで連結されている場合に比して、両単位容器の連結状態が安定し、例えば内容物を収納した状態での持ち上げ作用、あるいは運搬、輸送等の取り扱い上の振動等によって妄りに分断される虞がない。しかも、両単位容器の間を上から割り開くように力を加えることにより、前記立ち上がり連結部から分断が開始されてその破断が板状連結部に及ぶことで、該連結部の分断による分割操作も容易に行える。
【0014】
前記立ち上がり連結部は、前記板状連結部の長手方向の両端部もしくは両端部近傍に設けられてなるものとすることができ、また、前記立ち上がり連結部が、容器側壁の上端部又は上端部近くまで延びているものとすることができる。前記の間隔をおいて設けた立ち上がり連結部により、隣接する単位容器の連結状態がさらに安定し、両単位容器間の個所で歪み変形などが生じ難く、連結部の分断防止の効果も大きくなる。
【0015】
さらに、前記立ち上がり連結部は、少なくとも下部の一方の側端面が傾斜面をなして立ち上がった断面三角状もしくは台形状をなし、該立ち上がり連結部の上端部の幅が下端基部の幅より狭くなっていることにより、隣接する単位容器の間を上から割り開くようにすれば、前記立ち上がり連結部の上端部から難なく分断が開始され、以て連結部での分断操作を容易に行うことができる。
【0016】
前記複数の単位蓋が前記単位容器に対応した連結状態で分断可能に連結されてなるものが特に好ましい。すなわち、前記連結された単位蓋を被着することにより、前記単位容器の連結状態がさらに安定し、しかも各単位蓋に分割することにより、該単位蓋を前記のように分断された各単位容器に被着して、販売単位の容器に使用できる。
【発明の効果】
【0017】
上記したように本発明の輸送用容器によれば、複数の単位容器が分割可能に連結されたもので、活魚の輸送の際に一つのポンプを複数の単位容器に利用でき、かつ輸送先では、各単位容器毎に容易に分割できるため、単位容器当たりの輸送コストを低減でき、また輸送先では、分割した単位容器をそのまま販売単位の容器として利用でき、別の容器に移し変える面倒な作業も必要ではなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の輸送用容器の1実施例を示す蓋を分離した斜視図である。
【図2】同上の輸送用容器の蓋体を省略した平面図である。
【図3】同上の蓋体を裏返した平面図である。
【図4】同上の容器の本体部と蓋体の分離した断面図である。
【図5】同上の両単位容器間の連結部の断面図である。
【図6】単位容器間の連結部の他の例を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す本体部の平面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施例を示す本体部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0020】
本発明の輸送用容器1は、複数の単位容器11を連結した本体部10と、各単位容器11に嵌合被着自在な対応する複数の単位蓋31を連結した蓋体30とを備えてなるもので、該本体部10及び蓋体30が、それぞれ断熱性を有する発泡ポリスチレン等の合成樹脂発泡体より成形されている。
【0021】
前記本体部10は、上方に開口する平面矩形の複数の単位容器11が、後述のように、縦横の少なくとも1方向に並列して近接対向する容器側壁間で易分断性の連結部15を介して一体に連結されている。図中の12は各単位容器11の長辺側の容器側壁、13は短辺側の容器側壁を示し、14は底壁部を示す。図の場合、二つの単位容器11,11が長辺側の容器側壁12,12の外面下部において、両容器側壁12,12間に所要の間隙Sを保有して連結するように、前記連結部15を介して連結されており、該連結部15の部分で分断できるように一体に形成されている。
【0022】
そして、隣接する両単位容器11,11の対向側部分の対応位置、例えば図のように一つの隅角部側の部分に、各単位容器11内と隔壁16により仕切られた一つのポンプ収容室17が形成され、さらに該ポンプ収容室17に収容されるポンプ3に接続され分岐してエアー分散器4に至るエアーチューブ5を各単位容器11内に導入するための導入部18が各単位容器11にそれぞれに設けられ、一つのポンプ3から送出されるエアーを複数の単位容器11内に導入できるように構成されている。
【0023】
前記ポンプ収容室17は、一つのポンプ3を収容でき、かつ各単位容器11にエアーを導入できるものであれば、どのような位置、形態に設けられていてもよいが、図示する実施例の場合は、対向する容器側壁12,12の一部を開放して両単位容器11,11に跨って一つのポンプ収容室17が形成されており、該ポンプ収容室17に一つのポンプ3を収容できるようになっている。17aはポンプ収容室17の底部を示す。
【0024】
また、各単位容器11の短辺側の容器側壁13から連続する前記ポンプ収容室17の外側壁部13aには、それぞれ前記エアーチューブ5を容器外側に導くための凹溝22が形成されるとともに、該凹溝22から連続する容器外側の段状凹部23を介して前記導入部18としての凹溝18aと連通せしめられており、前記エアーチューブ5を容器側壁13から外方へ大きくはみ出させず容器外側を迂回させて導入することができるようになっている。このため、前記容器側壁13の一部が厚肉に形成され、この厚肉部分の外側に前記段状凹部23が形成されている。なお、前記外側壁部13aの端面は、長辺側の容器側壁12と同一面をなすように形成される。
【0025】
前記エアーチューブ5の導入部18としての凹溝18aは、外側に向かって斜め上に傾斜しており、エアーチューブ5を伝って容器外に流れ出ようとする水が容器内に流れ込み易くなっている。また、前記段状凹部23は、前記容器側壁13の凹溝18a側からポンプ収容室17の外側壁部13aの凹溝22側へ漸次高くなるように傾斜しており、エアーチューブ5を伝って段状凹部23に流出した水がポンプ収容室17側に流れ込まないようになっている。これにより、各単位容器11のエアーチューブ5の導入部18からポンプ収容室17への水の侵入を防止できることになる。
【0026】
図中の符号24は底壁部14に突設したチューブ保持部であり、前記エアー分散器4付近のチューブを保持するように設けられており、また、図中の符号25は前記容器側壁13の厚肉部分の内側に形成されたチューブ保持用溝であり、前記凹溝18aより容器内に導入されるエアーチューブ5を嵌合して保持できるように形成されている。これによりエアーチューブ5の遊動を規制できるようになっている。
【0027】
前記単位容器11,11間の連結部15は、図示する実施例のように、両単位容器11,11の近接対向する側壁、すなわち長辺側の容器側壁12,12の外面下部において、前記底壁部14に沿って延びる板状連結部15aと、該板状連結部15aの一部より連続して対向する両容器側壁12,12の外面同士を連結した状態で上方に延びる立ち上がり連結部15bとよりなる。
【0028】
前記連結部15の立ち上がり連結部15bは、前記板状連結部15aの長手方向のどの位置にあってもよいが、実施上は長手方向に間隔をおいて少なくとも2個所に、例えば図5のように、ポンプ収容室17の位置を考慮して長手方向の両端部もしくは両端部近傍に設けておくのが、連結した単位容器11のねじれ変形や歪みを抑制する上で好ましい。前記立ち上がり連結部15bは、図6のように、その上部が割り開き作用による分断容易性を損なわない範囲で、薄板状で容器側壁12の上端部又は上端部近くまで延長形成されているものとすることができる。これにより、分断し分離するまでの連結状態がさらに安定したものになる。15cは薄板状の延長部を示す。
【0029】
また、前記立ち上がり連結部15bの形態(分断面の形状)としては、上端部が半円形或いは円弧状をなすもの、台形等の四角形、三角形状等、種々の形状による実施が可能であるが、実施上は、少なくとも下部の一方の側端面が傾斜面をなして立ち上がった断面三角状、又は断面台形状(図示せず)をなすもので、上端部の幅が下端基部の幅より狭く先細形状をなすものが、両単位容器11,11間を上から割り開く作用により該立ち上がり連結部15bで分断され易く、特に好ましい。
【0030】
前記立ち上がり連結部15bとしては、中央部等の一個所に、緩傾斜の三角形状や円弧状あるいは台形状等のやや幅のある立ち上がり連結部(図示せず)を設けて実施することもできるが、この場合、両単位容器11,11間を割り開く作用の際に立ち上がり連結部15bの上端部からの分断が開始され易くするために、V溝状やU字状の凹溝(図示せず)を形成しておくのがよい。
【0031】
また、底壁部14に沿う前記板状連結部15は、長手方向に断続状に分離して設けおくことができる。この場合、例えば両側端部の板状連結部15a,15aに立ち上がり連結部15bを設けて実施することができる。また、前記板状連結部15aについても、単なる板状とするほか、必要に応じて分断助成のためのV字状或いはU字状の凹溝を上端部に形成しておくことができる。
【0032】
なお、前記連結部15の板状連結部15a及び立ち上がり連結部15bは、分断操作時の破断が容器側壁12の肉厚部分に及ぶのを避けるために、該連結側の側壁、例えば図のように長辺側の容器側壁12の外面における底壁部14に対応する外面の部分、あるいは他方の側壁13に対応する外面の部分(外側壁部13aの端面を含む)に設けておくのが好ましい。
【0033】
前記蓋体30は、各単位蓋31の下面周縁部に沿って前記単位容器11の開口部を形成する容器側壁12,13の内側、及びポンプ収容室17の隔壁16の容器内側に嵌合する凸部32が設けられ、該凸部32の嵌合により各単位容器11に対し被着されるようになっている。前記凸部32は、単位容器11に対し容易に抜脱しないように弾力的に嵌合できるものが好ましい。図の場合、前記ポンプ収容室17の内側に嵌合する凸部33が設けられており、ポンプ収容室17の上部を閉塞できるようになっている。
【0034】
そして、前記各単位蓋31,31間の境界部には、例えば上面に断面がU字形あるいはV字形の凹溝34が形成され、該凹溝34の個所で折り曲げるようにして容易に分断し分割できるようになっている。この凹溝34の部分についても、図3のように両端部に立ち上がり連結部分34aを形成し、通常時の連結状態を安定させて、使用上は容易に割れることはないが、人的に力を加えることにより分断できるように構成して実施することができる。
【0035】
また、前記蓋体30の各単位蓋31の上面周縁部には、蓋体を被着した状態での積み重ね時に、前記底壁部14の下面に周縁部を切欠して形成された凸状の中央部14aが嵌合する凸縁35が設けられており、前記蓋体30を被着した連結容器1を安定性よく積み重ねることができるようになっている。
【0036】
なお、前記単位蓋31は、各単位容器11毎に対応して個々に分離して形成しておくこともできるが、単位容器11を連結した輸送用容器1として輸送時の安定性等の点から、図示する実施例のように分断可能に連結構成しておくのが望ましい。
【0037】
上記した実施例においては、2つの単位容器11を連結形成したものにおいて、一つのポンプ収容室17を設けて、一つのポンプ3から送出されるエアーを両単位容器11に導入するできるようにした場合を示したが、このほか、図7又は図8の例のように、本体部10が、縦横にそれぞれ複数、例えば二つの単位容器11を並列して上記同様の易分断性の連結部15を介して分断可能に連結して構成した容器においても、一つのポンプ収容室17を設けて、該ポンプ収容室17に収容されるポンプ3から送出されるエアーをエアーチューブ5により各単位容器11に導入でるきように構成して実施することができる。
【0038】
これらの各実施例において、上記の実施例と同様の構成部分、構成部材については、同符号を付して詳しい説明を省略する。この実施例において、縦横に隣接する四つの単位容器11の各隅角部が集合する中央部分において、例えば、図7のように、隣接する二つの単位容器11,11の隅角部側の部分に、両単位容器11,11に跨って容器内と隔壁16により仕切られた一つのポンプ収容室17を形成しておくことも、また、図8のように、四つの各単位容器11の隅角部において、各単位容器に跨って容器内と隔壁16により仕切られた一つのポンプ収容室17を形成しておくこともできる。
【0039】
これらいずれの場合も、前記ポンプ収容室17の近傍の容器側壁、例えば容器側壁13の上端部に、前記ポンプ3のエアーチューブ5を容器内に導入するための導入部18としての凹溝18が上端部に設けられている。
【0040】
図7の実施例の場合、前記ポンプ収容室17が形成されていない二つの単位容器11、11には、前記ポンプ収容室17を備える側の単位容器11の容器側壁13に有する前記導入部18としての凹溝18a、傾斜した段状凹部23及びポンプ収容室17側の凹溝22と対応する部分に、それぞれ導入部18としての凹溝18a、傾斜した段状凹部23が形成され、エアーチューブ5を一旦容器外側を迂回させて容器内に導入できるように形成されている。
【0041】
また、図8の実施例の場合、各単位容器11の縦方向に隣接し対向する短辺側の容器側壁13の上端部に、それぞれ前記導入部18としての凹溝18a、傾斜した段状凹部23及びポンプ収容室17側の凹溝22が形成されており、エアーチューブ5を一旦容器外側を迂回させて容器内に導入できるように形成されている。
【0042】
これらの実施例の場合、図示を省略するが、蓋体についても、各単位容器11に対応する単位蓋が縦横に連結形成したものを使用することができる。
【0043】
本発明において、容器の構成材である合成樹脂発泡体としては、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。分断の容易性の点では、前記ポリスチレン系樹脂の発泡体が好ましく、中でも発泡倍率が50〜65倍のものが好適に用いられる。
【0044】
上記の構成による本発明の輸送用容器1は、魚介類の生産地からの輸送の際に単位容器11を連結した状態のままで使用するもので、隣接する単位容器11の対向面側部分に形成されたポンプ収容室17に収容した一つのポンプ3に接続され分岐したエアーチューブ4を、各単位容器11内に容器側壁13の導入部18を通じて導入してエアー分散器5をセットしておき、各単位容器11内に海水等の冷水入れるとともに、例えば販売単位に相当する量の魚介類を収納する。こうして、単位蓋31を連結した蓋体30を被着し、前記ポンプ3により給送されるエアーをエアー分散器5より噴出させてバブリングしながら輸送する。これにより、一つのポンプ3により複数の単位容器11に収容した魚介類を活性状態に保持できる。このため、使い捨てされるポンプの使用を削減でき、単位容器当たりの輸送コストを大幅に低減できる。
【0045】
また、前記の使用において、隣接する単位容器11の対向する容器側壁12,12の外面下部で連結する連結部15は、底壁部14に沿う板状連結部15aに連続して上方へ延びる立ち上がり連結部15bが設けられていることにより、単に底壁部14に沿う板状連結部だけで連結されている場合に比して、両単位容器11の連結状態が安定し、例えば活魚等の魚介類を収納した状態での持ち上げ作用、あるいは運搬、輸送等の取り扱い上の振動等によって妄りに分断される虞がなく、魚介類の収納、梱包、運搬及び積み卸し等の作業を容易に行え、輸送効率の向上に寄与できる。
【0046】
輸送先では、複数の単位蓋31よりなる蓋体30を開いてポンプ3及びエアー分散器5等を取り外して、隣接する単位容器11の間を割り開くように力を加えることにより、易分断性の連結部15の立ち上がり連結部15bから分断が開始されて板状連結部15aに及ぶことで、各単位容器11毎に容易に分断でき、そのまま小売用の販売単位の容器として利用でき、別の容器に移し変える面倒な作業を不要にできる。特に、前記立ち上がり連結部15bが上端部で幅が狭くなった三角状もしくは台形状をなしている場合は、前記単位容器11を上から割り開くようにすることにより立ち上がり連結部15bの上端部から分断され易く、分断を単位容器の側壁に及ぶことなく該連結部15で確実に分断することができる。
【0047】
また、前記連結部15の板状連結部15a及び立ち上がり連結部15bが、それぞれ側壁12における外面に対して直交する他方の側壁13あるいは底壁部14の外面の個所に設けられていることで、該連結部15における破断線が少々ずれても、その影響を受けることがない。
【0048】
なお、複数の単位蓋31が分断可能に連結した蓋体30である場合は、該蓋体30を各単位蓋31ごとに分断し分離して使用する。
【符号の説明】
【0049】
1…輸送用容器、10…本体部、11…単位容器、12…長辺側の容器側壁、13…短辺側の容器側壁、13a…ポンプ収容室の外側壁部、14…底壁部、14a…凸状の中央部、15…連結部、15a…板状連結部、15b…立ち上がり連結部、15c…薄板状の延長部、16…隔壁、17…ポンプ収容部、18…導入部、18a…凹溝、22…ポンプ収容室側の凹溝、23…段状凹部、24…チューブ保持部、25…保持用溝、30…蓋体、31…単位蓋、32…凸部、33…凸部、34…凹溝、34a…立ち上がり連結部分、35…凸縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂発泡体により成形され、上方に開口する平面矩形の複数の単位容器と、前記各単位容器の開口部に対し被着自在な複数の単位蓋とよりなり、複数の単位容器が縦横の少なくとも1方向に並列して対向する容器側壁間で易分断性の連結部を介して一体に連結され、
隣接する単位容器の対向側部分に、各単位容器内と隔壁により仕切られた一つのポンプ収容室が形成され、該ポンプ収容室に収容されるポンプに接続され分岐してエアー分散器に至るエアーチューブを各単位容器内に導入するための導入部が各単位容器にそれぞれに設けられ、一つのポンプから送出されるエアーを複数の単位容器内に導入できることを特徴とする輸送用容器。
【請求項2】
各単位容器の前記ポンプ収容室近傍の容器側壁に、それぞれポンプに接続されたエアーチューブを容器外側を迂回させて各単位容器内に導入するための導入部としての凹溝が設けられてなる請求項1に記載の輸送用容器。
【請求項3】
前記ポンプ収容室が、隣接する単位容器の対向側部分の対応位置に、対向する容器側壁の一部を開放して両単位容器に跨って形成され、両単位容器のポンプ収容室の外側壁部に前記エアーチューブを容器外側に導くための凹溝が形成されるとともに、該凹溝から連続する容器外側の段状凹部を介して前記導入部としての凹溝と連通せしめられてなる請求項2に記載の輸送用容器。
【請求項4】
前記エアーチューブの導入部としての凹溝が外側に向かって斜め上に傾斜し、かつ前記段状凹部が、前記容器側壁の凹溝側からポンプ収容室の外側壁部の凹溝側へ漸次高くなるように傾斜している請求項2又は3に記載の輸送用容器。
【請求項5】
前記単位容器間の連結部は、対向する容器側壁間に間隙を存するように該容器側壁の外面下部に一体に形成され、底壁部に沿って延びる板状連結部と、該板状連結部の一部より連続して上方に延びる立ち上がり連結部とよりなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の輸送用容器。
【請求項6】
前記立ち上がり連結部は、前記板状連結部の長手方向の両端部もしくは両端部近傍に設けられてなる請求項5に記載の輸送用容器。
【請求項7】
前記立ち上がり連結部が、容器側壁の上端部又は上端部近くまで延びている請求項6に記載の輸送用容器。
【請求項8】
前記立ち上がり連結部は、少なくとも下部の一方の側端面が傾斜面をなして立ち上がった断面三角状もしくは台形状をなし、該立ち上がり連結部の上端部の幅が下端基部の幅より狭くなっている請求項5又は6に記載の輸送用容器。
【請求項9】
前記連結部として、対向する両側壁の底部に沿う板状連結部が、該両側壁の幅方向の両側端部に分離して設けられており、分離した各板状連結部にそれぞれ前記立ち上がり連結部が設けられてなる請求項5〜8のいずれか1項に記載の輸送用容器。
【請求項10】
前記複数の単位蓋が前記単位容器に対応した連結状態で分断可能に連結されてなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の輸送用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−110029(P2011−110029A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272330(P2009−272330)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(505471978)株式会社積水化成品山口 (4)
【Fターム(参考)】