輻射冷暖房ユニット
【課題】天井に組み込まれる輻射冷暖房装置に使用した場合にも美観の低下を防止することができる輻射冷暖房ユニットを提供する。
【解決手段】輻射冷暖房ユニットは、1対の支持部材と、両支持部材間に、並列状に配置された複数の長尺輻射パネル3と、隣り合う輻射パネル3に跨るように、輻射パネル3の長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材5と、保持部材5に固定されて隣り合う輻射パネル3間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材6とを備えている。輻射パネル3上面の両側部分に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝14を全長にわたって形成する。保持部材5は、目隠し部材6を保持する保持部16と、1対の脚部17とよりなる。保持部材5の両脚部17の下端部を、隣り合う2つの輻射パネル3における互いに近接した保持部材取付溝14内に嵌め入れる。目隠し部材6を、保持部材5の保持部16に固定する。
【解決手段】輻射冷暖房ユニットは、1対の支持部材と、両支持部材間に、並列状に配置された複数の長尺輻射パネル3と、隣り合う輻射パネル3に跨るように、輻射パネル3の長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材5と、保持部材5に固定されて隣り合う輻射パネル3間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材6とを備えている。輻射パネル3上面の両側部分に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝14を全長にわたって形成する。保持部材5は、目隠し部材6を保持する保持部16と、1対の脚部17とよりなる。保持部材5の両脚部17の下端部を、隣り合う2つの輻射パネル3における互いに近接した保持部材取付溝14内に嵌め入れる。目隠し部材6を、保持部材5の保持部16に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、輻射冷暖房装置に用いられる輻射冷暖房ユニットに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1および図2の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
最近では、冷風や温風を直接室内に吹き出す冷暖房装置に代えて、たとえば天井に組み込まれ、かつ冷輻射や熱輻射を利用してより快適に冷暖房を行いうる輻射冷暖房装置が考えられている。この輻射冷暖房装置は、加熱媒体または冷却媒体を流通させる媒体流通部を有する複数の輻射パネルが複数並べられてなる輻射冷暖房ユニットが、天井に組み込まれることにより構成される。
【0004】
この種の輻射パネルとして、従来、水平部分および水平部分の両側縁に一体に形成されかつ外側方に向かって下方に湾曲した湾曲部分とよりなる長尺のパネル本体を備えており、パネル本体の水平部分の上面に、パネル本体の全長にわたる1対の凸条からなる横断面略U字状管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされたものが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の輻射パネルを用いた輻射冷暖房ユニットは、特許文献1に記載されているように、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、複数の輻射パネルが幅方向に並ぶように並列状に複数配置され、各輻射パネルの両端部にリベット止めされたフランジが支持部材に支持され、輻射パネルの管保持部内に、媒体流通部となる蛇行状流体流通管の直管部が嵌め入れられて固定され、蛇行状流体流通管の屈曲管部が、上方に曲げられて管保持部の外部に逃がされて屈曲管部が支持部材よりも輻射パネルの長さ方向の外側に突出しないようになされたものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の輻射パネルを用いた輻射冷暖房ユニットが天井に組み込まれた場合、隣り合う輻射パネル間の隙間から天井裏が見えるため、美観が低下するという問題がある。
【特許文献1】特開平10−232035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、天井に組み込まれる輻射冷暖房装置に使用した場合にも美観の低下を防止することができる輻射冷暖房ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)幅方向が同一方向を向くように並列状に配置された複数の長尺輻射パネルと、隣り合う輻射パネルに跨るように、輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材と、保持部材に固定されて隣り合う輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材とを備えており、輻射パネルに媒体流通部が設けられ、輻射パネル上面の両側部分に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝が全長にわたって形成され、保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の両脚部の下端部が、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れられ、目隠し部材が、保持部材の保持部に固定されている輻射冷暖房ユニット。
【0010】
2)輻射パネルが、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置されており、輻射パネルの両端部が両支持部材に固定されている上記1)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0011】
3)保持部材取付溝が輻射パネルに形成されかつ輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の溝形成用凸条間に形成されるとともに、保持部材取付溝の両端が輻射パネルの両端に開口し、保持部材取付溝の内周面が部分円筒面状であるとともに横断面優弧状であり、支持部材を外側から貫通したビスを保持部材取付溝の両端部内にねじ嵌めることにより、輻射パネルが支持部材に固定されている上記2)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0012】
4)保持部材の脚部の下端部に、保持部材取付溝内に嵌め入れられる円柱状の嵌入部が形成されており、保持部材の嵌入部が、輻射パネルが支持部材に固定される前に、いずれか一端の開口を通して保持部材取付溝内に嵌め入れられている上記3)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0013】
5)輻射パネルが、帯状の水平部分と、水平部分の両側縁にそれぞれ一体に形成されかつ外方に向かって下方に傾斜した傾斜部分とよりなり、各傾斜部分の上面に保持部材取付溝が形成されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【0014】
6)保持部材取付溝が、輻射パネルにおける各傾斜部分の傾斜下端部に形成されている上記5)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0015】
7)輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が外側に折り曲げられて平坦となるように潰されており、両保持部形成用凸条における平坦となるように潰された部分を除いた部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【0016】
8)輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が切除されており、両保持部形成用凸条における残存した部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【0017】
9)流体流通管が蛇行状であり、その直管部がパネル本体の管保持部内に嵌め入れられて固定されている上記7)または8)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0018】
10)上記1)〜9)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニットが、輻射パネルの幅方向に並ぶように、システム天井に複数組み込まれ、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルに跨るように、複数の保持部材が輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置され、これらの保持部材に、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材が固定されている輻射冷暖房装置。
【0019】
11)保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の各脚部の下端部が、保持部材取付溝の上方への開口を通して保持部材取付溝内に入れられるようになされている上記10)記載の輻射冷暖房装置。
【発明の効果】
【0020】
上記1)の輻射冷暖房ユニットを備えた輻射冷暖房装置をシステム天井に組み込んだ場合、目隠し部材の働きにより、室内側から隣り合う輻射パネル間の隙間を通して天井裏が見えにくくなるので、美観が向上する。また、目隠し部材を保持する複数の保持部材を備えているので、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができる。したがって、保持部材の脚部の下端部を、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れる作業を比較的簡単に行うことができる。しかも、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができれば、重量軽減を目的として保持部材の肉厚を薄くした場合にも、保持部材の変形、損傷を抑制することができる。これに対し、保持部材の数が1つであれば、保持部材の長さを輻射パネルの長さと同一にする必要があるが、この場合、寸法公差を考慮すると、保持部材の脚部の下端部を、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れる作業が極めて困難になる。しかも、重量軽減を目的として保持部材の肉厚を薄くすると剛性が不足し、保持部材を取り扱う際に変形、損傷が生じるおそれがある。
【0021】
上記3)の輻射冷暖房ユニットによれば、組立の際に、1対の支持部材を互いに間隔をおいて配置し、両支持部材間に、複数の輻射パネルをその幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置し、支持部材を外側から貫通したビスを輻射パネルの保持部材取付溝溝内にねじ嵌めることにより、輻射パネルの両端部を支持部材に固定することができる。したがって、この輻射冷暖房ユニットを有する輻射冷暖房装置を天井に組み込んだ場合、ビスが室内から見えることはなく、美観の低下を防止することができる。また、1対の溝形成用凸条が補強リブの働きをするので、上下方向の剛性がアップし、輻射冷暖房ユニットに組み込んだ場合の輻射パネルの下方への撓みを抑制することができる。
【0022】
上記4)の輻射冷暖房ユニットによれば、保持部材の脚部の円柱状嵌入部を、輻射パネルを支持部材に固定する前に、保持部材取付溝のいずれか一端の開口から保持部材取付溝内に嵌め入れておいたとしても、輻射パネルを支持部材に固定する際に、保持部材の脱落を防止することができる。また、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることにより、保持部材の脚部の円柱状嵌入部を、いずれか一端の開口から保持部材取付溝内に嵌め入れる作業を容易に行うことができる。
【0023】
上記5)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷暖房装置に用いた場合、輻射パネルが、水平面に対して傾斜した傾斜部分を有しているので、天井投影面積あたりの輻射パネルの面積が増大し、その結果冷暖房効率が優れたものになる。また、上記4)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷房装置に用いた場合、冷房を行う際には、輻射パネルの傾斜部分の上下両面に沿って空気の流れが発生し、その結果冷輻射に加えて自然対流による冷房効果が得られる。しかも、傾斜部分の上下両面に沿う空気の流れの流速は、比較的大きくなり、空気と傾斜部分との間の熱伝達率が向上する。
【0024】
上記6)の輻射冷暖房ユニットによれば、保持部材取付溝が、輻射パネルにおける各傾斜部分の傾斜下端部に形成されているので、上下方向の剛性が向上し、輻射パネルの下方への撓みを抑制することができる
上記7)および8)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷暖房装置に組み込んだ場合、たとえば蛇行状流体流通管の直管部を輻射パネルの管保持部内に嵌め入れて固定することができる。
【0025】
上記9)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷暖房装置に組み込んだ場合、蛇行状流体流通管の直管部を輻射パネルの管保持部内に嵌め入れて固定することができる。しかも、上記2)のように、輻射パネルが、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置されており、輻射パネルの両端部が両支持部材に固定されている場合、特許文献1記載の輻射冷暖房ユニットのように、蛇行状流体流通管の屈曲管部を上方に曲げることなく、屈曲管部を両支持部材よりも内側に位置させることができる。したがって、作業性が向上する。また、屈曲管部を両支持部材よりも内側に位置させることができるので、複数の輻射冷暖房ユニットを輻射パネルの長さ方向に並べた場合、隣り合う輻射冷暖房ユニットどうしを近接して配置することができる。
【0026】
上記10)の輻射冷暖房装置によれば、上記1)〜9)の輻射冷暖房ユニットで述べた効果を奏する。しかも、目隠し部材の働きにより、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネル間の隙間を通して天井裏が見えにくくなるので、美観が向上する。また、目隠し部材を保持する複数の保持部材を備えているので、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができる。したがって、保持部材の脚部の下端部を、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れる作業を比較的簡単に行うことができる。しかも、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができれば、重量軽減を目的として保持部材の肉厚を薄くした場合にも、保持部材の変形、損傷を抑制することができる。
【0027】
上記11)の輻射冷暖房装置によれば、各輻射冷暖房ユニットを天井に組み込んだ後、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルに跨って複数の保持部材が配置するとともに、目隠し部材を保持部材に固定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
以下の説明において、輻射パネルの幅方向(図2の左右方向)を左右といい、図1の左側(図2紙面表側)を前、右側を後というものとする。また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0030】
図1および図2はこの発明の輻射冷暖房ユニットをシステム天井に組み込んでなる輻射冷暖房装置を示し、図3は1つの輻射冷暖房ユニットを示す。また、図4〜図7は輻射冷暖房ユニットの要部の構成を示し、図8は輻射パネルを天井スラブに吊持させる方法を示し、図9は隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接する2つの輻射パネルの一部分を示し、図10は冷房時の空気の流れを示す。
【0031】
図1および図2において、輻射冷暖房装置は、冷暖房すべき室内の広さに応じた適当数の輻射冷暖房ユニット(1)が、前後方向および左右方向に並んでシステム天井に組み込まれたものであり、各輻射冷暖房ユニット(1)は天井スラブ(40)に吊持されている。
【0032】
図3に示すように、輻射冷暖房ユニット(1)は、前後方向に互いに間隔をおいて配置された左右方向に伸びる1対の支持部材(2)と、両支持部材(2)間に、その幅方向を支持部材(2)の長さ方向(左右方向)に向けて並列状に配置され、かつ前後両端部が両支持部材(2)に固定された複数の長尺輻射パネル(3)と、輻射パネル(3)に固定され、かつ媒体流通部となる蛇行状流体流通管(4)と、隣り合う輻射パネル(3)に跨るように、輻射パネル(3)の長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材(5)と、保持部材(5)に固定されて隣り合う輻射パネル(3)間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材(6)とを備えている。
【0033】
各支持部材(2)は金属製、ここではアルミニウム押出形材製であり、垂直壁(7)と、垂直壁(7)の上端に一体に形成されて他方の支持部材(2)側に突出した水平壁(8)とよりなる。
【0034】
図4〜図6に示すように、輻射パネル(3)は熱伝導性に優れた金属製、ここではアルミニウム押出形材製であり、前後方向に長い帯状の水平部分(10)と、水平部分(10)の左右両側縁に全長にわたって一体に形成され、かつ左右方向外方に向かって下方に傾斜した傾斜部分(11)とよりなる。傾斜部分(11)の水平部分(10)に対する下向き傾斜角度は、25〜40度であることが好ましい。
【0035】
輻射パネル(3)の水平部分(10)の上面に、輻射パネル(3)の長さ方向に伸び、かつ上下方向の中間部が左右方向外方に突出した横断面円弧状となっている1対の保持部形成用凸条(12)が一体に形成されている。両保持部形成用凸条(12)の両端部は、それぞれ所定長さにわたって外側に折り曲げられて平坦となるように潰されており、両保持部形成用凸条(12)における平坦となるように潰された部分を除いた部分により、横断面略U字状の管保持部(13)が形成されている。保持部形成用凸条(12)における平坦となるように潰された部分を(12A)で示す。輻射パネル(3)の両傾斜部分(11)の傾斜下端部に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝(14)が全長にわたって形成されている。保持部材取付溝(14)は、輻射パネル(3)の全長にわたって一体に形成された1対の溝形成用凸条(15)間に形成され、かつ両端が輻射パネル(3)の両端に開口している。保持部材取付溝(14)の内周面は部分円筒面状であるとともに、内周面の横断面形状は優弧状となっており、その内径は両溝形成用凸条(15)の先端間の間隔よりも大きくなっている。
【0036】
輻射パネル(3)の両端部は、各支持部材(2)の垂直壁(7)を外側から貫通したタッピングビス(9)を、輻射パネル(3)の保持部材取付溝(14)にねじ嵌めることにより支持部材(2)に固定されている(図1および図3参照)。
【0037】
蛇行状流体流通管(4)は横断面円形であり、各直管部(4a)の両端部を除いた部分が、塑性変形した状態で各輻射パネル(3)の管保持部(13)内に嵌め入れられて両保持部形成用凸条(12)により固定されている。すなわち、蛇行状流体流通管(4)の直管部(4a)は、元々横断面円形であったものが、管壁上部における管保持部(13)の外部に存在する部分が平坦となるとともに、管壁の他の部分が外方に膨出するように塑性変形させられている(図4参照)。直管部(4a)が、上述したように塑性変形させることにより形成されているので、両保持部形成用凸条(12)はそれぞれ左右方向外方に弾性変形させられており、この状態で直管部(4a)が管保持部(13)内に固定されている。蛇行状流体流通管(4)のU字状屈曲管部(4b)は、管保持部(13)の外側で、かつ支持部材(2)よりも前後方向内側に位置している。蛇行状流体流通管(4)の直管部(4a)および屈曲管部(4b)の中心線は同一水平面内に位置しており、直管部(4a)および屈曲管部(4b)は、両支持部材(2)の垂直壁(7)の上縁よりも下方に位置している。蛇行状流体流通管(4)は、たとえばアルミニウム、銅(銅合金を含む)、ステンレス鋼などの金属から形成される。また、上記金属からなる管の内外両周面のうちの少なくともいずれか一方が、ポリエチレンなどの耐食性に優れた合成樹脂からなる樹脂層により覆われていてもよい。
【0038】
図4および図7に示すように、保持部材(5)はアルミニウム押出形材製であり、目隠し部材(6)を保持する水平板状の保持部(16)と、保持部(16)の左右両側縁部に下方突出状に一体に形成された1対の垂直板状の脚部(17)とよりなり、輻射パネル(3)の長さ方向から見て略逆U字状となっている。保持部(16)の前後方向の長さは、後述するように、前後に隣り合う目隠し部材(6)の近接した端部を固定しうるのに必要最小限の長さとなっている。保持部材(5)は、アルミニウム押出形材を所定の長さに切断することにより形成されている。各脚部(17)の下端部には前後方向に伸び、かつ保持部材取付溝(14)内に嵌め入れられる円柱状の嵌入部(18)が一体に形成されている。嵌入部(18)の直径は、保持部材取付溝(14)の内周面の内径以下で、かつ保持部材取付溝(14)を形成する両溝形成用凸条(15)の先端部間の間隔よりも大きくなっている。保持部材の嵌入部(18)は、輻射パネル(3)が両支持部材(2)に固定される前、すなわち支持部材(2)の垂直壁(7)を外側から貫通したタッピングビス(9)を、輻射パネル(3)の保持部材取付溝(14)にねじ嵌める前に、保持部材取付溝(14)の前後いずれか一端の開口から保持部材取付溝(14)内に嵌め入れられている。
【0039】
目隠し部材(6)はアルミニウム製であり、隣り合う2つの輻射パネル(3)間に、それぞれ前後方向に並んで複数配置されており、各目隠し部材(6)は前後に隣り合う保持部材(5)間に配置され、その両端部が保持部材(5)の保持部(16)にリベット止めされている(図3参照)。
【0040】
輻射冷暖房ユニット(1)のシステム天井への組み込みは次のようにして行われている。
【0041】
システム天井は、天井スラブ(40)における前後に隣り合う輻射冷暖房ユニット(1)間の部分に垂下状に固定された複数の主吊りボルト(41)と、主吊りボルト(41)に取り付けられたハンガー(42)と、前後方向に間隔をおいて配置されてハンガー(42)に吊持され、かつ左右方向に伸びる複数のTバー(43)と、天井スラブ(40)における各輻射冷暖房ユニット(1)の前後方向の中間部分に垂下状に固定された複数の副吊りボルト(44)と、副吊りボルト(44)の下端部に固定されかつ左右方向に伸びるチャンネル材(45)と、輻射冷暖房ユニット(1)の前後方向中間部をチャンネル材(45)に吊持させる吊持装置(46)とを備えている。
【0042】
副吊りボルト(44)は主吊りボルト(41)よりも長く、その下端は主吊りボルト(41)の下端よりも下方に位置している。吊持装置(46)は、チャンネル材(45)にその長さ方向に間隔をおいて固定された複数の金属製吊り部材(47)と、輻射パネル(3)に設けられた1対の係合部(48)とを備えている。
【0043】
吊り部材(47)は横断面逆U字状で、図4に示すように、互いに対向する1対の脚部(47a)と、両脚部(47a)の上端どうしを一体に連結する連結部(47b)とを備えており、各脚部(47a)の下端部に左右方向内方に突出した係合つめ(49)が一体に形成されている。各係合つめ(49)の左右方向内側面は、下方に向かって左右方向外方に傾斜した傾斜面となっている。吊り部材(47)は、たとえばアルミニウム押出形材を所定の長さに切断することにより形成されている。そして、吊り部材(47)は、各チャンネル材(45)に、その長さ方向に輻射パネル(3)の左右方向の幅よりも大きい間隔をおいて複数固定されている。すなわち、各吊り部材(47)の連結部(47b)がチャンネル材(45)の下部フランジ部(45a)の下面に沿わされ、連結部(47b)および下部フランジ部(45a)を貫通したボルト(50)と、ボルト(50)の先端部にねじ嵌められたナット(51)とにより、各吊り部材(47)がチャンネル材(45)に固定されている。
【0044】
両係合部(48)は、輻射パネル(3)の管保持部(13)の両保持部形成用凸条(12)の外側面における上下方向の中間部に、それぞれ外側方に突出するように一体に形成されている。ここで、吊り部材(47)の両係合つめ(49)の先端間の間隔は、輻射パネル(3)の両係合部(48)の先端間の間隔よりも狭くなっている。また、各係合部(48)の左右方向外側面は、下方に向かって左右方向外方に傾斜した傾斜面となっている。
【0045】
そして、図8に示すように、輻射冷暖房ユニット(1)を前後方向に隣り合うTバー(43)間に配置し、輻射冷暖房ユニット(1)の輻射パネル(3)の管保持部(13)を、下方から吊り部材(47)の両脚部(47a)間に嵌め入れて上方に押し上げる。すると、吊り部材(47)の両脚部(47a)の係合つめ(49)が輻射パネル(3)の係合部(48)に押されることにより一旦開き、吊り部材(47)の係合つめ(49)が係合部(48)よりも下方に至ると吊り部材(47)の弾性により閉じ、これにより吊り部材(47)の係合つめ(49)が輻射パネル(3)の係合部(48)に係合して、輻射パネル(3)が吊持装置(46)を介して天井スラブ(40)に吊持される。また、各輻射冷暖房ユニット(1)の前後の支持部材(2)を、Tバー(43)の水平フランジ部(43a)上に載せる。こうして、輻射冷暖房ユニット(1)がシステム天井に組み込まれる。
【0046】
ここで、図2に示すように、左右方向に隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)に跨って、複数の保持部材(52)が前後方向に間隔をおいて配置され、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材(53)が保持部材(52)に固定されている。
【0047】
図9に示すように、保持部材(52)はアルミニウム押出形材製であり、目隠し部材(53)を保持する水平板状の保持部(54)と、保持部(54)の左右両側縁部に下方突出状に一体に形成された1対の垂直板状の脚部(55)とよりなり、輻射パネル(3)の長さ方向から見て略逆U字状となっている。保持部(54)の前後方向の長さは、後述するように、前後に隣り合う目隠し部材(53)の近接した端部を固定しうるのに必要最小限の長さとなっている。保持部材(52)は、アルミニウム押出形材を所定の長さに切断することにより形成されている。各脚部(55)は全体に同厚であり、その肉厚は、輻射パネル(3)の保持部材取付溝(14)を形成する両溝形成用凸条(15)の先端部間の間隔よりも小さくなっている。したがって、保持部材(52)の各脚部(55)は保持部材取付溝(14)内に上方から嵌め入れられるようになっている。
【0048】
目隠し部材(53)はアルミニウム製であり、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間に、それぞれ前後方向に並んで複数配置されており、各目隠し部材(53)は前後に隣り合う保持部材(52)間に配置され、その両端部が保持部材(52)の保持部(54)にリベット止めされている。
【0049】
上記輻射冷暖房装置を用いて室内を冷暖房するには、蛇行状流体流通管(4)に低温の冷却媒体または高温の加熱媒体を流す。すると、冷輻射または熱輻射により室内が冷暖房される。特に、冷房する場合には、図10に示すように、両傾斜部分(11)の上下両面に沿って空気の流れが発生し、その結果冷輻射に加えて自然対流による冷却効果が得られ、冷房効率が向上する。すなわち、輻射パネル(3)の2つの傾斜部分(11)の上面に沿って流れた空気は隣り合う輻射パネル(3)の輻射パネル(3)間の隙間を通って下方へ流れ、この流れに2つの傾斜部分(11)の下面に沿って流れた空気が合流することになり、自然対流による冷却効果が優れたものになる。しかも、傾斜部分(11)の上下両面に沿う空気の流れの流速は、水平の場合に比べて大きくなり、空気と傾斜部分(11)との間の熱伝達率が向上する。
【0050】
ここで、両傾斜部分(11)の上面に沿って流れる空気は、隣り合う保持部材(5)(52)間の間隙を通過し、さらに隣り合う輻射パネル(3)間の隙間を通って下方へ流れる。したがって、上述した自然対流による冷却効果が低下するおそれはない。
【0051】
上記輻射冷暖房装置において、各輻射冷暖房ユニット(1)の隣り合う輻射パネル(3)間の隙間を覆う目隠し部材(6)、および隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間の隙間を覆う目隠し部材(53)の働きにより、室内側から隣り合う輻射パネル(3)間の隙間、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間の隙間およびを通して天井裏が見えにくくなるので、美観が向上する。
【0052】
図11は、この発明による輻射冷暖房ユニットに用いられる輻射パネルの変形例を示す。
【0053】
図11において、輻射パネル(20)の水平部分(11)上面に形成された両保持部形成用凸条(12)の両端部が、それぞれ所定長さにわたって切除されており、両保持部形成用凸条(12)における残存した部分により、横断面略U字状の管保持部(13)が形成されている。その他の構成は輻射パネル(3)と同じである。この輻射パネル(20)は、上述した第1の実施形態の場合と同様にして、支持部材(2)とともに輻射冷暖房ユニット(1)を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明による輻射冷暖房ユニットをシステム天井に組み込んでなる輻射冷暖房装置を示す図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図1の輻射冷暖房装置に用いられる輻射冷暖房ユニットを示す斜視図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】図3の輻射冷暖房ユニットにおける輻射パネルの長さ方向の端部における拡大横断面図である。
【図6】図3の輻射冷暖房ユニットにおける輻射パネルの長さ方向の端部の部分拡大斜視図である。
【図7】図3の輻射冷暖房ユニットにおける隣り合う2つの輻射パネルに跨って配置される保持部材および保持部材に固定される目隠し部材を示す部分拡大分解斜視図である。
【図8】輻射冷暖房ユニットの輻射パネルを吊持装置を介して天井スラブに吊持させる方法を示す図4相当の断面図である。
【図9】隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接する2つの輻射パネルに跨って配置される保持部材および保持部材に固定される目隠し部材を示す部分拡大分解斜視図である。
【図10】図1および図2に示す輻射冷暖房装置において冷房を行う場合の空気の流れを示す図である。
【図11】この発明の輻射冷暖房ユニットに用いられる輻射パネルの変形例を示す部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
(1):輻射冷暖房ユニット
(2):支持部材
(3)(20):輻射パネル
(4):蛇行状流体流通管
(4a):直管部
(4b):屈曲管部
(5):保持部材
(6):目隠し部材
(10):水平部分
(11):傾斜部分
(12):保持部形成用凸条
(13):管保持部
(14):保持部材取付溝
(15):溝形成用凸条
(16):保持部
(17):脚部
(18):嵌入部
(52):保持部材
(53):目隠し部材
(54):保持部
(55):脚部
【技術分野】
【0001】
この発明は、輻射冷暖房装置に用いられる輻射冷暖房ユニットに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1および図2の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
最近では、冷風や温風を直接室内に吹き出す冷暖房装置に代えて、たとえば天井に組み込まれ、かつ冷輻射や熱輻射を利用してより快適に冷暖房を行いうる輻射冷暖房装置が考えられている。この輻射冷暖房装置は、加熱媒体または冷却媒体を流通させる媒体流通部を有する複数の輻射パネルが複数並べられてなる輻射冷暖房ユニットが、天井に組み込まれることにより構成される。
【0004】
この種の輻射パネルとして、従来、水平部分および水平部分の両側縁に一体に形成されかつ外側方に向かって下方に湾曲した湾曲部分とよりなる長尺のパネル本体を備えており、パネル本体の水平部分の上面に、パネル本体の全長にわたる1対の凸条からなる横断面略U字状管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされたものが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の輻射パネルを用いた輻射冷暖房ユニットは、特許文献1に記載されているように、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、複数の輻射パネルが幅方向に並ぶように並列状に複数配置され、各輻射パネルの両端部にリベット止めされたフランジが支持部材に支持され、輻射パネルの管保持部内に、媒体流通部となる蛇行状流体流通管の直管部が嵌め入れられて固定され、蛇行状流体流通管の屈曲管部が、上方に曲げられて管保持部の外部に逃がされて屈曲管部が支持部材よりも輻射パネルの長さ方向の外側に突出しないようになされたものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の輻射パネルを用いた輻射冷暖房ユニットが天井に組み込まれた場合、隣り合う輻射パネル間の隙間から天井裏が見えるため、美観が低下するという問題がある。
【特許文献1】特開平10−232035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、天井に組み込まれる輻射冷暖房装置に使用した場合にも美観の低下を防止することができる輻射冷暖房ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)幅方向が同一方向を向くように並列状に配置された複数の長尺輻射パネルと、隣り合う輻射パネルに跨るように、輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材と、保持部材に固定されて隣り合う輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材とを備えており、輻射パネルに媒体流通部が設けられ、輻射パネル上面の両側部分に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝が全長にわたって形成され、保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の両脚部の下端部が、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れられ、目隠し部材が、保持部材の保持部に固定されている輻射冷暖房ユニット。
【0010】
2)輻射パネルが、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置されており、輻射パネルの両端部が両支持部材に固定されている上記1)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0011】
3)保持部材取付溝が輻射パネルに形成されかつ輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の溝形成用凸条間に形成されるとともに、保持部材取付溝の両端が輻射パネルの両端に開口し、保持部材取付溝の内周面が部分円筒面状であるとともに横断面優弧状であり、支持部材を外側から貫通したビスを保持部材取付溝の両端部内にねじ嵌めることにより、輻射パネルが支持部材に固定されている上記2)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0012】
4)保持部材の脚部の下端部に、保持部材取付溝内に嵌め入れられる円柱状の嵌入部が形成されており、保持部材の嵌入部が、輻射パネルが支持部材に固定される前に、いずれか一端の開口を通して保持部材取付溝内に嵌め入れられている上記3)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0013】
5)輻射パネルが、帯状の水平部分と、水平部分の両側縁にそれぞれ一体に形成されかつ外方に向かって下方に傾斜した傾斜部分とよりなり、各傾斜部分の上面に保持部材取付溝が形成されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【0014】
6)保持部材取付溝が、輻射パネルにおける各傾斜部分の傾斜下端部に形成されている上記5)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0015】
7)輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が外側に折り曲げられて平坦となるように潰されており、両保持部形成用凸条における平坦となるように潰された部分を除いた部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【0016】
8)輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が切除されており、両保持部形成用凸条における残存した部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【0017】
9)流体流通管が蛇行状であり、その直管部がパネル本体の管保持部内に嵌め入れられて固定されている上記7)または8)記載の輻射冷暖房ユニット。
【0018】
10)上記1)〜9)のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニットが、輻射パネルの幅方向に並ぶように、システム天井に複数組み込まれ、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルに跨るように、複数の保持部材が輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置され、これらの保持部材に、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材が固定されている輻射冷暖房装置。
【0019】
11)保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の各脚部の下端部が、保持部材取付溝の上方への開口を通して保持部材取付溝内に入れられるようになされている上記10)記載の輻射冷暖房装置。
【発明の効果】
【0020】
上記1)の輻射冷暖房ユニットを備えた輻射冷暖房装置をシステム天井に組み込んだ場合、目隠し部材の働きにより、室内側から隣り合う輻射パネル間の隙間を通して天井裏が見えにくくなるので、美観が向上する。また、目隠し部材を保持する複数の保持部材を備えているので、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができる。したがって、保持部材の脚部の下端部を、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れる作業を比較的簡単に行うことができる。しかも、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができれば、重量軽減を目的として保持部材の肉厚を薄くした場合にも、保持部材の変形、損傷を抑制することができる。これに対し、保持部材の数が1つであれば、保持部材の長さを輻射パネルの長さと同一にする必要があるが、この場合、寸法公差を考慮すると、保持部材の脚部の下端部を、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れる作業が極めて困難になる。しかも、重量軽減を目的として保持部材の肉厚を薄くすると剛性が不足し、保持部材を取り扱う際に変形、損傷が生じるおそれがある。
【0021】
上記3)の輻射冷暖房ユニットによれば、組立の際に、1対の支持部材を互いに間隔をおいて配置し、両支持部材間に、複数の輻射パネルをその幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置し、支持部材を外側から貫通したビスを輻射パネルの保持部材取付溝溝内にねじ嵌めることにより、輻射パネルの両端部を支持部材に固定することができる。したがって、この輻射冷暖房ユニットを有する輻射冷暖房装置を天井に組み込んだ場合、ビスが室内から見えることはなく、美観の低下を防止することができる。また、1対の溝形成用凸条が補強リブの働きをするので、上下方向の剛性がアップし、輻射冷暖房ユニットに組み込んだ場合の輻射パネルの下方への撓みを抑制することができる。
【0022】
上記4)の輻射冷暖房ユニットによれば、保持部材の脚部の円柱状嵌入部を、輻射パネルを支持部材に固定する前に、保持部材取付溝のいずれか一端の開口から保持部材取付溝内に嵌め入れておいたとしても、輻射パネルを支持部材に固定する際に、保持部材の脱落を防止することができる。また、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることにより、保持部材の脚部の円柱状嵌入部を、いずれか一端の開口から保持部材取付溝内に嵌め入れる作業を容易に行うことができる。
【0023】
上記5)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷暖房装置に用いた場合、輻射パネルが、水平面に対して傾斜した傾斜部分を有しているので、天井投影面積あたりの輻射パネルの面積が増大し、その結果冷暖房効率が優れたものになる。また、上記4)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷房装置に用いた場合、冷房を行う際には、輻射パネルの傾斜部分の上下両面に沿って空気の流れが発生し、その結果冷輻射に加えて自然対流による冷房効果が得られる。しかも、傾斜部分の上下両面に沿う空気の流れの流速は、比較的大きくなり、空気と傾斜部分との間の熱伝達率が向上する。
【0024】
上記6)の輻射冷暖房ユニットによれば、保持部材取付溝が、輻射パネルにおける各傾斜部分の傾斜下端部に形成されているので、上下方向の剛性が向上し、輻射パネルの下方への撓みを抑制することができる
上記7)および8)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷暖房装置に組み込んだ場合、たとえば蛇行状流体流通管の直管部を輻射パネルの管保持部内に嵌め入れて固定することができる。
【0025】
上記9)の輻射冷暖房ユニットを輻射冷暖房装置に組み込んだ場合、蛇行状流体流通管の直管部を輻射パネルの管保持部内に嵌め入れて固定することができる。しかも、上記2)のように、輻射パネルが、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置されており、輻射パネルの両端部が両支持部材に固定されている場合、特許文献1記載の輻射冷暖房ユニットのように、蛇行状流体流通管の屈曲管部を上方に曲げることなく、屈曲管部を両支持部材よりも内側に位置させることができる。したがって、作業性が向上する。また、屈曲管部を両支持部材よりも内側に位置させることができるので、複数の輻射冷暖房ユニットを輻射パネルの長さ方向に並べた場合、隣り合う輻射冷暖房ユニットどうしを近接して配置することができる。
【0026】
上記10)の輻射冷暖房装置によれば、上記1)〜9)の輻射冷暖房ユニットで述べた効果を奏する。しかも、目隠し部材の働きにより、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネル間の隙間を通して天井裏が見えにくくなるので、美観が向上する。また、目隠し部材を保持する複数の保持部材を備えているので、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができる。したがって、保持部材の脚部の下端部を、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れる作業を比較的簡単に行うことができる。しかも、保持部材における輻射パネルの長さ方向の寸法を保持部により目隠し部材を保持しうる最小限の長さにすることができれば、重量軽減を目的として保持部材の肉厚を薄くした場合にも、保持部材の変形、損傷を抑制することができる。
【0027】
上記11)の輻射冷暖房装置によれば、各輻射冷暖房ユニットを天井に組み込んだ後、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルに跨って複数の保持部材が配置するとともに、目隠し部材を保持部材に固定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
以下の説明において、輻射パネルの幅方向(図2の左右方向)を左右といい、図1の左側(図2紙面表側)を前、右側を後というものとする。また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0030】
図1および図2はこの発明の輻射冷暖房ユニットをシステム天井に組み込んでなる輻射冷暖房装置を示し、図3は1つの輻射冷暖房ユニットを示す。また、図4〜図7は輻射冷暖房ユニットの要部の構成を示し、図8は輻射パネルを天井スラブに吊持させる方法を示し、図9は隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接する2つの輻射パネルの一部分を示し、図10は冷房時の空気の流れを示す。
【0031】
図1および図2において、輻射冷暖房装置は、冷暖房すべき室内の広さに応じた適当数の輻射冷暖房ユニット(1)が、前後方向および左右方向に並んでシステム天井に組み込まれたものであり、各輻射冷暖房ユニット(1)は天井スラブ(40)に吊持されている。
【0032】
図3に示すように、輻射冷暖房ユニット(1)は、前後方向に互いに間隔をおいて配置された左右方向に伸びる1対の支持部材(2)と、両支持部材(2)間に、その幅方向を支持部材(2)の長さ方向(左右方向)に向けて並列状に配置され、かつ前後両端部が両支持部材(2)に固定された複数の長尺輻射パネル(3)と、輻射パネル(3)に固定され、かつ媒体流通部となる蛇行状流体流通管(4)と、隣り合う輻射パネル(3)に跨るように、輻射パネル(3)の長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材(5)と、保持部材(5)に固定されて隣り合う輻射パネル(3)間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材(6)とを備えている。
【0033】
各支持部材(2)は金属製、ここではアルミニウム押出形材製であり、垂直壁(7)と、垂直壁(7)の上端に一体に形成されて他方の支持部材(2)側に突出した水平壁(8)とよりなる。
【0034】
図4〜図6に示すように、輻射パネル(3)は熱伝導性に優れた金属製、ここではアルミニウム押出形材製であり、前後方向に長い帯状の水平部分(10)と、水平部分(10)の左右両側縁に全長にわたって一体に形成され、かつ左右方向外方に向かって下方に傾斜した傾斜部分(11)とよりなる。傾斜部分(11)の水平部分(10)に対する下向き傾斜角度は、25〜40度であることが好ましい。
【0035】
輻射パネル(3)の水平部分(10)の上面に、輻射パネル(3)の長さ方向に伸び、かつ上下方向の中間部が左右方向外方に突出した横断面円弧状となっている1対の保持部形成用凸条(12)が一体に形成されている。両保持部形成用凸条(12)の両端部は、それぞれ所定長さにわたって外側に折り曲げられて平坦となるように潰されており、両保持部形成用凸条(12)における平坦となるように潰された部分を除いた部分により、横断面略U字状の管保持部(13)が形成されている。保持部形成用凸条(12)における平坦となるように潰された部分を(12A)で示す。輻射パネル(3)の両傾斜部分(11)の傾斜下端部に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝(14)が全長にわたって形成されている。保持部材取付溝(14)は、輻射パネル(3)の全長にわたって一体に形成された1対の溝形成用凸条(15)間に形成され、かつ両端が輻射パネル(3)の両端に開口している。保持部材取付溝(14)の内周面は部分円筒面状であるとともに、内周面の横断面形状は優弧状となっており、その内径は両溝形成用凸条(15)の先端間の間隔よりも大きくなっている。
【0036】
輻射パネル(3)の両端部は、各支持部材(2)の垂直壁(7)を外側から貫通したタッピングビス(9)を、輻射パネル(3)の保持部材取付溝(14)にねじ嵌めることにより支持部材(2)に固定されている(図1および図3参照)。
【0037】
蛇行状流体流通管(4)は横断面円形であり、各直管部(4a)の両端部を除いた部分が、塑性変形した状態で各輻射パネル(3)の管保持部(13)内に嵌め入れられて両保持部形成用凸条(12)により固定されている。すなわち、蛇行状流体流通管(4)の直管部(4a)は、元々横断面円形であったものが、管壁上部における管保持部(13)の外部に存在する部分が平坦となるとともに、管壁の他の部分が外方に膨出するように塑性変形させられている(図4参照)。直管部(4a)が、上述したように塑性変形させることにより形成されているので、両保持部形成用凸条(12)はそれぞれ左右方向外方に弾性変形させられており、この状態で直管部(4a)が管保持部(13)内に固定されている。蛇行状流体流通管(4)のU字状屈曲管部(4b)は、管保持部(13)の外側で、かつ支持部材(2)よりも前後方向内側に位置している。蛇行状流体流通管(4)の直管部(4a)および屈曲管部(4b)の中心線は同一水平面内に位置しており、直管部(4a)および屈曲管部(4b)は、両支持部材(2)の垂直壁(7)の上縁よりも下方に位置している。蛇行状流体流通管(4)は、たとえばアルミニウム、銅(銅合金を含む)、ステンレス鋼などの金属から形成される。また、上記金属からなる管の内外両周面のうちの少なくともいずれか一方が、ポリエチレンなどの耐食性に優れた合成樹脂からなる樹脂層により覆われていてもよい。
【0038】
図4および図7に示すように、保持部材(5)はアルミニウム押出形材製であり、目隠し部材(6)を保持する水平板状の保持部(16)と、保持部(16)の左右両側縁部に下方突出状に一体に形成された1対の垂直板状の脚部(17)とよりなり、輻射パネル(3)の長さ方向から見て略逆U字状となっている。保持部(16)の前後方向の長さは、後述するように、前後に隣り合う目隠し部材(6)の近接した端部を固定しうるのに必要最小限の長さとなっている。保持部材(5)は、アルミニウム押出形材を所定の長さに切断することにより形成されている。各脚部(17)の下端部には前後方向に伸び、かつ保持部材取付溝(14)内に嵌め入れられる円柱状の嵌入部(18)が一体に形成されている。嵌入部(18)の直径は、保持部材取付溝(14)の内周面の内径以下で、かつ保持部材取付溝(14)を形成する両溝形成用凸条(15)の先端部間の間隔よりも大きくなっている。保持部材の嵌入部(18)は、輻射パネル(3)が両支持部材(2)に固定される前、すなわち支持部材(2)の垂直壁(7)を外側から貫通したタッピングビス(9)を、輻射パネル(3)の保持部材取付溝(14)にねじ嵌める前に、保持部材取付溝(14)の前後いずれか一端の開口から保持部材取付溝(14)内に嵌め入れられている。
【0039】
目隠し部材(6)はアルミニウム製であり、隣り合う2つの輻射パネル(3)間に、それぞれ前後方向に並んで複数配置されており、各目隠し部材(6)は前後に隣り合う保持部材(5)間に配置され、その両端部が保持部材(5)の保持部(16)にリベット止めされている(図3参照)。
【0040】
輻射冷暖房ユニット(1)のシステム天井への組み込みは次のようにして行われている。
【0041】
システム天井は、天井スラブ(40)における前後に隣り合う輻射冷暖房ユニット(1)間の部分に垂下状に固定された複数の主吊りボルト(41)と、主吊りボルト(41)に取り付けられたハンガー(42)と、前後方向に間隔をおいて配置されてハンガー(42)に吊持され、かつ左右方向に伸びる複数のTバー(43)と、天井スラブ(40)における各輻射冷暖房ユニット(1)の前後方向の中間部分に垂下状に固定された複数の副吊りボルト(44)と、副吊りボルト(44)の下端部に固定されかつ左右方向に伸びるチャンネル材(45)と、輻射冷暖房ユニット(1)の前後方向中間部をチャンネル材(45)に吊持させる吊持装置(46)とを備えている。
【0042】
副吊りボルト(44)は主吊りボルト(41)よりも長く、その下端は主吊りボルト(41)の下端よりも下方に位置している。吊持装置(46)は、チャンネル材(45)にその長さ方向に間隔をおいて固定された複数の金属製吊り部材(47)と、輻射パネル(3)に設けられた1対の係合部(48)とを備えている。
【0043】
吊り部材(47)は横断面逆U字状で、図4に示すように、互いに対向する1対の脚部(47a)と、両脚部(47a)の上端どうしを一体に連結する連結部(47b)とを備えており、各脚部(47a)の下端部に左右方向内方に突出した係合つめ(49)が一体に形成されている。各係合つめ(49)の左右方向内側面は、下方に向かって左右方向外方に傾斜した傾斜面となっている。吊り部材(47)は、たとえばアルミニウム押出形材を所定の長さに切断することにより形成されている。そして、吊り部材(47)は、各チャンネル材(45)に、その長さ方向に輻射パネル(3)の左右方向の幅よりも大きい間隔をおいて複数固定されている。すなわち、各吊り部材(47)の連結部(47b)がチャンネル材(45)の下部フランジ部(45a)の下面に沿わされ、連結部(47b)および下部フランジ部(45a)を貫通したボルト(50)と、ボルト(50)の先端部にねじ嵌められたナット(51)とにより、各吊り部材(47)がチャンネル材(45)に固定されている。
【0044】
両係合部(48)は、輻射パネル(3)の管保持部(13)の両保持部形成用凸条(12)の外側面における上下方向の中間部に、それぞれ外側方に突出するように一体に形成されている。ここで、吊り部材(47)の両係合つめ(49)の先端間の間隔は、輻射パネル(3)の両係合部(48)の先端間の間隔よりも狭くなっている。また、各係合部(48)の左右方向外側面は、下方に向かって左右方向外方に傾斜した傾斜面となっている。
【0045】
そして、図8に示すように、輻射冷暖房ユニット(1)を前後方向に隣り合うTバー(43)間に配置し、輻射冷暖房ユニット(1)の輻射パネル(3)の管保持部(13)を、下方から吊り部材(47)の両脚部(47a)間に嵌め入れて上方に押し上げる。すると、吊り部材(47)の両脚部(47a)の係合つめ(49)が輻射パネル(3)の係合部(48)に押されることにより一旦開き、吊り部材(47)の係合つめ(49)が係合部(48)よりも下方に至ると吊り部材(47)の弾性により閉じ、これにより吊り部材(47)の係合つめ(49)が輻射パネル(3)の係合部(48)に係合して、輻射パネル(3)が吊持装置(46)を介して天井スラブ(40)に吊持される。また、各輻射冷暖房ユニット(1)の前後の支持部材(2)を、Tバー(43)の水平フランジ部(43a)上に載せる。こうして、輻射冷暖房ユニット(1)がシステム天井に組み込まれる。
【0046】
ここで、図2に示すように、左右方向に隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)に跨って、複数の保持部材(52)が前後方向に間隔をおいて配置され、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材(53)が保持部材(52)に固定されている。
【0047】
図9に示すように、保持部材(52)はアルミニウム押出形材製であり、目隠し部材(53)を保持する水平板状の保持部(54)と、保持部(54)の左右両側縁部に下方突出状に一体に形成された1対の垂直板状の脚部(55)とよりなり、輻射パネル(3)の長さ方向から見て略逆U字状となっている。保持部(54)の前後方向の長さは、後述するように、前後に隣り合う目隠し部材(53)の近接した端部を固定しうるのに必要最小限の長さとなっている。保持部材(52)は、アルミニウム押出形材を所定の長さに切断することにより形成されている。各脚部(55)は全体に同厚であり、その肉厚は、輻射パネル(3)の保持部材取付溝(14)を形成する両溝形成用凸条(15)の先端部間の間隔よりも小さくなっている。したがって、保持部材(52)の各脚部(55)は保持部材取付溝(14)内に上方から嵌め入れられるようになっている。
【0048】
目隠し部材(53)はアルミニウム製であり、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間に、それぞれ前後方向に並んで複数配置されており、各目隠し部材(53)は前後に隣り合う保持部材(52)間に配置され、その両端部が保持部材(52)の保持部(54)にリベット止めされている。
【0049】
上記輻射冷暖房装置を用いて室内を冷暖房するには、蛇行状流体流通管(4)に低温の冷却媒体または高温の加熱媒体を流す。すると、冷輻射または熱輻射により室内が冷暖房される。特に、冷房する場合には、図10に示すように、両傾斜部分(11)の上下両面に沿って空気の流れが発生し、その結果冷輻射に加えて自然対流による冷却効果が得られ、冷房効率が向上する。すなわち、輻射パネル(3)の2つの傾斜部分(11)の上面に沿って流れた空気は隣り合う輻射パネル(3)の輻射パネル(3)間の隙間を通って下方へ流れ、この流れに2つの傾斜部分(11)の下面に沿って流れた空気が合流することになり、自然対流による冷却効果が優れたものになる。しかも、傾斜部分(11)の上下両面に沿う空気の流れの流速は、水平の場合に比べて大きくなり、空気と傾斜部分(11)との間の熱伝達率が向上する。
【0050】
ここで、両傾斜部分(11)の上面に沿って流れる空気は、隣り合う保持部材(5)(52)間の間隙を通過し、さらに隣り合う輻射パネル(3)間の隙間を通って下方へ流れる。したがって、上述した自然対流による冷却効果が低下するおそれはない。
【0051】
上記輻射冷暖房装置において、各輻射冷暖房ユニット(1)の隣り合う輻射パネル(3)間の隙間を覆う目隠し部材(6)、および隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間の隙間を覆う目隠し部材(53)の働きにより、室内側から隣り合う輻射パネル(3)間の隙間、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニット(1)の近接した輻射パネル(3)間の隙間およびを通して天井裏が見えにくくなるので、美観が向上する。
【0052】
図11は、この発明による輻射冷暖房ユニットに用いられる輻射パネルの変形例を示す。
【0053】
図11において、輻射パネル(20)の水平部分(11)上面に形成された両保持部形成用凸条(12)の両端部が、それぞれ所定長さにわたって切除されており、両保持部形成用凸条(12)における残存した部分により、横断面略U字状の管保持部(13)が形成されている。その他の構成は輻射パネル(3)と同じである。この輻射パネル(20)は、上述した第1の実施形態の場合と同様にして、支持部材(2)とともに輻射冷暖房ユニット(1)を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明による輻射冷暖房ユニットをシステム天井に組み込んでなる輻射冷暖房装置を示す図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】図1の輻射冷暖房装置に用いられる輻射冷暖房ユニットを示す斜視図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】図3の輻射冷暖房ユニットにおける輻射パネルの長さ方向の端部における拡大横断面図である。
【図6】図3の輻射冷暖房ユニットにおける輻射パネルの長さ方向の端部の部分拡大斜視図である。
【図7】図3の輻射冷暖房ユニットにおける隣り合う2つの輻射パネルに跨って配置される保持部材および保持部材に固定される目隠し部材を示す部分拡大分解斜視図である。
【図8】輻射冷暖房ユニットの輻射パネルを吊持装置を介して天井スラブに吊持させる方法を示す図4相当の断面図である。
【図9】隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接する2つの輻射パネルに跨って配置される保持部材および保持部材に固定される目隠し部材を示す部分拡大分解斜視図である。
【図10】図1および図2に示す輻射冷暖房装置において冷房を行う場合の空気の流れを示す図である。
【図11】この発明の輻射冷暖房ユニットに用いられる輻射パネルの変形例を示す部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
(1):輻射冷暖房ユニット
(2):支持部材
(3)(20):輻射パネル
(4):蛇行状流体流通管
(4a):直管部
(4b):屈曲管部
(5):保持部材
(6):目隠し部材
(10):水平部分
(11):傾斜部分
(12):保持部形成用凸条
(13):管保持部
(14):保持部材取付溝
(15):溝形成用凸条
(16):保持部
(17):脚部
(18):嵌入部
(52):保持部材
(53):目隠し部材
(54):保持部
(55):脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向が同一方向を向くように並列状に配置された複数の長尺輻射パネルと、隣り合う輻射パネルに跨るように、輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材と、保持部材に固定されて隣り合う輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材とを備えており、輻射パネルに媒体流通部が設けられ、輻射パネル上面の両側部分に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝が全長にわたって形成され、保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の両脚部の下端部が、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れられ、目隠し部材が、保持部材の保持部に固定されている輻射冷暖房ユニット。
【請求項2】
輻射パネルが、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置されており、輻射パネルの両端部が両支持部材に固定されている請求項1記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項3】
保持部材取付溝が輻射パネルに形成されかつ輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の溝形成用凸条間に形成されるとともに、保持部材取付溝の両端が輻射パネルの両端に開口し、保持部材取付溝の内周面が部分円筒面状であるとともに横断面優弧状であり、支持部材を外側から貫通したビスを保持部材取付溝の両端部内にねじ嵌めることにより、輻射パネルが支持部材に固定されている請求項2記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項4】
保持部材の脚部の下端部に、保持部材取付溝内に嵌め入れられる円柱状の嵌入部が形成されており、保持部材の嵌入部が、輻射パネルが支持部材に固定される前に、いずれか一端の開口を通して保持部材取付溝内に嵌め入れられている請求項3記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項5】
輻射パネルが、帯状の水平部分と、水平部分の両側縁にそれぞれ一体に形成されかつ外方に向かって下方に傾斜した傾斜部分とよりなり、各傾斜部分の上面に保持部材取付溝が形成されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項6】
保持部材取付溝が、輻射パネルにおける各傾斜部分の傾斜下端部に形成されている請求項5記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項7】
輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が外側に折り曲げられて平坦となるように潰されており、両保持部形成用凸条における平坦となるように潰された部分を除いた部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項8】
輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が切除されており、両保持部形成用凸条における残存した部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の輻射パネル。
【請求項9】
流体流通管が蛇行状であり、その直管部がパネル本体の管保持部内に嵌め入れられて固定されている請求項7または8記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニットが、輻射パネルの幅方向に並ぶように、システム天井に複数組み込まれ、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルに跨るように、複数の保持部材が輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置され、これらの保持部材に、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材が固定されている輻射冷暖房装置。
【請求項11】
保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の各脚部の下端部が、保持部材取付溝の上方への開口を通して保持部材取付溝内に入れられるようになされている請求項10記載の輻射冷暖房装置。
【請求項1】
幅方向が同一方向を向くように並列状に配置された複数の長尺輻射パネルと、隣り合う輻射パネルに跨るように、輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置された複数の保持部材と、保持部材に固定されて隣り合う輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材とを備えており、輻射パネルに媒体流通部が設けられ、輻射パネル上面の両側部分に、それぞれ上方に開口した保持部材取付溝が全長にわたって形成され、保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の両脚部の下端部が、隣り合う2つの輻射パネルにおける互いに近接した保持部材取付溝内に嵌め入れられ、目隠し部材が、保持部材の保持部に固定されている輻射冷暖房ユニット。
【請求項2】
輻射パネルが、互いに間隔をおいて配置された1対の支持部材間に、幅方向を支持部材の長さ方向に向けて並列状に配置されており、輻射パネルの両端部が両支持部材に固定されている請求項1記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項3】
保持部材取付溝が輻射パネルに形成されかつ輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の溝形成用凸条間に形成されるとともに、保持部材取付溝の両端が輻射パネルの両端に開口し、保持部材取付溝の内周面が部分円筒面状であるとともに横断面優弧状であり、支持部材を外側から貫通したビスを保持部材取付溝の両端部内にねじ嵌めることにより、輻射パネルが支持部材に固定されている請求項2記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項4】
保持部材の脚部の下端部に、保持部材取付溝内に嵌め入れられる円柱状の嵌入部が形成されており、保持部材の嵌入部が、輻射パネルが支持部材に固定される前に、いずれか一端の開口を通して保持部材取付溝内に嵌め入れられている請求項3記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項5】
輻射パネルが、帯状の水平部分と、水平部分の両側縁にそれぞれ一体に形成されかつ外方に向かって下方に傾斜した傾斜部分とよりなり、各傾斜部分の上面に保持部材取付溝が形成されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項6】
保持部材取付溝が、輻射パネルにおける各傾斜部分の傾斜下端部に形成されている請求項5記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項7】
輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が外側に折り曲げられて平坦となるように潰されており、両保持部形成用凸条における平坦となるように潰された部分を除いた部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項8】
輻射パネルに、輻射パネルの長さ方向に伸びる1対の保持部形成用凸条が形成され、両保持部形成用凸条の両端部が切除されており、両保持部形成用凸条における残存した部分により、横断面略U字状の管保持部が形成され、管保持部内に媒体流通部となる流体流通管が嵌め入れられて固定されるようになされている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の輻射パネル。
【請求項9】
流体流通管が蛇行状であり、その直管部がパネル本体の管保持部内に嵌め入れられて固定されている請求項7または8記載の輻射冷暖房ユニット。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれかに記載の輻射冷暖房ユニットが、輻射パネルの幅方向に並ぶように、システム天井に複数組み込まれ、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネルに跨るように、複数の保持部材が輻射パネルの長さ方向に間隔をおいて配置され、これらの保持部材に、隣り合う2つの輻射冷暖房ユニットの近接した輻射パネル間の隙間を覆う帯板状の目隠し部材が固定されている輻射冷暖房装置。
【請求項11】
保持部材が、目隠し部材を保持する保持部と、保持部に輻射パネルの幅方向に間隔をおいて設けられた1対の脚部とよりなり、保持部材の各脚部の下端部が、保持部材取付溝の上方への開口を通して保持部材取付溝内に入れられるようになされている請求項10記載の輻射冷暖房装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−25955(P2008−25955A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201508(P2006−201508)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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