説明

農作物の保存方法ならびに農作物の保存庫および冷蔵庫

【課題】野菜に強い光を照射し強制的に野菜に光合成を行わせても、野菜内部の栄養成分の低下を防ぐことはできるが、栄養成分を増やすことはできず、光合成に必要不可欠な水分が消費され、野菜中の水分含有量が著しく低下し、萎れてしまう。
【解決手段】野菜等の収穫後の農作物に対し、外部から適正なる外的刺激(ストレス)を与えてやることで、これら野菜等の内部にその刺激(ストレス)に対して防御反応した結果発生する微量の活性酸素を排除しようとする生体防御反応を起こさせ、活性酸素を無害化させるための抗酸化物質あるビタミンCやビタミンA等の栄養成分を生成させる生体反応をおこすことで、外部から栄養剤を添加するのではなく、野菜・果物等の特性により自然に滋養するような保存方法または保存庫,冷蔵庫を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫後の農作物である野菜・果実、および穀類・豆類等の保存庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、野菜等の鮮度低下の影響因子としては、温度、湿度、環境ガス、微生物、光などが上げられる。野菜・果実、および穀類・豆類等の種子等は収穫した後でも生きており、呼吸と蒸散作用が行われている。
【0003】
一例として、光を利用した野菜の鮮度保持方法として、従来の野菜の保鮮庫では野菜等を保存する間に、野菜に比較的強い光を照射し、光合成を行わせ、ビタミンC及び、クロロフィルの保持を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は特許文献1に記載された従来の光源を備えた冷蔵庫を示すものである。
【0005】
図9に示すように、冷蔵庫40は前面が開口した筐体42を備えており、筐体42下部に位置する下室48には野菜等が貯蔵される引き出し54が収納されている。引き出し54は上部が開口した略筐体状であり、前面側には前壁56が備えられている。また、前壁56が当接する筐体42の部位には引き出し54の開閉を検出するためのスイッチ58が取りつけられている。また、下室48天面中央部には白色蛍光灯60が取り付けられ、前方側にはランプ62が取りつけられている。
【0006】
以上のように構成された冷蔵庫において、以下その動作について説明する。
【0007】
引き出し54内には主として野菜が収納されており、下室48内に収納され密閉されているときはスイッチ58の信号により、白色蛍光灯60が点灯し、野菜を照射する。この時、ランプは消灯するよう、制御される。白色蛍光灯60の光強度は緑色葉野菜類のクロロフィル濃度の低下を低減するのに有効とされる範囲に設定されており、野菜は、光の照射により、クロロフィル濃度の低下が抑制される。また、引出54が開放している時は、ランプ62が点灯し、且つ白色蛍光灯60が消灯するよう、制御されている。
【特許文献1】特開平9−28363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、野菜室に保存中の緑色葉野菜のクロロフィル濃度低下を抑制するものの野菜内部の栄養成分を増やすことはできず、また強い光を照射し強制的に光合成を行わせるため、光合成に必要不可欠な水分が消費され、野菜中の水分含有量が著しく低下し、萎れるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、収穫後の農作物である野菜・果実、および穀類・豆類等に適度な外的な刺激を与えることにより、野菜等の持つ生体防御反応を励起させ、野菜等の内部に栄養素の生成を促し、保存中に農作物の栄養素を増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、刺激発生手段と前記刺激発生手段を制御する制御手段とを備えた保存庫本体と、前記保存庫に収納された収穫後の農作物に前記刺激発生手段が適度な外的な刺激を与えるように前記制御手段で制御するものである。
【0011】
これによって、前記農作物の内部において刺激発生手段からの刺激に対して反応させ、野菜等の農作物の中に生体にとって有害な微量の活性酸素が発生させるように促し、さらに野菜等の農作物はこの有害な活性酸素を抑制しようとする生体防御反応により活性酸素を無害化させようと、抗酸化物質であるビタミンCやビタミンAといった栄養素を生成させるという生体の防御反応をおこすため、この防御反応を利用して農作物内の栄養素を増加させるものである。
【0012】
この結果、保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させることができ、保存開始当初よりも更に栄養素の豊富な野菜等を提供できるものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の保存庫は、野菜等の農作物内部の栄養素を増加させることができるので、農作物の保存性を高め、保存品質を向上させた保存庫を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
請求項1に記載の発明は、収穫後の農作物に適度な外的な刺激を与えることにより、前記農作物の内部における栄養素の生成を促しながら保存する農作物の保存方法である。
【0015】
これによって、前記農作物の内部において刺激発生手段からの刺激に対して反応させ、野菜等の農作物の中に生体にとって有害な微量の活性酸素が発生させるように促し、さらに野菜等の農作物はこの有害な活性酸素を抑制しようとする生体防御反応により活性酸素を無害化させようと、抗酸化物質であるビタミンCやビタミンAといった栄養素を生成させるという生体の防御反応をおこすため、この防御反応を利用して農作物内の栄養素を増加させるものである。
【0016】
この結果、保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させることができ、保存開始当初よりも更に栄養素の豊富な野菜等を提供できるものである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、収穫後の農作物を温度が0〜15℃の温度帯の環境に置き、適度な外的な刺激を与えることにより、前記農作物の内部における栄養素の生成を促しながら保存する農作物の保存方法である。
【0018】
これによって、前記農作物の内部において刺激発生手段からの刺激に対して反応させ、野菜等の農作物の中に生体にとって有害な微量の活性酸素が発生させるように促し、さらに野菜等の農作物はこの有害な活性酸素を抑制しようとする生体防御反応により活性酸素を無害化させようと、抗酸化物質であるビタミンCやビタミンAといった栄養素を生成させるという生体の防御反応をおこすため、この防御反応を利用して農作物内の栄養素を増加させるものである。
【0019】
この結果、保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させることができ、保存開始当初よりも更に栄養素の豊富な野菜等を提供できる。加えて、環境温度を低温にすることで、農作物の保存期間をさらに長くすることができ、野菜・果物の持つ生体防御反応をうまく応用し、栄養素、特にビタミン類を増加させるとともに野菜等の保存期間を長くするものである。
【0020】
請求項3に記載の発明は、前記外的な刺激が、微細径の水粒子を噴霧することである農作物の保存方法である。
【0021】
これによって、農作物に刺激を与えることで保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させると同時に、野菜・果実、および穀類・豆類等の農作物の内部へ水分を供給することができ、農作物内部の水分低下による萎れを防ぐことができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、前記微細径の水粒子がオゾン水粒子であり、その濃度範囲が1〜100ppbである農作物の保存方法である。
【0023】
これによって、農作物に刺激を与えることで保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させると同時に、農作物の内部へ水分を供給により作物内部の水分低下による萎れを防ぎ、さらにオゾン水の酸化分解作用によって、農作物等に付着した菌等の増殖を防ぎ脱臭効果を奏すると共に、また農作物の表面に付着した農薬等の有害物質を分解することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、前記微細径の水粒子が電荷を帯びた水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである農作物の保存方法である。
【0025】
これによって、農作物に刺激を与えることで保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させると同時に、農作物の内部へ水分を供給により作物内部の水分低下による萎れを防ぎ、さらに、電荷を帯びた微細水粒子は農作物の表面に付着しやすいので、より確実に刺激を与えることができるとともに、農作物の水分低下をより効果的に防ぐことができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、前記微細径の水粒子が酸性水の水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである農作物の保存方法であることにより、弱酸性の水であり、酸化させる特性を持っている。そのため野菜や果実等の表面に付着している細菌やバクテリアはその酸化力により除去される。更にこの帯電水微粒子は脱臭の効果も併せ持つ。
【0027】
請求項7に記載の発明は、外的な刺激が、周波数が20kHz以上でかつ振幅が50μm以下の振動を付与することである農作物の保存方法であることにより、人の耳に聞こえる20kHzよりも高い周波数の振動により、騒音の心配なく、野菜等の農作物にのみ刺激をあたえることができるので、野菜等の持つ生体防御反応をうまく応用し、特にビタミン類をはじめとする栄養素を増加させることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、外的な刺激が、光の量子密度を100μmol/ms以下の範囲とした光を照射することである農作物の保存方法であり、光合成が起こらない程度の微量の光を照射することで、光合成による水分の消費を抑えながら野菜等の持つ生体防御反応をうまく応用し、特にビタミン類をはじめとする栄養素を増加させることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明は、刺激発生手段と前記刺激発生手段を制御する制御手段とを備えた保存庫本体と、前記保存庫に収納された収穫後の農作物に前記刺激発生手段が適度な外的な刺激を与えるように前記制御手段で制御することにより、前記農作物の内部における栄養素の生成を促す農産物の保存庫である。
【0030】
これによって、前記農作物の内部において刺激発生手段からの刺激に対して反応させ、野菜等の農作物の中に生体にとって有害な微量の活性酸素が発生させるように促し、さらに野菜等の農作物はこの有害な活性酸素を抑制しようとする生体防御反応により活性酸素を無害化させようと、抗酸化物質であるビタミンCやビタミンAといった栄養素を生成させるという生体の防御反応をおこすため、この防御反応を利用して農作物内の栄養素を増加させるものである。
【0031】
この結果、保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させることができ、保存開始当初よりも更に栄養素の豊富な野菜等を提供できるものである。
【0032】
請求項10に記載の発明は、前記保存庫本体に、貯留水を保持しておく保持手段と、前記貯留水を噴霧する噴霧手段とを備えた水供給手段を有し、前記刺激発生手段を前記水供給手段とし、微細径の水粒子を前記保存庫に収納された収穫後の農作物に噴霧することで、前記農作物に刺激を与える農産物の保存庫。
【0033】
これによって、農作物に刺激を与えることで保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させると同時に、野菜・果実、および穀類・豆類等の農作物の内部へ水分を供給することができ、農作物内部の水分低下による萎れを防ぐことができる。
【0034】
請求項11に記載の発明は、前記微細径の水粒子がオゾン水粒子であり、その濃度範囲が1〜100ppbである農産物の保存庫である。
【0035】
これによって、農作物に刺激を与えることで保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させると同時に、農作物の内部へ水分を供給により作物内部の水分低下による萎れを防ぎ、さらにオゾン水の酸化分解作用によって、農作物等に付着した菌等の増殖を防ぎ脱臭効果を奏すると共に、また農作物の表面に付着した農薬等の有害物質を分解することができる。
【0036】
請求項12に記載の発明は、前記微細径の水粒子が電荷を帯びた水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである農産物の保存庫である。
【0037】
これによって、農作物に刺激を与えることで保存している野菜等の体内にはビタミン類を始めとする栄養素増加させると同時に、農作物の内部へ水分を供給により作物内部の水分低下による萎れを防ぎ、さらに、電荷を帯びた微細水粒子は農作物の表面に付着しやすいので、より確実に刺激を与えることができるとともに、農作物の水分低下をより効果的に防ぐことができる。
【0038】
請求項13に記載の発明は、前記微細径の水粒子が酸性水の水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである農産物の保存庫であることにより、弱酸性の水であり、酸化させる特性を持っている。そのため野菜や果実等の表面に付着している細菌やバクテリアはその酸化力により除去される。更にこの帯電水微粒子は脱臭の効果も併せ持つ。
【0039】
請求項14に記載の発明は、刺激発生手段が振動発生手段であり、制御手段により周波数を20kHz以上で、かつ振幅を50μm以下の振動で制御する振動発生装置である農産物の保存庫であることにより、人の耳に聞こえる20kHzよりも高い周波数の振動により、騒音の心配なく、野菜等の農作物にのみ刺激をあたえることができるので、野菜等の持つ生体防御反応をうまく応用し、特にビタミン類をはじめとする栄養素を増加させることができる。
【0040】
請求項15に記載の発明は、前記刺激発生手段が光照射手段であり、前記制御手段により、農作物に照射する光の量子密度を0.1〜100μmol/msの範囲で光量を制御し照射させる農産物の保存庫であり、光合成が起こらない程度の微量の光を照射することで、光合成による水分の消費を抑えながら野菜等の持つ生体防御反応をうまく応用し、特にビタミン類をはじめとする栄養素を増加させることができる。
【0041】
請求項16に記載の発明は、前記刺激発生手段として、請求項7に記載の前記光照射手段に加えて、請求項2から6に記載の刺激発生手段である水供給手段または振動発生装置を複数個組み合わせることで、農作物に外的刺激を与えた農産物の保存庫であり、刺激発生手段を複数与えることで、更に野菜等の持つ生体防御反応をうまく応用でき、栄養素、特にビタミン類を大幅に増加させられるとともに野菜・果実、および穀類・豆類等の農作物の保存期間を長くするものである。
【0042】
請求項17に記載の発明は、前記保存庫本体内の温度を0〜15℃の温度帯とした農産物の保存庫であり、環境温度を低温にすることで、農作物の保存期間をさらに長くすることができ、野菜・果物の持つ生体防御反応をうまく応用し、栄養素、特にビタミン類を増加させるとともに野菜等の保存期間を長くするものである。
【0043】
請求項18に記載の発明は、前記保存庫本体は断熱壁を有して区画され、保存庫本体内の温度が0〜15℃の温度帯となるよう冷却保持される農作物の保存庫を備えた冷蔵庫であり、環境温度を低温にすることで、農作物の保存期間をさらに長くすることができ、野菜・果物の持つ生体防御反応をうまく応用し、栄養素、特にビタミン類を増加させるとともに野菜等の保存期間を長くすることができる保存庫を備えた冷蔵庫を提供することができるものである。
【0044】
以下に、我々が実施した実験結果の例を交えながら実施の形態を説明する。
【0045】
(実施の形態1)
以下、野菜・果実、および穀類・豆類等の農作物の保存庫としての代表的機器である冷蔵庫の野菜庫への適用事例を中心に説明する。
【0046】
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。図2は本発明の実施の形態1における光量とビタミンC(抗酸化物質の代表)増加率の相関図である。
【0047】
図1において、冷蔵庫100は仕切り板116によって、上から冷蔵室112、切替室113、野菜室114、冷凍室115に仕切られており、収穫後の農産物の保存庫となる野菜室114は冷却器116によって冷却された空気を利用して間接冷却により相対湿度約90%R.H以上(食品収納時)、1〜10℃に冷却されている。但し、野菜室114の冷却方法は、この例に関わらず直接、または間接の様々な冷却方法を用いることができる。
【0048】
野菜室114内部には野菜収納用の野菜ケース117を配置している。
【0049】
また野菜室114の天井面には外的刺激手段130である光照射手段130aと、その光の強さとオンオフを制御するための制御手段118を配置している。
【0050】
更に野菜室114の一角には、庫内の温度を検知する温度センサー131が備えられている。
【0051】
以上のように構成する冷蔵庫の野菜の保存について、以下その動作、作用を説明する。
【0052】
まず、ここで、植物における刺激(ストレス)に対する生体防御反応のメカニズムについて説明する。
【0053】
自然界において、一般に植物は光と、空気中の二酸化炭素と自己の体内に持つ水により生きていくためのエネルギーとなる糖(デンプン)を生成する光合成を行なっている。
【0054】
収穫した後の農作物である野菜・果物類においても条件さえ整えば、ほぼ同様の光合成や、生体防御反応を行なうことが知られており、農作物内部で光を受容する受容体はクロロフィルという緑色の色素である。
【0055】
たとえば、野菜・果物に光が照射されると、吸収された光刺激エネルギーは前記クロロフィル間を励起エネルギーとして移動する。
【0056】
その光エネルギーを元に、酸素発生複合体(OEC)を活性化させることで光合成を開始する。
【0057】
前記酸素発生複合体(OEC)はいわゆる酵素であり、マンガンイオンを4つ持つ金属たんぱく質である。
【0058】
ここで照射する光のレベルを弱くしていくと、ある時点で光のエネルギーが光合成に必要なレベルよりも低くなり光合成を行なわなくなるものの、光による刺激伝達系は適度に刺激されるようになる。
【0059】
我々の研究によると、この外的な刺激はいわゆる生体にとっての危険信号として認識され、野菜・果物内に活性酸素を創出することがわかった。
【0060】
この活性酸素は、いわゆる悪玉コレステロールと呼ばれる過酸化脂質の元となり、過酸化脂質は老化現象を促進させ、ガンや炎症を起こしやすくする有害な物質である。
【0061】
そのため、野菜・果物は生成した有害な過酸化脂質を分解・排除しようと生体防御反応をおこす。
【0062】
つまり活性酸素の酸化力を弱めるために、抗酸化物質を体内に生成する。この抗酸化物質の代表がビタミンC、ビタミンA、カロテン、ポリフェノール、ユビキノン等である。
【0063】
これら抗酸化物質が前記活性酸素と結びつきその効力を失わせ、野菜の細胞を酸化させるのを防ぐ。更に、ビタミンCの働きで細胞の持つ抗酸化力を復活させる。
【0064】
つまり、野菜自身の持つ抗酸化対応メカニズムを励起させることにより、ビタミンCで代表される栄養素をうまく増加させることが可能であることが実証できてきている。
【0065】
ただし、これらの刺激が、過度の場合は過酸化脂質が増加しすぎるため前述の生体防御反応では抑制しきれなくなるので、与える刺激にはその適正値が存在する。
【0066】
また、農作物を鮮度よく保存するには、前述の呼吸と蒸散作用や各種整理反応を適度に抑制することが必要となる。また、生きているがゆえに、野菜等を取り巻く外界の光・温度・振動等の刺激を受けるとさまざまな生体防御反応をおこす。
【0067】
たとえば一例を示すと、野菜・果物等を急激に温度を0℃付近まで冷やすと体内の防御反応がその変化のスピードについて行けずに、低温障害を引き起こし、褐変してしまう。しかしながら自然界で通常起こりうるスピードでゆっくりと温度を下げていくと、生体の防御反応として野菜細胞内では水分の凍結を抑制しようと、細胞内に糖類を増加させることが知られている。この結果、野菜・果実等の甘みが増加し、おいしくなる。
【0068】
このように、本発明では、収穫後の野菜・果実、および穀類・豆類等に適度な外的刺激を与えることにより、野菜・果物の持つ生体防御反応をうまく励起させることを目的とし、野菜等の内部で、ビタミンCに代表される抗酸化物質等の栄養素の生成を促すことを目的としている。
【0069】
次に、本実施の形態における具体的な装置等の実例についての動作、作用を説明する。
【0070】
温度センサー131により庫内温度が0℃以上、15℃以下であると検知した場合、光照射手段130aが点灯し、野菜室114内の野菜ケース116に保存されている野菜や果物に光が照射される。光照射手段130aは、複数個のLED発光素子などで構成され、この時照射される光量子の強さは制御手段118により光量をコントロールし、約1〜100μmol/m・s程度の微弱な光に制御する。この微弱な光が照射された野菜や果物は表皮表面に刺激(ストレス)として伝播される。
【0071】
前述の光レベルでは、前記の太陽光のエネルギーと比較してもはるかに小さく当然光合成は起こらない。
【0072】
ただし、情報伝達の意味においての刺激としては最適な強さであり、前述のように野菜内部のクロロフィルが外界からの光信号のストレスとして認識する。
【0073】
このとき、野菜自身はそのストレスから逃れようと、抗酸化物質を内部で産生する。
【0074】
一般的には、特に、光が当たった表面部分のストレスが大きいため、野菜等の表面を中心に有害な活性酸素がつくられる。この活性酸素に対して、野菜はその自己防御反応として産生した抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンA、カロテン等)が作用し活性酸素を無害な物質に改質させる。
【0075】
このとき、常時光を照射するよりも更に効果を上げるために、制御手段118により光の強さを変化させる、あるいは光を非定常で点滅変化させることにより上記の効果を更にアップさせることも可能になる。
【0076】
図2を用い「光量とビタミンC(抗酸化物質の代表)増加率」の相関を、我々の実験結果をもとに説明する。
【0077】
光は一般にLEDのような光源素子を用いるが、LEDの点灯個数を変え、そのときの野菜(図2ではピーマン)のビタミンCの増減について評価した。
【0078】
その結果、光量約0.01μmol/m・sまではほとんどビタミンC増加の効果が見られないが、0.1を超えると急激に増加率がアップし、10μmol/m・sをピークに、それ以上ではその効果が減少方向に転じる傾向が見られた。
【0079】
更に光量を100μmol/m・sを超えて増加させていくと、光合成を行なうに十分な光エネルギーとなるため、前記クロロフィルにて糖(デンプン)の生成を始めるため、急激に抗酸化物質の生成は低下する。これと同時に、光合成に必要不可欠な水分が消費され、野菜中の水分含有量が低下し、萎れていく傾向となる。
【0080】
このように、抗酸化物質を増加させるには、光合成を促進しない範囲の微弱光で、しかもそのレベルに最適な範囲があり、100μmol/m・sを超えないレベルで制御すればビタミンCの増加効果が得られることがわかった。また、より好ましくは光量を0.1〜100μmol/m・sとすることで、数%から20%近くのビタミンCの増加効果があることが確認できた。
【0081】
また、収穫後の農産物の保存庫となる野菜室114内の温度を0〜15℃の温度帯に維持することにより、環境温度を低温にすることで、農作物の呼吸,蒸散作用が抑制され、野菜の水分消費量も抑えられて野菜中の水分含有量が保持されるため、光量を増加させて光合成の作用が増加し水分が消費される方向となっても、それ以外での水分消費が軽減できることになって野菜を萎れさせずビタミンCの増加効果を享受できる範囲が広がることになっているものと考えられる。
【0082】
この結果、野菜・果物の持つ生体防御反応をうまく応用し、栄養素、特にビタミン類を増加させるとともに呼吸,蒸散作用を抑制する低温保存効果と相まって収穫後の農産物の栄養分を保持した状態で保存期間をさらに長くすることができるものである。
【0083】
(実施の形態2)
同様に、刺激発生手段がマイナスの電荷を帯びた微細水粒子の場合について説明する。
【0084】
図3は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の縦断面図である。
【0085】
図4は本発明の実施の形態2におけるマイナスの電荷を帯びた微細水粒子発生手段の縦断面図である。
【0086】
図5は本発明の実施の形態2におけるマイナスの電荷を帯びた微細水粒子発生手段の平面断面図である。
【0087】
図6は本発明の実施の形態2における添加する電荷を帯びた微細水粒子に対する抗酸化物質・ビタミンCの増加率特性を示した図である。
【0088】
図3〜図5において、図1と同一手段、同一部材は同一番号で示している。
【0089】
図3〜図5において、冷蔵庫100は仕切り板116によって、上から冷蔵室112、切替室113、野菜室114、冷凍室115に仕切られており、野菜室114は間接冷却により相対湿度約90%以上(食品収納時)、4〜6℃に冷却されている。
【0090】
野菜室114の上部天面には外的刺激手段130の電荷を帯びた水粒子を噴霧する水供給手段である帯電微細水粒子生成手段130bで、水供給手段121を装備している。水供給手段121は、野菜室114の天面に設けられ、水を貯留する貯水手段である貯水槽122と、噴霧手段123と、噴霧手段123によって発生したミストを野菜室114内に送風する送風手段129とから構成されている。また、噴霧手段123は貯水槽122の内部に位置し、貯水槽122に貯留された貯留水にその一端を浸漬するよう位置し、他端を貯水槽122内に噴霧先端部132を形成した毛細管供給構造体133と貯水槽122の一画に設置し、貯水槽122内の貯留水に負の高電圧を印加する陰極134と前記貯水槽の一画に位置し、陰極134に対向するよう位置した陽極135と、陰極134に高電圧を印加する高電圧電源128とから構成されている。
【0091】
以上のように構成された冷蔵庫のミスト噴霧装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0092】
まず、貯水槽122内に水が貯留される。この際の貯留水124は除霜水を用いる。次に貯水槽122内の陰極134に負の高電圧を印加すると、噴霧先端部132と陽極135との間に存在する電界によって噴霧先端部132から複数の液糸が引き出され、さらには高電圧で印加された電気エネルギーにより帯電した1μm以下の微細液滴に分散されて帯電ミスト状微細水粒子となる。
【0093】
この帯電ミスト状微細水粒子(以下、ミストと呼ぶ)は送風手段129によって、野菜室114内に噴霧される。
【0094】
ミストは制御手段(図示せず)により、発生量を0.01〜100g/h・mの範囲で制御する。
【0095】
噴霧されたミストは、静電付加されておりマイナスの電荷を持つとともに、酸化反応性の高い弱酸性の水粒子である。噴霧浮遊するミストは、野菜室114内で野菜や果実等の表面に付着する。
【0096】
以上のように構成する冷蔵庫の野菜の保存について、以下その動作、作用を説明する。
【0097】
外的刺激手段130により生成された前記電荷を帯びた水粒子が、野菜室114内の野菜ケース117に保存されている野菜や果物の表面に付着する。
この電荷を帯びた水粒子は前述の性状から、野菜や果物の表皮表面に刺激として情報伝播されることになる。
【0098】
上記の発生量範囲は、情報伝達の意味においての刺激としては最適なレベルで、前述のように野菜内部のクロロフィルが外界からの電気信号のストレスとして認識し、有害な物質である活性酸素を作り出す。
【0099】
このとき、野菜自身はその電気信号ストレスから逃れようと、自己防衛策として、活性酸素を無害化するために抗酸化物質を内部で産生する。
【0100】
一般的には、特に、電荷を帯びた微細水粒子の付着した表面部分のストレスが大きいため、野菜の表面を中心に有害な活性酸素が生成される。この活性酸素に対して、産生した抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンA、カロテン等)が作用し無害な物質に改質させる。
【0101】
図6を用い、噴霧する電荷を帯びた微細水粒子の量と、ビタミンCの増加率の相関について説明する。
【0102】
我々の研究では、0.01g/h・mまでの発生量ではほとんどビタミン増加の効果は見られなかったが、0.1g/h・mで急激に増加し、1g/h・mでピークを持つ特性であることが確認できた。
【0103】
つまり外的刺激には適正な範囲が存在し、数%以上のビタミンC増加効果を得るには0.01〜10g/h・mの噴霧量が適正であることがわかった。
【0104】
更に、常時ミストを照射するよりも効果を上げるために、制御手段(図示せず)によりミストの量を変化させる、あるいはミストを非定常で発生量を変化させ野菜に付着する電荷の量を非定常に変化させることにより、刺激(ストレス)の認知を鮮明にさせることで、上記の効果を更にアップさせることも可能になる。
【0105】
しかも、電荷を帯びた微細水粒子は弱酸性の水であり、酸化させる特性を持っている。そのため野菜や果実等の表面に付着している細菌やバクテリアはその酸化力により除去される。更にこの帯電水微粒子は脱臭の効果も併せ持つ。
【0106】
しかも、この電荷は微弱であり、野菜等の表面に付着したとほぼ同時に放電し、普通の水の性質に戻るため、何ら害を及ぼさない。更に付着した微細水粒子は、野菜等に水分を補給するため野菜等をみずみずしく保湿する効果をも発揮する。
【0107】
同様に、外的刺激の要素として光、微粒子帯電水以外のオゾン水微粒子、酸性水、振動について説明する。
【0108】
オゾン発生装置(図示せず)は、一般に前述の微粒子帯電水の生成装置と基本構成は同じであるが、水供給部を持たず、数kVの高電圧を印加し、空気中の酸素をオゾンに変化させ、それを水に溶かし込んでオゾン水を生成する。
【0109】
このオゾン水を微粒子霧化させてオゾン水微粒子を発生させる。
【0110】
このオゾン水微粒子が、野菜室114内の野菜ケース117に保存されている野菜や果実等の表面に付着する。
【0111】
このオゾン水微粒子は前述の帯電水微粒子同様、野菜や果物の表皮表面に刺激として情報伝播される。
【0112】
上記の発生量範囲は、情報伝達の意味においての刺激としては最適なレベルで、前述のように野菜内部のクロロフィルが外界からの電気信号をストレスとして認識する。
【0113】
このとき、野菜自身はその電気信号ストレスから逃れようと、自己防衛策として、抗酸化物質を内部で産生する。
【0114】
一般的には、特に、オゾン水微粒子の付着した野菜の表面部分のストレスが大きいため、野菜の表面を中心に有害な活性酸素が生成される。この活性酸素に対して、産生した抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンA、カロテン等)が作用し無害な物質に改質させる。
【0115】
ただこのオゾンは酸化作用を併せ持っており、適正範囲が存在する。そのレベルが高すぎると酸化作用も強いため野菜の組織が損傷し、褐変するという悪影響も発生する。実験によると、野菜の組織細胞を破壊しない限度の上限濃度としては、約100ppbであることがわかった。また、この濃度が低くなれば刺激の効果も弱まり、1ppbがその下限であることを確認した。
【0116】
つまり、このオゾン濃度についても帯電水微粒子と同様濃度に最適値を持ち、1〜100ppbの範囲が野菜にとっての最適値であることがわかった。
【0117】
次に酸性水の微細粒子による効果を説明する。
【0118】
電解水を生成する整水器で作られる弱酸性の水を超音波加湿器等を用い霧状に粒子を粉砕して野菜・果実等の表面に添加することにより、野菜や果物の表面に付着する。
【0119】
この酸性水の微細粒子は、前述の帯電水微粒子同様、野菜や果物の表皮表面に酸性の刺激として情報伝播される。
【0120】
上記の発生量範囲は、情報伝達の意味においての刺激としては最適なレベルが存在し、前述のように野菜内部のクロロフィルが外界からの電気信号のストレスとして認識する。
【0121】
このとき、野菜自身はその酸化ストレスから逃れようと、自己防衛策として、抗酸化物質を内部で産生する。
【0122】
一般的には、特に、酸性水微粒子の付着した表面部分のストレスが大きいため、野菜の表面を中心に有害な活性酸素が生成される。この活性酸素に対して、産生した抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンA、カロテン等)が作用し無害な物質に改質させる。
【0123】
酸性水はその酸化作用のためそのレベルが高すぎると野菜の組織を損傷させ、褐変するという悪影響を発生させる。
【0124】
我々の研究では、発生量が0.01〜10g/mhの範囲でビタミン増加の効果があり、しかも褐変等の悪影響が少ないことが確認できた。
【0125】
次に外的刺激として「振動」について説明する。
【0126】
振動は空気中を伝播し、野菜等を振動させるか、直接野菜ケースを振動させて野菜自体を振動させる。この振動による刺激により適度なストレスを与え生体防御反応で抗酸化物質のビタミンを増加させるものである。
【0127】
一般に振動は騒音として認識されるため、人の耳に感じる周波数よりも高い振動を与え、かつ振動を触覚的にも認識しにくい範囲である50μm以下に制御することで、野菜等にのみ振動刺激を与えるものである。
【0128】
これにより、前述同様に抗酸化物質を産生させるものである。
【0129】
(実施の形態3)
次に、これらの外的刺激手段の融合による相乗効果の一例について説明する。
【0130】
光刺激手段である光照射手段130aと帯電微細水粒子生成手段130bを融合生成させることにより、更に効果的に抗酸化物質生成を促進させることを狙いとしている。
【0131】
その一例として、ピーマンの保存について説明する。
【0132】
図7は本発明の実施の形態3におけるビタミンCの増加率の差を示す図であり、ビタミンCの増加率について検討した結果を示している。
【0133】
外的刺激手段として、「光刺激のみ」では4日後のビタミンCの増加は約5〜6%程度である。一方「帯電水微粒子による刺激のみ」では約10〜12%である。
【0134】
これら「光刺激+帯電水微粒子」の両刺激を融合させ、相乗効果を評価したところ、単独の効果の合計では15〜18%程度であったものがその2倍に近い35%の効果を発揮することが確認できた。
【0135】
推定されるそのメカニズムについて述べる。
【0136】
図8は本発明の実施の形態3における野菜の気孔部の顕微鏡写真である。
【0137】
図8に示す野菜等の葉の裏面・表面に点在する気孔は、10〜15μmの開閉する孔である。前記気孔は外気の二酸化炭素や酸素の導入口であり、細胞内の水分を蒸散する作用を行なうための開閉口であり、主に光の刺激により開閉がコントロールされる組織である。
【0138】
実施の形態3における作用について説明する。
【0139】
まず、光刺激により野菜・果実等の気孔を開放させる。この状態を維持しながら、帯電した水微粒子を野菜等の周辺に添加することにより気孔内部に直接的に帯電水が入り込む。気孔内部にはクロロフィル等の組織が存在し、刺激反応の主体物質であるクロロフィルを直接的に電荷を帯びた微粒子の水が刺激することになる。
【0140】
この結果、非常に効率よく抗酸化物質生成を促進させることが可能になったと考えられる。
【0141】
つまり、野菜内部のクロロフィルが外界からの電気信号のストレスとして認識し、有害な物質である活性酸素を作り出す。
【0142】
このとき、野菜自身はその直接的に加わった電気信号ストレスから逃れようと、自己防衛策として、活性酸素を無害化するために抗酸化物質を内部で産生する。
【0143】
一般的には、特に、電荷を帯びた微細水粒子の付着した表面部分のストレスが大きいため、野菜の表面を中心に有害な活性酸素が生成される。この活性酸素に対して、産生した抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンA、カロテン等)が作用し無害な物質に改質させる。
【0144】
以上、野菜を中心に説明してきたが、本発明は生体の持つ生命反応をうまく利用することが最大のポイントであり、穀物のように仮眠状態のものも含めて、野菜・果実等の生態であるものはすべてこの効果を得られる対象となる。
【0145】
たとえば、もみ付きのお米や玄米、小麦、とうもろこし類や豆類等、また卵等もこの効果が期待できるのはいうまでもない。
【0146】
また、刺激の種類として、これら以外ではたとえばアルカリ性の微細な水粒子や磁界の印加、臭いなどの野菜の周囲環境を形成する要素の変化に伴うものであればすべて外的刺激になり、同様の効果が期待できる。
【0147】
更に、実施の形態として、冷蔵庫の野菜室で説明したが、野菜・果物、穀物等の輸送用のコンテナや、同様の冷蔵保存箱や保存倉庫であっても同様の効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように、本発明にかかる農作物の保存方法ならびに農作物の保存庫および冷蔵庫は、収穫後の野菜・果実・穀物等に適度な外的刺激を与えることにより、それらの持つ生体防御反応を励起させ、野菜等に抗酸化物質(ビタミンC等)の生成を促し、それらの保存中に栄養素を増加させることを目的にしており、農産物の流通過程や家庭用冷蔵庫、業務用冷蔵庫、食品保存庫、保冷車の保存機器の用途にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1における光量とビタミンC(抗酸化物質の代表)増加率の相関図
【図3】本発明の実施の形態2における冷蔵庫の縦断面図
【図4】本発明の実施の形態2における外的刺激手段の縦断面図
【図5】本発明の実施の形態2における外的刺激手段の平面断面図
【図6】本発明の実施の形態2における噴霧する電荷を帯びた微細水粒子の量と、ビタミンCの増加率の相関を示す図
【図7】本発明の実施の形態3におけるビタミンCの増加率の差を示す図
【図8】本発明の実施の形態3における野菜の気孔部の顕微鏡写真
【図9】従来の冷蔵庫の野菜室概略構成を示す図
【符号の説明】
【0150】
100 冷蔵庫
118 制御手段
121 水供給手段
122 貯水槽
123 噴霧手段
124 貯留水
130 外的刺激手段(刺激発生手段)
130a 光照射手段
130b 帯電微細水粒子生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫後の農作物に適度な外的な刺激を与えることにより、前記農作物の内部における栄養素の生成を促しながら保存する農作物の保存方法。
【請求項2】
収穫後の農作物を温度が0〜15℃の温度帯の環境に置き、適度な外的な刺激を与えることにより、前記農作物の内部における栄養素の生成を促しながら保存する農作物の保存方法。
【請求項3】
前記外的な刺激が、微細径の水粒子を噴霧することである請求項1に記載の農作物の保存方法。
【請求項4】
前記微細径の水粒子がオゾン水粒子であり、その濃度範囲が1〜100ppbである請求項2に記載の農作物の保存方法。
【請求項5】
前記微細径の水粒子が電荷を帯びた水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである請求項2に記載の農作物の保存方法。
【請求項6】
前記微細径の水粒子が酸性水の水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである請求項2に記載の農作物の保存方法。
【請求項7】
外的な刺激が、周波数が20kHz以上でかつ振幅が50μm以下の振動を付与することである請求項1に記載の農作物の保存方法。
【請求項8】
外的な刺激が、光の量子密度を100μmol/ms以下の範囲とした光を照射することである請求項1に記載の農作物の保存方法。
【請求項9】
刺激発生手段と前記刺激発生手段を制御する制御手段とを備え、保存庫本体に収納された収穫後の農作物に前記刺激発生手段が適度な外的な刺激を与えるように前記制御手段で制御することにより、前記農作物の内部における栄養素の生成を促すものである農作物の保存庫。
【請求項10】
貯留水を保持しておく保持手段と、前記貯留水を噴霧する噴霧手段とを備えた水供給手段を有し、前記刺激発生手段を前記水供給手段とし、微細径の水粒子を前記保存庫本体内に収納された収穫後の農作物に噴霧することで、前記農作物に刺激を与えるものである請求項1に記載の農作物の保存庫。
【請求項11】
前記微細径の水粒子がオゾン水粒子であり、その濃度範囲が1〜100ppbである請求項2に記載の農作物の保存庫。
【請求項12】
前記微細径の水粒子が電荷を帯びた水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである請求項2に記載の農作物の保存庫。
【請求項13】
前記微細径の水粒子が酸性水の水粒子で、その発生量が0.01〜10g/mhである請求項2に記載の農作物の保存庫。
【請求項14】
前記刺激発生手段が、周波数が20kHz以上でかつ振幅が50μm以下の振動を発生する振動発生装置である請求項1に記載の農作物の保存庫。
【請求項15】
前記刺激発生手段が光照射手段であり、前記制御手段により、農作物に照射する光の量子密度を100μmol/ms以下の範囲で光量を制御し照射させる請求項1に記載の農作物の保存庫。
【請求項16】
前記刺激発生手段として、請求項7に記載の前記光照射手段に加えて、請求項2から6に記載の刺激発生手段である水供給手段または振動発生装置を複数個組み合わせることで、農作物に外的刺激を与えた農作物の保存庫。
【請求項17】
前記保存庫本体内の温度を0〜15℃の温度帯とした請求項9から16のいずれか一項に記載の農作物の保存庫。
【請求項18】
前記保存庫本体は断熱壁を有して区画され、保存庫本体内の温度が0〜15℃の温度帯となるよう冷却保持される請求項9から16のいずれか一項に記載の農作物の保存庫を備えた冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−254835(P2006−254835A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78906(P2005−78906)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】