説明

農作物の倒伏防止と天日乾燥及び次期文献に記載する部材装置を稼動させる農業施設

【課題】1.作物の倒伏を防止し高収量化する。2.省労力で天日乾燥を行い高品質化する。3.耕作作業を機械から無人で稼動する装置化へ移行を図る。
【解決手段】1.構造体を設置し倒伏防止部材を取り付けることで倒伏を防止する。2.構造体を設置し天日乾燥施設とする。3.構造体を設置し部材装置を稼動させる母体施設を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、農作物の倒伏防止や天日乾燥及び次期文献に記載する耕作作業を機械から装置化へと移行させるための母体となる農業施設に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における農作物の倒伏防止技術は、品種や藩種及び中干し、施肥方法、倒伏防止剤などによるものであるため、従来の耕作方法で豊作を期待される作況であっても収穫前に長梅雨や集中豪雨、暴風などの影響を受けるとなす術のないものであった。
【0003】
特許文献では、以下に記載するものがあった。
有機質発酵肥料とその使用方法として
【特許文献1】特許第3428851次に、アスパラガスの倒伏防止装置に関する公知技術として
【特許文献2】特開2007−259822
【0004】
続いて、天日乾燥に関する従来技術は、永続的に設置され支柱としての機能を果たすものでは、はざ木と呼ばれる植樹された樹木(ハンノキなど)があったが、「はざかけ」を行う部材はその都度設置と撤収を行うものであった。
更に圃場内に設置する天日乾燥施設であっても、必要の都度、設置と撤収を繰り返すため、それに要する手間は多大なものであった。
【0005】
それでは、従来のはざ木と呼ばれる樹木を圃場の畦沿いなどに植樹することによって、支柱としての機能を永続的に果し、天日乾燥を行うWebで掲載される記事を以下に記載する。
【非特許文献1】1.「田植え」から「稲刈り」まで 新潟県長岡市の風景 川崎市早野資料製作・著作 玉川大学学術研究所 社会科教育研究グループ 多賀譲治2.農村景観百選のひとつにも選ばれている旧岩室村夏井地区の約600本のはざ木新潟県岩室温泉小さなお宿小松屋のブログ
【0006】
更に必要の都度、支柱を含めて設置と撤収を繰り返す天日乾燥施設であって、「はざか
け」と呼ばれる従来の公知技術をWebサイトに掲載される風景レポートを以下に記載する。
【非特許文献2】1.ポップ・チラシづくり専用 ふぉとぎゃらりー石川県輪島市 白米千枚田のはざかけ風景熊本県矢部町 通潤橋でのはざかけ風景新潟県松代町 峠地区の棚田・はざかけ風景2.都会人のLet’s農 日進野菜塾 稲刈り・はざかけ3.風土記八十八選 第三選 はざかけ4.JAはぐくみ 特産物の紹介 はざかけ米5.カメラを持って歩こう はざかけ6.三浦半島 デジカメ便り はざかけ7.はざかけ米の作り方 図解 自然乾燥の辞典
【0007】
日本の農業の抱える諸問題の研究文献で天日乾燥に関し共通することは、天日による自然乾燥が高品質であることが認められていても日本の農業自体が戦後を境に一変したため、天日乾燥そのものが忘れ去られた技術として示されていることである。
【0008】
それを象徴するように、「麦類の収穫・乾燥・調製技術の問題点と研究方向」と題された参考文献の一部を抜粋し、以下に記載する。
【0009】
その1
【非特許文献3】3−1 主に小麦の収穫技術についてのレポート中央農業総合研究センター・作業技術研究部・施設利用研究室 玉城 勝彦 著
【0010】
1.現 状
現在、小麦作の総労働時間は10a 当たり10 時間を切るとともに、収穫作業も10a 当たり
約2時間と大幅な省力化が図られている。その収穫作業方法は、かつて見られたバインダで収穫後、天日乾燥して自動脱穀機で脱穀する体系は姿を消し、ほとんどがコンバイン収穫に移行している。
現在、コンバインによる収穫作業のマニュアル(汎用コンバイン導入・利用マニュアル−
農林水産省農産園芸局編 2000 年2月)には、以下のようにある。
「麦の収穫は、収穫時期が短いため、高水分収穫となりやすいのですが、品質を確保するため、収穫時の穀粒水分、コンバイン脱穀部の回転数に注意してください。特に、ビール・ウイスキー用の大麦については、損傷粒(裂皮粒,はく皮粒)の多発による発芽勢の低下を防ぐため、穀粒水分25%以上での収穫を避けることがポイントです。」さらに小麦では、「収穫時期が梅雨と重なり収穫期間が短く、高水分収穫となりやすいのですが、品質の確保と乾燥作業の効率化を図るため、子実水分が27 〜 28%以下となった時点で収穫してください(汎用コンバインの収穫時期はバインダ収穫や手刈りの適期の3〜4日後に設定するのがポイントとなります)。子実の水分量は簡易穀粒水分計を利用して、常にチェックしてください。」
また、現場での指導の例では、「早刈り厳禁,収穫適期の目安[小麦]出穂後44 〜 47 日頃を目安として、穀粒水分が27 〜 28%以下になってからコンバイン収穫する。高水分の穀粒を収穫すると損傷粒が多くなり、品質低下につながる。一方,刈遅れは降雨にあう機会が増え、退色粒、発芽粒、くされ粒などが発生することで外観品質が低下するとともに、でんぷんのアミロ粘度が低下して加工適性も低下する。小麦の収穫時期は入梅以降となる場合が多いので、収穫前には、再度排水溝を整備し、雨がやんだ後できるだけ早く収穫作業に移れるようにしておく。」(岡山県農業総合センターホームページ参照)
しかし、平成12 年度の統計によれば、小麦の全国生産688,200 t の内,112,000 t が主に北海道での収穫直前の降雨による倒伏,穂発芽等の気象被害とされ、平成10 年、平成11 年も同様に収穫時期の降雨による穂発芽などの気象被害が大きい。これは、過去3カ年に限ったことではなく、梅雨時期に収穫時期を迎え、適期収穫が難しい麦類の宿命といえる。このため、収穫作業のマニュアル、指導にもかかわらず、刈り遅れによる品質低下を避けるため、成熟時以降、できるだけ早く刈りたいという意志により、実際には、30%を超える水分でも収穫されているのが現状である。
このような現状を踏まえ、収穫・乾燥・調製技術からは1.高水分域での収穫による穀粒損傷低減対策、2.高水分麦の乾燥調製技術開発が望まれている。
2.過去の研究課題
過去10 年程度にさかのぼって、主な麦類の収穫調製(乾燥調製は除く)に関する成果情報を概説すると以下の通りである。
1)収穫方法、収穫時期の違いが小麦品質に及ぼす影響(農研セ1989)
高水分域(水分32,40%)でのバインダ,コンバイン(自脱,汎用)収穫による小麦品質への影響を調査。
粒色、小麦粉色、製粉特性、アミログラム最高粘度、発芽率を測定。
いずれもバインダ収穫が良好、コンバイン収穫では汎用コンバインが良好。
→全量通過脱穀方式の汎用コンバインが脱穀時の衝撃緩和に有利。
処理量が不明、供試品種以外。
収穫後の処理(静置型乾燥機による薄層常温通風乾燥)が通常(循環式乾燥機による熱風乾燥)と異なる。
2)自脱コンバインによる高水分小麦の品質維持収穫法(香川県農試 1991)
高水分(33%)での自脱コンバイン改良による品質低下低減効果を検討。
穀粒への脱穀衝撃を軽減するため、脱穀部の扱歯、受網、扱室天井部への流量制御板、選別部の選別網の改良並びに扱胴回転数の低減を行い、損傷低減効果が認められた。
作業速度が低い。通常速度で可能か。
(種子用コンバインでは扱歯先端周速度を10 〜 20%低く設定している。)
3)ビール麦収穫における汎用コンバインの利用法(佐賀県農試 1991)
汎用コンバインでのビール麦収穫の水分限界ならびに適切な扱胴周速度を明らかにした。
発芽勢95%以上を確保するためには、穀粒水分25%以下で扱胴先端周速度を23m/s とする。
扱胴先端周速度を20m/s にすると脱穀選別性能が落ちる。(エンジン回転数で調整しているため、扱胴回転数以外も低下してしまう。)
4)小麦の穂収穫乾燥技術(北海道立十勝農試、北見農試 1994)
普通型コンバイン等の汎用利用による小麦穂収穫乾燥システム(北海道立十勝農試,北見農試1997)
多雨・多湿下の小麦が穂発芽や低アミロ化で品質低下するのを回避するため、汎用コンバイン等を利用して、穂刈りして通風ダクトで乾燥させる方式を検討した。
常温通風により予乾し、脱穀後、仕上げ乾燥する事により、アミロ粘度、発芽率、光沢等の品質が優れる。
堆積かさ密度が大きく、運搬量、乾燥量が増大する。
乾燥後の脱穀処理工程が必要。
3.今後の研究の展開方向
現状で述べたように、適期刈りが恒常的に難しい状況を踏まえ、高水分小麦(水分30 〜 35
%以上)に対する有効な収穫調製対応策を持っておく必要がある。当研究室では、1.高水分小麦で、コンバイン収穫時の機械的衝撃の影響により起こるとされる品質劣化程度をα- アミラーゼ活性等を指標として、自脱並びに汎用コンバインの作業条件により明らかにし収穫作業における改善指針を策定する予定である。2.さらに、高水分麦の効率的な乾燥法を開発する必要がある。乾燥の問題点については、九州沖縄農研センターから後述されるように、除湿乾燥法、遠赤外線乾燥法など新しい技術開発が行われているが、当研究室では、高水分域の小麦の水分むらに着目し、数段階に迅速選別後、乾燥する水分選別処理乾燥技術を開発する予定である。籾の収穫時期の水分分布と比べ、高水分小麦の収穫時期の水分むらは遙かに大きく、これを分別できれば、高水分粒は低温・大風量で乾燥させ、低水分粒は比較的高い温度で乾燥させることができ,全量混在させて乾燥させることと比較して、品質も安定し、エネルギー的にも有利な乾燥体系を組み立てることが可能となる。
【0011】
その2
【非特許文献4】3−2 麦類の収穫・乾燥・調製技術の問題点と研究方向のレポート九州沖縄農業研究センター・水田作研究部・機械化研究室 関 正裕 著
【0012】
1.共乾施設における乾燥方式別乾燥技術と問題点
1.穀類乾燥機
乾燥は,穀類の含水率を下げ貯蔵の安全性を高めるだけでなく、品質の劣化を防ぐことや出荷時期を調節することを目的としています。穀類乾燥は、穀粒の隙間に空気を送り、穀類の水分を取り去る蒸発乾燥法が一般的です。
乾燥方法には大きく2つあり、穀類を堆積したまま乾燥する静置法と、穀類を動かしながら乾燥する循環法に分けられます。
1)乾燥機開発
日本での乾燥機の開発は、下のフローチャートのように主に戦後から始まっています。
戦前:慣行法(架掛け,棒掛け等の天日乾燥など)
戦後:平形通風乾燥機(常温通風→加熱通風)

立形静置式乾燥機 → 改良静置式乾燥機(施設用)
↓ コンバイン収穫に伴う生脱穀の普及とともに
循環式乾燥機(個人用、施設用)
新しい乾燥方法として、加熱した空気を送り込むだけでなく遠赤外線を利用した穀物遠赤外線乾燥機や太陽熱穀物乾燥・貯留システムが開発されています。
2)品質と乾燥方法
小麦では籾や大麦に比べて堆積見かけ密度が大きいため、張込量を減らすように乾燥機マニュアルなどで指示されています。これは、張込量を減らすことにより相対的な風量比を増し、テンパリング時間を減らすためです。
これまでの研究の結果として、送風温度は乾燥前原粒水分20%程度では60℃、原粒水分40%程度のものでは35℃ 以下とされています。また、品質変化しない穀粒温度の限界は40℃ 近辺にあることが指摘されています。
【0013】
以上、参考文献の抜粋資料に記載するとおり、戦後から「コンバインでの生脱穀と機械による乾燥」が定着し、それらの研究開発のみが行われていることを示されたものである。
【0014】
請求項3に関する従来技術は、参考文献としても皆無のため記載を除外する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
病気などを考慮し施肥量を調整することは当然であるが、より多く実ると穂が重くなり倒伏するため施肥量を削減することは、結果的に収穫量の削減を行うことである。
更に倒伏を免れるために、品種の改良を重ね稈長を短くし稲を小型化することも収量の低下を招くことに繋がることなのである。
【0016】
本願発明では、病気などを考慮したうえで倒伏を気にせず十二分な施肥を行い高収量、高品質の作物を育成し収穫することを目的に倒伏を防止することで、作況指数も高く豊作を期待されながらも収穫前の長梅雨や集中豪雨、暴風による倒伏で収穫量の激減や品質の低下及び労力の増加を招くことのない農業施設を提供するものである。
【0017】
天日乾燥によるメリットは、悪天候が続くことで高含水比であっても含水比に左右されず天候を見計らって刈り取りを行った後、最適含水比まで天日による自然乾燥を行うことによって、脱穀時の胴割れの激減や完全に近い選別による収量の増加などが得られる一方で、収穫時の労力の増加や経済的負担が多くなることを理由に慣行栽培としては行われることはなく、稲作の一部で「はざかけ」による天日乾燥が行われていた。
また、従来の機械乾燥では乾燥施設の能力に合わせた刈り取りが行われるものであり、作物の適期に応じた刈り取りはできないものであった。
更に機械乾燥を行うには、収量に応じた機械一式を揃えることが必要不可欠であるため大多数の農家が経費の支払いに追われているのが実情であった。
本願発明は、それらを解消するため収穫時の労力と経済的負担の少ない天日乾燥施設を提供するものである。
【0018】
土木建設分野ならば現場毎に工事内容が異なるため同一条件で工事が繰り返されることは皆無であるが、農業分野は同一圃場において耕作作業が繰り返されるものであるため、工場で行われる製造作業と同一工程が繰り返されることでは類似するものである。
工場での生産活動は、戦後のオートメーション化からセル方式へと移行しジャストインタイムといわれる手法の実践は1938年から行われているのである。
その結果として、工場生産方式は目覚しい発展を遂げ世界に冠たる企業としての地位を築く一方、農業分野では60年前の戦後技術の延長線上にある機械化から現代技術における装置化に移行しようとすらしないことはゆゆしき事態である。
例えば、耕運作業を行う場合にしても人間が操作するトラクタにロータリーを装着しなくてもロータリー部に耕運に必要な動力装置を一体化させ無人化することで耕運労力を無くすことや耕作機械としての生産に要する資源やエネルギーの消費量を激減させることに加えて、1農業施設単位で次期文献に記載する最適な部材装置を配置することによって耕作作業の装置化を図るための母体施設を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
それでは、課題を解決するための手段について、請求項1に記載され本願発明の基本構造である構造体1について以下に説明する。
【0020】
「作物を取り囲み可能な形状」とは、図8と図9に示すとおり支柱 2を連接する形状で倒伏防止部材 6を取り付けることによって、作物 3を取り囲むことができ得る形状である。
【0021】
また、「圃場の所定の位置」とは、以下の条件によって適宜に設定されるものである。
1.
圃場の立地条件や形状及び地域性、施工性、支柱の材質、規格、形状、寸法などによって設定されるものである。
2.
倒伏防止と天日乾燥と次期文献に記載する部材や装置などや耕作する作物の種類などによって設定されるものである。
【0022】
支柱に用いる材質は、圃場の立地条件、地域性及び経済性、施工性、耐用年数などを考慮することで設定され、コンクリート、樹脂、鋼材など、比較的耐用年数が長い材質が用いられるものである。
【0023】
更に支柱の規格、形状、寸法も圃場の立地条件、地域性及び経済性、施工性などを考慮することで設定され、構造も独立型や連続基礎型及び丸型、角型などが用いられるものである。
【0024】
また更に支柱の設置方法も前記材質や規格などに加えて、圃場の立地条件、地域性及び経済性、施工性などによって設定されるものである。
【0025】
以上に記載するとおり、材質、規格、形状、寸法、構造、施工方法など限定されるものではないが、圃場の中や周囲に永続的に設置され、支柱自体の強度も高いものであって、圃場に堅固に設置され耕作に係る装置などの載荷重や暴風などに対する耐転倒性や地震に対する耐震性なども考慮され設計されるものである。
【0026】
続いて、支柱に倒伏防止用部材を取り付けることについて以下に説明する。
これも支柱と同じように、圃場の立地条件、地域性及び経済性、施工性などによって、材質、形状、取り付ける方法など何れも限定されるものではなく、部材の種別もロープ、紐、バーなど何れにも限定されるものではない。また、取り付ける位置も作物の倒伏を防止するための最適な高さによって必要に応じて設定されるものである。
【0027】
更に長梅雨や集中豪雨、暴風の影響を受けても作物の倒伏を防止することについて、稲やもち米、麦などを代表事例に以下に説明する。
詳細については、後述する実施の形態に記載するものであるが、圃場に植えられた作物の足元は離れていても、作物の生育に伴い稈長が伸び葉や穂が茂り密集すると、倒伏防止用部材によって、支柱を連接し適度に囲まれた作物は、互いに支えあう構造を形成することになるため倒伏できなくなるのである。
例えば、出穂前の段階であれば作物の足元と上部は図10に記載するように離れているものであるが、出穂から成長に伴って作物の上部は図11に記載するように密集する習性を利用して倒伏を防止しようとするものである。
本願発明では、図13に記載するように支柱 2に倒伏防止部材 6を取り付け、作物の要所を取り囲むことによって倒伏を防止するものである。
【0028】
それでは、請求項2に記載する連結部材1について以下に記述する。
請求項2に記載する支柱の上部に取り付けられる連結部材1も、前記支柱や倒伏防止部材と同じように、圃場の立地条件、地域性及び経済性、施工性などによって、材質、形状、構造、取り付け方法などを考慮することにより設定されるものであって、何れにも限定されるものではないが、支柱に堅固に取り付け支柱同士を連結した部材であって、部材自体の強度や構造も架けられた作物の重量や耕作に係る装置などの載荷重及び暴風などに対する強度や地震に対する耐震性なども考慮され計画されるものである。
【0029】
次に、請求項3に記載する「軌道やガイドの機能を有した連結部材2」について以下に記述する。
【0030】
請求項1や2同様、前記するように圃場の立地条件、地域性及び経済性、施工性などによって、材質、形状、構造、取り付け方法など何れも限定されるものではないが、支柱に堅固に取り付け支柱同士を連結した部材であって、部材自体の強度や構造も架けられた作物の重量や耕作に係る装置などの載荷重及び暴風などに対する強度、地震に対する耐震性なども考慮され計画されるものである。
【発明の効果】
【0031】
本願発明は、作物の高収量と高品質化を目的に倒伏防止と天日乾燥を行うことに加えて、農業生産方式を機械化から装置化へと転換するための母体施設を提供し、農業生産に係る労力と経費の激減と資源の効果的利用を図るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
それでは、請求項1の記載内容について図1を参照し基本的な構造例を以下に記載する。
【0033】
図1は、矩形の圃場における支柱 2と作物 3の配置図であって、作物 3を取り囲むことを目的に圃場を四角に区分する形状で、後述する作物 3の植え付けや収穫作業などを考慮した圃場の所定の位置に支柱 2を永続的に設置したものである。
【0034】
更に図2は、山間部の圃場や棚田で見られる変則的形状の圃場における支柱 2と作物 3の配置図であって、前記同様に作物 3を取り囲むことを目的に、後述する作物 3の植え付けや収穫作業などを考慮した圃場の所定の位置に支柱 2を永続的に設置したものである。
【0035】
更に図3は、耕作に係る圃場の周囲に設置された支柱構造を示したものであって、左側の支柱 2は畦畔 4aの中央部に設置し、右側の支柱 2は法面 4bに設置されたもので、それぞれ適宜な支持力や耐転倒性が考慮された間隔と深さに、支柱 2が土中に直接建て込まれたものである。
【0036】
更に図4は、図1記載のAからA´断面における支柱 2と生育途上の作物 3aの構造例を示したものであって、植え付けや収穫作業などが考慮された位置に支柱 2は設置されるもので、前記同様に適宜な支持力や耐転倒性が考慮された間隔と深さに、前記同様、支柱 2が土中に直接建て込まれたものである。
【0037】
更に図5は、設置された支柱構造の一例目を示したものであって、同一の支柱 2を適宜な支持力や耐転倒性が考慮された間隔と深さに、前記同様、支柱 2が土中に直接建て込まれたものである。
【0038】
更に図6は、設置された支柱構造の二例目を示したものであって、支柱 2の間に補助支柱 2aを前記同様に適宜な支持力や耐転倒性が考慮された間隔と深さに、前記同様、支柱 2が土中に直接建て込まれたものである。
これは、図示されない連結部材に掛かる載荷重と地盤の支持力を考慮することによって設置された一例を示すものである。
【0039】
更に図7は、設置された支柱構造の三例目を示したものであって、前記同様に適宜な支持力や耐転倒性が考慮され基礎 5を適宜な高さ5aと深さ5bに設置したものに、支柱 2bが適宜な間隔で建て込まれたものである。
【0040】
前記のとおり、倒伏防止のみに用いられる支柱 2や倒伏防止と天日乾燥に用いられる支柱 2及び次期文献に記載する次期部材装置を考慮した支柱 2などの用途や目的によって支柱 2に係る全ての要素が考慮され設定されるものである。
【0041】
続いて、図8に記載する矩形の圃場における支柱 2と作物 3の配置及び倒伏防止部材 6の取り付けについて説明する。
前記のとおり、支柱 2は作物 3を取り囲む形状で設置されているため、支柱 2を連接する形状で倒伏防止部材 6を適宜に設置することで作物 3は取り囲まれるものである。
【0042】
更に図9は、山間部の圃場や棚田で見られる変則的形状の圃場における支柱 2と作物 3の配置及び倒伏防止部材 6を示したものであって、圃場の形状に関わらず支柱 2を連接する形状で倒伏防止部材 6を設置することで作物 3は取り囲まれるものである。
【0043】
このような山間部の圃場や棚田で見られる変則的な圃場では、作物 3と倒伏防止部材 6が重なることがあっても支障なく作物 3は生長し成熟するものであって、耕作作業にも支障をきたさないものである。
【0044】
更に続いて、前記する作物を適宜に取り囲むことによって、倒伏を防止することについて以下に記載する。
【0045】
図10は、圃場面 4に植えられた生育途上の作物 3aを示したものであるが、生育途上では作物 3aの足元と上部は図示されるとおり離れていても作物が生長すると図11に記載するように成熟した作物 3bの上部では、穂と穂が互いに交ざり合い支えあう形状を成すものである。
【0046】
そのような生育過程を経て生長するものであるため図12に記載するとおり、生育途上の作物 3aの適宜な時期に倒伏防止部材 6を支柱 2に取り付けることによって、作物が成熟すると図13に示すようになることによって成熟した作物 3bは、適宜な位置に設置された支柱 2を連接する形状で倒伏防止部材 6によって適宜な面積で取り囲まれているため、前記のとおり葉や穂が互いに交ざり合い支えあう形状を成し倒伏できないのである。
このように刈り取り日まで倒伏を防止することによって、病害虫を考慮したうえで作物の育成が行えるため収穫量と品質の向上が得られるのである。
【0047】
それでは、請求項2に記載する構造体2の連結部材1を天日乾燥施設として利用することについて以下に説明する。
【0048】
図14の記載事例は、連結部材の一例を示したものであって、圃場面 4に設置された支柱 2に2段に連結部材1 7、7aを設置するものであるが、用途に応じて段数も設定されるものである。
【0049】
更に図15に記載する事例は、連結部材1 7を1段として刈り取りされた作物 8を架けたものであって、図16に記載する事例は、連結部材1 7、7aの2段として刈り取りされた作物 8を架けたものである。
このように架け方自体についても多彩な方式が取られるものであって、それぞれの耕作者によって決められるものである。
【0050】
それでは、請求項3に記載する構造体3について以下に記載する。
【0051】
図17の記載事例は、矩形の圃場における支柱 2と連結部材2 9を示し、図18に記載する事例は、山間部の圃場や棚田で見られる変則的形状の圃場における支柱 2と連結部材2 9を示したものであって、次期文献に記載される次期部材装置は、支柱 2に取り付けられた連結部材2 9を軌道やガイドとして利用することによって稼動するものである。
【0052】
更に図19に記載する事例は、支柱 2上部に設置された連結部材2 9と圃場の関係の一例目を示したものであって、次期文献に記載される装置の有する性能内に圃場面 4c、4d、4eの高低差 10があるため、連結部材 9の高さは一定に設置されているものである。
【0053】
更に図20に記載する事例は、支柱 2上部に設置された連結部材2 9a、9b、9c、9dと圃場の関係の二例目を示したものであって、次期文献に記載される装置の有する性能と圃場面 4f、4g、4h、4iの高低差 10a、10b、10c、10dの関係に応じて、連結部材2 9f、9g、9h、9iが設置されているものである。
【0054】
更に図21に記載する事例は、支柱 2上部に設置された連結部材2 9f、9g、9h、9iと圃場の関係の三例目を示したものであって、次期文献に記載される装置の有する性能と圃場面 4j、4kと圃場法面 4dや圃場内道路 11の関係に応じて、連結部材 9が設置されているものである。
なお、請求項3の記載内容は次期文献が関係するため次期文献において、前記記載事項と次期文献に記載する部材装置について記述するものである。
【0055】
更に続いて、図22と図23に記載する事例は、支柱 2と軌道やガイドの機能を有する連結部材2 9aが連結ボルト 12で取り付けられたものであって、装置の種類や用途に応じて形状も設定されることを示したものである。
【0056】
以上に記載する請求項3の母体施設を利用する次期文献における部材とは、自ら移動が可能であって軌道やガイドの機能を果たす部材を示すものである。
【0057】
更に装置とは、前記連結部材2や「0056」に記載する部材を利用して、耕起作業、耕運作業、代掻き作業、畦切作業、畦塗作業、培土作業、種子の植え付け作業、 苗の植え付け作業、施肥作業、倒伏防止部材の設置や撤収作業、作物の収穫作業、作物の刈り取り作業、刈り取られた作物の天日干し作業、天日干しされた作物の脱穀作業、害虫の駆除作業、
作物の活性化と病害虫の発生を予防する作業、雑草防除作業、除草作業、農薬や除草剤の散布作業、刈払い作業、散水作業、作物の搬出作業、鳥害防除作業、獣害防除作業、マルチシートの敷設作業、種子入り防草有機肥料材の敷設作業、酷暑対策作業、冷害対策作業などの作業を無人で行う1以上の装置を示すものである。
【0058】
更に請求項3に記載する連結部材2と次期文献に記載する部材と圃場の三者の変化点は、XYZの3次元のデータを次期装置に内蔵される記憶装置に入力することによって、次期装置を無人で稼動させることを目的に、コンピュータプログラムやコンピュータシステムが稼動するものである。
なお、詳細事項については次期文献に記載するものである。
【実施例】
【0059】
それでは、請求項1記載事項の試験施工を図面と数量表を参照し以下に記載する。
【0060】
【表1】

【0061】
図24記載の当該試験施工における圃場の支柱は、表1記載の円形型枠 13に塩化ビニールパイプVU-75 L=2,500mmを利用して剥離剤を塗布したものの中央部に異形棒鋼 13bを図示されないスリーブなどで固定しコンクリート210-8-20(BB) 13bを打設後、所定期間コンクリート 13bを養生後、脱枠し設置するものである。
これは、試験施工で試みた手法であるためコンクリートを支柱に用いる場合は、容易に二分割できる型枠を作製したものを使用し、打設時はコンクリートを十分圧縮することが望ましい方法である。
また、前記するとおり、支柱の材質や形状寸法なども条件に応じて設定可能である。
【0062】
図25に記載するとおり、支柱 2a及至支柱 2rを図示されないミニショベル0.22m3級にブレーカーユニットφ90mmを装着し所定の位置と深さに建て込み用の穴を開けた後に、順次設置するものである。
当該試験施工における支柱 2 a及至支柱 2rは、図示のとおり縦方向に約3m間隔で34本を3列設置するものである。
また、前記するとおり、支柱 2 a及至支柱 2rの材質や形状寸法なども条件に応じて設定されるものであるため、支柱の間隔や土中部分の深さも条件に応じて設定されるものである。
【0063】
更に図26に記載するとおり、連結部材1 7は表1記載の普通棒鋼φ19mmを防錆処理したものを利用するものである。
当該試験施工においては、表1記載のウエルダーを用い支柱 2と連結部材 7は溶接処理されるものであって、溶接後接点には防錆処理を再度施すものである。
当該試験施工における耐用年数は30年程度としたものであるが、棒鋼部分をコンクリートで被覆することで50年以上の耐用年数が見込まれるものである。
【0064】
当該試験施工において、表1と図26に記載されるとおり、支柱 2の高さは2,500mm、圃場面 4から支柱 2の土中部分の深さは700mm程度、圃場面 4から倒伏防止部材 6までの高さは800mm程度に設定しているが、作物の高さに応じて設定されるものであり前記のとおり何れも限定されるものではない。
例えば、倒伏防止部材 6の取り付け高は同一品種であっても育成状態によって最適な高さは変化するものであるため、条件に応じて設定されるものである。
【0065】
それでは、当該試験施工における倒伏防止部材 6の設置方法について図26を参照し以下に記載する。
倒伏防止部材 6は、生育途上の作物 3aの最適な時期に取り付けるものであって、成熟した作物 3bの刈り取りの直前まで設置するものである。
当初の設置高は、過去に耕作された作物の事例に基づき設定されるものであるが、成熟した作物 3bの状態に合わせて穂の下部の程よい位置に調整可能なものである。
【0066】
続いて、当該試験施工における倒伏防止部材 6の取り付け手順について図25を参照し以下に記載する。
例えば、倒伏防止部材 6と支柱 2a及至2rの接点に取り付けられた図示されない滑車を経由させ、倒伏防止部材 6を支柱 2a及至 2fと支柱 2g及至 2lと支柱 2m及至 2rと支柱 2a、2g、2mと支柱 2b、2h、2nと支柱 2c、2i、2oと支柱 2d、2j、2pと支柱 2e、2k、2qと支柱 2f、2l、2rにおいて、それぞれを連接させる方法や支柱2a、2b、2c、2d、2e、2f、2l、2r、2q、2p、2o、2n、2m、2g、2aを連接させる外周と支柱 2g及至2lと支柱 2b、2h、2nと支柱 2c、2i、2oと支柱 2d、2j、2pと支柱 2e、2k、2qを連接させる方法など、諸条件に応じて設定されるものである。
【0067】
また、図示されない滑車は逆回転防止機能やロック機能なども付与されるものであって、倒伏防止部材 6が当該試験施工のようにロープが用いられる場合でも支柱 2a及至2rの接点に取り付けられた図示されない滑車毎に引張強度は確保されるものである。
刈り取りの適期を迎えた作物 3の刈り取り直前に固定した各ロープの始終点を外し倒伏防止部材 6を巻き取り撤収後、直ちに刈り取りを行うもである。
【0068】
更に続いて、図26に記載する当該試験施工における成熟した作物 3bが刈り取られることによって、連結部材 7に刈り取られた作物 8が架けられる手順について図25を参照し以下に記載する。
【0069】
作物 3は、次期文献に記載される装置化へ移行するまで主としてバインダーで刈り取られるものである。
図26に記載する刈り取られた作物 8は、図25に記載する連結部材 7のどこにでも架けられるものであって、架けるために都合のよい箇所に雑然と架けられたものであっても作物 8は、連結部材 7をスライドさせることによって整然と並べられるものである。
【0070】
請求項3の次期文献に記載する次期部材装置の稼動は図20に記載するとおり、圃場に装置の性能を超えた高低差があっても連結部材 2を装置が移動することによって、無人で稼動し耕作作業がされるものである。
また、図21に記載するとおり、圃場内に法面や道路などがあっても連結部材 2を移動することによって、無人で稼動し耕作作業がされるものである。
そのため前記するとおり、刈り取られた作物も装置化への移行に伴い無人で刈り取られ架けられるものである。
請求項3記載の施設は、次期文献の記載内容が重複するため本願発明では以上に留めるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る農業施設は、工業的量産が可能であるため産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】矩形の圃場における支柱と作物の配置及び別添図の方向を示す平面図
【図2】変則的形状の圃場における支柱と作物の配置を示す平面図
【図3】耕作に係る圃場の周囲に設置された支柱構造の一例を示す断面図
【図4】図1に記載するA〜A´断面の支柱と植え付け後の作物の構造例を示す断面図
【図5】設置された支柱構造の一例目を示す構造図
【図6】設置された支柱構造の二例目を示す構造図
【図7】設置された支柱構造の三例目を示す構造図
【図8】矩形の圃場における支柱と作物の配置及び倒伏防止部材の連接形状を示す平面図
【図9】変則的形状の圃場における支柱と作物の配置及び倒伏防止部材の連接形状を示す平面図
【図10】生育途上の作物を示す見取り図
【図11】成熟した作物を示す見取り図
【図12】作物の生育途上期における支柱と倒伏防止部材の関係を示す構造図
【図13】作物の成熟期における支柱と倒伏防止部材の関係を示す構造図
【図14】連結部材1の一例を示す構造図
【図15】刈り取られ1段で天日干しされた作物を示す正面図
【図16】刈り取られ2段で天日干しされた作物を示す正面図
【図17】矩形の圃場における支柱と連結部材2の関係を示す平面図
【図18】変則的形状の圃場における支柱と連結部材2の関係を示す平面図
【図19】支柱上部に設置された連結部材2と圃場の関係の一例目を示す構造図
【図20】支柱上部に設置された連結部材2と圃場の関係の二例目を示す構造図
【図21】支柱上部に設置された連結部材2と圃場の関係の三例目を示す構造図
【図22】支柱に取付けた軌道やガイドの機能を有する連結部材2の一例目を示す構造図
【図23】支柱に取付けた軌道やガイドの機能を有する連結部材2の二例目を示す構造図
【図24】支柱の製造方法の実施例を示す構造図
【図25】支柱、倒伏防止部材、連結部材1の実施例を示す平面図
【図26】支柱、倒伏防止部材、連結部材1の実施例を示す構造図
【符号の説明】
【0073】
1 設置された支柱を結ぶライン
2 支柱
3 配置された作物
4 圃場の耕作面
5 支柱の基礎
6 倒伏防止部材
7 連結部材1
8 架けられた作物
9 連結部材2
10 圃場の高低差
11 圃場内道路
12 連結ボルト
13 円形型枠














【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を取り囲み可能な形状で圃場の所定の位置に支柱を永続的に設置した構造(以下、構造体1という)であって、該支柱を連接させる形状で倒伏防止部材を取り付けることによって、該倒伏防止部材が作物を取り囲み該作物の倒伏を防止し得ることを特徴とする倒伏防止施設。

【請求項2】
前記構造体1に連結部材1を取り付けた構造(以下、構造体2という)であって、該構造体2の連結部材1を天日乾燥施設として利用し得ることを特徴とする天日乾燥施設。

【請求項3】
前記構造体1に軌道やガイドの機能を有した連結部材2を取り付けた構造(以下、構造体3という)であって、該連結部材2を天日乾燥施設として利用するほか、次期特許出願文献(以下、次期文献という)に記載する部材と耕作に係る装置(以下、部材装置という)を稼動させるための母体施設を形成することを特徴とする耕作作業の装置化施設。

【請求項4】
前記構造体1に軌道やガイドの機能を有した連結部材2を取り付けた構造(以下、構造体3という)であって、該連結部材2を次期特許出願文献(以下、次期文献という)に記載する部材と耕作に係る装置(以下、部材装置という)を稼動させるための母体施設を形成することを特徴とする耕作作業の装置化施設。



















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−46014(P2010−46014A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212748(P2008−212748)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(597048414)
【Fターム(参考)】