説明

農作物順次供給装置

【課題】荷受け台の前端に設けた搬送部で斜め上方に搬送する構成にしているが何らかの原因でこの搬送体が停止した場合、搬送部で搬送されている玉葱の重量で、搬送部が斜め下方へ移動する現象が発生し、搬送中の玉葱が荷受け台へ落下しない農作物順次供給装置を提供する。
【解決手段】
側面壁部4a・4bへ軸支した後軸10に荷受け台5を前傾姿勢に設け、該荷受け台5の前端部に斜め上方f1へ移動する搬送部6を配設し、該搬送部6に逆回転防止手段50を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉葱などの農作物を多数一括して投入し、その内一個ずつ特定場所へ供給することを可能とした農作物順次供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右に配設した一対の側面壁部と、該側面壁部間に設けた前下がり状の荷受け台からなる玉葱投入部を備えるとともに、前記荷受け台の前延長個所近傍の下側からバケットが次々と上方へ移動する搬送部を備え、前記玉葱投入部に多数の玉葱などの農作物を一括に投入し、このように投入した農作物が前記玉葱投入部内から転がり、あるいは、滑り出て前記荷受け台の先部に到達し、前記搬送部がこのように到達した玉葱などの農作物を1個ずつバケットで掬い上げ搬送部の終端部で落下する農作物順次供給装置は既に存在している。(例えば特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特願2004−177557号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した農作物順次供給装置において、コンテナから一度に多数の玉葱などの農作物を荷受け台に投入して、荷受け台の前端に設けた搬送部で斜め上方に搬送する構成にしているが、何らかの原因でこの搬送体が停止した場合、搬送部で搬送されている玉葱の重量で、搬送部が斜め下方へ移動する現象が発生し、搬送中の玉葱が荷受け台へ落下して農作物に傷が発生し商品価値がなくなる。
【0005】
また、荷受け台の玉葱と搬送体に設けたバケットで農作物を挟みメンテナンス作業に手間が掛かる。
【0006】
本発明は、斯かる実情を解消せんとするもので、一括投入した玉葱などの農作物を1個ずつ適当間隔で単列状に送り出す農作物順次供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の第一発明は、請求項1に記載したように、左右に配設した一対の側面壁部4a・4bの間に農作物Wを掬い斜め上方f1へ搬送し、その搬送終端から落下させる搬送部6を設けた前段送出部2と該前段送出部2の搬送終端から落下した玉葱などの農作物Wを受取り適当間隔で搬送方向前方へ送る後段送出部3を備えた農作物順次供給装置100において、前記側面壁部4a・4bへ軸支した後軸10に荷受け台5を前傾姿勢に設け、該荷受け台5の前端部に斜め上方f1へ移動する搬送部6を配設し、該搬送部6に逆回転防止手段50を設けたものである。
【0008】
また、第2発明は、請求項2に記載したように、左右に配設した一対の側面壁部4a・4bの間に農作物Wを掬い斜め上方f1へ搬送し、その搬送終端から落下させる搬送部6を設けた前段送出部2と該前段送出部2の搬送終端から落下した玉葱などの農作物Wを受取り適当間隔で搬送方向前方へ送る後段送出部3を備えた農作物順次供給装置100において、前記側面壁部4a・4bへ軸支した左右向き軸14・15に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けするチェーン17を設け、該チェーン17のリンクプレート17aに架設した連結ピン32を固持する逆回転防止手段50を設けたものである。
【0009】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項3に記載したように、前記逆回転防止手段50は、前記側面壁部4a・4bへ軸支した上と下に左右向き軸14・15を設け、該左右向き軸14・15の左右両端部に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けする無端状のチェーン17のリンクプレート17aに連結ピン32を設け、前記スプロケット14aと前記チェーン17の噛合い部の前記連結ピン32を回動自在なロッックレバー51で前記チェーン17が斜め下方f2へ移動することを防止したものである。
【0010】
また、第3の発明は、請求項4に記載したように、左右に配設した一対の側面壁部4a・4bの間に農作物Wを掬い斜め上方f1へ搬送し、その搬送終端から落下させる搬送部6を設けた前段送出部2と該前段送出部2の搬送終端から落下した玉葱などの農作物Wを受取り適当間隔で搬送方向前方へ送る後段送出部3を備えた農作物順次供給装置100において、前記側面壁部4a・4bへ軸支した左右向き軸14・15に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けする無端状のチェーン17を設け、このチェーン17のリンクプレート17aに搬送体左16a、架設板前36、搬送体右16b、架設板前36と交互に繰返して架設する連結ピン32をチェーンカバー47aに装架した回動自在なロッックレバー51で搬送部6が斜め下方f2へ移動することを防止したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、請求項1記載のものによれば、前記側面壁部4a・4bへ軸支した後軸10に荷受け台5を前傾姿勢に設け、該荷受け台5の前端部に斜め上方f1へ移動する搬送部6を配設し、該搬送部6に逆回転防止手段50を設けたことにより、簡素な構成で搬送部が逆回転するのを阻止でき、玉葱などの農作物の商品価値を落とすことなくメンテナンス作業等に要する手間を省くことができる。
【0012】
また請求項2記載のものによれば、前記側面壁部4a・4bへ軸支した左右向き軸14・15に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けするチェーン17を設け、該チェーン17のリンクプレート17aに架設した連結ピン32を固持する逆回転防止手段50を設けたことにより、請求項1に記載した効果のほかに、簡単な構造でチェーンの逆回転防止と、信頼性の高い防止機構が構成できる。
【0013】
請求項3記載のものによれば、前記逆回転防止手段50は、前記側面壁部4a・4bへ軸支した上と下に左右向き軸14・15を設け、該左右向き軸14・15の左右両端部に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けする無端状のチェーン17のリンクプレート17aに連結ピン32を設け、前記スプロケット14aと前記チェーン17の噛合い部の前記連結ピン32を回動自在なロッックレバー51で前記チェーン17が斜め下方f2へ移動することを防止したことにより、逆回転防止手段の部品点数が少なく取扱いが簡単で狭い範囲で設けることができる。
【0014】
請求項4記載のものによれば、前記側面壁部4a・4bへ軸支した左右向き軸14・15に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けする無端状のチェーン17を設け、このチェーン17のリンクプレート17aに搬送体左16a、架設板前36、搬送体右16b、架設板前36と交互に繰返して架設する連結ピン32をチェーンカバー47aに装架した回動自在なロッックレバー51で搬送部6が斜め下方f2へ移動することを防止したことにより、請求項1乃至3に記載した効果のほかに、人手によって逆回転防止手段の操作をする必要が無く取扱い性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下では、図1乃至図16において、本発明に係る農作物順次供給装置の一実施形態について説明する。
図1乃至図4に示すように、本発明に係る農作物順次供給装置100は、搬送方向前後方向へ長く形成した基台1を備え、該基台1上の入り口部(前側)に前段送出部2を、出口部(後側)に後段送出部3を構成している。
そして、前段送出部2に玉葱などの農作物Wを一度に多数投入して1個ずつ順次前方へ送り出すものである。
また後段送出部3は前段送出部2から送り出した農作物Wを受け入れて、その1個ずつ特定姿勢に整えて前方へ適当間隔を置いた単列状に整列させて特定位置に到達させるものである。
【0016】
前段送出部2は、左右に配設された側面壁部4a・4bと、該側面壁部4a・4b間に設けた前下がり状の荷受け台5と、該荷受け台5の前端下方近傍から斜め上方f1へ向かうように配設した搬送部6と、前記荷受け台5を上下揺動させる振動発生手段7を備えている。
【0017】
そして、左右の側面壁部4a・4bは基台1から起立しており、この側面壁部4a・4b間に設けた荷受け台5は、図6および図7さらに図11に示すように、後軸10に架設した底板5aと、前記底板5aの上面から前記側面壁部4a・4bへ向けて傾斜した傾壁5b・5cと、前記底板5aの前端部から下方へ連通した通路13等を一体構成して、前記側面壁部4a・4b間に前傾姿勢で配置して後述する搬送部6と側面視でV字形に重複連接している。
【0018】
具体的に荷受け台5の構成について図6および図7さらに図11において説明する。底板5aは上方視方形で、側面を後述する延長アーム部材22を螺着する取付け面11a・11aを左右に設け、その取付け面11a・11aの後部に側面壁部4a・4bに軸支した後軸10を嵌通する取付け孔11b・11bを設け、この取付け孔11b・11bに前記後軸10を挿通して底板5aの前端部を前記延長アーム部材22で揺動自在に支持している。
【0019】
また、底板5aの前端中央近傍に搬送体16に設けたバケット19が通過する逆コ字状に形成した切欠き部C1を設け、該切欠き部C1に沿った筒状の通路13を、その切欠き部C1から下方側に向けて前記バケット19の作動軌跡e1に近設した側壁を三方に垂設して前記底板5aと一体構成にして設けている。
【0020】
上記構成とすることで、農作物Wに付着した土あるいは、玉葱の球状部の薄皮膜、また、小切れした茎等が通路13から機外に排出されるため、底板5aの上面を農作物Wが円滑に移動してブリッジ現象の発生防止と次工程での作業が円滑にできるとともに、バケット19で掬うことができない小さい農作物Wもこの通路13から機外に排出されて選別ができ、さらに農作物Wが次のバケット19が上昇するまでの間に、この切欠き部C1より下方へ落下しようとする農作物Wを前記通路13の側壁と次に上昇する前記バケット19で農作物Wを載置保持する状態となり機外に農作物Wが落下することが防げる。
【0021】
そして、図11に示すように、前記底板5aの上面から側面壁部4a・4bに向けて傾斜角度B2に形成した傾壁5b・5cを底板5aに傾設固定し、さらに、図7に示すように、傾壁5b・5c下端側を上面視で底板5aの後端側から前端側に向かうほど狭く(先細り角B1)なる傾斜姿に配設して先細りの樋状に固設し、上端部は側面壁部4a、4と平行に隣接することにより、後面視および、上面視とも略台形に構成している。
この樋状の先端部は本実施例では玉葱の標準大きさ60mmから120mmの玉葱に適用できるようにしている。
【0022】
底板5aの上部に上記した傾壁5b・5cを設けることによって、玉葱の重量と傾壁5b・5cの傾斜角B2および、先細り角B1の協働によって玉葱を特定方向への移動を円滑化し、収容部WSでのブリッジ現象の発生を防げるとともに、底板5aの前端部では掬い上げる玉葱が1個となるのでバケット19によって掬い上げるとき掬い漏れおよび、複数個掬うことがなくなる。
【0023】
そして次に、搬送部6は、図6と図7さらに、図15に示すように、左右の側面壁部4a・4b間を横断するように構成したもので、具体的には側面壁部4a・4b間に架設した上と下に夫々の左右向き軸14・15を備え、上側の左右向き軸14の左右端寄りにスプロケット14a・14aを固設して設け、そして下側の左右向き軸15の左右端寄りにスプロケット15a・15aを固定して設けるとともに、これらスプロケット14a・15a・(14a・15a)に無端状のチェーン17を巻き掛けて特定ピッチで列状に搬送体左16aと架設板前36そして次に、搬送体右16bと架設板前36を交互に繰返して連結ピン32によって架設した無端状の搬送部6を構成している。
【0024】
該搬送部6は、図5に示すように、上側の左右向き軸14に外方より電動モータ38の回転力を第1ベルト伝動機構40および、第2ベルト伝動機構41によりスプロケット14a・15aが回転して搬送部6が連続して荷受け台5の前端近傍部の下側から斜め上方f1へ向けて移動するようにしている。
【0025】
搬送体16は、図6と図7さらに図15に示すように、架設板後37に左右方向の一側に(左右の側面壁部4a・4b間の中心より略10mm)偏倚して搬送作用面(荷受け台5)側に突出した状態で、丸棒材でU字形(脚幅60mm)に形成したバケット19を固設した搬送体左16aと、左右方向の他方に(左右の側面壁部4a・4b間の中心より略10mm)偏倚して搬送作用面(荷受け台5)側に突出した状態で、前記バケット19を固設した搬送体右16bの2種類を設けている。
【0026】
架設板後37は、図13乃至図15に示すように、平板を左右、前後、の端部を下方へ屈曲形成し、左右方向の端部下方にチェーン17のリンクプレート17aに架設する取付け孔を設けている。
そして、玉葱などの農作物Wを載置保持して安定するようにバケット19の対向部である架設板後37に本実施例では球状の凹面49を図7および図14さらに、図15に示すように形成している。
この凹面49の形状は農作物の種類あるいは、大きさによって異なるものである。
また、架設板前36は、平板を左右、前後、の端部を下方へ屈曲形成し、左右方向の端部下方にチェーン17のリンクプレート17aに架設する取付け孔を設けている。
【0027】
そして、バケット19は丸棒材でU字形の枠状に形成したもので、農作物Wを1個ずつ掬い上げるのに適した大きさ(本実施例では、玉葱を対象として大きさが約60mm以上)としている。また40mmより小径の玉葱はバケット19の内枠(脚の間)より通路13を通過して機外下方へ落下するようにしている。
このバケット19の形状は農作物の種類、大きさによって異なることがある。
【0028】
そして次に、図12乃至図15に示すように、搬送部6の両端と前記側面壁部4a・4bの空間を覆う板材で形成したL字状のカバー下47c・47dを側面壁部4a・4bに沿って傾設し、このカバー下47c・47dの下端は荷受け台5の前端から搬送部6に沿ってスプロケット14a・14aの上方近傍に延出している。
そしてカバー下47c・47dは側面壁部4a・4bに締結部材56で搬送部6とカバー下47c・47dの関係が確保できるように調節可能にしている。
【0029】
さらに、スプロケット14a・14aに巻き掛けしたチェーン17の非作用側まで覆包した板材で側面視湾曲状に形成したカバー上47e・47fを設け、このカバー上47e内方側にロックレバー51を回動自在に軸支するレバー取付け部48設けている。
さらに、このカバー上47e・47fの下端とカバー下47c・47dの上端を溶着して側面視で略鎌状のチェーンカバー47a・47bを形成している。
【0030】
そして、ロックレバー51で連結ピン32を固持する位置(搬送部6が斜め下方f2へ移動するのを防止する位置)を、図12乃至図13に示すように、側面視で左右向き軸14の軸心とロックレバー51で固持した連結ピン32の軸心の軸間とさらに、前記連結ピン32の軸心とレバー取付け部48の軸心の軸間を2等辺三角形が形成できる位置関係に前記レバー取付け部48を設けている。
すなわち、ロックレバー51で固持する位置を連結ピン32の軸心を頂点として、他方を左右向き軸14の軸心とレバー取付け部48の軸心とで2等辺三角形が維持できるように配設している。
【0031】
そして、逆回転防止手段50は、図12に示すように、ロックレバー51は略弓形に形成した一端をカバー上47eに回動自在に装架する取付け孔51aを設け、他方の端部は連結ピン32を固持する略U字形に切欠部を形成した凹部51bを形成している。このロックレバー51をロックレバーピン52を介して前記カバー上47eに回動自在に装架し、さらに、左右向き軸14に設けたスプロケット14aに巻き掛けしたチェーン17のリンクプレート17aに搬送体左16a、架設板前36、搬送体右16b、架設板前36と交互に繰返して装架する連結ピン32等で構成した搬送部6が何かの原因で斜め下方f2(逆回転)へ移動したとき、ロックレバー51の先端が自重で下方f3へ回動して端部に設けた凹部51bで連結ピン32を固持して回転が逆回転するのを防ぐ構成としている。
なお、通常の搬送部6が斜め上方f1に移動するときは、前記連結ピン32とロックレバー51の先端は摺接するのみで、上下に揺動して固持しない構成となっている。
【0032】
振動発生手段7は、図6および図7に示すように、下側の左右向き軸15のスプロケット15a・15aの外側近傍個所に固定した発振カム20・20が設けられ、該発振カム20の揺動変位を荷受け台5に伝達させ、かつ、荷受け台5の前部を支持するための連係支持機構21を備えている。
そして、各発振カム20は外周面に環状案内溝を形成した円板体で側面形状中心から離れた位置を左右向き軸15に固定しており、左右向き軸15が回転すると前記環状案内溝が上下揺動する。
さらに連係支持機構21は、荷受け台部5の前端の左右両端個所から前方へ張り出し長さを調整可能に延出した延長アーム部材22と、この各延長アーム部材22の前部に設けた発振カム20の環状案内溝により上下変位するローラ23とを具備し、さらに、左右の延長アーム部材22は細長状板部材で形成し、先寄り部を発振カム20と干渉しないように上方視で台形状に屈曲され底板5aの左右各側面11a・11aにボルト24を介して固定し、該ボルト24を螺着される位置の選択変更により前方への張り出し長さを調整変更することが可能で、またローラ23はその対応する延長アーム部材22の先部に左右向き軸15を介して固設され発振カム20の環状案内溝の底面に支持されて繰り返し上下変位する構成にしている。
【0033】
荷受け台5を連係支持機構21で支持した状態で、底板5aの前端部は架設板前36および架設板後37の移動軌跡e2にできるだけ近接させて農作物Wが前記荷受け台5の両端部より落下しないように荷受け台5の前端部が近接するように設けている。
【0034】
コンテナ反転手段8は、図1および図3に示すように、荷受け台5の後側位置で一対の側面壁部4a・4b間に架設状に固定している投入支持台25と、該投入支持台25に左右向き軸26を介して上下揺動可能に装着したコンテナ受け部27を備えている。
そして投入支持台25は水平部25aと傾斜部25bからなる側面視へ字形構造としており、前記水平部25aは荷受け台5の後端部と同一高さで、前記傾斜部25bは荷受け台5の下方へ延出している。
さらに、コンテナ受け部27は上面視で方形状の底面枠部28aと、この周囲に形成した側面枠部28bからなるコンテナ受け本体部28を備え、該側面枠部28bの前面上端縁を投入支持台25の後端縁に左右向き軸26を介して支持するとともに、前記側面枠部28bの後面左右方向中央個所からはコンテナ受け本体部28を水平に支持するための支持脚棒部材29を左右向き軸29a回りの揺動可能に延出させ、前記側面枠部28bの左右側面の前寄り個所に一対の操作棒部材30を左右向き支点軸31回りの一定角度範囲内で揺動可能に装着している。
【0035】
また、コンテナ受け本体部28は、農作物Wを収容するためのコンテナCTを側面枠部28bの内方に上方から挿入され底面枠部28aで支持するもので、操作棒部材30を左右向き支点軸31回りの上方へ持ち上げることにより後部を左右向き軸26回りの上方へ90度以上に揺動されてコンテナが反転された状態となり、該反転によりコンテナCT内の玉葱が重力により荷受け台5上に流出するように構成している。
【0036】
次に後段送出部3は、図1乃至図5、および、図8、図9、および図16に示すように、搬送部6が前方へ送り出した農作物Wをさらに、前下方の特定場所へ落下させるシュート35と、該シュート35で案内して落下した農作物Wの姿勢を整える左右一対の整姿ローラ33・33と、該整姿ローラ33・33により姿勢を整えられた農作物Wの1個ずつ適当間隔を置いて倒立状に整列させて前方へ送り移動させる左右一対の整列送りローラ34・34を備えている。
また、搬送部6の搬送終端部から前方へ送り出した農作物Wを特定場所へ落下させる板材で四角筒状に形成し、内方に軟質板部材35eを貼着したシュート35を設けている。
【0037】
シュート35の具体的な構成は、搬送部6側の非作用側に立設した内シュート35aの上端部は、バケット19が通過する切欠き部C2を設けた板状で、下方側は整姿ローラ33・33の始端部近傍に配設し、さらに外シュート35bは、バケット19の移動軌跡e1に外接した延長上からシュート35aにオフセットした状態で配設し、下方端は整姿ローラ33・33に近接した状態に設け、さらに、前記内シュート35aと外シュート35bを板材で形成した側シュート35c、35cによって四角筒を構成して搬送部6とシュート35を側面視逆V字状に傾斜配設している。
【0038】
外シュート35bの下端を整姿ローラ33・33に近接させることで、整姿ローラ33・33あるいは、整列送りローラ34・34の始端部に落下した農作物Wとシュート35bの接触によって玉葱を横倒し姿勢に作用し、玉葱の茎を整列送りローラ34・34間に挟み倒立姿勢に維持することができる。
【0039】
左右一対の整姿ローラ33・33はシュート35の左右幅に対応した左右方向間隔を置いて同一高さに位置させ、かつ、回転中心軸33a・33aを前後向きにするとともに、それぞれの対向部が上側から下側へ移動するように回転駆動するもので、シュート35の下方に落下した農作物Wを一対の整姿ローラ33・33間の内方へ送って横倒し姿勢にするものである。
各整姿ローラ33は回転中心軸33aから放射状に向かうブラシ毛33bで形成した円筒周面を有するものとしている。
【0040】
左右一対の整列送りローラ34・34は、同一高さに位置して回転中心軸34a・34aを前後向きで、これらの対向部を近接した状態で配置し、それぞれの対向部が上側から下側へ移動するように回転駆動し、シュート35に案内されて落下した玉葱を受け止めて、その茎部を一対の整列送りローラ34・34で挟み付けて下方へ引張することにより玉葱を倒立姿勢にし、しかも玉葱に前向きの送り力を付与させて搬送方向前方へ送り移動させるように機能するものである。
【0041】
各整列送りローラ34は回転中心軸34aから放射状に向かうブラシ毛34bで形成した円筒周面を有するとともに、該円筒周面個所にゴムやスポンジなどの軟質材からなる螺旋条部材34cを固設し、ブラシ毛34bと螺旋条部材34cの間に段差Hを設けている。
このブラシ毛34bは玉葱の茎部を引張する上で寄与し、またブラシ毛34bと螺旋条部材34cの間に段差Hを設けることにより、玉葱の球形部を反転する作用が働き各整列送りローラ34・34間で玉葱の茎を掻き込み玉葱の球状部を上にした倒立姿勢にする作用を付与する。
さらに、左右の整列送りローラ34・34の螺旋条部材34c・34cは対称状に形成されていて双方の相互作用により、玉葱に前向きの送り力を付与するものである。
【0042】
次に上記した農作物順次供給装置100の動力伝達系は次のように構成している。
すなわち、図5に示すように、前記基台1の適当個所に固定した電動モータ38と前記基台1に左右向きに装設した回転駆動軸39とを第1ベルト伝動機構40で連動連結し、また回転駆動軸39と搬送部6の上側の左右向き軸14とを第2ベルト伝動機構41で連動連結し、一方では回転駆動軸39と後段送出部3の左右向きローラ駆動軸42とを第3ベルト伝動機構43で連動連結し、さらに左右向きローラ駆動軸42と左右一対の整列送りローラ34・34の回転中心軸34a・34aとを左右一対のベベルギヤ機構44・44および左右一対の伝動自在継ぎ手45・45を介して連動連結すると共に、左右の回転中心軸34a・34aと左右一対の整姿ローラ33・33の回転中心軸33a・33aとを第4ベルト伝動機構46・46で連動連結している。
したがって、電動モータ38が始動されると、上側の左右のスプロケット14a・14aが回転されて搬送体16および下側の左右のスプロケット15a・15a、左右向き軸15および発振カム20・20が回転され、荷受け台5が後軸10回りへ繰り返し上下揺動され、一方では左右一対の整列送りローラ34・34および左右一対の整姿ローラ33・33が回転駆動される。
【0043】
そして、整列送りローラ34・34の上方で整姿ローラ33・33の終端部に特定方向に整列した玉葱の球状部を挟持して後方の玉葱調製機Bへ搬送する挟持搬送装置105を設けている。
【0044】
この挟持搬送装置105は、図2、図4、図5に示すように、基台1に連設し固定した左右に挟持フレーム106・106を設け、その挟持フレーム106・106を連結する連結フレーム107・107を前後に設け、さらに前記挟持フレーム106・106の後端に、一つの実施例として、電動モータ108・108を設け、その電動モータ108・108の駆動軸端に下方に向けて駆動プーリ109・109を固設し、そして挟持フレーム106・106の前端部(整姿ローラ33・33終端)に従動プーリ111・111を設け、さらに前記駆動プーリ109・109と従動プーリ111・111間に玉葱の球状部を挟持する挟持搬送ベルト112・112を左右に対向するように設けている。
そして、挟持搬送ベルト112・112に適宜な挟持力を付与するアイドラープーリ113・113を複数個設けて挟持搬送ベルト112・112の対面部間に挟持搬送経路を形成している。
別実施例として、挟持搬送ベルト112・112への動力伝達機構として、前記整列送りローラ34・34の駆動力を伝達機構(ベルト、ギャ等)から伝動するようにすることもできる。
【0045】
左右の挟持搬送ベルト112の外周部には、ゴムや発泡性等合成樹脂の弾性材で成形した断面形状が略く字状の抱持面を形成してこの左右の抱持面で整列送りローラ34・34と整姿ローラ33・33によって後送されてくる玉葱の球状部を抱持して後方に搬送するように構成している。
【0046】
次に上記した作物順次送出装置100を玉葱について使用する場合の例および各部の作用について説明する。
圃場に植生された玉葱は収穫機で収穫されるのであるが、収穫機は玉葱を地面から引き抜いて茎部を球部側に10cm〜20cm程度残して切除し、その後に地面に放出する。このように放出された玉葱を天日干した後、コンテナCTに回収する。この例ではこのようにコンテナCTに回収された玉葱に使用する。
【0047】
そして、支持脚棒部材29を起立させてコンテナ受け本体部28を水平状態に保持させ、多数の玉葱が収容されたコンテナCTをコンテナ受け本体部28の底面枠部28a上に載置し、続いて、左右何れかの操作棒部材30の先部を持って左右向き支点軸31の後側へ回し、コンテナ受け本体部28を図10に示すように、左右向き軸26回りへ垂直姿勢を超えて揺動させ、これによりコンテナCTはコンテナ受け本体部28と共に反転状態となる。
【0048】
こうして反転されたコンテナCT内の多数の玉葱は左右の側面壁部4a・4bと荷受け台5と搬送部6とで囲まれた農作物収容部WSの内方に一挙に投入され、荷受け台5上に収容され、搬送部6のバケット19へ向けて流動し、一部の玉葱が搬送部6に到達すると、搬送体16に接触して玉葱のうちの一個ずつが搬送体16の上方移動により図10に示すように、荷受け台5の前端近傍下側から斜め上側へ上昇してくる各バケット19に次々と掬い上げられ上方へ搬送される。該搬送により荷受け台5上の最前位置の玉葱は順次に存在しなくなるため、荷受け台5上の多数の玉葱は順次に搬送方向前方へ送り移動される。
【0049】
この際、荷受け台5上での玉葱の搬送方向前方への送り移動は荷受け台5の傾壁5b・5cの傾斜角B2および、先細り角B1による玉葱の重力や、荷受け台5の後軸10回りの上下揺動や、バケット19の移動による攪拌作用によって促進される。
さらに、底板部5aの上面に設けた傾壁5b・5cで形成した先細りの樋状と、傾壁5b・5cの傾斜角B2とで、玉葱をバケット19移動軌跡内まで1個ずつ導き案内されバケット19で玉葱を掬い上げることができる。
また荷受け台5を板材で一体構成することで玉葱に摺接したとき損傷を防止する上で寄与する。
各バケット19は2個以上の玉葱を掬い上げようとすることもあるが、バケット19の幅を規制することと、バケット19を架設板後37に左右方向で千鳥状に配列したことで、常に1個の玉葱のみを上面に残して、それ以外のものを脱落させることが可能となった。
【0050】
左右各側の各バケット19に掬い上げられた1個ずつの玉葱は上側の左右向き軸14のスプロケット14aの最上部から搬送終端に到達し、ここでシュート35に向けて方向転換され、このときに各玉葱に遠心力が作用し、各々のバケット19が略反転姿勢に変化したときに、図8、図9に示すように、各バケット19に載置されている玉葱は搬送方向前方へ飛ばされ、飛ばされた玉葱は、シュート35の軟質板部材35eに衝突し、軟質板部材35aに緩衝的に受け止められて搬送方向前方へ向けて滑り転がりシュート35下端から落下する。
【0051】
こうして落下した玉葱は図11に示すように、順次に左右一対の整姿ローラ33・33間と左右一対の整列送りローラ34・34の送り始端個所上に落下し、ここで整姿ローラ33・33および整列送りローラ34・34により横倒し姿勢となるとともに、左右一対の整列送りローラ34・34で搬送方向前方へ送り移動され、ローラ34・34の対向部で茎部を挟まれ引き降ろされて倒立姿勢となり、したがって個々の玉葱は左右一対の整列送りローラ34・34により例えば10cm程度の距離を置いて整列状態で搬送方向前方へ移動する。
玉葱調製機Bはこうして搬送終端から送り出された各玉葱を受け取ってその根部と茎部を切り離し製品としての球部となし、特定場所に順次に放出するのである。
【0052】
上記した本発明に係る農作物順次供給装置は玉葱に限らず、球部や茎部を有する農作物Wの供給に使用することのできるものであり、また本発明の趣旨の範囲内において適宜に変更して差し支えないものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る農作物W順次供給装置の後半分を示す側面図である。
【図2】前記農作物W順次供給装置の前半分を示す側面図である。
【図3】前記農作物W順次供給装置の後半分を示す平面図である。
【図4】前記農作物W順次供給装置の前半分を示す平面図である。
【図5】前記農作物W順次供給装置の動力伝達系を示す上面視説明図である。
【図6】前記農作物W順次供給装置の前段送出部を示す側面図である。
【図7】前記前段送出部を示す平面図である。
【図8】前記前段送出部の落下案内部周辺を示す側面視断面図である。
【図9】前記落下案内部周辺を示す平面図である。
【図10】前記前段送出部の一部を示す側面視作動説明図である。
【図11】荷受け台後部イ矢視図
【図12】搬送部の上部詳細図を示す側面図である。
【図13】搬送部の上部詳細図を示す平面図である。
【図14】搬送部のA−Aを示す断面図である。
【図15】搬送部の搬送体と架設板の配列図を示す側面図である。
【図16】前記後段送出部の送り始端部の作動状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
f1 斜め上方
f2 斜め下方(逆回転)
W 農作物(玉葱)
2 前段送出部
3 後段送出部
4a 側面壁部
4b 側面壁部
5 荷受け台
6 搬送部
10 後軸
14 左右向き軸
14a スプロケット
15 左右向き軸
15a スプロケット
16 搬送体
17 チェーン
17a リンクプレート
32 連結ピン
36 架設板前
47a チェーンカバー
50 逆回転防止手段
51 ロックレバー
100 農作物順次供給装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に配設した一対の側面壁部4a・4bの間に農作物Wを掬い斜め上方f1へ搬送し、その搬送終端から落下させる搬送部6を設けた前段送出部2と該前段送出部2の搬送終端から落下した玉葱などの農作物Wを受取り適当間隔で搬送方向前方へ送る後段送出部3を備えた農作物順次供給装置100において、前記側面壁部4a・4bへ軸支した後軸10に荷受け台5を前傾姿勢に設け、該荷受け台5の前端部に斜め上方f1へ移動する搬送部6を配設し、該搬送部6に逆回転防止手段50を設けたことを特徴とする農作物順次供給装置。
【請求項2】
左右に配設した一対の側面壁部4a・4bの間に農作物Wを掬い斜め上方f1へ搬送し、その搬送終端から落下させる搬送部6を設けた前段送出部2と該前段送出部2の搬送終端から落下した玉葱などの農作物Wを受取り適当間隔で搬送方向前方へ送る後段送出部3を備えた農作物順次供給装置100において、前記側面壁部4a・4bへ軸支した左右向き軸14・15に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けするチェーン17を設け、該チェーン17のリンクプレート17aに架設した連結ピン32を固持する逆回転防止手段50を設けたことを特徴とする農作物順次供給装置。
【請求項3】
前記逆回転防止手段50は、前記側面壁部4a・4bへ軸支した上と下に左右向き軸14・15を設け、該左右向き軸14・15の左右両端部に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けする無端状のチェーン17のリンクプレート17aに連結ピン32を設け、前記スプロケット14aと前記チェーン17の噛合い部の前記連結ピン32を回動自在なロッックレバー51で前記チェーン17が斜め下方f2へ移動することを防止したことを特徴とする請求項1乃至2記載の農作物順次供給装置。
【請求項4】
左右に配設した一対の側面壁部4a・4bの間に農作物Wを掬い斜め上方f1へ搬送し、その搬送終端から落下させる搬送部6を設けた前段送出部2と該前段送出部2の搬送終端から落下した玉葱などの農作物Wを受取り適当間隔で搬送方向前方へ送る後段送出部3を備えた農作物順次供給装置100において、前記側面壁部4a・4bへ軸支した左右向き軸14・15に設けたスプロケット14a・15aへ巻掛けする無端状のチェーン17を設け、このチェーン17のリンクプレート17aに搬送体左16a、架設板前36、搬送体右16b、架設板前36と交互に繰返して架設する連結ピン32をチェーンカバー47aに装架した回動自在なロッックレバー51で搬送部6が斜め下方f2へ移動することを防止したことを特徴とする農作物順次供給装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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