説明

農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット並びにその製造方法

【課題】 木質系原材料を粉粒化して農作物、園芸植物を育成及び活性するために有効な成分を含浸させた農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】 所定粒度以下に調製された木質系粉粒体であって、該木質系粉粒体に対して植物活性化機能を有する液状体が8〜15容積%混合、撹拌して含浸せしめられた木質系粉粒体を混合及び圧縮することにより、径または長さが5ないし30mmの略球状体ないし円筒状体に成形造粒された農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット並びにその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を粉粒化して農作物、園芸植物を育成および活性するために有効な成分を含浸させた農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットに関する。
【背景技術】
【0002】
農作物や園芸植物に所要成分を付与および活性化して、花卉、果樹、観葉植物、根菜類等の成長を促進し、さらに病害虫に対する抵抗力を高め、これら植物の鑑賞価値を高め、あるいは収量増大を図るために、多くの農園芸用資材が開発され、市販されている。近代的農園芸界にあっては、半世紀以上にわたって工業的に大量生産される化学肥料をはじめ強力な殺菌防除剤、殺虫剤、除草剤等の各種農園芸資材が多用されてきた。
【0003】
このような化学的に合成ないし製造される農園芸資材は、強力かつ即効性を示すものが多く、短期的に見れば収量の増加、病害虫の防除、雑草類の抑制等の点で顕著な効果を発揮する。したがって、堆肥その他の緩効性有機肥料によって土作りを行う在来農法に取って代わり、予め成分調整された肥料、農薬等の使用により大幅な省力化を達成しながら、病害虫防除をも達成することができる近代農業が広く普及してきたことは周知である。
【0004】
しかしながら、化学肥料や化学的に合成された農薬の多用は、地力の減退、土壌の酸性化、残留成分による環境汚染ならびに人体・家畜等への蓄積による悪影響等が無視できない状態になっている。地力の減退した土壌において栽培される農園芸作物類は、含有組成に偏りが生じがちである上、風水害その他の異常気象や病虫害に対する抵抗力が劣り、連作障害等も受け易いことが指摘されている。
【0005】
かかる事情に鑑み、化学肥料や強力な殺虫剤、除草剤、殺菌防除剤等に頼る効率第一の農園芸から、土壌本来の活力を高め、人体および環境に優しい自然農法が近年見直される傾向にある。特に、有機肥料を多く使用して土作りを行い、地力を高めるとともに人体や環境に優しい農法への回帰が進められつつある。例えば、食品加工屑、残飯、レストラン・食堂・コンビニエンスストア・ホテル等飲食業界からの食品廃棄物、一般家庭ごみ等を原料とする堆肥の活用などを柱とする有機農法も推進されつつある。
【0006】
その一方で、有機農法における堆肥、液体肥料その他の不定形の農業資材は、近年広く開発され普及しつつある自動式の農業機械では取り扱い困難なものが多く、就農者の高齢化や労働力不足の状況下において有機農法の普及を阻んでいる面も否めない。特許文献1は、このような事情を考慮して、窒素緩効性に優れ、土壌及び周辺環境を荒廃させず、農園芸植物を良好に生育させる粒状肥料を開示している。ここでは粒状肥料が形成されるため、トラクターその他の農業機械による保管・施肥等の取り扱いが容易となり労力の増加は少ないものの、成分的には硝酸塩、尿素またはその誘導体、酸化マグネシウムの肥料成分を想定しており、有機性とは限られていない。
【0007】
特許文献2は、農業活性成分と高純度石灰粉末とを必須原料成分として配合し、押出し造粒法によって得られる粒状組成物およびその製造方法を開示している。この場合、農業活性成分の含有量、種類、性状、粒状組成物の設定粒径等に大きな制限を受けることなく、造粒性の向上を図ることが出来る製造方法を開示するものである。
【特許文献1】特開2002−068867号
【特許文献2】特開2002−322003号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、木質系原材料を粉粒化して農作物、園芸植物を育成および活性するために有効な成分を含浸させた農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット並びにその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、所定粒度以下に調製された木質系粉粒体であって、該木質系粉粒体に対して植物活性化機能を有する液状体が8〜15容積%含浸せしめられた木質系粉粒体を混合及び圧縮することにより、径または長さが5ないし30mmの略球状体ないし円筒状体に成形造粒したことを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1における植物活性化機能を有する液状体が、木酢液及び/又は竹酢液であることを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットである。ここに、「木酢液及び/又は竹酢液」は「木酢液または竹酢液のいずれか一方、または双方を同時に含むもの」であることを表わすものである。また、請求項3に記載の発明は、請求項1における植物活性化機能を有する液状体が、山岳湧水及び液体畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料であることを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1における植物活性化機能を有する液状体が、木酢液及び/又は竹酢液と、山岳湧水及び液状畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料とをほぼ等量に混合撹拌した液状体であることを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1ないし4に記載の木質系粉粒体に対する植物活性化機能を有する液状体の含浸が、該木質系粉粒体と液状体との混合撹拌により行われることを特徴とする。また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1ないし5に記載の木質材ペレットに対して、石灰その他の土壌改良成分を付加したことを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、雑木の伐採屑、樹皮、おが屑等の1種ないし複数種からなる木質系原材料を粗粉砕して5mmメッシュ程度の篩い機により選別を行うことにより所定粒度の木質系粉粒体を調製し、該木質系粉粒体に対して植物活性化機能を有する液状体を8〜15容積%含浸させ、該植物活性化機能を有する液状体が含浸せしめられた木質系粉粒体の水分量が15〜25%以下となるように乾燥せしめた後、圧縮しながら径および長さが5ないし20mmの略球状ないし円筒状に成形造粒することを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の木質材ペレットの製造方法において、前記植物活性化機能を有する液状体として木酢液及び/又は竹酢液を前記容積比により添加することを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法である。また、請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の木質材ペレットの製造方法において、前記植物活性化機能を有する液状体として山岳湧水及び液体畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料を前記容積比により添加することを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法である。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の木質材ペレットの製造方法において、前記植物活性化機能を有する液状体として、木酢液及び/又は竹酢液と、山岳湧水及び液体畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料とをほぼ等量混合して撹拌したものを前記容積比により添加することを特徴とする農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法である。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項7ないし10のいずれかに記載の木質材ペレットの製造方法において、前記木質系粉粒体に対する植物活性化機能を有する液状体の含浸が、該木質系粉粒体と液状体との混合撹拌により行われることを特徴とする。請求項12に記載の発明は、請求項7ないし11のいずれかに記載の木質材ペレットの製造方法において、前記植物活性化機能を有する液状体に土壌改良成分を有する成分を追加した後に造粒工程に移行せしめることを特徴とする農園芸植物用成長促進 及び活性化木質材ペレットの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットは、合成ないし化学肥料の成分を含まず、天然有機素材である木質系粉粒体を基礎原料とし、同様に天然有機素材である木酢液、竹酢液をはじめ山岳湧水、液状畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料を含浸せしめ、略球状ないし円筒状に成形したものである。木酢液は木炭製造過程で、竹酢液は竹炭製造過程で、それぞれから生ずる排煙を排気機能を備えた煙突内で自然冷却されて凝縮し取り出される液体である。
【0018】
本発明の用途にあっては、上記のようにして得られた原液を1年程度静置し、上澄みのタール分を除いた中間層の液体が利用に適している。性状は、茶褐色ないし赤褐色の透明性液体で、pH2〜3の強い酸性を示す。比重は1.0〜1.1で約85%の水分を含み、約15%の有機物質を含み、この有機物質中約5%が有機酸である。竹酢液も竹炭製造過程において木酢液と同様に取り出され、共に殺菌、消臭、消毒、土壌中微生物の活性化等の効果がある。山岳湧水および液状畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料については後述する。
【0019】
このように全体が天然の有機素材により構成される木質材ペレットは、土壌中において農園芸植物に対して成長促進および活性化成分を徐々に放出する、いわゆる徐放性を備えているため、対象植物の成長期間にわたり長期間作用せしめることが期待できる。また、植物用成長促進および活性化成分を放出し終えた残留成分も木質系粉粒体であるから、土壌内の各種バクテリアの作用により徐々に分解され、結果的に土壌の有機物を増加せしめるように作用する。
【0020】
この木質材ペレットは、袋詰め、箱詰め、コンテナ詰め等として保管、出荷、輸送等が行われるため取り扱いが容易であり、比較的小規模な園芸植物に対する手動作業による均一な散布ないし施肥が、従来からの堆肥、液肥、粉状肥料等に比して容易である。また、大規模圃場におけるトラクターその他自走式装置に牽引される自動施肥装置または自動播種機等を利用することも容易である。この種の自動施肥は、播種ないし植え付け以前の起耕や中耕の際に同時に行うことが可能であり、均一かつ適宜深度となるように散布・施肥を行うことが可能である。
【0021】
鉢物園芸、花壇などにおける植物栽培においても、それぞれの植物に対する適用量をペレット粒数もしくは計量枡等によって適量となるように規定することが可能であり、粉状体、液状体である同様の成長促進および活性化剤に対してより適切な使用量の管理が実施可能となる。なお、土壌の酸性化を防止するための土壌改良成分、石灰分、ミネラル分等を製造過程において適宜付加しておくことにより、より有効な成長促進に加えて土壌改良効果をもたらすことが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態について添付図を参照しながら開示する。図1は本発明に係る農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法を実施するための装置構成概念図であり、図2は成形造粒工程を説明するモデル図、そして図3は製造工程を示すフロー図である。
【0023】
図1は、本発明に係る農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットを製造するための製造装置の構成概念図である。原材料である雑木伐採屑や樹皮等木質系原材料を投入するホッパー2を備えた粉砕装置1は、相互に噛み合う二軸スクリューを備えたスクリュー形、対向する粉砕ローラーを備えたミル形、容器中をすりこぎ運動および上下動を行う杵部材等を備えた臼形等のような各種粉砕機が利用可能である。
【0024】
ここでは、乾燥もしくは枯化せしめられた雑木伐採屑、樹皮、おが屑等の入り混じった木質系原材料がミル形粉砕装置1のホッパー2に投入されて粗粉砕が行われる。粉砕工程は使用装置の構造や特性に応じて、連続式でもまたバッチ式のいずれで行ってもよい。
【0025】
粉砕装置1で粗粉砕された木質系粉粒体は、5mmメッシュ程度の振動篩い機3において一定粒度以下に選別調製され、混合・撹拌装置(ミキサー)4に送られる。木質系粉粒体に対しては、農園芸植物用成長促進及び活性化成分液5である木酢液、竹酢液、後述する製法によって得られる山岳湧水及び液状畜産廃棄物等を原料として得られた液体有機肥料を、それぞれ単独または適宜組合わせ混合、攪拌して、その含浸割合が8ないし15容積%(残部は木質系粉粒体)の範囲となるように含浸せしめる。
【0026】
この場合の農園芸植物用成長促進及び活性化成分液5としては、1.木酢液のみ、2.竹酢液のみ、3.木酢液及び竹酢液、4.液体有機肥料のみ、5.木酢液と液体有機肥料、6.竹酢液と液体有機肥料、7.木酢液及び竹酢液と液体有機肥料、の7通りの組合せがある。それぞれの組合わせ、分量、混合割合は、適用植物の種類、使用場所の土壌の状態、予防・防除等の用途の別、植物の成長過程、季節、使用時期等に合わせて適宜変更することができる。
【0027】
本実施例における含浸手段は、混合および撹拌装置であるミキサー4の容器(釜)内に適量の木質系粉粒体を投入し、その上に農園芸植物用成長促進及び活性化成分液5を振りかけながら混合および撹拌する手段を採用している。なお、この場合の混合・撹拌装置4は、混合容器内に撹拌混合する回転羽根を備えたミキサー、らせん状回転羽根の回転によるヘンシェルミキサー、二重回転翼を有するスーパーミキサー等が利用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
また、コンベアにて移送する間に上部から農園芸植物用成長促進及び活性化成分液5を散布して振り掛ける手段、木質系粉粒体を液体の浸透が容易な金網製または有孔金属板製等のコンテナ内に収め、農園芸植物用成長促進及び活性化成分液5の槽内を短時間潜らせる手段であってもよい。
【0029】
このように農園芸植物用成長促進及び活性化成分液5が含浸された木質系粉粒体は、ヒーターおよび送風用ファンを備え、熱風を吹きかける乾燥装置6において含有水分が、15〜25%以下、好ましくは約20%程度となるように乾燥される。この乾燥工程では、過剰水分を除去することにより、引き続く成形造粒工程に適する状態に整えるものである。
【0030】
次いで、成形造粒装置7において前段の混合工程において添加された粘結性素材の機能により略球状または円筒状のペレットとして成形造粒が行われる。この場合の成形造粒装置(ペレタイザー)7は、直径が5〜10mm程度の略球状体(楕円状体も含む球状体)や直径5〜15mmで長さ8〜30mm程度の略円筒状体(楕円柱状体も含む)が望ましい。
【0031】
この場合の形状や寸法などは過度に厳密である必要はないため、多数の開孔を有するダイスに対して圧縮羽根により撹拌混合、乾燥された木質系素材を押し込むような押出し造粒装置、流動床により順次周囲に付着・成長させながら造粒する流動床造粒装置、タブレット(錠剤)型による型籠め式造粒装置などのいずれであってもよい。このような作業により所定寸法範囲に形成された略球状体や円筒状に成形造粒されたペレットは、袋詰め工程8において袋詰めされる。
【0032】
図2(A)は、所定直径の貫通孔9を多数設けたダイス10の上方に載置された木質系素材Mを、所定頻度で移動する圧縮羽根11によってダイス10の貫通孔9側に押圧し、それによって、ダイス10の下面側に練り固められた木質素材を押し出す1例を示すモデル図である。
【0033】
図(B)は、ダイスの一部を示す平面図で、直径5〜15mmである多数の貫通孔9が設けられている状態を示すものである。ダイス10の下面側に押し出された木質系素材Mは、図(A)のように所定時間ごとにダイス10の下面に沿って稼動する刃付き掻き取り手段(スクレーパー)12によって順次掻き取られ、ダイス10の貫通孔9に相当する直径でほぼ一定の長さのペレットPが得られる。
【0034】
図3は、図1のような製造系における製造工程を示すフロー図である。乾燥もしくは枯化せしめられた雑木伐採屑、樹皮、おが屑等の木質系原材料が粉砕装置1のホッパー2に投入され(ステップS1)、粉砕装置1において粗粉砕される(ステップS2)。粉砕装置1で粉砕された木質系粉粒体は、5mmメッシュ程度の振動篩い機3による篩い分け選別工程(ステップS3)を経て、次段の混合および撹拌工程(農園芸植物用成長促進及び活性化成分液含浸処理工程)に移行せしめられる。
【0035】
一定粒度以下に選別された木質系粉粒体には、農園芸植物用成長促進及び活性化成分液が単独ないし適宜混合された状態で、混合・撹拌工程において8ないし15容積%の範囲となるように添加されて含浸せしめられる(ステップS4)。成長促進及び活性化成分液の組合わせは、右側の破線枠に囲まれた7通りが考えられるが、さらにこの段階で使用環境に応じて土壌改良剤その他所望成分を適宜付加してもよい。
【0036】
農園芸植物用成長促進及び活性化成分液が含浸された木質系粉粒体は、乾燥装置において含有水分が15〜25%、好ましくは約20%以下となるように乾燥処理される(ステップS5)。この乾燥処理工程は、過剰水分を除去することにより成分比を所定範囲とし、引き続く成形造粒工程に好適な湿潤状態を得るものである。
【0037】
次いで、乾燥処理された木質系粉粒体は、成形造粒装置7において略球状または円筒状のペレットとして成形造粒が行われる(ステップS6)。この成形造粒工程では、農園芸植物に施肥ないし散布する際の便宜を考慮して直径が5〜10mm程度の略球状体や直径5〜15mmで長さ10〜30mm程度の略円筒状体でよく、形状や寸法等はさほど厳格である必要はないため、各種構造の押出し造粒装置、流動床により順次成長させる流動床造粒装置、錠剤製造に類する型籠め式造粒装置等いずれであってもよい。略球状体や円筒状に成形造粒されたペレットは、袋詰め(箱詰め、缶詰、瓶詰めなども可能である)されて製品となる(ステップS7)。
【0038】
ここで、上記記述において木酢液および竹酢液に代えて、またはこれらと共に使用可能な農園芸植物用成長促進及び活性化成分液の1種として示している「山岳湧水及び液体畜産廃棄物等を原材料として得られる液体有機肥料」について開示する。このような液体有機肥料については、特開2001−302383号公報(平成12年4月27日出願)および特開2004−345875号公報(平成15年5月20日出願:共に本出願人と同一人に係る出願)において提案されているものが使用可能である。
【0039】
これら両特許公開公報に開示される有機液体肥料の概要は、主に広葉樹林高山地帯で植物質およびミネラルその他鉱物質成分を含む山岳湧水(例えば、白神山地から得られる湧水)と、豚舎や牛・馬舎から得られる液体畜産廃棄物と、その他所要資材を混合して好気性バクテリアの作用、さらに要すれば嫌気性バクテリアの作用も加え、微生物反応槽(バイオリアクター)において反応させることによって得られる液体有機肥料である。これら両公報において開示する液体有機肥料の原材料は、高山広葉樹地帯からの山岳湧水、液体畜産廃棄物、海水等を主原料とし、その他ミネラル分含有鉱石、好気性バクテリア、嫌気性バクテリア等の作用を利用して分解反応を行うことにより得られるものである。
【0040】
このようにして得られる液体有機肥料は、pH6〜7のほぼ中性で、酸化カリウム(K2O)および酸化カルシウム(CaO)を多く含む茶褐色透明性の液体であり、本出願人により「活性白神水」の商品名で市販されており、適宜入手可能である。したがって、木酢液および竹酢液と同様に全て天然または動植物等自然界から得られるものであり、化学的に合成ないし反応させたものではなく、地力の減退、土壌の酸性化、残留成分による環境汚染等の問題は生じない。この有機液体肥料は、多くの有機酸類を含み、その他植物の生育に必要なミネラルや微量要素成分を含んでおり、植物に直接吸収されることはもとより、植物の養分吸収補助材としても機能することが期待されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法によって得られる木質材ペレットは、全て天然もしくは自然界ないし動植物から得られる原材料を使用するものである。植物用成長促進及び活性化成分としては、前述のように1.木酢液のみ、2.竹酢液のみ、3.木酢液及び竹酢液、4.液体有機肥料のみ、5.木酢液と液体有機肥料、6.竹酢液と液体有機肥料、7.木酢液及び竹酢液と液体有機肥料、の7通りの組合せがあり、それぞれの分量や混合割合は、適用植物の種類、予防・防除等の用途の別、植物の成長過程、使用する季節または使用時期等に合わせて適宜変更することができる。これらは、地力の減退、土壌の酸性化、残留成分による環境汚染等の諸問題を懸念することなしに各種農園芸植物に対して成長促進および活性化の機能を期待することができる。
【0042】
本発明に係る木質材ペレットは、多くの園芸用植物はもとより、穀類、果菜、葉菜、根菜、花卉、果樹等の農業用植物に対して有効である。この木質材ペレットは、成形寸法等がほぼ同一範囲に形成されているから、成長促進および活性化液の含浸比率を適宜選択すれば、単位面積あたり、1株当たり、1鉢当たり等の適用単位毎の粒数によって施肥量を簡単に規定することがてきる。
【0043】
したがって、液肥、不定形の堆肥、粉末などのように施肥量ないし使用量の過不足(ムラ)により該当植物の成長ないし開花時期、収穫時期等が不安定となる事態を回避することができる。また、取り扱いの容易な粒状体であるため、小形の施肥装置はもとよりトラクターをはじめとする自走式装置によって牽引される大形の自動施肥装置や自動播種装置等による施肥も可能であるため省力化にも適しており、農園芸界における要請にも適合する植物用成長促進及び活性化資材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法を実施するための装置構成概念図である。
【図2】本発明に係る農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットを成形造粒する状態の一例を示すモデル図である。
【図3】本発明に係る農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造工程を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0045】
1 粉砕装置
2 ホッパー
3 振動篩い機
4 混合および撹拌装置(含浸装置)
5 成長促進および活性化成分液
6 乾燥装置
7 成形造粒装置(ペレタイザー)
8 製品袋詰め
9 貫通孔
10 ダイス
11 圧縮羽根
12 掻き取り手段(スクレーパー)
M 木質系原材料
P ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定粒度以下に調製された木質系粉粒体であって、該木質系粉粒体に対して植物活性化機能を有する液状体が8〜15容積%含浸せしめられた木質系粉粒体を混合及び圧縮することにより、径または長さが5ないし30mmの略球状体ないし円筒状体に成形造粒したことを特徴とする、農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット。
【請求項2】
前記植物活性化機能を有する液状体が、木酢液及び/又は竹酢液であることを特徴とする、請求項1記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット。
【請求項3】
前記植物活性化機能を有する液状体が、山岳湧水及び液状畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料であることを特徴とする、請求項1に記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット。
【請求項4】
前記植物活性化機能を有する液状体が、木酢液及び/又は竹酢液と、山岳湧水及び液状畜産廃棄物等から得られる液体肥料とをほぼ等量として混合撹拌した液状体であることを特徴とする、請求項1に記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット。
【請求項5】
前記木質系粉粒体に対する植物活性化機能を有する液状体の含浸が、該木質系粉粒体と液状体との混合撹拌により行われることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット。
【請求項6】
前記木質材ペレットに対して、石灰その他の土壌改良成分を付加したことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレット。
【請求項7】
雑木の伐採屑、樹皮、おが屑等の1種ないし複数種からなる木質系原材料を粗粉砕して5mmメッシュ程度の篩い機により選別を行うことにより所定粒度の木質系粉粒体を調製し、該木質系粉粒体に対して植物活性化機能を有する液状体を8〜15容積%含浸させ、該植物活性化機能を有する液状体が含浸せしめられた木質系粉粒体の水分量が15〜25%以下となるように乾燥せしめた後、圧縮しながら径および長さが5ないし20mmの略球状ないし円筒状に成形造粒することを特徴とする、農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法。
【請求項8】
前記植物活性化機能を有する液状体として木酢液及び/又は竹酢液を前記容積比により添加することを特徴とする、請求項7に記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法。
【請求項9】
前記植物活性化機能を有する液状体として山岳湧水及び液体畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料を前記容積比により添加することを特徴とする、請求項7に記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法。
【請求項10】
前記植物活性化機能を有する液状体として、木酢液及び/又は竹酢液と、山岳湧水及び液体畜産廃棄物等から得られる液体有機肥料と、をほぼ等量混合して撹拌したものを前記容積比により添加することを特徴とする、請求項7に記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法。
【請求項11】
前記木質系粉粒体に対する植物活性化機能を有する液状体の含浸が、該木質系粉粒体と液状体との混合撹拌により行われることを特徴とする、請求項7ないし10のいずれかに記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法。
【請求項12】
前記植物活性化機能を有する液状体に土壌改良成分を有する成分を追加した後、成形造粒工程に移行せしめることを特徴とする、請求項7ないし11のいずれかに記載の農園芸植物用成長促進及び活性化木質材ペレットの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−206477(P2006−206477A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19444(P2005−19444)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000220893)東光鉄工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】