説明

農園芸用殺菌剤組成物及び植物病害の防除方法

【課題】植物病害に感染した作物に対する安定した高い防除効果を有する殺菌剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)式(I):


〔式中、R1及びR2は各々独立にアルキル等であり;YはH、ハロゲン等であり;R3及びR4は各々独立に水素原子、アルキル等であり;R5、R6、R7及びR8は各々独立に水素原子、ハロゲン等である〕で表されるインドール系化合物と、(b)ジメトモルフ、クロロタロニル、銅系化合物、イプロバリカルブ、ゾキサミド、亜リン酸若しくはその塩、フルアジナム、シアゾファミド、フルモルフ、ベンチアバリカルブ、エタボキサム、メタラキシル‐M及びベナラキシル‐Mから選択された他の殺菌剤の少なくとも1種とを含有する農園芸用殺菌剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除効果、特に植物病害を予防及び/又は治療する効果を格段に向上させた農園芸用殺菌剤組成物及びその組成物を用いる植物病害の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO99/21851には、特定のインドール系化合物が農園芸用殺菌剤として有用であることが記載され、必要に応じて他の殺菌剤、殺虫剤等との混用・併用が可能であるとの記載がある。また、WO03/53145には、前記インドール系化合物の一つである1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールと、ホルペット、シモキサニル、ホセチル又はマンゼブとを有効成分として含有することを特徴とする殺菌剤組成物が記載されている。さらに、1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールの製法は、WO03/82860に記載されている。一方、特開2005−8566号には、(a)界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の補助剤、並びに(b)1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールを含有する植物病害防除組成物が記載されている。
【0003】
【特許文献1】国際公開公報WO99/21851
【特許文献2】国際公開公報WO03/53145
【特許文献3】国際公開公報WO03/82860
【特許文献4】特開2005−8566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後記式(I)で表されるインドール系化合物は、その植物病害防除効果において特定の植物病害に対してその効果が十分でなかったり、治療効果が弱かったり、残効性が比較的短かったりして、ある施用場面では、植物病害に対し実用上、不十分な防除効果しか示さないこともある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく研究した結果、後記式(I)で表されるインドール系化合物に対し、特定の殺菌剤を混合使用することにより、各化合物を単独で使用した場合に比して予想できないような、さらに優れた植物病害防除効果が得られることの知見を得、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、(a)有効成分として、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、C1-4アルキルであるか、又はR1とR2とが一緒になって形成するC4-6アルキレン若しくはC4-6アルキレンオキシであり;Yは水素原子、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ又はC1-4ハロアルキルチオであり;R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4 アルケニル、C2-4 アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基又はC1-4アルコキシカルボニルであり;R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C2-4ハロアルケニル、C2-4ハロアルキニル、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルカルボニル、C1-4ハロアルキルカルボニル、C1-4アルキルカルボニルオキシ、C1-4アルキルスルホニル、C1-4ハロアルキルスルホニル、C1-4アルキルスルホキシ、C1-4アルコキシスルホニル、C1-4アルキルスルホニルオキシ、シアノ基、水酸基、ニトロ基、ホルミル基若しくはハロゲンであるか、又はR5、R6、R7及びR8のうちの2つが一緒になって形成するハロゲンで置換されてもよいC1-3アルキレンジオキシ基若しくはC3-6アルキレンである]で表されるインドール系化合物の少なくとも1種と、(b)有効成分として、ジメトモルフ、クロロタロニル、銅系化合物、イプロバリカルブ、ゾキサミド、亜リン酸若しくはその塩、フルアジナム、シアゾファミド、フルモルフ、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、エタボキサム、メタラキシルM及びベナラキシルMから成る群から選択された少なくとも1種とを含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤組成物に関する。また、本発明は前記農園芸用殺菌剤組成物を植物に施用することを特徴とする植物病害の防除方法に関する。
【0009】
式(I)の化合物において、R1及びR2 のC1-4アルキルとしては、メチル、エチル、n−若しくはiso−プロピル等が挙げられる。
【0010】
1とR2が一緒になって形成するC4-6アルキレンとしては、例えば、R1及びR2が結合している窒素原子を含めて、ピペリジン等が挙げられる。
【0011】
1とR2が一緒になって形成するC4-6アルキレンオキシとしては、例えば、R1及びR2が結合している窒素原子を含めて、モルホリン等が挙げられる。
【0012】
Y、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の各置換基の定義は以下の意味を有する。
【0013】
1-4アルキルとしては、例えば、メチル、エチル等が挙げられる。
【0014】
3-6シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル等が挙げられる。
【0015】
2-4アルケニルとしては、例えば、アリル、ビニル等が挙げられる。
【0016】
2-4アルキニルとしては、例えば、プロパルギル等が挙げられる。
【0017】
1-4アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ等が挙げられる。
【0018】
1-4アルキルチオとしては例えば、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
【0019】
1-4ハロアルコキシとしては、例えば、トリフルオロメトキシ等が挙げられる。
【0020】
1-4ハロアルキルチオとしては、例えば、トリフルオロメチルチオ等が挙げられる。
【0021】
1-4ハロアルキルとしては、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、トリフルオロメチル等が挙げられる。
【0022】
2-4ハロアルケニルとしては、例えば、2−クロロビニル等が挙げられる。
【0023】
2-4ハロアルキニルとしては、例えば、ヨードプロパルギル等が挙げられる。
【0024】
1-4アルコキシカルボニルとしては、例えば、メトキシカルボニル等が挙げられる。
【0025】
1-4アルキルカルボニルとしては、例えば、アセチル等が挙げられる。
【0026】
1-4ハロアルキルカルボニルとしては、例えば、トリフルオロアセチル等が挙げられる。
【0027】
1-4アルキルカルボニルオキシとしては、例えば、アセチルオキシ等が挙げられる。
【0028】
1-4アルキルスルホキシとしては、例えば、メチルスルホキシ等が挙げられる。
【0029】
1-4アルキルスルホニルとしては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、iso−プロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、iso−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル等が挙げられる。
【0030】
1-4アルキルスルホニルオキシとしては、例えば、メタンスルホニルオキシ等が挙げられる。
【0031】
1-4ハロアルキルスルホニルとしては、例えば、トリフルオロメチルスルホニル等が挙げられる。
【0032】
1-4アルコキシスルホニルとしては、例えば、メトキシスルホニル等が挙げられる。
【0033】
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0034】
ハロゲンで置換されていても良いC1-3アルキレンジオキシとしては、例えば、ジフルオロメチレンジオキシ、テトラフルオロエチレンジオキシ等が挙げられる。
【0035】
Yとしては上記以外に水素原子、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。
【0036】
3及びR4としては上記以外に水素原子、ニトロ基、シアノ基及びホルミル基が挙げられる。
【0037】
5、R6、R7及びR8としては上記以外に水素原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基及びホルミル基が挙げられる。
【0038】
式(I)のインドール系化合物には、例えば1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール(化合物No.1)、3−(6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール(化合物No.2)、3−(2−ブロモ−3−クロロインドール−1−イル)−5−メチル−(N,N−ジメチルスルファモイル)1,2,4−トリアゾール(化合物No.3)、1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(2−メチル−3−クロロ−5,6−ジフルオロインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール(化合物No.4)、1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(2−メチル−3−クロロ−4,6−ジフルオロインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール(化合物No.5)等の化合物が含まれる。
【0039】
なお、前記式(I)のインドール系化合物は、WO99/21851及びWO03/82860等に記載された方法によって製造することができる。
【0040】
本発明で有効成分(b)として用いられるジメトモルフ(Dimethomorph)、クロロタロニル(Chlorothalonil)、イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、ゾキサミド(Zoxamide)、フルアジナム(Fluazinam)、シアゾファミド(Cyazofamid)、フルモルフ(Flumorph)、ベンチアバリカルブ-イソプロピル(Benthiavalicarb-isopropyl)、エタボキサム(Ehtaboxam)及びメタラキシル‐M(Metalaxyl-M)は、各々The Pesticide Manual(第13版;BRITISH CROP PROTECTION COUNCIL)第325〜326頁、第169〜170頁、第580〜581頁、第1035〜1036頁、第446〜447頁、第217〜218頁、第462〜463頁、第79頁、第374頁及び第633〜635頁に記載の化合物である。また、ベナラキシル‐M(Benalaxyl-M)(別名キララキシル(Kiralaxyl))はShibuya Index(2005)第116頁に記載の化合物である。
【0041】
本発明で有効成分(b)として用いられる銅系化合物としては、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅及び無水硫酸銅等が挙げられる。また、これら銅系化合物の混合物を用いてもよい。塩基性塩化銅としては、例えば商品名ドイツボルドーA(第一農薬株式会社、北興化学株式会社)、商品名サンボルドー(サンケイ化学株式会社製)及びドウジエット(日産化学株式会社製)が挙げられる。水酸化第二銅としては、例えば、商品名コサイドボルドー(グリフィン社製)、商品名コサイドDF(グリフィン社製)及び商品名コサイドSD(グリフィン社製)が挙げられる。
【0042】
本発明で有効成分(b)として用いられる亜リン酸若しくはその塩としては、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム(Na2HPO3)、亜リン酸カリウム(K2HPO3)及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0043】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、有効成分(a)及び有効成分(b)に加えて、効力増強成分(C)として、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスから成る群から選択された少なくとも1種を含有することができる。
【0044】
本発明で、効力増強成分(C)として用いられるノニオン系界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤;ポリオキシエチレンアリールエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)フェニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル;ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル;ポリオキシプロピレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテル;ポリオキシエチレン(モノ、ジ又はトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;アルキルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル;アルキルフェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル;ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル;ポリオキシエチレン樹脂酸エステル;グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物;ヒマシ油エチレンオキサイド付加物;硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物;アルキルアミンエチレンオキサイド付加物及び脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;アルキルフェノキシポリエトキシエタノール及びポリオキシエチレンロジンエステル;アセチレングリコール又はそのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール又はそのエチレンオキサイド付加物等のアセチレン系界面活性剤等が挙げられる。
【0045】
前記したシリコン系界面活性剤の具体例としては、商品名まくぴか(ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン93%含有;石原産業株式会社製)、商標名DyneAmic(STERE CHEMICAL社製)、商標名KINETIC(STERE CHEMICAL社製)、SILWET L-77(Witco社製)、商品名SLIPPA(INTERAGRO社製)等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルの具体例としては、商品名パンガードKS-20(三井東圧農薬株式会社製)、商品名スプレースチッカー(日本農薬株式会社製)、商品名D-3605(竹本油脂株式会社製)、商品名D-230(竹本油脂株式会社製)、商品名D-233 N(竹本油脂株式会社製)、商品名ノイゲンET-120E(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0046】
前記したソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤の具体例としては、商品名アプローチBI(ポリオキシエチレンへキシタン脂肪酸エステル50%含有;花王株式会社)、商品名TWEEN20(脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル;和光純薬株式会社製)等が挙げられる。その他のノニオン系界面活性の具体例としては、商品名ミックスパワー(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル40%及びポリオキシエチレンアルキルエーテル40%;トモノアグリカ株式会社製)、商品名アルソープ30(ポリオキシエチレンへキシタンノニルフェニルエーテル30%含有;サンケイ化学株式会社、武田薬品工業株式会社製)等が挙げられる。
【0047】
本発明で効力増強成分(C)として用いられるアニオン系界面活性剤としては、カルボン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤等が挙げられる。
【0048】
前記したカルボン酸型界面活性剤としては、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、マレイン酸とオレフィン(例えばイソブチレン及びジイソブチレン等)との共重合物、アクリル酸とイタコン酸の共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸とスチレンの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物及びアクリル酸とマレイン酸の共重合物、並びにそれらカルボン酸の塩等が挙げられる。
【0049】
前記した硫酸エステル型界面活性剤としては、商品名モノゲンY-100(第一工業製薬株式会社製)のような高級アルコール硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル;ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル硫酸エステル;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの硫酸エステル及び硫酸化オレフィン等の硫酸エステル;並びにそれら硫酸エステルの塩等が挙げられる。
【0050】
前記したスルホン酸型界面活性剤としては、ポリアリールアルカンスルホン酸塩;ニューカルゲンEP-70G(竹本油脂株式会社製)のようなジアルキルスルホコハク酸塩;ジアルキルスルホコハク酸;アルキルベンゼンスルホン酸;α−オレフィンスルホン酸;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸;ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステル;ナフタレンスルホン酸及びアルキルナフタレンスルホン酸、並びにそれらスルホン酸の塩等が挙げられる。
【0051】
前記したリン酸エステル型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのポリマーのリン酸エステル;ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテルリン酸エステル;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルリン酸エステル;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルのポリマーのリン酸エステル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーのリン酸エステル;並びにそれらリン酸エステルの塩等が挙げられる。
【0052】
さらに、本発明では、商品名グラミンS(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル15%、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル5%及びポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム4%含有;三共アグロ株式会社製)のように、ノニオン系界面活性剤とアニオン系界面活性剤の混合物も使用できる。
【0053】
本発明で効力増強成分(C)として用いられるカチオン系界面活性剤としては、エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤;ジアルキルアンモニウム塩及びアルキルアンモニウム等が挙げられる。エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤の具体例としては、例えばエトキシル化牛脂アミン系のものとして、フリゲート(Frigate)、エチラン(Ethylan)TT−15、ジェナミン(Genamin)T−150、ジェナミン T−200、エトメーン(Ethomeen)T−25、ソルポール(Sorpol)7553、ソルポール7409、ニューカルゲンD−3615T等が挙げられ、エトキシル化大豆アミン系のものとして、ソルポール7721、ニューカルゲンD−3605等が挙げられ、エトキシル化ヤシアミン系のものとして、ソルポール7376、ニューカルゲンD−3110、エトメーンC−12等が挙げられる。なお、ここで挙げられたものは、いずれも商品名であるが、フリゲートはISKバイオテック社製のものであり、ジェナミンT−150及び同T−200はヘキスト社製のものであり、ソルポール7553、同7409、同7721及び同7376は東邦化学工業(株)製のものであり、ニューカルゲンD−3615T、同D−3605及び同D−3110は竹本油脂(株)製のものである。また、エチランTT−15、エトメーンT−25及び同C−12は、ウィード・リサーチ(Weed Research)、第20巻、139〜146頁、1980年に記載されている。また、エチランTT−15はジザニオロジー(Zizaniology)、第2巻、183〜189頁、1990年にも記載されている。ジアルキルアンモニウム塩の具体例としては、商品名ニーズ(ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム18%及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル44%含有;花王株式会社製)等が挙げられる。
【0054】
本発明で効力増強成分(C)として用いられる両性界面活性剤としては、ベタイン型界面活性剤およびアミノ酸型界面活性剤等が挙げられる。
【0055】
本発明で効力増強成分(C)として用いられる動植物油としては、例えば、トウモロコシ油、大豆油、アマニ油、ヒマワリ油、綿実油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、パーム油、アボガド油等の植物油;牛脂、鯨油等の動物油等が挙げられる。これらの動植物油は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0056】
本発明で効力増強成分(C)として用いられる鉱物油としては、マシン油、重油、シリコン油、ナフテン溶媒、メチルナフタレン、1−フェニル−1−キシリルエタン等が挙げられる。これらの鉱物油は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0057】
本発明で効力増強成分(C)として用いられる水溶性高分子としては、水に完全溶解或いは一部溶解する高分子であれば特に限定されないが、例えば、澱粉、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、にかわ等の天然水溶性高分子;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の合成水溶性高分子等が挙げられる。これらの水溶性高分子は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。水溶性高分子の中で望ましいものは、デキストリン、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンである。
【0058】
本発明で効力増強成分(C)として用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン−アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、実際の使用に際してはエマルジョンの形態で用いるのが望ましい。樹脂の中で望ましいものは、酢酸ビニル樹脂及びウレタン樹脂である。
【0059】
本発明で効力増強成分(C)として用いられるワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス等が挙げられる。これらのワックスは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、実際の使用に際してはエマルジョンの形態で用いるのが望ましい。ワックスの中で望ましいものは、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス及びポリエチレンワックスである。
【0060】
前記有効成分(a)と、前記有効成分(b)とを混合使用することからなる本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、有害病菌に感染している或いはその恐れのある栽培作物例えばキュウリ、トマト、ナス等の蔬菜類、イネ、麦類等の禾穀類、マメ類、リンゴ、ナシ、ブドウ、柑橘等の果樹類、バレイショ等に適用することにより優れた殺菌作用を呈し、例えばうどんこ病、べと病、炭そ病、灰色かび病、みどりかび病、黒星病、斑点落葉病、斑点細菌病、黒斑病、黒点病、晩腐病、疫病、輪紋病、いもち病、紋枯病、苗立枯病、白絹病等の病害の防除に好適である。また、フザリウム菌、リゾクトニア菌、バーティシリウム菌、プラズモディオホーラ属菌等の卵菌類以外の植物病原菌や卵菌類であるピシウム菌等の植物病原菌によって引き起こされる土壌病害に対しても優れた防除効果を示す。本発明の農園芸用殺菌剤組成物は残効性が長く特に優れた治療効果を有することから感染後の処理による病害防除が可能である。さらに、浸透性及び移行性を有することから、土壌処理による茎葉部の病害防除も可能である。
【0061】
前記有効成分(a)と、効力増強成分(c)とを混合使用することからなる農園芸用殺菌剤組成物は、植物病害の防除に有用であり、その一部は前記特許文献4に記載されている。この組成物は、例えば稲いもち病;稲紋枯病;キュウリ炭そ病;キュウリうどんこ病;キュウリ、メロン、キャベツ、ハクサイ、タマネギ、ブドウのべと病;バレイショ、トウガラシ、ピーマン、スイカ、カボチャ、タバコ、トマトの疫病;トマト輪紋病;柑橘類の黒点病;柑橘類のみどりかび病;ナシ黒星病;リンゴ斑点落葉病;各種の灰色かび病;菌核病;さび病等の病害を引き起こす植物病原菌;フザリウム菌;ピシウム菌;リゾクトニア菌;バーティシリウム菌等の土壌病害を引き起こす植物病原菌等が防除できる。さらに具体的にはバレイショ、トウガラシ、ピーマン、スイカ、カボチャ、タバコ、トマトの疫病;キュウリ、メロン、キャベツ、ハクサイ、タマネギ、ブドウのべと病、イネ、シバ等のピシュームによる病害等卵菌によって引き起こされる病害等が防除できる。この農園芸用殺菌剤組成物は残効性が長く優れた予防効果を示すのみならず、優れた治療効果を有することから感染後の処理による病害防除が可能である。
【0062】
前記有効成分(a)、前記有効成分(b)及び効力増強成分(c)とを混合使用することからなる本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、前記有効成分(a)と、前記有効成分(b)とを混合使用することからなる本発明の農園芸用殺菌剤組成物、並びに前記有効成分(a)と、効力増強成分(c)とを混合使用することからなる農園芸用殺菌剤組成物双方の特性を有し、双方の組成物によって防除できる植物病害が防除できる。具体的には前記した植物病害が防除できる。
【0063】
本発明における農園芸用殺菌剤剤組成物を構成する複数の有効成分[前記有効成分(a)、(b)及び後記その他の農薬]及び効力増強成分(c)は従来の農薬製剤の場合と同様に、各種補助剤と配合し、乳剤、粉剤、水和剤、液剤、粒剤、懸濁製剤等の種々の形態に製剤することができる。その際、前記有効成分(a)と、前記有効成分(b)及び後記その他の農薬とを一緒に混合・製剤してもよいし、或いは別々に製剤してそれらを混合してもよい。これら製剤品の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用することができる。ここにいう補助剤としては、担体、乳化剤、懸濁剤、増粘剤、安定剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤、凍結防止剤、消泡剤等が挙げられ、必要により適宜添加すればよい。担体としては、固体担体と液体担体に分けられ、固体担体としては、澱粉、砂糖、セルロース粉、シクロデキストリン、活性炭、大豆粉、小麦粉、もみがら粉、木粉、魚粉、粉乳等の動植物性粉末;タルク、カオリン、ベントナイト、有機ベントナイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、ゼオライト、ケイソウ土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、シリカ、硫黄粉末、消石灰等の鉱物性粉末等が挙げられ、液体担体としては、水;大豆油、綿実油等の植物油;牛脂、鯨油等の動物油;エチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ケロシン、灯油、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド等の酸アミド類;酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等の含硫化合物類或いはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0064】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物において、有効成分(a)と、有効成分(b)との適当な混合重量比は、一般に1: 10000〜10000:1、望ましくは1: 1000〜10000:1、さらに望ましくは1:100〜1000:1である。
【0065】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物を有害生物に施用する有害生物の防除方法も本発明に含まれる。本発明農園芸用殺菌剤組成物の有効成分(a)及び有効成分(b)の使用濃度は、対象作物、使用方法、製剤形態、施用量、施用時期、有害病菌の種類等の条件等の違いによって異なり、一概に規定できないが、茎葉処理の場合、有効成分濃度で有効成分(a)が0.01〜1,000ppm、望ましくは0.1〜500ppmであり、有効成分(b)が0.01〜10,000ppm、望ましくは0.1〜7,000ppmである。
【0066】
また、本発明方法において、他の農薬、例えば殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物生長調製剤等を混用することもでき、この場合には一層優れた効果を示すことがある。他の農薬として特に代表的なものは、トリフルミゾール(一般名)等のアゾール系化合物、キノメチオネート(一般名)等のキノキサリン系化合物、ベノミル(一般名)等のベンズイミダゾール系化合物等のピリジナミン系化合物、メタラキシル(一般名)、オキサジキシル(一般名)等のフェニルアミド系化合物、ジクロフルアニド(一般名)等のスルフェン酸系化合物、ヒメキサゾール(一般名)等のイソキサゾール系化合物、プロシミドン(一般名)等のジカルボキシイミド系化合物、フルトラニル(一般名)等のベンズアニリド系化合物、(RS)−4−クロロ−N−〔シアノ(エトキシメチル)〕ベンズアミド等のベンズアミド系化合物、メチル(E)−2−{2−〔6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ〕フェニル}−3−メトキシアクリレート、メチル(E)−メトキシイミノ〔α−(o−トリルオキシ)−O−トリル〕アセテート等のβ−メトキシアクリル酸系化合物、アミノアシッドアミドカーバメート系化合物、3−アニリノ−5−メチル−5−(4−フェノキシフェニル)−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン等のオキサゾリジンジオン系化合物、4-クロロ-N-[2-[3-メトキシ-4-(プロピルオキシ)フェニル]エチル]-α-(2-プロピルオキシ)-ベンゼンアセタミド等である。
【0067】
本発明の農園芸用殺菌剤剤組成物において、有効成分(a)及び有効成分(b)と、効力増強成分(c)との適当な重量比は、一般に1:5,000〜2,000:1望ましくは0.05:99.95〜90:10、さらに望ましくは0.2:99.8〜80:20である。
【0068】
本発明の農園芸用殺菌剤剤組成物の使用濃度は、対象作物、使用方法、製剤形態、施用量等の条件によって異なるので、一概に規定しがたいが、茎葉処理の場合、通常有効成分濃度は0.1〜10,000ppm、効力増強成分濃度は0.01〜1000ppmである。土壌処理の場合、通常有効成分施用量は0.01〜100kg/ha、効力増強成分施用量は0.1〜10kg/haである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
次に本発明の農園芸用殺菌剤組成物及び該組成物を、植物に施用する場合における最良の形態を記載する。
【0070】
本発明の植物病害の防除方法における望ましい実施形態の1つとして、本発明の農園芸用殺菌剤組成物を水分散液として、植物に施用する方法が挙げられる。この方法においては、農園芸用殺菌剤組成物を水分散液として植物病害が発生している又は発生することが予想される場所に対して散布される。そのような場所としては農園芸用植物の茎葉部、土壌等が挙げられるが、農園芸用植物の茎葉部の場合は特に効果がある。水分散液としては有効成分の製剤品を水に分散させ、このものに効力増強成分を添加したもの;有効成分と効力増強成分とを予め混合して製剤したものを水に分散させたもの;又はそれらに準ずる方法により水に分散させたものが使用される。水分散液の施用時には農園芸用殺菌剤組成物0.1〜10,000mgに対して1リットルの水によって水分散液が調製され、使用される。水分散液は有効成分の濃度が0.1〜10,000ppmとなるように調製される。水分散液の散布量は、1ha当たり100〜10,000リットルである。
【0071】
本発明の植物病害の防除方法における望ましい実施形態の1つとして、本発明の農園芸用殺菌剤組成物の水性懸濁製剤品をそのまま水分散液の場合と同様に有害生物に施用する方法が挙げられる。水性懸濁製剤品の有効成分の濃度は0.1〜10,000ppmとなるように調製される。水性懸濁製剤品の散布量は、1ha当たり100〜10,000リットルである。
【0072】
次に、本発明の農園芸用殺菌剤組成物の望ましい実施形態のいくつかを例示するが、これらは本発明を限定するものではない。
(1) 有効成分(a)が式(I)において、R3及びR4がそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4 アルケニル、C2-4 アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基又はC1-4アルコキシカルボニルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C2-4ハロアルケニル、C2-4ハロアルキニル、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルカルボニル、C1-4ハロアルキルカルボニル、C1-4アルキルカルボニルオキシ、C1-4アルキルスルホニル、C1-4ハロアルキルスルホニル、C1-4アルキルスルホキシ、C1-4アルコキシスルホニル、C1-4アルキルスルホニルオキシ、シアノ基、水酸基、ニトロ基、ホルミル基若しくはハロゲンである場合の化合物である本発明の農園芸用殺菌剤組成物。
(2) 有効成分(a)が1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール、3−(6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール、3−(2−ブロモ−3−クロロインドール−1−イル)−5−メチル−(N,N−ジメチルスルファモイル)1,2,4−トリアゾール、1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(2−メチル−3−クロロ−5,6−ジフルオロインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール及び1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(2−メチル−3−クロロ−4,6−ジフルオロインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールから成る群から選択される少なくとも1種の化合物である本発明の農園芸用殺菌剤組成物。
(3) 有効成分(a)が1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールである本発明の農園芸用殺菌剤組成物。
(4) 有効成分(a)及び有効成分(b)に加えて、効力増強成分(C)として、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスから成る群から選択された少なくとも1種を含有する本発明の農園芸用殺菌剤組成物。
(5) 効力増強成分(C)がノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤から成る群から選択された少なくとも1種である前記(4)の農園芸用殺菌剤組成物。
(6) 効力増強成分(C)が、シリコン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルから成る群から選択される展着剤の少なくとも1種である前記(5)の農園芸用殺菌剤組成物。
(7) 効力増強成分(C)が、商品名まくぴか、商品名パンガード KS-20、商品名ミックスパワー、商品名グラミンS、商品名アプローチBI、商品名フリゲート及び商品名ニーズから成る群から選択される展着剤の少なくとも1種である前記(6)の農園芸用殺菌剤組成物。
(8) 有効成分(a)と、有効成分(b)との混合重量比が1:10000〜10000:1である本発明の農園芸用殺菌剤組成物。
(9) 有効成分(a)及び有効成分(b)と、効力増強成分(c)との混合重量比が1:5000〜5000:1である前記(4)の農園芸用殺菌剤組成物。
(10) 本発明の農園芸用殺菌剤組成物を植物に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。
【実施例】
【0073】
参考例
キュウリべと病治療効果試験
〔水分散液の調製〕
効力増強成分が1000倍から10000倍濃度となるように水に分散させ、次いで前記化合物No.1濃度が63ppm若しくは16ppmとなるように添加し、水分散液を調製した。なお、効力増強成分としては、第表1及び第2表中に示した展着剤を用いた。また、比較のため、効力増強成分を含まない所定濃度(63ppm及び16ppm)の化合物No.1薬液を前記水分散液と同様に調製した。
【0074】
〔生物試験方法及び結果〕直径7.5cmのポリ鉢でキュウリ(品種:相模半白)を栽培し、2葉期に達したときに、べと病菌の胞子懸濁液を噴霧接種した。17時間後に各供試水分散液を1苗当たり5mlの割合でスプレーガンを用いて散布した。また、前記化合物No.1薬液も同様にして散布した。22〜24℃の恒温室内に6日間保った後、第1葉の病班面積を調査し、病班面積率(%)を求め、結果を第1表及び第2表に示した。また、コルビーの式により計算した発病率の理論値を第1表及び第2表の( )内に併せ示した。なお、化合物No.1薬液に代えて、化合物No.1と、ジメトモルフ、クロロタロニル、銅系化合物、イプロバリカルブ、ゾキサミド、亜リン酸若しくはその塩、フルアジナム、シアゾファミド、フルモルフ、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、エタボキサム、メタラキシルM及びベナラキシルMから成る群から選択された少なくとも1種とを含有する薬液を用いた場合も、同じ濃度域で、第1表及び第2表に示したものと同様の結果が得られる。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
試験例1
キュウリべと病治療効果試験
直径7.5cmのポリ鉢でキュウリ(品種:相模半白)を栽培し、2葉期に達したときに、べと病菌の胞子懸濁液を噴霧接種した。17時間後に各供試薬液を1苗当たり5mlの割合でスプレーガンを用いて散布した。また、前記化合物No.1薬液も同様にして散布した。22〜24℃の恒温室内に6日間保った後、第1葉の病班面積を調査し、病班面積率(%)を求め、結果を第3表及び第4表に示した。また、コルビーの式により計算した発病率の理論値を第3表及び第4表の( )内に併せ示した。
【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
試験例2
トマト疫病予防効果試験
直径7.5cmのポリ鉢でトマト(品種:ポンテローザ)を栽培し、4葉期に達した時に各供試化合物(化合物No.1及び他の殺菌剤)を所定濃度に調整した薬液を1苗あたり10mlの割合で散布するか、薬液の散布量をヘクタールあたり300Lになるようにスプレーガンを用いて散布した。
薬剤散布24時間後に疫病菌の遊走子のう懸濁液を噴霧接種した。22〜24℃の恒温室内に3日間保った後、病斑面積を調査し、病班面積率(%)を求めた。その結果を第5〜17表に示した。また、コルビーの式により計算した発病率の理論値を第5〜17表の( )内に併せ示した。なお、塩基性塩化銅としては、商品名ドイツボルドーA(第一農薬株式会社、北興化学株式会社)を、水酸化第二銅としては、商品名コサイドボルドー(グリフィン社)を使用し、それらの濃度は銅の濃度として示した。
【0081】
【表5】

1苗あたり10ml散布
【0082】
【表6】

ヘクタールあたり300L散布(250g/haは833.3ppmに相当)
同一系統であるメタラキシル−Mも同一濃度域で相乗効果が得られる。
【0083】
【表7】

ヘクタールあたり300L散布(250g/haは833.3ppmに相当)
【0084】
【表8】

ヘクタールあたり300L散布(250g/haは833.3ppmに相当)
【0085】
【表9】

ヘクタールあたり300L散布(250g/haは833.3ppmに相当)
【0086】
【表10】

ヘクタールあたり300L散布(100g/haは333.3ppmに相当)
【0087】
【表11】

ヘクタールあたり300L散布(2000g/haは6666.7ppmに相当)
【0088】
【表12】

ヘクタールあたり300L散布(400g/haは1333.3ppmに相当)
【0089】
【表13】


ヘクタールあたり300L散布(250g/haは833.3ppmに相当)
同一系統であるベンチアバリカルブ-イソプロピルも同一濃度域で相乗効果が得られる。
【0090】
【表14】


ヘクタールあたり300L散布(100g/haは333.3ppmに相当)
【0091】
【表15】

ヘクタールあたり300L散布(1500g/haは5000ppmに相当)
【0092】
【表16】

ヘクタールあたり300L散布(100g/haは333.3ppmに相当)
【0093】
【表17】

ヘクタールあたり300L散布(40g/haは133.3ppmに相当)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有効成分として、式(I):
【化1】

〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、C1-4アルキルであるか、又はR1とR2とが一緒になって形成するC4-6アルキレン若しくはC4-6アルキレンオキシであり;Yは水素原子、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ又はC1-4ハロアルキルチオであり;R3及びR4はそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4 アルケニル、C2-4 アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基又はC1-4アルコキシカルボニルであり;R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C2-4ハロアルケニル、C2-4ハロアルキニル、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルカルボニル、C1-4ハロアルキルカルボニル、C1-4アルキルカルボニルオキシ、C1-4アルキルスルホニル、C1-4ハロアルキルスルホニル、C1-4アルキルスルホキシ、C1-4アルコキシスルホニル、C1-4アルキルスルホニルオキシ、シアノ基、水酸基、ニトロ基、ホルミル基若しくはハロゲンであるか、又はR5、R6、R7及びR8のうちの2つが一緒になって形成するハロゲンで置換されてもよいC1-3アルキレンジオキシ基若しくはC3-6アルキレンである〕で表されるインドール系化合物の少なくとも1種と、(b)有効成分として、ジメトモルフ、クロロタロニル、銅系化合物、イプロバリカルブ、ゾキサミド、亜リン酸若しくはその塩、フルアジナム、シアゾファミド、フルモルフ、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、エタボキサム、メタラキシル‐M及びベナラキシルMから成る群から選択された少なくとも1種とを含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項2】
有効成分(a)が式(I)において、R3及びR4がそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4 アルケニル、C2-4 アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、ハロゲン、C1-4ハロアルキル、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基又はC1-4アルコキシカルボニルであり;R5、R6、R7及びR8がそれぞれ独立して、水素原子、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4ハロアルキルチオ、C2-4ハロアルケニル、C2-4ハロアルキニル、C1-4アルコキシカルボニル、C1-4アルキルカルボニル、C1-4ハロアルキルカルボニル、C1-4アルキルカルボニルオキシ、C1-4アルキルスルホニル、C1-4ハロアルキルスルホニル、C1-4アルキルスルホキシ、C1-4アルコキシスルホニル、C1-4アルキルスルホニルオキシ、シアノ基、水酸基、ニトロ基、ホルミル基若しくはハロゲンである場合の化合物である請求項1に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項3】
有効成分(a)が1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール、3−(6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール、3−(2−ブロモ−3−クロロインドール−1−イル)−5−メチル−(N,N−ジメチルスルファモイル)1,2,4−トリアゾール、1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(2−メチル−3−クロロ−5,6−ジフルオロインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール及び1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(2−メチル−3−クロロ−4,6−ジフルオロインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールから成る群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項4】
有効成分(a)及び有効成分(b)に加えて、効力増強成分(C)として、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、動植物油、鉱物油、水溶性高分子、樹脂及びワックスから成る群から選択された少なくとも1種を含有する請求項1に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項5】
有効成分(a)及び有効成分(b)に加えて、効力増強成分(C)として、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤から成る群から選択された少なくとも1種を含有する請求項1に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項6】
効力増強成分(C)が、シリコン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン高級脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪族アミン系界面活性剤、ポリナフチルメタンスルホン酸ナトリウム、ポリナフチルメタンスルホン酸ジアルキルジメチルアンモニウム及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルから成る群から選択される展着剤の少なくとも1種である請求項5に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項7】
有効成分(a)と、有効成分(b)との混合重量比が1:10000〜10000:1である請求項1に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項8】
有効成分(a)及び有効成分(b)と、効力増強成分(c)との混合重量比が1:5000〜5000:1である請求項4に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の農園芸用殺菌剤組成物を植物に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。

【公開番号】特開2006−143705(P2006−143705A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298621(P2005−298621)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】