説明

農学的に活性な成分を含む安定化された水中油型エマルジョン

本発明は、安定した農業用水中油型エマルジョン組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した農業用水中油型エマルジョン組成物に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2008年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/070,743号の利益を主張するものであり、これを参照によって本明細書に明確に引用したものとする。
【背景技術】
【0003】
液体活性成分または溶媒に溶解した活性成分の濃縮された水中油型エマルジョンは、他の種類の調合物よりも優れた特定の利点があるため、一般に農業用組成物に使用される。エマルジョンは、水ベースで、溶媒をほとんどまたは全く含まないものであり、活性成分の混合物を組み合わせて1つの調合物にすることができ、多様な包装材料と適合する。しかしながら、そのような農業用エマルジョンにはいくつかの欠点もある。つまり、そのような農業用エマルジョンは、安定化させるために大量の界面活性剤を必要とする複雑な調合物であることが多く、一般に非常に粘性があり、エマルジョンの小球がオスワルド熟成する傾向があり、時間とともに分離する。したがって、農業分野ではそのようなエマルジョン調合物の改善が必要とされている。
【0004】
化粧品用途および皮膚科学用途のためのいくつかの水中油型エマルジョン組成物が特許U.S.5,658,575、U.S.5,925,364、U.S.5,753,241、U.S.5,925,341、U.S.6,066,328、U.S.6,120,778、U.S.6,126,948、U.S.6,689,371、U.S.6,419,946、U.S.6,541,018、U.S.6,335,022、U.S.6,274,150、U.S.6,375,960、U.S.6,464,990、U.S.6,413,527、U.S.6,461,625および6,902,737に記載されており、このすべてを参照によって本明細書に明確に引用したものとする。しかしながら、これらの種類のエマルジョンは、パーソナルケア製品においての使用には好都合であることがわかっていたが、一般に化粧品の活性成分よりはるかに高濃度でエマルジョン中に存在する農学的に活性な化合物とはこれまで使用されてこなかった。
【0005】
関連の保存温度で液体であるかまたは適切な溶媒に可溶である農学的に活性な成分に適した農業用水中油型エマルジョン組成物の一例が米国特許出願第11/495,228号に開示されており、この開示を参照によって本明細書に明確に引用したものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、油相および水相を有する水中油型エマルジョンを含む農業用組成物に関し、当該水中油型エマルジョン組成物は、800ナノメートル未満の平均粒径を有する油の小球を形成するようになされた油と、少なくとも1つの農学的に活性な化合物と、少なくとも1つの親油性非イオン界面活性剤と、少なくとも1つの親水性非イオン界面活性剤と、少なくとも1つのイオン界面活性剤と、少なくとも1つの重合性界面活性剤と、水とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施形態は、油相および水相を有する新規の水中油型エマルジョン組成物であって、
800ナノメートル未満の平均粒径を有する油の小球を形成するようになされた油と;
少なくとも1つの重合性界面活性剤と;
少なくとも1つの農学的に活性な化合物と;
少なくとも1つの親油性非イオン界面活性剤と;
少なくとも1つの親水性非イオン界面活性剤と;
少なくとも1つのイオン界面活性剤と;
水と
を含む、組成物である。
【0008】
本発明の水中油型エマルジョンの油相は、油状の農学的に活性な化合物であるか、あるいは油に溶解もしくは混合した農学的に活性な化合物のいずれかを利用して、油の小球を形成する。定義によれば、油は水と混和しない液体である。上記農学的に活性な化合物と適合するあらゆる油を、本発明の水中油型エマルジョンに使用することができる。用語「適合する」とは、油が農学的に活性な化合物に溶解するかまたはこれと均一に混合して、本発明の水中油型エマルジョンの油の小球を形成できることを意味する。典型的な油としては、短鎖脂肪酸トリグリセリド、シリコーン油、石油留分または重質芳香族ナフサ系溶媒、軽質芳香族ナフサ系溶媒、水素化処理軽質石油留分、パラフィン系溶媒、鉱油、アルキルベンゼン、パラフィン油などの炭化水素;大豆油、菜種油、ココナッツ油、綿実油、パーム油、大豆油などの植物油;アルキル化された植物油ならびにオレイン酸メチルなどの脂肪酸アルキルエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
農学的に活性な化合物とは、いくらか農薬活性または殺生物活性を示す、摂氏約95℃未満の融点を有するあらゆる油溶性化合物、疎水性化合物または固体化合物として本明細書中では定義される。それ自体が油であるか、あるいは適切な重合調整剤の油に溶解した活性化合物である場合に、本質的に活性化合物を指すと理解される。このような化合物または農薬としては、殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺シロアリ剤、殺鼠剤、殺節足動物剤、除草剤、殺生物剤などが挙げられる。そのような農学的に活性な成分の例は、The Pesticide Manual、第12版で見つけることができる。本発明の水中油型エマルジョンに利用できる典型的な農薬としては、ベンフラカルブおよびカルボスルファンなどのメチルカルバミン酸ベンゾフラニル系殺虫剤;アルジカルブなどのオキシムカルバメート(oxime carbamate)系殺虫剤;クロロピクリン、1,3−ジクロロプロペンおよびメチルブロミドなどの燻蒸殺虫剤;フェノキシカルブなどの幼若ホルモン類似体;ジクロルボスなどの有機リン酸系殺虫剤;マラチオンおよびテルブホスなどの脂肪族有機チオリン酸系殺虫剤;ジメトエートなどの脂肪族アミド有機チオリン酸系殺虫剤;アジンホス−エチルおよびアジンホス−メチルなどのベンゾトリアジン有機チオリン酸系殺虫剤;クロルピリホスおよびクロルピリホス−メチルなどのピリジン有機チオリン酸系殺虫剤;ダイアジノンなどのピリミジン有機チオリン酸系殺虫剤;パラチオンおよびパラチオン−メチルなどのフェニル有機チオリン酸系殺虫剤;ビフェントリン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、γ−シハロトリン、λ−シハロトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、β−シペルメトリン、フェンバレレートおよびペルメトリンなどのピレスロイドエステル系殺虫剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明の水中油型エマルジョンに使用できる典型的な除草剤としては、ジメテナミドおよびジメテナミド−Pなどのアミド系除草剤;プロパニルなどのアニリド系除草剤;アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、メトラクロールおよびS−メトラクロールなどのクロロアセトアニリド系除草剤;セトキシジムなどのシクロヘキサノンオキシム系除草剤;ベンフルラリン、エタルフルラリン、ペンジメタリンおよびトリフルラリンなどのジニトロアニリン系除草剤;アスブロモキシニルオクタノエート(asbromoxynil octanoate)などのニトリル系除草剤;4−CPA、2,4−D、3,4−DA、MCPAおよびMCPA−チオエチルなどのフェノキシ酢酸系除草剤;4−CPB、2,4−DB、3,4−DBおよびMCPBなどのフェノキシ酪酸系除草剤;クロプロップ、4−CPP、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ−P、3,4−DP、フェノプロップ、メコプロップおよびメコプロップ−Pなどのフェノキシプロピオン酸系除草剤;シハロホップ、フルアジホップ、フルアジホップ−P、ハロキシホップ、ハロキシホップ−Rなどのアリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤;アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラムおよびトリクロピルなどのピリジン系除草剤;カルフェントラゾンエチルなどのトリアゾール系除草剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
除草剤は通常、ベノキサコール、クロキントセット、シオメトリニル、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジエトレート、フェンクロラゾール、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル、メフェンピル−ジエチル、MG191、MON4660、R29148、メフェナート、ナフタル酸無水物、N−フェニルスルホニル安息香酸アミド類およびオキサベトリニルなどの既知の除草剤の薬害軽減剤と組み合わせても使用することができる。
【0012】
本発明の水中油型エマルジョンに使用できる典型的な殺菌剤としては、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、ジノカップ、ジフェニルアミン、ドデモルフ、エディフェンホス、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンプロピモルフ、ミクロブタニル、オレイン酸(脂肪酸)、プロピコナゾール、テブコナゾールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
当業者には当然のことながら、安定で有効なエマルジョンが変わらず得られるかぎり、農学的に活性な化合物のあらゆる組み合わせをも本発明の水中油型エマルジョンに使用できる。
【0014】
水中油型エマルジョン中の農学的に活性な成分の量は、実際の活性成分、農学的に活性な成分の用途および当業者に周知の適切な散布濃度によって変化する。一般に、水中油型エマルジョン中の農学的に活性な成分の全量は、水中油型エマルジョンの総重量に基づいて約1重量パーセントから、通常約5重量パーセントから、好ましくは約10重量パーセントから、より好ましくは約15重量パーセントから、最も好ましくは約20から、約45重量パーセントまで、通常約40重量パーセントまで、好ましくは約35重量パーセントまで、最も好ましくは約30重量パーセントまでになる。
【0015】
溶解質の存在下で調合物を安定化させるために、重合性界面活性剤または重合性界面活性剤の組み合わせが水相に含まれてもよい。重合性界面活性剤は、一般に1500超の分子量を有する両親媒性のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーである。これらは、化学的に結合した少なくとも2つのホモポリマー成分からなり、その一方は調合物の水相に可溶性である(親水性部)が、他方は通常不溶性である(疎水性部)。アンカーポリマー(anchor polymer)と称される後者は、可溶性の化学種を油滴にくっつける働きをする。油滴表面から水相に突き出しラメラ液晶被膜と一緒になる(それにより油滴が合体するのを抑制する)可溶性の鎖が、油滴同士の接近を立体的に抑制する。その結果、水中油型エマルジョンが安定する。重合性界面活性剤は、一般に12を超える親水親油バランスを有する。適切な重合性界面活性剤の例としては、Toximul8323、Soprophor796PおよびAtlasG5000が挙げられる。
【0016】
本開示の水中油型エマルジョン組成物で使用してもよい上記のような農学的に活性な成分の例としては、フルロキピルメプチル、クロロピリホス、クロルピリホスメチル、トリフルラリン、シハロホップブチル、エタルフルラリン、ベンフルラリン、ミクロブタニル、アセキノシル、α−シペルメトリン、アミトラズ、ベンスルタップ、β−シフルトリン、β−シペルメトリン、ビフェノックス、ビフェントリン、ビオレスメトリン、オクタン酸ブロモキシニル、ブトラリン、シフルフェナミド、シフルトリン、シペルメトリン、ジクロホップ−メチル、ジコホル、エスフェンバレレート、エタルフルラリン、エトフェンプロックス、フェナザキン、フェノキサプロップ−P−エチル、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルミクロラック−ペンチル、フルオログリコフェン−エチル、フルラゾール、ハロキシホップ−エトチル、インドキサカルブ、λ−シハロトリン、メタミホップ、メトキシクロル、オキシフルオルフェン、ペンジメタリン、ペルメトリン、プロパキザホップ、ピリブチカルブ、キザロホップ−P−エチル、トリフロキシストロビン、ブロモホス、フェノキサプロップ−エチル、フルアゾレート、ニトロフェンおよびプロフルラリンが挙げられる。
【0017】
水中油型エマルジョンの成分は、以下に記すプロセスを用いて組み合わされ、ラメラ液晶被膜を有する油の小球を生じる。ラメラ液晶被膜は、極めて微細なモノラメラ層またはオリゴラメラ層である。オリゴラメラ層とは、2から5の脂質の薄膜を含む層を指すと理解される。ラメラ液晶被膜は、凍結割断またはネガティブ染色後の透過電子顕微鏡検査法、X線回析または偏光下での光学顕微鏡検査法により検出することができる。ラメラ液晶相の用語および構造は、「The Colloidal Domain」第2版、D.Fennell EvansおよびH.Wennerstrom著、Wiley−VCH(1999)、295〜296および306〜307ページに詳しく定義されている。オリゴラメラ層は、前述のとおり親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤およびイオン界面活性剤からなっている。好ましくは、親油性界面活性剤および親水性界面活性剤のそれぞれが、12個より多い炭素原子、好ましくは16から22個の炭素原子を有する任意選択で飽和および/または分岐の少なくとも1つの脂肪炭化水素鎖を含む。
【0018】
親油性界面活性剤のHLBは約2から約5の間であることが好ましい。HLBは、当業者に公知の標準用語であり、水または油への乳化剤の溶解度を特定する親水親油バランスを指す。
【0019】
親油性とは、脂質のような溶媒または脂質に溶解する物質の能力を表す。親油性界面活性剤は、一般にグリセロールもしくはポリグリセロールのエトキシ化されてもよいモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、(エトキシ化されてもよい)ソルビタンのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ペンタエリスリトールのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリオキシエチレンのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステルおよび糖類のモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステルから選択される。親油性界面活性剤の例としては、ジステアリン酸スクロース、ジステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、ヘキサグリセリルトリステアレート、ペンタステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ジエチレングリコール、グリセロールとパルミチン酸およびステアリン酸とのエステル、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸2EO(2個のエチレンオキシド単位を含む)、モノベヘン酸グリセリルおよびジベヘン酸グリセリルならびにテトラステアリン酸ペンタエリスリトールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
親水性とは、物質が水と会合する親和力を表す。親水性界面活性剤は、一般に約8から約12のHLBを有し、一般にポリエトキシ化されたソルビタンのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリオキシエチレンのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリグリセロールのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリオキシエチレンのポリオキシプロピレンまたはポリオキシブチレンとのブロックコポリマーおよびエトキシ化されてもよい糖類のモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステルから選択される。親水性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸ソルビタン4EO、ポリオキシエチレン化トリステアリン酸ソルビタン20EO、ポリオキシエチレン化トリステアリン酸ソルビタン20EO、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸8EO、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸10EO、ポリオキシエチレン化ジステアリン酸12EO、およびポリオキシエチレン化ジステアリン酸メチルグルコース20EOが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
重合性、親油性および親水性界面活性剤に加えて、イオン界面活性剤もラメラ液晶被膜のオリゴラメラ層を構成する。
【0022】
本発明の水中油型エマルジョンに使用できるイオン界面活性剤としては、(a)中和されたアニオン界面活性剤、(b)両性界面活性剤、(c)アルキルスルホン酸誘導体および(d)カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0023】
中和されたアニオン界面活性剤(a)としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・ジセチルリン酸およびジミリスチルリン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩およびカリウム塩;
・コレステリル硫酸およびコレステリルリン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩;
・N−ステアロイル−L−グルタミン酸の二ナトリウム塩などのアシルグルタミン酸一ナトリウムおよびアシルグルタミン酸二ナトリウムなどのリポアミノ酸ならびにその塩、ホスファチジン酸のナトリウム塩;
・リン脂質;ならびに
・アシルグルタミン酸の一ナトリウム塩および二ナトリウム塩、特にN−ステアロイルグルタミン酸。
【0024】
本発明の水中油型エマルジョンに使用できる、アルキルエーテルクエン酸エステルおよびその混合物から選択されるアニオン界面活性剤は、参照によって本明細書に引用したものとするU.S.6,413,527に開示されている。アルキルエーテルクエン酸エステルとしては、クエン酸と、8から22個の炭素原子を有する飽和または不飽和、直鎖または分岐のアルキル鎖を含み、3から9のオキシエチレン基を含む少なくとも1つのオキシエチレン化された脂肪アルコールとから生成されるモノエステルまたはジエステルならびにその混合物が挙げられる。これらのクエン酸エステルは、例えば、クエン酸と、3から9のオキシエチレン基を含むエトキシ化されたラウリルアルコールとのモノエステルおよびジエステルから選択することができる。アルキルエーテルクエン酸エステルはpHが約7の中和された形で使用されることが好ましい。中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニアなどの無機塩基ならびにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチル−1,3−プロパンジオール、N−メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニンおよびリジンなどの有機塩基ならびにその混合物から選択することができる。
【0025】
両性界面活性剤(b)には、リン脂質および特に純粋な大豆からのホスファチジルエタノールアミン挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
アルキルスルホン酸誘導体(c)としては、以下の式:
【0027】
【化1】

の化合物であって、Rが、混合物としてまたは個別にC1633基およびC1837基を表し、Mがアルカリ金属、好ましくはナトリウムである、化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
カチオン界面活性剤(d)としては、参照によって本明細書に引用したものとするU.S.6,464,990に開示されている界面活性剤が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらは、一般に第4級アンモニウム塩、脂肪族アミンおよびその塩からなる群から選択される。第4級アンモニウム塩としては、例えば、以下の式:
【0029】
【化2】


を示すものであって、R1基からR4基が、同じでも異なってもよく、1から30個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐の脂肪族基、またはアリールもしくはアルキルアリールなどの芳香族基を表す、第4級アンモニウム塩が挙げられる。脂肪族基は、酸素、窒素、硫黄およびハロゲンなどのヘテロ原子を含むことができる。脂肪族基としては、アルキル、アルコキシ、ポリオキシ(C〜C)アルキレン、アルキルアミド、(C12〜C22)アルキルアミド(C〜C6)アルキル、酢酸(C12〜C22)アルキルおよび約1から30個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基が挙げられ;Xが、ハロゲン化物、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、(C〜C)アルキル硫酸塩およびアルキルまたはアルキルアリールスルホン酸塩から選択されるアニオンである。第4級アンモニウム塩として好ましいのは、アルキル基が約12から22個の炭素原子を含む塩化ジアルキルジメチルアンモニウムおよび塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどの塩化テトラアルキルアンモニウム、特に塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、あるいはステアルアミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)塩化アンモニウム、以下の式:
【0030】
【化3】


のものなどのイミダゾリニウム第4級アンモニウム塩であり、R5が8から30個の炭素原子を含む例えば獣脂脂肪酸由来のアルケニル基またはアルキル基を表し;R6が水素原子、1から4個の炭素原子を含むアルキル基または8から30個の炭素原子を含むアルケニル基もしくはアルキル基を表し;R7が1から4個の炭素原子を含むアルキル基を表し;R8が水素原子または1から4個の炭素原子を含むアルキル基を表し;Xがハロゲン化物、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、アルキル硫酸塩またはアルキルスルホン酸塩およびアルキルアリールスルホン酸塩からなる群から選択されるアニオンである。好ましくはR5およびR6が、12から21個の炭素原子を含む例えば獣脂脂肪酸由来のアルケニル基またはアルキル基の混合物を表し、好ましくはR7がメチル基を表し、好ましくはR8が水素を表す。二塩化プロパン獣脂ジアンモニウム(propanetallowdiammonium dichloride)などの第4級ジアンモニウム塩も考えられる。
【0031】
脂肪族アミンとしては、以下の式
R9(CONH)(CHN(R11)R10
のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。ここで、R9が任意選択で飽和および/または分岐の8から30個の炭素原子、好ましくは10から24個の炭素原子を有する炭化水素鎖であり;R10およびR11がHならびに任意選択で飽和および/または分岐の1から10個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子を有する炭化水素鎖から選択され;
mが1から10、好ましくは1から5の整数であり;nが0または1のいずれかである。
【0032】
脂肪族アミンの例としては、ステアリルアミン、アミノエチル−エタノールアミドステアレート(aminoethyl-ethanolamide stearate)、ジエチレントリアミンステアレート(diethylenetriamine stearate)、パルミトアミドプロピルジメチル−アミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販の脂肪族アミンとしては、CrodaからのIncromine(商標)BB、NikkolからのAmidoamine(商標)MSPならびにInolexからのLexamine(商標)シリーズ、花王株式会社からのアセタミンシリーズ;Akzo NobelからのBerol380、390、453、455およびEthomeen(商標)シリーズ、ならびにCondea ChemieからのMarlazin(商標)L10、OL2、OL20、T15/2、T50挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
上記のとおり、界面活性剤は、本発明の水中油型エマルジョンの水相に懸濁した油の小球のラメラ液晶被膜を形成する。本発明の水中油型エマルジョンに利用される3つの界面活性剤の量は、一般に界面活性剤を組み合わせた総重量に基づいて親油性非イオン界面活性剤が約20重量パーセントから、好ましくは約35から約65重量パーセントまで、好ましくは約55重量パーセントまでであり、親水性非イオン界面活性剤が約15重量パーセントから、好ましくは約25から約50重量パーセントまで、好ましくは約40重量パーセントまでであり、イオン界面活性剤が約5重量パーセントから、好ましくは約10から約45重量パーセントまで、好ましくは約35重量パーセントまでである。本発明の水中油型エマルジョンに利用される重合性界面活性剤の量は、一般に水中油型エマルジョンの総重量に基づいて約0.1から約6重量パーセントである。油の小球の被膜には、水中油型エマルジョンの総重量に基づいて、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤およびイオン界面活性剤の合計量が約2から約20重量パーセントになるように含まれる。好ましくは、合計量が、水中油型エマルジョンの総重量に基づいて約2.5重量パーセントから、より好ましくは約3から10重量パーセントまで、より好ましくは約6重量パーセントまでである。
【0034】
油の総重量に対する表面活性化合物(重合性表面活性化合物を除く)の総重量の比は、一般に1:2.5から1:25である。
【0035】
水相は、一般に水であり、例えば、脱イオン水である。水相は、凝固点を降下させる化合物、例えばイソプロピルアルコールおよびプロピレングリコールなどのアルコール類;pH緩衝剤、例えばリン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸水素二ナトリウムなどのアルカリリン酸塩;殺生物剤、例えばProxel GXL;ならびに消泡剤、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(Dow CorningからのアンチフォームA)などの他の添加剤を含んでもよい。水中油型エマルジョンの安定性が変わらず維持されるかぎり、他の添加剤および/または補助剤も水相中に含めることができる。他の添加剤には、水溶性の農学的に活性な化合物も含まれる。
【0036】
油相または被膜された油の小球は、水中油型エマルジョン組成物の総重量に基づいて5重量パーセントから、好ましくは8重量パーセントから、より好ましくは10から50パーセントまで、好ましくは45重量パーセントまで、最も好ましくは40重量パーセントまでである。油/水の比は、一般に1以下である。
【0037】
水中油型エマルジョンの安定性および活性が変わらず得られるかぎり、他の添加剤および/または補助剤も本発明の水中油型エマルジョン中に含めることができる。本発明の水中油型エマルジョンは、標的部、例えば作物、雑草または生物の上への農学的に活性な成分の沈殿、ぬれ性および浸透を強化するために補助界面活性剤をさらに含んでもよい。これらの補助界面活性剤は、任意選択で油相中もしくは水相中のいずれかにおいてエマルジョンの成分またはタンクミックス成分として使用されてもよく、その望ましい使用および量は当業者に周知である。適切な補助界面活性剤としては、エトキシ化されたノニルフェノール、エトキシ化された合成アルコールもしくは天然アルコール、エステル塩またはスルホコハク酸塩、エトキシ化された有機シリコーン、エトキシ化された脂肪族アミンおよび界面活性剤と鉱油もしくは植物油との混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明の水中油型エマルジョンは、U.S.5,925,364に記載のプロセスに従って調製することができ、この教示を参照によって本明細書に引用したものとする。まず農学的に活性な成分または農学的に活性な成分の組み合わせを、融解させるかまたはポリマーのモノマーに溶解させ、必要であれば溶媒を添加して、その後、(1つまたは複数の)非イオン界面活性剤を混合物に溶解させる。次いで、小粒度の油の小球を得るために高圧ホモジナイザーを使用してキャビテーションによって、重合性界面活性剤とイオン界面活性とを含む水相を有する混合物を均質化する。被膜された油の小球の平均サイズは、レーザー回析粒度分析および走査電子顕微鏡法を用いて測定した場合、一般に800ナノメートル未満、好ましくは500ナノメートル未満最も好ましくは約200ナノメートルである。
【0039】
一実施形態では、水中油型エマルジョンを以下によって調製する。
1)(1つまたは複数の)農学的に活性な成分を融解させるかまたは任意の重合調整剤および任意選択で適切な溶媒に溶解させる;
2)混合物を得るために、親油性界面活性剤、(使用する場合)溶解した(1つまたは複数の)農学的に活性な成分を含む重合調整剤、親水性界面活性剤、農学的に活性な化合物および任意選択で適切な溶媒を含む油相と、重合性界面活性剤およびイオン界面活性剤を含む(B)水相とを混合する;
3)混合物をキャビテーションに供することにより混合物を均質化する。
【0040】
第一ステップでは、約5から60分間、約20℃から95℃の間の温度で、従来の撹拌、例えば約2000から7000rpmの間の速度で回転する高剪断ホモジナイザーを使用することよって、混合物を生成することができる。
【0041】
当業者に周知の約200から1000バールの間の圧力下での高圧ホモジナイザーの運転を使用して均質化を行うことができる。このプロセスは、連続的なパスによって行う。連続的なパスは通常、選択された圧力での1から12パスであり、混合物は各パス間では通常の圧力に戻される。第二ステップの均質化は、超音波作用下で、あるいはローターステーター型ヘッドを備えたホモジナイザーの使用によって行われてもよい。
【0042】
本発明の別の実施形態は、望ましくない生物、例えば真菌、雑草、昆虫、細菌または他の微生物および他の有害生物を防除、防止または除去するための農業用途における水中油型エマルジョンの使用である。上記には、植物病原性生物の攻撃から植物を保護するため、または既に植物病原性生物に感染した植物の処置のための水中油型エマルジョンの使用も含まれるであろう。これには、病気を抑制し、植物学的に許容される量の水中油型エマルジョン組成物を土、植物、植物の一部、葉、花、果実、および/または種に散布することが含まれる。用語「病気を抑制し、植物学的に許容される量」とは防除されることが望まれる植物の病気を消滅させるかまたは抑制するが、植物に対して重大な毒性とはならない化合物の量を指す。必要とされる活性化合物の正確な濃度は、防除する真菌病、使用される調合物の種類、散布方法、個々の植物種、気候条件などによって変化し、これは当技術分野では周知である。
【0043】
さらに、本発明の水中油型エマルジョンは、昆虫または他の有害生物、例えばげっ歯動物を防除するのに有用である。このように、本発明は、さらに昆虫または有害生物を抑制する方法を対象とし、この方法はそのような使用のために昆虫を抑制する量の農学的に活性な化合物を含む水中油型エマルジョンを昆虫または有害生物の場所に散布することを含む。本明細書で使用される用語、昆虫または有害生物の「場所」とは、昆虫または有害生物が生息する環境またはそれらの卵が存在する環境を指し、それらの周囲の空気、それらが食べる餌もしくはそれらが接触するものが含まれる。例えば、食用または鑑賞用植物を食べるかまたはそれに接触する昆虫は、種、植えられた幼植物もしくは挿し穂、葉、茎、果実、穀物または根などの植物の部分あるいは中に根が成長している土に活性化合物を散布することによって防除できる。この農学的に活性な化合物およびそれを含む水中油型エマルジョンは、織物、紙、貯蔵穀物、種、家畜、建物もしくはヒトに、またはそのようなものの近くに活性化合物を散布することによって、上記のようなものを保護するのにも有用な可能性があると考えられる。用語「昆虫または有害生物を抑制する」とは、生きた昆虫もしくは有害生物の数を減少させる、または生存能力のある昆虫の卵の数を減少させることを指す。化合物によって達成される減少の程度は、当然、化合物の散布量、使用される個々の化合物および標的の昆虫または有害生物種によって決まる。少なくとも不活性化する量が使用される必要がある。当技術分野では周知であるように、用語「昆虫または有害生物を不活性化する量」とは、処置される昆虫または有害生物集団を顕著に減少させるのに十分な量を表すのに使用される。
【0044】
化合物または組成物を散布する場所は、昆虫、ダニまたは有害生物が存在するあらゆる場所、例えば野菜作物、果実および堅果をつける木、ブドウ属のつる植物、鑑賞用植物、家畜、建物の内面または外面ならびに建物の周りの土とすることができる。
【0045】
毒物作用に対して耐性がある昆虫の卵の特有の能力から、他の既知の殺虫剤およびダニ駆除剤と同様に、新たに発生する幼虫を防除するためには繰り返し散布することが望ましいこともある。
【0046】
さらに、本発明は、除草剤である農学的に活性な化合物を含む水中油型エマルジョンの使用に関する。本明細書で使用される用語、除草剤とは、枯らす、防除する、または別の方法で植物の成長に反する変更をする活性成分を意味する。除草有効量または植生防除量とは、有害な変更効果をもたらす活性成分の量であり、自然な成長からの逸脱、枯らすこと、防除、乾燥、遅延などが含まれる。用語、植物および植生には、生えてくる幼殖物および定着した植生が含まれる。
【0047】
あらゆる成長段階の望ましくない植物の場所に除草剤が直接散布されたとき、または雑草が生える前に、除草活性は表れる。観察される効果は、防除する植物種、植物の成長段階、土壌成分の粒度、使用時の環境条件、使用される個々の補助剤および担体、土の種類など、ならびに散布される化学物質の量によって決まる。これらおよび他の要因は、選択的な除草作用を促進するために当技術分野で公知であるように調節可能である。通常、雑草の防除を最大限に達成するためにかかる除草剤は、望ましくない植生が生えてから比較的未成熟なうちに散布されることが好ましい。
【0048】
本発明の別の特定の態様は、線虫、ダニ、節足動物、げっ歯動物、シロアリ、細菌もしくは他の微生物などの有害生物を防止または防除する方法であり、この方法は、防除または防止が必要とされる場所に殺線虫剤、殺ダニ剤、殺節足動物剤、殺鼠剤、殺シロアリ剤もしくは殺生物剤などの適切な活性化合物を含む本発明の組成物を散布することを含む。
【0049】
病気、昆虫およびダニ、雑草または他の有害生物の場所に散布されるべき農学的に活性な化合物の実際の量は、当技術分野で周知であり、上記教示を鑑み当業者が容易に決定することができる。
【0050】
驚いたことに、本発明の組成物は、低粘度で、長期保存できる安定した農業用水中油型エマルジョンを提供する。さらに、本発明の安定した農業用水中油型エマルジョンは、他の驚くべき改善、例えば効力を提供することができる。
【0051】
本発明を説明するために以下の実施例を提供する。実施例は、本発明の範囲を限定する意図はなく、そのように解釈されるべきではない。他に指定がないかぎり、量は重量部または重量百分率である。
【実施例】
【0052】
これらの実施例は、本発明をさらに説明するために示し、限定するものとして解釈される意図はない。
【0053】
本明細書に開示されるように、他に指定がないかぎり、すべての温度は、摂氏で示され、すべての百分率は、重量百分率である。
【0054】
これらの実施例では、プロセスは以下の手順を用いて行う。
【0055】
大豆油のモデル化した農学的に活性な成分を非イオン界面活性剤と混合する(油相A)。Square Hole High Shear Screenを装着したSilversonL4RT高剪断ホモジナイザーで4000〜8000rpmで撹拌しながら、相Aを、重合性界面活性剤、イオン界面剤およびNaClを含む水相Bに注ぐ。撹拌および温度条件は10分間維持される。
【0056】
次いで、連続した1から12パスのために混合物をNiro SoaviのPanda2K型二段式高圧ホモジナイザーに入れ、圧力を1000バールに調節する。
【0057】
このようにして、安定化された水中油型エマルジョンが得られ、その油の小球の平均直径は一般におよそ200nmである。
【実施例1】
【0058】
塩環境(salt environment)における水中油型エマルジョンの安定性に対する重合性界面活性剤の影響
塩の存在下における水中油型エマルジョンの安定性に対する重合性界面活性剤の影響を示すために表1に示すような大豆油を含むモデルエマルジョンを開発した。
【0059】
【表1】

【0060】
開発されたモデル大豆油エマルジョンは非常に安定していた。このエマルジョンの粒度は、凍結融解および54℃で2週間経過しても全く増加しなかった。
【0061】
次に、0.01Mの塩化ナトリウムを含む類似のエマルジョンを作製した。配合を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
0.01MのNaClを含む大豆油エマルジョンは不安定であった。54℃で2週間保存すると、相分離が起きた。
【0064】
塩条件(salt condition)における安定化を改善するために、2つの典型的な重合性界面活性剤を選択して上記調合物に添加した。表3および表4は、塩の存在する条件下における2つの典型的な調合物を示している。
【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
2週間の54℃での保存および凍結融解(24時間毎に40℃から−10℃の温度サイクル)の後、両サンプルは安定していた。重合性界面活性剤を添加することにより、エマルジョンの耐塩性が約40倍改善された。
【実施例2】
【0068】
重合性界面活性剤によって安定化されたエマルジョンに対する塩濃度の影響
表5に示すモデル調合物において重合性界面活性剤によって安定化されたエマルジョンに対する塩濃度の影響を調べた。塩濃度を0.4M、0.5Mおよび0.6Mに変化させた。
【0069】
【表5】

【0070】
2週間の54℃での経過および凍結融解(Freeze/Thaw)(24時間毎に40℃から−10℃の温度サイクル)後、0.4MのNaCl濃度においてサンプルは安定していた。一方、高塩濃度(0.5Mおよび0.6M)においてサンプルは54℃で2週間経過後は安定していたが、2週間のF/T後には油滴が成長し始めたことがわかった。
【実施例3】
【0071】
塩の存在下におけるエマルジョンの安定性に対する重合性界面活性剤濃度の影響
表6に示すモデル系を使用して塩の存在下におけるEcoZomeの安定性に対する重合性界面活性剤濃度の影響を調べた。
【0072】
【表6】

【0073】
この実施例では、塩濃度を0.4Mに固定し、Soprophor796/Pの濃度を0.5%から4%に変化させた。最適ポリマー界面活性剤濃度が存在する可能性があることがわかった。2%のSoprophor796/P濃度では、54℃およびF/Tの両条件においてエマルジョンは比較的安定していた。一方で重合性界面活性剤濃度を増減すると2週間の保存後に両サンプルが相分離するなどの低い安定性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相および水相を有する水中油型エマルジョン組成物であって、前記油相が、
少なくとも1つの農学的に活性な化合物と;
少なくとも1つの親油性非イオン界面活性剤と;
少なくとも1つの親水性非イオン界面活性剤と;
少なくとも1つのイオン界面活性剤と;
少なくとも1つの重合性界面活性剤と
を含む、組成物。
【請求項2】
前記親油性非イオン界面活性剤は、2から5の間の親水親油バランスを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記親油性非イオン界面活性剤は、グリセロールもしくはポリグリセロールのエトキシ化されてもよいモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ソルビタンのエトキシ化されてもよいモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ペンタエリスリトールのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリオキシエチレンのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、および糖類のモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステルからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記親油性非イオン界面活性剤は、ジステアリン酸スクロース、ジステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、ヘキサグリセリルトリステアレート、ペンタステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ジエチレングリコール、グリセロールとパルミチン酸およびステアリン酸とのエステル、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸2EO(2個のエチレンオキシド単位を含む)、モノベヘン酸グリセリルおよびジベヘン酸グリセリルならびにテトラステアリン酸ペンタエリスリトールからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記親水性非イオン界面活性剤は、8から12の間の親水親油バランスを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記親水性非イオン界面活性剤は、ポリエトキシ化されたソルビタンのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリオキシエチレンのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリグリセロールのモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステル、ポリオキシエチレンのポリオキシプロピレンまたはポリオキシブチレンとのブロックコポリマー、およびエトキシ化されてもよい糖類のモノもしくはポリアルキルエーテルまたはエステルからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記親水性非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸ソルビタン4EO、ポリオキシエチレン化トリステアリン酸ソルビタン20EO、ポリオキシエチレン化トリステアリン酸ソルビタン20EO、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸8EO、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、ポリオキシエチレン化モノステアリン酸10EO、ポリオキシエチレン化ジステアリン酸12EOおよびポリオキシエチレン化ジステアリン酸メチルグルコース20EOからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記イオン界面活性剤は、(a)中和されたアニオン界面活性剤、(b)両性界面活性剤、(c)アルキルスルホン酸誘導体および(d)カチオン界面活性剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記イオン界面活性剤は、
・ジセチルリン酸およびジミリスチルリン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩およびカリウム塩;
・コレステリル硫酸およびコレステリルリン酸のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩;
・N−ステアロイル−L−グルタミン酸の二ナトリウム塩などのアシルグルタミン酸一ナトリウムおよびアシルグルタミン酸二ナトリウムなどのリポアミノ酸ならびにその塩、ホスファチジン酸のナトリウム塩;
・リン脂質;
・アシルグルタミン酸の一ナトリウム塩および二ナトリウム塩、特にN−ステアロイルグルタミン酸;ならびに
・アルキルエーテルクエン酸エステル
からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記イオン界面活性剤はリン脂質である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記イオン界面活性剤はアルキルスルホン酸誘導体である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記イオン界面活性剤は、第4級アンモニウム塩、脂肪族アミンおよびその塩からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記農学的に活性な化合物は、殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺生物剤、殺シロアリ剤、殺鼠剤、殺節足動物剤および除草剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
発生を防止または防除すべき真菌、土、植物、根、葉、種または場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、真菌の攻撃を防除または防止する方法。
【請求項15】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、昆虫を抑制する方法。
【請求項16】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、好ましくない植生を防止または防除する方法。
【請求項17】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、線虫を防止または防除する方法。
【請求項18】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、ダニを防止または防除する方法。
【請求項19】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、節足動物を防止または防除する方法。
【請求項20】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、細菌および他の微生物を防止または防除する方法。
【請求項21】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、げっ歯動物を防止または防除する方法。
【請求項22】
防除または防止が望まれる場所に請求項13に記載の組成物を散布することを含む、シロアリを防止または防除する方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの重合性界面活性剤は12を超える親水親油バランスを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記水中油型エマルジョン組成物は、前記水中油型エマルジョン組成物の総重量に基づいて約1から約60重量パーセントの全油相、約0.1から約6重量パーセントの重合性界面活性剤、約1から約45重量パーセントの農学的に活性な化合物、約0.4から約13重量パーセントの親油性非イオン界面活性剤、約0.3から約10重量パーセントの親水性非イオン界面活性剤、約0.1から約9重量パーセントのイオン界面活性剤からなる、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−515474(P2011−515474A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501881(P2011−501881)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/036519
【国際公開番号】WO2009/120486
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】