説明

農業用ハウス及び農業用ハウスの被覆フィルム

【課題】 本発明は、ポンプを常設する必要のない保温性に優れた農業用ハウスを提供する。
【解決手段】 本発明の農業用ハウスAは、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱1間に、二枚の合成樹脂フィルム2a、2bが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されていると共に、上記合成樹脂フィルム2a、2b間に上記合成樹脂フィルム2a、2b同士を互いに離間させて空気層Bを形成するためのスペーサ部材4が配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温性に優れた農業用ハウス及びこの農業用ハウスを形成することができる農業用ハウスの被覆フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農作物を栽培するにあたって農業用ハウスが用いられている。この農業用ハウスは、門形状に形成された複数個の支柱を所定間隔毎に配設すると共に、これら支柱間に合成樹脂製の被覆フィルムを張設することによって形成されており、農業用ハウス内の保温性を向上させるために被覆フィルムを二枚重ね合わせた状態にして張設することが行われていた。
【0003】
そして、重ね合わせられた被覆フィルム間にポンプを用いて空気を供給することによって、二枚の被覆フィルム間に空気層を形成し、この空気層を断熱層とすることによって農業用ハウスの保温性の向上を図っていた。
【0004】
このような農業用ハウスを形成するための農業用ハウスの被覆フィルムとして、特許文献1には、二重構造となっている空気膜形成フィルムの少なくとも両側長手方向端辺は熱溶着または接着により密閉形態とした農業ハウス被覆用のフィルムが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記農業ハウス被覆用のフィルムは、その内部に空気層を形成するためには、ポンプを用いて内部に空気を供給する必要があることから、ポンプを常設する必要があると共に、このポンプと農業ハウス被覆用のフィルム内とを接続する接続管を配設する必要があり、配管作業が面倒であると共に農業ハウスの形成に要する費用もかさむといった問題点を有していた。
【0006】
【特許文献1】特開2004−141017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポンプを常設する必要のない保温性に優れた農業用ハウスと、この農業用ハウスを形成することができる農業用ハウスの被覆フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の農業用ハウスは、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、二枚の合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されていると共に、上記合成樹脂フィルム間に上記合成樹脂フィルム同士を互いに離間させて空気層を形成するためのスペーサ部材が配設されていることを特徴とする。
【0009】
そして、上記農業用ハウスにおいて、スペーサ部材が筒状体であることを特徴とする。
【0010】
又、上記農業用ハウスにおいて、筒状体がその長さ方向を支柱の配設方向に合致させて配設されていることを特徴とする。
【0011】
更に、上記農業用ハウスにおいて、筒状体が可撓性を有する合成樹脂フィルムから形成されていることを特徴とする。
【0012】
そして、上記農業用ハウスにおいて、筒状体は、その一端部が全面的に閉塞され且つ他端部に逆止弁が一体的に設けられており、逆止弁を通じて筒状体内に空気を供給可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
又、上記農業用ハウスにおいて、筒状体が合成樹脂製管体であることを特徴とする。
【0014】
更に、上記農業用ハウスにおいて、支柱に着脱自在に固定された支持部材にスペーサ部材を支持させていることを特徴とする。
【0015】
そして、上記農業用ハウスにおいて、支柱間に架設された固定部材を介して支持部材を支柱に着脱自在に固定させていることを特徴とする。
【0016】
又、上記農業用ハウスにおいて、支持部材は、固定部材の溝部内に着脱自在に固定されている固定部と、スペーサ部材を支持している支持部とを有することを特徴とする。
【0017】
更に、上記農業用ハウスにおいて、支持部材は一本の線材を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部の内底面上に着脱自在に嵌め込まれている平面コ字状の底部及びこの底部の両先端から上方に向かって延設され且つ上記固定部材の溝部の両側壁部内面に弾性的に圧接した状態に着脱自在に嵌め込まれている両側固定アーム部からなる固定部と、この両側固定アーム部に延設されてスペーサ部材を支持している両側支持アーム部からなる支持部とからなることを特徴とする。
【0018】
そして、上記農業用ハウスにおいて、支持部材は一枚の板状体を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部内に着脱自在に嵌め込まれる固定部と、この固定部の上端縁から延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持部とからなることを特徴とする。
【0019】
又、上記農業用ハウスにおいて、支柱間に架設された固定部材にスペーサ部材を着脱自在に固定していることを特徴とする。
【0020】
更に、本発明の農業用ハウスの被覆フィルムは、農業用ハウスの支柱間に張設されて用いられる農業用ハウスの被覆フィルムであって、二枚の長尺状の合成樹脂フィルムがその幅方向の両端部同士において一体化されてなる外側筒状体と、この外側筒状体内に配設された合成樹脂フィルムからなる長尺状の内側筒状体とからなり、扁平状にして上記農業用ハウスの支柱間に張設されて用いられ、内側筒状体内に空気を供給して柱状に膨張させることによって外側筒状体内に空気層を形成可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
そして、上記農業用ハウスの被覆フィルムにおいて、内側筒状体がその長さ方向を外側筒状体の長さ方向に合致させた状態に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の農業用ハウスは、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、二枚の合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されていると共に、上記合成樹脂フィルム間に上記合成樹脂フィルム同士を互いに離間させて空気層を形成するためのスペーサ部材が配設されていることを特徴とするので、合成樹脂フィルム間に形成された空気層を断熱層として作用させており、優れた保温性を有する。
【0023】
又、上記農業用ハウスにおいて、筒状体は、その一端部が全面的に閉塞され且つ他端部に逆止弁が一体的に設けられており、逆止弁を通じて筒状体内に空気を供給可能に構成されている場合には、筒状体内に空気を供給、充満させて筒状体を柱状に膨張させることによって合成樹脂フィルム間に空気層を安定的に形成することができ、筒状体内にポンプなどを用いて頻繁に空気を供給する必要がなく、ポンプは勿論のこと、ポンプと筒状体とを接続する接続管の配設も必要としない。そして、筒状体内の空気が少なくなった時にのみ、筒状体内に空気を充填すればよく、農業用ハウスの保守に手間が掛からない。
【0024】
そして、上記農業用ハウスにおいて、筒状体が合成樹脂製管体である場合には、筒状体によって常時、確実に合成樹脂フィルム間に空気層を形成しておくことができ、優れた保温性を安定的に維持することができる。
【0025】
又、上記農業用ハウスにおいて、支柱に着脱自在に固定された支持部材にスペーサ部材を支持させていることを特徴とするので、スペーサ部材を二枚の合成樹脂フィルムの対向面間により安定的に配設させ、合成樹脂フィルム間により確実に空気層を形成することができ、優れた保温性をより安定的に維持することができる。
【0026】
そして、本発明の農業用ハウスの被覆フィルムは、農業用ハウスの支柱間に張設されて用いられる農業用ハウスの被覆フィルムであって、二枚の長尺状の合成樹脂フィルムがその幅方向の両端部同士において一体化されてなる外側筒状体と、この外側筒状体内に配設された合成樹脂フィルムからなる長尺状の内側筒状体とからなり、扁平状にして上記農業用ハウスの支柱間に張設されて用いられ、内側筒状体内に空気を供給して柱状に膨張させることによって外側筒状体内に空気層を形成可能に構成されていることを特徴とするので、内側筒状体を膨張させることによって外側筒状体内に空気層を形成し、この空気層を断熱層とした保温性に優れた農業用ハウスを簡単に且つ確実に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の農業用ハウスの一例を図面を参照しつつ説明する。農業用ハウスAは、図1及び図2に示したように、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形形状の支柱1、1・・・間に農業用ハウスの被覆フィルムを張設することによって構成されている。
【0028】
農業用ハウスAの門形形状の支柱1は複数本、それらの両端部を地中に埋設させるなどの汎用の手段を用いて所定場所に所定間隔毎に立設されている。そして、所定間隔毎に配設された複数本の門形形状の支柱1、1・・・のうちの両端に位置する支柱1a、1b間の距離よりも若干長い長さで且つ一定幅を有する二枚の長尺状の透明な可撓性合成樹脂フィルム2a、2bを互いに重ね合わせて一組の合成樹脂フィルム重合体とし、この合成樹脂フィルム重合体を複数組、後述する接続具3を用いて幅方向に互いに隙間なく且つ両端に位置する支柱1a、1b間の全長に亘って張設している。
【0029】
上記接続具3は、図3に示したように、断面コ字状の溝部310 を備えた長尺状の溝部材31と、この溝部材31の溝部310 に着脱自在に嵌め込まれる波形状に形成された止め金具32とからなる。
【0030】
上記溝部材31は、その長さ方向を支柱1、1・・・の配設方向(農業用ハウスAの長さ方向)に合致させつつ支柱1、1・・・間に架設され且つ支柱1の長さ方向に所定間隔毎に支柱1、1・・・に配設一体化されている。
【0031】
そして、上記溝部材31の溝部310 内に互いに隣接する合成樹脂フィルム重合体の対向端部同士を重ね合わせた状態にして挿入した上で溝部材31の溝部310 内に止め金具32を着脱自在に嵌め込むことによって、互いに隣接する合成樹脂フィルム重合体同士、即ち、合成樹脂フィルム2a、2b同士をそれらの幅方向に隙間なく接続一体化している。
【0032】
このようにして、接続具3、3によって幅方向の両端部が固定一体化された合成樹脂フィルム2a、2bは外側筒状体A1を構成しており、各外側筒状体A1内、即ち、合成樹脂フィルム2a、2bの対向面間のそれぞれには、可撓性を有する透明な合成樹脂フィルムからなり且つ複数本の門形形状の支柱1、1・・・のうちの両端に位置する支柱1a、1b間の距離よりも若干長い長さを有する長尺状の円筒状の内側筒状体4、4・・・がスペーサ部材として複数本、それらの長さ方向を合成樹脂フィルム2a、2bの長さ方向に合致させ且つ互いに平行な状態に配設されている。そして、内側筒状体4は、その他端部が外側筒状体A1の他端から外方に突出した状態とされており、この突出端部に、内側筒状体4内への空気の流入方向には自動的に弁を開放状態とするものの内側筒状体4外への空気の流出方向には弁の閉止状態を維持する逆止弁41が一体的に設けられている。
【0033】
なお、上記では、合成樹脂フィルム2a、2bの対向する両端部同士を接続具3、3によって一体化した場合を説明したが、合成樹脂フィルム2a、2bの対向する両端部同士を接着剤や熱融着によって予め一体化させておいてもよい。
【0034】
そして、図4に示したように、外側筒状体A1及び内側筒状体4の一端部を、両端に位置する支柱1a、1bのうちの一方の支柱1aに沿って配設された接続具3aの溝部材31a の溝部310a内に挿入した上で、溝部材31a の溝部310a内に止め金具32a を着脱自在に嵌め込むことによって、外側筒状体A1及び内側筒状体4の一端部をそれらの一端開口部が全面的に閉塞された状態にて支柱1aに全面的に固着している。
【0035】
一方、図5に示したように、外側筒状体A1及び内側筒状体4の他端部も、両端に位置する支柱1、1のうちの他方の支柱1bに沿って配設された接続具3bの溝部材31b の溝部310b内に挿入された上で、溝部材31b の溝部310b内に止め金具32b を着脱自在に嵌め込むことによって、外側筒状体A1の他端開口部が全面的に閉塞され且つ内側筒状体4の他端部がこれに一体的に取り付けた逆止弁41を外方に突出させた状態にて、外側筒状体A1及び内側筒状体4が支柱1bに固着されている。なお、農業用ハウスAの両端開口部は汎用の方法によって合成樹脂フィルムを用いて全面的に閉塞された状態となっている。
【0036】
外側筒状体A1及び内側筒状体4を両端の支柱1a、1bに固着させている接続具3a、3bの溝部材31a 、31b 及び止め金具32a 、32b は、上述した接続具3において、溝部材31及び止め金具32を共に支柱1a、1bに沿って屈曲させた構造とし、溝部材31にその溝部310 に沿って一体的に設けられた断面S字状の支持部311 が設けられていないこと以外は同一構造であるのでその説明を省略する。
【0037】
なお、合成樹脂フィルム2a、2bを構成している合成樹脂フィルムとしては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体などのプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などが挙げられ、これらは単独で使用されても、二種以上が併用されてもよい。上記合成樹脂としては、これらのなかでも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂がより好ましく、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
【0038】
又、内側筒状体4を構成している合成樹脂フィルムは、合成樹脂フィルム2a、2bと異なり、透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。内側筒状体4が透明な合成樹脂フィルムから形成されている場合、この合成樹脂フィルムを構成する合成樹脂フィルムとしては、合成樹脂フィルム2a、2bを構成している合成樹脂と同様のものが用いられることが好ましい。
【0039】
このようにして形成された農業用ハウスAは、その合成樹脂フィルム2a、2b間に配設された複数本の内側筒状体4、4・・・がその内部にその逆止弁41を通じて空気が充満されて円柱状に膨張しており、この内側筒状体4、4・・・によって合成樹脂フィルム2a、2b同士は互いに内外方向に離間した状態となって合成樹脂フィルム2a、2b間には空気層Bが全面的に形成されている。そして、農業用ハウスAは、合成樹脂フィルム2a、2b間に形成された空気層Bが断熱層の役割を果たして優れた保温性を有している。
【0040】
更に、農業用ハウスAは、その内側筒状体4内に空気を充満させることによって合成樹脂フィルム2a,2b間に空気層Bを形成しているので、従来の農業用ハウスと異なり、内側筒状体4内に空気を充満するためのポンプや、このポンプと内側筒状体とを接続する配管を必要とせず、内側筒状体4内の空気が抜けてきた時のみ、ポンプを用意して内側筒状体4内に空気を補充すればよく、構造を簡素化することができると共に経済的にも優れている。
【0041】
次に、農業用ハウスAの形成要領について説明する。先ず、農業用ハウスAの骨組みとなる門形状の支柱1、1・・・を複数個、その両端部を地中に埋設することによって所定間隔毎に地上に立設する。なお、複数個の門形状の支柱1、1・・・同士は、それらの上端部同士が長尺状の連結部材(図示せず)によって連結されている。
【0042】
そして、接続具3を構成する溝部材31をその長さ方向が支柱1、1・・・の配設方向(農業用ハウスAの長さ方向)に合致し且つ支柱1、1・・・を跨いだ状態にして支柱1の長さ方向に所定間隔毎に配設一体化する。同様に、両端に位置する支柱1a、1bにもこれら支柱1a、1bに沿って接続具3a、3bを構成する溝部材31a、31bを配設一体化する。
【0043】
しかる後、図6に示したように、両端に位置する支柱1a、1b間の距離よりも若干長い長さを有し且つ互いに隣接する接続具3、3間の間隔よりも若干長い幅を有する一定幅の透明な可撓性合成樹脂フィルム2a、2b・・・を複数枚、用意する。そして互いに隣接する接続具3の溝部材31、31間の空間部に合成樹脂フィルム2aを両端に位置する支柱1a、1b間の全長に亘って張設し、接続具3、3間の隙間を複数枚の合成樹脂フィルム2aで全面的に被覆した状態とする。
【0044】
次に、各合成樹脂フィルム2a上に、可撓性を有する合成樹脂フィルムからなる円筒状の内側筒状体4、4・・・を複数本、長さ方向を支柱1の配設方向(合成樹脂フィルム2aの長さ方向)に合致させた状態にて互いに平行な状態に配設する。そして、内側筒状体4の他端部を合成樹脂フィルム2aの他端よりも突出させ、この突出端部に逆止弁41を一体的に設ける。なお、内側筒状体4を膨張させて柱状にした状態において、合成樹脂フィルム2aと接する内側筒状体4部分を合成樹脂フィルム2aに接着剤や熱融着により部分的に或いは全面的に一体化させておいてもよい。
【0045】
しかる後、各合成樹脂フィルム2a上にこれと同一形状、同一大きさを有する透明な可撓性合成樹脂フィルム2bを重ね合わせて合成樹脂フィルム重合体を形成し、互いに隣接する合成樹脂フィルム重合体の対向端部同士を重ね合わせた上で接続具3の溝部材31の溝部310 内に挿入し、溝部材31の溝部310 内に止め金具32を着脱自在に嵌入することによって合成樹脂フィルム重合体の幅方向の両端部を全面的に閉塞した状態に支柱1、1・・・に固着して、合成樹脂フィルム2a、2bからなる外側筒状体A1内に内側筒状体4、4・・・が配設された状態とする。
【0046】
次に、外側筒状体A1及び内側筒状体4、4・・・の一端部を、両端に位置する支柱1a、1bのうちの一方の支柱1aに沿って配設された接続具3aの溝部材31a の溝部310a内に挿入した上で、溝部材31a の溝部310a内に止め金具32a を着脱自在に嵌め込むことによって、外側筒状体A1及び内側筒状体4、4・・・の一端部をそれらの一端開口部が全面的に閉塞された状態にて支柱1aに全面的に固着する。
【0047】
そして、各内側筒状体4内に逆止弁41を通じて空気を供給して円柱状に膨張させると共に、必要に応じて、外側筒状体A1内に空気を供給する。しかる後、外側筒状体A1及び内側筒状体4の他端部を、両端に位置する支柱1、1のうちの他方の支柱1bに沿って配設された接続具3bの溝部材31b の溝部310b内に挿入した上で、溝部材31b の溝部310b内に止め金具32b を着脱自在に嵌め込み、外側筒状体A1の一端開口部を全面的に閉塞し且つ内側筒状体4の他端部をこれに一体的に取り付けた逆止弁41が外方に突出した状態にて、外側筒状体A1及び内側筒状体4を支柱1bに固着して農業用ハウスAを形成することができる。なお、農業用ハウスAの両端開口部は汎用の要領にて合成樹脂フィルムを用いて全面的に閉塞する。
【0048】
この農業用ハウスAは、合成樹脂フィルム2a、2bが内外方向に重ね合わせられ、合成樹脂フィルム2a、2bの四方外周縁部が全面的に閉塞され、この合成樹脂フィルム2a、2bは該合成樹脂フィルム2a、2b間に配設された内側筒状体4によって互いに離間させられ、合成樹脂フィルム2a、2bの対向面間に空気層Bが形成されており、この空気層Bが断熱層の役割を果たし、農業用ハウスAは優れた保温性を有している。
【0049】
そして、内側筒状体4は、その内部に空気が充填、保持されて長期間に亘って円柱状に膨張した状態を安定的に維持するので、ポンプを内側筒状体4に常時、接続して、内側筒状体4内に常時或いは頻繁に空気を供給する必要はなく、内側筒状体4内の空気が漏出し、内側筒状体4の膨張状態が不充分となった時にのみ、内側筒状体4を固着させている止め金具32b を溝部材31b の溝部310bから一時的に取り外し、内側筒状体4内にその逆止弁41を通じてポンプなどを用いて空気を供給してやればよく、ポンプと内側筒状体4とを接続するための接続管を配設し、或いは、ポンプを常時、配設しておく必要はない。
【0050】
上記では、支柱1に合成樹脂フィルム2a、内側筒状体4及び合成樹脂フィルム2bをこの順序で配設して農業用ハウスAを形成した場合を説明したが、合成樹脂フィルム2a、2b及び内側筒状体4を予め一体化してなる農業用ハウスの被覆フィルムを支柱1に張設することによって農業用ハウスAを形成してもよい。
【0051】
上記農業用ハウスの被覆フィルムを具体的に説明する。農業用ハウスの被覆フィルムCは、図7に示したように、長尺状の外側筒状体C1と、この外側筒状体C1内に配設された複数本の長尺状の内側筒状体C2、C2・・・とからなる。
【0052】
上記外側筒状体C1は、一定幅を有する長尺状の透明な可撓性合成樹脂フィルム5、6を互いに重ね合わせ、これら合成樹脂フィルム5、6における幅方向の対向する両端部同士を熱融着或いは接着剤を用いて一体化することによって筒状に形成されている。
【0053】
そして、外側筒状体C1の合成樹脂フィルム5、6の対向面間に、透明な可撓性合成樹脂フィルムからなり且つ内部に空気を充満させることによって円柱状に膨張する長尺状の内側筒状体C2、C2・・・が複数本、配設されている。この内側筒状体C2は、合成樹脂フィルム5、6の何れか一方に固着されていても、或いは、合成樹脂フィルム5、6の何れにも固着されていなくてもよい。
【0054】
内側筒状体C2が合成樹脂フィルム5、6の何れか一方の合成樹脂フィルムの内面に固着されている場合、内側筒状体C2を円柱状に膨張させた状態において、合成樹脂フィルムに接している内側筒状体C2部分を全面的に或いは部分的に熱融着或いは接着剤を用いて合成樹脂フィルム上に一体化させればよい。
【0055】
次に、上記農業用ハウスの被覆フィルムCの製造方法について説明する。農業用ハウスの被覆フィルムCの製造方法としては、例えば、図8に示したように、一定幅を有する長尺状の合成樹脂フィルム5を用意し、この合成樹脂フィルム5上にその幅方向に所定間隔毎に長尺状の筒状体C2、C2・・・を複数本、互いに平行に配設した上で、合成樹脂フィルム5上にこの合成樹脂フィルム5と同一幅を有する別の合成樹脂フィルム6を重ね合わせ、合成樹脂フィルム5、6における互いに対向する幅方向の両端部同士を熱融着一体化することによって、合成樹脂フィルム5、6からなる外側筒状体C1内に複数本の内側筒状体C2、C2・・・が配設されてなる農業用ハウスの被覆フィルムCを製造することができる。なお、筒状体C2は汎用のインフレーション成形によって製造することができ、合成樹脂フィルム5上に筒状体C2、C2・・・を熱融着や接着剤によって固着させていてもよい。
【0056】
そして、上記農業用ハウスの被覆フィルムCを用いて農業用ハウスAを形成するには、農業用ハウスの被覆フィルムCにおける各内側筒状体C2の他端開口部に逆止弁41を有する筒状体を気密的に接続し、各内側筒状体C2の他端部に、外側筒状体C1の他端から外方に突出させた状態に逆止弁41を一体的に設ける。
【0057】
しかる後、農業用ハウスの被覆フィルムCを扁平状にして、上述の要領で立設した支柱1、1・・・における互いに隣接する接続具3の溝部材31、31間の空間部の夫々に外方から、両端に位置する支柱1a、1bの全長に亘って張設し、接続具3の溝部材31、31間の隙間を農業用ハウスの被覆フィルムCで全面的に閉塞する。
【0058】
次に、互いに隣接する農業用ハウスの被覆フィルムC、Cの対向端部同士を重ね合わせた上で接続具3の溝部材31の溝部310 内に挿入した後に止め金具32を溝部材31の溝部310 内に嵌入して農業用ハウスの被覆フィルムCの幅方向の両端部を支柱1、1・・・に固定一体化する。
【0059】
続いて、農業用ハウスの被覆フィルムCの一端部を、両端に位置する支柱1a、1bのうちの一方の支柱1aに沿って配設された接続具3aの溝部材31a の溝部310a内に挿入した上で、溝部材31a の溝部310a内に止め金具32a を着脱自在に嵌め込むことによって、農業用ハウスの被覆フィルムCの一端部をその一端開口部が全面的に閉塞された状態にて支柱1aに全面的に固着する。
【0060】
そして、各内側筒状体C2内に逆止弁41を通じて空気を供給して円柱状に膨張させると共に、必要に応じて、外側筒状体C1内に空気を供給した後、外側筒状体C1及び内側筒状体C2、C2・・・の他端部を、両端に位置する支柱1、1のうちの他方の支柱1bに沿って配設された接続具3bの溝部材31b の溝部310b内に挿入した上で、溝部材31b の溝部310b内に止め金具32b を着脱自在に嵌め込み、外側筒状体C1の一端開口部を全面的に閉塞し且つ内側筒状体C2の他端部をこれに一体的に取り付けた逆止弁41が外方に突出した状態にて、外側筒状体C1及び内側筒状体C2、C2・・・を支柱1bに固着して農業用ハウスAを形成することができる。なお、農業用ハウスAの両端開口部は汎用の要領にて合成樹脂フィルムを用いて全面的に閉塞する。
【0061】
内側筒状体C2、C2・・・内に空気を供給、充満させた状態においては、上記と同様に、円柱状に膨張した内側筒状体C2、C2・・・が外側筒状体C1の合成樹脂フィルム5、6の対向面間に所定間隔毎に配設された状態となり、合成樹脂フィルム5、6が内側筒状体C2、C2・・・を介して互いに離間して、合成樹脂フィルム5、6の対向面間に空気層Bが形成されている。
【0062】
上記では、内側筒状体4、C2の形態として、内側筒状体が膨張した際に円柱状となるものを説明したが、図9に示したように、収縮状態において、断面矩形状の筒状体C3をその幅方向における対向する壁部C31、C31を内方に向かってく字状に屈曲形成して図面上において上下方向に圧縮された形態のものであってもよい。この場合、内側筒状体C3を合成樹脂フィルム5上に固定する時は、内側筒状体C3における合成樹脂フィルム5との対向面の幅方向の両端部或いは全面を合成樹脂フィルム5に熱融着或いは接着剤を用いて固着一体化させておいてもよい。
【0063】
又、上記では、内側筒状体が可撓性を有する軟質合成樹脂フィルムから形成されている場合を説明したが、内側筒状体は、図10に示したように、保形性を有する合成樹脂製管体C4から形成されてもよい。このような場合、内側筒状体C4における長さ方向の両端が、合成樹脂フィルム5、6における長さ方向の両端部よりも内側に位置するように調整する必要があるものの、内側筒状体が可撓性を有する軟質合成樹脂フィルムから形成されている場合と異なり、内側筒状体C4内に空気を充満させる必要はない。
【0064】
上記農業用ハウスAにおいて、合成樹脂フィルム2a、2bの幅寸法を互いに隣接する接続具3、3間の間隔よりも若干長い幅寸法に形成してなる場合を説明したが、合成樹脂フィルム2a、2bのそれぞれを、それらの幅寸法が支柱1の長さ寸法に合致するか或いは僅かに長い一枚の合成樹脂フィルムから形成し、互いに重ね合わせられた状態の合成樹脂フィルム2a、2bを所定間隔毎に溝部材31の溝部310に挿入した上で該溝部材31の溝部310内に止め金具32を着脱自在に嵌め込むことによって、合成樹脂フィルム2a、2bを支柱1、1間に全面的に張設すると共に、互いに隣接する溝部材31、31間の合成樹脂フィルム2a、2bの対向面間に一本或いは複数本の筒状体4を配設してなるものであってもよい。
【0065】
上述のような農業用ハウスを形成するために用いられる農業用ハウスの被覆フィルムとしては、合成樹脂フィルムのそれぞれを、幅寸法が支柱1の長さ寸法に合致するか或いは僅かに長い一枚の合成樹脂フィルムから形成し、これらの合成樹脂フィルムの対向面間に複数本の筒状体4を配設してあるものであってもよい。なお、筒状体4は、溝部材31の溝部310に挿入される合成樹脂フィルム部分を除いた残余部分に配設されている。又、農業用ハウスの被覆フィルムCと同様の構成についてはその説明を省略する。
【0066】
又、上記では合成樹脂フィルム2a、2b間に筒状体4、C2〜C4を配設することによって合成樹脂フィルム2a、2bの対向面間に空気層Bを形成してなる農業用ハウスを説明したが、筒状体4、C2〜C4の代わりに、支柱1、1・・・に支持部材を直接或いは間接的に着脱自在に固定し、この支持部材にスペーサ部材を支持させるように構成してもよい。なお、上記農業用ハウスと同様の構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
具体的には、図11及び図12に示したように、支柱1、1・・・間に架設一体化されてなる溝部材31、31間のそれぞれには、長尺状の固定部材7が上記溝部材31に平行に支柱1a、1b間に架設一体化されており、図13に示したように、上記固定部材7は、一定幅を有する底部71の幅方向の両端から上方に向かって両側壁部72、72が互いに近接する方向に延設されており、長さ方向の両端が全面的に開口した断面略コ字状の溝部7aを有している。
【0068】
そして、合成樹脂フィルム2a、2bの対向面間に形成された空間部内に支持部材8が配設され、この支持部材8にスペーサ部材9を支持させることによって合成樹脂フィルム2a、2bを互いに離間させて空気層Bが形成されている。
【0069】
上記支持部材8は、図14及び図15に示したように、一本の弾性変形可能な線材を屈曲形成してなり、具体的には、一本の線材をその中央部において平面コ字状に屈曲形成してなる底部81及びこの底部81の両端から上方における斜め後方に向かって互いに近接する方向に延設された一対の両側固定アーム部82、82とからなる固定部8aと、上記両側固定アーム部82、82の上端のそれぞれに延設され且つ中央部において互いに離間する方向にく字状に屈曲83a、83aされてなる一対の両側支持アーム部83、83からなる支持部8bとからなり、上記両側支持アーム部83、83は、両側固定アーム部82、82の上端から上方における斜め前方に向かって互いに離間する方向に延設された両側下側アーム部83b、83bと、この両側下側アーム部83b、83bに屈曲部83a、83aを介して上方における斜め後方に向かって互いに近接する方向に延設された両側上側アーム部83c、83cとからなる。なお、底部81の幅寸法は、固定部材4における溝部4aの内底面の幅寸法に合致していると共に、両側支持アーム部83、83の上端部、即ち、両側上側アーム部83c、83cの上端部は凸円弧状に屈曲形成されている。
【0070】
そして、上記支持部材8は、図13に示したように、合成樹脂フィルム2aを介して、底部81及び両側固定アーム部82、82を固定部材7の溝部7a内に着脱自在に挿入し、底部81を固定部材7の溝部7aの内底面、即ち、底部71上に配設し且つ両側固定アーム部82、82を固定部材7の両側壁部72、72の内面に圧接させた状態に配設、固定されており、両側固定アーム部82、82の弾性力によって支持部材8は固定部材7の溝部7a内に安定的に着脱自在に固定されている。
【0071】
なお、支持部材8は複数個、固定部材7の溝部7a内にその長さ方向に所定間隔毎に着脱自在に配設、固定されており(図16参照)、互いに隣接する支持部材8、8間の合成樹脂フィルム2a部分が固定部材7の溝部7a内に安定的に挿入された状態に維持できる程度の間隔でもって支持部材8、8・・・が配設されている。
【0072】
更に、支持部材8の両側支持アーム部83、83は、固定部材7の両側壁部72、72の上端縁から上方に向かって突出した状態となっており、この両側支持アーム部83、83間にスペーサ部材9を支持させている。
【0073】
上記スペーサ部材9は、上記支持部材8に支持可能で合成樹脂フィルム2a、2bを互いに離間させた状態に維持することができれば特に限定されず、具体的には、図13に示したような、断面が縦長長方形状で且つ両端の支柱1a、1b間の距離に略合致した長さを有する長尺状のものが挙げられる。
【0074】
このスペーサ部材9は、支持部材8の両側支持アーム部83、83間に上方から挿入されて両側支持アーム部83、83によって両側から弾性的に挟持されていると共に、下端が両側支持アーム部83、83の下半部、即ち、下側アーム部83b、83bに受止された状態で起立状態に支持されている。
【0075】
そして、スペーサ部材9の下端と、固定部材7の両側壁部72、72の上端縁との間には、図16及び図17に示したように、通気部B1が形成されており、空気層Bがスペーサ部材9によって分断されることなく、スペーサ部材9を挟んで互いに反対側にある空気層Bが循環可能に構成されている。
【0076】
なお、上記では、スペーサ部材9を長尺状とし、固定部材7の溝部7a上にその全長に亘ってスペーサ部材9を配設した場合を説明したが、スペーサ部材9は、短尺状のものであってもよく、又、固定部材7の溝部7a上にスペーサ部材9が断続的に配設されていてもよい。
【0077】
又、スペーサ部材9としては、発泡体又は非発泡体の何れであってもよいが発泡体が好ましい。スペーサ部材9の材質としては、特に限定されず、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが挙げられ、エチレン−スチレン共重合体が好ましい。
【0078】
なお、プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。又、エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。
【0079】
次に、支持部材の他の一例について説明する。なお、上記支持部材8以外の農業用ハウスAの構成は同一であるのでその説明を省略する。図18に示した支持部材10は、固定部材7における両側壁部72、72の上端間の間隔よりも若干短い幅寸法を有する一枚の平面横長長方形状の板状体を屈曲形成してなり、具体的には、固定部材7における溝部7aの内底面の幅寸法に合致した幅寸法を有する平面長方形状の底部101a及びこの底部101aの幅方向の両端から上方に向かって互いに近接する方向に延設された一対の両側折返し部101b、101bとからなる固定部101と、両側折返し部101b、101bの上端から上方に向かって延設され且つ中央部において互いに離間する方向に凸円弧状に屈曲されてなる一対の両側支持部102、102とからなり、更に、両側支持部102、102の上端部は、互いに対向する方向に凸円弧状に屈曲形成されてスペーサ部材を両側から挟持する挟持部102a、102aに形成されている。
【0080】
そして、上記支持部材10は、図19に示したように、合成樹脂フィルム2aを介して、底部101a及び両側折り返し部101b、101bを固定部材7の溝部7a内に着脱自在に嵌め込むことによって固定されている。
【0081】
なお、支持部材10は複数個、上記支持部材8と同様に、固定部材7の溝部7a内にその長さ方向に所定間隔毎に着脱自在に配設、固定されており、互いに隣接する支持部材10、10間の合成樹脂フィルム2a部分が固定部材7の溝部7a内に安定的に挿入された状態に維持できる程度の間隔でもって支持部材10、10・・・が配設されている。
【0082】
そして、支持部材10の両側支持部102、102間にスペーサ部材9を挿入することによって、支持部材の両側支持部102の挟持部102a、102aによりスペーサ部材9を両側から挟持すると共に、下端を両側支持部102、102の下半部(基端近傍部)に受止させることによって、スペーサ部材9は起立状態に安定的に支持されている。
【0083】
この場合も上記と同様に、スペーサ部材9の下端と、固定部材7の両側壁部72、72の上端縁との間には、図19に示したように、通気部B1が形成されており、空気層Bがスペーサ部材9によって分断されることなく、スペーサ部材9を挟んで互いに反対側にある空気層Bが循環可能に構成されている。
【0084】
上記支持部材8、10では、スペーサ部材9を別体に構成した場合を説明したが、図20に示したように、スペーサ部材9’全体を弾性材料から形成し、スペーサ部材9’の下端に、固定部材7の溝部7aの断面形状に合致した断面等脚台形状の固定部91’を一体的に形成したものであってもよい。なお、スペーサ部材9’は、長尺状である必要はなく、短尺状であってもよい。
【0085】
又、図22に示したように、スペーサ部材9’の固定部91’の両側上端面を凹円弧状に凹ませると共に、固定部91’の両端に上方に向かって鉤状突起91a’、91a’を突設しておいてもよい。このように鉤状突起91a’、91a’を突設しておくことによって、スペーサ部材9’の固定部91’を固定部材7の溝部7a内に着脱自在に嵌め込んだ状態において、スペーサ部材9’の固定部91’に、固定部材7の溝部7aからの引き抜き方向の力が加わった場合に、スペーサ部材9’の固定部91’の鉤状突起91a’、91a’が上記引き抜き方向の力に抗し、スペーサ部材9’の固定部91’が固定部材7の溝部7aから引き抜かれるのを防止し、スペーサ部材9’を固定部材7の溝部7a内に安定的に配設させておくことができる。
【0086】
なお、図20乃至図22に示したスペーサ部材9’は、弾性材料から形成されており弾性変形可能であるので、スペーサ部材9’の固定部91’における固定部材7の溝部7a内への配設、固定は、スペーサ部材9’の固定部91’を固定部材7の溝部7aに向かって押圧し、固定部91’を弾性変形させながら固定部材7の溝部7a内に着脱自在に嵌め込めばよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の農業用ハウスを示した斜視図である。
【図2】本発明の農業用ハウスを示した縦断面図である。
【図3】本発明の農業用ハウスにおける接続具を示した部分拡大斜視図である。
【図4】本発明の農業用ハウスにおける接続具を示した部分拡大斜視図である。
【図5】本発明の農業用ハウスにおける接続具を示した部分拡大斜視図である。
【図6】農業用ハウスの形成途上を示した斜視図である。
【図7】本発明の農業用ハウスの被覆フィルムを示した斜視図である。
【図8】農業用ハウスの被覆フィルムを示した分解斜視図である。
【図9】内側筒状体の他の一例を示した斜視図である。
【図10】本発明の農業用ハウスの被覆フィルムの他の一例を示した斜視図である。
【図11】本発明の農業用ハウスの他の一例を示した斜視図である。
【図12】図11の農業用ハウスを示した縦断面図である。
【図13】図11の農業用ハウスにおける接続具及び固定部材を示した部分拡大斜視図である
【図14】支持部材を示した斜視図である。
【図15】図14の支持部材の平面図である。
【図16】図14の支持部材の使用状態を示した側面図である。
【図17】図14の支持部材の使用状態を示した正面図である。
【図18】支持部材の他の一例を示した支持部材である。
【図19】図18の支持部材の使用状態を示した正面図である。
【図20】スペーサ部材の一例を示した斜視図である。
【図21】図20のスペーサ部材の使用状態を示した正面図である。
【図22】スペーサ部材の他の一例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
1 支柱
1a 支柱
1b 支柱
2a 合成樹脂フィルム
2b 合成樹脂フィルム
3 接続具
3a 接続具
3b 接続具
31 溝部材
31a 溝部材
31b 溝部材
310 溝部
310a 溝部
310b 溝部
32 金具
32a 金具
32b 金具
4 内側筒状体
41 逆止弁
5 合成樹脂フィルム
6 合成樹脂フィルム
7 固定部材
71 底部
72 壁部
7a 溝部
8 支持部材
81 底部
82 固定アーム部
83 支持アーム部
8a 固定部
8b 支持部
9,9’ スペーサ部材
91’ 固定部
91a’ 鉤状突起
10 支持部材
101 固定部
102 支持部
A 農業用ハウス
A1 外側筒状体
B 空気層
C 被覆フィルム
C1 外側筒状体
C2 内側筒状体
C4 合成樹脂製管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、二枚の合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されていると共に、上記合成樹脂フィルム間に上記合成樹脂フィルム同士を互いに離間させて空気層を形成するためのスペーサ部材が配設されていることを特徴とする農業用ハウス。
【請求項2】
スペーサ部材が筒状体であることを特徴とする請求項1に記載の農業用ハウス。
【請求項3】
筒状体がその長さ方向を支柱の配設方向に合致させて配設されていることを特徴とする請求項2に記載の農業用ハウス。
【請求項4】
筒状体が可撓性を有する合成樹脂フィルムから形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の農業用ハウス。
【請求項5】
筒状体は、その一端部が全面的に閉塞され且つ他端部に逆止弁が一体的に設けられており、逆止弁を通じて筒状体内に空気を供給可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の農業用ハウス。
【請求項6】
筒状体が合成樹脂製管体であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の農業用ハウス。
【請求項7】
支柱に着脱自在に固定された支持部材にスペーサ部材を支持させていることを特徴とする請求項1に記載の農業用ハウス。
【請求項8】
支柱間に架設された固定部材を介して支持部材を支柱に着脱自在に固定させていることを特徴とする請求項7に記載の農業用ハウス。
【請求項9】
支持部材は、固定部材の溝部内に着脱自在に固定されている固定部と、スペーサ部材を支持している支持部とを有することを特徴とする請求項8に記載の農業用ハウス。
【請求項10】
支持部材は一本の線材を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部の内底面上に着脱自在に嵌め込まれている平面コ字状の底部及びこの底部の両先端から上方に向かって延設され且つ上記固定部材の溝部の両側壁部内面に弾性的に圧接した状態に着脱自在に嵌め込まれている両側固定アーム部からなる固定部と、この両側固定アーム部に延設されてスペーサ部材を支持している両側支持アーム部からなる支持部とからなることを特徴とする請求項8に記載の農業用ハウス。
【請求項11】
支持部材は一枚の板状体を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部内に着脱自在に嵌め込まれる固定部と、この固定部の上端縁から延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持部とからなることを特徴とする請求項8に記載の農業用ハウス。
【請求項12】
支柱間に架設された固定部材にスペーサ部材を着脱自在に固定していることを特徴とする請求項1に記載の農業用ハウス。
【請求項13】
農業用ハウスの支柱間に張設されて用いられる農業用ハウスの被覆フィルムであって、二枚の長尺状の合成樹脂フィルムがその幅方向の両端部同士において一体化されてなる外側筒状体と、この外側筒状体内に配設された合成樹脂フィルムからなる長尺状の内側筒状体とからなり、扁平状にして上記農業用ハウスの支柱間に張設されて用いられ、内側筒状体内に空気を供給して柱状に膨張させることによって外側筒状体内に空気層を形成可能に構成されていることを特徴とする農業用ハウスの被覆フィルム。
【請求項14】
内側筒状体がその長さ方向を外側筒状体の長さ方向に合致させた状態に配設されていることを特徴とする請求項13に記載の農業用ハウスの被覆フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−275050(P2007−275050A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180090(P2006−180090)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】