農業用ハウス
【課題】農業用ハウスにおいて、受粉用昆虫が飛翔方向を正確に認識できるよう圃場内に紫外線を照射し、受粉用昆虫による農作物の受粉を効果的に行なえるようにする。
【解決手段】農業用ハウス1は、受粉用昆虫2が放散される圃場3を覆うものであって、圃場空間を形成する、光透過性を有した被覆フィルム4と、被覆フィルム4に略直交する光のみを該被覆フィルム4に透過させ、圃場3内に配光する配光制御部材5とを備える。配光制御部材5は、被覆フィルム4に略直交する方向が圃場3の空間に対して少なくとも2方向を備えるように構成される。これにより、圃場3に照射される紫外線の偏光状態を被覆フィルム4の透過前後で維持することができ、圃場3内において天空の偏光パターンと同等の配光状態を実現でき、受粉用昆虫2が方向認識を的確に行い、圃場3内にある農作物31や巣箱32に向かって正確に飛翔できる。
【解決手段】農業用ハウス1は、受粉用昆虫2が放散される圃場3を覆うものであって、圃場空間を形成する、光透過性を有した被覆フィルム4と、被覆フィルム4に略直交する光のみを該被覆フィルム4に透過させ、圃場3内に配光する配光制御部材5とを備える。配光制御部材5は、被覆フィルム4に略直交する方向が圃場3の空間に対して少なくとも2方向を備えるように構成される。これにより、圃場3に照射される紫外線の偏光状態を被覆フィルム4の透過前後で維持することができ、圃場3内において天空の偏光パターンと同等の配光状態を実現でき、受粉用昆虫2が方向認識を的確に行い、圃場3内にある農作物31や巣箱32に向かって正確に飛翔できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の農業用ハウスにおいては、農作物の病害発生を防止するために、太陽光に含まれる紫外線を遮蔽することが知られている。ところで、受粉用昆虫の多くは、太陽光に含まれる紫外線偏光を感知することにより、太陽の位置を認識し、飛翔する方向を決定する特性を有している。そこで、このような農業用ハウスにおいて、農作物の受粉を行うときにだけ、ハウス内で紫外線発光体を発光させ、受粉用昆虫に受粉活動を行わせる構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−124534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の構成では、ハウス内において太陽光による天空の偏光パターンと同様の配光状態を実現できないために、受粉用昆虫は飛翔方向の認識が困難となり、農作物の受粉を効果的に行えないことがある。また、このような問題に対し、紫外線透過性を有した被覆材によりハウス圃場を形成した場合、被覆材に入射する紫外線の偏光状態が被覆材の透過前後で変化するために、上記と同様に、受粉用昆虫は方向認識が困難な状態となる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、受粉用昆虫が飛翔方向を正確に認識できるよう圃場内に紫外線を照射し、受粉用昆虫による農作物の受粉を効果的に行なえることが可能な農業用ハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、圃場空間を形成する、光透過性を有した被覆フィルムと、前記被覆フィルムに略直交する光のみを該被覆フィルムに透過させ、圃場内に配光する配光制御部材とを備え、前記配光制御部材は、該部材による該被覆フィルムに略直交する方向が圃場空間に対して少なくとも2方向を備えるように構成されているものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記配光制御部材は、前記被覆フィルムに略直交する遮光壁と、この遮光壁に囲まれ光入射側及び光出射側に開口面とを持つルーバ部材であり、このルーバ部材の構成単位は、前記開口面の最も長い2点間距離Aと前記開口面間の距離Bとの関係が下記式を満足するものである。
tan−1(A/B)<30°
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ルーバ部材は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材により構成されているものである。
【0009】
請求項4の発明は、受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、圃場空間を形成する紫外線遮断性部材から成り、光通過用の複数の開口を有した被覆フィルムと、前記各開口を覆い、該開口を通じて圃場内に入射する光を配光する光透過性の配光制御部材とを備え、前記複数の開口及び配光制御部材は、これらを通過する光が圃場空間に対して少なくとも2方向となるように備えられ、前記配光制御部材は、該部材を透過する透過光のうち、該部材に略直交する光のみを通過させるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、被覆フィルムに略直交する光のみを被覆フィルムに透過させ、圃場に照射される紫外線の偏光状態を被覆フィルムの透過前後で維持することができ、かつ、天空からの少なくとも2方向の紫外線の偏光を視認することができる。その結果、受粉用昆虫が方向認識を的確に行い、圃場内にある農作物や巣箱に向かって正確に飛翔することができる。従って、受粉用昆虫による農作物の受粉を効果的に行うことが可能となり、ひいては、農作物の収穫率向上を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、光入射側の開口面から入射する光のうち、被覆フィルムに略直交しない光を遮光壁により遮断し、被覆フィルムに略直交する光を光出射側の開口面から出射させることができるので、簡便な構造でありながら、圃場内において上記の配光状態を実現できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、可視光線が遮光壁に遮断されることなく、圃場に照射されるので、農作物の光合成を促進したり、圃場での作業に必要な照度を確保することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、配光制御部材を透過する透過光のうち、該部材に略直交する光のみを各開口から通過させ、圃場に照射される紫外線の偏光状態を配光制御部材の透過前後で維持し、かつ、圃場内に対して少なくとも2方向から光を入射させることができる。従って、圃場内において太陽光による天空の偏光パターンと同等の配光状態を実現でき、請求項1と同様の効果が得られる。また、紫外線遮断性を持つ既設のハウスに対し、配光制御部材の取付と開口の加工を行うだけで上記の効果を得ることができ、実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る農業用ハウスの斜視図。
【図2】上記農業用ハウスの側断面図。
【図3】上記農業用ハウスにおける配光制御部材の斜視構成図。
【図4】(a)乃至(e)は上記農業用ハウスの製作工程を示す図。
【図5】受粉用昆虫を中心とした天空の偏光パターンを示す図。
【図6】被覆フィルムに入射する偏光の概念図。
【図7】被覆フィルムにおける入射角度に対するs偏光及びp偏光の透過率を示す図。
【図8】(a)は被覆フィルムに直交する光の、被覆フィルムの透過前後における偏光状態を示す側面図、(b)は(a)に対応する平面図。
【図9】(a)は被覆フィルムに直交しない光の、被覆フィルムの透過前後における偏光状態を示す側面図、(b)は(a)に対応する平面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る農業用ハウスの斜視図。
【図11】上記農業用ハウスにおける配光制御部材の断面構成図。
【図12】上記農業用ハウス内における配光状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る農業用ハウスについて図1乃至図9を参照して説明する。図1、図2は本実施形態に係る農業用ハウス1の構成を示す。本農業用ハウス1は、受粉用昆虫2が放散される圃場3を覆うものであって、圃場空間を形成する被覆フィルム4と、被覆フィルム4に略直交する光のみを該被覆フィルム4に透過させ、圃場3内に配光する配光制御部材5とを備えている。受粉用昆虫2は、圃場3内で栽培される農作物31(例えば、果樹や野菜、花、きのこ等)の受粉を行うためのものであって、例えば、ミツバチやハルハナバチ等である。圃場3には、受粉用昆虫2の巣箱32が設置されている。
【0016】
被覆フィルム4は、本ハウス1の屋根部として設けられ、外側に凸となる略円弧状とされている。被覆フィルム4は、光透過性を有した部材で構成され、この部材としては、例えば、塩化ビニルやポリオレフィン系の透明樹脂材料等が挙げられる。ここで、本ハウス1の側壁部分6は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材で構成されることが望ましく、このような部材としては、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン系の透明樹脂材料に紫外線吸収剤が添加されたものが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系やトリアジン系、ベンゾフェノン系の吸収剤が挙げられる。
【0017】
図3は配光制御部材5の構成を示す。配光制御部材5は、被覆フィルム4上に設けられた格子状のルーバ部材51で構成される。ルーバ部材51は、ハウス1の屋根(湾曲面)形状に沿うように階段状に形成されており、被覆フィルム4に略直交する遮光壁51a(その厚みをtで示す)と、この遮光壁51aに囲まれ光入射側及び光出射側に略方形の開口面51bとを有している。開口面51bの形状は上記に限られず、円形状や楕円状であってもよい。ルーバ部材51は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材から成り、このような部材としては、本ハウス1の側壁部分6を構成する上記部材と同様のものが挙げられる。ルーバ部材51を構成する部材は上記に限られず、光遮断性を有した部材(例えば、黒色に着色された樹脂材料)であってもよい。ルーバ部材51の構成単位は、開口面51bの最も長い2点間距離Aと開口面51b間の距離Bとの関係が下記式を満足するよう設定される。
tan−1(A/B)<30°
すなわち、光出射側の開口面51bの最も長い2点間を結ぶ直線の対角θが30°以内となるように設定される。
【0018】
配光制御部材5は、該部材5による被覆フィルム4に略直交する方向が圃場3の空間に対して2方向を備えるように構成されている(図2参照)。具体的には、ルーバ部材51の構成単位毎に被覆フィルム4が互いに平行となり、その向きが本ハウス1の屋根峰の両側(前部側と後部側)において反対となるように配されている。なお、配光制御部材5の方向構成は、被覆フィルム4に略直交する方向が圃場3の空間に対して互いに異なる少なくとも2方向を備えていればよく、例えば、被覆フィルム4が湾曲形成されることにより、該方向が3方向以上備えていても構わない。
【0019】
図4を参照して本農業用ハウス1の製作方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、押出成形機Mを用いて、上記ルーバ部材51を製作するためのブロック50を所定の長さに押出成形する。また、押出成形に際し、遮光壁51aの厚みt(図3参照)は、圃場内への配光効率とルーバ部材51の耐久性を鑑みて、1mm程度にすることが望ましい。次に、図4(b)に示すように、前工程で得られたブロック50を本ハウス1の屋根形状に沿うように切断してルーバ部材51の構成エレメント5aを作製する。このとき、隣り合う開口面51bが互いに平行となるよう互いに段差をもって切断することが望ましい。切断方法としては、ウォータージェット加工やレーザーカット加工等が挙げられる。次に、図4(c)に示すように、前工程で得られた構成エレメント5aを複数組み合わせ、接着剤により接着し、ルーバ部材51を作製する。次に、図4(d)に示すように、前工程で得られたルーバ部材51のハウス内方側となる面に被覆フィルム4を貼り付ける。次に、図4(e)に示すように、前工程で得られたルーバ部材51と被覆フィルム4を組み合わせたものを本ハウスの骨組となる構造部材7に取り付け、本ハウス1を組み上げる。
【0020】
ここで、本ハウス1の作用を説明する前提として、図5を参照して受粉用昆虫が方向認識を行うための一般的な原理について説明する。天空においては、太陽光の散乱により様々な偏光10が存在しており、これら偏光10は、天空における位置に応じて所定の方向に振動している。この偏光方向により決定される偏光パターンは、太陽Sを中心として同心円状に分布している。受粉用昆虫2は、この偏光パターンにおける2成分の偏光方向を感知し、これら方向に垂直な2つの線の交点に太陽Sがあるとして太陽の位置を認識し、飛翔方向を決定する特性を有している。ここで、受粉用昆虫2による偏光感知は、偏光10に含まれる紫外線により行われる。
【0021】
次に、図6及び図7を参照して被覆フィルム4における偏光透過特性について説明する。図6に示すように、被覆フィルム4に入射する偏光11は、s偏光とp偏光とに分けられる。s偏光は、光の振動方向が入射面12に垂直な直線偏光として定義され、p偏光は、光の振動方向が入射面12内に含まれる直線偏光として定義される。図7に示すように、入射角度αが30°以下のときには、s偏光の透過率とp偏光の透過率は略等しくなり、入射角度αが30°を超えるときには、s偏光の透過率とp偏光の透過率に差異が生じることが分かる。なお、図7においては、本ハウス1における設置環境を想定し、光の屈折率が1.5である場合の透過率を示している。
【0022】
上記のように構成された農業用ハウス1の作用について説明する。図8は本実施形態における被覆フィルム4に直交する光の、被覆フィルム4の透過前後における偏光状態を示し、図9は比較例として被覆フィルム4に直交しない光の、被覆フィルム4の透過前後における偏光状態を示す。図8及び図9においては、被覆フィルム透過前の偏光状態を実線で示し、被覆フィルム透過後の偏光状態を破線で示す。図8(a)、(b)に示すように、被覆フィルム4には、配光制御部材5(図1及び図2参照)により太陽光Lが垂直入射する。このような太陽光Lは、上述した理由(図6、図7)から、被覆フィルム4の透過前及び透過後でs偏光とp偏光の透過率が略等しいため、全体の偏光方向が被覆フィルム4の透過前及び透過後で同じになる。
【0023】
それに対し、図9(a)、(b)に示すように、被覆フィルム4に太陽光Lが垂直入射しない場合(入射角度が30°以上)、その太陽光Lは、被覆フィルム4の透過前及び透過後でs偏光とp偏光の透過率に差異が生じるため、全体の偏光方向が被覆フィルム4の透過前及び透過後で相違することになる。このような場合、本ハウス1内において太陽光Lによる天空偏光パターンと同様の配光状態を実現できなくなり、受粉用昆虫は方向認識不能となって、農作物に向かって飛翔できなくなったり、巣箱に戻れず死滅したりするようになる。
【0024】
本実施形態に係る農業用ハウス1によれば、被覆フィルム4に略直交する光のみを被覆フィルム4に透過させ、圃場3に照射される紫外線の偏光状態を被覆フィルム4の透過前後で維持することができ、かつ、天空からの少なくとも2方向の紫外線の偏光を視認することができる。その結果、受粉用昆虫2が方向認識を的確に行い、圃場3内にある農作物31や巣箱32に向かって正確に飛翔することができる。従って、受粉用昆虫2による農作物31の受粉を効果的に行うことが可能となり、ひいては、農作物31の収穫率向上を図ることができる。
【0025】
また、光入射側の開口面51bから入射する光のうち、被覆フィルム4に略直交しない光を遮光壁51aにより遮断し、被覆フィルム4に略直交する光を光出射側の開口面51bから出射させることができるので、簡便な構造でありながら、圃場3内において上記の配光状態を実現できる。また、可視光線が遮光壁51aに遮断されることなく、圃場3に照射されるので、農作物31の光合成を促進したり、圃場3での作業に必要な照度を確保することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る農業用ハウスについて図10乃至図12を参照して説明する。図10は本実施形態に係る農業用ハウス1の構成を示す。本実施形態においては、上記被覆フィルム及び配光制御部材の構成が第1の実施形態と相違する。本農業用ハウス1は、光通過用の複数の開口14aを有した被覆フィルム14と、各開口14aを覆って該開口14aを通じて圃場3内に入射する光を配光する配光制御部材15とを備えている。被覆フィルム14は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材で構成され、このような部材としては、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン系の透明樹脂材料に紫外線吸収剤が添加されたものが挙げられる。複数の開口14a及び配光制御部材15は、これらを通過する光が圃場3の空間に対して少なくとも2方向となるように備えられている。
各開口14aは、円形状に形成されている。
【0027】
図11は配光制御部材15の構成を示す。配光制御部材15は、被覆フィルム14上において各開口14a毎に設けられており、半球状の光透過性部材15aと、光透過性部材15aと被覆フィルム14の間に介設された中空円板状の膜材15bとを有している。光透過性部材15aは、開口14aを通じて本ハウス1内に連通される半球状の空間15cを有しており、ポリカーボネードやアクリル等の透明樹脂で構成される。膜材15bは、その中空穴が開口14aよりも大きく設定されており、紫外線遮光性を持つ部材で構成される。光透過性部材15aは、該部材15aを透過する透過光のうち、該部材15aに略直交する光のみを通過させるように構成されており、具体的には、光透過性部材15aの外半径R1と空間半径R2とが、開口14aの穴半径R3の5倍以上になるよう設定されている。
【0028】
上記のように構成された農業用ハウス1の作用について説明する。図12は上記農業用ハウス1内における配光状態を示す。光透過性部材15aには、太陽光Lが複数の方向から垂直入射する。光透過性部材15aを透過した太陽光Lは、被覆フィルム14の開口14aを通過して圃場3内に配光される。ここに、上記太陽光Lは、上述した理由(図6、図7)から、光透過性部材15aの透過前及び透過後でs偏光とp偏光の透過率が略等しくなるため、全体の偏光方向が被覆フィルム14の透過前及び透過後で同じになる。
【0029】
本実施形態に係る農業用ハウス1によれば、光透過性部材15aを透過する透過光のうち、該部材15aに略直交する光のみを各開口14aから通過させ、圃場3に照射される紫外線の偏光状態を光透過性部材15aの透過前後で維持し、かつ、圃場内に対して少なくとも2方向から光を入射させることができる。従って、圃場3内において太陽光による天空の偏光パターンと同等の配光状態を実現でき、その結果、上記実施形態と同様の効果が得られる。また、紫外線遮断性を持つ既設のハウスに対し、配光制御部材15の取付と開口14aの加工を行うだけで上記の効果を得ることができ、実用性が高い。
【0030】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第1の実施形態において、配光制御部材5(ルーバ部材51)により被覆フィルム4に透過させる光は、被覆フィルム4に対する入射角が30°以内であればよい。また、第2の実施形態において、配光制御部材15により開口14aから通過させる光は、光透過性部材15aに対する入射角が30°以内であればよい。
【符号の説明】
【0031】
1 農業用ハウス
2 受粉用昆虫
3 圃場
4、14 被覆フィルム
14a 開口
5、15 配光制御部材
15a 光透過性部材
51 ルーバ部材
51a 遮光壁
51b 開口面
【技術分野】
【0001】
本発明は、受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の農業用ハウスにおいては、農作物の病害発生を防止するために、太陽光に含まれる紫外線を遮蔽することが知られている。ところで、受粉用昆虫の多くは、太陽光に含まれる紫外線偏光を感知することにより、太陽の位置を認識し、飛翔する方向を決定する特性を有している。そこで、このような農業用ハウスにおいて、農作物の受粉を行うときにだけ、ハウス内で紫外線発光体を発光させ、受粉用昆虫に受粉活動を行わせる構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−124534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の構成では、ハウス内において太陽光による天空の偏光パターンと同様の配光状態を実現できないために、受粉用昆虫は飛翔方向の認識が困難となり、農作物の受粉を効果的に行えないことがある。また、このような問題に対し、紫外線透過性を有した被覆材によりハウス圃場を形成した場合、被覆材に入射する紫外線の偏光状態が被覆材の透過前後で変化するために、上記と同様に、受粉用昆虫は方向認識が困難な状態となる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、受粉用昆虫が飛翔方向を正確に認識できるよう圃場内に紫外線を照射し、受粉用昆虫による農作物の受粉を効果的に行なえることが可能な農業用ハウスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、圃場空間を形成する、光透過性を有した被覆フィルムと、前記被覆フィルムに略直交する光のみを該被覆フィルムに透過させ、圃場内に配光する配光制御部材とを備え、前記配光制御部材は、該部材による該被覆フィルムに略直交する方向が圃場空間に対して少なくとも2方向を備えるように構成されているものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記配光制御部材は、前記被覆フィルムに略直交する遮光壁と、この遮光壁に囲まれ光入射側及び光出射側に開口面とを持つルーバ部材であり、このルーバ部材の構成単位は、前記開口面の最も長い2点間距離Aと前記開口面間の距離Bとの関係が下記式を満足するものである。
tan−1(A/B)<30°
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ルーバ部材は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材により構成されているものである。
【0009】
請求項4の発明は、受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、圃場空間を形成する紫外線遮断性部材から成り、光通過用の複数の開口を有した被覆フィルムと、前記各開口を覆い、該開口を通じて圃場内に入射する光を配光する光透過性の配光制御部材とを備え、前記複数の開口及び配光制御部材は、これらを通過する光が圃場空間に対して少なくとも2方向となるように備えられ、前記配光制御部材は、該部材を透過する透過光のうち、該部材に略直交する光のみを通過させるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、被覆フィルムに略直交する光のみを被覆フィルムに透過させ、圃場に照射される紫外線の偏光状態を被覆フィルムの透過前後で維持することができ、かつ、天空からの少なくとも2方向の紫外線の偏光を視認することができる。その結果、受粉用昆虫が方向認識を的確に行い、圃場内にある農作物や巣箱に向かって正確に飛翔することができる。従って、受粉用昆虫による農作物の受粉を効果的に行うことが可能となり、ひいては、農作物の収穫率向上を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、光入射側の開口面から入射する光のうち、被覆フィルムに略直交しない光を遮光壁により遮断し、被覆フィルムに略直交する光を光出射側の開口面から出射させることができるので、簡便な構造でありながら、圃場内において上記の配光状態を実現できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、可視光線が遮光壁に遮断されることなく、圃場に照射されるので、農作物の光合成を促進したり、圃場での作業に必要な照度を確保することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、配光制御部材を透過する透過光のうち、該部材に略直交する光のみを各開口から通過させ、圃場に照射される紫外線の偏光状態を配光制御部材の透過前後で維持し、かつ、圃場内に対して少なくとも2方向から光を入射させることができる。従って、圃場内において太陽光による天空の偏光パターンと同等の配光状態を実現でき、請求項1と同様の効果が得られる。また、紫外線遮断性を持つ既設のハウスに対し、配光制御部材の取付と開口の加工を行うだけで上記の効果を得ることができ、実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る農業用ハウスの斜視図。
【図2】上記農業用ハウスの側断面図。
【図3】上記農業用ハウスにおける配光制御部材の斜視構成図。
【図4】(a)乃至(e)は上記農業用ハウスの製作工程を示す図。
【図5】受粉用昆虫を中心とした天空の偏光パターンを示す図。
【図6】被覆フィルムに入射する偏光の概念図。
【図7】被覆フィルムにおける入射角度に対するs偏光及びp偏光の透過率を示す図。
【図8】(a)は被覆フィルムに直交する光の、被覆フィルムの透過前後における偏光状態を示す側面図、(b)は(a)に対応する平面図。
【図9】(a)は被覆フィルムに直交しない光の、被覆フィルムの透過前後における偏光状態を示す側面図、(b)は(a)に対応する平面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る農業用ハウスの斜視図。
【図11】上記農業用ハウスにおける配光制御部材の断面構成図。
【図12】上記農業用ハウス内における配光状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る農業用ハウスについて図1乃至図9を参照して説明する。図1、図2は本実施形態に係る農業用ハウス1の構成を示す。本農業用ハウス1は、受粉用昆虫2が放散される圃場3を覆うものであって、圃場空間を形成する被覆フィルム4と、被覆フィルム4に略直交する光のみを該被覆フィルム4に透過させ、圃場3内に配光する配光制御部材5とを備えている。受粉用昆虫2は、圃場3内で栽培される農作物31(例えば、果樹や野菜、花、きのこ等)の受粉を行うためのものであって、例えば、ミツバチやハルハナバチ等である。圃場3には、受粉用昆虫2の巣箱32が設置されている。
【0016】
被覆フィルム4は、本ハウス1の屋根部として設けられ、外側に凸となる略円弧状とされている。被覆フィルム4は、光透過性を有した部材で構成され、この部材としては、例えば、塩化ビニルやポリオレフィン系の透明樹脂材料等が挙げられる。ここで、本ハウス1の側壁部分6は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材で構成されることが望ましく、このような部材としては、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン系の透明樹脂材料に紫外線吸収剤が添加されたものが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系やトリアジン系、ベンゾフェノン系の吸収剤が挙げられる。
【0017】
図3は配光制御部材5の構成を示す。配光制御部材5は、被覆フィルム4上に設けられた格子状のルーバ部材51で構成される。ルーバ部材51は、ハウス1の屋根(湾曲面)形状に沿うように階段状に形成されており、被覆フィルム4に略直交する遮光壁51a(その厚みをtで示す)と、この遮光壁51aに囲まれ光入射側及び光出射側に略方形の開口面51bとを有している。開口面51bの形状は上記に限られず、円形状や楕円状であってもよい。ルーバ部材51は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材から成り、このような部材としては、本ハウス1の側壁部分6を構成する上記部材と同様のものが挙げられる。ルーバ部材51を構成する部材は上記に限られず、光遮断性を有した部材(例えば、黒色に着色された樹脂材料)であってもよい。ルーバ部材51の構成単位は、開口面51bの最も長い2点間距離Aと開口面51b間の距離Bとの関係が下記式を満足するよう設定される。
tan−1(A/B)<30°
すなわち、光出射側の開口面51bの最も長い2点間を結ぶ直線の対角θが30°以内となるように設定される。
【0018】
配光制御部材5は、該部材5による被覆フィルム4に略直交する方向が圃場3の空間に対して2方向を備えるように構成されている(図2参照)。具体的には、ルーバ部材51の構成単位毎に被覆フィルム4が互いに平行となり、その向きが本ハウス1の屋根峰の両側(前部側と後部側)において反対となるように配されている。なお、配光制御部材5の方向構成は、被覆フィルム4に略直交する方向が圃場3の空間に対して互いに異なる少なくとも2方向を備えていればよく、例えば、被覆フィルム4が湾曲形成されることにより、該方向が3方向以上備えていても構わない。
【0019】
図4を参照して本農業用ハウス1の製作方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、押出成形機Mを用いて、上記ルーバ部材51を製作するためのブロック50を所定の長さに押出成形する。また、押出成形に際し、遮光壁51aの厚みt(図3参照)は、圃場内への配光効率とルーバ部材51の耐久性を鑑みて、1mm程度にすることが望ましい。次に、図4(b)に示すように、前工程で得られたブロック50を本ハウス1の屋根形状に沿うように切断してルーバ部材51の構成エレメント5aを作製する。このとき、隣り合う開口面51bが互いに平行となるよう互いに段差をもって切断することが望ましい。切断方法としては、ウォータージェット加工やレーザーカット加工等が挙げられる。次に、図4(c)に示すように、前工程で得られた構成エレメント5aを複数組み合わせ、接着剤により接着し、ルーバ部材51を作製する。次に、図4(d)に示すように、前工程で得られたルーバ部材51のハウス内方側となる面に被覆フィルム4を貼り付ける。次に、図4(e)に示すように、前工程で得られたルーバ部材51と被覆フィルム4を組み合わせたものを本ハウスの骨組となる構造部材7に取り付け、本ハウス1を組み上げる。
【0020】
ここで、本ハウス1の作用を説明する前提として、図5を参照して受粉用昆虫が方向認識を行うための一般的な原理について説明する。天空においては、太陽光の散乱により様々な偏光10が存在しており、これら偏光10は、天空における位置に応じて所定の方向に振動している。この偏光方向により決定される偏光パターンは、太陽Sを中心として同心円状に分布している。受粉用昆虫2は、この偏光パターンにおける2成分の偏光方向を感知し、これら方向に垂直な2つの線の交点に太陽Sがあるとして太陽の位置を認識し、飛翔方向を決定する特性を有している。ここで、受粉用昆虫2による偏光感知は、偏光10に含まれる紫外線により行われる。
【0021】
次に、図6及び図7を参照して被覆フィルム4における偏光透過特性について説明する。図6に示すように、被覆フィルム4に入射する偏光11は、s偏光とp偏光とに分けられる。s偏光は、光の振動方向が入射面12に垂直な直線偏光として定義され、p偏光は、光の振動方向が入射面12内に含まれる直線偏光として定義される。図7に示すように、入射角度αが30°以下のときには、s偏光の透過率とp偏光の透過率は略等しくなり、入射角度αが30°を超えるときには、s偏光の透過率とp偏光の透過率に差異が生じることが分かる。なお、図7においては、本ハウス1における設置環境を想定し、光の屈折率が1.5である場合の透過率を示している。
【0022】
上記のように構成された農業用ハウス1の作用について説明する。図8は本実施形態における被覆フィルム4に直交する光の、被覆フィルム4の透過前後における偏光状態を示し、図9は比較例として被覆フィルム4に直交しない光の、被覆フィルム4の透過前後における偏光状態を示す。図8及び図9においては、被覆フィルム透過前の偏光状態を実線で示し、被覆フィルム透過後の偏光状態を破線で示す。図8(a)、(b)に示すように、被覆フィルム4には、配光制御部材5(図1及び図2参照)により太陽光Lが垂直入射する。このような太陽光Lは、上述した理由(図6、図7)から、被覆フィルム4の透過前及び透過後でs偏光とp偏光の透過率が略等しいため、全体の偏光方向が被覆フィルム4の透過前及び透過後で同じになる。
【0023】
それに対し、図9(a)、(b)に示すように、被覆フィルム4に太陽光Lが垂直入射しない場合(入射角度が30°以上)、その太陽光Lは、被覆フィルム4の透過前及び透過後でs偏光とp偏光の透過率に差異が生じるため、全体の偏光方向が被覆フィルム4の透過前及び透過後で相違することになる。このような場合、本ハウス1内において太陽光Lによる天空偏光パターンと同様の配光状態を実現できなくなり、受粉用昆虫は方向認識不能となって、農作物に向かって飛翔できなくなったり、巣箱に戻れず死滅したりするようになる。
【0024】
本実施形態に係る農業用ハウス1によれば、被覆フィルム4に略直交する光のみを被覆フィルム4に透過させ、圃場3に照射される紫外線の偏光状態を被覆フィルム4の透過前後で維持することができ、かつ、天空からの少なくとも2方向の紫外線の偏光を視認することができる。その結果、受粉用昆虫2が方向認識を的確に行い、圃場3内にある農作物31や巣箱32に向かって正確に飛翔することができる。従って、受粉用昆虫2による農作物31の受粉を効果的に行うことが可能となり、ひいては、農作物31の収穫率向上を図ることができる。
【0025】
また、光入射側の開口面51bから入射する光のうち、被覆フィルム4に略直交しない光を遮光壁51aにより遮断し、被覆フィルム4に略直交する光を光出射側の開口面51bから出射させることができるので、簡便な構造でありながら、圃場3内において上記の配光状態を実現できる。また、可視光線が遮光壁51aに遮断されることなく、圃場3に照射されるので、農作物31の光合成を促進したり、圃場3での作業に必要な照度を確保することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る農業用ハウスについて図10乃至図12を参照して説明する。図10は本実施形態に係る農業用ハウス1の構成を示す。本実施形態においては、上記被覆フィルム及び配光制御部材の構成が第1の実施形態と相違する。本農業用ハウス1は、光通過用の複数の開口14aを有した被覆フィルム14と、各開口14aを覆って該開口14aを通じて圃場3内に入射する光を配光する配光制御部材15とを備えている。被覆フィルム14は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材で構成され、このような部材としては、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィン系の透明樹脂材料に紫外線吸収剤が添加されたものが挙げられる。複数の開口14a及び配光制御部材15は、これらを通過する光が圃場3の空間に対して少なくとも2方向となるように備えられている。
各開口14aは、円形状に形成されている。
【0027】
図11は配光制御部材15の構成を示す。配光制御部材15は、被覆フィルム14上において各開口14a毎に設けられており、半球状の光透過性部材15aと、光透過性部材15aと被覆フィルム14の間に介設された中空円板状の膜材15bとを有している。光透過性部材15aは、開口14aを通じて本ハウス1内に連通される半球状の空間15cを有しており、ポリカーボネードやアクリル等の透明樹脂で構成される。膜材15bは、その中空穴が開口14aよりも大きく設定されており、紫外線遮光性を持つ部材で構成される。光透過性部材15aは、該部材15aを透過する透過光のうち、該部材15aに略直交する光のみを通過させるように構成されており、具体的には、光透過性部材15aの外半径R1と空間半径R2とが、開口14aの穴半径R3の5倍以上になるよう設定されている。
【0028】
上記のように構成された農業用ハウス1の作用について説明する。図12は上記農業用ハウス1内における配光状態を示す。光透過性部材15aには、太陽光Lが複数の方向から垂直入射する。光透過性部材15aを透過した太陽光Lは、被覆フィルム14の開口14aを通過して圃場3内に配光される。ここに、上記太陽光Lは、上述した理由(図6、図7)から、光透過性部材15aの透過前及び透過後でs偏光とp偏光の透過率が略等しくなるため、全体の偏光方向が被覆フィルム14の透過前及び透過後で同じになる。
【0029】
本実施形態に係る農業用ハウス1によれば、光透過性部材15aを透過する透過光のうち、該部材15aに略直交する光のみを各開口14aから通過させ、圃場3に照射される紫外線の偏光状態を光透過性部材15aの透過前後で維持し、かつ、圃場内に対して少なくとも2方向から光を入射させることができる。従って、圃場3内において太陽光による天空の偏光パターンと同等の配光状態を実現でき、その結果、上記実施形態と同様の効果が得られる。また、紫外線遮断性を持つ既設のハウスに対し、配光制御部材15の取付と開口14aの加工を行うだけで上記の効果を得ることができ、実用性が高い。
【0030】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第1の実施形態において、配光制御部材5(ルーバ部材51)により被覆フィルム4に透過させる光は、被覆フィルム4に対する入射角が30°以内であればよい。また、第2の実施形態において、配光制御部材15により開口14aから通過させる光は、光透過性部材15aに対する入射角が30°以内であればよい。
【符号の説明】
【0031】
1 農業用ハウス
2 受粉用昆虫
3 圃場
4、14 被覆フィルム
14a 開口
5、15 配光制御部材
15a 光透過性部材
51 ルーバ部材
51a 遮光壁
51b 開口面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、
圃場空間を形成する、光透過性を有した被覆フィルムと、
前記被覆フィルムに略直交する光のみを該被覆フィルムに透過させ、圃場内に配光する配光制御部材とを備え、
前記配光制御部材は、該部材による該被覆フィルムに略直交する方向が圃場空間に対して少なくとも2方向を備えるように構成されていることを特徴とする農業用ハウス。
【請求項2】
前記配光制御部材は、前記被覆フィルムに略直交する遮光壁と、この遮光壁に囲まれ光入射側及び光出射側に開口面とを持つルーバ部材であり、このルーバ部材の構成単位は、前記開口面の最も長い2点間距離Aと前記開口面間の距離Bとの関係が下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の農業用ハウス。
tan−1(A/B)<30°
【請求項3】
前記ルーバ部材は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の農業用ハウス。
【請求項4】
受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、
圃場空間を形成する紫外線遮断性部材から成り、光通過用の複数の開口を有した被覆フィルムと、
前記各開口を覆い、該開口を通じて圃場内に入射する光を配光する光透過性の配光制御部材とを備え、
前記複数の開口及び配光制御部材は、これらを通過する光が圃場空間に対して少なくとも2方向となるように備えられ、
前記配光制御部材は、該部材を透過する透過光のうち、該部材に略直交する光のみを通過させることを特徴とする農業用ハウス。
【請求項1】
受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、
圃場空間を形成する、光透過性を有した被覆フィルムと、
前記被覆フィルムに略直交する光のみを該被覆フィルムに透過させ、圃場内に配光する配光制御部材とを備え、
前記配光制御部材は、該部材による該被覆フィルムに略直交する方向が圃場空間に対して少なくとも2方向を備えるように構成されていることを特徴とする農業用ハウス。
【請求項2】
前記配光制御部材は、前記被覆フィルムに略直交する遮光壁と、この遮光壁に囲まれ光入射側及び光出射側に開口面とを持つルーバ部材であり、このルーバ部材の構成単位は、前記開口面の最も長い2点間距離Aと前記開口面間の距離Bとの関係が下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の農業用ハウス。
tan−1(A/B)<30°
【請求項3】
前記ルーバ部材は、紫外線を遮断し、可視光線を透過する部材により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の農業用ハウス。
【請求項4】
受粉用昆虫が放散される圃場を覆う農業用ハウスであって、
圃場空間を形成する紫外線遮断性部材から成り、光通過用の複数の開口を有した被覆フィルムと、
前記各開口を覆い、該開口を通じて圃場内に入射する光を配光する光透過性の配光制御部材とを備え、
前記複数の開口及び配光制御部材は、これらを通過する光が圃場空間に対して少なくとも2方向となるように備えられ、
前記配光制御部材は、該部材を透過する透過光のうち、該部材に略直交する光のみを通過させることを特徴とする農業用ハウス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−252691(P2010−252691A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106360(P2009−106360)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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