迅速な無菌マイクロアッセイ
本発明は、ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;その医薬品組成物をろ過して、その医薬品組成物が堆積した少なくとも3枚のメンブランを提供する工程;その3枚のメンブランを固体培地に置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する工程、好気性および嫌気性条件下で培養する工程、および生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを検出する工程であって、ここでメンブランにおける生存細胞、ミクロコロニー、またはコロニーの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す工程、を含む、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法に関連する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年5月4日に出願された米国仮出願第61/175,271号の利益を主張する。上記出願の教示全体は、参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
米国における連邦規制および他の国における同様の規制は、医薬品製品が実質的に細菌および真菌のような微生物を含まないことを保証するための無菌試験を必要とする。3つの一般的な方法、直接転移無菌試験、メンブランろ過無菌試験および製品フラッシュ無菌試験を使用して、そのような無菌試験を行なっている。伝統的な無菌試験を、2つの液体栄養培地(20℃〜25℃でインキュベートしたトリプティックソイブロス(TBS)および30℃〜35℃でインキュベートしたチオグリコール酸栄養培地(FTM))、およびすすぎ洗い用流体を用いて行い、そして14日間のインキュベーション時間を必要とする(例えばUSP<71>「Sterility Tests」、Pharmacopeial Forum.USP30−NF25からFirst Supplement The United States Pharmacopeial Convention,Inc.まで、EP2.1.6「Sterility」(European Pharmacopoiea 2.1.6「Sterility」EP第6版(2007))および他の関連する薬局方を参照のこと)。液状チオグリコール酸培地(FTM)は、2相を含む−液体培地の下部の相は嫌気性相であり、上部相は好気性インキュベーションのための酸素を含む。
【0003】
一般的に、メンブランろ過法を用いて医薬品製品の無菌性を試験するために、液体の、乳化した、または溶解した医薬品または医療製品(例えば活性成分、非経口処方物、点眼薬、鼻腔内スプレー等)を、孔径0.45ミクロンのメンブランを通してろ過し、そしてそのメンブランを適当な試験培地(FTMおよびTSB)へ移し、そして14日間インキュベートする。もし微生物が培養物中で増殖するなら、その医薬品製品は無菌ではなく、そして微生物学的同定のためにサンプルを取り得る。インキュベーションのために、およびまた培養物中で増殖する生物についての微生物学的同定のために多くの時間を要することは、不利益であり、かつその必要のある患者に対する医薬品製品の利用可能性を制限し得る。例えば、医療危機の場合に、14日間のインキュベーション期間を必要とする現在の無菌試験は、その危機を抑制または終息させ得る薬剤またはワクチンの利用可能性を遅延し得る。従って、迅速な無菌試験法のニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;b)その医薬品組成物をろ過して、その医薬品組成物のろ取物(filtrand)が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程;c)その少なくとも3枚のフィルターメンブランを、固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物(filtrand culture)を産生する工程;d)そのろ取物培養物を約13日間より長い期間培養しないという条件で、i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;および少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で培養する工程;およびe)メンブランにおいて生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーを検出する工程であって、ここでメンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す工程、を含む、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法に関連する。
【0005】
本方法はさらに、その医薬品組成物をろ過した後に、洗浄溶液をろ過する工程を含み得る。
【0006】
いくつかの実施態様において、そのメンブランは、ポリフッ化ビニリデンメンブラン、グラスファイバーメンブラン、ポリカーボネートメンブラン、ポリエチレンテレフタラートメンブラン、混合セルロースエステル(酢酸セルロースおよび硝酸セルロース)、ホスホセルロースメンブラン、DEAEメンブラン、ナイロンメッシュメンブラン、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluroethylene)メンブランである。好ましくは、そのメンブランは約0.45μmの孔径を有する。
【0007】
その固体培地を、FTM−A(1.075%の寒天を含む液状チオグリコール酸培地(最終濃度))、BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、Difco brewer嫌気性寒天培地、R2A寒天培地、Schaedler血液寒天培地、Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、Columbia寒天培地5%血液、およびCDC嫌気性血液寒天培地から成る群から選択され得る。
【0008】
いくつかの実施態様において、本方法は、約2から約7日間の期間、ろ取物培養物を培養する工程を含み得る。
【0009】
いくつかの実施態様において、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを、メンブランにおいて生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーが産生するアデノシン3リン酸(ATP)を検出する生物発光アッセイのような、発光アッセイを用いて検出する。その発光アッセイは、ルシフェラーゼアッセイを含み得る。
【0010】
いくつかの実施態様において、その発光アッセイはプローブおよび微生物に対して内因性である核酸の間に形成される核酸ハイブリダイゼーション産物を検出する。その発光アッセイは、ペルオキシダーゼ反応を含み得る。
【0011】
いくつかの実施態様において、その発光を、電荷結合素子カメラおよび画像分析ソフトウェアを用いて検出し得る。いくつかの実施態様において、生存微生物細胞、生存微生物ミクロコロニー、または生存微生物コロニーの数を、定量または測定し得る。
【0012】
いくつかの実施態様において、その医薬品組成物は、液体組成物である。その液体組成物は、非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、眼用組成物、またはワクチンであり得る。
【0013】
本発明はまた、a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;b)その医薬品組成物をろ過して、医薬品組成物のろ取物が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程;c)少なくとも3枚のフィルターメンブランを固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する工程;d)そのろ取物培養物を約13日間より長い期間培養しないという条件で、i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;およびiii)少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で培養する工程;およびe)メンブランにおいてアデノシン3リン酸(ATP)を検出する工程であって、ここでメンブランにおけるATPの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す工程、を含む、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、10分の時間枠にわたるM.osloensisのUV処理の結果を示すグラフである。4日間のインキュベーション後に存在するコロニー形成単位(CFU)の数を示す。そのグラフは、4分後にCFUの50%以上の減少を示す(3回の実施)。
【図2】図2は、10分の時間枠にわたるE.coliの熱処理の結果を示すグラフである。3日間のインキュベーション後のコロニー形成単位(CFU)の数を示す。そのグラフは、3分後にCFUの50%以上の減少を示す(3回の実施)。
【図3】図3は、10分の時間枠にわたる非経口製剤処理の結果を示すグラフである。5日間のインキュベーション後のコロニー形成単位(CFU)の数を示す。そのグラフは、2分後にCFUの50%以上の減少を示す(3回の実施)。
【図4】図4Aは、3分間70℃で熱処理したM.luteus細胞の顕微鏡写真である。図4Bは、トリプティックソイ寒天培地にまいて30℃〜35℃で3日間インキュベーションした後の未処理のM.luteus細胞の顕微鏡写真である。
【図5】図5は、未処理E.coli培養物、熱処理E.coli、UV処理E.coliおよびVoltaren処理E.coliの吸光度データを示すグラフである。
【図6】図6は、未処理E.coli培養物、熱処理E.coli、UV処理E.coliおよびVoltaren処理E.coliの吸光度データを示すグラフである。
【図7】図7は、未処理のE.coli増殖曲線および熱処理E.coli増殖曲線の比較を示すグラフである。3時間の過程で、E.coli培養物は0.2313の傾きを有し、次いで未処理の培養物の正常な傾きに戻る。
【図8】図8は、未処理のS.aureusの増殖曲線および熱処理S.aureus増殖曲線の比較を示すグラフである。4時間の過程で、ストレスをかけたS.aureus培養物は、0.1070の傾きを有し、次いで未処理の培養物の正常な傾きに戻る(4時間後、0.4034)。
【図9】図9は、未処理のC.albicansの増殖曲線および熱処理C.albicans増殖曲線の比較を示すグラフである。8時間超の過程で、ストレスをかけたC.albicans培養物は0.0419の傾きを有する。
【図10】図10は、未処理のB.pumilus増殖曲線および飢餓状態のB.pumilus増殖曲線の比較を示すグラフである。細胞は2〜8℃で7日間の栄養素欠乏を経験した。5時間の過程で、ストレスをかけたB.pumilus培養物は、−0.0056の傾きを有し、次いで未処理の培養物の正常な傾きに戻る。
【図11】図11は、Schaedler血液寒天培地のバックグラウンドテストの結果を示す顕微鏡写真である。MILLIFLEX RapidメンブランMXHVWP124を、30℃〜35℃で5日間、MILLIFLEXカセットにおいてSchaedler血液寒天培地上でインキュベートした。図11Aは、MILLIFLEX Rapid画像を示し、この場合はそのメンブランを100mlの流体Aですすぎ洗いした。図11Bは、100mlの流体Dですすぎ洗いしたメンブランを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、14日間のインキュベーション期間が必要な従来の試験よりも迅速な無菌試験の方法に関連する。本方法は、液体医薬品組成物(例えば溶液、懸濁液、エマルション、非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、眼用組成物、ワクチン)のような、ろ過性の液体組成物の迅速な無菌試験に特によく適合する。一般的に、本方法は、フィルターメンブランを通して医薬品組成物をろ過する工程を含み、次いでそのフィルターメンブランを固体培地に移し、そしてメンブラン上の生存微生物が増殖する、または十分な量の生体分子、例えばアデノシン3リン酸を産生することを可能にするために十分な時間、適当な増殖条件下でインキュベートして、微生物の検出を可能にする(例えば6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日)。
【0016】
1つの局面において、本発明は、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法である。その方法は、医薬品組成物(例えば液体医薬品組成物)を、フィルターメンブランを通してろ過して、医薬品組成物のろ取物、および医薬品組成物に存在し得るあらゆる生存微生物が堆積した、1枚超の(例えば少なくとも3枚の)フィルターメンブランを提供する工程を含む。所望の場合、次いで、洗浄溶液をろ過し、例えば増殖阻害剤、代謝阻害剤、または検出阻害剤をメンブランから洗い流し、そしてそれによってろ取物中の微生物の検出を促進することができる。ろ取物を含むフィルターメンブランを、固体培地に置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する。次いでそのろ取物培養物を、3つの異なる条件下:20℃〜25℃における好気性条件、30℃〜35℃における好気性条件、および30℃〜35℃における嫌気性条件において、フィルターメンブランに存在する生存微生物が増殖する、または十分な量の生体分子、例えばアデノシン3リン酸を産生するために十分な培養期間培養して、微生物の検出を可能にする。一般的に、そのろ取物培養物を、約13日以下の期間培養する、および好ましくは実質的に13日より短い期間培養する。次いで、そのろ取物培養物を、あらゆる適当な方法を用いて、メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在に関して評価する。フィルターメンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す。
【0017】
本発明の1つの局面において、ろ過性医薬品組成物を提供する工程、その組成物をろ過してろ取物が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程、その3枚のメンブランを固体培地に置いて、3つのろ取物培養物を産生する工程、約13日以下の培養期間、最初のろ取物培養物を、20℃〜25℃において好気性条件下で培養する工程、2番目のろ取物培養物を、30℃〜35℃において好気性条件下で培養する工程、および3番目のろ取物培養物を30℃〜35℃において嫌気性条件下で培養する工程、およびメンブランにおいてアデノシン3リン酸(ATP)を検出する工程を含む、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法が提供される。フィルターメンブランにおけるATPの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す。
【0018】
広い範囲の微生物を、本発明を用いて検出し得る(例えば酵母およびカビ、グラム陽性胞子形成細菌、グラム陰性細菌、グラム陽性球菌およびグラム陽性桿菌(好気性および嫌気性微生物の両方))。ATCC(American Type Culture Collection)株を検出するために、およびまた製造設備を汚染し得る環境微生物を検出するために、本方法を使用し得る。例えば、本明細書中で記載されるように、本方法を、Aspergillus brasiliensis ATCC16404(以前はAspergillus nigerとして公知であった)、Bacillus subtilis ATCC6633、Candida albicans ATCC10231、Clostridium sporogenes ATCC11437、Pseudomonas aeruginosa ATCC9027、Staphylococcus aureus ATCC6538、Escherichia coli ATCC8739、Acinetobacter Iwoffi、Bacillus clausii、Bacillus idriensis、Bacillus licheniformis、Bacillus pumilus、Bacillus sphaericus、Corynebacterium afermentans;Kocuria spez.、Kocuria rhizophilia(以前はMicrococcus luteusとして公知であった)、Moraxella osloensis、Penicillium spez.、Propionibacterium acnes、Staphyloccus capitis、Staphylococcus epidermidisおよびStaphylococcus warneriを検出するために使用し得る。
【0019】
一般的に、その医薬品組成物(例えば液体医薬品組成物)を、真空または陽圧を用いるような、圧力下の滅菌または無菌技術を用いて、無菌フィルターメンブランを通してろ過する。あらゆる適当なフィルターメンブランおよびろ過装置を使用し得る。適当なフィルターメンブランの例は、例えばポリフッ化ビニリデンメンブラン、グラスファイバーメンブラン、ポリカーボネートメンブラン、ポリエチレンテレフタラート(trephthalate)メンブラン、混合セルロースエステル(酢酸セルロースおよび硝酸セルロース)、ホスホセルロースメンブラン、DEAEメンブラン、ナイロンメッシュメンブラン、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluroethylene)メンブランを含む。好ましくは、そのメンブランはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)でできている。本請求される発明において使用するために適当なフィルターメンブランは、約0.1ミクロン(μm)から約20ミクロン、約0.1ミクロンから約15ミクロン、0.1ミクロンから約12ミクロン、0.1ミクロンから約10ミクロン、0.1ミクロンから約8ミクロン、0.1ミクロンから約6ミクロン、0.1ミクロンから約5ミクロン、0.4ミクロン−12ミクロン、0.4ミクロン−10ミクロン、0.4ミクロン−8ミクロン、0.4ミクロン−6ミクロン、約0.22ミクロン、または約0.45ミクロンの孔径のような、医薬品組成物に存在し得る微生物を保持するために十分小さい孔径を有する。好ましくは、そのメンブランフィルターは、約0.45ミクロンの孔径を有する。
【0020】
一般的に、ろ取物を含む少なくとも3枚のフィルターメンブランを調製する。医薬品組成物の3つの別々のサンプルを、3枚の別々のフィルターメンブランを通してろ過することによってこれを達成し得る。これをまた、医薬品組成物ろ取物を含む1枚のフィルターメンブランを調製し、そして滅菌または無菌技術を用いて、そのフィルターを3つの部分(例えばほぼ同じサイズの3つの部分)に切断または分割することによって達成し得る。医薬品組成物ろ取物を含むそのフィルターメンブランを、次いで適当な固体培地へ置いて、ろ取物培養物を産生する。
【0021】
検出される望ましい微生物の増殖および/または代謝を支援する、適当な固体培地および培養条件を選択し得る。例えば、本明細書中で記載および例示されたように、培地をスクリーニングすることによって、これを達成し得る。好ましくは、本方法において使用されるその固体培地は、好気性および嫌気性培養条件下で、広い範囲の微生物の増殖を支援する。所望の場合、1つ超の固体培地を使用し得る。例えば、酵母、カビおよび好気性細菌の増殖のための、液体トリプティックソイブロスと同等の、またはそれより良い最初の培地を使用し得る;嫌気性微生物の増殖のための、液状チオグリコール酸培地の嫌気性相と同等の、またはそれより良い2番目の固体培地を選択し得る;そして好気性微生物の増殖のための、液状チオグリコール酸培地の好気性相と同等の、またはそれより良い3番目の固体培地を選択し得る。好ましくは、好気性および嫌気性条件下の両方で、単一の固体培地を使用する。本発明で使用し得る適当な固体培地は、例えばFTM−A(1.075%の寒天(最終濃度)を含む液状チオグリコール酸培地)、BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、Difco Brewer嫌気性寒天培地、R2A寒天培地、Schaedler血液寒天培地、Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、Columbia寒天培地5%血液またはCDC嫌気性血液寒天培地を含む。Schaedler血液寒天培地は、本方法で使用するために特に好ましい固体培地である。
【0022】
好ましい固体培地は、本明細書中で記載されたような、「ストレスをかけた」および「ストレスをかけていない」微生物の増殖および/または代謝を支援するために適当である。微生物は、医薬品組成物の製造の間のような、プロセス化学反応(process chemistry)の間に、ストレス、例えば低浸透圧または高浸透圧ストレス、照射(UV光、ガンマ線照射、マイクロ波のような)、超音波、熱、低温または化学的ストレス(例えば塩素または医薬品製剤によって引き起こされる)を経験し得るので、これは望ましい。
【0023】
ろ取物培養物を、メンブラン上の生存微生物が、増殖してミクロコロニーまたはコロニーを生じる、または十分な量の生体分子、例えばアデノシン3リン酸を産生することを可能にするために十分な期間、適当な増殖条件下でインキュベート(すなわち培養)して、微生物の検出を可能にする。一般的に、1つのろ取物培養物を、30℃〜35℃において好気性条件下でインキュベートし、2番目のろ取物培養物を、30℃〜35℃において嫌気性条件下でインキュベートし、そして3番目のろ取物培養物を20℃〜25℃において好気性条件下でインキュベートする。
【0024】
いくつかの実施態様において、そのろ取物培養物を、生存微生物が、少なくとも約200アトモルのATP、少なくとも約200フェムトモルのATP、少なくとも約200ピコモルのATP、または少なくとも約200ナノモルのATPのような、検出可能な量のATPを産生することを可能にするために十分な期間培養する。培養期間は、約2から約7日、約2から約8日、約2から約9日、約2から約10日、約2から約11日、約2から約12日、約2から約13日、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、または約6日であり得る。個々のろ取物培養物それぞれのインキュベーション期間は、適切に変動させ得、そして全てのろ取物培養物を同じ長さの時間培養する必要はない。好ましいインキュベーション時間は、検出する微生物に基づいて変動する。
【0025】
ろ取物培養物のインキュベーション後にフィルターメンブランに存在する、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを、視覚的検査によって、または好ましくは適当なアッセイを用いることによるなど、あらゆる適当な方法を用いて検出し得る。例えば、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを検出するために、発光アッセイ(例えばルシフェラーゼアッセイ)を使用し得る。発光を検出するために、電荷結合素子カメラ、画像処理装置、および/または画像分析ソフトウェアのような、あらゆる適当な方法またはシステムを使用し得る。好都合なことに、画像分析ソフトウェアを、生存微生物細胞、生存微生物ミクロコロニー、または生存微生物コロニーの数を定量または測定するために使用し得る。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼアッセイのような発光アッセイを、フィルターメンブラン上の生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーによって産生されたアデノシン3リン酸(ATP)を検出するために使用する。例えば、ATP放出試薬および生物発光薬剤(例えばルシフェラーゼおよびルシフェリンを含む試薬)をフィルターメンブランに適用し、そしてもし生存細胞がATPを産生するなら発光が生じる。発光によってATPを検出するために適当な試薬は、当該分野で周知であり、そして市販で入手可能である(例えばMILLIFLEX迅速試薬キット;Millipore Corporation、Billerica、Massachusetts)。
【0026】
ろ取物培養物のインキュベーション後にフィルターメンブランに存在する生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーをまた、例えば微生物に対して内因性である核酸にハイブリダイズするプローブのハイブリダイゼーションを検出する発光アッセイを用いて検出し得る。その発光アッセイは、ペルオキシダーゼ反応または他の適当な反応を含み得る。ペルオキシダーゼおよび他の酵素の活性によって発光を生じさせるために適当な試薬は周知であり、そして市販で入手可能である。
【0027】
約10−100個の酵母細胞または約1000個の細菌細胞の検出を可能にするアッセイおよび検出システムを使用し得る。好ましくは、単一の細胞または約100個と少ない細胞の検出を可能にするアッセイおよび検出システムを使用する。例えば、微生物によって産生されるATPを検出することによって、これを達成し得る。例えば、市販で入手可能なATP生物発光アッセイを、市販で入手可能な電荷結合素子カメラ、画像処理装置および画像分析ソフトウェア(MILLIFLEX迅速微生物検出および計数システム;Millipore Corporation、Billerica、Massachusetts)と組み合わせて使用した場合に、約1個の酵母またはカビ細胞または約100個の細菌細胞と同等である、約200アトモルのATPを検出するために使用し得る。
【0028】
本明細書中で記載した検出方法は、液体医薬品組成物のような、ろ過性の組成物の無菌性を評価するためによく適している。液体組成物は、水性組成物、懸濁液およびエマルションを含む。その液体医薬品組成物は、例えば非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、または眼用組成物を含む、医薬品使用のために適当なあらゆる液体であり得る。その液体組成物は、ワクチンであり得る。
【0029】
適当なワクチンは、例えば炭疽ワクチン(ANT)、カルメットゲラン桿菌ワクチン(BCG)、ボレリア症ワクチン外側表面プロテインAワクチン(BORospA)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドワクチン(DT)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび百日咳ワクチン(DTP)、小児用のジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳ワクチン(DTPa)、成人用のジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳(perussis)ワクチン(DrTPar)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型ワクチン(DTPa−HIB)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型およびポリオウイルス不活化ワクチン(DTPa−HIB−IPV)、A型肝炎ウイルスワクチン(HAV)、A型肝炎ウイルスおよびB型肝炎ウイルスワクチン(HAV−HBV)、B型肝炎ウイルスワクチン(HBV)、ヘリコバクターピロリワクチン(HEL)、インフルエンザ菌b型ワクチン(HIB)、インフルエンザ菌b型結合型ワクチン(HIBcn)、インフルエンザ菌b型多糖類ワクチン(HIBps)、インフルエンザ菌b型ワクチン(ジフテリアCRRM197タンパク質結合型、ジフテリアCRM197毒素タンパク質に結合したオリゴ糖;HIB−HbOC)、鳥インフルエンザ(例えばH5N1、H1N3)およびブタインフルエンザ(例えばH1N1)のワクチンを含むインフルエンザウイルスワクチン(INF)、インフルエンザウイルス弱毒化生ワクチン(INFa)、インフルエンザウイルス弱毒化生ワクチン鼻腔内(INFan)、インフルエンザウイルス不活化ワクチン(INFi)、インフルエンザウイルス不活化ワクチンビリオン成分(split virion)(INFs)、インフルエンザウイルス不活化ワクチンビリオン成分AおよびB型三価(INFs−AB3)、インフルエンザウイルスワクチンビリオン全体(INFw)、ポリオウイルス不活化ワクチン(IPV)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)ワクチン(MEN)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)結合型ワクチン(MENcn)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)結合型ワクチン血清型A、C(MENcn−AC)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)多糖類ワクチン血清型A、C、Y、W−135(MENps−ASYW)、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスワクチン(MMR)、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスおよび水痘ウイルスワクチン(MMR−VAR)、ポリオウイルス弱毒化生経口三価ワクチン(OPV)、肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)ワクチン(PNU)、肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)結合型ワクチン7価(PNUcn−7)、肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)多糖類23価ワクチン(PNUps−23)、ポリオウイルスワクチン(POL)、狂犬病ワクチン(RAB)、狂犬病ワクチンヒト二倍体細胞培養(RAB−HDCV)、狂犬病ワクチン精製ニワトリ胚細胞培養(RAB−PCEC)、呼吸器合胞体ウイルスワクチン(RSV)、天然痘ワクチン(SMA)、天然痘(ワクシニアウイルス)ワクチン(SMAvac)、破傷風トキソイドおよびジフテリアトキソイド(成人のための低減した抗原量)ワクチン(Td)、トキソプラズマ症(トキソプラズマ・ゴンディ(toxoplasm gondii))ワクチン(TOX)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン(TPD)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン弱毒化生経口Ty21a株(TPDa)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン熱およびフェノール不活化乾燥(TPD−HP)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチンVi莢膜多糖類(TPD−Vi)、BCGではない結核(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)ワクチン(TUB)、水痘(varicella)(水痘(chichenpox)、水痘帯状疱疹ウイルス)ワクチン(VAR)を含む。
【0030】
適当な非経口組成物は、例えばアデノシン、アルプロスタジル、硫酸アミカシン、アジスロマイシン、ブレオマイシン、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、シスプラチン、ダカルバジン、ダウノルビシンHCl、メシル酸デフェロキサミン、酢酸デスモプレシン、ジルチアゼム、ジピリダモール、ドキソルビシン、エナラプリラート、エピルビシン、エポプロステノールナトリウム、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、リン酸フルダラビン、フルマゼニル、グラニセトロンHCl、イダルビシンHCl、イホスファミド、イリノテカンHCl、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レボカルニチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、メスナ、酢酸メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、ミトザントロン、ナルブフィンHCl、酒石酸水素ノルエピネフリン、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロン、オキサリプラチン、オキシトシン、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、臭化パンクロニウム、臭化フェニレフリン、フェニレフリンHCl、プロメタジンHCl、プロポフォール、臭化ロクロニウム、スルファメトキサゾール、コハク酸スマトリプタン、硫酸テルブタリン(tebutaline)、シピオン酸テストステロン、トブラマイシン、臭化ベクロニウム、硫酸ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン、およびストレプトゾシン滅菌粉末を含む。
【0031】
適当な経口組成物は、例えばアセトアミノフェンおよびリン酸コデイン錠剤、アセトアミノフェンアセタゾラミド錠剤、アシクロビルカプセル、アミロライドHCl、アミオダロンHCl、ベシル酸アムロジピンおよびベナゼプリルカプセル、ベシル酸アムロジピン錠剤、アモキシシリンおよびクラブラン酸カリウム、アモキシシリン、アナグレリド、デソゲストレルおよびエチニルエストラジオール錠剤、アスピリン、アテノロール、レボノルゲストレルおよびエチニルエストラジオール錠剤、アジスロマイシン、バクロフェン、ベナゼプリルHCl、ベンゾナテート、メシル酸ベンズトロピン、吉草酸ベタメタゾン(bethamethasone)、ジプロピオン酸ベタメタゾン、塩化ベタネコール、ビカルタミド、フマル酸ビソプロロール、ブプロプリオンHCl、ブデソニド吸入懸濁液、ブメタニド、ブプロピオンHCl、カベルゴリン、calcarb600、カルシトリオール、クエン酸カルシウム錠剤、ノルエチンドロン錠剤、カプトプリルおよびヒドロクロロチアジド錠剤、カプトプリル、カルバマゼピン、カルベジロール、セファクロル、セファドロキシル、セフジニル、セフプロジル、セファレキシン、セルタジェン(certagen)、セチリジン(certirizine)HCl、クロルジアゼポキシドHCl、マレイン酸クロルフェニラミン、クロルゾキサゾン、コリノイド(cholinoid)、シロスタゾール、シメチジンHCl、シメチジン(cimetine)、シプロフロキサシン、シタロプラム、イソトレチノイン、クラリスロマイシン、フマル酸クレマスチン、クリンダマイシン、クエン酸クロミフェン、クロミプラミンHCl、クロナゼパム、クロトリマゾール、クロザピン、クロモリンナトリウム、シクロベンザプリンHCl、シクロスポリン、シプロヘプタジンHCl、ダナゾール、デメクロサイクリンHCl、酢酸デスモプレシン、デクスメチルフェニデートHCl、硫酸デキストロアンフェタミン、ジアゼパム、ジクロフェナクカリウム、ジクロキサシリン、ジダノシン、ジルチアゼム(ditiazem)HCl、ジフェンヒドラミンHCl、ジピリダモール、リン酸ジソピラミド、ジバルプロエクスナトリウム、ドルゾラミドHCl、メシル酸ドキサゾシン、マレイン酸エナラプリル、カルバマゼピン、エスタゾラム、エストラジオール、エストロピペート、エタンブトールHCl、エトスクシミド、エトドラク、ファムシクロビル、ファモチジン、硫酸鉄(II)(ferrous sulf)、硫酸第一鉄、フェキソフェナジンHCl、フィナステリド、酢酸フレカイニド、フルコナゾール、酢酸フルドロコルチゾン、フルオシノニド、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フルタミド、フルボキサミン、ホシノプリルナトリウム、フロセミド、ガバペンチン、臭化水素酸ガランタミン、ゲムフィブロジル、グリメピリド、グリピジド、硫酸グルコサミン、グリブリド、ハロペリドール、ヒドララジンHCl、ヒドロクロロチアジド、酒石酸水素ヒドロコドン(hydrocondone)、硫酸ヒドロキシクロロキン、ヒドロキシウレア、ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、インドメタシン、イソニアジド、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラクトロメタミン、ラベタロールHCl、ラモトリジン、ランソプラゾール、レフルノミド、ロイコボリンカルシウム、レベチラセタム、リドカインHCl、リシノプリル、ロペラミドHCl、ロラゼパム、ロサルタンカリウム、ロバスタチン、メベンダゾール、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メロキシカム、メペリジンHCl、メルカプトプリン、メサラミン、メトホルミンHCl、メトトレキサート、メチルドパ、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、酒石酸メトプロロール、メトロニダゾール、メトロニダゾール、メキシレチン、ミノサイクリンHCl、ミルタザピン、ミソプロストール、モエキシプリル(moeipril)HCl、ムピロシン、ミコフェノール酸モフェチル、ナブメトン、ナドロール、ナルトレキソンHCl、ナプロキセン、ネファゾドン(nefazone)HCl、硫酸ネオマイシン、ナイアシン、ニフェジピン、ニモジピン、ニザチジン、酢酸ノルエチンドロン、ノルトリプチリンHCl、ナイスタチン、オフロキサシン、オメプラゾール、オンダンセトロンHCl、オキサプロジン、オキサゼパム、塩化オキシブチニン、オキシコドン、オキシコドンHCl、パントプラゾールナトリウム、パロキセチン、ペニシリンVカリウム、ペントキシフィリン、フェニルジェシク(phenylgesic)、ピロキシカム、二塩酸プラミペキソール、プラバスタチンナトリウム、プラゾシンHCl、プレドニゾロン、マレイン酸プロクロルペラジン、プロパフェノンHCl、プロポキシフェンHCl、プロプラノロールHCl、プロトリプチリンHCl、キナプリル、硫酸キニジン、ラミプリル、ラニチジンHCl、リバビリン、リスペリドン、ロピニロールHCl、センナ−S、センナゲン(sennagen)、硝酸銀、シンバスタチン、ソタロールHCl、スクラルファート、クエン酸タモキシフェン、タムスロシンHCl、テラゾシン(terzosin)HCl、テルビナフィンHCl、テトラサイクリンHCl、テオフィリン、チクロピジンHCl、トルメチンナトリウム、トピラマート、トルセミド、トラマドールHCl、トランドラプリル、トラゾドンHCl、トレチノイン、ウルソジオール、バルプロ酸、ベンラファキシンHCl、ベラパミルHCl、ワルファリンナトリウム、ザレプロン、および酒石酸ゾルピデムを含む。
【0032】
適当な鼻用組成物は、例えば鼻腔内スプレー、抗片頭痛薬、ペプチド薬剤(ホルモン治療)、麻酔薬、制吐薬、鎮静薬、塩酸アゼラスチン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニレフリン(pheynylephrine hydrochloride)、食塩水溶液、フロ酸モメタゾン、ブデソニド、臭化イプラトロピウム、およびクロモリンナトリウム鼻腔内スプレーを含む。
【0033】
適当な眼用組成物は、例えばリドカイン、プロパラカイン、テトラカイン、ケトロラクトロメタミン眼用溶液、ケトロラクトロメタミン、ナファゾリン眼用、ブリモニジン、アジスロマイシン、ベシル酸ベポタスチン、ベシフロキサシン、ベタキソン、コソプト、ジフルプレドナート(diflupredate)、ロテマックス、ラニビズマブ、ビマトプロスト、ペガプタニブ、オフロキサシン、デサメタゾン、レボフロキサシン、ウノプロストンイソプロピル眼用溶液、シクロスポリン眼用エマルション、サラジェン、トラボプロスト眼用溶液、バルガンシクロビルHCl、ビロプティック、シドホビル、ベルテポルフィン、ビトラサート(vitrasert)、ビトラベン(vitravene)、およびフマル酸ケトチフェン眼用溶液を含む。
【0034】
本明細書中で記載された方法を、あらゆる適当な機器または装置を用いて行い得、そして手動または自動で行い得る。1つの好ましい局面において、その方法を、市販で入手可能なMILLIFLEX迅速微生物検出システムを用いて行い、それはサンプル調製ステーション、自動スプレーステーション、検出タワー、画像分析機、CCDカメラおよびソフトウェアを含むコンピューターを含む(Millipore Corporation、Billerica、Massachusetts)。
【0035】
別の局面において、本発明は、本明細書中で記載された方法を用いて生存微生物に関してスクリーニングされた、滅菌医薬品組成物(例えばワクチン、眼用組成物、鼻用組成物、経口組成物、非経口組成物)である。
【実施例】
【0036】
例示
ATCC株および生産場所(表面または生産者接触プレート、バイオバーデンおよび無菌試験からの混入)からの環境株の凍結コレクションの作成
凍結乾燥培養物(ATCC株)、または直接プレート(環境単離物)に由来する、微生物を液体トリプティックソイブロスまたは固体培地(例えばSabouraudデキストロース寒天培地)で、適切な期間培養した。各株の遺伝子型同定を、MicroSeq System、Applied Biosystemsを用いて行った。次いで培養物を800×Gで20〜30分間遠心分離し、そしてペレットを保護培地(15%のグリセリンを含むOxoid−CM67)に再懸濁した。その培養物を希釈し、CFU(コロニー形成単位)を固体培地でチェックし、そして2mlのNunc CryotubeTMバイアルに満たし、−80℃で保存した。表1は、使用した微生物の完全なリストを示す。
【0037】
【表1】
A.ストレス因子研究
それぞれ1〜10分間、UV光(240〜250μW/cm2)、熱(50〜70℃の水浴)のいずれかを適用することによって、または微生物を希釈系列の非経口製剤中でインキュベートすることによって、ストレスを誘起し、アリコートを毎分取った。ストレスを100CFUより下の範囲の試験微生物の流体懸濁液に直接適用した。ストレスの影響を、プレートカウント法およびOD測定を用いて決定した、CFUの減少によってモニターした。
【0038】
プレートカウント:ストレスをかけた微生物を、トリプティックソイ寒天培地にまき、各分のアリコートをプレーティングすることによって、ストレスの様々な影響をモニターした(ストレスを1〜10分間適用し、アリコートを毎分取った)。結果を、2〜7日後に計測した(株に依存して、例えばE.coliおよびA.nigerは最後の2日後に計測したが、P.acnesはインキュベーション6日後より前には計測できなかった)。最初に播種した量のCFUの50%超の減少を引き起こすために必要な正確な時間を測定した。
【0039】
OD測定(λ=600nm):試験微生物の一晩培養したものを、まずストレスをかけ(≧50%低減研究において決定されたストレスパラメーターを適用した)、トリプティックソイブロスまたは液状チオグリコール酸培地に播種し(約3〜4×106CFU/ml)、そして8時間までの時間枠にわたって分析した(各時間に吸光度を測定するためにアリコートを取った)。インキュベーションを振とうテーブル上で行った(好気性株のみ)。ストレスをかけた培養物を、ストレスをかけていない培養物と比較した。
【0040】
ストレス因子研究50%低減の結果
22個の株からのそれぞれの微生物に関して、3つのストレスパラメーターを試験した。最初に播種したCFUの量の50%超の減少を引き起こすために必要である、各ストレス因子の正確なパラメーター(1分間および10分間の間)を測定した。試験した3つのストレスパラメーターは、UV光、熱および非経口適用のための非経口製剤中における微生物のインキュベーションであった。例えば、熱は、細胞膜に損傷を引き起こし、RNAは変性し、そしてこれはいくつかの細胞の死を引き起こす。UV照射は、変異およびDNA複製の停止を引き起こす(M.Strus、Rocz Panstw Zakl Hig.48(3):263−268(1997))。
【0041】
非経口製剤の適用は、微生物細胞における化学的ストレスを引き起こす−非経口製剤の抗菌特性が長い間知られている。図1−3は、Moraxella osloensis、Escherichia coliおよびAcinetobacter Iwoffiiに関して得られたデータの例を示す。22個の微生物の株のそれぞれに関して、最初の接種材料を≧50%低減させるために必要なストレスパラメーターを見出した。
【0042】
いくつかの場合において、コロニーの形態の変化(コロニーはよりゆっくり増殖するが、後に正常なコロニーサイズを回復する)が観察された。例えば、Micrococcus luteusは、コロニーサイズの減少を示した[図4aおよび4b]。
【0043】
迅速無菌試験の培地評価のために、広い範囲の微生物を使用することだけでなく、これらの微生物を、ストレスをかけた状態で使用することも重要であった。非経口製剤によって引き起こされる化学的ストレス、およびUV光の適用によって引き起こされる照射ストレスなどの、いくつかのストレス因子は、播種された微生物の量を減少させた。対照的に、熱処理は、試験した微生物のいくつかにおいて、最初に増殖速度の低減を引き起こした。熱損傷細胞は、回復するために3から4時間の時間がかかることが既に報告された−これは本研究において確認された(M.Warseck、Appl.Microbiol.、26:919−922(1973))。胞子形成細菌は、ストレスに対して広い抵抗性を示すので、熱ストレスは胞子形成細菌には有用でなく、他のストレスパラメーターも可能性がない(P.Setlow、J.Appl.Microbiol.、101(3):514−525 Review(2006))。例えばB.pumilusを、照射指標細菌として使用する(J.Wong、PDA J Pharm Sci Technol.58(1):6−14(2004))。胞子形成細菌の場合、異なる「ストレス」因子を使用した−これらは、栄養素の欠乏によってストレスを受け、そして従ってより高い胞子含有量が誘導された。
【0044】
続く栄養培地評価および統計分析によって、Schaedler血液寒天培地が、無菌試験において使用するために最もよい固体培地であることが明らかになった。20℃〜25℃および30℃〜35℃における好気性インキュベーションの間の差を分析するためのt−検定は、その温度の間に有意差が存在することを示した。40例のうち11例においてその差が有意であったので、迅速無菌試験において両方のインキュベーション温度を検証することが必要である。
【0045】
OD測定
≧50%低減研究において決定されたストレスパラメーターを、試験した各株に適用した。ストレスをかけた接種材料を常にストレスをかけていない接種材料と比較した。微生物(最初の接種材料として約3〜4×106CFU/ml)を、トリプティックソイブロスまたは液状チオグリコール酸培地のいずれかにおいてインキュベートし、そして30℃〜35℃で振とうテーブルにおいてインキュベートした(好気性株のみ)。各時間でアリコートを取り、そして吸光度(λ=600nm)を測定した。異なる処理をした(未処理、熱処理、UV光で処理した、非経口製剤中に希釈した、50%低減実験に使用した時間/パラメーター)接種材料に関して得られたデータは、OD測定データの通常プロットにおいてわずかに異なる増殖曲線を示した[図5]。
【0046】
データを対数でプロットすること[図6]により、E.coliの増殖曲線に対する熱処理の影響が示され、そしてそのデータを接種材料の量と関わらないものにする。接種材料の量を正確に制御することが容易ではないので、対数プロットはこれを利点として有する。細菌培養物にUV光、または非経口製剤処理のいずれかによってストレスをかけた場合に、観察された増殖において実際の差異はない(50%低減実験において決定されたパラメーターによって)。
【0047】
傾きの比較により、熱処理(50%低減実験において決定されたパラメーター)のみが、微生物の増殖速度に影響を有すること、そして微生物が実際のストレスを示したことが示される。UV光および非経口製剤中での希釈(いずれも「殺菌因子」であり、そして「ストレス因子」ではない)は、培地評価の間使用しなかった。増殖速度に対するストレスは、直線を適用することによって、および傾きを比較することによって最も良く詳細に示される。選択した範囲で全ての微生物株に関して、増殖の傾きの低減が示された。本明細書中で示される例は、E.coli、S.aureus、C.albicans、およびB.pumilusである。E.coliの場合、増殖の傾きは約3時間低減されたが、このことは、この微生物が回復するために約3時間必要とすることを意味する[図7]。
【0048】
S.aureusは、4時間の時間枠にわたって増殖の傾きの低減を示す[図8]。
【0049】
酵母C.albicansは、さらにより長いストレスの持続を示した。増殖の傾きは8時間超低減したままであり、一晩でストレスを受けた培養物は正常な増殖の傾きを回復した[図9]。
【0050】
グラム陽性胞子形成細菌に関して、熱ストレスは可能性がない。他のストレス因子、UV光および非経口製剤中の希釈は、その微生物にストレスの影響を示さなかったので、胞子形成細菌に対する別のストレスを見出さなければならなかった。バチルス属およびクロストリジウム属に関して、細菌懸濁液中でより高い胞子含有量が誘起された。そしてそのOD測定を行った[図10]。この胞子形成は、栄養素の欠乏、および過剰増殖した微生物培養物を6日間超2〜8℃に保存することによって達成された。
【0051】
全ての微生物を、記載した方式で試験した。3つの場合においてのみ困難が観察された。カビPenicilliumおよびAspergillusは、液体培地中で菌糸体として増殖し、従って正確なOD測定は不可能であった。C.albicansおよび全ての試験した微生物に関してデータが利用できるので、PenicilliumおよびAspergillusが同じ方式でふるまうということを推定するのみでよい。従って、試験したパラメーターを培地評価のために取り入れる。他の場合において、Propionibacterium acnes(この株はFTMにおいてより良く増殖する)に関して、プレートカウントによって決定された≧50%低減についてのパラメーターは、OD測定実験において再現することができなかった。≧50%低減実験のパラメーターと比較して、長い時間枠の間にストレスを除いた場合にのみ、増殖におけるタイムラグが観察された。P.acnesはおそらく、より高い酸素ストレスのために、OD測定において異なる結果を示した。OD測定のために、アリコートを毎時間取り、P.acnesにとって一定の酸素ストレスを引き起こした。ストレス因子研究から得られたデータを表2にまとめる。
【0052】
【表2】
従って、ストレスパラメーターの熱および栄養素の欠乏を、培地評価において使用した。選択したストレス因子は、滅菌製剤の生産プロセスにおいておそらく存在するストレスに類似する。
【0053】
B.増殖促進研究
試験する培地に、約10〜100CFUの量で微生物(ストレスをかけた状態、およびストレスをかけていない状態)を播種した。その実験を、各インキュベーションパラメーター(インキュベーションパラメーターは20℃〜25℃および30℃〜35℃好気性インキュベーション、30℃〜35℃嫌気性インキュベーションである)に関して5回の反復結果を用いて行った。インキュベーションの2−7日後に、結果を視覚的に計測した。得られた生データを、各微生物に関して6つの群に群分けした:
1.20℃〜25℃好気性インキュベーション−ストレスをかけた微生物
2.20℃〜25℃好気性インキュベーション−ストレスをかけていない微生物
3.30℃〜35℃好気性インキュベーション−ストレスをかけた微生物
4.30℃〜35℃好気性インキュベーション−ストレスをかけていない微生物
5.30℃〜35℃嫌気性インキュベーション−ストレスをかけた微生物
6.30℃〜35℃嫌気性インキュベーション−ストレスをかけていない微生物
テストした栄養培地を、亜群に群分けする。
【0054】
予備セレクションのための固体栄養培地のリスト(ストレスをかけていない10個の株による増殖促進試験)
・FTM−A(さらに10g/Lの寒天を含み、最終濃度が1.075%の寒天になる、液状チオグリコール酸培地)、Amimed、Allschwil、Switzerland
・BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Difco Brewer嫌気性寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・R2A寒天培地、Oxoid,Great Britain
・Schaedler血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Columbia寒天培地5%血液、BioMerieux、France
・CDC嫌気性血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany 。
【0055】
最終的な研究のための固体栄養培地のリスト(ストレスをかけていない状態、およびストレスをかけた状態の22個の株による増殖促進試験)
・Difco Brewer嫌気性寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Schaedler血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・CDC嫌気性血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
全てのγ線照射培地を、照射プロセスを維持するように補充した。
【0056】
栄養培地の評価
栄養培地評価研究を、2つの部分で行った:最初の予備セレクション(ストレスをかけていない10個の株による増殖促進試験、8個の寒天培地での試験)により4つの培地への削減がもたらされたが、それはこれらの培地のみをより綿密に検討することを意味した。FTM−A寒天培地、ブレインハートインフュージョン寒天培地、R2A寒天培地およびColumbia寒天培地5%血液を、この予備セレクションで除外した。
【0057】
栄養培地の評価において、次の4つの培地を詳細に試験した:トリプティックソイ寒天培地、CDC嫌気性血液寒天培地、Schaedler血液寒天培地およびDifco Brewer嫌気性寒天培地。ストレスをかけた状態、およびストレスをかけていない状態の両方で播種した22個の株のそれぞれに関して、得られたデータを群分けし、そしてANOVAを用いて統計解析した。3つのインキュベーションパラメーター、20℃〜25℃および30℃〜35℃好気性インキュベーションおよび30℃〜35℃嫌気性インキュベーション、および各微生物に対する2つの異なるストレス状態(ストレスをかけたおよびストレスをかけていない)により、各微生物に関して6つの群が形成される(×22個の株)。これらの群のそれぞれのANOVAを行い、良好な増殖促進特性のクレジットを、各寒天培地の22微生物に関してまとめた。もしそれが最も高いカウントを達成したなら、1クレジットをその群/寒天培地に与えた。この最も高いカウントの寒天培地と有意差を有さない群/寒天培地も1クレジットを得た。
【0058】
20℃〜25℃好気性インキュベーション群では、Schaedler血液寒天培地が30クレジットを集め、CDC嫌気性血液寒天培地は27クレジット、トリプティックソイ寒天培地は24、およびDifco Brewer嫌気性寒天培地は17クレジットを集めた[表3Aおよび3B]。P.acnesおよびCl.sporogenesは好気的に増殖しないので、クレジットを集めなかった。ストレスをかけたA.niger、B.pumilis、B.sphaericusおよびB.idriensisは、全ての試験した寒天培地における低いカウント(0−5CFU)のために0クレジットであった。
【0059】
【表3A】
【0060】
【表3B】
30℃〜35℃好気性インキュベーション群において、Schaedler血液寒天培地は28クレジットを集め、トリプティックソイ寒天培地は28クレジットを集め、CDC嫌気性血液寒天培地は27クレジット、およびDifco Brewer嫌気性寒天培地は24クレジットを集めた[表4Aおよび4B]。P.acnesおよびCl.sporogenesは好気的に増殖しないので、クレジットを集めなかった。ストレスをかけたB.idriensisおよびM.osloensisは、低いカウント(0〜5CFU)のために0クレジットであった。
【0061】
【表4A】
【0062】
【表4B】
30℃〜35℃嫌気性インキュベーション群において、CDC嫌気性血液寒天培地は25クレジットを集め、Schaedler血液寒天培地は25クレジット、トリプティックソイ寒天培地は21クレジット、そしてDifco Brewer嫌気性寒天培地は17クレジットを集めた[表5Aおよび5B]。ストレスをかけたB.idriensisは、低いカウント(0〜5CFU)のために0クレジットであった。
【0063】
【表5A】
【0064】
【表5B】
それらのデータは、Schaedler血液寒天培地が、好気性条件で最もよい増殖促進特性を有しており、嫌気性条件においてSchaedler血液寒天培地はCDC嫌気性血液寒天培地と同じ量のクレジットを得たことを示している。従って、22個の試験株のために、および3つの試験したインキュベーションパラメーターのために適当な寒天培地としてSchaedler血液寒天培地を選択した。Schaedler血液寒天培地(13)の組成(heipha、Eppelheim、Germanyによって改変された)は以下のとおりである:カゼインペプトン10g、大豆フラワーペプトン1g、肉ペプトン2g、肉抽出物(exact)1g、酵母抽出物5g、グルコース2g、NaCl5g、リン酸水素二カリウム2.5g、寒天細菌学的グレード14g、ヒツジ血液50ml、アミノ酸、緩衝剤、ヘミン、ビタミンK、ガンマ線照射:9〜20kGy。
【0065】
20℃〜25℃および30℃〜35℃における好気性インキュベーションの間の差
インキュベーション温度20℃〜25℃および30℃〜35℃(好気性インキュベーション)の間に有意差が存在するかどうかを示すために、栄養培地評価からのデータを用いてt−検定を行った。
【0066】
ストレスをかけた状態、およびストレスをかけていない状態の両方で全ての好気性微生物(Cl.sporugeloesおよびP.acnesを除く)から成る40個の群についてt−検定を行った。40個の群のうち11個の群において有意差が生じた。20℃〜25℃の群と比較して、インキュベーションパラメーター30℃〜35℃は5回、より高い量のコロニー形成単位(同じ接種材料に由来する)を示した。20℃〜25℃群は、6つの場合においてより高い値を生じた。t−検定はその温度の間に有意差が存在することを示した。40例のうち11例においてその差が有意であったので、迅速無菌試験において両方のインキュベーション温度を検証することが必要である。これらの結果は、従来の無菌試験だけでなく、本迅速無菌試験に関しても、両方のインキュベーション温度の重要性を強調する。
【0067】
データの統計解析
生データの統計解析のために、Minitab(登録商標) Release 14.20 Statistical Softwareにおいて実行する以下の方法を使用した。
【0068】
ANOVA(分散分析)は平均値を比較する。ANOVAは、反応変数および1つ以上の独立変数の間(群間)の関係を調査およびモデリングするために使用するので、回帰分析と同様である。それは仮説検定を用い、これは帰無仮説を検定することを意味する。ANOVAはp値を生じる。p値は、第1種過誤を起こす可能性を表わすか、またはそれが真である場合には帰無仮説を否定する。カットオフ値は0.05である−p値が95%の信頼限界に対応する0.05より低い場合には帰無仮説が否定される。
【0069】
ANOVA分析を使用する必要条件は:
・4つの亜群(栄養培地)の正規分布、p値≧0.05
・Bartlett’s Testを用いた等分散の検定:p値≧0.05、および
・Levene’s Test:p値≧0.05。
【0070】
ANOVAのp値≧0.05は、亜群/寒天培地の間に有意差は存在しないことを意味し、p値<0.05は、亜群/寒天培地の間に有意差が存在することを意味する。最も高い平均値に対して有意差を示さない全ての寒天培地(最も高い平均値を有するものを含む)を、1クレジットと評価した。最も高い平均値に対して有意差を示した寒天培地には、クレジットを与えなかった。Dixon’s Testを用いて、域外値分析を行った(W.J.Dixon、Ann.Math.Statist.21:488−506(1950);W.J.Dixon、Biometrics.9:74−89(1953);USP<1010>「Analytical data−interpretation and treatment」、Pharmacopeial Forum.USP30−NFからSecond Supplement The United States Pharmacopeial Convention,Inc.)。このために、試験中の観察のセットを含むN値を、昇順に配置した:X1<X2<・・・<XN。次いで統計実験Q値(Qexp)を計算した。これは、疑わしい値の範囲で割った、疑わしい値のその最も近い値からの差として定義される比である(Q:棄却商(rejection quotient))。従って、x1またはXN(潜在的な域外値として)を試験するために、以下のQexp値を使用した:
得られたQexp値を、表において見出される棄却Q値(Qcrit)と比較した。もしQexp>Qcritなら、疑わしい値を域外値として特徴付けすることができ、そしてそれを拒絶し得る。もしそうでなければ、その疑わしい値を保持し、そして続く計算の全てにおいて使用しなければならない。ANOVAを実施し得る他の方法は、以下のものである:正規分布に従わない、そして他の亜群より有意に低い亜群(群内の4つの栄養培地)を、それらはANOVAに不適切であるので除外した。もし群内の亜群のCFU値が低すぎたなら(0〜5CFU)、4かける0クレジット(4 times 0 credits)の最終結果を与えた。全ての他の場合において、再テストを行わなければならなかった。t−検定(Minitab(登録商標) Release 14.20 Statistical Softwareも用いる)を用いて、2つのサンプルの平均値を比較する;t−検定は、データ中の偏差(variation)と関連して2つの平均値の間の実際の差を比較する(平均値の間の差の標準偏差として表す)。
【0071】
C.Millipore Milliflex(登録商標) Rapid Microbiology Detection Systemの一般的な説明
試験中のサンプル(膜における微生物の適切な分布を保証するために、100mlのすすぎ洗い用流体中で希釈された)を、Milliflex(Mifliflex)(登録商標) PLUSポンプを用いて、Milliflex(登録商標)Rapidフィルターでろ過し、可能性のある混入物は、フィルターメンブランにおいてトラップされる(孔径:0.45μm)。
【0072】
ろ過後、フィルターを、Milliflex(登録商標)システムを用いて固体栄養培地に適用し、ここでその滅菌Milliflex(登録商標)フィルターは、Milliflex(登録商標)カセット上でカチッとはまり、そして漏斗がはずれる。このメンブランを栄養培地に移動するMilliflex(登録商標)システムのために、メンブランの取り扱いによる2次混入のリスクは低い、または無い。カセットはきつく閉じられているので、インキュベーションの間の2次混入のリスクは低い。フィルターをMilliflex(登録商標)カセットでインキュベートすることによって、潜在的な混入物(複数可)のミクロコロニーへの増殖が起こり得る。インキュベーション時間の終わりに、フィルターをMilliflex(登録商標)カセットから分離し、そして層状フローフード内のAutospray Stationに適用する。Milliflex(登録商標) Rapidにおける検出のために、ミクロコロニーは一定のサイズ(約10〜100個の酵母細胞、1000個の細菌細胞)を有さなければならないので、インキュベーション後の工程は、2次的混入に関して重要な工程ではない。もし環境微生物または操作者由来の微生物が、インキュベーション後の工程の間にメンブランに加わるとしても、インキュベーションの欠如、そして従って検出のために必要な一定の量のATPの欠如のために、それは検出されない。
【0073】
AutoSpray Stationは、ATP放出薬剤、およびその後生物発光試薬をメンブランにスプレーする。
【0074】
ここで示した反応化学が、Milliflex(登録商標) Rapid検出の基礎である(W.D.McElroy、Adv.Enzymol.Relat.Areas.Mol.Biol.25:119−166(1963))。
【0075】
ルシフェリン(luciferan)+ATP ルシフェラーゼ、Mg2+ → オキシルシフェリン+AMP+hv(λ=562nm)
(Mg2+はマグネシウム、ATPはアデノシン3リン酸、AMPはアデノシン1リン酸、hvは放出された光子、λは波長を意味する) 。
【0076】
放出された光子を最大限捕捉するために、Autospray Stationから、Milliflex(登録商標) Rapid Detection Towerへのスプレーしたメンブランの迅速な移動が必要である。可能な光シグナルを、CCDカメラ(電荷結合素子)で検出し、そしてMilliflex(登録商標)、Rapidソフトウェアのアルゴリズムがミクロコロニーの量を計算する。
【0077】
Milliflex(登録商標) Rapid検出において生物発光バックグラウンドはない
Milliflex(登録商標) Rapid Microbiology Detection Systemにおいて、Schaedler血液寒天培地を使用するので、この培地が生物発光バックグラウンドを生じるかどうかを決定するために試験を行った。このために、培地のカセットを、100mlの流体Aまたは流体Dのいずれかですすぎ洗いした、MXHVWP124メンブラン(ポリフッ化ビニリデンメンブラン、孔径0.45μm)とインキュベートした。インキュベーション温度は30℃〜35℃であり、5日間インキュベートした。図11は、Schaedler血液寒天培地由来の生物発光バックグラウンドはないことを示し、このことは、ガンマ線照射した栄養培地に妨害するATPは残っていないことを意味する。Schaedler血液寒天培地は、Milliflex(登録商標) Rapid Systemにおいて使用するために適当である。
【0078】
本明細書中で引用された全ての文書の教示全体は、これによって本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年5月4日に出願された米国仮出願第61/175,271号の利益を主張する。上記出願の教示全体は、参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
米国における連邦規制および他の国における同様の規制は、医薬品製品が実質的に細菌および真菌のような微生物を含まないことを保証するための無菌試験を必要とする。3つの一般的な方法、直接転移無菌試験、メンブランろ過無菌試験および製品フラッシュ無菌試験を使用して、そのような無菌試験を行なっている。伝統的な無菌試験を、2つの液体栄養培地(20℃〜25℃でインキュベートしたトリプティックソイブロス(TBS)および30℃〜35℃でインキュベートしたチオグリコール酸栄養培地(FTM))、およびすすぎ洗い用流体を用いて行い、そして14日間のインキュベーション時間を必要とする(例えばUSP<71>「Sterility Tests」、Pharmacopeial Forum.USP30−NF25からFirst Supplement The United States Pharmacopeial Convention,Inc.まで、EP2.1.6「Sterility」(European Pharmacopoiea 2.1.6「Sterility」EP第6版(2007))および他の関連する薬局方を参照のこと)。液状チオグリコール酸培地(FTM)は、2相を含む−液体培地の下部の相は嫌気性相であり、上部相は好気性インキュベーションのための酸素を含む。
【0003】
一般的に、メンブランろ過法を用いて医薬品製品の無菌性を試験するために、液体の、乳化した、または溶解した医薬品または医療製品(例えば活性成分、非経口処方物、点眼薬、鼻腔内スプレー等)を、孔径0.45ミクロンのメンブランを通してろ過し、そしてそのメンブランを適当な試験培地(FTMおよびTSB)へ移し、そして14日間インキュベートする。もし微生物が培養物中で増殖するなら、その医薬品製品は無菌ではなく、そして微生物学的同定のためにサンプルを取り得る。インキュベーションのために、およびまた培養物中で増殖する生物についての微生物学的同定のために多くの時間を要することは、不利益であり、かつその必要のある患者に対する医薬品製品の利用可能性を制限し得る。例えば、医療危機の場合に、14日間のインキュベーション期間を必要とする現在の無菌試験は、その危機を抑制または終息させ得る薬剤またはワクチンの利用可能性を遅延し得る。従って、迅速な無菌試験法のニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;b)その医薬品組成物をろ過して、その医薬品組成物のろ取物(filtrand)が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程;c)その少なくとも3枚のフィルターメンブランを、固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物(filtrand culture)を産生する工程;d)そのろ取物培養物を約13日間より長い期間培養しないという条件で、i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;および少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で培養する工程;およびe)メンブランにおいて生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーを検出する工程であって、ここでメンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す工程、を含む、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法に関連する。
【0005】
本方法はさらに、その医薬品組成物をろ過した後に、洗浄溶液をろ過する工程を含み得る。
【0006】
いくつかの実施態様において、そのメンブランは、ポリフッ化ビニリデンメンブラン、グラスファイバーメンブラン、ポリカーボネートメンブラン、ポリエチレンテレフタラートメンブラン、混合セルロースエステル(酢酸セルロースおよび硝酸セルロース)、ホスホセルロースメンブラン、DEAEメンブラン、ナイロンメッシュメンブラン、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluroethylene)メンブランである。好ましくは、そのメンブランは約0.45μmの孔径を有する。
【0007】
その固体培地を、FTM−A(1.075%の寒天を含む液状チオグリコール酸培地(最終濃度))、BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、Difco brewer嫌気性寒天培地、R2A寒天培地、Schaedler血液寒天培地、Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、Columbia寒天培地5%血液、およびCDC嫌気性血液寒天培地から成る群から選択され得る。
【0008】
いくつかの実施態様において、本方法は、約2から約7日間の期間、ろ取物培養物を培養する工程を含み得る。
【0009】
いくつかの実施態様において、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを、メンブランにおいて生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーが産生するアデノシン3リン酸(ATP)を検出する生物発光アッセイのような、発光アッセイを用いて検出する。その発光アッセイは、ルシフェラーゼアッセイを含み得る。
【0010】
いくつかの実施態様において、その発光アッセイはプローブおよび微生物に対して内因性である核酸の間に形成される核酸ハイブリダイゼーション産物を検出する。その発光アッセイは、ペルオキシダーゼ反応を含み得る。
【0011】
いくつかの実施態様において、その発光を、電荷結合素子カメラおよび画像分析ソフトウェアを用いて検出し得る。いくつかの実施態様において、生存微生物細胞、生存微生物ミクロコロニー、または生存微生物コロニーの数を、定量または測定し得る。
【0012】
いくつかの実施態様において、その医薬品組成物は、液体組成物である。その液体組成物は、非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、眼用組成物、またはワクチンであり得る。
【0013】
本発明はまた、a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;b)その医薬品組成物をろ過して、医薬品組成物のろ取物が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程;c)少なくとも3枚のフィルターメンブランを固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する工程;d)そのろ取物培養物を約13日間より長い期間培養しないという条件で、i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;およびiii)少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で培養する工程;およびe)メンブランにおいてアデノシン3リン酸(ATP)を検出する工程であって、ここでメンブランにおけるATPの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す工程、を含む、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、10分の時間枠にわたるM.osloensisのUV処理の結果を示すグラフである。4日間のインキュベーション後に存在するコロニー形成単位(CFU)の数を示す。そのグラフは、4分後にCFUの50%以上の減少を示す(3回の実施)。
【図2】図2は、10分の時間枠にわたるE.coliの熱処理の結果を示すグラフである。3日間のインキュベーション後のコロニー形成単位(CFU)の数を示す。そのグラフは、3分後にCFUの50%以上の減少を示す(3回の実施)。
【図3】図3は、10分の時間枠にわたる非経口製剤処理の結果を示すグラフである。5日間のインキュベーション後のコロニー形成単位(CFU)の数を示す。そのグラフは、2分後にCFUの50%以上の減少を示す(3回の実施)。
【図4】図4Aは、3分間70℃で熱処理したM.luteus細胞の顕微鏡写真である。図4Bは、トリプティックソイ寒天培地にまいて30℃〜35℃で3日間インキュベーションした後の未処理のM.luteus細胞の顕微鏡写真である。
【図5】図5は、未処理E.coli培養物、熱処理E.coli、UV処理E.coliおよびVoltaren処理E.coliの吸光度データを示すグラフである。
【図6】図6は、未処理E.coli培養物、熱処理E.coli、UV処理E.coliおよびVoltaren処理E.coliの吸光度データを示すグラフである。
【図7】図7は、未処理のE.coli増殖曲線および熱処理E.coli増殖曲線の比較を示すグラフである。3時間の過程で、E.coli培養物は0.2313の傾きを有し、次いで未処理の培養物の正常な傾きに戻る。
【図8】図8は、未処理のS.aureusの増殖曲線および熱処理S.aureus増殖曲線の比較を示すグラフである。4時間の過程で、ストレスをかけたS.aureus培養物は、0.1070の傾きを有し、次いで未処理の培養物の正常な傾きに戻る(4時間後、0.4034)。
【図9】図9は、未処理のC.albicansの増殖曲線および熱処理C.albicans増殖曲線の比較を示すグラフである。8時間超の過程で、ストレスをかけたC.albicans培養物は0.0419の傾きを有する。
【図10】図10は、未処理のB.pumilus増殖曲線および飢餓状態のB.pumilus増殖曲線の比較を示すグラフである。細胞は2〜8℃で7日間の栄養素欠乏を経験した。5時間の過程で、ストレスをかけたB.pumilus培養物は、−0.0056の傾きを有し、次いで未処理の培養物の正常な傾きに戻る。
【図11】図11は、Schaedler血液寒天培地のバックグラウンドテストの結果を示す顕微鏡写真である。MILLIFLEX RapidメンブランMXHVWP124を、30℃〜35℃で5日間、MILLIFLEXカセットにおいてSchaedler血液寒天培地上でインキュベートした。図11Aは、MILLIFLEX Rapid画像を示し、この場合はそのメンブランを100mlの流体Aですすぎ洗いした。図11Bは、100mlの流体Dですすぎ洗いしたメンブランを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、14日間のインキュベーション期間が必要な従来の試験よりも迅速な無菌試験の方法に関連する。本方法は、液体医薬品組成物(例えば溶液、懸濁液、エマルション、非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、眼用組成物、ワクチン)のような、ろ過性の液体組成物の迅速な無菌試験に特によく適合する。一般的に、本方法は、フィルターメンブランを通して医薬品組成物をろ過する工程を含み、次いでそのフィルターメンブランを固体培地に移し、そしてメンブラン上の生存微生物が増殖する、または十分な量の生体分子、例えばアデノシン3リン酸を産生することを可能にするために十分な時間、適当な増殖条件下でインキュベートして、微生物の検出を可能にする(例えば6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日)。
【0016】
1つの局面において、本発明は、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法である。その方法は、医薬品組成物(例えば液体医薬品組成物)を、フィルターメンブランを通してろ過して、医薬品組成物のろ取物、および医薬品組成物に存在し得るあらゆる生存微生物が堆積した、1枚超の(例えば少なくとも3枚の)フィルターメンブランを提供する工程を含む。所望の場合、次いで、洗浄溶液をろ過し、例えば増殖阻害剤、代謝阻害剤、または検出阻害剤をメンブランから洗い流し、そしてそれによってろ取物中の微生物の検出を促進することができる。ろ取物を含むフィルターメンブランを、固体培地に置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する。次いでそのろ取物培養物を、3つの異なる条件下:20℃〜25℃における好気性条件、30℃〜35℃における好気性条件、および30℃〜35℃における嫌気性条件において、フィルターメンブランに存在する生存微生物が増殖する、または十分な量の生体分子、例えばアデノシン3リン酸を産生するために十分な培養期間培養して、微生物の検出を可能にする。一般的に、そのろ取物培養物を、約13日以下の期間培養する、および好ましくは実質的に13日より短い期間培養する。次いで、そのろ取物培養物を、あらゆる適当な方法を用いて、メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在に関して評価する。フィルターメンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す。
【0017】
本発明の1つの局面において、ろ過性医薬品組成物を提供する工程、その組成物をろ過してろ取物が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程、その3枚のメンブランを固体培地に置いて、3つのろ取物培養物を産生する工程、約13日以下の培養期間、最初のろ取物培養物を、20℃〜25℃において好気性条件下で培養する工程、2番目のろ取物培養物を、30℃〜35℃において好気性条件下で培養する工程、および3番目のろ取物培養物を30℃〜35℃において嫌気性条件下で培養する工程、およびメンブランにおいてアデノシン3リン酸(ATP)を検出する工程を含む、医薬品組成物において生存微生物を検出するための方法が提供される。フィルターメンブランにおけるATPの存在は、その医薬品組成物における生存微生物の存在を示す。
【0018】
広い範囲の微生物を、本発明を用いて検出し得る(例えば酵母およびカビ、グラム陽性胞子形成細菌、グラム陰性細菌、グラム陽性球菌およびグラム陽性桿菌(好気性および嫌気性微生物の両方))。ATCC(American Type Culture Collection)株を検出するために、およびまた製造設備を汚染し得る環境微生物を検出するために、本方法を使用し得る。例えば、本明細書中で記載されるように、本方法を、Aspergillus brasiliensis ATCC16404(以前はAspergillus nigerとして公知であった)、Bacillus subtilis ATCC6633、Candida albicans ATCC10231、Clostridium sporogenes ATCC11437、Pseudomonas aeruginosa ATCC9027、Staphylococcus aureus ATCC6538、Escherichia coli ATCC8739、Acinetobacter Iwoffi、Bacillus clausii、Bacillus idriensis、Bacillus licheniformis、Bacillus pumilus、Bacillus sphaericus、Corynebacterium afermentans;Kocuria spez.、Kocuria rhizophilia(以前はMicrococcus luteusとして公知であった)、Moraxella osloensis、Penicillium spez.、Propionibacterium acnes、Staphyloccus capitis、Staphylococcus epidermidisおよびStaphylococcus warneriを検出するために使用し得る。
【0019】
一般的に、その医薬品組成物(例えば液体医薬品組成物)を、真空または陽圧を用いるような、圧力下の滅菌または無菌技術を用いて、無菌フィルターメンブランを通してろ過する。あらゆる適当なフィルターメンブランおよびろ過装置を使用し得る。適当なフィルターメンブランの例は、例えばポリフッ化ビニリデンメンブラン、グラスファイバーメンブラン、ポリカーボネートメンブラン、ポリエチレンテレフタラート(trephthalate)メンブラン、混合セルロースエステル(酢酸セルロースおよび硝酸セルロース)、ホスホセルロースメンブラン、DEAEメンブラン、ナイロンメッシュメンブラン、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluroethylene)メンブランを含む。好ましくは、そのメンブランはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)でできている。本請求される発明において使用するために適当なフィルターメンブランは、約0.1ミクロン(μm)から約20ミクロン、約0.1ミクロンから約15ミクロン、0.1ミクロンから約12ミクロン、0.1ミクロンから約10ミクロン、0.1ミクロンから約8ミクロン、0.1ミクロンから約6ミクロン、0.1ミクロンから約5ミクロン、0.4ミクロン−12ミクロン、0.4ミクロン−10ミクロン、0.4ミクロン−8ミクロン、0.4ミクロン−6ミクロン、約0.22ミクロン、または約0.45ミクロンの孔径のような、医薬品組成物に存在し得る微生物を保持するために十分小さい孔径を有する。好ましくは、そのメンブランフィルターは、約0.45ミクロンの孔径を有する。
【0020】
一般的に、ろ取物を含む少なくとも3枚のフィルターメンブランを調製する。医薬品組成物の3つの別々のサンプルを、3枚の別々のフィルターメンブランを通してろ過することによってこれを達成し得る。これをまた、医薬品組成物ろ取物を含む1枚のフィルターメンブランを調製し、そして滅菌または無菌技術を用いて、そのフィルターを3つの部分(例えばほぼ同じサイズの3つの部分)に切断または分割することによって達成し得る。医薬品組成物ろ取物を含むそのフィルターメンブランを、次いで適当な固体培地へ置いて、ろ取物培養物を産生する。
【0021】
検出される望ましい微生物の増殖および/または代謝を支援する、適当な固体培地および培養条件を選択し得る。例えば、本明細書中で記載および例示されたように、培地をスクリーニングすることによって、これを達成し得る。好ましくは、本方法において使用されるその固体培地は、好気性および嫌気性培養条件下で、広い範囲の微生物の増殖を支援する。所望の場合、1つ超の固体培地を使用し得る。例えば、酵母、カビおよび好気性細菌の増殖のための、液体トリプティックソイブロスと同等の、またはそれより良い最初の培地を使用し得る;嫌気性微生物の増殖のための、液状チオグリコール酸培地の嫌気性相と同等の、またはそれより良い2番目の固体培地を選択し得る;そして好気性微生物の増殖のための、液状チオグリコール酸培地の好気性相と同等の、またはそれより良い3番目の固体培地を選択し得る。好ましくは、好気性および嫌気性条件下の両方で、単一の固体培地を使用する。本発明で使用し得る適当な固体培地は、例えばFTM−A(1.075%の寒天(最終濃度)を含む液状チオグリコール酸培地)、BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、Difco Brewer嫌気性寒天培地、R2A寒天培地、Schaedler血液寒天培地、Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、Columbia寒天培地5%血液またはCDC嫌気性血液寒天培地を含む。Schaedler血液寒天培地は、本方法で使用するために特に好ましい固体培地である。
【0022】
好ましい固体培地は、本明細書中で記載されたような、「ストレスをかけた」および「ストレスをかけていない」微生物の増殖および/または代謝を支援するために適当である。微生物は、医薬品組成物の製造の間のような、プロセス化学反応(process chemistry)の間に、ストレス、例えば低浸透圧または高浸透圧ストレス、照射(UV光、ガンマ線照射、マイクロ波のような)、超音波、熱、低温または化学的ストレス(例えば塩素または医薬品製剤によって引き起こされる)を経験し得るので、これは望ましい。
【0023】
ろ取物培養物を、メンブラン上の生存微生物が、増殖してミクロコロニーまたはコロニーを生じる、または十分な量の生体分子、例えばアデノシン3リン酸を産生することを可能にするために十分な期間、適当な増殖条件下でインキュベート(すなわち培養)して、微生物の検出を可能にする。一般的に、1つのろ取物培養物を、30℃〜35℃において好気性条件下でインキュベートし、2番目のろ取物培養物を、30℃〜35℃において嫌気性条件下でインキュベートし、そして3番目のろ取物培養物を20℃〜25℃において好気性条件下でインキュベートする。
【0024】
いくつかの実施態様において、そのろ取物培養物を、生存微生物が、少なくとも約200アトモルのATP、少なくとも約200フェムトモルのATP、少なくとも約200ピコモルのATP、または少なくとも約200ナノモルのATPのような、検出可能な量のATPを産生することを可能にするために十分な期間培養する。培養期間は、約2から約7日、約2から約8日、約2から約9日、約2から約10日、約2から約11日、約2から約12日、約2から約13日、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、または約6日であり得る。個々のろ取物培養物それぞれのインキュベーション期間は、適切に変動させ得、そして全てのろ取物培養物を同じ長さの時間培養する必要はない。好ましいインキュベーション時間は、検出する微生物に基づいて変動する。
【0025】
ろ取物培養物のインキュベーション後にフィルターメンブランに存在する、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを、視覚的検査によって、または好ましくは適当なアッセイを用いることによるなど、あらゆる適当な方法を用いて検出し得る。例えば、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを検出するために、発光アッセイ(例えばルシフェラーゼアッセイ)を使用し得る。発光を検出するために、電荷結合素子カメラ、画像処理装置、および/または画像分析ソフトウェアのような、あらゆる適当な方法またはシステムを使用し得る。好都合なことに、画像分析ソフトウェアを、生存微生物細胞、生存微生物ミクロコロニー、または生存微生物コロニーの数を定量または測定するために使用し得る。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼアッセイのような発光アッセイを、フィルターメンブラン上の生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーによって産生されたアデノシン3リン酸(ATP)を検出するために使用する。例えば、ATP放出試薬および生物発光薬剤(例えばルシフェラーゼおよびルシフェリンを含む試薬)をフィルターメンブランに適用し、そしてもし生存細胞がATPを産生するなら発光が生じる。発光によってATPを検出するために適当な試薬は、当該分野で周知であり、そして市販で入手可能である(例えばMILLIFLEX迅速試薬キット;Millipore Corporation、Billerica、Massachusetts)。
【0026】
ろ取物培養物のインキュベーション後にフィルターメンブランに存在する生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーをまた、例えば微生物に対して内因性である核酸にハイブリダイズするプローブのハイブリダイゼーションを検出する発光アッセイを用いて検出し得る。その発光アッセイは、ペルオキシダーゼ反応または他の適当な反応を含み得る。ペルオキシダーゼおよび他の酵素の活性によって発光を生じさせるために適当な試薬は周知であり、そして市販で入手可能である。
【0027】
約10−100個の酵母細胞または約1000個の細菌細胞の検出を可能にするアッセイおよび検出システムを使用し得る。好ましくは、単一の細胞または約100個と少ない細胞の検出を可能にするアッセイおよび検出システムを使用する。例えば、微生物によって産生されるATPを検出することによって、これを達成し得る。例えば、市販で入手可能なATP生物発光アッセイを、市販で入手可能な電荷結合素子カメラ、画像処理装置および画像分析ソフトウェア(MILLIFLEX迅速微生物検出および計数システム;Millipore Corporation、Billerica、Massachusetts)と組み合わせて使用した場合に、約1個の酵母またはカビ細胞または約100個の細菌細胞と同等である、約200アトモルのATPを検出するために使用し得る。
【0028】
本明細書中で記載した検出方法は、液体医薬品組成物のような、ろ過性の組成物の無菌性を評価するためによく適している。液体組成物は、水性組成物、懸濁液およびエマルションを含む。その液体医薬品組成物は、例えば非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、または眼用組成物を含む、医薬品使用のために適当なあらゆる液体であり得る。その液体組成物は、ワクチンであり得る。
【0029】
適当なワクチンは、例えば炭疽ワクチン(ANT)、カルメットゲラン桿菌ワクチン(BCG)、ボレリア症ワクチン外側表面プロテインAワクチン(BORospA)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドワクチン(DT)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび百日咳ワクチン(DTP)、小児用のジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳ワクチン(DTPa)、成人用のジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳(perussis)ワクチン(DrTPar)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型ワクチン(DTPa−HIB)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型およびポリオウイルス不活化ワクチン(DTPa−HIB−IPV)、A型肝炎ウイルスワクチン(HAV)、A型肝炎ウイルスおよびB型肝炎ウイルスワクチン(HAV−HBV)、B型肝炎ウイルスワクチン(HBV)、ヘリコバクターピロリワクチン(HEL)、インフルエンザ菌b型ワクチン(HIB)、インフルエンザ菌b型結合型ワクチン(HIBcn)、インフルエンザ菌b型多糖類ワクチン(HIBps)、インフルエンザ菌b型ワクチン(ジフテリアCRRM197タンパク質結合型、ジフテリアCRM197毒素タンパク質に結合したオリゴ糖;HIB−HbOC)、鳥インフルエンザ(例えばH5N1、H1N3)およびブタインフルエンザ(例えばH1N1)のワクチンを含むインフルエンザウイルスワクチン(INF)、インフルエンザウイルス弱毒化生ワクチン(INFa)、インフルエンザウイルス弱毒化生ワクチン鼻腔内(INFan)、インフルエンザウイルス不活化ワクチン(INFi)、インフルエンザウイルス不活化ワクチンビリオン成分(split virion)(INFs)、インフルエンザウイルス不活化ワクチンビリオン成分AおよびB型三価(INFs−AB3)、インフルエンザウイルスワクチンビリオン全体(INFw)、ポリオウイルス不活化ワクチン(IPV)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)ワクチン(MEN)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)結合型ワクチン(MENcn)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)結合型ワクチン血清型A、C(MENcn−AC)、髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)多糖類ワクチン血清型A、C、Y、W−135(MENps−ASYW)、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスワクチン(MMR)、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスおよび水痘ウイルスワクチン(MMR−VAR)、ポリオウイルス弱毒化生経口三価ワクチン(OPV)、肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)ワクチン(PNU)、肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)結合型ワクチン7価(PNUcn−7)、肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)多糖類23価ワクチン(PNUps−23)、ポリオウイルスワクチン(POL)、狂犬病ワクチン(RAB)、狂犬病ワクチンヒト二倍体細胞培養(RAB−HDCV)、狂犬病ワクチン精製ニワトリ胚細胞培養(RAB−PCEC)、呼吸器合胞体ウイルスワクチン(RSV)、天然痘ワクチン(SMA)、天然痘(ワクシニアウイルス)ワクチン(SMAvac)、破傷風トキソイドおよびジフテリアトキソイド(成人のための低減した抗原量)ワクチン(Td)、トキソプラズマ症(トキソプラズマ・ゴンディ(toxoplasm gondii))ワクチン(TOX)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン(TPD)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン弱毒化生経口Ty21a株(TPDa)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン熱およびフェノール不活化乾燥(TPD−HP)、腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチンVi莢膜多糖類(TPD−Vi)、BCGではない結核(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)ワクチン(TUB)、水痘(varicella)(水痘(chichenpox)、水痘帯状疱疹ウイルス)ワクチン(VAR)を含む。
【0030】
適当な非経口組成物は、例えばアデノシン、アルプロスタジル、硫酸アミカシン、アジスロマイシン、ブレオマイシン、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、シスプラチン、ダカルバジン、ダウノルビシンHCl、メシル酸デフェロキサミン、酢酸デスモプレシン、ジルチアゼム、ジピリダモール、ドキソルビシン、エナラプリラート、エピルビシン、エポプロステノールナトリウム、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、リン酸フルダラビン、フルマゼニル、グラニセトロンHCl、イダルビシンHCl、イホスファミド、イリノテカンHCl、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レボカルニチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、メスナ、酢酸メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、ミトザントロン、ナルブフィンHCl、酒石酸水素ノルエピネフリン、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロン、オキサリプラチン、オキシトシン、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、臭化パンクロニウム、臭化フェニレフリン、フェニレフリンHCl、プロメタジンHCl、プロポフォール、臭化ロクロニウム、スルファメトキサゾール、コハク酸スマトリプタン、硫酸テルブタリン(tebutaline)、シピオン酸テストステロン、トブラマイシン、臭化ベクロニウム、硫酸ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン、およびストレプトゾシン滅菌粉末を含む。
【0031】
適当な経口組成物は、例えばアセトアミノフェンおよびリン酸コデイン錠剤、アセトアミノフェンアセタゾラミド錠剤、アシクロビルカプセル、アミロライドHCl、アミオダロンHCl、ベシル酸アムロジピンおよびベナゼプリルカプセル、ベシル酸アムロジピン錠剤、アモキシシリンおよびクラブラン酸カリウム、アモキシシリン、アナグレリド、デソゲストレルおよびエチニルエストラジオール錠剤、アスピリン、アテノロール、レボノルゲストレルおよびエチニルエストラジオール錠剤、アジスロマイシン、バクロフェン、ベナゼプリルHCl、ベンゾナテート、メシル酸ベンズトロピン、吉草酸ベタメタゾン(bethamethasone)、ジプロピオン酸ベタメタゾン、塩化ベタネコール、ビカルタミド、フマル酸ビソプロロール、ブプロプリオンHCl、ブデソニド吸入懸濁液、ブメタニド、ブプロピオンHCl、カベルゴリン、calcarb600、カルシトリオール、クエン酸カルシウム錠剤、ノルエチンドロン錠剤、カプトプリルおよびヒドロクロロチアジド錠剤、カプトプリル、カルバマゼピン、カルベジロール、セファクロル、セファドロキシル、セフジニル、セフプロジル、セファレキシン、セルタジェン(certagen)、セチリジン(certirizine)HCl、クロルジアゼポキシドHCl、マレイン酸クロルフェニラミン、クロルゾキサゾン、コリノイド(cholinoid)、シロスタゾール、シメチジンHCl、シメチジン(cimetine)、シプロフロキサシン、シタロプラム、イソトレチノイン、クラリスロマイシン、フマル酸クレマスチン、クリンダマイシン、クエン酸クロミフェン、クロミプラミンHCl、クロナゼパム、クロトリマゾール、クロザピン、クロモリンナトリウム、シクロベンザプリンHCl、シクロスポリン、シプロヘプタジンHCl、ダナゾール、デメクロサイクリンHCl、酢酸デスモプレシン、デクスメチルフェニデートHCl、硫酸デキストロアンフェタミン、ジアゼパム、ジクロフェナクカリウム、ジクロキサシリン、ジダノシン、ジルチアゼム(ditiazem)HCl、ジフェンヒドラミンHCl、ジピリダモール、リン酸ジソピラミド、ジバルプロエクスナトリウム、ドルゾラミドHCl、メシル酸ドキサゾシン、マレイン酸エナラプリル、カルバマゼピン、エスタゾラム、エストラジオール、エストロピペート、エタンブトールHCl、エトスクシミド、エトドラク、ファムシクロビル、ファモチジン、硫酸鉄(II)(ferrous sulf)、硫酸第一鉄、フェキソフェナジンHCl、フィナステリド、酢酸フレカイニド、フルコナゾール、酢酸フルドロコルチゾン、フルオシノニド、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フルタミド、フルボキサミン、ホシノプリルナトリウム、フロセミド、ガバペンチン、臭化水素酸ガランタミン、ゲムフィブロジル、グリメピリド、グリピジド、硫酸グルコサミン、グリブリド、ハロペリドール、ヒドララジンHCl、ヒドロクロロチアジド、酒石酸水素ヒドロコドン(hydrocondone)、硫酸ヒドロキシクロロキン、ヒドロキシウレア、ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、インドメタシン、イソニアジド、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラクトロメタミン、ラベタロールHCl、ラモトリジン、ランソプラゾール、レフルノミド、ロイコボリンカルシウム、レベチラセタム、リドカインHCl、リシノプリル、ロペラミドHCl、ロラゼパム、ロサルタンカリウム、ロバスタチン、メベンダゾール、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メロキシカム、メペリジンHCl、メルカプトプリン、メサラミン、メトホルミンHCl、メトトレキサート、メチルドパ、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、酒石酸メトプロロール、メトロニダゾール、メトロニダゾール、メキシレチン、ミノサイクリンHCl、ミルタザピン、ミソプロストール、モエキシプリル(moeipril)HCl、ムピロシン、ミコフェノール酸モフェチル、ナブメトン、ナドロール、ナルトレキソンHCl、ナプロキセン、ネファゾドン(nefazone)HCl、硫酸ネオマイシン、ナイアシン、ニフェジピン、ニモジピン、ニザチジン、酢酸ノルエチンドロン、ノルトリプチリンHCl、ナイスタチン、オフロキサシン、オメプラゾール、オンダンセトロンHCl、オキサプロジン、オキサゼパム、塩化オキシブチニン、オキシコドン、オキシコドンHCl、パントプラゾールナトリウム、パロキセチン、ペニシリンVカリウム、ペントキシフィリン、フェニルジェシク(phenylgesic)、ピロキシカム、二塩酸プラミペキソール、プラバスタチンナトリウム、プラゾシンHCl、プレドニゾロン、マレイン酸プロクロルペラジン、プロパフェノンHCl、プロポキシフェンHCl、プロプラノロールHCl、プロトリプチリンHCl、キナプリル、硫酸キニジン、ラミプリル、ラニチジンHCl、リバビリン、リスペリドン、ロピニロールHCl、センナ−S、センナゲン(sennagen)、硝酸銀、シンバスタチン、ソタロールHCl、スクラルファート、クエン酸タモキシフェン、タムスロシンHCl、テラゾシン(terzosin)HCl、テルビナフィンHCl、テトラサイクリンHCl、テオフィリン、チクロピジンHCl、トルメチンナトリウム、トピラマート、トルセミド、トラマドールHCl、トランドラプリル、トラゾドンHCl、トレチノイン、ウルソジオール、バルプロ酸、ベンラファキシンHCl、ベラパミルHCl、ワルファリンナトリウム、ザレプロン、および酒石酸ゾルピデムを含む。
【0032】
適当な鼻用組成物は、例えば鼻腔内スプレー、抗片頭痛薬、ペプチド薬剤(ホルモン治療)、麻酔薬、制吐薬、鎮静薬、塩酸アゼラスチン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニレフリン(pheynylephrine hydrochloride)、食塩水溶液、フロ酸モメタゾン、ブデソニド、臭化イプラトロピウム、およびクロモリンナトリウム鼻腔内スプレーを含む。
【0033】
適当な眼用組成物は、例えばリドカイン、プロパラカイン、テトラカイン、ケトロラクトロメタミン眼用溶液、ケトロラクトロメタミン、ナファゾリン眼用、ブリモニジン、アジスロマイシン、ベシル酸ベポタスチン、ベシフロキサシン、ベタキソン、コソプト、ジフルプレドナート(diflupredate)、ロテマックス、ラニビズマブ、ビマトプロスト、ペガプタニブ、オフロキサシン、デサメタゾン、レボフロキサシン、ウノプロストンイソプロピル眼用溶液、シクロスポリン眼用エマルション、サラジェン、トラボプロスト眼用溶液、バルガンシクロビルHCl、ビロプティック、シドホビル、ベルテポルフィン、ビトラサート(vitrasert)、ビトラベン(vitravene)、およびフマル酸ケトチフェン眼用溶液を含む。
【0034】
本明細書中で記載された方法を、あらゆる適当な機器または装置を用いて行い得、そして手動または自動で行い得る。1つの好ましい局面において、その方法を、市販で入手可能なMILLIFLEX迅速微生物検出システムを用いて行い、それはサンプル調製ステーション、自動スプレーステーション、検出タワー、画像分析機、CCDカメラおよびソフトウェアを含むコンピューターを含む(Millipore Corporation、Billerica、Massachusetts)。
【0035】
別の局面において、本発明は、本明細書中で記載された方法を用いて生存微生物に関してスクリーニングされた、滅菌医薬品組成物(例えばワクチン、眼用組成物、鼻用組成物、経口組成物、非経口組成物)である。
【実施例】
【0036】
例示
ATCC株および生産場所(表面または生産者接触プレート、バイオバーデンおよび無菌試験からの混入)からの環境株の凍結コレクションの作成
凍結乾燥培養物(ATCC株)、または直接プレート(環境単離物)に由来する、微生物を液体トリプティックソイブロスまたは固体培地(例えばSabouraudデキストロース寒天培地)で、適切な期間培養した。各株の遺伝子型同定を、MicroSeq System、Applied Biosystemsを用いて行った。次いで培養物を800×Gで20〜30分間遠心分離し、そしてペレットを保護培地(15%のグリセリンを含むOxoid−CM67)に再懸濁した。その培養物を希釈し、CFU(コロニー形成単位)を固体培地でチェックし、そして2mlのNunc CryotubeTMバイアルに満たし、−80℃で保存した。表1は、使用した微生物の完全なリストを示す。
【0037】
【表1】
A.ストレス因子研究
それぞれ1〜10分間、UV光(240〜250μW/cm2)、熱(50〜70℃の水浴)のいずれかを適用することによって、または微生物を希釈系列の非経口製剤中でインキュベートすることによって、ストレスを誘起し、アリコートを毎分取った。ストレスを100CFUより下の範囲の試験微生物の流体懸濁液に直接適用した。ストレスの影響を、プレートカウント法およびOD測定を用いて決定した、CFUの減少によってモニターした。
【0038】
プレートカウント:ストレスをかけた微生物を、トリプティックソイ寒天培地にまき、各分のアリコートをプレーティングすることによって、ストレスの様々な影響をモニターした(ストレスを1〜10分間適用し、アリコートを毎分取った)。結果を、2〜7日後に計測した(株に依存して、例えばE.coliおよびA.nigerは最後の2日後に計測したが、P.acnesはインキュベーション6日後より前には計測できなかった)。最初に播種した量のCFUの50%超の減少を引き起こすために必要な正確な時間を測定した。
【0039】
OD測定(λ=600nm):試験微生物の一晩培養したものを、まずストレスをかけ(≧50%低減研究において決定されたストレスパラメーターを適用した)、トリプティックソイブロスまたは液状チオグリコール酸培地に播種し(約3〜4×106CFU/ml)、そして8時間までの時間枠にわたって分析した(各時間に吸光度を測定するためにアリコートを取った)。インキュベーションを振とうテーブル上で行った(好気性株のみ)。ストレスをかけた培養物を、ストレスをかけていない培養物と比較した。
【0040】
ストレス因子研究50%低減の結果
22個の株からのそれぞれの微生物に関して、3つのストレスパラメーターを試験した。最初に播種したCFUの量の50%超の減少を引き起こすために必要である、各ストレス因子の正確なパラメーター(1分間および10分間の間)を測定した。試験した3つのストレスパラメーターは、UV光、熱および非経口適用のための非経口製剤中における微生物のインキュベーションであった。例えば、熱は、細胞膜に損傷を引き起こし、RNAは変性し、そしてこれはいくつかの細胞の死を引き起こす。UV照射は、変異およびDNA複製の停止を引き起こす(M.Strus、Rocz Panstw Zakl Hig.48(3):263−268(1997))。
【0041】
非経口製剤の適用は、微生物細胞における化学的ストレスを引き起こす−非経口製剤の抗菌特性が長い間知られている。図1−3は、Moraxella osloensis、Escherichia coliおよびAcinetobacter Iwoffiiに関して得られたデータの例を示す。22個の微生物の株のそれぞれに関して、最初の接種材料を≧50%低減させるために必要なストレスパラメーターを見出した。
【0042】
いくつかの場合において、コロニーの形態の変化(コロニーはよりゆっくり増殖するが、後に正常なコロニーサイズを回復する)が観察された。例えば、Micrococcus luteusは、コロニーサイズの減少を示した[図4aおよび4b]。
【0043】
迅速無菌試験の培地評価のために、広い範囲の微生物を使用することだけでなく、これらの微生物を、ストレスをかけた状態で使用することも重要であった。非経口製剤によって引き起こされる化学的ストレス、およびUV光の適用によって引き起こされる照射ストレスなどの、いくつかのストレス因子は、播種された微生物の量を減少させた。対照的に、熱処理は、試験した微生物のいくつかにおいて、最初に増殖速度の低減を引き起こした。熱損傷細胞は、回復するために3から4時間の時間がかかることが既に報告された−これは本研究において確認された(M.Warseck、Appl.Microbiol.、26:919−922(1973))。胞子形成細菌は、ストレスに対して広い抵抗性を示すので、熱ストレスは胞子形成細菌には有用でなく、他のストレスパラメーターも可能性がない(P.Setlow、J.Appl.Microbiol.、101(3):514−525 Review(2006))。例えばB.pumilusを、照射指標細菌として使用する(J.Wong、PDA J Pharm Sci Technol.58(1):6−14(2004))。胞子形成細菌の場合、異なる「ストレス」因子を使用した−これらは、栄養素の欠乏によってストレスを受け、そして従ってより高い胞子含有量が誘導された。
【0044】
続く栄養培地評価および統計分析によって、Schaedler血液寒天培地が、無菌試験において使用するために最もよい固体培地であることが明らかになった。20℃〜25℃および30℃〜35℃における好気性インキュベーションの間の差を分析するためのt−検定は、その温度の間に有意差が存在することを示した。40例のうち11例においてその差が有意であったので、迅速無菌試験において両方のインキュベーション温度を検証することが必要である。
【0045】
OD測定
≧50%低減研究において決定されたストレスパラメーターを、試験した各株に適用した。ストレスをかけた接種材料を常にストレスをかけていない接種材料と比較した。微生物(最初の接種材料として約3〜4×106CFU/ml)を、トリプティックソイブロスまたは液状チオグリコール酸培地のいずれかにおいてインキュベートし、そして30℃〜35℃で振とうテーブルにおいてインキュベートした(好気性株のみ)。各時間でアリコートを取り、そして吸光度(λ=600nm)を測定した。異なる処理をした(未処理、熱処理、UV光で処理した、非経口製剤中に希釈した、50%低減実験に使用した時間/パラメーター)接種材料に関して得られたデータは、OD測定データの通常プロットにおいてわずかに異なる増殖曲線を示した[図5]。
【0046】
データを対数でプロットすること[図6]により、E.coliの増殖曲線に対する熱処理の影響が示され、そしてそのデータを接種材料の量と関わらないものにする。接種材料の量を正確に制御することが容易ではないので、対数プロットはこれを利点として有する。細菌培養物にUV光、または非経口製剤処理のいずれかによってストレスをかけた場合に、観察された増殖において実際の差異はない(50%低減実験において決定されたパラメーターによって)。
【0047】
傾きの比較により、熱処理(50%低減実験において決定されたパラメーター)のみが、微生物の増殖速度に影響を有すること、そして微生物が実際のストレスを示したことが示される。UV光および非経口製剤中での希釈(いずれも「殺菌因子」であり、そして「ストレス因子」ではない)は、培地評価の間使用しなかった。増殖速度に対するストレスは、直線を適用することによって、および傾きを比較することによって最も良く詳細に示される。選択した範囲で全ての微生物株に関して、増殖の傾きの低減が示された。本明細書中で示される例は、E.coli、S.aureus、C.albicans、およびB.pumilusである。E.coliの場合、増殖の傾きは約3時間低減されたが、このことは、この微生物が回復するために約3時間必要とすることを意味する[図7]。
【0048】
S.aureusは、4時間の時間枠にわたって増殖の傾きの低減を示す[図8]。
【0049】
酵母C.albicansは、さらにより長いストレスの持続を示した。増殖の傾きは8時間超低減したままであり、一晩でストレスを受けた培養物は正常な増殖の傾きを回復した[図9]。
【0050】
グラム陽性胞子形成細菌に関して、熱ストレスは可能性がない。他のストレス因子、UV光および非経口製剤中の希釈は、その微生物にストレスの影響を示さなかったので、胞子形成細菌に対する別のストレスを見出さなければならなかった。バチルス属およびクロストリジウム属に関して、細菌懸濁液中でより高い胞子含有量が誘起された。そしてそのOD測定を行った[図10]。この胞子形成は、栄養素の欠乏、および過剰増殖した微生物培養物を6日間超2〜8℃に保存することによって達成された。
【0051】
全ての微生物を、記載した方式で試験した。3つの場合においてのみ困難が観察された。カビPenicilliumおよびAspergillusは、液体培地中で菌糸体として増殖し、従って正確なOD測定は不可能であった。C.albicansおよび全ての試験した微生物に関してデータが利用できるので、PenicilliumおよびAspergillusが同じ方式でふるまうということを推定するのみでよい。従って、試験したパラメーターを培地評価のために取り入れる。他の場合において、Propionibacterium acnes(この株はFTMにおいてより良く増殖する)に関して、プレートカウントによって決定された≧50%低減についてのパラメーターは、OD測定実験において再現することができなかった。≧50%低減実験のパラメーターと比較して、長い時間枠の間にストレスを除いた場合にのみ、増殖におけるタイムラグが観察された。P.acnesはおそらく、より高い酸素ストレスのために、OD測定において異なる結果を示した。OD測定のために、アリコートを毎時間取り、P.acnesにとって一定の酸素ストレスを引き起こした。ストレス因子研究から得られたデータを表2にまとめる。
【0052】
【表2】
従って、ストレスパラメーターの熱および栄養素の欠乏を、培地評価において使用した。選択したストレス因子は、滅菌製剤の生産プロセスにおいておそらく存在するストレスに類似する。
【0053】
B.増殖促進研究
試験する培地に、約10〜100CFUの量で微生物(ストレスをかけた状態、およびストレスをかけていない状態)を播種した。その実験を、各インキュベーションパラメーター(インキュベーションパラメーターは20℃〜25℃および30℃〜35℃好気性インキュベーション、30℃〜35℃嫌気性インキュベーションである)に関して5回の反復結果を用いて行った。インキュベーションの2−7日後に、結果を視覚的に計測した。得られた生データを、各微生物に関して6つの群に群分けした:
1.20℃〜25℃好気性インキュベーション−ストレスをかけた微生物
2.20℃〜25℃好気性インキュベーション−ストレスをかけていない微生物
3.30℃〜35℃好気性インキュベーション−ストレスをかけた微生物
4.30℃〜35℃好気性インキュベーション−ストレスをかけていない微生物
5.30℃〜35℃嫌気性インキュベーション−ストレスをかけた微生物
6.30℃〜35℃嫌気性インキュベーション−ストレスをかけていない微生物
テストした栄養培地を、亜群に群分けする。
【0054】
予備セレクションのための固体栄養培地のリスト(ストレスをかけていない10個の株による増殖促進試験)
・FTM−A(さらに10g/Lの寒天を含み、最終濃度が1.075%の寒天になる、液状チオグリコール酸培地)、Amimed、Allschwil、Switzerland
・BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Difco Brewer嫌気性寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・R2A寒天培地、Oxoid,Great Britain
・Schaedler血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Columbia寒天培地5%血液、BioMerieux、France
・CDC嫌気性血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany 。
【0055】
最終的な研究のための固体栄養培地のリスト(ストレスをかけていない状態、およびストレスをかけた状態の22個の株による増殖促進試験)
・Difco Brewer嫌気性寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Schaedler血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
・CDC嫌気性血液寒天培地、γ線照射、heipha、Eppelheim、Germany
全てのγ線照射培地を、照射プロセスを維持するように補充した。
【0056】
栄養培地の評価
栄養培地評価研究を、2つの部分で行った:最初の予備セレクション(ストレスをかけていない10個の株による増殖促進試験、8個の寒天培地での試験)により4つの培地への削減がもたらされたが、それはこれらの培地のみをより綿密に検討することを意味した。FTM−A寒天培地、ブレインハートインフュージョン寒天培地、R2A寒天培地およびColumbia寒天培地5%血液を、この予備セレクションで除外した。
【0057】
栄養培地の評価において、次の4つの培地を詳細に試験した:トリプティックソイ寒天培地、CDC嫌気性血液寒天培地、Schaedler血液寒天培地およびDifco Brewer嫌気性寒天培地。ストレスをかけた状態、およびストレスをかけていない状態の両方で播種した22個の株のそれぞれに関して、得られたデータを群分けし、そしてANOVAを用いて統計解析した。3つのインキュベーションパラメーター、20℃〜25℃および30℃〜35℃好気性インキュベーションおよび30℃〜35℃嫌気性インキュベーション、および各微生物に対する2つの異なるストレス状態(ストレスをかけたおよびストレスをかけていない)により、各微生物に関して6つの群が形成される(×22個の株)。これらの群のそれぞれのANOVAを行い、良好な増殖促進特性のクレジットを、各寒天培地の22微生物に関してまとめた。もしそれが最も高いカウントを達成したなら、1クレジットをその群/寒天培地に与えた。この最も高いカウントの寒天培地と有意差を有さない群/寒天培地も1クレジットを得た。
【0058】
20℃〜25℃好気性インキュベーション群では、Schaedler血液寒天培地が30クレジットを集め、CDC嫌気性血液寒天培地は27クレジット、トリプティックソイ寒天培地は24、およびDifco Brewer嫌気性寒天培地は17クレジットを集めた[表3Aおよび3B]。P.acnesおよびCl.sporogenesは好気的に増殖しないので、クレジットを集めなかった。ストレスをかけたA.niger、B.pumilis、B.sphaericusおよびB.idriensisは、全ての試験した寒天培地における低いカウント(0−5CFU)のために0クレジットであった。
【0059】
【表3A】
【0060】
【表3B】
30℃〜35℃好気性インキュベーション群において、Schaedler血液寒天培地は28クレジットを集め、トリプティックソイ寒天培地は28クレジットを集め、CDC嫌気性血液寒天培地は27クレジット、およびDifco Brewer嫌気性寒天培地は24クレジットを集めた[表4Aおよび4B]。P.acnesおよびCl.sporogenesは好気的に増殖しないので、クレジットを集めなかった。ストレスをかけたB.idriensisおよびM.osloensisは、低いカウント(0〜5CFU)のために0クレジットであった。
【0061】
【表4A】
【0062】
【表4B】
30℃〜35℃嫌気性インキュベーション群において、CDC嫌気性血液寒天培地は25クレジットを集め、Schaedler血液寒天培地は25クレジット、トリプティックソイ寒天培地は21クレジット、そしてDifco Brewer嫌気性寒天培地は17クレジットを集めた[表5Aおよび5B]。ストレスをかけたB.idriensisは、低いカウント(0〜5CFU)のために0クレジットであった。
【0063】
【表5A】
【0064】
【表5B】
それらのデータは、Schaedler血液寒天培地が、好気性条件で最もよい増殖促進特性を有しており、嫌気性条件においてSchaedler血液寒天培地はCDC嫌気性血液寒天培地と同じ量のクレジットを得たことを示している。従って、22個の試験株のために、および3つの試験したインキュベーションパラメーターのために適当な寒天培地としてSchaedler血液寒天培地を選択した。Schaedler血液寒天培地(13)の組成(heipha、Eppelheim、Germanyによって改変された)は以下のとおりである:カゼインペプトン10g、大豆フラワーペプトン1g、肉ペプトン2g、肉抽出物(exact)1g、酵母抽出物5g、グルコース2g、NaCl5g、リン酸水素二カリウム2.5g、寒天細菌学的グレード14g、ヒツジ血液50ml、アミノ酸、緩衝剤、ヘミン、ビタミンK、ガンマ線照射:9〜20kGy。
【0065】
20℃〜25℃および30℃〜35℃における好気性インキュベーションの間の差
インキュベーション温度20℃〜25℃および30℃〜35℃(好気性インキュベーション)の間に有意差が存在するかどうかを示すために、栄養培地評価からのデータを用いてt−検定を行った。
【0066】
ストレスをかけた状態、およびストレスをかけていない状態の両方で全ての好気性微生物(Cl.sporugeloesおよびP.acnesを除く)から成る40個の群についてt−検定を行った。40個の群のうち11個の群において有意差が生じた。20℃〜25℃の群と比較して、インキュベーションパラメーター30℃〜35℃は5回、より高い量のコロニー形成単位(同じ接種材料に由来する)を示した。20℃〜25℃群は、6つの場合においてより高い値を生じた。t−検定はその温度の間に有意差が存在することを示した。40例のうち11例においてその差が有意であったので、迅速無菌試験において両方のインキュベーション温度を検証することが必要である。これらの結果は、従来の無菌試験だけでなく、本迅速無菌試験に関しても、両方のインキュベーション温度の重要性を強調する。
【0067】
データの統計解析
生データの統計解析のために、Minitab(登録商標) Release 14.20 Statistical Softwareにおいて実行する以下の方法を使用した。
【0068】
ANOVA(分散分析)は平均値を比較する。ANOVAは、反応変数および1つ以上の独立変数の間(群間)の関係を調査およびモデリングするために使用するので、回帰分析と同様である。それは仮説検定を用い、これは帰無仮説を検定することを意味する。ANOVAはp値を生じる。p値は、第1種過誤を起こす可能性を表わすか、またはそれが真である場合には帰無仮説を否定する。カットオフ値は0.05である−p値が95%の信頼限界に対応する0.05より低い場合には帰無仮説が否定される。
【0069】
ANOVA分析を使用する必要条件は:
・4つの亜群(栄養培地)の正規分布、p値≧0.05
・Bartlett’s Testを用いた等分散の検定:p値≧0.05、および
・Levene’s Test:p値≧0.05。
【0070】
ANOVAのp値≧0.05は、亜群/寒天培地の間に有意差は存在しないことを意味し、p値<0.05は、亜群/寒天培地の間に有意差が存在することを意味する。最も高い平均値に対して有意差を示さない全ての寒天培地(最も高い平均値を有するものを含む)を、1クレジットと評価した。最も高い平均値に対して有意差を示した寒天培地には、クレジットを与えなかった。Dixon’s Testを用いて、域外値分析を行った(W.J.Dixon、Ann.Math.Statist.21:488−506(1950);W.J.Dixon、Biometrics.9:74−89(1953);USP<1010>「Analytical data−interpretation and treatment」、Pharmacopeial Forum.USP30−NFからSecond Supplement The United States Pharmacopeial Convention,Inc.)。このために、試験中の観察のセットを含むN値を、昇順に配置した:X1<X2<・・・<XN。次いで統計実験Q値(Qexp)を計算した。これは、疑わしい値の範囲で割った、疑わしい値のその最も近い値からの差として定義される比である(Q:棄却商(rejection quotient))。従って、x1またはXN(潜在的な域外値として)を試験するために、以下のQexp値を使用した:
得られたQexp値を、表において見出される棄却Q値(Qcrit)と比較した。もしQexp>Qcritなら、疑わしい値を域外値として特徴付けすることができ、そしてそれを拒絶し得る。もしそうでなければ、その疑わしい値を保持し、そして続く計算の全てにおいて使用しなければならない。ANOVAを実施し得る他の方法は、以下のものである:正規分布に従わない、そして他の亜群より有意に低い亜群(群内の4つの栄養培地)を、それらはANOVAに不適切であるので除外した。もし群内の亜群のCFU値が低すぎたなら(0〜5CFU)、4かける0クレジット(4 times 0 credits)の最終結果を与えた。全ての他の場合において、再テストを行わなければならなかった。t−検定(Minitab(登録商標) Release 14.20 Statistical Softwareも用いる)を用いて、2つのサンプルの平均値を比較する;t−検定は、データ中の偏差(variation)と関連して2つの平均値の間の実際の差を比較する(平均値の間の差の標準偏差として表す)。
【0071】
C.Millipore Milliflex(登録商標) Rapid Microbiology Detection Systemの一般的な説明
試験中のサンプル(膜における微生物の適切な分布を保証するために、100mlのすすぎ洗い用流体中で希釈された)を、Milliflex(Mifliflex)(登録商標) PLUSポンプを用いて、Milliflex(登録商標)Rapidフィルターでろ過し、可能性のある混入物は、フィルターメンブランにおいてトラップされる(孔径:0.45μm)。
【0072】
ろ過後、フィルターを、Milliflex(登録商標)システムを用いて固体栄養培地に適用し、ここでその滅菌Milliflex(登録商標)フィルターは、Milliflex(登録商標)カセット上でカチッとはまり、そして漏斗がはずれる。このメンブランを栄養培地に移動するMilliflex(登録商標)システムのために、メンブランの取り扱いによる2次混入のリスクは低い、または無い。カセットはきつく閉じられているので、インキュベーションの間の2次混入のリスクは低い。フィルターをMilliflex(登録商標)カセットでインキュベートすることによって、潜在的な混入物(複数可)のミクロコロニーへの増殖が起こり得る。インキュベーション時間の終わりに、フィルターをMilliflex(登録商標)カセットから分離し、そして層状フローフード内のAutospray Stationに適用する。Milliflex(登録商標) Rapidにおける検出のために、ミクロコロニーは一定のサイズ(約10〜100個の酵母細胞、1000個の細菌細胞)を有さなければならないので、インキュベーション後の工程は、2次的混入に関して重要な工程ではない。もし環境微生物または操作者由来の微生物が、インキュベーション後の工程の間にメンブランに加わるとしても、インキュベーションの欠如、そして従って検出のために必要な一定の量のATPの欠如のために、それは検出されない。
【0073】
AutoSpray Stationは、ATP放出薬剤、およびその後生物発光試薬をメンブランにスプレーする。
【0074】
ここで示した反応化学が、Milliflex(登録商標) Rapid検出の基礎である(W.D.McElroy、Adv.Enzymol.Relat.Areas.Mol.Biol.25:119−166(1963))。
【0075】
ルシフェリン(luciferan)+ATP ルシフェラーゼ、Mg2+ → オキシルシフェリン+AMP+hv(λ=562nm)
(Mg2+はマグネシウム、ATPはアデノシン3リン酸、AMPはアデノシン1リン酸、hvは放出された光子、λは波長を意味する) 。
【0076】
放出された光子を最大限捕捉するために、Autospray Stationから、Milliflex(登録商標) Rapid Detection Towerへのスプレーしたメンブランの迅速な移動が必要である。可能な光シグナルを、CCDカメラ(電荷結合素子)で検出し、そしてMilliflex(登録商標)、Rapidソフトウェアのアルゴリズムがミクロコロニーの量を計算する。
【0077】
Milliflex(登録商標) Rapid検出において生物発光バックグラウンドはない
Milliflex(登録商標) Rapid Microbiology Detection Systemにおいて、Schaedler血液寒天培地を使用するので、この培地が生物発光バックグラウンドを生じるかどうかを決定するために試験を行った。このために、培地のカセットを、100mlの流体Aまたは流体Dのいずれかですすぎ洗いした、MXHVWP124メンブラン(ポリフッ化ビニリデンメンブラン、孔径0.45μm)とインキュベートした。インキュベーション温度は30℃〜35℃であり、5日間インキュベートした。図11は、Schaedler血液寒天培地由来の生物発光バックグラウンドはないことを示し、このことは、ガンマ線照射した栄養培地に妨害するATPは残っていないことを意味する。Schaedler血液寒天培地は、Milliflex(登録商標) Rapid Systemにおいて使用するために適当である。
【0078】
本明細書中で引用された全ての文書の教示全体は、これによって本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品組成物中の生存微生物を検出するための方法であって、該方法は:
a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;
b)該医薬品組成物をろ過して、該医薬品組成物のろ取物が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程;
c)該少なくとも3枚のフィルターメンブランを、固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する工程;
d)
i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;
ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;および
iii)少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で、
培養する工程であって、ただし、該ろ取物培養物のいずれも約13日間より長い期間培養しない、工程;ならびに
e)メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーを検出する工程であって、ここで該メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在は、該医薬品組成物における生存微生物の存在を示す、工程、を含む方法。
【請求項2】
工程b)が、前記医薬品組成物をろ過した後に、洗浄溶液をろ過する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メンブランが、ポリフッ化ビニリデンメンブラン、グラスファイバーメンブラン、ポリカーボネートメンブラン、ポリエチレンテレフタラートメンブラン、混合セルロースエステル(酢酸セルロースおよび硝酸セルロース)、ホスホセルロースメンブラン、DEAEメンブラン、ナイロンメッシュメンブラン、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluroethylene)メンブランである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記メンブランが約0.45μmの孔径を有する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記固体培地が、FTM−A(1.075%の寒天を含む液状チオグリコール酸培地(最終的な濃度))、BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、Difco brewer嫌気性寒天培地、R2A寒天培地、Schaedler血液寒天培地、Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、Columbia寒天培地5%血液、およびCDC嫌気性血液寒天培地からなる群より選択される、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程d)において、前記ろ取物培養物を、検出可能な量のATPの産生に十分な期間、培養する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ろ取物培養物を、約2日間〜約7日間の期間、培養する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程e)において、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを、発光アッセイを用いて検出する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記発光アッセイが、前記メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーによって産生されるアデノシン3リン酸(ATP)を検出する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記発光アッセイが、ルシフェラーゼアッセイを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記発光アッセイが、プローブおよび微生物に対して内因性である核酸の間に形成される核酸ハイブリダイゼーション産物を検出する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記発光アッセイが、ペルオキシダーゼ反応を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
発光を、電荷結合素子カメラおよび画像分析ソフトウェアを用いて検出する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記生存微生物細胞、生存微生物ミクロコロニー、または生存微生物コロニーを数える、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬品組成物が、液体組成物である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記液体組成物が、非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、または眼用組成物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記液体組成物が、ワクチンである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ワクチンが、炭疽ワクチン;結核ワクチン;ボレリア症ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび百日咳ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳(perussis)ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型およびポリオウイルス不活化ワクチン;A型肝炎ウイルスワクチン;A型肝炎ウイルスおよびB型肝炎ウイルスワクチン;B型肝炎ウイルスワクチン;ヘリコバクターピロリワクチン;インフルエンザ菌b型ワクチン;インフルエンザウイルスワクチン;ポリオウイルスワクチン;髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)ワクチン;麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスワクチン;麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスおよび水痘ウイルスワクチン;肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)ワクチン;狂犬病ワクチン;呼吸器合胞体ウイルスワクチン;天然痘ワクチン;トキソプラズマ症(トキソプラズマ・ゴンディ(toxoplasm gondii))ワクチン;腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン;結核(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)ワクチン;および水痘(水痘、水痘帯状疱疹ウイルス)ワクチンからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ワクチンが、鳥インフルエンザワクチンまたはブタインフルエンザワクチンである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
医薬品組成物中の生存微生物を検出するための方法であって、該方法は:
a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;
b)該医薬品組成物をろ過して、該医薬品組成物のろ取物が堆積した少なくとも3枚のメンブランを提供する工程;
c)該少なくとも3枚のフィルター/メンブランを固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する工程;
d)
i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;
ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;および
iii)少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で、
培養する工程であって、ただし、該ろ取物培養物のいずれも約13日間より長い期間培養しない、工程;ならびに
e)該メンブランにおいてアデノシン3リン酸(ATP)を検出する工程であって
、ここでメンブランにおけるATPの存在は、該医薬品組成物中の生存微生物の存在を示す、工程、を含む方法。
【請求項21】
生存微生物についてスクリーニングされ、無菌性が、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法を使用して確認される、無菌医薬品組成物。
【請求項1】
医薬品組成物中の生存微生物を検出するための方法であって、該方法は:
a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;
b)該医薬品組成物をろ過して、該医薬品組成物のろ取物が堆積した少なくとも3枚のフィルターメンブランを提供する工程;
c)該少なくとも3枚のフィルターメンブランを、固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する工程;
d)
i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;
ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;および
iii)少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で、
培養する工程であって、ただし、該ろ取物培養物のいずれも約13日間より長い期間培養しない、工程;ならびに
e)メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーを検出する工程であって、ここで該メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニーまたはコロニーの存在は、該医薬品組成物における生存微生物の存在を示す、工程、を含む方法。
【請求項2】
工程b)が、前記医薬品組成物をろ過した後に、洗浄溶液をろ過する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メンブランが、ポリフッ化ビニリデンメンブラン、グラスファイバーメンブラン、ポリカーボネートメンブラン、ポリエチレンテレフタラートメンブラン、混合セルロースエステル(酢酸セルロースおよび硝酸セルロース)、ホスホセルロースメンブラン、DEAEメンブラン、ナイロンメッシュメンブラン、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluroethylene)メンブランである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記メンブランが約0.45μmの孔径を有する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記固体培地が、FTM−A(1.075%の寒天を含む液状チオグリコール酸培地(最終的な濃度))、BHI(ブレインハートインフュージョン寒天培地)、Difco brewer嫌気性寒天培地、R2A寒天培地、Schaedler血液寒天培地、Caso−寒天培地ICR(トリプティックソイ寒天培地)、Columbia寒天培地5%血液、およびCDC嫌気性血液寒天培地からなる群より選択される、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程d)において、前記ろ取物培養物を、検出可能な量のATPの産生に十分な期間、培養する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ろ取物培養物を、約2日間〜約7日間の期間、培養する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程e)において、生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーを、発光アッセイを用いて検出する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記発光アッセイが、前記メンブランにおける生存微生物細胞、ミクロコロニー、またはコロニーによって産生されるアデノシン3リン酸(ATP)を検出する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記発光アッセイが、ルシフェラーゼアッセイを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記発光アッセイが、プローブおよび微生物に対して内因性である核酸の間に形成される核酸ハイブリダイゼーション産物を検出する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記発光アッセイが、ペルオキシダーゼ反応を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
発光を、電荷結合素子カメラおよび画像分析ソフトウェアを用いて検出する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記生存微生物細胞、生存微生物ミクロコロニー、または生存微生物コロニーを数える、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬品組成物が、液体組成物である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記液体組成物が、非経口組成物、経口組成物、鼻用組成物、または眼用組成物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記液体組成物が、ワクチンである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ワクチンが、炭疽ワクチン;結核ワクチン;ボレリア症ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび百日咳ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳(perussis)ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型ワクチン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドおよび無細胞百日咳およびインフルエンザ菌b型結合型およびポリオウイルス不活化ワクチン;A型肝炎ウイルスワクチン;A型肝炎ウイルスおよびB型肝炎ウイルスワクチン;B型肝炎ウイルスワクチン;ヘリコバクターピロリワクチン;インフルエンザ菌b型ワクチン;インフルエンザウイルスワクチン;ポリオウイルスワクチン;髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギティディス)ワクチン;麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスワクチン;麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルスおよび水痘ウイルスワクチン;肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ)ワクチン;狂犬病ワクチン;呼吸器合胞体ウイルスワクチン;天然痘ワクチン;トキソプラズマ症(トキソプラズマ・ゴンディ(toxoplasm gondii))ワクチン;腸チフス(サルモネラ・チフィ)ワクチン;結核(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)ワクチン;および水痘(水痘、水痘帯状疱疹ウイルス)ワクチンからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ワクチンが、鳥インフルエンザワクチンまたはブタインフルエンザワクチンである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
医薬品組成物中の生存微生物を検出するための方法であって、該方法は:
a)ろ過性の医薬品組成物を提供する工程;
b)該医薬品組成物をろ過して、該医薬品組成物のろ取物が堆積した少なくとも3枚のメンブランを提供する工程;
c)該少なくとも3枚のフィルター/メンブランを固体培地へ置いて、少なくとも3つのろ取物培養物を産生する工程;
d)
i)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において20℃〜25℃で;
ii)少なくとも1つのろ取物培養物を好気性条件下において30℃〜35℃で;および
iii)少なくとも1つのろ取物培養物を嫌気性条件下において30℃〜35℃で、
培養する工程であって、ただし、該ろ取物培養物のいずれも約13日間より長い期間培養しない、工程;ならびに
e)該メンブランにおいてアデノシン3リン酸(ATP)を検出する工程であって
、ここでメンブランにおけるATPの存在は、該医薬品組成物中の生存微生物の存在を示す、工程、を含む方法。
【請求項21】
生存微生物についてスクリーニングされ、無菌性が、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法を使用して確認される、無菌医薬品組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図4】
【図11】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図4】
【図11】
【公表番号】特表2012−525820(P2012−525820A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508824(P2012−508824)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/033503
【国際公開番号】WO2010/129521
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/033503
【国際公開番号】WO2010/129521
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
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