説明

近接通信用データ処理装置

【課題】接触式インタフェース、非接触式インタフェースを介した駆動切り替え時の電源の瞬断やクロック信号の歯抜け等による誤作動の発生を防止し信頼性を向上させ、さらに消費電力を抑制できる近接通信用パッシブモジュールとして機能する近接通信用データ処理装置を提供する。
【解決手段】有線インタフェース回路3の接続端子が有線機器へ接続されたか否かを判定回路23により検出することで非接触単独モードと非接触・接触共用モードの設定、切り替えを行い、前記各モードと、無線インタフェース回路2、有線インタフェース回路3およびコントロール部4の各回路ブロックとに応じて、電源をRF電源と外部電源から選択し、またクロックをRFクロックと外部クロックから選択し、電源とクロックの供給を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式および接触式のインタフェースを有するバッテリレス型の近接通信用パッシブモジュールとして機能する近接通信用データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触式および接触式のインタフェースを有するバッテリレス型のICカードが知られている。バッテリレス型ICカードでは、無線通信のときには、無線カードリーダ・ライタから受信したRF(Radio−Freqency)信号から電源およびクロック信号を取り出し、各部が駆動されおり、有線通信のときには、接続された有線機器から供給される電源およびクロック信号により各部が駆動されていた。
このようなバッテリレス型ICカードでは、無線通信中に有線機器が接続された場合や、有線通信中に無線カードリーダ・ライタが近接した場合、有線および無線のどちらの電源およびクロック信号を用いるのかが決められていない場合が多く、内部のデータ処理回路、例えばCPU、メモリが誤作動してしまうといった問題があった。
このような問題を解決するため、ICカードが接触式インタフェースを介して駆動されているときには、スイッチにより非接触式インタフェースの動作を禁止状態にし、ICカードが非接触式インタフェースを介して駆動されているときには、スイッチにより接触式インタフェースの動作を禁止状態にするものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−272822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来のICカードでは、接触式インタフェースと非接触式インタフェースの駆動の切り替えが頻繁になると、電源やクロック信号の切り替えも頻繁になるため、電源の瞬断やクロック信号の歯抜け等による誤作動が発生する可能性があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、接触式インタフェース、非接触式インタフェースを介した駆動切り替え時の電源の瞬断やクロック信号の歯抜け等による誤作動の発生を防止し信頼性を向上させ、さらに消費電力を抑制できる近接通信用パッシブモジュールとして機能する近接通信用データ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の近接通信用データ処理装置は、データの処理を行うデータ処理回路と、無線機器と前記データ処理回路との間のデータの受け渡しを行う無線インタフェース回路と、有線機器と前記データ処理回路との間のデータの受け渡しを行う有線インタフェース回路とを備え、アンテナを介して前記無線インタフェース回路により無線機器との間で前記データを送受信し、前記有線インタフェース回路を介して有線機器との間で前記データを送受信可能な近接通信用パッシブモジュールとして機能する近接通信用データ処理装置において、前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続を検出する検出回路と、前記データ処理回路、前記無線インタフェース回路および前記有線インタフェース回路の各回路ブロックに対する、前記アンテナを介して受信したRF信号に基づいて生成した第1の電源、または、前記有線インタフェース回路へ接続された前記有線機器からの第2の電源の供給を、前記検出回路による検出結果と前記各回路ブロックとに応じて制御する電源制御回路と、前記データ処理回路、前記無線インタフェース回路および前記有線インタフェース回路の各回路ブロックに対する、前記アンテナを介して受信した前記RF信号に基づいて生成した第1のクロック信号、または、前記有線インタフェース回路へ接続された前記有線機器からの第2のクロック信号の供給を、前記検出回路による検出結果と前記各回路ブロックとに応じて制御するクロック制御回路とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の近接通信用データ処理装置によれば、データ処理回路、無線インタフェース回路および有線インタフェース回路の各回路ブロックに対する、アンテナを介して受信されたRF信号に基づいて生成された第1の電源、または、有線インタフェース回路へ接続された有線機器からの第2の電源の供給を、電源制御回路が、有線機器の前記有線インタフェース回路への接続を検出する検出回路による検出結果と前記各回路ブロックとに応じて制御する。
【0006】
また、前記データ処理回路、前記無線インタフェース回路および前記有線インタフェース回路の各回路ブロックに対する、前記アンテナを介して受信された前記RF信号に基づいて生成された第1のクロック信号、または、前記有線インタフェース回路へ接続された前記有線機器からの第2のクロック信号の供給を、クロック制御回路が、前記検出回路による検出結果と前記各回路ブロックとに応じて制御する。
【0007】
このため、外部機器や無線機器のデータ処理要求ではなく、有線機器へ接続されているかいないかにより、この近接通信用データ処理装置を構成する各部に応じて電源およびクロック信号が選択され供給されるので、接触式インタフェースを介した駆動と非接触式インタフェースを介した駆動の切り替え時の電源の瞬断やクロック信号の歯抜け等による誤作動を防止することができる。したがって、信頼性の高ICタグを提供することができる。また、不要な回路に電源、クロック信号を供給しないように前記電源やクロック信号の供給を制御できるので、ICタグの消費電力を低減する上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の近接通信用パッシブモジュールとして機能する近接通信用データ処理装置(以下、ICタグという)の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態のICタグ100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ICタグ100は、RF(Radio−Freqency)部1と、無線インタフェース回路2と、有線インタフェース回路3と、コントロール部4と、パワー・クロック制御部5とを含んで構成されている。
さらに、ICタグ100は、無線インタフェース回路2を介してのみ駆動する非接触単独モードと、無線インタフェース回路2および有線インタフェース回路3の両方を介して駆動する非接触・接触共用モードと有している。
非接触単独モードは、無線インタフェース回路2のみを介してデータの授受が行われるときのモードである。非接触・接触共用モードは、前記無線インタフェース回路2と有線インタフェース回路3の両方を介してデータの授受が行われるときのモードである。
【0009】
RF部1は、アンテナとASK(Amplitude−Shift Keying)変復調回路とを備えている。さらにRF部1は、前記アンテナにより受信した無線周波数信号から、RF電源とRFクロックとを生成するRF電源・クロック生成部9を備えている。
【0010】
無線インタフェース回路2は、ビットクロックを生成し、エラー検出やパリティ生成などを行うエラー検出・パリティ生成部11と、ディジタル変復調などのディジタル信号処理を行うディジタル変復調部12と、コントロール部4との間でシステムバスを介して各種データの授受を行うバスインタフェース部13とを備えている。
【0011】
有線インタフェース回路3は、図示していない有線機器へ接続し、前記有線機器との間で各種データの授受を行うものであり、UART(Universal Asynchronous Receiver−Transmitter)14、12C15およびシリアルインタフェース16を備え、各種インタフェース規格に対応できるように構成されている。
【0012】
コントロール部4は、CPU、ROM、RAMなどにより構成されるマイクロコンピュータを備えている。
マイクロコンピュータのCPUはステータスレジスタを備えており、このステータスレジスタには、有線インタフェース回路3を介したデータの入出力に起因する内部メモリアクセスが発生したときの、前記CPUに対するリード/ライト割込み要求による割り込みフラグが設定される第1の割り込みフラグレジスタ17と、無線インタフェース回路2を介したデータの入出力に起因する内部メモリアクセスが発生したときの、前記CPUに対するリード/ライト割込み要求による割り込みフラグが設定される第2の割り込みフラグレジスタ18とが設けられている。
【0013】
パワー・クロック制御部5は、電源制御回路21とクロック制御回路22と判定回路(検出回路)23とを備えている。
電源制御回路21は、前記非接触単独モードと前記非接触・接触共用モードの各モードと、前記無線インタフェース回路2、前記有線インタフェース回路3および前記コントロール部4の各回路ブロックとに応じて、前記RF電源・クロック生成部9が生成した前記RF電源、図示していない有線機器から供給された外部電源のいずれか一方を選択し供給するものである。
このため、前記RF電源または前記外部電源のいずれか一方を選択し、前記無線インタフェース回路2、前記有線インタフェース回路3および前記コントロール部4の各回路ブロックへ電源として供給するための切り替えスイッチを備えている。
【0014】
クロック制御回路22は、前記非接触単独モードと前記非接触・接触共用モードの各モードと、前記無線インタフェース回路2、前記有線インタフェース回路3および前記コントロール部4の各回路ブロックとに応じて、前記RF電源・クロック生成部9が生成した前記RFクロック、前記有線機器から供給された外部クロックのいずれか一方を選択し、前記無線インタフェース回路2、前記有線インタフェース回路3および前記コントロール部4の各回路ブロックのクロック信号として供給するための切り替えスイッチを備えている。
【0015】
判定回路23は、有線インタフェース回路3の接続端子が前記有線機器へ接続されたか否かを検出することでモードの設定、切り替えを行う。
このモードの設定、切り替えでは、有線インタフェース回路3の接続端子が有線機器へ接続されていると、非接触・接触共用モードへ切り替えられることになる。
また、有線インタフェース回路3の接続端子が有線機器へ接続されていない状態では、非接触単独モードへ切り替えられることになる。
そして、非接触単独モードまたは非接触・接触共用モードに応じて、電源制御回路21とクロック制御回路22の各切り替えスイッチを制御し、前記各回路ブロックへの電源とクロックの選択と供給を制御する。
あるいは、有線インタフェース回路3に前記有線機器が接続され、前記有線機器から供給される外部電源を検出したかしないかに応じてモード切り替えを行う。このモード切り替えでは、外部電源を検出すると、非接触・接触共用モードへ切り替えられることになる。また、前記外部電源を検出しない場合には、非接触単独モードへ切り替えられることになる。
【0016】
図3(a)は、非接触単独モードおよび非接触・接触共用モードの各モードと前記各回路ブロックとに応じて、クロック制御回路22により選択されるクロック信号を示す説明図である。
クロック制御回路22は、図3(a)に示す内容に従って前記各回路ブロックに対するクロック信号の選択と供給とを制御する。
【0017】
図3(b)は、非接触単独モードおよび非接触・接触共用モードの各モードと前記各回路ブロックとに応じて、電源制御回路21により選択される電源を示す説明図である。
電源制御回路21は、図3(b)に示す内容に従って前記各回路ブロックに対する電源の選択と供給とを制御する。
【0018】
図2は、図1に示したRF部1におけるRF電源・クロック生成部9と、パワー・クロック制御部5における電源制御回路21、クロック制御回路22および判定回路23の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、RF電源・クロック生成部9は、図示していない無線機器が電磁波を媒介として送信したRF信号をアンテナを介して受信し、このアンテナ入力を高周波整流回路31により整流しRF電源を生成している。
この高周波整流回路31により整流し生成したRF電源の電圧レベルは、例えば3.3Vを超えないように過電圧保護回路32により規制されている。
パワー・クロック制御部5における電源制御回路21には前記RF電源と有線インタフェース回路3を介して接続された前記有線機器から与えられる、電圧レベルが例えば3.3ボルトの外部電源が供給される。
電源制御回路21は、前記RF電源または前記外部電源について、前記無線インタフェース回路2、前記有線インタフェース回路3および前記コントロール部4への供給と選択を、判定回路23により設定された非接触単独モードまたは非接触・接触共用モードと、前記各回路ブロックとに応じて、前記切り替えスイッチにより制御する。
【0019】
RF電源・クロック生成部9はクロック抽出回路33を備えている。
このクロック抽出回路33により前記アンテナを介して受信したRF信号からRFクロックを抽出する。パワー・クロック制御部5のクロック制御回路22には、前記RFクロックと、有線インタフェース回路3へ接続された前記有線機器からの外部クロックとが供給されている。
クロック制御回路22は、前記RFクロックまたは前記外部クロックについて、前記無線インタフェース回路2、前記有線インタフェース回路3および前記コントロール部4への供給と選択を、判定回路23により設定された非接触単独モードまたは非接触・接触共用モードと、前記各回路ブロックとに応じて、前記切り替えスイッチにより制御する。
【0020】
次に動作について説明する。
この第1の実施の形態のICタグ100の動作状態としては、非接触単独モードである無線インタフェース回路2のみにより駆動可能な状況に対応する場合と、非接触・接触共用モードである無線インタフェース回路2および有線インタフェース回路3の両方により駆動可能な状況に対応する場合とが想定される。
したがって、ICタグ100においては、無線インタフェース回路2のみにより駆動される状況では、RF部1が動作し、RF電源・クロック生成部9で生成したRF電源およびRFクロックを、パワー・クロック制御部5を介して無線インタフェース回路2とコントロール部4とへ供給する。
また、有線インタフェース回路3により駆動される状況では、パワー・クロック制御部5を介して外部電源および外部クロックが有線インタフェース回路3とコントロール部4とへ供給される。
したがって、このICタグ100では、非接触単独モードと非接触・接触共用モードの2種類のモードに対応するため、コントロール部4においてのみ電源とクロックの切り替えが必要である。
第1の実施の形態では、図3(a)、(b)に示すように、前記非接触単独モードと前記非接触・接触共用モードの各モードと、無線インタフェース回路2、有線インタフェース回路3およびコントロール部4の各回路ブロックとに応じて、電源をRF電源と外部電源から選択し、またクロックをRFクロックと外部クロックから選択し、電源とクロックの供給を制御する。
図3(a)に示すように、非接触単独モードの場合には有線インタフェース回路3は不要であるため、クロックの供給を停止することで不要な消費電力を抑制するようにしている。
【0021】
図4は、携帯型の録音再生装置にこの第1の実施の形態のICタグ100が用いられたときの動作の一例を示すシーケンス図である。
図4は、携帯型の録音再生装置により音楽コンテンツを再生し聴きながら帰宅し、今まで携帯型の録音再生装置により再生して聴いていた音楽コンテンツを、室内にある据置き型のステレオ録音再生装置から再生するときの動作例を示している。
この例では、据置き型のステレオ録音再生装置の内部には、この第1の実施の形態で説明したICタグとBluetooth通信用ディバイスの両方が備えられている。
また携帯型の録音再生装置においてもこの第1の実施の形態で説明したICタグとBluetooth通信用ディバイスの両方が備えられている。
さらにこの携帯型の録音再生装置には内部システムコントロール用のマイクロコンピュータがホストとして装備されている。
【0022】
以下、図4に示すシーケンス図を参照して動作について説明する。
まず、携帯型の録音再生装置のICタグが、その携帯型の録音再生装置の前記ホストから携帯型の録音再生装置のBluetooth通信用ディバイスのアドレスをタグ内のメモリへ書き込む(ステップS1)。
携帯型の録音再生装置を据置き型のステレオ録音再生装置へ近づけると、据置き型のステレオ録音再生装置のアクティブ側の近接通信用データ処理装置が電波を出しているので、その電波を携帯型の録音再生装置のICタグが受信しレスポンス信号を前記アクティブ側の近接通信用データ処理装置へ返し、この結果、据置き型のステレオ録音再生装置の近接通信用データ処理装置と携帯型の録音再生装置のICタグとの間の近接通信が開始される(ステップS2)。
次に、据置き型のステレオ録音再生装置の近接通信用データ処理装置からリードコマンドが携帯型の録音再生装置のICタグへ送られ、携帯型の録音再生装置のICタグの前記メモリに書き込まれている前記Bluetooth通信用ディバイスのアドレスその他を前記据置き型のステレオ録音再生装置が読み込む(ステップS3)。
携帯型の録音再生装置のICタグは、前記Bluetooth通信用ディバイスのアドレスその他を前記据置き型のステレオ録音再生装置へ送信した後、その携帯型の録音再生装置の前記ホストに対し割り込みをかけ、前記Bluetooth通信用ディバイスを起動することを促す(ステップS4)。
この結果、前記ホストは前記Bluetooth通信用ディバイスを起動させ、据置き型のステレオ録音再生装置のBluetooth通信用ディバイスも起動する。
そして、携帯型の録音再生装置の前記Bluetooth通信用ディバイスと据置き型のステレオ録音再生装置のBluetooth通信用ディバイスとの間で前記音楽コンテンツの送受信が行われ、今まで携帯型の録音再生装置により再生して聴いていた音楽コンテンツが、室内にある据置き型のステレオ録音再生装置から再生される。
【0023】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、非接触単独モードと非接触・接触共用モードの各モードと、無線インタフェース回路2、有線インタフェース回路3およびコントロール部4の各回路ブロックとに応じて、電源をRF電源と外部電源から選択し、またクロックをRFクロックと外部クロックから選択し、電源とクロックの供給を制御することができ、外部機器や無線機器のデータ処理要求ではなく、有線機器へ接続されているかいないかにより、この近接通信用データ処理装置を構成する各部に応じて電源およびクロック信号を選択し供給するので、接触式インタフェースを介した駆動と非接触式インタフェースを介した駆動の切り替え時の電源の瞬断やクロック信号の歯抜け等による誤作動を防止でき、信頼性の高いICタグを提供できる。
さらに非接触単独モードの場合には有線インタフェース回路3は不要であるため、クロックの供給を停止できるなど、不要な回路に電源、クロック信号を供給しないように前記電源やクロック信号の供給を制御できるので、不要な消費電力を抑制し消費電力を低減する上で有利となる。
【0024】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態のICタグでは、コントロール部4のCPUのステータスレジスタに設けられた第1の割り込みフラグレジスタ17と第2の割り込みフラグレジスタ18とを使用することで、有線インタフェース回路3を介して発生したメモリアクセスと無線インタフェース回路2を介して発生したメモリアクセスとが同時に発生した場合に対し、同等のアクセス権を与えるようにしている。
以下、第2の実施の形態のICタグについて説明する。
第2の実施の形態のICタグでは、アクティブ側の近接通信用データ処理装置からRF信号を受信すると、RF部1ではアンテナにより受信したRF信号をASK復調すると共に、クロック抽出を行い、復調されたデータと同期クロックを無線インタフェース回路2へ出力する。
無線インタフェース回路2では、前記同期クロックとデータとからビット境界を検出し、ビットクロック生成とディジタル復調を行い、エラー検出を行い、前記データをコントロール部4のリード/ライトレジスタへ書き込み、CPUに対しメモリへのアクセス割り込みを要求する。
有線インタフェース回路3では、UARTなどのインタフェースによりデータを受信し、前記コントロール部4のリード/ライトレジスタへ書き込み、CPUに対しメモリへのアクセス割り込みを要求する。
コントロール部4の前記ステータスレジスタには第1の割り込みステータスレジスタ17と第2の割り込みステータスレジスタ18とが設けられており、各割り込み要因を特定できるようになっており、無線インタフェース回路2からのメモリアクセス要求はリクエスト発生と同時に第1の割り込みステータスレジスタ17へ割り込み元が書き込まれ、また有線インタフェース回路3からのメモリアクセス要求も、リクエスト発生と同時に第2の割り込みステータスレジスタ18へ割り込み元が書き込まれる。
コントロール部4のCPUは、先に受け付けた割り込みからメモリのリード/ライトについての処理を実行するが、一方の処理中に割り込みが入った場合には、先に受け付けた割り込み処理を終了後、他方の割り込みステータスレジスタを参照し登録されていれば、その割り込みについて処理を行う。なお、CPUへの割り込みトリガは常に入れておいても良い。
CPUは、これら第1の割り込みステータスレジスタ17と第2の割り込みステータスレジスタ18とを割り込み受け付け時、常時監視し、割り込みの受け付け漏れを防ぎ、前記メモリのアクセスについて排他的な処理が行われないようにしている。
【0025】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、有線インタフェース回路3を介して発生したメモリアクセスと無線インタフェース回路2を介して発生したメモリアクセスとが同時に発生した場合に対し、同等のアクセス権を与えることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態のICタグの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のICタグのRF部におけるRF電源・クロック生成部と、パワー・クロック制御部における電源制御回路、クロック制御回路および判定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】非接触単独モードおよび非接触・接触共用モードの各モードと各回路ブロックとに応じて選択され供給が制御される電源およびクロック信号を示す説明図である。
【図4】携帯型の録音再生装置にこの第1の実施の形態のICタグが用いられたときの動作の一例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0027】
2……無線インタフェース回路、3……有線インタフェース回路、4……データ処理回路、17……第1の割り込みステータスレジスタ(第1のレジスタ)、18……第2の割り込みステータスレジスタ(第2のレジスタ)、21……電源制御回路、22……クロック制御回路、23……判定回路(検出回路)、100……ICタグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの処理を行うデータ処理回路と、無線機器と前記データ処理回路との間のデータの受け渡しを行う無線インタフェース回路と、有線機器と前記データ処理回路との間のデータの受け渡しを行う有線インタフェース回路とを備え、アンテナを介して前記無線インタフェース回路により無線機器との間で前記データを送受信し、前記有線インタフェース回路を介して有線機器との間で前記データを送受信可能な近接通信用パッシブモジュールとして機能する近接通信用データ処理装置において、
前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続を検出する検出回路と、
前記データ処理回路、前記無線インタフェース回路および前記有線インタフェース回路の各回路ブロックに対する、前記アンテナを介して受信したRF信号に基づいて生成した第1の電源、または、前記有線インタフェース回路へ接続された前記有線機器からの第2の電源の供給を、前記検出回路による検出結果と前記各回路ブロックとに応じて制御する電源制御回路と、
前記データ処理回路、前記無線インタフェース回路および前記有線インタフェース回路の各回路ブロックに対する、前記アンテナを介して受信された前記RF信号に基づいて生成した第1のクロック信号、または、前記有線インタフェース回路へ接続された前記有線機器からの第2のクロック信号の供給を、前記検出回路による検出結果と前記各回路ブロックとに応じて制御するクロック制御回路と、
を備えたことを特徴とする近接通信用データ処理装置。
【請求項2】
前記電源制御回路は、前記検出回路により前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続が検出されたとき、前記第2の電源を前記データ処理回路および前記有線インタフェース回路に供給するととともに、前記第1の電源を前記無線インタフェース回路に供給し、前記検出回路により前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続が検出されないとき、前記第1の電源を前記データ処理回路および前記無線インタフェース回路に供給し、
前記クロック制御回路は、前記検出回路により前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続が検出されたとき、前記第2のクロック信号を前記データ処理回路および前記有線インタフェース回路に供給するとともに、前記第1のクロック信号を前記無線インタフェース回路に供給し、前記検出回路により前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続が検出されないとき、前記第1のクロック信号を前記データ処理回路および前記無線インタフェース回路に供給することを特徴とする請求項1記載の近接通信用データ処理装置。
【請求項3】
前記クロック制御回路は、前記検出回路により前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続が検出されないとき、前記有線インタフェース回路に対する前記第1のクロック信号の供給を停止することを特徴とする請求項2記載の近接通信用データ処理装置。
【請求項4】
前記検出回路は、前記有線インタフェース回路の接続端子への前記有線機器の接続を監視し、前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続を検出することを特徴とする請求項1記載の近接通信用データ処理装置。
【請求項5】
前記検出回路は、前記有線機器から供給される第2の電源を監視して前記有線機器の前記有線インタフェース回路への接続を検出することを特徴とする請求項1記載の近接通信用データ処理装置。
【請求項6】
前記データ処理回路は、前記無線インタフェース回路を介して無線機器から要求されるデータ処理のための第1の割り込み要求を記憶する第1のレジスタと、前記有線インタフェース回路を介して有線機器から要求されるデータ処理のための第2の割り込み要求を記憶する第2のレジスタとを有し、前記第1の割り込み要求または前記第2の割り込み要求に係る割り込み処理を実行中に発生した、前記第2の割り込み要求または前記第1の割り込み要求に対し、先に受け付けた割り込み処理終了後、前記第2のレジスタまたは前記第1のレジスタを参照することで、前記第2のレジスタまたは前記第1のレジスタに記憶されている割り込み要求に係る割り込み処理を実行することを特徴とする請求項1記載の近接通信用データ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−206788(P2007−206788A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22222(P2006−22222)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】