説明

近接露光装置及び近接露光方法

【課題】複数の光源部の照度をそれぞれ制御することで、ギャップ分布による露光面での照度のばらつきを小さくすることができる近接露光装置及び近接露光方法を提供する。
【解決手段】近接露光装置PEは、複数の光源部73と、露光制御用シャッター78と、インテグレータレンズ74と、コリメーションミラー77と、を有する照明光学系70を備え、基板Wに対して近接対向するマスクMに向けて照明光学系70から光を照射することで、マスクMのパターンPを基板Wに露光する。露光領域内の複数箇所にて、マスクMと基板Wとの間のギャップを測定するギャップセンサ17を備え、複数の光源部73は、複数箇所にて測定された各ギャップに応じて照度をそれぞれ変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接露光装置及び近接露光方法に関し、より詳細には、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の大型のフラットパネルディスプレイの基板上にマスクのマスクパターンを露光転写する近接露光装置及び近接露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットパネルディスプレイ装置のカラーフィルタ等のパネルを製造する装置として、近接露光装置、スキャン露光装置、投影露光装置、ミラープロジェクション、密着式露光装置などの種々の露光装置が考案されている。例えば、分割逐次近接露光装置では、基板より小さいマスクをマスクステージで保持すると共に基板をワークステージで保持して両者を近接して対向配置した後、ワークステージをマスクに対してステップ移動させて各ステップ毎にマスク側から基板にパターン露光用の光を照射することにより、マスクに描かれた複数のパターンを基板上に露光転写して、一枚の基板に複数のパネルを製作する。また、近接スキャン露光装置では、一定速度で搬送されている基板に対して、露光用の光をマスクを介して照射し、基板上にマスクのパターンを露光転写する。
【0003】
また、近接露光装置では、照明光学系として、光源の出力を高くするため、大型のランプを使用する代わりに、複数の光源を用いることが知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0004】
特許文献1に記載の露光装置では、平面鏡の裏側に照度センサを配置して、光源の点灯、消灯を時間の経過に伴って変更しながら、照度を一定に保つことが記載されている。また、特許文献2に記載の光源装置では、複数光源を1つの照度センサで実測し、実照度と予め設定された適正照度とを比較することによって、実照度の過不足を判定することによって、照度が一定になるように各光源を制御している。
【0005】
また、特許文献3に記載の面光源制御装置では、露光面に相当する位置における各点光源の照度分布特性の傾向が類似するグループごとに予めグループ分けし、露光対象物の露光面に相当する位置における照度分布が均一となるような各点光源の発光レベルを、当該点光源が属するグループごとに決定する発光レベル決定手段を備え、この発光レベル決定手段は、同一のグループに属する点光源については、同一の発光レベルとなるように各光源を制御している。
【0006】
また、特許文献4に記載の露光装置では、各光源に照度センサを設け、各照度センサの検出結果が決定したランプの照度の目標値となるように各電源をフィードバック制御するようにして、照度が一定になるように各光源を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−256428号公報
【特許文献2】特開2008−241877号公報
【特許文献3】特開2006−344747号公報
【特許文献4】特開2008−286971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近接露光装置では、マスク開口と被露光基板との間の100μm程度のギャップは、マスクの自重撓みと基板の厚さ変動が存在するため、露光面の各位置で一定とはならない。このため、感光材料への光の当たり方に不均一が生じ、露光後のパターンのサイズにギャップ起因のばらつきが生じる。
また、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタやTFT基板の作成には、露光を複数回繰り返して重ね合わせが行われる。従って、要求解像度が高くなっていくと、重ね合わされる部分のサイズが小さくなっていき、サイズのばらつきが大きいと、うまく重ね合わせることができない。特許文献1〜4に記載の露光装置では、ギャップ分布を考慮して照度を制御することについての記載はない。
【0009】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の光源部の照度をそれぞれ制御することで、ギャップ分布による露光面での照度のばらつきを小さくすることができる近接露光装置及び近接露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 複数の光源部と、シャッターと、インテグレータレンズと、コリメーションミラーと、を有する照明光学系を備え、基板に対して近接対向するマスクに向けて前記照明光学系から光を照射することで、マスクのパターンを基板に露光する近接露光装置であって、
露光領域内の複数箇所にて、前記マスクと前記基板との間のギャップを測定するギャップ測定手段を備え、
前記複数の光源部は、複数箇所にて測定された各ギャップに応じて照度をそれぞれ変更することを特徴とする近接露光装置。
(2) 前記複数の光源部は、前記測定されたギャップが設定ギャップより狭い箇所では、照度を部分的に下げ、前記測定されたギャップが設定ギャップより広い箇所では、照度を部分的に上げることを特徴とする(1)に記載の近接露光装置。
(3) 前記ギャップ測定手段は、前記ワークステージに設けられた複数の溝内にそれぞれ配置される複数のギャップ測定手段を含むことを特徴とする(2)に記載の近接露光装置。
(4) 前記ギャップ測定手段は、前記ワークステージに設けられた溝内を移動可能に配置されることを特徴とする(2)に記載の近接露光装置。
(5) 前記ギャップ測定手段は、ギャップセンサであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の近接露光装置。
(6) 複数の光源部と、シャッターと、インテグレータレンズと、コリメーションミラーと、を有する照明光学系を備え、基板に対して近接対向するマスクに向けて前記照明光学系から光を照射することで、マスクのパターンを基板に露光する近接露光方法であって、
ギャップ測定手段によって、露光領域内の複数箇所にて、前記マスクと前記基板との間のギャップを測定する工程と、
複数箇所にて測定された各ギャップに応じて、前記複数の光源部の照度をそれぞれ変更する工程と、
を有することを特徴とする近接露光方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の近接露光装置及び近接露光方法によれば、露光領域内の複数箇所にて測定された各ギャップに応じて、複数の光源部の照度をそれぞれ制御することで、ギャップ分布による露光面での照度のばらつきを小さくすることができ、露光精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分割逐次近接露光装置を説明するための一部分解斜視図である。
【図2】図1に示す分割逐次近接露光装置の正面図である。
【図3】マスクステージの断面図である。
【図4】(a)は、ワークステージを示す斜視図であり、(b)は、(a)のIV−IV線に沿ったワークステージとギャップセンサを示す断面図である。
【図5】(a)は、照明光学系の光照射装置を示す正面図であり、(b)は(a)のV−V線に沿った断面図であり、(c)は、(a)のV´−V´線に沿った断面図である。
【図6】(a)は、カセットを示す正面図であり、(b)は(a)のVI方向から見た断面図であり、(c)は、(a)のVI´方向から見たカセットの断面図をインテグレータレンズとともに示す図である。
【図7】カセットに取り付けられた光源部近傍の拡大断面図である。
【図8】カセットが支持体に取り付けられた状態を示す要部拡大図である。
【図9】各光源部の出射面からインテグレータレンズの入射面までの距離を示す概略図である。
【図10】各光源部の制御構成を示すための図である。
【図11】(a)は、照度制御前のランプの照度を示す図であり、(b)は、照度制御前の露光領域でのギャップ分布を示す図である。
【図12】(a)は、ギャップ分布に基づいた照度制御後のランプの照度を示す図であり、(b)は、照度制御後の露光領域での照度分布を示す図である。
【図13】(a)は、光源部から略均一な照度の光を出射した場合の各光源部の露光面での照度を示す図であり、(b)は、露光面での全体照度のイメージを示す図である。
【図14】(a)は、光源部の一部の照度を上げた場合の各光源部の露光面での照度を示す図であり、(b)は、露光面での全体照度のイメージを示す図である。
【図15】(a)は、本実施形態の変形例に係る、ワークステージを示す斜視図であり、(b)は、(a)のXV−XV線に沿ったワークステージとギャップセンサを示す断面図である。
【図16】(a)、(b)は、カセットに取り付けられる光源部の配置を示す図である。
【図17】図16(a)のカセットが取り付けられたフレームを示す図である。
【図18】本発明の第2実施形態にかかる近接スキャン露光装置の全体斜視図である。
【図19】近接スキャン露光装置を、照射部等の上部構成を取り除いた状態で示す上面図である。
【図20】近接スキャン露光装置のマスク配置領域における露光状態を示す側面図である。
【図21】(a)は、マスクとエアパッドとの位置関係を説明するための要部上面図であり、(b)は、その断面図である。
【図22】近接スキャン露光装置の照射部を説明するための図である。
【図23】(a)は、図22の光照射装置を示す正面図であり、(b)は、(a)のXXIII−XXIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の光照射装置、露光装置及び露光方法に係る各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、第1実施形態の分割逐次近接露光装置PEは、マスクMを保持するマスクステージ10と、ガラス基板(被露光材)Wを保持する基板ステージ20と、パターン露光用の光を照射する照明光学系70と、を備えている。
【0015】
なお、ガラス基板W(以下、単に「基板W」と称する。)は、マスクMに対向配置されており、このマスクMに描かれたパターンを露光転写すべく表面(マスクMの対向面側)に感光剤が塗布されている。
【0016】
マスクステージ10は、中央部に矩形形状の開口11aが形成されるマスクステージベース11と、マスクステージベース11の開口11aにX軸,Y軸,θ方向に移動可能に装着されるマスク保持部であるマスク保持枠12と、マスクステージベース11の上面に設けられ、マスク保持枠12をX軸,Y軸,θ方向に移動させて、マスクMの位置を調整するマスク駆動機構16と、を備える。
【0017】
マスクステージベース11は、装置ベース50上に立設される支柱51、及び支柱51の上端部に設けられるZ軸移動装置52によりZ軸方向に移動可能に支持され(図2参照。)、基板ステージ20の上方に配置される。
【0018】
図3に示すように、マスクステージベース11の開口11aの周縁部の上面には、平面ベアリング13が複数箇所配置されており、マスク保持枠12は、その上端外周縁部に設けられるフランジ12aを平面ベアリング13に載置している。これにより、マスク保持枠12は、マスクステージベース11の開口11aに所定のすき間を介して挿入されるので、このすき間分だけX軸,Y軸,θ方向に移動可能となる。
【0019】
また、マスク保持枠12の下面には、マスクMを保持するチャック部14が間座15を介して固定されている。このチャック部14には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数の吸引ノズル14aが開設されており、マスクMは、吸引ノズル14aを介して図示しない真空式吸着装置によりチャック部14に着脱自在に保持される。また、チャック部14は、マスク保持枠12と共にマスクステージベース11に対してX軸,Y軸,θ方向に移動可能である。
【0020】
マスク駆動機構16は、マスク保持枠12のX軸方向に沿う一辺に取り付けられる2台のY軸方向駆動装置16yと、マスク保持枠12のY軸方向に沿う一辺に取り付けられる1台のX軸方向駆動装置16xと、を備える。
【0021】
Y軸方向駆動装置16yは、マスクステージベース11上に設置され、Y軸方向に伸縮するロッド16bを有する駆動用アクチュエータ(例えば、電動アクチュエータ等)16aと、ロッド16bの先端にピン支持機構16cを介して連結されるスライダ16dと、マスク保持枠12のX軸方向に沿う辺部に取り付けられ、スライダ16dを移動可能に取り付ける案内レール16eと、を備える。なお、X軸方向駆動装置16xも、Y軸方向駆動装置16yと同様の構成を有する。
【0022】
そして、マスク駆動機構16では、1台のX軸方向駆動装置16xを駆動させることによりマスク保持枠12をX軸方向に移動させ、2台のY軸方向駆動装置16yを同等に駆動させることによりマスク保持枠12をY軸方向に移動させる。また、2台のY軸方向駆動装置16yのどちらか一方を駆動することによりマスク保持枠12をθ方向に移動(Z軸回りの回転)させる。
【0023】
さらに、マスクステージベース11の上面には、図1に示すように、チャック部14に保持されるマスクMの取り付け位置を確認するためのアライメントカメラ18が設けられる。アライメントカメラ18は、移動機構19を介してX軸,Y軸方向に移動可能に保持され、マスク保持枠12内に配置される。
【0024】
また、マスク保持枠12上には、図1に示すように、マスクステージベース11の開口11aのX軸方向の両端部に、マスクMの両端部を必要に応じて遮蔽するアパーチャブレード38が設けられる。このアパーチャブレード38は、モータ、ボールねじ、及びリニアガイド等からなるアパーチャブレード駆動機構39によりX軸方向に移動可能とされて、マスクMの両端部の遮蔽面積を調整する。なお、アパーチャブレード38は、開口11aのX軸方向の両端部だけでなく、開口11aのY軸方向の両端部に同様に設けられている。
【0025】
基板ステージ20は、図1及び図2に示すように、基板Wを保持する基板保持部としてのワークステージ21と、ワークステージ21を装置ベース50に対してX軸,Y軸,Z軸方向に移動する基板駆動機構22と、を備える。ワークステージ21は、図示しない真空吸着機構によって基板Wを着脱自在に保持する。基板駆動機構22は、ワークステージ21の下方に、Y軸テーブル23、Y軸送り機構24、X軸テーブル25、X軸送り機構26、及びZ−チルト調整機構27と、を備える。
【0026】
Y軸送り機構24は、図2に示すように、リニアガイド28と送り駆動機構29とを備えて構成され、Y軸テーブル23の裏面に取り付けられたスライダ30が、装置ベース50上に延びる2本の案内レール31に転動体(図示せず)を介して跨架されると共に、モータ32とボールねじ装置33とによってY軸テーブル23を案内レール31に沿って駆動する。
【0027】
なお、X軸送り機構26もY軸送り機構24と同様の構成を有し、X軸テーブル25をY軸テーブル23に対してX方向に駆動する。また、Z−チルト調整機構27は、くさび状の移動体34,35と送り駆動機構36とを組み合わせてなる可動くさび機構をX方向の一端側に1台、他端側に2台配置することで構成される。なお、送り駆動機構29,36は、モータとボールねじ装置とを組み合わせた構成であってもよく、固定子と可動子とを有するリニアモータであってもよい。また、Z-チルト調整機構27の設置数は任意である。
【0028】
これにより、基板駆動機構22は、ワークステージ21をX方向及びY方向に送り駆動するとともに、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを微調整するように、ワークステージ21をZ軸方向に微動且つチルト調整する。
【0029】
ワークステージ21のX方向側部とY方向側部にはそれぞれバーミラー61,62が取り付けられ、また、装置ベース50のY方向端部とX方向端部には、計3台のレーザー干渉計63,64,65が設けられている。これにより、レーザー干渉計63,64,65からレーザー光をバーミラー61,62に照射し、バーミラー61、62により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光とバーミラー61,62により反射されたレーザー光との干渉を測定して基板ステージ20の位置を検出する。
【0030】
また、図4に示すように、ワークステージ21には、露光領域の複数箇所にて、上面に開口する複数の円形の溝21aが形成されており、各溝21a内には、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを測定するギャップ測定手段としての複数のギャップセンサ17が収容されている。なお、ギャップセンサ17としては、光学透過型、渦電流型、超音波式などが挙げられる。
【0031】
図2及び図5に示すように、照明光学系70は、複数の光源部73を備えた光照射装置80と、複数の光源部73から射出された光束が入射され、入射された光の照度分布を均一化するインテグレータレンズ74と、各光源部73のランプ71の点灯と消灯の切り替えを含む電圧制御可能な光学制御部76と、インテグレータレンズ74の出射面から出射された光路の向きを変えるコリメーションミラー77と、複数の光源部73とインテグレータレンズ74との間に配置されて照射された光を透過・遮断するように開閉制御する露光制御用シャッター78と、を備える。なお、インテグレータレンズ74と露光面との間には、DUVカットフィルタ、偏光フィルタ、バンドパスフィルタが配置されてもよく、また、コリメーションミラー77には、ミラーの曲率を手動または自動で変更可能なデクリネーション角補正手段が設けられてもよい。
【0032】
図5〜図7に示すように、光照射装置80は、発光部としての超高圧水銀ランプ71と、このランプ71から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系としての反射鏡72と、をそれぞれ含む複数の光源部73と、複数の光源部73のうち、所定数の光源部73をそれぞれ取り付け可能な複数のカセット81と、複数のカセット81を取り付け可能な支持体82と、を備える。発光部としては、超高圧水銀ランプ71の代わりに、LEDが適用されてもよい。
【0033】
なお、照明光学系70において、160Wの超高圧水銀ランプ71を使用した場合、第6世代のフラットパネルを製造する露光装置では374個の光源部、第7世代のフラットパネルを製造する露光装置では572個の光源部、第8世代のフラットパネルを製造する露光装置では、774個の光源部が必要とされる。但し、本実施形態では、説明を簡略化するため、図5に示すように、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を3段×3列の計9個配した、54個の光源部73を有するものとして説明する。なお、カセット81や支持体82は、光源部73の配置をα、β方向
に同数とした正方形形状も考えられるが、α、β方向に異なる数とした長方形形状が適用される。また、本実施形態の光源部73では、反射部72の開口部72bが略正方形形状に形成されており、四辺がα、β方向に沿うように配置されている。
【0034】
各カセット81は、所定数の光源部73を支持する光源支持部83と、光源支持部83に支持された光源部73を押さえて、該光源支持部83に取り付けられる凹状のランプ押さえカバー84と、を備えた略直方体形状に形成されており、それぞれ同一構成を有する。
【0035】
光源支持部83には、光源部73の数に対応して設けられ、光源部73からの光を発光する複数の窓部83aと、該窓部83aのカバー側に設けられ、反射鏡72の開口部72a(又は、反射鏡72が取り付けられる反射鏡取り付け部の開口部)を囲うランプ用凹部83bと、が形成される。また、該窓部83aの反カバー側には、複数のカバーガラス85がそれぞれ取り付けられている。なお、カバーガラス85の取り付けは任意であり、設けられなくてもよい。
【0036】
各ランプ用凹部83bの底面は、光源部73の光を照射する照射面(ここでは、反射鏡72の開口面72b)と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように、平面又は曲面(本実施形態では、平面)に形成される。
【0037】
ランプ押さえカバー84の底面には、光源部73の後部に当接する当接部86が設けられており、各当接部86には、モータやシリンダのようなアクチュエータ、ばね押さえ、ねじ止め等によって構成されるランプ押さえ機構87が設けられている。これにより、各光源部73は、反射鏡72の開口部72aを光源支持部83のランプ用凹部83bに嵌合させ、ランプ押さえカバー84を光源支持部83に取り付け、ランプ押さえ機構87によって光源部73の後部を押さえつけることで、カセット81に位置決めされる。従って、図6(c)に示すように、カセット81に位置決めされた所定数の光源部73の光が照射する各照射面から、所定数の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となる。また、光源支持部83とランプ押さえカバー84との間の収納空間内では、隣接する光源部73の反射鏡72の背面72cは直接対向しており、光源部73、ランプ押さえ機構87等以外には該収納空間内の空気の流れを遮るものがなく、良好な空気の流動性が与えられる。
【0038】
また、支持体82は、複数のカセット81を取り付ける複数のカセット取り付け部90を有する支持体本体91と、該支持体本体91に取り付けられ、各カセット81の後部を覆う支持体カバー92と、を有する。
【0039】
図8に示すように、各カセット取り付け部90には、光源支持部83が臨む開口部90aが形成され、該開口部90aの周囲には、光源支持部83の周囲の矩形平面が対向する平面90bを底面としたカセット用凹部90cが形成される。また、支持体本体91のカセット用凹部90cの周囲には、カセット81を固定するためのカセット固定手段93が設けられており、本実施形態では、カセット81に形成された凹部81aに係合されて、カセット81を固定する。
【0040】
α方向或いはβ方向に並ぶカセット用凹部90cの各平面90bは、各カセット81の全ての光源部73の光を照射する照射面と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように(図9参照。)、所定の角度γで交差するように形成される。
【0041】
従って、各カセット81は、これら光源支持部83を各カセット取り付け部90のカセット用凹部90cに嵌合させて位置決めした状態で、カセット固定手段93をカセット81の凹部81aに係合させることで、支持体82にそれぞれ固定される。そして、これら各カセット81が支持体本体91に取り付けられた状態で、該支持体本体91に支持体カバー92が取り付けられる。従って、図9に示すように、各カセット81に位置決めされた全ての光源部73の光が照射する各照射面と、所定数の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離も略一定となる。
図9において、カセット取り付け部90の平面90bは、所定の角度を持って配置されているので、各光軸Lは、その平面90bと直交する。そのため、各光軸Lを伸ばすと、全ての光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lがインテグレータレンズ74で交差する。
【0042】
また、図10に示すように、各カセット81の光源部73には、ランプ71に電力を供給する点灯電源95及び制御回路96が個々に接続されており、各光源部73から後方に延びる各配線97は、各カセット81に設けられた少なくとも一つのコネクタ98に接続されてまとめられている。そして、各カセット81のコネクタ98と、支持体82の外側に設けられた光学制御部76との間は、他の配線99によってそれぞれ接続される。これにより、光学制御部76は、各ランプ71の制御回路96に制御信号を送信し、各ランプ71に対して点灯と消灯を含め、電圧を調整する電圧制御を行う。
なお、各光源部73の点灯電源95及び制御回路96は、カセット81に集約して設けられてもよいし、カセットの外部に設けられてもよい。また、ランプ押さえカバー84の当接部86は、各光源部73からの各配線97と干渉しないように形成されている。
また、点灯電源95及び制御回路96は、各光源部73毎に設けているが、カセット81毎に1つ設けるようにし、カセット81内の各光源部73を纏めて管理するようにしてもよい。
【0043】
また、光照射装置80の各光源部73、各カセット81、及び支持体82には、各ランプ71を冷却するための冷却構造が設けられている。具体的に、図7に示すように、各光源部73のランプ71と反射鏡72が取り付けられるベース部75には、冷却路75aが形成されており、カセット81の各カバーガラス85には、一つ又は複数の貫通孔85aが形成されている。また、カセット81のカセット押さえカバー84の底面には、複数の排気孔(連通孔)84aが形成され(図6(c)参照。)、支持体82の支持体カバー92にも、複数の排気孔92aが形成されている(図5(c)参照。)。また、各排気孔92aには、支持体82の外部に形成されたブロアユニット(強制排気手段)79が排気管79aを介して接続されている。従って、ブロアユニット79によって支持体82内のエアを引いて排気することで、カバーガラス85の貫通孔85aから吸引された外部のエアが、矢印で示した方向へランプ71と反射鏡72との間の隙間sを通過し、光源部73のベース部材75に形成された冷却路75aへ導かれて、エアにより各光源部73の冷却を行っている。
【0044】
このように構成された露光装置PEでは、照明光学系40において、露光時に露光制御用シャッター44が開制御されると、超高圧水銀ランプ71から照射された光が、インテグレータレンズ74の入射面に入射される。そして、インテグレータレンズ74の出射面から発せられた光は、コリメーションミラー77によってその進行方向が変えられるとともに平行光に変換される。そして、この平行光は、マスクステージ10に保持されるマスクM、さらには基板ステージ20に保持される基板Wの表面に対して略垂直にパターン露光用の光として照射され、マスクMのパターンPが基板W上に露光転写される。
【0045】
ここで、本実施形態では、複数の光源部73は、複数のギャップセンサ17によって複数箇所にて測定された各ギャップに応じて照度をそれぞれ変更する。具体的には、図4に示すような、ワークステージ21に配置された複数のギャップセンサ17によって、露光領域内におけるマスクMと基板Wとのギャップを測定し、設定ギャップと比較する。そして、複数の光源部73は、測定されたギャップが設定ギャップより狭い箇所(即ち、設定ギャップ−測定値>0)では、照度を部分的に下げ、測定されたギャップが設定ギャップより広い箇所(即ち、設定ギャップ−測定値<0)では、照度を部分的に上げる。
【0046】
例えば、ギャップセンサ17によって、図11(b)に示すような設定ギャップに対するギャップのばらつきが測定されると、複数の光源部73は、図11(a)に示す均一の照度から図12(a)に示すギャップ分布に応じた照度にそれぞれ変更することで、図12(b)に示すような、ギャップ分布に対応した露光面での照度を得る。これにより、ギャップのばらつきによる露光面での照度のばらつきを小さくすることができ、パターンのサイズを均一化することができる。
特に、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタやTFT基板の作成には、基板の同じ領域に露光を複数回繰り返して重ね合わせが行われる。従って、高解像度に応じてパターンのサイズが小さくなる場合であっても高精度にパターンを重ね合わせることができる。
【0047】
例えば、図13に示すように、4つの光源部73(73a,・・・,73d)から略均一な照度の光が照射された場合、インテグレータレンズ(フライアイレンズ)74を通った露光面での各照度も均一となり、これらの光が重なり合うことで均一化される。一方、図14に示すように、4つの光源部73(73a,・・・,73d)の一部の電力を上げると、その光源部73の光がインテグレータレンズ(フライアイレンズ)74を通って露光面に出射された光の照度も上がり、ギャップ分布に応じた露光面での照度を与えることができる。
なお、複数の光源部73の照度の制御方法としては、上述した点灯電源95及び制御回路96の数などに応じて、光源部73毎に制御してもよいし、カセット81毎に制御してもよい。
【0048】
なお、図15に示すように、ワークステージ21には、複数の長方形状の溝21aを設け、各溝21a内に収容されたギャップセンサ17が溝21a内を移動可能となるように構成されてもよい。この場合、各ギャップセンサ17は、溝21a内を移動しながら、溝21a内の複数箇所にてマスクMと基板Wとのギャップを測定する。
【0049】
また、上記実施形態では、説明を簡略化するため、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を例に挙げたが、実際にはカセット81に配置される光源部73は8個以上であり、図16(a)及び(b)に示されるような配置で点対称又は線対称でカセット81に取り付けられる。即ち、光源部73をα方向、β方向で異なる数として配置しており、カセット81の光源支持部83に取り付けられた最外周に位置する光源部73の中心を四辺で結んだ線が長方形形状をなす。また、各カセット81が取り付けられる支持体82のカセット取り付け部90は、図17に示すように互いに直交するα、β方向に配置される各個数n(n:2以上の正の整数)を一致させて長方形形状に形成されている。ここで、この長方形形状は後述するインテグレータエレメントの各レンズエレメントの縦横毎の入射開口角比に対応させ、カセットの行数、列数を同数とした場合が最も効率が良いが異数でも良い。
【0050】
インテグレータレンズ74の各レンズエレメントのアスペクト比(縦/横比)は、露光領域のエリアのアスペクト比に対応して決定されている。また、インテグレータレンズの各々のレンズエレメントは、その入射開口角以上の角度から入射される光を取り込むことができない構造となっている。つまり、レンズエレメントは長辺側に対して短辺側の入射開口角が小さくなる。このため、支持体82に配置された光源部73全体のアスペクト比(縦/横比)を、インテグレータレンズ74の入射面のアスペクト比に対応した長方形形状の配置とすることで、光の使用効率が良好となる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る近接スキャン露光装置について、図18〜図23を参照して説明する。
【0052】
近接スキャン露光装置101は、図21に示すように、マスクMに近接しながら所定方向に搬送される略矩形状の基板Wに対して、パターンPを形成した複数のマスクMを介して露光用光Lを照射し、基板WにパターンPを露光転写する。即ち、該露光装置101は、基板Wを複数のマスクMに対して相対移動しながら露光転写が行われるスキャン露光方式を採用している。なお、本実施形態で使用されるマスクのサイズは、350mm×250mmに設定されており、パターンPのX方向長さは、有効露光領域のX方向長さに対応する。
【0053】
近接スキャン露光装置101は、図18及び図19に示すように、基板Wを浮上させて支持すると共に、基板Wを所定方向(図において、X方向)に搬送する基板搬送機構120と、複数のマスクMをそれぞれ保持し、所定方向と交差する方向(図において、Y方向)に沿って千鳥状に二列配置される複数のマスク保持部171を有するマスク保持機構170と、複数のマスク保持部171の上部にそれぞれ配置され、露光用光Lを照射する照明光学系としての複数の照射部180と、複数の照射部180と複数のマスク保持部171との間にそれぞれ配置され、照射部180から出射された露光用光Lを遮光する複数の遮光装置190と、を備える。
【0054】
これら基板搬送機構120、マスク保持機構170、複数の照射部180、及び、遮光装置190は、レベルブロック(図示せず)を介して地面に設置される装置ベース102上に配置されている。ここで、図19に示すように、基板搬送機構120が基板Wを搬送する領域のうち、上方にマスク保持機構170が配置される領域をマスク配置領域EA、マスク配置領域EAに対して上流側の領域を基板搬入側領域IA、露光領域EAに対して下流側の領域を基板搬出側領域OAと称す。
【0055】
基板搬送機構120は、装置ベース102上に他のレベルブロック(図示せず)を介して設置された搬入フレーム105、精密フレーム106、搬出フレーム107上に配置され、エアで基板Wを浮上させて支持する基板保持部としての浮上ユニット121と、浮上ユニット121のY方向側方で、装置ベース102上にさらに他のレベルブロック108を介して設置されたフレーム109上に配置され、基板Wを把持すると共に、基板WをX方向に搬送する基板駆動ユニット140と、を備える。
【0056】
浮上ユニット121は、図20に示すように、搬入出及び精密フレーム105,106,107の上面から上方に延びる複数の連結棒122が下面にそれぞれ取り付けられる長尺状の複数の排気エアパッド123(図19参照),124及び長尺状の複数の吸排気エアパッド125a,125bと、各エアパッド123,124,125a,125bに形成された複数の排気孔126からエアを排出するエア排出系130及びエア排出用ポンプ131と、吸排気エアパッド125a,125bに形成された吸気孔127からエアを吸引するためのエア吸引系132及びエア吸引用ポンプ133と、を備える。
【0057】
また、吸排気エアパッド125a,125bは、複数の排気孔126及び複数の吸気孔127を有しており、エアパッド125a,125bの支持面134と基板Wとの間のエア圧をバランス調整し、所定の浮上量に高精度で設定することができ、安定した高さで水平支持することができる。
【0058】
基板駆動ユニット140は、図19に示すように、真空吸着により基板Wを把持する把持部材141と、把持部材141をX方向に沿って案内するリニアガイド142と、把持部材141をX方向に沿って駆動する駆動モータ143及びボールねじ機構144と、フレーム109の上面から突出するように、基板搬入領域IAにおけるフレーム109の側方にZ方向に移動可能且つ回転自在に取り付けられ、マスク保持機構170への搬送待ちの基板Wの下面を支持する複数のワーク衝突防止ローラ145と、を備える。
【0059】
また、基板搬送機構120は、基板搬入側領域IAに設けられ、この基板搬入側領域IAで待機される基板Wのプリアライメントを行う基板プリアライメント機構150と、基板Wのアライメントを行う基板アライメント機構160と、を有している。
【0060】
マスク保持機構170は、図19及び図20に示すように、上述した複数のマスク保持部171と、マスク保持部171毎に設けられ、マスク保持部171をX,Y,Z,θ方向、即ち、所定方向、交差方向、所定方向及び交差方向との水平面に対する鉛直方向、及び、該水平面の法線回りに駆動する複数のマスク駆動部172と、を有する。
【0061】
Y方向に沿って千鳥状に二列配置される複数のマスク保持部171は、上流側に配置される複数の上流側マスク保持部171a(本実施形態では、6個)と、下流側に配置される複数の下流側マスク保持部171b(本実施形態では、6個)と、で構成され、装置ベース2のY方向両側に立設した柱部112(図16参照。)間で上流側と下流側に2本ずつ架設されたメインフレーム113にマスク駆動部172を介してそれぞれ支持されている。各マスク保持部171は、Z方向に貫通する開口177を有すると共に、その周縁部下面にマスクMが真空吸着されている。
【0062】
マスク駆動部172は、メインフレーム113に取り付けられ、X方向に沿って移動するX方向駆動部173と、X方向駆動部173の先端に取り付けられ、Z方向に駆動するZ方向駆動部174と、Z方向駆動部174に取り付けられ、Y方向に駆動するY方向駆動部175と、Y方向駆動部175に取り付けられ、θ方向に駆動するθ方向駆動部176と、を有し、θ方向駆動部176の先端にマスク保持部171が取り付けられている。
【0063】
複数の照射部180は、図22及び図23に示すように、筐体181内に、第1実施形態と同様に構成される光照射装置80A、インテグレータレンズ74、光学制御部76、コリメーションミラー77、及び、露光制御用シャッター78、を備えると共に、光源部73Aと露光制御用シャッター78間、及びインテグレータレンズ74とコリメーションミラー77間に配置される平面ミラー280,281,282を備える。なお、コリメーションミラー77または折り返しミラーとしての平面ミラー282には、ミラーの曲率を手動または自動で変更可能なデクリネーション角補正手段が設けられてもよい。
【0064】
光照射装置80Aは、超高圧水銀ランプ71と反射鏡72とをそれぞれ含む、例えば、4段2列の8個の光源部73を含むカセット81Aを直線状に3個並べた支持体82Aを有している。第1実施形態と同様、カセット81Aでは、8個の光源部73が支持された光源支持部83にカセット押さえカバー84を取り付けることで、8個の光源部73の光が照射する各照射面と、8個の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となるように、光源部73が位置決めされる。また、図23に示すように、支持体82Aの複数のカセット取り付け部90に各カセット81Aが取り付けられることで、全ての光源部73の光が照射する各照射面と、該光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となるように、各カセット81Aが位置決めされる。なお、各光源部73からの配線の取り回しや、支持体内の冷却構造は、第1実施形態と同様に構成されている。
【0065】
複数の遮光装置190は、図20に示すように、傾斜角度を変更する一対の板状のブラインド部材208,209を有し、ブラインド駆動ユニット192によって一対のブラインド部材208,209の傾斜角度を変更する。これにより、マスク保持部171に保持されたマスクMの近傍で、照射部180から出射された露光用光Lを遮光するとともに、露光用光Lを遮光する所定方向における遮光幅、即ち、Z方向から見た投影面積を可変とすることができる。
【0066】
なお、近接スキャン露光装置101には、マスクMを保持する一対のマスクトレー部221をY方向に駆動することで、上流側及び下流側マスク保持部171a,171bに保持されたマスクMを交換するマスクチェンジャー220が設けられると共に、マスク交換の前に、マスクトレー部121に対して浮上支持されるマスクMを押さえつけながら、位置決めピン(図示せず)をマスクMに当接させることでプリアライメントを行うマスクプリアライメント機構240が設けられている。
【0067】
さらに、図20に示すように、近接スキャン露光装置101には、レーザー変位計260、マスクアライメント用カメラ(図示せず)、追従用カメラ(図示せず)、追従用照明273等の各種検出手段が配置されている。
また、マスク配置領域(露光領域)EAに設けられた、吸排気エアパッド125a,125bには、第1実施形態のワークステージと同様に、溝が形成され、溝内にギャップセンサが配置されている。
【0068】
次に、以上のように構成される近接スキャン露光装置101を用いて、基板Wの露光転写について説明する。なお、本実施形態では、下地パターン(例えば、ブラックマトリクス)が描画されたカラーフィルタ基板Wに対して、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかのパターンを描画する場合について説明する。
【0069】
近接スキャン露光装置101は、図示しないローダ等によって、基板搬入領域IAに搬送された基板Wを排気エアパッド123からのエアによって浮上させて支持し、基板Wのプリアライメント作業、アライメント作業を行った後、基板駆動ユニット140の把持部材141にてチャックされた基板Wをマスク配置領域EAに搬送する。
【0070】
その後、基板Wは、基板駆動ユニット140の駆動モータ143を駆動させることで、レール142に沿ってX方向に移動する。そして、基板Wがマスク配置領域EAに設けられた排気エアパッド124及び吸排気エアパッド125a,125b上に移動させ、振動を極力排除した状態で浮上させて支持される。そして、照射部180内の光源から露光用光Lを出射すると、かかる露光用光Lは、マスク保持部171に保持されたマスクMを通過し、パターンを基板Wに露光転写する。
【0071】
また、当該露光装置101は追従用カメラ(図示せず)やレーザー変位計260を有しているので、露光動作中、マスクMと基板Wとの相対位置ズレを検出し、検出された相対位置ズレに基づいてマスク駆動部172を駆動させ、マスクMの位置を基板Wにリアルタイムで追従させる。同時に、マスクMと基板Wとのギャップを検出し、検出されたギャップに基づいてマスク駆動部172を駆動させ、マスクMと基板Wのギャップをリアルタイムで補正する。
【0072】
以上、同様にして、連続露光することで、基板W全体にパターンの露光を行うことができる。マスク保持部171に保持されたマスクMは、千鳥状に配置されているので、上流側或いは下流側のマスク保持部171a,171bに保持されるマスクMが離間して並べられていても、基板Wに隙間なくパターンを形成することができる。
【0073】
また、基板Wから複数のパネルを切り出すような場合には、隣接するパネル同士の間に対応する領域に露光用光Lを照射しない非露光領域を形成する。このため、露光動作中、一対のブラインド部材208,209を開閉して、非露光領域にブラインド部材208,209が位置するように、基板Wの送り速度に合わせて基板Wの送り方向と同じ方向にブラインド部材208,209を移動させる。
【0074】
ここで、本実施形態のような近接スキャン露光装置においても、複数のギャップセンサ17によって、露光領域内におけるマスクMと基板Wとのギャップを複数箇所にて測定し、複数の光源部73は、各ギャップに応じて照度をそれぞれ変更する。これにより、ギャップのばらつきによる露光面での照度のばらつきを小さくすることができ、パターンのサイズを均一化することができる。
【0075】
なお、本実施形態の近接スキャン露光装置では、基板Wをエアにより浮上搬送する場合について説明したが、基板Wを搬送台上に接触した状態で搬送する構造であってもよい。但し、搬送台は、ギャップセンサがギャップを測定できるような構成とすることが必要である。
【0076】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0077】
例えば、カセット81に配置される光源部73を8個以上とし、支持体82に配置される全光源部は8個〜約800個とする。800個程度であれば、実用性及び効率が良くなる。さらに、支持体82に装着されるカセット81の数は全体の光源部73の数の4%以下とすることが好ましく、この場合には、1つのカセット81に配置される光源部73の数が4%以上となる。
【0078】
また、例えば、上記実施形態では、露光装置として分割逐次近接露光装置と走査式近接露光装置とを説明したが、これに限定されず、本発明は、ミラープロジェクション式露光装置、レンズ投影式露光装置、密着式露光装置にも適用することができる。また、本発明は、一括式、逐次式、走査式等のいずれの露光方法にも適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 マスクステージ
17 ギャップセンサ(ギャップ測定手段)
20 基板ステージ
70 照明光学系
71 ランプ
72 反射鏡
73 光源部
74 インテグレータレンズ
77 コリメーションミラー
78 露光制御用シャッター(シャッター)
80,80A 光照射装置
81,81A カセット
82,82A 支持体
101 近接スキャン露光装置(近接露光装置)
120 基板搬送機構
121 浮上ユニット
140 基板駆動ユニット
170 マスク保持機構
171 マスク保持部
172 マスク駆動部
180 照射部
190 遮光装置
M マスク
P パターン
PE 逐次近接露光装置(近接露光装置)
W ガラス基板(被露光材、基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源部と、シャッターと、インテグレータレンズと、コリメーションミラーと、を有する照明光学系を備え、基板に対して近接対向するマスクに向けて前記照明光学系から光を照射することで、マスクのパターンを基板に露光する近接露光装置であって、
露光領域内の複数箇所にて、前記マスクと前記基板との間のギャップを測定するギャップ測定手段を備え、
前記複数の光源部は、複数箇所にて測定された各ギャップに応じて照度をそれぞれ変更することを特徴とする近接露光装置。
【請求項2】
前記複数の光源部は、前記測定されたギャップが設定ギャップより狭い箇所では、照度を部分的に下げ、前記測定されたギャップが設定ギャップより広い箇所では、照度を部分的に上げることを特徴とする請求項1に記載の近接露光装置。
【請求項3】
前記ギャップ測定手段は、前記ワークチャックに設けられた複数の溝内にそれぞれ配置される複数のギャップ測定手段を含むことを特徴とする請求項2に記載の近接露光装置。
【請求項4】
前記ギャップ測定手段は、前記ワークチャックに設けられた溝内を移動可能に配置されることを特徴とする請求項2に記載の近接露光装置。
【請求項5】
前記ギャップ測定手段は、ギャップセンサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の近接露光装置。
【請求項6】
複数の光源部と、シャッターと、インテグレータレンズと、コリメーションミラーと、を有する照明光学系を備え、基板に対して近接対向するマスクに向けて前記照明光学系から光を照射することで、マスクのパターンを基板に露光する近接露光方法であって、
ギャップ測定手段によって、露光領域内の複数箇所にて、前記マスクと前記基板との間のギャップを測定する工程と、
複数箇所にて測定された各ギャップに応じて、前記複数の光源部の照度をそれぞれ変更する工程と、
を有することを特徴とする近接露光方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate