説明

返しとげ付き縫合糸用返しとげ構成体

【課題】十分な結び目引張り強さがあり、傷口のギャップ形成を最小限とし傷口の治癒を促進できる返しとげ付き縫合糸を提供する。
【解決手段】組織を接続するための返しとげ付き縫合糸10、並びに外科用針と返しとげ付き縫合糸10との組み合わせである。この縫合糸は、細長い本体12と、この本体から突き出ている複数の返しとげ17,19,18,20と、を含んでいる。各返しとげによって、縫合糸は返しとげが向いているのと反対方向への移動に抗している。本体上での返しとげの配列は、千鳥型配列、ツイスト切削多重スパイラル配列、重複配列、又はランダム配列とすることがある。さらに、返しとげの構成は、あるスパイラル角α、返しとげ切削角度θ、返しとげ切削深度、返しとげ切削長さ、返しとげ切削距離、波形の返しとげ下面、弓形の返しとげ基部、或いは可変返しとげ・サイズとすることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明、全般的には、さまざまな外科的状況において身体組織を接続するために有用な返しとげ付き縫合糸(barbed suture)に関し、さらに詳細には、こうした返しとげ付き縫合糸上での返しとげの配列及び/又は構成体の最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚、筋肉、腱、内部臓器、神経、血管、その他のようなヒトや動物の組織にある傷口を閉鎖するため又は互いに結合させるためには、縫合糸を利用するさまざまな外科的方法が従来から使用されている。より具体的には、外科医は従来の縫合糸(平滑な単一線条であり得るものであり、かつ多重線条でもあり得るものである)を取り付けた外科用針を使用し、その傷口の相対する面上で組織を交互に貫通させてその傷口を縫い合せて閉じることがある。こうした傷口が偶発的なものであるか、外科的なものであるかに依らず、多く利用される方法は(特に、表面性の傷口の場合)ループ型縫い合わせ(loop stitching)である。次いでその外科用針を外し、縫合糸の両端が結び合わせられ、典型的には、結び目を形成させるように少なくとも3回かがり縫いされる。
【0003】
よく知られているように、従来の縫合糸は、絹、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、又は綿などの吸収不可能な材料からなることがあり、或いはグリコール酸ポリマー及びコポリマー又は乳酸ポリマー及びコポリマーなどの生体吸収可能な材料からなることがある。
【0004】
従来の縫合糸と同じ材料からなるのが一般的である返しとげ付き縫合糸は、その着想の時点以降、従来の縫合糸による傷口の閉鎖と比べて数多くの利点を提供してきた。返しとげ付き縫合糸は、1つ又は複数の離間させた返しとげを有する細長い本体を含んでおり、これらの返しとげはこの本体の長さ方向に沿って本体表面から突き出ている。これらの返しとげは、返しとげ付き縫合糸がある方向では組織を通過することが可能であるがその反対方向では返しとげ付き縫合糸の移動に逆らうように配列されている。したがって、返しとげ付き縫合糸の主たる利点は、ノンスリップの特性の提供にある。したがって、返しとげ付き縫合糸は従来の縫合糸のように結び目を作る必要がない。従来の縫合糸と同様に、返しとげ付き縫合糸は外科用針を用いて組織内に挿入させることができる。
【0005】
例えばAlcamoに対する米国特許第3123077号は、ヒトの肉組織を縫い合せるための細長いコードについて記載しており、このコードは、1つの本体部分と、この本体に対して鋭角を成してこの本体から突き出ている鋭利で弾力のある返しとげと、を有している。この返しとげ付き縫合糸は、ある方向では組織内を通過させることができるが、これと反対の方向の移動には抵抗する。
【0006】
返しとげを双方向配列で配置させた縫合糸(2重装備(double−armed)縫合糸と呼ぶこともある)が、Bunckeに対する米国特許第5931855号、及びRuffに対する米国特許第6241747号に示されている。さらに詳細には、この縫合糸は、その縫合糸長さの約半分に関しては縫合糸の一方の端部の方向に向いた返しとげを有しており、また縫合糸長さの残りの半分に関しては縫合糸のもう一方の端部に向って反対方向に向いた返しとげを有している。この配列によって、縫合糸の各それぞれの端部を傷口の第1及び第2の面内に挿入する際に、これらの返しとげは同じ方向に移動することが可能となる。こうした双方向型の返しとげ付き縫合糸はその縁が分離しやすい傷口を閉じるために特に適しているだけではなく、縫合糸の端部を結び目にしたループによって固定する必要がなくなる。
【0007】
注目すべきは、RU第99103732号(1999年3月3日)に対する優先権を主張するPCT/RU第99/00263号(2000年9月8日にWO第00/51658号として公布されている)に由来する2001年2月2日に公布されたSulamanidze及びMikhailovに対する欧州特許出願第1075843 A1号であり、この出願はスレッドの長さ方向に沿って連続的に配列されると共に該スレッドの張力方向と反対の方向を向いた円錐状の返しとげであって、各返しとげの間の距離が該スレッドの直径の1.5倍を超えないような円錐状返しとげを提示している。
【0008】
同じく注目すべきは、Ruffに対する米国特許第5342376号である。この特許は、傷口を閉じるために返しとげ付き縫合糸を位置決めするために有用な挿入デバイスを提示している。この挿入デバイスは、返しとげ付き縫合糸を受け入れるための管状の本体を有しており、また好ましくは外科医によるこのデバイスの取扱いを容易にするためのハンドルも有している。この挿入デバイスは、挿入されている縫合糸部分が挿入方向と反対の方向に向いた返しとげを含んだ返しとげ付き縫合糸と共に使用することが推奨されている。挿入方向と反対向きの返しとげを備えたこうした縫合糸もRuffに対する’376に提示されている。
【0009】
本明細書で言及したすべての特許及び特許出願の開示は参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
返しとげ切削深度に応じて返しとげを切り立たせて単一線条とすると、縫合糸の実効直径が低下するために直線的引張り張力強さが減少する。しかし、返しとげ付き縫合糸の直線的引張り張力強さは、従来の縫合糸(結び目を形成させなければならず、また最小の結び目引張り張力強さに準拠しなければならない)では、局所的応力の増加のために結び目の位置で最も頻繁に破損が生じるために、米国薬局方に従った従来の縫合糸(無返しとげの縫合糸)の最小の結び目引張り強さに匹敵させるべきである。
【0011】
返しとげ付き縫合糸の性能を最適化するためには、返しとげの幾何学的特徴(返しとげ切削角度、返しとげ切削深度、返しとげ切削長さ、返しとげ切削距離、その他)及び/又は返しとげの空間的な配列を変更することを検討すると有利である。これによって、返しとげ付き縫合糸の引張強さが強化させるだけではなく、傷口の縁を互いに保持し且つ維持する際の返しとげ付き縫合糸の能力を強化させるべきである。結び目の位置に直接張力がかかっている従来の縫合糸と異なり、返しとげ付き縫合糸は切り立たせた縫合糸長さの方向にその張力を分散させる(長さの方向で均等の場合が多い)ことが可能である。したがって、返しとげの配列及び/又は構成を最適化することによってさらに、保持強さを最大限にすると共に傷口の縁に沿ったギャップ形成を最小限にすることに関するこの新規の返しとげ付き縫合糸の有効性が増大する。この後者は、傷口の治癒を促進するために特に有利である。
【0012】
さらに、こうした新規の返しとげ付き縫合糸は、適当な張力によって組織を迅速に接近させる、組織の変形を緩和する、並びに返しとげによって与えられる自己保持性の恩恵によって瘢痕形成を最小限にするように支援させるべきである。この新規の返しとげ付き縫合糸は、瘢痕形成の最小化が必須である整形外科などの外科手術、並びに内視鏡手術や顕微手術(microsurgery)などスペースが限定された手術において特に有用となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、ヒトや動物の組織を接続するための返しとげ付き縫合糸を提供する。この返しとげ付き縫合糸は、第1の端部及び第2の端部を有する細長い本体を備えている。この返しとげ付き縫合糸はさらに、この本体から突き出ている複数の返しとげを備えている。各返しとげは、返しとげ付き縫合糸が、組織内において、返しとげが向いている方向と反対の方向への移動に抗することができるように適合させている。この返しとげ付き縫合糸はさらに、千鳥配列、ツイスト切削多重スパイラル配列、重複配列、ランダム配列、又はこれらの組み合わせから選択された配列でこの本体上に配置させた返しとげを備えている。
【0014】
千鳥配列、ツイスト切削多重スパイラル配列、及び/又は重複配列では、これらの返しとげはすべてが、第1の端部と第2の端部のうちの一方のみの方向に向いていることがある。別法として、この返しとげ付き縫合糸は、少なくとも第1の部分及び第2の部分を有することがあり、ここで第1の部分の返しとげは第1の端部の方向に向いており、また第2の部分の返しとげは第2の端部の方向に向いている。
【0015】
さらに、代替的な一実施例では、本発明は、縫合糸が第1の端部及び第2の端部を有する細長い本体を備えている、ヒトや動物の組織を接続するための返しとげ付き縫合糸を提供する。この縫合糸はさらに、この本体から突き出ている複数の返しとげを備えている。各返しとげは、縫合糸が組織内にあるときに、返しとげが向いている方向と反対の方向への移動に縫合糸が抗することができるように適合させている。この縫合糸はさらに、約140度から約175度までの範囲にある返しとげ切削角度θと、縫合糸直径に対する切削深度の比が約0.05から約0.6までの範囲にある返しとげ切削深度と、縫合糸直径に対する切削長さの比が約0.2から約2までの範囲にある返しとげ切削長さと、縫合糸直径に対する切削距離の比が約0.1から約6までの範囲にある返しとげ切削距離と、波形の下面と、弓形の基部と、可変のサイズと、又はこれらの組み合わせと、から選択される構成を有した返しとげを備えている。
【0016】
ツイスト切削多重スパイラル配列では、その返しとげ付き縫合糸は約5度から約25度までの範囲にあるスパイラル角αを有することが好ましい。
【0017】
重複配列では、返しとげの一方をもう一方の上に重ね合わせている少なくとも2つの隣接する返しとげが配置されることを意味している。返しとげを切り立たせる間に、この重ね合わせは、ある返しとげ(すなわち、上に重なっている返しとげ)を別の隣接する返しとげ(すなわち、重なりを受けている返しとげ)の上面内に切り立たせ、さらにこれを続けることによって生成されている。したがって、重なりを受けている返しとげの上面の一部は上に重なっている返しとげの下面の一部となり、さらにこれが続く。したがって、重複配列では、上に重なっている返しとげと重なりを受けている返しとげとの間の返しとげ切削距離は、重なりを受けている2番目の返しとげの返しとげ切削長さと比べてより短くなることがあり、他方返しとげ付き縫合糸に関して一般に、2つの返しとげ間の返しとげ切削距離≧返しとげ切削長さ、が成り立つ。
【0018】
さらに別の実施例では、本発明は、ヒトや動物の組織を接続するための外科用針と組み合わせた返しとげ付き縫合糸を提供しており、この組み合わせは外科用針に取り付けられた返しとげ付き縫合糸を備えている。この縫合糸は、第1の端部及び第2の端部を有する細長い本体から突き出ている複数の返しとげを備えている。各返しとげは、縫合糸が組織の内部にあるときに、当該返しとげが向いている方向と反対の方向への移動に縫合糸が抗することができるように適合させている。縫合糸直径に対する外科用針直径の比は約3:1以下であることが好ましい。本明細書に記載した発明した返しとげ付き縫合糸には適宜、外科用針に取り付けることがある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】その返しとげを180度の千鳥型離間で配置させた返しとげ付き縫合糸を表した本発明の一実施例の側面図である。
【図1B】図1Aの返しとげ付き縫合糸を線1B−1Bに沿って切った断面図である。
【図2A】その返しとげを180度の千鳥型離間で配置させた双方向型の返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の側面図である。
【図2B】図2Aの返しとげ付き縫合糸を線2B−2Bに沿って切った断面図である。
【図3A】その返しとげを120度の千鳥型離間で配置させた返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の側面図である。
【図3B】図3Aの返しとげ付き縫合糸を線3B−3Bに沿って切った断面図である。
【図4A】その返しとげを120度の千鳥型離間で配置させた双方向型の返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の側面図である。
【図4B】図4Aの返しとげ付き縫合糸を線4B−4Bに沿って切った断面図である。
【図5A】その返しとげをツイスト切削多重スパイラル配列で配置させた返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の側面図である。
【図5B】図5Aの返しとげ付き縫合糸を線5B−5Bに沿って切った断面図である。
【図6A】その返しとげをツイスト切削多重スパイラル配列で配置させた双方向型の返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の側面図である。
【図6B】図6Aの返しとげ付き縫合糸を線6B−6Bに沿って切った断面図である。
【図7A】図6Aの返しとげ付き縫合糸と同様であるが拡大断面図として表している、その返しとげをツイスト切削多重スパイラル配列で配置させた双方向型の返しとげ付き縫合糸の断面側面図である。
【図7B】図7Aに示した断面側面図について、返しとげの間の切削距離を計測するために返しとげが整列するように回転させ且つクランプさせた断面側面図である。
【図8】その返しとげをランダム配列とした返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の側面図である。
【図9】その下面が波形又はギザギザになった返しとげを有する返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の断面側面図である。
【図10A】弓形の基部を備えた返しとげを有する返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の断面斜視図である。
【図10B】図10Aの返しとげ付き縫合糸の断面上面図である。
【図10C】図10Bの線10C−10Cに沿って切った断面図である。
【図10D】図10Bの線10D−10Dに沿って切った断面図である。
【図11】さまざまなサイズの返しとげを有する返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の断面側面図である。
【図12A】その返しとげを重複配列とした返しとげ付き縫合糸を表した本発明の別の実施例の断面斜視図である。
【図12B】図12Aの縫合糸の重複した返しとげの一部分の斜視図である。
【図12C】図12Bの返しとげの一部分の平面図である。
【図12D】図12Cの線12D−12Dに沿って切った断面図である。
【図13A】返しとげ付き縫合糸を取り付けるためのさまざまな外科用針のうちの1つの図である。
【図13B】返しとげ付き縫合糸を取り付けるためのさまざまな外科用針のうちの1つの図である。
【図13C】返しとげ付き縫合糸を取り付けるためのさまざまな外科用針のうちの1つの図である。
【図13D】返しとげ付き縫合糸を取り付けるためのさまざまな外科用針のうちの1つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用する場合、「傷口」という用語は、ヒトや動物の皮膚又はヒトや動物の身体組織にある、外科的切開(incision)、切削(cut)、断裂(laceration)、切断された組織又は偶発的な傷口、或いは縫合、金具留め、又は別の組織接続用デバイスの使用が必要とされるようなヒトや動物の別の状態を意味している。
【0021】
さらに本明細書で使用する場合、「組織」という用語は、皮膚、脂肪、筋膜(fascia)、骨、筋肉、臓器、神経、又は血管などの組織、或いは腱や靱帯などの繊維組織(ただし、これらに限らない)を含んでいる。
【0022】
さらに、本明細書で使用する「ポリマー」という用語は一般に、ホモポリマー、コポリマー(ブロック・コポリマー、グラフト・コポリマー、ランダム・コポリマー及びオルタネート・コポリマーなど)、テルポリマー、その他、並びにこれらの配合物及び変種(ただし、これらに限らない)を含んでいる。さらに、「ポリマー」という用語はこの材料からなる可能なすべての構造体を含むものとする。これらの構造体は、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称体(ただし、これらに限らない)を含んでいる。
【0023】
以下では縫合糸について、円形の断面を備えた好ましい一実施例に関して記載しているが、縫合糸はさらに表面積を増加させると共に返しとげの形成を容易とさせることが可能なように非円形の断面形状を有することも可能である。その他の断面形状としては、長円形、三角形、正方形、平行六面体、台形、ひし形、五角形、六角形、十字形、その他(ただし、これらに限らない)が含まれることがある。典型的には、返しとげは円形の断面をもつダイを用いた押出し成形によって形成させた1つのポリマー線条となるように切削されており、またしたがって、この線条の断面は円形となる(このことは、こうした押出し成形の間に生じることである)。しかし、押出し成形のダイは所望の任意の断面形状をもつようにカスタマイズすることが可能である。
【0024】
したがって、本明細書で使用する「直径」という用語は、その断面が円形であるか、また何らかの別の形状であるかに関わらず、その断面の横断長(transverse length)を意味させるように意図している。
【0025】
以下に記載する発明した縫合糸に適した直径は、約0.001mmから約1mmまでの範囲とすることがあり、またもちろん、この直径は約0.01mmから約0.9mmまでや、約0.015mmから約0.8mmまでの範囲とすることもある。典型的な直径は約0.01mmから約0.5mmまでの範囲にある。縫合糸の長さは、閉じようとする傷口の長さ及び/又は深度、接合させようとする組織の種類、傷口の位置、その他などの幾つかのファクターに応じてさまざまとなり得る。典型的な縫合糸長さは、約1cmから約30cmまでの範囲、さらに詳細には、約2cmから約22cmまでの範囲にある。
【0026】
縫合糸上の返しとげの配列に関連して本明細書で使用する「千鳥型の(staggered)」や「千鳥型にする(staggering)」という用語は、その縫合糸が互いに対してオフセットをもつような少なくとも2組の返しとげを有しており、その第1の組は縫合糸上で長手方向に整列しており且つその第2の組は縫合糸上で長手方向に整列しているが、縫合糸に対して直交し且つ縫合糸を横断方向に切っており且つ第1組の返しとげの基部と交差する面は第2組の返しとげの基部と交差することがないことを意味するように意図している。
【0027】
これらの返しとげは、返しとげをその上に配置させる縫合糸の本体の外部表面から突き出ている。その返しとげ付き縫合糸の最終的な使用目的に応じて、さまざまなサイズの返しとげが利用されることがある。一般に、脂肪組織や軟部組織などのある種の組織を結合させるには、より大きな返しとげがより適している。他方、コラーゲン密度が高い組織など別の種類の組織を結合させるには、より小さな返しとげがより適している。
【0028】
上で指摘したように、返しとげ付き縫合糸は、従来のループ縫合糸を製作する際に使用されるのと同じ材料から製作されることがある。返しとげ付き縫合糸に関して選択される特定の材料は何れも、その強度及び柔軟性要件に依存する。
【0029】
より具体的には、返しとげ付き縫合糸は、傷口が治癒するに連れて縫合糸が分解され、これにより時間の経過と共に組織内に吸収されることを可能とした生体吸収可能な材料から形成させることがある。一般に、生体吸収可能な材料はポリマーであり、また選択した具体的なポリマーに応じて、傷口における分解時間は約1ヶ月から24ヶ月以上までの範囲にある。生体吸収可能な材料を使用するため縫合糸を患者から除去する必要性がない。
【0030】
さまざまな生体吸収可能なポリマーとしては、ポリジオキサノン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、及びこれらのコポリマー(ただし、これらに限らない)が含まれる。市場入手可能な例としては、ポリジオキサノン(PDS II(外科用縫合糸を販売するEthiconが使用する商標名)の名称で販売されている)、約67%のグリコリドと約33%のトリメチレン・カーボネートとからなるコポリマー(外科用縫合糸に関したAmerican Cyanamidに対する登録商標であるMAXON(商標)の名称で販売されている)、及び約75%のグリコリドと約25%のカプロラクトンとからなるコポリマー(縫合糸及び縫合糸針に関したJohnson & Johnsonに対する登録商標であるMONOCRYL(商標)の名称で販売されている)が含まれる。返しとげ付き縫合糸は広範な用途において有用な生体吸収可能な材料から製作されている。
【0031】
さらに、返しとげ付き縫合糸はポリマーとすることがある吸収不可能な材料から形成させることがある。こうしたポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル(本明細書では略してPETというポリエチレンテレフタレートなど)、ポリテトラフルオロエチレン(GoreによってGOR−TEX(商標)の名称で販売されている、本明細書では略してePTFEという延伸ポリテトラフルオロエチレンなど)、ポリエーテルエステル(ジメチルテレフタレート、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及び1,4−ブタネジオールからなる凝結ポリマー化物であり、且つTycoの所有会社であるDavis & Geck及びU.S.Surgicalによって、外科用縫合糸に関したAmerican Cyanamidに対する登録商標であるNOVAFIL(商標)の名称で市場供給されているポリブテステルなど)、又はポリウレタン(ただし、これらに限らない)が含まれる。別法として、その吸収不可能な材料は、金属(例えば、鋼鉄)、金属合金、天然繊維(例えば、絹、綿、その他)、などとすることがある。
【0032】
以下で検討する返しとげ付き縫合糸の大部分は、組織を貫通させることが可能となるようにその端部を尖らせると共に十分に硬い材料から形成させるものとして記載している。返しとげ付き縫合糸の端部は外科用針を備えることがあることが企図される。この実施例では、その返しとげ付き縫合糸は、外科用針に対するスウェージング(swaging)、チャンネル・ラッピング、熱収縮、又ははと目スレッディングによって組織内に挿入するアタッチメント向けに適合させている。
【0033】
スウェージングによるアタッチメントについて十分に記載しており、またこのアタッチメントは典型的には、外科用針の一方の端部位置において長手方向に配置させた外科用針の穴(通常この穴は針の一方の端部内に長手方向にあけられている)内に縫合糸の端部を挿入し、続いて組織内に挿入するために縫合糸を外科用針に固定できるように針穴のまわりに得られたものをかしめることによって実現されている。さらに、一方の端部に1つの長手方向の穴を有する幾つかの外科用針は、縫合糸を外科用針に取り付けるために縫合糸の挿入後に熱収縮を受けるような熱収縮可能なチューブである。さらに、幾つかの外科用針は、一方の端部に1つのチャンネル又は樋(trough)を有しており、また縫合糸はこの樋内に布設されると共に、続いてラッピングによってこの縫合糸が外科用針に固定されている。外科用針の一方の端部に横断方向に配置させて従来のはと目タイプの穴を備えた外科用針を使用することも可能であるが、返しとげ付き縫合糸に関しては好ましくない。本発明では、以下の検討の一部は、返しとげ付き縫合糸と一緒にスウェージングさせた外科用針を検討しているが、針を取り付けるための適当な別の任意の手段の利用も可能であることが企図がされる。
【0034】
縫合糸と外科用針に関するアタッチメントは、Boryskoに対する米国特許第3981307号、Korthoffに対する米国特許第5084063号、Grangerらに対する米国特許第5102418号、Grangerらに対する米国特許第5123911号、Demarestらに対する米国特許第5500991号、Colliganに対する米国特許第5722991号、Estevesらに対する米国特許第6012216号、及びEstevesらに対する米国特許第6163948号に記載されている。外科用針の製造に関する一方法はRizkらに対する米国特許第5533982号に記載されている。さらに、外科用針は、発明した外科用針/返しとげ付き縫合糸の組み合わせの針が、外科用針をコーティングしない場合と比べてより小さい力で組織内に挿入できるようにコーティングされることがあることに留意されたい。このコーティングは、例えばシリコーン樹脂コーティングなどのポリマーとすることがある。例えばGrangerらに対する米国特許第5258013号には、組織貫通を実現するために標準のシリコン処理した外科用針と比べて要する力がかなり小さい改良型のシリコン処理した外科用針が記載されている。
【0035】
返しとげは、縫合糸の本体上でさまざまな配列で配置されている。返しとげは、射出成形、スタンピング、切削、レーザー加工、その他を含む適当な任意の方法を用いて形成されることがある。切削に関しては一般に、ポリマーのスレッド又は線条が入手され、次いでさらに返しとげが線条本体上に切削される。
【0036】
切削は手作業とすることがあるが、これでは労働集約的であり費用対効果が低い。
【0037】
非常に適した切削装置の1つが、Quill Medicalに対する譲渡人であるGenovaらに対する2001年8月31日に提出された米国特許出願第09/943733号に開示されており、この開示は参照により本明細書に組み込むものとする。こうした切削装置は、縫合糸の線条上に返しとげを切り立たせるために複数のブレードを有している。返しとげ付き縫合糸を製造するための典型的な切削装置の1つは、1つの切削ベッドと、1つの万力と、1つ又は複数のブレード・アセンブリと、また場合によってはブレード用の1つのテンプレート又はガイドと、を利用している。縫合糸線条の外部上に配置されて複数の軸方向に離間させた返しとげを切削するために、この縫合糸線条はベッド内に配置されると共に、ブレードの横断方向が一般に縫合糸線条の横断方向に配置された状態で万力によって保持されている。
【0038】
ここで、幾つかの図全体を通じて同じ参照番号によって対応する又は同様の要素を指示している図面を参照すると、番号1でその全体を示した本発明による返しとげ付き縫合糸の側面図を図1Aに表している。
【0039】
縫合糸1は、断面が概して円形であり且つ端部4で終わっている細長い本体2を含んでいる。端部4は、一実施例では組織を貫通するために尖らせた状態で図示しているが、端部4は組織内に挿入するための外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。(もう一方の端部は図示していない)。さらに縫合糸1は、千鳥型の単方向配列で配列させた複数の接近して離間させた返しとげ7、9を含んでいる。より具体的には、軸方向に離間させた返しとげ7は、軸方向に離間させた返しとげ9から半径方向で約180度の位置に配列させると共に、軸方向に離間させた返しとげ9に対して千鳥型にしており、これらの返しとげ7、9は尖った端部4の方向に向いている。第1組の返しとげ7は、第2組の返しとげ9によって規定される面と実質的に同一平面上にある1つの面を規定しており、またこのため、これらの返しとげ7、9は、半径方向180度配列であるために実質的に同じ1つの面を規定している。
【0040】
図1Bは、図1Aの縫合糸1の線1B−1Bに沿って切った断面図であり、角度X(すなわち、返しとげ9を基準とした返しとげ7の半径方向180度配列)をより明瞭に表している。さらに図1Bから理解できるように、斑点表示によって、返しとげ7の第1の返しとげ7が尖った端部4(図1Bでは図示せず)のより近くにあること、またこのため、千鳥配置であるためにより離れた位置にある返しとげ9の第1の返しとげ9と比べてより大きく見えているように表している。縫合糸本体2と直交すると共に返しとげ7のうちの1つの返しとげ7の基部と交差する横断面は、返しとげ9のうちの何れの返しとげ9の基部とも交差しない。
【0041】
縫合糸1は、上述したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、縫合糸1に沿った千鳥型位置にある2組の返しとげ7、9を(通常は一度に1組の割で)製造する切削装置を用いて製作されることがある。
【0042】
第1組の返しとげ7は縫合糸線条を万力内に配置させ且つ保持することによって作成されており、また次いで所定の長さを有するブレードの組は、尖った端部4に向かった1つの方向を指した返しとげ7が作成されるように選択した角度で縫合糸線条内にスプライスされる。第2組の返しとげ9は、千鳥型配置を作成するために返しとげ7のうちの2つの間の長手方向距離の概ね半分だけブレードを長手方向にずらし、且つすでに切削し終わった第1組の返しとげ7を収容するように装備された万力上で縫合糸線条を約180度だけ回転させた後で同様にして作成される。
【0043】
図2Aには、本発明の別の実施例であり且つ双方向型であることを除けば縫合糸1と同様な縫合糸10を表している。縫合糸10は、断面が概して円形の細長い本体12を含んでいる。細長い本体12は、組織を貫通するための第1及び第2の尖った端部14、16で終わっている。さらに、端部14、16のうちの一方又は両者は組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。さらに、縫合糸10は、千鳥型で双方向型配列で配列させた複数の接近して離間させた返しとげ17、18、19、20を含んでいる。
【0044】
より具体的には、複数の軸方向に離間させた返しとげ17は、複数の軸方向に離間させた返しとげ19から半径方向で約180度で配列されると共に、複数の軸方向に離間させた返しとげ19に対して千鳥型配置させており、これらの返しとげ17、19は縫合糸10のある部分(その長さの約半分)では尖った端部14の方向を向いている。同様に、複数の軸方向に離間させた返しとげ18は、複数の軸方向に離間させた返しとげ20から半径方向で約180度で配列されると共に、複数の軸方向に離間させた返しとげ20に対して千鳥型配置させており、これらの返しとげ18、20は縫合糸10の別の部分(概ね、その長さの残りの半分)では尖った端部16の方向を向いている。第1組の返しとげ17、18は第2組の返しとげ19、20によって規定される面と実質的に同一平面上にある1つの面を規定している。その結果、第1組の返しとげ17、18が第2組の返しとげ19、20に対して半径方向180度配列であるため、返しとげ17、18、19、20のすべての返しとげは、実質的に同じ1つの面を規定している。
【0045】
図2Bは図2Aの縫合糸10を線2B−2Bに沿って切った断面図であり、角度X(すなわち、半径方向180度配列)をより明瞭に表している。千鳥配列であるため、返しとげ17の第1の返しとげ17は尖った端部14(図2Bでは図示せず)のより近くにあり、またしたがって、斑点表示で図示しているように、より離れた位置にある返しとげ19の第1の返しとげ19と比べてより大きく表している。縫合糸本体12と直交すると共に返しとげ17のうちの1つの返しとげ17の基部と交差する横断面は、返しとげ19のうちの何れの返しとげ19の基部とも交差しない。同様に、縫合糸本体12と直交すると共に返しとげ18のうちの1つの返しとげ18の基部と交差する横断面は、返しとげ20のうちの何れの返しとげ20の基部とも交差しない。
【0046】
縫合糸10は上述したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、ブレード方向に関する以下の変更を除けば縫合糸1の場合と同じ切削装置によって製作されることがある。
【0047】
第1組の双方向型の返しとげ17、18では、縫合糸線条を万力内に配置させ且つ保持させた後、ブレードを第1の切削動作によって縫合糸線条の長さの概ね半分までスプライスさせて尖った端部14に向かった1つの方向を向いた返しとげ17が作成される。次に、ブレードを180度だけ回転させ、これによりブレードが反対方向でその長さの未切削の半分の上に配置されるようにする。次いでブレードは、第2の切削動作によってその縫合糸線条の長さの残りの半分までスプライスし、尖った端部16の向きと反対方向を向いた返しとげ18を作成することができる。
【0048】
次に、千鳥型配置を作成するために返しとげ17のうちの2つの間の長手方向距離の半分だけブレードを長手方向にずらし、さらにすでに切削し終わった第1組の双方向型返しとげ17、18を収容するように装備した万力上で縫合糸線条を約180度だけ回転させる。次いで、第2組の双方向型の返しとげ19、20では、ブレードは第1の切削動作によって縫合糸線条の長さの概ね半分までスプライスし、尖った端部16に向かった1つの方向に向いた返しとげ20が作成される。この第1の切削動作に続いて、ブレードを長手方向に180度だけ回転させ、これによってブレードが反対方向で且つその長さの未切削の半分の上に配置されるようにする。次いでブレードは第2の切削動作によってその縫合糸線条の長さの残りの半分までスプライスし、尖った端部14の向きと反対方向を向いた返しとげ19を作成することができる。
【0049】
双方向型の縫合糸10の代替的な一実施例(図示せず)では、縫合糸10の返しとげ17、19を有する部分はその返しとげを尖った端部16の方向に向けており、縫合糸10の返しとげ18、20を有する部分はその返しとげを尖った端部14の方向に向けている。この変形形態では、その返しとげ付き縫合糸は、上で指摘したRuffに対する米国特許第5342376号に示されたデバイスなどの挿入デバイスを用いて組織内に挿入されることになる。さらに、所望であれば、一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分ともう一方の端部を向いた返しとげを有する1つの部分とが存在する、又は、一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分ともう一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分とが存在する、等々(図示せず)のように返しとげを切り立たせることがあること、またしたがって、返しとげの一部分が当該返しとげが隣接している縫合糸端部の方向を向いていない場合は、その返しとげ付き縫合糸は挿入デバイスを用いて組織内に挿入されることになること、に留意されたい。
【0050】
千鳥型の半径方向180度配列を有する返しとげ付き縫合糸の利点の1つは、比較的小さい直径の線条に対してこの180度の離間が容易に製作されると共に、千鳥配置によって引き留め性能が改善されることである。したがって、より小さい縫合糸が望まれるような薄くて傷つきやすい組織では、千鳥型の180度離間によって有効な引き留め性能が生成される。
【0051】
ここで図3Aを見ると、全体として縫合糸30で示した本発明による縫合糸の別の実施例の側面図を表している。縫合糸30は、縫合糸30の半径方向離間が、縫合糸1に関して示した180度ではなく120度である点を除けば、図1Aに示した縫合糸1と同様である。
【0052】
さらに詳細には、縫合糸30は断面が概して円形であると共に、組織を貫通するための尖った端部34で終わっている細長い本体32を含んでいる。端部34は、縫合糸を組織内に挿入できるように外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。(もう一方の端部は図示していない)。さらに、縫合糸30は、複数の接近して離間させた返しとげ35、37、39を、そのすべてが尖った端部34に向いた同じ方向に向くようにして配列させて含んでいる。したがって、返しとげ35、37、39の配列は単方向性である。
【0053】
さらに、軸方向に離間させた返しとげ35は、軸方向に離間させた返しとげ37から半径方向で約120度で配列させると共に該軸方向に離間させた返しとげ37に対して千鳥型配置させており、さらに軸方向に離間させたこの返しとげ37は、軸方向に離間させた返しとげ39から半径方向で約120度で配列させると共に、該軸方向に離間させた返しとげ39に対して千鳥型配置させている。したがって、軸方向に離間させた返しとげ39は、軸方向に離間させた返しとげ35から約120度に配列されると共に該軸方向に離間させた返しとげ35に対して千鳥型配置されている。半径方向の120度配列の結果として、第1組の返しとげ35は実質的に同じ1つの面を規定しており、第2組の返しとげ37は実質的に別の同じ1つの面を規定しており、さらに第3組の返しとげ39は実質的にさらに別の同じ1つの面を規定している。したがって、縫合糸30は、千鳥型で単方向性の120度配列で配列させた返しとげ35、37、39を有している。
【0054】
図3Bは図3Aの縫合糸30の線3B−3Bに沿って切った断面図であり、角度Yについて(すなわち、返しとげ37を基準とした返しとげ35、返しとげ39を基準とした返しとげ37、並びに返しとげ35を基準とした返しとげ39に関する半径方向120度配列)についてより詳細に表している。
【0055】
斑点表示によって示したように、返しとげ35の第1の返しとげ35は、千鳥配列であるため、より離れた位置にある返しとげ37の第1の返しとげ37と比べて尖った端部34(図3Bでは図示せず)のより近くにあり、またしたがって、より大きく見えている。さらに、返しとげ37の第1の返しとげ37は、千鳥配列であるため、より離れた位置にある返しとげ39の第1の返しとげ39と比べて尖った端部34(図3Bでは図示せず)のより近くにあり、またしたがって、より大きく見えている。縫合糸本体32と直交すると共に返しとげ35のうちの1つの返しとげ35の基部と交差する横断面は、返しとげ37のうちの何れの返しとげ37の基部とも交差しない。同様に、縫合糸本体32と直交すると共に返しとげ37のうちの1つの返しとげ37の基部と交差する横断面は、返しとげ39のうちの何れの返しとげ39の基部とも交差しない。同様に、縫合糸本体32と直交すると共に返しとげ39のうちの1つの返しとげ39の基部と交差する横断面は、返しとげ35のうちの何れの返しとげ35の基部とも交差しない。
【0056】
縫合糸30は、上で指摘したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、縫合糸1と同じ切削装置によって製作することがある。この切削装置はここでは、縫合糸30に沿った千鳥型位置にある3組の返しとげ35、37、39を(通常は一度に1組の割で)製造する切削装置を用いて製作されている。
【0057】
第1組の返しとげ35は、縫合糸線条を万力内に配置させ且つ保持することによって作成されており、これに続いて、所定の長さに調節し終えた後にブレードは、そのすべてが尖った端部34に向かった同じ方向を指して返しとげ35が作成されるように選択した角度で縫合糸線条内にスプライスされる。
【0058】
次に、これらのブレードは、千鳥型配置を作成するために返しとげ35のうちの2つの間の長手方向距離の概ね半分だけ長手方向にずらしている。さらに、その線条は、すでに切削し終わった第1組の返しとげ35を収容するように装備された万力上で縫合糸線条を約120度だけ回転させ、次いで第2組の返しとげ37が同様の方式で作成されている。
【0059】
同様に、これらのブレードは、千鳥型配置を作成するために返しとげ35のうちの2つの間の長手方向距離の概ね半分だけ再度長手方向にずらしており、またさらにその縫合糸線条は、すでに切削し終わった第1組の返しとげ35とすでに切削し終わった第2組の返しとげ37との両方を収容するように装備された万力上で約120度だけ回転させている。長手方向への移動及び回転に続いて、第3組の返しとげ39が同様の方式で作成されている。
【0060】
連続する各返しとげは、直前の返しとげから縫合糸本体32の周りで約120度の位置に切り立たせると共に、その他の何れの返しとげとも重ね合わされないことが好ましい。
【0061】
ここで図4Aを参照すると、本発明の別の実施例である縫合糸40を表している。縫合糸40は、縫合糸40が双方向型である点を除けば縫合糸30と同様である。縫合糸40は、断面が概して円形であると共に、組織を貫通するために第1及び第2の尖った端部44、46で終わっている細長い本体42を含んでいる。さらに、端部44、46のうちの一方又は両者は、組織内に挿入するための外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。縫合糸40はさらに、千鳥型で双方向型の配列で配列させた複数の接近して離間させた返しとげ47、48、49、50、51、52を含んでいる。
【0062】
縫合糸40の長さの約半分では、軸方向に離間させた返しとげ47は軸方向に離間させた返しとげ49から円周方向で約120度で配列させると共に該軸方向に離間させた返しとげ49に対して千鳥型配置させており、またこの軸方向に離間させた返しとげ49は軸方向に離間させた返しとげ51から半径方向で約120度で配列させると共に、該軸方向に離間させた返しとげ51に対して千鳥型配置させている。このため、軸方向に離間させた返しとげ51もまた、軸方向に離間させた返しとげ47から約120度で配列されると共に、該軸方向に離間させた返しとげ47に対して千鳥型配置されている。したがって、縫合糸40の一部分は、そのすべてが尖った端部44に向かった同じ方向を指して返しとげ47、49、51を有している。
【0063】
縫合糸40の長さの残りの半分では、軸方向に離間させた返しとげ48は軸方向に離間させた返しとげ50から半径方向で約120度で配列させると共に、該軸方向に離間させた返しとげ50に対して千鳥型配置させており、またこの軸方向に離間させた返しとげ50は、軸方向に離間させた返しとげ52から半径方向で約120度で配列させると共に、該軸方向に離間させた返しとげ52に対して千鳥型配置させている。このため、軸方向に離間させた返しとげ52もまた、軸方向に離間させた返しとげ48から約120度で配列されると共に、該軸方向に離間させた返しとげ48に対して千鳥型配置されている。したがって、縫合糸40の別の部分はそのすべてが尖った端部46に向かった同じ方向を指して返しとげ48、50、52を有している。
【0064】
半径方向120度配列の結果、第1組の返しとげ47、48は実質的に同じ1つの面を規定しており、第2組の返しとげ49、50は実質的に別の同じ1つの面を規定しており、また第3組の返しとげ51、52は実質的にさらに別の同じ1つの面を規定している。
【0065】
図4Bは、図4Aの縫合糸40の線4B−4Bに沿って切った断面図であって、角度Yをより明瞭に表している(すなわち、半径方向120配列をさらに具体的に表している)。斑点表示によって図示したように、返しとげ47の第1の返しとげ47は、千鳥型配置であるために、より離れた位置にある返しとげ49の第1の返しとげ49と比べて尖った端部44(図4Bでは図示せず)のより近くにあり、またしたがってより大きく見えている。さらに千鳥型配置であるために、返しとげ49の第1の返しとげ49は、さらに離れた位置にある返しとげ51の第1の返しとげ51と比べて尖った端部44(図4Bでは図示せず)のより近くにあり、またしたがってより大きく見えている。
【0066】
縫合糸本体42と直交すると共に返しとげ47のうちの1つの返しとげ47の基部と交差する横断面は、返しとげ49のうちの何れの返しとげ49の基部とも交差しない。同様に、縫合糸本体32と直交すると共に返しとげ49のうちの1つの返しとげ49の基部と交差する横断面は、返しとげ51のうちの何れの返しとげ51の基部とも交差しない。同様に、縫合糸本体42と直交すると共に返しとげ51のうちの1つの返しとげ51の基部と交差する横断面は、返しとげ47のうちの何れの返しとげ47の基部とも交差しない。さらに、縫合糸本体42と直交すると共に返しとげ48のうちの1つの返しとげ48の基部と交差する横断面は、返しとげ50のうちの何れの返しとげ50の基部とも交差しない。同様に、縫合糸本体32と直交すると共に返しとげ50のうちの1つの返しとげ50の基部と交差する横断面は、返しとげ52のうちの何れの返しとげ52の基部とも交差しない。同様に、縫合糸本体42と直交すると共に返しとげ52のうちの1つの返しとげ52の基部と交差する横断面は、返しとげ48のうちの何れの返しとげ48の基部とも交差しない。
【0067】
縫合糸40は、上述したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、ブレード方向に関する以下の変更を除けば縫合糸1の場合と同じ切削装置を用いて製作させることがある。
【0068】
第1組の双方向型の返しとげ47、48では、縫合糸線条を万力内に配置させ且つ保持させた後、ブレードは、第1の切削動作によって縫合糸線条の長さの概ね半分までスプライスし、尖った端部44に向かった1つの方向を向いた返しとげ47が作成される。次いで、ブレードを180度だけ回転させ、反対方向で且つその長さの未切削の半分の上に配置されるようにする。次いでこのブレードは、第2の切削動作によってその縫合糸線条の長さの残りの半分までスプライスし、尖った端部46の向きと反対方向を向いた返しとげ48を作成することができる。
【0069】
次に、これらのブレードは、千鳥型配置を作成するために返しとげ47のうちの2つの間の長手方向距離の約半分だけ長手方向にずらし、さらに、すでに切削し終わった第1組の双方向型の返しとげ47、48を収容するように装備された万力上で縫合糸線条を約120度だけ回転させている。次いで、第2組の双方向型の返しとげ49、50に関して、これらのブレードは、第1の切削動作によって縫合糸線条の長さの概ね半分までスプライスし、尖った端部46に向かった1つの方向を向いた返しとげ50が作成される。この第1の切削動作に続いて、ブレードを180度だけ回転させ、これによってブレードが反対方向で且つ縫合糸線条の長さの未切削の半分の上に配置されるようにする。次いでブレードは第2の切削動作によってその縫合糸線条の長さの残りの半分までスプライスし、尖った端部44の向きと反対方向を向いた返しとげ49を作成することができる。
【0070】
次いで、これらのブレードは、千鳥型配置を作成するために返しとげ47のうちの2つの間の長手方向距離の約半分だけ再度長手方向にずらしている。さらに、その縫合糸線条は、すでに切削し終わった第1組の双方向型の返しとげ47、48とすでに切削し終わった第2組の双方向型の返しとげ49、50とを収容するように装備された万力上で再度約120度だけ回転させている。長手方向への移動及び回転に続いて、第1の切削動作によってブレードを縫合糸線条の長さの概ね半分までスプライスさせ、尖った端部44に向かった1つの方向に向いた返しとげ51を作成することによって、第3組の双方向型の返しとげ51、52が製作される。この第1の切削動作に続いて、これらのブレードを180度だけ回転させ、これによってブレードが反対方向で且つ縫合糸線条の長さの未切削の半分の上に配置されるようにする。これらのブレードは次に、第2の切削動作によってその縫合糸線条の長さの残りの半分までスプライスし、尖った端部46の向きと反対方向を向いた返しとげ52を作成することができる。
【0071】
連続する各返しとげは、直前の返しとげから縫合糸本体42の周りで約120度の位置に切り立たせると共に、その他の何れの返しとげとも重ね合わされないことが好ましい。
【0072】
代替的な一実施例(図示せず)では、双方向型の縫合糸40では、縫合糸40のうち返しとげ47、49、51を有する部分は、その返しとげを尖った端部46の方向に向けており、また縫合糸40のうち返しとげ48、50、52を有する部分は、その返しとげを尖った端部44の方向に向けている。この変形形態では、その返しとげ付き縫合糸は、上で指摘したRuffに対する米国特許第5342376号に示されているデバイスなどの挿入デバイスを用いて組織内に挿入されることになる。さらに、所望であれば、一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分ともう一方の端部を向いた返しとげを有する1つの部分とが存在する、又は、一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分ともう一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分とが存在する、等々(図示せず)のように返しとげを切り立たせることがあること、またしたがって、返しとげの一部分が当該返しとげが隣接している縫合糸端部の方向を向いていない場合は、その返しとげ付き縫合糸は挿入デバイスを用いて組織内に挿入されることになること、に留意されたい。
【0073】
半径方向120度配列を有する返しとげ付き縫合糸の利点の1つは、返しとげが互いに補完関係にある3つの異なる面で力を作用させており、このため、縫合糸全体の保持力(retention force)が最大となることである。上で指摘したように、千鳥配列によって引き留め性能が強化される。
【0074】
ここで図5Aを見ると、ツイスト切削多重スパイラル方式の半径方向離間とさせている、その全体を縫合糸60で示した本発明の別の実施例を表している。縫合糸60は概して円形の断面をもつ細長い本体62を含んでいる。細長い本体62は組織を貫通するための尖った端部64で終わっており、さらに、端部64は組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。さらに縫合糸60は、本体62の周りでツイスト切削多重スパイラル・パターンを成すように配列されると共に、尖った端部64に向かった同じ方向を指している複数の接近して離間させた返しとげ67を含んでいる。
【0075】
図5Bは図5Aの縫合糸60の線5B−5Bに沿って切った断面図である。ツイスト切削多重スパイラル配列であるために、各それぞれの返しとげ67は、それぞれが尖った端部64(図5Bでは図示せず)からさらに遠くになっていくほど、さらに小さくなっていくように見えており、このサイズの違いの錯覚を斑点表示で表している。
【0076】
縫合糸60は、上述したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、縫合糸1の製作に使用したのと同様の切削装置を用いて製作されることがある。ツイスト切削方法では、返しとげ67は、多重スパイラル式で製作されることがあり、この場合返しとげは、切削を実施する際に縫合糸線条を回転させずに固定状態に保ちながら同時に作成されることが好ましい。
【0077】
さらに詳細には、長さが約178mm(約7インチ)の縫合糸線条は、縫合糸長さの約114mm(約4.5インチ)であるようなある部分に関しては39回など、縫合糸長さの一部分に関して長手方向にねじりをかけている。したがって、一方の端部は固定され、またもう一方の端部は把持されて39回にわたって360度の回転を受けており、したがって縫合糸線条のこの部分は縫合糸を次いで万力内に配置させ且つ保持させたときにねじりを受けることになる。
【0078】
ねじりは28回から50回実施することが好ましく、また、19回から70回までなどこれより多くの回数又は少ない回数実施されることもある。適宜、このねじりは、1インチあたり約2回から約17回までのねじり、1インチあたり約3回から約15回までのねじり、或いは1インチあたり約5回から約13回までのねじり(1インチあたりは25.4mmあたりに相当する)とすることがある。
【0079】
次に、これらのブレードは、所定の長さまで調整し終えた後、縫合糸線条内まで同時にスプライスさせている。この切削動作は、そのすべてが尖った端部64に向かった同じ方向を指した返しとげ67が作成されるように切削を行う。ツイスト切削多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸60を万力から外してねじりを戻した後に、縫合糸60上で返しとげ67が多重スパイラル状態で配置される。
【0080】
ここで図6Aを見ると、その全体を縫合糸70で示した本発明の別の実施例を表している。縫合糸70はツイスト切削多重スパイラル配列になっており、したがって縫合糸70が双方向型である点を除けば縫合糸60と同様である。縫合糸70は、断面が概して円形であり、且つ組織を貫通するために第1及び第2の尖った端部74、76で終わっている細長い本体72を含んでいる。端部74、76のうちの一方又はその両者は、組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。
【0081】
縫合糸70はさらに、その各々が本体72の周りで1つの多重スパイラルとなっているそれぞれ2つのスパイラル・パターンで配列させた複数の接近して離間させた返しとげ77、78を含んでいる。返しとげ77、78は、縫合糸70の概ね76mm(概ね3インチ)に相当する中央部分MP上に配置されており、縫合糸70の各端部部分EPには返しとげがない。さらに詳細には、複数の返しとげ77が多重スパイラル・パターンで配列されており、中央部分MPのうち縫合糸70の長さ方向に沿った一部分(約半分)に関してはその返しとげ77はすべて尖った端部74の方向に向いている。同様に、複数の返しとげ78が多重スパイラル・パターンで配列されており、中央部分MPのうち縫合糸70の長さ方向に沿った別の部分(概ねもう半分)に関してはその返しとげ78はすべて尖った端部76の方向に向いている。
【0082】
図6Bは、縫合糸60の図6Aの線6B−6Bに沿って切った断面図である。多重スパイラル構成となっているため、各それぞれ返しとげ77は、斑点表示で示すように、それぞれが尖った端部74(図6Bでは図示せず)からさらに遠くになっていくほど、さらに小さくなっていくように見えている。
【0083】
縫合糸70は、上で指摘したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載した切削デバイスなどの縫合糸60の場合と同じ切削装置を用いて製作されている(ただし、ブレード方向は以下のように変更される)。ツイスト切削方法を用いるには、好ましくは返しとげ77が同時に作成されるように多重スパイラル式で製作されることがあり、次いでブレードに関して方向を変更した後に、好ましくは返しとげ78が同時に作成されるように多重スパイラル式で製作されることがある。したがって切削の間に、縫合糸線条を回転させることなく静止して保持させている。
【0084】
より具体的には、縫合糸線条のうち長さが約114mm(約4.5インチ)の1セクションがねじりを受けている(縫合糸の長さ約178mm(約7インチ)にわたって39回など)。したがって、一方の端部は固定され、またもう一方の端部は把持されて39回にわたって360度の回転を受けており、したがって縫合糸線条のこのねじりを加えた部分は縫合糸線条を次いで万力内に配置させ且つ保持させたときに25.4mmあたり(1インチあたり)約8と2/3回のねじりを有することになる。
【0085】
ねじりは28回から50回実施することが好ましく、また、19回から70回までなどこれより多くの回数又は少ない回数実施されることもある。適宜、このねじりは、1インチあたり約2回から約17回までのねじり、1インチあたり約3回から約15回までのねじり、或いは1インチあたり約5回から約13回までのねじり(1インチあたりは25.4mmあたりに相当する)とすることがある。
【0086】
次に、これらのブレードは、所定の長さまで調整し終えた後、切削を行うブレードによる第1の切削動作において、縫合糸線条のねじりを加えた概ね114mm(概ね4.5インチ)セクションの中央部分MPの概ね76mm(概ね3インチ)長さの概ね半分までスプライスさせ、そのすべてが尖った端部74に向かった1つの方向に向くように返しとげ77を作成している。切削装置上に幾つのブレードが存在するか、並びに幾つの返しとげ77を希望するのかに応じて、返しとげ77のすべてを同時に切削するような1回の切削動作とすることや、縫合糸線条のある部分に所望の数の返しとげ77を切り立たせるまで切削動作を反復させることもある。
【0087】
次いで、これらのブレードを180度だけ回転させ、これによってブレードが反対方向で且つ縫合糸線条のねじりを加えた概ね114mm(概ね4.5インチ)セクションの中央部分MPの概ね76mm(概ね3インチ)長さの残りの半分上に配置されるようにする。次いで、これらのブレードは、切削を行うブレードによる第2の切削動作によってこの残りの半分までスプライスし、尖った端部76の向きと反対方向を向いた返しとげ78を作成することができる。切削装置上に幾つのブレードが存在するか、並びに幾つの返しとげ78を希望するのかに応じて、返しとげ78のすべてを同時に切削するような1回の切削動作とすることや、縫合糸線条のある部分に所望の数の返しとげ78を切り立たせるまで切削動作を反復させることもある。
【0088】
ツイスト切削多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸70を万力から外してねじりを戻したときに、第1の切削と第2の切削によって、縫合糸70の2つのそれぞれの部分上に2つのそれぞれの多重スパイラル・パターンの返しとげ77、78が得られ、その2つの部分のそれぞれによって長さが約76mm(約3インチ)の中央部分MPが規定される。
【0089】
さらに詳細には、幾つかのツイスト切削多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸は、約0.457mm(約0.018インチ)の直径を有する単一線条向けに製造させ、且つ(人工的で吸収可能な縫合糸材料である)ポリジオキサノンから紡ぎ出した。約0.457mm(約0.018インチ)の直径は、米国薬局方(USP)の規定に従って約0.35mmから約0.399mmまでの範囲にある直径を有するサイズ0の人工的で吸収可能な縫合糸と比べて、大きさが若干大きい。
【0090】
各縫合糸は、縫合糸の円周の周りに2つのそれぞれの多重スパイラル・パターンで導入された全部で78個の返しとげを包含している。この返しとげ付き縫合糸は双方向型であるため、これらの返しとげは、その39個の返しとげを縫合糸の第1の部分上に配置させた左側グループと、その39個の返しとげを縫合糸の第2の部分上に配置させた右側グループと、に分類されており、その各グループは、縫合糸の概ね中央位置から、もう一方のグループの方向と反対になっている。利用した切削装置は13枚のブレードを有するものとした。したがって、39個の返しとげからなる各グループに関しては、切削動作のそれぞれについてそのブレードをガイドを用いてずらしながら3回の切削動作(3×13=39)を行った。
【0091】
各縫合糸は長さを約178mm(約7インチ)とした。中央部分MPは、長さを約76mm(約3インチ)とすると共に、縫合糸線条内に切り立たせて78個の返しとげを含ませた。76mm(3インチ)の返しとげ形成した中央部分MPより先には、それぞれ長さが約51mm(約2インチ)の縫合糸の2つの無返しとげの端部部分EPを延び出させた。その縫合技法に応じて、返しとげ付き縫合糸の端部のうちの一方又は両者は、組織内に挿入できるように十分に尖らせ且つ硬くさせることや、直線的な又は湾曲した外科用針を備えることがある。
【0092】
ツイスト切削した178mm(7インチ)の返しとげ付き縫合糸の強度を2つの方法で試験した。その方法の1つは、Universal Testerを用いた直線引張り張力強さ試験とし、またもう1つの方法はイヌを用いたインビボ性能試験とした。
【0093】
直線引張り張力強さ計測では、Test Resources Universal Tester(Model 200Q)を用いて試験を実施した。返しとげ付き縫合糸と比較用の無返しとげの縫合糸について、各種類の縫合糸に関して実施した10回の反復計測の平均読み値を記録した。
【0094】
比較用の無返しとげの縫合糸は、人工的で吸収可能な縫合糸に関する米国薬局方のサイズ0、2−0、及び3−0と比べてそれぞれが若干大きくなっている、約0.457mm(約0.018インチ)、約0.381mm(約0.015インチ)、及び約0.292mm(約0.0115インチ)というさまざまな縫合糸直径を有するポリジオキサノンの単一線条(人工的で吸収可能な縫合糸材料)とした。人工的で吸収可能な縫合糸に関する米国薬局方の指定によれば、サイズ0は約0.35mmから約0.399mmまでの直径範囲を有しており、サイズ2−0は約0.30mmから約0.339mmまでの直径範囲を有しており、またサイズ3−0は約0.20mmから約0.249mmまでの直径範囲を有している。
【0095】
各返しとげ付き縫合糸は、2つのそれぞれのギザギザのあるあご部におけるコルク・ガスケットのパッドを用いた保持によって各端部の位置で把持し、また一方各無返しとげの縫合糸は、2つのそれぞれのキャプスタン・ローラ・グリップの周りに巻きつけることによって各端部の位置に把持させた。キャプスタン・ローラは、応力及び膨張(distension)が回避されるように無返しとげの縫合糸を保持するために使用したものである。
【0096】
各縫合糸試料のうち2つの把持位置の間にある部分は、返しとげ付き縫合糸の場合では、返しとげ形成させた中央部分の76mm(3インチ)の全体を包含するように長さが約126mm(約5インチ)とした。
【0097】
各試料は、破断が発生するまで毎分約254mm(約10インチ)の速度で長手方向に引っ張った。そのピーク荷重を直線引張り張力強さとして記録した。
【0098】
この結果を以下の表6Aに要約しており、最も右側の列は、人工的で吸収可能な材料から製作した従来の(無返しとげの)縫合糸に関するUSP結び目引っ張り試験の最小要件を示している。
【0099】
【表1】

【0100】
サイズ0のポリジオキサノン単一線条内に返しとげを切り立たせると、従来の無返しとげでサイズ0のポリジオキサノン,単一線条と比較して概ね60%だけ直線引張り張力強さが低下すること(7.03ポンド=17.72ポンドの40%)が理解できよう。
【0101】
しかし、サイズ0のポリジオキサノンの返しとげ付き縫合糸(返しとげを切り立たせたために、従来の無返しとげのサイズ0のポリジオキサノン縫合糸と比べてより小さい実効直径を有する)に関する破断時点の直線引張り張力強さの7.03ポンドはサイズ0のポリジオキサノンの従来の無返しとげ縫合糸に関する最小USP結び目引っ張り要件の8.60ポンドと比べて遜色がないものであった。
【0102】
表7K〜7Zにおいて図7A及び7Bに関連して検討するように、追加的なサイズ0のポリジオキサノンの返しとげ付き縫合糸について追加の直線引張り張力強さ試験を実施した。
【0103】
インビボ性能については、それぞれが約14kgである3頭の雑種イヌを使用した。各イヌに関して、胸郭(2箇所)、大腿部(2箇所)、わき腹、腹部正中線、及び傍正中部の位置で、その各々が1つ、2つ、又は3つの閉鎖部位を有するような7つの切開を実施した。各切開の長さは、約12.5mm(約0.5インチ)から約101mm(約4インチ)までの範囲とし、また各切開の深度は表在性の真皮から腹膜までとした。
【0104】
返しとげ付き縫合糸(そのすべてがサイズ0のポリジオキサノン単一線条から製作されている)を用いることによって、これらの部位のうちの24箇所を閉じた。比較のため、残りの部位は結び目を作ったさまざまな直径サイズをもつ従来の無返しとげの縫合糸によって閉じた(1つの部位はサイズ2−0の絹製の編組線条により、6つの部位はサイズ2−0のナイロン単一線条により、また7つの部位はサイズ3−0のポリジオキサノン単一線条によった)。これらの部位の閉鎖のすべては、無作為方式に従って実施した。
【0105】
これらのイヌは毎日監視すると共に、14日で安楽死させた。死亡の時点で、これらの切開は肉眼的に評価した。さまざまな組織、切開サイズ、及びイヌの上の箇所に関して、サイズ0のポリジオキサノンの返しとげ付き縫合糸によって対置させたすべての部位は閉じたままであり、また14日の観察期間全体を通じて通常に治癒しているように見えた。離開(dehiscence)は全く生じなかった。
【0106】
従来の無返しとげの絹製の縫合糸によって対置させた部位、並びに従来の無返しとげのポリジオキサノン縫合糸によって対置させた部位も、合併症を生じることなく治癒した。離開は全く生じなかった。
【0107】
サイズ2−0のナイロン製で単一線条の従来の無返しとげの縫合糸を用いて閉じられた6つの局部的な皮膚部位に関して、3つの部位では、イヌによる自傷と見られる部分的な又は完全な縫合糸の損失が示された。従来の縫合糸にある結び目は、局所的圧力を生成させるために不快を生じさせた可能性があり、また動物にとっては縫合糸はどのように扱うべきでないかを理解できないものである。したがって、返しとげ付き縫合糸は、動物が縫合糸をいじって引っ張り出すという問題を未然に防ぐのに役立つ。
【0108】
要約すると、サイズ0のポリジオキサノンの返しとげ付き縫合糸のインビボ性能は、サイズ2−0の絹製の編組線条無返しとげの縫合糸、サイズ2−0のナイロン製単一線条無返しとげの縫合糸、及びサイズ3−0のポリジオキサノン単一線条無返しとげの縫合糸と比較した場合、有効であった。
【0109】
双方向型のツイスト切削の多重スパイラル縫合糸70に関する代替的な一実施例(図示せず)では、縫合糸70のうち返しとげ77をその上に配置させる部分は尖った端部76の方向に向いた返しとげ77を有しており、また縫合糸70のうち返しとげ78をその上に配置させる部分は尖った端部74の方向に向いた返しとげ78を有している。この変形形態では、その返しとげ付き縫合糸は、上で指摘したRuffに対する米国特許第5342376号のデバイスなどの挿入デバイスを用いて組織内に挿入されることになる。さらに所望であれば、一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分ともう一方の端部を向いた返しとげを有する1つの部分とが存在する、又は、一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分ともう一方の端部を向いた返しとげを有する2つの部分とが存在する、等々(図示せず)のように返しとげを切り立たせることがあること、またしたがって、返しとげの一部分が当該返しとげが隣接している縫合糸端部の方向を向いていない場合は、その返しとげ付き縫合糸は挿入デバイスを用いて組織内に挿入されることになること、に留意されたい。
【0110】
ツイスト切削の多重スパイラル配列を有する返しとげ付き縫合糸の利点の1つは、こうした返しとげ付き縫合糸が120度離間させた返しとげ付き縫合糸と比較してより良好な傷口保持能力を提供できることである。この理由は、ツイスト切削の多重スパイラル・パターンによって、その縫合糸が組織内にあるときの引き留めの改善を提供する傾向がある後続及び先行するグループ・返しとげを補完する返しとげのグループが得られためである。この特徴は、別のタイプの組織と比べて結合性繊維がより少ないためより大きな縫合糸保持力が望ましい脂肪組織などの組織において特に有用である。
【0111】
ここで図7Aを参照すると、返しとげ付き縫合糸80の断面側面図を表している。返しとげ付き縫合糸80は、概して円形の断面の細長い縫合糸本体82上に複数の接近して離間させた返しとげ81を有している。各返しとげ81は返しとげ先端85を有している。縫合糸の長手方向軸A、縫合糸直径SD、返しとげ長さL、返しとげ切削深度D、返しとげ切削角度θ、切削距離P、スパイラル角α、カットアウト窪みCD、及びカットアウト窪みCDの先端Tを図示している。
【0112】
図7Bは、図7Aに示したのと同様の断面側面図であるが、返しとげ81同士の切削距離Pを計測するために返しとげが整列するように回転させ且つ留められている。
【0113】
返しとげ付き縫合糸80は、図6Aの縫合糸70と同様にツイスト切削で多重スパイラルの双方向型の返しとげ付き縫合糸であるが、縫合糸長手方向の軸A、縫合糸直径SD、返しとげ長さL、返しとげ切削深度D、返しとげ切削角度θ、切削距離P、スパイラル角α、カットアウト窪みCD、及びカットアウト窪みCDの末端Tに関する返しとげ81の構成についてより詳細に示すために拡大部分として図示している。
【0114】
より具体的には、幾つかのツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸は、ポリジオキサノンから紡ぎ出されており、且つ約0.457mm(約0.018インチであり、サイズ0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい)の直径を有する単一線条から製造した。各縫合糸には縫合糸の円周の周りに2つの個別の多重スパイラル・パターンで導入して78個の返しとげを含めた。返しとげは双方向型としたため、これらの返しとげは、39個の返しとげを備えた左側グループと、39個の返しとげを備えた右側グループと、に分割し、各グループが縫合糸のほぼ中央からもう一方のグループの方向と反対方向になるようにした。各縫合糸は長さが約178mm(約7インチ)である。この中央部分は縫合糸のうちの約76mm(約3インチ)に相当すると共に、縫合糸線条内に切り立たせた78個の返しとげを含ませた。76mm(3インチ)の返しとげ形成させた中央部分を過ぎて縫合糸の各端部の方向に向かって、縫合糸線条のうち長さがそれぞれ約51mm(約2インチ)の2つの無返しとげの端部部分を延ばした。その縫い合せ技法に応じて、返しとげ付き縫合糸の端部のうちの一方又は両者は、組織内に挿入できるように十分に尖らせ且つ硬くすることや、直線状又は湾曲した針を備えることがある。
【0115】
返しとげ81の構成を特徴付けるために、リングとバックライト照明を備えたOptem Zoom 100カスタム顕微鏡をCCDブランドのビデオ・カメラと一緒に使用し、左側と右側のグループのそれぞれから選択した返しとげ81を倍率×21.5で計測した。
【0116】
その平均値は、切削角度θと切削深度Dのそれぞれに関して実施した10回の反復計測(そのうちの5回は左側の返しとげ・グループから、またそのうちの5回は同じ縫合糸の右側の返しとげ・グループからの計測)から計算した。返しとげ切削角度θは、その切削の表面から返しとげ付き縫合糸80の外側表面までで計測した。返しとげ切削深度Dは、返しとげ付き縫合糸80の外側表面から返しとげ付き縫合糸80の長手方向の軸Aの方向に向かった垂線に沿って計測した。これらの計測によって、次式を用いた切削長さLの計算が可能となった。
【0117】
【数1】

【0118】
さらにスパイラルの角度αは、さまざまな返しとげ付き縫合糸80に関して以下のように顕微鏡的に計測した。返しとげ81の切削中にねじりを加えた縫合糸線条を万力によって把持した際に、万力によって縫合糸線条上に刻みつけられた線Mとして示した極めて軽微なマークが残される。したがって、ねじりを加えた縫合糸線条を万力内に保持させている間は、線Mが万力の長手方向の軸と平行となる。万力が縫合糸線条上にこの軽微なマークを残さない場合は、2つの後続の返しとげ81を切り立たせたために縫合糸本体82内に残された2つの後続のカットアウト窪みCDの2つのそれぞれの末端Tを結んだ線と平行であることによって線Mの決定が可能である。返しとげ81を切削した後、返しとげ付き縫合糸80を万力から外してねじりを戻し縫合糸80がフリーの状態になったときに、線Mは縫合糸本体82上で返しとげ付き縫合糸80の周りにスパイラルを描き、スパイラルの角度αが形成される。
【0119】
具体的にスパイラル角αの計測では、Optem Zoom 100カスタム顕微鏡を、リングライト照明を60に、且つバックライト照明を粗調整12と微調整10に設定した。さらに、イメージング解析システム・ソフトウェアを使用した。次いで、返しとげ付き縫合糸の外側表面と線Mとの間でスパイラル角αを計測した。その平均値は、10回の反復計測(そのうちの5回は左側の返しとげ・グループ、またそのうちの5回は同じ縫合糸の右側の返しとげ・グループの計測)について計算した。
【0120】
次いで、返しとげ付き縫合糸80は、縫合糸80の一方の端部を固定位置にクランプした状態でねじり付与デバイス内に装着した。縫合糸80のもう一方の端部は、返しとげ81が整列するまでねじりが挿入されるように回転させた。次に返しとげ付き縫合糸80に関して、2つの隣接する返しとげ81の間の長手方向の切削距離Pを、2つの後続の返しとげ81を切り立たせたために縫合糸本体82内に残された2つの後続のカットアウト窪みCDの2つのそれぞれの末端T間で顕微鏡的に計測した。その平均値は、10回の反復計測(そのうちの5回は左側の返しとげ・グループ、またそのうちの5回は同じ縫合糸の右側の返しとげ・グループの計測)について計算した。
【0121】
これらの結果を以下の表7A、7B、7C、及び7Dに要約している。
【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
【表5】

【0126】
さらに、約0.457mm(約0.018インチであり、サイズ0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい)の直径を有する幾つかの追加的な双方向型のツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸に関して、角度αの数回の追加の計測を実施した。その平均値は16.87であり、またその標準偏差は±0.85であった。
【0127】
さらに、返しとげ切削角度θ、返しとげ長さL、返しとげ切削深度D、及び切削距離Pの計測を、約0.292mm(約0.0115インチであり、これはサイズ3−0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい)の直径を有する縫合糸80などの3つの追加的な双方向型のツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸に関して実施し、且つスパイラル角αに関する計測を、この3つの追加的な返しとげ付き縫合糸のうちの2つに関して実施した。さらに、返しとげ切削角度θ、返しとげ長さL、返しとげ切削深度D、切削距離P、及びスパイラル角αの計測を、約0.381mm(約0.015インチであり、サイズ2−0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい)の直径を有する縫合糸80などの3つの追加的な双方向型のツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸に関して実施した。これらの結果を以下の表7E、7F、7G、7H、7I、及び7Jに要約している。
【0128】
【表6】

【0129】
【表7】

【0130】
【表8】

【0131】
【表9】

【0132】
【表10】

【0133】
【表11】

【0134】
上述の試験対象返しとげ付き縫合糸と同様であるがポリジオキサノンから紡ぎ出されており、且つ約0.457mm(約0.018インチであり、サイズ0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい)の直径を有する単一線条から製作された、幾つかの別のツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸に関して追加的な計測を実施した、ただし、これら別の返しとげ付き縫合糸は、異なる切削装置(すなわち、切削行程間でねじりを加えた線条に沿って長手方向に移動を受けていると共に、返しとげの切り立たせのためにさまざまな切削を行うようにコンピュータを用いて制御を受ける1つのブレードを備えた装置)を用いて切削した。これら別の返しとげ付き縫合糸はさらに、直線引張り張力強さ及びセーム布閉鎖強度に関しても試験した。(セーム布閉鎖強度の実施方法に関する検討については、図13A及び13Bに関連して以下で見ることができる)。これら別の返しとげ付き縫合糸に関する結果については、以下の表7K〜7Zに要約している。
【0135】
【表12】

【0136】
【表13】

【0137】
【表14】

【0138】
【表15】

【0139】
【表16】

【0140】
【表17】

【0141】
【表18】

【0142】
【表19】

【0143】
【表20】

【0144】
【表21】

【0145】
【表22】

【0146】
【表23】

【0147】
【表24】

【0148】
【表25】

【0149】
【表26】

【0150】
【表27】

【0151】
上で指摘した計測のすべては双方向型のツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸に関して実施したが、返しとげ長さL、返しとげ切削深度D、返しとげ切削角度θ、及び/又は切削距離Pに関する計測の以下で指摘する望ましい範囲は、本明細書に記載した発明したさまざまな別の返しとげ付き縫合糸についても同じとすべきである。
【0152】
返しとげ付き縫合糸直径SDに対する切削長さLの適当な比は、約0.2から約2までの範囲であり、さらに好ましくは約0.4から約1.7までの範囲であり、またさらに好ましくは約0.8から約1.5までの範囲である。しかし、非常に適した返しとげ付き縫合糸では、約1から約0.2までの返しとげ付き縫合糸直径SDに対する切削長さLの比を有することがあり、このため、縫合糸直径SDに対する可能な最も高い返しとげ挙上(返しとげ先端85の縫合糸本体82から上への挙上)はこれに対応して約1から約0.2までの範囲となる。(この可能な最も高い返しとげ挙上は返しとげ長さLと同じである)。さらに、返しとげ付き縫合糸直径SDに対する切削深度Dの適当な比は約0.05から約0.6までの範囲であり、さらに好ましくは約0.1から約0.55までの範囲であり、また、さらに好ましくは約0.2から約0.5までの範囲である。
【0153】
しかしながら、長さLは最終の使用目的に応じてさまざまとすることが望ましい(より大きな返しとげの方が脂肪組織や軟部組織のある種の組織タイプを結合させるのにより適しており、他方より小さい返しとげの方が繊維組織などの別のタイプの組織を結合させるのにより適しているためである)。図11に関して以下でより詳細に検討するように、同じ縫合糸上に大型の返しとげ、中型の返しとげ及び/又は小型返しとげを組み合わせて配置させた返しとげ構成が望ましいようなケース(例えば、異なる層構造を有する組織に関して返しとげ付き縫合糸を利用する場合)も存在する。
【0154】
返しとげと細長い縫合糸本体との間に形成される切削角度θは、約140度から約175度までの範囲であることが望ましく、また約145度から約173度までの範囲とすることがさらに好ましい。すべての返しとげに関して最も好ましい切削角度θは約150°から約170°までの範囲である。
【0155】
例えば、サイズ0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい直径が約0.457mm(約0.018インチ)のポリジオキサノンの返しとげ付き縫合糸では、その好ましい返しとげ長さLは0.45mmとなり、その好ましい返しとげ深度Dは0.2mmとなり、且つその好ましい返しとげ切削角度は153度となる。
【0156】
2つの任意の返しとげ間での長手方向の離間は一般に、縫合糸に沿ってできるだけ多くの返しとげを作成するという目標に沿って実施されており、またこの長手方向の離間は返しとげ付き縫合糸が安定性を維持しながら組織を引き留めさせる能力に関する1つのファクターとなっている。返しとげがより離れるように離間させると、組織引き留め能力が低下する。しかしながら、返しとげがより接近するような離間にすると、線条の保全性が損なわれることがあり、これによって返しとげのめくれが戻される傾向を生じ、さらに縫合糸の引張り強さが低下することにつながる可能性がある。
【0157】
一般に、返しとげ付き縫合糸直径SDに対する切削距離Pの適当な比は、約0.1から約6までの範囲であり、さらに好ましくは約0.5から約4.5までの範囲であり、また、さらに好ましくは約1.0から約3.5までの範囲である。非常に適した返しとげ付き縫合糸は、その有する返しとげ付き縫合糸直径SDに対する切削距離Pの比が約1.5から約0.2までに及ぶことがあり、これにより切削距離Pは(重複式返しとげの実施例に関しては特に)約0.1程度となることがある(これについては、図12A、12B、12C、及び12Dに関連して以下でさらに詳細に検討することにする)。
【0158】
さらに、ツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸に関する線Mと細長い縫合糸本体の長手方向との間のスパイラル角αは、典型的には、約5度から約25度までの範囲となり、またさらに好ましくは約7度から約21度までの範囲となる。ツイスト切削で多重スパイラルの返しとげ付き縫合糸に関するすべての返しとげに対する最も好ましい角度αは約10°から約18°までである。
【0159】
ここで図8を見ると、本発明の別の実施例である縫合糸90を表している。縫合糸90は、断面が概して円形の細長い本体92を含んでいる。細長い本体92は組織を貫通するために第1及び第2の尖った端部94、96で終わっている。端部94、96のうちの一方又は両者は、組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。さらに、縫合糸90はランダム配列で配列させた複数の接近して離間させた返しとげ97を含んでいる。
【0160】
縫合糸90は、上述したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、上で検討した縫合糸の場合と同じ切削装置を用いて製作されることがある。180度配列(縫合糸1、10)、120度配列(縫合糸30、40)、及び/又はツイスト切削で多重スパイラルの配列(縫合糸60、70、80)を製作するための上述の方法を組み合わせることによって、極めてランダムな返しとげ配列を有する返しとげ付き縫合糸90が得られる。このランダム配列の利点は、その数多くの返しとげ角度によって組織に対する優れた引き留めを提供できると共に、これにより優れた傷口保持特性を提供できることである。ランダム配列では、その返しとげ付き縫合糸は、上で指摘したRuffに対する米国特許第5342376号に示されたデバイスなどの挿入デバイスを用いて組織内に挿入されることになる。
【0161】
図9では、本発明の別の実施例である返しとげ付き縫合糸100の断面側面図を表している。縫合糸100は概して円形の断面をもつ細長い縫合糸本体102を含んでいる。さらに、縫合糸本体102は、複数の接近して離間させた返しとげ107をその上に配置して有している。各返しとげ107は、返しとげ下面108がギザギザ又は波形となるような返しとげ構成を有している。縫合糸端部(図示せず)のうちの1つ又は両者は組織を貫通させるために尖らせており、また1つ又は両者は組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。
【0162】
縫合糸100は、上述したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど上で検討した縫合糸の場合と同じ切削装置を用いて製作されることがある。ギザギザの下面108を有する返しとげ107は、単一線条の本体の中に返しとげを切り立たせるときに切削デバイスの切削ブレードを動揺又は振動させることによって達成される。本明細書に記載している本発明の返しとげ付き縫合糸は何れも、ギザギザの又は波形の下面を含んだ構成をもつ返しとげを有することができるように意図している。
【0163】
ここで図10A及び10Bを参照すると、本発明の別の実施例である返しとげ付き縫合糸110について、図10Aでは斜視図で、また図10Bでは上面図で表している。縫合糸110は概して円形の断面を有する細長い縫合糸本体112を含んでいる。さらに、縫合糸本体112は返しとげ先端117(簡明とするため返しとげ115を1つだけ図示した)を有する複数の接近して離間させた返しとげ115をその上に配置して有している。返しとげ115は、返しとげ115が縫合糸本体112に取り付けられている場所である弓形の基部119を備えた構成を有している。縫合糸端部(図示せず)のうちの1つ又は両者は組織を貫通させるために尖らせており、また1つ又は両者は組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。
【0164】
図10C及び10Dは、それぞれの図10Bの線10C−10C及び線10D−10Dに沿って切った断面図である。図10C及び10Dによってさらに、基部119から先端117の方に行くほど返しとげ115がより薄くなっていることが分かる。
【0165】
縫合糸110は、上述したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、上で検討した縫合糸の場合と同じ切削装置を用いて製作されることがある。弓形の基部119を有する返しとげ115を実現するには、その切削デバイスに弓形の基部119に対する対応した弓形をした端部を有する切削ブレードを備えさせている。
【0166】
本明細書に記載している本発明の返しとげ付き縫合糸は何れも、弓形の基部を含んだ構成を備えた返しとげを有することができるように意図している。この弓形の基部では、平坦で直線的な基部の場合と比較して組織引き留めが強化されることになる。しかしながら、その基部を、円錐形の返しとげから得られるような、円形や長円形とすることは、組織引き留めが低下する可能性があるため望ましくない。
【0167】
図11には、本発明の別の実施例でありその全体を番号120で示す返しとげ付き縫合糸の断面側面図を表している。縫合糸120は断面が概して円形である細長い本体122を含んでいる。細長い本体122は端部124で終わっている。端部124は組織を貫通させるために尖らせており、また端部124は組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。(もう一方の端部は図示していないが、同じく組織を貫通させるために尖らせることがあると共に、組織を貫通するために外科用針を備えることがある)。
【0168】
さらに、縫合糸120は複数の接近して離間させた返しとげ125と、複数の接近して離間させた返しとげ127と、複数の接近して離間させた返しとげ129と、を含んでいる。返しとげ125は、返しとげ127と比較して比較的小さいサイズで比較的短い返しとげ長さを有しており、また返しとげ127は返しとげ129と比較して比較的中間的なサイズで比較的中間的な返しとげ長さを有しており、また返しとげ129は比較的大きなサイズで比較的長い返しとげ長さを有している。
【0169】
縫合糸120は、上で指摘したGenovaらに対する出願第09/943733号に記載された切削デバイスなど、上述の縫合糸の製作の場合と同じ切削装置を用いて製作されることがある。切削中における縫合糸線条内へのブレードの移動量を変更することによって、さまざまな外科的用途向けに可変のサイズを設計する場合に、所望によりその返しとげ切削長さをより長くしたりより短くしたりして、互いにサイズが異なる返しとげ125、127、及び129からなる3つの組のそれぞれが得られる。この返しとげ・サイズはまた横断方向にもさまざまな値とすることがあり、これにより返しとげの基部は短いか、中間的か、又は長くすることがあるが、返しとげ基部は典型的には縫合糸直径の約1/4未満である。
【0170】
例えば、脂肪や軟部組織を結合させるには比較的より大きい返しとげが望ましく、また繊維組織を結合させるには比較的より小さい返しとげが望ましい。同じ縫合糸上で大きな返しとげ、中間的な返しとげ及び/又は小さい返しとげを組み合わせて使用すると、各組織の層に合わせて返しとげ・サイズをカスタマイズする際に確実に最大引き留め特性を得るのに役立つ。縫合糸本体122内にサイズが異なる返しとげ(図示せず)の組を2つだけ切り立たせることがあり、或いはその最終の使用目的に応じて所望により、返しとげ125、127、及び129の組について図示したように3つのサイズを超える4種類、5種類、6種類、或いはこれを超えるさまざまなサイズの組をもつ追加的な返しとげ組(図示せず)を縫合糸本体122内に切り立たせることもある。さらに、縫合糸120は返しとげが単一指向性であるように図示しているが、本発明に従った可変のサイズの構成を有する返しとげを備えた返しとげ付き縫合糸はさらに、双方向型の返しとげ付き縫合糸やランダムな返しとげ付き縫合糸、或いは本明細書に記載した別の発明した返しとげ付き縫合糸のうちの任意のものとすることができるように意図している。
【0171】
図12Aは、概して円形の断面をもつ細長い本体132を有する返しとげ付き縫合糸130を表している本発明の別の実施例の斜視図である。縫合糸端部(図示せず)のうちの1つ又は両者は組織を貫通させるために尖らせており、また端部のうちの一方又は両者は組織内に挿入するために1つの外科用針(図示せず)を備えることがあることが企図される。
【0172】
縫合糸130はさらに、本体132から突き出ている複数の返しとげ135を含んでおり、その少なくとも2つの長手方向で隣接する第1及び第2の返しとげ135は、第1及び第2の返しとげ135が(また容易に明らかなようにこれらの返しとげ135が)本体132上に平坦に置かれると、その第1の返しとげ135はその第2の返しとげ135と重なり合った状態で本体132上に配置される。
【0173】
図12Bは、図12Aの重複配列の返しとげ付き縫合糸130の重複した返しとげ135の一部分の斜視図であり、また図12Cは図12Bの上面平面図である。図12Dは、図12Cの線12D−12Dに沿って切った断面図である。図12B、12C、及び12Dからさらに明瞭に理解できるように、返しとげ135を切り立たせる間に、上に重なっている第1の返しとげ135は重なりを受けている第2の返しとげ135の上面TSの一部となるように切り立てられ、以下同様となる。重なりを受けている第2の返しとげ135の上面TSの一部は上に重なっている第1の返しとげ135下面USの一部となる。
【0174】
したがって、重複配列では、第1の返しとげ135と第2の返しとげ135の間の返しとげ切削距離は重なりを受けている第2の返しとげ135の返しとげ切削長さと比べてより短いことがあり、他方返しとげ付き縫合糸では一般に、2つの返しとげ間の返しとげ切削距離≧返しとげ切削長さ、である。特に重複式返しとげ配列では、非常に適した返しとげ付き縫合糸はその有する返しとげ付き縫合糸直径に対する返しとげ切削距離の比が、返しとげ切削距離Pは約0.1程度であることがあるため約1.5から約0.2までであることがある。(返しとげ切削長さ及び返しとげ切削距離に関する説明については図7の検討を参照されたい)。この重複配列によって、本体132上で多数の返しとげ135を接近して密集させることが可能となり、また典型的には、2つの返しとげ間の返しとげ切削距離≧返しとげ切削長さ、である場合と比較して返しとげ135は薄くなる。
【0175】
さらに、縫合糸130はその返しとげ135が単一指向性であるように図示しているが、本発明による縫合糸130が本明細書に記載したような双方向性返しとげ付き縫合糸とすることもできることを含むように意図している。
【0176】
図13A、13B、13C、及び13Dは、各外科用針に返しとげ付き縫合糸が取り付けられるようなさまざまな外科用針を表している。組織内への挿入を容易にするため、これらの外科用針は、例えば、Grangerらに対する米国特許第5258013号に関連して上述のように、ポリマーによってコーティングされている。
【0177】
図13Aは長手方向で直線的な細長い針であると共に断面が概して円形である外科用針N1を表している。外科用針N1は組織内に挿入するために尖った先端T1を有しており、またさらに穴H1を有している。外科用針N1は、返しとげ付き縫合糸S1に対して、スウェージングなどによって取り付けられるように図示している。返しとげ付き縫合糸S1は、上述の返しとげ付き縫合糸の何れか(ただし、これに限らない)を含む返しとげ付き縫合糸である。さらに、外科用針N1は横断方向で直径D1を有しており、これを約0.51mm(約0.02インチ)などの比較的細い直径であるとして図示している。スウェージングに関連して上で検討したように、外科用針N1は、縫合糸S1を穴H1に挿入した後、標準的な手順によって穴H1の周りでかしめて組織の縫合のために縫合糸S1を適所に保持させることがある。
【0178】
図13Bは長手方向で直線的な細長い針であると共に断面が概して円形である外科用針N2を表している。外科用針N2は組織内に挿入するために尖った先端T2を有しており、またさらに穴H2を有している。外科用針N2は、返しとげ付き縫合糸S2に対して、スウェージングなどによって取り付けられるように図示している。返しとげ付き縫合糸S2は、上述の返しとげ付き縫合糸の何れか(ただし、これに限らない)を含む返しとげ付き縫合糸である。さらに、外科用針N2は横断方向で直径D2を有しており、これを約0.81mm(約0.032インチ)などの適度に細い直径であるが外科用針N1の直径D1ほどは細くないものとして図示している。スウェージングに関連して上で検討したように、外科用針N2は、縫合糸S2を穴H2に挿入した後、標準的な手順によって穴H2の周りでかしめて組織の縫合で使用するために縫合糸S2を適所に保持させることがある。
【0179】
図13Cは長手方向で湾曲した細長い針であると共に断面が概して円形である外科用針N3を表している。外科用針N3は組織内に挿入するために尖った先端T3を有しており、またさらに穴H3を有している。外科用針N3は、返しとげ付き縫合糸S3に対して、スウェージングなどによって取り付けられるように図示している。返しとげ付き縫合糸S3は、上述の返しとげ付き縫合糸の何れか(ただし、これに限らない)を含む返しとげ付き縫合糸である。さらに、外科用針N3は横断方向で直径D3を有しており、これを約0.51mm(約0.02インチ)などの比較的細い直径であるとして図示している。スウェージングに関連して上で検討したように、外科用針N3は、縫合糸S3を穴H3に挿入した後、標準的な手順によって穴H3の周りでかしめて組織の縫合で使用するために縫合糸S3を適所に保持させることがある。
【0180】
図13Dは長手方向で湾曲した細長い針であると共に断面が概して円形である外科用針N4を表している。外科用針N4は組織内に挿入するために尖った先端T4を有しており、またさらに穴H4を有している。外科用針N4は、返しとげ付き縫合糸S4に対して、スウェージングなどによって取り付けられるように図示している。返しとげ付き縫合糸S4は、上述の返しとげ付き縫合糸の何れか(ただし、これに限らない)を含む返しとげ付き縫合糸である。さらに、外科用針N4は横断方向で直径D4を有しており、これを約0.81mm(約0.032インチ)などの適度に細い直径であるが外科用針N3の直径D3ほどは細くないものとして図示している。スウェージングに関連して上で検討したように、外科用針N4は、縫合糸S4を穴H4に挿入した後、標準的な手順によって穴H4の周りでかしめて組織の縫合で使用するために縫合糸S4を適所に保持させることがある。
【0181】
針先端T1、T2、T3及びT4は、尖っているように図示しているが、よく知られているように、外科用針はテーパ型尖頭、テーパ型カット、ボール尖頭、切り込み(cutting edge)、ダイヤモンド尖頭、細線、及びランセット尖頭などさまざまな種類の尖った先端を備えており、また、こうした針先端のすべて(ただし、これに限らない)を含むように意図している。返しとげ付き縫合糸と共に使用する外科用針に関しては、テーパ型尖頭、テーパ型カット、及びダイヤモンド尖頭が好ましい針先端である。
【0182】
当技術分野でよく知られているように、従来の縫合糸(すなわち、無返しとげの縫合糸)と共に使用される外科用針の針直径は、重要ではないと考えられており、また細い従来の縫合糸と一緒に極めて太い外科用針が使用され、従来の縫合糸直径に対する外科用針直径の比は4:1、或いは4.43:1などこれよりさらに大きくすることが多い。
【0183】
しかし、本発明の外科用針/返しとげ付き縫合糸の組み合わせ(直線的な針又は湾曲した針の何れか)に関しては、その外科用針がより細いほど、針直径がその返しとげ付き縫合糸直径に近づくほどさらに細くなっていくような所望の針直径を有する外科用針/返しとげ付き縫合糸がより好ましくなると共に、この針直径は細い返しとげ付き縫合糸直径と比べてさらに細くすることが可能となる。
【0184】
本発明では一般に、傷口を縫い合せて閉じる際に組織を接近させるためには、比較的太い外科用針を返しとげ付き縫合糸に通すのと比べて、比較的細い外科用針を返しとげ付き縫合糸に取り付ける方がより好ましい。その理由は、比較的細い外科用針を返しとげ付き縫合糸に取り付けると、組織内での返しとげのかみ合いを大きくすることができ、またしたがって、比較的太い外科用針を用いて縫合し終えた接近させた組織に対して与えられる閉鎖強度と比較した場合に、閉じた傷口の相対する面が引き離されるのを防止するように縫合し終えた接近させた組織に対してより適正な閉鎖強度を提供することができる。
【0185】
外科用針を返しとげ付き縫合糸に取り付ける組み合わせの最も重要な特徴は、その端部にドリル加工などによって穴又はチャンネルをつくるためにその外科用針直径を十分な幅とさせ、これによってこの穴又はチャンネル内への返しとげ付き縫合糸の挿入を可能とさせるべきであることにある。しかしながら、返しとげ付き縫合糸直径に対する外科用針直径の比が約3:1以下である限りにおいて、外科用針の直径を増大させると外科用針はさらに適当となる。
【0186】
したがって、直線的な針又は湾曲した針の何れかに関する返しとげ付き縫合糸直径に対する外科用針直径の望ましい比は約3:1以下であり、さらに好ましくは約2:1以下であり、最も好ましくは約1.8:1以下である。さらに、特にチャンネル針を利用する場合、返しとげ付き縫合糸直径に対する外科用針直径の比は約1:1以下程度、或いはこれよりさらに小さい(例えば、約0.9:1以下や約0.8:1以下、或いは約0.5:1程度とする)ことがある。当業者であれば、極めて細い針では組織挿入を損なう可能性があるような局所的な弱さを改善するように注意すべきであることを理解されよう。
【0187】
その何れもが本発明に適した返しとげ付き縫合糸直径に対する外科用針直径の比を有する、細い外科用針の閉鎖強度について以下のように試験をした。
【0188】
約32mm(約1.25インチ)の長さを有する傷口について、約15.2mm(0.6インチ)の厚さを有するさまざまなセーム皮片(U.S.Chamois(Florida州)による製造)を切削した。
【0189】
第1の試料は、返しとげ付き縫合糸と一緒にスウェージングさせたドリル加工端部の外科用針(Sulzle Companyから購入した品番382077A)を用いて傷口のそれぞれの縁を一緒に縫い合せることによってセーム皮片から製作した。換言すると、針穴内への返しとげ付き縫合糸の挿入後に、穴の周りでこの針をかしめ、縫い合せ中に返しとげ付き縫合糸を確保する。傷口を縫い合せて閉じた後、このセーム皮片は、縫い合せ傷口がその長さの中間にあり且つその幅を横断するようにして、長さが約76mm(約3インチ)で幅が約32mm(約1.25インチ)の矩形の形状まで切削させた。この針は、約22mmの長さと約0.51mm(約0.020インチ)の比較的細い直径とを有するテーパ尖頭の湾曲した外科用針(円の3/8)とした。
【0190】
次いで、同じ縫い合せ方法を使用し、同じ種類の返しとげ付き縫合糸と一緒にスウェージングさせたドリル加工端部の外科用針(Sulzle Companyから購入した品番383271A)を用いて傷口のそれぞれの縁を一緒に縫い合せる(すなわち、返しとげ付き縫合糸を穴の中に挿入した後に針穴の周りでこの外科用針をかしめ縫い合せ中に返しとげ付き縫合糸を確保する)ことによって、第2の試料を別のセーム皮片から製作した。第2の試料に関しては、その針は、約22mmの長さと約0.81mm(約0.032インチ)の適当な細い直径(ただし、第1の試料に対して使用した針の直径ほど細くない)とを有するテーパ尖頭の湾曲した外科用針(円の3/8)とした。
【0191】
各試料に対する各返しとげ付き縫合糸は、各返しとげ付き縫合糸が約0.457mm(約0.018インチ)の縫合糸直径ではなく直径が約0.291mm(約0.0115インチであり、サイズ3−0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい)である点を除けば図6Aの縫合糸70と同様の双方向型のツイスト切削で多重スパイラルのポリジオキサノンの返しとげ付き縫合糸とした。
【0192】
縫い合せたセーム布に関する第1の試料と第2の試料の両者についてTest Resources Universal Tester(Model 200Q)を用いて閉鎖強度を試験した。各試料はそれぞれのギザギザの2つのあご部によって把持させた。次いで、各試料を、完全に破裂するまで毎分約254mm(毎分約10インチ)の速度で長手方向に引っ張った。傷口の完全な分断が閉鎖強度として記録される前に、ポンドを単位としたピーク荷重に到達した。この結果、第1の試料(約0.020インチ、約0.51mmの比較的細い直径を有する針を用いて縫合した)は傷口の分断が生じてその試料が元の2つの部分に引き離されるまで5.88ポンドを受けており、他方第2の試料(約0.032インチ、約0.81mmの適度に細い直径であるが第1の試料の針ほどは細くない直径を有する針を用いて縫合した)は傷口の分断が生じてその試料が元の2つの部分に引き離されるまでわずか2.88ポンドしか受けなかった。
【0193】
この結果を以下の表13Aに要約している。
【0194】
【表28】

【0195】
さらに、ラットの皮膚のさまざまな細片を切削して縫い合せ、返しとげ付き縫合糸を一緒にスウェージングしたより多くの外科用針について以下のようにして試験した。
【0196】
殺したばかりの、体重がそれぞれ約600〜700gの3匹のSprague−Dawleyラットを使用した。傷口を作成するために各ラットの背面上に、2つの全厚的な皮膚切開を実施した。各傷口は長さが約4cmであり脊椎と平行とした。
【0197】
各ラットにおいて、2つの傷口のうちの一方は、3/8円であるSulzle品番382273Aとしたドリル加工端部の湾曲した外科用針を用いて閉じた。この針は長さを18mmとし、且つ直径を約0.56mm(約0.022インチ)とした。さらに、この針はテーパ尖頭の針先端を備えさせた。その針先端は、ラット組織の貫通が容易となるようなテーパ付き切削針先端を近似するために3ファセット切削となるまで研磨されるようにした。この針は返しとげ付き縫合糸に対してスウェージングさせた。
【0198】
この2つの傷口のうちのもう一方は、同じ縫合技法であるが、3/8円であるSulzle品番832679Aとしたドリル加工端部の湾曲した外科用針を用いて閉じた。この針は長さを約18mmとし、且つ直径を約0.66mm(約0.026インチ)とした。さらに、この針はダイヤモンド尖頭の針先端を備えさせた。この針は返しとげ付き縫合糸に対してスウェージングさせた。
【0199】
各試料の各返しとげ付き縫合糸は、各返しとげ付き縫合糸が、約0.457mm(約0.018インチ)の縫合糸直径ではなく約0.381mm(約0.015インチであり、サイズ2−0の人工的で吸収可能な縫合糸に関するUSP要件と比べて若干大きい)の直径を有する点を除けば図6Aの縫合糸70と同様の双方向型のツイスト切削で多重スパイラルのポリジオキサノンの返しとげ付き縫合糸とした。
【0200】
縫い合せた各傷口について、計測寸法が概ね約4cm×約4cmの正方形をした組織試料を、その縫い合せ傷口が中間で2つの相対する組織縁と並行するような状態で取り出して閉鎖強度試験を行った。
【0201】
各傷口を広げるための力は、Test Resources Universal Tester(Model 200Q)を用いて決定した。各組織試料について、各縫い合せ傷口と並行した2つの縁をこのテスターの2つのそれぞれのギザギザのあご部内に装着させた。
【0202】
次いで、各試料を、完全な破裂が生じるまで毎分約51mm(毎分約2インチ)の速度で長手方向に引っ張った。傷口の完全な分断が生ずる前に発生した最大の力を閉鎖強度として記録した。
【0203】
この結果を、約0.56mm(約0.022インチ)の直径を有すると共に返しとげ付き縫合糸に対してスウェージングさせた針を用いて閉じた第1組の3つの傷口から平均化した。さらに、この結果は、約0.66mm(約0.026インチ)の直径を有すると共に返しとげ付き縫合糸に対してスウェージングさせた針を用いて閉じた第2組の3つの傷口から平均化した。
【0204】
これらの結果を以下の表13Bに要約している。
【0205】
【表29】

【0206】
したがって、返しとげ付き縫合糸直径に対する外科用針直径の比が小さいほど、返しとげ付き縫合糸に取り付けた外科用針を用いて閉じた傷口を縫合する際の閉鎖強度がそれだけ良好となる。一般に、外科用針が細いほど、傷つきやすい組織において特に閉鎖強度がそれだけ良好となるが、筋肉や腸などの強靱な組織ではより太い針とすることが好ましい。したがって、重要なことは、針が太いか細いか、或いはこの中間の何れにあるかに依らず、返しとげ付き縫合糸直径に対する外科用針直径の比が約3:1以下(さらに好ましくは、約2:1以下)とさせるべきであることである。
【0207】
本発明について、本発明の例示的な実施例の幾つかのみに関して詳細に図示し且つ記載してきたが、当業者であれば、本発明を開示した特定の実施例に限定させることを意図したものでないことを理解されよう。開示した実施例に対しては、特に上述した教示に照らして、本発明の新規的な教示や利点を実質的に逸脱することなくさまざまな修正、省略、及び追加を実施することができる。例えば、本発明の返しとげ付き縫合糸は単独で使用することや、組織の位置の保持を支援するためのステープル及び/又は皮膚接着剤などの別の閉鎖方法と一緒に使用することが可能である。したがって、添付の特許請求の範囲による規定に従った本発明の精神及び趣旨の域内に含めることができるような修正、省略、追加、及び等価をすべて包含するように意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトや動物の組織を接続するための返しとげ付き縫合糸であって、該縫合糸は(a)第1の端部及び第2の端部とを有する細長い本体と、(b)その各々がある1つの方向に向いていると共に組織内においてその返しとげが向いている方向と反対の方向への縫合糸の動きに逆らうように適合されている前記本体から突き出ている複数の返しとげと、を備えており、前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,100,97,125,127,129,115)は約140度から約175度までの範囲にある返しとげ切削角度θを備えた構成を有していることを特徴とする返しとげ付き縫合糸。
【請求項2】
前記返しとげ切削角度θは約152度から約165度までの範囲にある請求項1に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項3】
前記返しとげ切削角度θは約152度から約163度までの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項4】
前記返しとげは前記本体上で、返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52)の千鳥配列、返しとげ(67,77,78)のツイスト切削多重スパイラル配列、返しとげ(135)の重複配列、返しとげ(97)のランダム配列、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される配列を有していることを特徴とする請求項1に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項5】
ヒトや動物の組織を接続するための返しとげ付き縫合糸であって、該縫合糸は(a)第1の端部及び第2の端部と1つの直径とを有する細長い本体と、(b)その各々がある1つの方向に向いていると共に組織内においてその返しとげが向いている方向と反対の方向への縫合糸の動きに逆らうように適合されている前記本体から突き出ている複数の返しとげと、を備えており、前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)は、前記縫合糸直径(SD)に対するその深度(D)の比が約0.05から約0.6までの範囲にある返しとげ切削深度(D)を備えた構成を有している返しとげ付き縫合糸。
【請求項6】
前記縫合糸直径(SD)に対する前記返しとげ切削深度(D)の前記比は約0.3から約0.55までの範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項7】
前記縫合糸直径(SD)に対する前記返しとげ切削深度(D)の前記比は約0.4から約0.5までの範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項8】
前記返しとげは前記本体上で、返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52)の千鳥配列、返しとげ(67,77,78)のツイスト切削多重スパイラル配列、返しとげ(135)の重複配列、返しとげ(97)のランダム配列、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される配列を有していることを特徴とする請求項5に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項9】
ヒトや動物の組織を接続するための返しとげ付き縫合糸であって、該縫合糸は(a)第1の端部及び第2の端部と1つの直径とを有する細長い本体と、(b)その各々がある1つの方向に向いていると共に組織内においてその返しとげが向いている方向と反対の方向への縫合糸の動きに逆らうように適合されている前記本体から突き出ている複数の返しとげと、を備えており、前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,125,127,129,115)は前記縫合糸直径(SD)に対する返しとげの切削長さ(L)の比が約0.2から約2までの範囲にある返しとげ切削長さ(L)を備えた構成を有していることを特徴とする返しとげ付き縫合糸。
【請求項10】
前記縫合糸直径(SD)に対する前記返しとげ長さ(L)の前記比は約0.4から約1.7までの範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項11】
前記縫合糸直径(SD)に対する前記返しとげ長さ(L)の前記比は約0.8から約1.5までの範囲にあることを特徴とする請求項10に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項12】
前記返しとげは前記本体上で、返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52)の千鳥配列、返しとげ(67,77,78)のツイスト切削多重スパイラル配列、返しとげ(135)の重複配列、返しとげ(97)のランダム配列、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される配列を有していることを特徴とする請求項9に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項13】
ヒトや動物の組織を接続するための返しとげ付き縫合糸であって、該縫合糸は(a)第1の端部及び第2の端部と1つの直径とを有する細長い本体と、(b)その各々がある1つの方向に向いていると共に組織内においてその返しとげが向いている方向と反対の方向への縫合糸の動きに逆らうように適合されている前記本体から突き出ている複数の返しとげと、を備えており、前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)は、前記縫合糸直径(SD)に対するその切削距離(P)の比が約0.1から約6までの範囲にある返しとげ切削距離(P)を含む構成を有していることを特徴とする返しとげ付き縫合糸。
【請求項14】
前記縫合糸直径(SD)に対する前記返しとげ切削距離(P)の前記比は約1から約3.5までの範囲にあることを特徴とする請求項13に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項15】
前記縫合糸直径(SD)に対する前記返しとげ切削距離(P)の前記比は約1.5から約2.5までの範囲にあることを特徴とする請求項14に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項16】
前記返しとげは前記本体上で、返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52)の千鳥配列、返しとげ(67,77,78)のツイスト切削多重スパイラル配列、返しとげ(135)の重複配列、返しとげ(97)のランダム配列、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される配列を有していることを特徴とする請求項13に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項17】
前記返しとげは少なくとも2つの組の返しとげ(125,127)で構成されており、その各返しとげ組がそれ以外の組の返しとげ・サイズと異なる返しとげ・サイズを有していることを特徴とする請求項13に記載の返しとげ付き縫合糸。
【請求項18】
ヒトや動物の組織を接続するための返しとげ付き縫合糸であって、該縫合糸は(a)第1の端部、第2の端部、及び1つの直径を有する細長い本体と、(b)その各々がある1つの方向に向いていると共に組織内においてその返しとげが向いている方向と反対の方向への縫合糸の動きに逆らうように適合されている前記本体から突き出ている複数の返しとげと、を備えており、前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)は、(i)約140°から約175°までの範囲にある返しとげ切削角θと、(ii)前記縫合糸直径(SD)に対するその深度(D)の比が約0.05から約0.6までの範囲にある返しとげ切削深度(D)と、(iii)前記縫合糸直径に対するその切削長さ(L)の比が約0.2から約2までの範囲にある返しとげ切削長さ(L)と、(iv)前記縫合糸直径(SD)に対するその切削距離(P)の比が約0.1から約6までの範囲にある返しとげ切削距離(P)と、を有している返しとげ付き縫合糸。
【請求項19】
前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)が円弧状の返しとげベース(119)を含む構成を有することを特徴とする請求項1に記載の縫合糸。
【請求項20】
前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)が円弧状の返しとげベース(119)を含む構成を有することを特徴とする請求項5に記載の縫合糸。
【請求項21】
前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)が円弧状の返しとげベース(119)を含む構成を有することを特徴とする請求項9に記載の縫合糸。
【請求項22】
前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)が円弧状の返しとげベース(119)を含む構成を有することを特徴とする請求項13に記載の縫合糸。
【請求項23】
前記返しとげ(7,9,35,37,39,17,19,47,49,51,18,20,48,50,52,67,77,78,135,97,107,125,127,129,115)が円弧状の返しとげベース(119)を含む構成を有することを特徴とする請求項18に記載の縫合糸。
【請求項24】
前記細長い本体が円形切断面を有することを特徴とする請求項1に記載の縫合糸。
【請求項25】
前記細長い本体が円形切断面を有することを特徴とする請求項5に記載の縫合糸。
【請求項26】
前記細長い本体が円形切断面を有することを特徴とする請求項9に記載の縫合糸。
【請求項27】
前記細長い本体が円形切断面を有することを特徴とする請求項13に記載の縫合糸。
【請求項28】
前記細長い本体が円形切断面を有することを特徴とする請求項18に記載の縫合糸。
【請求項29】
前記細長い本体が非円形切断面を有することを特徴とする請求項1に記載の縫合糸。
【請求項30】
前記細長い本体が非円形切断面を有することを特徴とする請求項5に記載の縫合糸。
【請求項31】
前記細長い本体が非円形切断面を有することを特徴とする請求項9に記載の縫合糸。
【請求項32】
前記細長い本体が非円形切断面を有することを特徴とする請求項13に記載の縫合糸。
【請求項33】
前記細長い本体が非円形切断面を有することを特徴とする請求項18に記載の縫合糸。
【請求項34】
前記非円形断面が楕円形、三角形、四角形、平行パイプ形、台形、偏菱形、五角形、六角形、十字形およびその組合せからなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項31に記載の縫合糸。
【請求項35】
前記非円形断面が楕円形、三角形、四角形、平行パイプ形、台形、偏菱形、五角形、六角形、十字形およびその組合せからなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項32に記載の縫合糸。
【請求項36】
前記非円形断面が楕円形、三角形、四角形、平行パイプ形、台形、偏菱形、五角形、六角形、十字形およびその組合せからなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項33に記載の縫合糸。
【請求項37】
前記非円形断面が楕円形、三角形、四角形、平行パイプ形、台形、偏菱形、五角形、六角形、十字形およびその組合せからなるグループから選択された形状を有することを特徴とする請求項34に記載の縫合糸。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【公開番号】特開2010−184109(P2010−184109A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3775(P2010−3775)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【分割の表示】特願2004−541827(P2004−541827)の分割
【原出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【出願人】(505113665)クイル メディカル、インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】