説明

追尾サポートシステム

【課題】GPS装置が未搭載の営業車を運転する場合や、営業車以外の移動手段で移動する場合でも、営業担当者の現在地や移動経路を把握可能とするとともに、営業担当者、トラック等の運転手、高齢者等の弱者についての状況の把握や緊急時の即時対応を可能とする。
【解決手段】対象者が所持する携帯型の対象者用端末10と、この対象者用端末10の対象者用ボタン11が所定時間以上押下されなかったことを検出すると、所定の通報先装置60へ通報する管理側装置40とを備え、対象者用端末10は、GPS機能により当該対象者用端末10の現在地に関する情報を生成するGPS受信手段14を有し、管理側装置40は、対象者用端末10の現在地情報を所定時間間隔で受信するとともに、対象者用端末10の現在又は過去の所在地を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の対象者(ターゲット)の在否や現在地を確認する追尾サポートシステムに関し、特に、ターゲットの所持する端末にGPS(Global Positioning System)機能を搭載し、そのターゲットの現在地や行動履歴を管理センタにて管理するのに好適な追尾サポートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業の営業形態には種々のものがあるが、その一例として、ルートセールスがある。
ルートセールスとは、予め決められた取引先を巡回して、自社商品を販売したり、注文を受けたりする営業形態をいう。
【0003】
このルートセールスを行う営業担当者は、企業が所有する営業車を運転して取引先を巡回することが多い。そこで、このことを利用して、その営業担当者を支援する技術が提案されている。
例えば、営業車で移動する営業担当者の現在地を、その営業車に搭載されたGPS装置で算出し、企業内に設置されたサーバへ送信する。サーバは、受信した営業担当者の現在地情報にもとづいて、その営業担当者が取引先に到着したか否かを判断し、到着したものと判断すると、その取引先に関する情報を、営業担当者が所持する端末に送信して表示させる技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
この技術によれば、取引先に到着した営業担当者が、書類を取り出さなくても、端末を視認することで、営業内容や取引先の情報を容易に確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−279156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術においては、次のような問題があった。
同技術では、営業担当者が取引先に到着したか否かを判断するために、営業車に搭載されたGPS装置を利用していた。このため、営業車にGPS装置が搭載されていない場合や、営業車以外の移動手段で移動する場合には、GPS装置を利用できず、営業担当者の現在地を把握することができなかった。
【0006】
また、営業担当者は、端末の表示内容に応じて所定のボタンを押すことになっているが、例えば、ルートセールスを開始する際に「出発」ボタンを押したり、所定の情報を入力した後に「確認」ボタンを押したりするといったものであり、それらが押されなかった場合の措置は、何ら講じられていなかった。
【0007】
ところで、ルートセールスは、前述したように、予め決められた取引先を巡回して営業活動を行うものであるが、企業側としては、その営業担当者が、巡回している途中で不慮の事故に巻き込まれていないかどうか不安に感じるものである。
このため、営業担当者が予定通り取引先を巡回していることを企業側で把握できることが望ましい。
【0008】
また、営業担当者に限らず、単独で行動することが想定される者、例えば、トラックやバス、タクシーの運転手などについても、不慮の事故に巻き込まれた場合に、その状況を即座に把握し、迅速に対応することが望ましい。
さらに、高齢者、障害者、子供などの弱者についても、状況の把握や、緊急時の即時対応が望まれる。
【0009】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、GPS装置が搭載されていない営業車を運転する場合や、営業車以外の移動手段で移動する場合でも、営業担当者の現在地や移動経路を把握可能とするとともに、営業担当者が所持する端末にて所定のボタンが押されなかったときにも対応可能とし、かつ、トラック等の運転手、高齢者等の弱者についても、状況の把握や緊急時の即時対応を可能とする追尾サポートシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明の追尾サポートシステムは、対象者が所持するとともに、対象者が押下する対象者用ボタンを備えた携帯型の対象者用端末と、対象者用ボタンが所定時間以上押下されなかったことを検出すると、所定の通報先装置へ通報する管理側装置と、対象者用端末と管理側装置との間で所定の情報を伝送する通信回線とを備え、対象者用端末は、GPS衛星から所定の信号を受信するとともに、当該対象者用端末の現在地に関する情報を位置情報として生成するGPS受信手段を有し、管理側装置は、位置情報の送信を要求する送信要求信号を、所定時間間隔で、対象者用端末に対して送信する送信手段と、位置情報を受信する受信手段と、受信された位置情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された現在又は過去の位置情報にもとづいて、対象者用端末の現在又は過去の所在地を表示する表示手段とを有した構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の追尾サポートシステムによれば、対象者(ターゲット)が所持する端末がGPS機能を搭載しているため、例えば、GPS装置が搭載されていない営業車を運転する場合や、営業車以外の移動手段で移動する場合であっても、その端末のGPS機能により営業担当者の現在地に関する情報を生成することができ、これを管理側装置で受信して、移動履歴として管理し、必要に応じて地図とともに画面表示させることができる。
また、営業担当者が所持する端末にて所定のボタンが所定時間以上押されていないことが管理側装置で検出されたときには、営業担当者本人又はその身辺で何らかの事故が発生した可能性があるものと判断して、通報先装置に通報信号を送信することから、通報先装置を所持する企業などが、その事故に対し適切かつ迅速に対応できる。
【0012】
さらに、端末がGPS機能を搭載しているため、管理側装置で、その営業担当者の状況を逐次把握することができる。
しかも、端末に緊急ボタンを設け、緊急事態が発生したときに、営業担当者又はそこに居合わせた者に緊急ボタンを押してもらうことで、管理者あるいは通報先で、即時対応が可能となる。
そして、営業担当者以外の者、例えば、トラック等の運転手や高齢者等の弱者に端末を所持してもらうことで、これらの者に対しても、現在地や移動経路を把握することができ、不通時や緊急時に即時対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における追尾サポートシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】ターゲット所持端末の構成を示す外観斜視図であって、(a)は、通常使用時におけるターゲット所持端末の構成を示す外観斜視図、(b)は、緊急時に蓋部を外した状態を示す外観斜視図である。
【図3】ターゲット所持端末の構成を示すブロック図である。
【図4】管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】不通時通報先管理テーブルの構成を示す図表である。
【図6】緊急時通報先管理テーブルの構成を示す図表である。
【図7】管理センタ用端末の構成を示すブロック図である。
【図8】管理センタ用端末の表示手段に表示されたターゲットの現在地等を示す図であって、(a)は、ターゲットの現在地を地図上に示した画面、(b)は、ターゲットの過去の所在地(検出地)と現在地とを地図上に示した画面である。
【図9】本発明の実施形態における追尾サポート方法のうち、所在地及び移動経路管理処理の動作を示す動作手順図である。
【図10】本発明の実施形態における追尾サポート方法のうち、不通時対応処理の動作を示す動作手順図である。
【図11】端末側不通時対応処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】管理サーバ側不通時対応処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態における追尾サポート方法のうち、緊急時対応処理の動作を示す動作手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る追尾サポートシステムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
[追尾サポートシステム]
まず、本発明の追尾サポートシステムの実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態の追尾サポートシステムの構成を示すブロック図である。
同図に示すように、追尾サポートシステム1は、ターゲット所持端末10と、通信回線20と、通信制御装置30と、管理サーバ40と、管理センタ用端末50と、通報先装置60とを備えている。
なお、ターゲット所持端末10、通信制御装置30、管理サーバ40、管理センタ用端末50、通報先装置60は、プログラム制御により動作するコンピュータである。
【0016】
ターゲット所持端末10は、対象者(ターゲットA)が所持する端末である。
ターゲットAは、ターゲット所持端末10の使い方を理解できる者であればよく、年齢、性別、職業などを問わない。ただし、ターゲット所持端末10を所持させる目的により、管理者から離れて行動する者、例えば、ルートセールスを行う営業担当者、トラック、バス、タクシーなどの運転手、高齢者、障害者、子供などの弱者などをターゲットAとするのが望ましい。
【0017】
このターゲット所持端末10は、所持容易に小型化された携帯用端末であって、図2、図3に示すように、位置登録ボタン11と、緊急ボタン12と、報知手段13と、GPS受信手段14と、計時手段15と、記憶手段16と、通信手段17と、制御手段18とを有している。
位置登録ボタン11は、ターゲットAが任意のタイミングで押すことができる押しボタンである。この位置登録ボタン11は、一日のうちに何回押してもよい。ただし、位置登録ボタン11を一度押してから、所定時間(例えば、12時間)が経過する前に、再びその位置登録ボタン11が押されないときは、押し忘れ警告灯131が点灯するなどの報知処理や、通報先装置60へ知らせる通報処理などが実行される。これら報知処理や通報処理については、後記の「不通時対応処理」にて詳述する。
なお、位置登録ボタン11は、対象者(ターゲットA)が押下するボタンであることから、「対象者用ボタン」に相当する。
【0018】
緊急ボタン12は、ターゲットA本人又はその身辺で緊急事態が発生したときに、そのターゲットA又は周囲にいる者が押すボタンである。
ターゲット所持端末10においては、その緊急ボタン12を覆い隠す蓋部12aが設けられており、この蓋部12aを外さなければ緊急ボタン12を押せないようになっている(図2(b)参照)。これにより、通常時には、緊急ボタン12が容易に押せないようにし、緊急時にのみその緊急ボタン12を押せるようにして、緊急時において適切かつ迅速な対応がとれるようになっている。
【0019】
報知手段13は、位置登録ボタン11が所定時間以上押されなかったときに、ターゲットAに対し、その位置登録ボタン11の押下を促すための押下指示手段である。
この報知手段13には、押し忘れ警告灯131と、スピーカ132がある。
押し忘れ警告灯131は、LEDなどの発光手段を有し、この発光手段が点灯又は点滅することで、ターゲットAに対し、位置登録ボタン11の押下を促すものである。
【0020】
スピーカ132は、所定の音声を出力することで、ターゲットAに対し、位置登録ボタン11の押下を促すものである。
なお、スピーカ132は、位置登録ボタン11の押下を促すための音声だけでなく、例えば、位置登録ボタン11が押されたことを示す音声や、緊急ボタン12が押されたことを示す音声などを出力することができる。
【0021】
GPS受信手段14は、GPS衛星から送られてくる信号を受信するとともに、この受信した信号にもとづいて、ターゲット所持端末10の所在地を特定するのに必要な情報を生成する。この生成された情報は、位置検出情報として記憶手段16に記憶される。なお、位置検出情報は、ターゲット所持端末10(対象者用端末)の現在地に関する情報であることから、「位置情報」に相当する。
計時手段15は、現在の時刻を計測する。また、計時手段15は、タイマとして機能することができ、制御手段18による制御により、所定時刻から経過した時間を計時することができる。
【0022】
記憶手段16は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Randum Access Memory)などで構成することができ、ターゲット所持端末10の有する各種機能を実行するためのプログラムや所定のデータを記憶する。
この記憶手段16が記憶する所定のデータとしては、例えば、位置検出情報、位置登録ボタン11が押下された時刻、位置登録ボタン11が押されてから報知手段13が報知するまでの時間(設定時間)、報知手段13による報知の回数などがある。
通信手段17は、通信回線20を介して通信制御装置30や管理サーバ40との間で所定のデータを送受信する。
【0023】
制御手段18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成することができ、記憶手段16に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、ターゲット所持端末10の構成各部に指令を送り、又は自ら動作して、ターゲット所持端末10の有する各種機能を実行・制御する。
また、制御手段18は、追尾サポート方法を実行する。この追尾サポート方法の内容については、後記の「追尾サポート方法」にて詳述する。
なお、ターゲット所持端末10は、対象者(ターゲットA)が所持するとともに、その対象者が押下する対象者用ボタン(位置登録ボタン11)を備えた携帯型の端末であることから、「対象者用端末」に相当する。
【0024】
通信回線20は、ターゲット所持用端末10と、通信制御装置30及び管理サーバ40との間で所定の情報を伝送する通信用回線であって、従来公知の任意好適な公衆回線、商業回線又は専用回線を用いることができる。ただし、本実施形態においては、無線IP網を利用したPHS(Personal Handy-phone System)データ通信とする。つまり、本実施形態のターゲット所持端末10は、PHS通信網を利用したダイレクト訴求であり、しかも、GPS機能付き通信モジュール(GPS受信手段14)を搭載しているため、PHS通信可能エリアであれば、広い範囲で利用でき、在宅時だけでなく、外出先でもターゲットAの現在地を把握できる。なお、本実施形態においては、無線IP網を利用したPHSデータ通信を用いることとするが、これに限るものではなく、他の無線通信システム、例えば携帯電話のように、有線通信の通信線路に接続された基地局と端末との間で無線通信を行う通信システムなどを利用することもできる。
【0025】
通信制御装置30は、通信回線20を管理する通信センタBに設置された制御装置である。
この通信制御装置30は、ターゲット所持端末10から送信されてきた位置検出情報を受信すると、この位置検出情報を解析し、ターゲット所持端末10の所在地を特定し、この特定したターゲット所持端末10の所在地を示す情報を位置特定情報として管理サーバ40へ送信する。
なお、位置特定情報は、ターゲット所持端末10(対象者用端末)の現在地に関する情報であることから、「位置情報」に相当する。
【0026】
管理サーバ40は、追尾サポートシステム1を管理する管理センタCに設置されたサーバである。
この管理サーバ40は、図4に示すように、通信手段41と、記憶手段42と、制御手段43と、計時手段44とを備えている。
通信手段41は、ターゲット所持端末10との間、通信制御装置30との間、管理センタ用端末50との間、通報先装置60との間で、それぞれ所定の情報を送受信する。
【0027】
記憶手段42は、管理サーバ40の有する各種機能を実行するためのプログラムや所定のデータを記憶する。
この記憶手段42が記憶する所定のデータとしては、例えば、位置特定情報、位置登録ボタン11が押されてから通報先装置60へ通報するまでの時間(設定時間)、通報先装置60へ通報した回数、不通時通報先管理テーブル、緊急時通報先管理テーブルなどがある。
【0028】
不通時通報先管理テーブルは、ターゲット所持端末10にて位置登録ボタン11が所定時間以上押されなかったときに、通報信号の送信先となる通報先装置60を特定するためのテーブルである。
この不通時通報先管理テーブルは、「ターゲットA」と、「ID」と、「通報先装置60」とを項目として構成することができる。
「ターゲットA」は、ターゲット所持端末10を所持するターゲットAを特定するための情報である。この「ターゲットA」は、ターゲットAを特定することが可能な情報、例えば、ターゲットAの氏名やターゲット所持端末10を特定する情報などを用いることができる。
「ID」は、ターゲット所持端末10を特定する番号である。なお、この「ID」が不通時通報先管理テーブルの項目として挙げられているときは、「ターゲットA」は、省略することができる。
【0029】
「通報先装置60」は、通報信号の送信先として登録された通報先装置60であって、一の「ターゲットA」又は一の「ID」に対して一又は二以上の「通報先装置60」を関連付けて登録できるようになっている。
例えば、図5に示す不通時通報先管理テーブルにおいては、「ターゲットA」であるA11に対して、「通報先装置60」である通報先装置61と63が関連付けて登録されている。このため、ターゲットA11が所持するターゲット所持端末10で、位置登録ボタン11が所定時間以上押されなかったときは、通報先装置61と通報先装置63に対して通報信号が送信される。
【0030】
また、一の通報先装置60は、複数の「ターゲットA」又は複数の「ID」に関連付けて登録することができる。例えば、同図に示す不通時通報先管理テーブルにおいては、通報先装置61が、「ターゲットA」であるA11と、A12と、A13のいずれにも関連付けて登録されている。このため、ターゲットA11が所持するターゲット所持端末10で位置登録ボタン11が所定時間以上押されなかったとき、ターゲットA12が所持するターゲット所持端末10で位置登録ボタン11が所定時間以上押されなかったとき、ターゲットA13が所持するターゲット所持端末10で位置登録ボタン11が所定時間以上押されなかったときのいずれにおいても、通報先装置61に対して通報信号が送信される。
【0031】
緊急時通報先管理テーブルは、ターゲット所持端末10にて緊急ボタン12が押されたときに、緊急信号の送信先となる通報先装置60を特定するためのテーブルである。
この緊急時通報先管理テーブルは、「ターゲットA」と、「ID」と、「通報先装置60」とを項目として構成することができる。
「ターゲットA」と「ID」は、不通時通報先管理テーブルにおける「ターゲットA」及び「ID」と同様である。
【0032】
「通報先装置60」は、緊急信号の送信先として登録された通報先装置60であって、一の「ターゲットA」又は一の「ID」に対して一又は二以上の「通報先装置60」を関連付けて登録できるようになっている。また、一の通報先装置60を、複数の「ターゲットA」又は複数の「ID」に関連付けて登録することもできる。
【0033】
なお、不通時通報先管理テーブルにおける「ターゲットA」及び「ID」と、緊急時通報先管理テーブルにおける「ターゲットA」及び「ID」は、通常、同じになるが、同一のターゲットAに対して、不通時に通報信号を送信する通報先装置60と、緊急時に通報信号を送信する通報先装置60とは、同じとすることもでき、また異ならせることもできる。
【0034】
制御手段43は、記憶手段42に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、管理サーバ40の構成各部に指令を送り、又は自ら動作して、管理サーバ40の有する各種機能を実行・制御する。
また、制御手段43は、追尾サポート方法を実行する。この追尾サポート方法の内容については、後記の「追尾サポート方法」にて詳述する。
計時手段44は、現在の時刻を計測する。また、計時手段44は、タイマとして機能することができ、制御手段43による制御により、所定時刻から経過した時間を計時することができる。
【0035】
管理センタ用端末50は、管理センタCに設置される端末であって、管理センタCにおける管理担当者により使用される。
この管理センタ用端末50は、図7に示すように、通信手段51と、記憶手段52と、入力手段53と、表示手段54と、制御手段55とを備えている。
【0036】
通信手段51は、管理サーバ40との間で所定の情報を送受信(又は、入出力)する。
記憶手段52は、管理センタ用端末50の有する各種機能を実行するためのプログラムや所定のデータなどを記憶する。
また、記憶手段52は、通信手段51にて管理サーバ40から入力された情報を記憶する。この記憶手段52は、管理サーバ40の記憶手段42が記憶している情報のうちの全部又は一部を記憶することができる。
入力手段53は、管理担当者が操作することにより所定の情報や指示を入力するためのMMI(Man Machine Interface)あるいはポインティングデバイスであり、具体的には、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、コントローラなどが含まれる。
【0037】
表示手段54は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などで構成することができ、管理担当者による入力手段53での入力操作にもとづいて、所定の情報を表示する。
この表示手段54が表示する情報には、例えば、ターゲット所持端末10の所在地が示された地図情報がある。具体的には、表示手段54は、記憶手段52から取り出された位置特定情報にもとづいて、ターゲット所持端末10の所在地を特定し、図8(a)に示すように、その所在地の周辺の地図を表示するとともに、表示している地図上に、その所在地(現在地)を示す記号を表示する。
また、表示手段54は、記憶手段52に蓄積されている過去の位置特定情報にもとづいて、ターゲット所持端末10の過去の所在地を特定し、図8(b)に示すように、表示している地図上に、それら過去の所在地(検出地)を示す記号を表示することができる。この場合、過去の所在地(検出地)が登録された時刻(ターゲット所持端末10にて位置登録ボタン11が押された時刻)にしたがって、表示手段54に表示された複数の検出地や現在地の記号を矢印や線で結ぶことで、ターゲットAの移動経路を示すことができる。
【0038】
制御手段55は、記憶手段52に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、管理センタ用端末50の構成各部に指令を送り、又は自ら動作して、管理センタ用端末50の有する各種機能を実行・制御する。
また、管理センタ用端末50には、所定の情報を印字出力するプリンタなどの出力手段56を接続することができる(図1参照)。これにより、ターゲットAに関する位置特定情報や移動履歴、所在地を示す地図などを印字出力することができる。
なお、本実施形態においては、管理サーバ40と管理センタ用端末50とを併せて、「管理側装置」というものとする。
【0039】
通報先装置60は、通報先Dとして管理サーバ40の記憶手段42に登録されている者が所持する装置である。通報先Dは、ターゲットAの不通時又は緊急時に通報信号を送る送信先として、予め管理サーバ40に登録されている者をいう。
通報先Dには、例えば、管理者D1、家族、親戚、友人D2、ロードサービス事業者D3、医療機関D4、警察署D5などがある。そして、管理者D1は通報先装置61を、家族、親戚、友人D2は通報先装置62を、ロードサービス事業者D3は通報先装置63を、医療機関D4は通報先装置64を、警察署D5は通報先装置65を、それぞれ所持している。
なお、管理者D1は、例えば、ターゲットAがルートセールスを行う営業担当者の場合における会社の上司、ルートセールスを管理する営業部門などが該当する。
【0040】
通報先装置60は、管理サーバ40との間でメールを送受信できる機能を有していればよい。例えば、通報先Dが、管理部D1、ロードサービス事業者D3、医療機関D4、警察署D5などの場合、通報先装置60には、サーバやパーソナルコンピュータなどを用いることができる。また、通報先Dが、家族、親戚、友人D2、特定の医者などの場合には、携帯電話やPHSなどを用いることができる。
【0041】
[追尾サポート方法]
次に、本実施形態の追尾サポート方法について、図9〜図13を参照して説明する。
なお、ここでは、次の項目について、順次説明する。
(1)所在地及び移動経路管理処理
(2)不通時対応処理
(3)緊急時対応処理
【0042】
(1)所在地及び移動経路管理処理
所在地及び移動経路管理処理とは、ターゲット所持端末10に搭載されたGPS受信手段14のGPS機能を利用して、ターゲットAの行動を把握し、履歴として蓄積し、管理サーバ40で監視するものである。
この所在地及び移動経路管理処理の手順について、図9を参照して説明する。
同図は、本実施形態の所在地及び移動経路管理処理の動作を示す動作手順図である。
【0043】
ターゲット所持端末10のGPS受信手段14においては、常時又は所定時間間隔で、GPS衛星から所定の信号を受信している。
図9に示すように、管理サーバ40の通信手段41は、ターゲット所持端末10に対して、所定時間ごとに(例えば、1分間隔で)、位置特定情報の送信を要求する位置特定情報送信要求信号を送信して、同期を取りに行く(送信要求手順、ステップ10)。
ターゲット所持端末10の通信手段17が位置特定情報送信要求信号を受信すると(ステップ11)、GPS受信手段14は、GPS衛星から受信した信号にもとづいて、ターゲット所持端末10の現在の所在地の算出に必要な情報を位置検出情報として生成し(位置情報生成手順、ステップ12)、この位置検出情報を記憶手段16に記憶させる。
通信手段17は、その位置検出情報を、通信回線20を介して、通信制御装置30へ送信する(ステップ13)。
【0044】
通信制御装置30は、ターゲット所持端末10から送信されてきた位置検出情報を受信すると(ステップ14)、この位置検出情報を解析し、ターゲット所持端末10の所在地を特定する(ステップ15)。そして、この特定したターゲット所持端末10の所在地を示す情報を位置特定情報として管理サーバ40へ送信する(ステップ16)。
【0045】
管理サーバ40の通信手段41は、その位置特定情報を受信する(位置情報受信手順、ステップ17)。
記憶手段42は、通信手段41で受信された位置特定情報を記憶・蓄積する(位置情報記憶手順、ステップ18)。
管理センタ用端末50は、管理担当者による入力手段53の操作により、ターゲット所持端末10の所在地の表示の指示が入力されると(ステップ19)、管理サーバ40に対し、通信手段51を介して、位置特定情報の送信を要求する位置特定情報送信要求信号を出力する(ステップ20)。
管理サーバ40は、通信手段41にて位置特定情報送信要求信号を入力すると(ステップ21)、記憶手段42から位置特定情報を取り出して、管理センタ用端末50へ出力する(ステップ22)。
【0046】
管理センタ用端末50の通信手段51は、その位置特定情報を入力する(ステップ23)。
制御手段55は、通信手段51で受信された位置特定情報にもとづいて、ターゲット所持端末10の所在地を特定する。
表示手段54は、その特定された所在地を表示する(表示手順、ステップ24、図8(a)参照)。
また、制御手段55は、過去複数の位置特定情報にもとづいて、ターゲット所持端末10の移動経路(過去に取得された複数の現在地)を特定し、表示手段54は、その特定された移動経路を表示することができる(ステップ24、図8(b)参照)。
【0047】
(2)不通時対応処理
不通時対応処理とは、ターゲット所持端末10の位置登録ボタン11が所定時間以上押下されないときに、ターゲットAに対して位置登録ボタン11の押下を促すとともに、通報先装置60へ通報する処理である。
この不通時対応処理の手順について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は、不通時対応処理の全体の流れを示す動作手順図、図11は、不通時対応処理のうち端末側不通時対応処理の手順を示すフローチャート、図12は、不通時対応処理のうち管理サーバ側不通時対応処理の手順を示すフローチャートである。
【0048】
図10に示すように、不通時対応処理は、ターゲット所持端末10において端末側不通時対応処理が実行され(ステップ30)、その端末側不通時対応処理の実行中に位置登録ボタン11が押下されると、押下検出信号がターゲット所持端末10から管理サーバ40へ送信される(ステップ44、ステップ61)。また、管理サーバ40において管理サーバ側不通時対応処理が実行され(ステップ31)、所定の条件下で、通報先装置60との間で通報メールや返信メールが送受信される(ステップ65、71、32〜34、68、74)。
これら「端末側不通時対応処理」と、「管理サーバ側不通時対応処理」について、順次説明する。
【0049】
(2−1)端末側不通時対応処理
ターゲットAには、「自分の位置情報を知らせる」ために、位置登録ボタン11の押下を義務付けておき、気が付いたときには、いつでも位置登録ボタン11を押すことを習慣付けておく。
【0050】
ターゲット所持端末10の計時手段15において、タイマの計測が開始される(図11のステップ40)。
なお、このタイマ計測の開始のタイミングは、ターゲット所持端末10の電源が投入されたとき、あるいは、後述するように、位置登録ボタン11が押下されて、タイマがリセットされたとき(ステップ45)である。
【0051】
ターゲット所持端末10の制御手段18は、タイマの計測が開始してから所定時間(例えば、12時間)が経過したか否かを判断する(ステップ41)。
判断の結果、所定時間を経過していないときは、制御手段18は、次いで、位置登録ボタン11が押下されたか否かを判断する(ステップ42)。
判断の結果、押下されたときは、制御手段18は、スピーカ132から所定の音声を出力させる(ステップ43)。この所定の音声には、例えば、「位置を登録します!」などがある。
このように、ターゲットAが位置登録ボタン11を押したときには、スピーカ132から、「位置を登録します!」などの音声が出力されるので、ターゲットAは、ゲーム感覚で位置登録ボタン11を押すことができ、その押下を習慣付けることができる。
【0052】
次いで、通信手段17は、管理サーバ40に対し、押下検出信号を送信する(ステップ44)。そして、制御手段18は、タイマをリセットし(ステップ45)、計時手段15に対し、タイマの計測を再開させる(ステップ40)。
【0053】
一方、位置登録ボタン11が押下されない状態で(ステップ42のNo)、所定時間が経過したときは(ステップ41のYes)、報知処理が実行される(ステップ46)。
報知処理は、ターゲットAに対し、位置登録ボタン11の押下を促すために行われるものであり、例えば、押し忘れ警告灯131を点灯又は点滅させたり、スピーカ132から所定のアラーム音を出力させたり(アラーム機能)、スピーカ132から「位置登録ボタンを押してください」などの所定の音声を出力させたりすることができる。
この報知処理による音声出力等は、所定時間(例えば、1分間)継続して行わせることができる。
【0054】
制御手段18は、報知処理を実行した回数をカウントすると(ステップ47)、次いで、報知処理の実行中又は実行後に位置登録ボタン11が押下されたか否かを判断する(ステップ48)。
判断の結果、押下されたときは、制御手段18は、その後の報知処理を停止させる。そして、ステップ43以降の処理が実行される。
一方、押下されずに所定時間(例えば、15分間)が経過したときは(ステップ49のYes)、報知処理が所定回数(例えば、7回)実行されたか否かが判断される(ステップ50)。
判断の結果、所定回数実行されていないときは、制御手段18は、報知処理を行い(ステップ46)、ステップ47以降の処理を実行する。
一方、所定回数実行されたときは、端末側不通時対応処理を終了する。
【0055】
この端末側不通時対応処理を実行することにより、ターゲットAが位置登録ボタン11の押下を忘れたときにも、報知処理を実行して、その位置登録ボタン11の押下を促すことができる。
【0056】
(2−2)管理サーバ側不通時対応処理
図12に示すように、管理サーバ40の計時手段44において、タイマの計測が開始される(押下検出用タイマ計測開始、ステップ60)。
なお、このタイマ計測の開始のタイミングは、後述するように、位置登録ボタン11が押下されたことで押下検出信号が受信されて(ステップ61のYes)、タイマがリセットされたときである(ステップ62)。
【0057】
制御手段43は、通信手段41で押下検出信号が受信されたか否かを判断する(ステップ61)。
判断の結果、受信されたときは、制御手段43は、タイマをリセットし(押下検出用タイマリセット、ステップ62)、計時手段44に対し、タイマの計測を再開させる(ステップ60)。
一方、通信手段41で押下検出信号が受信されない状態が所定時間(例えば、14時間)継続したときは(ステップ61のNo、ステップ63のYes)、制御手段43は、ターゲットAにおいて何らかの異常事態が発生したものと判断し、その押下検出信号を所定時間送信してこないターゲット所持端末10を特定し、記憶手段42に記憶されている不通時通報先管理テーブルを参照して、その特定したターゲット所持端末10に対応する通報先装置60を検索する。そして、その検索により、通報先装置60を特定し(ステップ64)、通信手段41を介して、その特定した通報先装置60に対し、第一次通報メールを送信する(ステップ65)。
【0058】
この第一次通報メールには、ターゲットAが位置登録ボタン11を所定時間押下していないために不通状態となっていること知らせる文面が本文として記載される。具体的には、例えば、「東京都中央区銀座1−2−3の位置確認を最後に、○○○○様からの連絡が14時間途絶えました。通信が繋がらない場所にいるか、本体の故障、またはご本人に緊急事態が発生している可能性があります。至急、安否を確認してください。安否が確認できましたら、本メールをそのまま当社に返信してください。返信を確認し次第、問題が回避されたと認識して通常の作動状態に戻ります。」という内容の文面とすることができる。
【0059】
管理サーバ40から送信された第一次通報メールは、通報先装置60の通信手段で受信される(図10のステップ32)。
通報先装置60の表示手段は、その第一次通報メールの内容を画面表示する(ステップ33)。
そして、その通報先装置60を所持する通報先Dは、その第一次通報メールの内容を視認し、ターゲットAに対して連絡をとり、そのターゲットAの在否の確認あるいはターゲットAが無事であることの確認などがとれると、通報先装置60を操作して、管理サーバ40へ返信メールを送信する(ステップ34)。
これに対し、次の場合には、返信メールが送信されない。例えば、通報先装置60の電源が入っていないなどして第一次通報メールの内容が表示されない場合、第一次通報メールの内容が表示されたものの通報先Dがそれを視認できない状況にある場合、通報先Dが第一次通報メールの内容を視認してターゲットAに連絡をとったもののターゲットAの在否や無事が確認できない場合などがある。
【0060】
管理サーバ40の制御手段43は、第一次通報メールを送信した後、第一次通報メールを送信した回数をカウントし(ステップ66)、計時手段44に対し、返信用タイマの計測を開始させる(ステップ67)。
そして、制御手段43は、通信手段41にて、通報先装置60からの返信メールが着信したか否かを確認する(ステップ68)。
確認の結果、返信メールが着信されたときは、制御手段43は、ターゲットAの安否が確認されたものと判断し、その後の通報処理を停止して、返信用タイマ及び押下検出用タイマをリセットする(ステップ62)。そして、ステップ60以降の処理を実行する。
【0061】
一方、返信メールが所定時間(例えば、3時間)着信しなかったときは(ステップ69のYes)、制御手段43は、第一次通報メールを所定回数(例えば、2回)送信したか否かを判断する(ステップ70)。
判断の結果、第一次通報メールを所定回数送信していないときは、ステップ65の処理以降を実行する。
一方、第一次通報メールを所定回数送信したときは、制御手段43は、ターゲットAからの最終疎通から所定時間(例えば、24時間)経過したものと判断し、通信手段41を介して、通報先装置60に対し、第二次通報メールを送信する(ステップ71)。
なお、第二次通報メールの送信先である通報先装置60は、第一次通報メールの送信先である通報先装置60と同じであってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
【0062】
この第二次通報メールには、ターゲットAが位置登録ボタン11を所定時間押下していないために不通状態となっていること知らせる文面が本文として記載される。具体的には、例えば、「東京都中央区銀座1−2−3の位置確認を最後に、○○○○様からの連絡が24時間途絶えました。第一次警告により連絡を試みていただきましたが、いまだに安否の連絡が取れておりません。ご本人に緊急事態が発生している模様ですので、至急、安否を確認してください。」という内容の文面とすることができる。
なお、第二次通報メールを受信した通報先装置60においては、第一次通報メールを受信した場合と同様の処理が実行される(図10のステップ32〜34)。
【0063】
管理サーバ40の制御手段43は、第二次通報メールを送信した後、第二次通報メールを送信した回数をカウントし(ステップ72)、返信用タイマの計測を開始させる(ステップ73)。
そして、制御手段43は、通信手段41にて通報先装置60からの返信メールが着信したか否かを確認する(ステップ74)。
確認の結果、返信メールが着信したときは、制御手段43は、ターゲットAの安否が確認されたものと判断し、その後の通報処理を停止させて、返信用タイマ及び押下検出用タイマをリセットし(ステップ62)、ステップ60以降の処理を実行する。
【0064】
一方、返信メールが所定時間(例えば、4時間)着信しなかったときは(ステップ75のYes)、制御手段43は、第二次通報メールを所定回数(例えば、2回)送信したか否かを判断する(ステップ76)。
判断の結果、第二次通報メールを所定回数送信していないときは、ステップ71の処理以降を実行する。
一方、第二次通報メールを所定回数送信したときは、管理サーバ側不通時対応処理を終了する。
【0065】
この管理サーバ側不通時対応処理を実行することにより、ターゲットAが不通状態であることを通報先Dに知らせることができる。そして、その知らせを受けた通報先Dは、ターゲットAの状態を確認することができ、非常時には、適切かつ即座に対応することができる。
なお、この管理サーバ側不通時対応処理は、対象者(ターゲットA)が所持する携帯型の対象者用端末(ターゲット所持端末10)に備えられた対象者用ボタン(位置登録ボタン11)が所定時間以上押下されなかったことを検出すると、管理側装置(管理サーバ40)が、所定の通報先装置60へ通報する手順であることから、「通報手順」に相当する。
【0066】
また、ターゲット所持端末10から管理サーバ40へ送信される押下検出信号(図10のステップ44、ステップ61)は、ターゲット所持端末10にて位置登録ボタン11が押されたことを管理サーバ40へ知らせるための信号であって、そのターゲット所持端末10のIDを含むものであるが、その位置登録ボタン11の押下時に生成された位置検出信号を押下検出信号とともに通信制御装置30へ送信し、その位置検出信号にもとづき算出された位置特定信号を、押下検出信号とともに、通信制御装置30から管理サーバ40へ送信することもできる。これにより、管理サーバ40は、ターゲット所持端末10にて位置登録ボタン11が押下されたことを認識するだけでなく、押下された時刻や、押下されたときのターゲット所持端末10の所在地を記憶・管理することができる。
【0067】
(3)緊急時対応処理
緊急時対応処理とは、ターゲット所持端末10にて緊急ボタン12が押下されたときに、所定の通報先Dへ通報する処理をいう。
この緊急時対応処理の手順について、図13を参照して説明する。同図は、緊急時対応処理の手順を示す動作手順図である。
【0068】
ターゲットA本人又はターゲットAの周囲で緊急事態が発生すると、ターゲットA本人又は周辺に居合わせた者が、ターゲット所持端末10から蓋部12aを外して、緊急ボタン12を押下する。
ここで、緊急事態には、例えば、交通事故に遭った場合、身体の具合が悪い場合、助けが必要な場合、倒れて意識がない場合などが挙げられる。
【0069】
ターゲット所持端末10の制御手段18は、緊急ボタン12が押下されたことを検出すると(図13のステップ80)、報知手段13のスピーカ132から、通報の開始を知らせる音声情報を出力させる(ステップ81)。この音声情報には、例えば、「緊急通報します!」などがある。
また、制御手段18は、通信手段17及び通信回線20を介して、管理サーバ40へ、ターゲット所持端末10のIDを含む緊急信号を送信する(ステップ82)。
【0070】
管理サーバ40の通信手段41は、緊急信号を受信すると(ステップ83)、制御手段43は、その緊急信号からIDを取り出してターゲット所持端末10を特定する(ステップ84)。次いで、制御手段43は、記憶手段42に記憶されている緊急時通報先管理テーブルを参照し、その取り出したIDに関連付けられている通報先装置60を特定する(ステップ85)。
制御手段43は、その特定した通報先装置60に対して、緊急通報用の文章を含む緊急信号(メール)を、通信手段41を介して送信する(ステップ86)。
通報先装置60の通信手段は、緊急信号を受信すると(ステップ87)、その緊急信号に含まれている緊急通報用の文章を表示手段にて表示して、通報先Dに報知する(ステップ88)。
【0071】
ここで、緊急通報用の文章(本文)は、ターゲットA本人又はターゲットAの周囲で緊急事態が発生したことを通報先Dに知らせる内容であればよい。具体的には、例えば、「緊急通報! 東京都中央区銀座5−6−7において、○○○○様からの緊急通報が入りました。ご本人に緊急事態が発生しておりますので、至急、状況確認を行って下さい。状況が確認できましたら、本メールを当社宛にそのまま返信してください。返信が確認され次第、問題が回避されたものと認識して、通常の作動状態に戻ります。」という内容とすることができる。
【0072】
このように、ターゲットAに緊急事態が発生した場合には、ターゲット所持端末10の緊急ボタン12を押すことで、管理サーバ40に予め登録されていた通報先Dへ、自動的に緊急信号(メール)が送信されるため、通報先Dでは、その緊急事態を即座に知得でき、迅速に対応することができる。
また、ターゲット所持端末10にはGPS受信手段14が搭載されており、管理サーバ40では、そのターゲット所持端末10の所在地が逐次把握できるため、緊急時には、その場所にタクシーを配車するとともに、ロードサービス事業者、救急車、パトカー、運転代行業者、警備保障会社などの出動を要請することができる。
【0073】
[追尾サポートプログラム]
次に、追尾サポートプログラムについて説明する。
前述した実施形態における追尾サポートシステム1の追尾サポート機能(追尾サポート方法を実行するための機能)は、ターゲット所持端末10、管理サーバ40、管理センタ用端末50の各記憶手段16、42、52に記憶された追尾サポートプログラムにより実現される。
【0074】
追尾サポートプログラムは、コンピュータであるターゲット所持端末10、管理サーバ40、管理センタ用端末50の制御手段18、43、55に読み込まれることにより、コンピュータの構成各部に指令を送り、所定の処理、たとえば、所在地及び移動経路管理処理、不通時対応処理、緊急時対応処理などを行わせる。
これによって、追尾サポート機能は、ソフトウエアである追尾サポートプログラムとハードウエア資源であるコンピュータの各構成手段とが協働することにより実現される。
【0075】
なお、追尾サポート機能を実現するための追尾サポートプログラムは、コンピュータのROMやハードディスクなどに記憶される他、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、たとえば、外部記憶装置及び可搬記録媒体等に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM(Compact disk−Read only memory)等の記憶媒体を内蔵し、管理サーバ40や管理センタ用端末50に外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、たとえば、フレキシブルディスク,メモリカード,光磁気ディスク等をいう。
【0076】
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータのRAM等にロードされて、CPU(制御手段18、43、55)により実行される。この実行により、前述した実施形態のターゲット所持端末10、管理サーバ40、管理センタ用端末50の各機能が実現される。
さらに、コンピュータで追尾サポートプログラムをロードする場合、他のコンピュータで保有された追尾サポートプログラムを、通信回線を利用して自己の有するRAMや外部記憶装置にダウンロードすることもできる。このダウンロードされた追尾サポートプログラムも、CPU(制御手段18、43、55)により実行され、前述した実施形態のターゲット所持端末10、管理サーバ40、管理センタ用端末50の追尾サポート機能を実現する。
【0077】
なお、追尾サポートプログラムは、具体的には、対象者が所持する携帯型の対象者用端末(ターゲット所持端末10)に備えられた対象者用ボタン(位置登録ボタン11)が所定時間以上押下されなかったことを検出すると、所定の通報先装置60へ通報する通報手順を管理側装置(管理サーバ40)に実行させ、GPS衛星から所定の信号を受信するとともに、当該対象者用端末の現在地に関する情報を位置情報として生成する位置情報生成手順を対象者用端末に実行させ、位置情報の送信を要求する送信要求信号を、所定時間間隔で、対象者用端末に対して送信する送信要求手順を管理側装置に実行させ、対象者用端末から位置情報を受信する位置情報受信手順を管理側装置に実行させ、受信した位置情報を記憶する位置情報記憶手順を管理側装置に実行させ、記憶した現在又は過去の位置情報にもとづいて、対象者用端末の現在又は過去の所在地を表示する表示手順を管理側装置(管理センタ用端末50)に実行させるためのプログラムとすることができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の追尾サポートシステムによれば、ターゲット所持端末にGPS機能が搭載されているので、例えば、ルートセールスを行う営業担当者が、GPS装置が搭載されていない営業車を運転する場合や、営業車以外の移動手段で移動する場合でも、そのターゲット所持端末のGPS機能を利用することで、営業担当者の現在地や移動経路を把握することができる。
また、ターゲット所持端末にて位置登録ボタンが所定時間以上押されなかったときには、ターゲットに対し、その位置登録ボタンを押すことを促すとともに、通報先装置へ通報信号を送信して、ターゲットが不通状態であることを知らせることができる。
【0079】
さらに、ターゲットとして、トラック等の運転手、高齢者等の弱者に、ターゲット所持端末を所持させることで、これらの者についての状況の把握や緊急時の即時対応が可能となる。
しかも、ターゲット所持端末は、ターゲットが持ち運び可能な携帯型の端末であり、PHS回線を利用するため、PHS回線により電波が届くところであれば、どこでもサービスエリアであり、しかも、PHS回線で常時回線がつながっているため、時間と場所を選ばず、広範囲で使用できる。
【0080】
以上、本発明の追尾サポートシステムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る追尾サポートシステムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、ターゲット所持端末に設けられたボタンは、位置登録ボタンと緊急ボタンの二つであるが、これら二つのボタンに限るものではなく、他のボタン、例えば、「管理センタボタン」、「ロードサービス事業者ボタン」、「救急車ボタン」、「警察ボタン」などを設けることもできる。これにより、緊急時には、運転者本人、又は、まわりに居合わせた人が、いずれかのボタンを押すことで、それぞれのオペレーションセンタに振り分けられて、それらボタンが押された時刻と場所を知らせる緊急メールを自動配信することができる。
【0081】
また、ターゲットとして、例えば、トラック、バス、タクシーなどの運転に従事する者にターゲット所持端末を所持させることで、緊急時の即時対応が可能となる。このため、運転従事者を雇用する事業者にとっては、運転従事者の事故に対する不安を解消できる。
そして、この場合、ターゲット用所持端末は、運転中でも手が届く場所、たとえば、ダッシュボードなどに設置可能な仕様とすることが望ましい。また、電源は、シガーソケットから充電できるようにするとよい。
なお、運転従事者をターゲットとする場合、ターゲット用所持端末には、位置登録ボタンは搭載しないようにすることができる。
【0082】
さらに、通報先が所持するパーソナルコンピュータ(PC)においても、ターゲットの位置特定情報を管理サーバから受信して、そのターゲットの所在地や移動経路を画面表示させることができる。
具体的には、例えば、通報先は、PC端末から管理センタが提供するサービスWEBサイトにアクセスして、パスワードを入力して管理画面に入り、ターゲットの行動履歴レポートをダウンロードすることができる。
【0083】
これにより、その通報先は、ターゲットがターゲット所持端末の位置登録ボタンを押した時刻と場所を一覧表で入手できるので、その日の行動を完全に把握できる。
また、通報先は、ターゲットの毎日の移動状況を把握できるとともに、故障や事故、あるいは体調の異変などが発生したときの緊急時に対応することが安心材料となる。
さらに、通報先は、PCに表示された地図を見ながら、ターゲットの移動軌跡を追尾することができる。
しかも、その一覧表が履歴としてデータベース化されており、ターゲットの行動パターンを把握できるため、さまざまな問題点を探り当てることができ、業務の改善や営業戦略に役立てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、管理対象者の在否や移動履歴を把握するシステムに関する発明であるため、管理対象者の在否や移動履歴を管理する装置、それらの情報を提供するシステムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 追尾サポートシステム
10 ターゲット所持端末
20 通信回線
30 通信制御装置
40 管理サーバ
50 管理センタ用端末
60 通報先装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が所持するとともに、前記対象者が押下する対象者用ボタンを備えた携帯型の対象者用端末と、
前記対象者用ボタンが所定時間以上押下されなかったことを検出すると、所定の通報先装置へ通報する管理側装置と、
前記対象者用端末と前記管理側装置との間で所定の情報を伝送する通信回線とを備え、
前記対象者用端末は、
GPS衛星から所定の信号を受信するとともに、当該対象者用端末の現在地に関する情報を位置情報として生成するGPS受信手段を有し、
前記管理側装置は、
前記位置情報の送信を要求する送信要求信号を、所定時間間隔で、前記対象者用端末に対して送信する送信手段と、
前記位置情報を受信する受信手段と、
受信された位置情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された現在又は過去の位置情報にもとづいて、前記対象者用端末の現在又は過去の所在地を表示する表示手段とを有した
ことを特徴とする追尾サポートシステム。
【請求項2】
前記対象者用端末は、前記対象者用ボタンが所定時間以上押下されないときに、所定時間間隔で、前記対象者に対し前記対象者用ボタンを押下するように報知する報知手段を有した
ことを特徴とする請求項1記載の追尾サポートシステム。
【請求項3】
前記対象者用端末は、前記報知手段による報知が行われた後、前記対象者用ボタンの押下が検出されると、その後の前記報知を停止させる制御手段を有した
ことを特徴とする請求項2記載の追尾サポートシステム。
【請求項4】
前記対象者用端末の送信手段は、前記対象者用ボタンが押下されると、この押下を検出したことを示す押下検出信号を前記管理側装置へ送信し、
前記管理側装置の受信手段は、前記押下検出信号を受信し、
前記管理側装置の送信手段は、前記受信手段で前記押下検出信号が受信されてから所定時間以上、次の押下検出信号が受信されないときに、所定時間間隔で、前記通報先装置へ通報信号を送信する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の追尾サポートシステム。
【請求項5】
前記管理側装置は、前記通報信号を受信した通報先装置から返信があると、その後の前記通報を停止させる制御手段を有した
ことを特徴とする請求項4記載の追尾サポートシステム。
【請求項6】
前記管理側装置は、前記位置情報にもとづいて前記対象者用端末の所在地を算出する所在地算出手段を有し、
前記管理側装置の表示手段は、算出された所在地を示す記号を地図情報に重ねて表示する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の追尾サポートシステム。
【請求項7】
前記対象者用端末は、緊急時に押下される緊急ボタンを備え、
前記対象者用端末の送信手段は、前記緊急ボタンが押下されると、緊急信号を前記管理側装置へ送信し、
前記管理側装置の送信手段は、前記受信手段で前記緊急信号が受信されると、警報信号を所定の通報先装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の追尾サポートシステム。
【請求項8】
前記対象者用端末は、PHSデータ通信により所定の情報を送信する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の追尾サポートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−191410(P2012−191410A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52795(P2011−52795)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(504064180)株式会社アイデックス (1)
【Fターム(参考)】