説明

追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法および追尾式レーザ干渉測定装置

【課題】絶対距離計などの複雑な装置を利用することなく、簡単な機構を追加するだけで、追尾式レーザ干渉測定装置の機構の回転中心と標的との距離が長い場合でも絶対距離を高精度に計測できるようにする。
【解決手段】 標的31にレーザ光を照射するレーザ干渉計13と、レーザ干渉計13の出射方向を変える2軸回転機構11,12と、2軸回転機構11,12を制御してレーザ干渉計13で標的31を追尾させる追尾式レーザ干渉測定装置10の標的間絶対距離計測方法であって、並進移動機構14により、レーザ干渉計13を第1位置に配置し、この第1位置で標的31をレーザ光20で捕捉し、次に、レーザ干渉計13を第2位置へ移動させ、この第2位置で標的31をレーザ光21で捕捉し、標的31の固定位置、第1位置および第2位置を頂点とする三角形についての幾何学演算を行い、第1位置にあるレーザ干渉計13と標的31との絶対距離Lを計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法および追尾式レーザ干渉測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物の空間位置を追尾測定できる装置として、追尾式レーザ干渉測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
追尾式レーザ干渉測定装置は、水平な基準面における方位角および同基準面に対する仰角についての2軸の回転機構を用いて、レーザ干渉計を空間の任意方向に向けられるようにしている。そして、同空間内を任意に移動する再帰反射体を標的として追尾するとともに、回転機構の回転中心にある基準点と標的との距離の変動をレーザ干渉によって測定する。
このような追尾式レーザ干渉測定装置によれば、標的を測定対象物の表面に設定しておくことで、この測定対象物の空間位置および移動状態を測定することができる。
【0003】
追尾式レーザ干渉測定装置において、レーザ干渉計からのレーザ光線を再帰的に反射させるために、標的として再帰反射体が用いられる。
再帰反射体は、入力される光線と反射する光線が平行となるように作製された光学部品であり、その代表的なものはレトロリフレクタである。
追尾式レーザ干渉測定装置は、追尾動作を実現するために、射出する光線と標的で反射された光線とのずれ量(レーザ光軸直交方向の変位)をモニタする光線位置検出器を備えている。そして、標的の移動により発生したずれ量を、光線位置検出器の出力信号から検出し、前述したずれ量から換算される角度の調整量に応じて2軸の回転機構を作動させ、ずれ量がゼロになるように制御することで標的の追尾を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−057522号公報
【特許文献2】特開2007−309677号公報
【特許文献3】特開2009−229066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した標的の追尾動作において、位置のずれ量を角度の調整量に変換する過程において、追尾式レーザ干渉測定装置の2軸の回転機構の回転中心と標的との間の距離が既知である必要がある。
この距離を計測する方法として、絶対距離計を利用する方法や、あらかじめ距離が既知である点を起点とする方法など、いくつかの提案がなされている。
特許文献2は、付加的な装置を必要とせずにこの距離を計測する方法を開示する。
しかし、この方法では、光線のずれ量をモニタする光線位置検出器のダイナミックレンジが小さい場合に、距離が長くなると共に距離測定の精度が低下する問題がある。
特許文献3は、追尾中における制御量の変化量等を積算することにより、この精度低下を最小限とする方法を開示する。
しかし、この方法によっても、距離が長い位置において追尾が大きく外れた場合などに、距離を正確に再計測することには限界がある。
【0006】
本発明の主な目的は、絶対距離計などの複雑な装置を利用することなく、簡単な機構を追加するだけで、追尾式レーザ干渉測定装置の機構の回転中心と標的との距離が長い場合でも、その絶対距離を高精度に計測することができる、追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法および追尾式レーザ干渉測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法は、標的にレーザ光を照射するレーザ干渉計と、前記レーザ干渉計の出射方向を変える2軸回転機構とを有し、前記2軸回転機構を制御して前記レーザ干渉計で前記標的を追尾させる追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法であって、前記レーザ干渉計を配置可能な第1位置および第2位置を同じ測定軸線上に設け、前記測定軸線から離れた位置に前記標的を固定し、前記レーザ干渉計を第1位置に配置し、この第1位置で前記標的をレーザ光で捕捉し、前記レーザ干渉計を第2位置へ移動させ、この第2位置で前記標的をレーザ光で捕捉し、前記標的の固定位置、前記第1位置および前記第2位置を頂点とする三角形についての幾何学演算を行い、前記第1位置にある前記レーザ干渉計と前記標的との絶対距離を計測することを特徴とする。
【0008】
具体的な幾何学演算としては、第1位置および第2位置において標的に向けられたレーザ干渉計の向き(2軸回転機構の各軸が示す角度)と、第1位置および第2位置の距離とが解れば、これらの2つの角度と距離により三角形を特定し、正弦定理により各辺の長さを計算することで、第1位置にあるレーザ干渉計と標的との絶対距離を求めることができる。
この際、第1位置および第2位置においてレーザ干渉により標的の距離を測定する必要はなく、基準点計測の必要あるいは第1位置から第2位置までの移動を連続的に行う必要はない。従って、第1位置および第2位置においては、単にレーザ干渉計が固定できればよく、着脱可能な支持部分を測定軸線上に2箇所形成するだけでもよい。一方、連続的に移動させてもよく、測定軸線に沿ったガイドレール等の移動機構を設けてもよい。
【0009】
本発明の追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法において、前記測定軸線上に前記第1位置および前記第2位置と異なる第3位置を設け、前記第2位置で前記標的をレーザ光で捕捉した後、前記レーザ干渉計を第3位置へ移動させ、この第3位置で前記標的をレーザ光で捕捉し、前記標的の固定位置、前記第1位置および前記第2位置を頂点とする三角形についての幾何学演算とともに、前記標的の固定位置、前記第1位置および前記第3位置を頂点とする三角形についての幾何学演算を行うことが望ましい。
【0010】
このような第3位置を用いて2つの三角形に関する幾何学演算を行うことで、追尾式レーザ干渉測定装置の空間座標系に対する測定軸線の傾き等があっても、第1位置にあるレーザ干渉計と標的との絶対距離を正確に計測することができる。
すなわち、追尾式レーザ干渉測定装置の空間座標系に対する測定軸線の傾きは、2軸の回転機構に対応して水平な基準面における方位角および同基準面に対する仰角として表される。このような測定軸線の方位角および仰角は、測定および調整によりそれぞれゼロに近づけることができるが、2つの三角形に関する幾何学演算を行うことで測定軸線の傾きに影響されずに絶対距離の演算を行うことができる。
【0011】
本発明の追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法において、前記第1位置は前記追尾式レーザ干渉測定装置における前記レーザ干渉計の測定位置であることが望ましい。
このような構成では、演算で得られた第1位置の絶対距離をそのまま追尾式レーザ干渉測定装置での測定の基準として利用できる。
【0012】
本発明の追尾式レーザ干渉測定装置は、標的にレーザ光を照射するレーザ干渉計と、前記レーザ干渉計の出射方向を変える2軸回転機構とを有し、前記2軸回転機構を制御して前記レーザ干渉計で前記標的を追尾させる追尾式レーザ干渉測定装置であって、前記レーザ干渉計および前記2軸回転機構を、同じ測定軸線上にある第1位置および第2位置で支持可能な支持機構を有することを特徴とする。
【0013】
このような本発明では、レーザ干渉計および2軸回転機構を第1位置および第2位置で支持した状態で、それぞれレーザ干渉計で標的を捕捉することができる。このような2位置での標的の捕捉ができれば、前述した本発明の追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法に基づいて、第1位置にあるレーザ干渉計と標的との絶対距離を求めることができる。
【0014】
本発明の追尾式レーザ干渉測定装置において、
前記測定軸線に沿って延びるガイドレールを有し、前記レーザ干渉計は前記ガイドレールで案内されて前記測定軸線上を移動可能であることが望ましい。
【0015】
このような本発明では、レーザ干渉計をガイドレールで連続的に移動させるため、着脱等の操作が簡略にできるとともに、姿勢の精度も維持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法および追尾式レーザ干渉測定装置によれば、絶対距離計などの複雑な装置を利用することなく、簡単な機構を追加するだけで、追尾式レーザ干渉測定装置の機構の回転中心と標的との距離が長い場合でも、その絶対距離を高精度に計測することができる、
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の装置構成を示す斜視図。
【図2】前記実施形態の動作を示す斜視図。
【図3】前記実施形態における第1の測定を示す模式図。
【図4】前記実施形態における第2の測定を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔装置構成〕
図1において、本実施形態の追尾式レーザ干渉測定装置10は、空間を任意に移動可能なように支持された標的31の動的位置を追尾しつつ、その三次元位置を計測するものである。この標的31は、テーブル32に対して三次元に移動可能な図示されない移動機構に、ヘッド30を介して支持される。このような機構の具体例としては、例えばテーブルに対して主軸が三次元移動する工作機械などがあげられる。
標的31は、レトロリフレクタであり、ヘッド30に装着される。標的31としては他の再帰反射体であってもよい。
【0019】
追尾式レーザ干渉測定装置10は、2軸の回転機構11,12およびレーザ干渉計13を有する。
第1の回転機構11は、内部のエンコーダにより初期位置に対する現在の回転角度(方位角θ)を検出して信号出力する。
第2の回転機構12は、第1の回転機構11に支持され、内部のエンコーダにより初期位置に対する現在の回転角度(仰角φ)を検出して信号出力する。
【0020】
レーザ干渉計13は、第2の回転機構12に支持され、2つの回転機構11,12で指定される方角(方位角θ、仰角φ)に向けてレーザ光線を照射し、標的31で再帰反射されたレーザ光線20を受光し、照射光と反射光との干渉から回転機構11,12の回転中心(各々の回転軸の交点)と標的31との距離の変化を測定する。
これらの2軸の回転機構11,12およびレーザ干渉計13は外部接続された制御および測定演算用のコンピュータシステム(図示省略)により制御される。特に、レーザ干渉計13が標的31を捕捉している状態では、標的31が移動した場合でも標的31を自動的に追尾する。また、コンピュータシステムは、回転機構11,12およびレーザ干渉計13を駆動制御するとともに、必要な測定値を取り込み、形状処理に必要な演算処理を実行し、標的31の移動量ないし初期位置からの累積移動量に基づく現在位置を測定する。
【0021】
以上は追尾式レーザ干渉測定装置としての基本的な機能であり、既存の構成が用いられる。
追尾式レーザ干渉測定装置10は、支持機構としての並進移動機構14を有し、前述した2軸の回転機構11,12およびレーザ干渉計13は並進移動機構14により支持され、テーブル32上を所定の測定軸線に沿って移動可能である。
並進移動機構14は、測定軸線を規定する高精度なガイドレール、高精度な送り動作が可能な駆動機構、現在位置を高精度に検出するエンコーダを含む構成とすることができる。具体的には、いわゆるリニアステージ等を利用して並進移動機構14を構成することができる。
【0022】
〔第1の測定〕
図2において、追尾式レーザ干渉測定装置10における回転機構11,12の回転中心と標的31との絶対距離Lの測定は次のように行われる。
先ず、標的31をテーブル32上の空間の任意位置に配置するとともに、並進移動機構14を作動させ、回転機構11,12およびレーザ干渉計13を第1位置(図2の点線表示)に配置する。
次に、回転機構11,12およびレーザ干渉計13を作動させ、標的31の反射光線とレーザ干渉計13から射出光線20の位置のずれを、レーザ干渉計13の光位置検出器の出力がゼロになるように回転機構を調整する(第1位置での標的の捕捉)。
【0023】
続いて、並進移動機構14を作動させ、回転機構11,12およびレーザ干渉計13を既知の距離lだけ移動させる(図2の実線表示)。そして、回転機構11,12を再度作動させて光線21の位置のずれがゼロになるように同様な調整を行う(第2位置での標的の捕捉)。
回転機構11,12およびレーザ干渉計13が第1位置から第2位置へ移動しても、標的31は移動していないため、移動前のレーザ光線20と移動後のレーザ光線21とは標的31において角度αで交わるV字状をなす。そして、レーザ光線20,21の経路および並進移動機構14で移動された際の回転機構11,12の回転中心の回転中心の描く軌跡は三角形O0OTO1を構成する(図3参照)。
【0024】
図3において、並進移動の距離lを既知とし、三角形O0OTO1の頂点の角度α,β,γとすると、これらの角度を計測できれば、正弦定理を用いることにより求める距離Lを算出することができる。
【0025】
【数1】

…(1)
【0026】
式(1)を計算するために、まず角度αを求める。機構の回転中心から標的に向かう単位ベクトルをv0、並進移動後の機構の回転中心から標的に向かう単位ベクトルをv1とおく。追尾式レーザ干渉測定装置10の2軸の回転機構に関連付けられた回転位置検出器から出力される方位角θ,仰角φを、それぞれ第1位置および第2位置を示す添字付きで表示すればθ0,φ0,θ1,φ1となり、これらに基づきベクトルv0,v1はそれぞれ次式で表すことができる。
【0027】
【数2】

…(2)
【0028】
角度αはこれらの値を用いて、内積から次のように計算することができる。
【0029】
【数3】

…(3)
【0030】
従って、角度α、距離lが得られることになり、角度γ(または角度γを計算できる角度β)を求めることができれば、式(1)から距離Lを算出することができる。
前述したように、角度γまたは角度βは、それぞれ並進移動機構14の連続方向(測定軸線)と標的に向かうレーザ光線20,21(追尾式レーザ干渉測定装置10の内部座標系での単位ベクトルv0,v1)とのなす角度である。並進移動機構14の連続方向が、前述した追尾式レーザ干渉測定装置10の内部座標系のX軸線に一致していれば、前述した式(1)で距離Lが求められる。
【0031】
ところで、前述した式(1)のみで距離Lを求めるためには、並進移動機構14の連続方向と前述した追尾式レーザ干渉測定装置10の内部座標系のX軸線とが一致していることが必要である。
これに対し、以下のような第2の測定を行うことで、方位角オフセットθfおよび仰角オフセットφfに関わりなく絶対距離Lの測定を行うことができる。
【0032】
〔第2の測定〕
第2の測定としては、前述した2位置での標的31の捕捉と演算を2度実施する。
図4に示すように、第2の測定では、第1位置での標的31の捕捉に続いて並進移動機構14により回転機構11,12およびレーザ干渉計13を距離l1だけ離れた第2位置へ移動させ、標的31を捕捉して第1の三角形O0OTO1を形成する。第1の三角形O0OTO1は、頂点の角度α1、測定軸線に沿った底辺の長さがl1となる。
【0033】
さらに、これらを第2位置から距離l2だけ離れた第3位置へ移動させ、同様に標的31を捕捉して第2の三角形O0OTO2を形成する。第2の三角形O0OTO2は、頂点の角度(α1+α2)、測定軸線に沿った底辺の長さが(l1+l2)となる。
なお、第1〜第3の位置におけるレーザ光線の方向の単位ベクトルv0,v1,v2と測定軸線とのなす角は角度β,γ1,γ2とする。
【0034】
ここで、2つの三角形形O0OTO1,O0OTO2は、長さL(測定すべき絶対距離)の辺と角度βをなす頂点O0を共有している。
従って、それぞれの三角形に対して正弦定理を適用すると、次の2つの式が得られる。
【0035】
【数4】

…(4)
【0036】
【数5】

…(5)
【0037】
このうち、2つの角度α1,α2および距離l1,l2は、前述した第1の測定の手順により得ることができる。
また、三角形の内角の和をラジアンで表せばπであるから、角度γ1,γ2は角度α1,α2,βを用いて次のように変形できる。
【0038】
【数6】

…(6)
【0039】
【数7】

…(7)
【0040】
これらの式をそれぞれLについてまとめることで式(8)、式(9)から式(10)が得られる。
【0041】
【数8】

…(8)
【0042】
【数9】

…(9)
【0043】
【数10】

…(10)
【0044】
式(10)において、未知数はβのみなので、βを含む項についてまとめて変形し式(11)〜式(13)を得る。
【0045】
【数11】

…(11)
【0046】
【数12】

…(12)
【0047】
【数13】

…(13)
【0048】
式(13)を次の式(14)のように変形することにより、角度βを算出することができる。
【0049】
【数14】

…(14)
【0050】
最後に、角度βを式(6)に代入すれば、距離Lを計算する式(15)が得られる。これは式(1)と等価な式である。
【0051】
【数15】

…(15)
【0052】
以上に説明した本実施形態によれば、追尾式レーザ干渉測定装置10において、絶対距離計などの複雑な装置を用いることなく、並進移動機構14という簡単な機構を追加することによって、レーザ干渉計13の回転中心と標的31との間の絶対距離Lを計測することができる。
また、演算に用いる角度を推定するために必要な並進移動機構14の距離を長く取れるので、レーザ干渉計13の回転中心と標的31との間の絶対距離Lが長い場合においても、高精度にその絶対距離Lを計測することが可能になる。
【0053】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲の変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、支持機構である並進移動機構14は、リニアステージ等の装置を利用したものに限らず、他の駆動機構、ガイド機構、位置測定機構を備えたものであってもよく、あるいは駆動機構は手動としてもよい。
さらに、支持機構としては、並進移動機構14のように連続したガイド機構に沿って移動するものに限らず、例えば測定軸線に沿って複数の保持機構を配列し、何れかの保持機構を選択して回転機構11,12およびレーザ干渉計13が第1位置および第2位置をとれるような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法および追尾式レーザ干渉測定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0055】
10…追尾式レーザ干渉測定装置
11,12…2軸回転機構である回転機構
13…レーザ干渉計
14…支持機構である並進移動機構
20,21…レーザ光線
30…ヘッド
31…標的
32…テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的にレーザ光を照射するレーザ干渉計と、前記レーザ干渉計の出射方向を変える2軸回転機構と、前記2軸回転機構を制御して前記レーザ干渉計で前記標的を追尾させる追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法であって、
前記レーザ干渉計を配置可能な第1位置および第2位置を同じ測定軸線上に設け、
前記測定軸線から離れた位置に前記標的を固定し、
前記レーザ干渉計を第1位置に配置し、この第1位置で前記標的をレーザ光で捕捉し、
前記レーザ干渉計を第2位置へ移動させ、この第2位置で前記標的をレーザ光で捕捉し、
前記標的の固定位置、前記第1位置および前記第2位置を頂点とする三角形についての幾何学演算を行い、
前記第1位置にある前記レーザ干渉計と前記標的との絶対距離を計測することを特徴とする追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法。
【請求項2】
請求項1に記載した追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法において、
前記測定軸線上に前記第1位置および前記第2位置と異なる第3位置を設け、
前記第2位置で前記標的をレーザ光で捕捉した後、前記レーザ干渉計を第3位置へ移動させ、この第3位置で前記標的をレーザ光で捕捉し、
前記標的の固定位置、前記第1位置および前記第2位置を頂点とする三角形についての幾何学演算とともに、前記標的の固定位置、前記第1位置および前記第3位置を頂点とする三角形についての幾何学演算を行うことを特徴とする追尾式レーザ干渉測定装置の標的間絶対距離計測方法。
【請求項3】
標的にレーザ光を照射するレーザ干渉計と、前記レーザ干渉計の出射方向を変える2軸回転機構とを有し、前記2軸回転機構を制御して前記レーザ干渉計で前記標的を追尾させる追尾式レーザ干渉測定装置であって、前記レーザ干渉計および前記2軸回転機構を、同じ測定軸線上にある第1位置および第2位置で支持可能な支持機構を有することを特徴とする追尾式レーザ干渉測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載した追尾式レーザ干渉測定装置において、
前記測定軸線に沿って延びるガイドレールを有し、前記レーザ干渉計は前記ガイドレールで案内されて前記測定軸線上を移動可能であることを特徴とする追尾式レーザ干渉測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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