説明

送信されるマルチキャリア信号を提供する装置及び方法、並びに受信されたマルチキャリア信号から出力信号を提供する装置及び方法

送信点から受信点まで複数のキャリア周波数を介して送信されるマルチキャリア信号を提供するための装置が、一連の離散値から成り、2個以上の複数の下位信号を得るように入力信号を処理するプロセッサ(101)と、マルチキャリア信号を得るために、複数の下位信号の離散値を一連のキャリア周波数に割り当てるための割当て部(103)とを備え、割当て部が、第1の下位信号の一連の離散値を、第1のキャリア周波数で始まるS番目毎のキャリア周波数に割り当て、第2の下位信号の一連の離散値を第2のキャリア周波数で始まるS番目毎のキャリア周波数に割り当てるように動作し、第2のキャリア周波数は第1のキャリア周波数とは異なり、Sは下位信号の数に等しいか又はそれよりも大きい数を示す。異なる下位信号を異なるキャリア周波数に割り当てることにより、利用可能な帯域幅を効率的に利用できるようになる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気通信の分野に関し、特に、ダイバーシチ技術(diversity technique)を用いるマルチキャリア送信方式の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信においては、フェージングの有害な影響を緩和するために送信ダイバーシチ技術が使用される。1つの送信ダイバーシチ技術は、同じ信号が複数のアンテナから異なった遅延で送信されるという遅延ダイバーシチである。これは結果として、各送信アンテナから各受信アンテナまでの本来のサブチャネルと比較する場合、周波数選択性が向上した、従って周波数ダイバーシチが向上した入力チャネルに相当する。直交周波数分割多重化(OFDM)においては、送信機に取り入れられた周波数ダイバーシチを、受信機の中に組み込まれた前進型エラー訂正用デコーダ(forward error correcting decoder)が利用することができる。
【0003】
しかしながら、マルチキャリア送信システムの中に別の遅延を取り入れると、これは時間ダイバーシチを実現するために必要とされることが多いが、より長い保護間隔(guard interval)が必要とされ、結果として帯域幅の効率が減少される。この保護間隔が十分に長くない場合は、キャリア間の干渉が発生する可能性がある。しかしながら、保護間隔の長さが増加すると、保護間隔を情報の送信に利用することができないため、結果として帯域幅の効率が減少される。
【0004】
保護間隔を超えずに周波数の選択性を増加させることは、下記の文献の中で説明されるように、周期的遅延ダイバーシチ(cyclic delay diversity)を取り入れることによって実現することができる、すなわち、A. Dammann 及び S. Kaiserによる「Standard conformable antenna diversity techniques for OFDM systems and its application to the DVB-T system」、IEEE Globecom、ページ3100〜3105、2001年11月、A. Dammann 及び S. Kaiserによる「Low complex standard conformable antenna diversity techniques for OFDM systems and its application to the DVB-T system」、4th International ITG Conference on Source and Channel Coding、ページ 253〜259、2002年1月、並びにA. Dammann、R. Raulefs、及び S. Kaiserによる「Beamforming in combination with space-time diversity for broadband OFDM systems」、 IEEE Conference on Communications (ICC)、ページ 165〜171、2002年4月、である。前記文献の教示に基づいて、保護間隔が超えられないような周期的な方法で遅延が導入される。
【0005】
周期的遅延ダイバーシチが使用される場合、周期的に遅延されたデータのバージョンが、種々の送信アンテナから同時に送信され、複数の受信アンテナによって受信される。結果として生じた多重入力多重出力形(MIMO)チャネルが単一入力多重出力(SIMO)チャネルに効果的に変換されて、周波数の選択性が増加される。このため、空間ダイバーシチが周波数ダイバーシチに変換される。全体的なシステムの性能を向上させるために、送信機の中のデータのコード化がエラー訂正用デコーダによって行われる場合、周波数の選択性が増加することを利用することができる。
【0006】
周波数の選択性が増加することにより、チャネル評価は、幾つかの周波数帯域が他よりも一層減衰されるためより難しい仕事になる。本来のシステムと比較する場合、パイロット記号の数を増加させる必要があり、これは結果として帯域幅の効率を低下させてしまう。このため、2個の順次変調された記号を送信する間にチャネルが一定である限り、一連のチャネル評価を必要としない差分変調が魅力的になる。
【0007】
2003年にIEEE Proceedings on Communicationsに提出された、B. Allen、 F. Said、 G. Bauch、 G. Auer、 H. Aghvamiによる「Differential cyclic delay diversity for multi-carrier based transmission schemes」という題名の文献の中で提案されたように、差分変調を各サブキャリアに対して別個に使用することができる。しかしながら、前述した文献の中で開示された方法の不都合な点は、参照記号を各サブキャリアに先立って送信する必要があり、これは結果として完全なOFDM記号のオーバーヘッドを生じることである。このことは、特に、フレーム当たり複数のサブキャリアと比較的少数のOFDM記号とが要求される4G(4Gは第4世代を意味する)移動無線システムにおいては望ましくない。
【0008】
前述したように、保護間隔を超えずに周波数選択性を増加させることは、周期的遅延ダイバーシチを用いることによっても実現することができる。この方式は、下記の文献の中で分析されている、すなわち、A. Dammann、 P. Lusina、及び M. Bossertによる「On the equivalence of space-time block coding with multipath propagation and/or cyclic delay diversity in OFDM」、IEEE European Wireless、2002年、M. Bossert、A. Huebner、 F. Schuehlien、 H. Haas、及び E. Costaによる「On cyclic delay diversity in OFDM based transmission schemes」、OFDM Workshop、2002年、及び D. Gore、S. Sandhu、及び A. Paulrajによる「Delay diversity codes for frequency selective channels」、International Conference on Communications (ICC)、ページ 19498〜1953、 IEEE、2002年4月、である。
【0009】
周期的遅延ダイバーシチ及び差分変調の組合せが、2003年のIEEE Proceedings on Communicationsに提出された、B. Allen、F. Said、G. Bauch、G. Auer、H. Aghvamiによる「Differential cyclic delay diversity for multi-carrier based transmission schemes」という題名の文献の中で提案された。しかしながら、この文献では、各サブキャリアに対する差分変調が検討されている。このため、特定のサブキャリアが妨害されると、このキャリアを介して送信されるデータストリームはエラーなしとは検出されないため、ビットエラー率を増加させることになる。
【0010】
前述した従来技術の考え方のさらなる不都合な点は、周波数の選択性が増加したことにより、一連のチャネル評価に対してより高いパイロット記号のオーバーヘッドが必要になることである。この問題に対処するために、差分変調が代案として使用できる。その理由は、包括的なチャネル評価又はチャネル均等化方式なしで差分変調された信号を検出できるからである。
【0011】
さらに、小さい遅延及び小さい参照符号のオーバーヘッドを実現するために、周波数方向の差分変調が検討されている。非干渉性検出に対する要求事項は、チャネルが隣接するサブキャリアに対してほぼ一定であるということである。
【0012】
しかしながら、周期的遅延ダイバーシチは、隣接するサブキャリアのチャネル係数間の相関に影響する可能性がある。より具体的には、周期的遅延ダイバーシチは、例えば隣接するサブキャリアに関連したチャネル係数間の相関を小さくすることがある。このため、周波数方向における直接的な差分変調は不合格である。
【0013】
さらに具体的に言うと、送信される差分変調された信号の一連の離散的な値が、一連のキャリア周波数に割り当てられる場合、受信機においては、無相関のチャネル係数に関連した一連のキャリア周波数を介して送信された差分的にコード化された信号は、受信機における差分デコード方式によって再生することはできないため、結果としてビットエラー率が増加する。
【0014】
上記の難点を克服するために、送信機の中に追加のコーディングを加えることによって、別の冗長性を取り入れる。しかしながら、この方式は帯域幅の効率を低下させることになる。
【0015】
さらに、差分空間−時間変調を、下記の文献の中で説明されているように使用することができる、すなわち、B. Hochwald 及び W. Sweldenによる「Differential unitary space-time modulation」、IEEE Transactions on Communications、48(12):2041-2052、2000年12月、B. L. Hughesによる「Differential space-time modulation」IEEE Transactions on Information Theory、46(7):2567-2578、2000年11月、及びV. Tarokh 及び H. Jafarkhaniによる「A differential detection scheme for transmit diversity」、IEEE Journal on Selected Areas in Communications、18(7):1169-1174、2000年7月、である。しかしながら、この方式は、システムの複雑性を増加させることになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、マルチキャリア送信システムの中で、ダイバーシチ方式を用いて利用可能な帯域幅を効率的に利用するための考え方を提供することである。
【0017】
この目的は、請求項1に基づいてマルチキャリア信号を提供する装置によって、請求項12に基づいて受信されたマルチキャリア信号から出力信号を提供する装置によって、請求項26に基づいてマルチキャリア信号を提供する方法によって、請求項27に基づいて受信されたマルチキャリア信号から出力信号を提供する方法によって、又は請求項28によるコンピュータプログラムによって実現される。
【0018】
本発明は、マルチキャリア送信のシナリオの中で、送信されるそれぞれの信号が、受信機における効率的なチャネル周波数応答を特徴付ける相関されたチャネル係数に対応するそれぞれのキャリア周波数の集合に割り当てられるときには、利用可能な帯域幅を効率的に利用することができ、かつビットエラー率を減少させることができという発見に基づいている。
【0019】
特に、送信される信号を、上記の送信される信号を示す複数の下位信号(sub-signal)に分割することができ、それぞれの下位信号は複数の離散値を含むということが発見されている。送信される信号をコード化する代わりに、様々な下位信号が別個にコード化され、結果として生じたコード化された下位信号が相関されたチャネル係数に対応するキャリア周波数に割り当てられる。
【0020】
より具体的に言うと、それぞれのコード化された下位信号の複数の離散値が、利用可能なキャリア周波数の集合のキャリア周波数のサブセットに割り当てられることにより、ビットエラー率が低下される。それは、相関されたチャネル係数に対応するキャリア周波数のそれぞれのサブセットを経由して送信された下位信号が処理される、例えばコード化されるためである。例えば、第1の下位信号の離散値が区別を付けてコード化される場合、すなわち、情報の一部がコード化される下位信号の少なくとも2個の離散値によって決定される場合、送信される情報を特徴付ける離散値がキャリア周波数のサブセットに割り当てられる。受信機においては、無相関のチャネル係数による情報の損失は発生しないため、情報を効率的に再生することができる。
【0021】
好ましいことに、ダイバーシチを実現するために、複数の送信アンテナを使用して複数の下位信号を複数の送信点から送信する場合、本発明概念を適用することができる。受信点において、信号を傍受するために、1つ又は複数の受信アンテナを使用することができる。各アンテナに入射する信号には、送信点から複数の送信アンテナによって送信された下位信号の重ね合わせが含まれる。
【0022】
重ね合わされた信号のそれぞれには、それぞれが異なるサブセットのキャリア周波数を介して送信される、種々のキャリア周波数に割り当てられた離散値を有する複数の下位信号が含まれるため、それぞれの下位信号は周波数領域内で相関されたチャネル係数を有するそれぞれの通信チャネルを経由して送信される。
【0023】
デコーディングの前に、最大の信号能力(signal power)によって特徴付けられる受信された下位信号を選択するように受信されたそれぞれの下位信号を考慮するために、受信機では最大比率の結合を適用することができる。これにより、ビットエラーの可能性をさらに減少することができる。
【0024】
別の方法では、受信機においてもダイバーシチを実現できるので、僅か1つの送信アンテナと複数の受信アンテナとを用いる送信システムの中で、創意工夫に富んだ方式を適用することができる。本発明による処理システムが使用されるダイバーシチ方式とは無関係に送信される信号に適用されるため、この発明概念はそのようなシステムの中で率直に使用することができる。
【0025】
さらに、種々の下位信号が相関されたチャネル係数に対応するキャリア周波数を介して送信されるため、2個の一連の変調された記号の差分の情報のコーディングに基づいた差分コーディング又は変調方式(例えば、差分位相シフトキーイングDPSK又は差分振幅位相シフトキーイングDAPSK)を適用できる。この場合、一連のチャネル評価方式は必要ではない。この方式はさらに、システムの複雑性を減少させると共に帯域幅の効率を増加させる。その理由は、システムの複雑性を減少させる参照記号(トレーニング記号又はパイロット記号とも呼ばれる)をチャネル評価の目的のために順次送信する必要がないためである。
【0026】
本発明のさらに別の利点は、利用可能な帯域幅を、例えばOFDM送信方式が使用される場合、保護間隔を超えることなく効率的に利用できることである。
【0027】
単純で標準的な差分変調又はコーディング方式を使用できることは、対応する下位信号が相関されたサブチャネルに関連付けられたキャリア周波数によって送信されるため、本発明のさらなる利点である。このため、差分コーディング又は変調方式は、例えば差分空間−時間変調方式と比較する場合、単純化することができる。
【0028】
本発明によれば、送信されるデータストリームは、区別を付けてまた個別にコード化又は変調される複数のストリームに分割される。各ストリームのそれぞれのコード化された記号は、相関の高いサブキャリアを経由して送信され、例えば隣接するサブキャリアなどの相関が低いサブキャリアによって送信されることはない。
【0029】
周波数方向の標準的な差分コーディング又は変調をここで使用できるため、本発明の概念により、ただ1つの参照記号を例えばOFDMフレームごとに送信することが必要とされるだけであるため、チャネル評価に必要な参照記号をさらに減少することができる。このため、参照記号によるオーバーヘッド及びシステムの複雑性が最小にされる。さらに、標準的な方法と比較する場合、チャネル評価の目的のためにより少ない参照記号を送信することしか必要とされないため、帯域幅はより効率的に利用される。
【0030】
さらに、本発明の方法により、受信機における検出の遅れが縮小される。周波数方向のコーディング又は変調が好ましいため、種々の受信された値が同じ時刻に示され、同時に検出されることができる。従って、時間方向の差分変調と比較する場合、時間の遅れは縮小される。この場合、検出するために必要な一連の離散値は、様々な時刻に受信される。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態は、下記の図面に関連して詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、送信点から受信点まで複数のキャリア周波数を介して送信されるマルチキャリア信号を提供するための本発明による装置のブロック図を示す。
【0033】
図1の装置は、割当て部103に接続された複数の出力部を有するプロセッサ101を備え、この割当て部103も複数の出力部を有している。
【0034】
プロセッサ101は、図1に示された入力信号を処理して、プロセッサ101の出力部に送られる複数の下位信号を得るように作られている。これら複数の下位信号のそれぞれは、一連の離散値から成る。例えば、それぞれの下位信号は、最も小さい数の指数から始まり最も大きい数の指数で終わるナンバリング指数(numbering indices)を有する離散値の集合によって表される。このため、それぞれの下位信号の各値は、その出現の順序を定義するナンバリング指数によっても特徴付けられる。従って、それぞれの下位信号の一連の離散値は、一連のナンバリング指数に、例えば増加する又は減少する順序で割り当てることができる。
【0035】
プロセッサ101は、複数の下位信号を提供するために入力信号を増加するように動作する。この場合、それぞれの下位信号に加えられる付加的な情報は存在しない。このため、この複数の下位信号は、全体としてみると、入力信号と同じ情報量を含む。図1に示されたように、下位信号の数は2よりも大きい。しかしながら、下位信号の数は、2に等しくても良い。
【0036】
プロセッサ101が生成した下位信号は、プロセッサ101の複数の出力部を経由して割当て部103に提供される。図1に示されたように、下位信号(ストリーム)は割当て部103に並列で提供される。別の方法では、プロセッサ101は直列の下位信号を提供するように動作する。この場合、出力部の数は下位信号の数よりも小さくすることができる。
【0037】
割当て部103は下位信号(サブストリーム)を受け取り、マルチキャリア信号を得るために下位信号の様々な離散値を一連のキャリア周波数に割り当てる。さらに具体的に言うと、一連のキャリア周波数は、第1のキャリア周波数が第1のナンバリング指数に対応付けられるように、一連のナンバリング指数の集合にあるナンバリング指数に関連付けられる。この場合、第1のナンバリング指数は、一連のナンバリング指数の集合の中の最も小さいナンバリング指数に等しいかそれよりも大きい。このため、第2のキャリア周波数は、第2のナンバリング指数に関連付けられる。今後、「一連の」(successive)という用語は、一連のナンバリング指数に関連付けられたキャリア周波数が現れる順序を指す。割当て部103は、例えば第1の下位信号の一連の離散値を、第1のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当て、また例えば第2の下位信号の一連の離散値を第2のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てるように動作する。この場合、第2のキャリア周波数は第1のキャリア周波数とは異なっており、Sは下位信号の数に等しいか又はそれよりも大きい数を示す。換言すると、割当て部103は、それぞれの離散値をキャリア周波数のそれぞれのナンバリング指数に割り当てることによって、第1の下位信号の離散値をS番目毎のキャリア周波数に割り当て、また第2の下位信号の離散値をS番目毎のキャリア周波数に割り当てるように構成される。完全を期するために、例えばOFDM送信方式が使用される場合、割当て部103が提供するマルチキャリア信号は指数領域信号として考えられることに注意されたい。
【0038】
図2は、図1のプロセッサ101のブロック図を示す。
【0039】
プロセッサ101は、入力部と複数の出力部とを有するデバイダ201を備えている。このデバイダ201の出力部は複数の(好ましくは等しい数の)コーダ203に、デバイダ201の各出力部がそれぞれのコーダ203に接続されるように接続される。それぞれのコーダ203は入力部と出力部とを有し、出力部の数はプロセッサ101の出力部の数を形成する。
【0040】
デバイダ201は、図2に示された入力信号をそれぞれの出力部を介して複数の分割された信号に分離するようにまとめられる。換言すると、デバイダは入力信号の数を増やして、好ましいことに、それぞれが分割された信号を表す複数の入力信号のコピーを提供する。好ましいことに、デバイダ201は、信号をデマルチプレクスして複数のデマルチプレクスされた信号を作るためのデマルチプレクサをさらに備える。複数のデマルチプレクス信号は、複数の分割された信号として、デバイダ201の出力部に直接バイパスされる。別の方法では、デバイダ201が備えているデマルチプレクサによって提供された複数のデマルチプレクスされた信号の1つに対して、対応するデマルチプレクスされた信号のインターリーブされた信号として下位信号を提供するためのインターリーバを使用できる。この場合は、デマルチプレクスされた信号の複数のインターリーブされた信号が、図2に示された複数の分割された信号を表す。
【0041】
前述された(オプションの)インターリーバは、例えば、インターリーブされた信号の一連の離散値が無相関である、すなわちインターリーブされた離散値の均一なエネルギー分布であるように、インターリーブされるそれぞれの信号のそれぞれの離散値が現れる順序を順序付けるためのマトリックス構造を有する従来のインターリーバとすることができる。このインターリーバを、擬似ランダム形のインターリーバとして実現することもできる。
【0042】
コーダ203は、複数の下位信号を得るために分割された信号を別個にコード化するように構成される。コーダ203は、どのような種類の既知のコード化アルゴリズムも実行するように動作する。別の方式では、それぞれのコーダ203は、下位信号の値を得るために、複数の分割された信号の中の2個の信号値を結合するように動作する。例えば、各コーダ203は、それぞれ分割された信号の2個の続いて生じる信号値の差として情報をコード化するように動作する、分割された信号に利用される差分コーダである。
【0043】
プロセッサ101が発生した複数の下位信号は、図3に示すように、割当て部103に送られる。
【0044】
図3に示された割当て部103は、複数の入力部を有する。簡単にするために、図3は2個の入力部301及び303しか示していない。割当て部103は複数の出力部を有するが、ここでは出力部が8つの事例を検討する。
【0045】
特に、入力部301を経由する第1の下位信号及び入力部303を経由する第2の下位信号が、それぞれ割当て部303に提供される。入力部301を経由して提供される第1の下位信号は、実施例の目的のために、4つの係数[x(0),..., x(3)]によって表される。ここで、「x」はそれぞれの第1の下位信号の値を表し、丸括弧で囲まれた指数は下位信号値の集合の中の下位信号値のナンバリング指数を示す。
【0046】
また、第2の下位信号には、実施例の目的のために、4つの下位信号値[y(0),..., y(3)]が含まれる。図3に示された実施形態によれば、情報を送信するために、8つのキャリア周波数c(0),..., c(7)が使用される。割当て部103は、第1の下位信号の一連の離散値を、c(0)で表されるキャリア周波数で始まる全ての第2のキャリア周波数に割り当てる。言い換えると、第1の下位信号の一連の離散値は、「偶数」のキャリア周波数に割り当てられる。このため、第2の下位信号の離散値は、c(1)で表されたキャリア周波数で始まる全ての第2のキャリア周波数に割り当てられる。前述された実施例に続いて、第2の下位信号の離散値が「奇数」のキャリア周波数に割り当てられる。
【0047】
割当て部103は、複数の下位信号によって決定される深さを有するインターリーバとすることができる。例えば、割当て部103は、S個の行と、キャリア周波数の数をSで割ることによって決定される数の列とを有するブロック形インターリーバである。ここで、Sは下位信号の数を表す。基本的な設計にもよるが、割当て部103は、前述されたブロック形インターリーバの構造に置き換えられる構造を持つことができる。言い換えると、割当て部は、S個の列と、キャリア周波数の数をSで割って決定される数の行とを有することができる。このため、割当て部103は、大きさSxNS/Sのマトリックス構造を有する。ここで、データはマトリックスの行方向に書き込まれ、マトリックスの列方向から読み取られる。別の方法では、割当て部103は、前述のように逆マトリックス構造を有する。このため、サブキャリアへの割当ては、ブロックインターリーブ(block interleaving)によって実現される。
【0048】
図4は、本発明のさらに別の実施形態による送信機のブロック図である。
【0049】
図4の送信機は、FECエンコーダ401を備えている(FEC=前進型エラー信号訂正(forward error correction))。このFECエンコーダ401は、入力部及び出力部を有する。FECエンコーダの出力部は、インターリーバ403に接続される。インターリーバ403は、デマルチプレクサ405(DEMUX)に接続される出力部を有する。
【0050】
デマルチプレクサ405は、複数の出力部を有する。ここで、複数の出力部のそれぞれは、対応するインターリーバ407に接続される。それぞれのインターリーバ407は、それぞれコーダ409に接続される出力部を有する。ここで、各コーダ409は、差分変調器又は差分コーダとすることができる。
【0051】
完全を期するために、本願では、図4の装置は複数の独立した経路を備え、これらの独立した経路のそれぞれがデマルチプレクサ405の出力部に対応することに注意されたい。
【0052】
それぞれのコーダ409は出力部を有し、複数のコーダ409の複数の出力部は、割当て部411に並列に接続される。割当て部411は、変換器(transformer)413に接続される複数の出力部を有する。この変換器413は、増加点(multiplying point)415に接続される出力部を有する。
【0053】
増加点において、信号経路は複数の経路に分割され、これらの複数の経路は、nTで示された複数の送信アンテナに対応する。さらに、保護間隔を取り入れるための手段419が各信号経路に接続されている。
【0054】
複数の経路の中の第1の経路417は、保護間隔を取り入れるための対応する手段419に直接接続されている。第2の信号経路421は、遅延を取り入れるために対応する手段422を経由して保護間隔を取り入れるための対応する手段419に接続される。このようにして、信号経路423は、遅延を取り入れるための対応する手段422を経由して、保護間隔を挿入するために対応する手段419に接続される。
【0055】
要約すると、図4に示された装置は、遅延を取り入れるための複数の同一の手段422を有し、これらの遅延を取り入れるための複数の手段422は複数の送信アンテナに等しい。図4に示されたように、各経路は保護間隔を取り入れるために対応する手段419に接続されるため、図4の装置は送信アンテナの数に等しい保護間隔を取り入れるための複数の手段419を有する。保護間隔を取り入れるための手段419のそれぞれは、複数の送信アンテナの中のそれぞれの送信アンテナ425に供給される出力を有する。
【0056】
ここで、保護間隔を取り入れるためのそれぞれの手段419の出力は、以下の説明を簡単にするためにまた本発明の装置のまさに原理を例示するために、それぞれの送信アンテナ425に直接供給されることに注意されたい。実際には、保護間隔を取り入れるための手段419の出力は、フィルタ処理や増幅などのディジタル及びアナログのどちらの信号処理にも関連する複数のさらなる手段を介して、それぞれの送信アンテナ425に接続される。
【0057】
以下に、図4の装置の機能性が説明される。
【0058】
エンコーダ401の入力部のデータが、最初にコード化される。このエンコーダ401は、リード・ソロモン・コーディング(read Solomon coding)又は従来のコード化(コーディング)を実行する前進型エラー信号訂正用エンコーダとすることができる。コード化の後で、エンコーダ401の出力部のコード化されたデータは、(オプションで)インターリーバ403によってインターリーブされる。このインターリーバ403は、当業者に周知のマトリックス構造又は擬似ランダム構造を有する従来のインターリーバとすることができる。別の方法では、エンコーダ401の出力は、デマルチプレクサ405に直接接続される。
【0059】
デマルチプレクサ405は、入力信号をデマルチプレクスして、この入力信号がデマルチプレクサ405の複数の出力部を経由して供給されるS個のストリームに分割されるように構成される。選択自由であるが、各ストリームは対応するインターリーバ407によってインターリーブされる。
【0060】
デマルチプレクサがデコードされたデータストリーム(入力信号)をS個のストリームに分割するため、デマルチプレクサ405は直列−並列(S/P)変換器のように形成される。この場合、Sはデマルチプレクサ405が供給する下位信号の数を指す。別の方法では、他のマッピングも可能である。例えば、デマルチプレクサ405は、入力信号の一連の離散値を同じストリームに割り当てるように動作する。
【0061】
インターリーバ407が提供する(インターリーブされた)ストリームは、エンコーダ409によってコード化される。このエンコーダ409は、インターリーバ407のそれぞれの出力部によって、又はインターリーバ407がバイパスされる場合は、デマルチプレクサ405のそれぞれの出力部によって供給されるそれぞれのサブストリームを差分コード化するように構成される。
【0062】
前述のように、エンコーダ409は、差分コード化又は差分変調、例えば差分位相シフトキーイング又は差分増幅位相シフトキーイングを実行できる。エンコーダ409の出力部は、S個の下位信号を割当て部411に供給する。割当て部411は複数の出力部を有し、各出力部は図4で示されたマルチキャリア送信システムの中で信号を送信するために使用される(離散的な)キャリア周波数に関連付けられる。割当て部411はNS個の出力部を有し、NSはキャリア周波数の数を表す。割当て部411は、送信されるマルチキャリア信号を複数の出力部を経由して変換器413に供給する。この変換器413は、周波数領域/時間領域の変換を実行するように動作する。例えば、変換器413は、2〜3の変換の例を挙げると、逆フーリエ変換、逆離散型フーリエ変換、又は逆高速フーリエ変換を実行するように動作する。随意的に、変換器413は並列−直列変換器(P/S)を備えるため、変換された信号は変換器413の出力部を経由して増加点415に供給される。
【0063】
増加点415において、変換された信号に含まれた情報を複数の送信アンテナを経由して送信するための変換された信号の複数のコピーが提供される。
【0064】
図4の実施形態では、複数の信号を別個のアンテナを経由して送信することによってダイバーシチを取り入れるために、周期的遅延ダイバーシチが適用される。変換された信号の各コピーは、複数の離散値の最も小さいナンバリング指数を有するある離散値で始まる複数の離散値から構成される。遅延を取り入れるための手段422は、ある値が最も小さいナンバリング指数よりも大きいナンバリング指数になるように離散値を再順序付けすることによって、変換された信号のコピーを移動するように動作する。言い換えると、遅延される変換された信号のコピーは、複数の離散値によって周期的に移動される。その結果、変換された信号のコピーは互いに周期的に移動される、すなわち変換された信号の各後に来るコピーは前のコピーに対して(周期的に)移動(遅延)される。
【0065】
その後、送信される信号は、保護間隔を挿入するためにそれぞれの手段419に与えられる。OFDM送信システムが検討される場合、当業者は周知のように、手段419は送信されるそれぞれの信号の複数の最後の係数をその最初に追加するように動作する。保護間隔を形成する複数の係数は、結果として生ずる保護間隔の持続時間が、送信アンテナ425の1つから受信点までの送信経路によって決定される複数のチャネルの最大持続時間よりも短くならないように選択される。
【0066】
本発明によれば、手段422が取り入れた周期的遅延を、サブキャリアのチャネル係数が固定した距離と高い相関を有するように選択することができる。本発明によれば、図4に示すように、データは別個に変調されるS個のストリームに分割される。本発明によれば、変調されたストリームは、高い相関関係のサブキャリア(周波数キャリア)を介して送信される。例えば、2個の送信アンテナに対して2個の経路が生成される、すなわち変換された信号は2個の同一の信号に、言い換えると変換された信号の第1及び第2のコピーに分割される。この場合、変換された信号の第2のコピーを第1のコピーに対して移動するために、遅延を取り入れるために1つの手段422だけが利用される。
S/2に等しい周期的遅延が選択されることが好ましい。ここで、NSはサブキャリア
【0067】
の数である。この場合、2個のストリームだけが生成される。例えば、一方のストリームは偶数のサブキャリア上で送信され、他方のストリームは奇数のサブキャリアで送信される。この場合、受信機において差分変調又はデコーディング方式を正しく適用するために、第2のストリームに必要な1つの別の参照記号を送信する必要がある。
【0068】
以下に、本発明の概念に関する周期的方式を詳細に説明する。ここでは、NT個の送信アンテナ及びNR個の受信アンテナを有する多重入力多重出力形(multiple-input-multiple-output)(MIMO)チャネルが検討される。
【0069】
送信アンテナnから受信アンテナmへの時間tにおけるインパルス応答は、下記のように1xNSのベクトルによって与えられる。
【数1】

ここで、Dはチャネルのメモリを指す。
【0070】
周期的遅延ダイバーシチの原理を説明するために、図5を参照する。
【0071】
図5の装置は、インターリーバ403に接続されたエンコーダ401を示す。インターリーバ403の出力は、マルチキャリア信号を提供するために本発明の装置501に接続される。図4に示された実施形態と比較すると、本発明の装置501はデマルチプレクサ405、複数のインターリーバ407、複数のエンコーダ409及び割当て部411を含む。マルチキャリア信号が、変換器413に与えられる。変換された信号は、増加点415において複数の変換された信号のコピーに増加される。コピーの数は、送信アンテナ425の数に一致する。
【0072】
図5に示すように、信号経路417によって与えられる信号は、変換器413によって与えられる変換された信号に等しい。手段422によって取り入れられた移動のために、信号経路421を経由して与えられる変換された信号のコピーは、1つの係数によって移動される。このため、信号経路423に対応する変換された信号のコピーは、信号経路421に対応する移動されたコピーに関連する1つの係数によって移動される。図5に示すように、遅延を取り入れる手段422は、それぞれ左移動を行うように動作する。別の方法では、手段422は右移動を行うように動作する。さらに、信号を移動させる複数の係数は変数であり、2よりも大きい。
【0073】
一般に、データは例えば前進型エラー信号訂正用エンコーダFEC401によってコード化され、インターリーブされる。インターリーバ403の後段で(随意的に)、コードビットは例えばQAM(QAM=直交振幅変調)又はPSK(PSK=位相シフトキーイング)記号により変調される。次に、大きさNSの逆高速フーリエ変換(IFFT)を実行するように動作する変換器413を用いて、OFDMが実行される。ここで、NSはサブキャリアの数である。IFFT413の出力記号は、
【数2】

t=0,...,NS−1によって表される。各アンテナは、種々の周期的遅延△n,n=1,...,nTを取り入れる、すなわち、時間tにおけるアンテナからの送信記号は下記の式によって与えられる。
【数3】

【0074】
送信が行われる前に、各送信アンテナにおいて、周期的な保護間隔(GI)がそれぞれの手段419によって含まれる。
【0075】
図5のシステムは、
【数4】

の受信アンテナm,m=1,...,nR,にインパルス応答が
【数5】

によって与えられる1つの送信アンテナを有する周波数選択されたチャネルを介してシーケンス
【数6】

を送信することに等しい。
【0076】
図5に示すように、送信アンテナ425は、信号を上記で検討された受信アンテナ503に送信する。
【0077】
図6は、受信される信号が入射する受信アンテナ503を有する対応するOFDM受信機の構造を示す。次に、受信された信号は、図6には図示されていない複数のさらに別の処理手段を介して、保護間隔を除くための手段601に与えられる。この保護間隔を除くための手段601は、高速フーリエ変換(FFT)を実行することはできない時間−周波数変換器603に接続される。変換器603の出力部における変換された信号は、復調するために手段605に与えられる。復調するための手段605は、出力部が前進型エラー信号訂正用デコーダ609に接続されたインターリーバ607に接続される。特に、この復調するための手段605は、送信機の中で実行される動作とは逆の動作を行う。
【0078】
基本的に、周期的遅延ダイバーシチは、多重入力多重出力形(MIMO)チャネルを、周波数選択性が増加された単一入力多重出力形(SIMO)チャネルに変換する、すなわち、空間ダイバーシチが周波数ダイバーシチに変換される。この効果は、図7a及び図7bに例示されている。
【0079】
図7aの上側の図面では、周波数に対するチャネル係数H(f)の絶対値が示されている。ここでは、平坦なフェージングチャネルのシナリオが検討される。図7aの下側の図面では、周波数に対する対応するコード化されないエラー率が表されている。図7aでは、平坦なフェージングチャネルが検討されているため、コード化されないエラー率は、実施例に過ぎないが、周波数に対する縦線に従う。
【0080】
図7bでは、周期的遅延ダイバーシチによって取り入れられた変換が例示されている。
【0081】
図7bの上側の図面では、チャネル係数の絶対値が周波数に対して示されている。明らかに、チャネルは平坦なフェージングチャネルから、エネルギーが増加された係数とエネルギーが減少された係数とを有する周波数選択的なチャネルに変換されている。対応するコード化されないエラー率が、図7bの下側の図面に示されている。図に示すように、コード化されない(ビット)エラー率は、サブキャリアに対して一定ではない。しかしながら、コード化されない送信に対する平均のビットエラー率は、図7aで検討された平坦なフェージングチャネルの場合と同様になるであろう。それにもかかわらず、外部の前進型エラー信号訂正デコーダは、利用可能な周波数ダイバーシチを取り出すことができる。
【0082】
前述したように、標準的な方法は、周波数の選択性が増加することにより、より多くのパイロット記号がチャネルの評価に必要とされることになり、このことが帯域幅の効率を減少させるという事実に悩んでいる。前述した標準的な方式と比較して帯域幅の効率を増加するために、この発明の概念は非干渉的に検出することができる差分変調に基づいている。情報は2個の順次変調された記号の差の中でコード化されるため、非干渉性の復調器は、2個の一連の記号を送信している間は理想的にはチャネルが変化しないことを必要とする。
【0083】
大抵の用途では、チャネルは、2個の一連のOFDM記号を送信する間は、各サブキャリアに対してほぼ時間に独立していると仮定することができる。このため、各サブキャリア上の別個の差分変調を利用することができる。しかしながら、参照記号を各サブキャリアに先立って送信する必要がある、すなわち、第1のOFDM記号は参照記号のみを含み、この参照記号は特に、フレーム当たり複数のサブキャリア及び比較的少数のOFDM記号が期待される4Gの移動無線システムでは、かなりオーバーヘッドである。この問題を処理するために、本発明によれば、周波数方向の差分変調を利用することができる。例えば、差分変調された記号は、図8の矢印により示したように、隣接する又は隣接しないサブキャリア上で送信される。
【0084】
図8には、本発明による装置のさらに別の実施形態が示される。
【0085】
図8の装置は、上記の説明に基づいて動作する本発明によるプロセッサ801を備えている。図8に示すように、このプロセッサ801は、本発明に基づいて複数の下位信号を割当て部803に直列で提供するための出力部を有する。割当て部803は、マルチキャリア信号を変換器805に送るための複数の出力部を有する。この変換器805は、並列−直列変換器(P/S)807に接続された複数の出力部を有する。P/S変換器807は、直列信号を送信するための出力部を有する。
【0086】
プロセッサ801は、差分変調された(又は、差分コード化された)下位信号を提供するように動作することができる。周波数方向の差分変調により、受信機内のチャネル評価を行うために、フレーム当たり1つの参照記号しか必要とされない。このため、割当て部803は、図8の矢印で示すように、チャネルの評価を行うために参照記号を対応するサブキャリアに割り当てるように動作する。言い換えると、評価されるチャネル係数に関連する対応するキャリア周波数に参照記号がマップされるように、割当て部803はマッピングを実行する。
【0087】
しかしながら、周期的遅延ダイバーシチのために、隣接するサブキャリアのチャネル係数H(m)k(d)の相関性は低い。受信アンテナmのk番目のOFDM記号におけるd番目のサブキャリアの結果として生じたチャネル係数は、下記の式によって与えられる。
【数7】

ここで、
【数8】

は、チャネルのインパルス応答のフーリエ変換である。
【0088】
T=2の送信アンテナ及び周期的遅延△2=NS/2に対して、下記の式に従う。
【数9】

【0089】
図9は、平坦なフェージングチャネルの場合の、2個の送信アンテナを備え周期的遅延△2=NS/2の周期的遅延ダイバーシチに対して結果として生じたチャネルの周波数応答を例示する。図9から分かるように、結果として生じたチャネルの周波数応答の絶対値は、第1の値と第2の値との間を変動する。ここで、第2の値は第1の値よりも小さい。
【0090】
相関マトリックスを下記の式と仮定すると、
【数10】

第1のサブキャリアに対する関連する相関関数R(m)1dは、図10に示される。相関関数の値が0(相関が取れないチャネル係数の特性を示す、ここで「1」は相対値を意味する)と1(チャネル係数が完全な相関関係にあることを特徴付ける)との間を変化することが分かる。これにより、1つおきのサブキャリアのチャネル係数は相関関係にあるが、一方隣接するサブキャリアは無相関である。その結果、これらの結果を考慮しない周波数方向の標準的な差分変調は失敗するであろう。
【0091】
図10に示した相関関数の特徴は、前述した問題を回避するための本発明の概念を例示している。例えば、2個のアンテナの場合では、データを別個に差分変調される2個のストリームに分割することができる。ここで、一方のストリームは偶数のサブキャリアを通って送信され、他方のサブキャリアは奇数のサブキャリアを介して送信されるため、対応するストリームの値は常に相関関係のあるキャリアを介して、例えば周波数領域の中の相関関係のあるチャネル係数に関連したキャリア周波数を介して送信される。
【0092】
この概念は、図9のチャネル係数を示す図11に例示されている。第1の値に近付く絶対値を有するチャネル係数は、差分コード化されたストリーム1を送信する場合に適用されるキャリア周波数を決定することが、付加的に示されている。従って、第2の値に近付く絶対値を有するチャネル係数は、差分コード化されたストリームを送信する場合に適用されるキャリア周波数を決定する。前述したように、チャネルを評価するために、別の参照記号が第2のストリーム(ストリーム2)のために必要とされる。
【0093】
以下に説明されるように、周波数選択チャネルに対して同様の結果を得ることができる。
【0094】
図12は、周波数選択チャネルの場合に、2個の送信アンテナ及び△2=NS/2による周期的遅延を有する周期的遅延ダイバーシチに対して2個のストリームを用いる差分コード化方式を例示する。図11で検討された平坦なフェージングチャネルとは対照的に、チャネル係数の絶対値は周波数の増加と共に変化する。しかしながら、前述した周期的遅延ダイバーシチに関しては、全ての第2のチャネル係数が相関される。このため、全ての第2のキャリアは差分コード化されたストリーム1の送信に適用され、また全ての第2のキャリアは差分コード化されたストリーム2の送信に適用される。
【0095】
図12に表された周波数応答の絶対値は、各送信アンテナから各受信アンテナまでの平均電力が等しい、D+1=3の独立したフェージングタップh(nm)t(d)を有するチャネルによって決定される。本来のチャネル(すなわち、ダイバーシチ効果のないチャネル)の周波数選択性のために、1つおきのサブキャリアのチャネルタップH(m)k(d)はもはや同一ではない。しかしながら、本来のチャネルが3つの隣接するサブキャリアにわたってほぼ一定である場合、平坦なフェージングチャネルの場合と同じ差分変調の方式を適用できる。
【0096】
例えば、△2=NS/4の周期的遅延が選択される場合、用語
【数11】

は4つの異なる値を取ることができる、すなわち平坦なチャネルでは、結果として生じた周波数領域のチャネルH(m)kの4つの異なるチャネルの状態を観察することができる。このため、4つの別個の差分変調されたストリームを利用することができる。一般に、ストリームの数は、異なるチャネルの状態H(m)k(d)の数Sによって与えられる。このチャネルの状態H(m)k(d)は、平坦なフェージングチャネルに対する上記の式、すなわち、下記の式から結果として生ずる。
【数12】

【0097】
図13は、図12の周波数選択チャネルに対して2個の送信アンテナと周期的遅延△2=NS/2とを有する周期的遅延ダイバーシチに対する相関関数R1dを示す。この相関関数が、相関されたチャネル係数を特徴付ける値を有することが分かる。これらの値は、相関が取れないチャネル係数を特徴付ける相関関数の値よりも大きい。
【0098】
この時点までに、マルチキャリア信号を提供する本発明の装置は、送信機の中に取り入れられた周期的遅延ダイバーシチの状況の中で検討された。しかしながら、本発明の方式は適用されるダイバーシチ方式に関連する効果を考慮に入れるように、送信される信号を前処理することに基づいているため、本発明の概念は他のダイバーシチ方式が使用される場合にも適用することができる。例えば、位相シフトを周波数/時間変換の前にマルチキャリア信号に取り入れることによって、ダイバーシチを導入することもできる。このため、NT個のアンテナシステムについては、NT個の周波数領域/時間領域の変換を実行する必要がある。
【0099】
本発明の概念を、位相ダイバーシチの場合にもさらに適用することができる。位相ダイバーシチを取り入れるために、本発明による装置は、その後の位相シフトに必要なマルチキャリア信号のコピーを生成するための手段をさらに備える。このため、位相シフトされた信号をマルチキャリア信号から位相シフトによって引き出すことができる。次に、周波数領域/時間領域の変換器は、マルチキャリア信号から取り出すことができる信号を、前述したような単純な方法で変換された信号に変換する。
【0100】
前述したように、マルチキャリア信号から取り出すことができる信号を提供するために、本発明の装置は、マルチキャリア信号から取り出すことができる信号を提供するために、マルチキャリア信号のコピーを提供するための手段及びマルチキャリア信号のコピーを位相シフトするための手段を含む信号を提供するための手段を備える。
【0101】
受信機においては、好ましいことに複数の受信アンテナが信号を受信するために使用される。一般に、保護間隔を除いた後のOFDM送信の場合では、対応する受信されたマルチキャリア信号を提供するために、時間領域/周波数領域の変換が各受信アンテナに対応する各信号に対して適用される。
【0102】
図14は、1つ又は複数の受信アンテナによって受信されて結果として生じた信号のマルチキャリア信号から出力信号を提供するための本発明による装置のブロック図を示す。マルチキャリア形送信方式、例えばODFM方式の場合では、受信されたマルチキャリア信号には、マルチキャリア方式のキャリア周波数に対するスペクトル係数が含まれる。このスペクトル係数は、一連の離散値で構成される複数の下位信号を得るために入力信号を処理することから形成される。ここで、複数の下位信号は全体としてみると入力信号と同じ情報を有し、下位信号の数は2に等しいか又は2よりも大きい。入力信号は、複数の下位信号の離散値を次に来るキャリア周波数に割り当てて、マルチキャリア信号を得ることによってさらに形成される。ここで、第1の下位信号の一連の離散値は第1のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、第2の下位信号の一連の離散値は第2のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、第2のキャリア周波数は第1のキャリア周波数とは異なり、Sは下位信号の数に等しいか又はそれよりも大きい数を示す。
【0103】
受信されたマルチキャリア信号は、例えば前述した本発明の装置を含む送信機によって発生することができる。
【0104】
出力信号を提供する装置は、複数の入力部及び複数の出力部を有する再割当て部(re-assigner)1401を備えている。再割当て部1401の出力部は、出力信号を提供するための出力部を有する再処理装置(re-processor)1403に接続される。
【0105】
下記の中で、図14に示した装置の機能性が説明される。
【0106】
再割当て部1401は、前述した割当て部の動作とは逆の動作を実行するように構成される。特に、スペクトル係数は、ナンバリング指数の集合の中のナンバリング指数に関連付けられる。再割当て部は、複数の下位信号から第1の下位信号の受信された信号を提供するために、第1のナンバリング指数を有するスペクトル係数から始めてS番目毎のスペクトル係数を選択するように動作する。別の方法では、割当て部は、複数の下位信号から第2の下位信号の受信された信号を提供するために、第2のナンバリング指数を有するスペクトル係数から始めてS番目毎のスペクトル係数を選択するように動作する。ここで、第1のナンバリング指数は、第2のナンバリング指数とは異なっている。Sは、下位信号の数を表す。
【0107】
再割当て部1401は、スペクトル係数を複数の下位信号の中のそれぞれの下位信号の受信された信号にマッピングするマッパー(mapper)とすることができる。例えば、再割当て部1401は、インターリーバ又はマトリックス構造を有するブロック形インターリーバとすることができる。例えば、再割当て部1401は、本発明の割当て部に関連して前述したように、S個の列と、マルチキャリア方式のキャリア周波数の数をSによって割って決定される数の行とを有する、又は逆の場合も同様のブロック形インターリーバである。
【0108】
複数の下位信号の受信された信号は、再割当て部1401の出力部を経由して再処理装置1403に送られる。この再処理装置1403は、送信機の中で実行される本発明によるプロセッサに関連して説明された動作とは逆の動作を行うことができる。送信機において、入力信号を2に等しい又は2よりも大きな数の下位信号に分割することによって、また複数の下位信号を得るために、それぞれの分割された信号をデコーディングすることによって複数の下位信号が形成される場合、再処理装置1403は、複数のデコードされ受信された下位信号を提供するために、受信された下位信号を別個にデコードするための手段を備える。この場合、受信された下位信号は、再割当て部1401によって複数の下位信号の受信された信号として提供される。さらに、再処理装置1403は、入力信号の受信された信号を得るために、出力信号として複数のデコードされた下位信号を結合するための手段を備えることができる。結合するための手段は、複数のデコードされた下位信号を出力信号のストリームにデマルチプレクスするデマルチプレクサとすることが好ましい。
【0109】
送信機において、分割された信号が下位信号の値を得るために、2個の分割された信号値を結合することによってコード化される場合、本発明の再処理装置1403が備えるデコーディングするための手段は、受信された下位信号に対して、デコード及び受信された下位信号の値を提供するために、2個の受信された下位信号の値を結合するように動作する。特に、分割された信号が差分コード化される場合、デコーディングするための手段は受信された下位信号に対して、コード化(コーディング)に関連した動作とは逆の動作を行う差分デコーダをさらに備える。さらに、送信機においてインターリービングが使用される場合、再処理するための手段は、デコード及び受信された下位信号に対してインターリーブされデコード及び受信された下位信号をデコード及び受信された下位信号として提供するためのインターリーバを備える。複数のデコードされ受信された下位信号は、前に説明したように、結合するための手段が備えるマルチプレクサによる出力信号として、多重化され受信された信号にさらに多重化される。
【0110】
一般に、本発明の装置は、マルチキャリア信号と同じ情報の内容を有する別のマルチキャリア信号を受信するように構成することができる。この場合、本発明による再割当て部はさらに、別の受信されたマルチキャリア信号を再割り当てして、複数の下位信号の別の受信された信号を得るように動作することができる。この場合は、再処理装置は出力信号を提供する場合、複数の下位信号の別の受信された信号をさらに使用するように適合される。
【0111】
再処理装置は、前述したように、出力信号の一連の値に対してソフトな値(soft value)を出力するようにさらに構成することができる。
【0112】
図15は、マルチストリーム(multi-stream)の差分変調を行う周期的遅延ダイバーシチに対する本発明による受信機の構造のブロック図である。
【0113】
図15の装置は、それぞれの受信された信号経路を決定する複数の受信アンテナ1501を備えている。それぞれのアンテナ1501を経由して受信された信号は、OFDM変調方式に関連した保護間隔を取り除くためのそれぞれの手段1503に送られる。保護間隔を取り除くための手段1503の各々は、時間/周波数変換器1505に接続された出力部を有する。変換器1505は、単に実施例として示すと、高速フーリエ変換(FFT)、離散高速フーリエ変換、離散フーリエ変換、又は任意の他の時間領域/周波数領域の変換を実行するように動作する。
【0114】
変換器1505のそれぞれは、検討される信号経路に関連したそれぞれの再割当て部1507に接続された複数の出力部を有する。本発明のそれぞれの再割当て部1507は、下位信号の数Sによって決定される複数の出力部を有する。全体で、nR個の再割当て部1507が使用される。ここで、nRは受信アンテナ1501の数を指す。再割当て部1507の後段には、S個のデコーダ1509が配列される。それぞれのプロセッサ1509は、下位信号のnR個の受信された信号を受信するためにnR個の入力部を有する。より具体的に述べると、デコーダ1509のそれぞれの複数の入力部のそれぞれは、同じ下位信号のnR個の受信された信号を収集するために別個の再割当て部1507に接続される。それぞれのデコーダ1509は、インターリーバ1511に接続された出力部を有する。ここで、それぞれのインターリーバ1511は、マルチプレクサ1513に接続された出力部を有する。このマルチプレクサ1513(MUX)は、インターリーバ1515に接続された出力部を有し、インターリーバ1515は前進型エラー信号訂正用デコーダ1517(FECデコーダ)に接続された出力部を有する。
【0115】
下記に、図15に示した装置の機能性が説明される。
【0116】
前述したように、本発明の受信機はnR個のアンテナ1501を備えている。再割当て部1507は、各ストリームのnR個の受信された信号をそれぞれのデコーダ1509に割り当てる。(オプションの)インターリーバ1511及び1515によって実行されるインターリービングの後で、前進型エラー信号訂正用デコーダ1517は周波数ダイバーシチを取り出し、情報ビットに対してソフト又はハードな決定(soft or hard decision)を与える。
【0117】
デコーダ1509は、差分コード化/変調された情報を取り出すために、差分デコーダ又は差分復調器とすることができる。
【0118】
図15の構造は、信号を受信する場合に適切である。この送信機の構造では、例えば周期的遅延ダイバーシチ方式が適用された。しかしながら、ダイバーシチ動作の直線性のためにダイバーシチが受信機の中に取り入れられる場合、本発明の受信についての概念も適用できる。このシナリオは、図16で検討される。
【0119】
図16に示した受信機の構造は、単に実施例として示すと、第1の受信アンテナ1601及び第2の受信アンテナ1603を備えている。第1の受信アンテナ1601は第1の信号経路を定義し、第2の受信アンテナ1603は第2の信号経路を定義する。第2の信号経路は、出力部を有している、遅延を取り入れるための手段1605に接続されている。手段1605の出力部及び第1の受信アンテナ1601に関連した第1の信号経路の両方は、加算器1607に接続される。この加算器1607は、複数の出力部を有する時間/周波数変換器1609に接続された出力部を有する。時間/周波数変換器1609の複数の出力部は、本発明による受信機装置1611に接続される。受信機装置1611は、出力信号を提供するための出力部を有している。
【0120】
加算器1607は、出力部を介して受信された信号を与える。この受信された信号は、第1の受信アンテナ1601が受信した信号に対応する第1の信号と、第2の受信アンテナ1603が受信した信号に対応する第2の信号の周期的にシフトされた信号とを重ね合わせた信号である。この(周期的な)シフトすなわち遅延は、送信機の中に組み込まれた周期的遅延ダイバーシチに関連して前に説明したものと同じ方法で動作する手段1605によって取り入れられる。
【0121】
この時点までに、無相関のチャネル係数が受信機において知られていると仮定されていた。しかしながら、受信機が周波数領域のチャネル応答係数の相関特性に関する何らかの情報を持っていない場合、同じ共分散(すなわち、相関)関数を実行する必要がある。そうするために、本発明の受信機装置は、受信されたマルチキャリア信号の相関関数を実行するための相関器をさらに備えることができる。この相関器は、受信されたマルチキャリア信号の相関関数を決定するように動作する。無相関のチャネル係数はキャリア周波数間の相関特性に直接影響するため、こうした相関器はマルチキャリア信号の相関特性これによりチャネル係数の相関特性を直接決定する。
【0122】
実行方法にもよるが、マルチキャリア信号を提供する方法すなわち受信されたマルチキャリア信号から出力信号を提供するための本発明による方法に対する要求事項は、ハードウェア又はソフトウェアの中で実現することができる。この実現は、本発明の方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと共に動作できるディジタル記憶媒体、特に中に記憶された電気的に読取り可能な制御信号を有するディスク又はCDを用いて行うことができる。従って、本発明は一般的に、コンピュータが読取り可能な担体上にプログラムコードが記憶されたコンピュータプログラム製品である。このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行される場合に本発明による方法を実行する。言い換えると、本発明の方法はこのように、コンピュータ上で実行される場合に本発明の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1の実施形態による、送信されるマルチキャリア信号を提供するための創意に富んだ装置のブロック図である。
【図2】図1の創意に富んだプロセッサのブロック図である。
【図3】図1の創意に富んだ割当て部のブロック図である。
【図4】マルチストリーム(multi-stream)差分変調の機能が付いた周期的遅延ダイバーシチを用いる創意に富んだ送信機のブロック図である。
【図5】コード化OFDM(送信機)内の周期的遅延ダイバーシチを例示する図である。
【図6】コード化OFDM(受信機)内の周期的遅延ダイバーシチを例示する図である。
【図7a】平坦なフェージングチャネル及び対応するコード化されないエラー率を示す図である。
【図7b】周期的遅延ダイバーシチによって変換された図7aのチャネル及び対応するコード化されないエラー率を示す図である。
【図8】周波数方向の差分変調を例示する図である。
【図9】チャネルの周波数応答を示す図である。
【図10】2個の送信アンテナを有する周期的遅延ダイバーシチに対する相関関数を例示する図である。
【図11】平坦なフェージングチャネルの場合の2個の送信アンテナを用いる周期的遅延ダイバーシチ用の差分コード化方式を例示する図である。
【図12】周波数選択的チャネルの場合に、2個の送信アンテナを用いる周期的遅延ダイバーシチ用の2個のストリームを有する差分コード化方式を例示する図である。
【図13】周波数選択的チャネルの場合に、2個の送信アンテナを用いる周期的遅延ダイバーシチ用の相関関数を示す図である。
【図14】創意に富んだ受信機装置のブロック図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態による周期的遅延ダイバーシチ用の受信機を示す図である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態による受信機の構造体のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信点から受信点まで複数のキャリア周波数を介して送信されるマルチキャリア信号を提供するための装置であって、
一連の離散値から成る2以上の複数の下位信号であって、全体としてみると入力信号と同じ情報を有する下位信号を得るために前記入力信号を処理するプロセッサ(101)と、
マルチキャリア信号を得るために、前記複数の下位信号の離散値を一連のキャリア周波数に割り当てるための割当て部(103,411)と
を備え、
前記割当て部(103,411)が、第1の下位信号の一連の離散値を、第1のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当て、第2の下位信号の一連の離散値を第2のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てるように動作し、前記第1のキャリア周波数は前記第2のキャリア周波数とは異なり、ここで前記Sは下位信号の数に等しいか又はそれよりも大きい値を示すものであることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記プロセッサ(101)が、
前記入力信号を複数の分割された信号に分割するデバイダ(201)と、
前記複数の下位信号を得るために、前記分割された信号を別個にコード化する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コード化する手段が、分割された信号に対して、前記分割された信号の2個の信号値を結合して下位信号値を得るように動作することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コード化する手段が、分割された信号に対して差分コーダ(203,409)を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記デバイダ(201)が、
前記入力信号を複数のデマルチプレクスされた信号にデマルチプレクスするためのデマルチプレクサ(405)と、
複数のデマルチプレクスされた信号の中のデマルチプレクスされた信号に対して、前記デマルチプレクスされた信号のインターリーブされた信号として下位信号を提供するためのインターリーバ(407)と
を備えることを特徴とする請求項2から4に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサの入力部に接続された出力部を有するインターリーバ(403)をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記一連のキャリア周波数が一連のナンバリング指数の集合に含まれるナンバリング指数に関連付けられ、
前記第1のキャリア周波数が、一連のナンバリング指数の集合の中の最も小さいナンバリング指数に等しいか又はそれよりも大きい第1のナンバリング指数に関連付けられ、
前記第2のキャリア周波数が、一連のナンバリング指数の集合中の第2のナンバリング指数に関連付けられ、
前記第2のナンバリング指数は前記第1のナンバリング指数とは異なり、
前記割当て部(103,411)が、それぞれの離散値をそれぞれのナンバリング指数に割り当てることによって、第1の下位信号の離散値をS番目毎のキャリア周波数に割り当て、第2の下位信号の離散値をS番目毎のキャリア周波数に割り当てるように動作することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記割当て部(103,411)が、S個の行と、キャリア周波数の数をSで割ることによって決定される数の列とを有するブロック形インターリーバであるか、又は
S個の列と、キャリア周波数の数をSで割ることによって決定される数の行とを有するブロック形インターリーバであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
マルチキャリア信号及び/又は前記マルチキャリア信号から取り出すことができる信号を、時間/周波数変換を前記マルチキャリア信号に又は前記マルチキャリア信号から取り出すことができる信号に適用することによって変換するための変換器(413,808)をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
変換された信号のコピーを提供するための手段(415)と、
前記変換された信号のコピーに対して遅延を取り入れるための手段(422)と
をさらに備え、
前記変換された信号のコピーが、複数の離散値の中の最も小さいナンバリング指数を有するある離散値で始まる複数の離散値を有し、
前記遅延を取り入れるための手段(422)が、前記ある値が最も小さいナンバリング指数よりも大きいナンバリング指数になるように前記離散値を再順序付けすることによって、前記変換された信号のコピーをシフトするように動作することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
マルチキャリア信号から取り出すことができる信号を提供するための手段をさらに備え、前記提供するための手段が、
前記マルチキャリア信号のコピーを提供するための手段と、
前記マルチキャリア信号から取り出すことができる信号を提供するために、前記マルチキャリア信号のコピーを位相シフトするための手段と
を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
受信されたマルチキャリア信号から出力信号を提供するための受信機装置であって、
ここで、前記受信されたマルチキャリア信号がマルチキャリア方式のキャリア周波数に対するスペクトル係数を含み、一連の離散値から成る複数の下位信号を得るように入力信号を処理することによって、前記スペクトル係数が前記入力信号から形成され、マルチキャリア信号を得るように複数の下位信号の離散値を一連のキャリア周波数に割り当てることによって、2個以上の前記複数の下位信号が全体としてみて前記入力信号と同じ情報を有するものであって、第1の下位信号の一連の離散値が第1のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、第2の下位信号の一連の離散値が第2のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、前記第2のキャリア周波数は前記第1のキャリア周波数とは異なり、ここで前記Sの値は下位信号の数以上であり、
前記スペクトル係数を再割当てするための、前記複数の下位信号の受信された信号を提供するように動作する再割当て部(1401,1507)と、
前記複数の下位信号の受信された信号を再処理して、出力信号として前記入力信号の受信された信号を得るための再処理装置(1403)と
を備えることを特徴とする受信機装置。
【請求項13】
前記スペクトル係数がナンバリング指数のある集合中のナンバリング指数に関連付けられ、
前記再割当て部(1401,1507)が、前記複数の下位信号の中の第1の下位信号の受信された信号を提供するために、第1のナンバリング指数を有するスペクトル係数から始めてS番目毎のスペクトル係数を選択するように動作し、
前記再割当て部(1401,1507)が、前記複数の下位信号の中の第2の下位信号の受信された信号を提供するために、第2のナンバリング指数を有するスペクトル係数から始めてS番目毎のスペクトル係数を選択するように動作し、
前記第1のナンバリング指数が前記第2のナンバリング指数とは異なることを特徴とする請求項12に記載の受信機装置。
【請求項14】
前記再割当て部(1401,1507)が、S個の列と、マルチキャリア方式のキャリア周波数の数をSで割って決定される数の行とを有するブロック形インターリーバであるか、又は
前記再割当て部(1401,1507)が、S個の行と、キャリア周波数の数をS出羽って決定される数の列とを有するブロック形インターリーバであることを特徴とする請求項12又は13に記載の受信機装置。
【請求項15】
前記複数の下位信号が、前記入力信号を2個以上の複数の下位信号に分割し、複数の下位信号を得るために前記分割された信号のそれぞれをコード化することによって形成され、
前記再処理装置(1403)が、
複数のデコードされ受信された下位信号を提供するために、受信された下位信号を別個にデコードするための手段と、
前記入力信号の受信された信号を出力信号として得るために、前記複数のデコードされた下位信号を結合するための手段と
を備えることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の受信機装置。
【請求項16】
下位信号の値を得るために、分割された信号が2個の分割された信号値を結合することによってコード化され、
デコードされ受信された下位信号の値を提供するために、前記デコードするための手段が受信された下位信号に対して、2個の受信された下位信号の値を結合するように動作することを特徴とする請求項15に記載の受信機装置。
【請求項17】
前記分割された信号が差分コード化され、
前記デコードするための手段が、受信された下位信号に対して、差分デコーダ(1509)を備えることを特徴とする請求項15又は16に記載の受信機装置。
【請求項18】
前記再処理するための手段が、デコードされ受信された下位信号に対して、デインターリーブされデコード及び受信された下位信号をデコード及び受信された下位信号として提供するためのデインターリーバを備えることを特徴とする請求項15から17に記載の受信機装置。
【請求項19】
前記結合するための手段が、複数のデコード及び受信された下位信号を出力信号として多重化され受信された信号に多重化するためのマルチプレクサ(1503)を備えることを特徴とする請求項15から18のいずれかに記載の受信機装置。
【請求項20】
デマルチプレクスされた信号を出力信号として得るために、多重化及び受信された信号をデインターリーブするためのデインターリーバ(1515)をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の受信機装置。
【請求項21】
前記受信されたマルチキャリア信号が、
前記受信された信号を受信されたマルチキャリア信号に変換するための変換器によって受信された信号から形成され、
前記変換器(1505)が時間/周波数変換を実行するように動作する
ことを特徴とする請求項12から20のいずれかに記載の受信機装置。
【請求項22】
前記受信された信号が、第1の受信アンテナによって受信された信号に対応する第1の信号と、第2の受信アンテナによって受信された信号に対応する第2の信号のシフトされた信号とが重ね合わされた信号であり、前記シフトされた信号がシフトされた信号を提供するための手段によって提供されることを特徴とする請求項21に記載の受信機装置。
【請求項23】
マルチキャリア信号と同じ情報の内容を有する別のマルチキャリア信号を受信するように構成され、
前記再割当て部(1401,1507)が別の受信されたマルチキャリア信号を再割り当てして、複数の下位信号の別の受信された信号を得るようにさらに動作し、
前記再処理装置(1403)が、出力信号を提供する場合、複数の下位信号の別の受信された信号をさらに使用するように適合されることを特徴とする請求項12に記載の受信機装置。
【請求項24】
前記再処理装置が信号出力の一連の値に対してソフトな値を出力するように構成されることを特徴とする請求項12から23のいずれかに記載の受信機装置。
【請求項25】
送信点から受信点まで複数のキャリア周波数を介して送信されるマルチキャリア信号を提供する方法であって、
一連の離散値から成る2以上の複数の下位信号であって、全体としてみると入力信号と同じ情報を有する下位信号を得るために前記入力信号を処理するステップと、
マルチキャリア信号を得るために、前記複数の下位信号の離散値を一連のキャリア周波数に割り当てるステップと
を含み、
第1の下位信号の一連の離散値が、第1のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、第2の下位信号の一連の離散値が第2のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、前記第2のキャリア周波数は前記第1のキャリア周波数とは異なり、ここで、前記Sは下位信号の数に等しいか又はそれよりも大きい数を示すものであることを特徴とする方法。
【請求項26】
受信されたマルチキャリア信号から出力信号を提供するための方法であって、
ここで、前記受信されたマルチキャリア信号はマルチキャリア方式のいくつかのキャリア周波数に対するスペクトル係数を含み、一連の離散値から成る複数の下位信号を得るために入力信号を処理することによって、前記スペクトル係数が前記入力信号から形成され、複数の下位信号の離散値を一連のキャリア周波数に割り当てることによってマルチキャリア信号を得るものであって、ここで、2以上の前記複数の下位信号が全体としてみると前記入力信号と同じ情報を有し、第1の下位信号の一連の離散値が第1のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、第2の下位信号の一連の離散値が第2のキャリア周波数から始めてS番目毎のキャリア周波数に割り当てられ、前記第2のキャリア周波数は前記第1のキャリア周波数とは異なるものであって、
前記複数の下位信号の受信された信号を提供するために、前記スペクトル係数を再割当てするステップと、
前記複数の下位信号の受信された信号を再処理して、出力信号として前記入力信号の受信された信号を得るためのステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、請求項25に基づいた方法を実行するための、又は請求項26による方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−515812(P2007−515812A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503814(P2005−503814)
【出願日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009817
【国際公開番号】WO2005/006696
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】