説明

送信ノードにおける輻輳制御

【課題】MIMOアンテナを介して、SU−MIMOモードおよびMU−MIMOモードの双方をサポートする基地局と複数の移動体端末の内の1つとの間のMU−MIMOシグナリングを行う通信システムにおける方法と構成を提供する。
【解決手段】これらのモード間の切り替えは、そのシステムにおいてサポートされ、これらのモードは一部共有シグナリングがある。MU−MIMOモードシグナリングに対しては冗長である、即ち、MU−MIMOモードシグナリングに対しては必要でないSU−MIMOモードシグナリングが識別される。識別された冗長シグナリングのビット、即ち、データビットは、再解釈または再定義されMU−MIMOモードに関するシグナリング情報を含むようになる。MU−MIMOモードに関係するシグナリング情報は、再解釈された冗長ビットを使用することにより移動体端末にシグナリングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムにおける方法と構成とに関する。特に、本発明は、通信システムにおけるマルチユーザ多入力多出力シグナリングのための方法と構成に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すような、典型的には、コアネットワーク1と、無線アクセスネットワーク2と、複数のユーザ機器(UE)4と、基地局3とを備えるセルラ通信システムでは、複数の送信アンテナを使用して、種々の方法によって高いデータレートを達成することができる。受信器もまた複数のアンテナを有する場合には、多入力多出力(MIMO)チャネルが形成される。このような構成における1つの応用は、単一のユーザに対して高いピークレートを確保しようとすることである。複数のレイヤで送信することは、情報を複数のビットストリームで送信することを意味し、これにより、情報は空間領域に拡散され、良好なチャネル条件の下では抜本的なデータレートの改善を達成することができる。これはシングルユーザMIMO(SU−MIMO)と呼ばれる。なぜなら、複数のレイヤの上のデータが単一の受信器/ユーザ/UE/端末に対して割り当てられるからである。図2は、複数の送信アンテナ23を持ち、単一のUE21に対してSU−MIMOモードで送信をしている基地局20の例を示している。図2に示すように、複数のレイヤ22が単一のUE21に送信される。図2では、UEもまた、基地局20対して複数のレイヤを使用して送信を行っている。この通信システムはUMTSの進化型であるLTEシステムであるかもしれない。
【0003】
同時に送信されるレイヤの数は、MIMOチャネルの特性に密接に依存している。例えばフェーディングがある場合には、MIMOチャネルは、通常では単一のUEに対して2つ以上のレイヤの送信をサポートしない。これによりデータレートは制限を受け、これは空間多重化利得が得られないことを意味する。それでも高いシステム容量を達成するために、単一のユーザに対してはごく限られたレイヤのみで送信し、その代わりに、同一の物理資源(例えば、時間−周波数−符号タイル)で複数のユーザをスケジューリングして、空間領域(レイヤ)を使用してユーザを分離することが有利であると考えられる。要点を言えば、異なるユーザに属するレイヤが同一の物理資源で送信されるのである。ある特定なユーザに対するチャネルが複数のレイヤをサポートしないようであっても、即ち、その特定なユーザに対しては複数のレイヤを送信することが可能でないとしても、そのユーザが他のユーザに送信されたレイヤを効率よく抑圧することができれば、システムレベルにおける空間多重化利得を達成することができる。この技術は、時にはマルチユーザMIMO(MU−MIMO)と呼ばれ、多くのアクティブなユーザが存在する、高負荷シナリオにおいては特に魅力的な技術である。これは非特許文献1に記述されている。図3は複数の送信アンテナ23を持つ基地局20の例を示している。基地局20は複数のUE31、32、および33にMU−MIMOモードで送信を行っている。図3に示すように、異なるレイヤ34、35、および36がUE31、32、および33それぞれに送信されている。図3に示すように、それぞれのUEもまた、異なるレイヤを使用して基地局20に送信を行っている。
【0004】
長期的エボルーション(LTE)の標準化の過程で、ダウンリンクにおいてSU−MIMOおよびMU−MIMOをサポートすること、およびこれらの2つのモードの間を準静的に切り替えることができることの合意がなされている。それぞれのUE(ユーザ/受信器)は、MU−MIMOモードにおいては零または1つのレイヤを受信することができる。MU−MIMOのサポートに関して、基本的に以下の3つの提案がなされて議論が行われている。
【0005】
1.非特許文献2に記載の相関のあるアンテナアレイ構成についての古典的な空間分割多元接続(SDMA)と、
2.非特許文献3に記載のゼロフォーシングビームフォーミングと、
3.非特許文献4に記載のユーザ毎の単一速度制御(PU2RC:per user unitary rate control)である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP R1−063130、“4つの送信アンテナを備えたダウンリンクプリコーディングシステムのためのMU−MIMOとSU−MIMOとの間のシステムレベル比較(System level comparison between MU- and SU-MIMO for downlink precoding systems with four transmit antennas)”,エリクソン(Ericsson),TSG−RAN WG1 #47、2006年11月
【非特許文献2】3GPP R1−072464、“MU−MIMO for E−UTRA DL”,エリクソン(Ericsson),TSG−RAN WG1 #49、2007年5月
【非特許文献3】3GPP R1−071510、“ダウンリンクE−UTRAのためのゼロフォーシングMU−MIMOの詳細(Details of Zero-Forcing MU-MIMO for DL E-UTRA)”、フリースケール セミコンダクタ インク(Freescale Semiconductor Inc),TSG RAN WG1 #48bis、2007年3月
【非特許文献4】3GPP R1−060335、“E−UTRA用のダウンリンクMIMO(Downlink MIMO for EUTRA)”,サムソン(Samsung)、TSG RAN WG1 #44、2006年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
どの方式をサポートするかはまだ決定されておらず、従って、MU−MIMOの標準化の多くの詳細はまだ欠落したままである。MU−MIMOモードに拘わらず生ずる問題の1つは、例えば、基準シンボル(RS)等の基準電力値とUEに対して送信されるデータシンボルとの電力オフセットをUEがいかにして知るかという問題である。基地局はあるレベルの送信電力を有し、その内のある量はある特定なUEにデータシンボルを送信するために使用される。電力オフセットは、基準電力値と比較して、どのくらいの電力がデータシンボルを送信するのに使用されているかを示している。電力オフセットは、16QAM等の高次の変調アルファベットまたは他の高次の変調方式が使用された場合に、UEにおける効率よい復調をサポートするために必要である。電力オフセットは、ノードBまたはeNodeBとも呼ばれる基地局において、異なる値に電力設定が行われるために、動的に変化することがある。しかしながら、MU−MIMOの場合には、同一の物理資源の上に多重化されたUEの数が変動するので、電力オフセットもまた変動することがある。MU−MIMOモードにおいては、利用可能な送信電力は、例えば、異なるレイヤの上にスケジューリングされた複数のUEの間で均等に分割されるかもしれない。これは複数のUEが多重化された場合には、1つのUE当たりにはより少ない電力しか与えられないことを意味する。
【0008】
従って本発明の目的は、上記で挙げた問題点の少なくともいくつかを除去するために、通信システムにおけるMU−MIMOシグナリングに対する改善された解決策を提供することである。この目的に対する本発明の解決策は、SU−MIMO機能を極力再使用することにより、MU−MIMO動作をサポートし、MU−MIMOに対しては必要でないSU−MIMOモードにおける何らかのシグナリングを再解釈することを可能にすることを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明の第1の側面は、基地局の多入力多出力MIMOアンテナから通信システムの複数の移動体端末の内の1つへマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングを行うための方法に関する。ここで、移動体端末は、シングルユーザMIMO(SU−MIMO)シグナリングモードおよびマルチユーザMIMO(MU−MIMO)シグナリングモードの双方に適合するよう構成される。移動体端末はまた、これらのモード間の切り替えを行うよう構成され、これらのモードは一部共有シグナリングがある。この方法の第1のステップは、MU−MIMOモードに対しては冗長であるSU−MIMOシグナリングを識別するステップを備える。この方法における第2のステップは、冗長なシグナリングのビットを再解釈して、MU−MIMOモードに関係するシグナリング情報を含めるステップを備える。この方法における第3のステップは、シグナリングを介して冗長ビットの再解釈についてUEに通知するステップである。この方法は、再解釈した冗長ビットを使用してMU−MIMOモードに関する情報のシグナリングを行う第4のステップをさらに備える。
【0010】
本発明の第2の側面は、通信システムにおける無線基地局に関する。無線基地局は、複数の移動体端末の内の1つにシグナリングを行うための多入力多出力(MIMO)アンテナを備え、シングルユーザMIMOシグナリングモード(SU−MIMO)およびマルチユーザMIMO(MU−MIMO)シグナリングモードの双方に適合するよう構成される。また基地局は、これらのモード間の切り替えを行うための手段を備える。これらのモードは一部共有シグナリングを有し、基地局は、MU−MIMOモードに対して冗長であるSU−MIMOモードシグナリングを識別するためのシグナリングモード比較器手段をさらに備える。また、冗長シグナリングのビットを再解釈して、MU−MIMOモードに関するシグナリング情報として含めるための再解釈手段がある。この基地局におけるさらなる手段は、シグナリングを介して冗長ビットの再解釈についてUEに通知し、再解釈した冗長ビットを使用してMU−MIMOモードに関する情報をシグナリングする送信器手段である。
【0011】
本発明の第3の側面は、シングルユーザMIMO(SU−MIMO)シグナリングモードおよびマルチユーザMIMO(MU−MIMO)シグナリングモードの双方に適合するよう構成された多入力多出力(MIMO)アンテナを備える移動体端末に関する。ここで、移動体端末は、これらのモード間の切り替えを行うための手段を備え、これらのモードは一部共有シグナリングを有する。移動体端末は、冗長なSU−MIMOビットの再解釈に関する情報を基地局から受信するための受信器手段をさらに備える。移動体端末はまた、この受信器手段を使用して、再解釈した冗長ビットを受信することにより、MU−MIMOモードに関するシグナリング情報を受信する。また、冗長なSU−MIMOビットの再解釈に関する情報を使用して、再解釈された冗長ビットの解釈を行う手段がある。
【0012】
本発明は、通信システムにおいて、より容易な実施を可能にし、オプション(選択肢)を少なくできるという利点を有する。後者は装置が標準規格に適合していることの試験を行いやすくするために特に重要である。可能性としてコードブックサブセット限定の使用と、複数の端末またはUEを意図的に同一の物理資源(資源要素)でスケジューリングすることとを組み合わせることにより、端末またはUEが基準電力値と自分のデータシンボルの電力との間の電力オフセットの通知を受ける場合に、少なくともSDMA(空間分割多元接続)および相関のあるアンテナアレイに対して、MU−MIMOを効率的にサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を実施することができるセルラ通信システムを示す図である。
【図2】SU−MIMOモードで動作している基地局を示す図である。
【図3】MU−MIMOモードで動作している基地局を示す図である。
【図4】SU−MIMOモードおよびMU−MIMOモードにおけるシグナリングのために使用されるビットを示す図である。
【図5】本発明の実施例に従った方法を示す図である。
【図6】本発明の実施例に従った基地局を示す図である。
【図7】本発明の実施例に従った移動体端末を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これまでに示したまたは他の、本発明の目的、特徴、および利点は、好適な実施例に関する以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【0015】
本発明は図1に示されたセルラ通信システムに関する。本発明は、通信システムにおけるマルチユーザ多入力多出力シグナリングのための方法と構成を提供する。本発明の基本的な考え方は、MU−MIMOとSU−MIMOとは多くの類似点を共有しているという事実を利用することである。しかしながら、これら2つは、現行では極めて異なる2つのモードに分類されている。しかし、これら2つのモードの共通点を利用することにより、多くの利益を得ることができ、シグナリングオプションの数を低減することができる。これは送信器および受信器の容易な実現を意味するばかりでなく、これにより、装置が標準規格を満足していることを保証するための試験が行いやすくなるであろう。
【0016】
SU−MIMOモードまたはMU−MIMOモードで送信する場合には、送信をするために基地局によってプリコーディング行列が選択されなければならない。3GPP標準規格によれば、プリコーディング行列は3GPP標準コードブックの中のプリコーディング行列から選択されなければならない。それぞれのUEは、つぎに引き続いて行われる可能性があるダウンリンク送信においてノードBによって使用されるべきものとして、コードブックの中のプリコーディング行列の内で、そのコードブックにあるプリコーディング行列のサブセットを推奨する。基地局は、UEにおけるプリコーディング行列の選択を、例えば基地局のアンテナ構成に基づいて、コードブックの中のプリコーディング行列のサブセットにさらに限定することができる。この技術はコードブックサブセット限定と呼ばれる。コードブックサブセット限定を使用することは、基地局はより少ない数の候補のプリコーディング行列をUEにシグナリングしなければならず、UEはその内の1つを基地局に推奨することができるということを意味する。
【0017】
コードブックサブセット限定の使用を前提とすれば、複数の端末またはUEを同一の物理資源でスケジューリングを行うことが明確に禁止されない限り、SU−MIMOモードの殆ど全てのものはMU−MIMOモードに対して再使用することができる。MU−MIMOモードに追加が必要な1つのものは、上述の、UEのデータシンボルと基準電力値との間の電力オフセットに関して、高速レートでUEに通知することである。SDMAに関しては、相関のあるアンテナアレイおよびそれに関連した多くの機器構成に対して、この僅かな変更だけで十分であると考えられる。UEに電力オフセットをシグナリングすることの代替として、多重化されたUEの総数をシグナリングすることでもよい。
【0018】
本発明は、MU−MIMO動作には要求されないSU−MIMOシグナリング(即ち、ビット)を利用することにより、電力オフセットシグナリング等のMU−MIMOモードシグナリングに対するサポートを加わえ、電力オフセットシグナリング等のMU−MIMOモードシグナリング情報として、そのSU−MIMOシグナリングを再解釈させるものである。なお、シグナリングされる電力オフセットは、データ対パイロット電力比と電力オフセット測定値との内の少なくともいずれか等の、他の変動する電力オフセットレベルに対する相対値であってもよい。MU−MIMOモードは1つのUE当たり限られた送信ランクをサポートするだけでよいので、送信ランク、即ち、送信されるレイヤの数は、このような未使用のSU−MIMOシグナリングの1つの例である。例えば、コードブックサブセット限定を適用するがために必要でないプリコーディング行列のために使用されるビットもまた、再使用/再解釈することができる。
【0019】
1つの例としてノードBにおいて4つの送信アンテナを使用する場合には、SU−MIMOモードにおける送信ランクのシグナリングには、実質的に2ビットが必要である。送信ランクは、UEがスケジューリングされるときにはいつでも、ダウンリンクで、即ち、おそらくは各サブフレームについてシグナリングされる。これらのビットはMU−MIMOモードで送信されるときに再使用することができ、送信ランクの代わりに、例えば4段階の電力オフセットを指示することができる。電力オフセットのステップ間の間隔は同じであっても異なっていてもよい。最も簡単な場合は、それぞれ多重化されるUEの数、4、3、2、1に対応して、電力オフセットは因子1/4、1/3、1/2、1に対応する。これは、例えば、8つのビーム形成器と半波長の素子間隔を有するユニフォーム線形アレイ(ULA)とを持つ空間分割多元接続(SDMA)を使用したシナリオに適用することができるであろう。なぜなら、このアンテナ構成は物理資源の上に4つまでのUEを多重化することができるからである。
【0020】
同様に、2つの送信アンテナの場合には、MU−MIMOモードでは2つまでのUEを多重化することができ、ここでは、電力オフセット因子1/2および1をシグナリングする必要がある。相関のあるSDMAの場合には、典型的に4つの異なるビーム形成/プリコーディング行列が必要である。なぜなら、このアンテナ構成に対しては、2TxLTEコードブックの中の他のプリコーディング行列は適切ではないからである。LTEにおける2Txコードブックは合計で9つの要素を有し、これは、その内の5つの要素は決してUEにシグナリングされる必要がないことを意味する。
【0021】
図4に示すように、4ビット40は、基地局からUEにシグナリングするためにSU−MIMOモードでは確保され、UEはその内からプリコーディング行列を選択しなければならない。MU−MIMOモードの場合には、UEにシグナリングするために2ビット41だけが必要であり、UEはその内からプリコーディング行列を選択しなければならない。従って、MU−MIMOモードにおいては、2ビット42は冗長であり、従って、UEに電力オフセットをシグナリングするために使用することができる。
【0022】
2組の交差偏波アンテナに分けられる4TxノードB(NodeB)アンテナの構成は、MU−MIMO動作に対して有益であるもう1つの重要なシナリオである。このアンテナの組が半波長だけ離れて設置されている場合には、相関のあるビーム形成を実行してユーザを分離することができ、2つの直交偏波を利用してそれぞれのUEに対して2つまでのレイヤの送信をサポートすることができる。LTE標準化過程において、4TxSU−MIMOコードブックは、送信ランク1つ当たり16の要素(送信されるレイヤの数)を含むことが結論された。考えられる構成におけるMU−MIMOに対する最小のコードブックは、単一レイヤ送信に対してそれぞれの偏波の上に2Txビーム形成を実装する場合には、4つのプリコーダ要素を必要とし、2レイヤ送信に対しては2つのプリコーダ要素を必要とするであろう。単一ランク送信に対しては、2ビットの電力スケーリングオフセットが必要であるが、2レイヤ送信に対してはただ1ビットだけの電力スケーリングでよい。これは、合計で4*4+2*2=20の組み合わせになり、現行のSU−MIMOコードブックにおけるプリコーダ要素とランクとの64の異なる組み合わせに非常によく適合している。この電力オフセットは、他の、可能性として動的に変動する電力オフセットと組み合わせて、総合的な電力比を形成することができる。
【0023】
図5を参照すると、本発明の1つの側面は、通信システムの中の無線基地局における方法に関する。この方法は、多入力多出力(MIMO)アンテナを介して、シングルユーザ多入力多出力シグナリングモード(SU−MIMO)およびマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングモードの双方をサポートする基地局と多重化された複数の移動体端末の内の1つとの間のマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングを行うための方法である。MU−MIMOモードは、例えば、SDMA、ゼロフォーシングビーム形成、またはユーザ毎の単一速度制御(PU2RC)であってよい。通信システムは、これらのモード間の切り替えをサポートし、これらのモードはまた一部共有シグナリングがある。この方法は、図5のフローチャートで示され、以下のステップを備える。
【0024】
501 MU−MIMOモードシグナリングに対しては冗長、即ち、不必要なSU−MIMOモードシグナリングを識別し、
502 識別した冗長シグナリングのビット、即ち、データビットを再解釈または再定義し、MU−MIMOモードに関するシグナリング情報として含め、
503 冗長ビットの再解釈についてUEに通知し、
504 前記再解釈した冗長ビットを使用することにより、MU−MIMOモードに関する情報をシグナリングする。
【0025】
本発明に従った方法の1つの実施例では、冗長SU−MIMOモードシグナリングは、送信ランクシグナリングとプリコーダ要素シグナリングとに関係する。本発明に従う方法の1つの実施例によれば、識別された冗長SU−MIMOモードシグナリング情報は、再解釈されて、基準電力値と前記1つの端末のデータシンボルとの間の電力オフセットを含むようにする。基準電力値は、例えば、基準シンボルの電力であってよい。別の実施例においては、識別された冗長シグナリング情報はまた、再解釈されて、多重化された端末の総数を含むようにできる。再解釈されたMU−MIMOモードのビットは、端末がスケジューリングされるときにはいつでもシグナリングすることができる。
【0026】
本発明の別の側面は、通信システムの中の無線基地局60に関するものである。基地局60は、図6に示され、多重化された複数の移動体端末(不図示)の内の少なくとも1つへのシグナリングを可能とするための多入力多出力(MIMO)アンテナ65を有し、シングルユーザ多入力多出力(SU−MIMO)シグナリングモードおよびマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングモードをサポートする。これらのモードは、相関のあるアンテナアレイ構成に対するSDMA、ゼロフォーシングビーム形成、またはユーザ毎の単一速度制御(PU2RC)、または他のMU−MIMOモードであってよい。基地局は、前記モード間の切り替えを行うための手段61と、再解釈してMU−MIMOモードで使用することができる冗長SU−MIMOモードシグナリングを識別するためのシグナリングモード比較器手段62とをさらに備える。冗長SU−MIMOモードシグナリングは、例えば、送信ランクシグナリングとプリコーダ要素シグナリングとの内の少なくともいずれかに関係する。無線基地局60はまた、冗長シグナリングのビットを再定義してMU−MIMOモードに関するシグナリング情報を含むようにするための再解釈手段63を有する。MU−MIMOシグナリング情報は、基準電力値(例えば、基準シンボル(RS)の電力)とデータシンボルを送信するために使用される電力との間の電力オフセットを備えることができる。あるいは、MU−MIMOシグナリング情報は、多重化された端末の総数を備える。基地局はまた、冗長ビットの再解釈についてUEに通知し、再解釈したビットを使用することによりMU−MIMOモードに関する情報をシグナリングするための送信器手段64を備える。MU−MIMOモードシグナリング情報は、例えば、電力オフセットまたは物理資源の上に多重化された端末の数であってもよいであろう。
【0027】
本発明のさらに別の側面は、移動体端末70に関するものである。移動体端末70は、図7に示され、多入力多出力(MIMO)アンテナ74を有し、シングルユーザ多入力多出力(SU−MIMO)シグナリングモードおよびマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングモードの双方をサポートする。これらのモードは、相関のあるアンテナアレイ構成に対するSDMA、ゼロフォーシングビーム形成、またはユーザ毎の単一速度制御(PU2RC)、または他のMU−MIMOモードであってよい。移動体端末70は、これらのモード間の切り替えを行うための手段71をさらに備える。冗長SU−MIMOモードシグナリングは、例えば、送信ランクシグナリングとプリコーダ要素シグナリングとの内の少なくともいずれかに関係する。また、基地局(不図示)から冗長SU−MIMOビットの再解釈についての情報を受信するために、受信器手段72が移動体端末70に設けられる。受信器手段72はさらに、再解釈された冗長ビットを受信することによりMU−MIMOモードに関するシグナリング情報を受信するよう構成される。MU−MIMOシグナリング情報は、基準電力値(例えば、基準シンボル(RS)の電力)とデータシンボルを送信するために使用される電力との間の電力オフセットを有していても良い。あるいは、MU−MIMOシグナリング情報は、多重化された端末の総数を有していても良い。移動体端末はまた、冗長SU−MIMOビットの再解釈に関する情報を使用して、受信した再解釈された冗長ビットを解釈するための手段75を有する。
【0028】
ここで開示した本発明は、SU−MIMOモードからのシグナリング機能を極力再使用することによって、MU−MIMOをサポートするための方法を提案することにより、多大な利点を提供するものである。コードブックサブセット限定の使用と、同一の物理資源(資源要素)の上へ意図的に複数のUEをスケジューリングすることとを組み合わせることにより、UEが基準電力値と自分のデータシンボルの電力との間の電力オフセットに関して高速なレートで通知される場合に、少なくともSDMAおよび相関のあるアンテナアレイに対して、MU−MIMOは効率よくサポートされる。
【0029】
しかしながら、本発明はSDMAおよび相関のあるアンテナアレイに限定されることはなく、MU−MIMOモードに拘わらず適用可能である。
【0030】
シグナリングの高度な再使用によって、システムへのより簡単な実装が可能となり、オプションの数を低減することができる。後者は、装置が標準規格に適合していることの試験を行いやすくするために特に重要である。
【0031】
なお、本開示においては、本発明を例示するために3GPP LTEからの用語を使用したが、本発明の範囲を上記で挙げたシステムのみに限定するものであると解釈されるべきでない。本開示の範囲の中にある思想を利用することにより、他の無線システムにおいても利益を得ることができる。さらに、本発明は、必ずしもダウンリンクに限定されるものではなく、アップリンク伝送技術にも同様に適用可能である。
【0032】
本願の説明で取りあげた手段は、ソフトウェア手段、またはハードウェア手段、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0033】
本発明について、特定な実施例(これらの実施例は特定なデバイス構成と種々の方法における特定なステップの順序を含んでいる)に関して説明したが、当業者であれば、本発明はここで説明され例示された具体的な実施例に限定されるものではないことを理解するであろう。従って、この開示は単に例示的であると理解されるべきである。従って、本発明は添付した請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)用の基地局に関し、前記基地局の多入力多出力(MIMO)アンテナから、シングルユーザ多入力多出力(SU−MIMO)シグナリングモードとマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングモードの両方のために構成され、部分的に共有されたシグナリングがある前記複数のモードの間で切り替えを行うように構成された通信システムの複数の移動体端末の1つにシグナリングする方法であって、前記方法は、
MU−MIMOモードについては冗長性があるSU−MIMOシグナリングを識別し(501)、前記冗長性のあるシグナリングのビットを再解釈して(502)、前記MU−MIMOモードに関係するシグナリング情報を含むようにする工程と、
前記冗長性のあるビットの再解釈についてシグナリングにより前記移動体端末に通知する(503)工程と、
前記再解釈された冗長性のあるビットを用いて、前記MU−MIMOモードに関係する情報をシグナリングする(504)工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記冗長性のあるシグナリングは、送信ランクのシグナリングとプリコーダ要素のシグナリングとの内の少なくともいずれかに関係することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記MU−MIMOシグナリング情報は、基準電力とデータシンボルとの間の電力オフセットを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準電力は基準シンボル(RS)であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記MU−MIMOシグナリング情報は、移動体端末の総数を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記再解釈された冗長性のあるビットは、前記移動体端末がスケジュールされるときにはいつでもシグナリングされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の移動体端末の1つにシグナリングする多入力多出力(MIMO)アンテナを有し、シングルユーザ多入力多出力(SU−MIMO)シグナリングモードとマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングモードとの両方に対して構成され、部分的に共有されたシグナリングがある前記複数のモードの間で切り替えを行う手段(61)を有した通信システムにおける基地局(60)であって、
MU−MIMOモードについては冗長性があるSU−MIMOシグナリングを識別するシグナリングモード比較器手段(62)と、
前記冗長性のあるシグナリングのビットを再解釈して、前記MU−MIMOモードに関係するシグナリング情報を含むようにする再解釈手段(63)と、
前記冗長性のあるビットの再解釈について前記移動体端末に通知し、前記再解釈された冗長性のあるビットを用いて、前記MU−MIMOモードに関係する情報をシグナリングする送信器手段(64)とを有することを特徴とする無線基地局。
【請求項8】
前記冗長性のあるシグナリングは、送信ランクのシグナリングとプリコーダ要素のシグナリングとの内の少なくともいずれかに関係することを特徴とする請求項7に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記MU−MIMOシグナリング情報は、基準電力と前記複数の移動体端末の内の1つの端末のデータシンボルとの間の電力オフセットを有することを特徴とする請求項7又は8に記載の無線基地局。
【請求項10】
前記基準電力は基準シンボル(RS)であることを特徴とする請求項9に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記MU−MIMOシグナリング情報は、移動体端末の総数を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の無線基地局。
【請求項12】
シングルユーザ多入力多出力(SU−MIMO)シグナリングモードとマルチユーザ多入力多出力(MU−MIMO)シグナリングモードとの両方に対して構成された多入力多出力(MIMO)の複数のアンテナ(74)と、部分的に共有されたシグナリングがある前記複数のモードの間で切り替えを行う手段(71)とを有した移動体端末であって、前記移動体端末は、
基地局から、冗長性のあるSU−MIMOのビットの再解釈についての情報と、前記再解釈された冗長性のあるビットを受信することによってMU−MIMOモードに関係したシグナリング情報とを受信する受信器手段(72)と、
前記冗長性のあるSU−MIMOビットの再解釈についての前記情報を用いて、前記サンプル移動体解釈された冗長性のあるビットの解釈を行う手段(75)とを有することを特徴とする移動体端末。
【請求項13】
前記冗長性のあるシグナリングは、送信ランクのシグナリングとプリコーダ要素のシグナリングとの内の少なくともいずれかに関係することを特徴とする請求項12に記載の移動体端末。
【請求項14】
前記MU−MIMOシグナリング情報は、基準電力と前記複数の移動体端末の内の1つの端末のデータシンボルとの間の電力オフセットを有することを特徴とする請求項12又は13に記載の移動体端末。
【請求項15】
前記基準電力は基準シンボル(RS)であることを特徴とする請求項14に記載の移動体端末。
【請求項16】
前記MU−MIMOシグナリング情報は、移動体端末の総数を含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の移動体端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−157001(P2012−157001A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−10258(P2012−10258)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2010−514689(P2010−514689)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】