説明

送信回路、データ転送制御装置及び電子機器

【課題】出力信号の振幅を調整可能にする送信回路、データ転送制御装置等の提供。
【解決手段】送信回路は、電源AVDDとノードNDとの間に設けられた定電流回路10と、ノードNDと信号線DPとの間に設けられたスイッチ素子SW1と、ノードNDと信号線DMとの間に設けられた第2のスイッチ素子SW2と、定電流回路10から流れる電流の値を可変に制御する電流制御回路20を含む。電流制御回路20により可変に制御される電流により、スイッチ素子SW1、SW2を介してDP、DMを駆動する。出力ハイレベル電圧の最小値をvminとし最大値をvmaxとし、送信側、受信側の終端抵抗値をrt、rrとし、定電流回路10から流れる電流の値をihsとした場合に、{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmin≦ihs≦{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmaxを満たす範囲に、電流範囲が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信回路、データ転送制御装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
USB(Universal Serial Bus)2.0では、従来のUSB1.1で定義されていたF
S(Full Speed)モードに加えて、HS(High Speed)モードと呼ばれる転送モードが用意されている。HSモードでは480Mbpsでデータ転送が行われるため、12Mbpsでデータ転送が行われるFSモードに比べて高速なデータ転送を実現できる。
【0003】
このHSモード用の送信回路は、送信用の出力ハイレベル電圧(400mV)を生成するための定電流回路を有し、この定電流回路で生成された定電流(17.8mA)を用いて、USBのDP(Data+)、DM(Data−)の差動信号線(deferential signal lines)を駆動する。
【0004】
ところが、HSモードでは、転送レートが理論値として480Mbpsというように非常に高速である。またUSBのアイパターン等に関する規格を厳格には遵守していない製品も、市場には少なからず存在する。従って、受信側のデータ転送制御装置がUSB規格を遵守していない場合等には、送信波形がUSB規格に準拠していたとしても、データ転送が正常に行われないおそれがある。
【特許文献1】特開2002−343864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出力信号の振幅を調整可能にする送信回路、データ転送制御装置及びこれを含む電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、差動対を構成する第1、第2の信号線を介して信号を送信する送信回路であって、第1の電源と所与のノードとの間に設けられた定電流回路と、前記ノードと前記第1の信号線との間に設けられた第1のスイッチ素子と、前記ノードと前記第2の信号線との間に設けられた第2のスイッチ素子と、前記定電流回路から流れる電流の値を可変に制御する電流制御回路とを含み、前記電流制御回路により可変に制御される、前記定電流回路からの電流により、前記第1又は第2のスイッチ素子を介して前記第1又は第2の信号線を駆動する送信回路に関係する。
【0007】
本発明によれば、定電流回路から流れる電流(定電流)の値が、固定値とはならず、電流制御回路により可変に制御される。例えば電流制御回路により第1の設定がなされると、定電流回路からの第1の電流値の電流により第1又は第2の信号線が駆動(電流駆動)され、第2の設定がなされると、定電流回路からの第2の電流値の電流により第1又は第2の信号線が駆動される。このように本発明は、通常ならば固定値の電流を流すように設計される定電流回路を、可変値の電流を流せるようにした点に特徴がある。こうすれば、送信回路の出力信号の振幅(出力ハイレベル電圧等)を調整できるようになり、良好な信号波形の維持や、低消費電力化を可能にするインテリジェントな制御などが可能になる。
【0008】
また本発明では、送信回路の出力ハイレベル電圧の最小値をvminとし、送信回路の出力ハイレベル電圧の最大値をvmaxとし、送信側の終端抵抗値をrtとし、受信側の
終端抵抗値をrrとし、前記定電流回路から流れる電流の値をihsとした場合に、前記定電流回路から流れる電流の範囲が、{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmin≦ihs≦{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmaxを満たす範囲に設定されていてもよい。
【0009】
このようにすれば第1、第2の信号線のバス(シリアルバス)の規格の遵守しながら、定電流回路からの電流の値を可変に制御できるようになる。
【0010】
また本発明では、受信側の終端抵抗値の最小値をrrl、最大値をrrhとした場合に、前記定電流回路から流れる電流の範囲が、{(rt+rrl)/(rt×rrl)}×vmin≦ihs≦{(rt+rrh)/(rt×rrh)}×vmaxを満たす範囲に設定されていてもよい。
【0011】
このようにすれば、受信側の終端抵抗値がティピカル値よりも小さな値になったり、大きくなった場合にも、バスの規格の遵守しながら、定電流回路からの電流の値を可変に制御できるようになる。
【0012】
また本発明では、前記第1の信号線を終端するための第1の終端抵抗回路と、前記第2の信号線を終端するための第2の終端抵抗回路と、前記第1、第2の終端抵抗回路の終端抵抗値を可変に制御する終端抵抗制御回路を含むようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、定電流回路の電流値の制御のみならず、終端抵抗値を制御して、送信回路の出力信号の振幅(出力ハイレベル電圧)を調整できるようになる。また受信側の終端抵抗値とのインピーダンスマッチングをとることも容易になる。
【0014】
また本発明では、前記第1の信号線と前記第1の終端抵抗回路との間に設けられる第1の固定抵抗と、前記第2の信号線と前記第2の終端抵抗回路との間に設けられる第2の固定抵抗を含むようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、固定抵抗の共用化などが可能になり、回路の小規模化を図れる。
【0016】
また本発明では、前記第1のスイッチ素子を構成する第1のトランジスタのゲートに対して第1の送信制御信号を出力する第1のバッファ回路と、前記第2のスイッチ素子を構成する第2のトランジスタのゲートに対して第2の送信制御信号を出力する第2のバッファ回路とを含み、前記第1、第2の送信制御信号のうちいずれか一方の送信制御信号がアクティブに設定されるときには、他方の送信制御信号が非アクティブに設定され、前記第1、第2のバッファ回路の各々は、第1のインバータと、前記第1のインバータの出力ノードにその入力ノードが接続される第2のインバータと、前記第1のインバータの出力ノードに接続される容量調整回路を含むようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば出力信号のスルーレートの調整等が可能になる。
【0018】
また本発明では、前記容量調整回路は、その一端が前記第1のインバータの出力ノードに接続され、容量調整信号によりオン・オフされる少なくとも1つの容量調整用スイッチ素子と、その一端が前記容量調整用スイッチ素子の他端に接続され、その他端が第2の電源に接続される少なくとも1つの容量素子を含むようにしてもよい。
【0019】
こうすれば、容量調整回路により、第1のインバータの出力ノードの配線容量を調整することが可能になる。
【0020】
また本発明では、前記定電流回路は、基準電流生成回路と、前記基準電流生成回路からのバイアス電圧に基づいて電流が流れる第1〜第Jの電流源と、その各々が前記第1〜第Jの電流源の各々に対して直列に接続される第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子を含むようにしてもよい。
【0021】
本発明では、第1〜第Jの電流源には、基準電流生成回路(基準電圧生成回路)からのバイアス電圧に応じた電流が流れる。そして第1の電流源と第1の電流制御用スイッチ素子が直接に接続され、第2の電流源と第2の電流制御用スイッチ素子が直接に接続され・・・・第J(Jは2以上の整数)の電流源と第Jの電流制御用スイッチ素子が直接に接続される。そして第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子のオン・オフ状態によって、定電流回路から流れる電流の値が設定される。このようにすれば、簡素な構成で、定電流回路からの電流の値を可変に制御できる。
【0022】
また本発明では、前記電流制御回路は、前記第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子をオン・オフするための第1〜第Jの電流制御信号を出力するようにしてもよい。
【0023】
このようにすれば、第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子のオン・オフ制御で、定電流回路からの電流の値を可変に制御できる。
【0024】
また本発明では、前記第1の電流制御用スイッチ素子はオン状態に設定され、前記電流制御回路は、前記第2〜第Jの電流制御用スイッチ素子をオン・オフするための第2〜第Jの電流制御信号を出力するようにしてもよい。
【0025】
このようにすれば、第1の電流源に流れる電流を基準にして、この基準電流に対して、第2〜第Jの電流源に流れる電流を加算した電流等を、定電流回路から流すことが可能になる。
【0026】
また本発明では、前記定電流回路は、前記第1の電源と前記ノードとの間に設けられ、前記第1〜第Jの電流源に流れる電流に対応する電流が流れる第J+1の電流源を含むようにしてもよい。
【0027】
このようにすれば、第1の電源とノードとの間には、第1〜第Jの電流源及び第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子ではなく、第J+1の電流源が設けられるようになる。従って、電流制御用スイッチ素子等の抵抗やノイズを原因とする悪影響の防止が可能になり、伝送品質を維持できる。
【0028】
また本発明では、前記定電流回路は、基準電流生成回路と、前記第1の電源と前記ノードとの間に設けられる第1〜第Jの電流源と、前記第1〜第Jの電流源を構成するトランジスタのゲートと、前記基準電流生成回路のバイアス電圧の出力ノードとの間に設けられた第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子を含み、前記電流制御回路は、前記第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子をオン・オフするための第1〜第Jの電流制御信号を出力するようにしてもよい。
【0029】
このようにしても、電流制御用スイッチ素子等の抵抗やノイズを原因とする悪影響の防止も可能になり、伝送品質を維持できる。
【0030】
また本発明では、差動対を構成する前記第1、第2の信号線を介して送信される差動信号は、USB(Universal Serial Bus)規格の信号であってもよい。
【0031】
また本発明は、上記のいずれかに記載の送信回路を含むトランシーバと、データ転送を
制御する転送コントローラとを含むデータ転送制御装置に関係する。
【0032】
また本発明は、上記に記載のデータ転送制御装置と、前記データ転送制御装置を制御する処理部とを含む電子機器に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0034】
1.送信回路の構成
図1に本実施形態の送信回路(送信ドライバ、電流ドライバ)の構成例を示す。この送信回路は、定電流回路10、電流制御回路20、第1〜第3のスイッチ素子SW1、SW2、SW3を含む。
【0035】
定電流回路10(電流源、電流回路)は電源AVDD(広義には第1の電源)とノードNDとの間に設けられる。スイッチ素子SW1は、ノードNDと、差動信号線を構成するプラス側信号線DP(広義には第1の信号線)との間に設けられる。スイッチ素子SW2は、ノードNDと、差動信号線を構成するマイナス側信号線DM(広義には第2の信号線)との間に設けられる。スイッチ素子SW3はノードNDと電源AVSS(広義には第2の電源)との間に設けられる。これらのスイッチ素子SW1、SW2、SW3はトランジスタ(CMOSトランジスタ、N型トランジスタ)により構成でき、そのオン・オフ制御は送信制御信号GC1、GC2、GC3により行われる。
【0036】
電流制御回路20は、定電流回路10から流れる電流(AVDD、ND間に流れる電流)の値を可変に制御(設定)するための回路であり、電流設定情報レジスタ22を含む。具体的には電流制御回路20は電流制御信号IC1〜ICJを定電流回路10に出力する。電流制御信号IC1〜ICJの電圧レベルは、電流設定情報レジスタ22の設定情報(設定値)に基づき設定される。この電流設定情報レジスタ22への設定情報の書き込みは、例えばファームウェア(処理部、CPU)により行われる。そして定電流回路10からノードNDに対しては、電流制御信号IC1〜ICJの電圧レベルに応じた電流値の定電流が流れる。例えば電流制御信号IC1〜ICJの電圧レベルが第1の設定である場合には、第1の電流値の定電流が流れ、第2の設定である場合には第2の電流値の定電流が流れ・・・・第Kの設定である場合には第Kの電流値の定電流が流れる。
【0037】
送信回路は、定電流回路10からの電流により、スイッチ素子SW1又はSW2を介してDP又はDMの信号線(広義には第1又は第2の信号線)を駆動(電流駆動)する。具体的には、図示しない送信制御回路からの送信制御信号GC1、GC2、GC3に基づいてスイッチ素子SW1、SW2、SW3がオン・オフ制御されて、DP、DMの信号線が駆動される。
【0038】
図2(A)に、送信制御信号GC1、GC2、GC3の信号波形例を示す。信号GC1、GC2は、その一方がアクティブ(例えばハイレベル)の時に他方が非アクティブ(例えばローレベル)になるノンオーバーラップ信号である。また信号GC3は、送信期間で非アクティブになり、送信期間以外の期間でアクティブになる信号である。
【0039】
信号GC1がアクティブになると、スイッチ素子SW1がオンになり、定電流回路10からの電流(定電流)がSW1を介して信号線DP側に流れる。一方、信号GC2がアクティブになると、スイッチ素子SW2がオンになり、定電流回路10からの電流がSW2を介して信号線DM側に流れる。ここで信号線DP、DMには、後述するように終端抵抗
が接続されている。従って、信号GC1をアクティブにして、信号GC2を非アクティブにすると、DPの電圧が400mVでDMの電圧が0VになるJステートが生成される。また信号GC1を非アクティブにして信号GC2をアクティブにすると、DPの電圧が0VでDMの電圧が400mVになるKステートが生成される。このように信号GC1、GC2を制御してUSBのバスステートをJステート又はKステートにすることで、USBを介したデータ転送(パケット転送)が可能になる。
【0040】
また図2(A)に示すように、送信(HS送信)期間以外の期間では、信号GC3がアクティブになることで、定電流回路10からの電流がスイッチ素子SW3を介して電源AVSS(第2の電源)側に流れる。即ち定電流回路10からの電流が破棄される。このように送信期間以外の期間においても、定電流回路10からの電流をSW3を介してAVSS(GND)側に流し続けることで、ノードNDの電位を安定化できる。そして、送信開始時に直ぐに、定電流回路10からの安定した電流をスイッチ素子SW1、SW2を介して信号線DP、DMに流すことができ、送信回路のレスポンスを向上できる。
【0041】
なお定電流回路10から流れる電流IHSの電流値はIhs=17.78mAというように大きい。従って送信期間以外の期間においても、定電流回路10からの電流がAVSS側に流れ込むと、送信回路の消費電力が大きくなってしまう。
【0042】
この点、図2(B)では、USB上でパケットが送信されるC1に示す送信開始タイミングよりも前のC2に示すタイミングで、定電流回路10のイネーブル信号(電流源をイネーブル状態に設定する信号)をアクティブにしている。即ち、パケットの送信開始タイミング(C1)よりも、送信待機期間TSだけ前のタイミング(C2)で、イネーブル信号をアクティブにする。こうすれば、パケットの送信期間においては定電流回路10の電流を用いた適正なパケット送信が可能になると共に、送信期間以外の期間において無駄な電流がAVSSに流れ込んでしまう事態を防止できる。これにより、データ転送制御装置や電子機器の省電力化を図れる。また、送信待機期間TSの長さを、定電流回路10の電流の安定化やノードNDの電位の安定化に十分な長さ(例えば100ns以上)に設定することで、送信開始時に直ぐに、定電流回路10からの安定した電流をSW1、SW2を介してDP、DMに流すことが可能となり、送信回路の高レスポンス性能も維持できる。
【0043】
この場合、定電流回路10のイネーブル信号の制御(生成、出力)はトランザクション層(トランザクションコントローラ)が行うことが望ましい。例えば比較例として、イネーブル信号の制御を、パケット生成回路などのパケット層(或いはその下の層)の回路が行う手法が考えられる。しかしながら、パケット層の回路は、バスで行われているトランザクションについては全く認識していない。従ってこの比較例の手法では、実行中のトランザクションのタイプに応じてイネーブル信号の信号変化タイミングを変えるなどのインテリジェントな制御を実現できない。
【0044】
これに対して、トランザクション(トランザクションフェーズの切り替えタイミング)について認識しているトランザクション層の回路(トランザクションコントローラ)がイネーブル信号を制御すれば、バスで行われているトランザクションに応じた制御が可能になり、実行中のトランザクションのタイプに応じてイネーブル信号の信号変化タイミングを変えるなどのインテリジェントな制御を実現できる。具体的には、トランザクションのタイプがINトランザクションである場合には、イネーブル信号を、INトークンパケットの受信完了タイミングとデータパケットの送信開始タイミングの間のタイミングでアクティブにする制御が可能になる。また、トランザクションのタイプがOUTトランザクションである場合には、イネーブル信号を、データパケットの受信完了タイミングとハンドシェークパケットの送信開始タイミングの間のタイミングでアクティブにする制御も可能になる。
【0045】
2.定電流値の制御
図3(A)に示すように、信号線DP、DMには、送信側において終端抵抗RTP、RTMが接続され、受信側において終端抵抗RRP、RRMが接続される。図3(A)では、送信側の終端抵抗RTP、RTMの抵抗値をrtと表し、受信側の終端抵抗RRP、RRMの抵抗値をrrと表している。これらの終端抵抗RTP、RTM、RRP、RRMは、図3(B)に示すように、FS用の送信回路8、9(FSドライバ)を構成するトランジスタのオン抵抗と、送信回路8、9の出力に接続される抵抗RSTP、RSTM、RSRP、RSRM(ダンピング抵抗)により実現できる。即ちHSモード時にFS用の送信回路8、9が「0」をドライブすることで、終端抵抗RTP、RTM、RRP、RRMが実現される。
【0046】
図4(A)に示すようにUSB2.0では出力ハイレベル電圧VHSOHが規格化されている。具体的にはVHSOHの最小値(vmin)は360mVであり、最大値(vmax)は440mVである。またUSB2.0では終端抵抗値rtermも規格化されている。具体的にはrtermの最小値(rtl、rrl)は40.5Ωであり、最大値(rth、rrh)は49.5Ωである。
【0047】
例えば図5にUSBのアイパターン(差動信号特性)の例を示す。図5のA1、A2に示す帯状領域とA3に示す六角形領域は、USBで規定される禁止領域であり、DP、DMの信号波形がこの禁止領域に入らないように送信回路や伝送経路を設計する必要がある。図5から明らかなように、DP、DMの信号線の電圧レベルが440mVより大きくなったり、360mVより小さくなると、DP、DMの信号波形がA1、A2の禁止領域に入り、USB規格を満たせなくなる。
【0048】
これまでのUSB(USB2.0)の送信回路では、定電流回路から流れる電流の値は固定値になっており、可変には制御されていなかった。即ち定電流回路は、送信側及び受信側の終端抵抗値が45Ωであるとして、ihs=17.78mAの固定値の電流を流していた。このようにすれば、図5のA4に示すように、DP、DMの電圧レベルは400mVになり、DP、DMの信号波形がA1、A2、A3の禁止領域に入らないようになる。
【0049】
しかしながら送信回路を有するデータ転送制御装置のIC端子から回路基板のUSBレセプタクルまでの距離が長い場合があり、この場合には、IC端子においてはVHSOH=400mVになっていても、レセプタクル端子においてはVHSOH=400mVになっていない場合がある。またデバイスの特性変動や伝送路上の波形劣化(波形減衰)によって、必要十分な信号振幅を得られない場合もある。更に、受信側のデータ転送制御装置がUSB規格を遵守していない場合には、送信側の信号波形(VHSOH)がUSB規格を遵守していたとしても、データ転送が正常に行われないおそれがある。
【0050】
そこで本実施形態では図1の定電流回路10から流れる電流IHSの電流値Ihsを可変に設定できるようにしている。即ち電流制御回路20からの電流制御信号IC1〜ICJに基づいて電流値ihsが種々の値に設定される。例えば送信側、受信側の終端抵抗値が共に45Ωであるとする。この時、図4(B)に示すように、定電流回路10から流れる電流値をihs=16mAに設定すれば、VHSOH=vmin=360mVになり、ihs=19.56mAに設定すれば、VHSOH=vmax=440mVになる。
【0051】
例えばデータ転送制御装置のIC端子から回路基板のUSBレセプタクルまでの距離が長く、信号振幅の減衰が大きい場合には、出力ハイレベル電圧VHSOHを大きくすることが望ましい。従ってこの場合には定電流回路10から流れる電流の値ihsを大きくす
る。こうすれば、DP、DMの信号波形は図5のA5に示すような波形になり、信号振幅が減衰したとしても、USBのレセプタクル端子の位置でのVHSOHを400mV程度に設定できる。また受信側のデータ転送制御装置が、USB規格を遵守していなく、図5のA3の禁止領域が規格よりも大きかったような場合にも、エラーの無いデータ転送を実現できる。
【0052】
また例えばUSBメモリのように送信側と受信側の間の距離が短い場合には、伝送時の信号振幅の減衰が少ないと考えられる。従ってこの場合には消費電力を優先して、定電流回路10から流れる電流の値ihsを小さくする。このようにすると、DP、DMの信号波形は図5のA6に示すような波形になり、VHSOHは400mVよりも小さくなる。しかしながら、USBメモリのようにUSBの伝送経路が短い場合には、VHSOHが400mVよりも小さくても、受信側においてDP、DMの信号波形がA3の禁止領域に入る可能性はほとんどない。そして、電流値ihsが小さくなれば、送信回路の消費電流を少なくでき、送信回路を含むデータ転送制御装置やデータ転送制御装置を含む電子機器の省電力化を図れる。
【0053】
このように本実施形態は、通常ならば固定値の電流を流すように設計される定電流回路を、可変値の電流を流せるようにした点に特徴がある。例えば、出力ハイレベル電圧VHSOHを可変にする比較例の手法として、DP、DMに接続される終端抵抗の値だけを可変に制御する手法が考えられる。
【0054】
しかしながら、この手法によると、送信側の終端抵抗値を変化させた場合に、受信側の終端抵抗値との間のインピーダンスマッチングがとれなくなり、伝送波形が劣化するおそれがある。
【0055】
この点、本実施形態では、定電流回路10の電流値を可変に制御しているため、終端抵抗値を変化させなくても済む。従って、受信側とのインピーダンスマッチングがとりやすくなり、良好な伝送波形を維持できる。
【0056】
また本実施形態では、定電流回路10の電流値ihsを、ファームウェア等によってエンドユーザが調整可能になる。従って、例えば伝送経路が短い時には電流値ihsを小さくして低消費電力モードに設定する等のインテリジェントな制御が可能になり、従来には無い送信回路を実現できる。
【0057】
3.電流範囲の設定
例えば送信回路の出力ハイレベル電圧の最小値をvmin(=360mV)とし、送信回路の出力ハイレベル電圧の最大値をvmax(=440mV)とし、送信側の終端抵抗値をrtとし、受信側の終端抵抗値をrrとし、定電流回路10から流れる電流の値をihsとしたとする。この場合に、定電流回路10から流れる電流の範囲は、例えば、{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmin≦ihs≦{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmaxを満たす範囲に設定できる。別の言い方をすれば、電流制御回路20は、上記式を満たす電流範囲で、定電流回路10から流れる電流の値を可変に制御する。
【0058】
このようにすれば、電流値ihsの最小値はihsmin={(rt+rr)/(rt×rr)}×vminとなり、最大値はihsmax={(rt+rr)/(rt×rr)}×vmaxになる。従って、ihs=ihsminの電流が流れた時の出力ハイレベル電圧はVSVOH=vmin=360mVになり、ihs=ihsmaxの電流が流れた時の出力ハイレベル電圧はVSVOH=vmax=440mVになる。従って、USB規格を遵守しながら、定電流回路10からの電流値ihsを可変に制御できるようになる。
【0059】
また受信側の終端抵抗値の最小値をrrl(=40.5Ω)、最大値をrrh(49.5Ω)としたとする。この場合には、定電流回路10から流れる電流の範囲を、{(rt+rrl)/(rt×rrl)}×vmin≦ihs≦{(rt+rrh)/(rt×rrh)}×vmaxを満たす範囲に設定してもよい。
【0060】
例えば図6に、終端抵抗値rt、rr、出力ハイレベル電圧VHSOHと、電流値ihsとの関係を示す。図6のB1に示すように、例えば終端抵抗値rt、rrが45Ω(ティピカル値)であり、VHSOH=400mVである場合には、ihs=17.77778mAになる。
【0061】
しかしながら、送信側の終端抵抗値rtが45Ω(ティピカル値)であったとしても、B2に示すように受信側の終端抵抗値rrが規格上の最小値rrl=40.5Ωになっている場合があり得る。この場合に、B3から明らかなように、電流値ihsが16.88889mAよりも小さくなると、出力ハイレベル電圧VHSOHがvmin=360mVよりも小さくなってしまい、USB規格を遵守できなくなる。従って、このような場合を考慮すると、定電流回路10から流れる電流の範囲は、{(rt+rrl)/(rt×rrl)}×vmin≦ihsを満たす範囲に設定されていることが望ましい。
【0062】
また送信側の終端抵抗値rtが45Ω(ティピカル値)であったとしても、B4に示すように受信側の終端抵抗値rrが規格上の最大値rrh=49.5Ωになっている場合があり得る。この場合に、B5から明らかなように、電流値ihsが18.66667mAよりも大きくなると、出力ハイレベル電圧VHSOHがvmax=440mVよりも大きくなってしまい、USB規格を遵守できなくなる。従って、このような場合を考慮すると、定電流回路10から流れる電流の範囲は、ihs≦{(rt+rrh)/(rt×rrh)}×vmaxを満たす範囲に設定されていることが望ましい。
【0063】
以上のように、定電流回路10から流れる電流の範囲が、{(rt+rrl)/(rt×rrl)}×vmin≦ihs≦{(rt+rrh)/(rt×rrh)}×vmaxに設定されていれば、受信側の終端抵抗値rrが、最小値rrl=40.5Ωや最大値rrh=49.5Ωになっている場合にも、USB規格を遵守できる。そしてこのような電流範囲で電流値ihsを変化させれば、USB規格を遵守しながらも、送信回路の低消費電力化を図ったり、伝送波形の劣化を考慮した信号伝達を実現できるようになる。
【0064】
4.終端抵抗値の可変制御
図7に送信回路の第1の変形例を示す。図7では、送信回路は、DPの信号線(第1の信号線)を終端するための第1の終端抵抗回路30と、DMの信号線(第2の信号線)を終端するための第2の終端抵抗回路32を含む。また終端抵抗回路30、32の終端抵抗値を可変に制御する終端抵抗制御回路40を含む。
【0065】
なお図7では送信回路は、スイッチ素子SW3とAVSSとの間に設けられる終端抵抗回路34も含む。またDPの信号線と終端抵抗回路30の間に設けられる第1の固定抵抗RSPや、DMの信号線と終端抵抗回路32の間に設けられる第2の固定抵抗RSMを含む。またスイッチ素子SW3と終端抵抗回路34の間に設けられる第3の固定抵抗RSAを含む。なお終端抵抗回路34や固定抵抗RSP、RSM、RSAを省略する構成とすることもできる。
【0066】
図8に示すように、FS用の送信回路8の出力(差動出力)ノードをノードTN1、TN2に接続してもよい。図8のようにすれば、FSモード時には、例えば終端抵抗回路30、32の抵抗を構成するトランジスタをオフ状態にすることで、固定抵抗RSP、RSMをFS転送用のダンピング抵抗として用いることが可能になる。一方、HSモード時には、FS用送信回路8をディスエーブル状態に設定することで、固定抵抗RSPと終端抵抗回路30からなる抵抗と、固定抵抗RSMと終端抵抗回路32からなる抵抗を、HSモード用の終端抵抗として用いることが可能になる。従って、FSモード時とHSモード時で固定抵抗RSP、RSMを共用できるようになるため、回路の小規模化を図れる。なおFS用送信回路8の出力とDP、DMの信号線の間に、抵抗値を可変に設定できる抵抗回路を設けてもよい。
【0067】
終端抵抗制御回路40は、終端抵抗回路30、32、34の終端抵抗値を可変に制御(設定)するための回路であり、終端抵抗設定情報レジスタ42を含む。具体的には終端抵抗制御回路40は抵抗制御信号CP(CP1〜CP3)、CM(CM1〜CM3)、CA(CA1〜CA3)を終端抵抗回路30、32、34に出力する。抵抗制御信号CP、CM、CAの電圧レベルは、終端抵抗設定情報レジスタ42の設定情報(設定値)に基づき設定される。この終端抵抗設定情報レジスタ42への設定情報の書き込みは、例えばファームウェア(処理部、CPU)により行うことができる。
【0068】
図9に終端抵抗回路30の構成例を示す。なお終端抵抗回路32、34も図9と同様の構成になる。
【0069】
終端抵抗回路30は抵抗回路36、37、38を含む。これらの抵抗回路36、37、38の各々は複数のトランジスタ(NMOSトランジスタ)により構成される。抵抗回路36、37、38は、各々、例えば5個、12個、3個の並列接続されたトランジスタにより構成される。そしてこれらのトランジスタのドレインにはノードTN1が接続され、ソースには電源AVSSが接続される。また抵抗回路36、37、38を構成するトランジスタのゲートには、各々、終端抵抗制御回路40からの抵抗制御信号CP1、CP2、CP3が入力される。そして抵抗制御信号CP1、CP2、CP3がアクティブになると、抵抗回路36、37、38を構成するトランジスタがオンになり、そのオン抵抗値が、抵抗回路36、37、38の抵抗値(終端抵抗値)になる。
【0070】
例えば抵抗制御信号CP1〜CP3が全てアクティブである場合には、抵抗回路36、37、38を構成する並列接続された20個(=5+12+3)のトランジスタが全てオン状態になり、これらのトランジスタのオン抵抗値により形成される並列抵抗値は例えば2.4Ωになる。そしてRSPの固定抵抗値rsp=39Ωであるため、終端抵抗値は41.4Ωになる。
【0071】
また抵抗制御信号CP1、CP3がアクティブであり、CP2が非アクティブである場合には、抵抗回路36、38を構成する並列接続された8個(=5+3)のトランジスタがオン状態になり、これらのトランジスタのオン抵抗値により形成される並列抵抗値は例えば6.0Ωになる。従って終端抵抗値は39+6.0=45Ωになる。
【0072】
また抵抗制御信号CP1がアクティブであり、CP2、CP3が非アクティブである場合には、抵抗回路36を構成する並列接続された5個のトランジスタがオン状態になり、これらのトランジスタのオン抵抗値により形成される並列抵抗値は例えば9.6Ωになる。従って終端抵抗値は39+9.6=48.6Ωになる。
【0073】
以上のように本実施形態の第1の変形例では、DP、DMの終端抵抗値を可変に制御できる。これにより、定電流回路10の電流値の制御のみならず、終端抵抗値を制御して、図5のA4、A5、A6に示すように出力ハイレベル電圧を調整できるようになる。また受信側の終端抵抗値とのインピーダンスマッチングがとれていない場合に、送信側の終端抵抗値を変更することで、インピーダンスマッチングをとることも可能になる。
【0074】
例えば図6のB6に示すように受信側の終端抵抗値が40.5Ωである場合には、終端抵抗回路30、32により、B7に示すように送信側の終端抵抗値を例えば40.5Ωに変更する。これにより、インピーダンスマッチングをとることができる。この時に、電流制御回路20の制御により定電流回路10の電流値を、B8に示すように17.77778mA以上に設定すれば、出力ハイレベル電圧が360mV以上になり、USB規格を遵守できる。
【0075】
また図6のB9に示すように受信側の終端抵抗値が49.5Ωである場合には、終端抵抗回路30、32により、B10に示すように送信側の終端抵抗値を例えば49.5Ωに変更する。これにより、インピーダンスマッチングをとることができる。この時に、電流制御回路20の制御により定電流回路10の電流値を、B11に示すように17.77778mA以下に設定すれば、出力ハイレベル電圧が440mV以下になり、USB規格を遵守できる。
【0076】
以上のように、定電流回路10の電流値の制御と終端抵抗回路30、32の終端抵抗値の制御を組み合わせることで、従来の手法では実現できない調整手法を実現できる。
【0077】
5.スルーレート調整
図10に本実施形態の第2の変形例を示す。図10ではバッファ回路510−1、510−2、510−3を更に設けている。なお図10では、図1のスイッチ素子SW1、SW2、SW3がトランジスタTE1、TE2、TE3により構成されている。
【0078】
バッファ回路510−1、510−2、510−3は、送信制御信号GC1、GC2、GC3を受け、送信制御信号GC1’、GC2’、GC3’をトランジスタTE1、TE2、TE3のゲートに出力する。なお送信制御信号GC1、GC2は、その一方がアクティブの時に他方が非アクティブになるノンオーバーラップ信号である。
【0079】
バッファ回路510−1、510−2、510−3は、各々、容量調整回路520−1、520−2、520−3を含む。このような容量調整回路520−1、520−2、520−3を設けて容量を調整すれば、HS用の送信回路の出力波形を任意の波形に調整できるようになる。即ち、送信回路のスルーレート調整を行って、アイパターン調整を行うことが可能になる。例えば図5のA7に示すように、DP、DMの信号の立ち上がりのスルーレートを調整したり、A8に示すように、DP、DMの信号の立ち下がりのスルーレートを調整することが可能になる。これにより、伝送路や基板に応じた最適なスルーレート(電位勾配)を選択できるようになる。従って、USBを介して接続される相手側のデータ転送制御装置(電子機器)がUSB規格に厳密に準拠していない場合等にも、差動信号を用いた正確なデータ転送を実現できる。
【0080】
図11に、バッファ回路510(510−1、510−2、510−3)と容量調整回路520(520−1、520−2、520−3)の構成例を示す。バッファ回路510は、第1のインバータ512と、インバータ512の出力ノードにその入力ノードが接続される第2のインバータ514を含む。そしてインバータ512の出力ノードに、容量調整回路520が接続されている。
【0081】
容量調整回路520は、容量調整信号SS1、SS2、SS3によりオン・オフ制御されるトランジスタTE4、TE5、TE6(広義には少なくとも1つの容量調整用スイッチ素子)と、容量素子C1、C2、C3(広義には少なくとも1つの容量素子)を含む。容量素子C1、C2、C3の一端は、トランジスタTE4、TE5、TE6(容量調整用スイッチ素子)の他端(ソース)に接続され、C1、C2、C3の他端は、AVSS(第
2の電源)に接続される。
【0082】
容量調整信号SS1、SS2、SS3のレベルを種々の値に設定することで、インバータ512の出力ノード(インバータ514の入力ノード)の配線容量を任意の値に調整できる。これによりHS用の送信回路の出力のスルーレートを任意に調整できる。なお容量素子C1、C2、C3としては、MOSトランジスタのゲート容量を用いてもよいし、第1、第2のポリシリコン配線間に形成される容量を用いてもよい。
【0083】
図10に示す第2の変形例によれば、出力ハイレベル電圧VHSOHの調整のみならず、スルーレートの調整も可能になる。従って、DP、DMの信号波形を、伝送経路に応じた種々の波形に設定することが可能になり、図5に示すようなアイパターンに関するUSB規格の遵守を容易化できる。
【0084】
6.定電流回路の構成例
(1)第1の構成例
図12に定電流回路10の第1の構成例を示す。図12に示すように定電流回路10は、基準電流生成回路50(バイアス回路)と、基準電流生成回路50からのバイアス電圧BS1、BS2に基づいて電流が流れる電流源IS1、IS2、IS3(広義には第1〜第Jの電流源)を含む。また電流源IS1、IS2、IS3に対して直列に接続される電流制御用トランジスタTB1Z、TB2Z、TB3Z(広義には第1〜第Nの電流制御用スイッチ素子)を含む。
【0085】
基準電流生成回路50は、基準電流源ISRと、そのゲートにイネーブル信号XENBが入力されるトランジスタTA1を含む。またそのゲートが共通接続されるトランジスタTA2、TA3と、そのゲートが共通接続されるトランジスタTA4、TA9と、そのゲートが共通接続されるトランジスタTA5、TA6、TA10を含む。またトランジスタTA9、TA10に直列に接続されるトランジスタTA7、TA8を含む。
【0086】
基準電流源ISRに流れる100μAの電流は、カレントミラーによりトランジスタTA1、TA3、TA6に流れる。そしてこの100μAの電流を12倍にした1.2mAの電流が、トランジスタTA7、TA8、TA9、TA10に流れる。そしてトランジスタTA7、TA8に1.2mAの電流が流れることで生成されたバイアス電圧BS1、BS2が出力される。
【0087】
電流源IS1は、各々、直列接続されたトランジスタTB1X、TB1Y、トランジスタTB2X、TB2Y、トランジスタTB3X、TB3Yにより構成される。そしてトランジスタTB1X、TB2X、TB3Xのゲートにはバイアス電圧BS1が入力され、トランジスタTB1Y、TB2Y、TB3Yのゲートにはバイアス電圧BS2が入力される。電流制御用トランジスタTB1Z、TB2Z、TB3Zのゲートには電流制御信号IC1、IC2、IC3が入力される。
【0088】
例えばトランジスタTA7、TA8に流れる電流値をib=1.2mA(基本電流ユニット)とし、電流源IS1、IS2、IS3に流れる電流値を、各々、ib×14、ib×15、ib×16とする。すると、電流制御信号IC1がアクティブになり、トランジスタTB1Zだけがオン状態になると、ihs=ib×14=16.8mAの電流がノードNDに流れる。また電流制御信号IC2がアクティブになり、トランジスタTB2Zだけがオン状態になると、ihs=ib×15=18.0mAの電流がノードNDに流れる。また電流制御信号IC3がアクティブになり、トランジスタTB3Zだけがオン状態になると、ihs=ib×16=19.2mAの電流がノードNDに流れる。従って、電流制御信号IC1、IC2、IC3を用いて、定電流回路10からノードNDに流れる電流値ihsを16.8mA、18.0mA、19.2mAというように可変に制御できる。
【0089】
(2)第2の構成例
図13に定電流回路10の第2の構成例を示す。図13では、トランジスタTC1Z(第1の電流制御用トランジスタ)のゲートはAVSSに接続されており、オン状態に設定される。そして電流制御回路20はトランジスタTC2Z、TC3Z・・・・TCJZ(第2〜第Jの電流制御用スイッチ素子)をオン・オフするための電流制御信号IC2〜ICJ(第2〜第Jの電流制御信号)を出力する。また図13では電流源IS1には例えばib×12の電流が流れ、電流源IS2、IS3・・・・ISJにはibの電流が流れる。従って、電流制御信号IC2〜ICJが全て非アクティブである場合には、定電流回路10からノードNDにihs=ib×12=14.4mAの電流が流れる。また信号IC2だけがアクティブである場合には、ihs=ib×12+ib=15.6mAの電流が流れ、信号IC2とIC3がアクティブである場合には、ihs=ib×12+ib×2=16.8mAの電流が流れる。また信号IC2〜ICJが全てアクティブであり、J=5である場合には、ihs=ib×12+ib×5=20.4mAの電流が流れる。従って、定電流回路10からノードNDに流れる電流値ihsを15.6mA、16.8mA、18.0mA、19.2mA、20.4mAというように可変に制御できる。
【0090】
(3)第3の構成例
図14に定電流回路10の第3の構成例を示す。図13では、電流源IS1〜ISJとノードNDの間に電流制御用トランジスタTC1Z〜TCJZが設けられていたが、図14では電源AVDDと電流源IS1〜ISJの間に電流制御用トランジスタTC1Z〜TCJZが設けられている。なお図12において、電源AVDDと電流源IS1〜IS3の間に電流制御用トランジスタTB1Z〜TB3Zを設ける構成としてもよい。
【0091】
(4)第4の構成例
図15に定電流回路10の第4の構成例を示す。図15では、AVDD(第1の電源)とノードNDとの間に設けられ、電流源IS1〜IS3(第1〜第Jの電流源)に流れる電流に対応する電流が流れる電流源IS(第J+1の電流源)を含む。
【0092】
具体的には、図12では電流源IS1〜IS3はP型トランジスタにより構成されていたが、図15ではN型トランジスタにより構成されている。また図15では電流制御用トランジスタTD1Z、TD2Z、TD3ZもN型トランジスタにより構成されている。そして電流源IS1〜IS3に流れる電流は、カレントミラー回路52により例えば15倍にしてコピーされて、電流源ISに流れるようになる。
【0093】
例えばトランジスタTA1に流れる電流値をib=100μA(基本電流ユニット)とし、電流源IS1、IS2、IS3に流れる電流値を、各々、ib×11、ib×12、ib×13とする。すると、電流制御信号IC1、IC2、IC3がアクティブになると、各々、1.1mA、1.2mA、1.3mAの電流がトランジスタTD4、TD5に流れる。そしてこれらの電流をカレントミラー回路52により15倍にした16.5mA、18.0mA、19.5mAの電流が電流源ISに流れるようになる。従って、電流制御信号IC1、IC2、IC3を用いて、定電流回路10から流れる電流値ihsを16.5mA、18.0mA、19.5mAというように可変に制御できる。
【0094】
(5)第5の構成例
図16に定電流回路10の第5の構成例を示す。図16では、トランジスタTD1ZのゲートはAVDDに接続されオン状態に設定される。また図15では電流源IS1には例えばib×10の電流が流れ、電流源IS2〜ISJにはibの電流が流れる。従って、電流制御信号IC2〜ICJが全て非アクティブである場合には、トランジスタTD4、
TD5には1.0mAの電流が流れ、カレントミラー回路52により例えば15倍にされたihs=15.0mAの電流が電流源ISに流れるようになる。同様にして信号IC2だけがアクティブである場合には、ihs=15+1.5=16.5mAの電流が流れ、信号IC2とIC3がアクティブである場合には、ihs=15+1.5×2=18.0mAの電流が流れる。また信号IC2〜ICJが全てアクティブであり、J=4である場合には、ihs=15+1.5×4=21.0mAの電流が流れる。従って、定電流回路10から流れる電流値ihsを15.0mA、16.5mA、18.0mA、19.5mA、21.0mAというように可変に制御できる。
【0095】
図15、図16の第4、第5の構成例によれば、ノードNDの負荷容量が一定になるため、図12〜図14に比べて安定動作が可能になる。またAVDDとノードNDの間に電流制御用トランジスタを設けなくて済むため、電流制御用トランジスタの抵抗やノイズを原因とする悪影響を防止でき、伝送品質を維持できる。
【0096】
(6)第6の構成例
図17に定電流回路10の第6の構成例を示す。図17において定電流回路10は、基準電流生成回路50と、AVDD(第1の電源)とノードNDとの間に設けられる第1〜第Jの電流源IS1〜ISJを含む。また電流源IS1〜ISJを構成するトランジスタのゲートと、基準電流生成回路50のバイアス電圧BS1、BS2の出力ノードNQ1、NQ2との間に設けられたトランスファーゲートTT1A、TT1B、TT2A、TT2B、TT2B・・・TTJA、TTJB(広義には第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子)を含む。例えば出力ノードNQ1とトランジスタTG1X、TG2X・・・TGJXのゲートとの間には、トランスファーゲートTT1A、TT2A・・・TTJAが設けられる。また出力ノードNQ2とトランジスタTG1Y、TG2Y・・・TGJYのゲートとの間には、トランスファーゲートTT1B、TT2B・・・TTJBが設けられる。
【0097】
図17では電流源IS1にはib×12の電流が流れる。一方、電流源IS2、IS3・・・ISJにはibの電流が流れる。従って、電流制御信号IC1がアクティブでありIC2〜ICJが非アクティブである場合には、定電流回路10からノードNDにihs=ib×12=14.4mAの電流が流れる。また信号IC1及びIC2がアクティブである場合には、ihs=ib×12+ib=15.6mAの電流が流れ、信号IC1〜IC3がアクティブである場合には、ihs=ib×12+ib×2=16.8mAの電流が流れる。また信号IC1〜ICJが全てアクティブであり、J=6である場合には、ihs=ib×12+ib×5=20.4mAの電流が流れる。従って、定電流回路10から流れる電流値ihsを15.6mA、16.8mA、18.0mA、19.2mA、20.4mAというように可変に制御できる。
【0098】
図17の第5の構成例によれば、図12〜図14とは異なり、AVDDとノードNDの間に電流制御用トランジスタを設けなくて済む。従って、電流制御用トランジスタの抵抗やノイズを原因とする悪影響を防止でき、伝送品質を維持できる。
【0099】
7.データ転送制御装置
図18に、本実施形態のデータ転送制御装置の構成例を示す。図18のデータ転送制御装置は、トランシーバ200と転送コントローラ210とバッファコントローラ220とデータバッファ230とインターフェース回路240を含む。なおこれらの回路ブロックの一部を省略したり、これらの回路ブロック間の接続形態を変更したり、これらとは異なる回路ブロックを追加してもよい。例えばバッファコントローラ220やデータバッファ230やインターフェース回路240を省略した構成にすることもできる。
【0100】
トランシーバ200(物理層回路)は、DP、DMの信号線(差動データ信号線、シリ
アルバス)を用いてデータを送受信するための回路であり、本実施形態で説明した送信回路6(HS用送信ドライバ)を含む。このトランシーバ200としてはUTMI(USB2.0
Transceiver Macrocell Interface)仕様に準拠した回路を用いることができる。
【0101】
転送コントローラ210は、USBを介したデータ転送を制御するためのコントローラであり、いわゆるSIE(Serial Interface Engine)の機能などを実現するためのもの
である。例えば転送コントローラ210は、パケットハンドル処理、サスペンド&レジューム制御、或いはトランザクション管理などを行う。この転送コントローラ210は、図示しないリンクコントローラやトランザクションコントローラを含むことができる。
【0102】
バッファコントローラ220は、データバッファ230に記憶領域(エンドポイント領域等)を確保したり、データバッファ230の記憶領域に対するアクセス制御を行う。より具体的にはバッファコントローラ220は、インターフェース回路240を介したアプリケーション層デバイス側からのアクセスや、インターフェース回路240を介したCPU側からのアクセスや、USB(転送コントローラ210)側からのアクセスを制御したり、これらのアクセスの調停を行ったり、アクセス・アドレスの生成・管理を行う。
【0103】
データバッファ230(パケットバッファ)は、USBを介して転送されるデータ(送信データ又は受信データ)を一時的に格納(バッファリング)するためバッファ(FIFO)である。このデータバッファ230はRAMなどのメモリにより構成できる。
【0104】
インターフェース回路240は、アプリケーション層デバイスが接続されるDMA(DirectMemoryAccess)バスや、CPUが接続されるCPUバスを介したインターフェースを実現するための回路である。このインターフェース回路240には、DMA転送のためのDMAハンドラ回路などを含めることができる。
【0105】
8.電子機器
図19に本実施形態の電子機器の構成例を示す。この電子機器300は、本実施形態で説明したデータ転送制御装置310と、ASICなどで構成されるアプリケーション層デバイス320と、CPU330と、ROM340と、RAM350と、表示部360と、操作部370を含む。なおこれらの機能ブロックの一部を省略する構成としてもよい。
【0106】
ここでアプリケーション層デバイス320は、例えば、携帯電話のアプリケーションエンジンを実現するデバイスや、情報記憶媒体(ハードディスク、光ディスク)のドライブを制御するデバイスや、プリンタを制御するデバイスや、MPEGエンコーダ、MPEGデコーダ等を含むデバイスなどである。処理部330(CPU)はデータ転送制御装置310や電子機器全体の制御を行う。ROM340は制御プログラムや各種データを記憶する。RAM350は処理部330やデータ転送制御装置310のワーク領域やデータ格納領域として機能する。表示部360は種々の情報をユーザに表示する。操作部370はユーザが電子機器を操作するためのものである。
【0107】
なお図19ではDMAバスとCPUバスが分離されているが、これらを共通化してもよい。またデータ転送制御装置310を制御する処理部と、電子機器を制御する処理部とを別々に設けてもよい。
【0108】
また本実施形態の電子機器300としては、携帯電話機、携帯型音楽プレーヤ、携帯型映像プレーヤ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、光ディスクドライブ装置、ハードディスクドライブ装置、オーディオ機器、携帯型ゲーム機、電子手帳、電子辞書又は携帯型情報端末等の種々のものが考えられる。
【0109】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の電源、第2の電源、第1の信号線、第2の信号線等)と共に記載された用語(AVDD、AVSS、DP、DM等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また送信回路、データ転送制御装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。また、本実施形態では、USD2.0Bへの本発明の適用例について説明したが、本発明は、USB2.0と同様の思想に基づく規格や、USB2.0を発展させた規格等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本実施形態の送信回路の構成例。
【図2】図2(A)(B)は送信制御信号の信号波形例。
【図3】図3(A)(B)は終端抵抗の説明図。
【図4】図4(A)(B)は出力ハイレベル電圧、終端抵抗の規格の説明図。
【図5】アイパターンの説明図。
【図6】終端抵抗、出力ハイレベル電圧、電流値の関係を示す図。
【図7】本実施形態の送信回路の第1の変形例。
【図8】FS用送信回路の出力の接続について示す図。
【図9】終端抵抗回路の構成例。
【図10】本実施形態の送信回路の第2の変形例。
【図11】バッファ回路の構成例。
【図12】定電流回路の第1の構成例。
【図13】定電流回路の第2の構成例。
【図14】定電流回路の第3の構成例。
【図15】定電流回路の第4の構成例。
【図16】定電流回路の第5の構成例。
【図17】定電流回路の第6の構成例。
【図18】データ転送制御装置の構成例。
【図19】電子機器の構成例。
【符号の説明】
【0111】
SW1、SW2、SW3 第1、第2、第3のスイッチ素子、ND ノード、
GC1、GC2、GC3 第1、第2、第3の送信制御信号、
TE1、TE2、TE3 第1、第2、第3のトランジスタ、
IS、IS1〜ISJ 電流源
10 定電流回路、20 電流制御回路、22 電流設定情報レジスタ、
30、32、34 終端抵抗回路、40 終端抵抗制御回路、
42 終端抵抗設定情報レジスタ、50 基準電流生成回路、
52 カレントミラー回路、520-1、520-2、520-3 容量調整回路、
510-1、510-2、510-3 バッファ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動対を構成する第1、第2の信号線を介して信号を送信する送信回路であって、
第1の電源と所与のノードとの間に設けられた定電流回路と、
前記ノードと前記第1の信号線との間に設けられた第1のスイッチ素子と、
前記ノードと前記第2の信号線との間に設けられた第2のスイッチ素子と、
前記定電流回路から流れる電流の値を可変に制御する電流制御回路とを含み、
前記電流制御回路により可変に制御される、前記定電流回路からの電流により、前記第1又は第2のスイッチ素子を介して前記第1又は第2の信号線を駆動することを特徴とする送信回路。
【請求項2】
請求項1において、
送信回路の出力ハイレベル電圧の最小値をvminとし、送信回路の出力ハイレベル電圧の最大値をvmaxとし、送信側の終端抵抗値をrtとし、受信側の終端抵抗値をrrとし、前記定電流回路から流れる電流の値をihsとした場合に、
前記定電流回路から流れる電流の範囲が、{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmin≦ihs≦{(rt+rr)/(rt×rr)}×vmaxを満たす範囲に設定されていることを特徴とする送信回路。
【請求項3】
請求項2において、
受信側の終端抵抗値の最小値をrrl、最大値をrrhとした場合に、
前記定電流回路から流れる電流の範囲が、{(rt+rrl)/(rt×rrl)}×vmin≦ihs≦{(rt+rrh)/(rt×rrh)}×vmaxを満たす範囲に設定されていることを特徴とする送信回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記第1の信号線を終端するための第1の終端抵抗回路と、
前記第2の信号線を終端するための第2の終端抵抗回路と、
前記第1、第2の終端抵抗回路の終端抵抗値を可変に制御する終端抵抗制御回路を含むことを特徴とする送信回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の信号線と前記第1の終端抵抗回路との間に設けられる第1の固定抵抗と、
前記第2の信号線と前記第2の終端抵抗回路との間に設けられる第2の固定抵抗を含むことを特徴とする送信回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記第1のスイッチ素子を構成する第1のトランジスタのゲートに対して第1の送信制御信号を出力する第1のバッファ回路と、
前記第2のスイッチ素子を構成する第2のトランジスタのゲートに対して第2の送信制御信号を出力する第2のバッファ回路とを含み、
前記第1、第2の送信制御信号のうちいずれか一方の送信制御信号がアクティブに設定されるときには、他方の送信制御信号が非アクティブに設定され、
前記第1、第2のバッファ回路の各々は、
第1のインバータと、
前記第1のインバータの出力ノードにその入力ノードが接続される第2のインバータと、
前記第1のインバータの出力ノードに接続される容量調整回路を含むことを特徴とする送信回路。
【請求項7】
請求項6において、
前記容量調整回路は、
その一端が前記第1のインバータの出力ノードに接続され、容量調整信号によりオン・オフされる少なくとも1つの容量調整用スイッチ素子と、
その一端が前記容量調整用スイッチ素子の他端に接続され、その他端が第2の電源に接続される少なくとも1つの容量素子を含むことを特徴とする送信回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記定電流回路は、
基準電流生成回路と、
前記基準電流生成回路からのバイアス電圧に基づいて電流が流れる第1〜第Jの電流源と、
その各々が前記第1〜第Jの電流源の各々に対して直列に接続される第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子を含むことを特徴とする送信回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記電流制御回路は、
前記第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子をオン・オフするための第1〜第Jの電流制御信号を出力することを特徴とする送信回路。
【請求項10】
請求項8において、
前記第1の電流制御用スイッチ素子はオン状態に設定され、
前記電流制御回路は、
前記第2〜第Jの電流制御用スイッチ素子をオン・オフするための第2〜第Jの電流制御信号を出力することを特徴とする送信回路。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかにおいて、
前記定電流回路は、
前記第1の電源と前記ノードとの間に設けられ、前記第1〜第Jの電流源に流れる電流に対応する電流が流れる第J+1の電流源を含むことを特徴とする送信回路。
【請求項12】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記定電流回路は、
基準電流生成回路と、
前記第1の電源と前記ノードとの間に設けられる第1〜第Jの電流源と、
前記第1〜第Jの電流源を構成するトランジスタのゲートと、前記基準電流生成回路のバイアス電圧の出力ノードとの間に設けられた第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子を含み、
前記電流制御回路は、
前記第1〜第Jの電流制御用スイッチ素子をオン・オフするための第1〜第Jの電流制御信号を出力することを特徴とする送信回路。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかにおいて、
差動対を構成する前記第1、第2の信号線を介して送信される差動信号は、USB(Universal Serial Bus)規格の信号であることを特徴とする送信回路。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の送信回路を含むトランシーバと、
データ転送を制御する転送コントローラと、
を含むことを特徴とするデータ転送制御装置。
【請求項15】
請求項14に記載のデータ転送制御装置と、
前記データ転送制御装置を制御する処理部と、
を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図5】
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