説明

送信装置、受信装置、無線通信装置および無線通信方法

【課題】一部の送信アンテナから送信された信号が受信側にて受信できない場合においても、受信できた一部の信号に基づいて高優先度データを復調できるようにする送信装置を得ること。
【解決手段】本発明にかかる送信装置は、高優先度データを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化部101と、誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、情報ビット系列をコピーするコピー部111と、誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、チェックビット系列の並べ替えを行い、並べ替え後のチェックビット系列の一部を用いて情報ビット系列を復号可能な系列、を生成する並べ替え部112と、生成された系列を送信アンテナと同数となるように、かつ分割後の各系列を用いて情報ビット系列を復号できるように分割し、分割後の系列と情報ビット系列とを組み合わせて送信系列を生成するインターリーバ121と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のデータストリームを並列伝送するMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)システムまたはSIMO(Single-Input Multiple-Output)システムに関するものであり、特に、優先度(重要度)が異なるデータストリームを並列伝送するシステムの送信装置、受信装置、無線通信装置および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類のデータストリームを並列伝送する従来のシステムとして、特許文献1に記載の無線通信システムが存在する。
【0003】
特許文献1に記載の無線通信システムは、空間・時間符号化とMIMOシステムを組み合わせたものであり、このシステムにおける送信側の処理および受信側の処理を簡単に説明すると、以下の通りである。
【0004】
送信側においては、全てのユーザが受信可能なレートで送信する基本ストリーム(以下、高優先度データと呼ぶ)、およびチャネル状態のよい一部のユーザが受信可能なレートで送信する拡張ストリーム(以下、低優先度データと呼ぶ)のそれぞれに対して、誤り訂正符号化処理、インターリーバ処理、マッピング処理を実施することで、シンボルデータを生成する。そして、高優先度データに対応するシンボルデータおよび低優先度データに対応するシンボルデータそれぞれに対して、空間・時間符号化処理を行う。ここでの空間・時間符号化処理とは、送信ダイバーシチ処理、もしくは空間多重化処理を意味する。さらに、空間・時間符号化処理を行った後の高優先度データおよび低優先度データのシンボルデータに対して結合処理を実施し、各送信アンテナに対する送信データを生成する。ここでの結合処理は、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)、もしくは、重ね合わせ処理を意味しており、高優先度データと低優先度データを送信アンテナ単位で結合するための処理である。この結合処理におけるTDMは高優先度データと低優先データをそれぞれ異なるタイムスロットに割り当てるものであり、重ね合わせ処理は、高優先度データと低優先度データそれぞれに対して、重み付け係数を乗算した後、多重化するものである。
【0005】
一方、受信側においては、複数の受信アンテナにて受信した受信データをもとに、送信側で使用した結合処理に応じて高優先度データのシンボルデータと低優先度データのシンボルデータを復元する。そして、復元した高優先度データのシンボルデータと低優先度データのシンボルデータそれぞれに対して、送信側で使用した空間・時間符号化処理に応じた空間・時間復号化処理を行い、さらに、デマッピング処理、デインターリーバ処理、誤り訂正復号化処理を実施して高優先度データと低優先度データを復調する。
【0006】
このように、特許文献1に記載の無線通信システムでは、高優先度データと低優先度データに対して、それぞれ独立に空間・時間符号化処理を適用することにより、高優先度データと低優先度データでそれぞれ異なる誤り率性能、スループット性能が得られるという意味で、階層型符号化を実現している。つまり、送信側で用いる空間・時間符号化処理において、送信ダイバーシチ処理を選択するか、空間多重処理を選択するかで誤り率性能、スループット性能が変化することを利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4509116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の無線通信システムでは、高優先度データと低優先度データに対してそれぞれ独立に空間・時間符号化処理を適用することで、階層型符号化を実現しており、空間・時間符号化処理は、複数の送信アンテナから送信されるデータが受信側で必ず受信できることを前提に符号化処理を行っている。しかしながら、一般に無線通信では、各送信アンテナから送信されるデータは必ずしも受信側で受信できるとは限らない。優先度の異なるデータを送信する無線通信システムでは、少なくとも高優先度データに対しては、仮に、各送信アンテナから送信されたデータの一部が受信できない場合においても復調できるようにするのが望ましい。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高優先度データをNt本(Nt≧1)の送信アンテナから送信するときに、Kt本(0<Kt<Nt)の送信アンテナから送信された信号、つまり一部の送信アンテナから送信された信号が受信側にて受信できない場合においても、受信できた一部の信号(Nt−Kt本の送信アンテナから送信された信号)に基づいて高優先度データを復調可能にする送信装置、受信装置、無線通信装置および無線通信方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の送信アンテナを用いて高優先度データおよび低優先度データを送信する送信装置であって、前記高優先度データに対応する送信系列を生成するための構成として、前記高優先度データを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化手段と、誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、情報ビット系列をコピーして前記複数の送信アンテナと同数の情報ビット系列を生成するコピー手段と、誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、チェックビット系列を対象としてビットの並べ替えを行い、並べ替え後のチェックビット系列の一部を用いて前記情報ビット系列を復号可能な系列、を生成する並べ替え手段と、前記並べ替え手段で生成された系列を前記送信アンテナと同数となるように、かつ分割後の各系列を用いて前記情報ビット系列を復号できるように分割し、さらに、分割後の系列のいずれか一つと前記コピー手段から出力された情報ビット系列とを組み合わせて高優先度データの送信系列を送信アンテナごとに生成する高優先度送信系列生成手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる送信装置によれば、ある送信アンテナから送信された信号を受信側で受信できない場合が発生したとしても、送信アンテナ単位で誤り訂正復号が可能なように情報ビットとチェックビットを割り当てるので、受信側では、少なくとも1本の送信アンテナから送信された信号が受信できていれば、高優先度データを復号することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1−1】図1−1は、本発明にかかる無線通信装置が備えている送信装置の実施の形態1の構成例を示す図である。
【図1−2】図1−2は、本発明にかかる無線通信装置が備えている受信装置の実施の形態1の構成例を示す図である。
【図2】図2は、誤り訂正符号化部の構成例を示す図である。
【図3】図3は、マッピングの例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態2の受信装置の構成例を示す図である。
【図5−1】図5−1は、実施の形態3の送信装置の構成例を示す図である。
【図5−2】図5−2は、実施の形態3の受信装置の構成例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態3の受信装置の他の構成例を示す図である。
【図7−1】図7−1は、実施の形態4の送信装置の構成例を示す図である。
【図7−2】図7−2は、実施の形態4の受信装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる送信装置、受信装置、無線通信装置および無線通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1−1は、本発明にかかる無線通信装置が備えている送信装置の実施の形態1の構成例を示す図、図1−2は、本発明にかかる無線通信装置が備えている受信装置の実施の形態1の構成例を示す図である。本実施の形態においては、図1−1に示した送信装置を備えた無線通信装置から図1−2に示した受信装置を備えている無線通信装置に対して複数種類のデータ(高優先度データ,低優先度データとする)を伝送する場合の例について説明する。図1−1および図1−2においてはストリーム#1を高優先度データ,ストリーム#2を低優先度データのデータストリームとする。
【0015】
図1−1に示した送信装置は、誤り訂正符号化部101,102、コピー部111、並べ替え部112、複数のインターリーバ121、インターリーバ122、分割部130、複数のシンボルマッピング部141および複数の送信アンテナ151を備えており、インターリーバ121およびシンボルマッピング部141の数は、送信アンテナ151の数(Nt)と一致している。また、誤り訂正符号化部101、コピー部111、並べ替え部112およびインターリーバ121が高優先度データのストリームを対象として処理を行い、誤り訂正符号化部102、インターリーバ122および分割部130が低優先度データのストリームを対象として処理を行う。
【0016】
図1−2に示した受信装置は、誤り訂正復号化部201,202、尤度合成部211、並べ替え部212、複数のデインターリーバ221、デインターリーバ222、複数のデマッピング部231、MIMO等化部240および複数の受信アンテナ251を備えており、デインターリーバ221およびデマッピング部231の数は、送信側の無線通信装置(送信装置)が備えている送信アンテナ151の数(Nt)と一致している。受信アンテナ251の数はNrとする。また、誤り訂正復号化部201、尤度合成部211、並べ替え部212およびデインターリーバ221が高優先度データのストリームを対象として処理を行い、誤り訂正復号化部202およびデインターリーバ222が低優先度データのストリームを対象として処理を行う。
【0017】
図1−1の送信装置において、誤り訂正符号化部101は、高優先度データに対する誤り訂正符号化処理を行う。なお、情報ビット系列をコピー部111へ出力し、冗長ビット系列であるチェックビット系列を並べ替え部112へ出力する。誤り訂正符号化部102は、低優先度データに対する誤り訂正符号化処理を行う。コピー部111は、誤り訂正符号化部101からの入力信号(情報ビット系列)をコピーして送信アンテナ数Ntと同数のストリームを生成する。並べ替え部112は、誤り訂正符号化部101からの入力信号(チェックビット系列)を並べ替える。このとき、受信側が、並べ替えた後のチェックビット系列の一部を使用してコピー部111でコピーされた情報ビット系列を復号可能となるように、並べ替えを行う。各インターリーバ121は、コピー部111から入力された情報ビット系列と並べ替え部112から入力されたチェックビット系列を組み合わせて送信ビット系列を生成し、さらに、送信ビット系列をインターリーブする。なお、インターリーバ121が高優先度送信系列生成手段として動作する。インターリーバ122は、誤り訂正符号化部102から入力された送信ビット系列である低優先度データの符号化系列をインターリーブする。分割部130は、インターリーブ処理された後の低優先度データの符号化系列を、各送信アンテナ151に割り振るために分割する。なお、分割部130が低優先度送信系列生成手段として動作する。シンボルマッピング部141は、送信アンテナ151ごと割り振られた高優先度データおよび低優先度データの符号化系列(インターリーバ121から入力された系列および分割部130から入力された系列)に対して、合成処理およびマッピング処理を行う。
【0018】
図1−2の受信装置において、MIMO等化部240は、各受信アンテナ251で受信した受信信号を用いて伝搬路推定を行うとともに受信信号に対する等化処理を行い、空間多重された信号を送信アンテナ151ごとのシンボルデータに分離する。デマッピング部231は、MIMO等化された送信アンテナ151ごとのシンボルデータに対してデマッピング処理を行い、ビット当たりの尤度情報を算出する。デインターリーバ221は、デマッピング処理において算出されたビット当たりの尤度情報のうち、高優先度データに対応する尤度情報を送信アンテナ151ごとに個別にデインターリーブする。デインターリーバ222は、デマッピング処理して算出されたビット当たりの尤度情報のうち、低優先度データに対する尤度情報をデインターリーブする。尤度合成部211は、デインターリーブされた後の高優先度データの尤度情報のうち、送信装置の各送信アンテナ151から送信された同一のデータ、すなわち送信装置のコピー部111にてコピーされたデータ(上記の情報ビット系列に相当)の尤度情報に対して、ビット単位で送信アンテナ数分合成する。並べ替え部212は、デインターリーブされた後の高優先度データの尤度情報のうち、送信装置で分割されて各送信アンテナ151に割り振られた高優先度データ、すなわち送信装置の並べ替え部112にて送信アンテナ151ごと割り当てるように並べ替えたデータ(上記のチェックビット系列に相当)の尤度情報に対して、送信装置の並べ替え部112の並べ替え処理に対して元に戻すように並べ替え処理を行う(並べ替え部112と逆の処理を行う)。誤り訂正復号化部201は、尤度合成部211で合成された後の高優先度データの尤度情報に対して、送信装置の誤り訂正符号化部101が実施した誤り訂正符号化処理に対応する誤り訂正復号処理を行って高優先度データを復元する。誤り訂正復号化部202は並べ替え部112で並べ替えが行われた後の低優先度データの尤度情報に対して、送信装置の誤り訂正符号化部102が実施した誤り訂正符号化処理に対応する誤り訂正復号処理を行って低優先度データを復元する。
【0019】
以下、図1−1,図1−2に示した送信装置および受信装置において特徴的な処理を行う特有の構成要素に関して、具体的な構成および動作を詳しく説明する。なお、本実施の形態、および後述する各実施の形態では、説明を容易にするために、送信アンテナ数Nt=2,受信アンテナ数Nr=4の場合について説明する。ただし、本発明はこの送受信アンテナ数に限定されるものではない。なお、2本の送信アンテナを区別する場合、いずれか一方を送信アンテナ#1、他方を送信アンテナ#2として説明を行う。
【0020】
<誤り訂正符号化部101>
送信装置の誤り訂正符号化部101は、高優先度データに対する誤り訂正符号化処理を行う。一例として、符号化率RH=1/3のターボ符号を使用する場合の動作について説明する。ただし、本発明に用いる誤り訂正符号,符号化率はこれに限定されない。
【0021】
図2は、誤り訂正符号化部101の構成例を示す図であり、具体的には、符号化率RH=1/3のターボ符号に対するブロック構成図である。誤り訂正符号化部101は、インターリーバ301、再帰的組織畳み込み符号化部302および303により構成される。再帰的組織畳み込み符号化部302には誤り訂正符号化部101への入力であるストリーム#1(高優先度データ)が入力され、再帰的組織畳み込み符号化部303には、インターリーバ301でインターリーブされた後のストリーム#1が入力される。図2に示した誤り訂正符号化部101であるターボ符号器は、ストリーム#1を組織的誤り訂正符号化する。すなわち、入力される高優先度データ{dH}に対して、情報ビット系列{xH}とチェックビット(受信側で誤り訂正復号を行うための冗長ビット)系列{c1H}および{c2H}とを出力する。
【0022】
<コピー部111>
送信装置のコピー部111は、誤り訂正符号化部101にて生成した高優先度データの情報ビット系列{xH}に対して、送信アンテナ数分、つまりNt=2個分のコピーを生成する。ここでは、コピーした高優先度データの情報ビット系列を{x1H},{x2H}とする。
【0023】
<並べ替え部112>
送信装置の並べ替え部112は、誤り訂正符号化部101にて生成した高優先度データのチェックビット系列{c1H}および{c2H}に対して、情報ビット系列{xH}と組み合わせて誤り訂正復号が可能なように並べ替え処理を行う。並べ替え処理は、チェックビット系列{c1H}および{c2H}を、{c1H}=a1,a2,a3,…,aM、{c1H}=b1,b2,b3,…,bMと定義した場合、例えば、次式(1)で示される。
【0024】
【数1】

【0025】
ここで、{y1H}は送信アンテナ#1用の並べ替えチェックビット系列(送信アンテナ#1から送信する、並べ替え実施後のチェックビット系列),{y2H}は送信アンテナ#2用の並べ替えチェックビット系列である。また、Mは誤り訂正符号化部101から出力されるチェックビット系列長であり、次式(2)で定義される。式(2)において、Nは誤り訂正符号化部101が生成する符号の符号長である。
【0026】
【数2】

【0027】
上式(1)に示した並べ替えを行うことにより、情報ビット系列と組み合わせることで、送信アンテナごとで復号処理が可能となる。つまり、送信アンテナ#1より送信される情報ビット系列{x1H}と並べ替えチェックビット系列{y1H}のみで復号処理が可能であり、送信アンテナ#2より送信される情報ビット系列{x2H}と並べ替えチェックビット系列{y2H}のみで復号処理が可能となる。
【0028】
<インターリーバ121>
送信装置のインターリーバ121は、送信アンテナごと割り振られた高優先度データの情報ビット系列および並べ替えチェックビット系列に対してインターリーブ処理を行う。ここではNt=2であることから、送信アンテナ#1用に割り振られた高優先度データの情報ビット系列{x1H}と並べ替えチェックビット系列{y1H}でインターリーブ処理を、送信アンテナ#2用に割り振られた高優先度データの情報ビット系列{x2H}と並べ替えチェックビット系列{y2H}でインターリーブ処理を行う。インターリーブ後の送信アンテナ#1に対する系列を{z1H},送信アンテナ#2に対する{z2H}とする。
【0029】
<分割部130>
送信装置の分割部130は、低優先度データに対して誤り訂正符号化部102による誤り訂正符号化処理およびインターリーバ122によるインターリーブを実施して得られた系列{yL}を分割し、各送信アンテナに割り振る。ここでは、Nt=2であるため、系列{yL}を2つに分割する。系列{yL}=s1,s2,s3,…,sJと定義した場合、分割処理の具体的な例は次式(3)で示すことができる。次式(3)において、Jは誤り訂正符号化部102が生成する符号の符号長である。
【0030】
【数3】

【0031】
<シンボルマッピング部141>
送信装置のシンボルマッピング部141は、送信アンテナに割り振られた高優先度データ系列と低優先度データ系列に対して、シンボル生成処理及びマッピング処理を行う。ここでは、Nt=2であるため、送信アンテナ#1に対応するシンボルマッピング部141は高優先度データ系列{z1H}と低優先度データ系列{z1L}でシンボル生成処理及びマッピング処理を行い、送信アンテナ#2に対応するシンボルマッピング部141は高優先度データ系列{z2H}と低優先度データ系列{z2L}でシンボル生成処理及びマッピング処理を行う。
【0032】
ここで、シンボル生成処理とマッピング処理の具体的な動作について説明する。まず、シンボル生成処理について説明する。シンボル生成処理においては、高優先度データ系列と低優先度データ系列を合成してシンボルデータを生成する。ここでは動作説明を容易にするために、一例として、6bitのシンボルデータを生成するものとし、シンボルデータは高優先度データ2bit,低優先度データ4bitからなるものとする。この場合、シンボルデータは次式(4)に従って生成される。
【0033】
【数4】

【0034】
ここで、{s1}は送信アンテナ#1に対するシンボルデータであり、{s2}は送信アンテナ#2に対するシンボルデータである。また、h1,h2は送信アンテナ#1における高優先度データ系列{z1H}のうちの2bitであり、l1,l2,l3,l4は送信アンテナ#1における低優先度データ系列{z1L}のうちの4bitである。また、h1’,h2’は送信アンテナ#2における高優先度データ系列{z2H}のうちの2bitであり、l1’,l2’,l3’,l4’は送信アンテナ#2における低優先度データ系列{z2L}のうちの4bitである。
【0035】
次に、マッピング処理について説明する。マッピング処理においては、シンボルデータ生成で得られたシンボルデータに対して信号点位置を決定し、送信シンボルを生成する。図3に、マッピングの例を示す。図3では、上位2bit、つまり高優先度データの2bitから、QPSKを表す黒丸の信号点から1点を仮決定し、さらに下位4bit、つまり低優先度データの4bitから、上記で仮決定した黒丸の信号点を中心に配置される16QAMを表す白丸の信号点から1点を決定する。これにより、高優先度データの2bitを黒丸の信号点で表されるQPSK,低優先度データの4bitを白丸の信号点で表される16QAMに同時にマッピングする。ここで、上記マッピング処理で用いたマッピング方式(PSK,FSK,ASK,QAM等)は、あくまでも一例であり、高優先度データ及び低優先度データに用いるマッピング方式は特に限定されるものではない。
【0036】
<MIMO等化部240>
受信装置のMIMO等化部240は、Nr=4本の受信アンテナ251にて受信した受信シンボルに対して、MIMO等化技術(ゼロフォーシング(Zero Forcing)方式、最小平均2乗誤差(Minimum Mean Square Error)方式、等)を用いることにより、Nt=2本の送信アンテナから送信された送信シンボルを復元する。
【0037】
<デマッピング部231>
受信装置のデマッピング部231は、MIMO等化部240にて復元された送信アンテナごとの送信シンボルに対して、デマッピング処理により高優先度データおよび低優先度データに対するビット当たりの尤度情報を生成する。ここで、尤度情報には、対数尤度比(Log Likelihood Ratio)のような軟判定値に加え、硬判定値も含まれる。また、デマッピング部231では求めた高優先度データに対するビット当たりの尤度情報に対しては、高優先度データが送信された送信アンテナ別に次段のデインターリーバに出力する。
【0038】
<デインターリーバ221>
受信装置のデインターリーバ221は、送信アンテナごとの高優先度データに対するビット当たりの尤度情報を、送信アンテナごと独立にデインターリーブする。デインターリーブ後の高優先度データに対するビット当たりの尤度情報のうち、情報ビットの尤度情報は尤度合成部211へ出力し、チェックビットの尤度情報は並べ替え部212へ出力する。
【0039】
<尤度合成部211>
受信装置の尤度合成部211は、各送信アンテナから送信された高優先度データの情報ビットにおける尤度情報を、全送信アンテナ分合成する。送信アンテナ#1から送信された高優先度データの情報ビットの尤度情報を{r1info}=u1,u2,…,uK、送信アンテナ#2から送信された高優先度データの情報ビットの尤度情報を{r2info}=v1,v2,…,vKとし、Kを高優先度データの情報ビット長とした場合、尤度合成部211による処理は次式(5)で示される。
【0040】
【数5】

【0041】
ここで、f(u,v)はu,vに対する多数決関数であり、u,vがそれぞれu=0,1、v=0,1の硬判定値の場合、多数決関数f(u,v)はu,vに対して0,1の多数決をとった結果を出力する。ただし、u,vに対して0,1の数が同じになったときは、0もしくは1どちらを出力してもかまわない。式(5)に示すとおり、尤度情報が対数尤度比の場合は送信アンテナ数分の尤度情報を累積することで尤度合成を行い、尤度情報が硬判定値の場合は送信アンテナ数分の尤度情報に対して多数決判定を行う。
【0042】
<並べ替え部212>
受信装置の並べ替え部212は、高優先度データに対するチェックビットの尤度情報に対して、送信側の並べ替え部112の並べ替え処理と逆の処理を実施して元に戻すように並べ替える。送信アンテナ#1から送信された高優先度データのチェックビットの尤度情報を{r1check}=p1,p2,…,pL、送信アンテナ#2から送信された高優先度データのチェックビットの尤度情報を{r2check}=q1,q2,…,qLとした場合、並べ替え部212による並べ替え処理は次式(6)で示される。次式(6)において、{tH}は並べ替え処理後の高優先度データに対するチェックビット系列、Lは送信アンテナ当たりの高優先度データに対するチェックビット系列長である。
【0043】
【数6】

【0044】
このように、本実施の形態の無線通信装置において、送信側(送信装置)は、高優先度データの情報ビット系列を送信アンテナ分コピーするとともに、高優先度データのチェックビット系列を送信アンテナごと分割する。このとき、送信アンテナ単位で割り当てられる高優先度データの情報ビット系列とチェックビット系列の組み合わせは、送信アンテナ単位で誤り訂正復号ができるようにチェックビット系列を分割する(各送信アンテナに割り振る)。これにより、受信側(受信装置)では、高優先度データについては、各送信アンテナから同一の情報ビット系列が送信されていることから、各送信アンテナの情報ビット系列の尤度情報を尤度合成し、チェックビット系列は送信アンテナごと異なるデータを送信していることから並べ替えを行う。その後、求めた情報ビット系列とチェックビット系列の尤度情報を用いて誤り訂正復号処理を行うことで高優先度データを復号する。ここで、送信側は、ある送信アンテナから送信された信号を受信側で受信できない場合が発生したとしても、送信アンテナ単位で誤り訂正復号が可能なように情報ビットとチェックビットを割り当てているので、受信側では、少なくとも1本の送信アンテナから送信された信号が受信できていれば、高優先度データを復号することが可能となる。また、受信側の無線通信装置では、ある送信アンテナから送信された信号が受信できたかどうかの判定を行うことなく高優先度データを復号することができるので、回路規模を削減できる。これは、受信できなかった送信信号は必然的にその尤度情報として非常に低い尤度を有することになり、誤り訂正復号処理で低い尤度を有するビットは復号性能にも大きく影響しないという特徴を利用している。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態1の受信側の無線通信装置(受信装置)では、各送信アンテナから送信された信号が受信できたかどうかを判定することはせずに、すべての送信信号を受信したとして復調処理を行う。これは、受信できなかった送信信号の尤度が非常に低くなることを利用している。しかし、尤度が非常に低くなるといっても少なからず尤度を有していることから復号性能に対する劣化要因になる。そこで、本実施の形態では、受信側で各送信アンテナから送信された信号が指定の閾値を超えるレベルで受信できたかどうかを判定する機能を有し、受信できなかったと判定した信号に関しては尤度をゼロに設定することで、復号性能の劣化を防ぐ。
【0046】
以下、本実施の形態の受信装置の詳細について説明する。なお、送信装置の構成および動作は実施の形態1の送信装置と同様であるため説明を省略する。
【0047】
図4は実施の形態2の受信装置の構成例を示す図である。実施の形態1の受信装置(図1−2参照)と異なる部分は、デインターリーバ221の後段に送信アンテナ有効判定部421が追加挿入されている部分である。本実施の形態では、実施の形態1の受信装置と異なる部分、すなわち、送信アンテナ有効判定部421の動作についてのみ説明する。
【0048】
<送信アンテナ有効判定部421>
送信アンテナ有効判定部421は、各送信アンテナから送信された高優先度データに対するビット単位の尤度情報を用いて、各送信アンテナからの送信信号を指定の閾値を超えるレベルで受信できたかどうかを判定する。指定の閾値を超えるレベルで受信できなかった場合は、該当する送信アンテナから送信された高優先度データに対するすべてのビットに対して、対応する尤度情報をゼロに設定する。ここでの尤度情報とは軟判定値を意味する。
【0049】
送信アンテナ本数Nt=2とし、送信アンテナ#1から送信された高優先度データの符号化ビット系列(情報ビット系列+チェックビット系列)の尤度情報を{u1code}=e1,e2,…,eN、送信アンテナ#2から送信された高優先度データの符号化ビット系列(情報ビット系列+チェックビット系列)の尤度情報を{u2code}=f1,f2,…,fNとして説明を行う。
【0050】
送信アンテナ有効判定部421は、まず、次式(7)に従って送信アンテナごとに符号化ビット系列の尤度情報を累積する。
【0051】
【数7】

【0052】
送信アンテナごとの尤度情報に対する累積結果U1,U2に対して、それぞれ指定の閾値と比較して閾値以下の場合は、対応する送信アンテナからの送信信号は受信できなかったと判定する。すなわち、送信アンテナ有効判定に用いる閾値をTHとしたとき、U1≦THの場合は送信アンテナ#1からの送信信号を受信できなかったと判定し、送信アンテナ#1の符号化ビット系列の尤度情報を次式(8)に示したようにすべてゼロに設定する。
【0053】
【数8】

【0054】
同様に、U2≦THの場合は送信アンテナ#2からの送信信号を受信できなかったと判定し、送信アンテナ#2の符号化ビット系列の尤度情報を次式(9)に示したようにすべてゼロに設定する。
【0055】
【数9】

【0056】
また、U1>THの場合は送信アンテナ#1からの送信信号を受信できたと判定し、送信アンテナ#1の符号化ビット系列の尤度情報をそのまま出力する。同様に、U2>THの場合は送信アンテナ#2からの送信信号を受信できたと判定し、送信アンテナ#2の符号化ビット系列の尤度情報をそのまま出力する。
【0057】
上述のとおり送信アンテナ有効判定は送信アンテナ単位で判定を行う。これは、送信アンテナと受信アンテナ間に遮蔽物が入り、送信アンテナから送信された電波が遮断や減衰されるといった状況を想定したためである。
【0058】
ここで、ある送信アンテナから送信された信号が受信できなかったと判定した場合における、高優先度データに対する誤り訂正符号の符号化利得について、具体例を挙げて説明する。
【0059】
例えば、送信側で高優先度データに対して符号化率1/3の誤り訂正符号を用いるとする。送信アンテナ本数Nt=2としたとき、送信側では、実施の形態1で説明したとおり、高優先度データを符号化率1/3で符号化し、情報ビットはコピーして送信アンテナ#1,#2に振り分け、チェックビットは情報ビットと組み合わせて復号可能なように並べ替えをして送信アンテナ#1,#2に振り分ける。このとき、送信アンテナ#1に振り分けられた高優先度データの情報ビットとチェックビットの組み合わせは、符号化率1/2の誤り訂正符号に対する符号化系列であり、送信アンテナ#2も同様に符号化率1/2の誤り訂正符号に対する符号化系列となる。ここで、送信アンテナ#1から送信される信号が受信できなかったとする。この場合、受信側では、送信アンテナ有効判定により適切な閾値を設定することで、送信アンテナ#1から送信された信号が受信できなかったと判定することができる。この結果、送信アンテナ#1に対する高優先度データの符号化系列の尤度情報をゼロに設定した上で誤り訂正復号処理を行う。つまり、送信アンテナ#2に対する高優先度データの符号化系列の尤度情報のみを使用して復号処理を行うことになる。そのため、高優先度データに対する誤り訂正符号の符号化利得は符号化率1/2の符号化利得となる。これは、送信アンテナ#2から送信される信号が受信できなかった場合についても同様である。
【0060】
このように、本実施の形態では、実施の形態1で説明した無線通信装置の受信装置に対して送信アンテナ有効判定部を挿入し、各送信アンテナから送信された信号(高優先度データ)が指定の閾値を超えるレベルで受信できたかどうかを判定し、指定の閾値を超えるレベルで受信できなかった場合は、尤度情報をゼロに設定して復号処理を行うこととした。これにより、信頼性の低い尤度情報を破棄し、復号性能の劣化を防ぐことができる。すなわち、実施の形態1で説明した受信装置よりも復号性能を向上させることができる。
【0061】
実施の形態3.
実施の形態1,2の無線通信装置では、低優先度データに対してはすべての送信アンテナから送信される信号が受信できなければ、受信側で低優先度データを復号することができない。これは、低優先度データに対して1つの誤り訂正符号化処理を実施した後、低優先度データの符号化系列を各送信アンテナに振り分けるための分割処理を行っているためである。これに対して、本実施の形態の無線通信装置では、低優先度データに対して、送信アンテナごとに個別の誤り訂正符号化処理を行う構成とすることで、ある送信アンテナから送信される信号が受信できなかった場合は、該当送信アンテナから送信された信号は復号できないとしても、それ以外の送信アンテナから送信された信号に対しては、個別の誤り訂正復号処理により復号できるようにする。
【0062】
図5−1および図5−2は、実施の形態3の無線通信装置の構成例を示す図であり、実施の形態1の無線通信装置(送信装置,受信装置)の変形例を示している。具体的には、低優先度データに対して送信アンテナごとに個別の誤り訂正符号化処理を行う場合の構成例を示している。すなわち、図5−1に示した送信装置は、実施の形態1で説明した送信装置(図1−1参照)の誤り訂正符号化部102、インターリーバ122および分割部130を、分割部501、複数の誤り訂正符号化部511および複数のインターリーバ521に置き換えたものであり、低優先度データを、まず、分割部501が送信アンテナ数Ntに応じて分割し、分割後の各系列に対して、複数の誤り訂正符号化部511および複数のインターリーバ521が誤り訂正符号化およびインターリーブをそれぞれ行う。インターリーブを行った後の各系列は対応するシンボルマッピング部141へ入力される。
【0063】
図5−2に示した受信装置は、実施の形態1で説明した受信装置(図1−2参照)の誤り訂正復号化部202およびデインターリーバ222を、並べ替え部601、複数の誤り訂正復号化部611および複数のデインターリーバ621に置き換えたものであり、低優先度データの受信信号に対して、送信装置側で実施した処理の逆の処理を実行して元の低優先度データを復元する。また、図6は、実施の形態3の無線通信装置の他の構成例を示す図であり、実施の形態2の無線通信措置(受信装置)の変形例を示している。すなわち、図6に示した受信装置は、実施の形態2で説明した受信装置(図4参照)の誤り訂正復号化部202およびデインターリーバ222を、並べ替え部701、複数の誤り訂正復号化部711および複数のデインターリーバ721に置き換えたものであり、低優先度データの受信信号に対して、図5−2に示した受信装置と同様の処理を実行して元の低優先度データを復元する。なお、高優先度データに対する処理は実施の形態2で説明したとおりである。また、図6の受信装置に対する送信装置の構成は、図5−1に示した送信装置と同じである。
【0064】
このように、本実施の形態の無線通信措置では、低優先度データに対して送信アンテナごとに個別の誤り訂正符号化処理を実施することとした。これにより、ある送信アンテナから送信される信号が受信できない場合でも、受信側(受信装置)は、他の送信アンテナから送信される信号が受信できていれば、受信できた信号に対しては復号することができる。すなわち、ある送信アンテナから送信された信号が受信できない場合、実施の形態1,2では通信不可状態になるのに対して、本実施の形態では、低優先度データに対して通信状態を維持することができる。
【0065】
実施の形態4.
上述したように、実施の形態1の無線通信装置では、高優先度データに対するチェックビットを各送信アンテナに振り分ける。またこのとき、送信アンテナごとにコピーされた情報ビットと組み合わせることで、送信アンテナ単位で誤り訂正復号が可能なように、チェックビットを振り分ける。これに対して、本実施の形態では、実施の形態1よりも処理を容易にし、高優先度データに対するチェックビットに対して、送信アンテナごとに同じデータ、つまりコピーしたチェックビットを振り分ける構成について示す。
【0066】
図7−1は、実施の形態4の無線通信装置が備えている送信装置の構成例を示す図であり、図7−2は、実施の形態4の無線通信装置が備えている受信装置の構成例を示す図である。実施の形態1の無線通信装置と異なる部分は、送信装置においては、実施の形態1で説明した送信装置(図1−1参照)の並べ替え部112をコピー部311に置き換えた点であり、本実施の形態の送信装置においては、高優先度データのチェックビットに対してもコピー処理を行う。受信装置においては、実施の形態1で説明した受信装置(図1−2参照)の並べ替え部212を尤度合成部312に置き換えた点であり、高優先度データのチェックビットに対する尤度情報についても合成する。すなわち、送信装置では、高優先度データの情報ビットと同様にチェックビットも送信アンテナごとコピーして振り分ける。これに合わせて、受信装置では、高優先度データの情報ビットと同様に各送信アンテナから同じデータが送信されているため、チェックビットの尤度情報を尤度合成器により尤度合成する。
【0067】
このように、本実施の形態の無線通信装置では、高優先度データに対しては、情報ビットとともにチェックビットも送信アンテナごとコピーして送信することとしたので、実施の形態1の無線通信装置と比較して処理を簡単にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる送信装置、受信装置および無線通信装置は、複数のアンテナを利用して通信を行う場合に有用であり、特に、優先度が異なる複数種類のデータを並列に送受信する無線通信に適している。
【符号の説明】
【0069】
101,102,511 誤り訂正符号化部
111,311 コピー部
112,212,601,701 並べ替え部
121,122,301,521 インターリーバ
130,501 分割部
141 シンボルマッピング部
151 送信アンテナ
201,202,611,711 誤り訂正復号化部
211,312 尤度合成部
221,222,621,721 デインターリーバ
231 デマッピング部
240 MIMO等化部
251 受信アンテナ
302,303 再帰的組織畳み込み符号化部
421 送信アンテナ有効判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信アンテナを用いて高優先度データおよび低優先度データを送信する送信装置であって、
前記高優先度データに対応する送信系列を生成するための構成として、
前記高優先度データを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化手段と、
誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、情報ビット系列をコピーして前記複数の送信アンテナと同数の情報ビット系列を生成するコピー手段と、
誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、チェックビット系列を対象としてビットの並べ替えを行い、並べ替え後のチェックビット系列の一部を用いて前記情報ビット系列を復号可能な系列、を生成する並べ替え手段と、
前記並べ替え手段で生成された系列を前記送信アンテナと同数となるように、かつ分割後の各系列を用いて前記情報ビット系列を復号できるように分割し、さらに、分割後の系列のいずれか一つと前記コピー手段から出力された情報ビット系列とを組み合わせて高優先度データの送信系列を送信アンテナごとに生成する高優先度送信系列生成手段と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記高優先度送信系列生成手段は、前記分割後の系列のいずれか一つと前記コピー手段から出力された情報ビット系列とを組み合わせた後、さらに、インターリーブを行って前記送信系列を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記低優先度データを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化手段と、
誤り訂正符号化後の低優先度データを前記送信アンテナと同数となるように分割して低優先度データの送信系列を生成する低優先度送信系列生成手段と、
前記高優先度データの送信系列と前記低優先度データの送信系列とを同一シンボルにマッピングして送信シンボルデータを生成する送信シンボルデータ生成手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記低優先度データを前記送信アンテナと同数となるように分割する分割手段と、
前記分割された後の各低優先度データを個別に誤り訂正符号化して低優先度データの送信系列を生成する低優先度送信系列生成手段と、
前記高優先度データの送信系列と前記低優先度データの送信系列とを同一シンボルにマッピングして送信シンボルデータを生成する送信シンボルデータ生成手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の送信装置。
【請求項5】
複数の送信アンテナを用いて高優先度データおよび低優先度データを送信する送信装置であって、
前記高優先度データに対応する送信系列を生成するための構成として、
前記高優先度データを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化手段と、
誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、情報ビット系列をコピーして前記複数の送信アンテナと同数の情報ビット系列を生成する第1のコピー手段と、
誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、チェックビット系列をコピーして前記複数の送信アンテナと同数のチェックビット系列を生成する第2のコピー手段と、
前記第1のコピー手段から出力された情報ビット系列と前記第2のコピー手段から出力されたチェックビット系列とを組み合わせて高優先度データの送信系列を送信アンテナごとに生成する高優先度送信系列生成手段と、
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、
送信アンテナごとのシンボルデータに対してデマッピング処理を行うことにより、各送信アンテナから送信された各ビットの尤度情報を算出するデマッピング手段と、
前記算出された尤度情報のうち、高優先度データの情報ビット系列に対応する尤度情報について、同一情報ビットの尤度情報同士を合成する尤度合成手段と、
前記算出された尤度情報のうち、高優先度データのチェックビット系列に対応する尤度情報を結合し、さらに、結合後の尤度情報に対して前記並べ替え手段と逆の処理を実行して並べ替えを行う並べ替え手段と、
前記合成後の尤度情報と前記並べ替え後の尤度情報とに基づいて、高優先度データの誤り訂正復号を行う誤り訂正復号手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項7】
前記算出された尤度情報のうち、高優先度データに対応する各尤度情報の送信アンテナごとの累積値を算出し、当該算出した各累積値が所定値に達しているかどうか判定する判定手段、
をさらに備え、
前記尤度合成手段および前記並べ替え手段は、前記判定手段により前記所定値に達していると判定された累積値に対応する送信アンテナから送信された各ビットの尤度情報を処理対象として取り扱うことを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記所定値に達していると判定した累積値に対応する送信アンテナから送信された各ビットの尤度情報については、そのまま前記尤度合成手段または前記並べ替え手段に出力し、前記所定値に達していないと判定した累積値に対応する送信アンテナから送信された各ビットの尤度情報については、ゼロに設定して前記尤度合成手段または前記並べ替え手段に出力することを特徴とする請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記算出された尤度情報のうち、低優先度データに対応する尤度情報に基づいて、低優先度データの誤り訂正復号を行う誤り訂正復号手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項6、7または8に記載の受信装置。
【請求項10】
請求項5に記載の送信装置から送信された信号を受信する受信装置であって、
送信アンテナごとのシンボルデータに対してデマッピング処理を行うことにより、各送信アンテナから送信された各ビットの尤度情報を算出するデマッピング手段と、
前記算出された尤度情報のうち、高優先度データの情報ビット系列に対応する尤度情報について、同一情報ビットの尤度情報同士を合成する第1の尤度合成手段と、
前記算出された尤度情報のうち、低優先度データの情報ビット系列に対応する尤度情報について、同一情報ビットの尤度情報同士を合成する第2の尤度合成手段と、
前記第1の尤度合成手段で合成された後の尤度情報と前記第2の尤度合成手段で合成された後の尤度情報とに基づいて、高優先度データの誤り訂正復号を行う誤り訂正復号手段と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の送信装置と、
請求項6〜9のいずれか一つに記載の受信装置と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項12】
複数のアンテナを用いて高優先度データおよび低優先度データを送受信する無線通信システムにおける無線通信方法であって、
送信側の無線通信装置が実行する処理として、
前記高優先度データを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化ステップと、
誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、情報ビット系列をコピーし、送信アンテナの数と同数の情報ビット系列を生成するコピーステップと、
誤り訂正符号化後の高優先度データのうち、チェックビット系列を対象としてビットの並べ替えを行い、並べ替え後のチェックビット系列の一部を用いて前記情報ビット系列を復号可能な系列、を生成する第1の並べ替えステップと、
前記生成した系列を前記送信アンテナと同数となるように、かつ分割後の各系列を用いて前記情報ビット系列を復号できるように分割し、さらに、分割後の系列のいずれか一つと前記情報ビット系列とを組み合わせて高優先度データの送信系列を生成する高優先度送信系列生成ステップと、
前記送信系列をマッピングして前記送信アンテナごとのシンボルデータを生成するマッピングステップと、
を含み、
受信側の無線通信装置が実行する処理として、
前記送信アンテナごとのシンボルデータに対してデマッピング処理を行うことにより、各送信アンテナから送信された各ビットの尤度情報を算出するデマッピングステップと、
前記算出した尤度情報のうち、高優先度データの情報ビット系列に対応する尤度情報について、同一情報ビットの尤度情報同士を合成する尤度合成ステップと、
前記算出した尤度情報のうち、高優先度データのチェックビット系列に対応する尤度情報を結合し、さらに、結合後の尤度情報に対して前記第1の並べ替えステップと逆の処理を実行して並べ替えを行う第2の並べ替えステップと、
前記合成後の尤度情報と前記並べ替え後の尤度情報とに基づいて、高優先度データの誤り訂正復号を行う誤り訂正復号ステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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