説明

送信装置及びサブフレームの作成方法

【課題】GI長が異なる複数のサブフレームが併用される場合であっても、1つの相関器でパイロットシンボルを用いてサブフレーム同期タイミングを検出する。
【解決手段】送信装置はパイロット信号にIFFT処理を施し、該IFFT処理により得られた有効シンボルにガードインターバルを挿入してサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成する。かかるサブフレームの作成に際して、送信装置は所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すようにサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成し、該OFDMシンボルを無線で送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディジタル移動通信システムにおける送信装置及びサブフレームの作成方法に係わり、特に、GI長が異なる複数のサブフレームを使用するディジタル通信において簡単な構成で、かつ正確にシンボルタイミングやサブフレームタイミングを検出する送信装置及びサブフレームの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
・OFDM伝送方式
次世代移動通信の無線アクセス方式として、OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplex)伝送方式が検討されている。OFDM伝送方式は周波数選択性が良い、隣接パスからの干渉に強いなどの特徴を備えている。
図19は、OFDM伝送方式を採用する一般的な送信局のブロック図である。誤り訂正符号器1はデータ信号に誤り訂正符号化処理を施して符号化し、データ変調部2は該符号化されたデータ信号をデータ変調(例えばQPSK変調)する。データ・パイロット信号多重部3は、データ信号と受信局で既知のパイロット信号とを時間多重する。IFFT部4は、一定数N0のサンプル単位でIFFT処理を行なう。すなわち、N0個のデータサンプルをサブキャリア信号成分とみなして該サブキャリア成分にIFFT処理を施し、離散的な時間信号に変換して出力する。ガードインターバル挿入部(GI挿入部)5は、図20に示すように、IFFT後のN0サンプルのうち、後部のNGサンプルをコピーしてガードインターバルGIとしてN0サンプルの先頭に挿入する。GIは巡回的にコピーされているため、GI挿入後の(No + NG)サンプルの区間で、信号が連続していることが特徴であリ、この特徴によりGIは隣接パスからの遅延シンボルによる干渉を除去するという役割を果たす。DA変換器6はD/A変換を行い、送信RF部7は直交変調を行い、ベースバンド信号を無線周波数の信号に変換し、送信アンテナ8から受信局9に向けて送信する。
【0003】
図21はOFDM伝送方式の一般的な受信局のブロック図である。受信RF部10は、送信局から送信された無線信号を受信し、周波数ダウンコンバートにより該無線信号をベースバンドの信号に変換し、直交復調を行う。AD変換器11は直交復調により得られた信号をディジタル信号に変換する。受信タイミング検出部12は、OFDMのサブフレームタイミングやシンボルタイミングを検出する。GI削除部13は、シンボルタイミングに基づいて、受信信号からガードインターバルGIを削除して各OFDMシンボルの有効信号成分を切り出してFFT部14に入力する。図22は、有効信号成分を切り出しの様子を表す例である。説明の都合上、受信信号を各パスの成分(直接波、間接波)に分解して表わしている。パス1の直接波からは、GIを除いたOFDMシンボルnの有効信号成分(N0サンプル)のみが正確に切り出される。パス2の間接波(遅延波)からは、GIの一部を含んだ形で信号が切り出される。しかし、GIはOFDMシンボルの有効信号成分が巡回的にコピーされたものなので、結果的にOFDMシンボルnの有効信号成分が正確に切り出されていることになる。つまり、遅延時間がGI長以下のマルチパス成分は、OFDMシンボル間の干渉を生じることなく受信される。
FFT部14はGI削除後の信号に対しFFT処理を施し、データ・パイロット信号分離部15は、時間多重されたデータ信号とパイロット信号を受信信号から分離する。チャネル推定部16は受信パイロット信号と送信パイロット信号のレプリカとの相関演算を行なって無線チャネルにおけるチャネル歪みを推定する。一方、チャネル補償部17は受信データ信号にチャネル推定値の複素共役を乗算してチャネル歪みを抑圧し、データ復調部18はチャネル補償された受信信号を用いて受信データの復調処理を行い、誤り訂正復号器19は復調されたデータに誤り訂正復号処理を施す。
【0004】
・ショートGIサブフレームとロングGIサブフレームの併用
OFDM伝送において、ガードインターバルGIの長さは、伝播路の遅延の広がり(遅延分散の大きさ)により決定されるため、同一伝送システムにおいて、複数のガードインターバル長を切り替えて運用する方式が提案されている。そのような例としては、3GPP(3rd Generation Partnership Project)上で議論されているLTE(Long Term Evolution)がある(非特許文献1参照)。LTEでは長さの短いガードインターバルを用いるショートGIサブフレームと長さの長いガードインターバルを用いるロングGIサブフレームがある。
図23はショートGIサブフレームSFSとロングGIサブフレームSFLのサブフレームフォーマットであり、ショートGIサブフレームSFSにおけるGI長はNgi_s、ロングGIサブフレームSFLにおけるGI長はNgi_lであり、Ngi_s<Ngi_lである。また、いずれのサブフレームにおいてもOFDMシンボルにおける有効シンボルの長さN0は同一であり、サブフレームの長さMも同一である。ショートGIサブフレームSFSに含まれるOFDMシンボル数はロングGIサブフレームSFLに含まれるOFDMシンボル数より多い。なお、IFFT処理により得られたN0サンプルを有効シンボルといい、GI挿入後の(No + NG)サンプルをOFDMシンボルという。
【0005】
ショートGIサブフレームとロングGIサブフレームの使用方は主に2つ考えられている。第1の使用方法は遅延分散の大小に基づいていずれかを使い分ける方法である。一般に遮蔽物の少ない郊外に適用される半径の大きいセル(以降、大セルと表記)では遅延広がりが大きく、遮蔽物の多い都市部などに展開される半径の小さいセル(以降、小セルと表記)では遅延広がりは小さい。そこで、大セルではロングGIサブフレームを用い、小セルではショートGIサブフレームを用いる。この場合、各々のセルの基地局が送信するサブフレームはショートGIサブフレームもしくはロングGIサブフレームに固定されており、時間的に変化することはない。
第2の使用方法はMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)データを送信する際にロングGIサブフレームを使用し、ユニキャストデータ(unicastデータ)を送信する際にショートGIサブフレームを使用する方法である。MBMSデータとunicastデータの多重方法は時間多重(Time Division Multiplex) TDM、時間周波数多重(Time Frequency Division Multiplex) TFDMなどが提案されている。
TDMでは、ショートGIサブフレームとロングGIサブフレームを時間多重する。ショートGIサブフレームの全帯域をunicastデータに割り当て、ロングGIサブフレームの全帯域をMBMSデータに割り当てる。
TFDMでは、ショートGIサブフレームとロングGIサブフレームを時間多重する。そして、ショートGIサブフレームの全帯域をunicastデータに割り当てる。しかし、ロングGIサブフレームでは全帯域をMBMSデータに割り当てず、unicastデータとMBMSデータを周波数多重する。
【0006】
・サブフレームタイミング、シンボルタイミングの検出
セルラシステムにおいて通信の開始時、移動端末は無線リンクを接続するセル(基地局)を探すためにセルサーチ処理を行ってシンボルタイミング検出およびサブフレームタイミング検出を行う必要がある。従来のセルサーチ時におけるタイミング検出方法は受信信号の繰返し部分を利用した自己相関による検出方法、および既知パターンのレプリカ信号と受信信号との相互相関による検出方法の二つに大別され、以下の3つのタイミング検出方法が知られている。
(1) 第1のタイミング検出方法
第1のタイミング検出方法はガードインターバルGIの繰返し部分の相関を演算してシンボルタイミングを検出するGI相関演算方法である(特許文献1参照)。
図24は第1のタイミング検出方法を実現するタイミング装置の構成図、図25はタイミング検出方法の説明図である。ガードインターバルGIは、図25の(a)に示すようにサンプル数No個のOFDM有効シンボルの先頭部にサンプル数NG個の末尾部分をコピーして作成しているから、1OFDM有効シンボル前(N0サンプル前)の受信信号と現受信信号との相関を演算することにより図25(b)に示すようにガードインターバルGI部分で相関値が最大となる。この最大相関値を検出することによりシンボルタイミングを検出できる。
図24において、遅延器21は、受信信号を1 OFDM有効シンボル(サンプル数N0)分遅延し、乗算部22は1 OFDM有効シンボル前の受信信号P2の複素共役P2*と現受信信号P1とを乗算し、乗算結果を出力する。シフトレジスタ23はガードインターバルのNGサンプル分の長さを有し、最新のNG個の乗算結果を記憶し、加算部24はNG個の乗算結果を加算してNGサンプル幅の相関値を出力する。相関値記憶部25は加算器24から出力する1サンプルづつずれたN0個の相関値を記憶し、加算器26はS/N比を向上するために複数のシンボル及び複数フレームにわたって相関値を積算し、相関値記憶部25に記憶する。ガードインターバル期間において1 OFDM有効シンボル前の受信信号と現受信信号は理想的には同じであるから、シフトレジスタ23に記憶されるガードインターバル期間の乗算結果の数が多くなるに従って図25(b)に示すように相関値が漸増し、ガードインターバル期間におけるNG個の全ての乗算結果がシフトレジスタ23に記憶されたとき相関値は最大となり、以後、シフトレジスタに23に記憶されるガードインターバル期間の乗算結果の数が減少してゆき相関値は漸減する。ピーク検出部27は相関値記憶部25に記憶されているN0個の相関値のうち相関電力最大のピーク相関値を検出し、そのタイミングをシンボルタイミングとする。なお、タイミング検出と同時に、移動端末と基地局間のキャリア周波数偏差の推定が可能である。
【0007】
(2) 第2のタイミング検出方法
第2のタイミング検出方法は、図26に示すように同一の信号、例えば同期チャネル(SCH)のOFDMシンボルを2回繰返して送信し、その繰返し部分の相関を演算してピークタイミングを検出し、該タイミングに基づいてシンボルタイミング、サブフレームタイミングを検出する(非特許文献2参照)。なお、タイミング検出と同時に、移動端末と基地局間のキャリア周波数偏差の推定が可能である。
(3) 第3のタイミング検出方法
第3のタイミング検出方法は、図27に示すように各基地局より全セル共通の同期チャネル(SCH) のOFDMシンボルを送信し、受信側で同期チャネルのOFDMシンボルのレプリカと受信信号との相関を演算してピークタイミングを検出し、該タイミングに基づいてシンボルタイミング、サブフレームタイミングを検出する(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】3GPP TSG RAN WG1 Ad Hoc on LTE, R1-050590, "Physical Channels and Multiplexing in Evolved UTRA Downlink", NTT DoCoMo
【非特許文献2】花田、樋口、佐和橋、「ブロードバンドMulti-carrier CDMA伝送における2段階高速セルサーチ法およびその特性」、信学技報 (TECHNICAL REPORT OF IEICE. SSE2000-79,RCS2000-68(2000-07), p.119-126)
【特許文献1】国際公開第03/032542号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
・第1のタイミング検出方法には以下の問題がある。
(1)シンボルタイミングを検出できるが、サブフレームタイミングを検出できない。
(2)図25(b)に示すように相関値が繰り返し部分(GI期間)の長さに応じた幅を持つピーク特性になるため、雑音や遅延波の影響でシンボルタイミング位置に誤差を生じやすい。
(3)ショートGIサブフレームとロングGIサブフレームが併用される場合、移動端末はそれぞれのサブフレームに応じた2つの相関器を持つ必要がある。
(4)基地局がショートGIサブフレームとロングGIサブフレームを時間多重して送信する場合、相関値を複数サブフレームにわたって平均化ができないため、タイミング検出精度が落ちる。
・第2のタイミング検出方法には以下の問題がある。
(1)第1のタイミング検出方法と同様に相関値は繰り返し部分(OFDMシンボル期間)の長さに応じた幅を持つピーク特性になるため、雑音や遅延波の影響でシンボルタイミング位置、サブフレームタイミング位置に誤差を生じやすい
(2)ショートGIサブフレームとロングGIサブフレームが併用される場合、移動端末はそれぞれのサブフレームに応じた2つの相関器を持つ必要がある。
(3)基地局がショートGIサブフレームとロングGIサブフレームを時間多重して送信する場合、相関値を複数サブフレームにわたって平均化ができないため、タイミング検出精度が落ちる。
・第3のタイミング検出方法には以下の問題がある。
第3のタイミング検出方法には第1、第2の方法のような問題はない。しかし、第3のタイミング検出方法では、同期チャネルとして受信側で既知である全セル共通のOFDMシンボルを用いる必要があり、パイロットシンボルをタイミング検出に使用できない。このため、サブフレームに含まれるパイロットシンボル数が少なくなり、チャネル推定精度が劣化する問題がある。
【0009】
以上から、本発明の目的は、パイロットシンボルをシンボルタイミング、サブフレームタイミングの検出に使用できるようにすることである。
本発明の別の目的は、GI長が異なる複数のサブフレーム(例えばショートGIサブフレームとロングGIサブフレーム)が併用される場合であっても、シンボルタイミング/サブフレームタイミングの検出に際して、それぞれのサブフレームに応じた相関器を不要にすることである。
本発明の別の目的は、高精度でシンボルタイミング、サブフレームタイミングの検出ができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はガードインターバル長が異なる複数種類のサブフレームを使用するディジタル通信システムにおける前記サブフレームの作成方法であり、パイロット信号にIFFT処理し、該IFFT処理により得られた有効シンボルにガードインターバルを挿入してサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成するステップを備え、前記OFDMシンボル作成ステップにおいて、所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すように前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成し、受信側において相関演算することにより前記サブフレーム同期タイミングを検出できるようにする。
前記OFDMシンボル作成ステップにおいて、前記サブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成する。
本発明はガードインターバル長が異なる複数種類のサブフレームを使用するディジタル通信システムにおける送信装置であり、パイロット信号にIFFT処理を施すIFFT処理部、該IFFT処理により得られた有効シンボルにガードインターバルを挿入するガードインターバル挿入部、所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すようにサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成するように制御する制御部、該サブフレームを無線で送信する送信部を備えている。
前記制御部は、前記サブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成するよう制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すようにサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成するようにしたから、GI長が異なる複数のサブフレーム(例えばショートGIサブフレームとロングGIサブフレーム)が併用される場合であっても、サブフレームタイミングの検出に際して、それぞれのサブフレームに応じた相関器を不要にすることができる。
また、本発明によれば、パイロット信号を用いてサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成するようにしたから、サブフレームに含まれるパイロット数を多くできるため、復調時のチャネル推定精度を改善することができる。
また、本発明によれば、サブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにしたから、相関演算に際して、サブフレーム同期タイミングにおいて鋭いピークを発生するようにでき、サブフレーム同期タイミングの検出精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(A)本発明の原理
図1は本発明の原理説明図である。
ガードインターバル長が異なる複数種類のサブフレームを使用するディジタル通信システムにおいて、サブフレーム同期タイミング、シンボル同期タイミングを検出する必要がある。
このため、図1(A)に示すように、パイロット信号にIFFT処理を施し、該IFFT処理により得られた有効シンボルPにガードインターバルGIを挿入してサブフレームの末尾のOFDMシンボルS0を作成し、同一パイロット信号にIFFT処理を施し、該IFFT処理により得られた有効シンボルPにガードインターバルGIを挿入して次サブフレームの先頭のOFDMシンボルS1を作成する方法が考えられる。しかし、この方法ではロングGIサブフレームSFLとショートGIサブフレームSFSのOFDMシンボル長NL,NSが異なる。このため、受信局(移動局)が相関演算によりサブフレーム同期タイミングを検出するためには、それぞれのサブフレームに応じた相関器を備える必要があり、好ましくない。
そこで、本発明では、図1(B)に示すように、所定数N0のサンプルがサブフレーム同期タイミングのTSYCの前後で繰り返すように、サブフレーム末尾のOFDMシンボルS0と次サブフレームの先頭のOFDMシンボルS1を作成する。具体的には、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後で長さN0のOFDM有効シンボルPが繰り返されるようにする。このようにすれば、ロングGIサブフレームSFL とショートGIサブフレームSFSのOFDMシンボル長NL,NSが異なっても、移動局は長さN0の相関器を備えるだけでよく、相関演算によりそれぞれのサブフレームにおけるサブフレーム同期タイミングTSYCを検出できるようになる。すなわち、パイロット信号を用いて、かつ、1つの相関器によりGI長が異なるサブフレームのサブフレーム同期タイミング、シンボル同期タイミングを検出することができる。
【0013】
以上のように、所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングのTSYCの前後で繰り返すようにして相関演算すると、相関値C(t)が図2(A)に示すように三角状になる。なお、図2では有効シンボルは4サンプルa,b,c,dとしている。相関演算のタイミングがシンボル同期タイミングTSYCと一致していれば相関値C(T)=a2+b2+c2+d2となりピーク値を示し、シンボル同期タイミングTSYCから前後にずれると相関値C(T−1)=a2+b2+c2、C(T+1)=b2+c2+d2となり小さくなり、ずれ具合が大きくなるほど相関値C(t)は小さくなる。このように、相関値が繰り返し部分(有効シンボル期間)の長さに応じた幅を持つピーク特性になると、雑音や遅延波の影響でシンボル同期タイミングの検出誤差が生じやすい。
本発明は、図2(B)に示すように、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成する。図2(B)の例では、サブフレームの末尾の有効シンボルの配列はa,b,c,dとなっているが、次サブフレームの先頭の有効シンボルの配列はd,c,b,aと反転している。このように、サンプル配列を反転することにより、相関演算のタイミングがシンボル同期タイミングTSYCと一致していれば相関値は大きなピーク値を示し、相関演算のタイミングが一致していなければ0になる。すなわち、相関演算のタイミングがシンボル同期タイミングTSYCと一致していれば相関値C(T)=a2+b2+c2+d2となりピーク値を示し、シンボル同期タイミングTSYCから前後にずれると相関値C(T−1)=0、C(T+1)=0となる。この結果、シンボル同期タイミングを正確に検出することが可能になる。
【0014】
(B)第1実施例
(a)OFDM送信装置
図3は第1実施例のOFDM送信装置(基地局)の構成図であり、送信装置は適宜ロングGIサブフレームとショートGIサブフレームを時分割多重して送信するものとする。
サブフレームフォーマット記憶部41はロングGIサブフレームとショートGIサブフレームのサブフレームフォーマットを保存している。送信サブフレームフォーマット決定部42はユニキャストデータを送信するか、マルチキャストデータを送信するかに基づいて、サブフレームフォーマットを決定し、該サブフレームフォーマット情報をサブフレームフォーマット記憶部41から読み出してチャネル多重制御部43、位相回転処理部44、ガードインターバル長制御部(以下GI長制御部という)45に通知する。
チャネル多重部46はチャネル多重制御部43の制御に基づいて、離散的な時間信号であるデータチャネルとパイロットチャネルを時分割多重して出力する。本実施例において、チャネル多重部46は少なくともサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルが同一のパイロット信号を用いて作成されるように、データチャネルにパイロットチャネルを時分割多重する。すなわち、サブフレーム末尾のOFDMシンボルを次サブフレームのパイロットを用いて作成する。
位相回転処理部44はN0をOFDMの有効シンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、パイロット信号のn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに、
w(n)=exp(−jnN G/N0) (1)
の位相回転を施すよう位相回転部47に指示する。この指示により、位相回転部47はサブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号のみに(1)式で示すw(n)の位相回転を施して出力する。なお、位相回転部47はデータ信号や他のパイロット信号には位相回転を施さない。
シリアル・パラレル変換処理部(S/P変換部)48は、位相回転部55から時系列的にシリアルに入力する一定数N0のサンプルを並列に変換し、N0個のサブキャリア信号成分としてIFFT処理部49に入力する。図4はS/P変換処理部48の出力を時間―周波数の2次元領域で表現したものである。なお、p(m+1,n)は第(m+1)番目のサブフレームのパイロット信号のn番目のサブキャリア成分を示している。
IFFT処理部49はN0個のサブキャリア信号成分にIFFT処理を施してN0個の時間離散データ列(有効シンボル)を出力する。GI長制御部50はGI挿入部50にサブフレームフォーマットに応じた長さNGのGIを挿入するように指示する。この結果、GI挿入部58はIFFT処理部49から入力する有効シンボルの後部NG個のサンプルのコピーを作成し、該コピー部分を有効シンボルの先頭に挿入して無線処理部51に入力する。無線処理部51はGI挿入部50から入力するベースバンドのOFDMシンボルをDA変換し、ついで、無線信号に周波数アップコンバートし、電力増幅して無線で送信する。
【0015】
(b)繰り返しの説明
第1実施例において、有効シンボル数NGのサンプルがサブフレーム同期タイミングのTSYCの前後で繰り返す理由を説明する。なお、N0(=10)個のサンプルで構成されたパイロット信号を位相回転せずにIFFT処理すると有効シンボル200は図5(A)に示すように
ABCDEFGHIJ
となるものとし、また、GI長は2サンプルとする。
サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号に(1)式で示すw(n)の位相回転を施すとIFFT処理して作成された有効シンボル201は図5(B)に示すように半時計方向に2サンプル分回転して
IJABCDEFGH
になる。従って、GI挿入部50でGIを挿入するとOFDMシンボル202は図5(C)に示すように
GH IJABCDEFGH
となり、シンボル同期タイミングTSYCからN0個のサンプル列は
IJABCDEFGH
になる。
一方、サブフレーム先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号には位相回転を施さないため、IFFT処理して作成された有効シンボル211は図5(D)に示すように
ABCDEFGHIJ
になる。従って、GI挿入部50でGI挿入すると、OFDMシンボル212は図5(E)に示すように
IJABCDEFGHIJ
となり、シンボル同期タイミングTSYCからN0個のサンプル列は
IJABCDEFGH
になる。この結果、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後でN0個のサンプル列が繰り返えされる。
【0016】
以上ではGI長が2サンプルの場合であるが、3サンプルの場合は、サブフレーム末尾の有効シンボルは3サンプル分回転して
HIJABCDEFG
となり、サブフレーム末尾のOFDMシンボルは
EFGHIJABCDEFG
となり、シンボル同期タイミングTSYCからN0個のサンプル列は
HIJABCDEFG
となる。
また、サブフレーム先頭のOFDMシンボルは
HIJABCDEFGHIJ
となり、シンボル同期タイミングTSYCからN0個のサンプル列は
HIJABCDEFG
となる。この結果、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後でN0個のサンプル列が繰り返えされる。
すなわち、ショートGIサブフレームであってもロングGIサブフレームであっても10個のサンプル(シンボル)がサブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返される。
図6はロングGIサブフレームSFLとショートGIサブフレームSFSにおけるサブフレーム末尾のOFDMシンボル202、202′とサブフレーム先頭のOFDMシンボル212、212′の説明図である。有効シンボルのシンボル数N0はサブフレームの種類に関係なく一定であるから、ロングGIサブフレームSFLおよびショートGIサブフレームSFSともに、N0個のサンプルがサブフレーム同期タイミングのTSYCの前後で繰り返すようにできる。
【0017】
(c)受信装置におけるタイミング同期検出
図7は第1実施例の受信装置(移動局)におけるタイミング同期検出処理部の構成図である。無線処理部61は送信装置から送信された無線信号をべースバンド信号に周波数変換し、該ベースバンド信号をAD変換してタイミング同期検出処理部62に入力する。タイミング同期検出処理部62は相関演算部63、平均演算部64、同期タイミング検出部65を備えている。
相関演算部63において、シフトレジスタ63aは有効シンボル長をN0とすれば、最新の2×N0個のサンプルr(0)~r(2N0−1)を順次シフトしながら記憶する。N0個の乗算器63bは、最新のN0個のサンプルr(j)(j=0,1,…,N0-1)とそれより前のN0個のサンプルにおける対応するサンプルr(j+N0)同士の乗算を行い、加算器63cは各乗算結果を加算して相関値を演算して平均演算部64に入力する。加算器63cは1サンプル入力する毎に相関値を演算して出力し、サブフレームのシンボル数をMとすれば、サブフレームにつきM個の相関値を出力する。平均演算部64において、相関値記憶部64aはM個の加算器出力を記憶し、加算器64bは相関演算部63から順次出力されるM個の相関値と相関値記憶部64aに記憶されている対応する相関値を加算して加算結果を該相関値記憶部に記憶する。平均演算部64はLサブフレームにわたって加算したM個の相関値を同期タイミング検出部65に入力する。サブフレームのサンプル数Mはサブフレームの種類に関係なく一定であり(図23参照)、
M=Nofdm_s×Nf_s= Nofdm_1×Nf_l
である。ただし、
Nf_s:1ショートGIサブフレームのOFDMシンボル数、
Nf_l:1ロングGIサブフレームあたりのOFDMシンボル数、
Nofdm_s:ショートGIサブフレームの1OFDMシンボルあたりのサンプル数、
Nofdm_l:ロングGIサブフレームの1OFDMシンボルあたりのサンプル数
である。
同期タイミング検出部65はM個の相関値のうち最大のタイミングを検出し、該タイミングをサブフレーム同期タイミング及びシンボル同期タイミングとして出力する。
以上から、第1実施例によれば、パイロット信号を用いて、かつ、1つの相関器によりGI長が異なるサブフレームのサブフレーム同期タイミング、シンボル同期タイミングを検出することができる。
【0018】
(d)変形例
・第1の変形例
第1実施例では位相回転部55がサブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号に(1)式で示すw(n)の位相回転を施して出力したが、サブフレーム先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号にのみ次式
W(n)=exp(+jnN G/N0) (2)
の位相回転を施してIFFT処理するように構成することができる。このようにしても所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングのTSYCの前後で繰り返えされる。以下、その理由を説明する。なお、N0(=10)個のサンプルで構成されたパイロット信号を位相回転せずにIFFT処理すると図8(A)に示すように有効シンボル200は
ABCDEFGHIJ
となるものとし、また、GI長は2サンプルとする。
サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号には位相回転を施さないため、IFFT処理して作成された有効シンボル201は図8(B)に示すように
ABCDEFGHIJ
になる。従って、GI挿入部50でGI挿入すると、OFDMシンボル202は図8(C)に示すように
IJABCDEFGHIJ
となり、シンボル同期タイミングTSYCからN0個のサンプル列は
ABCDEFGHIJ
になる。
一方、サブフレーム先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号に(2)式で示すw(n)の位相回転を施すとIFFT処理して作成された有効シンボル211は図8(D)に示すように時計方向に2サンプル分回転して
CDEFGHIJAB
になる。従って、GI挿入部50でGIを挿入するとOFDMシンボル212は図8(E)に示すように
AB CDEFGHIJAB
となり、シンボル同期タイミングTSYCからN0個のサンプル列は
ABCDEFGHIJ
になる。この結果、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後でN0個のサンプルが繰り返えされる。以上ではGI長が2サンプルの場合であるが、3サンプルの場合もサブフレーム同期タイミングTSYCの前後でN0個のサンプルが繰り返えされる。すなわち、ショートGIサブフレームであってもロングGIサブフレームであっても10個のサンプルがサブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返される。
【0019】
・その他の変形例
第1実施例では、N0個の全サブキャリアにパイロットサンプルを配置したが、本発明はそれに限定されるものではない。パイロットサンプルを一部のサブキャリアのみに配置し、その他のサブキャリアにデータチャネルやBCH(Broadcast Channel)等のその他のチャネルを配置してもよい。その場合、パイロットのみを繰返し配置してもよいし、その他のチャネルも含めて繰返し配置してもよい。
また、第1実施例においてはサブフレームタイミングTSYCの前後でN0個のシンボル列が繰り返えされるようにしたが、本発明はそれに限定するものではない。例えば、第4OFDMシンボルのシンボル同期タイミングの前後でN0個のシンボル列が繰り返えされるようにしてもよい。このようにすれば、シンボル同期タイミングを検出できる。
第1実施例においては、GI長が2種類の例を挙げているが、2種類に限定するものではない。
【0020】
(C)第2実施例
第1実施例は周波数軸上で位相回転することによって、GI長に依存しない繰返し構造を実現しているが、第2実施例は時間軸上でGIを付加してGI長に依存しない繰返し構造を実現している。
図9は第2実施例のOFDM送信装置(基地局)の構成図であり、図3の第1実施例の送信装置と同一部分には同一符号を付している。異なる点は、(1)位相回転処理部及び位相回転部を削除した点、(2)GI挿入部としてGI前方挿入部71、GI後方報挿入部72を設けた点である。
サブフレームフォーマット記憶部41はロングGIサブフレームとショートGIサブフレームのサブフレームフォーマットを保存している。送信サブフレームフォーマット決定部42はユニキャストデータを送信するか、マルチキャストデータを送信するかに基づいて、サブフレームフォーマットを決定し、該サブフレームフォーマット情報をサブフレームフォーマット記憶部41から読み出してチャネル多重制御部43、GI長制御部45に通知する。
チャネル多重部46はチャネル多重制御部43の制御に基づいて、離散的な時系列信号であるデータチャネルとパイロットチャネルを時分割多重して出力する。本実施例において、チャネル多重部46は少なくともサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルが同一のパイロット信号を用いて作成されるように、データチャネルにパイロットチャネルを時分割多重する。すなわち、サブフレーム末尾のOFDMシンボルを次サブフレームのパイロットを用いて作成する。
シリアル・パラレル変換処理部(S/P変換部)48は、チャネル多重部46から時系列的にシリアルに入力する一定数N0のサンプルを並列に変換し、N0個のサブキャリア信号成分としてIFFT処理部49に入力する。
IFFT処理部49はN0個のサブキャリア信号成分にIFFT処理を施してN0個の時系列データ(有効シンボル)を出力する。切換スイッチ73は、サブフレーム末尾の有効シンボルをGI前方挿入部71に入力し、サブフレーム先頭の有効シンボルをGI後方挿入部72に入力する。なお、切換スイッチ73は、サブフレーム先頭の有効シンボルのみGI後方挿入部72に入力し、他の有効シンボルはGI前方挿入部71に入力する。
【0021】
GI長制御部45はGI前方挿入部71とGI後方挿入部72にサブフレームフォーマットに応じた長さNGのGIを挿入するように指示する。この結果、GI前方挿入部71は、切換スイッチ73を介して入力する有効シンボルの後部NG個のシンボルのコピーを作成し、該コピー部分をGIとして該有効シンボルの先頭に挿入して合成部74に入力する。また、GI後方挿入部72は、切換スイッチ73を介して入力する有効シンボルの前部NG個のシンボルのコピーを作成し、該コピー部分をGIとして該有効シンボルの後部に挿入して合成部74に入力する。
合成部74はGI前方挿入部71とGI後方挿入部72から入力するOFDMシンボルを合成して無線処理部51に入力する。無線処理部51はベースバンドのOFDMシンボルをDA変換し、ついで、無線信号に周波数アップコンバートし、電力増幅して無線で送信する。
【0022】
以上により、所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングのTSYCの前後で繰り返えされる。以下、その理由を説明する。なお、N0(=10)個のサンプルで構成されたパイロット信号にIFFT処理を施すと図10(A)に示すように有効シンボル200は
ABCDEFGHIJ
となるものとし、また、GI長は2サンプルとする。
GI前方挿入部71においてサブフレーム末尾の有効シンボルにGIを挿入すると、OFDMシンボル251は図10(B)に示すように
IJ ABCDEFGHIJ
となる。また、GI後方挿入部72においてサブフレーム先頭の有効シンボルにGIを挿入すると、OFDMシンボル261は図10(C)に示すように
ABCDEFGHIJAB
となる。この結果、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後でN0個のサンプルが繰り返えされる。以上ではGI長が2サンプルの場合であるが、3サンプルの場合もサブフレーム同期タイミングTSYCの前後でN0個のサンプル列が繰り返えされる。すなわち、ショートGIサブフレームであってもロングGIサブフレームであっても10個のサンプルがサブフレーム同期タイミングのTSYCの前後で繰り返される。
【0023】
(D)第3実施例
(a) OFDM送信装置
第3実施例は、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返えされるN0個のサンプルの配列が互いに反転するように、サブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成する。
図11は第3実施例のOFDM送信装置(基地局)の構成図であり、図3の第1実施例の送信装置と同一部分には同一符号を付している。異なる点は、サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号の配列と次サブフレームの先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号の配列が互いに反転するようにするための切換スイッチ81、並び替え部82、合成部83を設けた点である。
サブフレームフォーマット記憶部41はロングGIサブフレームとショートGIサブフレームのサブフレームフォーマットを保存している。送信サブフレームフォーマット決定部42はユニキャストデータを送信するか、マルチキャストデータを送信するかに基づいて、サブフレームフォーマットを決定し、該サブフレームフォーマット情報をサブフレームフォーマット記憶部41から読み出してチャネル多重制御部43、位相回転処理部44、GI長制御部45に通知する。
切換スイッチ81は、サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号のみ並び替え処理部82に入力し、他のパイロット信号は合成部83に直接入力するように切換制御する。第mサブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号のN0個のサンプル列を
p(m+1,0), p(m+1,1), p(m+1,2),……, p(m+1,N0-2), p(m+1,N0-1)
とすれば、並び替え部82は該パイロット信号のサンプル列を以下
p(m+1,N0-1), p(m+1,N0-2),…….., p(m+1,2), p(m+1,1), p(m+1,0)
のように並び替えて合成部83に入力する。合成部83は切り替えスイッチ81から直接入力されたパイロット信号と並び替えられたパイロット信号を合成してチャネル多重部46に入力する。
【0024】
チャネル多重部46はチャネル多重制御部43の制御に基づいて、データチャネルとパイロットチャネルを時分割多重して出力する。本実施例において、チャネル多重部46は少なくともサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルが同一のパイロット信号を用いて作成されるように、データチャネルにパイロットチャネルを時分割多重する。ただし、パイロット信号の配列は反転している。
位相回転処理部44は (1)式の位相回転w(n)を施すよう位相回転部47に指示する。この指示により、位相回転部47はサブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号のみに(1)式で示すw(n)の位相回転を施して出力する。なお、位相回転部47はデータ信号や他のパイロット信号には位相回転を施さない。
シリアル・パラレル変換処理部(S/P変換部)48は、位相回転部47から時系列的にシリアルに入力する一定数N0のサンプルを並列に変換し、N0個のサブキャリア信号成分としてIFFT処理部49に入力する。図12はS/P変換処理部48の出力を時間―周波数の2次元領域で表現したものである。注目すべき点は、サブフレーム末尾のパイロット信号の配列が反転している点である。
IFFT処理部49はN0個のサブキャリア信号成分にIFFT処理を施してN0個の離散時系列データ(有効シンボル)を出力する。GI長制御部45はGI挿入部50にサブフレームフォーマットに応じた長さNGのGIを挿入するように指示する。この結果、GI挿入部50はIFFT処理部49から入力する有効シンボルの後部NG個のシンボルのコピーを作成し、該コピー部分を有効シンボルの先頭に挿入して無線処理部59に入力する。無線処理部59はベースバンドのOFDMシンボルをDA変換し、ついで、無線信号に周波数アップコンバートし、電力増幅して無線で送信する。
サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号と次サブフレームの先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号の配列が反転しているため、GI挿入部50から出力するOFDMシンボルは時間領域で表すと図13に示すようになる。(A)はロングGIサブフレーム、(B)はショートGIサブフレームの場合である。
以上から、サブフレームの種別に関係なく、サブフレーム同期タイミングTSYCを境界にしてN0個のシンボルが時間的に反転する。すなわち、サブフレーム同期タイミングTSYCを中心にN0個のシンボルが対称になっている。
【0025】
(b) 受信装置
図14は第3実施例の受信装置(移動局)におけるタイミング同期検出処理部の構成図であり、図7の第1実施例の受信装置と同一部分には同一符号を付している。異なる点は、N0個の乗算器63bが乗算する2つのサンプルの組み合わせである。
無線処理部61は送信装置から送信された無線信号をベースバンド信号に周波数変換し、該ベースバンド信号をAD変換してタイミング同期検出処理部62に入力する。相関演算部63のシフトレジスタ63aは有効シンボル長をN0とすれば、最新の2×N0個のサンプルr(0)~r(2N0−1)を順次シフトしながら記憶する。N0個の乗算器63bは、最新のN0個のサンプルr(j)(j=0,1,…,N0-1)とそれより前のN0個のサンプルにおける対応するサンプルr(2N0-1-j)同士の乗算を行い、加算器63cは各乗算結果を加算して平均演算部64に入力する。平均演算部64は第1実施例と同様にサブフレームのサンプル数をMとすれば、M個の加算器出力を同期タイミング検出部65に入力する。同期タイミング検出部65はM個の相関値のうち最大のタイミングを検出し、該タイミングをサブフレーム同期タイミング及びシンボル同期タイミングとして出力する。
この結果、図2 (B)で説明したように、相関演算のタイミングがシンボル同期タイミングTSYCと一致しているときのみ相関値が発生して大きなピーク値を示し、一致していなければ0になり、シンボル同期タイミングTSYCの検出精度を向上することができる。
【0026】
(c)変形例
第3実施例では、サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号の配列を反転したが、次のサブフレーム先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号の配列を反転することもできる。かかる場合、S/P変換部48の出力は時間―周波数の2次元領域で表現すると図15に示すようになる。
第3実施例ではサブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号に(1)式で示すw(n)の位相回転を施して出力したが、サブフレーム先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号にのみ(2)式の位相回転を施してIFFT処理するように構成することができる。
また、第1実施例のその他の変形例が、第3実施例においても可能である。
【0027】
(E)第4実施例
第4実施例は第3実施例と同様にサブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返えされるN0個のシンボルの配列が互いに反転するように、サブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成する。
図16は第4実施例のOFDM送信装置(基地局)の構成図であり、図9の第2実施例の送信装置と同一部分には同一符号を付している。異なる点は、サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号の配列と次サブフレームの先頭のOFDMシンボルとなるパイロット信号の配列が互いに反転するようにするための切換スイッチ81、並び替え部82、合成部83を設けた点である。
サブフレームフォーマット記憶部41はロングGIサブフレームとショートGIサブフレームのサブフレームフォーマットを保存している。送信サブフレームフォーマット決定部42はユニキャストデータを送信するか、マルチキャストデータを送信するかに基づいて、サブフレームフォーマットを決定し、該サブフレームフォーマット情報をサブフレームフォーマット記憶部41から読み出してチャネル多重制御部43、GI長制御部45に通知する。
切換スイッチ81は、サブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号のみ並び替え処理部82に入力し、他のパイロット信号は合成部83に直接入力するように切換制御する。第mサブフレーム末尾のOFDMシンボルとなるパイロット信号のN0個のサンプル列を
p(m+1,0), p(m+1,1), p(m+1,2),……, p(m+1,N0-2), p(m+1,N0-1)
とすれば、並び替え部82はパイロット信号のサンプル列を以下
p(m+1,N0-1), p(m+1,N0-2),…….., p(m+1,2), p(m+1,1), p(m+1,0)
のように、並び替えて合成部83に入力する。合成部83は切り替えスイッチ81から直接入力されたパイロット信号と並び替えられたパイロット信号を合成してチャネル多重部46に入力する。
【0028】
チャネル多重部46はチャネル多重制御部43の制御に基づいて、データチャネルとパイロットチャネルを時分割多重して出力する。本実施例において、チャネル多重部46は少なくともサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルが同一のパイロット信号を用いて作成されるように、データチャネルにパイロットチャネルを時分割多重する。ただし、パイロット信号の配列は反転している。
シリアル・パラレル変換処理部(S/P変換部)48は、チャネル多重部46から時系列的にシリアルに入力する一定数N0のサンプルを並列に変換し、N0個のサブキャリア信号成分としてIFFT処理部49に入力する。図17はS/P変換処理部48の出力を時間―周波数の2次元領域で表現したものである。注目すべき点は、サブフレーム末尾のパイロット信号の配列が反転している点である。
IFFT処理部49はN0個のサブキャリア信号成分にIFFT処理を施してN0個の時系列データ(有効シンボル)を出力する。切換スイッチ73は、サブフレーム末尾の有効シンボルをGI前方挿入部71に入力し、サブフレーム先頭の有効シンボルをGI後方挿入部72に入力する。なお、切換スイッチ73は、サブフレーム先頭の有効シンボルのみGI後方挿入部72に入力し、他の有効シンボルはGI前方挿入部71に入力する。
GI長制御部45はGI前方挿入部71とGI後方挿入部72にサブフレームフォーマットに応じた長さNGのGIを挿入するように指示する。この結果、GI前方挿入部71は、切換スイッチ73を介して入力する有効シンボルの後部NG個のサンプルのコピーを作成し、該コピー部分をGIとして該有効シンボルの先頭に挿入して合成部74に入力する。また、GI後方挿入部72は、切換スイッチ73を介して入力する有効シンボルの前部NG個のサンプルのコピーを作成し、該コピー部分をGIとして該有効シンボルの後部に挿入して合成部74に入力する。
合成部74はGI前方挿入部71とGI後方挿入部72から入力するOFDMシンボルを合成して無線処理部51に入力する。無線処理部51はベースバンドのOFDMシンボルをDA変換し、ついで、無線信号に周波数アップコンバートし、電力増幅して無線で送信する。
【0029】
以上により、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返えされるN0個のサンプルの配列が互いに反転するようになる。以下、その理由を説明する。
N0(=10)個のサンプルで構成されたパイロット信号にIFFT処理を施すと図18(A)に示すように有効シンボル301は
ABCDEFGHIJ
となる。また、N0個のサンプルで構成されたパイロット信号の配列を反転してIFFT処理を施すと図18(B)に示すように有効シンボル302は
JIHGFEDCBA
となる。
GI前方挿入部71においてサブフレーム末尾の有効シンボル302にGIを挿入すると、OFDMシンボル303は図18(C)に示すように
BA JIHGFEDCBA
となる。また、GI後方挿入部72においてサブフレーム先頭の有効シンボルにGIを挿入すると、OFDMシンボル304は図18(D)に示すように
ABCDEFGHIJAB
となる。この結果、サブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返えされるN0個のサンプルの配列が互いに反転する。以上ではGI長が2サンプルの場合であるが、3サンプルの場合もサブフレーム同期タイミングTSYCの前後で繰り返えされるN0個のサンプルの配列が互いに反転する。
【0030】
・付記
(付記1)
ガードインターバル長が異なる複数種類のサブフレームを使用するディジタル通信システムにおけるサブフレームの作成方法において、
信号にIFFT処理を施し、該IFFT処理により得られた有効シンボルにガードインターバルを挿入してサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成するステップを備え、
前記OFDMシンボル作成ステップにおいて、送信されるサブフレームの種類に関係なく所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すように前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成する、
ことを特徴とするサブフレームの作成方法。
(付記2)
前記OFDMシンボル作成ステップは、
前記信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの後部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成するステップ、
前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルにマッピングされた信号と同一の信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの前部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの後部にガードインターバルとして挿入して次のサブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成するステップ、
を有することを特徴とする付記1記載のサブフレームの作成方法。
(付記3)
前記OFDMシンボル作成ステップは、前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップと前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップを備え、
前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップは、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記パイロット信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(−jnN G/N0
の位相回転を施してIFFT処理を施す第1ステップ、
該IFFT処理して得られた有効シンボルの後部のNG個のシンボルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成する第2ステップ、
を備え、前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップは、
位相回転を施さないで前記パイロット信号と同一の信号にIFFT処理を施す第1ステップ、
該IFFT処理して得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成するステップ、
を有することを特徴とする付記1記載のサブフレームの作成方法。
(付記4)
前記OFDMシンボル作成ステップは、前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップと前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップを備え、
前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップは、
前記信号にIFFT処理を施す第1ステップ、
該IFFT処理して得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成するステップ、
を備え、前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップは、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(+jnN G/N0
の位相回転を施してIFFT処理を施す第1ステップ、
該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成するステップ、
を有することを特徴とする付記1記載のサブフレームの作成方法。
(付記5)
前記サブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成することを特徴とする付記1記載のサブフレームの作成方法。
(付記6)
前記OFDMシンボル作成ステップは、
前記信号の配列を反転するステップ、
前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち一方の信号にIFFT処理を施し、IFFT処理により得られた有効シンボルの後部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成するステップ、
前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち他方の信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの前部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの後部にガードインターバルとして挿入して次のサブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成するステップ、
を有することを特徴とする付記5記載のサブフレームの作成方法。
(付記7)
前記OFDMシンボル作成ステップは、
前記信号の配列を反転するステップ、
前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち一方の信号を用いて前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップ、
前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち他方の信号を用いて前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップを備え、
前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップは、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち一方の信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(−jnN G/N0
の位相回転を施してIFFT処理する第1ステップ、
該IFFT処理して得られた有効シンボルの後部のNG個のシンボルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成する第2ステップ、
を備え、前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップは、
前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち他方の信号に位相回転を施さないでIFFT処理を施す第1ステップ、
該IFFT処理して得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成するステップ、
を有することを特徴とする付記5記載のサブフレームの作成方法。
(付記8)
前記OFDMシンボル作成ステップは、
前記信号の配列を反転するステップ、
前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち一方の信号を用いて前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップ、
前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち他方の信号を用いて前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップを備え、
前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを作成するステップは、
前記一方の信号に位相回転を施さないでIFFT処理を施す第1ステップ、
該IFFT処理して得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成するステップ、
を備え、前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを作成するステップは、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記他方の信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(+jnN G/N0
の位相回転を施してIFFT処理する第1ステップ、
該IFFT処理して得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成するステップ、
を有することを特徴とする付記5記載のサブフレームの作成方法。
(付記9)
ガードインターバル長が異なる複数種類のサブフレームを使用するディジタル通信システムにおける送信装置において、
信号にIFFT処理を施すIFFT処理部、
該IFFT処理により得られた有効シンボルにガードインターバルを挿入するガードインターバル挿入部、
所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すようにサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成するように制御する制御部、
該サブフレームを無線で送信する送信部、
を備えたことを特徴とする送信装置。
(付記10)
前記ガードインターバル挿入部は、ガードインターバル前方挿入部とガードインターバル後方挿入部を備え、
前記ガードインターバル前方挿入部は、前記制御部の制御により、前記信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの後部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成し、
前記ガードインターバル後方挿入部波、前記制御部の制御により、前記信号と同一の信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの前部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの後部にガードインターバルとして挿入して次のサブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成することを特徴とする付記9記載の送信装置。
(付記11)
付記9記載の送信装置において、該送信装置は更に、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(−jnN G/N0
の位相回転を施す位相回転部、
を備え、
前記位相回転部は前記信号に位相回転を施した信号と施さない信号を出力し、
前記IFFT処理部は該位相回転を施された信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNG個のシンボルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成し、かつ、
前記IFFT処理部は位相回転を施さない前記信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成する、
ことを特徴とする送信装置。
(付記12)
付記9記載の送信装置において、該送信装置は更に、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(+jnN G/N0
の位相回転を施す位相回転部、
を備え、
前記位相回転部は前記信号に位相回転を施した信号と施さない信号を出力し、
前記IFFT処理部は位相回転を施されない信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNG個のシンボルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成し、かつ、
前記IFFT処理部は位相回転を施された信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成する、
ことを特徴とする送信装置。
(付記13)
前記制御部は、前記サブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成するよう制御することを特徴とする付記9記載の送信装置。
(付記14)
付記13記載の送信装置において、該送信装置は更に、前記信号の配列を反転する配列反転部を備え、
前記前記ガードインターバル挿入部は、ガードインターバル前方挿入部とガードインターバル後方挿入部を備え、
前記ガードインターバル前方挿入部は前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち一方の信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの後部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成し、
前記ガードインターバル後方挿入部は、前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち他方の信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの前部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの後部にガードインターバルとして挿入して次のサブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成することを特徴とする送信装置。
(付記15)
付記13記載の送信装置において、該送信装置は更に、
前記信号の配列を反転する配列反転部と、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(−jnN G/N0
の位相回転を施す位相回転部、
を備え、
前記位相回転部は前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち一方の信号に位相回転を施し、IFFT処理部は位相回転を施された信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNG個のシンボルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成し、かつ、
前記位相回転部は前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち他方の信号に位相回転を施さず、前記IFFT処理部は位相回転が施されない該信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成する、
ことを特徴とする送信装置。
(付記16)
付記13記載の送信装置において、該送信装置は更に、
前記信号の配列を反転する配列反転部と、
N0を有効シンボルのシンボル長、NGをガードインターバルのシンボル長とするとき、前記信号を構成するn番目(n=0〜N0-1)のサンプルに
exp(+jnN G/N0
の位相回転を施す位相回転部、
を備え、
前記位相回転部は前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち一方の信号に位相回転を施さず、IFFT処理部は位相回転を施されない該信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNG個のシンボルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成し、かつ、
前記位相回転部は前記配列が反転された信号と反転しない信号のうち他方の信号に位相回転を施し、前記IFFT処理部は位相回転が施された信号にIFFT処理を施し、前記ガードインターバル挿入部は、該IFFT処理により得られた有効シンボルの後部のNGサンプルをコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入して前記サブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成する、
ことを特徴とする送信装置。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】相関演算説明図である。
【図3】第1実施例のOFDM送信装置の構成図である。
【図4】S/P変換処理部の出力を時間―周波数の2次元領域で表現した例である。
【図5】第1実施例において、所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返す理由を説明する図である。
【図6】ロングGIサブフレームとショートGIサブフレームにおけるサブフレーム末尾のOFDMシンボルとサブフレーム先頭のOFDMシンボルの説明図である。
【図7】第1実施例の受信装置におけるタイミング同期検出処理部の構成図である。
【図8】変形例において所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返す理由を説明する図である。
【図9】第2実施例のOFDM送信装置の構成図である。
【図10】第2実施例において所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返す理由を説明する図である。
【図11】第3実施例のOFDM送信装置の構成図である。
【図12】第3実施例のS/P変換処理部の出力を時間―周波数の2次元領域で表現した例である。
【図13】第3実施例のGI挿入部から出力するOFDMシンボルを時間領域で表した例である。
【図14】第3実施例の受信装置におけるタイミング同期検出処理部の構成図である。
【図15】第3実施例の変形例におけるS/P変換処理部の出力を時間―周波数の2次元領域で表現した例である。
【図16】第4実施例のOFDM送信装置の構成図である。
【図17】第4実施例の変形例におけるS/P変換処理部の出力を時間―周波数の2次元領域で表現した例である。
【図18】第4実施例においてサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされるN0個のシンボルの配列が互いに反転する理由の説明図である。
【図19】OFDM伝送方式を採用する一般的な送信局のブロック図である。
【図20】ガードインターバル挿入説明図である。
【図21】OFDM伝送方式の一般的な受信局のブロック図である。
【図22】有効信号成分を切り出しの様子を表す例である。
【図23】ショートGIサブフレームとロングGIサブフレームのサブフレームフォーマットである。
【図24】第1のタイミング検出方法を実現するタイミング装置の構成図である。
【図25】第1のタイミング検出方法の説明図である。
【図26】第2のタイミング検出方法の説明図である。
【図27】第3のタイミング検出方法の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
P 有効シンボル
GI ガードインターバル
SFL ロングGIサブフレーム
SFS ショートGIサブフレーム
S0 サブフレーム末尾のOFDMシンボル
S1 次サブフレームの先頭のOFDMシンボル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガードインターバル長が異なる複数種類のサブフレームを使用するディジタル通信システムにおけるサブフレームの作成方法において、
信号にIFFT処理を施し、該IFFT処理により得られた有効シンボルにガードインターバルを挿入してサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成するステップを備え、
前記OFDMシンボル作成ステップにおいて、送信されるサブフレームの種類に関係なく所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すように前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成する、
ことを特徴とするサブフレームの作成方法。
【請求項2】
前記OFDMシンボル作成ステップは、
前記信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの後部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの前部にガードインターバルとして挿入してサブフレーム末尾のOFDMシンボルを生成するステップ、
前記サブフレーム末尾のOFDMシンボルにマッピングされた同一の信号にIFFT処理を施して得られた有効シンボルの前部をコピーし、該コピー部を該有効シンボルの後部にガードインターバルとして挿入して次のサブフレーム先頭のOFDMシンボルを生成するステップ、
を有することを特徴とする請求項1記載のサブフレームの作成方法。
【請求項3】
前記サブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成することを特徴とする請求項1記載のサブフレームの作成方法。
【請求項4】
ガードインターバル長が異なる複数種類のサブフレームを使用するディジタル通信システムにおける送信装置において、
信号にIFFT処理を施すIFFT処理部、
該IFFT処理により得られた有効シンボルにガードインターバルを挿入するガードインターバル挿入部、
送信されるサブフレームの種類に関係なく所定数のサンプルがサブフレーム同期タイミングの前後で繰り返すようにサブフレーム末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルを作成するように制御する制御部、
該サブフレームを無線で送信する送信部、
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記サブフレーム同期タイミングの前後で繰り返えされる2つのサンプル配列が互いに反転するようにサブフレームの末尾のOFDMシンボルと次サブフレームの先頭のOFDMシンボルをそれぞれ作成するよう制御することを特徴とする請求項4記載の送信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−28818(P2008−28818A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200596(P2006−200596)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】