説明

送信装置及び受信装置

【課題】 安定したクロック再生を行いながら、低ノイズで広帯域なデータ伝送が可能な送信装置および受信装置ならびに伝送システムを提供する。
【解決手段】 多値伝送方式において、データ部では全値を用いたマッピング方式を用い、ヘッダ部ではクロックを多重したマッピング方式を用いたフレーム構造でデータ伝送を行う。受信側におけるシンボルタイミングの再生はヘッダ部の期間だけ行われ、再生されたシンボルタイミングに基づいて、受信したデータ部の信号とヘッダ部の信号からデータを取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置および受信装置に関し、より特定的には、多値伝送方式を用いた送信装置および受信装置、ならびにそれらの装置を含んだ伝送システムおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車において車載機器間のデータ通信を可能とする車載LANの導入が本格化してきている。また、カーナビゲーション装置の多機能化やITS(Intelligent Transport Systems;高度道路交通システム)の普及に伴って、車載LANで伝送すべきデータも多様化および大容量化し、より大容量のデータをより高速に転送することのできる伝送方式の実現が望まれている。
【0003】
ところで、車載LANの場合、車載LANを構成するケーブルからの放射ノイズが車載機器の誤動作を引き起こす原因となることがあり、また逆に、車載機器からの放射ノイズが車載LANにおけるデータ伝送に悪影響を及ぼす可能性があり、これらの問題に対する対策が検討されている。例えば光伝送型LANでは、各ノードを光ファイバーケーブルで接続し互いに光通信することによって、電磁波の発生を防止しながら耐ノイズ性を向上させている。
【0004】
一方、ツイストペア線や同軸ケーブルのような安価なケーブルを用いた電気伝送を行いつつ、放射ノイズが少なく耐ノイズ性を向上しながら、20Mbpsを超えるような高速なデータ伝送が可能な伝送システムも考案されている(例えば特許文献1参照。)。以下、この従来の伝送システムについて説明する。
【0005】
図9は、従来の伝送システムの構成を示すブロック図である。送信装置9100は、クロック多重マッピング部9104とDAC(Digital−to−Analog Converter)9110を有している。受信装置9200は、ADC(Analog−to−Digital Converter)9210とシンボルタイミング再生部9207とクロック多重逆マッピング部9204を有している。
【0006】
まず、送信装置9100の動作について説明する。
【0007】
クロック多重マッピング部9104は、シンボル周期毎に送信データ9101の所定ビット数(ここでは2ビット)のデータを予め定められた複数の信号レベル(ここでは8個の信号レベル)のいずれかにマッピングするものである。図6はクロック多重マッピング部9104において利用されるマッピング表(8値のクロック多重マッピング表)を示し、図8は図6のマッピング表に基づいてマッピングされた信号パターンの一例を示している。クロック多重マッピング部9104から出力される信号レベル(現信号レベル)は、図6のマッピング表に従って、前シンボルの信号レベル(前信号レベル)と、クロック多重マッピング部9104に入力される2ビット分の送信データ9101に応じて決定される。例えば、図8のn番目のシンボルの信号レベルは、n−1番目のシンボルの信号レベルが−3であり、入力される2ビットの送信データ9101が“01”であることから、図6のマッピング表から+5と決定される。その結果、n番目のシンボルとして、信号レベルが+5である信号がクロック多重マッピング部9104から出力される。
【0008】
次に、受信装置9200の動作について説明する。
【0009】
伝送路9300から受信した信号は、図8のようにクロックが固定的に多重された信号になっている。シンボルタイミング再生部9207は、ADC9210の出力からそのクロック成分を抽出してシンボルタイミング9206を再生し、このシンボルタイミング9206をクロック多重逆マッピング部9204へ出力する。
【0010】
クロック多重マッピング部9104から出力される受信データ9201は、図6のマッピング表に従って、前シンボルの信号レベル(前信号レベル)と、ADC9210からクロック多重逆マッピング部9204に入力されるシンボルの信号レベル(現信号レベル)に応じて決定される。例えば、図8のn番目のシンボルに対応する受信データ9201は、n−1番目のシンボルの信号レベルが−3であり、入力されるn番目のシンボルの信号レベルが+5であることから、図6のマッピング表から“01”と決定される。その結果、n番目のシンボルに対応する受信データ9201として、データ“01”がクロック多重逆マッピング部9204から出力される。
【特許文献1】特許第3502630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図6のようにクロックを多重したマッピング方法を採用する場合には、受信側でのシンボル再生が容易になる反面、クロックを多重しないマッピング方法と比較して伝送ビットレートが下がるという問題がある。例えば、N値の多値伝送においてクロック成分を多重しないマッピング方法を用いた場合、1シンボル当たりの伝送ビット数はlog2(N)となるが、クロックを多重したマッピング方法を用いた場合には、図6のマッピング表から分かるように、N個分の信号レベル数を利用しているにも関わらず1シンボル当たりの伝送ビット数はlog2(N)−1ビットとなってしまう。つまり、図6のようなマッピング表に従ってクロックを多重することによって、1シンボル当たり1ビットの割合で伝送ビットレートが低下することになる。
【0012】
さらに、クロックを多重したマッピング方法を採用した場合には図10のように伝送路から固定的なクロック成分による放射ノイズが発生してしまう。これを低減するためには高性能なノイズ低減用の外付け部品が必要となり、その分だけ伝送システム全体のコストが高くなる。
【0013】
それ故に、本発明の目的は、従来方式より広帯域な電気伝送ができ、かつクロック成分による放射ノイズを低減できる送信装置および受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。なお括弧内の参照符号および図番号は、本発明の理解を助けるために図面との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0015】
第1の発明は、一定のシンボル周期毎に、予め定められたビット数であるNビットの送信データを、予め定められた個数であるM個の信号レベルのうちの所定の信号レベルへ順次マッピングすることによって全値マッピング信号を生成する全値マッピング手段(1103)と、一定のシンボル周期毎に、N−1ビットの送信データを、前記M個の信号レベルのうちの上位半分のいずれかの信号レベルと下位半分のいずれかの信号レベルへ交互に順次マッピングすることによってクロック成分が多重されたクロック多重マッピング信号を生成するクロック多重マッピング手段(1104)と、前記全値マッピング信号と前記クロック多重マッピング信号を送信ヘッダイネーブル信号に基づいて一定のタイミングで交互に選択して第1伝送信号として出力する第1選択手段(1105)とを備えた送信装置(1100)である。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、一定のシンボル周期毎に前記M個の信号レベルにおいて最大振幅でトグルするクロック信号(図3)を生成するクロック信号生成手段(1106)と、一定のシンボル周期毎に前記M個の信号レベルにおいて最小振幅でトグルするヘッダ初期化信号(図3)を生成するヘッダ初期化信号生成手段(1107)と、前記送信ヘッダイネーブル信号に基づいて初期化制御信号を生成する初期化制御手段(1109)と、前記第1伝送信号と前記クロック信号と前記ヘッダ初期化信号を前記初期化制御信号に基づいて選択して第2伝送信号として出力する第2選択手段(1108)とをさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、第2の発明において、前記第2選択手段は、前記第1伝送信号の出力に先立って、前記クロック信号および前記ヘッダ初期化信号を前記送信ヘッダイネーブル信号に基づいて一定のタイミングで交互に選択して出力することを特徴とする(図2A)。
【0018】
第4の発明は、第1の発明において、前記クロック多重マッピング手段は、前記第1伝送信号から前記クロック多重マッピング信号だけを切り出してつなぎ合わせたときに、直前のシンボルに対する各シンボルの信号レベルの大小関係がシンボル周期で交互に変化するようなクロック多重マッピング信号を生成することを特徴とする(図6)。
【0019】
第5の発明は、第4の発明において、前記クロック多重マッピング手段は、各クロック多重マッピング信号を構成するシンボルのうちの少なくとも最初と最後のシンボルにおいて固定の信号レベルとなるようなクロック多重マッピング信号を生成することを特徴とする(図7)。
【0020】
第6の発明は、第5の発明において、前記クロック多重マッピング手段は、各クロック多重マッピング信号を構成するシンボルのうちの少なくとも最初と最後のシンボルにおいて、前記M個の信号レベルのうちの最大または最小の信号レベルとなるようなクロック多重マッピング信号を生成することを特徴とする(図7)。
【0021】
第7の発明は、上記第1の発明の送信装置から出力される信号と同一の構成の信号を受信するための受信装置(1200)であって、受信信号から前記クロック多重マッピング信号の受信タイミングを検出し、当該検出結果を示す受信ヘッダイネーブル信号を生成するヘッダ検出手段(1208)と、前記受信ヘッダイネーブル信号に基づいて、前記クロック多重マッピング信号を受信しているときには受信信号からシンボルのタイミングを検出することによってシンボルタイミングを生成し、前記全値マッピング信号を受信しているときには、前記クロック多重マッピング信号を最後に受信したときに検出されたシンボルのタイミングを用いてシンボルタイミングを生成するシンボルタイミング再生手段(1207)と、前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記全値マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてNビットの受信データを順次生成する全値逆マッピング手段(1203)と、前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記クロック多重マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてN−1ビットの受信データを順次生成するクロック多重逆マッピング手段(1204)と、前記Nビットの受信データと前記N−1ビットの受信データを前記受信ヘッダイネーブル信号に応じて選択して出力する第3選択手段(1205)とを備えた受信装置である。
【0022】
第8の発明は、上記第3の発明の送信装置から出力される信号と同一の構成の信号を受信するための受信装置(1200)であって、受信信号から前記クロック多重マッピング信号の受信タイミングを検出し、当該検出結果を示す受信ヘッダイネーブル信号を生成するヘッダ検出手段(1208)と、前記受信ヘッダイネーブル信号に基づいて、前記クロック多重マッピング信号を受信しているときには受信信号からシンボルのタイミングを検出することによってシンボルタイミングを生成し、前記全値マッピング信号を受信しているときには、前記クロック多重マッピング信号を最後に受信したときに検出されたシンボルのタイミングを用いてシンボルタイミングを生成するシンボルタイミング再生手段(1207)と、前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記全値マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてNビットの受信データを順次生成する全値逆マッピング手段(1203)と、前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記クロック多重マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてN−1ビットの受信データを順次生成するクロック多重逆マッピング手段(1204)と、前記Nビットの受信データと前記N−1ビットの受信データを前記受信ヘッダイネーブル信号に応じて選択して出力する第3選択手段(1205)とを備え、前記ヘッダ検出手段は、受信信号から前記クロック信号と前記初期化信号を検出し、当該検出した初期化信号の受信タイミングおよび受信期間と当該検出したクロック信号の受信期間とを保持しておくことにより、当該初期化信号および当該クロック信号の受信後に順次受信される前記クロック多重マッピング信号の受信タイミングを検出することを特徴とする、受信装置である。
【発明の効果】
【0023】
上記第1の発明によれば、全値マッピング信号とクロック多重マッピング信号を交互に伝送するため、受信側で安定してクロック再生させつつ、伝送速度を増やすことができる。さらにクロック成分が固定的に多重される期間を局所的にすることができるため、クロック成分による放射ノイズを低減できる。これによりノイズ低減用の部品を削減できるため、コスト面で有利である。
【0024】
上記第2および第3の発明によれば、受信処理に必要なヘッダの開始タイミングとヘッダの終了タイミングを受信装置へ通知することができるので、受信装置におけるヘッダ検出処理に必要なハードウェア構成をシンプルにでき、コスト面で有利である。
【0025】
上記第4の発明によれば、クロック多重マッピング信号をつなぎ合わせたときに、直前のシンボルに対する各シンボルの信号レベルの大小関係がシンボル周期で交互に変化するため、受信側でクロックを効果的に再生することができる。
【0026】
上記第5の発明によれば、クロック多重マッピング信号における特定のシンボルの信号レベルを固定とすることができるので、クロック多重マッピング信号が場合によってはシンボルタイミングを再生するのに不適切な信号パターンとなってしまうことを回避することができる。
【0027】
上記第6の発明によれば、クロック多重マッピング信号をつなぎ合わせたときに、最小の信号レベルから最大の信号レベルへの変化、または最大の信号レベルから最小の信号レベルへの変化が定期的に出現するので、受信側でクロックを効果的に再生することができる。
【0028】
上記第7の発明によれば、全値でマッピングされた伝送信号を利用できるので、広帯域な伝送信号を受信することができる。またクロック多重マッピングされた伝送信号も利用できるので、安定したクロック再生を行うことができる。
【0029】
上記第8の発明によれば、受信した初期化信号とクロック信号から、クロック多重マッピング信号の開始タイミングと終了タイミングを容易に知ることができるので、ヘッダ検出処理に必要なハードウェア構成をシンプルにでき、コスト面で有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る伝送システムについて説明する。本実施形態では、多値伝送方式の一例として8値伝送方式を採用した場合について説明する。もちろん、本発明は8値伝送方式以外の多値伝送方式にも適用可能である。
【0031】
送信装置1100は、全値マッピング部1103、クロック多重マッピング部1104、第1セレクタ1105、クロック信号生成部1106、ヘッダ初期化信号生成部1107、第2セレクタ1108、初期化制御部1109およびDAC(Digital−to−Analog Converter)1110を有している。受信装置1200は、ADC(Analog−to−Digital Converter)1210、シンボルタイミング再生部1207、ヘッダ検出部1208、全値逆マッピング部1203、クロック多重逆マッピング部1204および第3セレクタ1205を有している。
【0032】
送信装置1100に接続される送信側の外部機器(図1では図示していない)は、伝送データ送出期間においては、送信ヘッダイネーブル1102をディセーブルにして、送信データ1101として3ビット/シンボルの伝送レートで伝送データを送信装置1100へ入力する。また、ヘッダデータ送出期間においては、送信ヘッダイネーブル1102をイネーブルにして、送信データ1101として2ビット/シンボルの伝送レートでヘッダデータを送信装置1100へ入力する。なお、送信ヘッダイネーブル1102は、ヘッダ部分の送信期間とデータ部分の送信期間を区別するための信号であって、ヘッダ部分の送信期間(本実施の形態では4シンボル期間)ではイネーブルとなり、データ部分の送信期間(本実施の形態では252シンボル期間)ではディセーブルとなる。
【0033】
受信装置1200に接続される受信側の外部機器(図1では図示していない)は、受信ヘッダイネーブル1202がディセーブルである期間においては、受信データ1201として3ビット/シンボルの伝送レートで伝送データを受信装置1200から受け取る。また、受信ヘッダイネーブル1202がイネーブルである期間においては、受信データ1201として2ビット/シンボルの伝送レートでヘッダデータを受信装置1200から受け取る。なお、受信ヘッダイネーブル1202は、ヘッダ部分の受信期間とデータ部分の受信期間を区別するための信号であって、ヘッダ部分の受信期間ではイネーブルとなり、データ部分の受信期間ではディセーブルとなる。
【0034】
以下、送信装置1100および受信装置1200の動作を具体的に説明する。
【0035】
まず、データ通信に先立って、送信装置1100および受信装置1200の初期化動作が行われる。以下、図2Aおよび図3を参照して、この初期化動作について説明する。なお、図2Aおよび図2Bは、初期化シーケンスとデータ通信のデータフローをそれぞれ示し、図3は初期化シーケンスの信号パターンを示している。
【0036】
まず、図2AのS1の期間では、送信装置1100の初期化制御部1109は、送信ヘッダイネーブル1102(のイネーブル期間)が所定の回数(N回)入力されるまでの期間、第2セレクタ1108にクロック信号生成部1106の出力を選択させる。なお、クロック信号生成部1106は、図3に示すクロック信号のように、最大信号レベル(+7)と最小信号レベル(−7)を交互に繰り返す信号、すなわち最大振幅でトグルする信号を出力するものである。第2セレクタ1108によって選択されたクロック信号は、DAC1110を経て伝送路1300へと送出される。受信装置1200のシンボルタイミング再生部1207は、伝送路から受信したクロック信号を用いてシンボルタイミング1206を再生する。シンボルタイミング1206の再生には、ゼロクロス検出を用いた位相比較法などが一般的に用いられるが、クロック信号が入力されてからシンボルタイミング1206が安定するまでにはある一定の期間が必要となる。よって、シンボルタイミング1206が安定するまでに必要となる期間を確保するために、図2AのS1において初期化制御部1109が送信ヘッダイネーブル1102をカウントする回数Nは、十分な回数に設定しておく必要がある。
【0037】
送信装置1100の初期化制御部1109は、送信ヘッダイネーブル1102をN回カウントし終えると、図2AのS2の期間、すなわち送信ヘッダイネーブル1102のイネーブル期間(本実施の形態では4シンボル期間)において、第2セレクタ1108にヘッダ初期化信号生成部1107の出力を選択させる。なお、ヘッダ初期化信号生成部1107は、図3に示すヘッダ初期化信号のように、プラス側の最小信号レベル(+1)とマイナス側の最大信号レベル(−1)を交互に繰り返す信号、すなわち最小振幅でトグルする信号を出力するものである。第2セレクタ1108によって選択されたヘッダ初期化信号は、DAC1110を経て伝送路1300へと送出される。このヘッダ初期化信号は、受信装置1200のヘッダ検出部1208において検出される。クロック信号とヘッダ初期化信号とを区別する方法としては様々な方法が考えられるが、ここでは一例として、ヘッダ検出部1208は、信号レベルの絶対値が3より大きければクロック信号と判断し、信号レベルの絶対値が3より小さければヘッダ初期化信号であると判断する。ヘッダ検出部1208は、受信したヘッダ初期化信号に基づいて、ヘッダ開始タイミングを検出して保持し、さらにヘッダのイネーブル期間のシンボル数(すなわちヘッダ初期化信号のシンボル数)をカウントする。なお、ヘッダ部分のシンボル数が送信装置1100と受信装置1200の間で予め定められていて常に固定であるような場合には、ヘッダのイネーブル期間のシンボル数のカウントを省略してもよい。シンボルタイミング再生部1207は、S1の期間と同様に、シンボルタイミング1206を生成し続ける。
【0038】
続いて送信装置1100の初期化制御部1109は、図2AのS3の期間、すなわち送信ヘッダイネーブル1102のディセーブル期間(本実施の形態では252シンボル期間)において、第2セレクタ1108にクロック信号生成部1106の出力を選択させる。その結果、S1の期間と同様に、クロック信号が伝送路1300へと送出される。受信装置1200のヘッダ検出部1208は、クロック信号を検出するとヘッダ初期化信号のシンボル数のカウントをやめ、カウント結果(ここでは4シンボル)をヘッダのイネーブル期間の長さとして保持する。続いてヘッダ検出部1208は、ヘッダのディセーブル期間のシンボル数(すなわちクロック信号のシンボル数)をカウントする。なお、データ部分のシンボル数が送信装置1100と受信装置1200の間で予め定められていて常に固定であるような場合には、ヘッダのディセーブル期間のシンボル数のカウントを省略してもよい。シンボルタイミング再生部1207は、S1の期間と同様に、シンボルタイミング1206を生成し続ける。
【0039】
図2AのS4の期間において、送信装置1100の初期化制御部1109はS2の期間と同様にして第2セレクタ1108にヘッダ初期化信号を選択させ、このヘッダ初期化信号が伝送路1300へと送出される。受信装置1200のヘッダ検出部1208は、ヘッダ初期化信号を検出するとクロック信号のシンボル数のカウントをやめ、カウント結果(ここでは252シンボル)をヘッダのディセーブル期間の長さとして保持する。シンボルタイミング再生部1207は、S1の期間と同様に、シンボルタイミング1206を生成し続ける。
【0040】
図2AのS5の期間において、送信装置1100の初期化制御部1109はS3の期間と同様にして第2セレクタ1108にクロック信号を選択させ、このクロック信号が伝送路1300へと送出される。受信装置1200のシンボルタイミング再生部1207は、S1の期間と同様に、シンボルタイミング1206を生成し続ける。
【0041】
図2AのS5の期間が終わると初期化シーケンスは終了し、データ通信が開始する。データ通信時には、送信装置1100の初期化制御部1109は、第2セレクタ1108に第1セレクタ1105の出力を選択させる。以下、図2Bを参照して、データ通信時の送信装置1100および受信装置1200の動作を説明する。
【0042】
本実施の形態では、図2Bに示すように、4シンボルのヘッダ部と252シンボルのデータ部(全値マッピングデータ)から成るデータフレームの繰り返しによってデータ通信が行われる。
【0043】
まず、送信装置1100の動作について説明する。
【0044】
ヘッダ期間(図2BのH1、H2)では、送信ヘッダイネーブル1102がイネーブルされ、これを受けて第1セレクタ1105はクロック多重マッピング部1104の出力を選択する。なお、クロック多重マッピング部1104は、送信データ1101に基づいて図7に示すような信号(以下、クロック多重マッピング信号と称す)を生成するものである。このクロック多重マッピング部1104の詳細な動作については後述する。第1セレクタ1105によって選択されたクロック多重マッピング信号は、ヘッダ部として、第2セレクタ1108およびDAC1110を経て、伝送路1300へと送出される。
【0045】
データ期間(図2BのD1、D2)では、送信ヘッダイネーブル1102がディセーブルされ、これを受けて第1セレクタ1105は全値マッピング部1103の出力を選択する。なお、全値マッピング部1103は、送信データ1101に基づいて図5に示すような信号(以下、全値マッピング信号と称す)を生成するものである。この全値マッピング部1103の詳細な動作については後述する。第1セレクタ1105によって選択された全値マッピング信号は、データ部として、第2セレクタ1108およびDAC1110を経て、伝送路1300へと送出される。
【0046】
次に、受信装置1200の動作について説明する。
【0047】
ヘッダ検出部1208は、自身が保持しているヘッダ開始タイミングに従って受信ヘッダイネーブル1202を出力する。受信ヘッダイネーブル1202のイネーブル期間とディセーブル期間は、それぞれ、図2AのS2の期間で検出したイネーブル期間およびS3の期間で検出したディセーブル期間と同一の長さとする。これより、ヘッダ検出部1208は、伝送路からの受信信号に対して適切なヘッダのタイミング及びヘッダ長で、受信ヘッダイネーブル1202を出力することができる。
【0048】
シンボルタイミング再生部1207は、受信ヘッダイネーブル1202のイネーブル期間(すなわちヘッダ部の受信期間)のみ、受信信号に基づいてシンボルタイミングの更新動作を行いながらシンボルタイミング1206を出力し、ディセーブル期間(すなわちデータ部の受信期間)は、直前のイネーブル期間において入力された最後の入力データとその時点のシンボルのタイミングを保持した状態で、受信信号に基づくシンボルタイミングの更新動作を行うことなく、自身が保持しているタイミングに従ってシンボルタイミング1206を出力する。
【0049】
ヘッダ期間(図2BのH1、H2)では、受信ヘッダイネーブル1202がイネーブルされ、これを受けて第3セレクタ1205はクロック多重逆マッピング部1204の出力を選択する。なお、クロック多重逆マッピング部1204は、受信信号のヘッダ部、すなわち図7に示すようなクロック多重マッピング信号に基づいて受信データ1201を生成するものである。このクロック多重逆マッピング部1204の詳細な動作については後述する。
【0050】
データ期間(図2BのD1、D2)では、受信ヘッダイネーブル1202がディセーブルされ、これを受けて第3セレクタ1205は全値逆マッピング部1203の出力を選択する。なお、全値逆マッピング部1203は、受信信号のデータ部、すなわち図5に示すような全値マッピング信号に基づいて受信データ1201を生成するものである。この全値逆マッピング部1203の詳細な動作については後述する。
【0051】
<データ部に関連する処理>
次に、図4および図5を参照して、全値マッピング部1103およびこれに対応する全値逆マッピング部1203の詳細な動作について説明する。なお、図4は8値の全値マッピング表を示し、図5はこの全値マッピング表に従って全値マッピングされた信号パターンの一例を示している。
【0052】
全値マッピング部1103は、図示は省略しているが、DAC1110へ直前に入力されたシンボルの信号レベル(以下、前信号レベルと称す)を保持する機能を有している。同様に、全値逆マッピング部1203も、自身に直前に入力されたシンボルの信号レベル(以下、前信号レベルと称す)を保持する機能を有している。
【0053】
図4に示すように、送信装置1100において全値マッピング部1103が出力する信号レベル(以下、現信号レベルと称す)は、前信号レベルと送信データ1101(3ビット)の組み合わせに応じて決定される。図5を用いて具体的に説明すると、n−1番目のシンボルの信号(信号レベル−7)がDAC1110へ入力された後に全値マッピング部1103に送信データ1101として3ビットのデータ「001」が入力された場合、前信号レベルが−7であり入力データが「001」であるので図4の全値マッピング表から現信号レベルが+5と決定され、信号レベルが+5である信号がn番目のシンボルの信号として全値マッピング部1103から出力される。同様に、n+1番目のシンボルについては、前信号レベルが+5であり入力データが「101」であるので図4の全値マッピング表から現信号レベルが+3と決定され、信号レベルが+3である信号がn+1番目のシンボルの信号として全値マッピング部1103から出力される。
【0054】
一方、受信装置1200において全値逆マッピング部1203の出力データ(3ビット)は、前信号レベルと現信号レベルの組み合わせに応じて決定される。図5を用いて具体的に説明すると、n番目のシンボルの信号(信号レベル+5)が全値逆マッピング部1203に入力された場合、前信号レベルが−7であり現信号レベルが+5であるので図4の全値マッピング表から出力データが「001」と決定され、n番目のシンボルのデータとしてデータ「001」が全値逆マッピング部1203から出力される。同様に、n+1番目のシンボルについては、前信号レベルが+5であり現信号レベルが+3であるので図4の全値マッピング表から出力データが「101」と決定され、n+1番目のシンボルのデータとしてデータ「101」が全値逆マッピング部1203から出力される。
【0055】
<ヘッダ部に関連する処理>
次に、図6および図7を参照して、クロック多重マッピング部1104およびこれに対応するクロック多重逆マッピング部1204と、シンボルタイミング再生部1207の詳細な動作について説明する。なお、図6は8値のクロック多重マッピング表を示し、図7はこのクロック多重マッピング表に従ってクロック多重マッピングされた信号パターンの一例を示している。
【0056】
クロック多重マッピング部1104は、図示は省略しているが、DAC1110へ直前に入力されたシンボルの信号レベル(前信号レベル)を保持する機能を有している。同様に、クロック多重逆マッピング部1204も、自身に直前に入力されたシンボルの信号レベル(前信号レベル)を保持する機能を有している。
【0057】
図6に示すように、送信装置1100においてクロック多重マッピング部1104が出力する信号レベル(現信号レベル)は、ヘッダ部を構成する4つのシンボル(シンボルA〜D)のうちの最初と最後のシンボル(シンボルA、D)についてはそれぞれ−7、+7に固定的に決定される。また、それ以外のシンボル(シンボルB、D)については、図6のクロック多重マッピング表に従って、前信号レベルと送信データ1101(2ビット)の組み合わせに応じて決定される。図6のクロック多重マッピング表に従ってマッピングされた信号パターンは、シンボル周期でプラスとマイナスを交互に繰り返すような信号パターンとなる。したがって、こうして得られた信号パターンを適当なバンドパスフィルタに通すことによって、クロック成分を抽出することができる。
【0058】
なお、ヘッダ部において伝送されるデータとデータ部において伝送されるデータとを特に区別する必要がある場合には、前者をヘッダデータと称し、後者を全値マッピングデータと称することとする。
【0059】
ヘッダ部のマッピング方法について図7を用いてより具体的に説明する。まず、送信ヘッダイネーブル1102がイネーブルになると、クロック多重マッピング部1104から、ヘッダ部の最初のシンボル(シンボルA)の信号として信号レベルが−7(固定)である信号が出力される。続いて、クロック多重マッピング部1104にヘッダデータとして2ビットのデータ「11」が入力された場合、前信号レベルが−7でありヘッダデータが「11」であるので図6のクロック多重マッピング表から現信号レベルが+1と決定され、信号レベルが+1である信号がヘッダ部の2番目のシンボル(シンボルB)の信号としてクロック多重マッピング部1104から出力される。同様に、ヘッダ部の3番目のシンボル(シンボルC)については、前信号レベルが+1でありヘッダデータが「01」であるので図6のクロック多重マッピング表から現信号レベルが−5と決定され、信号レベルが−5である信号がヘッダ部の3番目のシンボルの信号としてクロック多重マッピング部1104から出力される。続いて、クロック多重マッピング部1104から、ヘッダ部の最後のシンボル(シンボルD)の信号として信号レベルが+7(固定)である信号が出力される。
【0060】
受信装置1200のシンボルタイミング再生部1207は、受信ヘッダイネーブル1202がイネーブル(つまりヘッダ部の受信期間)となると、入力されるクロック多重されたヘッダ部に基づいてシンボルタイミングの更新を行いながら、シンボルタイミング1206を出力する。シンボルタイミング再生部1207は、データ部を受信している期間はシンボルタイミングを更新せず、ヘッダ部を受信している期間のみシンボルタイミングを更新する。したがって、シンボルタイミング再生部1207によるシンボルタイミングの検出動作は、一定の周期で順次入力されるヘッダ部の信号パターンをつなぎ合わせた信号パターンに基づいてシンボルタイミングの検出を継続した場合と同等となり、断続的に入力されるヘッダ部(クロック多重信号)からシンボルタイミングを適切に再生することができる。なお、データ部の受信期間においてはシンボルタイミングを更新することができないため、シンボルタイミング再生部1207から出力されるシンボルタイミング1206が理想的なタイミングからわずかにずれてしまう可能性がある。しかしながら、仮にシンボルタイミングがずれたとしても、ヘッダ部の受信期間にそのずれが修正されるため、ずれが大きくなって通信に障害が起きることはない。
【0061】
クロック多重逆マッピング部1204の出力データ(2ビット)は、前信号レベルと現信号レベルの組み合わせに応じて決定される。図7を用いて具体的に説明すると、ヘッダ部の最初のシンボル(シンボルA)がクロック多重逆マッピング部1204に入力された場合、前信号レベルが−7,−5,−3,−1,+1,+3,+5,+7のいずれか(図7の例では+1)となり、現信号レベルが−7であるので、クロック多重逆マッピング部1204からは不定な2ビットのデータが出力される。シンボルAの信号レベルは送信側において固定的に決定されたものであるので、シンボルAに対応する出力データは無意味なデータである。したがって、受信データ1201を処理する受信側の外部機器においては、このデータは無視すればよい。ヘッダ部の2番目のシンボル(シンボルB)がクロック多重逆マッピング部1204に入力された場合、前信号レベルが−7であり現信号レベルが+1であるので図6のクロック多重マッピング表から出力データが「11」と決定され、シンボルBに対応するヘッダデータとしてデータ「11」がクロック多重逆マッピング部1204から出力される。同様に、ヘッダ部の3番目のシンボル(シンボルC)がクロック多重逆マッピング部1204に入力された場合、前信号レベルが+1であり現信号レベルが−5であるので図6のクロック多重マッピング表から出力データが「01」と決定され、シンボルCに対応するヘッダデータとしてデータ「01」がクロック多重逆マッピング部1204から出力される。ヘッダ部の最後のシンボル(シンボルD)がクロック多重逆マッピング部1204に入力された場合、前信号レベルが−7,−5,−3,−1のいずれか(図7の例では−5)となり、現信号レベルが+7であるので、クロック多重逆マッピング部1204からは不定な2ビットのデータが出力される。シンボルDの信号レベルも、シンボルAと同様に送信側において固定的に決定されたものであるので、シンボルDに対応する出力データも無意味なデータである。したがって、受信データ1201を処理する受信側の外部機器においては、このデータは無視すればよい。
【0062】
以上のように、本実施形態では、データ部では全値マッピングを採用することで1シンボル当たり3ビットの送信データ(全値マッピングデータ)を伝送し、ヘッダ部ではクロック多重マッピングを採用することでクロック成分を伝送しつつ、1シンボル当たり2ビット(ただしヘッダ部の最初と最後のシンボルを除く)の送信データ(ヘッダデータ)を伝送する。したがって、受信側での安定したクロック再生と、伝送速度の高速化を両立することができる。また、クロック成分はヘッダ部にのみ多重されるので、図9の従来装置と比較してクロック成分による放射ノイズを大幅に低減することができ、車載機器としての用途にも適している。
【0063】
なお、本実施の形態では、図6や図4のように、前信号レベルを考慮して現信号レベルが決定される、いわゆる差分マッピング手法を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、前信号レベルに関係なく、送信データのみに基づいて現信号レベルを決定するマッピング手法を採用しても構わない。ただし、差分マッピング手法を用いれば、送信側と受信側で信号レベルの基準電圧レベルが異なっていても誤りの無いデータ伝送が可能となる点で有利である。
【0064】
また、本実施の形態では、ヘッダ部を4シンボルで構成し、データ部を252シンボルで構成するとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ヘッダ部を10シンボルで構成するようにしてもよい。ただし、ヘッダ部およびデータ部のシンボル数はシンボルタイミングの再生精度に影響するため、他の種々の条件も勘案した上で適当な数に設定すべきである。
【0065】
また、本実施の形態では、送信装置1100から受信装置1200へとデータを伝送するとしたが、本発明はこれに限らず、送信装置1100の機能と受信装置1200の機能を併せ持った送受信装置を複数用意し、これらの送受信装置間で相互にデータ通信することもできる。
【0066】
また、本実施の形態では、図7のように、ヘッダ部の最初と最後のシンボルの信号レベルをそれぞれ−7,+7に固定するとしたが、本発明はこれに限らず、これらのシンボルに対してもヘッダデータを重畳することが可能である。しかしながら、この場合には、ヘッダデータによってはヘッダ部の信号パターンが−1→+1→−1→+1のように絶対値が小さい信号レベルしか取らない可能性があり、その結果、シンボルタイミング再生部1207におけるクロック成分の抽出精度が低下してしまう可能性がある。一方、本実施の形態では、ヘッダ部において信号レベルが−7,+7である信号が含まれることが保証されるため、シンボルタイミング再生部1207においてクロック成分を常に良好に抽出できる。特に、複数のヘッダ部を繋ぎ合わせたときに、各境界部分において信号レベルの大きな変動(+7から−7への変動)が必ず出現するので、より少ないシンボル数のヘッダ部を用いてより高品質なシンボルタイミングの再生が可能となる。
【0067】
また、本実施の形態では、ヘッダ部の最初のシンボルの信号レベルをマイナスの信号レベルとし、最後のシンボルの信号レベルをプラスの信号レベルとしたが、本発明はこれに限らず、ヘッダ部の最初のシンボルの信号レベルをプラスの信号レベル(例えば+7)とし、最後のシンボルの信号レベルをマイナスの信号レベル(例えば−7)としてもよい。ただし、データ部を介して隣り合う2つのヘッダ部に多重されるクロック成分(正弦波)の位相が互いに180°ずれてしまうと、シンボルタイミング再生部1207において、ヘッダ部をつなぎ合わせた信号からクロック成分を抽出する際に、クロック成分がうまく抽出できない可能性がある。このような観点から、ヘッダ部は、伝送信号からヘッダ部だけを切り出してつなぎ合わせたときに、直前のシンボルに対する各シンボルの信号レベルの大小関係がシンボル周期で交互に変化するように構成されるべきである。
【0068】
また、本実施の形態では、図7のように、ヘッダ部の最初と最後のシンボルの信号レベルを固定するとしたが、本発明はこれに限らず、例えばヘッダ部が10シンボルで構成される場合に、ヘッダ部の最初の3つのシンボルの信号レベルを+7,−7,+7にそれぞれ固定し、最後の3つのシンボルの信号レベルを−7,+7,−7にそれぞれ固定し、残りの4つのシンボルの信号レベルをヘッダデータに応じて決定するようにしてもよい。これにより、シンボルタイミングの再生精度をより向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかる送信装置および受信装置ならびに伝送システムは、放射ノイズに厳しい制限がありかつ広帯域な伝送性能が要求される車内や航空機等に設けられるLAN等を構成する用途に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る送信装置および受信装置の構成を示すブロック図
【図2A】初期化シーケンスのデータフロー
【図2B】データ通信のデータフロー
【図3】初期化シーケンス時の信号パターン
【図4】データ部に適用される8値の全値マッピング表の一例
【図5】8値の全値マッピング表に基づく信号パターン例
【図6】ヘッダ部に適用される8値のクロック多重マッピング表の一例
【図7】8値のクロック多重マッピング表に基づく信号パターン例
【図8】図9の従来の伝送システムにおける信号パターン例
【図9】従来の伝送システムの構成を示すブロック図
【図10】従来の伝送システムにおいて発生するノイズ例
【符号の説明】
【0071】
1100 送信装置
1101 送信データ
1102 送信ヘッダイネーブル
1103 全値マッピング部
1104 クロック多重マッピング部
1105 第1セレクタ
1106 クロック信号生成部
1107 ヘッダ初期化信号生成部
1108 第2セレクタ
1109 初期化制御部
1110 DAC
1300 伝送路
1200 受信装置
1201 受信データ
1202 受信ヘッダイネーブル
1203 全値逆マッピング部
1204 クロック多重逆マッピング部
1205 第3セレクタ
1206 シンボルタイミング
1207 シンボルタイミング再生部
1208 ヘッダ検出部
1210 ADC


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定のシンボル周期毎に、予め定められたビット数であるNビットの送信データを、予め定められた個数であるM個の信号レベルのうちの所定の信号レベルへ順次マッピングすることによって全値マッピング信号を生成する全値マッピング手段と、
一定のシンボル周期毎に、N−1ビットの送信データを、前記M個の信号レベルのうちの上位半分のいずれかの信号レベルと下位半分のいずれかの信号レベルへ交互に順次マッピングすることによってクロック成分が多重されたクロック多重マッピング信号を生成するクロック多重マッピング手段と、
前記全値マッピング信号と前記クロック多重マッピング信号を送信ヘッダイネーブル信号に基づいて一定のタイミングで交互に選択して第1伝送信号として出力する第1選択手段とを備えた送信装置。
【請求項2】
一定のシンボル周期毎に前記M個の信号レベルにおいて最大振幅でトグルするクロック信号を生成するクロック信号生成手段と、
一定のシンボル周期毎に前記M個の信号レベルにおいて最小振幅でトグルするヘッダ初期化信号を生成するヘッダ初期化信号生成手段と、
前記送信ヘッダイネーブル信号に基づいて初期化制御信号を生成する初期化制御手段と、
前記第1伝送信号と前記クロック信号と前記ヘッダ初期化信号を前記初期化制御信号に基づいて選択して第2伝送信号として出力する第2選択手段とをさらに備えた、請求項1記載の送信装置。
【請求項3】
前記第2選択手段は、前記第1伝送信号の出力に先立って、前記クロック信号および前記ヘッダ初期化信号を前記送信ヘッダイネーブル信号に基づいて一定のタイミングで交互に選択して出力することを特徴とする、請求項2記載の送信装置。
【請求項4】
前記クロック多重マッピング手段は、前記第1伝送信号から前記クロック多重マッピング信号だけを切り出してつなぎ合わせたときに、直前のシンボルに対する各シンボルの信号レベルの大小関係がシンボル周期で交互に変化するようなクロック多重マッピング信号を生成することを特徴とする、請求項1記載の送信装置。
【請求項5】
前記クロック多重マッピング手段は、各クロック多重マッピング信号を構成するシンボルのうちの少なくとも最初と最後のシンボルにおいて固定の信号レベルとなるようなクロック多重マッピング信号を生成することを特徴とする、請求項4記載の送信装置。
【請求項6】
前記クロック多重マッピング手段は、各クロック多重マッピング信号を構成するシンボルのうちの少なくとも最初と最後のシンボルにおいて、前記M個の信号レベルのうちの最大または最小の信号レベルとなるようなクロック多重マッピング信号を生成することを特徴とする、請求項5記載の送信装置。
【請求項7】
請求項1記載の送信装置から出力される信号と同一の構成の信号を受信するための受信装置であって、
受信信号から前記クロック多重マッピング信号の受信タイミングを検出し、当該検出結果を示す受信ヘッダイネーブル信号を生成するヘッダ検出手段と、
前記受信ヘッダイネーブル信号に基づいて、前記クロック多重マッピング信号を受信しているときには受信信号からシンボルのタイミングを検出することによってシンボルタイミングを生成し、前記全値マッピング信号を受信しているときには、前記クロック多重マッピング信号を最後に受信したときに検出されたシンボルのタイミングを用いてシンボルタイミングを生成するシンボルタイミング再生手段と、
前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記全値マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてNビットの受信データを順次生成する全値逆マッピング手段と、
前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記クロック多重マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてN−1ビットの受信データを順次生成するクロック多重逆マッピング手段と、
前記Nビットの受信データと前記N−1ビットの受信データを前記受信ヘッダイネーブル信号に応じて選択して出力する第3選択手段とを備えた受信装置。
【請求項8】
請求項2記載の送信装置から出力される信号と同一の構成の信号を受信するための受信装置であって、
受信信号から前記クロック多重マッピング信号の受信タイミングを検出し、当該検出結果を示す受信ヘッダイネーブル信号を生成するヘッダ検出手段と、
前記受信ヘッダイネーブル信号に基づいて、前記クロック多重マッピング信号を受信しているときには受信信号からシンボルのタイミングを検出することによってシンボルタイミングを生成し、前記全値マッピング信号を受信しているときには、前記クロック多重マッピング信号を最後に受信したときに検出されたシンボルのタイミングを用いてシンボルタイミングを生成するシンボルタイミング再生手段と、
前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記全値マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてNビットの受信データを順次生成する全値逆マッピング手段と、
前記シンボルタイミング再生手段によって生成されたシンボルタイミングに基づいて、受信した前記クロック多重マッピング信号の各シンボルの信号レベルを逆マッピングしてN−1ビットの受信データを順次生成するクロック多重逆マッピング手段と、
前記Nビットの受信データと前記N−1ビットの受信データを前記受信ヘッダイネーブル信号に応じて選択して出力する第3選択手段とを備え、
前記ヘッダ検出手段は、受信信号から前記クロック信号と前記初期化信号を検出し、当該検出した初期化信号の受信タイミングおよび受信期間と当該検出したクロック信号の受信期間とを保持しておくことにより、当該初期化信号および当該クロック信号の受信後に順次受信される前記クロック多重マッピング信号の受信タイミングを検出することを特徴とする、受信装置。
【請求項9】
請求項1記載の送信装置と、前記送信装置から出力された信号を伝送する伝送路と、前記伝送路を介して前記送信装置と接続された請求項7記載の受信装置とを備えた伝送システム。
【請求項10】
請求項2記載の送信装置と、前記送信装置から出力された信号を伝送する伝送路と、前記伝送路を介して前記送信装置と接続された請求項8記載の受信装置とを備えた伝送システム。
【請求項11】
請求項9または請求項10記載の伝送システムを備えた車両。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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