送信装置
【課題】少なくとも一つの周波数チャネルで構成されるOFDM信号を送信する。
【解決手段】システム周波数帯域に複数の周波数チャネルが含まれ、前記周波数チャネルが等間隔で配置される複数のサブキャリアで構成される無線通信システムに適用され、送信装置であって、送信先のOFDM信号受信装置が、前記システム周波数帯域に含まれるすべての周波数チャネルを受信可能な全帯域受信装置であるか、または前記システム周波数帯域よりも周波数帯域幅が狭く、1つの周波数チャネルまたは複数の連続する周波数チャネルから構成される限定周波数帯域のみを受信可能な限定帯域受信装置であるかを判断し、前記判断の結果、前記OFDM信号受信装置が前記限定帯域受信装置である場合は、前記限定周波数帯域を用いて前記OFDM信号受信装置にデータを送信する。
【解決手段】システム周波数帯域に複数の周波数チャネルが含まれ、前記周波数チャネルが等間隔で配置される複数のサブキャリアで構成される無線通信システムに適用され、送信装置であって、送信先のOFDM信号受信装置が、前記システム周波数帯域に含まれるすべての周波数チャネルを受信可能な全帯域受信装置であるか、または前記システム周波数帯域よりも周波数帯域幅が狭く、1つの周波数チャネルまたは複数の連続する周波数チャネルから構成される限定周波数帯域のみを受信可能な限定帯域受信装置であるかを判断し、前記判断の結果、前記OFDM信号受信装置が前記限定帯域受信装置である場合は、前記限定周波数帯域を用いて前記OFDM信号受信装置にデータを送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ADSLやFTTHなどの有線ブロードバンドサービスが一般家庭へ急速に浸透してきたのに伴い、文字情報にとどまらず、音声、映像、音楽を利用したいわゆるリッチコンテンツサービスが普及してきており、個人の扱う情報量も増加してきている。移動体通信においても携帯Webや音楽配信などの非音声通話サービスを利用する割合が急拡大しており、有線同様の広帯域無線通信への要望が高まってきている。
【0003】
このような移動体通信への広帯域化の要求に対して、さまざまな研究がなされてきている。その中で、周波数利用効率、耐フェージングの点で注目を集めているアクセス方式がOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)である。OFDMAは、直交する多数のサブキャリアを信号周期の逆数の間隔で密に配置することで周波数利用効率を高められるOFDMの特徴を生かして、マルチパス環境下での端末毎に異なる受信特性に応じて、各端末に特性の良い任意の数のサブキャリア(若しくは連続するサブキャリアの組からなる周波数チャネル)を割当てることで更に実質的な周波数利用効率を高める方式である。
【0004】
OFDM変調方式は、5GHz帯のIEEE802.11aなどの無線LAN規格にも採用されており、16MHz強の占有帯域幅を有したチャネルを20MHz間隔で配置するものである。よって、チャネル間には3MHz強のキャリアが無い領域が存在している。また、基本的に1端末が使用するチャネルは1つで、各端末が変調および復調可能な帯域と通信を行なう帯域は一致しており、常に一定であることから、この方式はOFDMAには該当しない。
【0005】
OFDMAは、現時点において実用されたシステムは未だ存在しないものの、広い帯域の中から各端末に最適な受信状態のサブキャリアや周波数チャネルを割当てるシステムであることから、端末が変調および復調可能な帯域を最大として通信に使用する帯域は変動するという概念はどの提案においても一致している。よって、システム上要求される最大伝送レートから必要な周波数帯域が決定され、そのシステムの通信機器にはその周波数帯域を一括して変調および復調できることが求められることとなる。例えば、“電子情報通信学会 信学技法RCS2004−85(2004−06)”、そして“2004年電子情報通信学会総合大会 B−5−64”等では、100Mbpsを実現するためには1ユーザあたり100MHzの周波数帯域が必要であると見込み、その帯域に均一にサブキャリアを配置する提案となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】電子情報通信学会 信学技法RCS2004−85(2004−06)
【非特許文献2】2004年電子情報通信学会総合大会 B−5−64
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなOFDMA方式は、全帯域の中から端末の受信特性の良い任意の数のサブキャリアもしくはサブキャリアの連続する集まりである周波数チャネルを選択し割当てる方式であることから、基本的に、送受信機は、全帯域に渡って変調および復調できる構成を採る必要がある。従って、IEEE802.11aの無線LANのようにチャネル間にサブキャリアが存在しない周波数領域を設ける必要は無い。逆に、チャネル間にサブキャリアが存在しない周波数領域を設けることは、システム全体の周波数利用効率の低下や、通信機の処理帯域幅の拡大に伴うハードへのさらに厳しい要求へと直結することとなる。上記のように全帯域に渡って変調および復調可能とすることで送受信機は広帯域伝送が実現できる反面、それに使用されるデバイスには高性能が要求され、端末サイズ、消費電流の増加につながり、それがコストにも跳ね返ってしまうことが懸念される。
【0008】
しかしながら、ユーザのニーズは様々であり、音声通話や低速なデータ通信が利用の中心で機能よりも、低消費電力、小型、廉価な端末への要望が存在することも明らかである。従って、広帯域化が注目される反面、このようなニーズを吸収できることも次世代システムには重要なことである。低価格な端末を実現するためにまず始めに考えられることは、端末が一括処理できる帯域を限定することである。この場合、送信側はディジタル/アナログ変換やパワーアンプ等の帯域、消費電流を独立で抑えることができるが、受信側が密に配されたサブキャリアの中から特定の帯域を抜き取るためには、隣接チャネル干渉を除去するためにフィルタ、アナログ/ディジタル変換やそのサンプリングクロック等の仕様への要求を高くする必要が生じ、廉価な端末の提供への障害となることが懸念される。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末である通信相手との間でも、無線通信を実現することができる送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る無線通信装置は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信装置であって、通信相手に前記周波数チャネルを割り当てる周波数チャネル割り当て部と、各通信相手から送信された受信品質情報に基づいて各サブキャリアに最適な変調レートと所要送信電力を算出する端末受信品質情報処理部と、前記サブキャリア毎に変調を行なうサブキャリア変調部と、前記サブキャリア毎に送信電力レベルを制御するサブキャリア電力制御部と、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定の結果、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、前記サブキャリア電力制御部は、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させることを特徴としている。
【0011】
このように、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末との間でも、無線通信を実現することができる。
【0012】
(2)また、本発明に係る無線通信装置において、前記サブキャリア電力制御部は、前記限定帯域端末である通信相手に割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルに対して全サブキャリアの送信電力をゼロとする制御を行なうことを特徴としている。
【0013】
このように、限定帯域端末である通信相手に割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルに対して全サブキャリアの送信電力をゼロとする制御を行なうことによって、隣接スロットに他の通信相手をまったく割り当てないようにすることができる。その結果、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0014】
(3)また、本発明に係る無線通信装置において、前記サブキャリア変調部は、前記限定帯域端末である通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルが他の通信相手に割り当てられたとき、その周波数チャネル内で送信電力を減少させたサブキャリアに対して変調レートを下げることを特徴としている。
【0015】
このように、限定帯域端末である通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルが他の通信相手に割り当てられたとき、その周波数チャネル内で送信電力を減少させたサブキャリアに対して変調レートを下げるので、送信電力の大きさを減少させると共に、通信相手に対して通信スロットを正しく復調させることができる。これにより、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0016】
(4)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手の受信帯域の少なくとも一端が前記システム帯域の端の周波数チャネルとなるような周波数チャネル割り当てを優先的に行なうことを特徴としている。
【0017】
このように、通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手の受信帯域の少なくとも一端が前記システム帯域の端の周波数チャネルとなるような周波数チャネル割り当てを優先的に行なうので、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットを周波数チャネル方向に片側のみにすることが可能となる。これにより、通信スロットを有効に利用することが可能となる。
【0018】
(5)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、前記限定帯域端末である通信相手が複数存在する場合、前記限定帯域端末である通信相手に対して割り当てた受信帯域と隣接する周波数チャネルを1つ空けて他の限定帯域端末の受信帯域が連接するように周波数チャネルを割り当てることを特徴としている。
【0019】
このように、限定帯域端末である通信相手が複数存在する場合、限定帯域端末である通信相手に対して割り当てた受信帯域と隣接する周波数チャネルを1つ空けて他の限定帯域端末の受信帯域が連接するように周波数チャネルを割り当てるので、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットを共通化することが可能となる。これにより、通信スロットを有効に利用することが可能となる。
【0020】
(6)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、通信相手が周波数チャネル3つ分以上の受信帯域幅を有した前記限定帯域端末であって、かつ、割り当てられる受信帯域の両端の周波数チャネルを使用しない場合、前記通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルを他の通信相手に割り当てることを特徴としている。
【0021】
このように、通信相手が周波数チャネル3つ分以上の受信帯域幅を有した前記限定帯域端末であって、かつ、割り当てられる受信帯域の両端の周波数チャネルを使用しない場合は、その使用しない周波数チャネルに隣接し上記通信相手に対して割り当てられていない通信スロットを他の通信相手に割り当てるので、通信スロットを有効に活用することが可能となる。
【0022】
(7)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、前記限定帯域端末が存在し、かつ、その受信帯域幅が奇数個の周波数チャネル分のみである場合、前記限定帯域端末である複数の通信相手に対して、受信帯域の端の周波数チャネルが、システム帯域の一端から数えて奇数番目もしくは偶数番目のいずれか一方の周波数チャネルと一致するように、統一して割り当てることを特徴としている。
【0023】
このように、限定帯域端末が存在し、かつ、その受信帯域幅が奇数個の周波数チャネル分のみである場合、限定帯域端末である複数の通信相手に対して、受信帯域の端の周波数チャネルが、システム帯域の一端から数えて奇数番目もしくは偶数番目のいずれか一方の周波数チャネルと一致するように、統一して割り当てるので、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットを共通化することが可能となる。これにより、通信スロットを有効に利用することが可能となる。
【0024】
(8)また、本発明に係る無線通信装置は、略一定期間あるいは奇数と偶数チャネルで割り当てられる周波数チャネルの偏りが確認されたときに、前記限定帯域端末の受信帯域の端に相当する周波数チャネルを奇数番目とするか偶数番目とするかを切り替えることを特徴としている。
【0025】
全帯域端末の受信品質が良好な周波数チャネルが統一された周波数チャネル側に多い場合、割り当てが偏るためほぼ一定の期間で奇数と偶数のどちらに統一するかを入れ替える。もしくは、偏りが発生したときに入れ替えることにより、割り当てを分散することができ、より効率的なデータ伝送が可能になる。
【0026】
(9)また、本発明に係る無線通信装置において、前記サブキャリア電力制御部は、前記限定帯域端末の受信帯域の両端に相当する周波数チャネルが、システム帯域の低周波側から数えて奇数番目もしくは偶数番目の周波数チャネルのいずれか一方に統一されている期間において、その統一された方の周波数チャネル内のサブキャリアの一部或いは全部が、隣接する周波数チャネルのサブキャリア電力レベルよりも高くなるよう制御することを特徴としている。
【0027】
このように、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットの送信電力を、限定帯域端末の受信帯域の両端に相当する周波数チャネル境界付近で相対的に低くすることができるので、限定帯域端末の制御情報においても折り返しの影響を改善することができ、復調能力がより一層改善されることとなる。
【0028】
(10)また、本発明に係る無線通信装置は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信装置であって、通信相手に周波数チャネルを割り当てる周波数チャネル割り当て部と、サブキャリア毎に変調を行なうサブキャリア変調部と、サブキャリア毎に送信電力レベルを制御するサブキャリア電力制御部と、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定の結果、通信相手が限定帯域端末である場合は、前記サブキャリア電力制御部は、その通信相手に対して割り当てられた周波数チャネル内の一部のサブキャリアについて送信電力をゼロとする制御を行なうことを特徴としている。
【0029】
このように、通信相手が限定帯域端末である場合は、その通信相手に対して割り当てられた周波数チャネル内の一部のサブキャリアについて送信電力をゼロとする制御を行なうので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0030】
(11)また、本発明に係る無線通信装置は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信装置であって、各通信相手から送られる受信品質情報から各サブキャリアに最適な変調レートと所要送信電力を算出する端末受信品質情報処理部と、通信相手に周波数チャネルを割り当てる周波数チャネル割り当て部と、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定する判定部と、を備え、前記端末受信品質情報処理部は、前記限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出し、前記周波数チャネル割り当て部は、前記所要送信電力を算出した端末の中から、前記限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てることを特徴としている。
【0031】
このように、限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出し、所要送信電力を算出した端末の中から、限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、限定帯域端末である通信相手との間でも、無線通信を実現することができる。
【0032】
(12)また、本発明に係る携帯端末は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう携帯端末であって、伝搬路状況を推定する伝搬路推定部と、前記伝搬路推定した伝搬路状況に基づいて、周波数チャネル内の受信品質情報を生成するデータ生成部と、を備え、前記データ生成部は、受信品質情報を生成するにあたり一部のサブキャリアに対してはその受信品質に関わらずその品質を通信不能なレベルとして通信相手に報告することを特徴としている。
【0033】
このように、受信品質情報を生成するにあたり一部のサブキャリアに対してはその受信品質に関わらずその品質を通信不能なレベルとして通信相手に報告するので、自局に割り当てられた通信スロットの周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、限定帯域端末との間で無線通信を実現する無線通信システムを構築することが可能となる。
【0034】
(13)また、本発明に係る無線通信方法は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信方法であって、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定するステップと、前記判定の結果、周波数割り当てを行なう通信相手が限定帯域端末である場合は、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、かつ、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0035】
このように、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末との間でも、無線通信を実現することができる。
【0036】
(14)また、本発明に係る無線通信方法は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信方法であって、通信相手に周波数チャネルを割り当てるステップと、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定するステップと、前記判定の結果、通信相手が限定帯域端末である場合は、前記通信相手に対して割り当てられた周波数チャネル内の一部のサブキャリアについて送信電力をゼロとするステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0037】
このように、限定帯域端末である通信相手に割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルに対して全サブキャリアの送信電力をゼロとすることによって、隣接スロットに他の通信相手をまったく割り当てないようにすることができる。その結果、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0038】
(15)また、本発明に係る無線通信方法は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信方法であって、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出するステップと、前記所要送信電力を算出した端末の中から、前記限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てるステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0039】
このように、限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出し、所要送信電力を算出した端末の中から、限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、限定帯域端末である通信相手との間でも、無線通信を実現することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末との間でも、無線通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】OFDMA通信システムにおけるダウンリンクの周波数チャネル配置の一例を示す図である。
【図2】OFDMA通信システムで基地局と端末とが使用するチャネルを示す図である。
【図3】処理可能な周波数チャネル数が限定された端末における折り返しによる影響を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る基地局の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る基地局におけるスケジューリング部の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。
【図7】フィルタの減衰特性の一例を示す図である。
【図8】送信電力の大きさと変調レートとの関係を示す図である。
【図9】サブキャリアと送信電力との関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。
【図11】第3の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。
【図12】第4の実施形態において、n周波数チャネルに限定した端末への周波数チャネル割当を示す図である。
【図13】第5の実施形態に係る周波数チャネル限定帯域端末への周波数チャネル割当を示す図である。
【図14】第5の実施形態において、制御スロットに対する電力制御の2種類の具体例を示す図である。
【図15】第5の実施形態において、制御スロットの電力制御と端末の割当方法の一例を示す図である。
【図16】第6の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。
【図17】第6の実施形態に係る携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【図18】第6の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【図19】第6の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【図20】第7の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。
【図21】第8の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【図22】第8の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本実施の形態に係る無線送信装置について説明する。本実施の形態では、上述したOFDMAによる通信方式を前提とする。
【0043】
図1は、OFDMA通信システムにおけるダウンリンク(以下、「DL」と呼称する。)の周波数チャネル配置の一例を示す図である。図1中、紙面に向かって右端に示すように、OFDMAでは、サブキャリアが周波数軸上に互いに直交する間隔で均一に配置される。各ユーザの必要帯域に応じてサブキャリアを最適な数だけ割当てる方式がOFDMAである。また、図1の中央に示すように、OFDMAでは、任意の数からなる1つの周波数チャネルを形成し周波数チャネル単位で割り当てを行なう場合もある。ここでは、受信機が一括して復調可能な範囲が10個の周波数チャネルで構成されている例を示している。周波数チャネル同士は、図1に示すように、原則として連続的に配置される。また、隣接する他のシステムとの干渉を抑えるために、全帯域の両側にガードバンドを配置している。これが一般的なDLの構成であるが、これを1つのユニットとして複数のユニットから構成される可能性もある。本実施の形態において、全受信帯域とはこの1ユニットを指しており、全帯域端末とはこの全帯域を一括して処理可能な端末のことを意味する。
【0044】
図2は、OFDMA通信システムで基地局と端末とが使用するチャネルを示す図である。ここでは、図1で示した10周波数チャネルからなるシステムにおいて、AとBの端末がそれぞれ5つと1つの周波数チャネルを要求するような通信を行なっている状態を示している。AもBも全帯域に渡り復調可能であるが、それぞれに割当てられた5つと1つの周波数チャネルを同時に使用することで多元接続を実現している。このように各端末は1周波数チャネルだけで十分なときもあるが、最大10周波数チャネルを要求するような広帯域伝送にも対応できるようになっている。
【0045】
一方、処理可能な周波数チャネル数を限定したシステム帯域幅よりも受信帯域を狭帯域とした端末(以下、「限定帯域端末」と呼称する。)を導入することは、端末に必要な機能に対する要求条件が下がり、省電力、低コストを実現できる。また、音声通話や低速なデータ通信で十分というユーザのニーズも大いにあると考えられ、限定帯域端末の導入は意義深いものと思われる。
【0046】
しかし、図1や図2で示したように、OFDMAは、周波数利用効率を高める目的で導入されるシステムであることから、周波数チャネル間にはIEEE802.11aの無線LANのようなガードバンドに相当する領域は設けられていない。このため、周波数チャネル方向に隣接する周波数チャネルからの干渉を受けることが懸念される。この様子を図3に示す。図3では、受信帯域が1周波数チャネル(図中ではSCと略)と3周波数チャネルの限定端末がシステム帯域内に存在する様子を示すとともに、さらに1周波数チャネルの限定帯域端末の受信側での処理を図3下側に示している。ここでは復調したい最大周波数とアナログ/ディジタル変換機(以下、「ADC」と呼称する。)のサンプリング周波数の半分が一致し、隣接チャネルの帯域幅を持ってフィルタが減衰している。その結果、図3の下側のように、折り返しによる影響を受けることなる。そこで、本実施の形態では、以下のような手法により隣接チャネルからの影響を軽減している。
【0047】
(第1の実施形態)
図4は、第1の実施形態に係る基地局の概略構成を示すブロック図である。アンテナ部1で受信された無線信号は、高周波回路およびアナログ処理部2によって無線信号から電気信号に変換され、FFT部3において、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)が行なわれる。次に、等化部4において、マルチパスによる遅延歪などによって劣化した受信波形が補正され、サブキャリア復調部5において、サブキャリア毎に復調が行なわれる。
【0048】
次に、端末受信品質情報処理部6は、各端末から受信した受信品質情報を解析する。すなわち、上記のような限定帯域端末においては、ダウンリンクの受信状況のより良い周波数チャネル、またはシステムで予め決められている周波数チャネル等の受信品質情報について一度に測定出来るのは限定帯域分だけとなっている。そして、この限定された帯域での受信情報を基地局に通知する。また、チャネルを巡回し時分割的に通知する手法を採っても良い。全帯域端末は、当然全帯域に渡って受信品質の測定が可能であり、それらを全て基地局に報告する。また、その端末にとって良い周波数チャネルの情報のみを報告する手法を採っても良い。
【0049】
また、図4において、「基地局制御装置」側から、基地局全体を制御する制御部7を介して、その基地局にアクセスしている端末が全帯域端末であるか、限定帯域端末であるかを判定すると共に、限定帯域端末であれば、何チャネルに対応可能であるかといった端末種別、またはサービス契約内容といった情報が、ユーザ情報格納部8へと入力される。また、基地局から各端末へ向けて送信されるデータはリアルタイムか否かの情報と共に、一旦送信データバッファ9へ格納される。スケジューリング部10は、これらの情報に基づいて優先順位付けを行ない、データを送信する。
【0050】
ここで、周波数チャネル割り当ての優先順位付けのための要素は、次のようなものである。「リアルタイムであるか非リアルタイムであるか」・・・リアルタイムデータ通信の方が、優先順位が高い。
「最適な帯域幅」・・・要求データ転送量が大きい方が、優先順位が高い。
「距離やマルチパスによる受信特性」・・・各端末から送られてくる周波数チャネルの受信状態の良し悪しを比較し、なるべくより多くのデータを送信できる端末にその周波数チャネルを割り当てる。
「利用サービスの種類」・・・加入者の利用サービス体系の違いにより優先順位が異なる。例えば、月額基本料金を抑えて、混雑しているときは高品質を要求しないユーザや、通話ごとに品質を選んで指定するサービスを考慮して優先順位を付ける。また、例えば、リアルタイムな放送のようなデータであるが、品質を要求しないケースでは優先順位を下げる。
【0051】
図4において、サブキャリア変調部11は、サブキャリア毎に変調を行ない、サブキャリア電力制御部12は、サブキャリア毎に送信電力を制御する。そして、IFFT部13にてIFFT処理(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)が行われ、高周波回路およびアナログ処理部2において、電気信号が無線信号に変換され、アンテナ部1から無線信号が送信される。
【0052】
図5は、第1の実施形態に係る基地局におけるスケジューリング部10の構成を示すブロック図である。基地局にアクセスしている全端末の情報を有するユーザ情報格納部8から、通信中の端末の情報が判定部10−1および端末優先順位決定部10−2に入力される。判定部10−1は、限定帯域端末であるか全帯域端末であるかを判定する。端末優先順位決定部10−2は、データのリアルタイム性や送信バッファ9に蓄積されたデータ量等に基づいて、端末間の割り当て優先順位を決定する。周波数チャネル割り当て部10−3は、判定部10−1が判定した結果、および端末優先順位決定部10−2が決定した割り当て優先順位に基づいて、各端末が使用する周波数チャネル、各サブキャリアの変調モード、そして送信電力の割り当てを行ない、これらを制御信号生成部10−4に出力する。
【0053】
制御信号生成部10−4は、周波数チャネル割り当て部10−3が割り当てた、各端末が使用する周波数チャネル、各サブキャリアの変調モード、そして送信電力を、送信データバッファ9、サブキャリア変調部11、サブキャリア電力制御部12に対して制御部7と同期して出力する。
【0054】
図6は、第1の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。基地局が、限定帯域端末への周波数チャネル割当てであると認識し、端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルの隣接側から任意の数のサブキャリアに対して送信電力の大きさを低減し、若しくはそれらのサブキャリアの送信電力の大きさをゼロとしている。例えば、図6において、処理可能な周波数チャネル数が1周波数チャネル(1SC)に限定された端末が受信可能な範囲の両隣接周波数チャネルにおいて、任意の数のサブキャリアの送信電力の大きさが低減されている。同様に、処理可能な周波数チャネル数が3周波数チャネル(3SC)に限定された端末が受信可能な範囲の両隣接周波数チャネルにおいて、任意の数のサブキャリアの送信電力の大きさが低減されている。これにより、A/D変換を行なった際に折り返しの影響があったとしても、その送信電力が小さくなっているため、折り返しの影響が軽減されている。なお、送信電力の大きさを減少させるサブキャリアの数は、OFDMA通信システムにおいて任意に設定することが可能である。
【0055】
図7は、フィルタの減衰特性の一例を示す図である。ADCの前段のローパスフィルタ(LPF)は、特性、回路規模等によってそのタイプや次数が決定される。バタワース型フィルタでは、一般に6dB×次数の減衰傾度(dB/oct.)が得られる。ここでは、簡単のために信号帯域は10MHzを直交復調することで5MHzとなり、遮断周波数も5MHz、5次のバタワースということで説明を行なう。0Hzから5MHzまで利得(減衰)0dBでフラット、5次であるため、10MHzでは、−30dBとなる。また、サブキャリアの間隔は50kHzとする。
【0056】
受信電力がフラットであると仮定した仮想モデルを考えると、最大周波数サブキャリアで折り返しが−0.15dB、次が−0.45dB、−0.75dB・・・、と妨害波となって重なることとなる。LPFのタイプとしてバタワース、ベッセル、チェビシェフ、連立チェビシェフ等の種類があり、第1の実施形態における限定帯域端末には減衰特性がより急峻な連立チェビシェフが適していると思われる。より急峻になったとしても隣接に近いサブキャリアを減衰できないことに変わりなく影響が出ることが分かる。
【0057】
なお、限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルの隣接側から任意の数のサブキャリアに対して送信電力の大きさを低減する場合、変調レートを下げるようにしても良い。すなわち、低い変調レートで変調されるサブキャリアに対し、所定の信号対ノイズ比が得られる大きさの送信電力を割り当てるのである。これにより、送信電力の大きさを減少させると共に、通信相手に対して通信フレームを正しく復調させることができ、周波数軸方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0058】
図8は、送信電力の大きさと変調レートとの関係を示す図である。図8中、紙面に向かって左側には、ビット誤り率(BER)10−5を得られる、信号対ノイズ比(SNR)の一例を示している。この図の横軸には意味は無く、SNR17dB、9dB・・・であれば、各々64QAM、16QAM・・・でBER=10−5を達成できることを示している。図8中、紙面に向かって右側には、このBER特性と図7に示したフィルタの特性で、第1の実施形態を実現する一例を示している。周波数チャネル#nに限定帯域端末を割り当て、周波数チャネル#n+1には全帯域端末が割当てられたケースである。
【0059】
このとき、限定帯域端末で16QAMが確保出来るように、#n+1内の最も#nよりのサブキャリアから順次−9.15、−8.85、−8.55dB・・・−0.45、−0.15、0dBと電力を割り与える。この例では32本目のサブキャリアで0dBとなる。また、変調は変調なし、BPSK、QPSK、32本目のサブキャリアで16QAMが割当てられる。ここまで、周波数チャネルの片側のみで述べてきたが、全帯域のどちらかの端の周波数チャネルが割当てられていない場合には当然限定帯域端末へ割当てられた周波数チャネルの両隣接周波数チャネルで同様に実施されることになる。
【0060】
これはあくまでも一例であり、前述のように更に急峻なフィルタを適用すれば電力割当ての増加率は大きくなり対応が必要となるサブキャリアの本数は減ることになるし、その他にもサブキャリアの間隔、受信機が要求するSNRの差異、SNRのマージンなどによっても異なることになる。また、各端末の要求伝送量によっては、限定帯域端末が帯域内の端サブキャリアまで必要としない場合もあり、その分を全帯域端末に割当てることも考えられる。これはシステムの設計時に各システムで決定されることとなる。
【0061】
図8のように送信電力を割当てることで、周波数チャネル#nを割当てられた限定帯域端末では、図9に示すような受信信号を得ることができる。これにより、この例では帯域内で16QAMを確保できるSNRを得ている。
【0062】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。基地局が、周波数チャネル限定帯域端末への周波数チャネル割当てであると認識し、端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルのすべてのサブキャリアに対して送信電力の大きさをゼロとしている。つまり、対応するサブキャリアを周波数チャネル分全てに拡大し、さらに電力を割当てないのと等価である。このことは、第1の実施形態では、あくまで隣接周波数チャネルに他ユーザを割当てた上で行なうのに対して、第2の実施形態では、隣接する周波数チャネルに他のユーザを最初から割当てないということで異なっている。
【0063】
例えば、図10において、処理可能な周波数チャネル数が1周波数チャネル(1SC)に限定された限定帯域端末が受信可能な範囲の両隣接する周波数チャネルにおいて、すべてのサブキャリアの送信電力の大きさがゼロとなっている。同様に、処理可能な周波数チャネル数が3周波数チャネル(3SC)に限定された限定帯域端末が受信可能な範囲の両隣接する周波数チャネルにおいて、すべてのサブキャリアの送信電力の大きさがゼロとなっている。これにより、A/D変換を行なった際に、折り返すこととなるサブキャリアの送信電力の大きさがゼロとなっているため、折り返しの影響がより軽減されている。
【0064】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。第1および第2の実施形態では、周波数軸での割り当てを基本に説明してきた。しかし、各通信相手への周波数チャネルの割り当ては、一定時間長のシンボル複数で定められる期間を時間チャネルとし、複数の時間チャネルと複数の周波数チャネルとから構成される通信フレームと呼ばれる単位を基本に行なう方法もある。つまり、1フレームの中から時間チャネルおよび周波数チャネルで特定される通信スロットの中で各通信相手に最適なスロットを割り当てる方法で、これ以降はこの通信フレーム単位での割り当てに本発明を適用した説明も交えることとする。この通信フレームは、周波数チャネルとして10個の周波数チャネルと、時間チャネルとして10個のタイムスロットを1フレームとした構成で説明する。そして、限定帯域端末として、1周波数チャネル限定帯域端末2台と2周波数チャネル限定帯域端末1台を割当てている。周波数チャネル#2のタイムスロット5番目から7番目にかけて1周波数チャネル限定帯域端末の1ユーザを割り当てており、10番目に別のユーザを割当てている。端末から限定帯域端末であることを通知された基地局は、周波数チャネル#1と#3のタイムスロット5から7と10に、第1の実施形態または第2の実施形態で説明した通信スロットを割当てる。
【0065】
すなわち、第1の実施形態では、限定帯域端末に割り当てられた通信スロットの周波数チャネル方向に隣接する通信スロットのサブキャリアのうち、任意の数のサブキャリアに割り当てる送信電力の大きさを小さくした。また、第2の実施形態では、限定帯域端末に割り当てられた通信スロットの周波数チャネル方向に隣接する通信スロットのすべてのサブキャリアに割り当てる送信電力の大きさをゼロとした。図11では、第1および第2の実施形態で説明した通信スロットを対策用スロットと呼称している。
【0066】
同様に、周波数チャネル#9と#10のタイムスロット4に2周波数チャネル限定帯域端末のユーザが割当てられている。このときは、周波数チャネル#10の外(周波数チャネル方向に、周波数チャネル#9の反対側)にはガードバンドが存在することから、周波数チャネル#8のみが対策用スロットとなる。第1および第2の実施形態のように、適応的に隣接スロットに対策を施すことで、周波数利用効率を高めつつ、限定帯域端末を同一のシステムに導入することが可能となる。
【0067】
(第4の実施形態)
図12は、n周波数チャネルに限定した端末への周波数チャネル割当を示す図である。ここでは、全周波数帯域の両端の周波数チャネルを、限定帯域端末に対して優先的に割り当てる。この図12では、周波数チャネル#1もしくは#10側から割り当てている。第5の実施形態によれば、対策用スロットを施す必要がある周波数チャネルは片側隣接のみとなり、スロットをより有効に利用できる。
【0068】
(第5の実施形態)
図13は、第5の実施形態に係る限定帯域端末への周波数チャネル割当を示す図である。図13中、紙面に向かって左側に示したように、予めサブキャリア限定数に対して専用周波数チャネルを設定しておく。さらに限定帯域端末は、できるだけ同一のタイムスロットを使用するように、連接するように割り当てる。これにより、対策用スロットを共通化することができ、通信スロットの利用効率が高まる。
【0069】
一般に、フレームの先頭には制御用のスロットが設けられる。これは周波数チャネル毎に、どのタイムスロットにどのユーザを割当てるといった情報が必要であるため、全ユーザが自局の周波数チャネル分の制御情報を復調できる必要がある。このデータは低変調レートで変調されることから、限定帯域端末が混在する環境においても全端末が特に問題なく復調できるものと考えられる。しかし、図13のように割り当てることにより、対策用スロットが入る周波数チャネルを固定できるので制御用スロットの電力等を対策用スロットと異ならせることも可能になる。
【0070】
図14は、この制御スロットの電力制御の具体例を2種類示している。ここでは、図13とは異なり、1限定帯域端末用のスロットが全帯域に渡って配置されたフレーム構成、つまり一周波数チャネルおきに対策用スロットが入るフレーム構成を例として示している。この様に配する事で、1、3、5・・・の奇数周波数チャネルに限定された端末に対応可能である。2、4、6・・・の偶数限定帯域端末へは対応できないものの最低の1周波数チャネルに限定した端末に対応できているので、間が飛んでいても本質に影響は無い。
【0071】
このように、対策用周波数チャネル(対策用スロット)が固定であることで、図のように対策用の周波数チャネル内の電力を一定レベル絞る、または帯域内の両端へ向かって電力を絞る等により対策用スロットの電力が周波数チャネル境界付近で隣接周波数チャネルの隣接する境界付近の電力より相対的に低くなるように対応することで、限定帯域端末の制御情報においても折り返しの影響を改善でき復調能力がより一層改善されることとなる。また、図14からも分かるように、帯域全体に渡って限定帯域端末の選択候補周波数チャネルを配置することが可能となり、全帯域から受信状態の良い周波数チャネルを選択しやすくなる。全帯域端末にとっても低変調レートということで電力が低くとも影響は無いと考えられる。
【0072】
この図14では、偶数番目の周波数チャネルを対策用周波数チャネルとしたが、当然任意のタイミングで奇数偶数を入れ替えることも考えられる。また、全周波数チャネルの数が奇数となればより最適な割当てを行なうことができる。
【0073】
図15は、制御スロットの電力制御と端末の割当方法の一例を示す図である。周波数チャネルの割当ては図14と同様である。よって、制御チャネルの電力は、1周波数チャネルごとに大小を繰り返している。このフレームで1、3、5限定帯域端末がどのように割当てられるか示している。このパターンで制御チャネルの電力制御を行なうことで、全てのチャネルに制御情報を送ることができると共に、各限定帯域端末は、全帯域にほぼ均等に存在することができる。
【0074】
(第6の実施形態)
図16は、第6の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。基地局は、n限定帯域端末に割り当てる周波数チャネルに隣接する周波数チャネルを他の端末に割当てる際には、その限定帯域端末が受信可能な周波数範囲の両端から内側へ任意の数のサブキャリアに電力を与えない。これは、任意の数のサブキャリアについて、品質が悪いという情報を基地局に対して通知することによって、限定帯域端末が主導で該当サブキャリアへ電力の割当てを行わない方式である。
【0075】
このような端末について、図17を参照して説明する。図17は、第6の実施形態に係る携帯端末の概略構成を示すブロック図である。アンテナ部161で受信された無線信号は、高周波回路部162で高周波信号からベースバンド信号に変換され、伝搬路での歪を推定する伝搬路推定部163とFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)が行なわれるにFFT部164に分配される。次に等化部165において、マルチパスによる遅延歪などによって受信信号の劣化を伝搬路推定結果に基づいて補正され、サブキャリア復調部166において、サブキャリア毎に復調が行なわれる。
【0076】
また、端末受信品質情報データ生成部167は、伝搬路推定部163からの情報に基づいて受信品質情報を生成する。端末受信品質情報データ生成部167によって生成されたデータは制御部168において送信データの一部として送信信号処理部169、高周波回路部162、および161アンテナ部を介し通信相手へと送信される。
【0077】
図17に示す携帯端末から希望周波数チャネルとその周波数チャネル内の下側b本と上側b本については、常時受信状態が悪いという情報を基地局に対して送信する。これにより、基地局は隣接周波数チャネルへの割当てを考慮する必要が無くなる。
【0078】
図18および図19は、第6の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。同図において、「k」は0または1であり、割り当て開始直後“0”のみとなる。kにより全端末の要求伝送帯域を求めるとともに限定帯域端末に仮割り当てを行なう。「i」は整数であり、端末の数だけループを回し、優先順位を決定する。「j」は整数であり、そのときの優先順位1番の端末を検索する際に使用する。「B」は割り当て残となっている端末からの要求伝送帯域の合計を表わす。
【0079】
まず、最初ループで端末ごとの優先順位を判断すると共に全体の所要ビットレートを求める。すなわちk=0、B=0とし(ステップT1)、i=1とする(ステップT2)。次に、k=0であるかどうかを判断し(ステップT3)、k=0である場合は、MT(i)=FSCT(全帯域端末)であるかどうかを判断する(ステップT4)。MT(i)=FSCTでない、つまりLSCTである場合は、そのLSCT(限定帯域端末)に希望する周波数チャネルの必要タイムスロットを仮割り当てする(ステップT5)。ステップT4において、MT(i)=FSCTである場合は、ステップT6へ移行する。
【0080】
次に、B=B+RBR(i)(i番目の端末の要求伝送帯域)とし、MT(i)に優先順位1からNMT(アクセス中の端末数)までを与える(ステップT7)。次に、i=NMTであるかどうかを判断し(ステップT8)、i=NMTでない場合は、i=i+1として(ステップT9)、ステップT3へ移行する。一方、ステップT8において、i=NMTである場合は、B>TLIM(トラフィック混雑度の判断基準値)であるかどうかを判断し(ステップT10)、B>TLIMでない場合は、全LSCTの仮割り当てスロットを本割り当てとする(ステップT11)。すなわち、C=NMT−全LSCT数とする。そして、FSCTに希望周波数チャネルの必要タイムスロットを割り当て、不足である場合は、希望していない周波数チャネルも割り当てて補い(ステップT12)、終了する。
【0081】
次に、ステップT10において、B>TLIMである場合は、j=1とし(ステップT13)、MT(j)=1であるかどうかを判断する(ステップT14)。MT(j)=1でない場合は、j=j+1として(ステップT15)、ステップT14へ移行する。一方、ステップT14において、MT(j)=1である場合は、FSCTであるかどうかを判断する(ステップT16)。FSCTである場合は、希望の空き周波数チャネルがあるかどうかを判断し(ステップT17)、希望の空き周波数チャネルがある場合は、希望の周波数チャネルの1スロットを割り当てる(ステップT18)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートbを入力する。
【0082】
ステップT16において、FSCTでない場合は、MT(j)の仮割り当てスロットがあるかどうかを判断し(ステップT19)、MT(j)の仮割り当てスロットがある場合は、仮割り当てスロットを本割り当てとする(ステップT20)。また、ステップT19において、仮割り当てスロットがない場合は、割り当てなしとする(ステップT21)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートzを入力する。
【0083】
また、ステップT17において、希望の空き周波数チャネルがない場合は、受信状態の良好な他の空き周波数チャネルがあるかどうかを判断する(ステップT22)。受信状態の良好な他の空き周波数チャネルがある場合は、その周波数チャネルの1スロットを割り当てる(ステップT23)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートcを入力する。
【0084】
ステップT22において、受信状態の良好な他の空き周波数チャネルがない場合は、LSCTへの仮割り当て周波数チャネルでは受信状態が良好であるかどうかを判断する(ステップT24)。LSCTへの仮割り当て周波数チャネルでは受信状態が良好である場合は、その周波数チャネルの1スロットを割り当てる(ステップT25)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートdを入力する。
【0085】
次に、B=B−ABR、RBR(j)=RBR(j)−ABRとし(ステップT26)、B=0であるかどうかを判断する(ステップT27)。B=0である場合は、割り当て可能な空きスロットがあるかどうかを判断し(ステップT28)、割り当て可能な空きスロットがある場合は、k=1として(ステップT29)、ステップT2へ移行する。一方、ステップT27において、B=0である場合、また、ステップT28において、割り当て可能な空きスロットがない場合は、終了する。
【0086】
(第7の実施形態)
図20は、第7の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。第7の実施形態では、基地局は、端末毎に受信電力を検出する。そして、限定帯域端末が割当てられた周波数チャネルにおいて、隣接チャネルに他の端末を割当てる際は、基地局に近い等により受信電力が高い端末を割り当てる。そして、そのスロットの送信電力を、限定帯域端末に割り当てられた周波数チャネルの電力より低く設定する。このような送信電力の制御は、上記各実施形態と併用することも可能である。
【0087】
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、第1、第2および第7の実施形態の機能を併せ持つことを特徴としている。図21および図22は、第8の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。同図において、「k」はループごとに処理する優先順位をインクリメントする。「i」は整数であり、端末の優先順位の決定や、優先順位順に処理するためのループに用いる。「B」は割り当て残となっている端末からの要求伝送帯域の合計を表わす。「NLSC」は限定帯域端末の限定周波数チャネル数を表わす。「NRSC」は各端末が要求している周波数チャネル数を表わす。「GBH」は0または1であり、上(周波数の高い)側隣接周波数チャネルへの対策を”1”なら実施、”0”なら不要を表わす。「GBL」は0または1であり、下(周波数の低い)側隣接周波数チャネルへの対策を”1”なら実施、”0”なら不要を表わす。なお、図21および図22における「k」および「i」は、図18および図19における「k」および「i」とは異なる意味で使用している。
【0088】
図21および図22に示すように、まず、最初のループで端末ごとの優先順位を判断すると共に全体の所要ビットレートを求める。すなわち、端末記号i=1、その端末の要求伝送帯域B=0とし(ステップS1)、アクセス中の端末MT(i)に優先順位1からNMT(アクセス中の端末数)までを与える(ステップS2)。次に、B=B+RBR(i)(i番目の端末の要求伝送帯域)を算出し(ステップS3)、i=NMTであるかどうかを判断する(ステップS4)。i=NMTでない場合は、i=i+1として(ステップS5)、ステップS2へ移行する。
【0089】
一方、ステップS4において、i=NMTである場合は、B<TLIM(トラフィック混雑度の判断基準値)であるかどうかを判断する(ステップS6)。B<TLIMでない場合、すなわち、トラフィックが混雑している場合は、限定帯域端末には全帯域の両端にあたる周波数チャネルを割り当てると共に、全帯域端末は帯域の内よりを割当てることを通知する(ステップS7)。この通知が無いときは各端末での受信状況の良い周波数チャネルを使う。
【0090】
次に、i=1、k=1とし(ステップS8)、MT(i)=kであるかどうかを判断する(ステップS9)。MT(i)=kでない場合は、i=i+1として(ステップS10)、ステップS9へ移行する。一方、MT(i)=kである場合は、その端末がFSCT(全帯域端末)であるかどうかを判断し(ステップS11)、その端末がFSCTである場合は、GBHとGBLを0とする(ステップS12)。
【0091】
一方、ステップS11において、その端末がFSCTでない場合、すなわち、LSCT(限定帯域端末)である場合は、最大、最小要求チャネルの間隔が限定チャネル数より2周波数チャネル分以上狭ければ、限定帯域の両側を割当てないように設定することで帯域外に対策用周波数チャネルを確保する必要は無いためこれもGBH、GBLは0となる。すなわち、(RSC#max−RSC#min)≦(NLSC−2)であるかどうかを判断し(ステップS13)、(RSC#max−RSC#min)≦(NLSC−2)である場合は、GBH=0、GBL=0とし(ステップS14)、NRSC=NRSC+2、RSC#にRSC#max+1とRSC#min−1を追加する(ステップS15)。
【0092】
また、最大、最小要求チャネルの間隔が1周波数チャネル分しかなく、要求周波数チャネルが全帯域の端を含んでいない場合は、両側に対策周波数チャネルを確保しなくてはならないためGBH、GBLは共に1とする。すなわち、ステップS13において、(RSC#max−RSC#min)≦(NLSC−2)でない場合は、RSC#にSCH#minかSCH#maxを含むかどうかを判断し(ステップS16)、RSC#にSCH#minかSCH#maxを含まない場合は、GBH=1、GBL=1とする(ステップS17)。
【0093】
また、ステップS16において、RSC#にSCH#minかSCH#maxを含む場合は、RSC#がSCH#minを含むかどうかを判断し(ステップS19)、含む場合は、GBH=1、GBL=0とし(ステップS19)、含まない場合は、GBH=0、GBL=0となる(ステップS20)。
【0094】
そして、端末が要求周波数チャネルを必要ビットレート分確保できるまでタイムスロットを割当てる。すなわち、GBL=0であるかどうかを判断し(ステップS21)、GBL=0である場合は、GBH=0であるかどうかを判断する(ステップS22)。GBH=0でない場合は、端末の要求SCH(周波数チャネル)とそれを含む限定帯域幅の上側で隣接するSCHを同タイムスロット文割り当てる(ステップS24)。一方、ステップS22において、GBH=0である場合は、端末の要求SCHを必要タイムスロット分割り当てる(ステップS25)。
【0095】
ステップS21において、GBL=0でない場合は、GBH=0であるかどうかを判断する(ステップS23)。GBH=0である場合は、端末の要求SCHとそれを含む限定帯域幅の下側で隣接するSCHを同タイムスロット分割り当てる(ステップS26)。一方、ステップS23において、GBH=0でない場合は、端末の要求SCHとそれを含む限定帯域幅の両側で隣接するSCHを同タイムスロット分割り当てる(ステップS27)。
【0096】
次に、要求周波数チャネルに空きスロットが無いときは、割当て済みの全帯域端末を他の周波数チャネルへ動かせないか検討し候補があれば入れ換え対応する(ステップS28)。この一連の作業を端末の数だけ繰り返す。すなわち、k=NMTであるかどうかを判断し(ステップS29)、k=NMTでない場合は、k=1+1,i=1として(ステップS30)、ステップS9へ移行する。一方、ステップS29において、k=NMTである場合は、終了する。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態によれば、通信相手が通信フレーム内で限定された数の周波数チャネルのみを使用可能である場合、通信フレーム内でその通信相手に対して割り当てられた通信スロットの周波数チャネル側に隣接し上記通信相手に対して割り当てられていない通信スロットに対応する全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一括処理できる周波数帯域が限定された通信相手との間でも、無線通信を実現することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 アンテナ部
2 高周波回路およびアナログ処理部
3 FFT部
4 等化部
5 サブキャリア復調部
6 端末受信品質情報処理部
7 制御部
8 ユーザ情報格納部
9 送信データバッファ
10 スケジューリング部
10−1 判定部
10−3 周波数チャネル割り当て部
11 サブキャリア変調部
12 サブキャリア電力制御部
13 IFFT部
161 アンテナ部
162 高周波回路部
163 伝搬路推定部
164 FFT部
165 等化部
166 サブキャリア復調部
167 受信品質情報データ生成部
168 制御部
169 送信信号処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ADSLやFTTHなどの有線ブロードバンドサービスが一般家庭へ急速に浸透してきたのに伴い、文字情報にとどまらず、音声、映像、音楽を利用したいわゆるリッチコンテンツサービスが普及してきており、個人の扱う情報量も増加してきている。移動体通信においても携帯Webや音楽配信などの非音声通話サービスを利用する割合が急拡大しており、有線同様の広帯域無線通信への要望が高まってきている。
【0003】
このような移動体通信への広帯域化の要求に対して、さまざまな研究がなされてきている。その中で、周波数利用効率、耐フェージングの点で注目を集めているアクセス方式がOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)である。OFDMAは、直交する多数のサブキャリアを信号周期の逆数の間隔で密に配置することで周波数利用効率を高められるOFDMの特徴を生かして、マルチパス環境下での端末毎に異なる受信特性に応じて、各端末に特性の良い任意の数のサブキャリア(若しくは連続するサブキャリアの組からなる周波数チャネル)を割当てることで更に実質的な周波数利用効率を高める方式である。
【0004】
OFDM変調方式は、5GHz帯のIEEE802.11aなどの無線LAN規格にも採用されており、16MHz強の占有帯域幅を有したチャネルを20MHz間隔で配置するものである。よって、チャネル間には3MHz強のキャリアが無い領域が存在している。また、基本的に1端末が使用するチャネルは1つで、各端末が変調および復調可能な帯域と通信を行なう帯域は一致しており、常に一定であることから、この方式はOFDMAには該当しない。
【0005】
OFDMAは、現時点において実用されたシステムは未だ存在しないものの、広い帯域の中から各端末に最適な受信状態のサブキャリアや周波数チャネルを割当てるシステムであることから、端末が変調および復調可能な帯域を最大として通信に使用する帯域は変動するという概念はどの提案においても一致している。よって、システム上要求される最大伝送レートから必要な周波数帯域が決定され、そのシステムの通信機器にはその周波数帯域を一括して変調および復調できることが求められることとなる。例えば、“電子情報通信学会 信学技法RCS2004−85(2004−06)”、そして“2004年電子情報通信学会総合大会 B−5−64”等では、100Mbpsを実現するためには1ユーザあたり100MHzの周波数帯域が必要であると見込み、その帯域に均一にサブキャリアを配置する提案となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】電子情報通信学会 信学技法RCS2004−85(2004−06)
【非特許文献2】2004年電子情報通信学会総合大会 B−5−64
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなOFDMA方式は、全帯域の中から端末の受信特性の良い任意の数のサブキャリアもしくはサブキャリアの連続する集まりである周波数チャネルを選択し割当てる方式であることから、基本的に、送受信機は、全帯域に渡って変調および復調できる構成を採る必要がある。従って、IEEE802.11aの無線LANのようにチャネル間にサブキャリアが存在しない周波数領域を設ける必要は無い。逆に、チャネル間にサブキャリアが存在しない周波数領域を設けることは、システム全体の周波数利用効率の低下や、通信機の処理帯域幅の拡大に伴うハードへのさらに厳しい要求へと直結することとなる。上記のように全帯域に渡って変調および復調可能とすることで送受信機は広帯域伝送が実現できる反面、それに使用されるデバイスには高性能が要求され、端末サイズ、消費電流の増加につながり、それがコストにも跳ね返ってしまうことが懸念される。
【0008】
しかしながら、ユーザのニーズは様々であり、音声通話や低速なデータ通信が利用の中心で機能よりも、低消費電力、小型、廉価な端末への要望が存在することも明らかである。従って、広帯域化が注目される反面、このようなニーズを吸収できることも次世代システムには重要なことである。低価格な端末を実現するためにまず始めに考えられることは、端末が一括処理できる帯域を限定することである。この場合、送信側はディジタル/アナログ変換やパワーアンプ等の帯域、消費電流を独立で抑えることができるが、受信側が密に配されたサブキャリアの中から特定の帯域を抜き取るためには、隣接チャネル干渉を除去するためにフィルタ、アナログ/ディジタル変換やそのサンプリングクロック等の仕様への要求を高くする必要が生じ、廉価な端末の提供への障害となることが懸念される。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末である通信相手との間でも、無線通信を実現することができる送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る無線通信装置は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信装置であって、通信相手に前記周波数チャネルを割り当てる周波数チャネル割り当て部と、各通信相手から送信された受信品質情報に基づいて各サブキャリアに最適な変調レートと所要送信電力を算出する端末受信品質情報処理部と、前記サブキャリア毎に変調を行なうサブキャリア変調部と、前記サブキャリア毎に送信電力レベルを制御するサブキャリア電力制御部と、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定の結果、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、前記サブキャリア電力制御部は、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させることを特徴としている。
【0011】
このように、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末との間でも、無線通信を実現することができる。
【0012】
(2)また、本発明に係る無線通信装置において、前記サブキャリア電力制御部は、前記限定帯域端末である通信相手に割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルに対して全サブキャリアの送信電力をゼロとする制御を行なうことを特徴としている。
【0013】
このように、限定帯域端末である通信相手に割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルに対して全サブキャリアの送信電力をゼロとする制御を行なうことによって、隣接スロットに他の通信相手をまったく割り当てないようにすることができる。その結果、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0014】
(3)また、本発明に係る無線通信装置において、前記サブキャリア変調部は、前記限定帯域端末である通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルが他の通信相手に割り当てられたとき、その周波数チャネル内で送信電力を減少させたサブキャリアに対して変調レートを下げることを特徴としている。
【0015】
このように、限定帯域端末である通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルが他の通信相手に割り当てられたとき、その周波数チャネル内で送信電力を減少させたサブキャリアに対して変調レートを下げるので、送信電力の大きさを減少させると共に、通信相手に対して通信スロットを正しく復調させることができる。これにより、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0016】
(4)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手の受信帯域の少なくとも一端が前記システム帯域の端の周波数チャネルとなるような周波数チャネル割り当てを優先的に行なうことを特徴としている。
【0017】
このように、通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手の受信帯域の少なくとも一端が前記システム帯域の端の周波数チャネルとなるような周波数チャネル割り当てを優先的に行なうので、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットを周波数チャネル方向に片側のみにすることが可能となる。これにより、通信スロットを有効に利用することが可能となる。
【0018】
(5)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、前記限定帯域端末である通信相手が複数存在する場合、前記限定帯域端末である通信相手に対して割り当てた受信帯域と隣接する周波数チャネルを1つ空けて他の限定帯域端末の受信帯域が連接するように周波数チャネルを割り当てることを特徴としている。
【0019】
このように、限定帯域端末である通信相手が複数存在する場合、限定帯域端末である通信相手に対して割り当てた受信帯域と隣接する周波数チャネルを1つ空けて他の限定帯域端末の受信帯域が連接するように周波数チャネルを割り当てるので、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットを共通化することが可能となる。これにより、通信スロットを有効に利用することが可能となる。
【0020】
(6)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、通信相手が周波数チャネル3つ分以上の受信帯域幅を有した前記限定帯域端末であって、かつ、割り当てられる受信帯域の両端の周波数チャネルを使用しない場合、前記通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルを他の通信相手に割り当てることを特徴としている。
【0021】
このように、通信相手が周波数チャネル3つ分以上の受信帯域幅を有した前記限定帯域端末であって、かつ、割り当てられる受信帯域の両端の周波数チャネルを使用しない場合は、その使用しない周波数チャネルに隣接し上記通信相手に対して割り当てられていない通信スロットを他の通信相手に割り当てるので、通信スロットを有効に活用することが可能となる。
【0022】
(7)また、本発明に係る無線通信装置において、前記周波数チャネル割り当て部は、前記限定帯域端末が存在し、かつ、その受信帯域幅が奇数個の周波数チャネル分のみである場合、前記限定帯域端末である複数の通信相手に対して、受信帯域の端の周波数チャネルが、システム帯域の一端から数えて奇数番目もしくは偶数番目のいずれか一方の周波数チャネルと一致するように、統一して割り当てることを特徴としている。
【0023】
このように、限定帯域端末が存在し、かつ、その受信帯域幅が奇数個の周波数チャネル分のみである場合、限定帯域端末である複数の通信相手に対して、受信帯域の端の周波数チャネルが、システム帯域の一端から数えて奇数番目もしくは偶数番目のいずれか一方の周波数チャネルと一致するように、統一して割り当てるので、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットを共通化することが可能となる。これにより、通信スロットを有効に利用することが可能となる。
【0024】
(8)また、本発明に係る無線通信装置は、略一定期間あるいは奇数と偶数チャネルで割り当てられる周波数チャネルの偏りが確認されたときに、前記限定帯域端末の受信帯域の端に相当する周波数チャネルを奇数番目とするか偶数番目とするかを切り替えることを特徴としている。
【0025】
全帯域端末の受信品質が良好な周波数チャネルが統一された周波数チャネル側に多い場合、割り当てが偏るためほぼ一定の期間で奇数と偶数のどちらに統一するかを入れ替える。もしくは、偏りが発生したときに入れ替えることにより、割り当てを分散することができ、より効率的なデータ伝送が可能になる。
【0026】
(9)また、本発明に係る無線通信装置において、前記サブキャリア電力制御部は、前記限定帯域端末の受信帯域の両端に相当する周波数チャネルが、システム帯域の低周波側から数えて奇数番目もしくは偶数番目の周波数チャネルのいずれか一方に統一されている期間において、その統一された方の周波数チャネル内のサブキャリアの一部或いは全部が、隣接する周波数チャネルのサブキャリア電力レベルよりも高くなるよう制御することを特徴としている。
【0027】
このように、全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させ、または送信電力の大きさをゼロとする通信スロットの送信電力を、限定帯域端末の受信帯域の両端に相当する周波数チャネル境界付近で相対的に低くすることができるので、限定帯域端末の制御情報においても折り返しの影響を改善することができ、復調能力がより一層改善されることとなる。
【0028】
(10)また、本発明に係る無線通信装置は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信装置であって、通信相手に周波数チャネルを割り当てる周波数チャネル割り当て部と、サブキャリア毎に変調を行なうサブキャリア変調部と、サブキャリア毎に送信電力レベルを制御するサブキャリア電力制御部と、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定する判定部と、を備え、前記判定の結果、通信相手が限定帯域端末である場合は、前記サブキャリア電力制御部は、その通信相手に対して割り当てられた周波数チャネル内の一部のサブキャリアについて送信電力をゼロとする制御を行なうことを特徴としている。
【0029】
このように、通信相手が限定帯域端末である場合は、その通信相手に対して割り当てられた周波数チャネル内の一部のサブキャリアについて送信電力をゼロとする制御を行なうので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0030】
(11)また、本発明に係る無線通信装置は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信装置であって、各通信相手から送られる受信品質情報から各サブキャリアに最適な変調レートと所要送信電力を算出する端末受信品質情報処理部と、通信相手に周波数チャネルを割り当てる周波数チャネル割り当て部と、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定する判定部と、を備え、前記端末受信品質情報処理部は、前記限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出し、前記周波数チャネル割り当て部は、前記所要送信電力を算出した端末の中から、前記限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てることを特徴としている。
【0031】
このように、限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出し、所要送信電力を算出した端末の中から、限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、限定帯域端末である通信相手との間でも、無線通信を実現することができる。
【0032】
(12)また、本発明に係る携帯端末は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう携帯端末であって、伝搬路状況を推定する伝搬路推定部と、前記伝搬路推定した伝搬路状況に基づいて、周波数チャネル内の受信品質情報を生成するデータ生成部と、を備え、前記データ生成部は、受信品質情報を生成するにあたり一部のサブキャリアに対してはその受信品質に関わらずその品質を通信不能なレベルとして通信相手に報告することを特徴としている。
【0033】
このように、受信品質情報を生成するにあたり一部のサブキャリアに対してはその受信品質に関わらずその品質を通信不能なレベルとして通信相手に報告するので、自局に割り当てられた通信スロットの周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、限定帯域端末との間で無線通信を実現する無線通信システムを構築することが可能となる。
【0034】
(13)また、本発明に係る無線通信方法は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信方法であって、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定するステップと、前記判定の結果、周波数割り当てを行なう通信相手が限定帯域端末である場合は、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、かつ、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0035】
このように、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末との間でも、無線通信を実現することができる。
【0036】
(14)また、本発明に係る無線通信方法は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信方法であって、通信相手に周波数チャネルを割り当てるステップと、通信相手の受信帯域幅を確認すると共に、その通信相手が前記システム帯域内の全周波数チャネル分を受信可能な全帯域端末であるか、または一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末であるかを判定するステップと、前記判定の結果、通信相手が限定帯域端末である場合は、前記通信相手に対して割り当てられた周波数チャネル内の一部のサブキャリアについて送信電力をゼロとするステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0037】
このように、限定帯域端末である通信相手に割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルに対して全サブキャリアの送信電力をゼロとすることによって、隣接スロットに他の通信相手をまったく割り当てないようにすることができる。その結果、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0038】
(15)また、本発明に係る無線通信方法は、システム帯域内に等周波数間隔に連続して配された複数のサブキャリアを一定数毎の組とした複数の周波数チャネルを用いるマルチキャリア伝送方式により無線通信を行なう無線通信方法であって、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出するステップと、前記所要送信電力を算出した端末の中から、前記限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てるステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0039】
このように、限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルを割り当て可能な端末の所要送信電力を算出し、所要送信電力を算出した端末の中から、限定帯域端末の送信電力より低い所要送信電力の端末に前記隣接チャネルを割り当てるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、限定帯域端末である通信相手との間でも、無線通信を実現することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、周波数割り当てを行なう通信相手が前記限定帯域端末である場合、その通信相手に対して割り当てられた受信帯域に隣接する周波数チャネルであって、他の通信相手に割り当てる周波数チャネルに対して全部または一部のサブキャリアの送信電力を減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一部の周波数のみ受信可能な限定帯域端末との間でも、無線通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】OFDMA通信システムにおけるダウンリンクの周波数チャネル配置の一例を示す図である。
【図2】OFDMA通信システムで基地局と端末とが使用するチャネルを示す図である。
【図3】処理可能な周波数チャネル数が限定された端末における折り返しによる影響を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る基地局の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る基地局におけるスケジューリング部の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。
【図7】フィルタの減衰特性の一例を示す図である。
【図8】送信電力の大きさと変調レートとの関係を示す図である。
【図9】サブキャリアと送信電力との関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。
【図11】第3の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。
【図12】第4の実施形態において、n周波数チャネルに限定した端末への周波数チャネル割当を示す図である。
【図13】第5の実施形態に係る周波数チャネル限定帯域端末への周波数チャネル割当を示す図である。
【図14】第5の実施形態において、制御スロットに対する電力制御の2種類の具体例を示す図である。
【図15】第5の実施形態において、制御スロットの電力制御と端末の割当方法の一例を示す図である。
【図16】第6の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。
【図17】第6の実施形態に係る携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【図18】第6の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【図19】第6の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【図20】第7の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。
【図21】第8の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【図22】第8の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本実施の形態に係る無線送信装置について説明する。本実施の形態では、上述したOFDMAによる通信方式を前提とする。
【0043】
図1は、OFDMA通信システムにおけるダウンリンク(以下、「DL」と呼称する。)の周波数チャネル配置の一例を示す図である。図1中、紙面に向かって右端に示すように、OFDMAでは、サブキャリアが周波数軸上に互いに直交する間隔で均一に配置される。各ユーザの必要帯域に応じてサブキャリアを最適な数だけ割当てる方式がOFDMAである。また、図1の中央に示すように、OFDMAでは、任意の数からなる1つの周波数チャネルを形成し周波数チャネル単位で割り当てを行なう場合もある。ここでは、受信機が一括して復調可能な範囲が10個の周波数チャネルで構成されている例を示している。周波数チャネル同士は、図1に示すように、原則として連続的に配置される。また、隣接する他のシステムとの干渉を抑えるために、全帯域の両側にガードバンドを配置している。これが一般的なDLの構成であるが、これを1つのユニットとして複数のユニットから構成される可能性もある。本実施の形態において、全受信帯域とはこの1ユニットを指しており、全帯域端末とはこの全帯域を一括して処理可能な端末のことを意味する。
【0044】
図2は、OFDMA通信システムで基地局と端末とが使用するチャネルを示す図である。ここでは、図1で示した10周波数チャネルからなるシステムにおいて、AとBの端末がそれぞれ5つと1つの周波数チャネルを要求するような通信を行なっている状態を示している。AもBも全帯域に渡り復調可能であるが、それぞれに割当てられた5つと1つの周波数チャネルを同時に使用することで多元接続を実現している。このように各端末は1周波数チャネルだけで十分なときもあるが、最大10周波数チャネルを要求するような広帯域伝送にも対応できるようになっている。
【0045】
一方、処理可能な周波数チャネル数を限定したシステム帯域幅よりも受信帯域を狭帯域とした端末(以下、「限定帯域端末」と呼称する。)を導入することは、端末に必要な機能に対する要求条件が下がり、省電力、低コストを実現できる。また、音声通話や低速なデータ通信で十分というユーザのニーズも大いにあると考えられ、限定帯域端末の導入は意義深いものと思われる。
【0046】
しかし、図1や図2で示したように、OFDMAは、周波数利用効率を高める目的で導入されるシステムであることから、周波数チャネル間にはIEEE802.11aの無線LANのようなガードバンドに相当する領域は設けられていない。このため、周波数チャネル方向に隣接する周波数チャネルからの干渉を受けることが懸念される。この様子を図3に示す。図3では、受信帯域が1周波数チャネル(図中ではSCと略)と3周波数チャネルの限定端末がシステム帯域内に存在する様子を示すとともに、さらに1周波数チャネルの限定帯域端末の受信側での処理を図3下側に示している。ここでは復調したい最大周波数とアナログ/ディジタル変換機(以下、「ADC」と呼称する。)のサンプリング周波数の半分が一致し、隣接チャネルの帯域幅を持ってフィルタが減衰している。その結果、図3の下側のように、折り返しによる影響を受けることなる。そこで、本実施の形態では、以下のような手法により隣接チャネルからの影響を軽減している。
【0047】
(第1の実施形態)
図4は、第1の実施形態に係る基地局の概略構成を示すブロック図である。アンテナ部1で受信された無線信号は、高周波回路およびアナログ処理部2によって無線信号から電気信号に変換され、FFT部3において、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)が行なわれる。次に、等化部4において、マルチパスによる遅延歪などによって劣化した受信波形が補正され、サブキャリア復調部5において、サブキャリア毎に復調が行なわれる。
【0048】
次に、端末受信品質情報処理部6は、各端末から受信した受信品質情報を解析する。すなわち、上記のような限定帯域端末においては、ダウンリンクの受信状況のより良い周波数チャネル、またはシステムで予め決められている周波数チャネル等の受信品質情報について一度に測定出来るのは限定帯域分だけとなっている。そして、この限定された帯域での受信情報を基地局に通知する。また、チャネルを巡回し時分割的に通知する手法を採っても良い。全帯域端末は、当然全帯域に渡って受信品質の測定が可能であり、それらを全て基地局に報告する。また、その端末にとって良い周波数チャネルの情報のみを報告する手法を採っても良い。
【0049】
また、図4において、「基地局制御装置」側から、基地局全体を制御する制御部7を介して、その基地局にアクセスしている端末が全帯域端末であるか、限定帯域端末であるかを判定すると共に、限定帯域端末であれば、何チャネルに対応可能であるかといった端末種別、またはサービス契約内容といった情報が、ユーザ情報格納部8へと入力される。また、基地局から各端末へ向けて送信されるデータはリアルタイムか否かの情報と共に、一旦送信データバッファ9へ格納される。スケジューリング部10は、これらの情報に基づいて優先順位付けを行ない、データを送信する。
【0050】
ここで、周波数チャネル割り当ての優先順位付けのための要素は、次のようなものである。「リアルタイムであるか非リアルタイムであるか」・・・リアルタイムデータ通信の方が、優先順位が高い。
「最適な帯域幅」・・・要求データ転送量が大きい方が、優先順位が高い。
「距離やマルチパスによる受信特性」・・・各端末から送られてくる周波数チャネルの受信状態の良し悪しを比較し、なるべくより多くのデータを送信できる端末にその周波数チャネルを割り当てる。
「利用サービスの種類」・・・加入者の利用サービス体系の違いにより優先順位が異なる。例えば、月額基本料金を抑えて、混雑しているときは高品質を要求しないユーザや、通話ごとに品質を選んで指定するサービスを考慮して優先順位を付ける。また、例えば、リアルタイムな放送のようなデータであるが、品質を要求しないケースでは優先順位を下げる。
【0051】
図4において、サブキャリア変調部11は、サブキャリア毎に変調を行ない、サブキャリア電力制御部12は、サブキャリア毎に送信電力を制御する。そして、IFFT部13にてIFFT処理(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)が行われ、高周波回路およびアナログ処理部2において、電気信号が無線信号に変換され、アンテナ部1から無線信号が送信される。
【0052】
図5は、第1の実施形態に係る基地局におけるスケジューリング部10の構成を示すブロック図である。基地局にアクセスしている全端末の情報を有するユーザ情報格納部8から、通信中の端末の情報が判定部10−1および端末優先順位決定部10−2に入力される。判定部10−1は、限定帯域端末であるか全帯域端末であるかを判定する。端末優先順位決定部10−2は、データのリアルタイム性や送信バッファ9に蓄積されたデータ量等に基づいて、端末間の割り当て優先順位を決定する。周波数チャネル割り当て部10−3は、判定部10−1が判定した結果、および端末優先順位決定部10−2が決定した割り当て優先順位に基づいて、各端末が使用する周波数チャネル、各サブキャリアの変調モード、そして送信電力の割り当てを行ない、これらを制御信号生成部10−4に出力する。
【0053】
制御信号生成部10−4は、周波数チャネル割り当て部10−3が割り当てた、各端末が使用する周波数チャネル、各サブキャリアの変調モード、そして送信電力を、送信データバッファ9、サブキャリア変調部11、サブキャリア電力制御部12に対して制御部7と同期して出力する。
【0054】
図6は、第1の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。基地局が、限定帯域端末への周波数チャネル割当てであると認識し、端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルの隣接側から任意の数のサブキャリアに対して送信電力の大きさを低減し、若しくはそれらのサブキャリアの送信電力の大きさをゼロとしている。例えば、図6において、処理可能な周波数チャネル数が1周波数チャネル(1SC)に限定された端末が受信可能な範囲の両隣接周波数チャネルにおいて、任意の数のサブキャリアの送信電力の大きさが低減されている。同様に、処理可能な周波数チャネル数が3周波数チャネル(3SC)に限定された端末が受信可能な範囲の両隣接周波数チャネルにおいて、任意の数のサブキャリアの送信電力の大きさが低減されている。これにより、A/D変換を行なった際に折り返しの影響があったとしても、その送信電力が小さくなっているため、折り返しの影響が軽減されている。なお、送信電力の大きさを減少させるサブキャリアの数は、OFDMA通信システムにおいて任意に設定することが可能である。
【0055】
図7は、フィルタの減衰特性の一例を示す図である。ADCの前段のローパスフィルタ(LPF)は、特性、回路規模等によってそのタイプや次数が決定される。バタワース型フィルタでは、一般に6dB×次数の減衰傾度(dB/oct.)が得られる。ここでは、簡単のために信号帯域は10MHzを直交復調することで5MHzとなり、遮断周波数も5MHz、5次のバタワースということで説明を行なう。0Hzから5MHzまで利得(減衰)0dBでフラット、5次であるため、10MHzでは、−30dBとなる。また、サブキャリアの間隔は50kHzとする。
【0056】
受信電力がフラットであると仮定した仮想モデルを考えると、最大周波数サブキャリアで折り返しが−0.15dB、次が−0.45dB、−0.75dB・・・、と妨害波となって重なることとなる。LPFのタイプとしてバタワース、ベッセル、チェビシェフ、連立チェビシェフ等の種類があり、第1の実施形態における限定帯域端末には減衰特性がより急峻な連立チェビシェフが適していると思われる。より急峻になったとしても隣接に近いサブキャリアを減衰できないことに変わりなく影響が出ることが分かる。
【0057】
なお、限定帯域端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルの隣接側から任意の数のサブキャリアに対して送信電力の大きさを低減する場合、変調レートを下げるようにしても良い。すなわち、低い変調レートで変調されるサブキャリアに対し、所定の信号対ノイズ比が得られる大きさの送信電力を割り当てるのである。これにより、送信電力の大きさを減少させると共に、通信相手に対して通信フレームを正しく復調させることができ、周波数軸方向に隣接する通信スロットから受ける影響をより減少させることが可能となる。
【0058】
図8は、送信電力の大きさと変調レートとの関係を示す図である。図8中、紙面に向かって左側には、ビット誤り率(BER)10−5を得られる、信号対ノイズ比(SNR)の一例を示している。この図の横軸には意味は無く、SNR17dB、9dB・・・であれば、各々64QAM、16QAM・・・でBER=10−5を達成できることを示している。図8中、紙面に向かって右側には、このBER特性と図7に示したフィルタの特性で、第1の実施形態を実現する一例を示している。周波数チャネル#nに限定帯域端末を割り当て、周波数チャネル#n+1には全帯域端末が割当てられたケースである。
【0059】
このとき、限定帯域端末で16QAMが確保出来るように、#n+1内の最も#nよりのサブキャリアから順次−9.15、−8.85、−8.55dB・・・−0.45、−0.15、0dBと電力を割り与える。この例では32本目のサブキャリアで0dBとなる。また、変調は変調なし、BPSK、QPSK、32本目のサブキャリアで16QAMが割当てられる。ここまで、周波数チャネルの片側のみで述べてきたが、全帯域のどちらかの端の周波数チャネルが割当てられていない場合には当然限定帯域端末へ割当てられた周波数チャネルの両隣接周波数チャネルで同様に実施されることになる。
【0060】
これはあくまでも一例であり、前述のように更に急峻なフィルタを適用すれば電力割当ての増加率は大きくなり対応が必要となるサブキャリアの本数は減ることになるし、その他にもサブキャリアの間隔、受信機が要求するSNRの差異、SNRのマージンなどによっても異なることになる。また、各端末の要求伝送量によっては、限定帯域端末が帯域内の端サブキャリアまで必要としない場合もあり、その分を全帯域端末に割当てることも考えられる。これはシステムの設計時に各システムで決定されることとなる。
【0061】
図8のように送信電力を割当てることで、周波数チャネル#nを割当てられた限定帯域端末では、図9に示すような受信信号を得ることができる。これにより、この例では帯域内で16QAMを確保できるSNRを得ている。
【0062】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係るOFDMA通信システムにおけるDLの周波数チャネル配置の一例を示す図である。基地局が、周波数チャネル限定帯域端末への周波数チャネル割当てであると認識し、端末の受信帯域に隣接する周波数チャネルのすべてのサブキャリアに対して送信電力の大きさをゼロとしている。つまり、対応するサブキャリアを周波数チャネル分全てに拡大し、さらに電力を割当てないのと等価である。このことは、第1の実施形態では、あくまで隣接周波数チャネルに他ユーザを割当てた上で行なうのに対して、第2の実施形態では、隣接する周波数チャネルに他のユーザを最初から割当てないということで異なっている。
【0063】
例えば、図10において、処理可能な周波数チャネル数が1周波数チャネル(1SC)に限定された限定帯域端末が受信可能な範囲の両隣接する周波数チャネルにおいて、すべてのサブキャリアの送信電力の大きさがゼロとなっている。同様に、処理可能な周波数チャネル数が3周波数チャネル(3SC)に限定された限定帯域端末が受信可能な範囲の両隣接する周波数チャネルにおいて、すべてのサブキャリアの送信電力の大きさがゼロとなっている。これにより、A/D変換を行なった際に、折り返すこととなるサブキャリアの送信電力の大きさがゼロとなっているため、折り返しの影響がより軽減されている。
【0064】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。第1および第2の実施形態では、周波数軸での割り当てを基本に説明してきた。しかし、各通信相手への周波数チャネルの割り当ては、一定時間長のシンボル複数で定められる期間を時間チャネルとし、複数の時間チャネルと複数の周波数チャネルとから構成される通信フレームと呼ばれる単位を基本に行なう方法もある。つまり、1フレームの中から時間チャネルおよび周波数チャネルで特定される通信スロットの中で各通信相手に最適なスロットを割り当てる方法で、これ以降はこの通信フレーム単位での割り当てに本発明を適用した説明も交えることとする。この通信フレームは、周波数チャネルとして10個の周波数チャネルと、時間チャネルとして10個のタイムスロットを1フレームとした構成で説明する。そして、限定帯域端末として、1周波数チャネル限定帯域端末2台と2周波数チャネル限定帯域端末1台を割当てている。周波数チャネル#2のタイムスロット5番目から7番目にかけて1周波数チャネル限定帯域端末の1ユーザを割り当てており、10番目に別のユーザを割当てている。端末から限定帯域端末であることを通知された基地局は、周波数チャネル#1と#3のタイムスロット5から7と10に、第1の実施形態または第2の実施形態で説明した通信スロットを割当てる。
【0065】
すなわち、第1の実施形態では、限定帯域端末に割り当てられた通信スロットの周波数チャネル方向に隣接する通信スロットのサブキャリアのうち、任意の数のサブキャリアに割り当てる送信電力の大きさを小さくした。また、第2の実施形態では、限定帯域端末に割り当てられた通信スロットの周波数チャネル方向に隣接する通信スロットのすべてのサブキャリアに割り当てる送信電力の大きさをゼロとした。図11では、第1および第2の実施形態で説明した通信スロットを対策用スロットと呼称している。
【0066】
同様に、周波数チャネル#9と#10のタイムスロット4に2周波数チャネル限定帯域端末のユーザが割当てられている。このときは、周波数チャネル#10の外(周波数チャネル方向に、周波数チャネル#9の反対側)にはガードバンドが存在することから、周波数チャネル#8のみが対策用スロットとなる。第1および第2の実施形態のように、適応的に隣接スロットに対策を施すことで、周波数利用効率を高めつつ、限定帯域端末を同一のシステムに導入することが可能となる。
【0067】
(第4の実施形態)
図12は、n周波数チャネルに限定した端末への周波数チャネル割当を示す図である。ここでは、全周波数帯域の両端の周波数チャネルを、限定帯域端末に対して優先的に割り当てる。この図12では、周波数チャネル#1もしくは#10側から割り当てている。第5の実施形態によれば、対策用スロットを施す必要がある周波数チャネルは片側隣接のみとなり、スロットをより有効に利用できる。
【0068】
(第5の実施形態)
図13は、第5の実施形態に係る限定帯域端末への周波数チャネル割当を示す図である。図13中、紙面に向かって左側に示したように、予めサブキャリア限定数に対して専用周波数チャネルを設定しておく。さらに限定帯域端末は、できるだけ同一のタイムスロットを使用するように、連接するように割り当てる。これにより、対策用スロットを共通化することができ、通信スロットの利用効率が高まる。
【0069】
一般に、フレームの先頭には制御用のスロットが設けられる。これは周波数チャネル毎に、どのタイムスロットにどのユーザを割当てるといった情報が必要であるため、全ユーザが自局の周波数チャネル分の制御情報を復調できる必要がある。このデータは低変調レートで変調されることから、限定帯域端末が混在する環境においても全端末が特に問題なく復調できるものと考えられる。しかし、図13のように割り当てることにより、対策用スロットが入る周波数チャネルを固定できるので制御用スロットの電力等を対策用スロットと異ならせることも可能になる。
【0070】
図14は、この制御スロットの電力制御の具体例を2種類示している。ここでは、図13とは異なり、1限定帯域端末用のスロットが全帯域に渡って配置されたフレーム構成、つまり一周波数チャネルおきに対策用スロットが入るフレーム構成を例として示している。この様に配する事で、1、3、5・・・の奇数周波数チャネルに限定された端末に対応可能である。2、4、6・・・の偶数限定帯域端末へは対応できないものの最低の1周波数チャネルに限定した端末に対応できているので、間が飛んでいても本質に影響は無い。
【0071】
このように、対策用周波数チャネル(対策用スロット)が固定であることで、図のように対策用の周波数チャネル内の電力を一定レベル絞る、または帯域内の両端へ向かって電力を絞る等により対策用スロットの電力が周波数チャネル境界付近で隣接周波数チャネルの隣接する境界付近の電力より相対的に低くなるように対応することで、限定帯域端末の制御情報においても折り返しの影響を改善でき復調能力がより一層改善されることとなる。また、図14からも分かるように、帯域全体に渡って限定帯域端末の選択候補周波数チャネルを配置することが可能となり、全帯域から受信状態の良い周波数チャネルを選択しやすくなる。全帯域端末にとっても低変調レートということで電力が低くとも影響は無いと考えられる。
【0072】
この図14では、偶数番目の周波数チャネルを対策用周波数チャネルとしたが、当然任意のタイミングで奇数偶数を入れ替えることも考えられる。また、全周波数チャネルの数が奇数となればより最適な割当てを行なうことができる。
【0073】
図15は、制御スロットの電力制御と端末の割当方法の一例を示す図である。周波数チャネルの割当ては図14と同様である。よって、制御チャネルの電力は、1周波数チャネルごとに大小を繰り返している。このフレームで1、3、5限定帯域端末がどのように割当てられるか示している。このパターンで制御チャネルの電力制御を行なうことで、全てのチャネルに制御情報を送ることができると共に、各限定帯域端末は、全帯域にほぼ均等に存在することができる。
【0074】
(第6の実施形態)
図16は、第6の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。基地局は、n限定帯域端末に割り当てる周波数チャネルに隣接する周波数チャネルを他の端末に割当てる際には、その限定帯域端末が受信可能な周波数範囲の両端から内側へ任意の数のサブキャリアに電力を与えない。これは、任意の数のサブキャリアについて、品質が悪いという情報を基地局に対して通知することによって、限定帯域端末が主導で該当サブキャリアへ電力の割当てを行わない方式である。
【0075】
このような端末について、図17を参照して説明する。図17は、第6の実施形態に係る携帯端末の概略構成を示すブロック図である。アンテナ部161で受信された無線信号は、高周波回路部162で高周波信号からベースバンド信号に変換され、伝搬路での歪を推定する伝搬路推定部163とFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)が行なわれるにFFT部164に分配される。次に等化部165において、マルチパスによる遅延歪などによって受信信号の劣化を伝搬路推定結果に基づいて補正され、サブキャリア復調部166において、サブキャリア毎に復調が行なわれる。
【0076】
また、端末受信品質情報データ生成部167は、伝搬路推定部163からの情報に基づいて受信品質情報を生成する。端末受信品質情報データ生成部167によって生成されたデータは制御部168において送信データの一部として送信信号処理部169、高周波回路部162、および161アンテナ部を介し通信相手へと送信される。
【0077】
図17に示す携帯端末から希望周波数チャネルとその周波数チャネル内の下側b本と上側b本については、常時受信状態が悪いという情報を基地局に対して送信する。これにより、基地局は隣接周波数チャネルへの割当てを考慮する必要が無くなる。
【0078】
図18および図19は、第6の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。同図において、「k」は0または1であり、割り当て開始直後“0”のみとなる。kにより全端末の要求伝送帯域を求めるとともに限定帯域端末に仮割り当てを行なう。「i」は整数であり、端末の数だけループを回し、優先順位を決定する。「j」は整数であり、そのときの優先順位1番の端末を検索する際に使用する。「B」は割り当て残となっている端末からの要求伝送帯域の合計を表わす。
【0079】
まず、最初ループで端末ごとの優先順位を判断すると共に全体の所要ビットレートを求める。すなわちk=0、B=0とし(ステップT1)、i=1とする(ステップT2)。次に、k=0であるかどうかを判断し(ステップT3)、k=0である場合は、MT(i)=FSCT(全帯域端末)であるかどうかを判断する(ステップT4)。MT(i)=FSCTでない、つまりLSCTである場合は、そのLSCT(限定帯域端末)に希望する周波数チャネルの必要タイムスロットを仮割り当てする(ステップT5)。ステップT4において、MT(i)=FSCTである場合は、ステップT6へ移行する。
【0080】
次に、B=B+RBR(i)(i番目の端末の要求伝送帯域)とし、MT(i)に優先順位1からNMT(アクセス中の端末数)までを与える(ステップT7)。次に、i=NMTであるかどうかを判断し(ステップT8)、i=NMTでない場合は、i=i+1として(ステップT9)、ステップT3へ移行する。一方、ステップT8において、i=NMTである場合は、B>TLIM(トラフィック混雑度の判断基準値)であるかどうかを判断し(ステップT10)、B>TLIMでない場合は、全LSCTの仮割り当てスロットを本割り当てとする(ステップT11)。すなわち、C=NMT−全LSCT数とする。そして、FSCTに希望周波数チャネルの必要タイムスロットを割り当て、不足である場合は、希望していない周波数チャネルも割り当てて補い(ステップT12)、終了する。
【0081】
次に、ステップT10において、B>TLIMである場合は、j=1とし(ステップT13)、MT(j)=1であるかどうかを判断する(ステップT14)。MT(j)=1でない場合は、j=j+1として(ステップT15)、ステップT14へ移行する。一方、ステップT14において、MT(j)=1である場合は、FSCTであるかどうかを判断する(ステップT16)。FSCTである場合は、希望の空き周波数チャネルがあるかどうかを判断し(ステップT17)、希望の空き周波数チャネルがある場合は、希望の周波数チャネルの1スロットを割り当てる(ステップT18)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートbを入力する。
【0082】
ステップT16において、FSCTでない場合は、MT(j)の仮割り当てスロットがあるかどうかを判断し(ステップT19)、MT(j)の仮割り当てスロットがある場合は、仮割り当てスロットを本割り当てとする(ステップT20)。また、ステップT19において、仮割り当てスロットがない場合は、割り当てなしとする(ステップT21)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートzを入力する。
【0083】
また、ステップT17において、希望の空き周波数チャネルがない場合は、受信状態の良好な他の空き周波数チャネルがあるかどうかを判断する(ステップT22)。受信状態の良好な他の空き周波数チャネルがある場合は、その周波数チャネルの1スロットを割り当てる(ステップT23)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートcを入力する。
【0084】
ステップT22において、受信状態の良好な他の空き周波数チャネルがない場合は、LSCTへの仮割り当て周波数チャネルでは受信状態が良好であるかどうかを判断する(ステップT24)。LSCTへの仮割り当て周波数チャネルでは受信状態が良好である場合は、その周波数チャネルの1スロットを割り当てる(ステップT25)。すなわち、1スロット割当てARBにこの割当てで得られたビットレートdを入力する。
【0085】
次に、B=B−ABR、RBR(j)=RBR(j)−ABRとし(ステップT26)、B=0であるかどうかを判断する(ステップT27)。B=0である場合は、割り当て可能な空きスロットがあるかどうかを判断し(ステップT28)、割り当て可能な空きスロットがある場合は、k=1として(ステップT29)、ステップT2へ移行する。一方、ステップT27において、B=0である場合、また、ステップT28において、割り当て可能な空きスロットがない場合は、終了する。
【0086】
(第7の実施形態)
図20は、第7の実施形態に係るOFDMA通信システムにおける通信フレームの一例を示す図である。第7の実施形態では、基地局は、端末毎に受信電力を検出する。そして、限定帯域端末が割当てられた周波数チャネルにおいて、隣接チャネルに他の端末を割当てる際は、基地局に近い等により受信電力が高い端末を割り当てる。そして、そのスロットの送信電力を、限定帯域端末に割り当てられた周波数チャネルの電力より低く設定する。このような送信電力の制御は、上記各実施形態と併用することも可能である。
【0087】
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、第1、第2および第7の実施形態の機能を併せ持つことを特徴としている。図21および図22は、第8の実施形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。同図において、「k」はループごとに処理する優先順位をインクリメントする。「i」は整数であり、端末の優先順位の決定や、優先順位順に処理するためのループに用いる。「B」は割り当て残となっている端末からの要求伝送帯域の合計を表わす。「NLSC」は限定帯域端末の限定周波数チャネル数を表わす。「NRSC」は各端末が要求している周波数チャネル数を表わす。「GBH」は0または1であり、上(周波数の高い)側隣接周波数チャネルへの対策を”1”なら実施、”0”なら不要を表わす。「GBL」は0または1であり、下(周波数の低い)側隣接周波数チャネルへの対策を”1”なら実施、”0”なら不要を表わす。なお、図21および図22における「k」および「i」は、図18および図19における「k」および「i」とは異なる意味で使用している。
【0088】
図21および図22に示すように、まず、最初のループで端末ごとの優先順位を判断すると共に全体の所要ビットレートを求める。すなわち、端末記号i=1、その端末の要求伝送帯域B=0とし(ステップS1)、アクセス中の端末MT(i)に優先順位1からNMT(アクセス中の端末数)までを与える(ステップS2)。次に、B=B+RBR(i)(i番目の端末の要求伝送帯域)を算出し(ステップS3)、i=NMTであるかどうかを判断する(ステップS4)。i=NMTでない場合は、i=i+1として(ステップS5)、ステップS2へ移行する。
【0089】
一方、ステップS4において、i=NMTである場合は、B<TLIM(トラフィック混雑度の判断基準値)であるかどうかを判断する(ステップS6)。B<TLIMでない場合、すなわち、トラフィックが混雑している場合は、限定帯域端末には全帯域の両端にあたる周波数チャネルを割り当てると共に、全帯域端末は帯域の内よりを割当てることを通知する(ステップS7)。この通知が無いときは各端末での受信状況の良い周波数チャネルを使う。
【0090】
次に、i=1、k=1とし(ステップS8)、MT(i)=kであるかどうかを判断する(ステップS9)。MT(i)=kでない場合は、i=i+1として(ステップS10)、ステップS9へ移行する。一方、MT(i)=kである場合は、その端末がFSCT(全帯域端末)であるかどうかを判断し(ステップS11)、その端末がFSCTである場合は、GBHとGBLを0とする(ステップS12)。
【0091】
一方、ステップS11において、その端末がFSCTでない場合、すなわち、LSCT(限定帯域端末)である場合は、最大、最小要求チャネルの間隔が限定チャネル数より2周波数チャネル分以上狭ければ、限定帯域の両側を割当てないように設定することで帯域外に対策用周波数チャネルを確保する必要は無いためこれもGBH、GBLは0となる。すなわち、(RSC#max−RSC#min)≦(NLSC−2)であるかどうかを判断し(ステップS13)、(RSC#max−RSC#min)≦(NLSC−2)である場合は、GBH=0、GBL=0とし(ステップS14)、NRSC=NRSC+2、RSC#にRSC#max+1とRSC#min−1を追加する(ステップS15)。
【0092】
また、最大、最小要求チャネルの間隔が1周波数チャネル分しかなく、要求周波数チャネルが全帯域の端を含んでいない場合は、両側に対策周波数チャネルを確保しなくてはならないためGBH、GBLは共に1とする。すなわち、ステップS13において、(RSC#max−RSC#min)≦(NLSC−2)でない場合は、RSC#にSCH#minかSCH#maxを含むかどうかを判断し(ステップS16)、RSC#にSCH#minかSCH#maxを含まない場合は、GBH=1、GBL=1とする(ステップS17)。
【0093】
また、ステップS16において、RSC#にSCH#minかSCH#maxを含む場合は、RSC#がSCH#minを含むかどうかを判断し(ステップS19)、含む場合は、GBH=1、GBL=0とし(ステップS19)、含まない場合は、GBH=0、GBL=0となる(ステップS20)。
【0094】
そして、端末が要求周波数チャネルを必要ビットレート分確保できるまでタイムスロットを割当てる。すなわち、GBL=0であるかどうかを判断し(ステップS21)、GBL=0である場合は、GBH=0であるかどうかを判断する(ステップS22)。GBH=0でない場合は、端末の要求SCH(周波数チャネル)とそれを含む限定帯域幅の上側で隣接するSCHを同タイムスロット文割り当てる(ステップS24)。一方、ステップS22において、GBH=0である場合は、端末の要求SCHを必要タイムスロット分割り当てる(ステップS25)。
【0095】
ステップS21において、GBL=0でない場合は、GBH=0であるかどうかを判断する(ステップS23)。GBH=0である場合は、端末の要求SCHとそれを含む限定帯域幅の下側で隣接するSCHを同タイムスロット分割り当てる(ステップS26)。一方、ステップS23において、GBH=0でない場合は、端末の要求SCHとそれを含む限定帯域幅の両側で隣接するSCHを同タイムスロット分割り当てる(ステップS27)。
【0096】
次に、要求周波数チャネルに空きスロットが無いときは、割当て済みの全帯域端末を他の周波数チャネルへ動かせないか検討し候補があれば入れ換え対応する(ステップS28)。この一連の作業を端末の数だけ繰り返す。すなわち、k=NMTであるかどうかを判断し(ステップS29)、k=NMTでない場合は、k=1+1,i=1として(ステップS30)、ステップS9へ移行する。一方、ステップS29において、k=NMTである場合は、終了する。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態によれば、通信相手が通信フレーム内で限定された数の周波数チャネルのみを使用可能である場合、通信フレーム内でその通信相手に対して割り当てられた通信スロットの周波数チャネル側に隣接し上記通信相手に対して割り当てられていない通信スロットに対応する全部または一部のサブキャリアの送信電力の大きさを減少させるので、通信相手において低消費電力化のために低いサンプリング周波数を使用した場合も、周波数チャネル方向に隣接する通信スロットから受ける影響を減少させることが可能となる。これにより、一括処理できる周波数帯域が限定された通信相手との間でも、無線通信を実現することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 アンテナ部
2 高周波回路およびアナログ処理部
3 FFT部
4 等化部
5 サブキャリア復調部
6 端末受信品質情報処理部
7 制御部
8 ユーザ情報格納部
9 送信データバッファ
10 スケジューリング部
10−1 判定部
10−3 周波数チャネル割り当て部
11 サブキャリア変調部
12 サブキャリア電力制御部
13 IFFT部
161 アンテナ部
162 高周波回路部
163 伝搬路推定部
164 FFT部
165 等化部
166 サブキャリア復調部
167 受信品質情報データ生成部
168 制御部
169 送信信号処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム周波数帯域に複数の周波数チャネルが含まれ、前記周波数チャネルが等間隔で配置される複数のサブキャリアで構成される無線通信システムに適用され、少なくとも一つの周波数チャネルで構成されるOFDM信号を送信する送信装置であって、
送信先のOFDM信号受信装置が、前記システム周波数帯域に含まれるすべての周波数チャネルを受信可能な全帯域受信装置であるか、または前記システム周波数帯域よりも周波数帯域幅が狭く、1つの周波数チャネルまたは複数の連続する周波数チャネルから構成される限定周波数帯域のみを受信可能な限定帯域受信装置であるかを判断し、
前記判断の結果、前記OFDM信号受信装置が前記限定帯域受信装置である場合は、前記限定周波数帯域を用いて前記OFDM信号受信装置にデータを送信することを特徴とする送信装置。
【請求項1】
システム周波数帯域に複数の周波数チャネルが含まれ、前記周波数チャネルが等間隔で配置される複数のサブキャリアで構成される無線通信システムに適用され、少なくとも一つの周波数チャネルで構成されるOFDM信号を送信する送信装置であって、
送信先のOFDM信号受信装置が、前記システム周波数帯域に含まれるすべての周波数チャネルを受信可能な全帯域受信装置であるか、または前記システム周波数帯域よりも周波数帯域幅が狭く、1つの周波数チャネルまたは複数の連続する周波数チャネルから構成される限定周波数帯域のみを受信可能な限定帯域受信装置であるかを判断し、
前記判断の結果、前記OFDM信号受信装置が前記限定帯域受信装置である場合は、前記限定周波数帯域を用いて前記OFDM信号受信装置にデータを送信することを特徴とする送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−100316(P2012−100316A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283920(P2011−283920)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2010−24593(P2010−24593)の分割
【原出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2010−24593(P2010−24593)の分割
【原出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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