説明

送受信システム

【課題】中継器と複数の通信路とを有する送受信システムにおいて、通信品質の不良が生じている通信経路でのフレーム転送効率の低下を効果的に抑制可能とする送受信システムを得ること。
【解決手段】データを送受信する二局と、二局の間にてデータの送受信を中継する中継器3と、二局のうちデータを送信する側である送信器1と、中継器3との間において、互いに並列させて設定された複数の通信路A1、A2、A3と、二局のうちデータを受信する側である受信器2と、中継器3との間において、互いに並列させて設定された複数の通信路B1、B2、B3と、を有し、送信器1は、データを複数のパケットに分割し、送信器1および中継器3の少なくとも一方は、同一のパケットから複製された複製パケットの各々について、複数の通信路のうち互いに異なる通信路を順次選択して送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器および中継器の間に並列させた複数の通信路と、中継器および受信器の間に並列させた複数の通信路とにおいてパケットの送受信を行う送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パケット通信ネットワークにおいて、通信品質の不良が生じている通信経路でのフレーム転送効率の低下を抑制させる方法として、例えば、特許文献1に開示されたデータ転送方法が知られている。このデータ転送方法によると、送信器および受信器の間に複数の通信路を設定し、同一のパケットから複製された複数のパケットを、各通信路から1つずつ同時に送信する。受信器は、複数の通信路から送信された複数のパケットのうち、最初に正しく受信したパケットについて受信処理を行い、後から到着する重複パケットを廃棄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−303257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術によるデータ転送では、同一のパケットから複製された複数のパケットを、複数の通信路により同時に送出する必要がある。コピーパケットを必要としないフレーム送信(シングルフレーム送信)が存在する場合、その送信が完了するまで、コピーパケットの同時送信(マルチフレーム送信)を待機させる必要がある。このことにより通信路の使用効率が低下するために、フレーム転送効率の実質的な向上が困難となる。
【0005】
また、パケットの正常受信、廃棄、再送要求の判断は全て受信器が行うことで、特に、送信器と受信器との間の中継器によりデータ送信を中継する場合に、パケットを伝送させる時間が長くなる分、受信器での判断までの時間が長くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の通信路および中継器を有する送受信システムにおいて、通信品質の不良が生じている通信経路でのフレーム転送効率の低下を効果的に抑制可能とする送受信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、データを送受信する二局と、前記二局の間にてデータの送受信を中継する中継器と、前記二局のうちデータを送信する側である送信器と、前記中継器との間において、互いに並列させて設定された複数の通信路と、前記二局のうちデータを受信する側である受信器と、前記中継器との間において、互いに並列させて設定された複数の通信路と、を有し、前記送信器は、データを複数のパケットに分割し、前記送信器および前記中継器の少なくとも一方は、同一のパケットから複製された複製パケットの各々について、複数の前記通信路のうち互いに異なる通信路を順次選択して送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、同一のパケットから複製された複製パケットについて、互いに異なる通信路を割り当てて順次送出可能とすることで、例えばシングルフレーム送信の完了に先立ち、空いている通信路から順次複製パケットの送出を開始させることができる。送受信システムは、通信路の効率的な使用が可能となることで、通信の品質不良が生じている通信経路でのフレーム転送効率の低下を効果的に抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明にかかる送受信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態1によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図3】図3は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態2によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態3によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図5】図5は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態4によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、正常に受信した複製パケットの数が閾値に達しない場合の動作例を説明するシーケンス図である。
【図7】図7は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態5によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、同一のパケットから複製された複製パケットの全てがいずれも正常に受信されなかったために再送要求を出力する場合の動作例を説明するシーケンス図である。
【図9】図9は、正常に受信されなかった複製パケットの数が閾値に達することで再送要求を出力する場合の動作例を説明するシーケンス図である。
【図10】図10は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態6によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、中継器が保持する通信路選択テーブルの初期状態の例を示す図である。
【図12】図12は、使用禁止命令に応じて通信路選択テーブルを更新する例を示す図である。
【図13】図13は、通信を停止している通信路を復帰させるための手順を説明するシーケンス図である。
【図14】図14は、通信フォーマットの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる送受信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明にかかる送受信システムの概略構成を示すブロック図である。送受信システムは、データを送受信する二局である送信器1および受信器2と、二局の間にてデータの送受信を中継する中継器3とを有する。
【0012】
複数の通信路A1、A2、A3は、二局のうちデータを送信する側である送信器1と、中継器3との間において、互いに並列させて設定されている。通常、送信器1および中継器3の間の通信環境は、例えば、経路長、温度、気圧、振動、ノイズ等により、通信路A1、A2、A3ごとに大きく異なっている。
【0013】
複数の通信路B1、B2、B3は、二局のうちデータを受信する側である受信器2と中継器3との間において、互いに並列させて設定されている。通常、中継器3および受信器2の間の通信環境は、例えば、経路長、温度、気圧、振動、ノイズ等により、通信路B1、B2、B3ごとに大きく異なっている。
【0014】
送信器1は、送信すべきデータを複数の断片データ(パケット)に分割する。送信器1は、例えば、複数の通信路A1、A2、A3のうちの1つへパケットを送出する。中継器3は、送信器1が送出したパケットを受け取ると、パケットを正常に受信したか否かを、CRCエラーの有無等により確認する。
【0015】
通信路A1、A2、A3は、通信環境が悪いことで、訂正できない程度にまでデータ化けを生じさせる場合がある。そのような異常があった場合、中継器3は、送信器1へ再送要求を送出する。送信器1は、中継器3からの再送要求に応じて再度送信動作を行う。なお、送信器1と中継器3との間に設けられる通信路は複数であれば良く、3つである場合に限られない。
【0016】
中継器3は、パケットが正常であることを確認すると、例えば、複数の通信路B1、B2、B3のうちの1つへパケットを送出する。受信器2は、中継器3が送出したパケットを受け取ると、パケットを正常に受信したか否かを、CRCエラーの有無等により確認する。異常があった場合、受信器2は、中継器3へ再送要求を送出する。中継器3は、受信器2からの再送要求に応じて再度送信動作を行う。なお、受信器2と中継器3との間に設けられる通信路は複数であれば良く、3つである場合に限られない。
【0017】
送受信システムは、送受信するデータの重要度に応じて、なるべく再送によらず確実な送受信を望む場合は、1つのパケットから複製された複数の複製パケットを送信する。複製パケットには、ユニークな複製番号が付される。また、複製パケットには、複製元のパケットを示すパケット番号が付される。複製パケット同士でパケット番号が同一であることは、それらが同一のパケットから複製されたことを表している。
【0018】
実施の形態1.
図2は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態1によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。送信器1は、送信すべきデータを複数のパケットに分割する(ステップS11)。
【0019】
送信器1は、複製パケットの作成と、複数の通信路から選択した通信路への複製パケットの送出とを順次繰り返す。送信器1は、同一のパケットから複製された複製パケットの各々について、複数の通信路のうち互いに異なる通信路を伝送するように、通信路を割り当てる。送信器1は、同一のパケット番号を持つ複製パケットを送出する通信路に重複が生じないように、通信路を随時選択していく。この例では、送信器1は、同一のパケットから複製された3つの複製パケット#1、#2、#3について、複製パケット#1には通信路A1、複製パケット#2には通信路A2、複製パケット#3には通信路A3をそれぞれ割り当てるとする。
【0020】
中継器3は、送信器1から受け取った複製パケットを、複数の通信路から選択した通信路へ順次送出する。中継器3は、同一のパケットから複製された複製パケットの各々について、複数の通信路のうち互いに異なる通信路を伝送するように、通信路を割り当てる。中継器3は、同一のパケット番号を持つ複製パケットを送出する通信路に重複が生じないように、通信路を随時選択していく。この例では、中継器3は、通信路A1から受信した複製パケット#1には通信路B1、通信路A2から受信した複製パケット#2には通信路B2、通信路A3から受信した複製パケット#3には通信路B3を、それぞれ割り当てるとする。
【0021】
送信器1は、複製パケット#1を作成すると、通信路A1へ複製パケット#1を送出する(ステップS12)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#1を受け取り、通信路B1へ送出する(ステップS13)。例えば、ステップS13において中継器3から送出された複製パケット#1が、通信路B1で消失したとする。
【0022】
送信器1は、複製パケット#1の作成および通信路A1への送出に続いて、複製パケット#2を作成し、通信路A2へ送出する(ステップS14)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#2を受け取り、通信路B2へ送出する(ステップS15)。受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#2を受け取る。受信器2は、複製パケット#2の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により確認し、複製パケット#2の受信を完了する(ステップS16)。
【0023】
送信器1は、複製パケット#2の作成および通信路A2への送出に続いて、複製パケット#3を作成し、通信路A3へ送出する(ステップS17)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#3を受け取り、通信路B3へ送出する(ステップS18)。受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#3を受け取る。
【0024】
受信器2は、複製パケット#3に付されたパケット番号が、既に受信した複製パケット#2に付されたパケット番号と同じであることを確認すると、複製パケット#2と重複する情報を持つものとして複製パケット#3を廃棄する(ステップS19)。このように、受信器2は、同一のパケットから複製された複数の複製パケットを中継器3から受信した場合に、当該複数の複製パケットのうち最初に受信した複製パケット以外の複製パケットを廃棄する。また、受信器2は、複製パケットを受け取った際に異常が確認された場合は、当該複製パケットを廃棄する。なお、送信器1が複製パケットの作成と、複数の通信路から選択した通信路への複製パケットの送出とを繰り返す回数は、送信すべきデータの重要度等に応じて適宜設定可能であるものとする。
【0025】
送受信システムは、送信器1から中継器3、中継器3から受信器2のそれぞれにおいて、同一のパケットから複製された複製パケットについては異なる通信路を選択して送出することで、重要度が高いとされるデータを再送無しで確実に送受信することができる。また、送受信システムは、送信器1では作成した複製パケットを通信路から順次送出するとともに、中継器3では受け取った複製パケットを通信路から順次送出することで、同一のパケットから複製された複製パケットを同時に送出する場合に比較して通信路の効率的な使用が可能となる。これにより、送受信システムは、通信の品質不良が生じている通信経路でのフレーム転送効率の低下を効果的に抑制させることができる。
【0026】
実施の形態2.
図3は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態2によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。送信器1は、送信すべきデータを複数のパケットに分割する(ステップS21)。
【0027】
送信器1は、分割により得たパケットを、複数の通信路のうちの1つ、例えば通信路A1から送出する(ステップS22)。中継器3は、送信器1からパケットを受け取ると、複製パケットの作成と、複数の通信路から選択した通信路への複製パケットの送出とを順次繰り返す。この例では、中継器3は、同一のパケットから複製された2つの複製パケット#1、#2を、通信路B1、B2へ順次送出する。
【0028】
中継器3は、複製パケット#1を作成すると、通信路B1へ複製パケット#1を送出する(ステップS23)。受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#1を受け取る。受信器2は、複製パケット#1の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により確認し、複製パケット#1の受信を完了する(ステップS24)。
【0029】
中継器3は、複製パケット#1の作成および通信路B1への送出に続いて、複製パケット#2を作成し、通信路B2へ送出する(ステップS25)。受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#2を受け取る。
【0030】
受信器2は、複製パケット#2に付されたパケット番号が、既に受信した複製パケット#1に付されたパケット番号と同じであることを確認すると、複製パケット#1と重複する情報を持つものとして複製パケット#2を廃棄する(ステップS26)。受信器2は、同一のパケットから複製された複数の複製パケットを中継器3から受信した場合に、当該複数の複製パケットのうち最初に受信した複製パケット以外の複製パケットを廃棄する。また、受信器2は、複製パケットを受け取った際に異常が確認された場合は、当該複製パケットを廃棄する。なお、中継器3が複製パケットの作成と、複数の通信路から選択した通信路への複製パケットの送出とを繰り返す回数は、送信すべきデータの重要度等に応じて適宜設定可能であるものとする。
【0031】
本実施の形態では、送受信システムは、中継器3および受信器2の間でのフレーム転送効率の低下を効果的に抑制させることができる。送受信システムは、送信器1から中継器3、中継器3から受信器2の少なくとも一方において、同一のパケットから複製された複製パケットについて異なる通信路を選択して送出するものであれば良い。送受信システムは、送信器1から中継器3、中継器3から受信器2の少なくともいずれかにおいて、複製パケットに対して互いに異なる通信路を選択して送出することで、フレーム転送効率を低下させる効果を得ることができる。
【0032】
実施の形態3.
図4は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態3によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。送信器1は、送信すべきデータを複数のパケットに分割する(ステップS31)。
【0033】
送信器1は、複製パケットの作成と、複数の通信路から選択した通信路への複製パケットの送出とを順次繰り返す。この例では、送信器1は、同一のパケットから複製された3つの複製パケット#1、#2、#3を、通信路A1、A2、A3へ順次送出する。
【0034】
中継器3は、中継器3および受信器2の間に設定された各通信路B1、B2、B3に対応する送信バッファを備える。中継器3は、送信器1から受け取った複製パケットを、複数の通信路から選択された通信路に対応する送信バッファへ登録する。この例では、送信器1は、同一のパケットから複製された3つの複製パケット#1、#2、#3を、通信路B1、B2、B3に対応する送信バッファへ振り分けて登録する。
【0035】
送信器1は、複製パケット#1を作成すると、通信路A1へ複製パケット#1を送出する(ステップS32)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#1を受け取ると、通信路B1に対応する送信バッファに複製パケット#1を登録する(ステップS33)。次に、中継器3は、当該送信バッファから複製パケット#1を読み出し、通信路B1へ送出する(ステップS34)。
【0036】
受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#1を受け取る。受信器2は、複製パケット#1の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により確認し、複製パケット#1の受信を完了する(ステップS35)。受信器2は、中継器3から複製パケット#1を受信したことに応じて、複製パケット#1についての受信完了通知を中継器3へ送出する(ステップS36)。
【0037】
送信器1は、複製パケット#1の作成および通信路A1への送出に続いて、複製パケット#2を作成し、通信路A2へ送出する(ステップS37)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#2を受け取り、通信路B2に対応する送信バッファに複製パケット#2を登録する(ステップS38)。
【0038】
例えば、中継器3は、送信バッファに複製パケット#2を登録した後に、受信器2からの受信完了通知(ステップS36)を受け取ったとする。中継器3は、送信バッファに登録した複製パケット#2のパケット番号が、受信完了通知に示された複製パケット#1のパケット番号と同じであることを確認すると、送信バッファに登録されている複製パケット#2を削除する(ステップS39)。また、中継器3は、受信器2から受け取った受信完了通知を、送信器1へ送出する(ステップS40)。送信器1は、中継器3からの受信完了通知を受け取る。
【0039】
送信器1は、複製パケット#2の作成および通信路A2への送出に続いて、複製パケット#3を作成し、通信路A3へ送出する(ステップS41)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#3を受け取る。例えば、中継器3は、受信器2からの受信完了通知(ステップS36)を受け取った後に複製パケット#3を受け取ったとする。
【0040】
中継器3は、複製パケット#3に付されたパケット番号が、受信完了通知に示された複製パケット#1のパケット番号と同じであることを確認すると、送信バッファへ登録すること無く複製パケット#3を廃棄する(ステップS42)。
【0041】
このように中継器3は、受信器2から受信完了通知を受け取ると、当該複製パケットと同一のパケットから複製された複製パケットを、送信バッファから削除する。また、中継器3は、当該複製パケットと同一のパケットから複製された複製パケットを、受信完了通知の後に送信器1から受け取った場合、送信バッファへ登録すること無く廃棄する。
【0042】
送受信システムは、同一のパケットから複製された複製パケットのうちの1つが受信器2で受信された後において、当該複製パケットと重複する情報を持つ他の複製パケットの無駄な伝送を停止させる。これにより、送受信システムは、通信路をさらに効率的に使用することができる。
【0043】
なお、送信器1は、複製パケット#3を作成あるいは送出する前に受信完了通知(ステップS41)を受け取った場合、複製パケット#3の作成および送出を中止しても良い。これにより、送受信システムは、受信器2で受信された複製パケットと重複する情報を持つ他の複製パケットについて、作成および伝送を停止させることができる。
【0044】
実施の形態4.
図5は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態4によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。送信器1は、送信すべきデータを複数のパケットに分割する(ステップS51)。
【0045】
送信器1は、複製パケットの作成と、複数の通信路から選択した通信路への複製パケットの送出とを順次繰り返す。この例では、送信器1は、同一のパケットから複製された3つの複製パケット#1、#2、#3を、通信路A1、A2、A3へ順次送出する。
【0046】
中継器3は、送信器1からの複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうち正常に受信した複製パケットの数が閾値に達すると、当該パケットについての送達確認(acknowledgement;ACK)を出力する。この例では、中継器3は、正常に受信した複製パケットの数が、あらかじめ設定された閾値である2に達することで、当該パケットについてのACKを出力する。また、中継器3は、送信器1から受信した複製パケットを、複数の通信路から選択した通信路へ順次送出する。
【0047】
受信器2は、中継器3からの複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうち正常に受信した複製パケットの数が閾値に達すると、当該パケットについてのACKを出力する。この例では、受信器2は、正常に受信した複製パケットの数が、あらかじめ設定された閾値である2に達することで、ACKを出力する。
【0048】
送信器1は、複製パケット#1を作成すると、通信路A1へ複製パケット#1を送出する(ステップS52)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#1を受け取り、複製パケット#1の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により判断する。
【0049】
例えば、中継器3は、複製パケット#1が正常に受信されたことを確認したとする。これにより、中継器3は、同一のパケットから複製された複製パケットについて、1回目の正常受信を確認する(ステップS53)。中継器3は、複製パケット#1を通信路B1へ送出する(ステップS54)。
【0050】
受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#1を受け取り、複製パケット#1の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により判断する。例えば、受信器2は、複製パケット#1が正常であることを確認したとする。これにより、受信器2は、同一のパケットから複製された複製パケットについて、1回目の正常受信を確認する(ステップS55)。
【0051】
送信器1は、複製パケット#1の作成および通信路A1への送出に続いて、複製パケット#2を作成し、通信路A2へ送出する(ステップS56)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#2を受け取り、複製パケット#2の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により判断する。
【0052】
例えば、中継器3は、複製パケット#2が正常に受信されたことを確認したとする。これにより、中継器3は、同一のパケットから複製された複製パケットについて、2回目の正常受信を確認する(ステップS57)。中継器3は、複製パケット#2を通信路B2へ送出する(ステップS58)。さらに、中継器3は、同一のパケットから複製され正常に受信した複製パケットの数が2個に達したことで、当該パケットについてのACKを送信器1へ送出する(ステップS59)。
【0053】
受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#2を受け取り、複製パケット#2が正常に受信されたか否かを、CRCエラーの有無等により判断する。例えば、受信器2は、複製パケット#2が正常に受信されたことを確認したとする。これにより、受信器2は、同一のパケットから複製された複製パケットについて、2回目の正常受信を確認する(ステップS60)。受信器2は、同一のパケットから複製され正常に受信した複製パケットの数が2個に達したことで、当該パケットについてのACKを中継器3へ送出する(ステップS61)。
【0054】
送信器1は、複製パケット#2の作成および通信路A2への送出に続いて、複製パケット#3を作成し、通信路A3へ送出する(ステップS62)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#3を受け取る。
【0055】
中継器3は、複製パケット#3に付されたパケット番号が、先に正常に受信した複製パケット#1、#2のパケット番号と同じであることを確認すると、中継器3において正常に受信した回数が閾値に達したパケットと重複する情報を持つものとして複製パケット#3を廃棄する(ステップS63)。
【0056】
図6は、正常に受信した複製パケットの数が閾値に達しない場合の動作例を説明するシーケンス図である。ここでは、中継器3が送信器1から正常に受信した複製パケットの数が閾値に達しない場合を例とする。中継器3は、あらかじめ設定された制限時間内において正常に受信した複製パケットの数が閾値に達しなかった場合、当該複製パケットの再送要求を出力する。
【0057】
例えば、中継器3は、1回目の正常受信を確認(ステップS53)してから、その次の複製パケット#2の受信に異常を確認したとする(ステップS64)。中継器3は、異常が確認された複製パケット#2を廃棄し(ステップS65)、先に正常受信を確認した複製パケット#1と同一のパケットから複製された他の複製パケットの受信を待機する。
【0058】
送信器1は、複製パケット#2の作成および通信路A2への送出に続いて、複製パケット#3を作成し、通信路A3へ送出する(ステップS62)。例えば、ステップS62において送信器1から送出された複製パケット#3が、通信路A3で消失したとする。
【0059】
その後、中継器3は、複製パケット#1と同一のパケットから複製された他の複製パケットの受信が無いまま制限時間が経過すると(ステップS66)、当該パケットについての再送要求を送信器1へ送出する(ステップS67)。
【0060】
受信器2も、あらかじめ設定された制限時間内において正常に受信した複製パケットの数が閾値に達しなかった場合、当該複製パケットの再送要求を中継器3へ送出する。このように、受信器2および中継器3は、制限時間の経過によって、当該パケットの送受信が失敗したものと認識する。
【0061】
受信器2および中継器3は、同一のパケットから複製され正常に受信した複製パケットの数が閾値に達した時点で、当該パケットの送受信が正確になされたものと認識し、ACKを出力する。これにより、送受信システムは、同一のパケットから複製された全ての複製パケットの受信を待つ場合よりも早く、当該パケットが正常に送受信されたことを確認することが可能となる。送受信システムは、正常に送受信が確認された当該パケットと重複する情報を持つ他の複製パケットの無駄な伝送を停止させることで、通信路のさらに効率的な使用が可能となる。
【0062】
なお、送受信システムは、正常に受信した複製パケットの数が閾値に達することによるACKの出力、制限時間の経過による再送要求の出力は、中継器3から受信器2の少なくとも一方で実施するものであれば良い。これにより、送受信システムは、受信器2および中継器3の少なくとも一方で、パケットの送受信の成否を早く認識することが可能となる。
【0063】
実施の形態5.
図7は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態5によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。送信器1は、送信すべきデータを複数のパケットに分割する(ステップS71)。
【0064】
送信器1は、複製パケットの作成と、複数の通信路から選択した通信路への複製パケットの送出とを順次繰り返す。この例では、送信器1は、同一のパケットから複製された3つの複製パケット#1、#2、#3を、通信路A1、A2、A3へ順次送出する。
【0065】
中継器3は、送信器1からの複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうちの一つが正常に受信されたことを確認すると、当該パケットについてのACKを出力する。また、中継器3は、送信器1から受信した複製パケットを、複数の通信路から選択した通信路へ順次送出する。
【0066】
受信器2は、中継器3からの複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうちの一つが正常に受信されたことを確認すると、当該パケットについてのACKを出力する。
【0067】
送信器1は、複製パケット#1を作成すると、通信路A1へ複製パケット#1を送出する(ステップS72)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#1を受け取り、複製パケット#1が正常に受信されたか否かを、CRCエラーの有無等により判断する。例えば、中継器3は、複製パケット#1の受信に異常を確認したとする(ステップS73)。中継器3は、異常が確認された複製パケット#1を廃棄する(ステップS74)。
【0068】
送信器1は、複製パケット#1の作成および通信路A1への送出に続いて、複製パケット#2を作成し、通信路A2へ送出する(ステップS75)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#2を受け取り、複製パケット#2が正常に受信されたか否かを、CRCエラーの有無等により判断する。
【0069】
例えば、中継器3は、複製パケット#2が正常に受信されたことを確認したとする(ステップS76)。中継器3は、複製パケット#2を通信路B2へ送出する(ステップS77)。さらに、中継器3は、当該パケットについてのACKを送信器1へ送出する(ステップS78)。
【0070】
受信器2は、中継器3から送出された複製パケット#2を受け取り、複製パケット#2の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により判断する。例えば、受信器2は、複製パケット#2が正常に受信されたことを確認したとする(ステップS79)。受信器2は、当該パケットについてのACKを中継器3へ送出する(ステップS80)。
【0071】
送信器1は、複製パケット#2の作成および通信路A2への送出に続いて、複製パケット#3を作成し、通信路A3へ送出する(ステップS81)。中継器3は、送信器1から送出された複製パケット#3を受け取る。
【0072】
中継器3は、複製パケット#3に付されたパケット番号が、先に正常に受信した複製パケット#2のパケット番号と同じであることを確認すると、中継器3にて正常に受信されたパケットと重複する情報を持つものとして複製パケット#3を廃棄する(ステップS82)。
【0073】
図8は、同一のパケットから複製された複製パケットの全てがいずれも正常に受信されなかったために再送要求を出力する場合の動作例を説明するシーケンス図である。ここでは、同一のパケットから複製された複製パケットの全てが、中継器3での受信に異常があった場合を例とする。中継器3は、複製パケット#1の受信に異常を確認すると(ステップS73)、異常が確認された複製パケット#1を廃棄する(ステップS74)。
【0074】
中継器3は、複製パケット#2の受信に異常を確認すると(ステップS83)、異常が確認された複製パケット#2を廃棄する(ステップS84)。中継器3は、複製パケット#3の受信に異常を確認すると(ステップS85)、異常が確認された複製パケット#3を廃棄する(ステップS86)。
【0075】
中継器3は、同一のパケットから複製された全ての複製パケット#1、#2、#3がいずれも正常に受信されなかったことで、当該パケットについての再送要求を送信器1へ送信する(ステップS87)。
【0076】
受信器2も、同一のパケットから複製された全ての複製パケット#1、#2、#3が正常に受信されなかった場合、当該複製パケットの再送要求を中継器3へ送出する。このように、受信器2および中継器3は、同一のパケットから複製された全ての複製パケットの受信に異常が確認された場合、当該パケットの送受信が失敗したものと認識する。
【0077】
受信器2および中継器3は、同一のパケットから複製された複製パケットのうちの一つが正常に受信された時点で、当該パケットの送受信が正確になされたものと認識し、ACKを出力する。これにより、送受信システムは、同一のパケットから複製された全ての複製パケットの受信を待つ場合よりも早く、当該パケットが正常に送受信されたことを確認することが可能となる。送受信システムは、正常に送受信が確認された当該パケットと重複する情報を持つ他の複製パケットの無駄な伝送を停止させることで、通信路のさらに効率的な使用が可能となる。
【0078】
図9は、正常に受信されなかった複製パケットの数が閾値に達することで再送要求を出力する場合の動作例を説明するシーケンス図である。ここでは、送信器1から中継器3への受信に異常があった複製パケットの数が閾値に達する場合を例とする。中継器3は、受信に異常があった複製パケットの数が閾値に達した場合、当該複製パケットの再送要求を出力する。この例では、中継器3は、受信に異常があった複製パケットの数が、あらかじめ設定された閾値である2に達することで、再送要求を出力する。
【0079】
中継器3は、複製パケット#1の受信に異常を確認すると、同一のパケットから複製された複製パケットについて、1回目の異常受信を確認する(ステップS73)。また、中継器3は、複製パケット#2の受信に異常を確認すると、同一のパケットから複製された複製パケットについて、2回目の異常受信を確認する(ステップS83)。
【0080】
中継器3は、同一のパケットから複製された複製パケット#1、#2、#3のうち、正常に受信されなかったと判断した複製パケットの数が2個に達したことで、当該パケットについての再送要求を送信器1へ送信する(ステップS88)。
【0081】
例えば、中継器3は、正常に受信されなかったと判断した複製パケットの数が2個に達した後に複製パケット#3を受信したとする。中継器3は、複製パケット#3に付されたパケット番号から、当該パケットについて異常受信の回数が既に閾値に達していることを確認すると、複製パケット#3を廃棄する(ステップS89)。
【0082】
受信器2も、同一のパケットから複製された複製パケット#1、#2、#3のうち、正常に受信されなかったと判断した複製パケットの数が閾値に達したことで、当該パケットについての再送要求を中継器3へ送出する。このように、受信器2および中継器3は、同一のパケットから複製された複製パケットの異常受信の数が閾値に達した時点で、当該パケットの送受信が失敗したものと認識する。
【0083】
これにより、送受信システムは、同一のパケットから複製された全ての複製パケットの受信を待つ場合よりも早く、当該パケットの再送を要求することが可能となる。また、送受信システムは、パケットの再送要求を早い時点で判断し、不要となった複製パケットの無駄な伝送を停止させることで、通信路のさらに効率的な使用が可能となる。
【0084】
実施の形態6.
図10は、本発明にかかる送受信システムの実施の形態6によるデータ送受信の手順を示すシーケンス図である。中継器3は、送信器1および中継器3の間を伝送した通信路に対応して、受信器2へパケットを伝送する通信路を決定するための通信路選択テーブルを保持する。
【0085】
図11は、中継器が保持する通信路選択テーブルの初期状態の例を示す図である。初期状態において通信路選択テーブル90は、図中矢印で示すように、通信路A1を通信路B1に、通信路A2を通信路B2に、通信路A3を通信路B3に、それぞれ対応付けている。
【0086】
送信器1は、送信すべきデータを複数のパケットに分割する(ステップS91)。送信器1は、複製パケット#1を作成すると、通信路A1へ複製パケット#1を送出する(ステップS92)。中継器3は、通信路A1から受け取った複製パケット#1の送出先を、通信路選択テーブル90に従い、通信路B1と決定する。中継器3は、通信路B1へ複製パケット#1を送出する(ステップS93)。
【0087】
受信器2は、通信路B1から複製パケット#1を受け取り、複製パケット#1の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により確認する。ここで、受信器2は、複製パケット#1を正常に受信したとする(ステップS94)。
【0088】
送信器1は、複製パケット#1の作成および通信路A1への送出に続いて、複製パケット#2を作成し、通信路A2へ送出する(ステップS95)。中継器3は、通信路A2から受け取った複製パケット#2の送出先を、通信路選択テーブル90に従い、通信路B2と決定する。中継器3は、通信路B2へ複製パケット#2を送出する(ステップS96)。
【0089】
受信器2は、通信路B2から複製パケット#2を受け取り、複製パケット#2の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により確認する。ここで、受信器2は、複製パケット#2を正常に受信したとする(ステップS97)。
【0090】
送信器1は、複製パケット#2の作成および通信路A2への送出に続いて、複製パケット#3を作成し、通信路A3へ送出する(ステップS98)。中継器3は、通信路A3から受け取った複製パケット#3の送出先を、通信路選択テーブル90に従い、通信路B3と決定する。中継器3は、通信路B3へ複製パケット#3を送出する(ステップS99)。例えば、ステップS99において中継器3から送出された複製パケット#3が、通信路B3で消失したとする。
【0091】
受信器2は、正常に受信した複製パケット#1、#2と同一のパケットから複製された複製パケット#3が通信路B3から送信されることを、後述する通信フォーマット中の使用通信路情報から認知している。使用通信路情報のフィールドには、同一のパケットから複製した複製パケットの伝送に通信路B1、B2、B3を使用することが示されている。
【0092】
受信器2は、複製パケット#3の受信を待機する(ステップS100)。受信器2は、複製パケット#3の受信が無いまま、あらかじめ設定された制限時間が経過すると(ステップS101)、通信路B3に異常が生じたものと認識する。
【0093】
受信器2は、パケットの正常な伝送がなされない通信路B3を検出したことで、通信路B3についての使用禁止命令を中継器3へ送出する(ステップS102)。受信器2は、異常が生じた通信路B3以外の通信路、この例では通信路B1およびB2のいずれかを通じて、使用禁止命令を中継器3へ送出する。中継器3は、受信器2からの使用禁止命令を受け取ると、使用禁止命令に応じて、通信路選択テーブル90を更新する(ステップS103)。
【0094】
図12は、使用禁止命令に応じて通信路選択テーブルを更新する例を示す図である。通信路選択テーブル90は、通信路B3の使用が禁止されたことで、通信路A3を伝送したパケットを通信路B3以外の通信路、例えば通信路B2へ送出させるように、対応付けを変更させる。これにより、中継器3は、通信路B3による通信を停止する。
【0095】
中継器3は、通信路選択テーブル90を更新すると、更新後の内容に応じて、複製パケット#3を通信路B2へ送出する(ステップS104)。受信器2は、通信路B2から複製パケット#3を受け取り、複製パケット#3の受信が正常であるか否かを、CRCエラーの有無等により確認する。受信器2は、例えば、複製パケット#3を正常に受信する(ステップS105)ことで、受信動作を終了する。
【0096】
なお、送受信システムは、送信器1および中継器3の間の通信について、パケットの受信の異常を検出することで中継器3から送信器1へ使用禁止命令を送出することとしても良い。中継器3は、パケットの正常な伝送がなされない通信路を検出すると、当該通信路の使用禁止命令を、当該通信路以外の通信路を通じて送信器1へ送出する。送信器1は、中継器3から受け取った使用禁止命令により使用が禁止された通信路を遮断し、他の通信路へパケットを送出する。
【0097】
送受信システムは、パケットの正常な受信がなされなかった通信路の情報を受信側から送信元へ送信することで、信頼性の低い、あるいは故障が発生した通信路の使用を早急に停止可能とする。これにより、異常が生じた通信路を使い続けることによる通信効率の低下を早期に抑制させることができる。
【0098】
図13は、通信を停止している通信路を復帰させるための手順を説明するシーケンス図である。送受信システムは、診断パケットの送受信とそれに応答する診断応答パケットの送受信により、通信路の使用を再開するか否かを診断する。ここでは、送信器1および中継器3の間に、通信の異常により使用を停止している通信路が存在する場合を例とする。
【0099】
中継器3は、使用を停止している通信路へ、一定の周期で診断パケットを送出する(ステップS111)。送信器1は、中継器3からの診断パケットを受信すると、使用を停止している通信路から、診断応答パケットを返送する(ステップS112)。中継器3は、送信器1からの診断応答パケットを受け取ると、診断応答パケットが正常に受信されたか否かを確認する(ステップS113)。
【0100】
中継器3は、診断応答パケットの受信が正常であることを確認すると、診断パケットの送受信と診断応答パケットの送受信とが成功したとして、通信成功回数に1を加算する(ステップS114)。送受信システムは、診断パケットの送出、診断応答パケットの返送および確認を、一定の周期で繰り返す。
【0101】
診断による当該通信路の通信が連続して成功し、かつその回数があらかじめ設定された閾値に達すると(ステップS115)、中継器3は、診断対象とした通信路が通信可能な状態に至ったとして、当該通信路の使用再開指示を送信器1へ送出する(ステップS116)。送信器1は、中継器3からの使用再開指示を受けて、当該通信路による通信を再開する(ステップS117)。
【0102】
図14は、本実施の形態における通信フォーマットの例を示す図である。診断パケットは、パケットID121、パケット種別122、診断通信路情報123および受信ステータス124の各フィールドからなる。パケットID121は、パケットごとに設定されるユニークな情報である。なお、診断応答パケットは、受信した診断パケットと同じパケットID121を持たせて生成される。
【0103】
パケット種別122は、パケットの種別、この場合は診断パケットであることを示す。診断通信路情報123は、診断対象である通信路を示す。受信ステータス124は、パケットの受信が正常になされたか否かを表す。この他、通信フォーマットは、使用通信路情報125およびデータ126の各フィールドを含む。
【0104】
中継器3が通信路の使用再開を決定する要件としては、中継器3が送出した診断パケットのパケットIDと同じパケットIDを含む診断応答パケットを中継器3が受信したこと、および、その診断応答パケットの受信ステータスが異常を示すものでないことを含む。
【0105】
送受信システムは、使用を停止している通信路の定期的な診断により、正常なパケット伝送が可能であることを確認した上で、通信路を復帰させることができる。なお、送受信システムは、送信器1から中継器3への診断パケットの送出と、中継器3による診断応答パケットの返送とにより、送信器1および中継器3の間の通信路を診断することとしても良い。送信器1は、診断応答パケットが正常に受信された回数が、あらかじめ設定された閾値に達すると、当該通信路の使用を再開する。
【0106】
送受信システムは、中継器3および受信器2の間の通信についても、診断パケットの送受信とそれに応答する診断応答パケットの送受信により、通信路の使用を再開するか否かを診断することとしても良い。中継器3は、中継器3および受信器2の間で使用を停止している通信路へ、診断パケットを送出する。送信器1は、中継器3からの診断パケットを受け取ると、当該通信路を介して診断応答パケットを返送する。受信器2は、診断応答パケットが正常に受信された回数が、あらかじめ設定された閾値に達すると、当該通信路の使用再開指示を中継器3へ送出する。
【符号の説明】
【0107】
1 送信器
2 受信器
3 中継器
A1、A2、A3、B1、B2、B3 通信路
90 通信路選択テーブル
121 パケットID
122 パケット種別
123 診断通信路情報
124 受信ステータス
125 使用通信路情報
126 データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送受信する二局と、
前記二局の間にてデータの送受信を中継する中継器と、
前記二局のうちデータを送信する側である送信器と、前記中継器との間において、互いに並列させて設定された複数の通信路と、
前記二局のうちデータを受信する側である受信器と、前記中継器との間において、互いに並列させて設定された複数の通信路と、を有し、
前記送信器は、データを複数のパケットに分割し、
前記送信器および前記中継器の少なくとも一方は、同一のパケットから複製された複製パケットの各々について、複数の前記通信路のうち互いに異なる通信路を順次選択して送出することを特徴とする送受信システム。
【請求項2】
前記送信器は、前記複製パケットの作成、および複数の前記通信路から選択した通信路への前記複製パケットの送出を順次繰り返し、
前記中継器は、前記送信器から受信した前記複製パケットを、複数の前記通信路から選択した通信路へ順次送出し、
前記受信器は、同一のパケットから複製された複数の複製パケットを前記中継器から受信した場合に、当該複数の複製パケットのうち最初に受信した複製パケット以外の複製パケットを廃棄することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項3】
前記中継器は、前記複製パケットの作成、および複数の前記通信路から選択した通信路への前記複製パケットの送出を順次繰り返し、
前記受信器は、同一のパケットから複製された複数の複製パケットを前記中継器から受信した場合に、当該複数の複製パケットのうち最初に受信した複製パケット以外の複製パケットを廃棄することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項4】
前記送信器は、前記複製パケットの作成、および複数の前記通信路から選択した通信路への前記複製パケットの送出を順次繰り返し、
前記中継器は、前記送信器から受信した前記複製パケットを、複数の前記通信路から選択した通信路へ順次送出し、
前記受信器は、前記中継器から前記複製パケットを受信すると、当該複製パケットについての受信完了通知を前記中継器へ送出し、
前記中継器は、前記受信器から前記受信完了通知を受け取ると、当該複製パケットと同一のパケットから複製され前記送信器から送られる複製パケットを廃棄することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項5】
前記送信器は、前記複製パケットの作成、および複数の前記通信路から選択した通信路への前記複製パケットの送出を順次繰り返し、
前記中継器は、前記送信器から受信した前記複製パケットを、複数の前記通信路から選択した通信路に対応する送信バッファへ登録して、前記送信バッファから読み出した前記複製パケットを、当該送信バッファに対応する通信路へ順次送出し、
前記受信器は、前記中継器から前記複製パケットを受信すると、当該複製パケットについての受信完了通知を前記中継器へ送信し、
前記中継器は、前記受信器から前記受信完了通知を受け取ると、当該複製パケットと同一のパケットから複製され前記送信バッファに登録されている複製パケットを削除することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項6】
前記送信器は、前記複製パケットの作成、および複数の前記通信路から選択した通信路への前記複製パケットの送出を順次繰り返し、
前記中継器は、前記送信器からの前記複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうち正常に受信した複製パケットの数があらかじめ設定された閾値に達すると、当該パケットについての送達確認を出力することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項7】
前記受信器は、前記中継器からの前記複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうち正常に受信した複製パケットの数があらかじめ設定された閾値に達すると、当該パケットについての送達確認を出力することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項8】
前記中継器および前記受信器の少なくとも一方は、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうち正常に受信した複製パケットの数が、あらかじめ設定された制限時間内において前記閾値に達しなかった場合、当該パケットの再送要求を出力することを特徴とする請求項6または7に記載の送受信システム。
【請求項9】
前記送信器は、前記複製パケットの作成、および複数の前記通信路から選択した通信路への前記複製パケットの送出を順次繰り返し、
前記中継器は、前記送信器からの前記複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうちの一つが正常に受信されたことを確認すると、当該パケットについての送達確認を出力することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項10】
前記受信器は、前記中継器からの前記複製パケットの受信が正常であるか否かを判断し、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうちの一つが正常に受信されたことを確認すると、当該パケットについての送達確認を出力することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項11】
前記中継器および前記受信器の少なくとも一方は、同一のパケットから複製された複数の複製パケットの全てがいずれも正常に受信されなかったと判断した場合に、当該パケットの再送要求を出力することを特徴とする請求項9または10に記載の送受信システム。
【請求項12】
前記中継器および前記受信器の少なくとも一方は、同一のパケットから複製された複数の複製パケットのうち、正常に受信されなかったと判断した複製パケットの数が、あらかじめ設定された閾値に達すると、当該パケットの再送要求を出力することを特徴とする請求項9または10に記載の送受信システム。
【請求項13】
前記中継器は、前記送信器および前記中継器の間においてパケットの伝送に使用された通信路に対応して、当該パケットを前記受信器へ送出する通信路を決定するための通信路選択テーブルを備え、
前記受信器は、前記中継器および前記受信器の間の複数の前記通信路のうち、パケットの正常な伝送がなされない通信路を検出すると、当該通信路の使用禁止命令を、当該通信路以外の通信路を通じて前記中継器へ送出し、
前記中継器は、前記受信器から受け取った前記使用禁止命令に応じて、前記通信路選択テーブルを更新することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項14】
前記中継器は、前記送信器および前記中継器の間の複数の前記通信路のうち、パケットの正常な伝送がなされない通信路を検出すると、当該通信路の使用禁止命令を、当該通信路以外の通信路を通じて前記送信器へ送出し、
前記送信器は、前記使用禁止命令により使用が禁止された当該通信路を遮断し、他の通信路へパケットを送出することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項15】
前記中継器は、前記送信器および前記中継器の間の複数の前記通信路のうち、通信に異常が生じたことで使用を停止している通信路へ、診断パケットを送出し、
前記送信器は、前記中継器からの前記診断パケットを受け取ると、当該通信路を介して診断応答パケットを返送し、
前記中継器は、前記診断応答パケットが正常に受信された回数が、あらかじめ設定された閾値に達すると、当該通信路の使用再開指示を前記送信器へ送出することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。
【請求項16】
前記送信器は、前記送信器および前記中継器の間の複数の前記通信路のうち、通信に異常が生じたことで使用を停止している通信路へ、診断パケットを送出し、
前記中継器は、前記送信器からの前記診断パケットを受け取ると、当該通信路を介して診断応答パケットを返送し、
前記送信器は、前記診断応答パケットが正常に受信された回数が、あらかじめ設定された閾値に達すると、当該通信路の使用を再開することを特徴とする請求項1に記載の送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−212955(P2012−212955A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76204(P2011−76204)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】