送電線下支障樹木自動表示装置
【課題】 航空機によって得た3次元データから送電線下付近の支障樹木を自動的に割り出して知らせる送電線下支障樹木自動表示装置を得る。
【解決手段】 マルチウィンドウ/管理部6と、設定情報読取処理部7と、処理モード判定処理部8と、データ読取部10と、主メモリ11と、画像メモリ12と、投影処理部13と、3次元画像表示処理部14と、縦図面生成処理部16と、断面図生成処理部17と、平面図生成処理部18と、送電線−樹木間算出処理部19と、樹木情報更新処理部20等を備え、これらを用いて航空機等によって得た山林等の3次元画像から鉄塔高、樹木高等を入力させ、これらのデータに基づいて樹木と送電線間の距離を求め、これらの距離から送電線に所定以上近接する樹木を、その距離の度合いに応じて色別表示する。
【解決手段】 マルチウィンドウ/管理部6と、設定情報読取処理部7と、処理モード判定処理部8と、データ読取部10と、主メモリ11と、画像メモリ12と、投影処理部13と、3次元画像表示処理部14と、縦図面生成処理部16と、断面図生成処理部17と、平面図生成処理部18と、送電線−樹木間算出処理部19と、樹木情報更新処理部20等を備え、これらを用いて航空機等によって得た山林等の3次元画像から鉄塔高、樹木高等を入力させ、これらのデータに基づいて樹木と送電線間の距離を求め、これらの距離から送電線に所定以上近接する樹木を、その距離の度合いに応じて色別表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線下付近の樹木が成長に伴って送電線と樹木との距離が適切に保たれているかどうかを所定の形式で自動的に知らせる送電線下支障樹木自動表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、送電線は、鉄塔を山野に敷設して所定の弛みを有して張られているものである。このため、送電線下付近にある樹木の成長によって、送電線と樹木との距離が適切に保てなくなってくる(以下送電線下支障樹木という)。
【0003】
このような、送電線下支障樹木は、従来においては電力会社の選任作業員が実際に送電線下を廻って、送電線下支障樹木(風によって送電線が揺れた場合に、送電線に触れるおそれがある樹木を含む)をチェックし、必要に応じて伐採を行っていた。
【0004】
このため、チェックする作業員を多く必要とすると共に、チェックに非常に長い時間を要していた。
【0005】
そこで、近年は航空機で送電線上を飛行して得た3次元写真から樹木が送電線に触れるかどうかをチェックする場合もある。
【0006】
このチェックは、3次元写真から人間が樹木の高さを割り出し、送電線高が書き込まれている図面に、この樹木高をプロットした後に、風等によって送電線が揺れる範囲を書き込む。
【0007】
そして、この範囲に入る樹木又は近い将来に前述の範囲に入る樹木がないかどうかをチェックしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、航空機で得た山林等の3次元写真から送電線下付近の支障樹木の割り出しは、人間が一本毎に高さを割り出すと共に、送電線の揺れる範囲を書き込んでいかなければならないので、支障樹木の割り出しに膨大な時間を要するという課題があった。
【0009】
従って、航空機によって得た3次元データから送電線下付近の支障樹木を自動的に割り出して知らせる送電線下支障樹木自動表示装置が望ましい。
【0010】
また、航空機(ヘリコプターを含む)にレーザー測距装置を搭載して得た3次元データから送電線下付近の支障樹木を短時間に自動的に割り出して知らせる場合にも、送電線下支障樹木自動表示装置が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上空からレーザを発射させて得た地物の3次元位置を用いて、第1の鉄塔と第2の鉄塔との径間の送電線と、この送電線下の樹木情報とに基づいて、送電線と樹木との関係を表示部に表示する送電線下支障樹木自動表示装置において、
前記径間毎に、少なくも、前記径間一帯の、前記樹木の樹木情報と前記径間の径間情報と送電線状態情報とが記憶され、前記送電線と前記樹木との離隔距離情報とこの離隔距離に対しての判定結果情報とが対応させられて記憶される記憶手段と、前記径間が指定されると、その径間に対応する前記樹木情報、径間情報、送電線状態情報、離隔距離情報を内部の主メモリに取り込む手段(データ取込部)と、前記径間の、平面をX−Y座標系に、縦断面をX−Z座標系に、横断面をY−Z座標系にした3軸の座標系を有し、前記送電線の曲線である、設定された第1、第2又は第3の曲線の3次元座標のX、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影し、また設定された前記主メモリの前記樹木情報の3次元座標の、X、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影する投影処理部と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Y座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第1の曲線のX、Y座標値を前記投影処理部に設定する手段(平面図生成処理部)と、前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第2の曲線のX、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段(縦面図生成処理部)と、前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のY、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第3の曲線のY、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段(横継面図生成処理部)と、前記送電線に対して前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第1の条件又は前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮するとする第2の条件若しくは前記送電線に前記送電線状態情報に基づく最大電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第3の条件を設定する手段(設定情報読取処理部)と、前記第1の条件が設定されたときは、前記第1の鉄塔と第2の鉄塔との間で前記送電線に通常電力を供給して静止させたときの前記第1の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記第2の条件が設定されたときは、前記第1の曲線を前記最大風力で振ったときの前記第2の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記第3の条件が設定されたときは、前記送電線に最大電力を供給したときの前記第3の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記投影処理部の前記Y−Z座標系(横断面)における前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線と前記樹木情報の樹木の各頂点の座標との離隔距離を順次求める手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記求めた離隔距離が危険な距離かどうかを判定し、該判定結果の危険度と該危険度の色と共に前記樹木情報の前記頂点の座標に対応させて前記記憶手段に記憶する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の第1の鉄塔と第2の鉄塔
との間の前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線を前記表示部に表示する手段と、前記頂点の座標に対応させている前記第1、第2、第3の曲線の前記判定結果を読み込み、この判定結果の危険度に応じた色で前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の前記樹木情報の各樹木を前記表示部に表示する手段(平面図生成処理部)と、前記投影処理部のX−Z座標系(縦断面)における第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線又は第3の曲線及び前記判定結果を表示する手段(縦図面生成処理部)とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、表示速度が早いと共に、オペレータはどの樹木が送電線に支障を与えることになるかを一目で判断できるという効果が得られている。
【0013】
このため、何時までに支障樹木を伐採すればよいかをコンピュータ画面から容易に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本実施の形態の送電線下支障樹木自動表示装置の概略構成図である。図1の送電線下支障樹木表示装置1は、送電線および木等の3次元データに基づいて樹木と送電線間の距離を求め、これらの距離から送電線付近の樹木と送電線間の距離を、その距離に応じて色別表示するものである。
【0015】
この送電線下支障樹木表示装置1は、図1に示すように、樹木等の3次元データに基づいて樹木と送電線間の距離を求め、これらの距離から送電線付近の樹木と送電線間の距離を、その距離に応じて色別表示させる本体部2と、全ての送電線の路線Ai(i;a、b、c、……)と、全ての径間情報Bi(i;a、b、c、……)と、全ての樹木情報h(i;a、b、c、……)と、送電線情報等を記憶したデータベース3とを備えている。また、本体部2には表示部4と、マウス5とが接続されている。前述の径間とは、送電線の鉄塔と鉄塔との間を意味する。
【0016】
本体部2は、マルチウィンドウ/管理部6と、設定情報読取処理部7と、処理モード判定処理部8と、データ読取部10と、主メモリ11と、画像メモリ12と、投影処理部13と、3次元画像表示処理部14と、縦図面生成処理部16と、断面図生成処理部17と、平面図生成処理部18と、送電線−樹木間算出処理部19と、樹木情報更新処理部20等を備えている。
【0017】
<各部の詳細>
データベース3には、航空機(ヘリコプターを含む)にレーザ測距装置を搭載して得た樹木、鉄塔等の3次元データおよび航空機によって得た3次元データが階層構造的に予め記憶されている。また、航空機によって得た山林の3次元画像が記憶されている。
【0018】
例えば、図2に示すように、送電線の路線Ai(i;a、b、c、……)と、路線Aiの地形データGi(i;a、b、c、……)と、路線Aiの複数の径間情報Bi(i;a1、a2、……、b1、b2、……)と、画像番号ki(i;a1、a2、……、b1、b2、……)、径間Biの樹木情報h(i;a1、a2、……、b1、b2、……)とからなる送電線間‐樹木情報Jiが階層的に記憶されている。
【0019】
前述の径間情報Biは、送電線番号と鉄塔番号と鉄塔高と送電線種と送電電力(最大時、通常時)と送電線の支点位置等からなる。また、樹木情報hは、画像kiにおける各樹木位置(hix、hiy、hiz、i;a、b、c、……)と、この樹木位置に於ける地形データ(ix、iy、iz、i;a、b、c、……)とからなる。これらの情報は、路線毎(Aa、Ab、……)に区分けされて記憶されている。
【0020】
さらに、データベース3には、送電線−樹木間算出処理部19によって求められた離隔距離情報Riが予め図3に示すように階層的に記憶されている。この離隔距離情報Riは、路線Ai(i;a、b、c、……)の径間情報Bi(i;a、b、c、……)と送電線状態情報Li(i;a、b、c、……)と、径間情報Biの樹木位置hiと、離隔距離mi(i;a1、a2、……、b1、b2、………)とが対応づけられて記憶される。これらの情報は、路線毎に分けられて記憶される。
【0021】
マルチウィンドウ管理部6は、各プログラムを管理すると共に、表示部4に所望の画面を複数同時に開く。また、マウス5によって指示された画面上の位置を設定情報読取処理部7に送出する。
【0022】
設定情報読取処理部7は、マルチウィンドウ管理部6を用いて、路線、径間、平面図、断面図、写真画像、送電線状態条件等の表示形式選択画面、成長率更新画面、伐採情報設定画面、集計画面設定画面等を表示させ、これらの画面において、マウス5によって指示された画面上の位置からどのような条件の画面かを示すフラグをフラグレジスタに設定する。
【0023】
前述の送電線状態条件は、少なくとも、送電線に最大電力送電を送電するとするか否か、風の影響を考慮するか否か等を設定させる条件である。
【0024】
処理モード判定処理部8は、フラグレジスタのフラグの種類により、データ読取部10、3次元画像表示処理部14、縦図面生成処理部16、断面図生成処理部17、平面図生成処理部18、送電線−樹木間算出処理部19、樹木情報更新処理部20等のいずれかを起動させると共に、フラグレジスタの設定内容を、その処理部に設定する。
【0025】
データ読取部10は、路線Aiと径間Biとが指定されると、その路線の径間に関連する離隔距離情報Ri及び送電線間‐樹木情報Jiを主メモリ11に記憶し、かつ3次元画像を画像メモリ12に記憶する。
【0026】
投影処理部13は、3軸の座標系を有し、X、Y座標値をXーY座標系に投影し、X、Z座標値をXーZ座標系に投影し、また、Y、Z座標値をYーZ座標系に投影する。
【0027】
3次元画像表示処理部14は 画像メモリ12に記憶された3次元画像をマルチウィンドウ管理部6を用いて表示させる。
【0028】
縦図面生成処理部16は、縦断面図表示指令に伴って、主メモリ11の路線Aiの径間Biに対応する離隔距離情報Riの全ての樹木情報hのhx、hyを投影処理部13に設定し、投影処理部13でXーZ座標系に投影された座標に、記号又は符号を割り当て表示させると共に、判定結果に基づいて色別表示させる。
【0029】
また、同時に送電線−樹木間算出部19を起動させて鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、後述する(1)、(2)、(3)の設定条件に従って求めさせ、この求めた曲線を投影処理部13に設定し、縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。
【0030】
断面図生成処理部17は、断面図表示指令に伴って、表示された平面図の縦カーソル位置を読み、このカーソル位置における樹木情報hの断面座標(hy、hz)を投影処理部13に設定し、投影処理部13でYーZ座標系に投影された座標に、記号又は符号を割り当て表示させると共に、判定結果に基づいて色別表示させる。
【0031】
また、同時に送電線−樹木間算出部19を起動させて鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、後述する(1)、(2)、(3)の設定条件に従って求め、求めた曲線を投影処理部13に設定し、縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。
【0032】
この曲線の投影は、通常送電の鉄塔の断面図又は最悪時の鉄塔の断面図若しくは両方の断面図を投影させる。
【0033】
通常送電時において送電線を振らせる場合は、鉄塔の断面の支点を中心とした半円を求めて投影させる。また、最悪時において風を考慮する場合は、鉄塔の支点を所定条件に基づいてのばし、このときの支点を中心とした半円を求めて投影させる。
【0034】
送電線−樹木間算出処理部19は、データベース3から径間Biの樹木位置hiと、送電線の鉄塔位置とを読み、この鉄塔間を結ぶ送電線の曲線を求めて樹木位置hiとの離隔距離を3次元において求める。そして、これらの情報を図2の所定の形式にしてデータベース3に記憶する。
【0035】
この離隔距離は、前述の送電線状態の設定条件に従って求められる。例えば、(1) 送電線に最大電力を供給しない場合で風の影響を考慮しないと設定されたときは、単に樹木と送電線の離隔距離として求める。
【0036】
(2) 送電線に最大電力を供給しない場合で風の影響を考慮すると設定されたときは、通常送電時の送電線を最大風力で振ったときの樹木と送電線の離隔距離として求める。
【0037】
(3) 送電線に最大電力を供給(最悪時ともいう)で風の影響を考慮しないとすると設定された場合は、送電線に最大電力を流して弛ませて、樹木と送電線との離隔距離を求める。
【0038】
また、送電線−樹木間算出処理部19は、平面図、断面図、縦断図の表示時には、鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、前述の(1)、(2)、(3)の設定条件に従って求め、求めた曲線を投影処理部13に設定し、平面座標系、断面座標系又は縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。
【0039】
特に、断面図の表示においては、通常送電時において送電線を振らせる場合は、鉄塔の断面の支点を中心とした半円を求める。また、最悪時において風を考慮する場合は、鉄塔の支点を所定条件に基づいてのばし、このときの支点を中心とした半円を求める。
【0040】
さらに、樹木情報hの更新が知らせられると、その樹木情報をデータベース3から引当て、これらの情報に基づいて送電線と樹木との3軸上の離隔距離を求め、路線及び径間に対応づけてデータベース3に記憶する。
【0041】
また、前述の離隔距離に対して以下に説明する危険度の割付を行う。例えば、XーY軸面(平面)、XーZ軸面(縦面)、YーZ軸面(横面)におけるいずれかの面成分の離隔距離が数週間以内に、送電線に所定以上に近接する場合には赤色を、数ヶ月以内に送電線に所定以上に近接する場合には紫色を、その他の樹木情報hには緑色を割り付ける。
【0042】
すなわち、データベース3には、送電線状態設定画面で設定された条件に従った離隔距離情報Riの送電線間距離が3軸面成分に分けられて記憶され、この3軸成分の判定結果が記憶される。
【0043】
樹木情報更新処理部20は、設定された線路Ai、径間Biの樹木情報hをデータベース3から検索し、入力された年月日に基づいて樹木高を更新させる。また、伐採と設定されたときは、その樹木情報の樹木高から伐採長を減算する。
【0044】
投影処理部13は、3軸の座標系を有し、X、Y座標値をXーY座標系に投影し、X、Z座標値をXーZ座標系に投影し、また、Y、Z座標値をYーZ座標系に投影する。
【0045】
上記のように構成された送電線下支障樹木自動表示装置の動作を図4及び図5のフローチャートを用いて説明する。本フローチャートでは、平面図生成の過程を強調して説明し、かつ各処理を一連の流れで説明する。また、送電線ー樹木間情報JiはJaとし、離隔距離情報RiはRaとして説明する。
【0046】
初めに、設定情報算出処理部73は、路線、径間、平面図、断面図、写真画像、送電線状態条件等を選択させる図示しない設定画面又は、成長率更新画面若しくは、伐採情報設定画面、集計画面設定画面等の設定画面を表示させる(S1)。
【0047】
次に、設定終了かどうかを判断し(S2)、設定の終了と判断した場合は、送電線−樹木間算出処理部19が設定画面上においてマウス5により設定された路線Aaの径間Baの送電線‐樹木情報Jaをデータベース3から引当て(S3)、この送電線‐樹木情報Jaに基づいて危険度判定処理を行い、処理結果を図3に示すようにデータベース3に記憶する(S4)。このステップS4の導電線‐樹木間算出処理は、離隔計算指示の入力によって行う。
【0048】
また、送電線−樹木情報Jaは、レーザ測距離装置によって測定した樹木等の高さと平面位置とが3次元座標に変換されて記憶されたものである。
【0049】
前述の判定処理は、上記の(1)、(2)、(3)のいずれかの離隔距離を求める処理であり、求められた離隔距離を3軸上の面に定義づけを行って、いずれかの面上における距離が送電線に所定以上近接するおそれがある場合は、例えば、XーY軸面(平面)、XーZ軸面(縦面)、YーZ軸面(横面)におけるいずれかの面成分の離隔距離が数週間以内に送電線に近接する場合には赤色を、数ヶ月以内に送電線に近接する場合には紫色を、その他の樹木情報haには緑色を割り付ける。
【0050】
図3においては、送電線間距離ma1xがX軸成分の離隔距離、送電線間距離ma1yがY軸成分の離隔距離、送電線間距離ma1zがZ成分の離隔距離である。前述の離隔距離計算について、図を用いて後述する。
【0051】
次に、データ読取部10は、送電線−樹木間距離算出処理部19の処理結果であるデータベース3に記憶されている路線Aaの径間Baの範囲の離隔情報Raを主メモリ11にロードする(S5)。
【0052】
平面図生成処理部18は、マウス5によって平面図表示が選択されると、主メモリ11から路線Aiの径間Biの各樹木位置hai(i;1、2、…)のX、Y座標値を投影処理部13に設定して平面座標系に投影させる(S6)。
【0053】
そして、この投影された平面座標に、記号又は符号を割り当てると共に、危険度判定データEaの判定結果に基づいて色別表示させる(S7)。例えば、送電線と樹木との距離が数週間以内に所定以上近接する場合は危険樹木として赤色を、数ヶ月以内に送電線に近接する樹木には紫色を、その他の樹木には割り付けて表示させる。
【0054】
すなわち、平面図生成処理部18は、図6の(a)に示すように、送電線の鉄塔23aと23bの間における危険樹木を上記(1)、(2)、(3)の離隔距離演算を行わせた後の結果を色別で表示する。図6の(a)においては、丸印が緑、△が紫、×印が危険樹木を示す。
【0055】
次に、処理モード判定処理部8は、設定情報読取処理部7に設定されている設定情報の表示形式Ciを読み(S8)、断面画像の表示かどうかを判断する(S9)。ステップS9において、断面画像の表示ではないと判断したときは、縦断画像の表示かどうかを判断する(S10)。
【0056】
ステップS10において、縦断画像の表示と判断したときは、縦図面生成処理部16を起動させる。
【0057】
縦面図生成処理部17は、縦断面図表示指令(マウスによる選択)に伴って、主メモリ11の離隔距離情報Raの全ての樹木情報haの座標(hax、hay)を全て読み(S11)、投影処理部13でXーZ座標系に投影させて、記号又は符号を割り当て表示させると共に、図6の(b)に示すように、判定結果に基づいて色別表示させた縦断画像を表示させる(S12)。このとき、同時に送電線−樹木間算出部19を起動させて鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、上記(1)、(2)、又は(3)の設定条件に従って求めさせ、この求めた曲線を投影処理部13に設定し、縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。図6の(a)においては、点線が通常送電であり、最悪時が実線としている。
【0058】
次に、表示形式Ciが3次元画像の表示を示しているかどうかを処理モード判定処理部8が判断する(S13)。
【0059】
ステップS13で写真画像の表示と判断した場合は、処理モード判定処理部8は、3次元画像表示処理部14を起動させる。
【0060】
3次元画像表示処理部14は、路線Aaの径間Baに対応する3次元画像を画像メモリ12から読み(S14)、この3次元画像をマルチウィンドウ表示させる(S15)。
【0061】
また、ステップS10において、縦断画像表示ではないと判断した場合は、処理をステップS13に移す。
【0062】
さらに、ステップS9において、断面画像の表示と判断した場合は、断面図生成処理部17を起動させる。断面図生成処理部17は、平面図における縦カーソル位置25を断面画像表示位置Daとして読み(S16)、そのDaに対応する危険度判定データEaと、カーソル位置25における樹木情報haの断面座標(hay、haz)を読み込んで投影処理部13に設定し(S17)、投影処理部13でYーZ座標系に投影された断面座標(hay、haz)に記号又は符号を割り当てると共に、判定結果に基づいて色別表示させた断面画像を表示させて(S18)、処理をステップS13に戻す。
【0063】
この断画像の生成は、上記説明の送電線‐樹木間算出処理部19を用いて図7に示すように、通常送電における送電線を最大風力で振ったときの(点線)画像と、最悪時での画像と、判定した危険樹木の画像とを生成して表示させている。
【0064】
また、この画像の横には、静止時と、横振り時の弛度と、温度と、振れ角度とを数値で表示している。
【0065】
すなわち、平面図、断面図、縦断図の表示に係わる構成は図8に示すように、データベース3に、レーザ測距離装置等で得たデータに基づいた送電線ー樹木間情報Jiを予め記憶し、この送電線ー樹木間情報Jiに基づいて送電線ー樹木間算出処理部19が路線、径間毎の離隔情報Riを予め求めてデータベース3に記憶する。
【0066】
そして、データ読取部10が指定された路線、径間の離隔情報Riをデータベース3から主メモリ11に全てロードした後に、平面図生成処理部18、断面図生成処理部17又は縦図面生成処理部16が投影処理部13を用いて3軸座標系の目的とする座標系に投影してマルチウィンドウ管理部6により画面に表示している。
【0067】
一方、樹木情報更新処理部20は図9及び図10に示す処理を行っている。初めに図9の成長率による更新処理を説明する。
【0068】
初めに路線、径間表を画面に表示させ、路線Aaと径間Baとを選択させる(S20)。次に、各樹木の成長率などを入力させる画面を表示させて、樹木の種類に応じた成長率を入力させる(S21)。
【0069】
そして、成長率で更新させる年月日を入力させ(S22)、この年月日と成長率とから樹木の成長高を計算し、この成長高をデータベース14の樹木情報のZ値に加算する(S23)。
【0070】
次に、送電線‐樹木間算出処理部19を用いて再度離隔計算を行わせ、その結果にデータベース3の離隔距離を更新させる(S24)。
【0071】
また、樹木情報更新処理部20は、伐採時のデータ更新処理も行う。初めに路線、径間表を画面に表示させ、路線Aiと径間Biとを選択させる(S30)。
【0072】
次に、伐採の方法(根切り、芯止め)等を入力させる(S31)。そして、離隔数値図上で伐採範囲をマウスで指示させる(S32)。次に、データベース3の樹木情報のZ値から伐採高を減算する(S33)。
【0073】
次に、送電線‐樹木間算出処理部19を用いて再度離隔計算を行わせ、その結果にデータベース3の離隔距離を更新させる(S34)。
【0074】
次に、送電線‐樹木間算出処理部19について説明を補充する。送電線‐樹木間算出処理19は、電線静止時(通常送電、最悪送電)、電線横振れ時(通常送電、最悪送電)及び倒木時について行う。
【0075】
例えば、電線静止時には、図11に示すように、電線を静止させ、電線の支点の内側にあるケース1の場合と、外側にあって支点の下にあるケース2の場合と、支点の外側にあって、支点の上にあるケース3の場合とに分けて、それぞれの離隔距離rを直線的に求める。
【0076】
また、電線横ぶれ時(風力を考慮した時)は、図12に示すように、電線振れ角θの内側にあるケース1の場合と、電線振れ角θの外側にあって支点の下にあるケース2の場合と、電線振れ角θの外側にあって、支点の上にあるケース3の場合とに分けて、それぞれの離隔距離rを直線的に求める。
【0077】
さらに、倒木に関しては、図13に示すように、樹木が倒木したときの軌跡線と樹木の根と送電線の支点とを結ぶ直線との交点と、支点との距離を離隔距離とする。
【0078】
なお、上記実施の形態では、航空機に搭載したレーザ測距離装置を用いたデータから得た送電線、鉄塔位置、樹木位置を用いるとして説明したが、航空機によって得た3次元画像から得た送電線位置、鉄塔位置、樹木位置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施の形態の送電線下支障樹木自動表示装置の概略構成図である。
【図2】ファイル14の送電線ー樹木情報の記憶構成を説明する説明図である。
【図3】ファイル15の送電線ー樹木情報の記憶構成を説明する説明図である。
【図4】実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図6】平面図生成処理と縦断面図生成処理の画面を説明する説明図である。
【図7】断面図生成処理の断面図を説明する説明図である。
【図8】平面図、断面図、縦断図の生成の概略構成図である。
【図9】成長率のデータ更新処理のフローチャートである。
【図10】伐採時のデータ更新処理のフローチャートである。
【図11】電線静止時の離隔距離の算出を説明する説明図である。
【図12】電線横振れ時の離隔距離の算出を説明する説明図である。
【図13】倒木樹木の離隔距離の算出を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 送電線下支障樹木表示装置
2 本体部
3 データベース
6 マルチウィンドウ/管理部
7 設定情報読取処理部
8 処理モード判定処理部
13 投影処理部
14 3次元画像表示処理部
16 縦図面生成処理部
17 断面図生成処理部
18 平面図生成処理部
19 送電線−樹木間判定処理部
20 樹木情報更新処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線下付近の樹木が成長に伴って送電線と樹木との距離が適切に保たれているかどうかを所定の形式で自動的に知らせる送電線下支障樹木自動表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、送電線は、鉄塔を山野に敷設して所定の弛みを有して張られているものである。このため、送電線下付近にある樹木の成長によって、送電線と樹木との距離が適切に保てなくなってくる(以下送電線下支障樹木という)。
【0003】
このような、送電線下支障樹木は、従来においては電力会社の選任作業員が実際に送電線下を廻って、送電線下支障樹木(風によって送電線が揺れた場合に、送電線に触れるおそれがある樹木を含む)をチェックし、必要に応じて伐採を行っていた。
【0004】
このため、チェックする作業員を多く必要とすると共に、チェックに非常に長い時間を要していた。
【0005】
そこで、近年は航空機で送電線上を飛行して得た3次元写真から樹木が送電線に触れるかどうかをチェックする場合もある。
【0006】
このチェックは、3次元写真から人間が樹木の高さを割り出し、送電線高が書き込まれている図面に、この樹木高をプロットした後に、風等によって送電線が揺れる範囲を書き込む。
【0007】
そして、この範囲に入る樹木又は近い将来に前述の範囲に入る樹木がないかどうかをチェックしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、航空機で得た山林等の3次元写真から送電線下付近の支障樹木の割り出しは、人間が一本毎に高さを割り出すと共に、送電線の揺れる範囲を書き込んでいかなければならないので、支障樹木の割り出しに膨大な時間を要するという課題があった。
【0009】
従って、航空機によって得た3次元データから送電線下付近の支障樹木を自動的に割り出して知らせる送電線下支障樹木自動表示装置が望ましい。
【0010】
また、航空機(ヘリコプターを含む)にレーザー測距装置を搭載して得た3次元データから送電線下付近の支障樹木を短時間に自動的に割り出して知らせる場合にも、送電線下支障樹木自動表示装置が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上空からレーザを発射させて得た地物の3次元位置を用いて、第1の鉄塔と第2の鉄塔との径間の送電線と、この送電線下の樹木情報とに基づいて、送電線と樹木との関係を表示部に表示する送電線下支障樹木自動表示装置において、
前記径間毎に、少なくも、前記径間一帯の、前記樹木の樹木情報と前記径間の径間情報と送電線状態情報とが記憶され、前記送電線と前記樹木との離隔距離情報とこの離隔距離に対しての判定結果情報とが対応させられて記憶される記憶手段と、前記径間が指定されると、その径間に対応する前記樹木情報、径間情報、送電線状態情報、離隔距離情報を内部の主メモリに取り込む手段(データ取込部)と、前記径間の、平面をX−Y座標系に、縦断面をX−Z座標系に、横断面をY−Z座標系にした3軸の座標系を有し、前記送電線の曲線である、設定された第1、第2又は第3の曲線の3次元座標のX、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影し、また設定された前記主メモリの前記樹木情報の3次元座標の、X、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影する投影処理部と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Y座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第1の曲線のX、Y座標値を前記投影処理部に設定する手段(平面図生成処理部)と、前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第2の曲線のX、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段(縦面図生成処理部)と、前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のY、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第3の曲線のY、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段(横継面図生成処理部)と、前記送電線に対して前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第1の条件又は前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮するとする第2の条件若しくは前記送電線に前記送電線状態情報に基づく最大電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第3の条件を設定する手段(設定情報読取処理部)と、前記第1の条件が設定されたときは、前記第1の鉄塔と第2の鉄塔との間で前記送電線に通常電力を供給して静止させたときの前記第1の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記第2の条件が設定されたときは、前記第1の曲線を前記最大風力で振ったときの前記第2の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記第3の条件が設定されたときは、前記送電線に最大電力を供給したときの前記第3の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記投影処理部の前記Y−Z座標系(横断面)における前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線と前記樹木情報の樹木の各頂点の座標との離隔距離を順次求める手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記求めた離隔距離が危険な距離かどうかを判定し、該判定結果の危険度と該危険度の色と共に前記樹木情報の前記頂点の座標に対応させて前記記憶手段に記憶する手段(送電線−樹木間算出処理部)と、前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の第1の鉄塔と第2の鉄塔
との間の前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線を前記表示部に表示する手段と、前記頂点の座標に対応させている前記第1、第2、第3の曲線の前記判定結果を読み込み、この判定結果の危険度に応じた色で前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の前記樹木情報の各樹木を前記表示部に表示する手段(平面図生成処理部)と、前記投影処理部のX−Z座標系(縦断面)における第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線又は第3の曲線及び前記判定結果を表示する手段(縦図面生成処理部)とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、表示速度が早いと共に、オペレータはどの樹木が送電線に支障を与えることになるかを一目で判断できるという効果が得られている。
【0013】
このため、何時までに支障樹木を伐採すればよいかをコンピュータ画面から容易に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本実施の形態の送電線下支障樹木自動表示装置の概略構成図である。図1の送電線下支障樹木表示装置1は、送電線および木等の3次元データに基づいて樹木と送電線間の距離を求め、これらの距離から送電線付近の樹木と送電線間の距離を、その距離に応じて色別表示するものである。
【0015】
この送電線下支障樹木表示装置1は、図1に示すように、樹木等の3次元データに基づいて樹木と送電線間の距離を求め、これらの距離から送電線付近の樹木と送電線間の距離を、その距離に応じて色別表示させる本体部2と、全ての送電線の路線Ai(i;a、b、c、……)と、全ての径間情報Bi(i;a、b、c、……)と、全ての樹木情報h(i;a、b、c、……)と、送電線情報等を記憶したデータベース3とを備えている。また、本体部2には表示部4と、マウス5とが接続されている。前述の径間とは、送電線の鉄塔と鉄塔との間を意味する。
【0016】
本体部2は、マルチウィンドウ/管理部6と、設定情報読取処理部7と、処理モード判定処理部8と、データ読取部10と、主メモリ11と、画像メモリ12と、投影処理部13と、3次元画像表示処理部14と、縦図面生成処理部16と、断面図生成処理部17と、平面図生成処理部18と、送電線−樹木間算出処理部19と、樹木情報更新処理部20等を備えている。
【0017】
<各部の詳細>
データベース3には、航空機(ヘリコプターを含む)にレーザ測距装置を搭載して得た樹木、鉄塔等の3次元データおよび航空機によって得た3次元データが階層構造的に予め記憶されている。また、航空機によって得た山林の3次元画像が記憶されている。
【0018】
例えば、図2に示すように、送電線の路線Ai(i;a、b、c、……)と、路線Aiの地形データGi(i;a、b、c、……)と、路線Aiの複数の径間情報Bi(i;a1、a2、……、b1、b2、……)と、画像番号ki(i;a1、a2、……、b1、b2、……)、径間Biの樹木情報h(i;a1、a2、……、b1、b2、……)とからなる送電線間‐樹木情報Jiが階層的に記憶されている。
【0019】
前述の径間情報Biは、送電線番号と鉄塔番号と鉄塔高と送電線種と送電電力(最大時、通常時)と送電線の支点位置等からなる。また、樹木情報hは、画像kiにおける各樹木位置(hix、hiy、hiz、i;a、b、c、……)と、この樹木位置に於ける地形データ(ix、iy、iz、i;a、b、c、……)とからなる。これらの情報は、路線毎(Aa、Ab、……)に区分けされて記憶されている。
【0020】
さらに、データベース3には、送電線−樹木間算出処理部19によって求められた離隔距離情報Riが予め図3に示すように階層的に記憶されている。この離隔距離情報Riは、路線Ai(i;a、b、c、……)の径間情報Bi(i;a、b、c、……)と送電線状態情報Li(i;a、b、c、……)と、径間情報Biの樹木位置hiと、離隔距離mi(i;a1、a2、……、b1、b2、………)とが対応づけられて記憶される。これらの情報は、路線毎に分けられて記憶される。
【0021】
マルチウィンドウ管理部6は、各プログラムを管理すると共に、表示部4に所望の画面を複数同時に開く。また、マウス5によって指示された画面上の位置を設定情報読取処理部7に送出する。
【0022】
設定情報読取処理部7は、マルチウィンドウ管理部6を用いて、路線、径間、平面図、断面図、写真画像、送電線状態条件等の表示形式選択画面、成長率更新画面、伐採情報設定画面、集計画面設定画面等を表示させ、これらの画面において、マウス5によって指示された画面上の位置からどのような条件の画面かを示すフラグをフラグレジスタに設定する。
【0023】
前述の送電線状態条件は、少なくとも、送電線に最大電力送電を送電するとするか否か、風の影響を考慮するか否か等を設定させる条件である。
【0024】
処理モード判定処理部8は、フラグレジスタのフラグの種類により、データ読取部10、3次元画像表示処理部14、縦図面生成処理部16、断面図生成処理部17、平面図生成処理部18、送電線−樹木間算出処理部19、樹木情報更新処理部20等のいずれかを起動させると共に、フラグレジスタの設定内容を、その処理部に設定する。
【0025】
データ読取部10は、路線Aiと径間Biとが指定されると、その路線の径間に関連する離隔距離情報Ri及び送電線間‐樹木情報Jiを主メモリ11に記憶し、かつ3次元画像を画像メモリ12に記憶する。
【0026】
投影処理部13は、3軸の座標系を有し、X、Y座標値をXーY座標系に投影し、X、Z座標値をXーZ座標系に投影し、また、Y、Z座標値をYーZ座標系に投影する。
【0027】
3次元画像表示処理部14は 画像メモリ12に記憶された3次元画像をマルチウィンドウ管理部6を用いて表示させる。
【0028】
縦図面生成処理部16は、縦断面図表示指令に伴って、主メモリ11の路線Aiの径間Biに対応する離隔距離情報Riの全ての樹木情報hのhx、hyを投影処理部13に設定し、投影処理部13でXーZ座標系に投影された座標に、記号又は符号を割り当て表示させると共に、判定結果に基づいて色別表示させる。
【0029】
また、同時に送電線−樹木間算出部19を起動させて鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、後述する(1)、(2)、(3)の設定条件に従って求めさせ、この求めた曲線を投影処理部13に設定し、縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。
【0030】
断面図生成処理部17は、断面図表示指令に伴って、表示された平面図の縦カーソル位置を読み、このカーソル位置における樹木情報hの断面座標(hy、hz)を投影処理部13に設定し、投影処理部13でYーZ座標系に投影された座標に、記号又は符号を割り当て表示させると共に、判定結果に基づいて色別表示させる。
【0031】
また、同時に送電線−樹木間算出部19を起動させて鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、後述する(1)、(2)、(3)の設定条件に従って求め、求めた曲線を投影処理部13に設定し、縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。
【0032】
この曲線の投影は、通常送電の鉄塔の断面図又は最悪時の鉄塔の断面図若しくは両方の断面図を投影させる。
【0033】
通常送電時において送電線を振らせる場合は、鉄塔の断面の支点を中心とした半円を求めて投影させる。また、最悪時において風を考慮する場合は、鉄塔の支点を所定条件に基づいてのばし、このときの支点を中心とした半円を求めて投影させる。
【0034】
送電線−樹木間算出処理部19は、データベース3から径間Biの樹木位置hiと、送電線の鉄塔位置とを読み、この鉄塔間を結ぶ送電線の曲線を求めて樹木位置hiとの離隔距離を3次元において求める。そして、これらの情報を図2の所定の形式にしてデータベース3に記憶する。
【0035】
この離隔距離は、前述の送電線状態の設定条件に従って求められる。例えば、(1) 送電線に最大電力を供給しない場合で風の影響を考慮しないと設定されたときは、単に樹木と送電線の離隔距離として求める。
【0036】
(2) 送電線に最大電力を供給しない場合で風の影響を考慮すると設定されたときは、通常送電時の送電線を最大風力で振ったときの樹木と送電線の離隔距離として求める。
【0037】
(3) 送電線に最大電力を供給(最悪時ともいう)で風の影響を考慮しないとすると設定された場合は、送電線に最大電力を流して弛ませて、樹木と送電線との離隔距離を求める。
【0038】
また、送電線−樹木間算出処理部19は、平面図、断面図、縦断図の表示時には、鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、前述の(1)、(2)、(3)の設定条件に従って求め、求めた曲線を投影処理部13に設定し、平面座標系、断面座標系又は縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。
【0039】
特に、断面図の表示においては、通常送電時において送電線を振らせる場合は、鉄塔の断面の支点を中心とした半円を求める。また、最悪時において風を考慮する場合は、鉄塔の支点を所定条件に基づいてのばし、このときの支点を中心とした半円を求める。
【0040】
さらに、樹木情報hの更新が知らせられると、その樹木情報をデータベース3から引当て、これらの情報に基づいて送電線と樹木との3軸上の離隔距離を求め、路線及び径間に対応づけてデータベース3に記憶する。
【0041】
また、前述の離隔距離に対して以下に説明する危険度の割付を行う。例えば、XーY軸面(平面)、XーZ軸面(縦面)、YーZ軸面(横面)におけるいずれかの面成分の離隔距離が数週間以内に、送電線に所定以上に近接する場合には赤色を、数ヶ月以内に送電線に所定以上に近接する場合には紫色を、その他の樹木情報hには緑色を割り付ける。
【0042】
すなわち、データベース3には、送電線状態設定画面で設定された条件に従った離隔距離情報Riの送電線間距離が3軸面成分に分けられて記憶され、この3軸成分の判定結果が記憶される。
【0043】
樹木情報更新処理部20は、設定された線路Ai、径間Biの樹木情報hをデータベース3から検索し、入力された年月日に基づいて樹木高を更新させる。また、伐採と設定されたときは、その樹木情報の樹木高から伐採長を減算する。
【0044】
投影処理部13は、3軸の座標系を有し、X、Y座標値をXーY座標系に投影し、X、Z座標値をXーZ座標系に投影し、また、Y、Z座標値をYーZ座標系に投影する。
【0045】
上記のように構成された送電線下支障樹木自動表示装置の動作を図4及び図5のフローチャートを用いて説明する。本フローチャートでは、平面図生成の過程を強調して説明し、かつ各処理を一連の流れで説明する。また、送電線ー樹木間情報JiはJaとし、離隔距離情報RiはRaとして説明する。
【0046】
初めに、設定情報算出処理部73は、路線、径間、平面図、断面図、写真画像、送電線状態条件等を選択させる図示しない設定画面又は、成長率更新画面若しくは、伐採情報設定画面、集計画面設定画面等の設定画面を表示させる(S1)。
【0047】
次に、設定終了かどうかを判断し(S2)、設定の終了と判断した場合は、送電線−樹木間算出処理部19が設定画面上においてマウス5により設定された路線Aaの径間Baの送電線‐樹木情報Jaをデータベース3から引当て(S3)、この送電線‐樹木情報Jaに基づいて危険度判定処理を行い、処理結果を図3に示すようにデータベース3に記憶する(S4)。このステップS4の導電線‐樹木間算出処理は、離隔計算指示の入力によって行う。
【0048】
また、送電線−樹木情報Jaは、レーザ測距離装置によって測定した樹木等の高さと平面位置とが3次元座標に変換されて記憶されたものである。
【0049】
前述の判定処理は、上記の(1)、(2)、(3)のいずれかの離隔距離を求める処理であり、求められた離隔距離を3軸上の面に定義づけを行って、いずれかの面上における距離が送電線に所定以上近接するおそれがある場合は、例えば、XーY軸面(平面)、XーZ軸面(縦面)、YーZ軸面(横面)におけるいずれかの面成分の離隔距離が数週間以内に送電線に近接する場合には赤色を、数ヶ月以内に送電線に近接する場合には紫色を、その他の樹木情報haには緑色を割り付ける。
【0050】
図3においては、送電線間距離ma1xがX軸成分の離隔距離、送電線間距離ma1yがY軸成分の離隔距離、送電線間距離ma1zがZ成分の離隔距離である。前述の離隔距離計算について、図を用いて後述する。
【0051】
次に、データ読取部10は、送電線−樹木間距離算出処理部19の処理結果であるデータベース3に記憶されている路線Aaの径間Baの範囲の離隔情報Raを主メモリ11にロードする(S5)。
【0052】
平面図生成処理部18は、マウス5によって平面図表示が選択されると、主メモリ11から路線Aiの径間Biの各樹木位置hai(i;1、2、…)のX、Y座標値を投影処理部13に設定して平面座標系に投影させる(S6)。
【0053】
そして、この投影された平面座標に、記号又は符号を割り当てると共に、危険度判定データEaの判定結果に基づいて色別表示させる(S7)。例えば、送電線と樹木との距離が数週間以内に所定以上近接する場合は危険樹木として赤色を、数ヶ月以内に送電線に近接する樹木には紫色を、その他の樹木には割り付けて表示させる。
【0054】
すなわち、平面図生成処理部18は、図6の(a)に示すように、送電線の鉄塔23aと23bの間における危険樹木を上記(1)、(2)、(3)の離隔距離演算を行わせた後の結果を色別で表示する。図6の(a)においては、丸印が緑、△が紫、×印が危険樹木を示す。
【0055】
次に、処理モード判定処理部8は、設定情報読取処理部7に設定されている設定情報の表示形式Ciを読み(S8)、断面画像の表示かどうかを判断する(S9)。ステップS9において、断面画像の表示ではないと判断したときは、縦断画像の表示かどうかを判断する(S10)。
【0056】
ステップS10において、縦断画像の表示と判断したときは、縦図面生成処理部16を起動させる。
【0057】
縦面図生成処理部17は、縦断面図表示指令(マウスによる選択)に伴って、主メモリ11の離隔距離情報Raの全ての樹木情報haの座標(hax、hay)を全て読み(S11)、投影処理部13でXーZ座標系に投影させて、記号又は符号を割り当て表示させると共に、図6の(b)に示すように、判定結果に基づいて色別表示させた縦断画像を表示させる(S12)。このとき、同時に送電線−樹木間算出部19を起動させて鉄塔同士を結ぶ送電線の曲線を、上記(1)、(2)、又は(3)の設定条件に従って求めさせ、この求めた曲線を投影処理部13に設定し、縦座標系に投影させて、樹木位置と共に表示させる。図6の(a)においては、点線が通常送電であり、最悪時が実線としている。
【0058】
次に、表示形式Ciが3次元画像の表示を示しているかどうかを処理モード判定処理部8が判断する(S13)。
【0059】
ステップS13で写真画像の表示と判断した場合は、処理モード判定処理部8は、3次元画像表示処理部14を起動させる。
【0060】
3次元画像表示処理部14は、路線Aaの径間Baに対応する3次元画像を画像メモリ12から読み(S14)、この3次元画像をマルチウィンドウ表示させる(S15)。
【0061】
また、ステップS10において、縦断画像表示ではないと判断した場合は、処理をステップS13に移す。
【0062】
さらに、ステップS9において、断面画像の表示と判断した場合は、断面図生成処理部17を起動させる。断面図生成処理部17は、平面図における縦カーソル位置25を断面画像表示位置Daとして読み(S16)、そのDaに対応する危険度判定データEaと、カーソル位置25における樹木情報haの断面座標(hay、haz)を読み込んで投影処理部13に設定し(S17)、投影処理部13でYーZ座標系に投影された断面座標(hay、haz)に記号又は符号を割り当てると共に、判定結果に基づいて色別表示させた断面画像を表示させて(S18)、処理をステップS13に戻す。
【0063】
この断画像の生成は、上記説明の送電線‐樹木間算出処理部19を用いて図7に示すように、通常送電における送電線を最大風力で振ったときの(点線)画像と、最悪時での画像と、判定した危険樹木の画像とを生成して表示させている。
【0064】
また、この画像の横には、静止時と、横振り時の弛度と、温度と、振れ角度とを数値で表示している。
【0065】
すなわち、平面図、断面図、縦断図の表示に係わる構成は図8に示すように、データベース3に、レーザ測距離装置等で得たデータに基づいた送電線ー樹木間情報Jiを予め記憶し、この送電線ー樹木間情報Jiに基づいて送電線ー樹木間算出処理部19が路線、径間毎の離隔情報Riを予め求めてデータベース3に記憶する。
【0066】
そして、データ読取部10が指定された路線、径間の離隔情報Riをデータベース3から主メモリ11に全てロードした後に、平面図生成処理部18、断面図生成処理部17又は縦図面生成処理部16が投影処理部13を用いて3軸座標系の目的とする座標系に投影してマルチウィンドウ管理部6により画面に表示している。
【0067】
一方、樹木情報更新処理部20は図9及び図10に示す処理を行っている。初めに図9の成長率による更新処理を説明する。
【0068】
初めに路線、径間表を画面に表示させ、路線Aaと径間Baとを選択させる(S20)。次に、各樹木の成長率などを入力させる画面を表示させて、樹木の種類に応じた成長率を入力させる(S21)。
【0069】
そして、成長率で更新させる年月日を入力させ(S22)、この年月日と成長率とから樹木の成長高を計算し、この成長高をデータベース14の樹木情報のZ値に加算する(S23)。
【0070】
次に、送電線‐樹木間算出処理部19を用いて再度離隔計算を行わせ、その結果にデータベース3の離隔距離を更新させる(S24)。
【0071】
また、樹木情報更新処理部20は、伐採時のデータ更新処理も行う。初めに路線、径間表を画面に表示させ、路線Aiと径間Biとを選択させる(S30)。
【0072】
次に、伐採の方法(根切り、芯止め)等を入力させる(S31)。そして、離隔数値図上で伐採範囲をマウスで指示させる(S32)。次に、データベース3の樹木情報のZ値から伐採高を減算する(S33)。
【0073】
次に、送電線‐樹木間算出処理部19を用いて再度離隔計算を行わせ、その結果にデータベース3の離隔距離を更新させる(S34)。
【0074】
次に、送電線‐樹木間算出処理部19について説明を補充する。送電線‐樹木間算出処理19は、電線静止時(通常送電、最悪送電)、電線横振れ時(通常送電、最悪送電)及び倒木時について行う。
【0075】
例えば、電線静止時には、図11に示すように、電線を静止させ、電線の支点の内側にあるケース1の場合と、外側にあって支点の下にあるケース2の場合と、支点の外側にあって、支点の上にあるケース3の場合とに分けて、それぞれの離隔距離rを直線的に求める。
【0076】
また、電線横ぶれ時(風力を考慮した時)は、図12に示すように、電線振れ角θの内側にあるケース1の場合と、電線振れ角θの外側にあって支点の下にあるケース2の場合と、電線振れ角θの外側にあって、支点の上にあるケース3の場合とに分けて、それぞれの離隔距離rを直線的に求める。
【0077】
さらに、倒木に関しては、図13に示すように、樹木が倒木したときの軌跡線と樹木の根と送電線の支点とを結ぶ直線との交点と、支点との距離を離隔距離とする。
【0078】
なお、上記実施の形態では、航空機に搭載したレーザ測距離装置を用いたデータから得た送電線、鉄塔位置、樹木位置を用いるとして説明したが、航空機によって得た3次元画像から得た送電線位置、鉄塔位置、樹木位置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施の形態の送電線下支障樹木自動表示装置の概略構成図である。
【図2】ファイル14の送電線ー樹木情報の記憶構成を説明する説明図である。
【図3】ファイル15の送電線ー樹木情報の記憶構成を説明する説明図である。
【図4】実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図6】平面図生成処理と縦断面図生成処理の画面を説明する説明図である。
【図7】断面図生成処理の断面図を説明する説明図である。
【図8】平面図、断面図、縦断図の生成の概略構成図である。
【図9】成長率のデータ更新処理のフローチャートである。
【図10】伐採時のデータ更新処理のフローチャートである。
【図11】電線静止時の離隔距離の算出を説明する説明図である。
【図12】電線横振れ時の離隔距離の算出を説明する説明図である。
【図13】倒木樹木の離隔距離の算出を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 送電線下支障樹木表示装置
2 本体部
3 データベース
6 マルチウィンドウ/管理部
7 設定情報読取処理部
8 処理モード判定処理部
13 投影処理部
14 3次元画像表示処理部
16 縦図面生成処理部
17 断面図生成処理部
18 平面図生成処理部
19 送電線−樹木間判定処理部
20 樹木情報更新処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上空からレーザを発射させて得た地物の3次元位置を用いて、第1の鉄塔と第2の鉄塔との径間の送電線と、この送電線下の樹木情報とに基づいて、送電線と樹木との関係を表示部に表示する送電線下支障樹木自動表示装置において、
前記径間毎に、少なくも、前記径間一帯の、前記樹木の樹木情報と前記径間の径間情報と送電線状態情報とが記憶され、前記送電線と前記樹木との離隔距離情報とこの離隔距離に対しての判定結果情報とが対応させられて記憶される記憶手段と、
前記径間が指定されると、その径間に対応する前記樹木情報、径間情報、送電線状態情報、離隔距離情報を内部の主メモリに取り込む手段と、
前記径間の、平面をX−Y座標系に、縦断面をX−Z座標系に、横断面をY−Z座標系にした3軸の座標系を有し、前記送電線の曲線である、設定された第1、第2又は第3の曲線の3次元座標のX、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影し、また設定された前記主メモリの前記樹木情報の3次元座標の、X、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影する投影処理部と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Y座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第1の曲線のX、Y座標値を前記投影処理部に設定する手段と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第2の曲線のX、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のY、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第3の曲線のY、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段と、
前記送電線に対して前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第1の条件又は前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮するとする第2の条件若しくは前記送電線に前記送電線状態情報に基づく最大電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第3の条件を設定する手段と、
前記第1の条件が設定されたときは、前記第1の鉄塔と第2の鉄塔との間で前記送電線に通常電力を供給して静止させたときの前記第1の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段と、
前記第2の条件が設定されたときは、前記第1の曲線を前記最大風力で振ったときの前記第2の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段と、
前記第3の条件が設定されたときは、前記送電線に最大電力を供給したときの前記第3の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段と、
前記投影処理部の前記Y−Z座標系(横断面)における前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線と前記樹木情報の樹木の各頂点の座標との離隔距離を順次求める手段と、
前記求めた離隔距離が危険な距離かどうかを判定し、該判定結果の危険度と該危険度の色と共に前記樹木情報の前記頂点の座標に対応させて前記記憶手段に記憶する手段と、
前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線を前記表示部に表示する手段と、
前記頂点の座標に対応させている前記第1、第2、第3の曲線の前記判定結果を読み込み、この判定結果の危険度に応じた色で前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の前記樹木情報の各樹木を前記表示部に表示する手段と、
前記投影処理部のX−Z座標系(縦断面)における第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線又は第3の曲線及び前記判定結果を表示する手段と
を有することを特徴とする送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項2】
前記離隔距離の算出は、
前記Y−Z座標系(横断面)における前記樹木の頂点の横断面におけるY−Z座標値が、前記第1、第2、第3の曲線のY−Z座標値に対して内側か外側か或いは前記樹木の頂点のZ座標値が前記第1、第2、第3の曲線のZ座標値より上か下かに分けて前記離隔距離を求めることを特徴とする請求項1記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項3】
前記離隔距離の算出は、
前記Y−Z座標系(横断面)における前記樹木の頂点のZ座標値が前記第1、第2、第3の曲線のZ座標値より上となる樹木を判定し、該上と判定した樹木を前記第1,第2、第3の曲線の内側に倒したときの頂点の軌跡を求め、この軌跡の座標と前記第1、第2、第3の曲線との座標との離隔距離を順次求めて、前記判定させることを特徴とする請求項2記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項4】
前記投影処理部のY−Z座標系(横断面)における第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線又は第3の曲線及び前記判定結果を前記表示部に表示する手段と
を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項5】
前記樹木情報の樹木の成長率が入力されると、該成長率に基づいて前記記憶手段の径間の樹木の高さを更新する手段と、
を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項6】
前記樹木情報を読み、該樹木の伐採方法が入力されたときは、これらの樹木の高さを前記伐採方法に基づいて減算する手段と
を有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項1】
上空からレーザを発射させて得た地物の3次元位置を用いて、第1の鉄塔と第2の鉄塔との径間の送電線と、この送電線下の樹木情報とに基づいて、送電線と樹木との関係を表示部に表示する送電線下支障樹木自動表示装置において、
前記径間毎に、少なくも、前記径間一帯の、前記樹木の樹木情報と前記径間の径間情報と送電線状態情報とが記憶され、前記送電線と前記樹木との離隔距離情報とこの離隔距離に対しての判定結果情報とが対応させられて記憶される記憶手段と、
前記径間が指定されると、その径間に対応する前記樹木情報、径間情報、送電線状態情報、離隔距離情報を内部の主メモリに取り込む手段と、
前記径間の、平面をX−Y座標系に、縦断面をX−Z座標系に、横断面をY−Z座標系にした3軸の座標系を有し、前記送電線の曲線である、設定された第1、第2又は第3の曲線の3次元座標のX、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影し、また設定された前記主メモリの前記樹木情報の3次元座標の、X、Y座標値を前記X−Y座標系(平面)に、X、Z座標値を前記X−Z座標系(縦断面)に、Y、Z座標値を前記Y−Z座標系(横断面)に投影する投影処理部と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Y座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第1の曲線のX、Y座標値を前記投影処理部に設定する手段と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のX、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第2の曲線のX、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段と、
前記主メモリの前記径間の前記樹木情報の樹木の頂点のY、Z座標値並びに前記第1の鉄塔と第2の鉄塔の間の前記径間情報の送電線の曲線である第3の曲線のY、Z座標値を前記投影処理部に設定する手段と、
前記送電線に対して前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第1の条件又は前記送電線状態情報に基づく通常電力を供給し、風の影響を考慮するとする第2の条件若しくは前記送電線に前記送電線状態情報に基づく最大電力を供給し、風の影響を考慮しないとする第3の条件を設定する手段と、
前記第1の条件が設定されたときは、前記第1の鉄塔と第2の鉄塔との間で前記送電線に通常電力を供給して静止させたときの前記第1の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段と、
前記第2の条件が設定されたときは、前記第1の曲線を前記最大風力で振ったときの前記第2の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段と、
前記第3の条件が設定されたときは、前記送電線に最大電力を供給したときの前記第3の曲線のX、Y座標値とX、Z座標値とY、Z座標値とを前記投影処理部に設定する手段と、
前記投影処理部の前記Y−Z座標系(横断面)における前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線と前記樹木情報の樹木の各頂点の座標との離隔距離を順次求める手段と、
前記求めた離隔距離が危険な距離かどうかを判定し、該判定結果の危険度と該危険度の色と共に前記樹木情報の前記頂点の座標に対応させて前記記憶手段に記憶する手段と、
前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線、第3の曲線を前記表示部に表示する手段と、
前記頂点の座標に対応させている前記第1、第2、第3の曲線の前記判定結果を読み込み、この判定結果の危険度に応じた色で前記投影処理部のX−Y座標系(平面)の前記樹木情報の各樹木を前記表示部に表示する手段と、
前記投影処理部のX−Z座標系(縦断面)における第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線又は第3の曲線及び前記判定結果を表示する手段と
を有することを特徴とする送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項2】
前記離隔距離の算出は、
前記Y−Z座標系(横断面)における前記樹木の頂点の横断面におけるY−Z座標値が、前記第1、第2、第3の曲線のY−Z座標値に対して内側か外側か或いは前記樹木の頂点のZ座標値が前記第1、第2、第3の曲線のZ座標値より上か下かに分けて前記離隔距離を求めることを特徴とする請求項1記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項3】
前記離隔距離の算出は、
前記Y−Z座標系(横断面)における前記樹木の頂点のZ座標値が前記第1、第2、第3の曲線のZ座標値より上となる樹木を判定し、該上と判定した樹木を前記第1,第2、第3の曲線の内側に倒したときの頂点の軌跡を求め、この軌跡の座標と前記第1、第2、第3の曲線との座標との離隔距離を順次求めて、前記判定させることを特徴とする請求項2記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項4】
前記投影処理部のY−Z座標系(横断面)における第1の鉄塔と第2の鉄塔との間の前記第1の曲線、第2の曲線又は第3の曲線及び前記判定結果を前記表示部に表示する手段と
を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項5】
前記樹木情報の樹木の成長率が入力されると、該成長率に基づいて前記記憶手段の径間の樹木の高さを更新する手段と、
を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【請求項6】
前記樹木情報を読み、該樹木の伐採方法が入力されたときは、これらの樹木の高さを前記伐採方法に基づいて減算する手段と
を有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の送電線下支障樹木自動表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−345695(P2006−345695A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239581(P2006−239581)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【分割の表示】特願平9−249223の分割
【原出願日】平成9年9月12日(1997.9.12)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【分割の表示】特願平9−249223の分割
【原出願日】平成9年9月12日(1997.9.12)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
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