説明

送風ノズル

【課題】送風ノズルの構造をより簡易とし、製造コストの削減、製作の簡易化を目指す。
【解決手段】本体部10の長手方向にスリット状の吐出口15を設け、その一方端にエアーの供給口を設ける。本体部10をその端部側から見て吐出口15の中央を通過する中心線Yに沿って2分割した同一形状の2つの本体部構成部材10pから形成する。吐出口15と反対側の背面長手方向に位置決め用の凹部16をそれぞれの当接面に形成し、これら凹部16に線条部材を適合する。吐出口15の内側で吐出口15と対向して少なくとも1枚の整流板18を配備する。整流板18には複数のエアー挿通孔を設ける。本体部10の略中央直径方向Xに両本体部構成部材10pを固定するための長軸ボルト29を設け、前記線条部材及び整流板18を配備して両本体部構成部材10pをこの長軸ボルト29によって固定することにより、吐出口15が所定間隔を維持して本体部10が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風発生機(熱風送風機)又はブロワー等に接続して熱風等を吐出するために使用する送風ノズルに関するものであって、とりわけ、本発明に係る送風ノズルにおいては、幅広帯状の吐出エアーを得ることができる所謂「ブローナイフ」というものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の送風ノズルとしては、以下の特許文献に記載のものを挙げることができる。
特許文献1に記載の送風ノズルにあっては、スリット状の吐出口に仕切りを無くし、吐出エアーがノズルから離れた箇所においてもあまり拡散せずに帯状の状態を維持し、吐出口の間隔調節も容易にできるものを提供することをその課題としたものである。
【0003】
その構成は、主管部の一方端にエアー供給口を設け、その長手方向にエアー排出孔を列設し、これらエアー排出孔と平行に主管部の内部に複数のエアー挿通孔を有する整流格子を配設する。そして、エアー排出孔を被覆するように2枚のエアー吐出用案内板を相互に対向するように主管部に螺着し、これら2枚のエアー吐出用案内板の先端部の間隔がエアー吐出口を形成する。エアー吐出用案内板は、主管部の周方向に移動でき、これにより吐出口の間隔が広狭自在に調節できるものである。
【0004】
特許文献2に記載の送風ノズルにあっては、吐出エアーの均一性と圧力損失の低減化を課題とし、且つ製作容易化をも目的としたものである。
その構成は、長尺状の筒状本体部の長手方向にスリット状の吐出口を設け、本体部の一方端部に供給口を設け、供給口から供給されたエアーが吐出口から帯状に吐出する送風ノズルにおいて、吐出口が本体部からエアーの吐出方向に突出した吐出口部の先端部に形成され、吐出口部の根本部内面から本体部の内部に向かって、本体部の背面側に延長する帯板状の一対の整流板を相対向するように設け、これら整流板には複数のエアー挿通孔を設けることにより本体内の静圧を均一に維持しうるようにし、尚且つ本体部及び吐出口部の全体を帯板鋼鈑からプレス加工により成形することにより簡易に製作できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−79749号公報
【特許文献2】特開2003−260386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の送風ノズルにおいては、特許文献1に記載のノズルの主管部は、アルミの押出成形又は引抜成形により製作しており、特許文献2のノズルに係る筒状本体部ではプレス成形により製作していた。
本発明に係る送風ノズルにおいては、上記従来の送風ノズルの進歩の流れに沿うものであり、吐出エアーの均一化や圧力損失の低減化は当然の前提であるが、その構造をより簡易とし、製造コストの削減、製作手順の簡易化をその第一の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、筒状の本体部の長手方向に沿ってスリット状の吐出口を設け、本体部の一方端又は両端に供給口を設け、供給口から供給されたエアーが吐出口から帯状に吐出する送風ノズルにおいて、本体部をその端部側から見て吐出口の中央を通過する中心線に沿って2分割した同一形状の2つの本体部構成部材から形成し、吐出口と反対側の背面長手方向には、前記両本体部構成部材を当接、合致させて本体部を形成するための位置決め用の凹部をそれぞれの当接面に形成し、これら凹部には線条部材を適合させることにより両本体部構成部材が位置決めされ、吐出口の内側で、吐出口と対向する本体部内部には少なくとも1枚の整流板を配備し、整流板には多数のエアー挿通孔が形成され、本体部の前記中心線と交差する本体部の略中央直径方向には、前記両本体部構成部材を固定するための螺子等の固定手段が設けられ、これにより、前記線条部材及び整流板を配備して両本体部構成部材を固定手段によって固定することにより、吐出口が所定間隔を維持して本体部が形成されることを特徴とする送風ノズルである。
【0008】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、横幅の異なる整流板を複数用意し、これらの整流板の任意の1枚を選択して使用することにより吐出口のスリット幅を決定することができることを特徴とする送風ノズルである。
ここで、吐出口のスリット幅というのは、本体部の長手方向に設けられるスリット状の吐出口において、その長手方向と直交するスリットの間隔を意味する。
【0009】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、両本体部構成部材の背面側の線条部材が適合する凹部の更に背面側にそれぞれ凹所を設け、これらの凹所に封止部材を適合させることにより機密性を保持したことを特徴とする送風ノズルである。
【0010】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3のそれぞれの発明において、吐出口が設けられている本体部の部位を吐出エアーの吐出方向に延長させて、吐出口に至るまで内部通路を形成し、吐出エアーの吐出方向の均一性を保持させたことを特徴とする送風ノズルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1のものにおいては、その第1の特徴は、筒状の本体部が同一形状の2つの本体部構成部材から形成されている点である。
これにより、例えば、本体部をアルミの引抜加工又は押出加工により製作する際に、同じ一つのダイスを用いて製作することができ、従来のものと比較してその製造コストを低減化させることができるのである。
【0012】
より詳しくは、同一形状の一つのダイスを用いて、前記本体部構成部材をアルミの引抜加工又は押出加工により製作し、その後適宜長さに切断したもの2つを対称に打ち合わせることによって本発明に係る送風ノズルの本体部が形成されることとなる。
本体部の形成には、その2つの本体部構成部材を打ち合わせるに際して、吐出口側内側に配設する整流板と、吐出口側と反対側の背面側で線条部材をそれぞれの本体部構成部材の当接面に設けられた凹部に適合させた状態で、本体部の略中央直径方向に設けた螺子等の固定手段による固定により容易に本発明に係る送風ノズルが完成するのである。
このように、極めて容易に本発明に係る送風ノズルが製作され、その製造コストの低減化及び製作の容易化が図られるのである。
【0013】
本発明の第2のものにおいては、横幅の異なる整流板を複数用意することによって、その内の1枚を選択して、使用することによって、吐出口のスリット幅を決定することができるものであり、整流板の選択と同時に吐出口のスリット幅をも選択、決定することができる。
【0014】
本発明の第3のものにおいては、両本体部構成部材の背面側の線条部材が適合する凹部の更に背面側にそれぞれ凹所を設け、この凹所に封止部材を適合させることにより機密性を保持したものである。
吐出口以外の部位から送風エアーが漏れることとなると、送風ノズル内部の静圧も一定とならず、良好な帯状の吐出エアーを得ることができなくなるからである。
【0015】
本発明の第4のものにおいては、吐出口が設けられている本体部の部位を吐出エアーの吐出方向に延長させて、吐出口に至るまで内部通路を形成し、その内部通路を所定長さに形成することにより、吐出エアーの吐出方向を一定方向に整え、均一な吐出エアーを得ることができることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る送風ノズルの一実施形態を示し、その(A)が中間部を省略し、吐出口を下方に向けた状態の正面図であり、その(B)が左側面図、その(C)が右側面図である。
【図2】図1(A)のS−S線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る送風ノズルの一実施形態を示し、その(A)が中間部を省略し、吐出口を下方に向けた状態の正面図であり、その(B)が左側面図、その(C)が右側面図である。
【0018】
本発明に係る送風ノズルの基本構成は、従来のものと同様である。
即ち、略筒形状の本体部10の図中右端部に熱風発生機やブロアー等から送られて来る熱風等を配管を介して供給口12から前記本体部10内に供給し、本体部10内で、供給された熱風は略直角にその向きを変換されて図中下方に設けられたスリット状の吐出口15から帯状に吐出されるものである。
【0019】
この正面図では、本体部10の左側の略L字形状の支持部材20と、右側の側面視略正方形形状の支持枠体21によって支持されている状態が図示されている。支持部材や支持枠体は、その他どのような形態のものであってもよい。
正面図においては、本体部10の中間部を省略して描いており、その長手方向長さは、適宜必要に応じて設定されるが、この実施形態では約2000mmに設定しており、供給口12の外径も約65mmに設定している。
【0020】
この図1では明瞭に見て取ることができないが、本体部10は、下方に向かう吐出口15の中央を通過する中心線で2分割され、この分割された両本体部構成部材10p、10pが本体部10の中央の長軸ボルト29により相互に合体、固定されるのである。
この構造に関しては、次図の図2に基づき詳説する。
【0021】
図2は、図1(A)のS−S線断面図である。この図により、本発明の特徴部分である本体部10の構造をよく見て取ることができる。
本発明に係る送風ノズルの本体部10は、図示した通り、その断面形状は、略紡錘形、即ち、水の滴を逆様にしたような形状を有している。
この紡錘形状の下方の尖った部位に吐出口15が配置されている。
【0022】
この本体部10は、その左右が同一形状の本体部構成部材10p、10pを対称に配置して合体して形成される。
即ち、本発明に係る本体部10は、その吐出口15の中央を通過する中心線Yに沿って2分割された形態を有し、これら2分割された本体部構成部材10p、10pを相互に対称に打ち合わせ、合体することにより形成されるのである。
【0023】
それ故、本体部構成部材10pは、アルミニウムの押出加工又は引抜加工により、1つ又は1組のダイスによって形成できる。
このように成形された本体部構成部材10pを適宜長さに切断したものを2本使用して、相互に向き合わせて対称に打ち合わせ、合体するのである。
【0024】
それぞれの本体部構成部材10pが打ち合わされる、その対応する部位で、吐出口15と反対側の背面側(図中上方側)の長手方向に凹部16が形成されており、これらの凹部16、16に金属製の線条部材、例えば横断面略円形のステンレス製ワイヤーを適合させて合体するのである。つまり、この線条部材及び凹部16が両本体部構成部材10p、10pを合体する際の位置決め手段となるのである。
この凹部16、16の少し上方には、丸紐状のシリコンスポンジからなるガスケットを封止部材として配備するための凹所17、17を設けている。エアーの機密性を保持するためである。
【0025】
本体部10の吐出口15の内側には、吐出口15と対向するように、略平行に整流板18が設けられている。
この整流板18は、端部にある供給口から送られてくるエアーを吐出口15の方向に良好に変換させるために、多数のエアー挿通孔が設けられているものである。
この実施形態では、この整流板18が、必要に応じて4枚設けることができるように設計しているが、最低1枚でも実施可能である。
この整流板18の横幅サイズを適宜選択することのより、吐出口15のスリットの間隔が決定されることとなる。即ち、横幅サイズの大きいものを使用すれば、スリット間隔は大きなり、横幅サイズの小さいものを使用すればスリット間隔は小さくなる。
【0026】
以上の構成部材により、2つの本体部構成部材10p、10pを、その内側を向かい合わせるようにし、それぞれの凹部16、16に線条部材を適合させ、それぞれの凹所17、17には封止部材を適合させ、更に、適宜枚数の整流板18を配備して後、前記分割方向である中央線Yと略直角に交差する中央横(直径)方向Xに設けられている螺子穴19、19に長軸ボルト29を挿通し、螺着することによって本発明に係る送風ノズルが形成されるのである。
【0027】
前記整流板18は、本体部構成部材10p、10pのそれぞれ対応する位置に設けた溝部28、28に嵌合させて組み付けることができ、更に、その端部で螺子孔を構成する溝部27、27に嵌合させて組み付けることもできる。
整流板18には、上記した通り、多数のエアー挿通孔が穿設されているが、このエアー挿通孔のサイズや大きさ、並びに数については適宜設計することができるが、本体部10の長手方向長さに応じて、その数やサイズ、大きさを決定する。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更が可能である。
本体部及び本体部構成部材の形状及びそのサイズは、適宜必要に応じて設計することができる。
特に本体部の外形は、上記実施形態では、吐出口に向かって細くなる紡錘形を有しているが、適宜その外周で長手方向に伸びる角部又は突条を形成して、本体部のころがりを防止できる形状とすることも可能である。
【0029】
上記図2に図示した通り、本体部の吐出口15は、吐出エアーの吐出方向に少し延長するように設けているが、この吐出口部分を更に吐出エアーの吐出方向に突出するように延長して設けることも自由である。
このように構成することにより、吐出口のスリット開口に至るまでに通路が形成され、この通路によって、吐出エアーの方向性が規制され、帯状の吐出エアーの吐出方向の均一性が向上することとなる。
【0030】
両本体部構成部材を固定するための長軸ボルトを設ける本数は、本体部の長手方向長さに応じて適宜設定すればよい。
この長軸ボルトで螺着する部位にエアー漏れ防止用のガスケットやシーリング材を設けることもできる。
この長軸ボルトは、単にボルト・ナットを用いて固定手段とすることもできる。
供給口は、上記実施形態では、一方の端部に1つ設けたが、本体部の長手方向長さの長いものにあっては、その両端部に設けることも自由である。
吐出口の反対側の背面側に設けた凹部に配設する金属製線条部材もその素材や太さ等適宜自由に設計することができる。
【0031】
また、更に背面側に設けた凹所に配設する封止部材もシリコンスポンジ以外にもエアー封止機能を発揮するものであれば、どのような素材を利用しても良い。
整流板に関しては、その横幅の異なるものを複数枚用意すればよいが、同じ横幅のもののみであっても、例えば各種太さの線条材を用意し、この線条材をスペーサーとして用いて吐出口の広狭をミリ単位で規制することもできる。
【0032】
以上、本発明は、本体部を2つの同一形状の本体部構成部材から形成することができ、これら両本体部構成部材を合体するための位置決め手段を設け、内部に配備する整流板の選択により吐出口のスリット幅をも規定できる極めて簡易な構成を採用し、その製造コストの低減化と製作の容易化を実現した送風ノズルを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0033】
10 本体部
10p 本体部構成部材
12 供給口
15 吐出口
16 凹部
17 凹所
18 整流板
19 螺子穴
29 長軸ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部(10)の長手方向に沿ってスリット状の吐出口(15)を設け、本体部(10)の一方端又は両端に供給口(12)を設け、供給口(12)から供給されたエアーが吐出口(15)から帯状に吐出する送風ノズルにおいて、
本体部(10)をその端部側から見て吐出口(15)の中央を通過する中心線(Y)に沿って2分割した同一形状の2つの本体部構成部材(10p, 10p)から形成し、
吐出口(15)と反対側の背面長手方向には、前記両本体部構成部材(10p, 10p)を当接、合致させて本体部(10)を形成するための位置決め用の凹部(16, 16)をそれぞれの当接面に形成し、
これら凹部(16, 16)には線条部材を適合させることにより両本体部構成部材(10p, 10p)が位置決めされ、
吐出口(15)の内側で、吐出口(15)と対向する本体部内部には少なくとも1枚の整流板(18)を配備し、整流板(18)には多数のエアー挿通孔が形成され、
本体部(10)の前記中心線(Y)と交差する本体部(10)の略中央直径方向(X)には、前記両本体部構成部材(10p), 10p)を固定するための螺子(29)等の固定手段が設けられ、
これにより、前記線条部材及び整流板(18)を配備して両本体部構成部材(10p, 10p)を固定手段によって固定することにより、吐出口(15)が所定間隔を維持して本体部(10)が形成されることを特徴とする送風ノズル。
【請求項2】
横幅の異なる整流板(18)を複数用意し、これらの整流板(18)の任意の1枚を選択して使用することにより吐出口(15)のスリット幅を決定することができることを特徴とする請求項1に記載の送風ノズル。
【請求項3】
両本体部構成部材(10p, 10p)の背面側の線条部材が適合する凹部(16, 16)の更に背面側にそれぞれ凹所(17, 17)を設け、これらの凹所(17, 17)に封止部材を適合させることにより機密性を保持したことを特徴とする請求項1又2に記載の送風ノズル。
【請求項4】
吐出口(15)が設けられている本体部(10)の部位を吐出エアーの吐出方向に延長させて、吐出口(15)に至るまで内部通路を形成し、吐出エアーの吐出方向の均一性を保持させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の送風ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−61116(P2013−61116A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199895(P2011−199895)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000210300)
【Fターム(参考)】