逆止弁
【課題】弁軸を挿通する貫通孔を設けた弁箱の開口部を蓋部材で閉塞した逆止弁の弁体を手動で回動できるようにすることである。
【解決手段】弁箱2の左右両側の開口部2aを閉塞する蓋部材9a、9bを、弁軸3を回転自在に支持する軸受箱5の外端面の円形の凹部5aに回動可能に取り付け、これらの蓋部材9a、9bの内側に、所定の基準取り付け位置では弁軸3と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、2枚一対の弁体6a、6bが流路1を開く回動方向へ弁軸3を回転させるように係合する係合部を設けることにより、蓋部材9a、9bを回動させて、弁体6a、6bを手動で回動できるようにした。
【解決手段】弁箱2の左右両側の開口部2aを閉塞する蓋部材9a、9bを、弁軸3を回転自在に支持する軸受箱5の外端面の円形の凹部5aに回動可能に取り付け、これらの蓋部材9a、9bの内側に、所定の基準取り付け位置では弁軸3と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、2枚一対の弁体6a、6bが流路1を開く回動方向へ弁軸3を回転させるように係合する係合部を設けることにより、蓋部材9a、9bを回動させて、弁体6a、6bを手動で回動できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の流体圧で弁体が回動して流路を開く弁体が回動する逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
逆止弁には、流路の一方側の流体圧が高くなると弁体が回動して流路を開き、流路の両側の流体圧が同じか、他方側の流体圧が高いときは、弁体が流路を自然に閉じるようにした逆止弁がある。この種の逆止弁には、弁箱に支持した弁軸の回りに1枚の弁体を回動させるスイング式のもの(例えば、特許文献1参照)と、弁箱の流路に差し渡して支持した弁軸の回りに、流路を半分ずつ閉じる2枚の弁体を回動させるデュアルプレート式のもの(例えば、特許文献2参照)とがある。特許文献1に記載された逆止弁は横向きの流路に設けられ、弁体が流体圧によって回動し、自重によって閉じる方向に付勢されるようになっている。特許文献2に記載された逆止弁は縦向きの流路に設けられ、弁体が下方からの流体圧によって上向きに回動し、自重によって下向きに閉じる方向に付勢されるようになっている。横向きの流路に設けた逆止弁では、弁体をばねによって閉じる方向に付勢したものもある。
【0003】
また、特許文献1、2に記載された逆止弁は、弁箱の両側に弁軸を挿通する貫通孔を設け、これらの弁軸を挿通した貫通孔の開口部を蓋部材で覆っている。特許文献1に記載されたものは、両側の貫通孔に挿通した弁軸を回転自在に支持し、この回転自在な弁軸に1枚の弁体をキーで回り止めして固定している。また、特許文献2に記載されたものは、両側の貫通孔に挿通した弁軸を回転自在に支持し、この回転自在な弁軸と、その外側に回転自在に外嵌したスリーブとに、2枚の弁体を回り止めして取り付けている。
【0004】
特許文献1に記載されたように、回転自在な弁軸に弁体を固定した逆止弁は、弁箱に回転自在に支持された弁軸をグランドパッキン等でシールする軸シール構造を採用すると、弁軸の回転に対する摩擦抵抗が大きくなって、弁体が流体圧によってスムーズに回動しなくなる。特許文献1に記載されたものでは、貫通孔の開口部を覆う蓋部材と弁箱の間をシールすることにより、軸シール構造を採用することなく、弁箱の開口部を気密に閉塞している。なお、弁軸が回転しない特許文献2に記載された逆止弁も、蓋部材と弁箱の間をシールすることにより、弁箱の開口部を気密に閉塞している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−119976号公報
【特許文献2】特開2005−61458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載されたように、弁軸を挿通する貫通孔を設けた弁箱の開口部を蓋部材で閉塞した逆止弁は、試験や点検等のために流路を強制的に開けたいときに、弁体を手動で回動できない問題がある。なお、弁体を手動で回動させるためには、回転自在とした弁軸を蓋部材の外側へ露出させることが考えられるが、この場合は、蓋部材と弁軸との間を軸シールする必要があり、流体圧による弁体のスムーズな回動が阻害される。
【0007】
そこで、本発明の課題は、弁軸を挿通する貫通孔を設けた弁箱の開口部を蓋部材で閉塞した逆止弁の弁体を手動で回動できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、弁箱に弁軸が挿通される貫通孔を両側に設けて、これらの貫通孔を設けた両側の開口部を蓋部材で閉塞し、前記貫通孔に挿通される弁軸を回転自在に支持して、この弁軸に固定された弁体が、前記弁箱の流路を閉じる方向に付勢され、前記流路の流体圧で流路を一方向に開くように回動される逆止弁において、前記弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、前記貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では前記弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記弁体が流路を開く回動方向へ前記弁軸を回転させるように係合する係合部を設けた構成を採用した。
【0009】
すなわち、弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、弁体が流路を開く回動方向へ弁軸を回転させるように係合する係合部を設けることにより、蓋部材を回動させて、弁体を手動で回動できるようにした。
【0010】
前記蓋部材の係合部が前記弁軸と係合して、前記弁体が流路を開くように回動した状態で、前記蓋部材の回動位置を固定する手段を設けることにより、弁体が流路を開けるように回動した状態を保持することができる。
【0011】
前記逆止弁を、前記弁箱の流路に差し渡した弁軸の回りに、流路を半分ずつ閉じる2枚の弁体を回動させるものとした場合は、前記弁軸を、回転自在に支持された内側の軸部材に、スリーブ部材が回転自在に外嵌されたものとし、前記2枚の弁体のうちの一方の弁体を前記軸部材に固定し、他方の弁体を前記スリーブ部材に固定して、前記開口部を閉塞する一方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記一方の弁体が流路を開く回動方向へ前記軸部材を回転させるように係合する係合部を設け、他方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記他方の弁体が流路を開く回動方向へ前記スリーブ部材を回転させるように係合する係合部を設けるとよい。
【0012】
上述した各逆止弁は、前記弁箱の流路が縦向きとされ、前記弁体が自重で流路を閉じる下方に付勢されて、流路の下方からの流体圧で流路を開くように上方へ回動するものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る逆止弁は、弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、弁体が流路を開く回動方向へ弁軸を回転させるように係合する係合部を設けたので、弁体を手動で回動することができ、試験や点検等のために流路を強制的に開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の逆止弁を示す縦断正面図
【図2】図1の縦断側面図
【図3】図1の平面図
【図4】図1の軸受箱を示す側面図
【図5】(a)は図1のV−V線に沿った断面図、(b)は(a)の蓋部材を回動させた状態を示す断面図
【図6】図5の蓋部材と軸部材の端部を示す分解斜視図
【図7】図1のVII−VII線に沿った断面図
【図8】図7の蓋部材とスリーブ部材の端部を示す分解斜視図
【図9】第2の実施形態の逆止弁を示す縦断正面図
【図10】図9の軸受箱を示す側面図
【図11】(a)、(b)は図9のXI−XI線に沿った断面図、(c)、(d)は(a)の蓋部材を回動させる状態を示す断面図
【図12】図11の蓋部材と軸部材の端部を示す分解斜視図
【図13】(a)、(b)は図9のXIII−XIII線に沿った断面図、(c)、(d)は(a)の蓋部材を回動させる状態を示す断面図
【図14】図13の蓋部材とスリーブ部材の端部を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図8は、第1の実施形態を示す。この逆止弁は、図1乃至図3に示すように、縦向きの流路1が設けられた円筒状の弁箱2の左右両側に、流路1の中央に差し渡される弁軸3が挿通される貫通孔2aを設けた外向きのボス部2bが設けられ、その外側に、弁軸3を軸受4で回転自在に支持する軸受箱5が取り付けられている。弁軸3は内側の軸部材3aと、軸部材3aに左右両側で回転自在に外嵌されたスリーブ部材3bとで構成され、軸部材3aとスリーブ部材3bに、それぞれ流路1を半分ずつ閉じる2枚一対の半円形の弁体6a、6bが固定されている。
【0016】
前記各弁体6a、6bは、流路1の下方からの流体圧によって上方へ回動して流路1を開き、自重で下方へ回動して、弁箱2の内周に設けられた弁座7に当接され、流路1を閉じるようになっている。弁箱2の内側には、各弁体6a、6bの上方への回動位置を規制するストッパ8も取り付けられている。
【0017】
前記左右両側の軸受箱5の外側端面には蓋部材9a、9bがボルト10で取り付けられている。各蓋部材9a、9bは、軸受箱5の外側端面に設けられた円形の凹部5aに嵌まり込む円筒部の外側端面を閉塞した有底円筒状のものとされ、軸受箱5に回転自在に支持された弁軸3の回りに回動可能とされている。また、両側のボス部2bと軸受箱5の内側端面との間、および軸受箱5の外側端面と各蓋部材9a、9bの円筒部の先端面との間には、それぞれシール部材11a、11bが装着され、貫通孔2aを設けた弁箱2のボス部2bの開口部が気密に閉塞されるようになっている。
【0018】
図4に示すように、前記軸受箱5の外側端面の凹部5aには、後述するように、各蓋部材9a、9bを定常時の基準取り付け位置と回動位置で固定するボルト10が螺着されるねじ穴12が、周方向に90°の位相間隔で4箇所に設けられている。
【0019】
図5および図6に示すように、前記左側の蓋部材9aの円筒部の内周面には、周方向の1箇所で軸部材3aとの係合部としての内向きの突起13aが設けられ、一方の弁体6aが固定された軸部材3aの蓋部材9a円筒部に挿入された端部の外周面には、突起13aと周方向で係合する外向きの突起14aが周方向の1箇所で設けられている。また、蓋部材9aには、ボルト10が挿通されるボルト孔15が周方向に90°の位相間隔で4箇所に設けられ、その外周面には、蓋部材9aを回動するレンチ等の工具用の面取り16が設けられている。
【0020】
図5(a)は、前記蓋部材9aを定常時の基準取り付け位置に固定した状態を示す。この状態では、蓋部材9aの内向きの突起13aが下側に来るように、蓋部材9aが軸受箱5のねじ穴12に螺着されるボルト10で固定され、弁体6aの回動に伴って軸部材3aが図中に両方向の矢印で示す範囲で回転しても、軸部材3aの外向きの突起14aが蓋部材9aの突起13aと係合することはなく、弁体6aが下方からの流体圧によって自由に上方へ回動する。
【0021】
図5(b)は、前記蓋部材9aを図中の矢印の方向に180°回動させて、回動位置に固定した状態を示す。このときは、回動する蓋部材9aの突起13aの前面側に軸部材3aの突起14aが係合して、軸部材3aの回転に伴って弁体6aが上方へ回動し、突起13aが上側へ来たときに、弁体6aが全開位置に回動する。この状態で上下逆向きとなった蓋部材9aを、ねじ穴12に螺着されるボルト10で固定することにより、弁体6aが全開位置に保持される。
【0022】
図7および図8に示すように、前記右側の蓋部材9bの円筒部の内周面には、周方向の1箇所でスリーブ部材3bとの係合部としての内向きの突起13bが設けられ、他方の弁体6bが固定されたスリーブ部材3bの端面には、周方向の1箇所で蓋部材9b円筒部の中へ軸方向に突出し、突起13bと周方向で係合する突起14bが設けられている。また、前記左側の蓋部材9aと同様に、蓋部材9bにも4箇所のボルト孔15と面取り16が設けられている。
【0023】
図7(a)は、前記蓋部材9bを基準取り付け位置に固定した状態を示す。前記左側と同様に、蓋部材9bは内向きの突起13bが下側に来るように固定され、弁体6bの回動に伴ってスリーブ部材3bが図中に両方向の矢印で示す範囲で回転しても、スリーブ部材3bの突起14bが蓋部材9bの突起13bと係合することはなく、弁体6bが自由に上方へ回動する。
【0024】
図7(b)は、前記蓋部材9bを図中の矢印の方向に180°回動させて、回動位置に固定した状態を示す。スリーブ部材3bの突起14bは、回動する蓋部材9bの突起13bの前面側に係合し、スリーブ部材3bの回転に伴って弁体6bが上方へ回動して、突起13bが上側へ来たときに、弁体6bが全開位置に回動する。この状態で、蓋部材9aをねじ穴12に螺着されるボルト10で固定することにより、弁体6aが全開位置に保持される。
【0025】
図9乃至図14は、第2の実施形態を示す。この逆止弁は、図9に示すように、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、以下に述べるように、前記弁箱2の左右両側で軸受箱5の外側端面の凹部5aに回動可能に嵌め込まれた有底円筒状の蓋部材9a、9bが、前記弁軸3を構成する軸部材3aおよびスリーブ部材3bと係合する形態が異なる。その他の部分は、第1の実施形態のものと同じであり、軸部材3aとスリーブ部材3bに各々固定された2枚一対の半円形の弁体6a、6bが、流路1の下方からの流体圧によって上方へ回動するようになっている。
【0026】
図10に示すように、この実施形態では、前記軸受箱5の外側端面の凹部5aに、各蓋部材9a、9bを定常時の基準取り付け位置に固定するボルト10を螺着する基準ねじ穴12aと、回動位置に固定するボルト10を螺着する回動用ねじ穴12bとが、各々周方向に90°の位相間隔で、互いの位相を周方向にずらして4箇所ずつに設けられている。
【0027】
図11および図12に示すように、前記左側の蓋部材9aは、有底円筒状の円筒部の内周面に、軸部材3aとの係合部として、円周方向の一部で内方へ膨出する平坦な弦面17aが設けられている。軸部材3aの端面には、円形断面の一部で蓋部材9aの円筒部の中へ軸方向に突出する部分突出部19aが設けられ、この部分突出部19aに、弦面17aと係合するように外周面から凹む平坦な弦面18aが形成されている。また、第1の実施形態のものと同様に、蓋部材9aには4箇所のボルト孔15と面取り16が設けられている。
【0028】
図11(a)、(b)は、前記各ボルト10を軸受箱5の基準ねじ穴12aに螺着して、蓋部材9aを基準取り付け位置に固定した状態を示す。(a)は弁体6aが閉じた場合、(b)は弁体6aが全開となった場合である。この状態では、蓋部材9aの弦面17aが軸部材3aの弦面18aと反対側に向けられ、弁体6aが(a)の閉位置と(b)の全開位置の間の回動に伴って軸部材3aが回転しても、弦面17a、18a同士が係合することはなく、弁体6aが下方からの流体圧によって自由に上方へ回動する。
【0029】
図11(c)、(d)は、前記蓋部材9aを一旦抜いて回転させ、蓋部材9aの弦面17aと軸部材3aの弦面18aが向き合って係合するように嵌め込んだ状態を示す。(c)は弁体6aを閉じた場合、(d)は弁体6aを全開とした場合である。この状態では、弦面17a、18a同士の係合によって、蓋部材9aを回動することにより軸部材3aを回転させ、弁体6aを(c)の閉位置から(d)の全開位置へ回動させることができる。(d)の状態で、各ボルト10を軸受箱5の回動用ねじ穴12bに螺着することにより、弁体6aが全開位置に保持される。
【0030】
図13および図14に示すように、前記右側の蓋部材9bは、左側の蓋部材9aと同様に、有底円筒状の円筒部の内周面に、円周方向の一部で内方へ膨出する平坦な弦面17bが設けられている。スリーブ部材3bの端面には、円筒断面の一部で蓋部材9bの円筒部の中へ軸方向に突出する部分突出部19bが設けられ、この部分突出部19bに、弦面17bと係合するように外周面から凹む平坦な弦面18bが形成されている。また、蓋部材9bにも、4箇所のボルト孔15と面取り16が設けられている。
【0031】
図13(a)、(b)は、前記左側と同様に、各ボルト10を軸受箱5の基準ねじ穴12aに螺着して、蓋部材9bを基準取り付け位置に固定した状態を示す。(a)は弁体6bが閉じた場合、(b)は弁体6bが全開となった場合である。この状態では、蓋部材9bの弦面17bがスリーブ部材3bの弦面18bと反対側に向けられ、弁体6bが(a)の閉位置と(b)の全開位置の間の回動に伴ってスリーブ部材3bが回転しても、弦面17b、18b同士が係合することはなく、弁体6bが自由に上方へ回動する。
【0032】
図13(c)、(d)は、前記蓋部材9bを一旦抜いて回転させ、蓋部材9bの弦面17bとスリーブ部材3bの弦面18bが係合するように嵌め込んだ状態を示す。(c)は弁体6bを閉じた場合、(d)は弁体6bを全開とした場合である。この状態では、弦面17b、18b同士の係合によって、蓋部材9bを回動することによりスリーブ部材3bを回転させ、弁体6bを(c)の閉位置から(d)の全開位置へ回動させることができる。(d)の状態で、各ボルト10を軸受箱5の回動用ねじ穴12bに螺着することにより、弁体6bが全開位置に保持される。
【0033】
上述した各実施形態では、蓋部材が弁軸としての軸部材およびスリーブ部材と突起または弦面で係合するものとしたが、蓋部材と弁軸との係合手段は、蓋部材が所定の基準取り付け位置では弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ弁軸と係合するものであればよく、各実施形態のものに限定されることはない。
【0034】
また、上述した各実施形態では、弁箱の流路を縦向きとし、2枚一対の弁体を回動させて流路を開閉し、自重で流路を閉じる方向に付勢するものとしたが、本発明に係る逆止弁は、弁箱の流路を横向きとし、弁体をばね等で流路を閉じる方向に付勢するものとすることもでき、1枚の弁体を回動させて流路を開閉するものとすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 流路
2 弁箱
2a 貫通孔
2b ボス部
3 弁軸
3a 軸部材
3b スリーブ部材
4 軸受
5 軸受箱
5a 凹部
6a、6b 弁体
7 弁座
8 ストッパ
9a、9b 蓋部材
10 ボルト
11a、11b シール部材
12、12a、12b ねじ穴
13a、13b、14a、14b 突起
15 ボルト孔
16 面取り
17a、17b、18a、18b 弦面
19a、19b 部分突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の流体圧で弁体が回動して流路を開く弁体が回動する逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
逆止弁には、流路の一方側の流体圧が高くなると弁体が回動して流路を開き、流路の両側の流体圧が同じか、他方側の流体圧が高いときは、弁体が流路を自然に閉じるようにした逆止弁がある。この種の逆止弁には、弁箱に支持した弁軸の回りに1枚の弁体を回動させるスイング式のもの(例えば、特許文献1参照)と、弁箱の流路に差し渡して支持した弁軸の回りに、流路を半分ずつ閉じる2枚の弁体を回動させるデュアルプレート式のもの(例えば、特許文献2参照)とがある。特許文献1に記載された逆止弁は横向きの流路に設けられ、弁体が流体圧によって回動し、自重によって閉じる方向に付勢されるようになっている。特許文献2に記載された逆止弁は縦向きの流路に設けられ、弁体が下方からの流体圧によって上向きに回動し、自重によって下向きに閉じる方向に付勢されるようになっている。横向きの流路に設けた逆止弁では、弁体をばねによって閉じる方向に付勢したものもある。
【0003】
また、特許文献1、2に記載された逆止弁は、弁箱の両側に弁軸を挿通する貫通孔を設け、これらの弁軸を挿通した貫通孔の開口部を蓋部材で覆っている。特許文献1に記載されたものは、両側の貫通孔に挿通した弁軸を回転自在に支持し、この回転自在な弁軸に1枚の弁体をキーで回り止めして固定している。また、特許文献2に記載されたものは、両側の貫通孔に挿通した弁軸を回転自在に支持し、この回転自在な弁軸と、その外側に回転自在に外嵌したスリーブとに、2枚の弁体を回り止めして取り付けている。
【0004】
特許文献1に記載されたように、回転自在な弁軸に弁体を固定した逆止弁は、弁箱に回転自在に支持された弁軸をグランドパッキン等でシールする軸シール構造を採用すると、弁軸の回転に対する摩擦抵抗が大きくなって、弁体が流体圧によってスムーズに回動しなくなる。特許文献1に記載されたものでは、貫通孔の開口部を覆う蓋部材と弁箱の間をシールすることにより、軸シール構造を採用することなく、弁箱の開口部を気密に閉塞している。なお、弁軸が回転しない特許文献2に記載された逆止弁も、蓋部材と弁箱の間をシールすることにより、弁箱の開口部を気密に閉塞している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−119976号公報
【特許文献2】特開2005−61458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載されたように、弁軸を挿通する貫通孔を設けた弁箱の開口部を蓋部材で閉塞した逆止弁は、試験や点検等のために流路を強制的に開けたいときに、弁体を手動で回動できない問題がある。なお、弁体を手動で回動させるためには、回転自在とした弁軸を蓋部材の外側へ露出させることが考えられるが、この場合は、蓋部材と弁軸との間を軸シールする必要があり、流体圧による弁体のスムーズな回動が阻害される。
【0007】
そこで、本発明の課題は、弁軸を挿通する貫通孔を設けた弁箱の開口部を蓋部材で閉塞した逆止弁の弁体を手動で回動できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、弁箱に弁軸が挿通される貫通孔を両側に設けて、これらの貫通孔を設けた両側の開口部を蓋部材で閉塞し、前記貫通孔に挿通される弁軸を回転自在に支持して、この弁軸に固定された弁体が、前記弁箱の流路を閉じる方向に付勢され、前記流路の流体圧で流路を一方向に開くように回動される逆止弁において、前記弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、前記貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では前記弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記弁体が流路を開く回動方向へ前記弁軸を回転させるように係合する係合部を設けた構成を採用した。
【0009】
すなわち、弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、弁体が流路を開く回動方向へ弁軸を回転させるように係合する係合部を設けることにより、蓋部材を回動させて、弁体を手動で回動できるようにした。
【0010】
前記蓋部材の係合部が前記弁軸と係合して、前記弁体が流路を開くように回動した状態で、前記蓋部材の回動位置を固定する手段を設けることにより、弁体が流路を開けるように回動した状態を保持することができる。
【0011】
前記逆止弁を、前記弁箱の流路に差し渡した弁軸の回りに、流路を半分ずつ閉じる2枚の弁体を回動させるものとした場合は、前記弁軸を、回転自在に支持された内側の軸部材に、スリーブ部材が回転自在に外嵌されたものとし、前記2枚の弁体のうちの一方の弁体を前記軸部材に固定し、他方の弁体を前記スリーブ部材に固定して、前記開口部を閉塞する一方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記一方の弁体が流路を開く回動方向へ前記軸部材を回転させるように係合する係合部を設け、他方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記他方の弁体が流路を開く回動方向へ前記スリーブ部材を回転させるように係合する係合部を設けるとよい。
【0012】
上述した各逆止弁は、前記弁箱の流路が縦向きとされ、前記弁体が自重で流路を閉じる下方に付勢されて、流路の下方からの流体圧で流路を開くように上方へ回動するものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る逆止弁は、弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、弁体が流路を開く回動方向へ弁軸を回転させるように係合する係合部を設けたので、弁体を手動で回動することができ、試験や点検等のために流路を強制的に開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の逆止弁を示す縦断正面図
【図2】図1の縦断側面図
【図3】図1の平面図
【図4】図1の軸受箱を示す側面図
【図5】(a)は図1のV−V線に沿った断面図、(b)は(a)の蓋部材を回動させた状態を示す断面図
【図6】図5の蓋部材と軸部材の端部を示す分解斜視図
【図7】図1のVII−VII線に沿った断面図
【図8】図7の蓋部材とスリーブ部材の端部を示す分解斜視図
【図9】第2の実施形態の逆止弁を示す縦断正面図
【図10】図9の軸受箱を示す側面図
【図11】(a)、(b)は図9のXI−XI線に沿った断面図、(c)、(d)は(a)の蓋部材を回動させる状態を示す断面図
【図12】図11の蓋部材と軸部材の端部を示す分解斜視図
【図13】(a)、(b)は図9のXIII−XIII線に沿った断面図、(c)、(d)は(a)の蓋部材を回動させる状態を示す断面図
【図14】図13の蓋部材とスリーブ部材の端部を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図8は、第1の実施形態を示す。この逆止弁は、図1乃至図3に示すように、縦向きの流路1が設けられた円筒状の弁箱2の左右両側に、流路1の中央に差し渡される弁軸3が挿通される貫通孔2aを設けた外向きのボス部2bが設けられ、その外側に、弁軸3を軸受4で回転自在に支持する軸受箱5が取り付けられている。弁軸3は内側の軸部材3aと、軸部材3aに左右両側で回転自在に外嵌されたスリーブ部材3bとで構成され、軸部材3aとスリーブ部材3bに、それぞれ流路1を半分ずつ閉じる2枚一対の半円形の弁体6a、6bが固定されている。
【0016】
前記各弁体6a、6bは、流路1の下方からの流体圧によって上方へ回動して流路1を開き、自重で下方へ回動して、弁箱2の内周に設けられた弁座7に当接され、流路1を閉じるようになっている。弁箱2の内側には、各弁体6a、6bの上方への回動位置を規制するストッパ8も取り付けられている。
【0017】
前記左右両側の軸受箱5の外側端面には蓋部材9a、9bがボルト10で取り付けられている。各蓋部材9a、9bは、軸受箱5の外側端面に設けられた円形の凹部5aに嵌まり込む円筒部の外側端面を閉塞した有底円筒状のものとされ、軸受箱5に回転自在に支持された弁軸3の回りに回動可能とされている。また、両側のボス部2bと軸受箱5の内側端面との間、および軸受箱5の外側端面と各蓋部材9a、9bの円筒部の先端面との間には、それぞれシール部材11a、11bが装着され、貫通孔2aを設けた弁箱2のボス部2bの開口部が気密に閉塞されるようになっている。
【0018】
図4に示すように、前記軸受箱5の外側端面の凹部5aには、後述するように、各蓋部材9a、9bを定常時の基準取り付け位置と回動位置で固定するボルト10が螺着されるねじ穴12が、周方向に90°の位相間隔で4箇所に設けられている。
【0019】
図5および図6に示すように、前記左側の蓋部材9aの円筒部の内周面には、周方向の1箇所で軸部材3aとの係合部としての内向きの突起13aが設けられ、一方の弁体6aが固定された軸部材3aの蓋部材9a円筒部に挿入された端部の外周面には、突起13aと周方向で係合する外向きの突起14aが周方向の1箇所で設けられている。また、蓋部材9aには、ボルト10が挿通されるボルト孔15が周方向に90°の位相間隔で4箇所に設けられ、その外周面には、蓋部材9aを回動するレンチ等の工具用の面取り16が設けられている。
【0020】
図5(a)は、前記蓋部材9aを定常時の基準取り付け位置に固定した状態を示す。この状態では、蓋部材9aの内向きの突起13aが下側に来るように、蓋部材9aが軸受箱5のねじ穴12に螺着されるボルト10で固定され、弁体6aの回動に伴って軸部材3aが図中に両方向の矢印で示す範囲で回転しても、軸部材3aの外向きの突起14aが蓋部材9aの突起13aと係合することはなく、弁体6aが下方からの流体圧によって自由に上方へ回動する。
【0021】
図5(b)は、前記蓋部材9aを図中の矢印の方向に180°回動させて、回動位置に固定した状態を示す。このときは、回動する蓋部材9aの突起13aの前面側に軸部材3aの突起14aが係合して、軸部材3aの回転に伴って弁体6aが上方へ回動し、突起13aが上側へ来たときに、弁体6aが全開位置に回動する。この状態で上下逆向きとなった蓋部材9aを、ねじ穴12に螺着されるボルト10で固定することにより、弁体6aが全開位置に保持される。
【0022】
図7および図8に示すように、前記右側の蓋部材9bの円筒部の内周面には、周方向の1箇所でスリーブ部材3bとの係合部としての内向きの突起13bが設けられ、他方の弁体6bが固定されたスリーブ部材3bの端面には、周方向の1箇所で蓋部材9b円筒部の中へ軸方向に突出し、突起13bと周方向で係合する突起14bが設けられている。また、前記左側の蓋部材9aと同様に、蓋部材9bにも4箇所のボルト孔15と面取り16が設けられている。
【0023】
図7(a)は、前記蓋部材9bを基準取り付け位置に固定した状態を示す。前記左側と同様に、蓋部材9bは内向きの突起13bが下側に来るように固定され、弁体6bの回動に伴ってスリーブ部材3bが図中に両方向の矢印で示す範囲で回転しても、スリーブ部材3bの突起14bが蓋部材9bの突起13bと係合することはなく、弁体6bが自由に上方へ回動する。
【0024】
図7(b)は、前記蓋部材9bを図中の矢印の方向に180°回動させて、回動位置に固定した状態を示す。スリーブ部材3bの突起14bは、回動する蓋部材9bの突起13bの前面側に係合し、スリーブ部材3bの回転に伴って弁体6bが上方へ回動して、突起13bが上側へ来たときに、弁体6bが全開位置に回動する。この状態で、蓋部材9aをねじ穴12に螺着されるボルト10で固定することにより、弁体6aが全開位置に保持される。
【0025】
図9乃至図14は、第2の実施形態を示す。この逆止弁は、図9に示すように、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、以下に述べるように、前記弁箱2の左右両側で軸受箱5の外側端面の凹部5aに回動可能に嵌め込まれた有底円筒状の蓋部材9a、9bが、前記弁軸3を構成する軸部材3aおよびスリーブ部材3bと係合する形態が異なる。その他の部分は、第1の実施形態のものと同じであり、軸部材3aとスリーブ部材3bに各々固定された2枚一対の半円形の弁体6a、6bが、流路1の下方からの流体圧によって上方へ回動するようになっている。
【0026】
図10に示すように、この実施形態では、前記軸受箱5の外側端面の凹部5aに、各蓋部材9a、9bを定常時の基準取り付け位置に固定するボルト10を螺着する基準ねじ穴12aと、回動位置に固定するボルト10を螺着する回動用ねじ穴12bとが、各々周方向に90°の位相間隔で、互いの位相を周方向にずらして4箇所ずつに設けられている。
【0027】
図11および図12に示すように、前記左側の蓋部材9aは、有底円筒状の円筒部の内周面に、軸部材3aとの係合部として、円周方向の一部で内方へ膨出する平坦な弦面17aが設けられている。軸部材3aの端面には、円形断面の一部で蓋部材9aの円筒部の中へ軸方向に突出する部分突出部19aが設けられ、この部分突出部19aに、弦面17aと係合するように外周面から凹む平坦な弦面18aが形成されている。また、第1の実施形態のものと同様に、蓋部材9aには4箇所のボルト孔15と面取り16が設けられている。
【0028】
図11(a)、(b)は、前記各ボルト10を軸受箱5の基準ねじ穴12aに螺着して、蓋部材9aを基準取り付け位置に固定した状態を示す。(a)は弁体6aが閉じた場合、(b)は弁体6aが全開となった場合である。この状態では、蓋部材9aの弦面17aが軸部材3aの弦面18aと反対側に向けられ、弁体6aが(a)の閉位置と(b)の全開位置の間の回動に伴って軸部材3aが回転しても、弦面17a、18a同士が係合することはなく、弁体6aが下方からの流体圧によって自由に上方へ回動する。
【0029】
図11(c)、(d)は、前記蓋部材9aを一旦抜いて回転させ、蓋部材9aの弦面17aと軸部材3aの弦面18aが向き合って係合するように嵌め込んだ状態を示す。(c)は弁体6aを閉じた場合、(d)は弁体6aを全開とした場合である。この状態では、弦面17a、18a同士の係合によって、蓋部材9aを回動することにより軸部材3aを回転させ、弁体6aを(c)の閉位置から(d)の全開位置へ回動させることができる。(d)の状態で、各ボルト10を軸受箱5の回動用ねじ穴12bに螺着することにより、弁体6aが全開位置に保持される。
【0030】
図13および図14に示すように、前記右側の蓋部材9bは、左側の蓋部材9aと同様に、有底円筒状の円筒部の内周面に、円周方向の一部で内方へ膨出する平坦な弦面17bが設けられている。スリーブ部材3bの端面には、円筒断面の一部で蓋部材9bの円筒部の中へ軸方向に突出する部分突出部19bが設けられ、この部分突出部19bに、弦面17bと係合するように外周面から凹む平坦な弦面18bが形成されている。また、蓋部材9bにも、4箇所のボルト孔15と面取り16が設けられている。
【0031】
図13(a)、(b)は、前記左側と同様に、各ボルト10を軸受箱5の基準ねじ穴12aに螺着して、蓋部材9bを基準取り付け位置に固定した状態を示す。(a)は弁体6bが閉じた場合、(b)は弁体6bが全開となった場合である。この状態では、蓋部材9bの弦面17bがスリーブ部材3bの弦面18bと反対側に向けられ、弁体6bが(a)の閉位置と(b)の全開位置の間の回動に伴ってスリーブ部材3bが回転しても、弦面17b、18b同士が係合することはなく、弁体6bが自由に上方へ回動する。
【0032】
図13(c)、(d)は、前記蓋部材9bを一旦抜いて回転させ、蓋部材9bの弦面17bとスリーブ部材3bの弦面18bが係合するように嵌め込んだ状態を示す。(c)は弁体6bを閉じた場合、(d)は弁体6bを全開とした場合である。この状態では、弦面17b、18b同士の係合によって、蓋部材9bを回動することによりスリーブ部材3bを回転させ、弁体6bを(c)の閉位置から(d)の全開位置へ回動させることができる。(d)の状態で、各ボルト10を軸受箱5の回動用ねじ穴12bに螺着することにより、弁体6bが全開位置に保持される。
【0033】
上述した各実施形態では、蓋部材が弁軸としての軸部材およびスリーブ部材と突起または弦面で係合するものとしたが、蓋部材と弁軸との係合手段は、蓋部材が所定の基準取り付け位置では弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ弁軸と係合するものであればよく、各実施形態のものに限定されることはない。
【0034】
また、上述した各実施形態では、弁箱の流路を縦向きとし、2枚一対の弁体を回動させて流路を開閉し、自重で流路を閉じる方向に付勢するものとしたが、本発明に係る逆止弁は、弁箱の流路を横向きとし、弁体をばね等で流路を閉じる方向に付勢するものとすることもでき、1枚の弁体を回動させて流路を開閉するものとすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 流路
2 弁箱
2a 貫通孔
2b ボス部
3 弁軸
3a 軸部材
3b スリーブ部材
4 軸受
5 軸受箱
5a 凹部
6a、6b 弁体
7 弁座
8 ストッパ
9a、9b 蓋部材
10 ボルト
11a、11b シール部材
12、12a、12b ねじ穴
13a、13b、14a、14b 突起
15 ボルト孔
16 面取り
17a、17b、18a、18b 弦面
19a、19b 部分突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱に弁軸が挿通される貫通孔を両側に設けて、これらの貫通孔を設けた両側の開口部を蓋部材で閉塞し、前記貫通孔に挿通される弁軸を回転自在に支持して、この弁軸に固定された弁体が、前記弁箱の流路を閉じる方向に付勢され、前記流路の流体圧で流路を一方向に開くように回動される逆止弁において、前記弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、前記貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では前記弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記弁体が流路を開く回動方向へ前記弁軸を回転させるように係合する係合部を設けたことを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記蓋部材の係合部が前記弁軸と係合して、前記弁体が流路を開くように回動した状態で、前記蓋部材の回動位置を固定する手段を設けた請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記逆止弁を、前記弁箱の流路に差し渡した弁軸の回りに、流路を半分ずつ閉じる2枚の弁体を回動させるものとして、前記弁軸を、回転自在に支持された内側の軸部材に、スリーブ部材が回転自在に外嵌されたものとし、前記2枚の弁体のうちの一方の弁体を前記軸部材に固定し、他方の弁体を前記スリーブ部材に固定して、前記開口部を閉塞する一方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記一方の弁体が流路を開く回動方向へ前記軸部材を回転させるように係合する係合部を設け、他方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記他方の弁体が流路を開く回動方向へ前記スリーブ部材を回転させるように係合する係合部を設けた請求項1または2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記弁箱の流路が縦向きとされ、前記弁体が自重で流路を閉じる下方に付勢されて、流路の下方からの流体圧で流路を開くように上方へ回動するものとした請求項1乃至3のいずれかに記載の逆止弁。
【請求項1】
弁箱に弁軸が挿通される貫通孔を両側に設けて、これらの貫通孔を設けた両側の開口部を蓋部材で閉塞し、前記貫通孔に挿通される弁軸を回転自在に支持して、この弁軸に固定された弁体が、前記弁箱の流路を閉じる方向に付勢され、前記流路の流体圧で流路を一方向に開くように回動される逆止弁において、前記弁箱の両側の開口部を閉塞する蓋部材の少なくとも一方を、前記貫通孔に挿通される弁軸の回りに回動可能に取り付け、この蓋部材の内側に、所定の基準取り付け位置では前記弁軸と係合せず、基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記弁体が流路を開く回動方向へ前記弁軸を回転させるように係合する係合部を設けたことを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記蓋部材の係合部が前記弁軸と係合して、前記弁体が流路を開くように回動した状態で、前記蓋部材の回動位置を固定する手段を設けた請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記逆止弁を、前記弁箱の流路に差し渡した弁軸の回りに、流路を半分ずつ閉じる2枚の弁体を回動させるものとして、前記弁軸を、回転自在に支持された内側の軸部材に、スリーブ部材が回転自在に外嵌されたものとし、前記2枚の弁体のうちの一方の弁体を前記軸部材に固定し、他方の弁体を前記スリーブ部材に固定して、前記開口部を閉塞する一方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記一方の弁体が流路を開く回動方向へ前記軸部材を回転させるように係合する係合部を設け、他方の蓋部材の内側に、前記基準取り付け位置から回動させたときにのみ、前記他方の弁体が流路を開く回動方向へ前記スリーブ部材を回転させるように係合する係合部を設けた請求項1または2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記弁箱の流路が縦向きとされ、前記弁体が自重で流路を閉じる下方に付勢されて、流路の下方からの流体圧で流路を開くように上方へ回動するものとした請求項1乃至3のいずれかに記載の逆止弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−256940(P2011−256940A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131722(P2010−131722)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】
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