説明

逆浸透膜を使って日本酒本来の性質を変化させずに常温で高濃度アルコール分の日本酒を造り、それを利用して新しい日本酒を製造する方法。

【課題】
需要が低迷している日本酒の活性化の1つとして日本酒を逆浸透膜を用いて濃縮し、 若者向けの新しい日本酒を提供する


【解決手段】
逆浸透膜に日本酒を通すことで水と日本酒に分離する。水は逆洗水として利用し、濃 縮した日本酒は他の飲料を混ぜて新日本酒を製造する方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルコール分13〜20度の日本酒を逆浸透膜を使って日本酒本来の性質を
変えずに高濃度アルコールの日本酒を製造し、日本酒をベースに色々の飲料を混ぜて多種の新日本酒飲料を製造する方法及び装置。
【背景技術】
【0002】
近年、アルコール飲料は多種多様の種類が販売されていて、特に若者の日本酒離れにより需要は減少傾向にある。
一方、近年、世界中で日本食ブームが進み、日本酒に対する需要が増える方向に対応してグローバルな趣向の日本酒の開発が必要となる。
【0003】
従来より用いられる蒸留法は、熱を加えるため日本酒本来の成分と味が失われるためそれを改善する方法として逆浸透膜で濃縮すると日本酒本来の成分と味が守られる。
【0004】
従来の蒸留法や凍結法は装置が複雑で、エネルギーコストが高くなるが、膜方式は膜と高圧ポンプの組み合わせのため、装置がシンプルでエネルギーコストが安くランニングコストも低い。
【特許文献1】特開平11-276150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸留法だと熱により日本酒本来の成分と香りが失われる方法を改善する。
【0006】
蒸留法や凍結法は温度調節が難しい。
【0007】
蒸留法や凍結法はランニングコストが高い。
【0008】
装置の連続運転が衛生的に出来ない。
【0009】
分離水の再利用が出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる課題を解決するために常温の日本酒を原料として、逆浸透膜で常温の新日本酒が濃縮される。

【0011】
逆浸透膜による濃縮装置は全てクローズされたシステムのため、衛生的に新日本酒が製造出来る。
【0012】
逆浸透膜の濃縮方法は製造される製品の濃縮アルコール分が高圧ポンプの圧力調節で容易に出来る。
【0013】
逆浸透膜の濃縮装置は膜と高圧ポンプのみのシンプルな構造のため、ランニングコストが安くなる。
【0014】
逆浸透膜により分離された水は日本酒自身の水分のため人の飲料水や新酒製造用の水としてリサイクル出来る。
【発明の効果】
【0015】
以上の様に、本発明によれば常温濃縮のため、日本酒が持っている味や香りや成分に影響なく新しい酒を製造することが出来る。
【0016】
本発明は製造工程が全てクローズされているので衛生的でランニングコストが安く新日本酒を造ることが出来る。
【0017】
本発明は濃縮して出来る新日本酒のアルコール分は、高圧ポンプの圧力を変えることで容易に調節出来るため連続して新日本酒を製造することが出来る。
【0018】
本発明は分離水のリサイクルが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な製造方法を詳しく説明する。
図1は本発明の実施例の概略構成図。
本発明で原料として使用出来るのは、日本酒・ワイン・焼酎・ウイスキー・ビール等の醸造酒である。
【0020】
原料タンク(1)に製造された日本酒を入れる。(P1)のパイプから高圧ポンプ(2)を通って逆浸透膜(3)の中で水と日本酒に分離され、水は(P7)を通って分離水タンク(4)に入る。
【0021】
連続運転を実現するために、分離水タンク(4)の分離水を逆洗水として逆洗ポンプ(10)から(P6)を通って逆浸透膜(3)へ送り、定期的に膜の洗浄をしながら連続運転を可能にする。
もう一方で、高濃度アルコール分の日本酒を(P3)を通って濃縮タンク(7)へ貯蔵する。
製品1として高アルコールの日本酒を作るために、濃縮タンク(7)から(P4)を通って高アルコール日本酒製造装置(8)へ送り、高日本酒を造る。
【0022】
製品2として炭酸や果汁等を加えて、梅酒・サワー・シャンパン等の嗜好に似た
新しい日本酒を造るために、濃縮タンク(7)から(P5)を通って新日本酒製造ライン(9)へ送られ、若者向け日本酒を製造する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の逆浸透膜を使って高濃度アルコール日本酒及び新日本酒を造る 装置の概略図である。
【符号の説明】
【0024】
(1)原料タンク(日本酒の原料、タンク)
(2)高圧ポンプ(原料を逆浸透膜へ送るための高圧ポンプ)
(3)逆浸透膜(原料を水と日本酒に分ける膜)
(4)分離水タンク(膜で分離した水を貯蔵するタンク)
(5)新酒製造(新酒を造るラインへ分離水を供給し、リサイクルする)
(6)洗浄水(膜を逆洗した排水)
(7)濃縮タンク(膜を通って分離された日本酒を貯蔵するタンク)
(8)高アルコール日本酒製造(高アルコール日本酒を製造する)
(9)新日本酒製造ライン(濃縮タンクの日本酒を原料として低アルコール日本酒飲料を製造するライン)




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
日本酒を逆浸透膜を使ってアルコール13〜20度を高濃度アルコールに
濃縮した日本酒の製造方法

【請求項2】
日本酒の成分と味を損なわない常温での濃縮により、水分と前記日本酒とに
分離することを特徴とする濃縮した日本酒の製造方法

【請求項3】
前記分離水の一部を逆浸透膜の逆洗水として利用する請求項2に記載した製造方法

【請求項4】
日本酒を逆浸透膜で分離した水を新酒の製造水としてリサイクルする製造方法

【請求項5】
前記濃縮した日本酒に色々の炭酸や果汁などを混合して
新しい新日本酒を請求項2に記載した製造方法

【請求項6】
他のアルコール飲料を逆浸透膜で濃縮して出来た生産物と
前記濃縮日本酒を混合して造る酒の請求項2に記載した製造方法


















【図1】
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【公開番号】特開2010−119347(P2010−119347A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296569(P2008−296569)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(308039300)
【Fターム(参考)】