説明

逆転写及び増幅反応において核酸汚染を除去する方法

本発明は、逆転写反応及びホットスタートPCRから核酸汚染を除去する方法を提供し、前記ホットスタートPCRはバリアーホットスタートPCR設定である及び/又はホットスタートDNAポリメラーゼを含み、これらの方法は、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseの使用を含む。本発明は、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNase、前記DNaseをコードする核酸、及び前記DNase又は前記核酸を含むキット又は組成物をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNaseの使用による、逆転写反応混合物、ホットスタートDNAポリメラーゼ調製物及びホットスタートPCR反応混合物からの汚染DNAの除去に関する。本発明は、DNaseの使用による、核酸増幅反応、特に標的配列の逆転写、ホットスタートDNAポリメラーゼ及び/又はバリアーホットスタートPCR設定を含む増幅反応における偽陽性結果の予防にも関する。本発明は、このような方法中での使用に適した非常に熱不安定なDNaseにも関する。
【背景技術】
【0002】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの核酸増幅技法は、ごく少量の核酸を含有するサンプルから標的配列の多数のコピーの調製を可能にする、バイオテクノロジーにおいて利用可能な最も強力なツールの1つである。PCRの場合、二本鎖標的配列のその各鎖と相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、標的配列及び遊離ヌクレオチドを含有する反応混合物に加える。DNAポリメラーゼの存在下での熱循環は、プライマー間の配列の増幅をもたらす。後のPCRサイクル用の鋳型として作用するPCR法により作製した増幅断片の能力は、相当量の標的配列の迅速な生成をもたらす。1コピーの標的配列でさえ、例えば標識プローブとのハイブリダイゼーション、又は増幅セグメントへの32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の取り込みによる、検出を可能にするのに十分な核酸を与えることができる。
【0003】
リガーゼ連鎖反応(LCR)としても知られるリガーゼ増幅反応(LAR)は、PCRと同様に、反復サイクル及び変温を使用して、標的配列のコピー数の指数関数的増加を得る。この方法中、DNAリガーゼは、標的DNA鎖の一本の隣接領域と相補的な2つのオリゴヌクレオチドの接合を触媒する。他方の鎖と相補的な2つの他のオリゴヌクレオチドを連結させることも可能である。変性後、原型鋳型鎖及び2つの連結対は、さらなるハイブリダイゼーション及び連結用の鋳型として作用することができる。
【0004】
鎖置換増幅(SDA)は、DNA切除DNA修復に関与する酵素の性質を利用して、DNAデュプレックス中のDNAのニック入り一本鎖と新たに合成された鎖を置換する。ニック入り一本鎖を繰り返し生成するために、反対の鎖が半ホスホロチオエート型である時その認識部位の一本鎖上のDNAのみにニックを入れる、エンドヌクレアーゼ制限酵素、例えばHindI又はBsoBIを使用する。この方法中で使用するプライマーは適切な認識部位を含有し、dATPαSは重合反応において使用される。
【0005】
3SR(自律配列複製)としても知られる核酸配列ベース増幅(NASBA)は本質的に、天然レトロウイルス転写のin vitroバージョンである。3SRはRNA鋳型から反復逆転写してcDNA鋳型を形成することを含む。cDNA鋳型から、RNAポリメラーゼは対応するRNAを生成する。
【0006】
ループ仲介等温増幅(LAMP;Notomi,Tら、Nuc.Acid Res.2000 Vol28(12)e63)は、自動循環型鎖置換DNA合成の原理に基づく。高い鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ(例えば、Bst DNAポリメラーゼ巨大断片)を、特異的設計プライマーと共に使用する。このプロセスは、鎖の融解を必要とせずに、鎖を分離して新たな標的配列を明らかにすることを含む(したがってこのプロセスは等温である)。
【0007】
逆転写は、一本鎖RNA(ssRNA)鋳型が相補的一本鎖DNAに転写されるプロセスである。したがって一本鎖DNAを使用して二本鎖DNA(dsDNA)を形成することができる。いくつかの酵素は第一のDNA鎖を生成することができ、第二鎖を合成してdsDNAを形成することができ、他は2ステップの1つのみに特異的である。したがってssDNA及びdsDNAは、様々な分子生物学の適用例において使用することができる。例えば、プローブベースの検出アッセイ(例えば、サザンブロッティング)、配列決定実験又はクローニングプロトコールにおいてそれらを直接使用することができる。cDNAは、例えばPCR、LCR、SDA、LAMP若しくは3SRなどの増幅反応においてさらに増幅して前述の実験用のさらなる材料を与える、又は原型サンプル中に存在するRNA鋳型の量の定量化を可能にすることが非常に多い。
【0008】
逆転写関連増幅反応は「1ステップ」又は「2ステップ」のプロセスであってよい。1ステップのプロセスでは、逆転写反応及び核酸増幅反応の構成要素は1つの反応容器中に存在し、典型的には、初期反応条件を選択して逆転写反応を終了まで進行させることができ、次いで反応条件を、核酸増幅反応の進行を可能にするのに適した条件に変える。
【0009】
2ステップのプロセスでは、逆転写反応の構成要素を最初に組み合わせ、逆転写反応を実施する。次いで逆転写産物を増幅反応の構成要素と組み合わせ、増幅反応に施す。「1チューブ」の2ステッププロトコールでは、増幅反応の構成要素を、逆転写反応を実施する同じ反応容器に加える。「2チューブ」の2ステッププロトコールでは、新たな反応容器中で増幅反応を実施する。
【0010】
逆転写は1ステップ又は2ステップのプロセス中でPCA、LAMP、LCR、SDA又はBSRのいずれかと組み合わせることができる。SDAの場合、耐熱性鎖置換酵素及び耐熱性制限酵素(例えばBsoB1)を選択しなければならない。
【0011】
少量の標的配列を増幅するこれらの増幅技法の能力によって、RNA標的配列の場合(即ち、逆転写後の増幅反応又は逆転写を使用する増幅反応)におけるゲノムDNAによる汚染、及び前の増幅反応からのDNA分子中の標的配列による汚染の影響をそれらが非常に受けやすくなっており、それらの汚染は共に試薬(例えば、ポリメラーゼ、プライマー、反応バッファーなど)、ピペッティングデバイス、研究室壁面、手袋及びエアロゾル化において持ち越される可能性がある。エアロゾルは、流出中などの溶液の攪乱によって、又はさらに、チューブ開封時にエアロゾル化し得るプラスチックチューブのキャップの内側表面上の残渣などの、容器表面上での少量の物質の攪乱によって発生し得る。医学的診断又は法医学的理由でサンプル核酸を調べるとき、キャリーオーバーとしても知られる標的配列を含み得る核酸の反応混合物への偶発的導入によって引き起こされる、偽陽性結果の影響は遠くまで及ぶ可能性がある。
【0012】
核酸汚染の有害効果に対して特定の感受性の増幅反応は定量PCR技法である。これらは、一反応において20コピー未満のDNA配列を定量化する能力を有するからである。したがって、最小レベルの核酸汚染でさえ、qPCR技法において偽の結果を与える可能性がある。さらに、これらの方法は、必須バックグラウンドシグナルを超える増幅標的核酸からのシグナルの検出が必要である。汚染核酸はこのバックグラウンドシグナルに貢献し、したがって技法の感度を低下させる可能性がある。このように、核酸汚染を最小にすることによって定量PCR実験の感度は最大になる。標的核酸の少数コピーを検出する実験、例えば定量PCRベースの病原体診断及び病原体負荷定量化では、定量PCRの感度が最大化され、偽陽性は最小化されることが最重要である。高度に保存された細菌DNAのセグメント(例えば、16SrRNA又は23SrRNA遺伝子)がqPCR技法によってターゲッティングされる細菌同定及び診断の分野では、(典型的には細菌及び細菌発現系から得られる)DNAポリメラーゼ調製物から生じる核酸汚染は重大な問題である。DNAポリメラーゼ調製物から細菌核酸汚染を効率良く除去するための方法が、したがって必要とされる。特に求められるのは、下流増幅反応に対して有害な影響を有することなく、且つポリメラーゼを損傷せずに、これを実施することができる方法である。
【0013】
キャリーオーバーの影響を予防又は制限するためのいくつかの技法が開発されている。PCRの場合、これらは、ネストプライマー、PCR開始用に使用する2プライマーのアニーリング境界内の標的配列とアニーリングするプライマーを含む(K.B.Mullisら、Cold Spring Harbour Symposia Vol.LI、263〜273頁、1986)。ネストプライマーの短いPCR増幅産物は開始プライマーとアニーリングできない。したがって、キャリーオーバーされるのがこの産物である場合、開始プライマーの使用がこのキャリーオーバーを増幅することはない。しかしながら、キャリーオーバーは除去されておらず、同じネストプライマーを後のPCRで使用する場合、前に増幅したネストプライマーの産物を増幅する。
【0014】
デオキシチミジン三リン酸(dTTP)の代わりに逆転写/増幅核酸配列へのヌクレオチドデオキシウリジン三リン酸(dUTP)の取り込みを含む、いくつかの方法が開発されている。デオキシウリジン(dU)は天然に存在するDNAでは通常見られないので、この塩基は以前に生じたアンプリコンと新たな標的配列を区別する。さらなる逆転写/増幅反応の開始前に、増幅反応混合物は、ウラシル塩基を除去し、糖−ホスホジエステル骨格を完全な状態に保ち、一本鎖(ss)及び二本鎖(ds)DNAにおいて脱塩基部位を生成する、酵素ウラシルDNAグリコシラーゼ(UNG)で処理することができる(US−A−5,418,149)。増幅反応混合物の温度が上昇して脱塩基部位でDNAを切断し、これがキャリーオーバーの分解をもたらす。
【0015】
この方法も問題がないわけではない。逆転写/増幅産物中のdUTPの導入は、例えば制限酵素切断又はPCRによる産物の後の分析に干渉し得るからである(重合効率が低下する可能性があり、プルーフリーディングポリメラーゼの使用は除外する)。さらに、後の逆転写/PCR反応からの産物が分解されない限り、UNGは不可逆的に不活性化されるはずである。高温はUNG酵素を不活性化するための一般的なメカニズムであるが、今日まで市販されている多くのUNG酵素は、PCR反応の温度に曝された後でさえ首尾よく不活性化されない。残留UNG活性の影響を最小にするため、増幅反応中に使用する温度ステップは54℃を超えなければならず、反応容器は高温に保つ又は即座に凍結して、ウラシルも含有し得る新たに生じる増幅産物が分解されるのを妨げなければならない。近年、10分間50℃でインキュベートすると完全に不可逆的不活性化することができるタラ由来のUNGが記載されており、これによってUNGベースの手法はより広く適用可能になっている。
【0016】
しかしながら、任意のUNG系に関するさらなる制約は、それが汚染ゲノムDNAの反応混合物を除去することができないことである。ゲノムDNAはウラシル修飾を有し得ないからである。したがってUNG系は、逆転写反応のゲノムDNA汚染に対処することができない。
【0017】
個々のPCR反応混合物を、標的DNA及びTaqDNAポリメラーゼを加える前に、標的配列内部を切断するDNaseI又は制限エンドヌクレアーゼで処理し、これによって汚染DNAの増幅を妨げることも示唆されている(Furrerら、Nature.Vol.346、324頁、1990)。同様に、逆転写反応混合物を、逆転写酵素を加える前にこのようにして処理することができる。この方法は30分の汚染除去時間を必要とし、DNaseI又は制限エンドヌクレアーゼを不活性化するため、汚染除去後に反応混合物を煮沸する。この煮沸ステップのため、汚染除去後にDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素を加えることが必要である。当然ながら、これは増幅前/逆転写前混合物へのキャリーオーバー導入のさらなるリスクを表し、DNAポリメラーゼ自体の汚染除去は除外される。一本鎖DNAに対するDNaseI活性のため、1μMのプライマー濃度をこの方法中で使用しなければならない。
【0018】
より熱不安定なDNaseも記載されている。WO99/007887は、94℃で2分間後に実質的に不可逆的不活性化されるホンホッコクアカエビ(Pandalus borealis)から単離したDNaseを開示する。さらに、この同じ酵素は65℃で15分間後に実質的に不可逆的不活性化される。Anisimovaら(Biotechnology Letters;2009、31:251〜257)は、65℃で10分間のインキュベーション後に不活性化されるランダムに突然変異した型のキングクラブのDNase(カムチャッカガニ(Kamchatka crab)、タラバガニ(Paralithodes camtschaticus))を記載するが、不活性化添加剤DTT(1−4ジチオスレイトール)及びEDTAを使用する場合、10分後55℃の低温で不活性化を得ることができる。
【0019】
EDTAは金属イオンキレート剤であり、したがって金属イオン濃度に敏感である酵素の作用に干渉することができる。Anisimovaは、キングクラブのDNaseの活性はMg2+イオンによってプラスの影響を受け、したがってEDTAはこのアクチベータを金属イオン封鎖することによってその不活性化に貢献することを示す。DNAポリメラーゼも金属イオン濃度に非常に敏感であり、及び特に、ポリメラーゼ反応混合物のMg2+含有物は注意深く制御しなければならない。結果として、DNase不活性化ステップ中でのEDTAの使用は、下流ポリメラーゼ反応の活性を直接阻害する可能性がある。したがって、ポリメラーゼ反応(例えば、逆転写、PCR、SDA、3SR)に先行する処理ステップ中ではEDTAを使用しないことが好ましい。
【0020】
Anisimovaによって提供された突然変異型のキングクラブのDNaseは、65℃未満の温度で不活性化が起こるのを可能にするためにEDTAの存在を必要とするので、このDNaseは、(典型的には約50℃で実施される)逆転写反応に先行するDNA汚染除去ステップ中で使用するのに適していない。下流ステップのEDTA阻害のリスク無しでこの酵素を使用するのを可能にするため、混合物を65℃より高く加熱する不活性化ステップが存在しなければならない。これは典型的な逆転写反応温度を超えるので、逆転写ステップ以外にこのステップは別個である。これはプロセスに追加ステップを加え、これによってプロセスの複雑性及び労働強度が増大し、これはさらに、プロセスを多数回繰り返すことのある分子生物学の分野で、エネルギーコスト及び機器使用時間の点で相当な欠点を示す。さらに、逆転写酵素をDNase処理及び不活性化後に加えない限り、DNaseが逆転写ステップ中に活性化し、したがってcDNA産物が分解し得るリスクが存在する。反応混合物への逆転写酵素の後の添加は、汚染が起こる可能性、及び概してプロセスの複雑化、再度コストの影響を示し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明者らは、逆転写のステップと適合性がある温度で実質的に不可逆的不活性化される可能性があり、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseは、非常に有効且つ効率の良い方法をもたらし得ることを理解している。しかしながら、これらの性質を有し現在利用可能であるDNaseは存在しない。このようなDNaseを使用して、逆転写反応の直前に、完全逆転写反応混合物(即ち、RNA分子の逆転写が起こるのに必要とされる基本成分の全てを含有する反応混合物)を汚染除去することが可能であり、次いで逆転写反応の開始(即ち、選択した逆転写酵素の作用温度、例えば50℃以上までの反応混合物の温度の上昇)によって、DNaseは逆転写反応の行程にわたり実質的に不可逆的不活性化され得る(不活性化の大部分は反応の最初の数分間で起こるのが理想的である)。不活性化のこの時系列は重要である。それは新たに形成されるcDNAはDNaseによって分解されないことを意味するからである。高い不活性化温度を有するDNaseと異なり、このようなDNaseは別の不活性化ステップ及び/又は逆転写酵素の後の添加を必要としない。
【0022】
本発明者らは、これらの独自の性質を有する酵素を現在生成している。全てのDNaseと同様に、本発明の非常に熱不安定なDNaseは、糖リン酸核酸骨格のホスホジエステル結合を切断することによってDNAを消化する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、本発明によれば、逆転写反応から核酸汚染を除去する方法であって、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseの使用を含む方法を提供する。これらの不活性化特性はEDTAの不在下で得られることが好ましい。
【0024】
したがって、本発明のDNaseを使用して、逆転写反応混合物中に存在する又はその個々の構成要素中に存在する汚染二本鎖DNAを分解する。それによって、逆転写産物中の汚染DNA(逆転写産物をそのように使用する場合、増幅されそれによって偽陽性結果を与える可能性がある)を低減又は回避することができ、且つ非特異的逆転写を低減又は回避することもできる。
【0025】
特にこの方法は、任意の二本鎖DNA内部の消化を可能にする条件下において逆転写反応混合物、又はその個々の構成要素と本発明のDNaseを接触させること、及び次いで前記反応混合物、又はその個々の構成要素を加熱して前記DNaseを不活性化することを含む。反応混合物は完全反応混合物(即ち、DNAプライマーを含む)であることが好ましく、完全反応混合物は、内部に含有される逆転写酵素の作用温度に相当する温度で加熱することが好ましい。
【0026】
別の実施形態では、逆転写反応に核酸増幅反応(例えば、PCR、LCR、SDA、3SR、LAMP)を続ける。PCR、LCR又はLAMPが逆転写反応に続くことが好ましい。最も好ましい実施形態では、増幅反応はPCRである。
【0027】
別の実施形態では、逆転写反応と増幅反応を1ステップのプロセスとして実施する、即ち反応容器は、同時に存在する逆転写反応及び増幅反応に関する全ての構成要素を有する。しかしながら、2ステップのプロセスを使用することもできる。このような実施形態では、反応の様々な構成要素及び一部分の反応混合物は、本発明のDNaseで個別に処理することができる。
【0028】
他に考察すると、本発明のこの態様は、逆転写反応から核酸汚染を除去する際の、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseの使用を提供し、逆転写反応に核酸増幅反応を続けること、例えば、逆転写−PCRが好ましい。DNaseのこれらの不活性化特性はEDTAの不在下で得られることが好ましい。
【0029】
前述のように本発明は、ゲノムDNAに関する汚染及びキャリーオーバーを予防又は制限する際に、及び特にキャリーオーバー及び/又はゲノムDNAに関する汚染が原因である偽陽性結果を予防又は制限する際に特定の有用性がある。
【0030】
さらなる態様では、本発明は、逆転写反応におけるゲノムDNA汚染及び/又はキャリーオーバーが原因である偽陽性結果を予防又は低減する方法をさらに提供し、前記方法は、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseを使用して、逆転写反応混合物又はその個々の構成要素中に存在する汚染ゲノムDNA及び/又はキャリーオーバー二本鎖DNAを分解することを含む。DNaseのこれらの不活性化特性はEDTAの不在下で得られることが好ましい。
【0031】
本発明のDNaseは、全ての増幅反応中のキャリーオーバーの除去又は低減における使用にも適している。これは、DNaseの不活性化温度が低いほど、増幅プロセス中にそれを不活性化することが容易であり、好都合にはdsDNA増幅プロトコール用のDNA変性ステップ(例えば、94℃で5分間)であってよい不活性化ステップ中で使用する任意の所与の温度で得ることができる、不活性化の程度が高くなるためである。
【0032】
本発明によれば、本発明のDNaseの使用を含む、核酸増幅反応から核酸汚染を除去する方法をさらに提供する。
【0033】
したがって本発明のDNaseを使用して、増幅反応混合物又はその個々の構成要素中に存在する非標的二本鎖DNAを分解する。それによって、非特異的増幅を低減又は回避することができる。
【0034】
特に方法は、任意の二本鎖DNA内部の消化を可能にする条件下において増幅反応混合物、又はその個々の構成要素と本発明のDNaseを接触させること、前記反応混合物、又はその個々の構成要素を加熱して前記DNaseを不活性化すること、及びその後前記混合物、又はその個々の構成要素を増幅する前記標的核酸と接触させることを含む。
【0035】
他に考察すると、本発明のこの態様は、増幅反応混合物から核酸汚染を除去する際の、本発明のDNaseの使用を提供する。
【0036】
前述のように本発明は、核酸増幅反応におけるキャリーオーバーを予防又は制限する際に、及び特にキャリーオーバーが原因である偽陽性結果を予防又は低減する際に特定の有用性がある。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、核酸増幅反応におけるキャリーオーバーが原因である偽陽性結果を予防又は低減する方法をさらに提供し、前記方法は、本発明のDNaseを使用して、増幅反応混合物、又はその個々の構成要素中に存在するキャリーオーバー非標的二本鎖DNAを分解することを含む。
【0038】
本発明のDNaseを使用してDNAポリメラーゼ調製物から核酸汚染を除去することもでき、且つこれを使用してDNAポリメラーゼを含む増幅反応混合物から核酸汚染を除去することができる。本発明のDNaseの低い不活性化温度は、汚染除去後のDNaseの不活性化は、ポリメラーゼに対する有害影響を有さずに、又は最小の有害影響を有しながら得ることができることを意味する。
【0039】
本発明は、いわゆるホットスタートDNAポリメラーゼからの核酸汚染の除去に特に適している。多数のホットスタートポリメラーゼが開発されている。ホットスタートDNAポリメラーゼの背景にある目的は、増幅反応混合物がDNAポリメラーゼの最適触媒温度に近い温度、又は少なくともプライマーアニーリングが非特異的増幅を回避若しくは最小化するほど十分配列特異的である温度に達するまで、ポリメラーゼを修飾してこの酵素がDNAポリメラーゼとして作用すること(プライマーポリヌクレオチド配列を伸長する能力)を妨げることである。これは、低温において、プライマーは核酸サンプルに非特異的にアニーリングする可能性があり、非特異的増幅産物が生じ、これによって偽牲の結果をもたらし及び/又は反応に対する阻害効果がある可能性があるためである。さらに、いくつかの場合、ポリメラーゼ活性は正確性が低く、配列の誤差が増幅産物において生じる可能性がある。この増大した特異性によって、ホットスタートポリメラーゼは、定量PCR中での使用に非常に適したものとなる。
【0040】
ホットスタートDNAポリメラーゼを作製するための一手法は、結合中にポリメラーゼの触媒作用を阻害又は予防するが、DNAポリメラーゼの最適触媒温度に近い温度、又は少なくともプライマーアニーリングが非特異的増幅を回避若しくは最小化するほど十分配列特異的である温度でポリメラーゼから解離する熱不安定基を、ポリメラーゼに結合させることである。
【0041】
適切な熱不安定基には、ポリメラーゼ特異的抗体及びアフィボディ、他の特異的ポリメラーゼ結合タンパク質、特異的オリゴヌクレオチドアプタマー、非特異的コーティング(例えばワックス)、及びポリメラーゼのアミノ酸(例えば、活性部位中のアミノ酸)の共有結合化学修飾がある。ホットスタートポリメラーゼのホットスタート活性化温度を超える温度で不活性化状態であるDNaseによるこのようなポリメラーゼの汚染除去は、ホットスタートポリメラーゼのホットスタート性が悪影響を受ける可能性があることを意味し得る。本発明は有利なことに、DNaseによるホットスタートポリメラーゼ調製物におけるDNA汚染の除去、及び典型的なホットスタートポリメラーゼのホットスタート活性化温度未満である温度でのDNaseのその後の不活性化を可能にし、したがってホットスタートポリメラーゼのホットスタート性に対する有害な影響は回避することができる。
【0042】
前に論じたホットスタートポリメラーゼは、ホットスタートPCRを実施するための単なる一手法である。他の手法は、1つ又は複数のPCR反応混合物成分が残りの成分と接触するのを妨げる。典型的には、ポリメラーゼ又は標的核酸を、融点、ポリメラーゼの最適触媒温度に近い温度、又は少なくともプライマーアニーリングが非特異的増幅を回避若しくは最小化するほど十分配列特異的である温度において、物質(典型的には脂質、例えばワックス)上又は内に封鎖する。したがって本発明のDNaseは、この型のホットスタートPCRに対する有害な影響無しで、これらのいわゆる「バリアー」ホットスタートPCR設定の核酸汚染を除去することもできる。
【0043】
したがって、本発明はホットスタートPCRから核酸汚染を除去する方法を提供し、前記反応はバリアーホットスタートPCR設定である及び/又はホットスタートDNAポリメラーゼを含み、この方法は本発明のDNaseの使用を含む。
【0044】
したがって本発明のDNaseを使用して、ホットスタートPCR反応設定/混合物中に存在する非標的二本鎖DNAを分解する。それによって、非特異的増幅を低減又は回避することができる。
【0045】
特に方法は、任意の二本鎖DNA内部の消化を可能にする条件下において、ホットスタートPCR反応設定/混合物と本発明のDNaseを接触させること、前記反応設定/混合物を加熱して前記DNaseを不活性化すること、及びその後増幅する前記標的核酸と反応設定/混合物の残りの構成要素を接触させることを含む。
【0046】
他に考察すると、本発明のこの態様は、ホットスタートPCR反応から核酸汚染を除去する際の本発明のDNaseの使用を提供し、前記反応はバリアーホットスタート反応である及び/又はホットスタートポリメラーゼを含む。
【0047】
本発明は、バリアーホットスタート反応である及び/又はホットスタートDNAポリメラーゼを含むホットスタートPCR反応におけるキャリーオーバーを予防又は制限する際に、及び特にキャリーオーバーが原因である偽陽性結果を予防又は制限する際にも特定の有用性がある。
【0048】
さらなる態様では、本発明は、ホットスタートPCR反応におけるキャリーオーバーが原因である偽陽性結果を予防又は低減する方法をさらに提供し、前記反応はバリアーホットスタート反応である及び/又はホットスタートDNAポリメラーゼを含み、前記方法は、本発明のDNaseを使用して、ホットスタートPCR反応設定/混合物中に存在するキャリーオーバー非標的二本鎖DNAを分解することを含む。
【0049】
本発明は、本発明のDNaseの使用を含む、ホットスタートDNAポリメラーゼ調製物から核酸汚染を除去する方法をさらに提供する。この方法中での本発明のDNaseの使用をさらに提供する。
【0050】
したがって本発明のDNaseを使用して、ホットスタートDNAポリメラーゼ調製物中に存在する二本鎖DNAを分解する。特に方法は、DNAポリメラーゼ調製物中に存在する任意の二本鎖DNAの消化を可能にする条件下において、ホットスタートDNAポリメラーゼ調製物と本発明のDNaseを接触させること、及び次いで調製物を加熱して前記DNaseを不活性化することを含む。
【0051】
本発明は、標的核酸のin vitro増幅、逆転写又はホットスタートPCR増幅の方法であって、前記ホットスタートPCRがバリアーホットスタート反応である及び/又はホットスタートDNAポリメラーゼを含み、実際の増幅又は逆転写反応の開始前に、反応混合物、反応設定、又はその個々の構成要素を本発明のDNaseで処理するステップを含むことを特徴とする方法をさらに提供する。
【0052】
「逆転写」は、それによってRNA依存性DNAポリメラーゼがRNA鋳型と相補的なDNA分子(cDNA)の形成を触媒するプロセスである。より具体的には、ポリメラーゼは、(即ち、ワトソン−クリックの塩基対形成の法則に従い)プライマー鋳型RNA配列と相補的な配列におけるデオキシリボヌクレオシド三リン酸の重合を触媒する。
【0053】
この反応を触媒する能力を有する多数の酵素が同定されており、例には、HIV逆転写酵素、AMV逆転写酵素、M−MLV逆転写酵素、C therm.ポリメラーゼ、及びTthポリメラーゼがあるが、これらだけに限られない。これらの酵素は一定範囲の最適作用温度を有する。動物宿主に感染するウイルスなどの生物から単離された酵素は、約37℃の作用温度を有する。しかしながら耐熱性逆転写酵素が同定されており、野生型逆転写酵素を突然変異させることによっても産生されており、研究室中での逆転写反応において典型的に使用される酵素であるのはこれらの耐熱性酵素である。下限範囲でAMVは42〜60℃の作用温度範囲であり、一方TthDNAポリメラーゼ及びC therm.DNAポリメラーゼの逆転写活性は、それぞれ55〜70℃及び60〜70℃の作用温度範囲を有する。
【0054】
その最も基本的なレベルで、完全逆転写反応混合物は、逆転写酵素、RNA鋳型、鋳型に結合することができそこから逆転写酵素が重合を開始することができる適切なプライマー、dNTP及び適切なバッファーを含有する。逆転写酵素の作用温度での混合物のインキュベーションはcDNAの生成をもたらす。逆転写反応の終了時に、cDNAを配列決定若しくは遺伝子型決定実験中で直接使用することができ、又はクローニング若しくは検出プロトコール中で使用することができる。
【0055】
「逆転写酵素」によって、逆転写活性(即ち、プライミングされたRNA鋳型配列と相補的DNA相当物の重合を触媒する能力、又はRNA依存性DNAポリメラーゼの活性)を有する任意の酵素を意味する。この活性は酵素の唯一の活性である可能性があり、又はより典型的には、酵素(例えば、HIV逆転写酵素、M−MLV逆転写酵素、AMV逆転写酵素、TthDNAポリメラーゼ、C therm.ポリメラーゼ)の一成分の活性である可能性がある。ポリメラーゼの典型的な他の活性は、RNaseH、DNA誘導性DNAポリメラーゼ、DNA−RNA巻き戻し活性、Mn2+依存性エンドヌクレアーゼを含み得る。しかしながら、RNaseH及び/又はエンドヌクレアーゼ活性は、最小又は不在であることが好ましい。
【0056】
「逆転写酵素調製物」は、逆転写酵素を含む任意の物質、典型的には溶液、一般に水溶液である。特に、それは市販の調製された逆転写酵素の調製物、即ち、実験用酵素の供給業者によって供給され得る逆転写酵素試薬を指すが、このような調製物の希釈、調節及び/又は修飾型もこの用語によって包含される。逆転写酵素調製物は、逆転写酵素を本来発現する細菌供給源から得られた、及び/又は逆転写酵素をコードする発現カセットを含む逆転写酵素の調製物であってもよい。調製物は、細菌供給源から直接得た初期逆転写酵素調製物に匹敵する程度まで精製することができる。
【0057】
用語「核酸増幅反応」は、核酸の標的配列のコピー数を増大するための任意のin vitro手段を指す。これらの方法は「熱循環」を含む、即ち高温循環を含むことが好ましい。増幅法には、PCR及びその改変型、3SR、SDA、LAR又はLCR並びにLAMP及びその改変型があるが、これらだけには限られない。PCR、LAMP並びにLCR及びそれらの改変型は熱循環法である。これらの方法は標的配列のコピー数の直線的又は指数関数的増加をもたらす可能性がある。「改変型」は、リアルタイム増幅、定量的及び半定量的増幅、競合増幅などを包含するが、これらだけには限られない。
【0058】
選択する増幅法に応じて、標的核酸はDNA又はRNAであってよい。例えば、PCRに関して標的はDNAであるが、逆転写ステップと組み合わせたとき、標的はRNA配列であると考えることができる。3SRはRNA標的配列を直接増幅する。
【0059】
用語「増幅/逆転写反応混合物」は、標的核酸を増幅/逆転写するために使用する様々な試薬を含む、任意の溶液、一般に水溶液を指す。これらは酵素、水性バッファー、塩及びヌクレオシド三リン酸を含む。この用語は、首尾良い増幅反応を実施するのに必要な全ての構成要素を含有する混合物、及び不完全でありしたがっていくつか(例えば、少なくとも2、3又は4個)の必要な構成要素のみを含有する混合物を指す。用語「完全」によって始める場合、反応混合物は逆転写及び/又は増幅に必要な全ての構成要素を含有する。
【0060】
「ホットスタートDNAポリメラーゼ」は、典型的には熱不安定な分子的実体の付加により修飾されて、それがプライミングされたDNAポリヌクレオチドの検出可能な重合を実施することができる温度まで上昇したDNAポリメラーゼである。ホットスタートDNAポリメラーゼが検出可能なレベルのDNA重合を実施することができる温度は、ポリメラーゼの最適触媒温度に近いことが好ましい。
【0061】
用語「ホットスタートDNAポリメラーゼ調製物」は、ホットスタートDNAポリメラーゼを含む任意の物質、典型的には溶液、一般に水溶液を指す。特に、それは市販の調製されたホットスタートDNAポリメラーゼの調製物、即ち、実験用酵素の供給業者によって供給され得るホットスタートDNAポリメラーゼ試薬を指すが、このような調製物の希釈、調節及び/又は修飾型もこの用語によって包含される。ホットスタートDNAポリメラーゼ調製物は、ポリメラーゼを本来発現する細菌供給源から得られた、及び/又はポリメラーゼをコードする発現カセットを含むホットスタートDNAポリメラーゼの調製物であってもよい。調製物は、細菌供給源から直接得た初期ポリメラーゼ調製物に匹敵する程度まで精製することができる。典型的には、ホットスタート阻害実体をポリメラーゼに適合させるために調製物はさらに処理されている。
【0062】
「ホットスタートPCR反応」は、プライミングされたDNAポリヌクレオチドからの検出可能な重合が、ポリメラーゼの最適触媒温度に近い温度のみで起こるPCR増幅反応である。検出可能な重合の好ましい温度は、ホットスタートDNAポリメラーゼの考察と一致すると解釈すべきである。
【0063】
「ホットスタートPCR混合物」は、ホットスタートポリメラーゼを含む前に定義したPCR反応混合物である。
【0064】
「バリアーホットスタートPCR設定」は、PCR反応混合物の2つ以上の構成要素を含み、少なくとも1つの構成要素が、前に定義した検出可能なDNA重合の温度に相当する融解温度を有する物質の背後又は内の他の構成要素(単数又は複数)から隔離されている反応容器である。物質は脂質、例えばワックスであることが好ましい。
【0065】
「汚染」によって、逆転写/増幅の標的である核酸集団の一部ではない逆転写及び/又は増幅用の鋳型として働くことができる核酸の、反応混合物における存在を意味する。反応混合物中で使用するプライマーは汚染物質ではない。
【0066】
用語「核酸汚染の除去」は、核酸汚染の予防と低減の両方を含むものとする。
【0067】
用語「キャリーオーバー」を使用して、反応混合物中に偶然又は非意図的に導入された任意の核酸、特に前の増幅又は逆転写反応からキャリーオーバーされた標的配列を記載する。
【0068】
用語「偽陽性結果」は、調査中の核酸サンプルが標的配列を含有することを一見して示すが、増幅産物がキャリーオーバー、及び/又は逆転写ベースの増幅反応の場合、おそらくゲノムDNAに由来する結果を指す。明らかに、本発明がもたらす偽陽性結果の減少は、法医学及び診断分野において特に有利である。本発明の方法は核酸増幅の特異性を高めることができる。
【0069】
用語「DNase」は、DNA骨格中のホスホジエステル結合を加水分解し、ヌクレオチド配列特異的ではない酵素を指す。
【0070】
「実質的に不可逆的不活性化された」によって、加熱によって、酵素が少なくとも95%不活性化された、好ましくは98%不活性化された、より好ましくは酵素が100%不活性化されたことを意味する。不活性化の割合は、37℃において適切なバッファー(例えば、Tris、HEPES、PBS)中で不活性化DNase又は非不活性化DNaseのいずれかと共に3時間DNAサンプル(例えば、500塩基対PCR産物)をインキュベートすること、電気泳動によって臭化エチジウムアガロースゲル上の反応産物を分離すること、及びUV光下でのDNAバンドの蛍光の相対強度を測定することによって都合よく測定することができる(例2)。不活性化と非不活性化DNaseの相対活性を測定するための他の方法は、当業者によって考案され得る。例えば、DNAサンプルを含有するSYBRグリーンの蛍光の相対変化を使用することができる。さらなる方法は、Kunitzアッセイ(Kunitz,M;1950、S.Gen Physiol、33:363及び例1、及びYamamoto(Yamamoto,M;1971、Biochim Biophys Acta、228:95及び例4)によって考案された改変型Kunitzアッセイである。
【0071】
反応混合物の温度が室温に戻るときでさえ、DNaseがその活性を取り戻すことはなく、実質的に残留活性はない。具体的には、5%未満、好ましくは2%未満、最も好ましくは検出不能なDNase活性が存在する。
【0072】
実質的不可逆的不活性化は、50℃又は約50℃、例えば48〜52℃の温度で5分間のインキュベーション以内に、例えば50℃で1、2又は3分間のインキュベーション中に起こることが好ましい。本発明のDNaseは低温又は短時間の間で実質的に不可逆的不活性化することができるが、本発明によれば、約50℃で5分間の加熱はこの酵素を実質的に不可逆的不活性化するのに十分であるはずである。この2つのパラメーターの1つに対する調節は、他方を調節することによって補うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。例えば、不活性化温度を高めることによって、インキュベーション時間の短縮を可能にすることができる。逆に、インキュベーション時間を増大することによって、低い不活性化温度の使用を可能にすることができる。例えば、本発明によるDNaseは、55℃の温度で1又は2分間のインキュベーション中に、52℃の温度で3分間のインキュベーション中に、51℃の温度で4分間のインキュベーション中に、49℃の温度で10分間のインキュベーション中に、又は48℃の温度で15分間のインキュベーション中に不活性化することができる。当然ながら、当業者には容易に明らかでもあり、実施例中に示すように、本発明のDNaseを本発明の方法中で使用する場合、5分間より長いインキュベーション時間を使用することができ、実際の場合、約50℃を超える不活性化温度を使用することができる(例えば、不活性化は、それぞれ15、30又は60分間それぞれ50℃、55℃、65℃又は94℃で、15分間60℃で、又は10分間95℃で起こる可能性がある)。しかしながら、本発明によれば、5分間50℃又は約50℃の温度でインキュベートした場合、DNaseは実質的不活性化を示すはずである。
【0073】
DNaseに関する不活性化温度及び時間は、典型的なPCR又は逆転写酵素バッファー(例えば、25mMのトリス/HCl、pH8.5、5mMのMgCl)に似た溶液中でDNaseをインキュベートすることによって評価すべきである。EDTAは不在であることが好ましいはずである。DNaseは約0.01U/μlと10U/μlの間、好ましくは0.05U/μlと5U/μlの間、例えば0.5U/μlと1.5U/μlの間で存在しなければならない。
【0074】
任意の所与の温度における不活性化は、不活性化バッファー中のジスルフィド結合還元剤(即ち、タンパク質中の2つ以上のシステイン残基間のジスルフィド結合を阻害及び/又は妨害する作用物質)の存在による程度及び/又は速度の点で高めることができる。このような作用物質の例には、DTT、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン・HCl、TCEP・HCl(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、N−エチルマレイミドがあるが、これらだけには限られない。DTTが好ましい。或いはジスルフィド結合還元剤(例えばDTT)を使用して、特定時間の不活性化ステップに必要とされる不活性化温度を下げることができる。当業者は、不活性化を改善し得るがその下流反応には有害ではないと思われる、そのニーズに適したジスルフィド結合還元剤の適切な濃度を決定することが可能である。例えば、DTTは0.05mMと50mMの間の濃度で不活性化ステップに都合よく取り込むことができる。DTTは通常1mMと10mMの間の濃度で逆転写反応において使用され、しばしばPCR反応において使用される。
【0075】
本発明の方法中でのDNaseの不活性化は、0.1mMと10mMの間、好ましくは0.5mMと5mMの間、及び最も好ましくは1mMと2mMの間のDTT濃度で行うことが好ましい。不活性化温度の標準評価用に、25mMのトリス/HCl、pH8.5、5mMのMgCl及び1mMのDTTのバッファーを使用することが好ましい。
【0076】
線状二本鎖DNAとスーパーコイルド環状DNAは、いずれも本発明による酵素の基質である。酵素は、増幅/逆転写酵素プライマーなどの一本鎖DNAに対して、わずかな、無視できる程度の、又はほぼ検出不能な活性を有する。言い換えると、DNaseは二本鎖DNAに対して実質的に特異的である。
【0077】
「二本鎖DNAに対して実質的に特異的である」によって、0.01〜0.05U/μlの濃度で、DNaseは二本鎖DNAを切断するが、一本鎖DNAに対して、わずかな、無視できる程度の、又はほぼ検出不能な活性を有することを意味する。このような濃度では、一本鎖DNAに対する検出可能な活性がないことが好ましい。当業者は、一本鎖及び二本鎖DNAに対する相対的DNase活性を比較する実験を容易に考案することができると思われる。Anisimovaら(BMC Biochemistry、2008、9:14)はこのような実験を開示する。簡単に言うと、試験下の2Kunitz単位のDNaseを、50mMのトリス/HCl、pH7.5、5mMのMgCl(30μlの最終反応体積)中でM13ファージDNA(一本鎖)又はラムダファージDNA(二本鎖)と1時間インキュベートし、産物は臭化エチジウムアガロースゲル上で分離する。一本鎖及び/又は二本鎖DNAに対する活性は、未処理対照に対するバンドの位置によって観察可能であった。別の手法は例6中でより詳細に記載する。この手法では、DNaseの二本鎖及び一本鎖DNAに対する特異性を、5’末端においてフルオロフォアFAM(フルオレセイン)及び3’末端においてTAMRAで標識したオリゴヌクレオチドからの、蛍光の増大を測定することによって試験することができる。2つの標識が接近しているとき、FAMからの発光はTAMRAによって吸収(消光)される。DNaseによるオリゴヌクレオチドの切断は、TAMRAからのFAMの分離、及び励起波長485nm及び発光波長520nmで蛍光光度計において測定することができるFAMからの蛍光の増大をもたらす。二本鎖DNA基質は、標識オリゴヌクレオチドと相補的な第二のオリゴヌクレオチドと標識オリゴヌクレオチドを混合することによって調製することができる。当然ながら、他の適切なフルオロフォア対を同様に使用することができる。
【0078】
逆転写反応の場合、これらの特徴は、RNAサンプル、プライマー、ヌクレオチド、逆転写酵素及びバッファーを含む逆転写反応混合物(即ち、完全反応混合物)内のDNaseの封入、及び例えば室温でのキャリーオーバー物質及びゲノムDNAの迅速な分解を可能にする。これらの特徴は、完全な1ステップの逆転写ベースの増幅反応混合物中のDNaseの封入も可能にする。
【0079】
これらの特徴は、プライマー、ヌクレオチド、DNAポリメラーゼ及びバッファーを含む増幅反応混合物中のDNaseの封入、及び例えば室温でのキャリーオーバー物質の迅速な分解も可能にする。
【0080】
有利なことに、本発明の熱不安定なDNaseは完全増幅反応混合物中で完全に機能し、標準的なin vitro増幅反応及び条件と適合性がある。この酵素は、反応混合物から適量の汚染ゲノムDNA及び/又はキャリーオーバー、通常fg−又はpg−レベル、ただし好ましくは最大1ngを除去することもできるはずである。好ましくは、DNaseは室温で5分以内、より好ましくは3分以内、最も好ましくは2分以内に、全てのキャリーオーバーを分解することができる。
【0081】
短時間(例えば5分間)で本発明のDNaseの不活性化温度(約50℃)まで反応混合物の温度が上昇することによって、本発明のDNaseを不可逆的に不活性化する。
【0082】
逆転写反応の場合、これは逆転写ステップと同時に存在することが好都合であり得る。(ホットスタートPCRを含めた)DNA増幅反応の場合、増幅及び分析する核酸サンプル(即ち、標的核酸)を次いで加えることができ、増幅が始まる。熱循環中及び増幅又は逆転写後に反応混合物の温度が低下するときでさえ、標的配列のコピーが分解することはない。DNaseが不可逆的に不活性化しているからである。汚染除去及び後の不活性化ステップを行いながら、逆転写酵素及び/又はDNAポリメラーゼを逆転写及び/又は増幅反応混合物中に封入することができることは、本発明の特定の利点である。これはDNaseの不活性化をもたらす穏やかな条件(5分間約50℃)の結果としてであり、したがってさらに考えられる汚染供給源は除去される。
【0083】
DNaseは、DNA:RNAデュプレックスのDNA鎖に対して最小ヌクレアーゼ活性を有することが好ましい。「最小」によって、DNaseが二本鎖DNAに対するその活性の40%未満であるDNA:RNAデュプレックスのDNA鎖に対するヌクレアーゼ活性を有することを意味する。DNaseは、二本鎖DNAに対するその活性の30%未満又は20%未満であるDNA:RNAデュプレックスに対する活性を有することが好ましい。
【0084】
これらのDNaseを1ステップの逆転写増幅プロトコールの汚染除去に非常に適したものにするのは、本発明の好ましいDNaseのこれらの特定の特徴(即ち、迅速な実質的不可逆的不活性化、二本鎖特異性及び、好ましくは最小DNA:RNAデュプレックスヌクレアーゼ活性)である。これは、1ステップ中での増幅又は逆転写産物の望ましくない分解を恐れずに、反応混合物全体を汚染除去することができ、さらなる物質の添加が必要とされないためである。これは、初期逆転写産物及び/又は増幅産物の望ましくない消化による(ゲノムDNAの汚染リスクを含めた)汚染リスクを、感度を犠牲にせずに最小にする。
【0085】
前述の方法中で使用するDNase酵素は、それ自体が本発明のさらなる態様を構成する。したがって本発明のこの態様は、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseを提供する。これらの不活性化特性はEDTAの不在下で得られることが好ましい。
【0086】
前に記載した特性を有する任意の熱不安定なDNaseが、本発明による方法中での使用に適している可能性があることは明らかであるが、ホンホッコクアカエビ(Pandalus borealis)のDNase由来の修飾DNases、又は他、好ましくは、特定プロリン残基が修飾、欠失若しくは置換されている海洋生物由来の同様のDNaseは、本発明の別の態様を形成する。生物は原核生物又は真核生物であってよい。「原核生物」によって、細胞核を欠く任意の生物、すなわち真正細菌及び古細菌由来の任意の生物を意味する。生物は細菌であることが好ましい。生物は真核生物、例えば、分類界、動物、植物、真菌又は原生生物に分類される生物、例えば、植物門/動物門、鉤頭動物(Acanthocephala)、無腸動物(Acoelomorpha)、環形動物(Annelida)、節足動物(Arthropoda)、腕足類(Brachiopoda)、コケムシ類(Bryozoa)、毛顎動物(Chaetognatha)、脊索動物(Chordata)、刺胞動物(Cnidaria)、有櫛動物(Ctenophora)、有輪動物(Cycliophora)、きょく皮動物(Echinodermata)、ユムシ動物(Echiura)、内肛動物(Entoprocta)、腹毛動物(Gastrotricha)、顎口動物(Gnathostomulida)、半索動物(Hemichordata)、動吻類(Kinorhyncha)、胴甲動物(Loricifera)、花虫網類(Micrognathozoa)、軟体動物(Mollusca)、線虫類(Nematoda)、類線虫類(Nematomorpha)、ヒモムシ類(Nemertea)、有爪動物(Onychophora)、直泳類(Orthonectida)、ホウキムシ類(Phoronida)、平板動物(Placozoa)、扁形動物(Platyhelminthes)、海綿動物(Porifera)、エラヒキ動物(Priapulida)、菱形類(Rhombozoa)、ワムシ類(Rotifera)、ホシムシ類(Sipuncula)、クセノトルベラ(Xenoturbellida)、ツノゴケ植物(Anthocerotophyta)、コケ植物(Bryophyta)、苔類(Marchantiophyta)、ヒカゲノカズラ植物(Lycopodiophyta)、シダ植物(Pteridophyta)、シダ種子植物(Pteridospermatophyta)、針葉樹類(Coniferophyta)、ソテツ類(Cycadophyta)、イチョウ類(Ginkgophyta)、グネツム類(Gnetophyta)、開花植物(Anthophyta)(又は被子植物(Magnoliophyta)、ツボカビ門(Chytridiomycota)、不完全菌門(Deuteromycota)、接合菌類(Zygomycota)、グロムス門(Glomeromycota)、子嚢菌類(Ascomycota)又は担子菌類(Basidiomycota)であることがより好ましい。動物界からの生物、例えば無脊椎動物及び脊椎動物は注目に値する。生物は、節足動物(Arthropoda)門の生物、例えば亜門甲殻類(Crustacea)、六脚類(Hexpoda)、鋏角類(Chelicerata)又は多足類(Myriapoda)の生物、例えば甲殻類(Crustacea)の綱、さい脚類(Branchiopoda)、ムカデエビ(Remipedia)、カシラエビ(Cephalocarida)、アゴアシ(Maxillopoda)、貝虫類(Ostracoda)又は軟甲類(Malacostraca)、好ましくは軟甲類(Malacostraca)の綱の生物、及びより好ましくは十脚類目(order Decapoda)の生物から選択されることが好ましい。これらの生物は、タラバエビ科(family Pandalidae)、例えばウミカラマツエビ(Anachlorocurtis)、深海エビ(Atlantopandalus)、カザリジンケンエビ(Austropandalus)、キャリパンダラス(Calipandalus)、アオウミガメ(Chelonika)、ヒメモバコエビ(Chlorocurtis)、クラゲエビ(Chlorotocella)、サヨエビ(Chlorotocus)、ディシェロパンダラス(Dichelopandalus)、ドロドーテス(Dorodotes)、アカモンミノエビ(Heterocarpus)、ビシャモンエビ(Miropandalus)、モロゲエビ(Notopandalus)、パンダリナ(Pandalina)、モロトゲアカエビ(Pandalopsis)、北国赤海老(Pandalus)、パントムス(Pantomus)、ペリパンダラス(Peripandalus)、ジンケンエビ(Plesionika)、ベニエビ(Procletes)、シュードパンダラス(Pseudopandalus)又はカザリジンケンエビ(Stylopandalus)属、深海ガニ科(family Lithodidae)、例えばバタフライクラブ(Cryptolithodes)、グリプトリトデス(Glyptolithodes)、ハリイバラガニ(Lithodes)、茶色箱カニ(Lopholithodes)、アガシイバラガニ(Neolithodes)、アラスカタラバガニ(Paralithodes)、エゾイバラガニ(Paralomis)、フィロリトデス(Phyllolithodes)又はリノリトーデ(Rhinolithode)属、又はクルマエビ科(family Penaeidae)、例えばブラウンシュリンプ(Farfantepenaeus)、コウライエビ(Fenneropenaeus)、パシフィックホワイトシュリンプ(Litopenaeus)又は十脚目クルマエビ(Marsupenaeus)属に分類することができる。生物は、進化して寒冷な環境、例えば寒冷な海洋又は水性環境に生息する生物であることが好ましい。生物は、例えばタラバガニ(Paralithodes camtschaticus)(キングクラブ)、クルマエビ(Marspenaeus japonicus)(車海老科)又はマエビ(Penaeus japonicus)から選択されることが好ましい。他の実施形態では、DNaseは、原核生物ではない、例えば細菌ではない、例えば好冷細菌ではない生物種に由来する。
【0087】
これらの修飾DNaseの酵素活性断片も本発明の範囲内に含まれる。
【0088】
したがって、さらなる態様において、本発明はDNase又はその酵素活性断片を提供し、前記DNaseは配列番号1の配列、又はそれと少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、80%、90%若しくは95%、例えば少なくとも98%同一である配列を有するが、配列番号1の位置237におけるプロリン残基又は他の配列中の同等プロリンが修飾、欠失若しくは置換されており、前記DNase又はその酵素活性断片は、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、且つ二本鎖DNAに対して実質的に特異的である。
【0089】
配列番号1は、ホンホッコクアカエビのDNaseに関するcDNAの翻訳部分のアミノ酸配列である。cDNA配列は配列番号2において示す。配列番号1はMIGRTTFIALFVKVLTIWSFTKG(配列番号9)のシグナルペプチド配列を含む。成熟型のホンホッコクアカエビのDNaseは配列番号5において示す(即ち、シグナルペプチド(配列番号9)を含まない配列番号1の配列)。したがって配列番号1の残基237におけるプロリンは、配列番号5の残基214におけるプロリンと同じ位置にある。
【0090】
したがって、本発明はDNase又はその酵素活性断片をさらに提供し、前記DNaseは配列番号5の配列、又はそれと少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、80%、90%若しくは95%、例えば少なくとも98%同一である配列を有するが、配列番号5の位置214におけるプロリン残基又は他の配列中の同等プロリンが修飾、欠失若しくは置換されており、前記DNase又はその酵素活性断片は、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、且つ二本鎖DNAに対して実質的に特異的である。
【0091】
酵素活性断片及び配列番号1の変異体は、配列番号5の成熟型酵素の少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%及び最も好ましくは少なくとも99%の酵素機能(即ち、ヌクレオチド配列特異性なしでDNA骨格中のホスホジエステル結合を加水分解する能力)を示す。他の箇所で論じるように、DNaseの活性は通常の技法を使用して容易に評価することができる。
【0092】
本発明により、配列同一率を、デフォルトパラメータ(DNAギャップオープンペナルティ=15.0;DNAギャップエクステンションペナルティ=6.66;DNAマトリックス=同一性;タンパク質ギャップオープンペナルティ=10.0;タンパク質ギャップエクステンションペナルティ=0.2;タンパク質マトリックス=Gonnet;タンパク質/DNA ENDGAP=−1;タンパク質/DNA GAPDIST=4)を使用して、(例えば、Clustal W2多重配列アラインメントプログラム(http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalW2を使用する)広く利用されているアルゴリズムのいずれかを使用して計算することができる。
【0093】
配列番号1又は5以外の「他の配列中の同等プロリン残基」は、図11中に表すアラインメントなどのアラインメントを生成するための、ClustalW2などの標準的な配列アラインメント技法を使用することによって容易に同定することができる。
【0094】
本発明のDNase又はその断片は、前述の任意の分類群に分類される種から、例えば節足動物門(phylum Arthropodoa)又は亜門の甲殻類(Crustacea)、六脚類(Hexpoda)、鋏角亜門(Chelicerata)及び多足類(Myriapoda)、例えばホンホッコクアカエビ(Pandalus borealis)、タラバガニ(Paralithodes camtschaticus)(キングクラブ)、クルマエビ(Marspenaeus japonicus)(車海老科)又はマエビ(Penaeus japonicus)から得られるが、配列番号1の位置237におけるプロリンと同等のプロリン残基が修飾、欠失又は置換されているDNaseの配列を有することが好ましい。配列番号1の位置237におけるプロリンと同等のプロリン残基が修飾、欠失又は置換されている、ホンホッコクアカエビ(Pandalus borealis)由来のDNaseが好ましい。
【0095】
最も好ましい実施形態では、本発明のDNaseは配列番号3又は7のアミノ酸配列を有する。
【0096】
(例えば、配列番号1の残基237/配列番号5の残基214における)プロリンの「置換」によって、プロリン残基が、典型的には遺伝的にコードされた別の天然に存在するアミノ酸、又はアミノ酸アナログによって置換されていることを意味する。プロリンは、アラニン、グリシン、セリン又はシステインによって置換されていることが好ましい。
【0097】
プロリンの「修飾」によって、プロリン残基が、例えばその側鎖基を異なる基で置換すること、側鎖自体の組成を変えること、又は側鎖と反対側の水素を異なる側鎖基で置換することによって、その通常の立体化学性が改変されていることを意味する。
【0098】
本発明は、本発明のDNaseをコードする核酸分子も提供する。配列番号3及び7のアミノ酸配列に相当するヌクレオチド配列は、配列番号4及び8において開示する。遺伝コードの縮重は、配列番号4及び8が多くの考えられるヌクレオチド配列のわずか2つであることを意味する。
【0099】
本発明は、核酸を増幅する方法における汚染除去剤としての、前に記載した特定のDNaseの使用も提供する。本明細書に記載する汚染除去法における前に記載した特定のDNaseの使用は、本発明の特に好ましい実施形態を表す。
【0100】
前に記載したDNase又はその酵素活性断片を単離及び精製するための方法は、本発明のさらなる態様を表す。したがって、この態様において本発明は、適切な宿主細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、大腸菌(E.coli)、サッカロミセス・セレビシエ(S.cereviciae)、バキュロウイルス感染昆虫細胞)中で前記DNase又はその断片を発現させること、及び前記宿主細胞及び/又は前記細胞を培養した培地からDNaseを後に分離することを含むような方法を提供する。前記DNase又はその断片の発現は、適切な宿主細胞中への、前記DNase又はその断片をコードする発現ベクター、例えば配列番号3及び7のアミノ酸配列をコードする核酸分子、例えば配列番号4又は8のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む発現ベクターの取り込みによって実施することができる。これらの発現カセット及び核酸分子を含む宿主細胞は本発明によって包含される。
【0101】
DNase酵素は、当技術分野で知られており文献中に広く記載されているタンパク質に関する任意の精製技法、又はその任意の組合せを使用して、宿主細胞/培養培地から分離又は単離することができる。このような技法は、例えば沈殿、限外濾過、透析、様々なクロマトグラフィー技法、例えばゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離などを含むことができる。
【0102】
同様に、宿主細胞の抽出物を、当技術分野でよく知られている技法、例えば均質化、凍結−解凍などを使用して調製することもでき、この抽出物から本発明のDNaseを精製することができる。
【0103】
イオン交換クロマトグラフィーと親和性クロマトグラフィーの組合せ、例えばセファロースカラム、例えばレッドセファロース(Pharmacia Biotech、Sweden)又はブルーセファロース(GE Healthcare)カラムに基づく精製プロトコールを容易に使用して、酵素を単離することが可能であることが分かっている。
【0104】
より詳細には、抽出物をイオン交換クロマトグラフィーに施すことができ、タンパク質はNaCl勾配で溶出することができる。DNase活性を含有する画分は透析することができ、次いでNaClでの最終溶出前に親和性カラムに施すことができる。
【0105】
本発明は、少なくとも本発明によるDNaseを含むキットも提供する。キットは、核酸増幅及び/又は逆転写反応を実施するのに必要な試薬、バッファー、酵素などの一部又は全部をさらに含有することができる。より詳細にはキットは、ヌクレオチド三リン酸(SDA用のdNTPαS含む)、オリゴヌクレオチドプライマー、逆転写酵素、好ましくは約50℃で機能することができる酵素、DNAポリメラーゼ、好ましくはTaqポリメラーゼ又はBstポリメラーゼ(及びそのホットスタート型)などの耐熱性ポリメラーゼ、又はLARの場合、DNAリガーゼ(好ましくは、Ampligase(登録商標)又はピューロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)から単離されUS6280998中で開示されたリガーゼなどの耐熱性DNAリガーゼ)、又は制限酵素(好ましくは、BsoB1などの耐熱性制限酵素)を含有することができる。DNaseは、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、鎖置換ポリメラーゼ又はLCRリガーゼと共に一区画で与えることができる。
【0106】
本発明は、例えばその構成要素を前に記載した、本発明のDNase及び核酸増幅及び/又は逆転写の反応及び方法を実施するのに必要な1つ又は複数の試薬を含む組成物も提供する。典型的には、このような組成物は水性であり、例えばトリス、HEPESなどの標準的なバッファーで緩衝処理する。
【0107】
逆転写法は現在当然ながら当技術分野では標準的であり、任意の公知又は標準的な試薬及び技法を使用して実施することができる。
【0108】
典型的な逆転写プロトコールでは、汚染除去ステップは、短時間の間、例えば室温で1〜30分間、好都合には2〜15分間、DNaseを含有する逆転写反応混合物をインキュベートすることを単に含み得る。このインキュベーション時間は重要ではなく、使用する正確なDNase及び濃度、及び反応系の他の構成要素に応じて変わる可能性がある。温度は酵素が活性状態である任意の温度、即ち不活性化温度未満(例えば37℃)であってよいが、室温が好都合である。
【0109】
このような反応混合物は、前述のように、逆転写反応に必要な全ての反応物を含有することができる。
【0110】
典型的な代表的逆転写混合物は例えば以下のものを含むことができる:
【表1】

【0111】
前述の代表的な例では、(バッファー、dNTP、プライマー、酵素及びMgCl溶液を含めた)反応の全体積が50〜100μlに相当する限り、滅菌蒸留水と実験鋳型体積の任意の組合せを使用することができる。しかしながら、他の最終体積を選択に従い使用して、例えば、類似又は他の望ましい最終濃度の反応物を得ることができる。任意の好都合な又は市販の逆転写バッファーを使用することができる。適切な5×逆転写バッファーは250mMのトリス−HCl(25℃でpH8.5)、40mMのMgCl、150mMのKCl、5mMのDTTであってよい。逆転写バッファーはFermentasから購入することができる。
【0112】
考えられる汚染のレベルに応じて、必要とされるDNaseの量は変わる可能性がある。短時間のインキュベーションステップ(室温で0〜15分間)では、2.0単位/50μlの反応混合物が一般に十分以上である。0.1〜2.0単位/50μlの反応混合物が適切であり、約0.5単位/50μlの反応混合物、例えば0.2〜1.0単位/50μlの反応混合物の活性が好ましい。2.0単位/50μlの反応混合物の濃度で、ある程度のssDNase活性が観察され、したがって前に列挙した活性が好ましい。一単位の酵素は、Kunitzアッセイ又はYamamotoの改変型Kunitzアッセイ(いずれも上記)において260nmで1分間当たり0.001吸収が増大する量として定義する。インキュベーション後、反応混合物を加熱することによってDNaseを不活性化させる。好都合なことに、逆転写ステップ中に例えば約50℃で30分間加熱することによって、これを実施することができる。
【0113】
本発明のDNaseを使用する汚染除去ステップを含む増幅法は、PCRを含むか又はPCRに基づくことが好都合である。PCR法は当技術分野では標準的であり、任意の公知又は標準的な試薬及び技法を使用して実施することができる。
【0114】
典型的なPCR反応プロトコールでは、汚染除去ステップは、短時間の間、例えば室温で1〜10分間、好都合には2〜5分間、DNaseを含有する増幅反応混合物をインキュベートすることを単に含み得る。このインキュベーション時間は重要ではなく、使用する正確なDNase及び濃度、及び反応系の他の構成要素に応じて変わる可能性がある。温度は酵素が活性状態である任意の温度、即ち不活性化温度未満(例えば37℃)であってよいが、室温が好都合である。
【0115】
このような反応混合物は、前述のように、鋳型、即ち増幅する標的核酸以外、増幅反応に必要な全ての反応物を含有することができる。
【0116】
典型的な代表的PCR増幅反応混合物は例えば以下のものを含むことができる:
【表2】

【0117】
前述の代表的な例では、(バッファー、dNTP、プライマー、酵素及びMgCl溶液を含めた)反応の全体積が25〜50μlに相当する限り、滅菌蒸留水と実験鋳型体積の任意の組合せを使用することができる。しかしながら、他の最終体積を選択に従い使用して、例えば、類似又は他の望ましい最終濃度の反応物を得ることができる。任意の好都合な又は市販のPCRバッファーを使用することができる。
【0118】
汚染除去後、反応混合物を加熱することによってDNaseを不活性化させる。好都合なことに、第一PCRサイクル中に加熱することによって、これを実施することができる。
【0119】
PCRプロセスの最適化性能は、サイクル中の各ステップに関する温度、温度での時間、及び温度間の時間の長さの選択によって影響を受ける。新たに加えた標的核酸のPCR増幅前にDNaseを利用して汚染dsDNAを分解する、典型的なサイクルのプロファイルは、以下の通り:(a)室温で0〜10分間のDNaseのインキュベーション、(b)94℃で2分間のDNaseのインキュベーション、(c)鋳型の添加、94℃で1分間のDNA融解、(d)50〜65℃で15秒間のプライマーアニーリング、(e)72℃で30秒間のプライマー伸長、(f)94℃で10秒間のDNA融解であり、ステップ(d)〜(f)は必要に応じて多数回繰り返して望ましいレベルの増幅を得る。
【0120】
前述のように、本発明のDNaseは、1ステップの逆転写増幅反応、例えば逆転写PCRに特に適している。このようなプロトコールは当技術分野で十分確立されているが、完全性のため、典型的な代表的逆転写PCR混合物は例えば以下のものを含むことができる:
【表3】

【0121】
逆転写及びPCR反応における体積及びバッファーに関する前述の考察がここで適用可能である。汚染除去後、DNaseが不活性化する温度で逆転写反応を実施する(例えば50℃で1時間)。このステップ中、DNaseは不活性化状態である。これは、cDNA産物はその生成時に分解せず、PCR反応が始まるとき、いずれのその産物も分解しないことを意味する。逆転写反応後、前に記載したプロファイルなどの循環プロファイルに反応容器を曝すことによって、反応混合物へのさらなる添加なしでPCR反応を実施する。
【0122】
ここで本発明を、以下の図を参照しながら非制限的な実施例によって記載する:
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】3時間37℃においてプラスミドDNAに対して15、30又は60分間50、55、65又は94℃でDTTの存在又は不在下において不活性化した配列番号7のDNase及び野生型ホンホッコクアカエビ(配列番号6)の活性を示す、いくつかのアガロースゲルの写真を示す図である。
【図2】DTTの存在下55℃での、配列番号7のDNaseの不活性化の時系列を示す図である。
【図3】DTTの存在下50℃での、配列番号7のDNaseの不活性化の時系列を示す図である。
【図4】本発明の成熟型P214A突然変異ホンホッコクアカエビDNaseのアミノ酸配列(配列番号7)を示す図である。
【図5】成熟型ホンホッコクアカエビDNaseのP214A突然変異体のコードヌクレオチド配列(配列番号8)を示す図である。
【図6】本発明のP237A突然変異ホンホッコクアカエビDNaseのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す図である(配列番号3及び4)。このアミノ酸配列はシグナルペプチドMIGRTTFIALFVKVLTIWSFTKG(配列番号9)を含む。
【図7】成熟型ホンホッコクアカエビDNaseのアミノ酸配列を示す図である(配列番号5)。
【図8】成熟型ホンホッコクアカエビDNaseのコードヌクレオチド配列を示す図である(配列番号6)。
【図9】ホンホッコクアカエビDNaseのcDNAヌクレオチド配列及び翻訳アミノ酸配列を示す図である(配列番号1及び2)。このアミノ酸配列はシグナルペプチドMIGRTTFIALFVKVLTIWSFTKG(配列番号9)を含む。
【図10】1ステップRT−PCRの効率に対する、野生型ホンホッコクアカエビDNase及びP214A突然変異体の影響を示す図である。
【図11】キングクラブ(タラバガニ(Paralithodes camtschaticus)のDNase(配列番号15)及びホンホッコクアカエビDNase(配列番号5)のアミノ酸配列アラインメントを示す図である。379残基重複において同一率65.7%。スコア、1384.0。ギャップ頻度、0.0%。
【図12】定量PCRプロトコールに対する漸増する濃度のP214A突然変異体の影響を示す図である。
【図13】定量PCRプロトコールに対する熱処理酵素の阻害効果を測定したことによる、DNaseI及びP214A突然変異体の熱不安定性の比較を示す図である。
【図14】漸増する量のP214A突然変異体を含む定量PCR反応混合物からの、スパイクDNAの除去の程度を示す図である。
【図15】1ステップRT−PCR反応に対する漸増する濃度のP214A突然変異体の影響を示す図である。
【図16】無鋳型qPCR対照に対するP214A突然変異体の影響を示す図である。
【0124】
且つその中で
配列番号1は、ホンホッコクアカエビDNaseのcDNAヌクレオチド配列の翻訳部分のアミノ酸配列である。
配列番号2は、ホンホッコクアカエビDNaseのcDNAヌクレオチド配列である。
配列番号3は、P237A突然変異ホンホッコクアカエビDNaseのアミノ酸配列である。
配列番号4は、P237A突然変異ホンホッコクアカエビDNaseのコードヌクレオチド配列である。
配列番号5は、成熟型ホンホッコクアカエビDNaseのアミノ酸配列である。
配列番号6は、成熟型ホンホッコクアカエビDNaseのコードヌクレオチド配列である。
配列番号7は、成熟型P214A突然変異ホンホッコクアカエビDNaseのアミノ酸配列である。
配列番号8は、成熟型P214A突然変異ホンホッコクアカエビDNaseのコードヌクレオチド配列である。
配列番号9は、ホンホッコクアカエビDNaseのシグナルペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号10は、DNase活性を測定するための5’FAM及び3’TAMRA標識オリゴヌクレオチドである。
配列番号11は、配列番号10の相補配列である。
配列番号12は、大腸菌23SrRNA遺伝子の一部分を増幅するためのフォワードプライマーである。
配列番号13は、大腸菌23SrRNA遺伝子の一部分を増幅するためのリバースプライマーである。
配列番号14は、配列番号13及び配列番号14と相補的な領域間の大腸菌23SrRNA遺伝子の一部分と相補的な5’FAM及び3’BHQ標識オリゴヌクレオチドプローブである。
配列番号15は、キングクラブ(タラバガニ(Paralithodes camtschaticus)のDNaseのアミノ酸配列である。
【配列表フリーテキスト】
【0125】
配列番号10
<223>DNase活性を測定するための5’FAM及び3’TAMRA標識オリゴヌクレオチドプローブ。
配列番号11
<223>配列番号10の相補配列。
配列番号12
<223>大腸菌23SrRNA遺伝子の一部分を増幅するためのフォワードプライマー。
配列番号13
<223>大腸菌23SrRNA遺伝子の一部分を増幅するためのリバースプライマー。
配列番号14
<223>配列番号13及び配列番号14と相補的な領域間の大腸菌23SrRNA遺伝子の一部分と相補的な5’FAM及び3’BHQ標識オリゴヌクレオチドプローブ。
【実施例】
【0126】
(例1.DNase活性の測定)
Kunitzアッセイ
Kunitzの手順(Kunitz,M.、1950、Crystalline Deoxyribonuclease、II、Digestion of Thymus Nucleic Acid.The Kinetics of Reaction.J.Gen.Physiol.、33、363〜377)に従いDNase活性をアッセイすることができる。10μlの酵素調製物を、1mlの最終体積で100mMの酢酸ナトリウム、pH5.0、5mMのMgCl中の50μgの仔牛胸腺DNAに加える。混合物は25℃でインキュベートし、吸光度の増大を260nmで測定する。1U=0.001のOD260増大×min−1
【0127】
Yamamotoの改変型Kunitzアッセイ
Yamamoto(Yamamoto,M.1971 Purification and some properties of an acid deoxyribonuclease from testes of Chinook salmon Oncorhynchus tshawytscha.Biochim Biophys Acta、228、95〜104)により記載された改変型Kunitzアッセイ、エンドポイントアッセイはKunitzアッセイのさらに感度の良いバージョンであり、不活性化後の残留DNase活性を測定するのにより適していると考えられる。10μlの酵素を、1mlの最終体積で20mMのトリス/HCl、pH8.0、5mMのMgCl中の200μgの仔牛胸腺DNAに加える。混合物は20分間37℃でインキュベートする。次いで0.5mlの氷冷12%HClOを加え、完全に混合し、20分間氷上に放置する。10分間エッペンドルフ遠心分離機において、チューブを全速で遠心分離する。260nmにおける吸光度を測定し、そこから単位を計算する。1U=0.001のOD260増大×min−1
【0128】
(例2.ホンホッコクアカエビDNaseの突然変異)
ホンホッコクアカエビDNase(配列番号5)を、InvitrogenからのQuick−change(商標)突然変異誘発キット及び製造者の説明書を使用した、(配列番号1中の残基237に相当する)残基214で突然変異させた。プロリンは野生型残基であり、アラニンは置換残基であった。図4〜9は、ホンホッコクアカエビDNaseの野生型及び突然変異型の、アミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。突然変異体を配列決定し、正確でありピキア・パストリス(Pichia pastoris)において形質転換されたことが分かった。野生型と同様の良い発現を示した形質転換体を得た。P214A突然変異体に関する初期不活性化試験は、それが55℃において野生型DNaseより容易に不活性化されることを示した。
【0129】
突然変異P214ADNase発現カセットを含有する組換えピキア・パストリスのクローンを、次いで1リットルの発酵装置中で発現させた。発酵はPichia fermentation process guidelines、Invitrogen中に記載されたように行った。発酵液(約1リットル)は15分間4500gで遠心分離して細胞を除去し、上清は新たな容器に注いだ。次いで0.5MのNaOHを加えることによりpHを8に調節し、次いでそれを15分間4500gで遠心分離して沈殿した塩を除去した。新たな上清は、Whatman GF/Fフィルターを介して最後に濾過した。
【0130】
P214A DNaseタンパク質を、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して最初に精製した。pHを調節し、濾過した上清(1150ml)は、25mMのトリス/HCl、pH8、5mMのMgCl、0.25MのNaCl(バッファーA)で平衡状態にしたQ−セファロースFFカラム(2.6/10)に施した。次いでカラムは19カラム体積のバッファーAで洗浄し、次いでP214Aタンパク質をバッファー25mMのトリス/HCl、pH8、5mMのMgCl、0.5MのNaClで溶出した。10mlの画分を回収した。使用した流速は10ml/分であった。P214Aタンパク質を含有する画分を、例1中に記載したKunitzの方法に従い活性を測定することによって選択した。
【0131】
選択した画分をプールし、4℃において10mMのトリス/HCl、pH7.5、5mMのMgCl(バッファーB)で透析した。透析サンプルの体積は同じバッファーを使用して200mlに調節し、次いでバッファーBで平衡状態にしたブルーセファロースFFカラム(5.0/10)に施した。カラムは2カラム体積のバッファーBで洗浄し、P214A DNaseタンパク質はバッファーB及び0.25MのNaClを使用して溶出し、10mlの画分を回収した。使用した流速は10ml/分であった。最後に、P214A含有画分を前に記載したように活性を測定することによって選択し、プールし濃縮した。
【0132】
(例3.異なる温度における不活性化後の残留活性の測定)
P214A突然変異体が熱により完全に不活性化されたかどうか決定するために、熱不活性化P214A突然変異体又は野生型酵素の存在下でのPCR産物の完全性を評価した。
【0133】
酵素(0.8UのP214A、又は1.5Uの野生型)を、25mMのトリス/HCl、pH8、5mMのMgCl、±1mMのDTTバッファー中に20μlの合計体積を含有するPCRチューブに加えた。酵素は様々な温度で15、30及び60分間熱不活性化させ、チューブはその後氷上に置いた。0.5μgの精製した約500bpのPCR産物を加え、反応混合物は37℃で3時間インキュベートした。最後に、アガロースゲル電気泳動を使用して反応混合物を分析した。陰性対照(酵素なし)及び陽性対照(熱不活性化ステップ後に加えた100×希釈酵素)は、前の反応と同じ方法で処理した。
【0134】
図1に、50℃、55℃、65℃及び94℃で野生型酵素と比較した、P214A突然変異体の熱不活性化実験をまとめる。無酵素対照(−)は完全PCR産物を示し、一方、陽性対照(+)、熱不活性化していない100倍希釈酵素は、1%残留活性の影響を示す。
【0135】
対照実験から、PCR産物の目に見える分解がなかったことは、アッセイ中に約1Uの酵素を使用したときの検出限界である0.01%未満の残留活性(結果示さず)を示す。50℃及び55℃では、P214A突然変異体のみが完全に熱不活性化され、P214A置換の影響を実証する。両酵素の完全な不活性化にはDTTの付加(この実験では1mM)が必要である。94℃で60分インキュベートしたときのみ、DTTの不在下で完全な熱不活性化が見られた。
【0136】
(例4.50℃及び55℃におけるP214Aの不活性化の時系列)
DNaseを使用して完全な逆転写酵素反応混合物を汚染除去する場合、逆転写酵素ステップ中の初期にそれを不活性化することが重要である。ヌクレアーゼがすぐに不活性化されない場合、それはcDNAを切断し始め逆転写産物に対して有害な影響を有する可能性がある。逆転写がサンプル中のRNAの量を測定するための定量アッセイの一部である場合、これは特に重要である。したがって、短時間地点での50℃及び55℃におけるP214A突然変異体DNaseの不活性化を試験した。
【0137】
P214A、12.5〜125Uを典型的なRT−バッファー(50mMのトリス/HCl、pH8.3、50mMのKCl、5mMのMgCl、5mMのDTT)に25μlの全体積で希釈した。サンプルは0〜5分間PCR機器で50℃及び55℃においてインキュベートした。次いで例1中に記載した改変型Kunitzアッセイを使用して、残存活性を測定した。
【0138】
図2及び3から見ることができるように、P214A突然変異体は55℃において1分以内に完全に不活性化することができ、50℃において1分以内にほぼ完全に不活性化することができる。
【0139】
(例5.1ステップRT−PCRの効率に対する、野生型及びホンホッコクアカエビDNase及びP214A突然変異体の影響)
1ステップのqRT−PCR増幅反応を、Brilliant QRT−PCRマスター混合物キット1−ステップ(Stratagene)、並びにスマートサイクラーII(Cepheid)における熱循環及び検出を使用して実施した。
【0140】
反応混合物(25μl)は、12.5μlの2×QRT−PCRマスター混合物、1.25μlの20×プライマー/プローブ混合物(GAPDH HS99999905_m1、Applied Biosystems)、0.1μlのStratascript逆転写酵素、1μlのDNase酵素を含有していた。鋳型として、1μl(1ng/μl)のStratagene QPCRヒト参照全RNA(Stratagene)を使用した。それぞれの反応混合物は30℃で15分プレインキュベートした。次いで1ステップの逆転写PCRを、50℃で30分間、95℃で10分間、次に94℃で15秒間、60℃で1分間の45サイクルで実施した。
【0141】
図10中に示すように、P214A突然変異体を含有するサンプル中では、RT−PCRの効率に対する影響はほとんど又は全く観察されない。他方で、野生型ヌクレアーゼはRT−PCRの効率に強く影響を与える。
【0142】
(例6.P214Aに対するds/ssDNAの特異性の分析)
P214Aの二本鎖及び一本鎖DNAに対する特異性を、5’末端においてフルオロフォアFAM(フルオレセイン)及び3’末端においてTAMRAで標識したオリゴヌクレオチドからの蛍光を測定することによって試験した。ヌクレアーゼによるオリゴヌクレオチドの切断は、励起波長485nm及び発光波長520nmで蛍光光度計において測定されるFAMからの蛍光の増大をもたらす可能性がある。二本鎖DNA基質は、標識オリゴヌクレオチドと相補的であった第二のオリゴヌクレオチドと標識オリゴヌクレオチドを混合することによって調製した。
【0143】
37単位のP214A突然変異体を、50mMのトリス/HCl、pH8.0、5mMのMgCl及び0.2μMの標識オリゴヌクレオチド(DNA基質)を含有した反応混合物(合計体積100μL)に加えた。混合物は蛍光透視法用に白いウェルのマイクロタイタープレートにおいて25℃でインキュベートした。
【0144】
同様に、0.2μMの相補オリゴヌクレオチド、相補的DNA基質を、前述の反応混合物に加えて二本鎖DNA基質を形成した。0.01単位のP214A突然変異体を次いで反応混合物に加えた。
【0145】
経時的蛍光をVictor3装置で測定し、活性は1分間当たりの蛍光の初期増加として計算し、ヌクレアーゼなし(ブランク反応)の蛍光の増加に補正し、(蛍光単位/1分間)/Kunitz単位として表した。
【0146】
二本鎖DNA基質に関して、結果は211,922(蛍光単位/1分間)であり、一本鎖DNA基質に関して、結果は10.4(蛍光単位/1分間)Kunitz単位であった。したがって、二本鎖DNA基質は一本鎖DNAより20,366倍速い速度で分解される。
オリゴヌクレオチド:
【化1】

【0147】
(例7.P214A突然変異体を使用したqPCRによる汚染除去)
材料及び方法
大腸菌TOP10ゲノムDNAをDNeasy Blood and Tissueキット(Qiagen)を使用して単離し、DNA濃度はQuant−iT dsDNA BRアッセイキット及びQubit蛍光光度計(Life Technologies)を使用して測定した。定量PCR(qPCR)を使用した大腸菌ゲノムDNAの検出及び定量化用に、(Smith GJ IIIら;1999;Biotechniques26(3):518〜22、524、526)中に記載されたように、高度に保存された23SrRNA遺伝子の小領域を使用してプライマー/プローブセットを設計した。この遺伝子は大腸菌ゲノムにおいて7コピーで存在する。
【0148】
一般にqPCRは、12.5μlの2×Brilliant qPCRマスター混合物(Stratagene)又はTaqMan遺伝子発現マスター混合物(Applied Biosystems)、3μMの各プライマー及び1μMのプローブ、1mMのDTT、1又は10pgの大腸菌ゲノムDNA、及び様々な量のP214A突然変異体酵素又はDNaseI(Sigma)を含有する25μlの反応混合物においてSmart Cycler II(Cepheid)で行う。qPCR反応を、以下のように:95℃で10分間、次に95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルで実施した。
プライマー/プローブ:
【化2】

【0149】
プライマー/プローブ完全性に対するP214A突然変異体の影響(ssDNA)
この実験は、P214A突然変異体がqPCR混合物中のプライマー/プローブの分解(即ち、一本鎖DNAの分解)によるqPCRプロトコールに対する阻害効果を有するかどうか試験した。
【0150】
前に記載した反応混合物(Brilliant qPCRマスター混合物)は鋳型(大腸菌ゲノム)DNAなしで設定し、10分間37℃においてインキュベートした。10分間95℃の不活性化ステップは、鋳型として10pgの大腸菌ゲノムDNAを加える前に行った。次いでqPCR増幅を前に記載したように実施した。
【0151】
37℃のインキュベーションステップは、P214A突然変異体がDNAのその分解を触媒するのを可能にする。10分間95℃のインキュベーションは、鋳型DNAを加える前に、この突然変異体を完全に不活性化する。したがって、qPCR結果の任意の阻害はssDNAに対するヌクレアーゼ活性のみに原因がある可能性がある(プライマー/プローブは分解されている)。図12中に示すように、qPCRの結果は最大1UのP214A突然変異体を加えることによって影響を受けず、qPCR反応混合物中のプライマー/プローブに対する測定可能な活性がないことを示す。
【0152】
qPCRプロトコールにおけるDNaseI及びP214A突然変異体の熱不安定性の比較
前に記載した反応混合物を、DNaseI(1U)又はP214A(1U)の存在又は不在下において鋳型DNAなしで設定した。次いで10分間37℃のインキュベーションステップに、15分間50℃又は55℃の不活性化ステップを続けた。1pgの大腸菌ゲノムDNAを次いで混合物に加え、qPCRを前に記載したように実施した。
【0153】
qPCR実験における様々な反応設定−時間を説明するために、増幅を施す前に、反応混合物を15分間室温でインキュベートした。反応混合物中の任意の残留DNase活性は鋳型DNAを分解し、qPCR結果を阻害する。
【0154】
図13中に示すように、P214A突然変異体は対照反応物(対照(−Enz);酵素加えず)と比較してqPCRを阻害せず、したがってこの実験中15分間50℃のインキュベーションステップによって完全に不活性化されたと考えることができる。DNaseI酵素は不活性化されず、Ctは8を超えて変化し、インキュベーションステップ後の高い残存活性又は/及び反応混合物中のプライマー/プローブに対する活性を示す。
【0155】
qPCR反応混合物からのスパイクDNAの除去
「汚染」DNAを除去するP214A突然変異体の能力を試験するために、様々な量のP214A突然変異体を1pgの大腸菌ゲノムDNAでスパイクした前に記載したqPCR反応混合物(TaqMan遺伝子発現マスター混合物)に加えた。次いで反応混合物は37℃で10分間インキュベートし、次いで60℃で15分間インキュベートした。結果は図14中に示す。見ることができるように、25μlの反応混合物当たり0.25U以上のP214A突然変異体が8を超えるCtの増大を引き起こす。これは250倍を超えるスパイクDNAの濃度の低下を示す。
【0156】
前に論じた個々の結果以外に、無鋳型対照(NTC)は、Brilliant qPCRマスター混合物(Stratagene)とTaqMan遺伝子発現マスター混合物(Applied Biosystems)の両方に関して肯定的な結果をもたらしたことに留意しなければならない。これは、細菌を検出又は診断するための細菌又は大腸菌DNAを標的化する共通プライマーを使用したときの、qPCR混合物中の汚染DNAの問題を示す。
【0157】
(例8.1ステップRT−PCRの効率に対するP214A突然変異体の影響)
例5中に記載した実験をいくつかの濃度のP214A突然変異体で繰り返して、漸増する濃度の酵素がRT−PCR反応の感度にどのように影響を与えたかを調べた。0〜1UのDNaseの範囲で5つの異なる濃度を試験し、結果は図15中に示す。0.1〜0.5UのDNaseの使用はRT−PCRの感度に影響を与えない。1Uの酵素の使用は1.5のCtで感度を下げる。
【0158】
(例9.市販のPCR産物からの細菌DNA汚染の除去)
微量の細菌DNAが、しばしば市販の核酸増幅反応混合物(いわゆる「マスター混合物」)中に存在することは示されている(例7)。病原体を検出するためのqPCR実験中、これはしばしば問題である。これらの汚染物質の増幅は、無鋳型対照(NTC)を含めて偽陽性をもたらすからである。この実施例では、1UのP214A突然変異体DNaseを4つの異なる供給業者からのqPCRマスター混合物に加え、37℃で10分間プレインキュベートした。この後、マスター混合物は60℃で15分間インキュベートし、例7中に記載したqPCR反応における未処理マスター混合物と比較した。いずれの反応にも鋳型は加えなかった。結果は図16中に示し、酵素とプレインキュベートしたマスター混合物のみが陰性NTCをもたらすことを見ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆転写反応から核酸汚染を除去する方法であって、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseの使用を含む上記方法。
【請求項2】
ホットスタートPCRから核酸汚染を除去する方法であって、前記反応がバリアーホットスタートPCR設定である及び/又はホットスタートDNAポリメラーゼを含み、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseの使用を含む上記方法。
【請求項3】
逆転写反応混合物、ホットスタートPCR設定、ホットスタートPCR混合物、又はこれらの任意の個々の構成要素を、いかなる汚染二本鎖DNAの消化も可能にする条件下においてDNaseと接触させ、且つその後反応混合物を加熱してDNaseを不活性化させる、請求項1から2までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
標的核酸をin vitroで逆転写する方法であって、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseで、実際の逆転写反応の開始前に、逆転写反応混合物を処理するステップを含む上記方法。
【請求項5】
逆転写反応混合物が完全な混合物であり、逆転写酵素の作用温度で加熱してDNaseを不活性化させる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
1つ又は複数の以下のステップ:
(i)プライマーのアニーリング
(ii)プライミングされたポリヌクレオチドからの鎖伸長
(iii)ポリヌクレオチドデュプレックスの融解
を含む1サイクル又は複数サイクルを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記逆転写反応に核酸増幅反応を続ける、請求項1及び3から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記核酸増幅反応がPCR、LCR、SDA、3SR又はLAMP、好ましくはPCRである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記逆転写反応と核酸増幅反応を1つの反応容器内で実施する、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ホットスタートPCRの方法であって、前記反応がバリアーホットスタートPCR設定である及び/又はホットスタートDNAポリメラーゼを含み、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNaseで、ホットスタートPCRの開始前に、前記ホットスタートPCR設定/混合物又はホットスタートDNAポリメラーゼを処理するステップを含む上記方法。
【請求項11】
1つ又は複数の以下のステップ:
(i)ポリヌクレオチドデュプレックスの融解
(ii)プライマーのアニーリング
(iii)プライミングされたポリヌクレオチドからの鎖伸長
を含む複数サイクルをさらに含む、請求項8から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的であるDNase。
【請求項13】
DNase又はその酵素活性断片であって、前記DNaseが配列番号1の配列又はそれと少なくとも60%同一である配列を有するが、配列番号1の位置237におけるプロリン残基又は他の配列中の同等プロリンが修飾、欠失又は置換されており、5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的である上記DNase又はその酵素活性断片。
【請求項14】
前記DNaseが配列番号5の配列又はそれと少なくとも60%同一である配列を有するが、配列番号5の位置214におけるプロリン残基又は他の配列中の同等プロリンが修飾、欠失又は置換されており、前記DNase又はその酵素活性断片が5分間約50℃の温度での加熱によって実質的に不可逆的不活性化され、二本鎖DNAに対して実質的に特異的である、請求項13に記載のDNase又はその酵素活性断片。
【請求項15】
前記DNaseが節足動物門(phylum arthropodoa)の種から得られるDNaseの配列を有するが、配列番号1の位置237におけるプロリンと同等のプロリン残基が修飾、欠失又は置換されている、請求項13又は14に記載のDNase又はその断片。
【請求項16】
前記DNaseが、甲殻類(crustacea)、六脚類(hexpoda)、鋏角亜門(chelicerata)又は多足類(myriapoda)から選択される亜門の種から得られるDNaseの配列を有するが、配列番号1の位置237におけるプロリンと同等のプロリン残基が修飾、欠失又は置換されている、請求項15に記載のDNase又はその断片。
【請求項17】
前記DNaseが、ホンホッコクアカエビ(pandalus borealis)、タラバガニ(paralithodes camtschaticus)(キングクラブ)、クルマエビ(marspenus japonicus)(車海老科)又はマエビ(penaeus japonicus)から選択される種から得られるDNaseの配列を有するが、配列番号1の位置237におけるプロリンと同等のプロリン残基が修飾、欠失又は置換されている、請求項15又は請求項16に記載のDNase又はその断片。
【請求項18】
前記DNaseが、ホンホッコクアカエビ(pandalus borealis)から得られるDNaseの配列を有するが、配列番号1の位置237におけるプロリンと同等のプロリン残基が修飾、欠失又は置換されている、請求項17に記載のDNase又はその断片。
【請求項19】
前記DNaseが配列番号3又は配列番号7の配列を有する、請求項12から18までのいずれか一項に記載のDNase。
【請求項20】
請求項12から19までのいずれか一項に記載のDNaseをコードする核酸分子。
【請求項21】
配列番号4又は配列番号8のヌクレオチド配列を含む、請求項20に記載の核酸分子。
【請求項22】
核酸を増幅する方法における汚染除去剤としての、請求項12から19までのいずれか一項に記載のDNaseの使用。
【請求項23】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法中での、請求項12から19までのいずれか一項に記載のDNaseの使用。
【請求項24】
請求項12から19までのいずれか一項に記載のDNase又はその断片を単離及び精製するための方法であって、適切な宿主細胞中で前記DNase又はその断片を発現させること、及び前記宿主細胞及び/又は前記細胞を培養した培地からDNaseを後に分離することを含む上記方法。
【請求項25】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット又は組成物であって、請求項12から19までのいずれか一項に記載のDNase及び/又は請求項20又は21に記載の核酸、及び場合によっては以下の
(i)ヌクレオチド三リン酸、
(ii)オリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)逆転写酵素、
(iv)DNAポリメラーゼ、
(v)DNAリガーゼ、及び
(vi)制限酵素
の1つ又は複数を含む上記キット又は組成物。

【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−533316(P2012−533316A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521095(P2012−521095)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001384
【国際公開番号】WO2011/010094
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(502250695)バイオテク ファーマコン エイエスエイ (3)
【Fターム(参考)】